【実施例】
【0054】
実施例1 組換えヒトOX40の発現及び関連するEGFP細胞の調製
S1.1
タンパク質データベースUniprotにおけるヒトOX40のアミノ酸配列(P43489)に基づいて、ヒトOX40の細胞外ドメインのアミノ酸配列(hOX40)(すなわち、P43489における1位の残基〜216位の残基)を取得した。
【0055】
S1.2
タンパク質データベースUniprotにおけるヒト免疫グロブリンgamma1(IgG1)の定常領域のアミノ酸配列(P01857)に基づいて、ヒトIgG1−Fc(hFc)のドメインのアミノ酸配列(すなわち、P01857における104位の残基〜330位の残基)を取得した。
【0056】
S1.3
タンパク質データベースUniprotにおけるマウス免疫グロブリンgamma1(IgG1)の定常領域のアミノ酸配列(P01868)に基づいて、マウスIgG1−Fc(muFc)のドメインのアミノ酸配列(すなわち、P01868における98位の残基〜324位の残基)を取得した。
【0057】
S1.4
人工合成の手法によってステップS1.1〜S1.3におけるDNA断片を取得し、合成された遺伝子配列は、それぞれFermentas社のHindIII及びEcoRIのダブルダイジェストによって市販のベクターpcDNA4/myc−HisA(Invitrogen、V863−20)にサブクローニングし、プラスミド構築の正確性をシークエンシングして検証し、組換えプラスミドDNA、すなわち、pcDNA4−hOX40−hFc、pcDNA4−hOX40−muFcを取得した。
【0058】
S1.5
タンパク質データベースUniprotにおける情報に基づいて、高感度緑色蛍光タンパク質EGFPのアミノ酸配列(C5MKY7)、ヒトOX40のアミノ酸配列(P43489)、マウスOX40のアミノ酸配列(P47741)、ヒトCD137のアミノ酸配列(Q07011)、ヒトCD27のアミノ酸配列(P26842)を取得した。
【0059】
S1.6
人工合成の手法によってステップS1.5におけるDNA断片を取得し、合成された遺伝子配列は、それぞれFermentas社のHindIII及びEcoRIのダブルダイジェストによって市販のベクターpcDNA4/myc−HisA(Invitrogen、V863−20)にサブクローニングし、プラスミド構築の正確性をシークエンシングして検証し、組換えプラスミドDNA、すなわち、pcDNA4−hOX40−EGFP、pcDNA4−hCD137−EGFP、pcDNA4−mOX40−EGFP、及びpcDNA4−hCD27−EGFPを取得した。
【0060】
S1.7
ステップS1.6におけるEGFP組換えプラスミドをHEK293(ATCC、CRL−1573(商標))細胞にトランスフェクションし、トランスフェクションの48時間後に蛍光活性化シグナルソーター(FACS)によってhOX40、hCD137、mOX40、hCD27の発現を確認した。
【0061】
S1.8
pcDNA4−hOX40−Fc、pcDNA4−hOX40−muFcをタンパク質産生用のHEK293細胞に一過性トランスフェクションした。組換え発現プラスミドをFreestyle293培地で希釈して形質転換に必要なPEI(ポリエチレンイミン)溶液に加え、プラスミド/PEI混合物をグループ毎にそれぞれ細胞懸濁液に加え、37℃で静置し、10%のCO
2、90rpmで培養した。5日〜6日培養した後に一過性発現培養上清を集め、ProteinAアフィニティークロマトグラフィーによってhOX40−Fc、hOX40−muFcのタンパク質サンプルを予備精製し、以下の各実施例に用いた。得られたタンパク質サンプルはSDS−PAGEによって一次検出を行い、目的のバンドをはっきりと見ることができた。
【0062】
実施例2 酵母ディスプレイライブラリーからの抗hOX40抗体のスクリーニング、クローニング、発現及び同定
2.1 方法
ヒトOX40を対象とした完全ヒト抗体を酵母ディスプレイ技術によってスクリーニングした。健康な150人に由来するPBMCのIgM及びIgGのcDNAにおけるVH及びVL遺伝子を特定のベクターにクローニングすることによって、容量5×10
8のscFV酵母ディスプレイライブラリーを構築した(VHとVLとの間の結合配列はGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号1)リンカーペプチドである)。10倍の容量の酵母バンクを回復させ、酵母表面での抗体発現を誘導し、100nMのビオチン化hOX40抗原を用いて磁気分離の手法によって2回濃縮し、その後、ビオチン化hOX40を用いてフローサイトメトリー分離によって更に2回濃縮した。得られた酵母コーティングプレートは、単クローンを選択した。単クローン酵母は増殖及び誘導によって発現した後、抗myc抗体及びビオチン化hOX40又は対照抗原hCD137を用いて染色、分析し、抗原陽性/対照抗原陰性の酵母を陽性酵母とした。
【0063】
FACSによって確認された酵母クローンについて酵母コロニーのPCR及びシークエンシングを行った。PCRプライマーは配列F:CGTAGAATCGAGACCGAGGAGA(配列番号2)、配列R:CTGGTGGTGGTGGTTCTGCTAGC(配列番号3)とし、シークエンシングプライマーは配列Rとした。シークエンシングの結果を得て、ソフトウェアBioEditを用いて配列を比較分析した。
【0064】
このようにして得られた一本鎖抗体のscFv遺伝子を上述したヒトIgG1−Fc遺伝子と融合させた後、Fermentas社のHindIII及びEcoRIのダブルダイジェストによって市販のベクターpcDNA4/myc−HisAにクローニングし、分子クローニングの標準操作通りにクローニングしてプラスミドを小量抽出した。抽出したプラスミドは、HEK293細胞で一過性発現させ、proteinAカラムで精製した。
【0065】
hOX40−EGFP細胞を0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、上述の精製した2μgの抗hOX40scFv抗体を加え、同時に、関連の対照をセットした。陰性対照は、2μgのhIgG1タンパク質とした。二次抗体は、eBioscienceの抗hIg−PEとした。染色が終わってからフローサイトメーターで検出した。細胞表面のhOX40抗原に結合可能な抗体をこの手法で同定した。
