【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、冒頭に述べた分野の赤外線面放射源に基づき、本発明では、支持体が、非晶質のマトリクス成分と半導体材料の形態の添加成分とを含む複合材料を含み、第1の導体路部分と第2の導体路部分とが直列接続されており、第1の導体路部分および第2の導体路部分の搭載密度および/または導体断面積が互いに異なることによって解決される。
【0014】
本発明の基礎となる認識は、高い放射率を有する複合材料を用いて赤外線面放射源を作成し、なおかつ、複数の導体路部分を直列接続して、各導体路部分の搭載密度および/または導体断面積が異なることにより、導体路設計を複合材料に合わせて調整できるようにすると、照射強度が高く放射放出が特に一様な赤外線面放射源を達成することができる、というものである。このように調整できることにより、加熱面は赤外線を一様な照射強度で放出し、または換言すると、導体路に電圧が印加されたときに、加熱面に実質的に均一な温度分布が得られることが達成される。
【0015】
よって、本発明の赤外線面放射源が従来の赤外線面放射源と相違する点は、特殊な複合材料から作成された支持体または当該支持体の少なくとも一部の化学組成と、複合材料の組成に合わせて特別に調整された導体路設計と、の2点である。
【0016】
支持体が非晶質のマトリクス成分と、半導体材料の形態の添加成分と、を含むことにより、熱励起の際に高エネルギーの励起状態をとり得る支持体が得られる。とりわけ支持体の物理的特性は、添加成分によって影響を受ける。半導体材料を添加することにより、赤外線を高い照射密度で放出するために適した支持体が得られることが判明した。それと同時に、複合材料は温度依存性の熱伝導能力を示し、これも半導体材料の添加に基づく。
【0017】
複合材料は以下の成分を含む:
・非晶質のマトリクス成分は、重量および体積において複合材料の最大割合を占める。非晶質のマトリクス成分は、複合材料の機械的特性および化学的特性、たとえば複合材料の耐温度性、強度および腐食特性等を決定する重要なものである。マトリクス成分が非晶質であること(有利にはガラスから成ること)により、本発明の赤外線面放射源の特殊な用途の場合、支持体の幾何学的形状を、結晶質の材料から成る支持体と比較してより簡単に要求に合わせて調整することができる。
【0018】
マトリクス成分は、ドープされていないまたはドープされた石英ガラスから成ることができ、場合によってはSiO
2以外に、最大10重量%の量の他の酸化物、窒化物または炭化物の成分を含むことができる。しかし、支持体材料に起因するコンタミネーションのおそれを回避するため、非晶質のマトリクス成分が石英ガラスである赤外線面放射源であって、非晶質のマトリクス成分が有利には少なくとも99.99%の化学的純度のSiO
2を有し、非晶質のマトリクス成分のクリストバライト含有量が最大1%である赤外線面放射源の実施形態が特に有効であることが実証された。
【0019】
・本発明ではさらに、マトリクス成分中に半導体材料の形態の添加成分が貯蔵されている。これは、非晶質のマトリクス成分中に分散された非晶質または結晶質の固有相となる。これは高い放射率に寄与するので、赤外線を高い放射出力で放出するために適した支持体が得られる。
【0020】
本発明の赤外線面放射源では、導体路搭載面に設けられた導体路は、他の部品つまり支持体を加熱するために直接使用される。導体路は、支持体の少なくとも一部領域を局所的に加熱できるようにするための「局所」加熱要素として機能し、導体路は、支持体の本来の赤外線放出要素となる複合材料から作成された支持体の一部を加熱するような寸法となっている。導体路が支持体との組み合わせで、支持体の導体路搭載面と直接接触することにより、特にコンパクトな赤外線面放射源が達成される。
【0021】
導体路設計と導体路部分の電気的接続とは、熱励起可能な複合材料の物理的特性に合わせて調整される。
【0022】
導体路が本来の加熱要素となる従来の赤外線面放射源の熱出力は、オームの法則に従って導体路の全体電気抵抗に依存し、かかる従来の赤外線面放射源では、導体路全体抵抗値を可能な限り低く選択すると熱出力を上昇させることができる。それゆえ、導体路部分の並列接続を使用することが特に有利であることが判明した。というのも、全体抵抗が最小個別抵抗より小さくなるからである。
