(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771601
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】車両用通信ユニット
(51)【国際特許分類】
B60L 50/40 20190101AFI20201012BHJP
B60L 50/50 20190101ALI20201012BHJP
B60L 53/00 20190101ALI20201012BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20201012BHJP
B60L 58/00 20190101ALI20201012BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
B60L50/40
B60L50/50
B60L53/00
B60L55/00
B60L58/00
H02J7/00 P
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-9236(P2019-9236)
(22)【出願日】2019年1月23日
(65)【公開番号】特開2019-129701(P2019-129701A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2019年1月23日
(31)【優先権主張番号】10 2018 101 642.5
(32)【優先日】2018年1月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シュペッサー
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−171613(JP,A)
【文献】
特開2011−024317(JP,A)
【文献】
特開2016−052246(JP,A)
【文献】
特開2016−082877(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0253036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 58/40
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)に設けられる通信ユニット(12)であって、前記通信ユニット(12)は、制御ユニット(20)、第1の接続部(21)、第2の接続部(22)、第1の切換え可能な抵抗ブリッジ(31)、第2の切換え可能な抵抗ブリッジ(32)、および前記第1の切換え可能な抵抗ブリッジ(31)における電圧の特徴を示す測定信号(39)を発生させるための測定装置(38)を有し、
前記第1の切換え可能な抵抗ブリッジ(31)および前記第2の切換え可能な抵抗ブリッジ(32)は、それぞれ前記第1の接続部(21)と前記第2の接続部(22)との間に設けられ、互いに並列に接続され、
前記第1の切換え可能な抵抗ブリッジ(31)は、第1のスイッチ(33)および第1の抵抗器(34)を有し、
前記第2の切換え可能な抵抗ブリッジ(32)は、第2のスイッチ(35)および第2の抵抗器(36)を有し、
前記制御ユニット(20)は、少なくとも1つの第1の状態(Z1)および1つの第2の状態(Z2)を有し、
前記第1の状態(Z1)は、能動充電動作に相当し、
前記第2の状態(Z2)は、前記第1の状態(Z1)において、前記制御ユニット(20)が、前記第1の接続部(21)および前記第2の接続部(22)を経由した外部停止信号を受け取った場合に生じ、
前記制御ユニット(20)は、前記第2の状態(Z2)に移行した場合に以下のステップ:
a)前記第1のスイッチ(33)が入りの場合に、前記第1のスイッチ(33)が切られるステップと、
b)前記測定信号(39)の大きさが所定の第1の範囲内であり且つ前記測定信号(39)が100%のデューティ比(DC)を有するかどうかの第1の条件をチェックし、当該第1の条件を満たす場合に、前記第2のスイッチ(35)が切られるステップと、
c)ステップb)の後に、前記測定信号(39)の大きさが所定の第2の範囲内であり且つ前記測定信号(39)が100%のデューティ比(DC)を有するかどうかの第2の条件をチェックし、当該第2の条件を満たす場合に、前記第2のスイッチ(35)が再度入れられるステップと、
を実施するように設計される、通信ユニット(12)。
【請求項2】
前記制御ユニット(20)は、前記第2のスイッチ(35)を制御するために、フィルタ(28)を有する、請求項1に記載の通信ユニット。
【請求項3】
前記制御ユニット(20)は、マイクロコントローラ(24)を有し、前記マイクロコントローラ(24)は、前記第2のスイッチ(35)を制御するように設計される、請求項1または2に記載の通信ユニット。
【請求項4】
前記第1の状態(Z1)において、前記測定信号(39)を評価し、100%へのデューティ比の変化を外部停止信号として分類するように設計される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の通信ユニット。
