(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
離型フィルムは、粘着剤や接着剤などを使用するための接着面保護用フィルムまたはフレキシブルな材料を支持するキャリアシートなどに使用されている。
【0003】
一方、粘着剤または接着剤などの形状は、光学製品の様々な用途と品種を満たし、生産性を改善するために、液状からシートへと変化している。
【0004】
かかるシート形状を保護する離型フィルムは、ラベルが使用されるまでに粉じん、破片、水分またはその他の汚染物による汚染から接着製品の接着面を一時的に保護し、接着製品の使用直前に接着面から分離する。したがって、離型フィルムには、製品の表面に剥離性を与え、且つ製品との密着力を与えることができるコーティング層が形成されている。
【0005】
離型フィルム組成物は、コーティング方法または用途に応じて、溶剤型またはエマルション型に製造することができる。一般的には、エマルション型組成物は、安定性が劣り、水を分散媒として使用することによる蒸発潜熱が高くて高温硬化を要するという問題がある。
【0006】
オフラインコーティング(Off‐Line Coating)に適用される離型フィルムは、乾燥工程温度が低く、乾燥ライン(Line)の長さが短くて、溶剤型または無溶剤型コーティング組成物が主に使用される。
【0007】
インラインコーティング(In‐Line Coating)に適用される離型フィルムは、PETフィルムの製膜工程において、溶剤の使用に伴う爆発の恐れがあり、主にエマルション型組成物が使用されている。
【0008】
かかるエマルション型組成物が、インラインコーティングに適用される理由は、テンター(Tenter)工程の温度が高いことから十分な架橋結合が可能であるためである。しかし、インラインコーティング用の
シリコーンエマルション組成物は、延伸が可能でなければならないため使用原料が制限されるという問題があり、インラインコーティング
シリコーン離型フィルムは、極めて制限的に生産されている。
【0009】
前記のような問題を解消するために、初期剥離が容易であり、十分な硬化反応が行われて残留粘着率が高く、背面転写率が低いインラインコーティング用組成物およびこれを用いた離型フィルムを提供するための様々な試みがなされた。
【0010】
韓国公開特許第2014‐0080659号には、剥離力調節剤としてヒドロキシル基またはアルケニル基を含むオルガノポリシロキサン樹脂を使用することで剥離力比を調節する技術が開示されている。しかし、前記技術は、軽剥離、すなわち、離型力が20gf/inch内外の水準に留まり、超軽剥離、すなわち、離型力10gf/inch以下を実現することが難しい。また、インラインコート法では、コーティング厚さを高めるのに限界があり、コーティング層の厚さが上昇するほど、製造後の巻取性が劣り、コーティング外観が不良になったり、コーティング原料のコストが高くなるという問題があり、これを改善するための研究開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記のような問題を解決するために導き出されたものであり、初期離型力が10gf/inch以下の超軽剥離性を達成することができ、離型力の経時変化が少なく、コーティング外観に優れた離型フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、巻取特性、残留粘着率に優れ、離型力偏差を最小化することができる離型フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、離型フィルムおよびその製造方法に関する。
【0014】
本発明は、ポリエステル基材フィルムと、前記基材フィルムの片面または両面に形成される離型コーティング層とを含む離型フィルムを提供する。この際、前記離型コーティング層は、平均粒径が0.05μm〜2μmの
シリコーンビーズを含有し、下記式1〜3を満たすことを特徴とする。
[式1]
R
i≦10
[式2]
|R
f−R
i|≦20
[式3]
|R
f−max−R
f−min|≦1.2
前記式1〜3中、R
iは55℃で24時間放置した後に測定された離型力であり、R
fは55℃で240時間放置した後に測定された離型力であり、R
f−maxは55℃で240時間放置した後に5回測定された離型力の最大値であり、R
f−minは55℃で240時間放置した後に5回測定された離型力の最小値である。
【0015】
本発明の一実施例による離型フィルムにおいて、離型コーティング層は、ケイ素化合物組成物およびアルコールに分散された
シリコーンビーズを含む離型コーティング層組成物で形成されたものであってもよい。この際、
シリコーンビーズは、無水エタノールおよび無水イソプロピルアルコールから選択されるいずれか一つ以上のアルコールを分散媒として使用して分散した状態で離型コーティング層組成物に混合することができる。
