【課題を解決するための手段】
【0007】
前記第1の目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)〜(10)の構成が採用されている。
(1)穴あけ加工機と、該穴あけ加工機に対向した状態で配設され該穴あけ加工機により穴あけ加工されるワークをチャックするチャック装置とが備えられ、該チャック装置の内部に、コレットチャックとして、筒状のスリーブと、該スリーブ内に嵌合され該スリーブとの相対移動により縮径されるコレットとが備えられ、該コレット及び該スリーブの各両端開口が前記チャック装置の外部に向けて開口されている加工装置において、
前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記穴あけ加工機に向けられ、
前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている構成とされている。
この構成によれば、軸部と、該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるワークのうち、長尺なワークに関しては、そのワークの長い軸部をコレット内に穴あけ加工機に近い側のスリーブの一端側開口から挿入すれば、コレット及びスリーブの各両端がチャック装置の外部に開口されていること、ワークの軸部が長いことを利用することができ、コレットとスリーブとの相対移動により、穴あけ加工機から離れたコレットにその長い軸部をチャックすることができる。その際、ワークの拡径部の端面が穴あけ加工機に臨むことから、拡径部の端面から穴あけ加工を行うことができる。
他方、前記ワークのうち、短尺なワークに関しては、その短い軸部をコレット内に穴あけ加工機に対して遠い側のスリーブの他端側開口から挿入すれば、そのワークの軸部が短くても、スリーブ内でのコレットの配置位置を利用して、そのコレットとスリーブとの相対移動によりそのコレットにそのワークの短い軸部をチャックすることができる。その際、コレット及びスリーブの各両端開口がチャック装置の外部に開口されていることを利用して、穴あけ加工機をスリーブ内にその一端側開口から進入させることができることから、チャック装置におけるコレット及びスリーブの向きを反転させなくても、ワークの軸部の端面に穴あけ加工を行うことができる。
【0008】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記スリーブの他端が、該スリーブの軸線方向において、前記チャック装置の外面のうち、前記穴あけ加工機に近い側に位置するものに比して遠い側に位置するものに近づけられている構成とされている。
この構成によれば、コレットを、チャック装置の外面のうち、穴あけ加工機に近い側に位置するものに比して遠い側に位置するものに近づけることができ、ワークの軸部がかなり短いものであっても、その短い軸部をスリーブの他端側開口から挿入することにより、コレットに的確にチャックすることができる。
【0009】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記チャック装置が、前記コレットチャックが組み込まれたチャック装置本体と、該チャック装置本体における前記コレットに対して、その他端側外方に配置される押圧装置とを備え、
前記押圧装置は、前記コレットに対して接近、離間動可能に設定されていると共に、前記コレットを縮径させるときには、該コレットに接近して該コレット又は前記スリーブを押圧することにより、該コレットと該スリーブとを相対移動させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、コレットとスリーブとを相対移動させる駆動手段として、コレットに対して接近、離間動する押圧装置が用いられることから、チャック装置本体内部に、コレットとスリーブとを相対移動させる駆動手段として、複雑で緻密な油圧回路等を設ける必要がなくなり、チャック装置の構成を簡素化することができる。
また、チャック装置本体内部に、コレットとスリーブとを相対移動させる駆動手段を設けずに、押圧装置を、その駆動手段として、チャック装置本体の外部に設けることから、チャック装置本体の長さを、コレットの軸線方向において、駆動手段をチャック装置本体内部に設ける場合(例えば特許文献1に記載の装置)に比べて短くすることでき、短尺なワークの軸部端面から穴あけ加工をするに際して、チャック装置本体(スリーブ内)への穴あけ加工機の進入量を減らすことができる。このため、穴あけ加工機(切削具)としては、上記進入量分だけ減らしたものを用いることができ、穴あけ加工時において、その穴あけ加工機(切削具)の撓み抑制効果を高めることができる。この結果、ワークにおいて穴あけ加工を行うに当り、加工穴が振れた状態に形成されることを抑えることができ、加工穴として、精度が高いものを形成できる。
