【実施例】
【0053】
以下の実施例は説明目的のみのために提供され、本明細書で具体的に開示されている実施形態に本開示を限定するとして解釈されるべきではない。
【0054】
すべての組織と同様に膵島は、免疫調節、抗炎症及び他の保護的栄養効果を局所で発揮する周皮細胞としての少数の間葉幹細胞を持つので
3〜9、我々は仮説を立て、大幅により多数のMSC/ASCと共に内分泌膵島細胞を含む新膵島(NI)を形成することができるかどうか、及びそのような新膵島が、有効な(i)被包手段なしでの自己免疫−隔離、(ii)生体内での、同種新膵島の生存利益で、それによって拒絶反応抑制剤の必要性を減らすまたは排除すること、(iii)膵島細胞の生体内での再分化、及びそれによる(iv)適正で且つ生理的なインスリン分泌及びT1DM齧歯類での正常血糖値の長持ちする維持を提供するかどうかを調べた。
【0055】
骨髄由来の間葉幹細胞(MSC)または脂肪組織由来の脂肪幹細胞(ASC)の固有で十分に裏付けられた多面的で且つ大部分同等の作用は、膵島サイズの細胞集塊または新膵島(NI)にて等しい数の膵島細胞と組み合わせると、同種免疫や自己免疫の攻撃及び炎症性の損傷から投与されたβ細胞を遮蔽し、且つβ細胞の生存を高め、血管生成を誘導するように利用される。生理的には、膵島における総細胞数の約2%のみが微細血管環境で周皮細胞様の細胞として位置づけられるMSCを表すと考えられている。膵島内でのそれらの細胞防御機能は、骨髄及び他の臓器におけるそれら、すなわち、血管の保護及び安定化、抗炎症性、栄養性及び免疫調節性の活性に匹敵すると思われる。ほぼ膵島サイズのそのようなNIを、上皮間葉転換(EMT)と付随する脱分化とを介して、培養で増殖させたC57Bl/6の膵島細胞と骨髄由来のMSCから試験管内で生成した。それぞれ約500の膵島細胞と約500のMSCで構成される5×10
3個のNIを大部分ヒトのT1DMに類似するT1DMの自己免疫形態を発症する自然発症糖尿病である免疫能力のあるNODマウスの腹腔内(i.p.)に投与した。この同種処置プロトコールは、膵臓または膵島の移植のレシピエントにおける最も共通する臨床的な状況をモデル化するので選択された。拒絶反応抑制剤または被包手段を使用しないことによって我々は、NIにおける多数のMSCが、膵島細胞が生存し、正常に機能する内分泌細胞に再分化し、それによって自己免疫T1DMのNODマウスにて長持ちする血糖管理を確立するのを可能にすることを綿密に調べた。NI処置した糖尿病NODマウスは正常に育った一方で、溶媒で処置した糖尿病NODマウスは高血糖のままであり、死に始めた。これらの最初のデータは、NIが生存し、生着し、生体内で機能的な内分泌細胞に再分化すること、及び同種免疫及び自己免疫の防御が達成されることを意味した。重要なことに、i.p.投与に続いて、NIは、大網によって取り込まれ、長期に生着し、生理的にインスリンを産生する細胞に再分化した。NODマウスは、NIを形成するのに使用されるMSC及び膵島細胞に対する液性の同種免疫応答を開始しなかった。NI処置した糖尿病動物は、膵島で処置した動物に比べてその大網及び脾臓にて調節性T細胞(Treg)の数で有意な増加を示した。NIを非糖尿病動物に注射した場合、それらもまた低血糖を引き起こすことなく大網にて生着し、生存し、これは調節されたインスリン分泌をさらに実証している。大網からのインスリンの分泌は膵臓からの分泌のように肝臓の門脈系に発生し、それは生理的であり、送達されたインスリンの約50%の不活化を生じる。これは、筋肉、脂肪組織、脈管構造及び他の臓器の肝臓後曝露を超生理的な潜在的に低血糖を誘導するインスリンレベル及びさもなければ、インスリンを皮下で与える場合に生成される有害なインスリンレベルを制限する。ストレプトゾシン(STZ)糖尿病マウスをMSCまたは膵島細胞のみのいずれかで構成された同様のサイズの細胞集塊で処置した場合、NI処置した正常血糖値の動物に比べた血中グルコースのレベルは溶媒処置対照に比べて最少限に低下したにすぎなかった。このことは、NIの治療有効性はMCSと膵島細胞の協調に決定的に依存することを明瞭に実証した。最後に、STZ糖尿病のNOD/SCIDマウスをイヌのNI(cNI)による同一プロトコールでi.p.処置した場合、正常血糖値が迅速に及び永続的に誘導され、腹腔内の耐糖能試験(IP GTT)は正常化された。重要なことに、IP GTTの間に放出されたインスリンはイヌ特異的であり、cNIを外科的に取り除くと、高血糖が再発生した。総合すれば、現在のデータは、仮設を立てたようにMSCまたはASC(M/ASC)の複雑で多面的な作用を容易に利用して培養された膵島細胞を保護することができ、NIにてそれらを組み合わせ、i.p.投与すると、自己免疫T1DMのマウスにて長期の血糖管理を促すことを実証している。従って、我々はこれらの観察結果がT1DMの治療のための有意な転換適用性を有すると結論付けている。
【0056】
試薬:使用された試薬及びその供給源を以下の表で列挙する。
【0057】
【表1-1】
【表1-2】
【0058】
実施例1:膵島の単離
齧歯類から:密閉チャンバーにてイソフルラン(3〜5%)によってマウスを安楽死させ、直ちに無菌正中切開のために手術台に載せた。膵臓を露出させ、膵管を見つけた。総胆管をクランプで固定し、総胆管を介して解離緩衝液(ハンクス緩衝化生理食塩水溶液(HBSS)、Ca
++、Mg
++、+25mMのHEPES+NaHCO
3)中の5ml/マウスまたは15ml/ラットの1mg/mlのコラゲナーゼPによって膵臓を膨張させた。消化溶液(解離緩衝液中1mg/mlのコラゲナーゼP)を含有する無菌の円錐管に膨張した膵臓を取り出した。円錐管を37℃の振盪水槽(120rpm)に入れ、内容物を15分間消化した。等量の冷解離緩衝液によって消化を止めた。消化した組織を400μmの篩を介して新しい円錐管に濾過し、4℃にて2分間ブレーキをかけないで1200rpmで遠心分離した。ペレットを20mlの解離緩衝液で洗浄し、再び遠心分離した(1200rpmで4℃にて2分間ブレーキをかけないで)。さらに膵島を精製するために、ペレットをHistopaque1077溶液10mlに再懸濁させ、10mlの無血清DMEM−F12を重層して勾配を設定した。勾配のあるものを2000rpmで4℃にて20分間ブレーキをかけないで遠心分離し、培地とHistopaque1077の間の界面から20mlの解離緩衝液を含有する50mlの円錐管に膵島を回収した。次いで膵島を1200rpmで2分間遠心分離し、20mlの解離緩衝液で洗浄し、再び遠心し、膵島培養培地に再懸濁させ、無菌のペトリ皿に入れた。37℃、5%CO
2の加湿したインキュベータにてpH7.4で膵島を一晩回復させた。
【0059】
イヌから:NIHの共同協定を介して安楽死させたイヌから新鮮な膵臓を得て、1mg/mlのコラゲナーゼP溶液を用いて総胆管を介して膨張させた。Vrabelova,et al.及びWoolcott,et al.
10,11によって記載された技法の改変版に従って膨張させた膵臓からイヌの膵島を単離した。手短には、膨張させたイヌ膵臓を15〜20の小片に切断し、1mg/mlのコラゲナーゼP溶液20mlを含有する50mlの試験管に入れた。120rpmに設定した振盪器を伴う37℃の水槽に試験管を入れた。5分間隔で採取した小試料から得たジチゾン染色した試料の顕微鏡検査によって溶液における膵島含量をモニターした。およそ50%の膵島が腺房組織から離れるまで消化を続け、10mMのHEPES+1%BSAで補完した20mlのHBSSで消化を止めた。次いで組織を400μmの篩に穏やかに通し、4℃にて100×gで10秒間遠心分離した。ペレットを1回洗浄し、200×g(4℃)で10秒間遠心分離した。10mlのHistopaque−1.119にてペレットを再懸濁させ、10mlのHistopaque−1.077上にゆっくり層を形成し、続いて10mlの無血清培地の別の層を形成することによって3層の密度勾配を生成した。勾配を4℃にて750×gで20分間ブレーキをかけないで遠心した。上の界面から膵島を回収し、10mMのHEPES+1%BSAで補完したHBSSを含有する50mlの試験管に移した。精製した膵島懸濁液を無血清培地で洗浄し、200×g(4℃)で10秒間2回遠心分離し、40μmの細胞濾過器に通した。各調製物から5つの50μlアリコートを回収し、膵島の収量を評価するのに用いた。最後に、5%CO
2のインキュベータにおける20%FBSで補完したRPMI1640培地にて手で採取した(腺房細胞の内容物を取り除くために)膵島を37℃で培養した。
【0060】
ヒトから:ヒトの膵島はProdo Laboratories(Irvine,CA)から購入した。
【0061】
実施例2:膵島細胞の培養及び脱分化
齧歯類の膵島細胞:回収したマウスの膵島を手で採取し、40μmのフィルター濾過器の上で膵島を捕捉することによってさらに精製した。膵島を以下のように培養した。ラミニン511をコーティングしたウェル上に全膵島を置き、RPMI1640+20%FBS+GPSにて90%集密になるまで膵島細胞を膵島から外に増殖させることによって膵島細胞を培養し、それは可逆性のEMTを介して脱分化を生じた。この方法によって培養することはさらに膵島細胞を精製し、残りの外分泌細胞を取り除く。継代:マウス膵島細胞をほぼ90%集密に増殖させた。次いでそれらをトリプシン処理し(1×トリプシン−EDTAで5〜10分間)、600×gで5分間遠心分離してペレットにし、DMEM−F12+20%FBS+GPSで洗浄し、T75フラスコに播いた。継代した膵島細胞をDMEM−F12+20%FBS+GPSにて培養した。この方法で培養することは膵島細胞をさらに精製し、腺房細胞及び導管細胞を取り除く。
【0062】
イヌの膵島細胞:初期培養:回収したイヌの膵島を手で採取し、40μmのフィルター濾過器の上で膵島を捕捉することによってさらに精製した。マウスについて上で記載したように膵島全体として細胞を培養した。継代:齧歯類の膵島細胞についての上記を参照のこと。
【0063】
ヒトの膵島細胞:齧歯類について上述のように膵島全体として細胞を培養し、継代した。
【0064】
実施例3:ASC及びMSCの単離及び培養
ASC(マウス及びイヌ):無菌の条件下で、安楽死させた非糖尿病のマウスまたは非糖尿病のイヌ(NIHの組織共同合意)からおよそ3〜15gの腹部脂肪試料を回収し、1×PBSをおよそ30ml含有する別々の無菌の50ml円錐管に氷上で入れた。脂肪試料を細かく刻み、3mg/mlのコラゲナーゼ1を含有するPBSの試験管に入れ、37℃の振盪している水槽にておよそ1時間消化した。試験管を遠心分離し(600×g、10分間)、細胞内容物をペレットにした。上清を慎重に取り除き、無菌のPBSでペレットを2回洗浄し、次いで培養のために10mlのDMEM−F12+GPS+10%FBSにて再懸濁させた。37℃の加湿した5%CO
2インキュベータにてpH7.4で細胞を培養した。培養培地を週2回交換した。最初の培養物が70〜80%集密に達すると、1×トリプシン−EDTAに3〜5分間曝露することによって付着細胞を継代し、さらに継代したか、または10%DMSOにて凍結保存した。
【0065】
非糖尿病のヒトASC:ASCはP1にてLonza(Walkersville,MD)から購入し、上述のように培養した。
【0066】
MSC(齧歯類から):安楽死させたマウスの洗い流した大腿骨から得られた細胞懸濁液を、DMEM−F12+10%FBS+GPSを含有するT25フラスコに入れた。37℃の加湿した5%CO
2インキュベータにて細胞を培養した。培養培地を週に2回交換した。最初の培養物が70〜80%集密に達すると、1×トリプシン−EDTAによって細胞を3〜5分で剥離し、継代したか、または10%DMSOにて凍結した。
