(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、非水性架橋性組成物、架橋された組成物、コーティング組成物、コーティング組成物を含む物品、及び非水性架橋性組成物を作製するための方法である。
【0006】
本明細書で使用される場合、「非水性架橋性組成物」という用語とは、ポリマーが連続水相中に分散されていない架橋性組成物を意味する。
【0007】
本明細書に従う非水性架橋性組成物は、2以上の官能価を有するポリ尿素と、アルデヒド、またはそのアセタールもしくはヘミアセタールと、任意で1つ以上の有機溶媒と、を含む。
【0008】
代替的な一実施形態において、本発明は、本明細書に開示される任意の実施形態に従う非水性架橋性組成物を架橋することによって生成される架橋された組成物を更に提供する。
【0009】
別の代替的な実施形態において、本発明は、本明細書に開示される任意の実施形態に従う架橋された組成物を含むコーティング組成物を更に提供する。
【0010】
更に別の代替的な実施形態において、本発明は、基材と、本明細書に開示される任意の実施形態に従って、基材の少なくとも1つの表面上にコーティングされるコーティング組成物と、を含む物品を更に提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、2以上の官能価を有するポリ尿素を選択することと、アルデヒド、またはそのアセタールもしくはヘミアセタールを選択することと、任意で1つ以上の溶媒を選択することと、前述の構成成分を混和し、それにより該架橋性組成物を生成することと、を含む、非水性架橋性組成物を作製するための方法を更に提供する。
【0012】
本発明の実施形態において、以下に図示するように、2以上の官能価を有する任意のポリ尿素が使用され得る。
【0014】
式中、R
1は2以上の炭素原子を含有する基であり、R
2はHまたは2以上の炭素原子を含有する基であり、nは2以上である。代替的な一実施形態において、R
1及びR
2は2〜500個の炭素原子を含有する。R
1及びR
2は、同一または異なる数の炭素原子を含有し得る。2〜500個の炭素原子のすべての個々の値が本明細書に開示され、本明細書に含まれる。例えば、代替的な実施形態において、R
1及びR
2中の炭素原子の数は2、75、150、225、300、375、または425個の下限から50、125、200、275、325、400、475、または500個の上限までの範囲であり得る。例えば、R
1及びR
2中の炭素原子の数は2〜500個、または代替形態において2〜250個、または代替形態において250〜500個、または代替形態において100〜400個であり得る。
【0015】
ポリ尿素ポリ尿素は、ポリアミンと尿素またはアルキルカルバメート(メチルカルバメートなど)との反応などの任意の方法によって調製され得る。エステル基、オレフィン基、ヒドロキシル基、アミド基、エーテル基、またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含むが、これに限定されない多数の官能基がポリ尿素のR
1基中に存在し得る。一例として、ポリ尿素はポリエーテルアミンと尿素との反応から調製され得る。好適なポリエーテルアミンの一例は、以下に図示するポリオキシプロピレントリアミンであり、式中、Aは約3〜6個の炭素原子を含有するオキシアルキル化感受性の3価アルコールの核を表し、x+y+zの合計は約4〜約100である。
【0017】
一般的に、以上に示すポリオキシプロピレントリアミンの平均分子量は約200〜約5000である。そのような生成物の一例は、約400の平均分子量を有する商業的生成物(JEFFAMINE(商標)T−403)であり、式中、Aは6個の炭素原子を含有するトリメチロールプロパン核を表し、x+y+zの合計は約5〜6である。
【0018】
第2の一例として、ポリ尿素は脂環式ジアミン(イソフォロンジアミンなど)と尿素との反応から調製され得る。
【0019】
特定の一実施形態において、R1は、ポリオレフィン、ポリ(アクリレート)、ポリアミド、ポリエステル、及びポリエーテルからなるポリマーの群から選択される。
【0020】
任意のアルデヒド、アセタール、またはこれらのヘミアセタールが、架橋性組成物の実施形態において使用され得る。アルデヒドには、モノアルデヒド及びポリアルデヒドが挙げられる。例示的なモノアルデヒドには、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ポリアルデヒド」という用語は、2つ以上のアルデヒド基もしくはこれらの水和物を含有する分子、またはこれらのアセタールもしくはヘミアセタールを意味し、分子は本明細書に記載するように機能することができ、本発明の硬化ステップ中にポリ尿素と反応して、架橋されたポリ尿素を形成することができる。アルデヒド基は、本明細書で−C(=O)Hまたは−CHOと記述され得る。特定の一実施形態において、アルデヒドはジアルデヒドである。
【0022】
