【実施例】
【0136】
実施例
実施例1:製剤
A.インスリン製剤の組成物
表1Aは、1つもしくは複数の実施形態に従う組成物の実施例を提示する。より具体的には、本組成物は、インスリン製剤である。インスリンはDiosynth Biotechnologyから、オクタン酸ナトリウムおよびNaOHはMerckから、MgCl
2、MC400、Span40、レクチンおよびヒマシ油は、Spectrumから、PVP−12はBASFから、イソ吉草酸エチルはMerck/Sigmaから、トリブチル酸グリセリルはAcros/Pentaから、およびモノオレイン酸グリセロールはAbitec Corp.から入手した。
【0137】
【表1A】
B.ロイプロリド製剤:表1Bは、1つもしくは複数の実施形態に従うAPI(原薬)の組成物の実施例を提示する。より具体的には、本組成物は、ロイプロリド製剤である。
【0138】
【表1B】
C.減少量の疎水性媒体を有する製剤(50%の疎水性媒体)
表1Cは、1つもしくは複数の実施形態に従う、APIの組成物の実施例を提示する。より具体的には、本組成物は、デキストランの製剤(FD4)である。FD4は、4.4kDaのMW(Sigma,FD4)を伴うFITC標識デキストランであり、これは、特に明記されない限り、実施例全体で使用されるデキストランである。この特定製剤は、GTBの代わりにココナッツ油(Sigma)を含有する。
【0139】
【表1C】
上記製剤は多様な治療薬剤に使用され、以下に記載される動物モデルにおいて、カーゴ化合物に良好なバイオアベイラビリティをもたらす。治療薬剤の正味量は、これらの製剤のどの製剤においても適切なように異なり得、製剤中に多少の変異があり得ることに留意されたい。例えば、NaOHは常に使用されるわけではなく、ココナッツ油をトリブチル酸グリセリルの代わりに使用してもよく、MgCl
2が常に使用されるわけではなく(例えば、hGHを用いる場合は使用されない)、すべての成分は、明細書において上述のとおり置換され得る。
【0140】
実施例2:インスリン製剤生成の概略表示
図1は、1つもしくは複数の実施形態に従って、組成物を生成する方法を説明する。例えば、本方法を実施して、実施例1において上述される組成物を形成することができる。
【0141】
実施例3:オクタン酸ナトリウムおよび疎水性媒体を含有する固形粒子の組み合わせが透過活性に重要である。
【0142】
図2は、ラットに対する直腸投与後の血清インスリンに関連するデータを提示する。ラットに麻酔をかけ、328μg/ラット(9IU/ラット)のインスリン用量を含有する、100μLのバルク薬剤製剤を投与した。投与から0、3、6、10、15、25、30、40、60、および90分後に血液試料を採取し、ラットインスリンとヒトインスリンとの間の交差反応性を有しない免疫検定キットによって、ヒトインスリンを決定するために血清を調製した。
【0143】
データは、平均±SD、n=5として提示する。
図2の左パネルは、オクタン酸ナトリウム(Na−C8)または水に懸濁させた固形親水性画分(水中の固形粒子)を伴う、ヒトインスリンの投与に関する。
図2の右パネルは、完全インスリン製剤(疎水性媒体中の固形粒子)の投与に関する。以下の表2は、濃度対時間曲線から計算したAUC値の要約を提示する。
【0144】
【表2】
インスリン−SCDの直腸投与後のインスリンに対する平均暴露(AUC値によって表される)は、疎水性媒体なしに投与した後の暴露よりも約50倍高かった。オクタン酸ナトリウム単独とともに、または水中に懸濁させた親水性画分の固形粒子(実施例1に一覧表示)の一部としてインスリンを投与したラットにおいて、最小暴露が検出された。これらのデータは、固形オクタン酸ナトリウムと疎水性媒体との間の相乗効果を証明する。
【0145】
実施例4:ラットに対するインスリンのGI投与後のインスリンの腸吸収
図3は、ラットに対するインスリン溶液および製剤中のインスリンの直腸投与後の血清インスリン値および血中グルコース値に関連するデータを提示する。ラットに麻酔をかけ、328μg/ラット(9IU/ラット)のインスリン用量を含有する100μLの試験物質(製剤中のインスリンまたはPBS中のインスリン)を投与した。投与から0、3、6、10、15、25、30、40、60、および90分後に血液試料を採取した。グルコメータを用いてグルコース値を即時に決定し、ラットインスリンとヒトインスリンとの間の交差反応性のない免疫検定キットによって、ヒトインスリンを決定するために血清を調製した。
【0146】
グルコース値は、投与前(時間0)に測定した基本レベルからのパーセンテージとして提示される。
図3のデータは、平均±SD、n=5として提示される。
【0147】
PBSに溶解したヒトインスリン(インスリン溶液)、または製剤に組み込まれたヒトインスリンの直腸投与後のインスリン(
図3の左パネル)およびグルコース(
図3の右パネル)のレベルを提示する。インスリンレベルは、製剤中のインスリンの直腸投与後のラット血清において急激に上昇した。最大レベルは、投与後6分以内に測定され、投与後約90分に基本レベルに到達するまで、漸減が検出された。このインスリンの急激かつ有意な上昇は、グルコースレベルの有意な減少によって達成され、投与後30分において、既に初期レベルの平均20%に到達した。対照的に、PBS中のインスリンの直腸投与は、ごくわずかなグルコース減少をもたらしたに過ぎず、PBS対照単独で処置した後に認められたものと同一である。
【0148】
実施例5:ラットに対する製剤中のインスリンの直腸投与後のインスリン吸収
図4は、インスリン溶液のSC(皮下)投与(20μg/ラット)および製剤中のインスリンの直腸投与(328μg/ラット)後の血中グルコースおよび血清インスリン濃度の変化に関連するデータを提示する。直腸投与から0、3、6、10、15、25、30、40、60、および90分後、SC投与から0、15、30、45、60、90分後、2、3、および4時間後に血液試料を採取した。グルコメータを用いてグルコース、および免疫検定キットによってインスリンを即時に決定した。グルコースレベルは、投与前(時間0)に測定した基本レベルからのパーセンテージとして提示される。
図4のデータは、平均±SD、n=5として提示される。
【0149】
製剤中のインスリン投与後のラット結腸からのインスリン吸収のレベルを、SC投与後に吸収されるインスリンのレベルと比較した。インスリン暴露は、血清濃度対時間曲線(AUC)下の領域から計算し、活性は、以下の等式に従って、相対バイオアベイラビリティ(rBA)として計算した。
【0150】
rBA=(直腸AUC
(0−∞)/SC AUC
(0−∞))*(SC用量/直腸用量)
血流へのインスリン浸透は、わずかな時間中、一般に、製剤中のインスリンの直腸投与から約10分以内に発生した。血清インスリンレベルは、血中グルコースレベルの低下と平行して上昇する。
【0151】
製剤インスリンが結腸の中に提示される場合に、インスリンバイオアベイラビリティに関する情報を得るために、AUC
(0−∞)を直腸およびSC投与に対して決定し、ヒトインスリンのrBA値は、変異係数(CV)=11.4%を伴って29.4±3.4%であった。
【0152】
様々なインスリン含有製剤の直腸投与を数百匹の動物に対して実行した。この検定をさらに開発し、バイオアッセイとして適格とし、プラットフォームの開発およびバッチ開放試験を、線状範囲の10〜200μg/ラット、39%の再現性および33%の中間精度で支援した。
【0153】
合計25匹のラットを使用し、5つの異なる研究において、本明細書に記載されるインスリン製剤を試験した。rBAは、28.9%のCVを伴って34.1±12.6%であった。
【0154】
実施例6:ラットに対する製剤中のインスリンの空腸内投与後のインスリン吸収
本発明の経口投与プラットフォームの吸収標的部位は、一般に小腸である。ラット腸におけるインスリン製剤の活性を試験するために、2つの主要な課題に対処した。1.ラット用の腸溶コーティングしたカプセルは入手できないため、直接空腸内投与を可能にする胃バイパスが必要である。2.インスリンは、肝臓によって広範に代謝され、ヒトにおいて、膵臓β細胞によって分泌される、内因性インスリンの50〜80%は、肝臓によって隔離されるため、全身の血液循環に検出することはできない。腸内血流は、肝臓に直接つながる門静脈に流れ込まれるため、腸経路を介して(インスリン製剤によって)投与されるインスリンは、インスリンの内因性経路を模倣する。したがって、インスリン吸収を決定するために、血液試料を門静脈(肝臓の前、門脈循環)ならびに頸静脈(肝臓後、全身循環)から採取する必要がある。
【0155】
3つの異なるカニューレを麻酔したラットに外科的に移植する、専用のラットモデルを開発した。1.空腸カニューレ−胃バイパスは、インスリン製剤の投与を可能にする。2.門静脈カニューレ−肝臓前の血液試料は、GI壁を通過して血液に入るインスリンを決定する。3.頸静脈カニューレ−インスリンの全身レベルを決定する。このモデルを使用して、製剤中のインスリンのバイオアベイラビリティ(rBA)を決定した。
【0156】
図5は、インスリン対照およびインスリン製剤をラットに空腸内投与した後の門脈循環および全身循環におけるインスリンレベルに関連する代表的な研究から得たデータを提示する。ラット(8匹のラット/群)に麻酔をかけ、それらの空腸を腹部手術によって暴露した。腸ループを含有する空腸をガーゼ上に置き、水分を保持し、研究全体を通して完全に無傷に維持した。一時カニューレを空腸に挿入し、製剤化したインスリンを投与した。門静脈および頸静脈の両方から同一時点において、ラット一匹当たり約4つの時点で血液を採取した。各時点の平均±SD値を使用して、血漿濃度対時間曲線を形成した。AUCを決定し、rBAを計算した。
【0157】
門脈循環および全身循環の両方におけるインスリン値は、製剤中のインスリンの空腸内投与後に劇的に上昇した。これは、インスリン対照を投与した場合に検出された最小インスリン吸収とは反対である。吸収の時間範囲は短く、インスリンレベルは6分でピークに達した。このプロファイルは、製剤化したインスリンの直腸投与後に見られるものに類似する(上記を参照)。全身循環と比較して、門脈において高いインスリン値が検出され、それぞれ5.6%と比較して、rBAは10.1%であった。
【0158】
実施例7:様々なカーゴ化合物を含む追加製剤
