【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は独立請求項により達成される。有利な構成は、以下の詳細な説明と従属請求項と図面とに記載されており、これらはそれぞれ単独で、または少なくとも二つの構成を互いに様々に組み合わせて、本発明の発展的な態様、特にまた好適または有利な態様を表すことができる。
【0011】
本発明に係る、タービン、特に蒸気タービンのタービンロータのためのロータ軸は、第一の材料から成る軸ベース部材と、第二の材料から成るとともに軸ベース部材に取り付けられた少なくとも一つのリングと、を含み、第二の材料は、第一の材料と同一の強度もしくは第一の材料より高い強度および/または第一の材料より高い耐食性を有し、リングには少なくとも一つの翼溝が形成されており、リングは、ナローギャップ溶接を用いて軸ベース部材と材料的に一体式に結合されている。
【0012】
本発明によれば、ロータ軸の特性は、部分的に、特に低圧領域内、例えば軸方向において外側の翼溝の領域内で、それぞれの要求と、生じている負荷と、に適合させることができ、その適合は、少なくとも一つのリングが軸ベース部材に取り付けられ、当該リングの材料特性は軸ベース部材の材料特性と異なり、特により高い機械的負荷および/または腐食性負荷に関して最適化されていることによって行われる。特にリングの材料特性は、実質的に軸ベース部材の材料特性から独立して、機械的特性および/または腐食特性に関して最適化することができる。高強度で、かつ/またはより耐食性が高く、それにより通常はより高価な第二の材料の使用がリングに限定されているために、軸ベース部材は最適化されるとともに場合により、よりコスト効率のよい第一の材料から製造することができ、それは従来のモノブロック製造に比べてコスト低減につながりやすい。本発明に応じて、より腐食に耐え、もしくは耐食性がより大きい、かつ/または強度がより大きい第二の材料を用いることは、特に低圧流出部にあって湿度の割合が高い、タービンの翼溝領域において有利である。
【0013】
本発明によれば、リングは、それぞれの応用事例に適合された材料特性を備える低温の低圧終端翼溝を形成するために用いることができる。リングは、そのためにナローギャップ溶接を用いて、軸ベース部材の周囲に材料係合式に固定されている。リングは、ロータ軸の材料を、リングにおいて形成された翼溝の領域内で、例えば高い静的強度、最適なLCF挙動、および/または高いレベルの耐食性といったそれぞれの要求に適合させることを可能性にする。
【0014】
リングの体積もしくは断面がより小さいことにより、リングは従来の鍛造法または圧延法を用いて、より均一に、より高いレベルの強度を有して、例えば組織の粒子がより細かく、純粋度がより優れており、LCF特性がより良好であるといった状態で製造することができ、これは、従来のモノブロックまたは軸モジュールでは、これらのために用いられる製造方法および物理的境界条件ゆえに不可能である。
【0015】
本発明によりリングの領域内で、ロータ軸における材料特性の径方向の勾配を生じさせることができる。勾配は、例えば、ロータ軸の表面から、ロータ軸の長手方向中心軸線へと生じさせることができる。中低圧ロータ軸または高中低圧ロータ軸を、モノブロックとして(1−2)CrMoVから構築し、0番目の翼列の爪材料をリングとして取り付けてもよい。
【0016】
本発明に応じて少なくとも一つのリングを軸ベース部材に取り付けることはまた、応用事例に応じてそれぞれの最終段の大きさに対して厚さおよび/または幅の異なるリングが、寸法を統一されたロータ軸ベース部材に取り付けられることにより、ロータ軸を標準化する可能性を提供する。
【0017】