【0066】
スクリーニング及び同定によって得られた比較的特性が良い3株の抗体は、それぞれO3scFv、O19scFv、O21scFvであった。
図1に示すように、3株の抗hOX40抗体はいずれも細胞表面のhOX40と結合することができ、陰性対照は細胞表面のhOX40と結合することができなかった。上述した抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域との間には、リンカーペプチド配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号1)が含まれる。
【0067】
2.2 配列
2.2.1 O3scFvの重鎖可変領域のアミノ酸配列
QVQLQQWGAGLLKPSETLSLTCGFNGEYFT
DYFWTWVRQPPGEALEWLA
LIYWDDDERYSPSLKNRLIITKDISKNQVVLTMTHMEPADTGTYYCAR
WGGSLMNAFDVWGPGTMVTVSS(配列番号4)
下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号5〜7とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号8〜11とする。
【0068】
その対応するDNA配列
CAGGTGCAGCTACAGCAGTGGGGCGCAGGACTGTTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCGGTTTCAATGGAGAATACTTCACTGATTACTTCTGGACCTGGGTCCGGCAGCCCCCCGGAGAGGCCCTGGAGTGGCTTGCACTCATTTATTGGGATGATGATGAGCGCTACAGCCCATCTCTGAAGAACAGACTCATCATCACCAAGGACATTTCCAAAAACCAGGTGGTCCTTACAATGACCCACATGGAGCCTGCGGACACAGGCACCTATTACTGTGCGAGATGGGGTGGTTCTTTAATGAACGCTTTTGATGTCTGGGGCCCAGGGACAATGGTCACCGTCTCTTCA(配列番号12)
【0069】
その軽鎖可変領域のアミノ酸配列
QSALIQPASVSGSPGQSITISC
TGTSSDVGGYNYVSWYQRHPGKAPRLMIY
DVTKRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYC
SSYTSSSIAVFGGGTQLTVL(配列番号13)
なお、下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号14〜16とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号17〜20とする。
【0070】
その対応するDNA配列
CAGTCTGCCCTGATTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGTAGTGACGTTGGTGGTTATAATTATGTCTCCTGGTACCAACGACACCCAGGCAAAGCCCCCAGACTCATGATTTATGATGTCACTAAGCGGCCCTCAGGGGTTTCTAATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGCAGCTCATATACAAGCAGCAGCATTGCTGTGTTCGGAGGAGGCACCCAGCTGACCGTCCTC(配列番号21)
【0071】
2.2.2 O19scFvの重鎖可変領域のアミノ酸配列
QVQLVESEGGLVQPGGSLRLSCAASRFTFS
NYWMSWVRQAPGKGLEWVA
NIKQDGSEKYYMDSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNTLRAEDTAMYYCTR
VSFGVPTYDDFWRSYATPAWYFDFWGRGTLVTVSS(配列番号22)
下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号23〜25とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号26〜29とする。
【0072】
その対応するDNA配列
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGAGGGAGGCTTGGTCCAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGCGCAGCCTCTAGATTCACGTTTAGTAACTATTGGATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAAGGGCTGGAGTGGGTGGCCAATATAAAGCAAGATGGAAGTGAGAAATATTATATGGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACTCACTGTTTCTGCAGATGAACACCCTAAGAGCCGAGGACACGGCTATGTATTACTGTACGAGGGTTAGTTTCGGAGTGCCGACGTATGACGATTTTTGGAGGAGTTACGCGACGCCCGCTTGGTACTTCGATTTTTGGGGCCGTGGTACCCTGGTCACTGTCTCCTCA(配列番号30)
【0073】
その軽鎖可変領域のアミノ酸配列
QSALIQPASVSGSPGQSITISC
TGISSDDGYYKYVSWYQQYPGKAPKLMIY
DVSKRPSGISFRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYC
SSYTSNMTPYVFGTGTKVTVL(配列番号31)