【0016】
本発明の一実施例による離型フィルムにおいて、ケイ素化合物組成物は、ケイ素化合物と、白金系触媒と、
シリコーン系湿潤剤とを含むことができる。
【0017】
前記ケイ素化合物は、下記化学式1〜化学式3で表される化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の化合物と、化学式4で表される化合物とを含むことができる。
【化1】
前記化学式1中、nは20〜3000であり、mは1〜500であり、n+mは21〜3000である。
【化2】
前記化学式2中、xは1〜3000である。
【化3】
前記化学式3中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、−CH=CH
2、−(SiC
2H
6O)
kCH=CH
2、−(SiC
2H
6O)
k(CH
2)
lCH=CH
2から選択されるいずれか一つであり、kとlは、それぞれ独立して、0〜300であり、yは20〜3000であり、zは1〜500であり、y+zは21〜3000である。
【化4】
前記化学式4中、aは1〜150であり、bは3〜300であり、a+bは5〜300である。
【0018】
また、本発明は、
a)ポリエステル樹脂を溶融押出し、シートに製造するステップと、
b)前記シートを縦方向に延伸するステップと、
c)前記b)ステップにおけるシートの片面または両面にケイ素化合物組成物およびシリコンビーズを含む離型コーティング層組成物をインラインコート法で塗布するステップと、
d)前記c)ステップにおけるシートを乾燥および予熱した後、横方向に延伸し、離型フィルムを製造するステップと、
e)前記離型フィルムを熱処理するステップと、
を含む離型フィルムの製造方法を提供する。
【0019】
本発明の一実施例による離型フィルムの製造方法において、離型コーティング層組成物には、アルコールに分散された
シリコーンビーズが別に混合されていることができる。
【0020】
本発明の一実施例による離型フィルムの製造方法において、
シリコーンビーズは、平均粒径が0.05μm〜2μmであってもよい。
【0021】
本発明の一実施例による離型フィルムの製造方法において、ケイ素化合物組成物は、ケイ素化合物と、白金系触媒と、
シリコーン系湿潤剤とを含むことができる。
【0022】
本発明の一実施例による離型フィルムの製造方法において、d)ステップにおける乾燥および予熱は、140℃以下で行うことができる。
【0023】
本発明の一実施例による離型フィルムの製造方法において、b)ステップまたはd)ステップにおける延伸は、80〜150℃で行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る離型フィルムは、インラインコート法を適用しても10gf/inch以下の超軽剥離性を達成することができる。また、離型力の経時変化が少なく、コーティング外観に優れ、離型力の偏差を最小化して剥離安定性に優れ、離型フィルムの剥離時に生じ得る粘着剤の浮き上がり現象による不良を改善できるという利点がある。
【0025】
前記のような物性の実現により、本発明に係る離型フィルムは、コンデンサ用、写真フィルム用、ラベル用、感圧テープ、装飾用ラミネート、転写テープ、偏光板およびセラミック離型用グリーンシートなどの様々な分野に適用され得るという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、具体例を参照して、本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形態に実現され得る。
【0027】
また、他に定義しない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本願において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0028】
また、明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態をも含むものと意図することができる。
【0029】
本発明に係る離型フィルムは、ポリエステル基材フィルムと、その片面または両面に形成される離型コーティング層とを含むものであり、前記離型コーティング層は、平均粒径が0.05μm〜2μmの
シリコーンビーズを含有し、下記式1〜3を満たすことを特徴とする。
[式1]
R
i≦10
[式2]
|R
f−R
i|≦20
[式3]
|R
f−max−R
f−min|≦1.2
前記式1〜3中、R
iは55℃で24時間放置した後に測定された離型力であり、R
fは55℃で240時間放置した後に測定された離型力であり、R