表3Aは、以下の実施例に記載のとおり調製した一連のデキストラン製剤の化合物について詳述する。カプリル酸ナトリウムは、Fluka/Sigmaから、オリーブ油はFlukaから、オクタン酸はSigmaから、鉱物油はAcrosから入手した。
【0159】
【表3A】
表3Bは、以下の実施例に記載のとおり調製した、一連の酢酸テリパラチドおよびロイプロリド製剤の成分を詳述する。テリパラチドは、Novetideから入手し、ロイプロリドはBambioから入手した。
【0160】
【表3B】
表3Cは、以下の実施例で説明されるように調製したhGH製剤の成分を詳述する。hGHはPLR,Israelから入手した(GHP−24)。
【0161】
【表3C】
これらの上記製剤のすべての生成プロセスは、本質的に、
図1および実施例11に記載のとおりである。
【0162】
実施例8:製剤中に組み込まれるオクタン酸ナトリウムの用量の製剤活性に及ぼす影響
カーゴ化合物としてデキストラン(平均MW=4.4kDa、FITC標識)、および異なる用量のNa−Cを含有する製剤、つまり、表3Aの製剤A(12重量%のオクタン酸ナトリウムを含有する)およびそれぞれ異なるNa−C8用量(9%、6%、および3%)を含有する類似デキストラン製剤を使用して、製剤の活性に対する製剤中のオクタン酸ナトリウム(Na−C8)量の増加の影響を試験した。
【0163】
無麻酔ラットの空腸におけるこれらの製剤の活性を試験するために、ラットモデルを確立し、雄のSprague−Dowleyラットにおいて、以下の2つの異なるカニューレを外科的に移植する。
【0164】
1−胃をバイパスし、空腸への直接製剤投与を可能にするための空腸カニューレ
2−空腸投与に続いて投与されるデキストランの全身レベルを決定するための頸静脈カニューレ
研究前に4日間ラットを回復させ、研究の開始前18時間断食させた。
【0165】
図6は、異なる量のNa−C8または生理食塩水にNa−C8とともに溶解したFITC標識デキストラン(対照)を含有する製剤の空腸内投与後の無麻酔ラットにおいて、FITC標識デキストラン(4.4kDa)バイオアベイラビリティを決定する、研究からのデータを提示する。
【0166】
異なる製剤を無麻酔ラットの空腸に直接投与し、投与から3、6、10、25、60、および90分後に血漿デキストラン値を測定することによって、異なるデキストラン製剤および対照のバイオアベイラビリティを評価した。製剤または生理食塩水中のデキストランの投与後の血漿デキストラン値を、静脈投与後の血漿デキストラン値と比較した。暴露値、AUC(0〜90)を空腸投与および静脈内投与に対して決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)を以下の等式に従って計算した。
【0167】
aBA=(空腸AUC(0〜90))/(静脈内AUC(0〜90))*(静脈内用量/空腸用量)。データは平均±SDとして提示した(n
>5ラット/群)。
【0168】
結果は、製剤中に組み込まれたNa−C8の量を増加させることが、用量反応様式で、デキストランのバイオアベイラビリティを向上させ、12%(w/w)用量でほぼ30%に到達する。類似用量でNa−C8とともに投与され、生理食塩水中に懸濁されたデキストラン(すなわち、非製剤)は、はるかに低いバイオアベイラビリティ(−6%aBA)を示した。さらなる用量反応結果を実施例26に示す。
【0169】
実施例9:親水性画分/疎水性媒体の比率が製剤活性に及ぼす影響
デキストランを含有する製剤(平均MW=4.4kDa、FITC標識)をカーゴとして使用し、親水性画分と疎水性媒体との間の比率(重量/重量)を変更することの、製剤活性に及ぼす影響を試験した(表3Aの製剤AおよびB)。説明される製剤の活性を比較するために、実施例8に説明される生体内無麻酔ラットモデルを使用した。
【0170】
表4は、異なる比率の親水性画分および疎水性媒体を含む製剤の空腸内投与後のバイオアベイラビリティデータを提示する。
【0171】
【表4】
製剤AおよびBを、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストラン値を測定した。製剤中のデキストランの投与後のラット空腸からのデキストラン吸収レベルを、静脈内投与後に吸収されるデキストランのレベルと比較した。暴露値、AUC(0〜90)を空腸投与および静脈内投与に対して決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=空腸AUC(0〜90))/(静脈内AUC(0〜90))*(静脈内用量/空腸用量)に従って決定した。データは、平均±SDとして提示する(n
>5ラット/群)。
【0172】
結果は、低重量%の治療薬剤を有するこれらの製剤中の親水性画分と疎水性媒体との間の比率を変更することが、カーゴのバイオアベイラビリティに及ぼす有意な影響はなく、これは追加製剤を考案する際に、負荷の可撓性をもたらす。
【0173】
実施例10:異なるカーゴ化合物を含有する製剤の活性
製剤プラットフォームの能力を試験するために、3つの異なる動物モデル(無麻酔ラットに対する空腸投与、麻酔ラットに対する直腸投与、および無麻酔ブタに対する空腸投与)において、3つの異なるカーゴ化合物(API)を含有する製剤の活性を試験した。表5は、上述した3つの異なる動物モデルにおいて、異なるAPIを含有する製剤のバイオアベイラビリティを試験する、代表的な実験の結果をまとめたものである。
【0174】
【表5】
A.ラットへの製剤中のロイプロリドの空腸投与後のロイプロリド吸収
表5−IIIは、実施例8に前述のとおり、無麻酔ラットへのロイプロリド溶液(75μg/Kg)のIV(静脈内)投与および製剤中のロイプロリド(450μg/Kg、製剤K、表3B)の空腸投与後の、ロイプロリド%aBAに関連する代表的な研究から得たデータを提示する。
【0175】
空腸投与から3、6、10、15、25、40、60、および90分後、静脈内投与後3、10、25、40、90分後、2、3.3、および5時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてロイプロリド値を決定した。全身循環するロイプロリドレベルは、製剤中のロイプロリドの空腸投与後に劇的に上昇した。ロイプロリド血液レベルは、投与後3分でピークに達した。製剤中のロイプロリドの空腸投与後に達成される平均aBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、10.1%であった。対照実験において、PBS中のロイプロリドの空腸投与は、血流へのわずかな浸透を示した。
【0176】
表1Bに説明されるように12%オクタン酸ナトリウムを含有する類似ロイプロリド製剤を調製し、上記モデルにおいて試験したところ、以下のようなバイオアベイラビリティが示された。
【0177】
rBA(SCと比較)=21.1%±12.0(CV=57%)
B.ラットへの製剤中のテリパラチドの空腸投与後のテリパラチド吸収
表5−Iは、実施例8に前述のとおり、無麻酔ラットへのテリパラチド溶液(85μg/製剤)のSC(皮下)投与および製剤中のテリパラチド(550μg/Kg、製剤I、表3B)の空腸投与後の、血漿テリパラチド濃度−時間プロファイルに関連する代表的な研究から得たデータを提示する。空腸投与から3、6、10、25、60、および90分後、SC投与から3、10、30、60、90分後、2および3時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてテリパラチドのレベルを決定した。全身循環するテリパラチドレベルは、製剤中のテリパラチドの空腸投与後に劇的に上昇した。テリパラチドレベルは、投与後3分でピークに達した。製剤中のテリパラチドの空腸投与後に達成される平均rBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、14.0%であった。対照実験において、生理食塩水中のテリパラチドの空腸投与は、血流への浸透を示さなかった。
【0178】
C.ブタに対する製剤中のテリパラチドの空腸投与後のテリパラチド吸収
表5−IIは、無麻酔ラットへのてテリパラチド溶液(10.65μg/Kg)のSC投与および製剤中のテリパラチド(100μg/Kg、製剤I、表3B)の空腸投与後の、血漿テリパラチド濃度−時間プロファイルに関連する、代表的な研究からから得たデータを提示する。
【0179】
ブタモデルを確立し、以下の2つの異なるカニューレを、雌の家畜ブタに外科的に永久移植した。
【0180】
1−胃をバイパスし、空腸への直接製剤投与を可能にするための空腸カニューレ
2−空腸投与に続いて投与されるカーゴの全身レベルを決定するための頸静脈カテーテル法
実験前に7日間ブタを回復させ、実験開始前に18〜20時間断食させた。
【0181】
空腸投与から0、3、6、10、15、25、40、60、90分後、および2、2.5および3時間後、SC投与から0、3、6、10、15、20、30、45、60、90分後、2、2.5、3および4時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてテリパラチドのレベルを決定した。全身循環するテリパラチドレベルは、製剤中のテリパラチドの空腸投与後に劇的に上昇した。テリパラチドレベルは、投与後10分でピークに達した。製剤中のテリパラチドの空腸投与後に達成される平均rBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、15.0%であった。
【0182】
デキストラン(FD4、表3Aの製剤A)を使用して、類似するブタ実験を行い、デキストランの平均バイオアベイラビリティは、IVと比較して、ブタにおいて20%であったと決定された。
【0183】
D.ラットに対する製剤中のhGHの直腸投与後のhGH吸収 表5−IVは、麻酔ラットへの、hGH溶液(81μg/Kg)のSC投与および製剤中のhGH(800μg/Kg、製剤P、表3C)の直腸投与後の、血漿hGH濃度−時間プロファイルに関連する、代表的な研究からから得たデータを提示する。
【0184】