【請求項5】
前記制御ユニット(20)は、ステップb)とc)との間に以下のステップ:
b1)所定の期間にわたって待機するステップ、
を実施するように設計される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信ユニット。
【請求項6】
前記制御ユニット(20)は、ステップc)の後に以下のステップ:
c1)所定の期間にわたって待機するステップ
を実施するように設計される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の通信ユニット。
【請求項7】
前記制御ユニット(20)は、ステップc)の後に前記測定信号(39)を監視し、ステップc1)への移行に必要な条件として、前記測定信号(39)の大きさが前記第1の範囲内であり且つ前記測定信号(39)が100%のデューティ比(DC)を有するかどうかをチェックするように設計される、請求項6に記載の通信ユニット。
【請求項8】
前記制御ユニット(20)は、ステップc)において期間をチェックし、前記第2の条件が、所定の最大期間(T_MAX)内に満たされなかった場合に、前記第1のスイッチ(33)を切り、前記第2のスイッチ(35)を入れ、次いで、ステップa)に再度移行するように設計される、請求項1に記載の通信ユニット。
【請求項9】
前記制御ユニット(20)は、所定の回数だけステップa)に新たに移行した後、エラーを出力するように設計される、請求項8に記載の通信ユニット。
【請求項10】
前記制御ユニット(20)は、ステップc1)の後に以下のステップ:
d)前記第1のスイッチ(33)が入れられるステップと、
e)前記能動充電動作が開始されるステップと、
を実施するように設計される、請求項6に記載の通信ユニット。
【請求項11】
前記制御ユニット(20)は、ステップc1)の後に前記測定信号(39)を監視し、ステップd)への移行に必要な条件として、前記測定信号(39)の大きさが前記第1の範囲内であり且つ前記測定信号(39)のデューティ比(DC)が100%未満であるかどうかをチェックするように設計される、請求項10に記載の通信ユニット。
【請求項12】
前記制御ユニット(20)は、ステップd)の後に前記測定信号(39)を監視し、ステップe)への移行に必要な条件として、前記測定信号(39)の大きさが所定の第3の範囲内であり且つ前記測定信号(39)のデューティ比(DC)が100%未満であるかどうかをチェックするように設計される、請求項10または11に記載の通信ユニット。
【請求項13】
前記第2のスイッチ(35)は、MOSFETの形態のリレーまたはトランジスタである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用、特に、電動式車両用の通信ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
最新の充電ステーションは、充電される車両と通信し、現在の状態と、有り得る充電パラメータとに関する情報を交換するために信号を使用する。
【0003】
(特許文献1)、(特許文献2)、および(特許文献3)はそれぞれ、車両用の車載充電装置を開示しており、この充電装置は、充電動作中に、充電プラグが取り外されたかどうかを充電ステーションが判断することを可能にするために、充電ステーションと通信する。
【0004】
(特許文献4)は、電気車両が充電動作中に充電ステーションから接続を切られ、次いで、再度接続されるのを可能にする装置を記載している。充電ステーションは、それぞれの状態を検出する。
【0005】
(特許文献5)は、切断信号を受け取った場合に充電動作を一時的に中断し、切断信号が取り止めになった場合に充電動作を再開する車載充電装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0091291A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0135626A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0022152A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0088199A1号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0088200A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、自動車両用の新たな通信ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の主題によって達成される。プラグを引抜き、次にプラグを新たに挿入することは、第2のスイッチを切り、次いで、第2のスイッチを再度入れることでシミュレートされる。一部の充電ステーションでは、これは、エラー後に充電動作を自動的に再開することを可能にし、したがって、車両の所有者が所有者の車両を持ってきたときに、車両が充電される可能性を高める。この問題解決策は、例えば、より旧型の充電ステーションが、より新型の車両と組み合わされた場合に有益であると分かった。この組み合わせは、より旧型の充電ステーションが、より新しい通信プロトコルが分からないためにエラーを引き起こし、より旧型のステーションは、エラーと再度充電プラグを挿入するという要求とで対応したが、これは、請求項1の主題を用いて自動で行うことができる。