【0010】
(4)前記(3)の構成の下で、
前記チャック装置本体に筒状の本体が、その軸線方向を前記コレットの軸線方向に向くようにして備えられ、
前記本体内に前記スリーブが、その他端側を前記押圧装置に向けた状態で取付けられ、
前記スリーブの他端側内に前記コレットが、該コレットの他端側を前記押圧装置に向けた状態で嵌合され、
前記スリーブの内周面が、該スリーブの一端側から他端側に向かうに従って拡径され、
前記コレットの外周面が、その一端側から他端側に向かうに従って拡径され、
前記押圧装置は、前記コレットを縮径させるときには、該コレットを押圧して該コレットと前記スリーブとを相対移動させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、コレットに対する押圧装置の押圧によりワークの軸部をコレットにチャックさせることができる一方で、スリーブの内周面及びコレットの外周面の形状に基づき、スリーブの他端側において、スリーブに対するコレットの着脱を確実且つ容易に行うことができ、コレットを、ワークに応じたより好ましいコレットに容易に交換することができる。
【0011】
(5)前記(4)の構成の下で、
前記コレットの他端側開口周縁部に係止部材が設けられ、
前記スリーブの他端側外周面と前記本体内周面との間に、筒状部材の一端側が、該筒状部材の他端側を前記スリーブの他端側外方に突出させた状態で摺動可能に介在され、
前記筒状部材の他端側内周面に、該筒状部材の他端側内径を該筒状部材の一端側内径よりも縮径させた縮径部が形成され、
前記縮径部には、前記コレットの他端面外周縁部に当接する当接面と、該当接面が該コレットの他端面外周縁部に当接している状態の下で前記係止部材に係止されて該コレットと前記筒状部材とを該コレットの軸線方向に相対変位不能とする規制爪部と、が設けられ、
前記筒状部材の一端面と前記本体との間に、該筒状部材の縮径部を前記スリーブの他端面から離間する方向に付勢する付勢手段が介在されている構成とされている。
この構成によれば、軸部と、該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるワークのうち、短尺なワークを加工するに際して、そのワークの拡径部の径が大きなものであっても、筒状部材の他端面の外径を大きくすることにより、その筒状部材の他端面を押圧装置により押圧することができ、その筒状部材の他端面に対する押圧によりコレットをスリーブに対して後退させて該コレットを的確に縮径させることができる(ワーク軸部のチャック)。
その一方で、押圧装置が筒状部材の他端面を押圧しないときには、コレットが、付勢手段の付勢力によりスリーブの他端側から外方に突出された状態となり、筒状部材を容易に把持できるばかりか、その筒状部材を外方に引き出すことによりコレットを簡単に引き出すことができる。このため、コレットの交換を容易に行うことができる。
【0012】
(6)前記(1)の構成の下で、
前記スリーブの一端面に、軸状ワークの径よりも縮径された貫通孔を有する第1環状部材又は軸状ワークの径よりも拡大された貫通孔を有する第2環状部材のいずれかが選択的に着脱可能に取付けられ、
前記第1環状部材として、該第1環状部材の貫通孔を前記コレットの一端側開口に臨ませると共に、該第1環状部材の貫通孔周縁部に位置決め用筒部を突設して該位置決め用筒部を前記スリーブ内に該スリーブの一端側から進入させるものが用いられ、
前記第2環状部材として、該第2環状部材の貫通孔を前記コレットの一端側開口に臨ませると共に、該第2環状部材の外面側に該環状部材の貫通孔を中心として広がる凹所を形成して該凹所の内面を該貫通孔の軸線方向外方に向うに従って拡径するように傾斜させたものが用いられる構成とされている。
この構成によれば、第1環状部材を用いた状態で、短尺なワークの短い軸部をスリーブ内にその他端側開口から挿入したときには、その軸部端面を位置決め用筒部の先端面に当接させることができ、コレットに対する短尺なワークの位置決めを行うことができる。また、第2環状部材を用いた状態で、長尺なワークの長い軸部をスリーブ内にその一端側開口から挿入したときには、その傘部背面を凹所内面に当接させることができ、コレットに対する長尺なワークの位置決めを行うことができる。このため、いずれの場合においても、位置決めされたワークに対して、穴あけ加工機により穴あけ加工が行われることになり、穴あけ加工を精度の高いものとすることができる。
また、第1、第2の環状部材がスリーブの一端面に選択的に着脱可能に取付けられることから、ワークに応じた最適な環状部材(第1又は第2の環状部材)を選択し、その環状部材をスリーブの一端面に簡単に取付けることができる。
【0013】
(7)前記(6)の構成の下で、
前記第1環状部材の外面側には、該第1環状部材の貫通孔を中心として広がる凹所が形成され、