雄のSprague−Dowleyラットを、実験の開始前に18時間断食させた。ケタミン:キシラジンの溶液によって、ラットを麻酔にかけた。14Gベンフロンを使用して、製剤(100μL/ラット)を直腸的に投与した。直腸投与から3、6、10、15、40、60、および90分後、SC投与から15、30、45、60、90分後、2、3および4時間後に、頸静脈から血液試料を採取し、血漿を調製し、各試料においてhGH値を決定した。全身循環するhGHレベルは、製剤中のhGHの直腸投与後に劇的に上昇した。hGHレベルは、投与後15分でピークに達した。製剤中のhGHの直腸投与後に達成された平均rBAを、上記実施例に記載のとおり計算したところ、17.9%であった。別の実験において、hGHを空腸に投与したところ、aBAは低かった。対照実験において、PBS中のhGHの直腸投与は、血流への浸透を示さなかった。
【0185】
したがって、表5に提示される結果は、試験したすべての動物モデルにおいて試験したすべてのカーゴ化合物に対して、実質的な暴露が得られたことを証明する。
【0186】
上記結果は、本明細書に記載の製剤が、異なる動物モデルにおいて、腸上皮を通して、広範囲の異なるマクロ分子を送達できることを証明する。
【0187】
実施例11:テリパラチド製剤の詳細な生成プロセス
親水性画分の生成:200mLの水に、以下の成分:172mgのテリパラチド、200mgのMgCl
2、4.0gのPVP−12、17.52gのオクタン酸ナトリウム、および1gのMC−400粉末を、50mLの水に60±2℃で混合しながら添加して調製した10.0gの2%MC−400水溶液を1つずつ徐々に添加した(各成分の添加中に2〜3分混合)。5分間の混合後、透明な溶液が得られるまでビーカーを氷に移した。
【0188】
MC−400溶液を添加した後、この溶液をさらに5分間混合し、次に、約24時間凍結乾燥させた。この手順は、約22gの親水性画分を生成した。
【0189】
疎水性媒体の生成:2gのSpan40、4gのレシチン、および3.8gのGMOを、混合しながら17.3gのイソ吉草酸エチルに添加した。この溶液に、39.1gのGTBおよび72.6gのヒマシ油を添加した。この手順は、約136〜138gの疎水性媒体を生成した。
【0190】
バルク薬剤製品の生成:親水性画分および疎水性媒体の混合は、20±2℃で行った。
【0191】
15.7gの親水性画分を、混合しながら84.3gの疎水性媒体に600±50RPMで徐々に添加した。すべての親水性画分の添加後、混合速度を2〜10間、2000±200RPMに高めた後、15分間600±50RPMで4〜8サイクル混合し、2分間2000±200RPMで混合した。
【0192】
次に、真空による脱気を以下のとおり適用した。600mBarで5分、500mBarで5分、および400mBarで30〜120分。得られる懸濁液を100mLダークボトルに注ぎ、2〜8℃で保管した。これは、表3Bに記載される「I」と指定された、テリパラチド製剤である。
【0193】
本明細書に記載されるすべての他の製剤は、関連する表に示された詳細に従って、成分および量を変えることによって、この方法で生成した(例えば、実施例29を参照)。(インスリンをカーゴとして用いる)本方法の図は、
図1に示される。
【0194】
実施例12:製剤中に組み込まれた油の製剤活性に及ぼす影響
製剤活性に及ぼす、(疎水性媒体中の)製剤に組み込まれた油の種類の影響を試験した。デキストランをカーゴ化合物として含有する製剤(平均MW=4.4kDa、FITC標識)および疎水性媒体中の異なる種類の油(表3Aの製剤E、F、およびG)をラットにおいて試験した。
【0195】
無麻酔ラットの空腸において、これらの製剤の活性を試験するために、ラットモデルを確立し、以下の2つの異なるカニューレをSprague−Dowleyラットに外科的に移植する。
【0196】
1−胃をバイパスし、空腸への直接製剤投与を可能にするための空腸カニューレ
2−空腸投与後に、投与したデキストランの全身レベルを決定するための頸静脈カニューレ
研究前に4日間、ラットを回復させ、研究の開始前18時間、断食させた。
【0197】
表6は、疎水性媒体中に異なる油を含有する製剤の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0198】
【表6】
異なる油を含有する製剤を、無麻酔ラットに直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストランレベルを測定した。製剤中のデキストラン投与後のラット空腸からのデキストラン吸収レベルを、静脈内投与後に吸収されるデキストランのレベルと比較した。暴露値、AUC(0〜90)を空腸投与および静脈内投与に対して決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=(空腸AUC(0〜90))/(静脈内AUC(0〜90))*(静脈内用量/空腸用量)に従って決定した。データは、平均±SDとして提示する(n
>5ラット/群)。
【0199】
デキストランを、ヒマシ油またはココナッツ油を含有する製剤に組み込んだ場合、類似バイオアベイラビリティを達成した。製剤IおよびJを使用し、テリパラチドをカーゴ化合物として使用した場合、良好なバイオアベイラビリティは、ラット空腸においても得られ、これらの製剤は、ヒマシ油およびGTB、ならびにヒマシ油およびココナッツ油をそれぞれ含有する。
【0200】
結果は、異なる種類の油をそれらの疎水性媒体に含有する製剤が活性であり、製剤によって運搬されるカーゴ(デキストラン、テリパラチド)の浸透を可能にすることを示した。したがって、このデータは、すべての試験した油が、製剤によって運搬されるカーゴのバイオアベイラビリティを可能にすることを示した。ヒマシ油およびココナッツ油は、他の試験した油よりも優れ得る。
【0201】
実施例13:凍結乾燥の代わりに顆粒化を使用する製剤の調製
親水性画分の生成:プラスチックバッグに、以下の成分:1.00gのPVP−30、6.70gのオクタン酸ナトリウム、および結合剤として13.00gのラクトース一水和物を添加した。5分間混合した後、すべての粉末を乳鉢および乳棒に移した。
【0202】
デキストランFD4水溶液を以下のように調製した。0.42gデキストランを1.2gのWFIに溶解した。次に、乳鉢および乳棒において低せん断撹拌を使用しながら、デキストラン溶液のすべてを粉末に徐々に添加した。撹拌には約45分を要した。次に、混合物を凍結乾燥トレイに移し、約20時間、50℃でオーブン乾燥させた。この手順は、細顆粒である約20gの親水性画分を生成した。
【0203】
疎水性媒体の生成:2gのSpan40、4gのレシチン、および3.8gのGMOを、混合しながら17.3gのイソ吉草酸エチルに溶解した。この溶液に、39.1gのGTBおよび72.6gのヒマシ油を添加した。この手順は、約136〜138gの疎水性媒体を生成した。
【0204】
バルク薬剤製品の生成:親水性画分および疎水性媒体の混合は、20±2℃で行った。19.00g(29.58%の最終BDP)の親水性画分を、混合しながら、45.23g(70.42%の最終BDP)の疎水性媒体に600±50RPMで徐々に添加した。すべての親水性画分を添加した後、混合速度を2000±200RPMに2〜10分添加した後、15分間600±50RPMで4〜8サイクル混合し、2分間2000±200RPMで混合した。
【0205】
次に、真空による脱気を以下のとおり適用した。600mBarで5分、500mBarで5分、および400mBarで30〜120分。得られる懸濁液を100mLダークボトルに注ぎ、2〜8℃で保管した。
【0206】
ラット研究:上記懸濁液を、実施例において上述のとおり、直腸的に投与したところ、結果は以下のとおりであった:35%BA、12.9%SD。上述のとおり顆粒化によって調製した別のバッチの懸濁液を調製して、実施例において上述のとおり空腸に投与したところ、結果は以下のとおりであった:21.8%BA、4.0%SD。顆粒化を使用し、選択した治療薬剤を組み込み、オクタン酸ナトリウムの量を変えることによって、一連の製剤を類似様式で調製する。
【0207】
実施例14:カプセルの選択
個別の3種類の溶液(上記実施例に記載されるような疎水性媒体、イソ吉草酸エチル単独、および以下の界面活性剤(レシチン、Span40、およびモノオレイン酸グリセリル)のそれぞれを5%含有するイソ吉草酸エチルを使用して、インビトロ実験を行った。3種類の密閉していないカプセル、ゼラチン、スターチおよびHPMCを、それぞれこれらの溶液のそれぞれで充填した。次に、充填したカプセルを、インビトロで29日間、22±2℃、30〜50%相対湿度で維持した。ゼラチンおよびHPMCカプセルは、最善の結果をもたらした。つまり、カプセルの変形はなかった。
【0208】
同一の3つの溶液、ゼラチン、およびHPMCカプセルを使用して、類似実験を行った。これらのカプセルを溶液で充填し、密閉(接着)した後、8日間22±2℃、30〜50%相対湿度で維持した。両種類のカプセルも試験した溶液に対し安定性を示した。すなわち、カプセルの漏出および変形はなかった。
【0209】
実施例15:中鎖脂肪酸塩中の陽イオンを変えることが及ぼす影響
12%オクタン酸ナトリウム(0.722M)を、等モル濃度のオクタン酸リチウムまたはオクタン酸カリウムあるいはオクタン酸アルギニン(最後はアンモニウム塩のモデルとして)に置換することを除いて、表3Aの製剤Aに類似するデキストラン(FD4)を用いて、製剤を調製した。これらの製剤を以下の表7Aに示す。
【0210】
【表7A】
実施例8に説明されるラット空腸モデルにおいて、これらの製剤をそれぞれ試験した。その結果を入手し、バイオアベイラビリティを計算した。結果を以下の表7Bに示す。
【0211】
【表7B】
上記実験において使用した製剤Aは、実施例8において使用したものに対して異なるバッチであり、そのため製剤Aに対してここでもたらされるBA結果は、表4に引用されるものとはわずかに異なる。
【0212】
上記結果は、12%オクタン酸ナトリウムを、製剤中で等モル濃度のオクタン酸リチウムまたはオクタン酸カリウムに置換した場合、その製剤は、低レベルであるが、依然としてバイオアベイラビリティを有することを示す。オクタン酸アルギニン製剤は、12%オクタン酸ナトリウム製剤に類似する活性を有する。
【0213】
実施例16:疎水性媒体への中鎖アルコール(ゲラニオールおよびオクタノール)の添加の影響