【0067】
新膵島の形成に先立って、培養したMSCまたはASCを、(i)CD44及びCD90の発現ならびにCD45、CD34、及びDLA−DR抗原の陰性発現についてFACSによって、ならびに(ii)以前記載された
15ように3血球系分化(脂肪生成性、骨形成性、軟骨形成性)を受ける能力によって特徴付ける。新膵島の形成に先立って、培養し、脱分化したイヌ膵島細胞を(a)FACSによって調べ、DLA−DR、CD90及びCD133の発現について陰性であることを確認し、(b)インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、pdx−1及びnkx6.1の残留膵島細胞の遺伝子発現についてrtPCRによって調べる。以下のようにフルオレセイン二酢酸(FDA)及びヨウ化プロピジウム(PI)を用いて細胞の生存率を評価した。1×染色液(100μlのPBSに溶解した5mg/mlのFDAを1μLと1mg/mlのPIを5μL)を100μlのPBSにて細胞と混合し、室温にて30秒間インキュベートし、蛍光顕微鏡を用いて細胞を画像化した。赤色、緑色及び合計の細胞数について4視野を数えた。
【0068】
実施例4:インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO−1)の誘導
以下のようにイヌインターフェロンガンマ(IFNγ)に応答したIDO−1の誘導についてイヌASCをP2にて調べた。それぞれDMEM−F12+10%イヌ血清中の0.5×10
6個のイヌ由来のASCを8枚の35mm培養皿に播いた。10ng/mlのイヌIFNγを4枚の皿に加えた。37℃の加湿5%CO
2インキュベータでの一晩の培養の後、すべての皿から細胞を回収し、rtPCRによってIDO−1の遺伝子発現についてアッセイした。IFNγ処理した培養物に由来する結果を同じ継代数の未曝露のものに対して正規化し、Log10RQとして表した。
【0069】
実施例5:新膵島の形成及び試験管内の性状分析
論理的根拠:(A)膵島に天然に存在するよりも(ii)大幅により多くのMSC/ASCと組み合わせた(i)脱分化し、培養で増やした膵島細胞を含む新膵島が形成され得るかどうかを調べること。(B)そのような新膵島が膵島細胞関連の遺伝子を発現するまたは発現するように誘導することができるかどうか、及びどの程度そうできるのかを決定すること。
【0070】
方法
膵島細胞の外への増殖:(1)膵島細胞をトリプシンで解離し、ラミニン511及び/またはラミニン411(20μg/ml)を予めコーティングした組織培養(TC)用のウェルもしくはフラスコに入れ、または(2)膵島全体をラミニン511及び/またはラミニン411をコーティングしたTC用ウェルに入れた。
図1を参照のこと。双方の場合、細胞を培養し、20%のウシ胎児血清(FBS)+グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(GPS)+エキセンジン4(齧歯類細胞の培養では10nMでのGlp−1)によって補完されたRPMIまたは他の好適な増殖培地でほぼ集密まで増殖させた(サプリメントはすべて市販されている)。この方法はおよそ1〜2週間を要する。インスリンの存在についての免疫組織化学法(IHC)、インスリンの酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、グルコース刺激インスリン放出アッセイ(GSIS)、遺伝子発現プロファイル(rtPCR)から、及びインスリン1遺伝子プロモータの制御下での緑色蛍光タンパク質(gfp)についてトランスジェニックのマウス細胞株
1から判断して、膵島細胞はわずか数日以内に脱分化状態になった。
図2及び8A〜8Cを参照のこと。
【0071】
新膵島の形成:ASC(P1〜P4)またはMSC(P1〜P5)及び膵島細胞(P1〜P2)を超低付着性表面の培養皿(Corning,Kennebunk,ME)にて1:1の比で共培養し、一晩でNIを形成させた。対照のASC及び膵島細胞の集塊を同じ方法で形成した。それらの生体内投与に先立って、膵島及びMSCに関連する遺伝子(以下参照)の発現についてrtPCRによってNIの試料を調べた。
【0072】
共焦点顕微鏡のための染色:ASCまたはMSCをセルトラッカーグリーン(緑色)で染色し、継代した膵島細胞を製造元の指示書に従って親油性トラッカーDil(赤色)によって染色した。細胞染色の後、NIが形成され、それを回収し、10%のホルマリンで固定し、共焦点顕微鏡観察に先立って4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩(DAPI)で染色した。
【0073】
新膵島の親油性トラッカーDir標識は、製造元の指示書に従って行った。
【0074】
新膵島の再分化:新膵島の再分化は、2ステップ法にて市販の添加剤を用いて試験管内で達成された。ステップ1:5.6mMのD−グルコースを含有し、(a)1%のBSA分画V、(b)ITS−G、(c)GPSで補完した無血清DMEMにて、齧歯類、イヌまたはヒト起源の新膵島を6〜8日間培養した。ステップ2:6〜8日後、この培地を再分化培地(RDM)に置き換え、2週間培養した。RDMは、25mMのグルコースを含有し、(a)N2サプリメントA(市販)、(b)SM−1サプリメント(市販)、(c)10mMのニコチンアミド(市販)、(d)10nMのエキセンジン4(市販)、(e)2nMのアクチビンA(市販)によって補完されたDMEMである。以下で記載されるように、再分化を膵島及びMSCに関連する遺伝子の発現についてのrtPCRによって試験し、確認した。
【0075】
新膵島の細胞比の評価:各種(マウス、イヌ、ヒト)について、ASC及びイヌ、マウスのICの付着性培養物を上述のように回収した。ICから区別できるようにASCをセルトラッカーグリーンで緑色に染めた。染色効率をFACSによって評価し、95%以上であると判定された。ICは未染色のままであった。2mlのDMEM/F12+10%FBSにて各ウェル当たり0.5x10
6個のASC及び0.5x10
6個のICを用いて上述のように6穴の超低接着性プレートにて一晩でNIが形成された。翌日、NIを回収し、ウェル当たり1mlのAccumaxとの30分間のインキュベートによって単個細胞調製物に解離した。次いで単個細胞調製物を1×PBS+1%BSAに再懸濁させ、未染色(IC)細胞に対比させた緑色(ASC)の百分率についてFACS(BD FACScan Analyzer,San Jose,California)によって解析した。
【0076】
rtPCR:混入するDNAを排除するDNA分解酵素の消化ステップを含むQiagen RNeasyミニキットを用い、製造元の指示書に従って、1×10
6個の細胞試料からRNAを抽出した。42℃にて60分間SuperScript II逆転写酵素を用いて逆転写を行った。種特異的なTaqManプライマー(Applied Biosystems,ABS,Foster City,California)を用い、製造元の指示書に従って、2つ組にてリアルタイムPCRを行った。反応はすべてUNGと共にTaqMan Universal Master Mix IIを伴った20μLの総容量で行った。反応条件は、50℃で2分間、その後95℃にて10分間で出発し、95℃で15秒間の溶解及び60℃で1分間のアニーリングを40サイクルだった。試料はすべて2つ組で実行し、計算には平均閾値サイクル(Ct)値を用いた。ABS7500リアルタイムPCRシステムを用いてリアルタイムPCRをモニターした。各標的遺伝子の相対的定量(RQ、標準化)は機器と共に提供されるABSソフトウエアを用いたCt法によって、及び2つの内部ハウスキーピング遺伝子であるβ−アクチン及びβ2−ミクログロブリン(B2m)に対する正規化によって算出された。RQは、指示されたような外部対照に対する正規化を介して、機械と共に提供されるソフトウエアを用いることによって算出された。結果はlog10(RQ)±log10(RQmin及びRQmax)として提示される。log10(RQ)2より大きいまたはlog10(RQ)−2に満たない差異を有意と見なした。利用したPCRプライマーを以下の表に列挙する。
【0077】
【表2-1】
【表2-2】
【0078】
結果
IC及びM/ASCの増殖及び性状分析:NIの出発物質、すなわち、培養したIC及びM/ASCは以下のように得た。上記実施例で記載されたように、非糖尿病のマウス、イヌ及びヒトから新しく単離された膵島を生存率について調べ、培養に入れ、増殖させ、継代した。ICは膵島の外に増え、増殖し、可逆的過程であるEMTを受けるにつれて脱分化する。培養したICは継代と共に低下する残りのIC関連の遺伝子発現プロファイルを保持し、M/ASCのそれとは異なる遺伝子発現パターンを示す(
図3)。NIの形成及び実験にはICはすべてP1〜P2で使用した。MSC及びASCは非糖尿病のマウス、イヌ及びヒトから入手し、実施例3で記載されたように培養し、性状分析した。MSC及びASCはすべて、プラスチック接着性、3血球系分化を受ける能力、特徴的な細胞表面エピトープの発現、及び重要なことに、I−A[b](マウス)/DLA−DR(イヌ)/HLA−DR(ヒト)移植抗原の発現の欠如の最低限の基準を満たした。イヌASCのIFNγへの曝露は、膵島炎のような炎症状態におけるT細胞の応答の重要な阻害剤であるインドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO−1)遺伝子の発現を有意に誘導した(
図4A〜4D)。M/ASCはNIの形成及び実験についてP1〜P5で使用した。IC及びM/ASCは双方とも核型決定され(Veterinary Medicine and Biomedical Sciences,Texas A&M University,College Station,TX)、正常であることが見いだされた。
【0079】
新膵島の形成及び画像化:
図1は新膵島の形成及び提案された使用の模式図を示す。図で示されるように、脱分化した膵島細胞とASCまたはMSCを用いて、T1DMまたはT2DMを治療するための膵島細胞に特異的なタンパク質を産生するように誘導することができる新膵島を形成した;脱分化した膵島細胞とASCまたはMSC。膵島細胞は先ず膵島(マウス、イヌ、またはヒト)から外に増殖し、脱分化し、1以上の継代のために増殖することができた。いったん脱分化すると、そのような細胞は、それぞれ、有意に低下した膵島細胞特異的な遺伝子またはタンパク質を発現し、産生し、またはそれらを発現せず、産生しない。ASCまたはMACは常法によって4回継代まで培養した。いったん十分な数の各細胞型が利用できると、2つの細胞型を低接着性フラスコで共培養して膵島サイズの新膵島を形成することができる。
【0080】
図2は、本明細書に記載されている方法で培養している膵島細胞から結果的に生じる外向きの増殖及び上皮間葉転換を説明している。この現象を説明するのに役立つように、緑色蛍光タンパク質(gfp)がインスリン1(ins1)遺伝子のプロモータの制御下にあるトランスジェニックC57Bl/6ins1gfp+マウスを使用した
1。膵島のβ細胞のみがインスリン1遺伝子を発現するので、この系統から単離されるインスリン遺伝子を発現しているβ細胞は緑色に見えるので容易に特定できる。パネルAはins1−gfp+マウスから単離された膵島全体を示す。これらの膵島は上述のようなラミニン511をコーティングしたプレートで培養された。
