(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮蔽体が前記上部カバー部から延在する第3延在部および前記上部カバー部から延在する第4延在部を有し、これら第3延在部および第4延在部がそれぞれ前記コア本体の前記正面および前記背面に沿って延在し、前記第3延在部および前記第4延在部は、前記正面および前記背面に設けた前記第1リード部および前記第2リード部の配置領域を被覆しない請求項2のシールドされたインダクタ。
前記第1リード部の一部が前記コア本体の前記底面の少なくとも一部の下側に延在し、前記第2リード部の一部が前記コア本体の前記底面の少なくとも一部の下側に延在する請求項2のシールドされたインダクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明で使用する用語は便宜的なもので、限定を意図するものではない。用語“右”、“左”、“上”や“下”は参照すべき添付図面における方向を示すものである。特許請求の範囲および明細書の対応する部分における単数表現は、特に断らない限り、一つかそれ以上の参照部分を含むものである。本明細書では、これらの用語は同義語などを含むものである。2つかそれ以上の“A、BまたはC”などの個々の単位の前の“少なくとも一つの”はA、BまたはCそれぞれが単独の場合を示すこともあり、あるいはこれらの任意の組み合わせを意味することもある。
【0018】
図1A−
図1Iに、本発明の遮蔽誘導子の基礎となり得るいくつかの誘導子の実例を示す。これら誘導子それぞれはコア本体115をもつコア110、内部誘導コイル、および内部誘導コイルと電気的に連絡する外部リード部120を有する。
【0019】
本発明の遮蔽誘導子に使用することができるか、あるいは本遮蔽誘導子の基礎となり得る誘導子は、USP6,204,744(全体をここに援用するものとする)に記載されているように、高電流薄型の誘導子である。全体として
図10Aおよび
図10Bに示すように、高電流薄型誘導子はコア本体14、およびコア本体14内に内側コイル端部および外側コイル端部を有するワイヤコイルを備え、このワイヤコイル24がコア本体内14に複数の巻き線30を有する。第1粉体鉄および第2粉体鉄などの磁性材料、充填材、樹脂および潤滑材がワイヤコイルを完全に取り囲み、コア本体14を形成する。内側コイル端部および外側コイル端部にそれぞれ接続した第1リード部および第2リード部が磁性材料コアを通って誘導子の外部まで延在する。
【0020】
本発明の誘導子遮蔽装置に使用することができるいくつかの誘導子および/または誘導子コアを
図1A−
図1Iに示す。各誘導子はコア本体115を有するコア110を備える。
図1A−
図1Iに示す方向において、各コア本体115は上面300、これに対向する底面302、正面304、これに対向する背面303(背面303は正面304の鏡像といってもよい)、右側面308および左側面312(左側面312は右側面308の鏡像といってもよい)を有する。コイルまたはワイヤなどの内部誘導素子と電気的に連絡する端子120を設ける。リード部120は右側面308に隣接する第1端子120a、および左側面312に隣接する第2端子120bを有する。端子120a、120bの方向は誘導子をどのように使用または適用するかに応じて決めればよく、添付図面に示すように各種の形状をとることもでき、リード部をより広く、かつより狭くすることができる。
【0021】
リード部120については、誘導子のコア本体の両側に設けているが、コア本体の同じ側に設けることも可能である。さらに、複数のリード部をコア本体の各面にそって延在させてもよく、遮蔽装置がこれらリード部の一部を被覆してもよく、リード部が被覆されないように大きさおよび構成を設定することも可能である。このような構成については、以下に詳しく説明する。
【0022】
図2A−
図2Dに、本発明の一実施態様に従って電磁干渉および/または静電干渉や他の電場からの干渉を遮断、制限および/または抑制する遮蔽装置500を示す。この遮蔽装置500はカバー部460を有し、カバー部460の各隅または各縁部に切り欠き510、520、530、540を設ける。
