特許第6771657号(P6771657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771657
(24)【登録日】2020年10月1日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】赤外線面放射源
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20201012BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20201012BHJP
   H05B 3/46 20060101ALI20201012BHJP
   H05B 3/26 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H05B3/20 392A
   H05B3/10 C
   H05B3/46
   H05B3/26
   H05B3/20 378
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-511988(P2019-511988)
(86)(22)【出願日】2017年8月22日
(65)【公表番号】特表2019-530144(P2019-530144A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2017071086
(87)【国際公開番号】WO2018054629
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】102016118137.4
(32)【優先日】2016年9月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593129320
【氏名又は名称】ヘレーウス ノーブルライト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Noblelight GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロッタ ガープ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ピエラ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シュテアンキーカー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヴェーバー
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−280151(JP,A)
【文献】 特開平02−283015(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/067688(WO,A1)
【文献】 特開2003−115363(JP,A)
【文献】 実開昭50−156838(JP,U)
【文献】 実開昭49−150048(JP,U)
【文献】 特開2006−164974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02−3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱面を有する支持体を備えた赤外線面放射源であって、
前記支持体はさらに、前記支持体の導体路搭載面上に設けられた導体路を備えており、
前記導体路は、通電時に発熱する導電性の抵抗材料から成り、
前記導体路は、第1の面出力を生成するための第1の導体路部分と、前記第1の面出力とは異なる第2の面出力を生成するための第2の導体路部分と、を含む、赤外線面放射源において、
前記支持体は、非晶質のマトリクス成分と半導体材料の形態の添加成分とを含む複合材料を含み、
前記第1の導体路部分および前記第2の導体路部分は、直列接続されており、
前記第1の導体路部分および前記第2の導体路部分の搭載密度および/または導体断面積は、互いに異なり、
前記導体路搭載面は、縁部領域と中央領域とを有し、
前記第1の導体路部分は、前記第2の導体路部分より高い面出力を有し、前記縁部領域に割り当てられており、
前記第2の導体路部分は、前記中央領域に割り当てられている、
ことを特徴とする赤外線面放射源。
【請求項2】
前記支持体の全部は、前記複合材料から作成されており、
前記複合材料は、電気絶縁体である、
請求項1記載の赤外線面放射源。
【請求項3】
前記複合材料の少なくとも前記導体路搭載面の領域は、電気絶縁性材料から成る層によって覆われている、
請求項1記載の赤外線面放射源。
【請求項4】
前記添加成分の重量割合は、1%と5%との間の範囲または1.5%と3.5%との間の範囲である、
請求項1から3までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項5】
前記導体路は、焼成された厚膜層として構成されている、または、前記導体路と前記支持体とが互いに永久接合されるように前記導体路は成形品として前記支持体の表面に付着されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項6】
前記導体路は、25%から85%の範囲の搭載密度を有する線パターンとして構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項7】
前記導体路は、前記第1の導体路部分において0.01から0.03mmの範囲の導体断面積を有し、
