(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771488
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】保持脚を含むプラットフォームを装備したブレード
(51)【国際特許分類】
F01D 5/28 20060101AFI20201012BHJP
F01D 5/14 20060101ALI20201012BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20201012BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20201012BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20201012BHJP
D03D 25/00 20060101ALI20201012BHJP
B29C 70/24 20060101ALI20201012BHJP
B29C 70/48 20060101ALI20201012BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20201012BHJP
【FI】
F01D5/28
F01D5/14
F01D25/00 L
F02C7/00 C
D03D1/00 A
D03D25/00
B29C70/24
B29C70/48
B29K105:08
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-556610(P2017-556610)
(86)(22)【出願日】2016年4月26日
(65)【公表番号】特表2018-523041(P2018-523041A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】FR2016050982
(87)【国際公開番号】WO2016174346
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年3月20日
(31)【優先権主張番号】1553851
(32)【優先日】2015年4月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ガイヤール,トマ・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ベルドゥー,カロリーヌ・ジャクリーヌ・ドゥニーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボワッソン,アレクサンドル・ベルナール・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ジマ,マチュー・アルノー
【審査官】
北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0004326(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0271206(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0121810(US,A1)
【文献】
特表2013−532257(JP,A)
【文献】
米国特許第04343593(US,A)
【文献】
特開2004−285864(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02995933(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/28
B29C 70/24
B29C 70/48
D03D 1/00
D03D 25/00
F01D 5/14
F01D 25/00
F02C 7/00
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームが、三次元織りによって一体成形方法で得られる、タービンエンジンブレード用のプリフォームであって、
ブレード根元(21)の少なくとも一部分を形成するのに適する第1の長手方向セグメント(31)と、
第1の長手方向セグメント(31)を上方に延長し、脚柱部(22)の少なくとも一部分を形成するのに適する第2の長手方向セグメント(32)と、
第2の長手方向セグメント(32)を上方に延長し、エーロフォイル部(23)を形成するのに適する第3の長手方向セグメント(33)と、
第2の長手方向セグメント(32)と第3の長手方向セグメント(33)との間の接合部から横断方向に延在し、第1のプラットフォーム(24)を形成するのに適する第1の横断方向セグメント(34)と、