f−maxは55℃で240時間放置した後に5回測定された離型力の最大値であり、R
f−minは55℃で240時間放置した後に5回測定された離型力の最小値である。
【0030】
本発明においてポリエステル基材フィルムは、ジカルボン酸を主成分とする酸成分とアルキルグリコールを主成分とするグリコール成分を縮重合して得られるポリエステル樹脂からなることができる。
【0031】
前記ジカルボン酸の主成分としては、テレフタル酸またはそのアルキルエステルやフェニルエステルなどを主に使用するが、その一部を、例えば、イソフタル酸、オキシエトキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、5‐ナトリウムスルホイソフタル酸などの二官能性カルボン酸またはそのエステル形成誘導体に代えて使用してもよい。
【0032】
前記グリコール成分としては、エチレングリコールを主な対象とするが、その一部を、例えば、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4‐シクロヘキサンジオール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、1,4‐ビスオキシエトキシベンゼン、ビスフェノール、ポリオキシエチレングリコールに代えて使用してもよく、また、少ない含有量であれば、一官能性化合物または三官能性化合物を併用しても良い。
【0033】
本発明において、離型コーティング層は、下記式1〜3を満たす時に、離型力の経時変化が少なく、均一な粘着特性を達成することができる。
【0034】
[式1]
R
i≦10
[式2]
|R
f−R
i|≦20
[式3]
|R
f−max−R
f−min|≦1.2
【0035】
前記式1〜3中、R
iは55℃で24時間放置した後に測定された離型力であり、R
fは55℃で240時間放置した後に測定された離型力であり、R
f−maxは55℃で240時間放置した後に5回測定された離型力の最大値であり、R
f−minは55℃で240時間放置した後に5回測定された離型力の最小値である。
【0036】
前記式1は、離型フィルムの超軽剥離性を示すものであり、前記範囲から逸脱する場合、本発明で求める超軽剥離性を達成することが難しい。前記式1の下限は、あまり制限されないが、好ましくは、離型力R
iが3以上であることが好適である。離型力R
iが3未満の場合、初期離型力が劣りすぎて、被接着体に対する接着性が十分に発現されないこともある。
【0037】
式2は、離型力の経時変化を意味するものである。経時変化が少ないほど最終製品化した後、長期保管して使用できることから、管理の利点があり、離型フィルムの剥離時に均一な剥離力を示すため好ましい。前記式2の下限は、あまり制限されないが、好ましくは、離型力の経時変化(|R
f−R
i|)が10以上であることが好適である。離型力の経時変化が10未満の場合、フィルムの幅1,000mm以上で機械で剥離した時に剥離の痕が残らずより好ましい。一方、離型力の経時変化が20超の場合には、フィルムの幅1,000mm以上に剥離した時に高い離型力を示すことからグリーンシートまたは電子材料用シートの表面に離型フィルム剥離の痕が残り得る。
【0038】
式3は、離型力偏差を意味するものであり、55℃で240時間放置した後に測定した離型力の値の偏差が1.2未満の場合には、離型力偏差を感じることができず、剥離時に生じる騒音がなくて好ましい。一方、1.2を超える場合には、感覚的に離型力偏差が感じられ、剥離時の騒音、すなわち、剥離に伴うパチパチの音が生じるだけでなく、全体的に均一に剥離されず不良の原因になり得る。
【0039】
前記物性のバランスを実現するために、本発明に係る離型コーティング層は、ケイ素化合物組成物およびアルコールに分散された
シリコーンビーズを含む離型コーティング組成物で形成される。前記離型コーティング組成物は、あまり制限されるものではないが、ケイ素化合物組成物10〜40重量%、
シリコーンビーズ0.1〜5重量%、アルコール5〜20重量%および残量の溶媒からなることができる。この際、前記
シリコーンビーズは、好ましくは、無水エタノールまたは無水イソプロピルアルコールなどを分散媒として使用して分散させた形態で離型コーティング組成物に混合される。
【0040】
前記ケイ素化合物組成物は、ケイ素化合物と、白金系触媒と、
シリコーン系湿潤剤とを含むことができる。
【0041】
前記ケイ素化合物は、下記化学式1〜化学式3から選択されるいずれか一つまたは二つ以上の化合物と、化学式4で表される化合物とを含むことができる。
【0042】
【化1】
前記化学式1中、nは20〜3000であり、mは1〜500であり、n+mは21〜3000である。
【化2】
前記化学式2中、xは1〜3000である。
【化3】
前記化学式3中、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、−CH=CH