図2のパネルBは培養6日後のins1gfp+の膵島全体のものである。膵島が付着した場合、依然として有意なインスリン遺伝子の発現があった一方で、細胞は膵島から離れ、増殖し、これらの細胞では、インスリン遺伝子の発現が下方調節される(細胞はもはや緑色ではない)。このことは
図2のパネルCでさらに完全に説明されており、それは、培養に先立ってトリプシン処理して膵島を分離し、次いで固定し、インスリンタンパク質(赤色)用に染色したins1gfp+膵島細胞を示す。細胞が緑色または黄色である場合、ins1遺伝子は依然として活発に転写され、翻訳されている。細胞が赤色のみに見える場合、インスリンタンパク質は存在するが、緑色(または黄色)の欠如は遺伝子が下方調節されていることを示す。最後に、
図2のパネルDは細胞分裂を追跡するEdUの存在下で増殖させたins1gfp+膵島細胞を示す。これらの細胞を固定し、Hoechst(核、青色)で染色し、EdU(赤色)について染色した。ins1遺伝子の翻訳が起きている細胞は緑色に見える。分裂している細胞の核は赤色に見える。画像で見ることができるように、分裂していない細胞は明るい緑色であり、丸い上皮の形態を有する一方で、分裂している(赤い核)細胞は細長い間葉の外観を呈し、わずかに緑色であるに過ぎないということは、インスリン遺伝子発現の下方調節を示している。
【0081】
超低接着方式にて骨髄由来のMSCまたはその脂肪由来の類似体であるASC(M/ASC)を培養にて増やしたマウス膵島細胞とともに1:1の比(最適であると見いだされた)で一晩共培養することによって150μmのほぼ膵島サイズのNIを調製した。マウス細胞を用いたこの方法の例を
図5にて示す。そのようなマウスNIの潜在的な転換関連性をさらに評価するために、我々は、同等のNIがイヌ及びヒト双方のIC及びM/ASCから容易に生成され得ることを確認した。緑色蛍光タンパク質陽性(gfp+)C57Bl/6マウスのMSCとC57Bl/6マウスの膵島細胞を増殖させた。2種類の細胞型を次いで低接着性プレートで培養し、新膵島を形成した。ASC(緑色)と膵島細胞(赤色)の単一のマウス、イヌ及びヒトの新膵島の共焦点画像(63×拡大)を
図6のそれぞれ左、中央及び右の画像にて示す。図で分かるように、マウス、イヌまたはヒト起源のいずれの新膵島についても、内分泌細胞及び幹細胞は新膵島全体にわたって均等に分布する。NIにおける各細胞型の百分率を以下のようにさらに評価した。イヌASCをセルトラッカーグリーンで染色し、未染色の膵島細胞と1:1の比で上記のように共培養した。NIが形成された後、Accumaxによってそれらを単個細胞に解離させ、オンラインの方法で記載されているようにFACSによって解析したが、それは形成の24時間後で、NIがおよそ50%のM/ASCと50%のICで構成されていることを明らかにし(
図7A)、さらに双方の細胞型は形成後のNI内にて1:1の比のままであることを示している。
【0082】
マウス、イヌ、及びヒト新膵島の遺伝子発現プロファイル及びグルコースで刺激したインスリンの分泌:これらの新膵島は十分なレベルのインスリンを発現しないが、培養して、培養された膵島細胞は上皮間葉転換を受けると、それらは上記で要点を述べた再分化プロトコールを用いて試験管内で再分化され得、それらは膵島細胞の遺伝子を再発現する。
図5に示すように2つの細胞型であるICとM/ASCを合わせてNIを形成したら、NIの遺伝子発現パターンは双方の細胞型の特徴を示した。
図8Aは、新しく単離したマウスまたはイヌの膵島(右側)に比べた、再分化培地に曝露した14日後のマウス(上)及びイヌ(下)の新膵島の膵島遺伝子発現プロファイル(左側)を示す。遺伝子発現プロファイルの双方のセットを新しく形成された、脱分化したマウス(上)及びイヌ(下)の新膵島のものに対して正規化した。これらの結果は、新しく形成されたマウス及びイヌの新膵島が低レベルの調べたすべての膵島関連遺伝子を発現しており、高レベルのこれら遺伝子を発現するための再分化を受ける能力を有することを示している。新しく形成されたNIは、インタクトな膵島よりもほぼ100倍少ないけれども試験管内でグルコースに応答してインスリンを分泌することができた。
図8Bは、それらの種に由来する新しく単離された膵島と比べた、MSCまたはASCとP1(左)またはP2(右)の膵島細胞から作製した新しく形成されたマウス(上、イヌ(中央)及びヒト(下)の新膵島の遺伝子発現プロファイルを示す(正規化)。このパネルから分かるように、新しく形成されたマウス、イヌ及びヒトの新膵島はすべて、低レベルの膵島関連遺伝子と同様にASC/MSCに関連した遺伝子(vegf−α、cxcl12、tgfβ1及びifg1)を発現し、これらの種のそれぞれについて、膵島細胞遺伝子の発現は高い膵島細胞継代数に伴って低下する。
図8Cで示すように、25mMのグルコースに応答して50の新しく形成されたC57Bl/6マウスの新膵島(P1の膵島細胞とP5のMSC、斜線棒)によるグルコース刺激でのインスリンの分泌(GSIS)は50の新しく単離されたC57Bl/6マウスの膵島(白棒)のおよそ1%である。これは、
図8Bで見られたインスリン遺伝子発現の低下に匹敵する。
【0083】
結論:総合すると、これらの結果は、(i)培養した膵島細胞とMSCまたはASCのいずれかとの新膵島は試験管内で容易に形成することができること、(ii)種(マウス、イヌ、ヒト)を超えて、そのような新膵島は外観及び遺伝子発現プロファイルで類似しており、低レベルの膵島関連遺伝子を発現していること、(iii)種(マウス、イヌ、ヒト)を超えて、そのような新膵島は試験管内で再分化して膵臓内分泌関連の遺伝子を再発現することができることを示している。さらに、これらの結果は、これらの新膵島がインスリン依存性の及びインスリン非依存性の糖尿病のヒト及び動物を治療することにおいて治療上使用され得ることを示唆している。
【0084】
実施例6:齧歯類新膵島でi.p.処置した自然発症糖尿病NODマウス及びSTZ糖尿病NOD/SCIDマウスにおける生体内の用量設定及び原理の証明試験
動物モデル
動物が関与する試験はすべて、実験動物の管理と使用に関するNIH指針に沿って行われ、機関の獣医及びIACUCのメンバーによって監督され、認可された。マウス及びラットはJackson Laboratory(Bar Harbor,ME)またはHarlan(Haslett,MI)から購入し、一定の温度と湿度、12:12の規則的な明暗周期で靴箱型のケージに収容した。指示されない限り、マウス及びラットはすべて標準の餌及び水道水に自由にアクセスさせた。マウスの実験はすべて、15〜35gの間の体重のメスC57Bl/6、メスNODまたはメスNOD/SCIDマウスを用いて実施した。ラットの実験はすべて538〜650gの間の体重のオスのスプラーグドーリー系ラットで実施した。
【0085】
ポリデキストラン粒子の大網による取り込みのプロトコール
538〜650gの間の体重の2歳のスプラーグドーリー系ラット4頭を麻酔し、生理食塩水に1:1で懸濁した5mlのポリデキストラン粒子(PDP;無菌セファデックスG−25、粒径87〜510μm)でi.p.処置した。投与の7日後、動物を屠殺し、その大網及び他の臓器を摘出し、PDPの存在について調べた。
【0086】
糖尿病モデル
ストレプトゾトシン(STZ):非肥満糖尿病/重症複合免疫不全(NOD/SCID)及びC57Bl/6マウスを、20mMのクエン酸緩衝液pH4.5に新しく溶解した50〜75mg/kg体重のSTZの3〜5回のi.p.投与(1日1回の投与)によって糖尿病にした。別々の3日で非絶食時血中グルコースのレベルが300mg超/dLである場合マウスを糖尿病であると見なした。
【0087】
自然発症:メスNODマウスは12〜20週齢で自然発症性にT1DMを発症する。別々の3日で非絶食時血中グルコースのレベルが300mg超/dLである場合マウスを糖尿病であると見なした。インスリン処置:結果及び図面で指示されている場合、インスリンは徐放性の皮下インスリンペレット(Linbit)を介して糖尿病動物に投与した。イソフルランで動物を麻酔し、1〜3のLinbitペレットを製造元の指示書に従って皮膚のすぐ下に挿入した。尾静脈の血中グルコース濃度を数日間モニターして動物が高血糖でも低血糖でもないことを保証した。
【0088】
血中グルコースのモニタリング:動物試験すべてにおいて、尾静脈の試料採取を介して、ワンタッチウルトラ2血糖計(検出のレベル、20〜600mgのグルコース/dL)を用いて血中グルコースの濃度を週に2回評価した。麻酔:吸入齧歯類麻酔方式(Euthanex,Palmer,PA)を用いて1〜5%のイソフルランで動物を麻酔した。温めた外科用ウォーターベッド(Euthanex,Palmer,PA)を用いて直腸温を37℃で維持した。
【0089】
C57Bl/6マウス由来の同種NIによる糖尿病NODマウスの処置
糖尿病NODマウスの血中グルコースのレベルをLinbitによって正常化し、Linbit投与後20日目に軽いイソフルラン麻酔を用いて、P5のeGFP+MSC及びP1の膵島細胞で構成されたNI(0.5mlの無血清DMEM−F12培地に懸濁させた2x10
5個のNI/kg体重;N=6)または溶媒(0.5mlの無血清DMEM−F12培地;N=6)を無菌的にi.p.で投与した。その後の外来性のインスリンはどちらの群にも与えなかった。NI投与後10週目に、マウスを安楽死させ、その大網、肝臓、脾臓、肺、腎臓及び膵臓を摘出し、eGFP+NIの存在について蛍光顕微鏡によって調べた。血清も採取してNIを構成する細胞に対する同種IgG応答について調べた。この試験の陽性対照として、3頭のNODの追加の群にLinbitを与え、0.5mlの無血清DMEM−F12に懸濁させた2x10
5個の新しく単離した同種膵島/kg体重によってi.p.で処置した。これらのマウスを膵島投与の14日後に安楽死させ、その血清を採取し、上記のように調べた。
【0090】
同系のNI、ASC集塊またはIC集塊によるSTZ糖尿病C57Bl/6マウスの処置
10週齢のSTZ糖尿病の血中グルコース管理した(Linbitによって)wtC57Bl/6マウスの4群に、(i)0.5mLの溶媒(無血清DMEM−F12;N=6)、または2x10
5個/kg体重の(ii)新しく形成したNIs(P5のeGFP+MSCsとP1のICs;N=6)、(iii)P1のASCのみで構成された集塊(N=5)、または(iv)P1のICのみで構成された集塊(N=5)をi.p.で投与した。示されたようにマウスを経過観察した。安楽死の際、大網、膵臓、脾臓、肝臓、肺及び腎臓を摘出し、eGFP+NIの存在について蛍光顕微鏡によって調べた。加えて、膵島に関連する遺伝子発現プロファイルを大網及び膵臓のすべてで得た。
【0091】
マウスまたはイヌのNIによる非糖尿病マウスの処置
マウスのNI:2〜4、12週齢のC57Bl/6マウスそれぞれの6群に、(i)0.5ml無血清DMEM−F12に懸濁させた2x10
5個/kg体重の新しく形成した同系NI(P5のMSCとP1のIC)、または(ii)0.5ml無血清DMEM−F12(溶媒)のいずれかをi.p.で投与した。12週までマウスを経過観察した。イヌのNI:9週齢のNOD/SCIDマウスの2群を、(i)0.5ml無血清DMEM−F12に懸濁させた2x10
5個/kg体重の新しく形成したcNI(N=6)または(ii)0.5ml無血清DMEM−F12(溶媒、N=3)のいずれかによってi.p.で処置した。マウスを10週間経過観察した。
【0092】
結果