好ましくは、本発明のポリアルデヒドは、1つ以上の環式非芳香族ポリアルデヒドまたは1つ以上の芳香族ポリアルデヒドを含む。例えば、ポリアルデヒドは、3〜20個の環炭素原子を有する1つ以上の環式非芳香族ポリアルデヒドを含んでもよく、3〜20個の環炭素原子を有する1つ以上の環式非芳香族ポリアルデヒドから本質的になってもよい。
【0023】
一実施形態において、架橋性組成物中の各環式非芳香族ポリアルデヒドは、独立して5〜12個の環炭素原子を有し、及び更により好ましくは(cis,trans)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドと、(cis,trans)−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドとの混合物である。本発明に従うと、ポリアルデヒドは、2〜16個の炭素原子を有する1つ以上の非環式直鎖または分岐鎖ポリアルデヒドを含み得る。別の実施形態において、16個以上の炭素原子を有する1つ以上の非環式直鎖または分岐鎖ポリアルデヒドのうちのそれぞれは、脂肪酸エステル、またはより好ましくは種子油に由来する実質的に水不溶性の多オレフィン含有化合物をヒドロホルミル化することによって調製される。例えば、16個以上の炭素原子を有する1つ以上の非環式直鎖または分岐鎖ポリアルデヒドのうちのそれぞれは、多オレフィン含有オリゴマーまたはポリマーをヒドロホルミル化することによって調製される。好ましくは、種子油に由来する多オレフィン含有化合物は、48個以上の炭素原子を有する多オレフィン含有脂肪酸トリグリセリドである。
【0024】
好適な環式ポリアルデヒドの例は、trans−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、cis−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、cis−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドと1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドとの混合物、好ましくはその1対1の混合物、exo,exo−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド、exo,exo−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド、exo,endo−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド、exo,endo−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド、endo,endo−2,5−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド、endo,endo−2,6−ノルボルナンジカルボキシアルデヒド生成物(endoとexoとの混合物)、3−(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール、3−(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール、2−(3−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール、2−(4−ホルミルシクロヘキシル)プロパナール、及びシクロドデカン−1,4,8−トリカルボキシアルデヒドである。
【0025】
特定の一実施形態において、ポリアルデヒドは、25℃で1ミリリットルの水当たり0.015〜0.20グラム、または代替形態において最大0.15グラム、または好ましくは0.03グラム以上のポリアルデヒドの水中溶解度を有する。代替的な一実施形態において、ポリアルデヒドは、グリオキサールまたはグルタルアルデヒドなどのようにより大きな水溶解度を有する。更に別の実施形態において、ポリアルデヒドは、C
5〜C
11脂環式もしくは芳香族ジアルデヒド、または代替形態においてC
6〜C
10脂環式もしくは芳香族ジアルデヒド、例えば(cis,trans)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、(cis,trans)−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物などから選択される。
【0026】
7未満のpK
aを有する任意の酸触媒が本発明の実施形態において使用され得る。7未満からのすべての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、酸触媒は、7未満、または代替形態において6.5未満、または代替形態において6未満、または代替形態において5.5未満、または代替形態において5未満、または代替形態において4.5未満、または代替形態において4未満のpK
aを有し得る。例示的な酸触媒には、p−トルエンスルホン酸(PTSA)、及びトルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0027】