前記導体路は、前記第2の導体路部分において0.025から0.5mmの範囲の導体断面積を有する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項8】
前記導体路は複数の第1の導体路部分と複数の第2の導体路部分とを有し、第1の導体路部分と第2の導体路部分とは交互に設けられている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項9】
前記第1の導体路部分と前記第2の導体路部分との間に、面出力勾配を生じさせるための第3の導体路部分が配置されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項10】
前記加熱面は、200kW/mから250kW/mの範囲の照射出力を有する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【請求項11】
半導体材料の形態の前記添加成分は、前記マトリクス成分中に貯蔵され、前記非晶質のマトリクス成分中に分散された固有相となる、
請求項1から10までのいずれか1項記載の赤外線面放射源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱面を有する支持体を備えた赤外線面放射源に関し、支持体はさらに、当該支持体の導体路搭載面上に設けられた導体路を備えており、導体路は、通電時に発熱する導電性の抵抗材料から成り、導体路は、第1の面出力を生成するための第1の導体路部分と、第1の面出力とは異なる第2の面出力を生成するための第2の導体路部分と、を含む。
【0002】
本発明における赤外線面放射源は、面状に広がる2次元または3次元の放射特性を有する加熱面を示し、加熱面の面状の放射特性に基づき、2次元または3次元の加熱物品表面への一様な照射が可能となるように、加熱物品の加熱される表面の幾何学的形態に合わせて加熱面を簡単に調整することができる。
【0003】
本発明の赤外線面放射源は、とりわけ高温加熱プロセスのために使用され、たとえば、半導体産業もしくは光電池産業における半導体ウェハの熱処理のため、印刷産業またはプラスチック加工において使用される。たとえば本発明の赤外線面放射源は、プラスチックの重合、レジストの硬化またはインクの乾燥の際に使用される。さらに、たとえば膜もしくは糸の作成の際、またはモデル、パターン、プロトタイプ、ツールまたは最終製品の作成(アディティブマニュファクチャリング)の際に、多くの乾燥プロセスで使用することができる。他の重要な一適用分野は、乾燥プロセスおよび焼結プロセスを直接連続して行う、フレキシブルプリント電子デバイスの製造、とりわけロール・トゥ・ロール法(R2R法)での製造である。
【背景技術】
【0004】
加熱物品の熱処理を行うためには、しばしば赤外線面放射源が用いられることが多い。公知の赤外線面放射源は、種々の構成形態を有し得る。たとえば、円筒形の放射管を備えた複数の赤外線放射源を、その放射管長手軸が互いに平行かつ1平面内で延在するように、1つの放射源モジュールに配置した赤外線面放射源が公知である。さらに、冒頭に述べた分野の赤外線放射源であって、面状の支持体の表面に直接、抵抗加熱要素を設けた赤外線放射源が公知である。
【0005】
上記の2つの構成形態の相違点は、熱移動である。最初の事例では、主として熱放射によって、放射管内に配置された加熱要素から放射管へ熱移動が行われるのに対し、2番目に挙げた事例では、主に熱伝導および対流によって加熱要素から支持体へ熱移動が行われるように、加熱要素が面状の支持体に直接接触する。
【0006】
支持体に加熱要素が接触している赤外線放射源は、良好な出力効率を示す。かかる赤外線放射源において、抵抗加熱要素に電圧が印加される場合、この抵抗加熱要素はその全長で見たとき、実質的に一定の電力で動作する。
【0007】
しかし、一定の電力での加熱要素の動作は、支持体の加熱面における温度差、とりわけ非一様な温度分布を伴い得ることが判明している。とりわけ支持体の縁部では通常、たとえば支持体の中央領域より低い温度が測定される。その1つの理由は、支持体縁部領域において中央領域より高いエネルギー損失が対流により生じ得ることである。これは、とりわけ支持体の縁部領域では温度の低下を伴い、支持体全体に関しては非一様な温度分布を伴う。
【0008】
よって、可能な限り一様な支持体温度を達成し、これに伴って、本来の加熱面の可能な限り一様な放射放出を達成するためには、支持体の縁部領域と中央領域とを異なる程度に加熱しなければならないことが知られている。
【0009】
導体路が複数の並列接続された導体路部分を有する面状の支持体を備えた赤外線面放射源が公知である。この並列接続は、導体路が可能な限り低い全体抵抗を有するために、かつこれによって導体路を高い動作電流で動作し、これに伴って高電力で動作できるようにするために寄与すべきものである。縁部ゾーン現象を補償するためには、これらの導体路部分をそれぞれ異なる面出力で動作し、導体路部分は大抵、印刷技術を使用することによって、たとえばスクリーン印刷またはインクジェット印刷等によって形成される。通常、かかる放射源ではとりわけ支持体の縁部領域に、より高い面出力で動作できる導体路部分が割り当てられる。このことの利点は、縁部ゾーンの領域において対流に起因して生じる温度損失を、この領域に割り当てられた導体路の面出力を高くすることによって補償できることである。
【0010】