臨床的に高度に情報を与える自己免疫のT1DMモデルにおける我々の主要仮説を調べるために、我々は先ず、(i)その生存、(ii)NIに含有される膵島細胞の機能的なインスリン産生細胞への生体内での再分化、及び(iii)移植された細胞集塊のMSCが介在する細胞性、同種及び自己の免疫防御の反映として、試験管内で生成された同種NIのi.p.投与が自然発症糖尿病NODマウスにて正常血糖値を取り戻すことができるかどうかを調べた。
【0093】
自然発症糖尿病NODマウスの同種NIによる処置:他者が、膵島前駆細胞及び脱分化した膵島β細胞は生体内で機能的な内分泌細胞に分化することができることを見いだしたので、我々は、T細胞が介在する自己免疫型のT1DMを発症する自然発症糖尿病NODマウスにi.p.投与した本明細書に記載されているような同種マウスNIが正常血糖値を取り戻すかどうかを調べた。T1DM患者が同種の膵臓または膵島の移植を受ける最も一般的な臨床的状況に密接に類似するので、このプロトコールを選択した。生体内での追跡及び死後局在化を円滑にするために、投与されるNIはDiRによって二重に標識し、組織すべてで構成的に発現されるeGFP遺伝子についてトランスジェニックのC57Bl/6マウスに由来するP5のMSCと野生型のC57Bl/6マウスに由来するP1のICで構成された(
図5を参照のこと)。他者が、血中グルコースのレベルのインスリンによる正常化は、移植された細胞に対する糖毒性効果を同時に低下させるインスリン産生細胞への膵島細胞の生体内での再分化を高めることを明らかにした。従って、移植されたNIに対する糖毒性効果の可能性を回避するために、及び移植されたICの内分泌再分化を刺激するために、投与後30〜40日間続く効果があるインスリン放出ペレット(Linbit)の皮下投与によって12頭の自然発症糖尿病メスNODマウスの血中グルコースのレベルを正常化した。
【0094】
次いでこれらのマウスを2群に分け、同種C57Bl/6マウスに由来する2x10
5個のNI/kg体重(N=6)または溶媒(N=6)(
図9)のいずれかによってi.p.処置した。予想通り、Linbit処置の35〜40日後までに溶媒処置したNODマウスでは高血糖が再発生した一方で際立って、NI処置した動物における血中グルコースのレベルは正常に近いままだった(
図9)。正常血糖の同様の回復は、同系NIで処置したストレプトゾトシン(STZ)糖尿病C57Bl/6マウス、及び異種(イヌ)NIで処置したSTZ−糖尿病NOD/SCIDマウスについての同様の実験にて達成された(
図14A及び14B)。
【0095】
総合して、これらのデータは、(i)NIは生着し、生存すること、(ii)NI内のICは生体内で再分化して、インスリンの新しい内在性の供給源を持つマウスを提供すること、(iii)NIに含有されるMSCはNODマウスにてインスリン産生細胞の細胞性保護及び同種免疫隔離や自己免疫隔離を効果的に提供し、この臨床的に高度に関連するT1DMモデルにて血糖管理を明らかに確立することを示している。
【0096】
NI内での膵島細胞とM/ASCの協調は糖尿病動物にて正常血糖を確立するのに必須である。NIにおけるICとM/ASCの間での協調をさらに検証するために、2つの実験を行ったが、それを
図10A〜10Cにて要約する。これらでは、免疫能のあるC57Bl/6マウスにおけるT1DMの容易に制御できるストレプトゾトシン(STZ)モデルを使用した。第1の群では、STZ−糖尿病C57Bl/6マウスを2x10
5個/kg体重の同系NIまたは溶媒でi.p.処置した。第2の群では、STZ−糖尿病C57Bl/6マウスをASC(P1)または継代したIC(P1)のいずれかのみで構成される2x10
5個/kg体重の対照集塊で処置した(
図11)。重要なことに、それぞれ生成された細胞集塊における細胞の総数はNIにおけるそれと同一だった(集塊当たり約1,000個の細胞)。NI処置した群の3頭のマウス及び対照群のマウスすべてを12週目で安楽死させた。残りの3頭のNI処置したマウスは21週間経過観察した。同系NIによってi.p.処置したSTZ−糖尿病C57Bl/6マウスにて長期(21週間)の正常血糖値が得られた。重大なことに、ASCまたは培養したICのみで構成された同一に生成された対照集塊による処置は、IC集塊を与えた場合、最少限にしか血中グルコースのレベルを低下させず(
図10A)、これはインスリン産生細胞の最適な再分化を促すにはIC及び幹細胞の双方がNI内に存在しなければならないことを実証している。
【0097】
生体内の再分化:NODマウスの実験(
図9)ならびに回収した大網(
図18B)からのデータはNIが生体内で再分化し、十分なインスリンを産生してマウスを正常血糖にすることを暗に意味している。実際、21週目に正常血糖のNI処置したC57Bl/6マウスから回収した大網は、NIの生着と、それらが処置されたNIに比べて有意に増加したインスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、及びPdx1遺伝子の発現との双方を示した(
図10B)。このことは、膵島のホルモンを発現している膵島細胞の有効な生体内での再分化を明瞭に実証している。さらに、STZ−糖尿病マウスの膵臓全体におけるins1及びIns2の発現が予想通り、動物すべてで有意に低下し(
図10C)、これはNI処置したマウスにおける正常血糖値が大網に生着したNIによって提供される生理的なインスリン分泌によって達成されたのであって、残存する膵臓インスリンによっては達成されたのではないことを示している。
【0098】
実施例7:イヌの新膵島でi.p.処置されたSTZ−糖尿病のNOD/SCIDマウスにおける生体内の用量設定及び原理の証明試験
論理的根拠:実施例5において、ASCと脱分化した膵島細胞との新しく形成された新膵島は、低レベルの膵島関連遺伝子ならびにASC/MSC関連の遺伝子を発現することが示された。そのような新膵島の内分泌由来成分が試験管内で再分化して高レベルの膵島関連遺伝子を再発現する能力を有することも観察された。他者は、内分泌前駆細胞が生体内で再分化してインスリンを産生することを示した。従って我々は、(i)イヌASCと脱分化した膵島細胞を含む新膵島が用量依存性に高血糖を元に戻し、動物の生存に影響を与えることができるのかどうか、及び(ii)新膵島の除去が高血糖への戻りを生じるかどうかを調べ、新膵島がT1DMの得られる治療に専ら関与することを確認した。
【0099】
方法
新膵島:イヌASC(継代2)とイヌの培養した膵島細胞(継代1)から新膵島を形成した。
【0100】
糖尿病モデル:クエン酸緩衝液中の50mg/kg体重のストレプトゾトシン(STZ)の5回のi.p.投与によって非肥満の糖尿病/重症複合免疫不全(NOD/SCID)マウスを糖尿病にした。別々の3日で血中グルコースのレベルが300mg超/dLになったら、血中グルコースのレベルを制御し、それによって糖毒性の細胞損傷を回避するために、0日目にてそれぞれマウスに徐放性インスリンペレット(Linbit,Linshin,Canada)をs.c.で1回与えた。これらのペレットはおよそ36日で失効した(
図12を参照のこと)。(a)200,000個のまたは(b)80,000個の新しく形成した再分化していないイヌ由来の新膵島/kg体重、または(c)溶媒(DMEM−F12)によってi.p.で動物を処置した。一部の試験では、NIを76日目に外科的に取り除き、さらに2週間マウスを経過観察した。
【0101】
腹腔内耐糖能試験(GTT):処置後55日目に、3頭の溶媒処置マウスと5頭のイヌ新膵島処置マウスを5時間絶食させ、その際、ワンタッチウルトラ2血糖計(Johnson and Johnson,New Brunswick,NJ;600mgのグルコース/dLの検出限界のレベル)を用いてベースラインの血中グルコースのレベルを評価した。次いで動物を麻酔し、イソフルラン麻酔のもとでi.p.注射を介して2gのグルコース/kg体重(無血清培地に溶解し、フィルターで無菌化した)を投与した。グルコース投与後、30分、60分及び120分に血中グルコースのレベルを評価した。
【0102】
処置プロトコール
NOD同種処置:メスNODマウスが高血糖である(別々の3日で非絶食時血中グルコースが300mg超/dL)ことが確認されたら、Linbitペレットでそれらをs.c.処置した。動物の血中グルコースのレベルが正常化されたら、動物を麻酔し(イソフルラン)、P5のgfp+MSCとP1の膵島細胞で構成された新膵島(0.5mlの無血清DMEM−F12培地に懸濁させた2×10
5個の新膵島/kg体重;n=6)または溶媒(0.5mlの無血清DMEM−F12培地;n=3)をi.p.で投与した。どちらの群の動物にもその後の外来性のインスリンは与えなかった。血中グルコースのレベル及び体重を週に2回評価し、マウスを10週間経過観察した。新膵島投与後10週目に動物を屠殺し、その血清、大網、肝臓、脾臓、肺及び腎臓及び膵臓を摘出し、新膵島及びインスリンの存在について調べた。大網以外のどこにも何も見いだされなかった。
【0103】
STZ−糖尿病動物のC57Bl/6同系処置:STZ−糖尿病の血中グルコースを制御した(Linbitによって)C57Bl/6マウスを麻酔し、(a)DiRで染色し、0.5mlの無血清DMEM−F12培地(溶媒)に懸濁させた新しく形成した2×10
5個のgfp+マウス新膵島(P5のgfp+MSCとP1の膵島細胞)(n=3)、または(b)DiRで染色し、ゲルフォームに埋め込んだ新しく形成した2×10
5個のgfp+マウス新膵島(n=3)のいずれかをi.p.で投与した。対照群の動物を麻酔し、0.5mlの溶媒でi.p.処置した(n=3)。血中グルコースのレベル及び体重をベースラインで評価し、次いで18週間動物すべてにおいて週に2回評価した。週に1回、イソフルランの麻酔下でLicor,Pearl Impulse撮像装置を用いて動物を調べ、新膵島を追跡した。屠殺の際に、大網、膵臓、脾臓、肝臓、肺及び腎臓を摘出し、新膵島の存在について調べた。大網以外のどこにも何も見いだされなかった。
【0104】
非糖尿病マウスの処置:マウス新膵島の投与:2〜4頭の非糖尿病の12週齢のメスC57Bl/6マウス(21.9gの平均体重)の6群を麻酔し、(a)0.5mlの無血清DMEM−F12に懸濁させた新しく形成した2×10
5個のマウス新膵島(P5のgfp+MSCとP1の膵島細胞)(追跡目的で異なる時点で屠殺した5群)、または(b)0.5mlの無血清DMEM−F12(溶媒;1群)のいずれかをi.p.で投与した。血中グルコースのレベル及び体重をベースラインで評価し、次いで12週目まで週2回評価した。イヌ新膵島の投与:体重19.7〜24.8gの非糖尿病の9週齢のメスNOD/SCIDマウスの2群を麻酔し、(a)0.5mlの無血清DMEM−F12に懸濁させた新しく形成し、DiR染色した2×10
5個のイヌ新膵島(N=6)、または(b)0.5mlの無血清DMEM−F12(溶媒;n=3)のいずれかをi.p.で投与した。血中グルコースのレベル及び体重をベースラインで評価し、次いで10週間、週に2回評価した。週に1回、イソフルランの麻酔下でLicor,Pearl Impulse撮像装置を用いて動物を調べ、新膵島を追跡した。屠殺の際に、大網、膵臓、脾臓、肝臓、肺及び腎臓を摘出し、新膵島の存在について調べた。大網以外のどこにも何も見いだされなかった。
【0105】
NOD/SCID少し前に発症した糖尿病、異種処置:その血中グルコースのレベルがLinbitペレットによって制御されている体重17〜29gのメス20週齢のSTZ−糖尿病NOD/SCIDマウスの群(群当たりn=5)を麻酔し、(a)2×10
5個または(b)8×10