酸触媒の例は、ルイス酸(例えば三フッ化ホウ素エーテラート)及びプロトン酸(すなわちブレンステッド酸)である。一実施形態において、酸触媒はプロトン酸を含む。一実施形態において、酸触媒はリン酸もしくはスルホン酸などの無機プロトン酸、またはカルボン酸、ホスホン酸、もしくはスルホン酸などの有機プロトン酸である。例示的なカルボン酸には、酢酸、トリフルオロ酢酸、及びプロピオン酸が挙げられる。例示的なホスホン酸はメチルホスホン酸である。例示的なスルホン酸には、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、樟脳スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、及びドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。好適なルイス酸触媒の例は、AlCl
3、塩化物ベンジルトリエチルアンモニウム(TEBAC)、Cu(O
3SCF
3)
2、(CH
3)
2BrS
+Br
−、FeCl
3(例えばFeCl
3+6H
2O)、HBF
4、BF
3.O(CH
2CH
3)
2、TiCl
4、SnCl
4、CrCl
2、NiCl
2、及びPd(OC(O)CH
3)
2である。
【0028】
酸触媒は、無支持(固体支持なし)でも、または支持あり、すなわち固体支持に共有結合されてもよい。支持された誘発剤の例は、陽イオン交換型ポリマー樹脂の酸(H
+)形態(例えばエタンスルホン酸、2−[1−[ジフルオロ[(1,2,2−トリフルオロエテニル)オキシ]メチル]−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ]−1,1,2,2−テトラフルオロ−、NAFION NR50(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Inc.,Wilmington,Del.)の商品名で販売される1,1,2,2−テトラフルオロエタンとのポリマー、及びAMBERLYST(商標)15(The Dow Chemical Company,Midland,Mich.,USA.)として販売されるジエテニルベンゼンとのエテニルベンゼンスルホン酸ポリマーなどの支持された酸触媒などの支持された硬化触媒である。
【0029】
代替的な一実施形態において、本発明は、非水性架橋性組成物が7未満のpKaを有する酸触媒を更に含むことを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。
【0030】
代替的な一実施形態において、本発明は、非水性架橋性組成物が硬化阻害剤を更に含むことを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。硬化阻害剤は、水、アルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上を含む。硬化剤として有用なアルコールには、例えば1〜12個の炭素原子を有するアルカノールが挙げられる。特定の一実施形態において、硬化阻害剤は一級アルカノールを含む。
【0031】
硬化阻害剤は、硬化が望ましい時間まで硬化もしくは組成物の両方の開始を遅延させるか、または硬化の時間の長さを増加させるために使用され得、組成物から(例えば蒸発によって)取り除かれ、それによりその硬化を開始またはその硬化の速度を増加させることができる。好適な硬化阻害剤は、大気圧で最大300℃、または代替形態において最大250℃、または代替形態において最大200℃の沸点を有する。架橋性組成物の特定の実施形態において、硬化阻害剤は、組成物中の固体の総重量に基づいて0.5重量%〜90重量%、または代替形態において最大60重量%、または代替形態において最大50重量%の量で存在する。架橋性組成物の特定の実施形態において、硬化阻害剤濃度は、組成物中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%、または代替形態において少なくとも2重量%である。硬化阻害剤は、所望される場合、組成物が長い可使時間(例えば14日間以上)維持されることを可能にすることができ、その後硬化が所望されるときに、本発明の組成物から(例えば蒸発によって)取り除かれることにより、結果として生じる本発明の組成物が、硬化阻害剤を欠くことを除いて本発明の組成物と同じ組成物の硬化及び指触乾燥時間に匹敵する時間で硬化及び指触乾燥するのを可能にし、また、結果として生じるその硬化及び乾燥コーティングが、硬化阻害剤を欠くことを除いて本発明の組成物と同じ組成物から調製された硬化及び乾燥コーティングに匹敵する程度の硬度を呈するのを可能にすることができる。一実施形態において、硬化阻害剤は、組成物中の固体の総重量に基づいて0.5重量%〜50重量%、または代替形態において最大20重量%、または代替形態において最大10重量%の濃度で存在する1つ以上のアルカノールである。一実施形態において、硬化阻害剤は、組成物中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%、または代替形態において少なくとも2重量%の濃度で存在する1つ以上のアルカノールである。一実施形態において、硬化阻害剤は、組成物中の固体の総重量に基づいて0.5重量%〜40重量%、または代替形態において最大20重量%、または代替形態において最大10重量%の濃度で存在する水である。一実施形態において、硬化阻害剤は、組成物中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%、または代替形態において少なくとも2重量%の濃度で存在する水である。更に別の実施形態において、硬化阻害剤は、水とアルカノールとの組み合わせを含む。