独国特許出願公開第102014108356号明細書(DE 10 2014 108 356 A1)から、支持体に抵抗パターン部が設けられた赤外線面放射源が公知である。抵抗パターン部は、内側の導体路と、当該内側の導体路に並列接続された外側の導体路と、を含み、これらの抵抗は異なる。かかる抵抗パターン部は、導体路がその比較的低い抵抗によって、より大きく加熱電力に貢献するという作用を利用するものである。このようにして、縁部ゾーンの領域におけるいわゆる「コールドスポット(cold spot)」の形成ないしは出力降下が補償される。
【0011】
加熱抵抗を並列接続することの利点は、これらの加熱抵抗が特に低い全体抵抗を有することである。全体抵抗が低いことにより、既定の一定の動作電圧の場合には動作電流強度が高くなり、赤外線面放射源を高出力で動作することができる。しかし、並列接続された加熱抵抗を設けると、導体路設計、すなわち導体路部分の配置および幾何学的形態に影響が及ぼされる。とりわけ、所望の温度分布によって、並列部分回路の抵抗と、主回路からの並列分岐の位置と、を定めることができる。その際には、並列回路分岐の位置が定まることにより、導体路設計を自由に選択できなくなることがあり得る。その上、とりわけ並列分岐の領域において導体路搭載密度が高くなることがあり、このことも、支持体表面の温度分布、とりわけ加熱面の温度分布に影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって、本発明の基礎となる技術的課題は、可能な限り均一な照射強度で放射を放出するように構成された、照射出力が高い赤外線面放射源を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、冒頭に述べた分野の赤外線面放射源に基づき、本発明では、支持体が、非晶質のマトリクス成分と半導体材料の形態の添加成分とを含む複合材料を含み、第1の導体路部分と第2の導体路部分とが直列接続されており、第1の導体路部分および第2の導体路部分の搭載密度および/または導体断面積が互いに異なることによって解決される。
【0014】
本発明の基礎となる認識は、高い放射率を有する複合材料を用いて赤外線面放射源を作成し、なおかつ、複数の導体路部分を直列接続して、各導体路部分の搭載密度および/または導体断面積が異なることにより、導体路設計を複合材料に合わせて調整できるようにすると、照射強度が高く放射放出が特に一様な赤外線面放射源を達成することができる、というものである。このように調整できることにより、加熱面は赤外線を一様な照射強度で放出し、または換言すると、導体路に電圧が印加されたときに、加熱面に実質的に均一な温度分布が得られることが達成される。
【0015】
よって、本発明の赤外線面放射源が従来の赤外線面放射源と相違する点は、特殊な複合材料から作成された支持体または当該支持体の少なくとも一部の化学組成と、複合材料の組成に合わせて特別に調整された導体路設計と、の2点である。
【0016】
支持体が非晶質のマトリクス成分と、半導体材料の形態の添加成分と、を含むことにより、熱励起の際に高エネルギーの励起状態をとり得る支持体が得られる。とりわけ支持体の物理的特性は、添加成分によって影響を受ける。半導体材料を添加することにより、赤外線を高い照射密度で放出するために適した支持体が得られることが判明した。それと同時に、複合材料は温度依存性の熱伝導能力を示し、これも半導体材料の添加に基づく。
【0017】
複合材料は以下の成分を含む:
・非晶質のマトリクス成分は、重量および体積において複合材料の最大割合を占める。非晶質のマトリクス成分は、複合材料の機械的特性および化学的特性、たとえば複合材料の耐温度性、強度および腐食特性等を決定する重要なものである。マトリクス成分が非晶質であること(有利にはガラスから成ること)により、本発明の赤外線面放射源の特殊な用途の場合、支持体の幾何学的形状を、結晶質の材料から成る支持体と比較してより簡単に要求に合わせて調整することができる。
【0018】
マトリクス成分は、ドープされていないまたはドープされた石英ガラスから成ることができ、場合によってはSiO以外に、最大10重量%の量の他の酸化物、窒化物または炭化物の成分を含むことができる。しかし、支持体材料に起因するコンタミネーションのおそれを回避するため、非晶質のマトリクス成分が石英ガラスである赤外線面放射源であって、非晶質のマトリクス成分が有利には少なくとも99.99%の化学的純度のSiOを有し、非晶質のマトリクス成分のクリストバライト含有量が最大1%である赤外線面放射源の実施形態が特に有効であることが実証された。
【0019】
・本発明ではさらに、マトリクス成分中に半導体材料の形態の添加成分が貯蔵されている。これは、非晶質のマトリクス成分中に分散された非晶質または結晶質の固有相となる。これは高い放射率に寄与するので、赤外線を高い放射出力で放出するために適した支持体が得られる。
【0020】
本発明の赤外線面放射源では、導体路搭載面に設けられた導体路は、他の部品つまり支持体を加熱するために直接使用される。導体路は、支持体の少なくとも一部領域を局所的に加熱できるようにするための「局所」加熱要素として機能し、導体路は、支持体の本来の赤外線放出要素となる複合材料から作成された支持体の一部を加熱するような寸法となっている。導体路が支持体との組み合わせで、支持体の導体路搭載面と直接接触することにより、特にコンパクトな赤外線面放射源が達成される。
【0021】
導体路設計と導体路部分の電気的接続とは、熱励起可能な複合材料の物理的特性に合わせて調整される。
【0022】
導体路が本来の加熱要素となる従来の赤外線面放射源の熱出力は、オームの法則に従って導体路の全体電気抵抗に依存し、かかる従来の赤外線面放射源では、導体路全体抵抗値を可能な限り低く選択すると熱出力を上昇させることができる。それゆえ、導体路部分の並列接続を使用することが特に有利であることが判明した。というのも、全体抵抗が最小個別抵抗より小さくなるからである。
