(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
(実施の形態1)
[1−1.表示装置の全体構成]
まず、本実施の形態に係る表示装置の全体構成について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る表示装置1の全体構成を示す機能ブロック図である。
【0014】
本実施の形態に係る表示装置1は、映像信号に基いて映像を表示する装置である。表示装置1は、
図1に示されるように、機能的には、表示部2と、電源回路3と、データ線駆動回路40と、ゲート駆動回路50と、制御回路60とを備える。
【0015】
表示部2は、各々が発光素子及び当該発光素子を発光駆動するための回路素子を備える複数の画素回路20が行列状に配置された表示パネルである。発光素子は、供給される電流に応じて輝度が変化する。発光素子として、例えば、有機EL素子、マイクロLED素子などを用いることができる。
【0016】
電源回路3は、複数の画素回路20を有する表示パネル(
図1では不図示)に供給する電源電圧を出力する回路である。電源回路3は、表示部2の外周領域に配置された給電線30から各画素回路20に電源電圧を給電する。なお、給電線30は、複数の電源線を含み、複数の電源線は、それぞれ異なる電圧を画素回路20に供給する。本実施の形態では、電源回路3は、一つのICチップで実現される。
【0017】
制御回路60は、入力される映像信号に対応する階調信号を表示パネルに供給する回路である。本実施の形態では、制御回路60は、データ線駆動回路40とゲート駆動回路50とを制御する。制御回路60は、外部から入力された映像信号に基づいて各発光素子の発光輝度に対応する階調信号を生成し、生成した階調信号をデータ線駆動回路40へ出力する。
【0018】
また、制御回路60は、入力される同期信号に基づいてゲート駆動回路50を制御するための制御信号を生成し、当該生成した制御信号をデータ線駆動回路40及びゲート駆動回路50へ出力する。制御回路60は、具体的には、CPU及びタイミングコントローラを備える。制御回路60では、入力された同期信号に基づいて、CPUがタイミングコントローラを制御することにより、タイミングコントローラからデータ線駆動回路40及びゲート駆動回路50へ制御信号を出力する。本実施の形態では、制御回路60は、一つのICチップで実現される。
【0019】
データ線駆動回路40は、制御回路60で生成された階調信号に基づいて、表示部2のデータ線を駆動する。より具体的には、データ線駆動回路40は、映像信号及び水平同期信号に基づいて、各画素回路に映像信号を反映した映像信号電圧(データ電圧)を出力する。
【0020】
ゲート駆動回路50は、制御回路60で生成された制御信号に基づいて、表示部2の走査線などを駆動する。より具体的には、ゲート駆動回路50は、垂直同期信号及び水平同期信号に基づいて、各画素回路に走査信号などを、少なくとも表示ライン単位で出力する。
【0021】
[1−2.画素回路の構成]
続いて、本実施の形態に係る表示装置1の画素回路20について
図2を用いて説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る画素回路20の回路構成の一例を示す回路図である。
【0023】
図2に示されるように、画素回路20は、データ線Dataと、初期化制御線INIと、参照トランジスタ21と、有効化トランジスタ22と、選択トランジスタ23と、保持容量素子24と、駆動トランジスタ25と、発光素子26とを備える。また、
図2に示されるように、画素回路20には、電源線31〜33が接続される。電源線31〜33は、
図1に示される給電線30に含まれる。電源線31、32及び33には、それぞれ電源電圧Vref、Vcc及びVcathが印加される。電源電圧Vref、Vcc及びVcathは、例えば、それぞれ1V、20V及び1V程度とすることができる。
【0024】
データ線Dataは、データ線駆動回路40と、選択トランジスタ23のソース端子とに接続されている。データ線Dataには、データ線駆動回路40からデータ電圧が印加される。
【0025】
初期化制御線INIは、ゲート駆動回路50と、駆動トランジスタ25のドレイン端子とに接続されている。初期化制御線INIには、ゲート駆動回路50から駆動トランジスタ25のドレイン端子を初期化する電圧が入力される。
【0026】
参照トランジスタ21は、保持容量素子24に電源電圧Vrefを印加するためのスイッチングトランジスタである。参照トランジスタ21のドレイン端子及びソース端子の一方に電源線33が接続され、他方に駆動トランジスタ25のゲート端子が接続される。参照トランジスタ21のドレイン端子及びソース端子の一方には、電源線33から電源電圧Vrefが印加される。参照トランジスタ21のゲート端子には、ゲート駆動回路50から参照信号が入力される。本実施の形態では、参照トランジスタ21は、TFT(Thin Film Transistor)からなる。