第1の長手方向セグメント(31)と第2の長手方向セグメント(32)との間の接合部から第1の横断方向セグメント(34)まで延在し、第1のプラットフォーム(24)のための保持脚(26)を形成するのに適する第1の傾斜セグメント(36)と、
を備え、第1の傾斜セグメント(36)と第2の長手方向セグメント(32)との間にギャップが設けられているプリフォーム。
【請求項2】
第1の傾斜セグメント(36)の遠位端が、第1の横断方向セグメント(34)の遠位端に沿って延びている、請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
第1の傾斜セグメント(36)の遠位端が、第1の横断方向セグメント(34)に取り付けられている、請求項1または2に記載のプリフォーム。
【請求項4】
第1の長手方向セグメント(31)が、プリフォーム(30)の上流端部から下流端部まで実質的に一定の長さを含み、
第2の長手方向セグメント(32)の長さが、プリフォームの上流端から下流端まで増加する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項5】
第2の長手方向セグメント(32)と第3の長手方向セグメント(33)との間の接合部から横断方向に延在し、第1の横断方向セグメント(34)と同一平面上にあり、第1の横断方向セグメント(34)から離れ、第2のプラットフォーム(25)を形成するのに適している第2の横断方向セグメント(35)と、第1の長手方向セグメント(31)と第2の長手方向セグメント(32)との間の接合部から第2の横断方向セグメント(35)まで延在し、第2のプラットフォーム(25)のための保持脚(27)を形成するのに適する第2の傾斜セグメント(37)と、
を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項6】
第2の長手方向セグメント(132)と第3の長手方向セグメント(133)との間の接合部に、第1の横断方向セグメント(134)とは反対側の表面に設けられた界面要素(141)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項7】
界面要素が取り付けられた金属ストリップ(141)である、請求項6に記載のプリフォーム。
【請求項8】
タービンエンジンブレードを製造する方法であって、方法は、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプリフォームを用いて複合材料から一体成形方法でタービンエンジンブレードを作製するステップを有し、
前記プリフォームは型内に成形され、マトリックス内に埋め込まれており、
タービンエンジンブレードは、
ブレード根元(21)と、
ブレード根元(21)から上方に延在する脚柱部(22)と、
脚柱部(22)から上方に延在するエーロフォイル部(23)と、
脚柱部(22)とエーロフォイル部(23)との間の接合部から、エーロフォイル部(23)に対して横断方向に延在するプラットフォーム(24)と、
一方の端部の根元(21)または脚柱部(22)と、他方の端部のプラットフォーム(24)との間に延在する保持脚(26)と、
を備える、タービンエンジンブレードを製造する方法。
【請求項9】
マトリックスが有機性である、請求項8に記載のタービンエンジンブレードを製造する方法。
【請求項10】
タービンエンジン用のブレード付きホイールを製造する方法であって、方法は、
複数のタービンエンジンブレード(10)を組み立てるステップを有し、
複数のタービンエンジンブレードは、請求項8または9に記載のタービンエンジンブレード(10)を製造する方法で製造される、タービンエンジン用のブレード付きホイールを製造する方法。
【請求項11】
タービンエンジンを製造する方法であって、方法は、
ブレード付きホイールを組み立てるステップを有し、
ブレード付きホイールは、請求項10に記載のタービンエンジン用のブレード付きホイール(2)を製造する方法で製造される、タービンエンジンを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジンブレードのためのプリフォームに関し、さらにそのようなプリフォームから形成され得る単一部品ブレード、ブレード付きホイールおよびそのようなブレードを含むタービンエンジンにも関する。
【0002】
このようなプリフォームは、保持脚を備え付けた空力プラットフォームを有するブレードを作製するために使用され得る。そのようなブレードは、1つだけ例を挙げれば、特に航空機のターボジェットのファンブレードであることができる。
【背景技術】
【0003】
航空機のターボジェットの重量を減らし、そのようなターボジェットの消費量を低減するために、ジェットのいくつかのブレードを複合材料から製造することが現在知られており、この複合材料は従来方法で過去に使用されていた金属よりもはるかに軽い。