【0023】
それに対して本発明の赤外線面放射源は、支持体の熱励起が可能である、材料に起因する吸収領域を示す。面出力はこの吸収領域に依存するので、従来の赤外線面放射源のように、可能な限り低い全体抵抗が望ましいということはなく、むしろ、導体路の面出力が、材料に起因する吸収領域に合わせて調整され、これによって導体路の全体抵抗が当該吸収領域に合わせて調整されると、最適かつ効率的な熱出力を達成できることが判明した。
【0024】
最適な照射強度を達成するためには、支持体の十分な熱励起が必要である。このことは、支持体の熱励起のために十分なエネルギーが得られるように導体路およびその部分を接続すると、達成される。それを超えるエネルギー入力は、限られた範囲でしか照射強度の上昇に寄与せず、通常はエネルギー効率の低下を伴う。
【0025】
支持体の励起のために必要なエネルギーは、導体路部分を直列接続することによって簡単かつ低コストで調達することができる。支持体の熱励起可能な複合材料に関しては、導体路部分を直列接続することはさらに、特に有利な電流電圧比で励起を行えるという利点も奏する。導体路抵抗を直列接続することにより、100Vから400Vの範囲の動作電圧が可能になる。それと同時に、より低い動作電流での導体路部分の動作が可能になり、これによって、本発明の赤外線面放射源の寿命を長くすることができる。
【0026】
最後に、本発明では導体路部分を直列接続することにより、導体路設計を都度の用途に合わせてフレキシブルに調整することができる。とりわけ、各導体路部分が部分回路を構成する導体路部分の並列接続との比較において、達成すべき全体抵抗によって部分回路分岐の位置が定まってしまうことによりプリント設計の自由な構成に反し得る部分回路分岐が不要となる。プリント設計が自由に選択可能であることにより、特に一様な照射強度を有する加熱面を達成することができ、これによって、加熱物品の特に一様な熱処理が可能になる。
【0027】
とりわけ対流に起因する縁部ゾーン現象を補償するために、不均一な温度分布を補償するため、本発明の赤外線面放射源の導体路は、それぞれ達成できる面出力が異なる複数の部分を有する。すなわち、少なくとも1つの第1の導体路部分および1つの第2の導体路部分であって、導体路に電圧が印加されたときに加熱面に実質的に均一な温度分布が得られるように当該第1および第2の導体路部分の搭載密度および/または導体断面積が互いに合わせて調整された第1の導体路部分および第2の導体路部分を有する。
【0028】
第1および第2の導体路部分の各面出力の調整はたとえば、各導体路部分の搭載密度を変えることによって、または各導体路部分の導体断面積を変えることによって、またはその両方によって行うことができる。
【0029】
面出力は、導体路が搭載されている支持体面を基準とした当該導体路の電気的接続端出力として定義される。支持体面には、当該導体路を囲う包絡線であって、隣り合った導体路の包絡線は相互間に距離を置くことなく、当該隣り合った導体路の間の中央を延在する包絡線によって囲まれた面が該当し、ここで、給電線がある場合にはこれを考慮しない。よって支持体面は、1つの導体路部分に割り当てられた個別の表面領域をいう。導体路搭載密度が高くなるほど、かつ導体路の導体断面積が小さくなるほど、1つの導体路部分における面出力は高くなる。
【0030】
導体断面積は、電流方向で見たときの導体路の横断面積である。よって、矩形の層状の導体路の場合には、導体断面積は層幅と層厚との乗算によって得られる。
【0031】
よって搭載密度は、1つの支持体部分に導体路がどの程度の密度で搭載されているかを表す尺度である。搭載密度は、支持体面を基準として導体路が搭載される(導体路搭載面への投影としての)表面積の面積比率として百分率で表される。支持体面は、導体路搭載面のうち導体路が搭載される表面と、導体路が搭載されない「自由な」表面と、の双方を含む。
【0032】
導体路がかかる導体路部分を複数含むことにより、面出力が相違する複数の加熱ゾーンの形成が可能になる。これらの加熱ゾーンは、照射強度が一様である加熱面を得るために加熱面の温度損失を補償するように配置することができる。とりわけ縁部ゾーン現象の補償が可能になり、たとえば、導体路搭載面の縁部ゾーンに、面出力がより高い導体路部分を割り当てる。
【0033】
かかる赤外線面放射源は、200kW/m超の照射強度を達成するように構成された加熱面、有利には200kW/mから250kW/mの範囲の照射強度を達成するように構成された加熱面を有する。
【0034】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、支持体の全部が複合材料から作成されており、複合材料は電気絶縁体である。
【0035】
支持体は多層構成とすることができ、複合材料以外に他の材料領域を含むことができる。しかし赤外線面放射源を動作するためには、支持体表面が少なくとも導体路搭載面の領域において電気絶縁性材料から作成されていることが重要である。これによって、赤外線面放射源の低妨害での動作が保証され、とりわけ、隣り合った導体路部分間の弧絡および短絡が防止される。複合材料が電気絶縁体であることにより、導体路を複合材料に直接設けることができ、これによって支持体に直接設けることができる。
【0036】