以下の表8に示される成分を使用して、ゲラニオール(BASF)およびオクタノール(Spectrum/MP)を含有する製剤を上述のとおり調製した。ドデカン酸ナトリウムをSpectrum/Acrosから入手した。
【0214】
製剤Q−低%中鎖脂肪酸塩:デキストラン(FD4)製剤は、本質的に実施例11に記載のとおり調製し、合計2.9%中鎖脂肪酸塩(オクタン酸ナトリウム1.042%±ドデカン酸ナトリウム1.869%)を含有し、かつ疎水性媒体中にゲラニオールおよびオクタノールも含有し、すべて以下の表8に示される。
【0215】
製剤R−10%以上の中鎖脂肪酸塩:デキストラン製剤は、ゲラニオールおよびオクタノールを疎水性媒体に添加したことを除いて、本質的に製剤Aに関して記載のとおり調製し、すべて表8に示されるとおりである。
【0216】
【表8】
上述の空腸内ラットモデルにおいて、製剤Q(低%MCFA塩)を試験し、バイオアベイラビリティを計算した:aBA=4.4%、SD=3.8(n=12)。上述の空腸内ラットモデルにおいて、製剤R(10%以上のMCFA塩)を試験し、バイオアベイラビリティを計算した:aBA=22.7%、SD=1.6(n=6)。これらの式のBAは、ゲラニオールを含有しない上記実施例において記載される、類似製剤と著しく異ならない。
【0217】
実施例17:ゲンタマイシンおよびRNAの製剤
本質的に実施例11に記載されるように、表9において以下に示されるようなバルク薬剤の成分を用いて、ゲンタマイシンおよびRNAの製剤を調製した。ゲンタマイシンは、Applichemから入手し、RNAは、ポリイノシン−ポリシチジル酸ナトリウム塩(Sigma)であった。
【0218】
【表9A】
上述のラット空腸モデルにおいて、および上述のラット直腸モデルにおいて、ゲンタマイシン製剤を試験した(例えば、実施例4および5)。免疫測定(ELISA)を使用して、ゲンタマイシンを検査した。結果を以下の表9Bに示し、%BAは、静脈内投与と比較して計算する。これらの製剤はゲンタマイシンに対してバイオアベイラビリティをもたらすことを示した。
【0219】
【表9B】
同様に、上述のラット空腸モデルにおいて、および上述のラット直腸モデルにおいて、表9AのRNA製剤を試験する。RNAを検査し、この製剤はRNAに対してバイオアベイラビリティをもたらすことが予想される。
【0220】
実施例18:疎水性媒体中の界面活性剤が製剤活性に及ぼす影響
デキストラン(平均MW=4.4kDa、FITC標識)を含有する製剤をカーゴ(表3Aにおける製剤AおよびH)として使用し、疎水性媒体から界面活性剤を引き出す製剤活性に対する影響を試験した。
【0221】
表10は、疎水性媒体中に界面活性剤(例えば、Span40、レシチン、モノオレイン酸グリセリル)を含むか、または含まない製剤の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0222】
【表10】
疎水性媒体中に界面活性剤を含むか、または含まない製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストラン値を測定した。製剤中のデキストランの投与後のラット空腸からのデキストラン吸収のレベルを、静脈内投与後に吸収されたデキストランのレベルと比較した。
【0223】
空腸および静脈内投与の暴露値、AUC(0−90)を決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=空腸AUC(0−90))/(静脈内AUC(0−90))
*(静脈内投与/空腸投与)に従って決定した。データは、平均aBA±SDとして提示する。
【0224】
デキストランを疎水性媒体中に界面活性剤を含有しない製剤(製剤H)に組み込んだ場合、疎水性媒体中に界面活性剤を含有する製剤(製剤A)と比較して、低いバイオアベイラビリティが達成された。結果は、疎水性媒体から界面活性剤を引き出すことは、製剤活性に悪影響を及ぼすことを証明する。
【0225】
実施例19:製剤活性に対する中鎖脂肪酸を親水性画分から引き出すことの影響
デキストランを含有する製剤(平均MW=4.4 kDa、FITC標識)をカーゴと
して含有する製剤を使用し、親水性画分から中鎖脂肪酸(MCFA)を引き出す製剤活性に対する影響を試験した。
【0226】
表11は、親水性画分中にオクタン酸ナトリウムを含むか、または含まない製剤(それぞれ表3Aにおける製剤AおよびD)の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0227】
【表11】
上述の製剤を無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与から3、6、10、25、60、および90分後に、血漿デキストラン値を測定した。製剤中のデキストランの投与後のラット空腸からのデキストラン吸収のレベルを、静脈内投与後に吸収されたデキストランのレベルと比較した。空腸および静脈内投与の暴露値、AUC(0−90)を決定し、絶対バイオアベイラビリティ(aBA)は、以下の等式:aBA=空腸AUC(0−90))/(静脈内AUC(0−90))*(静脈内投与/空腸投与)に従って決定した。データは、平均aBA±SDとして提示する。
【0228】
デキストランを親水性画分中に中鎖脂肪酸が不足している製剤(製剤D、%aBA=0.6±1.0)に組み込んだ場合、親水性画分中12%w/wでオクタン酸ナトリウムを含有する製剤(製剤A、%aBA=28.0±6.8)と比較して、デキストランのわずかな浸透が達成された。結果は、親水性画分中に中鎖脂肪酸を含まない製剤は、活性でないことを証明する。
【0229】
改良製剤においてオクトレオチドをカーゴとして使用し、同様の実験を行った(以下を参照)。rBAは、0.11%(CV=158%)であった。
【0230】
実施例20:製剤活性に対する製剤を簡素化することの影響
デキストラン(平均MW=4.4kDa、FITC標識)またはオクトレオチド(Novetide)をカーゴとして含有する製剤を使用して、製剤を簡素化することの製剤活性に対する影響を試験した。上記実施例に記載の基本製剤(例えば、A、I、およびPと指定した製剤)は、MgCl
2およびMC400を親水性画分に添加しないこと、およびSpan40、レシチン、およびイソ吉草酸エチルを疎水性媒体に添加しないことによって簡素化した。疎水性媒体に添加されるモノオレイン酸グリセリル(界面活性剤)およびトリブチル酸グリセリルの量は、付随して増加する。そのような製剤は、以下の表12Aに示される。これらの簡素化製剤は、実質的にまったく沈殿を示さないが、粒子は顕微鏡的に可視であり、すなわち、それらは安定した懸濁液である。
【0231】
【表12A】
これらの上記簡素化製剤の生成プロセスは、本質的に、
図1に記載のとおりであり、基本製剤に関しては実施例11に記載のとおりである。基本オクトレオチド製剤を以下の表12Bに示す。
【0232】
【表12B】
表13は、2つの異なるデキストラン製剤(表3Aの製剤Aおよび表12Aに示される簡素化製剤)の空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。
【0233】
【表13】
上記の結果は、簡素化製剤と比べて基本製剤(製剤A)を含む製剤にデキストランを組み込んだ際に、類似するAUC値が達成されたことを示す。
【0234】
以下の表14は、2つの異なるオクトレオチド製剤(表12Bに示される基本製剤および表12Aに示される簡素化製剤)空腸内投与後の無麻酔ラットにおける研究からのデータを提示する。基本製剤および簡素化製剤中のオクトレオチドの投与後の空腸からのオクトレオチド吸収のレベルを得た。暴露値、AUC(0〜25)を決定した。
【0235】
【表14】
表14における上記結果は、オクトレオチドを簡素化製剤に組み込んだ場合、完全製剤と比較して、AUC値がわずかに低いことを示す。
【0236】
実施例21:製剤活性に対するヒマシ油をオクタン酸に置換することの影響
デキストランを含有する製剤をカーゴとして使用し、ヒマシ油(およびトリブチル酸グリセリルとイソ吉草酸エチル)をオクタン酸(Aldritch)に置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。これは、C8モチーフを製剤に維持するために行った。すなわち、親水性画分中のC8塩に加えて、疎水性媒体中にC8酸を有することが有利となり得ると考えられた。
【0237】
オクタン酸/リシノール酸を含有するデキストラン製剤を形成することによって、リシノール酸(Spectrum)の影響も試験した。ヒマシ油中の主要トリグリセリド成分は、リシノール酸から形成されるため、リシノール酸を選択した。3つのデキストラン製剤は、以下の表15Aに示されるように調製した。基本デキストラン製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製した。オクタン酸デキストラン製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸に置換した。本製剤は、視覚分析によって、液体であることがわかったが、真の溶解性分析は行わなかった。高濃度(本製剤の約78%)のオクタン酸は、オクタン酸に高濃度で溶解可能なPVPおよびオクタン酸ナトリウムとともに、固形親水性画分を溶解するようである。リシノール/オクタン酸デキストラン製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸およびリシノール酸の混合物に置換した。本製剤は、本発明の製剤の大部分にとって通常の懸濁液である。
【0238】
【表15A】
表15Aにおいて上述した製剤を無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿デキストラン値を測定した。暴露値、AUCは、異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表15Bに示す。
【0239】
【表15B】
上の表15Bにおいて示した結果は、デキストランの吸収が、オクタン酸を含有する製剤において、大幅に向上したことを示す(2倍以上)。加えて、グラフの形状が変化し、よりゆっくりであるが長時間の放出を示している。これは、APIが体内で長時間作用することを可能にするため、有利であり得る。リシノール/オクタン酸デキストランの結果は、オクタン酸製剤よりも低い活性を示したが、依然として、基本製剤を超えて向上した。