【0032】
代替的な一実施形態において、本発明は、架橋性組成物が80℃以下の温度で反応して硬化して、架橋された組成物を形成することができることを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。80℃以下のすべての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、架橋性組成物は、80℃以下の温度、または代替形態において60℃以下の温度、または代替形態において40℃以下の温度、または代替形態において20℃以下の温度で反応して、硬化することができる。別の実施形態において、架橋性組成物は、0℃以上の温度、または代替形態において10℃以上の温度、または代替形態において20℃以上の温度、または代替形態において30℃以上の温度、または代替形態において40℃以上の温度で反応して、硬化することができる。
【0033】
代替的な一実施形態において、本発明は、架橋性組成物が0.5:1〜2:1のアルデヒド基対尿素基のモル比を有することを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。2:1〜0.5:1のすべての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、アルデヒド基対尿素基のモル比は、0.5:1、0.9:1、1.3:1、または1.7:1の下限から0.6:1、1:1、1.4:1、1.8:1、または2:1の上限までの範囲であり得る。例えば、架橋性組成物のアルデヒド基対尿素基のモル比は、0.5:1〜2:1、または代替形態において0.5:1〜1:1、または代替形態において1:1〜2:1、または代替形態において0.75:1〜1.75:1の範囲であり得る。
【0034】
代替的な一実施形態において、本発明は、ポリアルデヒドが(cis,trans)−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドと(cis,trans)−1,3−シクロヘキサンジカルボキシアルデヒドとの混合物であることを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。
【0035】
好適な有機溶媒の例は、例えばアルカン(例えば(C
6−C
12)アルカン)、芳香族(例えば(C
6−C
12)芳香族)、エーテル(例えば(C
2−C
12)エーテル)、カルボキシルエステル(例えば(C
2−C
12)カルボキシルエステル)、ケトン(例えば、(C
3−C
12)ケトン)、二級もしくは三級カルボキサミド(例えば二級もしくは三級(C
3−C
12)カルボキサミド)、スルホキシド(例えば(C
2−C
12)スルホキシド)、またはこれらの2つ以上の混合物などの非極性及び極性有機溶媒である。
【0036】
代替的な一実施形態において、本発明は、架橋された組成物がレオロジー改質剤、湿潤剤、レベリング剤、流動添加剤、安定剤、界面活性剤、顔料、分散剤、及びワックスからなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含むことを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。
【0037】
代替的な一実施形態において、本発明は、コーティングが木材コーティングまたは金属コーティングであることを除いて、先行する実施形態のうちのいずれかに従って、非水性架橋性組成物、それを生成する方法、それから作製される架橋された組成物、架橋された組成物を含むコーティング組成物、及びコーティング組成物を含む物品を提供する。
【0038】
本発明の実施形態に従う架橋された組成物は、例えば構造的構成成分、エラストマー、密封材、接着剤、フィルム、及びフォームを含む様々な 終使用のために使用され得る。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、2以上の官能価を有するポリ尿素と、アルデヒド、またはそのアセタールもしくはヘミアセタールと、任意で1つ以上の有機溶媒と、から本質的になる非水性架橋性組成物を提供する。
【0040】
別の代替的な実施形態において、本発明は、本明細書に開示される任意の実施形態に従う架橋された組成物から本質的になるコーティング組成物を更に提供する。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、本発明を図示するが、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0042】