【0027】
有効化トランジスタ22は、電源線32と駆動トランジスタ25のドレイン端子との導通及び非導通を切り換えるスイッチングトランジスタである。
【0028】
選択トランジスタ23は、ゲート端子にゲート駆動回路50から選択信号が入力されることによって、データ線Dataのデータ電圧を駆動トランジスタ25のゲート端子に供給するタイミングを制御する。本実施の形態では、選択トランジスタ23はTFTからなる。選択トランジスタ23のソース端子は、データ線Dataと接続されており、選択トランジスタ23のドレイン端子は、駆動トランジスタ25のゲート端子及び保持容量素子24の一方の電極に接続されている。
【0029】
保持容量素子24は、駆動トランジスタ25のゲート電圧を維持するための容量素子である。保持容量素子24の一方の電極が駆動トランジスタ25のゲート端子に、他方の電極が駆動トランジスタ25のソース端子及び発光素子26のアノード端子に続されている。保持容量素子24は、例えば、選択トランジスタ23がオフ状態となった後も、オフ状態となる直前における駆動トランジスタ25のゲート電圧を維持し、継続して駆動トランジスタ25から発光素子26へ駆動電流を供給させることが可能である。
【0030】
駆動トランジスタ25は、発光素子26に流れる電流を制御するトランジスタである。本実施の形態では、駆動トランジスタ25はTFTからなる。駆動トランジスタ25は、ゲート端子が選択トランジスタ23を介してデータ線Dataに接続され、ソース端子が発光素子26のアノード端子に接続され、ドレイン端子が有効化トランジスタ22のドレイン端子又はソース端子に接続されている。駆動トランジスタ25は、ゲート端子に供給されたデータ電圧を、当該データ電圧に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流を発光素子26に供給する。
【0031】
発光素子26は、供給される電流に応じて輝度が変化する素子であり、データ電圧に対応する輝度で発光する。本実施の形態では、発光素子26は、有機EL素子である。発光素子26のカソード端子は、電源線31に接続されている。電源線31には、電源電圧Vcathが印加されている。発光素子26のアノード端子は、駆動トランジスタ25のソース端子と、保持容量素子24の他方の電極とに接続されている。
【0032】
また、電源線32から、有効化トランジスタ22及び駆動トランジスタ25を介して発光素子26のアノード端子に電源電圧Vccが印加される。電源線32から発光素子26のカソード端子に電源電圧Vcathが印加される。
【0033】
なお、
図2に示される画素回路20の回路構成において、各回路素子を接続する経路の間に別の回路素子及び配線などが挿入されていてもよい。
【0034】
[1−3.回路基板]
本実施の形態に係る表示装置1が備える回路基板について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る表示装置1の回路基板9の構成を示す概略図である。
図3には、表示装置1の表示面の裏側が示されている。
図4は、本実施の形態に係る回路基板9の拡大図である。
図4は、
図3の破線枠IVの内部の拡大図である。
【0035】
図3に示されるように、本実施の形態に係る表示装置1は、構造的には、回路基板9と、表示パネル12とを備える。
【0036】
表示パネル12は、
図1に示される複数の画素回路20を有する。本実施の形態では、表示パネル12は、
図1に示される表示部2と、データ線駆動回路40と、ゲート駆動回路50とを有する。
【0037】
回路基板9は、複数の画素回路20を有する表示パネル12に電源電圧を供給する基板である。回路基板9は、
図3に示されるように、電源配線板100と、第一配線板110と、第二配線板120と、第一ケーブル150と、第二ケーブル160と、短絡ケーブル140とを備える。本実施の形態では、回路基板9は、さらに、第一接続板131a〜131cと、第二接続板132a〜132cと、第一映像ケーブル191と、第二映像ケーブル192と、第一映像配線板170と、第二映像配線板180と、第一映像接続板133a〜133fと、第二映像接続板134a〜134fとを備える。
【0038】
電源配線板100は、電源電圧を出力する電源回路3と、電源回路3に接続される第一電源配線101及び第二電源配線102とを有する基板である。本実施の形態では、電源配線板100は、プリント回路板で実現され、電源回路3及び制御回路60にそれぞれ対応する二つのICチップが実装されている。また、電源配線板100には、第一ケーブル150、第二ケーブル160、第一映像ケーブル191及び第二映像ケーブル192がそれぞれ接続されるコネクタ105、106、107及び108が実装される。なお、図示しないが、電源配線板100は、制御回路60とコネクタ107及び108とを接続する配線などの他の配線、制御回路60に電力を供給する電源ICなどをさらに有する。