【0009】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、第2のスイッチを制御するためのフィルタを有する。このフィルタは、第2のスイッチの不必要な切換が、充電動作を中止させることがあることから、第2のスイッチが不必要に切り換わるリスクを軽減する。
【0010】
1つの好ましい実施形態によれば、フィルタはローパスフィルタである。これは、高周波の、または短い干渉を除去することを可能にする。
【0011】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットはマイクロコントローラを有し、このマイクロコントローラは、第2のスイッチを制御するように設計される。これは、プログラムで制御されたやり方で第2のスイッチを制御することを可能にする。
【0012】
1つの好ましい実施形態によれば、通信ユニットは、第1の状態において測定信号を評価し、100%へのデューティ比の変化を外部停止信号として分類するように設計される。これは、エラー信号の好ましい構成である。あるいは、別のデューティ比をエラー信号として定義することもできる。
【0013】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップb)とc)との間に以下のステップ:
b1)所定の期間にわたって待機するステップ、
を実施するように設計される。
【0014】
これは、充電ステーションが信号に応じて対応するかどうかを決めるためにチェックが行われるので、方法のロバスト性を高める。
【0015】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップb)の後に測定信号を監視し、ステップc)への移行に必要な条件として、測定信号の大きさが所定の第1の範囲内かどうかをチェックするように設計される。これは、充電ステーションおよび制御ユニットが相応して対応する場合のみプロセスが続行されるので動作の信頼性を高める。
【0016】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップb)の後に測定信号を監視し、ステップc)への移行に必要な条件として、測定信号が100%のデューティ比を有するかどうかをチェックするように設計される。したがって、チェックは、充電ステーションが適切に対応したかどうかを判断するために行われる。
【0017】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップb)の後に期間をチェックし、少なくとも1つの必要条件が、所定の最大期間内で満たされなかった場合に、第1のスイッチを切り、第2のスイッチを入れ、次いで、ステップa)に移行するように設計される。通信は、対応が通信プロトコルに合わないので再起動される。
【0018】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップc)の後に以下のステップ:
d)第1のスイッチが入れられるステップと、
e)充電動作が開始されるステップと、
を実施するように設計される。
【0019】
その結果、充電ステーションは、最初に、例えば、制御ユニットから充電ユニットに送られた信号によって、通信ユニットが起動する準備ができたことを通知され、充電動作が適切に開始される。
【0020】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップd)の後に測定信号を監視し、ステップe)への移行に必要な条件として、パルスに対する測定信号の大きさが所定の第2の範囲内かどうかをチェックするように設計される。0%を超え、かつ100%未満のデューティ比を有するPWM信号の場合、パルスとパルス休止とが交互に起こり、全体的な周期時間は、少なくとも一時的に一定である。したがって、電圧レベルは、パルス休止中ではなくて、パルス中に求められる。
【0021】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、ステップd)の後に測定信号を監視し、ステップe)への移行に必要な条件として、測定信号のデューティ比が100%未満であるかどうかをチェックするように設計される。したがって、次のステップに移行するためには、100%未満のデューティ比を有するPWM信号が存在することが前提とされる。
【0022】
1つの好ましい実施形態によれば、第2のスイッチは、MOSFETの形態のリレーまたはトランジスタである。これらは好ましいスイッチであり、MOSFETは、実装密度が高く、製造コストが安いことから、特別なトランジスタとして特に顕著に適している。