【0023】
遮蔽装置500については、薄い銅シートを誘導子のコア本体115を被覆する形状に型押し(stamping)および形成することによって製作するのが好ましい。また、圧伸(drawing)によっても製作可能である。シールド部500には鋼やアルミなどの導電性材料も使用可能である。各種導電材料を併用することも可能である。一種類の導電材料から製作する場合、遮蔽装置は“導電性遮蔽装置”と呼ぶことができる。
【0024】
添付の各図面に示すように、遮蔽装置500については参照符号420で示す側面カバーを有し、具体的にはカバー部460から延在する第1側面カバー420aおよび第2側面カバー420bを有する。第1側面カバー部420aおよび第2側面カバー部420bは、誘導子コア本体に設けたときに、コア本体115の対向する正面304および背面306、即ちリード部120a、120bによって占められていないコア本体115の側面に位置する。一実施態様では、側面カバー420は遮蔽装置500が固定されることになる誘導子コア本体の全幅未満の幅にそって延在し、側面カバー420の外縁はカバー部460の隣接する切り欠き縁部510、520、530、540が始まるところで延在を止める。一つの実施態様では、側面カバー420には、側面カバー420の最大直径部分から側面カバー420の上部に隣接する側面カバー420のより小さい直径部分に至る段差205を設けることができる。
【0025】
遮蔽装置500にはさらに、全体を参照符号440(個別的には440a、440b)で示すリップ部を設けることができる。リップ部440a、440bはコア本体115の対向側面に設ける。これらリップ部440a、440bについては、リード部120によって占められるコア本体115の側面に位置するのが好ましい。リップ部440a、440bは一部がコア本体115の側面にそって好ましくはコア本体115の側面の半分未満程度延在してもよく、あるいは側面の高さにそって延在していてもよく、このように構成するとコア本体115から延在するリード部分120と干渉することがなくなる。一つの実施態様では、リップ部440は、遮蔽装置500が固定されることになる誘導子の全幅未満の幅にそって延在し、リップ部440の外縁はカバー部460の切り欠き縁部510、520、530、540が始まるところで延在を止める。
【0026】
また、遮蔽装置500については、各側面カバー420から突出する、好ましくは各側面カバー420の中心部分から突出する一つかそれ以上のタブ(全体を参照符号430、個別には430a、430bで示す)を有するのが好ましい。各タブ430については、遮蔽装置500を誘導子のコア本体に固定したさいに全体がL形構成とするのが好ましく、第1部分がコア本体115の側面にそって底面302に向かって延在し、そして第2部分がコア本体115の下で折り曲げられ、底面302の一部にそって延在する。
【0027】
例えば、タブ430は遮蔽装置の接地に使用することができる。なお、本発明の遮蔽誘導子は接地することなく使用することも可能である。さらに、タブ430はコア本体から離れて折り曲げ、コア本体から離間する延在脚部をもつように構成できる。
【0028】
図2A−
図2Dに示すように、遮蔽装置500はカバー部460を有し、このカバー部はコア本体115の上面に位置し、これを全体として被覆する。好適な実施態様では、カバー部460はコア本体115の上面300の全面を、あるいはその大半を被覆するが、このカバー部460はコア本体115の上面300の全面、ほぼ全面、あるいは一部のみを被覆することも可能である。さらに、カバー部460はコア本体の上面300の縁部を超えて延在してもよく、またコア本体の上面300の面積よりも長くかつ広くてもよい。カバー部460については、コア本体115の上面300と同様な寸法の領域を被覆する薄い壁として形成し、縁部510、520、530、540を切り取るか、切り欠くか、角度をつけるか、あるいは面取りした全体として長方形として形成するため、延在部分440、420、430を製造プロセス時や組み立てプロセス時に干渉することなく折りたたむことができ、あるいは折り曲げることができる。
【0029】