【0023】
それに対して本発明の赤外線面放射源は、支持体の熱励起が可能である、材料に起因する吸収領域を示す。面出力はこの吸収領域に依存するので、従来の赤外線面放射源のように、可能な限り低い全体抵抗が望ましいということはなく、むしろ、導体路の面出力が、材料に起因する吸収領域に合わせて調整され、これによって導体路の全体抵抗が当該吸収領域に合わせて調整されると、最適かつ効率的な熱出力を達成できることが判明した。
【0024】
最適な照射強度を達成するためには、支持体の十分な熱励起が必要である。このことは、支持体の熱励起のために十分なエネルギーが得られるように導体路およびその部分を接続すると、達成される。それを超えるエネルギー入力は、限られた範囲でしか照射強度の上昇に寄与せず、通常はエネルギー効率の低下を伴う。
【0025】
支持体の励起のために必要なエネルギーは、導体路部分を直列接続することによって簡単かつ低コストで調達することができる。支持体の熱励起可能な複合材料に関しては、導体路部分を直列接続することはさらに、特に有利な電流電圧比で励起を行えるという利点も奏する。導体路抵抗を直列接続することにより、100Vから400Vの範囲の動作電圧が可能になる。それと同時に、より低い動作電流での導体路部分の動作が可能になり、これによって、本発明の赤外線面放射源の寿命を長くすることができる。
【0026】
最後に、本発明では導体路部分を直列接続することにより、導体路設計を都度の用途に合わせてフレキシブルに調整することができる。とりわけ、各導体路部分が部分回路を構成する導体路部分の並列接続との比較において、達成すべき全体抵抗によって部分回路分岐の位置が定まってしまうことによりプリント設計の自由な構成に反し得る部分回路分岐が不要となる。プリント設計が自由に選択可能であることにより、特に一様な照射強度を有する加熱面を達成することができ、これによって、加熱物品の特に一様な熱処理が可能になる。
【0027】
とりわけ対流に起因する縁部ゾーン現象を補償するために、不均一な温度分布を補償するため、本発明の赤外線面放射源の導体路は、それぞれ達成できる面出力が異なる複数の部分を有する。すなわち、少なくとも1つの第1の導体路部分および1つの第2の導体路部分であって、導体路に電圧が印加されたときに加熱面に実質的に均一な温度分布が得られるように当該第1および第2の導体路部分の搭載密度および/または導体断面積が互いに合わせて調整された第1の導体路部分および第2の導体路部分を有する。
【0028】
第1および第2の導体路部分の各面出力の調整はたとえば、各導体路部分の搭載密度を変えることによって、または各導体路部分の導体断面積を変えることによって、またはその両方によって行うことができる。
【0029】
面出力は、導体路が搭載されている支持体面を基準とした当該導体路の電気的接続端出力として定義される。支持体面には、当該導体路を囲う包絡線であって、隣り合った導体路の包絡線は相互間に距離を置くことなく、当該隣り合った導体路の間の中央を延在する包絡線によって囲まれた面が該当し、ここで、給電線がある場合にはこれを考慮しない。よって支持体面は、1つの導体路部分に割り当てられた個別の表面領域をいう。導体路搭載密度が高くなるほど、かつ導体路の導体断面積が小さくなるほど、1つの導体路部分における面出力は高くなる。
【0030】
導体断面積は、電流方向で見たときの導体路の横断面積である。よって、矩形の層状の導体路の場合には、導体断面積は層幅と層厚との乗算によって得られる。
【0031】
よって搭載密度は、1つの支持体部分に導体路がどの程度の密度で搭載されているかを表す尺度である。搭載密度は、支持体面を基準として導体路が搭載される(導体路搭載面への投影としての)表面積の面積比率として百分率で表される。支持体面は、導体路搭載面のうち導体路が搭載される表面と、導体路が搭載されない「自由な」表面と、の双方を含む。
【0032】
導体路がかかる導体路部分を複数含むことにより、面出力が相違する複数の加熱ゾーンの形成が可能になる。これらの加熱ゾーンは、照射強度が一様である加熱面を得るために加熱面の温度損失を補償するように配置することができる。とりわけ縁部ゾーン現象の補償が可能になり、たとえば、導体路搭載面の縁部ゾーンに、面出力がより高い導体路部分を割り当てる。