複数の材料から作成された支持体は、たとえば層構造体を有することができ、この層構造体では、2つ以上の材料層を重ねて配置することができる。これに代えて支持体は、第1の材料から成るコア、有利には複合材料から成るコアを有し、このコアを、第2の材料から成るカバーによって覆うこともできる。コアの全部または一部を、第2の材料によって覆うことができる。有利には、コアの全部が第2の材料によって覆われている。
【0037】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、複合材料の少なくとも導体路搭載面の領域が、電気絶縁性材料から成る層によって覆われている。
【0038】
支持体を作成するための複合材料は、赤外領域において良好な放射率を示す。複合材料が赤外線面放射源の支持体として適したものとなるためには、その放射率の他、複合材料の他の物理的特性、とりわけその電気伝導率も重要となる。複合材料の物理的特性は第一に、当該複合材料を構成する成分によって決定される。よって、化学組成如何に応じて、複合材料は電気絶縁体となり、またはある程度の電気伝導率を有することができる。導電性の複合材料には、上掲の理由により、導体路を直接設けることができない。というのも、赤外線面放射源の動作中に短絡が生じ得るからである。それにもかかわらず導電性の複合材料から支持体を作成できるようにするためには、最初に支持体を電気絶縁性材料から成る層によって覆うことが有利であることが判明した。複合材料の全部または一部を、電気絶縁性材料によって覆うことができる。いずれの場合にも、少なくとも支持体のうち導体路が割り当てられた領域、すなわち導体路搭載面を、電気絶縁性材料から成る層によって覆うことができ、たとえばガラスから成る層、とりわけ石英ガラスから成る層によって覆わなければならない。
【0039】
本発明の赤外線面放射源の他の有利な一実施形態では、添加成分の重量割合は1%と5%との間の範囲、有利には1.5%と3.5%との間の範囲である。
【0040】
複合材料の熱吸収は、添加成分の割合に依存する。よって、添加成分の重量割合は、有利には少なくとも1%でなければならない。他方、添加成分の体積割合が高いと、マトリクスの化学的特性および機械的特性を阻害し得る。このことに鑑みて、添加成分の重量割合は有利には1%と5%との間の範囲、有利には1.5%と3.5%との間の範囲である。
【0041】
導体路が、焼成された厚膜層として構成されている場合、または導体路と支持体とが互いに永久接合されるように導体路が成形品として支持体の表面に付着されている場合、有利であることが判明した。
【0042】
導体路を作成できる作成手法は種々存在し、たとえば印刷技術を用いて、また打抜き加工、レーザ切削またはキャスティングによって作成することもできる。
【0043】
導体路を焼成された厚膜層として構成すると、特に有利であることが判明した。かかる厚膜層はたとえば、スクリーン印刷を用いて抵抗ペーストから、またはインクジェット印刷を用いて金属含有インクから生成され、その後に高温で焼成される。これに代えて、熱切断法を使用して、たとえばレーザビーム切削によって、または打抜き加工によって、金属板から成形品を作成することもできる。熱切断法または打抜き加工法を用いることにより、導体路を大量に作成することができ、これによって、材料コストおよび作成コストを小さく抑えることに寄与する。
【0044】
熱切断法または打抜き加工法を用いることにより、印刷技術ではほとんど加工できない材料または加工に労力を要する材料も導体路に加工することができる。導体路が、通電時に発熱する導電性の抵抗材料から作成されていることにより、導体路は加熱要素として機能する。しかし、面で一様に放射する、高い放射出力の赤外線放射源は、導体路と支持体とを結合することで初めて得られる。こうするためにはたとえば、導体路を成形品として、支持体の表面に付着し、支持体と永久接合する。その際には、導体路と支持体とを機械的かつ熱的に接合することができ、または非導電性の層を介して接合することができる。最も簡単な事例では、導体路を支持体に継ぎ合わせて、ばらの結合体とする。
【0045】
さらに、熱切断法または打抜き加工法を用いる場合には、導体路の作成時に生じ得る製造誤差を早期に識別することも可能になる。とりわけ印刷技術を用いて作成された導体路と比較して、支持体と接合する工程の前に導体路成形品の機能性を検査することができる。別個の部品として、導体路にたとえば電圧を簡単に印加することができる。このことにより、欠陥のある導体路を選別して排除することができ、しかも、欠陥のある導体路を支持体に結合する前に選別して排除することができ、これによって、不良品の発生を減少して製造コストを低減することができる。
【0046】
導体路が白金、耐温度性の鋼材、タンタル、フェライトFeCrAl合金、オーステナイトCrFeNi合金、炭化シリコン、二ケイ化モリブデンまたはモリブデン系合金から作成されていると、有利であることが判明した。
【0047】
上掲の材料、とりわけ炭化シリコン(SiC)、二ケイ化モリブデン(MoSi)、タンタル(Ta)、耐高熱性の鋼材、またはたとえばKanthal(カンタル、登録商標)(Kanthalは、サンドビック・インテレクチュアル・プロパティー・アクティエボラーグ(SANDVIK INTELLECTUAL PROPERTY AB、811 81、サンドビーケン、スウェーデン)の登録商標)等のフェライトFeCrAl合金は、たとえば金、白金または銀等の貴金属と比較して低コストであり、赤外線面放射源の製造時に中間製品として使用できる導体路成形体に、簡単に形状変換することができる。これらの材料はとりわけ金属板として入手することができ、この金属板から導体路を簡単かつ低コストで作成することができる。さらに、上掲の材料は空気に対して耐酸化性であるから、導体路を覆う追加の層(カバー層)を導体路の保護のために必ずしも必要としないという利点も奏する。