図2Bは、適宜使用する絶縁層410を内面に設層する前の状態にある
図2Aの遮蔽装置と同じ構成の本発明の遮蔽装置500の一例を示す図である。この遮蔽装置500は、添付の各図面に示す方向に誘導子の上面、即ち露出上部を被覆するカバー部460を有する。この遮蔽装置は第1側面420aおよび第2側面420bを有する。
図2Bは、遮蔽装置500の各部の相対的な寸法を示す図である。遮蔽装置500の各部については、遮蔽すべき基礎となる誘導子コア本体の形状を補完する形で構成することができる。例えば、遮蔽装置500は一体となった銅シートから形成すればよく、当業者ならば、他の材質を利用できることを知悉しているはずである。
【0030】
図2Bに示すように、側面カバー420a、420bは近似幅Sを有し、この幅はカバー部460の隣接切り欠き縁部510、520、530、540の間に延在する。幅Sは、遮蔽装置500によって遮蔽すべき基礎となる誘導子コア本体の幅未満である。側面カバー420aは高さZ1を有し、この高さは基礎となる誘導子コア本体の高さの少なくとも一部である。タブ430a、430bは高さZ0を有するため、基礎となる誘導子コア本体の高さにそって少なくとも部分的に延在でき、かつ基礎となる誘導子コア本体の底面302にそって少なくとも部分的に折り曲げられ、延在する。タブ430a、430bは幅Yを有し、この幅については側面カバー420の幅S未満であることが好ましい。
【0031】
図2Bに示すように、タブ430aの両側にある側面カバー420aの各部の幅は記号X、X´で示す。
図2Cに示すように、タブ430aはほぼ中心にあり、幅X、X´はタブ430aのいずれの側においてもほぼ等しい。なお、タブ420の場合、側面カバー420の幅にそって各種の位置に延在することができ、一方の側または他方の側に向かってより偏倚してもよい。即ち、XおよびX´については、構成配置において等しくなくてもよい。
【0032】
リップ部440a、440bのカバー460の隣接切り欠き縁部510、520、530、540の間に広がる近似的な幅はW´で示すことができる。この幅W´は遮蔽装置が遮蔽する下部基礎となる誘導子コア本体の幅未満である。
図2Bに示すように、リップ部440a、440bの高さはZ2で示し、この高さは一つの実施態様では側面カバー部420の高さZ1またはZ0未満である。
【0033】
適宜使用する絶縁層410については、コア本体115の少なくとも一部と遮蔽装置500の少なくとも一部との間に設層する。
図2Cは、遮蔽装置500の内面505に絶縁層または絶縁コーティングを有する
図2Bの遮蔽装置を示す図である。この絶縁層410については、例えばKAPTON
TMやTEFLON
TMなどの絶縁材で構成すればよく、あるいは絶縁テープ、NOMEX
TM、シリコーンやその他の絶縁材も既に公知なように使用可能である。
【0034】
絶縁層410は、誘導子のコア本体115から遮蔽装置500を電気的に分離する作用を示す。絶縁層410は、遮蔽装置の内面505の少なくとも一部をカバーするが、遮蔽装置の内面505の全体をカバーするのが好ましい。なお、絶縁層410の厚みについては、基礎となるコア本体の構成、形状および/または材質に応じて、また遮蔽誘導子の用途および/または性能に応じて変更可能である。
【0035】
図2Cの場合、絶縁層410を遮蔽装置500の内面505に設層しているが、他の方法で絶縁層410はコア本体115と遮蔽装置500との間に設けることも可能である。例えば、
図2Iに示すように、絶縁材から形成した絶縁像410でコア本体115の少なくとも一部をコーティングできる。
図2Iでは、絶縁層410はコア本体115の上面300にそって、かつ上面300に隣接するコア本体の側面の一部にそって設層している。絶縁層410については、具体的な遮蔽誘導子の用途や性能に関する仕様および/または要件を満足するように、本発明に従って誘導子のコア本体115の所定部分にそって設層できる。
【0036】
遮蔽装置については圧粉成型誘導子のコア本体115の上部に置き、誘導子の露出上面、縁部および側面の部分を銅から構成できる遮蔽装置でカバーするとともに、誘導子の周囲かつその下に形成したタブ430でカバーし、遮蔽装置を誘導子に締め付ける。