前記凹所内面が、前記貫通孔の軸線方向において前記位置決め用筒部から前記環状部材の外面側に向うに従って拡径されるように傾斜されている構成とされている。
この構成によれば、短尺なワークに対してその軸部端面から穴あけ加工を行うに際して、切削屑が発生しても、その切削屑を凹所内面の案内作用により外部に容易に排出することができる。
【0014】
(8)前記(6)の構成の下で、
前記スリーブの一端面に前記第2環状部材が取付けられたときには、前記スリーブ内に、前記コレットとして、該コレットの軸線方向長さが標準長さよりも長くされた長尺コレットが組み込まれ、
前記長尺コレットの一端面が前記スリーブの軸線方向中央部を越えて該第2環状部材の内面側に位置されている構成とされている。
この構成によれば、長尺コレットが長尺なワークの長い軸部を長い範囲に亘ってチャックできることになり、長尺なワークに対する穴あけ加工に際して、その長い軸部が振れることを高い確実性をもって防止できる。このため、長尺なワークに対する穴あけ加工の精度を高めることができる。
【0015】
(9)前記(4)の構成の下で、
前記本体が、該本体の軸線を中心として回転駆動されるように設定され、
前記押圧装置が、前記コレットに接近、離間動可能とされる移動体と、該移動体に、前記コレットに臨む領域において回転可能に支持される押圧部材と、を備えている構成とされている。
この構成によれば、穴あけ加工に際して、ワークが回転させられるとしても、その回転は、移動体に対する押圧部材の相対回転により吸収されることになり、押圧装置を、ワークの回転に支障を与えることなく穴あけ加工に的確に用いることができる。
【0016】
(10)前記(5)の構成の下で、
前記筒状部材が、一端側が前記スリーブの他端側外周面と前記本体内周面との間に摺動可能に挿入され他端側が前記スリーブの他端面よりも外方に突出される筒本体と、該筒本体の他端面に着脱可能に取付けられる環状蓋とにより構成され、
前記本体に、前記筒本体の他端側が前記スリーブの他端面に対して所定突出量を超えたとき、該筒本体に係合して該筒本体の移動を規制するストッパが取付けられ、
前記環状蓋が、前記縮径部として、前記当接面及び前記規制爪部を構成している構成とされている。
この構成によれば、環状蓋を取り外すことにより、筒本体及び付勢手段を本体内に残しつつ、コレットだけをスリーブから引き出すことができ、コレットの取外し、組付け作業を著しく向上させることができる。
【0017】
前記第2の目的を達成するために本発明にあっては、下記(11)〜(14)の構成が採用されている。
(11)穴あけ加工機と、該穴あけ加工機に対向した状態で配設され該穴あけ加工機により穴あけ加工されるワークをチャックするチャック装置とが備えられ、該チャック装置の内部に、コレットチャックとして、筒状のスリーブと、該スリーブ内に嵌合され該スリーブとの相対移動により縮径されるコレットとが備えられ、該コレット及び該スリーブの各両端開口が前記チャック装置の外部に向けて開口され、前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記穴あけ加工機に向けられ、前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている加工装置の下で、
ワークとして、軸部と該軸部の一端部に一体的に設けられて該軸部よりも拡径された拡径部とを備えるものを用意し、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも短く且つ該ワークの軸部の他端面から穴あけ加工を行うときには、該ワークの軸部を前記コレット内にその他端側開口から挿入して、該ワークの軸部を、前記コレットと前記スリーブとの相対移動により該コレットをもって保持し、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも長く且つ該ワークの拡径部の端面から穴あけ加工を行うときには、該ワークの軸部を前記コレット内にその一端側開口から挿入して、該ワークの軸部を、前記コレットと前記スリーブとの相対移動により該コレットをもって保持する構成とされている。
この構成によれば、ワークのうち、長尺なワークに関しては、コレット及びスリーブの各両端開口がチャック装置の外部に開口されていること、ワークの軸部が長いことを利用することにより、コレットにその長い軸部を的確にチャックすることができ、その際、ワークの拡径部の端面が穴あけ加工機に臨むことから、拡径部の端面に穴あけ加工を行うことができる。
ワークのうち、短尺なワークに関しては、チャック装置内でのコレットの配置位置を利用することにより、コレットにその短い軸部を的確にチャックすることができ、その際、コレット及びスリーブの各両端開口がチャック装置の外部に開口されていることを利用することにより、穴あけ加工機をスリーブ内に進入させて、チャック装置におけるコレット及びスリーブの向きを反転させなくても、ワークの軸部の端面に穴あけ加工を行うことができる。