軸ベース部材は新規製造の過程で製造されてよい。軸ベース部材は、代替的に、既存の、特に中古のロータ軸の加工動作により、特に旋盤加工により形成されてよく、損傷を受けた翼溝が形成されている修理すべき部分は除去される。すでに用いられていて、亀裂が生じているロータ軸を修理する場合、当該ロータ軸は、ロータ軸の加工を介して製造された軸ベース部材にリングを取り付けることにより、形態修正することができる。軸ベース部材は、モノブロックとして、または互いに溶接された軸モジュールから製造されていてよい。リングは、肉盛溶接に比べて、少なくとも元のロータ軸と同等の特性を有する。したがって従来のロータ軸の腐食性の損傷を受けた翼溝、あるいは亀裂の生じた翼溝の修理を、コスト効率よく行うことができる。
【0018】
本発明に係るロータ軸は、相応に軸ベース部材に取り付けられた二つ以上のリングを有してよく、当該リングにそれぞれ少なくとも一つの翼溝が形成されている。
【0019】
リングは、好ましくは、ナローギャップ溶接を用いて作り出された少なくとも一つの溶接継ぎ目を介して軸ベース部材と結合されており、溶接継ぎ目は、第一の溶接材料から成るとともに軸方向において外側にある外側部分と、第二の溶接材料から成るとともに外側部分同士の間にある中央部分と、を有し、第一の溶接材料は第二の溶接材料より高い耐食性を有する。これによりまず、第一の溶接材料から成る溶接継ぎ目基底部を製造することができ、当該溶接継ぎ目基底部は溶接継ぎ目の一方の外側部分を形成する。続いて溶接継ぎ目の中央部分を第二の溶接材料を用いて製造することができる。最終的に第一の溶接材料から成る被覆層を製造することができ、当該被覆層は溶接継ぎ目の他方の外側部分を形成する。第二の溶接材料は第一の溶接材料より高い強度を有してよい。これによりロータ軸の当該構成において、要求に見合った溶接継ぎ目特性の軸方向勾配を生じさせることが可能である。溶接継ぎ目は、径方向においてロータ軸のある深さ、もしくは相応の深さ領域であって、より小さい負荷を受ける、深さ領域まで延在する。溶接継ぎ目は径方向位置から非破壊式に、例えば超音波を用いて検査されるが、それは、音波ビームの好適な向きが、溶接継ぎ目における表示(例えば端部接合の欠陥)を可能とするために提供されるからである。
【0020】
リングは、好ましくは、0.10重量%−0.30重量%のC、1.0重量%−6.0重量%のCr、3.0重量%−6.0重量%のNiから構成されている。
【0021】
リングは、好ましくは、圧延または鍛造によって製造されている。リングは、特にリング圧延によって製造されていてよい。
【0022】
ロータ軸は、好ましくは、少なくとも二つのリングであって、軸ベース部材の軸端部に向かってオフセットされて設けられるとともに、軸ベース部材に取り付けられた、少なくとも二つのリングを含み、軸端部に対してより近くに設けられているとともにリングを担持する、軸ベース部材の取り付け部分の外径は、軸端部からさらに遠くに設けられているとともに他のリングを担持する、軸ベース部材の取り付け部分の外径よりも小さい。これに対応して、軸端部に対してより近くに設けられている取り付け部分に取り付けられたリングの内径は、軸端部からさらに遠くに設けられている取り付け部分に取り付けられたリングの内径よりも小さい。これにより、より大きい内径を有するリングが、軸端部からより大きい距離を有して軸ベース部材に嵌められ得ることが確実になる。
【0023】
タービン、特に蒸気タービンのタービンロータのロータ軸を製造するための本発明に係る方法は、
第一の材料から軸ベース部材を製造するステップと、
第二の材料から少なくとも一つのリングを製造するステップであって、第二の材料は、第一の材料と同一の強度もしくは第一の材料より高い強度および/または第一の材料より高い耐食性を有する、ステップと、
リングを軸ベース部材に取り付けるステップと、
ナローギャップ溶接を用いてリングを軸ベース部材に材料的に一体式に結合するステップと、
リングに少なくとも一つの翼溝を形成するステップと、を含んでいる。
【0024】
ロータ軸に関連して上記において挙げた有利点は、前記方法と相応に結びついている。特に上記の構成のうちの一つによるロータ軸、または上記の構成の少なくとも二つを互いに任意に組み合わせたものによるロータ軸は、前記方法を用いて製造することができる。ナローギャップ溶接は、軸ベース部材を垂直に向けてPA溶接位置で、または軸ベース部材を水平に向けてPC溶接位置で実施することができる。ナローギャップ溶接の間、リングはローラ―コンベアを用いて支持することができる。