なお、下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号32〜34とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号35〜38とする。
【0074】
その対応するDNA配列
CAGTCTGCTCTGATTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAATTAGTAGTGACGATGGTTATTATAAGTATGTCTCCTGGTACCAACAATATCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAAGCGGCCCTCAGGGATTTCTTTTCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGCAGCTCATATACAAGTAACATGACCCCCTATGTCTTCGGCACTGGGACCAAGGTCACCGTCCTA(配列番号39)
【0075】
2.2.3 O21scFvの重鎖可変領域のアミノ酸配列
QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS
SNSVSWDWIRQSPSRGLEWLG
RTYYRSKWYNEYAVSVESRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAIYFCVR
NNYFFDLWGRGTLVTVSS(配列番号40)
下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号41〜43とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号44〜47とする。
【0076】
その対応するDNA配列
CAGGTACAGCTGCAGCAGTCAGGTCCAGGACTGGTGAAGCCCTCGCAGACCCTCTCACTCACCTGTGCCATCTCCGGGGACAGTGTCTCTAGCAACAGTGTCTCTTGGGACTGGATCAGGCAGTCCCCCTCGAGGGGCCTTGAGTGGCTGGGAAGGACATACTATAGGTCCAAGTGGTATAATGAGTATGCAGTATCTGTGGAAAGTCGAATAACCATCAACCCAGACACATCCAAGAACCAGTTCTCCCTGCAACTGAACTCTGTGACTCCCGAGGACACGGCTATATATTTCTGTGTAAGAAATAACTACTTCTTCGATCTCTGGGGCCGTGGTACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号48)
【0077】
その軽鎖可変領域のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC
RASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIY
DASDRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC
QLRSNWPPGYTFGQGTKVEIK(配列番号49)
なお、下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号50〜52とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号53〜56とする。
【0078】
その対応するDNA配列
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCGACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTTGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCTGCGTAGCAACTGGCCTCCGGGGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号57)
【0079】
実施例3 3株の抗体のscFv型抗体からIgG型抗体へのフォーマット化
タンパク質データベースUniprotにおけるヒト免疫グロブリンgamma4(IgG4)の定常領域のアミノ酸配列(P01861)に基づいて、ヒトIgG4の定常領域のアミノ酸配列を取得した。スクリーニングして得られたO3、O19、O21の重鎖可変領域VHの配列をヒトIgG4の定常領域の遺伝子配列と一緒にアセンブリングし、アセンブリングされた遺伝子を合成し、Fermentas社のHindIII及びEcoRIのダブルダイジェストによってベクターpcDNA4/myc−HisAにサブクローニングし、pcDNA4−O21HC、pcDNA4−O3HC、pcDNA4−O19HCを取得した。
【0080】
タンパク質データベースUniprotにおけるヒト免疫グロブリンKappaの定常領域のアミノ酸配列(P01834)に基づいて、ヒトKappaの軽鎖定常領域のアミノ酸配列を取得した。スクリーニングして得られたO21の軽鎖可変領域VLの配列をヒトKappaの軽鎖定常領域の遺伝子配列と一緒にアセンブリングした。タンパク質データベースUniprotにおけるヒト免疫グロブリンlambdaの定常領域のアミノ酸配列(A0M8Q6)に基づいて、ヒトlambdaの軽鎖定常領域のアミノ酸配列を取得し、スクリーニングして得られたO3、O19の軽鎖可変領域VLの配列をヒトlambdaの軽鎖定常領域の遺伝子配列と一緒にアセンブリングした。アセンブリングされた遺伝子を合成し、Fermentas社のHindIII及びEcoRIのダブルダイジェストによってベクターpcDNA4/myc−HisAにサブクローニングし、pcDNA4−O21LC、pcDNA4−O3LC、pcDNA4−O19LCを取得した。
【0081】
このようにして得られた重鎖及び軽鎖のプラスミドをAidLab社の提供するプラスミド大量抽出キット(PL14)を用いて大量抽出した。組み換えられ、構築された軽鎖及び重鎖のプラスミドの共トランスフェクションHEK293細胞について抗体を発現させた。組換え発現プラスミドをFreestyle293培地で希釈して形質転換に必要なPEI(ポリエチレンイミン)溶液に加え、プラスミド/PEI混合物をグループ毎にそれぞれ細胞懸濁液に加え、37℃で静置し、10%のCO