2、−(SiC
2H
6O)
kCH=CH
2、−(SiC
2H
6O)
k(CH
2)
lCH=CH
2から選択されるいずれか一つであり、kとlは、それぞれ独立して、0〜300であり、yは20〜3000であり、zは1〜500であり、y+zは21〜3000である。
【化4】
前記化学式4中、aは1〜150であり、bは3〜300であり、a+bは5〜300である。
【0043】
前記化学式1、2および3で表される化合物は、それぞれ離型コーティング層の主材であり、シロキサン構造のプレポリマー状態である。また、前記化学式4で表される化合物は、硬化剤であり、化学式1〜3で表される化合物と反応し、PDMS(Polydimethylsilicone Resin)を形成する。化学式1〜3のビニル基(Vinyl group)と化学式4のシラン基(Silane group)が反応することになり、化学式3で表される化合物は、Silane Group(Si‐H)とSi‐CH
3がランダム(Random)に交差することによってSi‐Hのみが連続している硬化剤よりも立体障害(Steric hindrance)が低くて、反応速度が速くなるという利点があり、本願発明のポリエステル基材フィルムの物性を阻害しないため好ましい。
【0044】
前記化学式1で表される化合物の商業化した例としては、Wacker Chemie AG社製のDehesive 490などがあり、これに制限されるものではない。前記化学式2で表される化合物の商業化した例としては、Wacker Chemie AG社製のDehesive 430、信越(shin‐etsu)社製のKM3951、KM3952などがあり、これに制限されるものではない。また、前記化学式3で表される化合物の商業化した例としては、Wacker Chemie AG社製のDehesive 440、Dowcorning社製のSYL‐OFF 7920、SYL‐OFF 7924などがあり、これに制限されるものではない。前記化学式4で表される化合物の商業化した例としては、Wacker Chemie AG社製のCrosslinker V72、Crosslinker V15などがあり、これに制限されるものではない。
【0045】
本発明において前記白金系触媒は、前記化学式1〜3で表される化合物が有するポリジメチルシロキサンのビニル基と化学式4で表される化合物のポリヒドロシロキサンの水素との反応を促進して、コーティング層が基材フィルムに接着される接着性、すなわち、密着性を上昇させる役割をする。かかる白金系触媒は、全体のケイ素化合物組成物の中で1〜20ppm含まれることが好ましい。前記範囲を満たす場合、反応性の向上効果が上昇し、製造コストを削減することができる。前記白金系触媒の商業化した例としては、Wacker Chemie AG社製のEM440などがあり、これに制限されるものではない。また、前記シリコン系湿潤剤の商業化した例としては、Dow Corning社製のQ2‐5211などがあり、これに制限されるものではない。
【0046】
本発明に係る離型コーティング組成物において前記化学式1、2または3で表される化合物の固形分含有量は、5〜25重量%、好ましくは8〜16重量%であり得る。前記範囲を満たす場合、ポリエステルフィルムの表面を十分にコーティングすることができ、反応転換率を高めて残留粘着率を効果的に調節することができる。
【0047】
また、化学式4で表される化合物の固形分含有量が0.5〜5重量%、好ましくは0.8〜2重量%であり得る。前記範囲を満たす場合、離型コーティング層を十分に硬化することができ、未反応のシラン基(Silane Group)がなく離型力の経時変化を低減することができる。
【0048】
また、前記白金系触媒の固形分含有量は、0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜0.1重量%であり得る。前記範囲で触媒添加効果が十分に発現され、離型力のムラを抑制することができる。
【0049】
また、前記
シリコーン系湿潤剤の固形分含有量は、0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%であることがより好ましい。前記範囲を満たす場合、製造されるフィルムのヘイズを低減し、且つコーティング斑の誘発を防止することができる。
【0050】
前記ケイ素化合物組成物は、好ましい一様態として、前記化学式1で表される化合物、前記化学式4で表される化合物、白金系触媒および
シリコーン系湿潤剤を含むか、前記化学式2で表される化合物、前記化学式4で表される化合物、白金系触媒および
シリコーン系湿潤剤を含むか、前記化学式3で表される化合物、前記化学式4で表される化合物、白金系触媒および