【0039】
電源配線板100は、その長手方向が、表示パネル12の長手方向と平行となるように配置される。なお、ここで、「平行」とは、完全に平行な状態だけでなく、完全に平行な状態と比べて誤差がある状態をも含む。例えば、電源配線板100の長手方向と、表示パネル12の長手方向とがなす角が5度以下程度である状態も「平行」な状態に含まれる。また、本実施の形態では、電源配線板100は、表示パネル12の長手方向における中央付近に配置される。
【0040】
第一配線板110は、電源電圧が印加される第一配線111を有する基板である。本実施の形態では、第一配線板110は、プリント回路板で実現され、コネクタ115及び116が実装される。コネクタ115及び116には、それぞれ、第一ケーブル150及び短絡ケーブル140が接続される。第一配線板110は、第一配線111以外の他の配線がプリントされていてもよい。また、
図4に示されるように、第一配線111が、表示パネル12と接続される点を第一接続点Pc1とする。なお、ここで、第一配線111が表示パネル12に接続されるとは、第一配線111が直接表示パネル12に接続される場合だけでなく、他の導体を介して接続される場合をも含む。
【0041】
第二配線板120は、電源電圧が印加される第二配線121を有する基板である。本実施の形態では、第二配線板120は、プリント回路板で実現され、コネクタ125及び126が実装される。コネクタ125及び126には、それぞれ、第二ケーブル160及び短絡ケーブル140が接続される。第二配線板120は、第二配線121以外の他の配線がプリントされていてもよい。また、
図4に示されるように、第二配線121が、表示パネル12と接続される点を第二接続点Pc2とする。なお、ここで、第二配線121が表示パネル12に接続されるとは、第二配線121が直接表示パネル12に接続される場合だけでなく、他の導体を介して接続される場合をも含む。第二配線板120は、第一配線板110と同様の形状を有し、第二配線121は、第一配線板110の第一配線111と同程度の電気長を有する。
【0042】
第一ケーブル150は、電源配線板100と第一配線板110とを接続するケーブルである。第一ケーブル150は、第一電源配線101と第一配線111とを接続する第一導体151を含む。第一ケーブル150は、第一導体151以外の導体を含んでもよい。第一ケーブル150は、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状のケーブルであってもよい。第一ケーブル150は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)で実現される。
【0043】
第二ケーブル160は、電源配線板100と第二配線板120とを接続するケーブルである。第二ケーブル160は、第二電源配線102と第二配線121とを接続する第二導体161を含む。第二ケーブル160は、第二導体161以外の導体を含んでもよい。本実施の形態では、第二ケーブル160は、複数の芯線の形成する導体を含み、可撓性を有する平板状のケーブルである。第二ケーブル160は、例えば、FFCで実現される。
【0044】
短絡ケーブル140は、第一配線111と第二配線121とを短絡する短絡導体141を含むケーブルである。短絡ケーブル140は、第一配線板110と、第二配線板120とを接続する。このように、第一配線111と第二配線121とを短絡することで、第一配線111に印加される電源電圧と、第二配線121に印加される電源電圧との差を低減できる。なお、ここで、短絡させるとは、二つの導体間の電位差を低減させることを意味し、短絡導体141における抵抗がゼロであることに限定されない。具体的には、短絡導体141の抵抗値が、表示パネル12における第一接続点Pc1と第二接続点Pc2との間の抵抗値より小さければよい。ここで、第一接続点Pc1と第二接続点Pc2との間は、表示パネル12に含まれる給電線30など導体層を介して接続されているが、当該導体層は、膜厚が薄いため、抵抗値が比較的大きい。当該導体層の抵抗成分を
図4において抵抗Rdで等価的に表している。
【0045】
また、短絡導体141は、表示パネル12の外部に配置される。表示パネル12の内部に短絡導体141を配置するためには、表示パネル12の厚さを抑制するために、短絡導体141の厚さが制限されるが、短絡導体141を表示パネル12の外部に配置することで、短絡導体141の寸法の自由度が高まるため、抵抗値の低い短絡導体141を実現できる。
【0046】
第一接続板131a〜131cは、第一配線板110と、表示パネル12とを接続する配線板である。