ポリ尿素調製:ポリエーテルアミンと尿素との反応によってポリ尿素を調製した。JEFFAMINE T−403(Huntsman Corporationから商業的に入手可能)(平均水素当量=81g/等量、全アミン等量=6.35meq/g)は、骨格中の反復するオキシプロピレン単位を特徴とするポリエーテルアミンである。JEFFAMINE T−403は、そのアミン基が脂肪族ポリエーテル鎖の末端の二級炭素上に位置して、約440g/モルの平均分子量を有する三官能一級アミンである。60.06g/モルの式量を有する尿素をSigma−Aldrich Co.から商業的に得た。300g(1.905モルのNH
2)のJEFFAMINE T−403と、126g(2.0955モル、10%過剰)の尿素とを、機械攪拌器、Dean−Starkトラップ、冷却器、加熱マントル、及び窒素バブラーシステムを備えた3つ首の1000mLの丸底フラスコ内に充填した。システムに窒素を流し、温度をゆっくり110℃にした。不均一な混合物に、35gの蒸留水を添加し、尿素を溶液にした。反応溶液にわたって窒素を流して反応を実行し、発生したアンモニアをバブラーを通して逃がした。反応は、110℃未満で維持した。反応に、その後HCl滴定を続けた。始めに、このように入手したJEFFAMINE T−403を、0.5NのHCl(メタノール中)及びブロモフェノールブルー指示薬を使用して滴定した(75mLのイソプロパノール中2gのJEFFAMINE T−403は、約25.4mLのHCl滴定剤を使用するはずである)。約8時間後、2gの試料を反応フラスコから取り除き、室温まで冷却し、類似のHCl滴定を実行した。滴定が<2mLの0.5NのHClを消費したとき反応は完了したと見なされ、完了は典型的に約12時間以内であった。この手順をJEFFAMINE T403で使用して、本発明の実施例1〜9及び15、ならびに比較例1を調製した。結果として生じるJEFFAMINE T403ポリ尿素は、100%固体で206.5g等量/モルの当量を有した。
【0043】
JEFFAMINE XTJ542(1.96meq/gの全アミンを有する、約1000の分子量のジアミン)及びJEFFAMINE T3000(0.94meq/gの全アミンを有する、約3000の分子量のトリアミン)(これらの両方はHuntsman Corporationから商業的に入手可能)を使用してポリ尿素を調製するために、前述の手順をまた使用した。100%固体で559.28g/モルの当量を有する、結果として生じるJEFFAMINE XTJ542ポリ尿素を使用して、本発明の実施例10〜13及び比較例2を調製した。100%固体で1113.5g等量/モルの当量を有する、結果として生じるJEFFAMINE T3000ポリ尿素を使用して、本発明の実施例14を調製した。
【0044】
以上に記載するように、生成されたポリ尿素を、(本発明の実施例において)酸触媒であるp−トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下、室温、及び圧力で様々なアルデヒドと架橋させて、架橋された組成物を生成した。本発明の実施例のうちのそれぞれを調製するために使用したアルデヒドを、表1〜4に示す。比較例1〜2においてアルデヒドは使用しなかった。
【0045】
コーティングされた木材の実施例の調製:ポプラ板1/4インチ×4インチ×48インチを5インチの長さに切断した(5インチ×4インチ×1/4インチ)。フォームブラシを使用することによって、例示的なコーティングのうちの1つで各板を3回コーティングした。各コーティングの後コーティングを1日間乾燥させ、その後次のコーティングの追加前に軽くやすりがけした。 終コーティングである第3のコーティングは、やすりがけしなかった。 終コーティングを適用してから7日後、染色耐性試験を実行した。
【0046】
表1は、CHO官能基対尿素基の様々なモル比での、シクロヘキサンジカルボキシアルデヒド(CHDA)を使用して架橋されたJEFFAMINE T403ポリ尿素である、本発明の実施例1〜3のコーティング特性を要約する。表1は、比較例1がCHDAとは架橋しなかったことを除いて、本発明の実施例1〜3と同一の配合を有する比較例1と比較して、本発明の実施例1〜3のコーティング特性の著しい増加を図示する。より高いジアルデヒド架橋剤比で、100近い振り子硬度及び2Hの鉛筆硬度が測定された。測定されたMEK二重摩擦及びゲル分率性能は、ジアルデヒドを有さない対照と比較して架橋を明らかに示す。
【0047】
他の商業的なジアルデヒド、グリオキサール、及びグルタルアルデヒドを使用して、表2、本発明の実施例4〜9に示すようにJEFFAMINE T403から作製したポリ尿素を架橋した。表2は、様々なCHO対尿素のモル比で架橋された組成物及び比較例1を図示する。グリオキサールまたはグルタルアルデヒドを使用して得られるコーティング特性は、本発明の実施例1〜3のコーティング特性と比較して著しくより低かった。
【0048】