4個のゲルフォームに埋め込だ新しく形成した再分化していないc新膵島/kg体重、または(c)溶媒(DMEM−F12)によってi.p.で処置した。新膵島はP1の膵島細胞とP2のイヌASCで構成された。血中グルコースのレベル及び体重を週に2回評価し、マウスを13週間経過観察した。処置後55日目に高用量群にてIP GTTを行い、10週目にマウスの高用量群から新膵島を外科的に取り除いた。
【0106】
NOD/SCIDずっと以前に発症した糖尿病、異種処置:クエン酸緩衝液中の75mg/kg体重のSTZの3回のi.p.投与によって、体重18.4〜22.8gの11週齢のメスNOD/SCIDマウスを糖尿病にした。別々の3日における300mg超/dLの血中グルコースのレベルによって糖尿病状態を確認した。動物が糖尿病であると確認されたら、s.c.のLinbitペレットを用いたインスリン療法によって血中グルコースのレベルをほぼ3カ月間制御した。新膵島または溶媒の投与に先立って動物がすべて依然として糖尿病であることを確認するために、Linbitを失効させ、マウスに高血糖を再発症させた。マウスを再びLinbitで処置し(0日目)、血中グルコースのレベルを制御し、糖毒性の新膵島損傷を防いだ。次いで麻酔したマウスを(i)ゲルフォームに埋め込んだ2×10
5個のc新膵島/kg体重、または溶媒(0.5mlのDMEM−F12)のいずれかでi.p.処置した。新膵島はP1の膵島細胞とP2のイヌASCで構成された。血中グルコースのレベル及び体重を週に2回評価し、マウスを11週間経過観察した。IP GTT:処置後55日目に3頭の溶媒処置マウス及び5頭のc新膵島処置マウスを5時間絶食させ、その際、ベースラインの血中グルコースのレベルを評価した。次いで動物を麻酔し、麻酔下でi.p.注射を介して2gのグルコース/kg体重(0.5mlの無血清培地に溶解し、フィルターで無菌化した)を投与した。グルコース投与後、30分、60分及び120分に尾静脈の血中グルコースのレベルを評価した。
【0107】
イヌのインスリンについてのELISA:耐糖能試験の間に集めた溶媒処置及び新膵島処置のマウスに由来する血清を、製造元の指示書に従って、マウスのインスリンと交差反応しないイヌ特異的なインスリンの存在についてELISA(Mercodia,Uppsala,Sweden)によって調べた。交差反応についてのそれぞれ陽性及び陰性の対照としてイヌの血清ならびにC56Bl/6マウスの血清も解析した。
【0108】
抗体反応試験:新膵島またはASCの投与後14日以上の新膵島処置したまたはイヌASC処置したNODマウスから得た約500μlの血清と共に、約5×10
4個の細胞(投与された新膵島を作り出すのに使用されたMSC、ASCまたは膵島細胞)のアリコートをそれぞれインキュベートした。細胞を血清と共に室温で30分間インキュベートした。30分後、細胞を600×gで5分間遠心分離し、FACS緩衝液に再懸濁させ、cy3を結合したヤギ抗マウス(希釈)IgG抗体と共にインキュベートした。細胞を室温にて暗所でさらに20分間インキュベートした。次いで1mlの1×PBS+1%のBSAを加え、細胞をボルテックスで撹拌し、遠心分離し、400μlの固定緩衝液(1%ホルムアルデヒド)に再懸濁させ、FACS(BD FACScan Analyzer,San Jose,CA)によって解析した。7%超の細胞のシフトを陽性反応と見なし、血清は試験細胞に対する抗体を含有することを示した。ゲルフォームに埋め込む新膵島:新膵島の個々の用量を15mlのFalconチューブに集め、200×gで2分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットをそれぞれ0.2mlの無血清DMEM−F12に再懸濁させた。次いで新膵島の懸濁液を0.5×0.5×0.5cmの無菌ゲルフォームのブロックに負荷し、マウスへのi.p.投与に先立ってそれを37℃のインキュベータにて3時間インキュベートした。ゲルフォームに埋め込んだ新膵島を無菌条件下で且つ麻酔下でレシピエントマウスの腹腔脂肪体及び大網にて外科的に移植した。二層縫合で腹部切開を閉じた。
【0109】
生体内画像化:Li−Cor,Pearl Impulse撮像装置を用いて、麻酔したマウスにてDiR染色した新膵島の生体内画像化を行った。
【0110】
結果
STZの1ヵ月後にi.p.投与された2×10
5個の新膵島/kg体重の用量は正常血糖値を達成し、維持し、動物の生存を促進する。STZで誘導したT1DM糖尿病の確立のほぼ1ヵ月後、5頭のNOD/SCIDマウスの3群をそれぞれ、0.5mlの無血清培地(DMEM−F12)に懸濁させた(a)200,000個または(b)80,000個の新しく形成した再分化していないイヌ由来の新膵島/kg体重、または溶媒(0.5mlの無血清培地)によってi.p.で処置した。STZ投与の約1ヵ月後(
図12、13、14A及び14Bにおける0日目)Linbitを1回与え、血中グルコースのレベルが安定した、Linbit投与の12日後、新膵島または溶媒を投与した。溶媒で処置した動物はインスリン療法にもかかわらず、21日目までに死亡し始めた(
図15を参照のこと)。
図12、13、14A及び14Bで示されるように、いったんLinbitが切れると、溶媒処置した(白棒)残りの動物は再び高血糖になった。新膵島処置した糖尿病動物(黒棒及び斜線棒)は、正常化された血中グルコースのレベルを示し、200,000個の新膵島/kg体重用量の方が80,000個の新膵島/kg体重用量よりも効果的に高血糖を制御した。
図15が明らかにしているように、溶媒処置した糖尿病群(三角)及び驚くべきことに健常対照の非糖尿病群(菱形)よりも処置群(四角及び丸)の方が死亡率が有意に低かった。
【0111】
腹腔内耐糖能試験(IP GTT)は2×10
5個の新膵島/kg体重で処置した動物では正常であり、血中グルコースの上昇にはイヌのインスリンの放出が伴った:IP GTT(2gのグルコース/kg体重)は、方法に記載されているように2×10
5個のイヌ新膵島/kg体重用量または溶媒のいずれかで処置されているNOD/SCIDマウスにてイヌ新膵島処置の54日後(Linbit療法の66日後)に行った。
図16で分かるように、新膵島処置した動物のIP GTTは正常であった一方で、溶媒処置したマウスの血中グルコースのレベルはグルコース投与の2時間後上昇したままだった。
【0112】
耐糖能試験の間に集めた溶媒処置及び新膵島処置のマウスに由来する血清を、方法に記載されているようにマウスのインスリンと交差反応しないイヌ特異的なインスリンの存在についてELISAによって調べた。
図16で分かるように、イヌのインスリンは新膵島処置の血清(斜線棒)にて検出されたが、溶媒処置マウスでは検出されなかった。健常なC57Bl/6マウスの血清も同様に調べ、イヌのインスリンとマウスのインスリンの間で有意な交差反応はないことを保証した。有意な交差反応は観察されなかった。
【0113】
新膵島の回収は高血糖を再確立する:76日目に、2×10
5個の新膵島/kg体重処置群から新膵島を取り出した。
図13が明らかにしているように、イヌ新膵島の取り出しは溶媒処置動物(白棒)と同様に動物のこの群(黒棒)にて高血糖の再確立を生じた。
【0114】
結論:実施例6で提示された結果は、少し前に発症した糖尿病動物にi.p.投与された新しく形成したイヌ新膵島は、T1DMの齧歯類にて、生体内で再分化して適正で且つ生理的なインスリン分泌及び耐久性のある、しかし、可逆性の正常血糖値の維持を提供すること実証している。加えて、大網の除去を介して集塊を除去する能力は臨床的に保証される場合、この技術の安全性の特徴である。
【0115】
実施例8:新膵島の追跡及び血管形成
論理的根拠:(A)大網が種々のサイズの細胞及び異物を蓄積することは周知である。従って我々は仮説を立て、新膵島はi.p.で送達されると大網によって取り込まれ、大網にて生着するかどうかを調べた。そのような位置は2つの利点を提供する:(i)膵臓についての場合のように、大網からの血液は門脈系を介して直接肝臓に流れる。従って新膵島によって作られたインスリンは生理的な方法で送達されることになる。(ii)新膵島を取り除くことが安全性または他の理由で望ましいのであれば、大網は有意な悪影響がなく取り除くことができる。(B)MSC及びASCは強力な血管形成因子及び生存因子を発現するので、我々はまた生着した新膵島の幹細胞成分が新膵島のための血液供給の発生を高めるかどうかも調べた。
【0116】
方法
野生型C57Bl/6マウスに由来するP2の膵島細胞と、生体内で新膵島の追跡を円滑にするGFP
+遺伝子についてトランスジェニックであるC57Bl/6マウスに由来するP5のMSCとの低接着性容器における共培養から、マウスの新膵島を生成した。以下で示すように、実験の1群では、形成後、赤外線で励起できるカルボシアニンプローブDiR(Molecular Probes,Eugene,OR)によって新膵島を染色し、生体内での追跡を可能にした。
【0117】
P2のイヌ膵島細胞と、生きている動物での追跡を可能にするDiRで染色されているP4のイヌASCとの低接着性容器における共培養からイヌの新膵島を形成した。
【0118】
糖尿病モデル及び同種処置:メス非肥満糖尿病(NOD)マウスはおよそ12〜20週齢で自然発生的にT1DMを発症する。メスNODマウスが高血糖(別々の3日で血中グルコース300mg超/dL)であることが確認されたら、それらをLinbitペレットでs.c.処置した。動物の血中グルコースのレベルが正常化されたら、新膵島(0.5mlの無血清DMEM−F12培地に懸濁させた2x10
5個の新膵島/kg体重)または溶媒(0.5mlの無血清DMEM−F12培地)を各5頭の動物の群にi.p.投与した。その後の外来性のインスリンは各群の動物に与えなかった。血中グルコースのレベル及び体重を週に2回評価し、マウスを10週間経過観察した。新膵島投与後10週目に、動物を屠殺し、その血清、大網、肝臓、脾臓、腎臓及び膵臓を摘出した。
【0119】
イヌの新膵島の投与:DiR標識したイヌの新膵島を6頭のNOD/SCIDマウスにi.p.投与し、Li−Cor Pearl Impulse(商標)撮像装置を用いてイソフルラン麻酔下にてマウスを10週間毎週調べ、新膵島を追跡した。
【0120】
同系新膵島の投与:一方は非糖尿病動物にて、もう一方は糖尿病動物にて2つの同系投与実験を行った。
【0121】
(A)非糖尿病動物:非糖尿病C57Bl/6マウスの6群に、(a)0.5mlの無血清DMEM−F12に懸濁させた2×10
5個の新しく形成したgfp+マウス新膵島(5群)、または0.5mlの無血清DMEM−F12(溶媒、1群)をi.p.投与した。血中グルコースのレベル(ワンタッチウルトラ2血糖計)及び体重をベースラインで評価し、次いで全動物にて週に2回評価した。12週目までの種々の時点で、動物の群を屠殺し、その血清、大網、肝臓、脾臓、肺、腎臓及び膵臓を摘出した。
【0122】
(B)糖尿病動物:STZ−糖尿病C57Bl/6マウスの2群に、(a)DiRで染色し、0.5mlの無血清DMEM−F12に懸濁させた2×10
5個の新しく形成したgfp+マウス新膵島、または(b)0.5mlの無血清DMEM−F12(溶媒)のいずれかをi.p.投与した。血中グルコースのレベル(ワンタッチウルトラ(商標)2血糖計)及び体重をベースラインで評価し、次いで全動物にて週に2回13週間評価した。週に1回、Li−Cor Pearl Impulse撮像装置を用いてイソフルラン麻酔下にて動物を調べ、新膵島を追跡した。
【0123】
免疫組織化学法:大網及び他の臓器を以前記載されたように摘出し、固定し、包埋した