【0048】
各1つの導体路部分の熱出力は、抵抗材料の比抵抗と、導体路部分の長さと、導体断面積と、に依存する。長さおよび導体断面積を適合することにより、各導体路部分の熱出力を簡単かつ迅速に調整することができる。
【0049】
ここで、導体路部分の導体断面積が大きいほど当該導体路部分の抵抗は小さくなり、かつ接続端電圧が同じである場合、当該導体路部分の面出力が小さくなることが成り立つ。全体抵抗と、一定の接続端電圧の場合に流れる電流と、は、直列接続された抵抗の総和から求められる。より高い面出力は、断面積が等しい線路の搭載密度を高くすることによって、または電流密度を増加することによって、または線路断面をより細くすることによって、生成することができる。
【0050】
よって、第1の導体路部分の導体路の導体断面積が0.01mmから0.03mmの範囲であり、かつ第2の導体路部分の導体路の導体断面積が0.025mmから0.5mmの間であると、特に有効であることが実証されている。
【0051】
第1および第2の導体路部分の導体断面積の相互間の差が少なくとも25%である場合、赤外線面放射源において通常観測されるような照射強度の非一様性の補償に関して、良好な結果を得ることができることが判明した。有利には、第1の導体路部分と第2の導体路部分との間の導体断面積の差は、30%から70%の範囲である。0.01mm未満の導体断面積の場合、設けるのが困難になる可能性があり、機械的付着が小さくなる。導体断面積が0.5mmを超えると抵抗が比較的小さくなり、よって、加熱のために必要な動作電流が比較的高くなる。
【0052】
導体断面積を0.01mmから0.5mmの範囲とすることは、電圧電流比が特に有利になる点で優れており、かかる導体断面積によってとりわけ、1Aから4.5Aの電流の場合、100Vから400Vの範囲の電圧で動作することができる。
【0053】
導電路長は、導体路の形状を適切に選択することによって変えることができる。可能な限り一様な温度分布にすることに関しては、導体路を線パターンとして構成し、隣り合った導体路部分間に少なくとも1mmのスペース、有利には少なくとも2mmのスペースが残るように、この線パターンが支持体の面を覆うと有利であることが判明した。
【0054】
有利には導体路は、25%から85%の範囲の搭載密度を有する線パターンとして構成されている。
【0055】
搭載密度が25%未満と小さい場合、導体路は加熱面の側から、温度分布の非一様性として表出し得る。搭載密度を85%超に上昇させると、面出力に顕著な増加は生じなくなる。第1および第2の導体路部分は等しい搭載密度を有し、または異なる搭載密度を有することができる。搭載密度を介して面出力を調整することができる。面出力の調整は、搭載密度の適切な選択および導体断面積の適切な選択のいずれによっても、行うことができる。導体路部分の導体断面積が小さい場合または導体路部分が高い搭載密度を有する場合、面出力が高い導体路部分が達成される。第1および第2の導体路部分の導体断面積および搭載密度の双方が異なる場合、第1および第2の導体路部分の面出力を可能な限り正確に調整することができる。
【0056】
有利には、第1の導体路部分の搭載密度は最大75%であり、第2の導体路部分の搭載密度は最大85%付近の範囲である。上掲の搭載密度の第1および第2の導体路部分は、たとえば印刷等によって、簡単かつ低コストで製造することができる。
【0057】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、導体路は複数の第1の導体路部分と複数の第2の導体路部分とを有し、第1の導体路部分と第2の導体路部分とは交互に設けられている。
【0058】
複数の連続する導体路部分を設けることにより、照射強度の特にフレキシブルな適合が可能になり、これによって加熱面における温度分布の特にフレキシブルな適合が可能になり、いわゆる「コールドスポット」または「ホットスポット」の形成を回避することができる。これら複数の導体路部分を直列接続することにより、ほぼあらゆる任意の導体路設計を実現することができる。
【0059】
第1の導体路部分と第2の導体路部分との間に、面出力勾配を生じさせるための第3の導体路部分を配置すると、特に有効であることが実証された。
【0060】
1つの導体路部分は、加熱面のうち一定の面出力で加熱される面領域に相当する。第1の導体路部分と第2の導体路部分とは互いに直接隣接し、または互いに離隔することができる。第1の導体路部分と第2の導体路部分との間で漸次移行がなされることは、可能な限り一様な照射出力と、加熱面の一様な温度分布と、を達成できるようにするために寄与する。こうするために、第1の導体路部分と第2の導体路部分との間に、面出力勾配を生じさせるように構成された第3の導体路部分を配置することができる。このことによって、第1の導体路部分の第1の面出力から第2の導体路部分の第2の面出力への連続的な移行が保証される。最も簡単な事例では、第3の導体路部分は、当該第3の導体路部分の面出力が第1の面出力から第2の面出力へ移行するように構成されている。
【0061】
本発明の赤外線面放射源の有利な一実施形態では、導体路搭載面は縁部領域と中央領域とを有し、第1の導体路部分は、第2の導体路部分より高い面出力を有し、縁部領域に割り当てられており、第2の導体路部分は中央領域に割り当てられている。
【0062】