【0240】
オクタン酸およびリシノール酸/オクタン酸製剤は、高い活性を示したため、エクセナチドをカーゴとして使用し、類似製剤を調製した。以下の表16Aにおいて示されるように、3つのエクセナチド製剤を生成した。基本エクセナチド製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製した。エクセナチド/オクタン酸製剤は、本質的に、上記実施例において記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸に置換した。約78%オクタン酸を含有する本製剤は、上記の類似デキストラン製剤と同様に、視覚分析によって液体となることがわかった。リシノール/オクタン酸エクセナチド製剤は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製したが、ヒマシ油、トリブチル酸グリセリル、およびイソ吉草酸エチルは、オクタン酸およびリシノール酸の混合物に置換した。
【0241】
【表16A】
表16Aにおいて上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿エクセナチド値を測定した。暴露値、AUCは、異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表16Bに示す。
【0242】
【表16B】
上の表16Bにおいて示した結果は、オクタン酸を含有するエクセナチド製剤がバイオアベイラビリティを示したことを証明するが、エクセナチドの吸収は、基本製剤と比較して減少した。グラフの形状は変化したが、上記オクタン酸デキストラン製剤の場合と同様に、よりゆっくりであるが長時間の放出を示し、この長期PKプロファイルは、有利であり得る。オクタン酸製剤の場合、長期PKプロファイルに起因して、AUC0〜180分をBA計算に使用したことに留意されたい。リシノール/オクタン酸エクセナチド製剤は、オクタン酸製剤よりもさらに低いバイオアベイラビリティを有した。
【0243】
実施例22:オクタン酸の用量反応
A.
オクトレオチド製剤:オクトレオチド含有する製剤をカーゴとして使用し、オクタン酸の量を変えることの製剤活性に及ぼす影響を試験した。以下の表17に示されるように、0%、5%、10%、または15%オクタン酸を使用して、4つのオクトレオチド製剤を調製した。これらの製剤は、本質的に、上述のとおり調製した基本オクトレオチド製剤であり、オクタン酸の量は記載のとおり変化したものであり、疎水性媒体(イソ吉草酸エチルおよびトリブチル酸グリセリル)中の他の成分の量は、付随して減少させた(これらの製剤において、親水性画分を簡素化し、MgCl
2およびMC400を省略した)。
【0244】
【表17】
B.
エクセナチド製剤:エクセナチドをカーゴとして含有する製剤を使用して、オクタン酸の量を変えることの製剤活性に及ぼす影響を試験した。以下の表18に示されるように、0%、10%、15%、20%、または35%オクタン酸を使用して、5つのエクセナチド製剤を調製した。これらの製剤は、本質的に、上述のとおり調製した基本エクセナチド製剤であり、オクタン酸の量は、記載のとおり異なり、疎水性媒体(イソ吉草酸エチルおよびトリブチル酸グリセリル)中の他の成分の量は、付随して減少させた。
【0245】
【表18】
表17および18において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチドまたはエクセナチド値を測定した。暴露値、AUCは、異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表19に示す。
【0246】
【表19】
上の表19において示した結果は、オクタン酸の量が15%(試験した最大量)まで増加すると、オクトレオチド製剤は、基本製剤と比較して高い活性を示すことを証明する。さらに、上の表19において示した結果は、オクタン酸の量が15%まで増加すると、エクセナチド製剤は、基本製剤と比較して高い活性を示し、より高レベルのオクタン酸において活性が減少することを証明する。
【0247】
実施例23:異なる中鎖脂肪酸塩の影響
A.
セバシン酸ナトリウム(デカン二酸の二ナトリウム塩):デキストラン製剤中のオクタン酸ナトリウムをセバシン酸ナトリウム(C10二ナトリウム塩)に置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。セバシン酸ナトリウムは、セバシン酸(Aldrich)および水酸化ナトリウムから
in situで調製した。生成された製剤は、以下の表20に記載する。本製剤は、本質的に上述のとおり調製したが、12%オクタン酸ナトリウムを、オクタン酸ナトリウムと同一モル濃度でセバシン酸ナトリウムに置換、すなわち、等モル量のセバシン酸ナトリウムを使用した(つまり、0.72M)。
【0248】
【表20】
表20において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿デキストラン値を測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、これをオクタン酸ナトリウムで調製した類似製剤と比較する。これらの結果を以下の表21に示す。
【0249】
【表21】
表21に示される結果は、セバシン酸ナトリウムを含有するデキストラン製剤が、活性を示したことを証明するが、デキストランの吸収は、等モル量のオクタン酸ナトリウムを含有する製剤と比較して減少した。
【0250】
B.
スベリン酸モノナトリウムまたはスベリン酸二ナトリウム
オクトレオチド含有製剤を調製し、12%オクタン酸ナトリウムを、C8塩である、等モル量(0.72M)のスベリン酸モノナトリウムまたはスベリン酸二ナトリウムと置換した。これらのナトリウム塩は、スベリン酸(Tokyo Chemical Industry Co.)および水酸化ナトリウムから
in situで調製した。
【0251】
【表22A】
表22において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチド値を測定する。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、これをオクタン酸ナトリウムで調製した類似製剤と比較する。
【0252】
C.ゲラン酸塩
2つのオクトレオチド含有製剤は、本質的に上述のとおり調製し、12%オクタン酸ナトリウムは、18%ゲラン酸ナトリウム塩(0.95M)および14.6%(0.77M)ゲラン酸ナトリウム塩に置換し、これは3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン酸(SAFC)から入手)である。生成された製剤を以下の表22Bに記載する。
【0253】
【表22B】
表22Bにおいて上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、これをオクタン酸ナトリウムで調製した類似製剤と比較した。結果を以下の表22Cに示し、それらは、18%ゲラン酸ナトリウムを有する製剤は、12%オクタン酸ナトリウム製剤に類似する活性を有し、14.6%ゲラン酸ナトリウムを有する製剤は、活性が増加したことを証明する。
【0254】
【表22C】
実施例24:PVP(ポリビニルピロリドン)が製剤活性に及ぼす影響
エクセナチドを含有する製剤をカーゴとして使用し、PVP−12をマンニトール(Sigma)に置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。当然のことながら、当該技術分野において、PVP−12は安定剤であり、製剤中でマンニトール等の別の安定剤に置換することができる。以下の表23に示される製剤を調製した。本製剤は、本質的に、上述されるとおり調製した基本エクセナチド製剤であるが、PVP−12は、マンニトールに置換する。
【0255】
【表23】
表23において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に、血漿エクセナチド値を測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定し、基本製剤と比較した。これらの結果を以下の表24に示す。
【0256】
【表24】
上の表24において示した結果は、PVP−12を含まないエクセナチド製剤が、基本製剤と比較して、有意に活性が減少したという驚くべき予想外の結果を証明する。したがって、PVPがバイオアベイラビリティに及ぼす影響をさらに調査することにした。
【0257】
エクセナチドを含有する製剤をカーゴとして使用し、PVPの分子量を変えることの製剤活性に及ぼす影響を試験した。PVP−12、PVP−17、またはPVP−25(すべてBASFから入手)のうちのいずれかを使用して、3つのエクセナチド製剤を調製した。PVP−12、PVP−17、およびPVP−25は、すべてポリビニルピロリドンポリマーであり、平均分子量は、それぞれ約2500〜3000、10000および30000である。これらの製剤は、本質的に、上述のとおり調製した基本エクセナチド製剤であり、PVPは記載のとおり異なり、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略した。
【0258】
【表25】
表25において上述した3つの製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に、血漿エクセナチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表26に示す。
【0259】
【表26】