【0023】
1つの好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、第1の接続部および第2の接続部を経由して供給されるPWM信号を評価するように設計される。
【0024】
1つの好ましい実施形態によれば、通信ユニットは、EN62196タイプ2規格に準拠したプラグを有する充電ステーションと相互作用するように設計される。
【0025】
本発明のさらなる細部および有益な発展形態が、以下に説明され、図面で示される例示的な実施形態と従属請求項から明らかになるが、この例示的な実施形態は、決して本発明を制限することを意図すると解釈すべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】通信ユニットを有する車両と、この車両に接続された充電ステーションとの概略図を示している。
【
図2】通信ユニットのスイッチの制御の概略図を示している。
【
図3】通信ユニットで実行するプログラムの流れのフローチャートを示している。
【
図4】測定信号を評価するフローチャートを示している。
【
図5】測定信号をエラーの取り扱いと合わせて評価するフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、車両10および充電ステーション52の概略図を示している。車両10は、電動式車両であるのが好ましい。車両10は、第1の接続部21および第2の接続部22によって充電ステーション52に接続される通信ユニット12を有する。このために、概略的に示すプラグ55が設けられるのが好ましく、プラグは、通常では充電ステーション52に固定され、車両10の対応するソケット25に解放可能に接続することができる。通信ユニット12は、制御ユニット20、第1の切換え可能な抵抗ブリッジ31、および第2の切換え可能な抵抗ブリッジ32を有する。第1の切換え可能な抵抗ブリッジ31および第2の切換え可能な抵抗ブリッジ32は、それぞれ第1の接続部21と第2の接続部22との間に設けられ、互いに並列に接続されている。さらに、ダイオード23が第1の接続部21と抵抗ブリッジ31、32との間に設けられるのが好ましく、ダイオード23のカソードは、抵抗ブリッジ31、32に対向している。
【0028】
第1の切換え可能な抵抗ブリッジ31は、直列に接続された第1のスイッチ33および第1の抵抗器34を有する。第2の切換え可能な抵抗ブリッジ32は、直列に接続された第2のスイッチ35および第2の抵抗器36を有する。スイッチ33、35は、好ましくは、MOSFETの形態のリレーまたはトランジスタとすることができる。
【0029】
電圧計38は、抵抗ブリッジ31、32における電圧を測定するために設けられ、対応する測定信号を供給するために、制御ユニット20に接続されている。抵抗ブリッジは並列に接続されているので、測定装置である電圧計38は、第1の抵抗ブリッジ31における電圧の特徴を示す測定信号39を生成するように設計されていると分かる。同様に、測定信号39は、第2の抵抗ブリッジにおける電圧に対応する、すなわち、両方の抵抗ブリッジにおける電圧に対応する。制御ユニット20は、第1のスイッチ33および第2のスイッチ35に接続されて、これらのスイッチ33、35を制御することを可能にする。
【0030】
充電ステーション52は、例として、第1の接続部21と第2の接続部22との間に接続されたコンデンサ54を有し、抵抗器56および信号発生装置58は直列に、コンデンサ54とは並列に接続されている。電線60は、第1の接続部21に接続され、第1の接続部21における電圧の電圧信号を伝送して、電圧信号の評価を可能にするために使用される。
【0031】
図示した通信ユニット12は、特に、下記に略してIECタイプ2と称されるEN62196タイプ2規格に準拠したプラグタイプに使用することができる。第1の接続部21は、その規格で定義された接続部CP(コントロールパイロット)に対応し、第2の接続部22は、接続部PE(保護用接点)に対応する。
【0032】
スイッチ35が閉じる(入れられる)と、通信ユニット12は、前記IECタイプ2規格用の従来の通信ユニットのように挙動し、充電動作はこの規格に従って行われ、概説すると以下の通りである。
【0033】
充電ステーション52のプラグ55が自動車両10に接続される前に、信号発生装置58は、12ボルトの連続する電圧を発生させ、PWMクロック制御(clocking)は行われない。したがって、デューティ比DCは100パーセントであり、結果として、パルス持続時間は、PWM信号の周期時間に一致し、パルス休止は生じない。顧客が、充電ステーション52のプラグ55を挿入し、したがって、充電ステーション52を通信ユニット12に接続すると、抵抗ブリッジ31、32におけるレベルは、IECタイプ2規格に従って9ボルトまで下がる。充電ステーション52を通信ユニット12に接続することで、抵抗器36および抵抗器56が分圧器として働くので、スイッチ35のない受動抵抗ブリッジ32がもたらされる。