図4に示されるように、第一接続板131aは、第一配線板110の第一配線111と、表示パネル12とを接続する第一接続配線131a1を含む。第一接続板131a〜131cは、それぞれ、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状の基板であってもよい。第一接続板131a〜131cは、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)で実現される。第一接続板131a〜131cは、第一配線板110及び表示パネル12と、例えば、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film;ACF)などを用いて接続される。
【0047】
第二接続板132a〜132cは、第二配線板120と、表示パネル12とを接続する配線板である。
図4に示されるように、第二接続板132aは、第二配線板120の第二配線121と、表示パネル12とを接続する第二接続配線132a1を含む。第二接続板132a〜132cは、それぞれ、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状の基板であってもよい。第二接続板132a〜132cは、例えば、FPCで実現される。第二接続板132a〜132cは、第二配線板120及び表示パネル12と、例えば、ACFなどを用いて接続される。
【0048】
第一映像ケーブル191は、電源配線板100と第一映像配線板170とを接続するケーブルであって、制御回路60が出力する階調信号が印加される。また、第一映像ケーブル191には、制御回路60が出力する制御信号が印加されてもよい。第一映像ケーブル191は、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状のケーブルであってもよい。第一映像ケーブル191は、例えば、FFCで実現される。
【0049】
第二映像ケーブル192は、電源配線板100と第二映像配線板180とを接続するケーブルであって、制御回路60が出力する階調信号が印加される。また、第二映像ケーブル192には、制御回路60が出力する制御信号が印加されてもよい。第二映像ケーブル192は、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状のケーブルであってもよい。第二映像ケーブル192は、例えば、FFCで実現される。
【0050】
第一映像配線板170は、階調信号が印加される基板である。第一映像配線板170は、制御信号が印加されてもよい。本実施の形態では、第一映像配線板170は、プリント回路板で実現され、コネクタ175が実装される。コネクタ175には、第一映像ケーブル191が接続される。
【0051】
第二映像配線板180は、階調信号が印加される基板である。第二映像配線板180は、制御信号が印加されてもよい。本実施の形態では、第二映像配線板180は、プリント回路板で実現され、コネクタ185が実装される。コネクタ185には、第二映像ケーブル192が接続される。
【0052】
第一映像接続板133a〜133fは、第一映像配線板170と、表示パネル12とを接続する配線板である。第一映像接続板133a〜133fは、それぞれ、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状の基板であってもよい。第一映像接続板133a〜133fは、例えば、FPCで実現される。第一映像接続板133a〜133fは、第一映像配線板170及び表示パネル12と、例えば、ACFなどを用いて接続される。
【0053】
第二映像接続板134a〜134fは、第二映像配線板180と、表示パネル12とを接続する配線板である。第二映像接続板134a〜134fは、それぞれ、複数の芯線を形成する導体を含み、可撓性を有する平板状の基板であってもよい。第二映像接続板134a〜134fは、例えば、FPCで実現される。第二映像接続板134a〜134fは、第二映像配線板180及び表示パネル12と、例えば、ACFなどを用いて接続される。
【0054】
第一配線板110及び第二配線板120は、表示パネル12の長手方向に垂直な方向の一方の端部に配置される。また、第一配線板110及び第二配線板120は、表示パネル12の長手方向に沿って並べて配置される。より詳しくは、第一配線板110及び第二配線板120は、表示パネル12の長手方向の中央を通り長手方向と垂直な面に対して対称な位置に配置される。同様に、第一ケーブル150及び160は、表示パネル12の長手方向の中央を通り長手方向と垂直な面に対して対称な位置に配置される。これにより、第一ケーブル150及び第二ケーブル160の長さを左右で均等にすることができる。
【0055】