上の表26において示した結果は、PVP−12を含有するエクセナチド製剤が、PVP−17およびPVP−25を含有するエクセナチド製剤よりもはるかに高い活性を示したことを証明する。したがって、PVP−12の影響のみをさらに調査し、PVP−12を使用して、用量反応研究を行うことにした。オクトレオチドを含有する製剤をカーゴ化合物として使用し、かつ以下の表27に示されるような異なる用量のPVP−12を使用して、製剤中のPVP−12の量を増加させることの製剤の活性に及ぼす影響を試験した。試験したPVP−12用量は、2.75%(上記製剤において使用される標準用量)ならびに5.0%、7.5%、および10.0%PVP−12であり、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略した。10%PVPを含有する製剤は、半固形であり、すなわち、一見したところ半固形懸濁液であった。
【0260】
【表27】
表27において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に、血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCを4つの異なる製剤に対して決定した。これらの結果を以下の表28Aに示す。
【0261】
【表28A】
上の表28Aにおいて示した結果は、製剤中のPVPの量が増加すると、オクトレオチドの吸収が劇的に増加したことを示す。10%PVP−12を含有する製剤は、オクトレオチドの吸収が2.75%PVP−12を含有する製剤よりも約1.7倍高かった。10%PVP−12を含むが、オクタン酸ナトリウムを含有しない改良オクトレオチド製剤は、実質的にまったく活性を示さなかった。rBAは、0.11%(CV=158%)n=5であった。
【0262】
中鎖脂肪酸塩は、透過性強化剤として作用し(治療薬剤の透過性および/または吸収を促進または強化することによって)、PVPは、単独で実質的に影響をまったく有しないため、透過性強化剤の影響を相乗的に増加させるように機能するように見える。実施例31も参照されたい。
【0263】
さらなる実験を行って、10%PVP−12をデキストランに置換できるか否か、および依然としてその製剤の活性を維持できるか否かを調査した。デキストランは、Flukaによって製造され、平均分子量は、約6000である。製剤は、本質的に上述のとおり調製し、PVPおよびデキストランは、記載のとおり異なり、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略し、オクタン酸ナトリウムを15%まで増加させた。実施例26を参照されたい。
【0264】
【表28B】
表28Bにおいて上述した3つの製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表28Cに示す。
【0265】
【表28C】
上の表28Cにおいて示した結果は、製剤中のPVPをデキストランに置換した場合、オクトレオチドの吸収が減少したが、活性は依然として有意であったことを証明する。10%デキストランを含有する製剤は、10%PVPを含有する製剤の約75%のオクトレオチド吸収を有し、5%デキストランを含有する製剤は、10%PVPを含有する製剤の約73%のオクトレオチド吸収を有した。
【0266】
実施例25:C8、C9、およびC10中鎖脂肪酸塩、つまりオクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、およびデカン酸ナトリウムの比較研究
オクトレオチドを含有する製剤をカーゴとして使用し、オクタン酸ナトリウムを他の中鎖脂肪酸ナトリウム塩と置換することの製剤活性に及ぼす影響を試験した。3つのオクトレオチド製剤は、以下の表29に示されるとおり調製した。これらはすべて、本質的に、上述のとおり調製した基本製剤であり、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略し、中鎖脂肪酸塩は、等モル量のオクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、またはデカン酸ナトリウムである。
【0267】
【表29】
表29において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表30に示す。
【0268】
【表30】
上の表30において示した結果は、製剤中のオクタン酸ナトリウムをノナン酸ナトリウムまたはデカン酸ナトリウムに置換する場合、類似する活性があることを証明する。統計分析に基づいて、3つのすべての製剤間で活性に差異はない。
【0269】
実施例26:オクタン酸ナトリウムの用量反応
表31に示される製剤を形成することによって、12%、15%、および18%におけるオクタン酸ナトリウムの用量反応を試験した。これらはすべて、本質的に上述のとおり調製した基本製剤であり、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略し、カーゴ化合物は、オクトレオチドであった。さらに、本製剤を粘度に対して修正し、すなわち、3つの製剤すべてに対して同一または類似粘度を維持し、これは、ヒマシ油およびトリブチル酸グリセリルの量を変えることによって達成した。
【0270】
【表31】
表31において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表32に示す。
【0271】
【表32】
上の表32において示した結果は、製剤中のオクタン酸ナトリウムを12%から15%に増加させると、活性の増加が見られるが、オクタン酸ナトリウムを18%までさらに増加させても、15%において得られた活性よりも高い活性に至らない。したがって、約15%オクタン酸ナトリウムは、好適な量であると思われる。
【0272】
実施例27:製剤中の界面活性剤の親水性/親油性バランスを変えることの影響に関する調査
以下の表33は、様々なオクトレオチド製剤を説明する。第1のコラム、製剤(a)は、本質的に、上述のとおり調製した基本製剤であり、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略し、カーゴ化合物は、オクトレオチドである。界面活性剤は、Span40、レシチン、およびモノオレイン酸グリセリルであり、計算によって、HLBは約5〜6である。他の製剤において(製剤b、c、およびd)、Span40およびレシチンを置換し、Tween80の量を変え、モノオレイン酸グリセリルの量を変えることによって、示されるように(3.5、6.7、および14に)HLBを変更した。
【0273】
【表33】
表33において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後の血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表34に示した。
【0274】
【表34】
上の表34において示した結果は、(a)中の界面活性剤のHLBより、[b]中のHLBは低く、[c]中のHLBはわずかに高く、[d]中のHLBよりもはるかに高かったが、Span40およびレシチンをTween80と置換する3つの新しい製剤すべて[b、cおよびd]が、基本製剤[a]よりもはるかに良好な活性を有したことを証明する。さらに、新しい製剤のすべて[b、c、およびd]の活性は、統計的に非常に類似していた。したがって、界面活性剤のHLB単独では、活性に影響を及ぼすようには考えられないが、界面活性剤の特徴が重要な役割を果たすように思われる。特に、Span40およびレシチンをTween80と置換することは、これらのオクトレオチド製剤における活性に有利である。
【0275】
実施例28:トリカプリル酸対ヒマシ油の異なる比率を有するオクトレオチド製剤
PVP−12用量反応結果を含む上述の結果、オクタン酸ナトリウム用量反応結果および
特に界面活性剤結果の蓄積に基づいて、10%PVP−12および15%オクタン酸ナトリウムを使用し、トリカプリル酸対ヒマシ油の比率を変えることによって、一連のオクトレオチド製剤を調製した。さらに、モノオレイン酸グリセリルおよびトリブチル酸グリセリルを、モノカプリル酸グリセリルおよびトリカプリル酸グリセリル(いずれもAbitecにより供給される)に置換した(使用される場合)。これは、C8モチーフを製剤内に維持することである。したがって、親水性画分は、C8酸(オクタン酸)の塩を含有し、疎水性媒体は、同一のC8酸を組み込むモノグリセリドおよびトリグリセリドを含有する。発明者らは、親水性画分および疎水性媒体の両方におけるC8化合物の使用は、バイオアベイラビリティに有利であり得ると考える。これらの製剤中でTween80およびモノカプリル酸グリセリルの量も異なった。これらの製剤は、以下の表35Aに示されるように調製した。製剤I、II、V、およびVIは、半固形(一見したところ懸濁液)であり、製剤IIIおよびIVは、通常の液体懸濁液であった。
【0276】
【表35A】
表35Aにおいて上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表35Bに示す。
【0277】
【表35B】
上の表35Bにおいて示した結果は、製剤IおよびIVが最大の活性を有することを証明する。ヒマシ油は、製剤IV中に存在しないため、これは、ヒマシ油が活性に必須でないことを証明する。高いGTC:ヒマシ油の比率、例えば、6:4が活性に有益であるように考えられる。さらに、製剤V(低活性を有する)は、製剤Iと同一のGTC:ヒマシ油
比率を有するため、GMC(または他のモノグリセリド)は、追加として活性に望ましいと思われる。さらに、表36の製剤Iに類似する製剤を調製したが、オクタン酸ナトリウムは省略した。本製剤は、実質的にまったく活性を示さず、rBA=0.1%であった。
【0278】
製剤IVのバルク薬剤製品(改良型、ヒマシ油なし)を150ミクロンスクリーンで粉砕し、次に、Malvernレーザー回折技術を使用して、粒径を測定した。予備結果は、これらの粒子の90%(v/v)が130ミクロン以下であり、これらの粒子の50%(v/v)が45ミクロン以下であることを示した。
【0279】
製剤Iに類似する製剤を使用するが、増加量のオクトレオチドを変える予備実験は、すべて同様のBAをもたらし、すなわち、API負荷から独立した略線状の暴露があった。さらに高いオクトレオチド負荷−1.5%(wt/wt)−における製剤IVに類似する製剤を使用する予備実験も同様のBAをもたらした。
【0280】
オクトレオチドの代わりにFD4をカーゴとして使用し、上記製剤Iに類似する改良製剤を調製し、基本製剤と比較した。これらの製剤を以下の表36Aに記載する。
【0281】