【0033】
かかる赤外線面放射源は、200kW/m
2超の照射強度を達成するように構成された加熱面、有利には200kW/m
2から250kW/m
2の範囲の照射強度を達成するように構成された加熱面を有する。
【0034】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、支持体の全部が複合材料から作成されており、複合材料は電気絶縁体である。
【0035】
支持体は多層構成とすることができ、複合材料以外に他の材料領域を含むことができる。しかし赤外線面放射源を動作するためには、支持体表面が少なくとも導体路搭載面の領域において電気絶縁性材料から作成されていることが重要である。これによって、赤外線面放射源の低妨害での動作が保証され、とりわけ、隣り合った導体路部分間の弧絡および短絡が防止される。複合材料が電気絶縁体であることにより、導体路を複合材料に直接設けることができ、これによって支持体に直接設けることができる。
【0036】
複数の材料から作成された支持体は、たとえば層構造体を有することができ、この層構造体では、2つ以上の材料層を重ねて配置することができる。これに代えて支持体は、第1の材料から成るコア、有利には複合材料から成るコアを有し、このコアを、第2の材料から成るカバーによって覆うこともできる。コアの全部または一部を、第2の材料によって覆うことができる。有利には、コアの全部が第2の材料によって覆われている。
【0037】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、複合材料の少なくとも導体路搭載面の領域が、電気絶縁性材料から成る層によって覆われている。
【0038】
支持体を作成するための複合材料は、赤外領域において良好な放射率を示す。複合材料が赤外線面放射源の支持体として適したものとなるためには、その放射率の他、複合材料の他の物理的特性、とりわけその電気伝導率も重要となる。複合材料の物理的特性は第一に、当該複合材料を構成する成分によって決定される。よって、化学組成如何に応じて、複合材料は電気絶縁体となり、またはある程度の電気伝導率を有することができる。導電性の複合材料には、上掲の理由により、導体路を直接設けることができない。というのも、赤外線面放射源の動作中に短絡が生じ得るからである。それにもかかわらず導電性の複合材料から支持体を作成できるようにするためには、最初に支持体を電気絶縁性材料から成る層によって覆うことが有利であることが判明した。複合材料の全部または一部を、電気絶縁性材料によって覆うことができる。いずれの場合にも、少なくとも支持体のうち導体路が割り当てられた領域、すなわち導体路搭載面を、電気絶縁性材料から成る層によって覆うことができ、たとえばガラスから成る層、とりわけ石英ガラスから成る層によって覆わなければならない。
【0039】
本発明の赤外線面放射源の他の有利な一実施形態では、添加成分の重量割合は1%と5%との間の範囲、有利には1.5%と3.5%との間の範囲である。
【0040】
複合材料の熱吸収は、添加成分の割合に依存する。よって、添加成分の重量割合は、有利には少なくとも1%でなければならない。他方、添加成分の体積割合が高いと、マトリクスの化学的特性および機械的特性を阻害し得る。このことに鑑みて、添加成分の重量割合は有利には1%と5%との間の範囲、有利には1.5%と3.5%との間の範囲である。
【0041】
導体路が、焼成された厚膜層として構成されている場合、または導体路と支持体とが互いに永久接合されるように導体路が成形品として支持体の表面に付着されている場合、有利であることが判明した。
【0042】
導体路を作成できる作成手法は種々存在し、たとえば印刷技術を用いて、また打抜き加工、レーザ切削またはキャスティングによって作成することもできる。
【0043】
導体路を焼成された厚膜層として構成すると、特に有利であることが判明した。かかる厚膜層はたとえば、スクリーン印刷を用いて抵抗ペーストから、またはインクジェット印刷を用いて金属含有インクから生成され、その後に高温で焼成される。これに代えて、熱切断法を使用して、たとえばレーザビーム切削によって、または打抜き加工によって、金属板から成形品を作成することもできる。熱切断法または打抜き加工法を用いることにより、導体路を大量に作成することができ、これによって、材料コストおよび作成コストを小さく抑えることに寄与する。