【0004】
この目的のために、今日では、非常に良好な品質の複合ブレードを生み出すファイバープリフォームを得るために、三次元織り技術を使用することも知られている。国際公開第2014/076408号パンフレットには、特に、一定の厚さを有する加圧側および吸込側プラットフォームを備え付けたブレードを単一部品の様式で得ることを可能にするファイバープリフォームを製織する方法が説明されている。
【0005】
それにもかかわらず、これらのプラットフォームは、多数の要件を満たし、多数の機能を実行する必要がある。主に、そのようなプラットフォームは、ターボジェットを通って流れる空気流を画定し、導く空気力学的機能を果たす必要がある。それにもかかわらず、それらはまた、飛行のすべての段階で保証される機械的強度を提供する必要があり、それらはまた、特に空気流内の下流で乱流の導入を回避する、エンジンの環境内のコヒーレント積分を提供しなければならない。したがって、エンジンの作動中、飛行段階に関係なく、プラットフォームの形状は細かく制御される必要がある。
【0006】
残念なことに、特に、そのようなブレードで実施される試験およびシミュレーション中に、本発明者らは、3D織りから得られたそれらプラットフォームの様々な区域が、タービンエンジンが作動している間に作用する遠心力の影響を受けて、より大きい、またはより小さい程度まで変形されることを発見した。特に、本発明者らは、プラットフォームのある区域の変形が、その区域のエーロフォイルからの距離が増加するにつれて増加することを観察した。
【0007】
そのような状況下では、それらのプラットフォームは、作動時に形状の不規則性を示し、空気流を乱し、それによりタービンエンジンの効率を妨げる可能性がある。加えて、本発明者らは、とりわけ、曲げがカンチレバーの長さに依存することを認めた。したがって、2つの連続するブレードの加圧側プラットフォームと吸込側プラットフォームとの間でカンチレバーの長さが異なるので、その境界面で曲がりの不連続性があり、プラットフォームが部分的に重なる危険につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2014/076408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、少なくともある程度は、上述した周知のシステムに固有の欠点を回避するプリフォーム、ブレード、ブレード付きホイール、およびタービンエンジンに対する実際の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、タービン翼のためのプリフォームを提供し、プリフォームが、三次元織りによって得られる、タービンエンジンブレード用のプリフォームであって、ブレード根元の少なくとも一部分を形成するのに適する第1の長手方向セグメントと、第1の長手方向セグメントを上方に延長し、脚柱部の少なくとも一部分を形成するのに適する第2の長手方向セグメントと、第2の長手方向セグメントを上方に延長し、エーロフォイル部を形成するのに適する第3の長手方向セグメントと、第2の長手方向セグメントと第3の長手方向セグメントとの間の接合部から横断方向に延在し、第1のプラットフォームを形成するのに適する第1の横断方向セグメントと、第1の長手方向セグメントと第2の長手方向セグメントとの間の接合部から第1の横断方向セグメントまで延在し、第1のプラットフォームのための保持脚を形成するのに適する第1の傾斜セグメントと、を備えるプリフォームを提供する。
【0011】
そのようなプリフォームを用いて、ブレード根元、脚柱部、エーロフォイル部、およびタービンエンジンの作動中に遠心力に抗して保持するために役立つ保持脚を備える少なくとも1つのプラットフォームを含むブレードを単一部品で得ることが可能である。これは、プラットフォームを強化し、作動中に変形する程度を低減する。
【0012】
具体的には、プラットフォームに作用する遠心力は、保持脚によって吸収され、ブレードの構造部分であるブレードの根元または脚柱部に伝達される。したがって、プラットフォームおよび保持脚は、プラットフォームのカンチレバーの結果を低減する一種のボックス部分を形成する。このような状況下では、プラットフォームは作動中に比較的規則的なプロファイルを維持し、したがって気流の流れをほとんど、または全く乱さない。
【0013】
したがって、このプリフォームによって、3D織りの単一部品ブレードの利点(軽量化、部品点数の削減、組立およびメンテナンスの簡略化など)から恩恵が得られ、一方で空気流の空力的規則性を確保する。
【0014】
加えて、この構成はまた、隣接するプラットフォーム間の界面で作動中に通常観察される不連続性を低減することも可能にする。さらに、保持脚部は、例えば鳥を吸引する場合などで、1つのプラットフォームが隣接するプラットフォームに部分的に重なる危険性を低減する働きもする。