しばしば、赤外線面放射源の縁部領域は中央領域より低い温度を示すことが多いことが判明している。その原因は、縁部領域はその空間的配置のため、中央領域より熱輸送しやすいことである。それゆえ、特に縁部領域に、面出力がより高い導体路部分を割り当てることが有利であることが判明しており、これが熱輸送を補償することができる。これはたとえば、外側のゾーンがより高い搭載密度またはより小さい導体断面積を有することによって達成することができる。
【0063】
添加成分は、支持体の光学的特性および熱的特性を決定する重要なものである。具体的にいうと、添加成分は赤外スペクトル領域において吸収を引き起こし、これは780nmと1mmとの間の波長領域である。添加成分は、このスペクトル領域の放射の少なくとも一部に対して、マトリクス成分より高い吸収を示す。
【0064】
添加成分の相領域は、マトリクス中において光学的欠陥箇所として作用し、これによってたとえば、複合材料が、層厚に応じて、常温で視覚的に黒色または濃灰色に見える。さらに、この欠陥箇所自体が熱吸収作用を示す。
【0065】
複合材料中には、添加成分は有利には、当該複合材料中において600℃の温度で2μmと8μmとの間の波長に対して少なくとも0.6のスペクトル放射率εを生じさせる態様および量で含まれている。本発明の赤外線面放射源の特に有利な一実施形態では、添加成分は、支持体材料中において1,000℃の温度で2μmと8μmとの間の波長に対して少なくとも0.75のスペクトル放射率εを生じさせる態様および量で含まれている。
【0066】
よって支持体材料は、2μmと8μmとの間の熱放射に対して、すなわち赤外線の波長領域において、高い吸収能力および放出能力を有する。これによって支持体表面における反射が低減し、透過率が無視できる程度に小さいと仮定すると、2μmと8μmとの間の波長に対する反射率は、1,000℃超の温度では最大0.25となり、600℃の温度では最大0.4となる。このようにして、反射された熱放射による再現不能な加熱が回避され、これは、均一な温度分布または所望の不均一な温度分布に寄与する。
【0067】
添加成分が添加成分相として存在し、最大寸法が平均で20μm未満かつ有利には3μm超の非球体の形態を有すると、特に高い放射率を達成することができる。
【0068】
添加成分相の非球体の形態は、複合材料の高い機械的強度および低い亀裂形成傾向にも寄与する。「最大寸法」との表示は、添加成分相を有する分離された領域のカット面において認識できる最長の寸法を基準とする。カット像における全ての最長寸法の中間値が、上掲の平均値となる。
【0069】
キルヒホフの放射法則によれば、実際の物体のスペクトル吸収率αλとスペクトル放射率ελとは、熱平衡状態では互いに一致する。
αλ=ελ (1)
【0070】
よって、添加成分によって支持体材料が赤外線を放出する。スペクトル放射率ελは、分光半球反射率Rghおよび分光半球透過率Tghが既知である場合、以下のように計算することができる:
ελ=1−Rgh−Tgh (2)
【0071】
ここで「スペクトル放射率」とは、「スペクトル垂直放射率」をいう。これは、「黒体境界条件」(Black-Body Boundary Conditions、BBC)との名称で知られている測定原理に基づいて求められ、この測定原理は“DETERMINING THE TRANSMITTANCE AND EMITTANCE OF TRANSPARENT AND SEMITRANSPARENT MATERIALS AT ELEVATED TEMPERATURES”(J. Manara, M. Keller, D. Kraus, M. Arduini-Schuster; 5th European Thermal-Sciences Conference、オランダ(2008年))にて公開されている。
【0072】
非晶質のマトリクス成分は、複合材料中において、すなわち添加成分と組み合わさると、添加成分が無い場合より高い熱放射吸収を有する。これによって、導体路から支持体への熱伝導が改善し、熱の分散がより迅速になり、支持体への放射速度がより速くなる。これによって、単位面積あたりより高い放射出力を生成することができ、支持体壁厚が薄い場合および/または導体路搭載密度が比較的小さい場合であっても、一様な放射および画一的な温度場を生成することができる。壁厚が薄い支持体は、小さい熱容量を有し、迅速な温度交代を可能にする。そのための冷却は不要である。
【0073】
以下、実施例および図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】縁部領域において中央領域より高い搭載密度を有する導体路を備えた、本発明の赤外線面放射源の第1の実施形態を示す概略図である。
図2】縁部領域において中央領域より小さい導体断面積を有する導体路を備えた、本発明の赤外線面放射源の第2の実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の赤外線面放射源の第3の実施形態と、当該赤外線面放射源の導体路搭載面における基板の温度分布を示す熱画像と、を示す概略図である。
図4】電気抵抗が高い導体路部分と電気抵抗が低い導体路部分とを交互に直列接続した、本発明の赤外線面放射源の第4の実施形態を示す概略図である。
図5】1つの材料から成る支持体を備えた、本発明の赤外線面放射源の第5の実施形態を示す概略図である。
図6】3つの材料層を有する支持体を備えた、本発明の赤外線面放射源の第6の実施形態を示す概略図である。