図2Dでは、カバー部460がコア本体15の上面300として示す部分に隣接した状態で遮蔽装置500を位置決めする。遮蔽装置500がコア本体115の上面300のカバーを形成し、かつ少なくとも一つかそれ以上の延在部(例えば上記リップ部440、側面カバー420および/またはタブ部430)を有する。これら延在部はコア本体115の正面、背面および/または側面の一つかそれ以上にそって延在する。遮蔽装置については、
図2Cに示すように絶縁層410を設層してもよく、あるいは
図2Bに示すように設層しなくてもよい。
【0037】
組み立て後は、
図2Dに示す本発明の一実施態様では、遮蔽装置500がコア本体115の部分を以下に示す通りにカバーする。即ち、(i)カバー部460がコア本体115の既に露出している部分の上面300の大半をカバーし、(ii)第1側面カバー420aおよび第2側面カバー420bがコア本体115の非リード側面の部分304、306をカバーし、(iii)リップ部440がコア本体115の対向側面308、312下方に延在し、タブ430が側面カバー420から延在し、コア本体115の下を包み込み、遮蔽装置500を所定部分に保持するか、あるいはその他の手段で遮蔽装置500をコア本体115に固定する。
【0038】
図2Eは、遮蔽装置500を所定部分に保持した状態にある
図2Dの遮蔽誘導子の一例を示す上面図である。図示の遮蔽装置500は、コア本体115の上面300の形状に少なくとも一部が本質的に一致するか、あるいは補完的な形状を有する。即ち、遮蔽装置500のサイズおよび形状については、少なくとも部分的にコア本体115の外面に密接係合し、本発明の遮蔽誘導子を形成するように設定する。最初に遮蔽装置500を平坦なシートとして形成する場合には、コア本体周囲に折り曲げたときに、均一かつ実質的に滑り嵌めするように形状およびサイズを設定する。図示のように、遮蔽装置500のカバー部460は全体として矩形であり、縁部510、520、530、540を切り欠くか、あるいは切りこみを入れた正方形であればよい。
【0039】
図2Fは、誘導子100の一例を示す底面図である。
図2Fに示すように、コア本体115の底面は全体として露出している。即ち、カバーされていない。リード部120については、誘導子100の両側において、かつ遮蔽装置500のリップ部440と同じ側においてコア本体115の下で折り曲げる。側面カバー420から延在するタブ部430については、コア本体115の下で折り曲げ、底面302に対して位置決めする。
【0040】
タブ部を誘導子コア本体の下に折り曲げた遮蔽誘導子の実施態様を添付図面を参照して説明してきたが、本発明ではこのようなタブ部を使用しない誘導子用遮蔽装置も形成することができる。
【0041】
図2Gは、誘導子100の一例を示す正面図である。この正面図は背面図と鏡像関係にある。
図2Gに示すように、遮蔽装置500はコア本体115の上部にある。図示の対向関係にある第1リード部120aおよび第2リード部120b(コア本体115の内部において誘導子コイルから延在している)は、誘導子100の対向外側面にそって延在する。さらに、第1リード部120aおよび第2リード部120bは誘導子100の下が部分的に折り曲げられ、底面302の少なくとも一部にそって延在し、表面実装素子(SMD)を形成する。
【0042】
図2Hは、誘導子100の一例を示す右側面図であり、対向側部とは鏡像関係にある。
図2Hに示すように、遮蔽装置500はコア本体115の上面300をカバーする。コア本体115は図示の誘導子100の実質的に中心にある。遮蔽装置500は誘導子100の側面(
図2Hにおける左右側面)にそって下向きに延在する側面カバー440a、440bを有し、かつ折り曲げられてコア本体115の底面302の下を包み込み、コア本体115の底面302を少なくとも部分的にカバーするタブ部430を有する。リップ部440がコア本体115の側面(
図2Dの正面図に示すように)そって部分的に下向きに延在する。
【0043】
図3Aは、
図2Dに示す遮蔽誘導子を示す横断正面図であり、2つの対向側面カバーリップ部440a、440bとリード部120a、120bとの中間点における横断面を示す図である。