【0015】
本明細書では、用語「長手方向」、「横断方向」、「底部」、「頂部」、およびそれらの派生語は、当該ブレードの主方向に対して定義され、ブレード根元は、この基準枠内のブレードの底端部に配置され、用語「近位」、「遠位」、およびそれらの派生語は、ブレードのエーロフォイルに対して定義され、用語「軸方向」、「半径方向」、「接線方向」およびそれらの派生語は、これらのブレードを有するホイールの主軸、すなわち一般にタービンエンジンの軸線に対して定義される。「軸方向平面」という用語は、タービンエンジンの主軸を含む平面を示し、「半径方向平面」という用語は主軸に垂直な平面を示し、用語「長手方向平面」は、ブレードの主方向に平行で、ブレード根元が延在する方向に垂直な平面を示し、したがって、そのような長手方向平面は、タービンエンジンの基準フレームにおける半径方向平面である。加えて、「上流」および「下流」という用語は、タービンエンジンを通る空気の流れに対して定義される。
【0016】
最後に、「三次元織り」という用語は、横糸が三次元織りにおいて三次元の網目織物を形成するような方法で縦糸の配列内を移動する製織技術を指定するために使用され、したがって、そのようなファイバー構造における織り糸の層のすべてが、三次元織機内の単一の製織工程中に織られる。
【0017】
特定の実施形態では、第1の傾斜セグメントは、プリフォームの上流端から下流端まで連続している。したがって、プラットフォームはその全長にわたって保持され、それによってその変形をより効果的に低減する。
【0018】
他の実施形態では、第1の傾斜セグメントは、上流から下流まで離隔配置された複数のタブを含む。この構成により、プリフォームの重量、ひいては最終ブレードの重量を低減することが可能になる。また、プリフォームが圧密化された後、ブレードを型から外すのが容易になる。
【0019】
特定の実施形態では、第1の傾斜セグメントの遠位端は、第1の横断方向セグメントの遠位端に沿って延びる。このようにして、遠心力が最も大きい場所のプラットフォーム、すなわちプラットフォームがエーロフォイル部から最も離れてオフセットされている場所で遠心力が吸収される。
【0020】
特定の実施形態では、第1の傾斜セグメントの遠位端は、第1の横断方向セグメントに取り付けられる。これにより、プラットフォームと保持脚とが互いに固定された最終的ブレードを達成する目的で、圧密化のためにプリフォームを成形するのが容易になる。このような固定は、例えば、縫い付け、接着剤、リベット締め、または実際にピンで固定することなど、任意の締結手段によって達成され得る。
【0021】
特定の実施形態では、第1の傾斜セグメントは実質的に平面である。これにより、ブレードの根元または脚柱部に力を伝達することを容易にする。
【0022】
特定の実施形態では、第1の長手方向セグメントは、プリフォームの上流端から下流端まで実質的に一定の長さを有する。これにより、第2の長手方向セグメントと第1の傾斜セグメントとを分離する役割を果たす非連結を作製することを容易にする。
【0023】
特定の実施形態では、第2の長手方向セグメントの長さは、プリフォームの上流端から下流端まで増加する。これは、小さい方の直径の上流シェルと大きい方の直径の下流ドラムとの間の空気流の連続性を確実にするために、ファンブレードにとって特に有用である。
【0024】
ある実施形態では、プリフォームが、第2の長手方向セグメントと第3の長手方向セグメントとの間の接合部から横断方向に延在し、第1の横断方向セグメントと同一平面上にあり、第1の横断方向セグメントから離れ、第2のプラットフォームを形成するのに適している第2の横断方向セグメントと、第1の長手方向セグメントと第2の長手方向セグメントとの間の接合部から第2の横断方向セグメントまで延在し、第2のプラットフォームのための保持脚を形成するのに適する第2の傾斜セグメントと、を備える。
【0025】
第1の横断方向セグメントおよび第1の傾斜セグメントに関する上述の特徴のすべては、第2の横断方向セグメントおよび第2の傾斜セグメントに置き換えることができることは当然理解され得る。
【0026】
他の実施形態では、ファイバープリフォームは、1つの横断方向セグメントのみ、および1つの傾斜セグメントのみを含む。このような状況下では、最終的ブレードは、隣接するブレードまで延在するように適合された単一のプラットフォームを有し、それによって、2つの隣接するブレード間の空気流の規則性を向上させる。そのような状況下では、プラットフォームは好ましくは吸込側に設けられ、これにより、プリフォームが圧密化された後のブレードの成形およびその後の型から取り出すことを容易にする。
【0027】