第一映像配線板170及び第二映像配線板180は、表示パネル12の長手方向に垂直な方向の他方の端部に配置される。また、第一映像配線板170及び第二映像配線板180は、表示パネル12の長手方向に沿って並べて配置される。より詳しくは、第一映像配線板170及び第二映像配線板180は、表示パネル12の長手方向の中央に対して対称な位置に配置される。
【0056】
[1−4.作用]
本実施の形態に係る回路基板9の作用について説明する。
【0057】
まず、電源配線板100の詳細な構成について説明する。
【0058】
電源配線板100は、上述のとおり電源回路3と制御回路60とを有する。ここで、制御回路60は、階調信号をデータ線駆動回路40に出力する。階調信号は、画質に対する影響が大きく、かつ、短期間で変動し得る信号であるため、制御回路60から第一映像配線板170及び第二映像配線板180までの距離を極力短くする必要がある。そこで、制御回路60は、表示パネル12の長手方向における中央付近、つまり、第一映像配線板170及び第二映像配線板180から等距離の位置に配置される。本実施の形態のように、電源配線板100が表示パネル12の長手方向における中央付近に配置される場合には、制御回路60は、電源配線板100の長手方向における中央付近に配置される。
【0059】
この制御回路60の周辺には、制御回路60に電力を供給する電源ICなどが配置される。また、制御回路60は、電源回路3からのノイズの影響を受け得るため、電源回路3は、制御回路60から離隔して配置される。したがって、電源回路3は、電源配線板100の長手方向において、電源配線板100の中央からずれた位置に配置される。より詳しくは、電源回路3は、電源配線板100の長手方向において、制御回路60より電源配線板100の中央からずれた位置に配置される。上述のとおり、本実施の形態では、電源配線板100は、表示パネル12の長手方向の中央付近に配置されるため、電源回路3は、表示パネル12の長手方向において、表示パネル12の長手方向の中央からずれた位置に配置される。
【0060】
なお、電源配線板100の、
図3の上下方向の寸法を拡大することで、電源回路3を表示パネル12の長手方向における中央付近に配置することも可能であるが、この場合、電源配線板100の寸法が大きくなり、回路基板9の大型化及び高コスト化を招く。また、電源配線板100を
図3の上下方向に長尺状の形状とすることも考えられるが、この場合、直線状の第一ケーブル150及び第二ケーブル160では、電源配線板100と第一配線板110及び第二配線板120とを接続しにくくなる。このため、第一ケーブル150及び第二ケーブル160を湾曲させることが必要となり、製造工程の複雑化及び高コスト化を招く。したがって、電源回路3は、表示パネル12の長手方向において、表示パネル12の長手方向の中央からずれた位置に配置される。
【0061】
第一ケーブル150及び第二ケーブル160は、電源配線板100の長手方向の中央を通り当該長手方向に垂直な平面に対して対称な位置に配置される。したがって、電源配線板100の長手方向において、電源配線板100の中央からずれた位置に配置された電源回路3から第一ケーブル150及び第二ケーブル160までの距離は、互いに異なる。このため、電源配線板100の第一電源配線101及び第二電源配線の長さは互いに異なる。本実施の形態では、第一電源配線101の電気長は、第二電源配線102の電気長より短い。
【0062】
また、上述のとおり、本実施の形態では、電源配線板100は、表示パネル12の長手方向の中央付近に配置されるため、第一ケーブル150及び第二ケーブル160は、表示パネル12の長手方向の中央を通り当該長手方向に垂直な平面に対して、対称な位置に配置される。また、第一ケーブル150は、第二ケーブル160と同程度の長さを有する。また、上述のとおり、第一配線板110の第一配線111の電気長は、第二配線板120の第二配線121の電気長と同程度である。
【0063】
以上のように、第一電源配線101と第一導体151とを含む電源回路3から第一配線板110まで経路の電気長は、第二電源配線102と第二導体161とを含む電源回路3から第二配線板120まで経路の電気長より短い。
【0064】
このように、電源回路3から第一配線板110まで経路の電気長が、電源回路3から第二配線板120まで経路の電気長より短いことに起因する問題について、比較例を用いて説明する。
【0065】
図5及び
図6は、それぞれ比較例の表示装置1001及び本実施の形態に係る表示装置1の表示部2の輝度分布を示す模式図である。比較例の表示装置1001は、短絡ケーブル140を備えない点において、実施の形態1に係る表示装置1と相違し、その他の点において一致する。比較例の表示装置1001では、電源回路3から第一配線板110まで経路の電気長が、電源回路3から第二配線板120まで経路の電気長より短いことに起因して、電源回路3から第一接続点Pc1までの経路における電圧降下量が、電源回路3から第二接続点Pc2までの経路における電圧降下量より小さくなる。このため、第一接続点Pc1において供給される電圧の方が、第二接続点Pc2において供給される電圧より高くなる。このため、