表3における本発明の実施例10〜13は、様々なCHO対尿素基のモル比での、二官能JEFFAMINEポリ尿素、JEFFAMINE XTJ542と、CHDAとの架橋の結果を図示する。
【0049】
表4は、本発明の実施例14〜15のフィルム特性を図示する。CHDAで架橋されたJEFFAMINE T3000ポリ尿素を使用して、本発明の実施例14を調製した。JEFFAMINE T403ポリ尿素を使用して、本発明の実施例15を調製し、モノアルデヒド、特にシクロヘキサンカルボキシアルデヒドと架橋させた。
【0050】
試験方法
試験方法は以下を含む。
【0051】
固体(重量%):窒素ガスパージを有する標準熱重量測定分析ユニット内に10mgの試料を定置することによって、熱重量測定分析(TGA)によって決定する。1分間当たり10℃(℃/分)の加熱速度で、試料を25℃から300℃まで加熱する。時間曲線の関数としての重量損失%のグラフから、重量損失が固体パーセント(分率)として横ばいとなる曲線の勾配の中断を使用する。
【0052】
コーティングの厚さ:ASTM D7091−05(Standard Practice for Nondestructive Measurement of Dry Film Thickness of Nonmagnetic Coatings Applied to Ferrous Metals and Nonmagnetic,Nonconductive Coatings Applied to Non−Ferrous Metals(2005))。
【0053】
光沢:測定は、ASTM D523−08(Standard Test Method for Specular Gloss(2008))に従って、BYK Labotron Gloss Unitによって行う。
【0054】
衝撃耐性:ガードナー衝撃試験機を使用して、ASTM D2794−93(Standard Test Method for Resistance of Organic Coatings to the Effects of Rapid Deformation(Impact)(1993))に従うことによって決定する。
【0055】
振り子硬度:ANSI ISO1522(振り子減衰試験)に従うことによる、Konig振り子硬度試験に従う。
【0056】
鉛筆硬度:ASTM D3363−05(Standard Test Methodfor Film Hardness by Pencil Test(2005))。
【0057】
MEK耐性:基材の表面に至るまで十分なコーティングを取り除き、それにより基材の表面を暴露するために必要とされるメチルエチルケトン(MEK)摩擦の数として報告する。
【0058】
クロスハッチ接着:ASTM D3359−09(Standard Test Methods for Measuring Adhesion by Tape Test)(尺度0B〜5Bで、5Bが 良の接着)。
【0059】
(コーティングの)染色耐性:侵襲材料(水、50%のエタノール/水、Skydrol、及びWindex)の液滴をコーティング表面と直接接触する一枚の吸収紙上に定置し、完全に湿潤した紙をガラスのカバーで被覆し、24時間待機し、コーティング上の視覚的影響を観察し、視覚的影響を影響なし、中度のエッチング、または重度エッチングのいずれかとして分類することによって決定する。影響なしとはコーティング表面に変化がないことを意味し、中度のエッチングとはコーティング表面の白化を意味し、重度エッチングとはコーティング表面の水疱形成を意味する。1〜6の相対格付を割り当て、このうち1が も重度の損傷、6がコーティングへの影響がなく も低いものでありこれらは以下のように特徴付けられた。
1=切れ込み、コーティングを溶解、亀裂/剥離する。
2=水が基材を腐食する。
3=重度の白化、気泡/しわを形成する。
4=軽度の白化/黄化、指触変化なし。
5=可視的または他の点で影響なし。
6=影響なし、白化さえ全くない。
【0060】
(コーティング材料の)ゲル分率:逆流アセトンを有するソックスレー抽出器内にポリマーフィルムを24時間露出した後に残存するフィルム試料のパーセントとして報告する。コーティングと同一の配合を使用することによってフィルム試料を調製し、アルミニウム箔の舟形内に注いで、〜0.1mmの乾燥コーティング厚を作り出す。硬化したフィルムを箔から剥離し、〜1gのフィルムをソックスレー抽出器のシンブル内に定置し、正確な重量を記録する。溶媒として逆流アセトンを使用して、シンブル/フィルム試料をソックスレー抽出器内にペース調整する。逆流アセトンを使用して、試料を24時間抽出する。シンブル/フィルム試料を取り除き、一晩乾燥させ、 量する。抽出の後に残存する材料のパーセントを計算する。
【0061】
本発明は、本発明の趣旨及び本質的属性から逸脱することなく他の形態で具現化されてもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、上記明細書ではなく添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】