図3Aに示すように、遮蔽装置500はコア本体115の上面300に設けられ、リップ部440がコア本体115の側面に延在している。リード部120は側面にそってコア本体115の下に延在する。コア本体115内にコイル310を収容する。上記のように、コイル310はワイヤコイル(例えば
図10Bのコイル24)であればよく、コア本体115内に内側コイル端部および外側コイル端部を有する。ワイヤコイルはコア本体115内に複数の巻き線(例えば
図10Bに示す巻き線30)を有する。既に説明したように、タブ部430がコア本体115の下に巻き付いている。
【0044】
図3Bは、
図2Dに示す遮蔽誘導子を示す横断正面図であり、2つの対向側面カバーリップ部440a、440bの中間点における横断面を示す図である。
図3Bに示すように、遮蔽装置500はコア本体115の上面300に設けられ、コア本体115の側面にそって底面302の下に延在する。
図3Bに示すように、リード部120のうちの一つの一部がコア本体115の下で折り曲げられ、他のリード部120の一部が反対側においてコア本体115の下で折り曲げられている。コイル310がコア本体115内に収容されている。遮蔽装置500が誘導子100の側面にそって下に(
図3Bの左右に)延在する側面カバー、およびコア本体115の部分を少なくとも部分的にカバーする誘導子100の底面302の下に巻き付くタブ部430を有する。
【0045】
図4は、実装され、かつ第1セットの半田パッド900および第2セットの半田パッド910に接触する
図2Dの遮蔽誘導子を示す図である。第1セットの半田パッド900がタブ部430を介して遮蔽装置500に電気的に接続し、電気的に接地することになる。第2セットの半田パッド910はリード部120に電気的に接続する。
【0046】
図5Aおよび
図5Bは、本発明に従って構成した遮蔽誘導子の別な実施態様を示す図である。この実施態様では、
図2A−
図2Dの実施態様の切り欠き縁部ではなく、遮蔽装置600に周辺リッジ部を設ける。このリッジ部は遮蔽装置600の上部全体に広がり、リップ部440および側面カバー部420を有し、これら部分440および420が交差会合する。従って、遮蔽装置600はカバー部460の各縁部に複数の密閉隅部610、620,630、640を有する。このため、
図5Aおよび
図5Bの実施態様は、遮蔽装置600を取り付ける基礎コア本体115にジャストフィットすることになるカバー部460を有する密閉蓋615を構成する。他の態様に関しては、遮蔽装置600は既に説明した遮蔽装置と同様である。即ち、遮蔽装置600は、リード部のないコア本体115の側面を遮蔽するように構成された第1側面カバー420aおよび第2側面カバー420bを有する。第1タブ430aおよび第2タブ430bが側面カバー420から延在し、これらタブ430があるため、組み立て時に、コア本体115の周囲かつコア本体115の下に折り曲げられ、コア本体115に遮蔽装置600を保持することが可能になる。また、密閉隅部610、620、630、640があるためトレランスをより厳格にでき、コア本体115への遮蔽装置600の嵌合が可能になる。
【0047】
図5Bは、絶縁材料から形成した絶縁層410を設層した遮蔽装置600の内面605を示す図である。なお、この絶縁層410については、遮蔽装置600をコア本体に取り付ける前にコア本体の少なくとも一部にも設層可能である。
図5Cは、
図5Aまたは
図5Bの遮蔽装置600を誘導子のコア本体115に実装し、遮蔽誘導子を形成したことを示す図である。
図5Dは、実装され、第1セットの半田パッド900および第2セットの半田パッド910に接触する
図5Cの遮蔽誘導子を示す図である。第1セットの半田パッド900がタブ部430を介して遮蔽装置600に電気的に接続し、遮蔽装置を接地することが可能になる。第2セットの半田パッド910はリード部120に電気的に接続する。
【0048】
図6Aおよび