【0018】
(12)前記(11)の構成の下で、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも短く且つ該ワークの軸部の他端面から穴あけ加工を行うときには、前記コレットに対する前記ワークの位置決め手段として、環状部材であって該環状部材の貫通孔周縁部から筒部が突出するものを用意し、
前記スリーブの一端面に前記環状部材を取付けて、該環状部材の筒部を前記スリーブ内に進入させた上で、
前記ワークの軸部を前記コレットの他端側開口から挿入することにより、該ワークの軸部の他端面を前記筒部の端面に当接させる構成とされている。
この構成によれば、ワークが短尺なワークであっても、コレットに対する短尺なワークの挿入状態を決めることができ、コレットにおいて短尺なワークを所定の位置状態でチャックすることができる。このため、短尺なワークに対する穴あけ加工を的確に行うことができる。
【0019】
(13)前記(11)の構成の下で、
前記ワークの軸部が前記スリーブの軸線方向長さよりも長く且つ該ワークの拡径部の端面から穴あけ加工を行うときには、前記コレットに対する前記ワークの位置決め手段として、環状部材であって該環状部材の貫通孔周縁部が前記ワークの拡径部を受け止める受け面を構成するものを用意し、
前記スリーブの一端面に前記環状部材を取付けて、該環状部材の受け面を外側に向け、
その上で、前記ワークの軸部を前記環状部材の貫通孔及び前記スリーブの一端側開口を介して前記コレット内に挿入することにより、該ワークの拡径部を前記環状部材の受け面に当接させる構成とされている。
この構成によれば、コレットに対する長尺なワークの挿入状態を環状部材の受け面により決めることができ、コレットにおいて長尺なワークを所定の位置状態でチャックすることができる。このため、長尺なワークに対する穴あけ加工を的確に行うことができる。
【0020】
(14)前記(13)の構成の下で、
前記コレットとして、その軸線方向長さが標準長さよりも長い長尺コレットを用意し、
前記長尺コレットを前記スリーブ内に組み込んで、該長尺コレットの一端面を該スリーブの軸線方向中央部を越えて前記環状部材の内面に近づける構成とされている。
この構成によれば、長尺コレットが長尺なワークの長い軸部を長い範囲に亘ってチャックすることになり、長尺なワークに対する穴あけ加工に際して、その長い軸部が振れることを高い確実性をもって防止できる。このため、長尺なワークに対する穴あけ加工の精度を高めることができる。
【0021】
前記第3の目的を達成するために本発明にあっては、下記(15)〜(18)の構成が採用されている。
(15)軸線方向一端面が穴あけ加工機に対向する対向端面とされる筒状の本体と、該本体の軸線方向に軸線方向を合わせた状態で該本体内に設けられるスリーブと、該スリーブの軸線方向に軸線方向を合わせた状態で該スリーブ内に嵌合されるコレットと、が備えられ、該スリーブ及び該コレットの両端開口が前記本体の軸線方向両端外方に向けて開口されているチャック装置において、
前記スリーブ及び前記コレットの各一端側開口が前記対向端面の開口に向けられ、
前記コレットが、前記スリーブの他端側に配置されている構成とされている。
この構成によれば、前記(1)の構成に係る加工装置に用いられるチャック装置として好ましいものを提供できる。
【0022】
(16)前記(15)の構成の下で、
前記スリーブの他端が、該スリーブの軸線方向において、前記本体の軸線方向一端面よりも該本体の軸線方向他端面に近づけられている構成とされている。
この構成によれば、前記(2)の構成に係る加工装置に用いられるチャック装置として好ましいものを提供できる。
【0023】
(17)前記(16)の構成の下で、
前記本体、前記コレット及び前記スリーブが組み込まれたチャック装置本体と、該チャック装置本体における前記コレットに対して、その他端側外方に配置される押圧装置とを備え、
前記押圧装置は、前記コレットに対して接近、離間動可能に設定されていると共に、前記コレットを縮径させるときには、該コレットに接近して該コレット又は前記スリーブを押圧することにより、該コレットと該スリーブとを相対移動させるように設定されている構成とされている。
この構成によれば、前記(3)の構成に係る加工装置に用いられるチャック装置として好ましいものを提供できる。
【0024】
(18)前記(17)の構成の下で、
前記本体が、該本体の軸線を中心として回転駆動されるように設定され、
前記押圧装置が、前記コレットに接近、離間動可能とされた移動体と、該移動体に、前記コレットに臨む領域において回転可能に支持される押圧部材と、を備えている構成とされている。
この構成によれば、ワークが回転させられるとしても、押圧装置に対しては、その回転は、移動体に対する押圧部材の相対回転により吸収されることになり、押圧装置がワークの回転に支障を与えることを防止できる。