特定の実施形態では、プリフォームは、第2の長手方向セグメントと第3の長手方向セグメントとの間の接合部に、第1の横断方向セグメントから遠く離れた表面に設けられた界面要素を含む。この界面要素は、隣接するブレードの一致するプラットフォームと協働するように機能する。その構成によって、したがって隣接するブレードに衝突した場合に例えば、鳥を吸引する場合、このプリフォームからブレードを保護することができ、および、または遠心力に対して隣接するブレードのプラットフォームの位置をブロックすることができる。
【0028】
特定の実施形態では、界面要素は、取り付けられた金属ストリップである。一例として、このストリップは、共射出成形する前にプリフォームに固定されることが可能である。
【0029】
特定の実施形態では、界面要素は、第2の長手方向セグメントと第3の長手方向セグメントとの間の接合部から延在する織りストリップである。
【0030】
特定の実施形態では、プリフォームを織るために使用される織り糸はカーボンファイバーである。それにもかかわらず、それらは、グラスファイバーまたはケブラーファイバーのような任意の他の種類の織り糸であってもよい。
【0031】
特定の実施形態では、プリフォームの三次元織り用に使用される織物は、3Dインターロックタイプである。それにもかかわらず、プリフォームの外側表面は、本質的に、例えばサテンタイプの二次元織りによって製造され得る。
【0032】
本明細書はまた、タービンエンジンブレードであって、ブレード根元と、ブレード根元から上方に延在する脚柱部と、脚柱部から上方に延在するエーロフォイル部と、脚柱部とエーロフォイル部との間の接合部から、エーロフォイル部に対して横断方向に延在するプラットフォームと、一方の端部の根元または脚柱部と、他方の端部のプラットフォームとの間に延在する保持脚と、を備えるタービンエンジンブレードを提供する。
【0033】
このブレードは、上述のプリフォームから獲得され得るブレードに相当することが理解できる。それにもかかわらず、そのようなブレードは、他のいくつかの方法を用いて同様に良好に得られ、他の材料から作製されることも可能であり、一例として、そのようなブレードは、適切な鋳造方法を用いて金属から作製されるべきである。どちらの場合でも、上述の特徴と利点のすべては、ブレードを取得するために使用される手法にかかわらず、このブレードに直接置き換えられることが可能である。
【0034】
特定の実施形態では、ブレードは、上述の任意の実施形態によるプリフォームを用いて複合材料から一体成形法で作製され、前記プリフォームは型内に成形され、マトリックスに内に埋め込まれている。
【0035】
特定の実施形態では、マトリックスは有機タイプである。特に、それはエポキシ樹脂であってもよい。
【0036】
本明細書はまた、上述の任意の実施形態による複数のブレードを有する、タービンエンジン用のブレード付きホイールにも関する。
【0037】
それは、ブレードが回転ハブの周りに角度的に配置されているファンなどのロータホイールであってもよく、またはそれは、ブレードが固定リング内に角度的に配置された羽根であるステータホイールであってもよい。
【0038】
本明細書はまた、上述の任意の実施形態による少なくとも1つのブレードまたは少なくとも1つのブレード付きホイールを含むタービンエンジンを提供する。
【0039】
上述の特徴および利点、およびその他は、提案されているプリフォーム、ブレード、ブレード付きホイールおよびタービンエンジンの実施形態の以下の詳細な説明を読むと明らかになる。詳細な説明は、添付の図面を参照して行われる。
【0040】
添付の図面は、図式的であり、特に本発明の原理を例示することを目的とする。
【0041】
図面の中で、図面ごとに、同一である要素(または要素の部分)は、同じ参照符号を用いて参照される。さらに、異なる実施形態に属するが、類似の機能を有する要素(または要素の部分)は、100、200などによって増加された参照符号によって図中で識別される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明のタービンエンジンの軸方向断面図である。
【
図2】本発明のブレード付きホイールの部分的な半径方向断面図である。
【
図3】一実施形態を構成するブレードの部分斜視図である。
【
図4】
図3のブレードを別の角度から見た部分斜視図である。
【
図5】成形される前のブレードのこの実施形態に対応するプリフォームの線図である。
【
図6】ブレードが成形された後のブレードに対応するプリフォームを示す図である。
【
図7A】成形される前の第2の実施形態を示す図である。
【
図7B】第2の実施形態のプラットフォームが成形された後のプラットフォームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明をより具体的にするために、実施形態は添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。本発明はこれらの実施形態に限定されないことを理解するべきである。