図6Bは、本発明に従って構成した遮蔽誘導子の別な実施態様を示す図である。この実施態様では、遮蔽装置700は側面カバー部420、740を有し、これらカバー部は全体として高さが同じで、隅部または縁部720で接合し、“ボックス型”の蓋715を形成する。このような遮蔽装置は、誘導子コア本体を受け取る開口をもつ形状にプレスしたフラットシートなどを用いる圧伸成形によって形成することができる。
図6の実施態様に示すように、側面カバー部740がコア本体の側面にある誘導子のリード部120を被覆し、これは例えば以下に説明する
図8に示す実施態様における切り欠きとは対照的である。
図6Cは、絶縁材料から形成した適宜使用する絶縁層410を設層した遮蔽装置700の内面705を示す図である。あるいは、遮蔽装置700をコア本体の所定位置に設ける前に、コア本体115の少なくとも一部に絶縁層を設層してもよい。
図6Dは、誘導子のコア本体115に実装し、遮蔽誘導子を形成した
図6Bまたは
図6Cの遮蔽装置700を示す図である。
図6Dに示すように、
図6A−
図6Dの遮蔽装置の場合、リップ部740に隣接する遮蔽装置の下にあるリード部のサイズに対処できるように構成する必要がある。
【0049】
図7A−
図7Cは、本発明に従って構成した遮蔽誘導子の別な実施態様を示す図である。この実施態様の場合、遮蔽装置800はリップ部440を有し、これらリップ部は中心部分で高さが低い。さらに遮蔽装置800は隅部において側面カバー部420に隣接し、かつこれらに会合する下向きに延在する狭い側壁845を有する。この構成が、遮蔽装置とともにリード部120を有するコア本体115の側面のフレームになる。
図7Cに、絶縁層410を設層した遮蔽装置800の内面805を示す。あるいは、遮蔽装置800をコア本体の所定位置に形成する前に、コア本体115の少なくとも一部に絶縁層を設けることも可能である。
【0050】
図8は、遮蔽装置990をコア本体115に設け、本発明に従って構成した遮蔽誘導子を示す図である。遮蔽装置990は
図6A−
図6Dの遮蔽装置と実質的に同じで、さらにリード部120の周囲に窓または切り欠き810を有する。このため、リード部が露出し、リード部の少なくとも一部にアクセスできる。なお、本発明の遮蔽装置のいずれにもリード部120にアクセスできる切り欠きを設けることも可能である。
図8に示す遮蔽誘導子の場合、既に説明したように、コア本体の少なくとも一部と遮蔽装置の少なくとも一部との間に絶縁層を形成することができ、例えばコア本体に直接設層してもよく、遮蔽装置の内面やその他に設層してもよい。
【0051】
図9は、遮蔽装置を誘導子、または誘導子のコア本体に実装する方法1000を示すフロー図である。この方法1000では、USP6,204,744に記載され、かつ
図10Aおよび
図10Bに図示されているような高電流薄型誘導子(IHLP)などの誘導子を製造する。
図1A−
図1Iに図示されている任意の誘導子やその他の公知の誘導子も使用可能である。全体としては、本発明の一実施態様に従って遮蔽誘導子を形成する方法では、圧力、熱および/または化学薬品を使用してワイヤコイルの周囲に磁性材料を加圧成形し、コア本体115を形成するとともに、巻かれたコイルを相互に結合しコイル310を形成する。
【0052】
誘導子のコア本体は、コア本体内に一つかそれ以上のポケットを形成する打抜き法によって形成することができる。誘導子については、粉体鉄コア内に4個のポケットを形成するパンチを使用して製造するのが好ましい。これら4個のポケットの目的は、誘導子内において表面実装リード部を垂直方向に(上部から底部まで)高く設定することにある。あるいは、ポケットを形成せずに誘導子を製造してもよい。
【0053】
上記方法1000はさらに工程1010を有し、この工程で誘導子本体を被覆する形状にシートを型押し成形して本発明の遮蔽装置を製造する。製造する遮蔽装置には薄い銅壁を形成してもよく、あるいは遮蔽装置を別な導電性材料から構成してもよい。なお、用途や遮蔽装置の形状や設計にもよるが、遮蔽装置や遮蔽装置の一部については導電性金属シートを圧伸成形して所定の遮蔽装置形状を形成することも可能である。
【0054】
工程1020に示すように、誘導子のコア本体と遮蔽装置との間に適宜絶縁材料の接着層を設層することができる。一つの実施態様では、例えばKAPTON
TMやTEFLON