【0044】
熱切断法または打抜き加工法を用いることにより、印刷技術ではほとんど加工できない材料または加工に労力を要する材料も導体路に加工することができる。導体路が、通電時に発熱する導電性の抵抗材料から作成されていることにより、導体路は加熱要素として機能する。しかし、面で一様に放射する、高い放射出力の赤外線放射源は、導体路と支持体とを結合することで初めて得られる。こうするためにはたとえば、導体路を成形品として、支持体の表面に付着し、支持体と永久接合する。その際には、導体路と支持体とを機械的かつ熱的に接合することができ、または非導電性の層を介して接合することができる。最も簡単な事例では、導体路を支持体に継ぎ合わせて、ばらの結合体とする。
【0045】
さらに、熱切断法または打抜き加工法を用いる場合には、導体路の作成時に生じ得る製造誤差を早期に識別することも可能になる。とりわけ印刷技術を用いて作成された導体路と比較して、支持体と接合する工程の前に導体路成形品の機能性を検査することができる。別個の部品として、導体路にたとえば電圧を簡単に印加することができる。このことにより、欠陥のある導体路を選別して排除することができ、しかも、欠陥のある導体路を支持体に結合する前に選別して排除することができ、これによって、不良品の発生を減少して製造コストを低減することができる。
【0046】
導体路が白金、耐温度性の鋼材、タンタル、フェライトFeCrAl合金、オーステナイトCrFeNi合金、炭化シリコン、二ケイ化モリブデンまたはモリブデン系合金から作成されていると、有利であることが判明した。
【0047】
上掲の材料、とりわけ炭化シリコン(SiC)、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)、タンタル(Ta)、耐高熱性の鋼材、またはたとえばKanthal(カンタル、登録商標)(Kanthalは、サンドビック・インテレクチュアル・プロパティー・アクティエボラーグ(SANDVIK INTELLECTUAL PROPERTY AB、811 81、サンドビーケン、スウェーデン)の登録商標)等のフェライトFeCrAl合金は、たとえば金、白金または銀等の貴金属と比較して低コストであり、赤外線面放射源の製造時に中間製品として使用できる導体路成形体に、簡単に形状変換することができる。これらの材料はとりわけ金属板として入手することができ、この金属板から導体路を簡単かつ低コストで作成することができる。さらに、上掲の材料は空気に対して耐酸化性であるから、導体路を覆う追加の層(カバー層)を導体路の保護のために必ずしも必要としないという利点も奏する。
【0048】
各1つの導体路部分の熱出力は、抵抗材料の比抵抗と、導体路部分の長さと、導体断面積と、に依存する。長さおよび導体断面積を適合することにより、各導体路部分の熱出力を簡単かつ迅速に調整することができる。
【0049】
ここで、導体路部分の導体断面積が大きいほど当該導体路部分の抵抗は小さくなり、かつ接続端電圧が同じである場合、当該導体路部分の面出力が小さくなることが成り立つ。全体抵抗と、一定の接続端電圧の場合に流れる電流と、は、直列接続された抵抗の総和から求められる。より高い面出力は、断面積が等しい線路の搭載密度を高くすることによって、または電流密度を増加することによって、または線路断面をより細くすることによって、生成することができる。
【0050】
よって、第1の導体路部分の導体路の導体断面積が0.01mm
2から0.03mm
2の範囲であり、かつ第2の導体路部分の導体路の導体断面積が0.025mm
2から0.5mm
2の間であると、特に有効であることが実証されている。
【0051】
第1および第2の導体路部分の導体断面積の相互間の差が少なくとも25%である場合、赤外線面放射源において通常観測されるような照射強度の非一様性の補償に関して、良好な結果を得ることができることが判明した。有利には、第1の導体路部分と第2の導体路部分との間の導体断面積の差は、30%から70%の範囲である。0.01mm
2未満の導体断面積の場合、設けるのが困難になる可能性があり、機械的付着が小さくなる。導体断面積が0.5mm