【表36A】
表36Aにおいて上述される製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿FD4レベルを測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。結果を以下の表36Bに示す。
【0282】
【表36B】
上の表36Bにおいて示した結果は、改良製剤が基本製剤よりもはるかに優れた活性を有することを証明する。
【0283】
実施例29:選択した(改良した)オクトレオチド製剤の詳細な生成プロセス
実施例28におけるオクトレオチド製剤(表6、第1コラム)は、本質的に、上記実施例に記載のとおり調製した。以下は、本製剤の詳細な生成プロセスである。
【0284】
親水性画分の生成:
150mLの水に、以下の成分:24.05gのオクタン酸ナトリウム、16.04gのPVP−12、および92.4gの10mg/mLオクトレオチド水溶液を徐々に添加して混合した。得られる溶液を凍結乾燥させた。
【0285】
疎水性媒体の生成:
3.25gTween80、6.47gのモノカプリル酸グリセリル、65.25gのトリカプリル酸グリセリル、および43.50gのヒマシ油を一緒に混合した。
【0286】
バルク薬剤製品の生成:
混合しながら、26.08gの親水性画分を73.92gの疎水性媒体に20±2℃で徐々に添加した。親水性画分全体を添加した後、混合速度を増加させた。次に、真空による脱気を適用し、得られる懸濁液を2〜8℃で保存した。
【0287】
大量のオクトレオチドを溶解可能にするために、以下の方法を用いた。
【0288】
1.親水性画分調合液の水の量は、最終バルク薬剤製品の計算容量と同一であった。
【0289】
2.PVP−12を上記水量の半分に溶解した。
【0290】
3.オクタン酸ナトリウムを残り半分の水に溶解した。
【0291】
4.オクトレオチドをPVP−12溶液(第2項から)に溶解した。
【0292】
5.オクタン酸ナトリウム溶液をオクトレオチドおよびPVP−12溶液に添加した。
【0293】
この段階で、いくらかの沈殿があったが、混合後に溶解した。
【0294】
実施例30:ブタにおいてカプセルを使用した実験
カプセルで投与した場合の本発明の製剤の活性を試験するために、ブタ(家畜ブタ)へのカプセル投与を可能にする動物モデルを確立した。胃をバイパスして、カプセルをブタの小腸に直接投与することを可能にするために、十分に確立されたイヌモデル(″Nipple Valve model″;Wilsson−Rahmberg&O.Jonsson,Laboratory Animals(1997),31,231−240)を商業用ブタに適合させた。
【0295】
以下の表37に示される2つのオクトレオチド製剤を調製した。オクトレオチド(x)製剤は、本質的に、親水性画分を簡素化して、MgCl
2およびMC400を省略した基本製剤に対して上述したように調製した。オクトレオチド(y)製剤は、本質的に、改良オクトレオチド製剤に対して上述のとおり調製した。これらの製剤は、ゼラチンカプセル(Capsugelから)に充填し、基本製剤(x)は0.42mL/カプセル、および改良製剤(y)は0.44mL/カプセルで充填したところ、いずれの種類の充填カプセルも5mgのオクトレオチド正味含有量を得た。これらのカプセルは、腸溶コーティングされておらず、すなわち、それらはコーティングされていなかった。
【0296】
【表37】
表37において上述した製剤を、上述の胃バイパスを介して、無麻酔ブタの小腸に直接投与し、投与後に血漿オクトレオチド値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。皮下投与後のオクトレオチドへの暴露と比較して、%BAを計算した。得られた結果を以下の表38に示す。
【0297】
【表38】
表38の上記結果は、ブタモデルにおいて、基本および改良製剤のいずれの場合も、カプセル化製剤にバイオアベイラビリティがあることを示した。改良製剤のオクトレオチドバイオアベイラビリティは、基本製剤のバイオアベイラビリティのレベルの約3倍であった。
【0298】
バイオアベイラビリティに関してここで示した結果は、オクトレオチドレベルがベースライン(0ng/mL)に戻るまでのサンプリング時間が十分でなかったため、過小評価である。これは、ラットにおいて既に測定されているものと比較して、ブタにおける暴露時間が予想外に長かったことに起因する。グラフの形状は、ラットの結果と比較して変更し、最大ピーク値に到達するまでの時間が長く、オクトレオチドが血中に存在する時間が長いことを示している。これは、オクトレオチドが体内で長く作用することを可能にするため、有利であり得る。したがって、ブタにおける実際のバイオアベイラビリティは、得られた数値よりも高いはずである。
【0299】
ラットにおける結果に基づいて、水溶液で投与したオクトレオチドのブタにおけるバイオアベイラビリティのレベルは、約0.1%であると推定される。このバイオアベイラビリティのレベルは、ブタに使用されるバイオアッセイの感度レベルよりも低い。
【0300】
実施例31:改良製剤におけるPVPの用量反応結果
実施例24におけるPVP結果に加えて、改良製剤におけるPVP−12の量を増加させることの活性に及ぼす影響を試験した。本質的に上述のとおり形成した改良製剤は、以下の表39に示されるように、オクトレオチドをカーゴ化合物として含み、かつ異なる用量のPVP−12を含有した。試験したPVP−12用量は、7.5%、10.0%、および15.0%PVP−12であった。10%および15.0%PVPを含有する製剤は、半固形であり、すなわち、それらは一見したところ半固形懸濁液であり、7.5%PVPを含有する製剤は、粘性懸濁液であった。
【0301】
【表39】
表39において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿オクトレオチドを測定した。暴露値、AUCを3つの製剤に対して決定した。これらの結果は、以下の表40に示す。
【0302】
【表40】
上の表40において示した結果は、製剤中のPVPが10%である場合にオクトレオチドの吸収が最大であったこと、および量を15%まで増加させると、活性が有意に減少することを証明する。これは、改良製剤中の10%PVPの選択を確認する。
【0303】
実験32:製剤に付随して投与したAPIと比較した製剤に梱包されたAPIの活性
本質的に上述のとおり、3つの異なるカーゴ化合物の3つの異なる基本製剤(デキストラン、ゲンタマイシン、およびエクセナチド)を調製した(基本製剤は、基本非簡素化親水性画分である)。これら3つの製剤のそれぞれを、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿カーゴ値を測定した。暴露値、AUCをこれらの製剤に対して決定した。さらに、非関連カーゴ化合物(模擬製剤)を用いて類似製剤を調製した。別に、水溶液中のデキストラン、ゲンタマイシン、またはエクセナチドに付随して、模擬製剤を投与し、暴露値、AUCを決定した。水溶液中のカーゴを投与し、その直後に空腸移植カニューレを介して(胃バイパス)模擬製剤を投与することによって、付随投与を達成した。各化合物の場合、製剤カーゴの投与後の暴露を、非製剤カーゴ(付随)の投与後の暴露と比較した。比較結果を以下の表41に示す。結果は、3つの例すべてにおいて、非製剤(付随)と比較して、カーゴを製剤化する場合、活性(バイオアベイラビリティ)が高まること、およびエクセナチドは、製剤に起因する活性の最大増加を示したことを示す。デキストランおよびゲンタマイシンは、プロテアーゼ分解に敏感でない化合物であるが、ペプチドであるエクセナチドは、腸内酵素によって分解されやすいことに留意されたい。非製剤エクセナチドと比較して、製剤エクセナチドの活性における大きな差異は、分解に対する製剤の保護効果に起因し得る。
【0304】
【表41】
実施例33:腸性透過性亢進の評価
A.サイズ制限:上述の技術および製剤は、腸の透過性を増強することを目的とし、この壁を通過するるタンパク質、ペプチド、および他の不透過性分子の特定送達を可能にする。ある程度の腸含有物の非特定透過は、この特定透過性の増強の副作用として生じ得る。異なる分子サイズマーカーを使用して、非特定様式で腸を透過する可能性のある分子のサイズを評価した。
【0305】
増加したGI透過性の分子サイズ制限を評価するために、異なる分子量の5つの異なるFITC標識デキストランを選択して、増加した腸性透過性を試験するための分子マーカーとし、5つのデキストランの平均分子量は、4.4、10、20、40、および70kDaであり、それぞれ半径14、23、33、45、および60Åに相当する。これらの異なるサイズのマーカーを、腸に移植したカニューレを通して、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、単独で試験した場合、実質的にまったく基底腸内浸透を示さなかった。次に、これらのマーカーのそれぞれを、300μLの基本製剤とともに、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、血中のデキストラン値を試験することによって、その浸透度を評価した。
【0306】
投与前に、および製剤投与から3′、6′、10′、25′、60′、90′分後に血漿デキストラン値を測定した。暴露値、AUC(0〜90)を決定し、結果を
図7に示す。データは、平均±SD、n
>4として提示した。
【0307】
結果は、試験した最小分子マーカー(平均MW=4.4kDaのデキストラン)は、製剤に付随して投与されると、腸を透過するが、分子サイズが増大するにつれて、透過の程度は減少し、10kDaのマーカー分子の透過はより小規模であり、20kDaマーカーの透過はさらに小規模であることを示す。40kDaのマーカー分子は、最小の透過を示すが、70kDaのマーカー分子は、透過をまったく示さない(基底透過)。これらの結果は、40〜70kDaが、本発明の製剤による非特定透過性増強のカットオフサイズであることを示す。したがって、大量の製剤(300μL)をラットの空腸に投与することは、腸壁の透過性増強をもたらし、この増強透過性は、分子サイズによって制限され、40〜70kDaのカットオフサイズ、および40kDaにおける最小透過を示している。