【0025】
リングは、好ましくは、溶接の前に、550℃と630℃の間の温度で熱処理を受ける。リングの溶接後、ロータ軸は、好ましくは、580℃と650℃の間の温度で熱処理を受ける。
【0026】
リングは、好ましくは、ナローギャップ溶接を用いて作り出された少なくとも一つの溶接継ぎ目を介して軸ベース部材と材料的に一体式に結合されており、溶接継ぎ目は、当該溶接継ぎ目が、第一の溶接材料から成るとともに軸方向において外側にある外側部分と、第二の溶接材料から成るとともに外側部分同士の間にある中央部分と、を有するように製造され、第一の溶接材料は第二の溶接材料より高い耐食性を有する。当該構成は、ロータ軸の対応する構成に関連して上記において挙げた有利点を相応に伴う。
【0027】
溶接継ぎ目の溶接継ぎ目基底部は、好ましくは、少なくとも部分的に、リングと軸ベース部材との間の間隙の外側に形成される。これにより溶接継ぎ目基底部は、部分的または完全に、ロータ軸の完成形状の外側に設けられている。軸方向における溶接継ぎ目端部、および結果的に少なくとも部分的に溶接継ぎ目基底部を後から除去することにより、溶接継ぎ目に沿って均一な機械的特性が生じる。
【0028】
ナローギャップ溶接は、好ましくは、電子ビーム溶接を用いて実施される。電子ビーム溶接は、好ましくは、還元された真空の下で実施される。ナローギャップ溶接は、代替的に、WIG溶接またはMAG溶接を用いて実施することができる。
【0029】
ナローギャップ溶接は、好ましくは、リングに対して最も近くに設けられている軸ベース部材の軸端部に対向する側から実施される。リングは、特に、リングに対してより近くに設けられている軸ベース部材の結合部側から、一気に軸ベース部材と溶接することができる。
【0030】
リングは、好ましくは、ナローギャップ溶接の前に、少なくとも一つのセンタリング手段を介して、軸ベース部材に対して同軸的に位置調整される。特に、基底部領域には好適なセンタリングが提供されていてよい。場合により、一時的な焼き嵌め接合を用いることができる。
【0031】
好ましくは少なくともリングは、ナローギャップ溶接の終了後、後熱処理を受ける。この局所的な後熱処理により、目標を定めてリングの機械的特性を調整することが可能である。このときリングの熱処理状態は、リングが後熱処理であって、その際に溶接結合部の熱処理も行うことができる、後熱処理の後に、必要とされる機械的特性を有しているように選択される。
【0032】
リングは、好ましくは、圧延または鍛造によって製造される。
【0033】
リングは、好ましくは、リングの目標幅よりも大きい幅を有して製造され、リングの幅はナローギャップ溶接の終了後、およびリングの検査後に、材料除去によって目標幅まで減らされる。したがって、まず製造されるリングの幅は、当該領域内で目指されるロータ軸の完成形状よりも大きい。熱処理後のリングの検査に続いて、ロータ軸の完成形状と異なるリングの材料領域は、リングを目標幅まで減少させるために除去することができる。
【0034】
少なくとも二つのリングは、好ましくは、軸ベース部材の軸端部に向かってオフセットされて軸ベース部材に取り付けられ、軸ベース部材は、軸端部に対してより近くに設けられているとともにリングを担持する、軸ベース部材の取り付け部分の外径が、軸端部からさらに遠くに設けられているとともに他のリングを担持する、軸ベース部材の取り付け部分の外径よりも小さいように製造される。当該構成は、ロータ軸の対応する構成に関連して上記において挙げた有利点を相応に伴う。
【0035】
以下において添付の図面を参照し、好適な実施の形態に基づいて例を挙げながら本発明を説明するが、以下に示される特徴はそれぞれ単独でも、互いに様々に組み合わせても、本発明の発展的な態様または有利な態様を表すことができる。図面に示すのは以下のとおりである。