2を超えると抵抗が比較的小さくなり、よって、加熱のために必要な動作電流が比較的高くなる。
【0052】
導体断面積を0.01mm
2から0.5mm
2の範囲とすることは、電圧電流比が特に有利になる点で優れており、かかる導体断面積によってとりわけ、1Aから4.5Aの電流の場合、100Vから400Vの範囲の電圧で動作することができる。
【0053】
導電路長は、導体路の形状を適切に選択することによって変えることができる。可能な限り一様な温度分布にすることに関しては、導体路を線パターンとして構成し、隣り合った導体路部分間に少なくとも1mmのスペース、有利には少なくとも2mmのスペースが残るように、この線パターンが支持体の面を覆うと有利であることが判明した。
【0054】
有利には導体路は、25%から85%の範囲の搭載密度を有する線パターンとして構成されている。
【0055】
搭載密度が25%未満と小さい場合、導体路は加熱面の側から、温度分布の非一様性として表出し得る。搭載密度を85%超に上昇させると、面出力に顕著な増加は生じなくなる。第1および第2の導体路部分は等しい搭載密度を有し、または異なる搭載密度を有することができる。搭載密度を介して面出力を調整することができる。面出力の調整は、搭載密度の適切な選択および導体断面積の適切な選択のいずれによっても、行うことができる。導体路部分の導体断面積が小さい場合または導体路部分が高い搭載密度を有する場合、面出力が高い導体路部分が達成される。第1および第2の導体路部分の導体断面積および搭載密度の双方が異なる場合、第1および第2の導体路部分の面出力を可能な限り正確に調整することができる。
【0056】
有利には、第1の導体路部分の搭載密度は最大75%であり、第2の導体路部分の搭載密度は最大85%付近の範囲である。上掲の搭載密度の第1および第2の導体路部分は、たとえば印刷等によって、簡単かつ低コストで製造することができる。
【0057】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、導体路は複数の第1の導体路部分と複数の第2の導体路部分とを有し、第1の導体路部分と第2の導体路部分とは交互に設けられている。
【0058】
複数の連続する導体路部分を設けることにより、照射強度の特にフレキシブルな適合が可能になり、これによって加熱面における温度分布の特にフレキシブルな適合が可能になり、いわゆる「コールドスポット」または「ホットスポット」の形成を回避することができる。これら複数の導体路部分を直列接続することにより、ほぼあらゆる任意の導体路設計を実現することができる。
【0059】
第1の導体路部分と第2の導体路部分との間に、面出力勾配を生じさせるための第3の導体路部分を配置すると、特に有効であることが実証された。
【0060】
1つの導体路部分は、加熱面のうち一定の面出力で加熱される面領域に相当する。第1の導体路部分と第2の導体路部分とは互いに直接隣接し、または互いに離隔することができる。第1の導体路部分と第2の導体路部分との間で漸次移行がなされることは、可能な限り一様な照射出力と、加熱面の一様な温度分布と、を達成できるようにするために寄与する。こうするために、第1の導体路部分と第2の導体路部分との間に、面出力勾配を生じさせるように構成された第3の導体路部分を配置することができる。このことによって、第1の導体路部分の第1の面出力から第2の導体路部分の第2の面出力への連続的な移行が保証される。最も簡単な事例では、第3の導体路部分は、当該第3の導体路部分の面出力が第1の面出力から第2の面出力へ移行するように構成されている。
【0061】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、導体路搭載面は縁部領域と中央領域とを有し、第1の導体路部分は、第2の導体路部分より高い面出力を有し、縁部領域に割り当てられており、第2の導体路部分は中央領域に割り当てられている。
【0062】
しばしば、赤外線面放射源の縁部領域は中央領域より低い温度を示すことが多いことが判明している。その原因は、縁部領域はその空間的配置のため、中央領域より熱輸送しやすいことである。それゆえ、特に縁部領域に、面出力がより高い導体路部分を割り当てることが有利であることが判明しており、これが熱輸送を補償することができる。これはたとえば、外側のゾーンがより高い搭載密度またはより小さい導体断面積を有することによって達成することができる。