2、120rpmで培養し、5日〜6日培養した後に一過性発現培養上清を集め、ProteinAアフィニティークロマトグラフィーによって抗hOX40抗体、すなわちO3mAb、O19mAb及びO21mAbを精製して得た。
【0082】
実施例4 抗hOX40抗体の特性の同定
抗体のhOX40に対する特異的認識の有無の同定
精製された抗hOX40抗体と、hOX40、hCD137及びhCD27タンパク質との結合
hOX40−EGFP、hCD137−EGFP及びhCD27−EGFPを発現した実施例1で構築されたHEK293細胞を0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、抗hOX40mAbタンパク質を加え、氷上で20分インキュベートした。洗浄後、eBioscienceの二次抗体の抗hIg−PEを加え、氷上で20分。洗浄後、細胞を500μlの0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、フローサイトメーターで検出した。結果は
図2に示す通りであり、3株の抗体(O3mAb、O19mAb及びO21mAb)はいずれもhOX40−EGFP細胞と結合することができ、他のいくつかの種類のEGFP細胞(hCD137−RGFP−293F、hCD27−RGFP−293F)とは結合することができず、良好な特異性が示された。
【0083】
実施例5 抗OX40抗体のin vitroにおける親和性の向上
3株の抗体(O3mAb、O19mAb及びO21mAb)はいずれもhOX40−EGFP細胞と特異的に結合することができ、試験により、O21scFvとhOX40とにはより高い親和性があり、また、一過性トランスフェクションでは安定的で高い発現量があることがわかったので、O21scFv抗体を選択して更にin vitro親和性向上試験を行った。なお、in vitro親和性向上試験は抗体親和性に対する変異率の影響の研究を目的としており、試験の結果はO21scFvの判定に限らないものとし、O3scFv、O19scFv及びO21scFvを含む抗体の変異率の抗体親和性に対する影響として理解するものとする。
【0084】
5.1 抗OX40 21#ScFvの親和性改善の酵母ライブラリーの構築
実施例1で構築されたpcDNA4−OX40−21−Fcプラスミドをテンプレートとし、pcDNA4−F:TCTGGTGGTGGTGGTTCTGCTAGC(配列番号58)及びcMyc−BBXhoI:GCCAGATCTCGAGCTATTACAAGTCTTCTTCAGAAATAAGCTTTTGTTCTAGAATTCCG(配列番号59)をプライマーとして標準的なPCR反応を行った。得られたPCR産物は、Fermentas社のNheI及びBglII酵素消化によって組換えプラスミドを構築した。続いて、文献Ginger他、(2006) Nat Protoc 1(2):755-68の方法を参照し、エラープローンPCR法によって、scFvがランダム変異したPCR産物を得た。使用するプライマーは、ep−F:TAATACGACTCACTATAGGG(配列番号60)及びep−R:GGCAGCCCCATAAACACACAGTAT(配列番号61)とした。得られたPCR産物は、Fermentas社のGeneJET DNA purification Kitで精製してからエタノール沈殿で濃度が1μg/μlを超えるまで濃縮した。残りの操作方法は、文献Ginger他、(2006) Nat Protoc 1(2):755-68の方法を参照し、酵母電気穿孔法及びin vivo組換え法によって、親和性が成熟した酵母バンクを得た。
【0085】
5.2 生産され、親和性が改善した酵母の抗OX40 21#scFvのスクリーニング
このようにして得られた親和性成熟後の酵母バンクを10nM及び1nMのhOX40−Fcタンパク質を用いて2回のフローサイトメトリーによって分離した。分離して得られた酵母産物のコーティングプレートは、単クローンを選択して同定した。低濃度の抗原染色法によって、事前に得られた野生型酵母を対照として、フローサイトメトリー染色で親和性が向上した酵母単クローンを特定し、FACSで確認された酵母クローンに対して、上述した方法と同様に酵母コロニーPCRとシークエンシングとを行った。シークエンシングして得られた配列について、ソフトウェアBioEditによって変異部位を分析した。
【0086】
抗体親和性に対して影響がなく、更には親和性が向上したO21scFvの変異部位を整理した。結果は表1に示す通りである。表1の結果から、O21scFvでは表1に示されるように1つ以上の変異が発生しており、親和性に対して影響がなく、更には或る程度向上していることがわかる。これに対応するスクリーニングされた酵母単クローンの配列の分析結果は、表2に示す通りである。表2から、表1で列記された変異部位に表2に示されたいくつかの変異の組合せがある場合には抗体の親和性を向上させることができるとわかる。表2に示された酵母染色の結果は
図3に示す通りであり、O21scFvと比べると、抗体の親和性向上の程度が異なっていることがわかる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
表2からわかるように、O21scFvの重鎖CDR領域及び軽鎖CDR領域については、既存の実験では、3つのアミノ酸及び2つのアミノ酸をそれぞれ変異させても(実施例6における抗OX40 21#H96−L80mAb、その軽鎖の変異は3つのアミノ酸まで可能)、抗体の親和性を維持し、更には向上させることができると指摘されており、一方、O21scFvの重鎖可変領域には119個のアミノ酸(なお、CDR領域の32個のアミノ酸、FR領域の87個のアミノ酸)が、軽鎖可変領域には109個のアミノ酸(なお、CDR領域の29個のアミノ酸、FR領域の80個のアミノ酸)が含まれることが現在知られており、そこで、重鎖CDR領域又は軽鎖CDR領域との相同性が90%以上である場合には、抗体親和性を維持し、更には向上させる能力が依然としてあると考えられる。実際には、抗体の親和性と配列の相同性のパーセンテージとの間に決定的な関係はなく、抗体エピトープ(又は「抗原決定部位」という)を決定可能なキーアミノ酸残基の影響をより大きく受け、これらのキーアミノ酸残基では変異が生じていないか、又は変異に決定的な改変作用がないことを前提として、配列相同性は70%まで下げることができる。