13。大網の切片を脱パラフィン化し、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI,Molecular Probes,Eugene,OR)によってDNAについて、及び製造元の指示書に従ってモルモット抗インスリン抗体(Dako,Carpinteria,CA)とcy
3を結合した抗モルモット抗体(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)を用いてインスリンタンパク質について、免疫組織化学法によって染色した。
【0124】
結果
新膵島はマウスの大網にて自然に生着し、インスリンを産生する。我々は、注射されたNIはマウスの十分に血管が発達した大網にホーミングし、付着し、生着し、それは肝臓の門脈系への生理的なインスリン分泌の利点を提供するという仮説を立てた。実際、
図18Aで示すように、DiR標識したNIで10週前に処置された正常血糖のNODマウスの蛍光生体内画像化は、上部腹部におけるそれらの持続した位置を明らかにしている。
【0125】
図9で示された実験に由来するNI処置したNODマウスの安楽死の際、
図18Aで検出されたようなDiR標識したeGFP+NIの腹腔内での生着パターン及び機能をさらに評価するために、我々は、eGFP+NIの存在について大網、膵臓、脾臓、肝臓、肺及び腎臓を組織学的に調べた。NIは動物の大網でのみ検出された(
図18B)。さらに、大網の切片はインスリンについて陽性に染まった(
図18C、左のパネル)が、陰性対照(
図18C、挿入図)及び溶媒処置の糖尿病NODマウスに由来する大網はインスリン染色を示さなかった(
図18C、右のパネル)。膵臓は予想どおり、高悪性度の膵島炎を有することが示され(
図17)、これは正常血糖値は膵島の回復によっては達成されず、むしろ、大網に生着したNIによる生理的なインスリンの分泌を介して達成されることを示している。重要なことに、調べた臓器のいずれにおいても腫瘍形成または異所性の不良分化(脂肪−、骨−、軟骨形成−)についての組織学的な証拠はなかった。
【0126】
結論:総合すれば、前述の結果は、種を超えて(i)i.p.で投与される新膵島はそれらが長期にとどまり、再分化し、生理的な方法でインスリンを分泌する大網に生着し、拒絶されないことを明らかにしている。(ii)新膵島の幹細胞成分の血管形成特性は新膵島で血管形成するのに役立ち、必要とされる酸素、栄養、及び肝臓の門脈への新膵島からのインスリンの最適な送達をそれらに提供する。
【0127】
実施例9:ずっと前に発症した糖尿病の新膵島処置
論理的根拠:我々は実施例5にて、新膵島は少し前に発症したT1DMを治療するのに有効であることを示した。我々はここで、新膵島がずっと前に発症したT1DMを治療するのにも有効であるかどうかを調べた。
【0128】
方法
新膵島:イヌASC(継代2)とイヌの培養した膵島細胞(継代1)とから新膵島を形成した。
【0129】
糖尿病モデル:クエン酸緩衝液中の75mg/kg体重のストレプトゾトシン(STZ)の3回のi.p.投与によって非肥満の糖尿病/重症複合免疫不全(NOD/SCID)マウスを糖尿病にした。別々の3日での300mg超/dLの血中グルコースのレベルによって糖尿病状態を確認した。動物が糖尿病であると確認されたら、s.c.のLinbitペレットを用いたインスリン療法でほぼ3ヵ月間その血中グルコースのレベルを制御した。新膵島または溶媒の投与に先立って動物すべてが依然として糖尿病であることを確認するために、Linbitを失効させ、マウスはすべて高血糖を再発症した。マウスを再びLinbitで処置し(
図19の0日目)、血中グルコースのレベルを制御し、糖毒性の細胞損傷を防いだ。
【0130】
IP GTT及びインスリンELISAを実施例5に記載されているように行い、結果を実施例6(少し前の発症)における動物のものと組み合わせ、
図16にて提示した。
【0131】
結果
STZで誘導したT1DMの3ヵ月後、それぞれ5頭の糖尿病NOD/SCIDマウスの2群を、(a)0.5mlの無血清培地(DMEM−F12)に懸濁させた200,000個の新しく形成したイヌ由来の新膵島/kg体重、または(b)溶媒によってi.p.で処置した。実験設計の概観は
図19にて与えられている。
図19で示すように、ずっと前に発症した糖尿病の動物はイヌ新膵島による処置に続いて正常血糖を示す(黒棒)が、溶媒で処置された動物はいったんインスリンペレットが失効すると高血糖のままである(白棒)。
【0132】
結論:上記のデータは、少し前に発症した糖尿病と同様に、ずっと前に発症した糖尿病で正常血糖値を確立するのにも新膵島は有効であることを実証している。
【0133】
実施例10:自然発症糖尿病NODマウスの同種マウス新膵島による処置
論理的根拠:我々は実施例5及び7にてイヌ新膵島がNOD/SCIDマウスにてSTZが誘導した糖尿病を元に戻すことができることを示した。上記で提示されたNOD/SCIDのデータは、イヌに由来する細胞から生成された新膵島が生体内で安全に且つ効果的に再分化を受けてインスリンを産生し、生理的な様式でそれを長期に分泌することを示しているが、NOD/SCIDモデルは糖尿病誘発性の自己免疫及び同種免疫の攻撃から移植された細胞を保護するという課題には対処していない。ASC及びMSCは強力な免疫調節特性を示す
16。我々は、新膵島の幹細胞成分が局所の免疫隔離を提供するという仮説を立て、新膵島が、自然発症糖尿病NODマウスに同種で投与された場合、正常血糖値を回復できるかどうかを調べた。
【0134】
方法
野生型C57Bl/6マウスに由来するP2の膵島細胞と、GFP
+遺伝子についてトランスジェニックのC57Bl/6マウスに由来するP5のMSCの低接着性容器における共培養からマウスの新膵島を生成した。
【0135】
自然発症糖尿病モデル及び同種処置:メスNODマウスが高血糖(別々の3日で300mg超/dLの血中グルコース)であると確認されたら、Linbitペレットでそれらをs.c.処置した。動物の血中グルコースのレベルが正常化されたら、新膵島(0.5mlの無血清DMEM−F12培地に懸濁させた2×10
5個の新膵島/kg体重)または溶媒(0.5mlの無血清DMEM−F12培地)を各5頭の動物の群にi.p.投与した。いずれの群の動物にもその後の外来性のインスリンは与えなかった。血中グルコースのレベル及び体重を週に2回評価し、マウスを長期間経過観察した。
【0136】
結果
i.p.投与された200,000個用量の同種新膵島/kg体重は自然発症糖尿病のNODマウスにて正常血糖値を達成し、維持する。溶媒処置した及び新膵島処置したNODマウスの血中グルコースのレベルを
図20にて示す。要約すると、血中グルコースのレベルは同種新膵島で処置したマウス(黒棒)では正常化されたが、溶媒処置したマウス(白棒)は高血糖のままだった。
【0137】
結論:これらのデータは、イヌ新膵島と同様にマウス新膵島は(i)生体内で再分化して適正なインスリン分泌を提供し、正常血糖値を取り戻し、維持すること、及び重要なことに、(ii)仮設を立てたようにそれらは被包されることなく同種及び自己の免疫攻撃双方に対する免疫隔離を提供することを実証している。
【0138】
実施例11:新膵島は非糖尿病マウスにて低血糖を誘導しない
論理的根拠:前の実施例から、新膵島は、大網に生着し、それらが再分化してインスリンを産生し、分泌するのは明らかである。しかしながら、インスリン分泌が構成的で且つ非生理的であったなら、これは低血糖の症状の出現を招く可能性がある。従って、我々は非糖尿病動物への新膵島の投与が低血糖を生じることになるのかどうかを調べた。
【0139】
方法
野生型C57Bl/6マウスに由来するP2の膵島細胞と、GFP
+遺伝子についてトランスジェニックであるC57Bl/6マウスに由来するP5のMSCとの低接着性容器における共培養から、マウスの新膵島を生成した。
【0140】
P2のイヌ膵島細胞とP4のイヌASCとの低接着性容器における共培養からイヌの新膵島を形成した。
【0141】
マウス新膵島の投与:それぞれ2〜4頭の非糖尿病C57Bl/6マウスの6群に、(a)0.5mlの無血清DMEM−F12に懸濁させた新しく形成した2×10
5個のマウス新膵島(5群)、または(b)0.5mlの無血清DMEM−F12(溶媒;1群)のいずれかをi.p.で投与した。血中グルコースのレベル(ワンタッチウルトラ2血糖計)及び体重をベースラインで評価し、次いで週に2回12週目まで評価した。
【0142】
イヌ新膵島の投与:NOD/SCIDマウスの2群に(a)新しく形成した2×10
5個のイヌ新膵島(N=6)、または(b)0.5mlの無血清DMEM−F12(溶媒;N=3)のいずれかをi.p.で投与した。血中グルコースのレベル(ワンタッチウルトラ2血糖計)及び体重をベースラインで評価し、次いで週に2回10週間評価した。
【0143】
結果
新膵島は非糖尿病マウスにて低血糖を引き起こさない。実施例8及び
図18Bで示すように、i.p.で投与されたマウスまたはイヌの新膵島は大網にて生着する。
図21の上のパネルで分かるように、マウス新膵島で処置されたC57Bl/6マウスの血中グルコースのレベルは正常で且つ溶媒処置したマウスのそれと同等のままである。イヌ新膵島で処置したNOD/SCIDマウスについて同様の結果が得られた(
図21、下のパネル)。
【0144】
結論:これらのデータは、マウスまたはイヌの細胞のいずれかから形成され、生着した新膵島は生理的にであって、構成的にではなくインスリンを放出することを実証している。
【0145】
実施例12:新膵島に含有される同種MSC及び培養した膵島細胞はレシピエントにて抗体反応を引き出さない。
論理的根拠:先行する実施例は、本明細書に記載されている新膵島が同種で使用されて拒絶されることなく糖尿病動物にて正常血糖を取り戻すことを示している。新膵島によって同種で処置された動物が新膵島を構成する細胞型のいずれかに対して抗体を産生するかどうかをさらに調べるために以下の試験を企てた。
【0146】
方法
野生型C57Bl/6マウスに由来するP2の膵島細胞とC57Bl/6マウスに由来するP5のMSCとの低接着性容器における共培養からマウスの新膵島を生成した。
【0147】
抗体反応試験:試験血清を(a)1×10
5個のgfp+C57Bl/6のMSC、または(b)1×10
5個の培養したC57Bl/6の膵島細胞と共に30分間インキュベートした。陽性対照を1×10
5個のイヌASCとともにインキュベートした。陽性対照の血清を1×10
5個のイヌASCと共にインキュベートした。血清とのインキュベートの後、細胞を遠心分離し、FACS緩衝液に再懸濁させ、フィコエリスリン(PE)標識した抗マウスIgG抗体(Pharmingen,San Diego,CA)と共にインキュベートした。細胞を室温にて暗所でさらに20分間インキュベートした。次いで1mlの1×PBS(Roche,Indianapolis,IN)+1%BSA(Sigma,St.Louis,MO)を加えた。細胞をボルテックスで撹拌し、次いで遠心分離し、固定緩衝液(1%ホルムアルデヒド)に再懸濁させ、FACS(BD FACScan Analyzer,San Jose,CA,10,000個の細胞を数えた)によって解析した。
【0148】
結果
血清は
(i)新膵島処置の12週後、2×10
5個の新膵島/kg体重によってi.p.処置されているNODマウス(実施例8を参照のこと)
(ii)溶媒処置の12週後、溶媒によってi.p.処置されているNODマウス(実施例8を参照のこと)
(iii)注入されていないNODマウス(ナイーブのマウス)
から得られた。
【0149】