【0044】
図1は、本発明のバイパスターボジェット1の断面図であり、この断面はジェットの主軸Aを含む垂直平面上にある。空気流の流れ方向の上流から下流に進むと、バイパスターボジェット1は、ファン2、低圧圧縮機3、高圧圧縮機4、燃焼室5、高圧タービン6、および低圧タービン7を含む。
【0045】
図2に示すように、ファン2は、タービンエンジン1の低圧シャフトに結合されているディスク11上の軸線Aの周りに角度的に取り付けられた複数のファンブレード10を有する。
【0046】
そのようなファンブレードが、
図3および
図4に示される。それは、ディスク11のスロット12内に係合するように構成されたダブテール形状のブレード根元21を備え、ディスク11にそのブレード根元21を固定する。ブレード根元21は、前縁233aと後縁23fとの間で上流側から下流側へそれぞれ向かう吸込側面23eおよび加圧側面23iを提供するエーロフォイル23に続く静止部分22によって上方に延長される。
【0047】
ブレード10はまた、静止部分22とエーロフォイル23との間の接合部から、ブレードの吸込側から横断方向に延在する吸込側プラットフォーム24と、脚柱部22とエーロフォイル23との間の接合部から、ブレードの加圧側から横断方向に延在する加圧側プラットフォーム25とを有する。
【0048】
ブレード10はまた、ブレード根元21と脚柱部22との間の接合部から吸込側プラットフォーム24の遠位端まで延在する吸込側保持脚部26を有し、同様に、ブレード根元部21と脚柱部22との間の接合部から、吸込側プラットフォーム25の遠位端まで延在する加圧側保持脚27を有する。したがって、ブレード10の両側で、各プラットフォーム24、25は、その保持脚26、27および脚柱部22と協働して、実質的に三角形のプロファイルを有するボックス部分29を形成する。
【0049】
図3および
図4から分かるように、ブレード根元21と脚柱部22との間の接合部区域は、上流から下流に向かってブレード10に沿って実質的に一定の高さに位置している。対照的に、ボックス部分29が、ブレード10の下流端に向かって広がっている漏斗状であるように、脚柱部22の高さは上流から下流へ増加する。
【0050】
この例では、ブレード10は、ファイバープリフォーム30を3D織りすることによって、プリフォーム30を成形することによって、および当業者に周知の樹脂トランスファ成形(RTM)法を使用して有機樹脂を射出することによって得られる。
【0051】
図5は、ブレード10のこの実施形態を作製するのに適するプリフォーム30の三次元的に織られたブランク30’を示す。
図6は、ブランク30’が切断され成形された後の最終プリフォーム30を示す。プリフォームブランク30’は、底部から頂部に、すなわち、織り方向Tの上流から下流に描かれている。しかし、当然のことながら、製織は、他の端部から反対方向に実施され得ることを理解するべきである。
【0052】
この実施形態では、プリフォーム30は、3Dインターロック織りを用いてカーボンファイバーから三次元に織られている。プリフォーム30の表面のみがサテンタイプの織物を用いて二次元に織られている。
【0053】
底部端では、織りは、ブレード10の根元21を形成する第1の長手方向セグメント31を作製することによって開始する。
【0054】
この第1の長手方向セグメント31の上方には、第1の自由ストリップ36aと、第2の長手方向セグメント32と、第2の自由ストリップ37aとが、非連結平面38と非連結方法で一体に織られている非連結の第1の区域D1が始まる。そのような非連結を可能にする製織方法は、現在、3D織りの分野において周知である。これらの第1の自由ストリップおよび第2の自由ストリップは、好ましくは、2層または3層の織り糸の厚さ、すなわち約2ミリメートル(mm)または3mmの厚さを有する。非連結のこの第1の区域は、将来の脚柱部に沿って何らかの任意の高さで開始することができる。
【0055】
第2の長手方向セグメント32の上方には、第1の自由ストリップ36aと、第3の自由ストリップ34aと、第3の長手方向セグメント33と、第4の自由ストリップ35aと、第2の自由ストリップ37aの残りの部分とが、連続している非連結の第1の平面38に加えて、非連結の2つの新しい平面39と一体に、非連結方法で一体に織られている非連結の第2の区域D2が始まる。
【0056】
一旦製織が終了すると、第3の自由ストリップ34aおよび第4の自由ストリップ35aが切断されて、ブレード10の吸込側プラットフォーム24を形成することになる第1の横断方向セグメント34と、ブレード10の加圧側プラットフォーム25を形成することになる第2の横断方向セグメント35とが形成される。
【0057】