シリコーン系湿潤剤を含むことができる。より好ましくは、前記ケイ素化合物は、化学式2および化学式4で表される化合物の組み合わせを含むことで、離型力偏差を低減し、残留粘着力を向上させることができ、より好ましい。
【0051】
本発明において前記ケイ素化合物組成物は、全体離型コーティング層組成物100重量%に対して10〜40重量%含むことができる。前記範囲で基材フィルムとコーティング層との密着力を向上させ、且つ未反応のケイ素化合物の無駄使いを抑制することができる。
【0052】
本発明において前記
シリコーンビーズは、剥離力を低減し、表面粗さを均一にし、接着剤との接触面積を低減して離型力を低減することができる。この際、
シリコーンビーズは、平均粒径が0.05μm〜2μmであってもよい。0.05μm未満の場合には、その効果があまりなく、2μmを超える場合には、
シリコーンビーズの沈殿による調液安定性が劣ることがあり、コーティング外観が不良になり得る。
【0053】
また、前記
シリコーンビーズは、変動係数(Coefficient of Variance、C.V.=
シリコーンビーズの標準粒径(Standard Size)/使用
シリコーンビーズの平均粒径(Average Size))が20以下であり、120℃、30minの条件で水分分析装置で測定した関数率(Moisture Contents)が0.6%以下であり得る。前記
シリコーンビーズの変動係数が20超の場合、
シリコーンビーズの生産Lotによるサイズ分布差が大きいことからコーティング性および走行性の差が大きくなり得、製品の再現性が劣り得る。また、関数率が0.6%超の場合、水分によって前記
シリコーンビーズが反応の阻害要素として働き得る。
【0054】
本発明において前記
シリコーンビーズは、全体の離型コーティング層組成物100重量%に対して0.1〜5重量%含むことができる。0.1重量%未満の場合には、粗さを形成せず離型力を低減する役割を果たすことができず、5重量%超える場合には、むしろ離型反応の反応転換率を低減し、コーティング外観が不良になり得る。
【0055】
本発明において前記
シリコーンビーズは、アルコールに分散させて使用することでより均一な分散性を示し、他の成分との組み合わせにより目的とする物性の上昇効果を実現することができる。この際、アルコールは、好ましくは、無水アルコールが好適であり、より好ましくは、無水エタノールおよび無水イソプロピルアルコールから選択されるいずれか一つまたはこれらの混合物であり得る。これは、
シリコーンビーズ自体の粒径が小さいとともに
シリコーンの表面が疎水性であるため、分散溶媒として水を使用する場合、分散性がより劣るためである。これと同時に、本発明に係るアルコールは、従来、水を20〜30%ほど含むこととは異なり、無水アルコールを使用することを特徴とする。かかる無水アルコールを使用する場合、
シリコーンビーズの分散がより向上し、外観不良が生じることを防止することができる。
【0056】
本発明に係る離型フィルムは、残留粘着率が90%以上であり得る。
【0057】
前記残留粘着率が90%以上の場合、離型フィルムの未反応物の量が低いと判断することができ、顧客会社で後加工の後に離型フィルムの未反応物が最終製品に転写される量が少ないため好ましい。
【0058】
本発明に係る離型フィルムにおいて前記ポリエステル基材フィルムの厚さは、10〜200μm、より好ましくは10〜50μmであってもよく、前記離型コーティング層の厚さは、0.01〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmであってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0059】
本発明に係る離型フィルムの製造方法は、基材フィルムの表面特性の制御により製品物性を極大化し、インラインコーティング工程を導入することで、コストを削減することができ、経済的であり、生産性を極大化できるという利点がある。
【0060】
本発明に係る離型フィルムの製造方法は、
a)ポリエステル樹脂を溶融押出し、シートに製造するステップと、
b)前記シートを縦方向に延伸するステップと、
c)前記b)ステップにおけるシートの片面または両面にケイ素化合物組成物およびシリコンビーズを含む離型コーティング層組成物をインラインコート法で塗布するステップと、
d)前記c)ステップにおけるシートを乾燥および予熱した後、横方向に延伸し、離型フィルムを製造するステップと、
e)前記離型フィルムを熱処理するステップとを含む。
【0061】
この際、離型コーティング層組成物は、アルコールに分散された
シリコーンビーズを別に混合させることを特徴とする。
【0062】
前記c)ステップにおいて、離型コーティング組成物の塗布は、グラビア(Gravure)ロールを用いて塗布するものであってもよい。グラビアコーティングロールを使用する場合、離型コーティング組成物が均一な厚さで塗布され得る。