【0090】
実施例6 scFv型抗体からIgG型抗体へのフォーマット化
実施例3の方法に従って、親和性成熟後のscFv型抗体をIgG型抗体にフォーマット化し、一連の抗OX40 21#mAbの変異体を得た。具体的な配列情報は、次の通りである。
【0091】
【0092】
【0093】
その軽鎖可変領域のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC
RASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIY
DASDRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC
QLRSNWPPGYTFGQGTKVEIK(配列番号49)
なお、下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号50〜52とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号53〜56とする。
【0094】
その対応するDNA配列
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCGACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTTGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCTGCGTAGCAACTGGCCTCCGGGGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号57)
【0095】
【0096】
【0097】
その軽鎖可変領域のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC
RASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIY
DASDRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC
QLRSNWPPGYTFGQGTKVEIK(配列番号49)
なお、下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号50〜52とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号53〜56とする。
【0098】
その対応するDNA配列
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCGACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTTGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCTGCGTAGCAACTGGCCTCCGGGGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号57)
【0099】
【0100】
【0101】
その軽鎖可変領域のアミノ酸配列
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC
RASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIY
DASDRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC
QLRSNWPPGYTFGQGTKVEIK(配列番号49)
なお、下線部分はそれぞれCDR1、CDR2、CDR3であり、その配列番号をそれぞれ配列番号50〜52とし、下線を引いていない部分はそれぞれFR1、FR2、FR3、FR4であり、その配列番号をそれぞれ配列番号53〜56とする。
【0102】
その対応するDNA配列
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCGACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTTGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCTGCGTAGCAACTGGCCTCCGGGGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号57)
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
実施例7 抗hOX40抗体の特性同定
7.1 精製された抗hOX40抗体とhOX40との結合能の検出(ELISA法)
コーティングバッファー(50mM、Na
2CO
3、NaHCO
3、pH9.6)でhOX40−muFcを2μg/mlに希釈し、100μL/ウェル、4℃で一晩静置した。プレート洗浄後、3%のBSA−PBS、37℃で1時間密閉した。抗hOX40抗体をそれぞれ2000ng/mlから始めて合計11個の濃度で2倍段階希釈を行い、希釈液(1%のBSA−PBS)を対照とし、37℃で2時間インキュベートした。ヤギ抗ヒトIgG−HRP(Goat anti-human IgG-HRP conjugated)を加え、37℃で1時間インキュベートした。可溶性で単一成分のTMB基質発色液を加え、室温、遮光下で5分〜10分発色させた。2NのH
2SO
4、50μL/ウェルで発色反応を終了させた。マイクロプレートリーダーMD SpectraMax Plus384に置いてOD450nm〜650nmにおける値を読み取り、ソフトウェアSoftMax Pro v5.4でデータを処理し、作図、解析した。結果は
図4〜
図6に示す通りである。
図4からわかるように、ScFvからIgG型抗体に転換された後、O19mAbの親和性は依然として比較的低く、O21mAbの親和性はあまり変化せず、比較的良好であり、O3mAbの親和性は著しく向上した。