この低下は、充電ステーション52によって検出され、充電ステーション52は、信号発生装置58を使用して、クロック制御されたPWM信号を生成し、デューティ比DCは、どのくらいの電流が充電ポスト52によって供給され得るかを示す。通信ユニット12は、充電ステーション52がクロック制御されたPWM信号を供給していることを検出し、したがって、充電ステーション52が接続され、電流を供給する準備が整ったとみなす。次いで、通信ユニット12は、第1のスイッチ33を入れ、結果として、抵抗ブリッジ31、32における電圧は、信号発生装置58によって前もって定められたデューティ比DCのまま6ボルトまで落ちる。この変化は充電ステーション52によって検出され、充電ステーション52は、車両を充電するために、図示しないセーフティコンタクタ(safety contactor)を作動させることができ、それにより、従動動作を開始することができる。
【0034】
第2のスイッチ35が入れられると、その結果、通信ユニット12は、IECタイプ2規格用の従来の通信ユニットのように機能することができる。
【0035】
充電動作を行うために、通信ユニット12に加えて、充電ユニット73が車両10に設けられ、第3の接続部71および第4の接続部72によって、充電ステーション52の電力ユニット74に接続されている。通信ユニット12は、制御線75によって充電ユニット73に接続されている。充電動作中に、充電電流は、充電ステーション52から接続部71、72を通って車両10に流れる。IECタイプ2規格に準拠したプラグは、さらなる接続を規定する。
【0036】
一実施形態によれば、第1の抵抗器34は、1.3kΩの電気抵抗を有し、第2の抵抗器36は、2.74kΩの電気抵抗を有する。ファンが設けられた別の実施形態によれば、第1の抵抗器34は、270Ωの電気抵抗を有し、第2の抵抗器36は、2.74kΩの電気抵抗を有する。最低で3%の精度を有する抵抗器34、36が使用されるのが好ましい。
【0037】
図2は、第2のスイッチ35を制御する制御ユニット20の構成の概略図を示している。制御ユニット20は、好ましくは制御電子機器26およびフィルタ28を介して第2のスイッチ35に接続されたマイクロコントローラ(μC)24を有するのが好ましい。
【0038】
制御電子機器26は、例えば、演算増幅器またはトランジスタとすることができ、マイクロコントローラ24が、第2のスイッチ35を入れるのに十分な電流を供給できない、または十分な電圧を供給できない場合にのみ必要とされる。フィルタ28は、第2のスイッチ35の不必要な切換えを防止する、または不必要な切換えが、充電動作を中止させることがあることから、リスクを少なくとも軽減するために、干渉信号を除去する目的で設けられている。フィルタ28は、ローパスフィルタ、またはRC素子、または2次ローパスフィルタであるのが好ましい。
【0039】
図3は、
図1の回路の可能な使用方法のフローチャートを示している。プログラムは、例えば、
図2のマイクロコントローラ24で実行することができるし、またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して実施することもできる。フローチャートにおいて、「Y」は、「はい」を意味し、「N」は「いいえ」を意味する。
【0040】
プログラムは、ステップS100において「開始」(START)で始まる。ステップS102で、能動充電動作がまだ中止されていないことを示すために、変数CAが値ゼロにセットされる。ステップS104は、変数CAが値1を有するかどうかをチェックする。値1を有さない場合、能動充電動作は、前もって中止されておらず、プロセスは、
図1で説明した充電動作が開始されるルーチン「充電開始」(STARTUP CHARGE)のS106に進む。次いで、プロセスはS108に進み、変数CAは、充電が現在行われており、充電を行う「充電」(CHARGE)が実行されていることを示すために、S108で値1にセットされる。これは、第1の状態Z1と称することができる。
【0041】
ステップS108の充電動作中に、プロセスは、時間間隔を置いてS110に進み、デューティ比DCが現在100パーセントであるかどうか、したがって、
図1の信号発生装置58がクロック制御を完了し、単に高電圧を発生させているかどうかを判断するために、S110でチェックが行われる。したがって、制御ユニット20は、第1の状態Z1において、第1の接続部21および第2の接続部22を経由した外部停止信号を受け取り、その結果、第2の状態Z2が生じる。
【0042】
そのようなエラーまたは第2の状態Z2が存在する場合に、プロセスはS111(SW35を閉じる、SW33を開く)に進み、第2のスイッチ35は、好ましくは閉じられ(入れられ)、第1のスイッチ33は開かれる(切られる)。次いで、プロセスはS104に進む。
【0043】