図5に示されるように、表示部2の第一接続点Pc1側と第二接続点Pc2側とで、輝度が異なる。言い換えると、表示部2における輝度不均一化が発生する。なお、上述したように、第一接続点Pc1と第二接続点Pc2とは、表示パネル12内の給電線30によって電気的に接続されるが、給電線30の抵抗が大きいため、第一接続点Pc1と第二接続点Pc2との電位を等しくすることはできない。また、給電線30の抵抗値を低減する方法が考えれらえる。ただし、この場合、給電線30の断面積を拡大する必要があるため、表示装置1の額縁部(
図5に示される表示装置1の表示部2の外側部)が拡大される。
【0066】
一方、本実施の形態に係る表示装置1では、第一配線111と第二配線121とが短絡導体141によって短絡されているため、第一配線111と第二配線121との間の電位差が低減される。これに伴い、第一配線111が接続される第一接続点Pc1と、第二配線121が接続される第二接続点Pc2との間の電位差が低減される。これにより、
図6に示されるように、比較例の表示装置1001で見られるような表示部2における輝度不均一化を低減できる。
【0067】
なお、以上では、電源回路3が供給する一つの電源電圧だけに着目して説明したが、電源回路3が供給する電源電圧は二つ以上でもよい。表示パネル12に供給される二つ以上の電源電圧をそれぞれ均一化するために、回路基板9は、二つ以上の短絡導体141を備えてもよい。
【0068】
[1−5.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る回路基板9は、複数の画素回路20を有する表示パネル12に電源電圧を供給する。複数の画素回路20の各々は、供給される電流に応じて輝度が変化する発光素子26を有する。回路基板9は、電源電圧を出力する電源回路3と、電源回路3に接続される第一電源配線101及び第二電源配線102とを有する電源配線板100と、第一配線111を有する第一配線板110と、第二配線121を有する第二配線板120とを備える。回路基板9は、さらに、電源配線板100と第一配線板110とを接続する第一ケーブル150であって、第一電源配線101と第一配線111とを接続する第一導体151を含む第一ケーブル150と、電源配線板100と第二配線板120とを接続する第二ケーブル160であって、第二電源配線102と第二配線121とを接続する第二導体161を含む第二ケーブル160と、第一配線111と第二配線121とを短絡する短絡導体141とを備える。第一電源配線101と第一導体151とを含む電源回路3から第一配線板110までの経路の電気長は、第二電源配線102と第二導体161とを含む電源回路3から第二配線板120までの経路の電気長より短い。
【0069】
これにより、電源回路3から第一配線板110までの経路の電気長が、電源回路3から第二配線板120までの経路の電気長より短い場合にも、各経路における電圧降下量の差に起因する第一配線111と第二配線121との電位差を低減できる。したがって、第一配線111と第二配線121との電位差に起因する表示パネル12の輝度不均一化を低減できる。
【0070】
また、本実施の形態に係る回路基板9において、電源回路3は、電源配線板100の長手方向において、電源配線板100の中央からずれた位置に配置されてもよい。
【0071】
また、本実施の形態に係る回路基板9において、電源配線板100は、入力される映像信号に対応する階調信号を表示パネル12に供給する制御回路60を有し、電源回路3は、電源配線板100の長手方向において、制御回路60より電源配線板100の中央からずれた位置に配置されてもよい。
【0072】
また、本実施の形態に係る回路基板9において、短絡導体141は、表示パネル12の外部に配置されてもよい。
【0073】
このように、短絡導体141を表示パネル12の外部に配置することで、短絡導体141の寸法の自由度が高まるため、抵抗値の低い短絡導体141を実現できる。
【0074】
また、本実施の形態に係る回路基板9において、第一配線111及び第二配線121は、それぞれ表示パネル12の第一接続点Pc1及び第二接続点Pc2に接続され、短絡導体141の抵抗値は、表示パネル12における第一接続点Pc1と第二接続点Pc2との間の抵抗値より小さくてもよい。
【0075】
このように、短絡導体141の抵抗値を、表示パネル12における第一接続点Pc1と第二接続点Pc2との間の抵抗値より小さくすることで、第一配線111と第二配線121との間の電位差を確実に低減できる。したがって、第一配線111と第二配線121との電位差に起因する表示パネル12の輝度不均一化を確実に低減できる。
【0076】
また、本実施の形態に係る表示装置1は、回路基板9と、表示パネル12とを備える。
【0077】