【0063】
前記d)ステップは、140℃以下、より具体的には、110〜140℃で乾燥および予熱を行うことが好ましい。140℃超で行う場合、離型力偏差が増加し、均一性が大幅に劣り得る。
【0064】
また、前記b)ステップまたはd)ステップにおける延伸は、80〜150℃で行われることが好ましい。80℃未満の場合、延伸に必要な熱が十分でなく、延伸が十分に行われず、150℃超の場合、フィルムに熱しわまたはオレンジピール(orange peel)が生じ得る。
【0065】
また、d)ステップにおいて延伸時に延伸比率はあまり制限されないが、機械方向(MD)および幅方向(TD)にそれぞれ3〜5倍延伸することができる。前記範囲で製造されるフィルムの厚さ均一性が維持されて、フィルムの破断を抑制することができる。
【0066】
e)ステップにおいて熱処理は、230〜250℃で行ってもよい。230℃未満では、離型コーティング層が十分に反応が行われず押される現象が生じ得、250℃超では、フィルムの熱しわとオレンジピール(orange peel)現象が生じ得る。
【0067】
以下、本発明をより具体的に説明するために、実施例を挙げて説明をするが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0069】
1)コーティング均一性の測定
ポリエステル離型フィルムにおいて基材フィルムの面積に対して、離型層が形成されていない部分の面積が1%以下の場合には良好、1%を超える場合には不良と表記した。
【0070】
2)コーティングの厚さ
検量されたXRF装備(Oxford社製、LX3500)で離型層の
シリコーン含有量を測定した後、これをコーティングの厚さに換算し、表記した。
【0071】
3)離型力
FINAT 10の方法によって標準テープとしてTESA 7475を使用し、離型力を測定した。
【0072】
(1)離型力R
i
実施例および比較例で製造されたフィルムの離型コーティング層上にTESA 7475を置き、2Kgのゴムロールを使用して2回往復して擦った後、10cm間隔で50mm×15cmサイズのサンプルを切り出し、5枚用意した。用意したサンプルを70g/cm
2の荷重を与え、55℃で24時間放置した後、Peel Tester(Chem Instrument社製、AR‐1000)を使用して180°Peel剥離評価を実施した。剥離速度は300mm/minとした。前記5枚のサンプルの離型力を測定し、平均値を示した。
【0073】
(2)離型力R
f
実施例および比較例で製造されたフィルムの離型コーティング層上にTESA 7475を置き、2Kgのゴムロールを使用して2回往復して擦った後、10cm間隔で50mm×15cmサイズのサンプルを切り出し、5枚用意した。用意したサンプルを70g/cm
2の荷重を与え、55℃で240時間放置した後、Peel Tester(Chem Instrument社製、AR‐1000)を使用して180°Peel剥離評価を実施した。剥離速度は300mm/minとした。前記5枚のサンプルの離型力を測定し、平均値を示した。
【0074】
(3)離型力の経時変化(|R
f−R
i|)
前記離型力R
fと離型力R
iの差の値を離型力の経時変化とする。
【0075】
(4)離型力偏差(|R
f−max−R
f−min|)
前記離型力R
f測定の際、5回測定された離型力の最大値をR
f−maxとし、最小値をR
f−minとし、その差の値を計算した。
【0076】
4)残留粘着率
(1)第1の粘着力:標準テープ(Tape)であるNitto 31B Tapeを70℃で24時間放置した後、テフロン(Teflon、登録商標)シートに貼り合わせて、2kgのゴムロールで2回繰り返して圧着した。貼り合わされたサンプルのNitto 31B Tapeを180度ピールテスター(Chem Instrument社製、AR1000)を用いて粘着力を測定した。
【0077】
(2)第2の粘着力:標準テープ(Tape)であるNitto 31B Tapeを実施例および比較例で製造されたフィルムの離型コーティング層に接着し、70g/cm
2の荷重を加えた状態で、70℃で24時間放置した後、Nitto 31B Tapeを剥がした。剥がしたNitto 31B Tapeをまたテフロン(Teflon、登録商標)シートに貼り合わせ、2kgのゴムロールで2回繰り返して圧着した。貼り合わされたサンプルのNitto 31B Tapeを180度ピールテスター(Chem Instrument社製、AR1000)を用いて粘着力を測定した。
【0078】
残留粘着力は、下記式4のように測定した。単位はgf/inchであり、残留粘着率が90%以上の時に満足とする。
【0079】
[式4]
残留粘着率=(第2の粘着力/第1の粘着力)×100
【0080】