S110でエラーがない場合、プロセスは対照的にS112に進み、充電動作が完了したかどうかを判断するために、ルーチン「完了?」(FINISHED?)でチェックが行われる。これは、例えば、車両の充電式バッテリが一杯になるか、または使用者が充電を中止した場合とすることができる。そうでない場合、プロセスは進みてS108に戻り、充電動作が続けられる。充電動作が完了した場合、対照的にS114に進み、プログラムが終了する。あるいは、再度、変数CAを値ゼロにセットすることができ、次の充電を待つことが可能である。
【0044】
充電ステーション52が信号発生装置58を使用して高電圧を連続的に発生させることで、充電動作が充電ステーション52により完了した後、変数CAが値1を有するために、進みてステップS110からステップ104に戻った後でS120への別の分岐が実行される。
【0045】
充電動作が中止された後、多くの充電ステーション製造業者は、充電動作を再度開始するために、充電プラグ55が物理的に引き抜かれ、次いで、再度挿入されることを要求する。これにより、プラグ55が使用者によって引き抜かれ、次いで、再度挿入されるまで、充電は行われない。充電動作のロバスト性を高めるために、プラグ55の物理的な引抜きおよび挿入は、S120後のプログラム部分での第2のスイッチ35の対応する制御に置き換えられる。第2のスイッチ35の開放は、プラグ55の引抜きとして充電ステーション52によって検出することができ、その理由は、両方の場合において、車両側の接続部21、22間の接続が高いインピーダンスを有するからである。次に第2のスイッチ35を閉じることで、プラグ55が再度挿入されたこと、すなわち、充電ステーション52と通信ユニット12との間が接続されたことを充電ステーション52に伝える。したがって、プラグ55が挿入されたときに、プラグ55の引抜きと次の挿入とが、同じ電気特性を設定することで、スイッチ35を使用してシミュレートされる。
【0046】
S120は、電圧UCPが9Vであり、デューティ比DCが100パーセントであるかどうかをチェックする。したがって、この実施形態では、両方が、満たされなければならない必要条件である。これは、第1のスイッチ33が開き(切られ)、第2のスイッチ35が閉じ(入れられ)、信号発生装置58が、100パーセントのデューティ比DCを発生させた、すなわち、連続する高電圧を発生させた場合である。このために、電圧が測定装置38によって測定され、制御装置20に供給される(
図1を参照のこと)。したがって、フローチャートにおいて、比較のために測定がそれぞれ前もって行われ、この場合に、これは、明瞭にするために、付加したステップでそれぞれ実施されていない。電圧UCPが9ボルトに一致するかどうかを判断するためのチェックは、簡略化したやり方で表現されている。プログラムは通常、電圧が、許容できる範囲内、例えば、8V〜10V、または8.5V〜9.5Vであるかどうかを検証する。したがって、電圧UCPは、スイッチ33、35の対応する状態において、信号発生装置58によって、対応する信号が発生した場合に出現し、構成要素の最大許容範囲を考慮した値に一致する。同じことが、下記に述べる他の電圧値にも当てはまる。
【0047】
S120でのチェックの結果が肯定の場合、プロセスはS122に進み、第2のスイッチ35は、ルーチン「SW35を開く」(OPEN SW35)で開かれる、または切られる。プラグ55が挿入されたときに、これは、プラグ55が引き抜かれたことを、すなわち、接続部21、22による接続が行われていないことを充電ステーション52に伝える。
【0048】
次いで、S124は、好ましくは、電圧UCPが12ボルトまで上がり、デューティ比DCがまだ100パーセントであるかどうかをチェックする。この場合、プロセスはS126に進み、第2のスイッチ35は、ルーチン「SW35を閉じる」(CLOSE SW35)で再度閉じられる、または入れられる。これは、プラグが「再度」挿入されたと充電ステーション52に伝える。
【0049】
次いで、S128は、好ましくは、第2のスイッチSW35が閉じられたために、電圧UCPが再度9ボルトまで落ちたかどうか、および信号発生装置58のデューティ比DCがまだ100パーセントであるかどうかをチェックする。この場合、S130においてルーチン「待機」(WAIT)で待機が実施される。待機が所定の期間にわたって実施されるか、または信号発生装置58の状態が変わったかどうかを判断するために、チェックが所定の最大期間にわたって行われるかのいずれかである。S132は、充電ステーション52が、プラグ55が挿入されたことを検出し、PWM信号を使用して、どのくらいの充電電流が可能であるかを示していることを知らせるためのクロック制御されたPWM信号を信号発生装置58が発生させているかどうかをチェックする。この場合、第1のスイッチ33は、S134においてルーチン「SW33を閉じる」(CLOSE SW33)で閉じられ、次いで、S136は、電圧UCPが6ボルトまで落ち、クロック制御されたPWM信号が、信号発生装置58によってまだ発生しているかどうかをチェックする。
【0050】
この場合、プロセスはS108に進み、上記のように充電動作が行われる。
【0051】