図5及び
図6から分かるように、上述した抗OX40 21#mAbの変異体はいずれもOX40と結合することができ、また、in vitroで親和性が成熟された抗OX40 21#VHnew−L80mAb、抗OX40 21#H96−L80mAbは、抗OX40 21#mAbと比較すると、親和性が略2倍向上した。
【0112】
7.2 表面プラズモン共鳴(SPR)によるa−hOX40mAbsとhOX40との動力学親和性定数の解析
組換えヒトOX40に対する抗hOX40抗体の結合反応速度は、表面プラズモン共鳴(SRP:surface plasmon resonance)法によって計測器BIAcore X100を用いて測定した。チップCM5に抗ヒトFc抗体(マウスFcを交差認識しない)をカップリングし、被験抗体をランニングバッファーで5nMに希釈し、リガンドとしてチップ上の抗体により捕獲した。OX40−muFcは、ランニングバッファーで1000nMから1.37nMに2倍希釈した。注入時間は180秒とし、解離時間は1800秒とし、再生時間は60秒とした。ランニングバッファーはHBS−EP+とし、再生バッファーは10mMのグリシン−HCl(pH2.0)とした。シンプルな1対1のLanguir結合モデル(BIAcore評価ソフトウェア3.2版(BIAcore Evaluation Software version 3.2))によって結合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(kD)は、koff/konの比率で算出した。表3からわかるように、親和性成熟後の抗OX40 21#H96−L80mAbの親和性は、略2倍向上した。
【0113】
【表3】
【0114】
7.3 NF−κb系の抗hOX40抗体in vitroアゴニスト活性の検出
OX40−CD40プラスミドの構築
タンパク質データベースUniprotにおけるヒトOX40のアミノ酸配列(P43489)に基づいて、ヒトOX40の細胞外ドメイン及び膜貫通領域のアミノ酸配列(すなわち、P43489における1位の残基〜235位の残基)を取得した。タンパク質データベースUniprotにおけるヒトCD40のアミノ酸配列(P25942)に基づいて、ヒトCD40の細胞内領域のアミノ酸配列(すなわち、P25942における216位の残基〜277位の残基)を取得した。遺伝子合成法によって両者を一緒にアセンブリングし、Fermentas社のHindIII及びEcoRIのダブルダイジェストによって市販のベクターpcDNA4/myc−HisA(Invitrogen、V863−20)にサブクローニングし、プラスミド構築の正確性をシークエンシングして検証し、組換えプラスミドDNA、すなわち、pcDNA4−OX40−CD40(すなわち、下記で指摘するOX40−CD40)を取得した。
【0115】
293T−NF−κB安定発現株
293T細胞を24ウェルプレートに1×10
5/ウェル、1ウェル当たり200μlのDMEM完全培地で播種し、同時にMOI=2で20μlのNF−κB−ルシフェラーゼ−レンチウイルス(Qiagen、cat:CLS−013L)を加えた。感染の24時間後に上清を捨て、DMEM完全培地を1ml加えて培養を続け、24時間後にpromycinを0.3μg/ml含むDMEM完全培地に交換して培養を続け、細胞を培養、増幅させて凍結保存した。promycinでスクリーニングされた293T−NF−κB細胞を24ウェルプレートに1×10
5/ウェルで播種し、10ng/mlのTNF−αで6時間刺激した後に、溶解した細胞についてルシフェラーゼを検出した。その結果、TNF−αで刺激された細胞のルシフェラーゼの値は刺激されていない細胞よりも明らかに高いことがわかり、NF−κB−ルシフェラーゼが既に293T細胞に安定的に発現されていることが証明された。
【0116】
ペニシリン−ストレプトマイシン混合溶液を含まない培地で5×10
5の293T−NF−κB細胞を再懸濁し、6ウェルプレートに播種した。24時間後、上清を捨て、PBSで1回洗浄し、ペニシリン−ストレプトマイシン混合溶液がなく無血清の培養液を1.8ml加えた。プラスミド:リポソームが1:3の割合で、0.2μgのOX40−CD40プラスミドをトランスフェクションした。トランスフェクションの4時間後、上清を捨て、新鮮な完全培養液に交換し、培養を続けた。トランスフェクションの翌日、細胞を5×10
4/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種し、一連の濃度段階の抗体(初濃度10μg/ml、10倍希釈で7段階)を加え、同じ濃度のcross−link(Jackson Immuno Research Laboratories、109−006−008)を同時に加えて培養を6時間続け、溶解された細胞についてルシフェラーゼを検出した。
図7に示すように、
図7のA、C、E及びGはそれぞれO3mAb、O21mAb、抗OX40 21#VHnew−L80mAb及び抗OX40 21#H96−L80mAbのそれぞれの濃度におけるin vitroアゴニスト活性の検出結果を示しており、
図7のB、D、F及びHはそれぞれ対数(log)を取ったin vitroアゴニスト活性の検出結果を示す図であり、その結果、O3mAb及びO21mAbがいずれもin vitroにおいて良好なアゴニスト活性を有することが示され、良好な用量依存性が示された。親和性が向上した抗OX40 21#VHnew−L80mAb、抗OX40 21#H96−L80mAbは、アゴニスト活性が略2倍向上した。
【0117】
実施例8 抗体アゴニスト活性に対するそれぞれのサブタイプの影響
抗OX40 21#mAbの各種変異体はいずれもhOX40に対して特異的な高親和性を有しており、hOX40との結合反応速度の結果がいずれも良好であり、このうちの抗OX40 21#H96−L80mAbはアゴニスト活性が略2倍向上したので、本願では抗OX40 21#H96−L80mAb(以下、「H96−L80」と略称する)を例として更に説明するものとし、その他の各変異体については説明を省略する。なお、以降の各実施例ではH96−L80についてのみ説明をしているが、抗OX40 21#mAbの各種変異体にその特性がないか、又は他の2種類の抗体(O3mAb、O19mAb)にその特性がないと理解するものではない。以降の各実施例におけるH96−L80についての更なる実験データは、本発明の方法により得られる各種抗OX40抗体が比較的高い活性、親和性、機能性又は安定性を有することを証明するためのみに使用される。