下記実施例および比較例で使用された組成は、以下のとおりである。
【0081】
コーティング液1:化学式1のケイ素化合物としてポリジメチルシロキサン(Wacker Chemie AG社製、DEHESIVER490)を固形分含有量で49.99重量%、白金系触媒(Wacker Chemie AG社製、EM440)を固形分含有量で0.01重量%含み、全体の固形分含有量が50重量%である組成物。
【0082】
コーティング液2:化学式2のケイ素化合物としてポリジメチルシロキサン(信越社製、KM3951)を固形分含有量で49.99重量%、白金系触媒(Wacker Chemie AG社製、EM440)を固形分含有量で0.01重量%含み、全体の固形分含有量が50重量%である組成物。
【0083】
コーティング液3:化学式4のケイ素化合物として水素シラン系化合物(Wacker Chemie AG社製、Crosslinker V15、化学式4中、aが5であり、bが95であり、重量平均分子量が4000g/molである化合物)を固形分含有量で50重量%含む組成物。
【0084】
前記重量平均分子量は、スチレンをスタンダード物質としてゲルクロマトグラフィ(GPC)で測定されたものである。
【0085】
コーティング液4:
シリコーン系湿潤剤であり、Dow Corning社製、Q2‐5212であり、固形分が80重量%である組成物。
【0086】
コーティング液5:化学式3のポリジメチルシロキサンと化学式4の水素シラン系化合物が含まれたDow Corning社製、SYL‐OFFR7920を固形分含有量で49.99重量%、白金系触媒(Wacker Chemie AG社製、EM440)を固形分含有量で0.01重量%含み、全体の固形分含有量が45重量%である組成物。
【0087】
[実施例1]
前記コーティング液1を20重量%、コーティング液3を1重量%、コーティング液4を0.5重量%、
シリコーンビーズ0.5重量%および残量の水を溶媒として使用し、 離型コーティング液組成物を調製した。また、前記
ビーズは、別に無水エチルアルコールを用いて分散させた後、混合し、コーティング液組成物を調製した。この際、無水エチルアルコールの含有量は、全体のコーティング液組成物に対して10重量%である。
【0088】
次に、1000gのジメチルテレフタレート、576gのエチレングリコール、ポリエステル樹脂含有量に対して、300ppmのマグネシウムアセテート、400ppmのトリメチルホスフェートを反応器に入れ、メタノールを流出させながらエステル交換反応を行った。以降、285℃、0.3torrの真空下で縮重合反応を行い、固有粘度0.61のポリエステルチップを得た。
【0089】
前記ポリエステルチップを280℃で溶融押出した後、大型ロールを用いて24℃に急冷し、ポリエステルシートを得た。得られたポリエステルシートを110℃で3.5倍縦方向に延伸し、冷却したフィルムにグラビアコータを用いてコーティング液を塗布した。
【0090】
そして、125℃で乾燥および予熱した後、横方向に3.5倍延伸し、二軸延伸フィルムを製造した。得られた二軸延伸フィルムを240℃で熱処理し、厚さ25μmの離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの物性を測定し、下記表2に示した。
【0091】
[実施例2〜9および比較例1〜3]
下記表1のように、コーティング液の組成比、予熱温度などを異ならせた以外は、実施例1と同じ方法で離型フィルムを製造した。製造された離型フィルムの物性を測定し、下記表2に示した。
【0093】
前記表1において、ETは無水エチルアルコールであり、IPAは無水イソプロピルアルコールである。
【0095】
前記表2に示されているように、本発明により製造された離型フィルムは、コーティング均一性が良好であり、離型力R
iが10以下と低いことが分かる。また、式2による離型力の経時変化が20以下であり、式3による離型力偏差が1.2以下である物性をいずれも満した。また、残留粘着率が90%以上である物性を示し、未反応物が低いことを確認した。
【0096】
これに対し、比較例の場合、初期離型力が高く、離型力の偏差が大きいことが分かる。特に、分散溶媒として水を使用した比較例2の場合、外観不良で物性を測定することができないことを確認し、比較例3は、予熱温度を150℃にすることで離型力偏差が大きくなり、コーティング均一性が不良であることを確認することができる。
【0097】
以上、本発明の内容の特定の部分について詳細に記述したが、当業界において通常の知識を有する者にとって、かかる具体的な技術は単に好ましい実施様態であって、これにより本発明の範囲が制限されるものでないことは、明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物により定義されると言える。