第1の自由ストリップ36aおよび第2の自由ストリップ37aもまた切断されて、ブレード10の吸込側保持脚26を形成することになる第1の傾斜セグメント36と、ブレード10の保持脚27を形成することになる第2の傾斜セグメント37とが形成される。
【0058】
この時点で、「傾斜」、「横断方向」および「長手方向」という条件は、プリフォームを考慮してセグメントの最終位置に応じて使用され、横断方向セグメントおよび傾斜セグメントは、横断方向または斜め方向に折り畳まれる前に長手方向に必ず織り込まれることを確認すべきである。
【0059】
次に、ブランク30’が湿らされ、軟化されて、ファイバーをレジスタの外に移動させることをより容易くすることができる。次に、ブランク30’が、プリフォーム30に必要な形状と一致する内部空間を有する成形型の中に入れられる。
【0060】
次いで、プリフォーム30が硬化されて、それによって、成形中に与えられる形状を固定する。
図6に示すように、各傾斜セグメント36、37の遠位端は、対応する横断方向セグメント34、35の遠位端に沿って延在する。これらのセグメントの端部は、それらを互いに固定するために一体に縫い付けられてもよい。
【0061】
このように成形されたプリフォーム30は、最終的に、所望の最終ブレード10の寸法を有する射出成形型内に配置される。インサートがまた、横断方向セグメント34、35および傾斜セグメント36、37によって形成されたボックス部分に挿入されて、これらのボックス部分の形状を保持し、マトリックスがそれらの内側容積を満たすことを防止する。次いで、マトリックスは、特にエポキシ樹脂を用いて注入される。そのような注入は、例えば、周知のRTM法によって実施され得る。この圧密化の終わりに、所望のブレード10が得られるように、インサートがボックス部分29から除去される。
【0062】
当然のことながら、上述の製織の例は、当業者が容易に認識する多くの他の可能な例の中の一例に過ぎない。特に、類似のプリフォーム形状を得るために、非連結の他の配置を想像し、交差層、抽出層、または厚さの遷移などの他の製織技術を使用することが可能である。当業者であれば、特に国際公開第2014/076408号パンフレットの中に多数の製織例を見出すであろう。
【0063】
具体的には、変形形態では、第1の自由ストリップ36aおよび第2の自由ストリップ37aは、第1の長手方向セグメントと第2の長手方向セグメントとの間の接合部区域の特定の位置で切断される。そのような状況下では、結果として生じる傾斜セグメント36、37は、実際には、互いから離隔配置される複数のタブから構成されている。
【0064】
図7Aおよび
図7Bは、第2のプリフォーム実施形態130を示す。この第2の実施形態では、プリフォーム130は、吸込側に設けられた1つのみの横断方向セグメント134と、1つのみの傾斜セグメント136を有する。したがって、そのようなプリフォーム130から得られるブレードは、その吸込側に設けられた1つだけのプラットフォームを有する。したがって、このプラットフォームおよびその保持脚部は、ファン内の2つの連続するブレードの間の空間全体を占有するためにより長くなっている。
【0065】
したがって、このプリフォーム130のブランク130’を製織する方法は、長手方向セグメント132および133、ならびにブランク130’を生み出すために、第1の自由ストリップ136aおよび第3の自由ストリップ134aのみが織り込まれることを除いて、第1の実施形態の方法と全く同様である。さらに、これらの自由ストリップ134aおよび136aは、長さがより長い横断方向セグメント134および傾斜セグメント136を提供するために、より大きな高さで切断される。
【0066】
この第2の実施形態では、金属ストリップ141が、横断方向セグメント134とは反対側の第2の長手方向セグメント132と第3の長手方向セグメント133との間の接合部でプリフォーム130にすべてにわたって取り付けられている。マトリックスが注入されている間、この金属ストリップ141は、ブレードの表面に捕捉されて保持され、したがって、隣接するブレードのプラットフォームの遠位端と協働するのに適した界面要素を形成する。
【0067】
本明細書に説明された実施形態または実施は、非限定的な例示として与えられており、当業者は、説明の観点から、これらの実施形態または実施を容易に修正することができ、または本発明の範囲内でありながら、他の実施形態または実施を想定することができる。
【0068】
さらに、これらの実施形態または実施の様々な特徴は、単独で、または互いに組み合わせて使用され得る。それらが組み合わされる場合、特徴は、上述のように、または他の方法で組み合わされてもよく、本発明は、本明細書に説明されている特定の組み合わせに限定されない。特に、反対に特定されない限り、任意の1つの実施形態または実施を参照して説明されている特徴は、他の実施形態または実施に類似の方法で応用され得る。