【0308】
腸内に潜在的に存在し得る危険分子のサイズ(分子量および半径)の公開値を以下の表42に示す。
【0309】
【表42】
表42は、上で示されるように、腸内に存在する潜在的な危険分子は、試験した製剤による透過性増強のカットオフサイズを超えることを証明する。したがって、これらの結果は、試験した製剤が、腸壁を通る危険分子の透過を促進しないこと、したがって、これらの製剤は、安全であると考えられることを示唆する。本発明の他の製剤は、類似する結果をもたらす。
【0310】
B.製剤の反復投与:製剤の反復投与が腸内透過性に影響するか否かを調査するために、上記生体内モデル(空腸に2つのカニューレを移植したラット)を使用して、オクトレオチド改良製剤(ヒマシ油を伴う12%オクタン酸ナトリウム)を、14日連続してラットに投与した。投与の1、7、および14日目に、デキストラン透過性マーカー(4.4kDa MWのFITC−デキストラン、FD4)を、製剤投与から60分後に投与した。これは、腸から血液へのFD4の透過によって、腸の透過性を評価するためである。14日間の製剤の反復投与後、FD4暴露に有意差は認められなかった。これらの結果は、この期間の製剤の反復投与に続いて、腸性透過性の増加はなく、腸増強透過性は、この期間中、可逆的プロセスのままであることを示唆する。
【0311】
この製剤は腸組織に損傷をもたらさないが、腸壁を特異的に開放することによって作用し、追加の透過性増強効果を示さないことを示唆する。
【0312】
実施例34:腸性透過性亢進:経時変化および可逆性
上記実施例における研究に加えて、デキストランを透過性マーカーとして使用し、本発明の製剤により増加した腸性透過性の経時変化、および本プロセスの可逆性を定義するために、研究を設計した。
【0313】
増加した腸性透過性の時間枠を定義するために、ラットにおいて生体内モデルを発育し、1つまたは2つのカニューレをラットの空腸に移植する。FITC標識デキストラン(平均分子量4.4kDa、FD4)は、実質的にまったく基底腸内浸透がなく、腸性透過性を試験するための分子マーカーとして機能した。デキストランマーカーを、製剤に付随して(空腸移植カニューレによって)投与するか、または製剤投与から異なる時間間隔で(第2の個別の空腸移植カニューレによって)投与するように実験を設計した。血液へのFD4の透過を試験することによって、腸性透過性を評価した。デキストランマーカーに付随して基本製剤、または基本製剤に次いでデキストランマーカーを、異なる時間間隔(10、30、および60分)でラットに投与した。投与前、およびデキストラン投与から3、6、10、25、60、および90分後におけるデキストラン濃度について、血液試料を分析した。結果を8に示す。データは、平均±SD、n
>5として提示した。
【0314】
図8は、デキストランマーカーは、製剤とともに投与されると、最も高く透過することを証明する。製剤の投与とデキストランマーカーの投与との間の10分の間隔は、マーカー透過の量を有意に減少させ、間隔を増加させると、マーカー透過は飛躍的に激減する。
【0315】
これらの結果は、製剤によって非特定透過性はある程度強化されるが、製剤の投与後短時間に制限されることを示す。腸性透過性は、経時的に激減し、製剤投与から60分後には、さらなるマーカーの透過はない。したがって、ラットの腸への製剤投与は、極めて短期間の腸壁の透過性亢進をもたらす。本発明の他の製剤が、類似する結果をもたらした。
【0316】
実施例35:サルへのオクトレオチドの経口投与
サルへのオクトレオチド製剤の経口投与後のオクトレオチドの薬物動態を試験するために、オクトレオチドの改良ヒマシ油製剤を含有するカプセル(表35の製剤Iに類似するが、オクトレオチドの負荷が高い)を、5匹のカニクイザルに経口投与した。使用したカプセルは、6.7% Acryl−EZE(登録商標)腸溶コーティングで被覆されたサイズ1ゼラチンカプセルであり、このコーティングは、胃におけるカプセルの分解を防ぎ、投与した動物の小腸におけるカプセルの開放を可能にする。使用したオクトレオチド用量は、5mg/カプセルであった。
【0317】
カプセル投与に先立って、サルを一晩断食させた。経口投与に続いて、血液試料を9.75時間の期間をかけて採取し、血漿を処理して、LC/MS/MS方法によってオクトレオチド含有量を分析した。
図9を参照されたい。改良ヒマシ油/GTCなし製剤(表35の製剤IVに類似するが、APIの負荷が高い)を用いて、類似実験を行ったところ、類似する結果が得られた。またいくつかの異なる腸溶コートを用いて類似実験を行ったところ、類似する結果が得られた。
【0318】
改良オクトレオチド製剤の投与後のオクトレオチドの薬物動態を、注射したオクトレオチドの薬物動態と比較するために、酢酸オクトレオチド溶液(0.1mg/サル)を、上記群の2匹のサルに皮下投与して、基準とした。4時間かけて血液試料を採取し、血漿用に処理して、LC/MS/MS方法によってオクトレオチド含有量を分析した。
【0319】
経口オクトレオチドおよび皮下注射オクトレオチド溶液後のオクトレオチドの薬物動態を比較した(
図9および10を参照)。経口投与の結果は、数時間にわたって吸収を示した。皮下と比較してグラフの形状を変更し、血液の中へのオクトレオチドの放出がよりゆっくりしているが長くなったことを示している。これは、長時間のオクトレオチドの滞留を可能にし、活性期間を長くする可能性があるため、有利であり得る。
【0320】
酢酸オクトレオチドをヒトに注射するための認可用量は、0.1mg/患者である。サルにおける上記結果は、約10mgオクトレオチド/投与を含有する改良製剤が、ヒトにおいて治療暴露をもたらすことを示唆する。
【0321】
実施例36:安定性データ
本発明の基本および改良オクトレオチド製剤は、両方とも4℃および25℃で維持し、定期的にオクトレオチド含有量を試験した。いずれの製剤も安定であることがわかった。
【0322】
実施例37:バンコマイシン、インターフェロン−α、およびテルリプレシンを組み込む製剤
A.バンコマイシン:以下の表43は、親水性画分中に10%PVPおよび15%オクタン酸ナトリウムを含有し、疎水性媒体の主成分としてトリカプリル酸グリセリルを含有する、バンコマイシン改良製剤を説明する。バンコマイシンは、Gold Biotechnologyから入手した。
【0323】
【表43】
予備実験において、表43において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与し、製剤投与後に血漿バンコマイシンレベルを測定した。暴露値、AUCをこの製剤に対して決定した。結果は、絶対BAが約5%である(静脈内との比較、n=6)。生理食塩水中のバンコマイシンを無麻酔ラットの空腸に投与した際、BAは検出されなかった。
【0324】
インターフェロン−α:以下の表44は、親水性画分中に10%PVPおよび15%オクタン酸ナトリウムを含有し、疎水性媒体の主成分としてトリカプリル酸グリセリルを含有する、インターフェロン−α改良製剤を説明する。インターフェロン−αは、緩衝液で(Intas Biopharmaceuticalsから)供給され、製剤中のインターフェロン−α緩衝液の成分には、アスタリスク(
*)を付した。
【0325】
【表44】
表44において上述した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与する。製剤投与後に、血漿インターフェロンα値を測定する。
【0326】
C.テルリプレシン:以下の表45は、テルリプレシン基本製剤、および親水性画分中に10%PVPおよび15%オクタン酸ナトリウムを含有し、トリカプリル酸グリセリルを疎水性媒体の主成分として含有するテルリプレシン改良製剤について説明する。テルリプレシンは、Bambioから入手した。基本製剤は、本質的に、上述のとおり調製し、改良製剤も本質的に上述のとおり調製する。
【0327】
【表45】
上の表45において説明した製剤を、無麻酔ラットの空腸に直接投与する。製剤投与後に血漿テルリプレシン値を測定する。
【0328】
実施例38:オクトレオチドによる生体内成長ホルモンの阻害
オクトレオチドの最もよく特徴付けられる影響の1つは、成長ホルモン放出の阻害である。本発明のオクトレオチド製剤が成長ホルモン阻害に及ぼす有効性を試験するために、ラットモデルを使用し、オクトレオチド製剤を(上述の)無麻酔ラットモデルの空腸に投与した後、内因性成長ホルモン(rGH)値を監視した。ラットの空調への基本オクトレオチド製剤(12%オクタン酸ナトリウムを含有)の投与は、生理食塩水対照の投与と比較して、rGH値を87.4%減少させることを示した。この結果は、本明細書に記載されるオクトレオチド製剤は、オクトレオチドをその活性形態で、腸内腔から血流の中への送達を可能にすることを証明する。
【0329】
実施例39:毒物学研究
製剤対照(賦形剤のみ、カーゴなし)の28日毒物投与研究をウィスター系ラットにおいて行った。試験群の動物に、実行可能な最大用量の製剤(100μL/動物/日)を28日連続して直腸的に連日投与した。試験群を2つの対照群:ナイーブ群(非処置)および生理食塩水投与群(n=15/群)と比較した。
【0330】
一般的な臨床観察を1日2回行い、詳細な臨床観察を毎週行った。体重および摂餌量を週1回測定した。臨床病理学および全体病理学は、最終処置の1日後に行った。直腸、大腸、肝臓、および腎臓に組織学的試験を行ったところ、毒性作用は検出されなかった。局所GIまたは全身所見、臨床所見に関連する製剤、血液学的および血液化学パラメータの変化、剖検における肉眼所見のない、および死亡のないクリーンな組織病理であった。結論として、本実験は、製剤をラットに28日連続して1日1回直腸投与する間、毒性は認められなかったことを証明した。
【0331】
したがって、少なくとも1つの実施形態に関していくつかの態様を説明したが、当業者であれば様々な変更、修正、および改良を容易に思いつくことを理解されたい。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内であるものとする。
【0332】
したがって、前述の説明および図面は、単なる実施例の目的であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の適切な解釈から決定されるべきである。