これにより、電源回路3から第一配線板110までの経路の電気長が、電源回路3から第二配線板120までの経路の電気長より短い場合にも、各経路における電圧降下量の差に起因する第一配線111と第二配線121との電位差を低減できる。したがって、第一配線111と第二配線121との電位差に起因する表示パネル12の輝度不均一化を低減できる。
【0078】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る回路基板及び表示装置について説明する。本実施の形態に係る回路基板は、第一配線板及び第二配線板の構成において、実施の形態1に係る回路基板9と相違し、その他の構成において一致する。以下の本実施の形態に係る回路基板及び表示装置について
図7を用いて説明する。
【0079】
図7は、本実施の形態に係る表示装置201の回路基板209の構成を示す概略図である。
図7には、表示装置201の表示面の裏側が示されている。
図7に示されるように、本実施の形態に係る表示装置201は、回路基板209と、表示パネル12とを備える。
【0080】
回路基板209は、実施の形態1に係る回路基板9と同様に、電源配線板100と、第一配線板210と、第二配線板220と、第一ケーブル150と、第二ケーブル160と、短絡ケーブル140とを備える。本実施の形態では、回路基板209は、さらに、第一映像ケーブル191と、第二映像ケーブル192と、第一映像配線板170と、第二映像配線板180と、第一映像接続板133a〜133fと、第二映像接続板134a〜134fとを備える。
【0081】
本実施の形態に係る第一配線板210は、実施の形態1に係る第一配線板110と同様に、電源電圧が印加される第一配線211を有する基板である。本実施の形態では、第一配線板210は、可撓性を有する平板状の基板であり、実施の形態1に係る第一接続板などを介さず、直接表示パネル12に接続される。第一配線板210は、例えば、FPCで実現される。また、第一配線板210は、第一ケーブル150、短絡ケーブル140及び表示パネル12と、それぞれACFなどを用いて接続されてもよい。
【0082】
本実施の形態に係る第二配線板220は、実施の形態1に係る第二配線板120と同様に、電源電圧が印加される第二配線221を有する基板である。本実施の形態では、第二配線板220は、可撓性を有する平板状の基板であり、実施の形態1に係る第二接続板などを介さず、直接表示パネル12に接続される。第二配線板220は、例えば、FPCで実現される。また、第二配線板220は、第二ケーブル160、短絡ケーブル140及び表示パネル12と、それぞれACFなどを用いて接続されてもよい。
【0083】
本実施の形態に係る回路基板209は、上述したような第一配線板210及び第二配線板220を備えることにより、構成を簡素化することができるため、薄く、かつ、形状の自由度が高い回路基板209、及び、表示装置201を実現できる。
【0084】
(他の実施の形態)
以上、本開示に係る回路基板などについて、実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示に係る回路基板などは、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本実施の形態に係る表示装置を内蔵した各種機器も本開示に含まれる。
【0085】
例えば、上記各実施の形態では、制御回路60は、データ線駆動回路40及びゲート駆動回路50を駆動するが、データ線駆動回路40だけを駆動してもよい。この場合、他の回路によってゲート駆動回路50を駆動してもよい。
【0086】
また、例えば、上記各実施の形態に係る表示装置は、
図8に示されるような薄型フラットTV300に内蔵される。上記各実施の形態に係る表示装置により、輝度不均一化が低減された薄型フラットTVを実現できる。
【0087】
また、上記各実施の形態では、回路基板は、第一配線板及び第二配線板を備えるが、電源電圧を表示パネル12に供給する配線板の個数は、二つに限定されず、三つ以上でもよい。配線板の個数が三つ以上である場合には、回路基板は、二つの配線板の各々に含まれる配線を短絡する短絡導体を備える。したがって、回路基板は、二つ以上の短絡導体を備える。また、この場合、回路基板は、電源配線板100と、各配線板とを接続する三つ以上のケーブルを備えてもよい。
【0088】
また、上記各実施の形態では、短絡導体141は、短絡ケーブル140に含まれたが、短絡導体141は、短絡ケーブル140に含まれなくてもよい。例えば、短絡導体として、板状の導体などが用いられてもよい。
【0089】
また、上記各実施の形態では、第一配線板及び第二配線板は、表示パネル12の上端に配置されるが、表示パネル12の下端に配置されてもよい。また、上記各実施の形態では、第一映像配線板170及び第二映像配線板180は、表示パネル12の下端に配置されるが、表示パネル12の上端に配置されてもよい。