【0118】
タンパク質データベースUniprotにおけるヒト免疫グロブリンgamma1(IgG1)及びヒト免疫グロブリンgamma2(IgG2)の定常領域のアミノ酸配列(それぞれP01857及びP01859)に基づいて、ヒトIgG1及びIgG2の定常領域のアミノ酸配列を取得した。その他は上述した方法に従って操作し、抗OX40 21#H96−L80IgG1mAb及び抗OX40 21#H96−L80IgG2mAbを取得した。実施例7の方法に従って実験し、結果は
図8に示す通りである。なお、
図8のA及び
図8のBはそれぞれIgG1及びIgG2の2種類のサブタイプのそれぞれの濃度におけるin vitroアゴニスト活性の検出結果であり、
図8のCはIgG1及びIgG2の2種類のサブタイプの対数を取った比較結果を示す図であり、
図8のDは0.1ug/mlの濃度におけるものであり、H96−L80の3種類のサブタイプの抗体アゴニスト活性が略同じであることがわかる。
【0119】
実施例9 精製されたH96−L80抗体と、ヒト及びアカゲザルの活性化されたCD4+T細胞及びCD8+T細胞との結合能の検出
ヒトリンパ球分離溶液(Tianjin Hanyang)の密度勾配遠心によって健康なボランティアの末梢血濃縮白血球から末梢血単核球PBMCを分離し、RPMI完全培地に播種した。終濃度5ug/mlのPHAを用いてPBMCを48時間活性化した。細胞を0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、H96−L80タンパク質を加え、氷上で20分インキュベートした。洗浄後、biolegendの二次抗体FITC抗hIgG(Cat#409310)又はBiolegendの抗体PE抗hOX40(Cat#350003)と、biolegendの抗体APC抗ヒトCD4(Cat#317416)とを加え、氷上で20分インキュベートした。洗浄後、細胞を500μl、0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、フローサイトメーターで検出した。結果は
図9のAに示す通りであり、H96−L80は活性化されたCD4+T細胞に対して良好に結合することができた。
【0120】
H96−L80とCD4+細胞におけるTreg及びTeffとの結合能を検出するために、上述の活性化されたヒトPBMCを用いて染色した。細胞を0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、H96−L80タンパク質を加え、氷上で20分インキュベートした。洗浄後、biolegendの二次抗体FITC抗hIgGと、biolegendの抗体APC抗ヒトCD4とを加え、氷上で20分インキュベートし、洗浄後、膜透過固定液(BD、51−2090KZ)を1時間作用させ、膜透過液(eBioscience、00−8333−56)で洗浄した後に再び膜透過液で再懸濁し、PE抗ヒトFoxp3(Cat#320208)を加え、4℃で染色して一晩静置し、洗浄後、細胞を500μl、0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、フローサイトメーターで検出した。結果は
図9のBに示す通りであり、H96−L80は活性化されたCD4+Foxp3+Treg細胞及びCD4+Foxp3−Teff細胞に対して良好に結合することができた。
【0121】
H96−L80とアカゲザルOX40との結合能を検出するために、上述したステップによって、活性化されたアカゲザルの末梢血単核球PBMCを取得した。細胞を0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、H96−L80タンパク質を加え、氷上で20分インキュベートした。洗浄後、biolegendの二次抗体FITC抗hIgGと、biolegendの抗体APC抗ヒトCD4及びPE抗ヒトCD8a(Cat#301008)とを加え、氷上で20分インキュベートした。洗浄後、細胞を500μl、0.5%のPBS−BSAバッファーに再懸濁し、フローサイトメーターで検出した。結果は
図9のCに示す通りであり、H96−L80は活性化されたアカゲザルのCD4+T細胞及びCD8+T細胞に対して良好に結合することができ、H96−L80がアカゲザルOX40と結合可能であることが示された。
【0122】
実施例10 抗OX40抗体によるT細胞の活性化及び増殖の促進
10.1 T細胞の活性化及び増殖による抗OX40scFv抗体のin vitro活性の研究及びそのアゴニスト機能の評価。
ヒトリンパ球分離溶液(Tianjin Hanyang)の密度勾配遠心によって健康なボランティアの末梢血濃縮白血球から末梢血単核球PBMCを分離し、RPMI完全培地に播種した。予め50μl、1μg/mlの抗CD3で96ウェルプレートをコーティングして4℃で一晩静置した。実験群は50μl、2μg/mlのO21scFvを用いて37℃で2時間コーティングし、可溶性で終濃度2μg/mlのO21scFv+終濃度4μg/mlのcross−link(Jackson Immuno Research Laboratories、109−006−008)を同時に加え、陰性対照はRPMI完全培地とした。PBMCの量は2×10
5/ウェルとし、5日間培養した後に上清を取った。
図10に示すように、IFN−γELISA検出キット(ebioscience)によって上清中のIFN−γのレベルを検出し(
図10のA)、BrdU染色キット(Roche、11647229001)によってT細胞の増殖を検出した(
図10のB)。このことからわかるように、O21scFvは、コーティングとcross−linkとの2種類の方法のいずれにおいても、良好にPBMCを活性化させるとともにT細胞の増殖を促進する活性を有している。
【0123】