新膵島由来のマウスMSC及び新膵島由来のマウス膵島細胞を回収した血清と共にインキュベートし、次いでフィコエリスリン(PE)標識した抗マウスIgG抗体と共にインキュベートした。次いで血清に曝露した細胞を方法にて上述のようなFACSによって解析し、投与されたMSCまたは膵島細胞に対するIgG抗体が処置されたマウスの血清に存在するかどうかを判定した。
【0150】
ASCの異種投与が免疫応答を引き出すことは知られているので、イヌASC投与後14日目のNODマウスに由来する血清に曝露されたASCをPE標識した抗マウスIgG抗体と共にインキュベートし、FACSによって解析し、陽性対照として使用した。
【0151】
新膵島で処置したマウスが新膵島におけるMSCまたは膵島細胞に対して同種免疫応答を発生したのであれば、そのときはPE標識した抗マウスIgG抗体は血清に曝露した細胞に結合し、FACS解析にて細胞はシフトして(PE陽性)見えることになる。FACSにおける細胞の7%超(PE陽性細胞の%)のシフトを陽性の同種抗体反応と見なした。
【0152】
図22A〜22Cで示すように、同種新膵島で処置したマウスの血清は同種のマウスMSC(
図22A)または膵島細胞(
図22B)に対するIgG抗体を含有していなかった。加えて、これらのデータは溶媒処置したNODマウスの血清がMSCまたは脱分化した膵島細胞に対する予め形成されたIgG抗体を含有しなかったことを示唆している。予想どおり、イヌASC(陽性対照)で処置したマウスの血清は細胞の95%におけるシフトによって(
図22C)証拠付けされるようにイヌASCに対する高レベルのIgG抗体を含有した。
【0153】
NODマウスは、NIのMSC及び膵島細胞に対する同種免疫IgG反応を開始しない。NIに含有される膵島細胞及びMSCが液性免疫攻撃から保護されるかどうかを調べるために、我々は、正常血糖のNI処置したNODマウスの血清が投与されたNIを生成するのに使用されたMSCまたは培養ICのいずれかに対して向けられたIgG抗体を含有するかどうかを評価した。NI処置した正常血糖のNODマウスの血清がMSCに向けられたIgG抗体も培養ICに向けられたIgG抗体も含有しなかった一方で、陽性対照として使用され、同一数の同種(C57Bl/6)の新しく単離された膵島細胞のi.p.投与は強力な抗体反応を引き出した(
図23)。同種NIを形成するのに使用された細胞に対するIgG抗体反応の欠如は、長期の正常血糖値の達成と共にさらに、本明細書に記載されているようなNIがその膵島細胞成分及びMSC成分に対する液性の同種免疫防御も提供することを示している。
【0154】
自己免疫応答の阻害。インスリン産生細胞によって自己免疫性のT1DMを有効に治療するのに欠かせないのは、それらの細胞の自己免疫隔離であり、
図9で提示された結果は、NI内のICは処置されたNODマウスの自己免疫攻撃から保護されることを意味している。NODマウスにおけるβ細胞の自己免疫破壊は、ヒトT1DMでのように、自己反応性のCD4+Th1細胞が介在し、マクロファージ、CD4+及びCD8+のT細胞による膵島への浸潤が関与する膵島炎を特徴とする。単独でまたは膵島と合わせての同種ASCの投与は、ある程度、調節性T細胞の増殖を促進し、ここで確認されたTgfb1の発現を介して免疫細胞の増殖を抑制することによって(
図3、8A及び8B)、及びイヌにおけるIDOの上方調節によって(
図4C)、糖尿病の動物及びヒトにて高血糖を緩和するまたは防ぐことが以前示されている。NIのM/ASC成分が同様のメカニズムを介してNODマウスの自己免疫攻撃から膵島細胞を保護する可能性を検証するために、我々は以下のような既知のMSC免疫調節メカニズムの精選セットをここで調べた。我々は、糖尿病NODマウスの別の群を同種C57Bl/6の膵島(N=3)または同種NI(N=3)でi.p.処置した。14日後、そのようなマウスを安楽死させ、その血液、膵臓、腎臓、肺、脾臓及び大網を摘出した。膵臓を組織学的に調べ、予想どおり膵島炎を示すことを明らかにした。脾臓を摘出し、CD3、CD4、CD8、FOXP3、CD25の陽性細胞の百分率についてFACSによって調べた。摘出した大網をFoxp3+細胞の存在についてIHCによって調べた。CD3/CD4及びCD3/CD8二重陽性細胞の百分率は、膵島処置したNODマウスに対比させたNI処置したNODマウスの脾臓細胞にて有意に低かったのに対して、CD4/CD25二重陽性及びCD4/CD25/Foxp3三重陽性のTregの百分率は膵島処置したNODマウスに対比させたNI処置したNODマウスの脾臓にて有意に高かった(FACS解析、
図24パネルa〜d)。同様に、NI処置したマウスの大網のIHC解析は溶媒処置したマウスのそれに対比させてFoxp3陽性細胞の有意な増加を示した(
図24、パネルe)。調べた動物の数が少ないが、これらの結果は他の知見及びNI及び特にM/ASC成分が糖尿病誘発性自己免疫反応の調節を介してT1糖尿病マウスにて正常血糖を促進するという我々の仮説と一致する。上記のマウスの大網をKi67についても染色し、NI移植に関連する有意な細胞分裂があったかどうかを調べた。何も見いだされなかった。
【0155】
結論:上記のデータは、新膵島の投与が新膵島を構成するどの細胞型に対しても抗体反応を引き出さないということを示しており、新膵島が免疫隔離を提供し、拒絶反応抑制剤及び被包手段の必要性を排除するという仮説をさらに支持している。
【0156】
今日までの及び上で提示した我々の広範な試験管内及び生体内のデータは、同系及び同種の新膵島及び複数の種に由来する新膵島によるマウスにおける実験的T1DMの治療は正常血糖値を効果的に取り戻すことができ、すなわち、T1DMを治療することができ、且つ長期の経過観察の間、これを治療することができることを実証している。たとえば、新膵島の腫瘍形成性の形質転換または異所性の分化不良のような有害事象は観察されなかった。この新規の治療法は、1型糖尿病のペット動物(イヌ、ネコ)及びヒトの双方にてインスリン依存性の糖尿病の治療として使用することができる。
【0157】
実施例13:同種膵島細胞を含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に由来するASC及び/またはMSCと同種供給源に由来する膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0158】
実施例14:同種膵島細胞と同種MSC及び/またはASCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
幹細胞及び膵島細胞が、インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するMSC及び/またはASCと膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0159】
実施例15:異種膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が、インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して異種である供給源に由来するMSC及び/またはASCと膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0160】
実施例16:同種膵島細胞と補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に由来するMSC及び/またはASCと同種供給源に由来する膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0161】
実施例17:同種膵島細胞と同種MSC及び/またはASCと補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
幹細胞及び膵島細胞が、インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0162】
実施例18:異種膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCと補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
幹細胞及び/なたは膵島細胞が、インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して異種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0163】
実施例19:再分化した膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が、インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。新膵島は生体外で再分化した。再分化した新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0164】
実施例20:再分化した膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCと補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いたインスリン依存性糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が、インスリン依存性糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上記実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。新膵島は生体外で再分化する。再分化した新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0165】
実施例21:同種膵島細胞を含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
インスリン療法は2型糖尿病を患っている患者で使用されている、たとえば、参照によって本明細書に援用される、K.Horvath,K.Jeitler,A.Berghold,S.H.Ebrahim,T.W.Gratzer,J.Plank,T.Kaiser,T.R.Pieber及びA.Siebenhofer,“Long‐acting insulin analogues versus NPH insulin (human isophane insulin) for type 2 diabetes mellitus,”Cochrane Database of Systematic Reviews,2007,Issue,2,Art.No.:CD005613,DOI:10.1002/14651858.CD005613.pub3を参照のこと。2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に由来するASC及び/またはMSCと同種供給源に由来する膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0166】
実施例22:同種膵島細胞と同種MSC及び/またはASCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
幹細胞及び膵島細胞が2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0167】
実施例23:異種膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して異種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0168】