S120でのチェックが否定の場合、すなわち、充電ステーション52が、電圧を連続的に供給していない、またはプラグ55が正しく接続されていない場合に、プロセスはS140に進み、S140において、所定の回数の試行が、成功することなくすでに行われたかどうかを判断するために、チェックが行われる。そうでない場合に、プロセスはS104に進む。所定の回数の試行が、成功することなくすでに行われた場合に、プロセスはS142に進み、エラー信号が生成される。エラー信号「エラー」(ERROR)は、通信ユニット12に保存することができ、かつ/または充電ステーション52が、例えば、表示装置を使用してエラーを表示できるように、充電ステーション52に出力することができる。例えば、S140でのチェックにカウンタを使用することができ、このカウンタは、例えば、成功しなかった試行後にステップ120でそれぞれ増分され、ステップS102、S111でそれぞれリセットされる。
【0052】
ステップS124、S128、S132、またはS136でのチェックの結果が否定の場合、プロセスはそれぞれS138に進むのが好ましく、S138において、第2のスイッチ35がまだ閉じられておらず(入れられておらず)、第1のスイッチ33がまだ開かれていない(切られていない)場合に、第2のスイッチ35は閉じられ、第1のスイッチ33は開かれる。したがって、スイッチ35、33がすでに対応する状態を保っている場合、再度所望の状態に切り換える必要はない。次いで、プロセスは進みてS120に戻る。
【0053】
ステップS120、S124、S128、S132、S136でフローチャートに載せた電圧およびデューティ比のチェックは、良好なエラー検出と動作の信頼性をもたらす。しかし、それらのチェックは、動作に対して絶対的に必要ではなく、完全に、または部分的に削除することができる。
【0054】
図4は、測定信号39の大きさを求めることを目的とした、
図1の測定信号39の評価の例示的な実施形態を示している。例えば、意図するのは、測定信号が、9ボルトの電圧を有する、またはそのような電圧に相当するかどうかをチェックすることである。そのようなチェックは、例えば、ステップS120、S124、S128、S132、S136で様々な電圧に対して行われる。
【0055】
S150は、電圧UCPが9ボルトの値に相当するかどうかをチェックすることを意図されたルーチンを示している。測定はS152で行われ、測定信号39がこのために評価される。測定信号39は、例えば、任意選択で、分圧器によって適切な電圧範囲に変換されたアナログ電圧の形態を取ることができるし、または測定信号39は、デジタル測定値の形態で制御ユニット20に供給することもできる。次いで、S154は、値UCPが、8.5ボルト〜9.5ボルトであるかどうかをチェックする。値が、分圧器を用いて変換可能である場合、またはA/D変換が実施される場合、これらの電圧に対応する値が、8.5ボルトおよび9.5ボルトの値の代わりに使用される。条件が真の場合、プロセスはS156に進み、結果は肯定(TRUE)である、すなわち、条件は満たされている。そうでない場合、プロセスはS158に進み、結果は否定(FALSE)である。S154でチェックされる範囲の適切な大きさは、特に、構成要素と、充電ステーション52の信号発生装置58との最大許容範囲に依存する。
【0056】
図5は、
図3のステップS124のよりエラー耐性のある変形例を示し、ステップS124に取って代わることができる。フローチャートは、ステップS170で始まる。タイマーTIMER1がS172(「TIMER1を始動」(START TIMER1))で始動する。S174は、測定信号UCPが、12ボルトの値に相当するかどうか、およびPWM信号のデューティ比DCが100%であるかどうかをチェックする。「はい」の場合、これらの必要条件は満たされており、プロセスはステップS176に進み、ステップS176は肯定(TRUE)と表示され、条件が満たされており、プロセスを続行できることを示す。S174の必要条件の少なくとも1つが満たされていない場合、プロセスはS178に進み、タイマーTIMER1の値が、所定の最大期間T_MAX未満であるかどうかを判断するためにチェックが行われる。この場合、かつ最大期間がまだ切れていない場合に、プロセスは進みてS174に戻る。「いいえ」の場合、プロセスはS180に進み、結果は否定(FALSE)である。次いで、プロセスは、
図3のフローチャートのステップS138に進む。
【0057】
ステップS174、S178を有するループの代替として、
図3のS124の前に所定の期間にわたって待機することも可能であり、次いで、チェックのみを行うことができる。しかし、これは、プログラムの流れを遅くする可能性がある。
【0058】
当然のことながら、本発明の範囲内で様々な変形および修正が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 車両
12 通信ユニット
20 制御ユニット
21 第1の接続部
22 第2の接続部
31 第1の切換え可能な抵抗ブリッジ
32 第2の切換え可能な抵抗ブリッジ
33 第1のスイッチ
34 第1の抵抗器
35 第2のスイッチ
36 第2の抵抗器
38 測定装置
39 測定信号
Z1 第1の状態
Z2 第2の状態