10.2 in vitroにおけるPBMC及びCD4+T細胞の活性化によるO21scFv及びIgGの2種類の形式のアゴニスト活性の評価
ヒトリンパ球分離溶液(Tianjin Hanyang)の密度勾配遠心によって健康なボランティアの末梢血濃縮白血球から末梢血単核球PBMCを分離し、RPMI完全培地に播種した。CD4+T細胞分離キット(Miltenyi、cat#130−096−533)を用いてPBMCからCD4+T細胞を分離した。予め50μl、1μg/mlの抗CD3で96ウェルプレートをコーティングして4℃で一晩静置した。実験群は50μl、2μg/mlのO21scFv又はO21mAbを用いて37℃で2時間コーティングし、陰性対照は同等の用量のhIgG−Fcとした。PBMC及びCD4+T細胞の量は2×10
5/ウェルとし、5日間培養した後に上清を取り、IFN−γELISA検出キット(ebioscience)によって上清中のIFN−γのレベルを検出した。
【0124】
図11に示すように、PBMC(
図11のA)及びCD4+T細胞(
図11のB)に関して、in vitroにおけるO21抗体の完全抗体であるmab型がscFv型よりも良好なアゴニスト活性を有することがわかる。
【0125】
実施例11 T細胞亜群に対するIgG1及びIgG4のサブタイプの抗OX40抗体H96−L80の影響
実施例10の操作に従ってヒト末梢血単核球(PBMC)を取得し、溶解した抗CD28(0.5μg/ml)と、結合プレートの抗CD3(3μg/ml)と、抗ヒトOX40mAb H96−L80IgG1又はIgG4(10μg/ml)とを用いてPBMCを刺激した。48時間後に細胞を採取した。biolegendの抗体APC抗ヒトCD4及びPE抗ヒトCD8a(Cat#301008)で染色するか、又はbiolegendの抗体APC抗ヒトCD4及びPE抗ヒトFoxp3(Cat#320208)で染色して、フローサイトメーターで検出した。結果は
図12のA及びBに示す通りであり、O21mAb H96−L80IgG1及びIgG4の2種類のサブタイプはCD4+T細胞におけるCD4+Foxp3+Tregの比率を減少させることができたが(
図12A)、CD4+T細胞とCD8+T細胞との比率には影響がなかった(
図12B)。
【0126】
実施例12 マウスin vivoにおける腫瘍増殖に対する抗OX40抗体の阻害作用
12.1 腫瘍細胞PC−3及びヒトPBMCを移植したNOD−SCIDマウス腫瘍モデルを用いた抗OX40抗体のin vivoにおける薬効の評価
0日目にPC−3(ATCC、CRL−1435(商標))をヒトの末梢血単核球(PBMC)と共にマウスに皮下(SC)注射し、0日目及び7日目に10mg/kgのO21mAb又はPBSを、PBSを陰性対照として各グループ5匹ずつのマウスに腹腔内注射により投与した。腫瘍の形成を毎週2回観察し、腫瘍の長径及び短径をノギスで測定し、腫瘍体積を算出して、腫瘍増殖曲線を作図した。結果は
図13に示す通りであり、抗体O21mAbが腫瘍の増殖を著しく阻害可能であることがわかる。
【0127】
12.2 腫瘍細胞A375及びヒトPBMCを移植したNOD−SCIDマウス腫瘍モデルを用いた抗OX40抗体のin vivoにおける薬効の評価
0日目に7×10
6のA375(ATCC、CRL−1619(商標))を1×10
6のヒト末梢血単核球(PBMC)と共にマウスに皮下(SC)注射し、0日目及び7日目に1mg/kgのO21mAb又はPBSを、PBSを陰性対照として各グループ5匹ずつのマウスに腹腔内注射により投与した。腫瘍の形成を毎週2回観察し、腫瘍の長径及び短径をノギスで測定し、腫瘍体積を算出して、腫瘍増殖曲線を作図した。
図14に示すように、抗体O21mAbが腫瘍の増殖を著しく阻害可能であることがわかる。
【0128】
実施例13 抗OX40抗体の安定性の検出
抗hOX40抗体O21mAbの安定性について45℃の加速安定性試験により検出した。具体的な試験方法は、抗O21mAb抗体を約10mg/mlに濃縮し、45℃で水浴させ、0日目、10日目、20日目、30日目に試料を採取して、濃度、SEC−HPLC、NF−κbの解析試験を行った。島津製作所のLC20ATによるHPLC(液体クロマトグラフィー)を採用したSEC−HPLCによって解析試験を行い、試料を1mg/mlに濃縮し、流速を0.5ml/分として添加し、総添加量を50ugとし、添加後に30分間勾配溶離した。NF−κbは、実施例7に従って操作した。結果は
図15に示す通りであり、抗hOX40抗体O21mAbがin vitroにおいて良好な安定性を有することがわかる。
【0129】
実施例14 抗hOX40抗体O21mAbの薬物動態の評価
10mg/kg及び1mg/kgの用量でH96−L80IgG1抗体の薬物動態を評価した。8週齢の雌のBalb/Cマウスを16匹用い、それぞれの用量をA/Bの2グループに分けて各グループ4匹ずつとした。全てのマウスに対してH96−L80IgG1抗体を200μg(10mg/kg)又は20ug(1mg/kg)静脈注射し、投与後、14個の時点に分け、2グループ交互に各時点で1グループのマウスからそれぞれ100μlずつ採血した。血清を分離した。血清中の被験タンパク質の濃度をELISA法によって検出した。hOX40−muFcコーティングプレートに対して、希釈度が適切な血清サンプルを加えた後に、ヤギ抗ヒトIgG HRP(Sigma、CatNO:A0170)を加え、TMBで発色させた。標準タンパク質としてH96−L80IgG1抗体を用い、標準曲線を作成した。ソフトウェアWinNolinを用いて薬物動態パラメータを算出した。平均C−T曲線は
図16に示す通りであり、検出の結果、本発明のH96−L80IgG1抗体は比較的安定しており、用量1mg/kgのin vivo半減期が平均205時間であり、用量10mg/kgのin vivo半減期が平均371時間であった。検出の結果、抗H96−L80の抗体産生はなかった。
【0130】
以上の記載は本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明を制限するものではない。なお、当業者にとって、本発明の技術的原理を逸脱しない限り、いくつかの改良及び変形を行ってもよく、これらの改良及び変形も本発明の保護範囲とみなされるものとする。