【0063】
添加成分は、支持体の光学的特性および熱的特性を決定する重要なものである。具体的にいうと、添加成分は赤外スペクトル領域において吸収を引き起こし、これは780nmと1mmとの間の波長領域である。添加成分は、このスペクトル領域の放射の少なくとも一部に対して、マトリクス成分より高い吸収を示す。
【0064】
添加成分の相領域は、マトリクス中において光学的欠陥箇所として作用し、これによってたとえば、複合材料が、層厚に応じて、常温で視覚的に黒色または濃灰色に見える。さらに、この欠陥箇所自体が熱吸収作用を示す。
【0065】
複合材料中には、添加成分は有利には、当該複合材料中において600℃の温度で2μmと8μmとの間の波長に対して少なくとも0.6のスペクトル放射率εを生じさせる態様および量で含まれている。本発明の赤外線面放射源の特に有利な一実施形態では、添加成分は、支持体材料中において1,000℃の温度で2μmと8μmとの間の波長に対して少なくとも0.75のスペクトル放射率εを生じさせる態様および量で含まれている。
【0066】
よって支持体材料は、2μmと8μmとの間の熱放射に対して、すなわち赤外線の波長領域において、高い吸収能力および放出能力を有する。これによって支持体表面における反射が低減し、透過率が無視できる程度に小さいと仮定すると、2μmと8μmとの間の波長に対する反射率は、1,000℃超の温度では最大0.25となり、600℃の温度では最大0.4となる。このようにして、反射された熱放射による再現不能な加熱が回避され、これは、均一な温度分布または所望の不均一な温度分布に寄与する。
【0067】
添加成分が添加成分相として存在し、最大寸法が平均で20μm未満かつ有利には3μm超の非球体の形態を有すると、特に高い放射率を達成することができる。
【0068】
添加成分相の非球体の形態は、複合材料の高い機械的強度および低い亀裂形成傾向にも寄与する。「最大寸法」との表示は、添加成分相を有する分離された領域のカット面において認識できる最長の寸法を基準とする。カット像における全ての最長寸法の中間値が、上掲の平均値となる。
【0069】
キルヒホフの放射法則によれば、実際の物体のスペクトル吸収率α
λとスペクトル放射率ε
λとは、熱平衡状態では互いに一致する。
α
λ=ε
λ (1)
【0070】
よって、添加成分によって支持体材料が赤外線を放出する。スペクトル放射率ε
λは、分光半球反射率R
ghおよび分光半球透過率T
ghが既知である場合、以下のように計算することができる:
ε
λ=1−R
gh−T
gh (2)
【0071】
ここで「スペクトル放射率」とは、「スペクトル垂直放射率」をいう。これは、「黒体境界条件」(Black-Body Boundary Conditions、BBC)との名称で知られている測定原理に基づいて求められ、この測定原理は“DETERMINING THE TRANSMITTANCE AND EMITTANCE OF TRANSPARENT AND SEMITRANSPARENT MATERIALS AT ELEVATED TEMPERATURES”(J. Manara, M. Keller, D. Kraus, M. Arduini-Schuster; 5th European Thermal-Sciences Conference、オランダ(2008年))にて公開されている。
【0072】
非晶質のマトリクス成分は、複合材料中において、すなわち添加成分と組み合わさると、添加成分が無い場合より高い熱放射吸収を有する。これによって、導体路から支持体への熱伝導が改善し、熱の分散がより迅速になり、支持体への放射速度がより速くなる。これによって、単位面積あたりより高い放射出力を生成することができ、支持体壁厚が薄い場合および/または導体路搭載密度が比較的小さい場合であっても、一様な放射および画一的な温度場を生成することができる。壁厚が薄い支持体は、小さい熱容量を有し、迅速な温度交代を可能にする。そのための冷却は不要である。
【0073】
以下、実施例および図面を参照して本発明を詳細に説明する。