TMなどの絶縁材の薄い絶縁層を遮蔽装置の内面に設層し、工程1020で遮蔽装置を誘導子のコアから電気的に分離する。絶縁材の絶縁層を有する被覆された遮蔽装置の内面は、全体として組み立て後の誘導子に近接する遮蔽装置の側面になるが、絶縁材を遮蔽装置の任意の部分に設層しても同様な作用効果が得られる。あるいは、絶縁層をコア本体の表面の少なくとも一部に直接設層してもよい。さらに、コア本体の一部と遮蔽装置の一部との間に絶縁テープを貼着してもよい。
【0055】
上記方法1000はさらに工程1030を有し、この工程で遮蔽装置をプレスした粉体コア本体に設け、誘導子コア本体の外面の所定エリアを被覆する。
【0056】
遮蔽装置の位置決め後、上記方法1000はさらに工程1040を有し、この工程で遮蔽装置の延在部分(タブおよび/または側面カバー部など)を誘導子コア本体の側面および/または底面の周囲に形成し、遮蔽装置を誘導子コア本体に締め付ける。
【0057】
電気的に接地することができる遮蔽装置を本明細書の記載に従って構成すると、遮蔽装置と誘導子が結合し、一つのパッケージになり、遮蔽装置が誘導子のコア本体外面の少なくとも一部を被覆できる。本発明の遮蔽誘導子の場合、電子素子内部の誘導子を遮蔽するために必要なスペースを抑制でき、また電磁放射線あるいは他の電場や磁場からの干渉をその源で抑制できる。本発明遮蔽装置は、従来問題をより簡単で一般的に、かつより費用対効果高く解決できる。
【0058】
各種形状およびサイズの遮蔽装置を説明してきたが、遮蔽装置については、誘導子のコア本体外面の任意の目的部分を被覆できるようにその形状およびサイズは変更することができる。本発明の遮蔽誘導子については、図示の通り誘導子コア本体の上面、側面および底面の部分を被覆しているが、コア本体の所定面のみを被覆するように形成することも可能である。例えば、誘導子遮蔽装置の場合、上面の全面積よりも小さく被覆してもよく、側面カバー部分あるいはタブはなくてもよく、コア本体の一側面の下に延在する一つの側面カバー部分のみを被覆してもよく、あるいはコア本体の下に延在する一つのタブを被覆してもよい。即ち、遮蔽装置のサイズおよび被覆面積については、具体的な遮蔽誘導子の用途や仕様に応じて変更できる。用途や条件が異なると、遮蔽装置によって被覆すべき任意の面積を増減する必要がある。
【0059】
なお、コア本体については、遮蔽装置の一つかそれ以上の部分に対処するため、くぼみやチャネルを形成することができる。即ち、遮蔽装置の一つかそれ以上の部分をコア本体の外面にそってくぼんだ領域内に位置決めすることができる。
【0060】
遮蔽体と誘導子との間に絶縁材を介在させると、遮蔽誘導子の最大動作電圧が大きくなる。本発明の遮蔽誘導子の場合、同様な設計の未遮蔽誘導子と比較すると、放射磁場強度および磁場のサイズが50%低下する。本発明の遮蔽誘導子の場合、200VのDC誘電電圧に耐えることが可能である。
【0061】
本発明の遮蔽誘導子は、回路内の電磁場外乱が問題になる電子用途や衝撃および振動が問題になる電子用途に使用可能である。また、本発明遮蔽誘導子は、電磁場放射が潜在的に装置の性能を妨害および/または性能に悪影響を与える恐れがある電子素子、および耐衝撃性および耐振動性が必要な電子用途に使用することができる。本発明に従って誘導子に使用する遮蔽装置は、誘導子によって発生する場からの電気成分を遮断し、そしてさらに隣接する電気成分によって発生する場から誘導子を遮断する。
【0062】
本発明技術の具体的な実施態様の上記説明は例示のみを目的とし、本発明を徹底的に説明するものではなく、あるいは本発明を開示された正確な形態に限定するものでもなく、以上の開示に照らして数多くの態様で本発明を実施できる。以上の実施態様については、本発明技術の原理およびその適用範囲の最善の説明を与えるために選択し、かつ記載したものであり、これによって当業者ならば本発明技術を最善の形で適用でき、意図する具体的な用途に応じて各種の変更を実施できるはずである。また、本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した範囲およびこれと等価な範囲によって定義できるものである。