実施例24:同種膵島細胞と補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に由来するASC及び/またはMSCと同種供給源に由来する膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0169】
実施例25:同種膵島細胞と同種MSC及び/またはASCと補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
幹細胞及び膵島細胞が2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0170】
実施例26:異種膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCと補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して異種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。得られる新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0171】
実施例27:再分化した膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。新膵島は生体外で再分化する。再分化した新膵島が対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0172】
実施例28:再分化した膵島細胞及び/または同種MSC及び/またはASCと補助的ASC及び/またはMSCを含有する新膵島を用いた2型糖尿病の治療
幹細胞及び/または膵島細胞が2型糖尿病を患っていると特定されたヒト対象に対して同種である供給源に由来するASC及び/またはMSCと膵島細胞とを用いて上述の実施例で記載されているようにヒト細胞を含有する新膵島を生成する。新膵島は生体外で再分化する。再分化した新膵島が対象に投与され、補助的ヒトASC/MSCも対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。その間、対象は経口血糖降下剤及び/またはインスリンで治療される。
【0173】
実施例29:新膵島の投与
新膵島がインスリン依存性糖尿病を患っている対象に静脈内で投与される上述の実施例のいずれか1つに記載されているように生成される新膵島。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0174】
実施例30:新膵島の投与
新膵島が2型糖尿病を患っている対象に静脈内で投与される上述の実施例のいずれか1つに記載されているように生成される新膵島。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0175】
実施例31:新膵島の投与
新膵島がインスリン依存性糖尿病を患っている対象に皮下で投与される上述の実施例のいずれか1つに記載されているように生成される新膵島。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0176】
実施例32:新膵島の投与
新膵島が2型糖尿病を患っている対象に皮下で投与される上述の実施例のいずれか1つに記載されているように生成される新膵島。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0177】
実施例33:新膵島を用いた前糖尿病の治療
上述の実施例のいずれか1つに記載されているように生成された新膵島が損傷した耐糖能または前糖尿病を患っている対象に投与される。治療の数週間後、対象は改善された血糖管理を示す。
【0178】
参考文献(そのそれぞれの全体の内容がこの参照によって本明細書に援用される)
1. Hara,M.,X.Wang,T.Kawamura,V.P.Bindokas,R.F.Dizon,S.Y.Alcoser,M.A.Magnuson,及びG.I.Bell:Transgenic mice with green fluorescent protein−labeled pancreatic beta −cells.Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.284:E177−E183,2003.
2. Zhou,X.,K.Merchak,W.Lee,J.P.Grande,M.Cascalho,及びJ.L.Platt:Cell Fusion Connects Oncogenesis with Tumor Evolution.Am.J.Pathol.185:2049−60,2015.
3. DelaRosa,O.,B.Sanchez−Correa,S.Morgado,C.Ramirez,B.del Rio,R.Menta,E.Lombardo,R.Tarazona,及びJ.G. Casado:Human Adipose−Derived Stem Cells Impair Natural Killer Cell Function and Exhibit Low Susceptibility to Natural Killer−Mediated Lysis.Stem Cells Dev.21:1333−1343,2012.
4. Burr,S.P.,F.Dazzi,O.Garden:Mesenchymal stromal cells and regulatory T cells:the Yin and Yang of peripheral tolerance?Immunol.Cell Biol.91:12−8,2013.
5. English,K:Mechanisms of mesenchymal stromal cell immunomodulation.Immunol.Cell Biol.91:19−26,2012.
6. Kim,Y.−H.,Y.−M.Wee,M.−Y.Choi,D.−G.Lim,S.−C.Kim,D.−J.Han:Interleukin(IL)−10 induced by CD11b(+) cells and IL−10−activated regulatory T cells play a role in immune modulation of mesenchymal stem cells in rat islet allografts.Mol.Med.17:697−708,2011.
7. Spaggiari,G.M.,L.Moretta:Cellular and molecular interactions of mesenchymal stem cells in innate immunity.Immunol.Cell Biol.91:27−31,2013.
8. Le Blanc,K.,L.C.Davies:Mesenchymal stromal cells and the innate immune response.Immunol.Lett.in press:2015,May,15.pii:S0165−2478(15)00072−3.doi:10.1016/j.imlet.2015.05.004.[Epub ahead of print].
9. Plock,J.A.,J.T.Schnider,W.Zhang,R.Schweizer,W.Tsuji,N.Kostereva,P.M.Fanzio,S.Ravuri,M.G.Solari,H.−Y.Cheng,P.J.Rubin,K.G.Marra,V.S.Gorantla:Adipose− and Bone Marrow−Derived Mesenchymal Stem Cells Prolong Graft Survival in Vascularized Composite Allotransplantation.Transplantation,99(9):1765−73:2015.
10. Vrabelova,D.,C.A.Adin,A.Kenzig,C.Gilor,F.Xu,J.L.Buss,A.Rajab:Evaluation of a high−yield technique for pancreatic islet isolation from deceased canine donors.Domest.Anim.Endocrinol.47:119−26,2014.
11. Woolcott,O.O.,R.N.Bergman,J.M.Richey,E.L.Kirkman,L.N.Harrison,V.Ionut,M.Lottati,D.Zheng,I.R.Hsu,D.Vski,M.Kabir,S.P.Kim,K.J.Catalano,J.D.Chiu,及びR.H.Chow:Simplified method to isolate highly pure canine pancreatic islets.Pancreas,41:31−8,2012.
12. Lange,C.,F.Togel,H.Ittrich,F.Clayton,C.Nolte−Ernsting,A.R.Zander,及びC.Westenfelder:Administered mesenchymal stem cells enhance recovery from ischemia/reperfusion−induced acute renal failure in rats.Kidney Int.68:1613−7,2005.
13. Togel,F.,Z.Hu,K.Weiss,J.Isaac,C.Lange,及びC.Westenfelder:Administered mesenchymal stem cells protect against ischemic acute renal failure through differentiation−independent mechanisms.Am.J.Physiol.Renal Physiol.289:F31−42,2005.
14. Togel,F.,K.Weiss,Y.Yang,Z.Hu,P.Zhang,及びC.Westenfelder:Vasculotropic, paracrine actions of infused mesenchymal stem cells are important to the recovery from acute kidney injury.Am.J.Physiol.Renal Physiol.292:F1626−35,2007.
15. Pittenger,M.F.,A.M.Mackay,S.C.Beck,R.K.Jaiswal,R.Douglas,J.D.Mosca,M.A.Moormand.W.Simonetti,S.Craig,及びD.R.Marshak:Multilineage potential of adult human mesenchymal stem cells.Science,284:143−7,1999.
16. Crop,M.J.,C.C.Baan,S.S.Korevaar,J.N.M.IJzermans,I.P.J.Alwayn,W.Weimar,及びM.J.Hoogduijn:Donor−Derived Mesenchymal Stem Cells Suppress Alloreactivity of Kidney Transplant Patients.Transplantation,87:896−906,2009