図7】支持体が、覆われた支持体コアを有する、本発明の赤外線面放射源の第7の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、本発明の赤外線面放射源の第1の実施形態の平面図であり、この赤外線面放射源には全体的に符号100が付されている。赤外線面放射源100は、フレキシブルプリント電子部品(図示されていない)を製造するための装置において使用するために適している。赤外線面放射源100は、板状の基板(これは本発明における支持体である)101と、基板101上に設けられた導体路102と、導体路102の電気的コンタクトを行うための2つの導電路103a,103bと、を備えている。
【0076】
板状の基板101は、化学的純度99.99%の石英ガラスと、0.25%の含有率のクリストバライトと、から作成されており、これに、総質量の5%のレベルのシリコン元素が添加されている。シリコン元素から成る相は、石英ガラス中に非球体の領域の形態で一様に分布している。Si相領域の最大寸法は、平均(中間値)で1μmから10μmの範囲である。板状の基板101は2.19g/cmの密度を有し、100mmの長さLと、100mmの幅Bと、2mmの厚さと、を有する。板状の基板101は、視覚的に黒色に見える。
【0077】
貯蔵されたSi相は、基板101全体の不透明性に寄与し、基板101の光学的特性および熱的特性に影響を及ぼす。基板101は高温で、熱放射の高い吸収と高い放射率とを示す。
【0078】
常温では、複合材料の放射率は積分球を用いて測定される。この積分球によって、分光半球反射率Rghと分光半球透過率Tghとを測定することができ、これらから垂直スペクトル放射率を計算する。上昇した温度での放射率の測定は2から18μmの波長領域で、追加光学系を介してBBC試料チャンバが結合されたFTIR分光計(ブルッカー(Brucker)IFS 66vフーリエ変換赤外線(FTIR))を用いて、上述のBBC測定原理に基づいて行われる。この試料チャンバは半空間内において試料ホルダの前後に、調温可能な黒体周囲と、検出器を備えたビーム出射口と、を備えている。試料は別個の炉内で既定の温度まで加熱され、測定に際しては、既定の温度に調整された黒体周辺を用いて試料チャンバの光路上に移動する。検出器によって検出される強度は、放出成分と反射成分と透過成分とから構成され、すなわち、試料自体から放出された強度と、前方の半空間から試料に入射して試料によって反射された強度と、後方の半空間から試料に入射して試料によって透過された強度と、から構成されている。放射率、反射率および透過率の各パラメータを求めるためには、3つの測定を行わなければならない。
【0079】
基板101において測定される2μmから約4μmの波長領域の放射率は、温度に依存する。温度が高いほど放射が高くなる。600℃のときに、2μmから4μmの波長領域における垂直放射率は0.6を上回る。1000℃のときに、2μmと8μmとの間の全体の波長領域における垂直放射率は0.75を上回る。
【0080】
導体路102は白金抵抗ペーストから形成されており、こうするために、白金抵抗ペーストを板状の基板101の導体路搭載面104に印刷し、その後焼成した。導体路102はメアンダ状の推移を有し、2つの導体路部分105,106を含んでおり、第1の導体路部分105は基板101の縁部領域に割り当てられており、第2の導体路部分106は基板101の中央領域に割り当てられている。対流に起因して基板101上に生じる非一様な温度分布を補償できるようにするためには、縁部領域に割り当てられた導体路部分105は、中央領域に割り当てられた導体路部分106より高い搭載密度で、基板101上に設けられている。導体路部分105の搭載密度は80%であり、導体路部分106の搭載密度は40%であり、中央領域では、隣り合った導体路間の距離bは4.2mmであり、縁部領域では、隣り合った導体路間の距離aは0.7mmである。
【0081】
導体路部分105,106は、断面積が0.028mm、幅が2.8mm、厚さは10μmであることを特徴とする。
【0082】
他図に示されている実施形態において図1と同一の符号が使用されている場合には、これをもって、上記にて図1の説明において詳細に説明されている部品および構成要素と同一構成または均等の部品および構成要素を示している。
【0083】
図2は、本発明の赤外線面放射源の第2の実施形態を示しており、この赤外線面放射源には全体的に符号200が付されている。赤外線面放射源200は、板状の基板101と、基板101上に設けられた導体路202と、導電路103a,103bと、を備えている。
【0084】
赤外線面放射源200が、図1に開示されている赤外線面放射源100と本質的に相違する点は、導体路設計である。基板101に関しては、図1についての説明を参照されたい。
【0085】
導体路202は白金抵抗ペーストから形成されており、こうするために、白金抵抗ペーストを板状の基板101の上面204に印刷し、その後焼成した。導体路202はメアンダ状の推移を有し、2つの導体路部分205,206を含んでおり、第1の導体路部分205は基板101の縁部領域に割り当てられており、第2の導体路部分206は基板101の中央領域に割り当てられている。対流に起因して基板101上に生じる非一様な温度分布を補償できるようにするためには、縁部領域に割り当てられた導体路部分205は、中央領域に割り当てられた導体路部分206より高い抵抗を有する。導体路部分205の導体断面積は0.02mm、幅は0.02mm、厚さは10μmである。導体路部分206の導体断面積は0.028mm、幅は2.8mm、厚さは10μmである。
【0086】
中央領域では、隣り合った導体路間の距離bは4.18mmであり、縁部領域では、隣り合った導体路間の距離aは4.98mmである。しかし、導体路幅は(ひいては導体断面積も)縁部領域205よりも中央領域206の方が大きくなっているので、部分205,206は統一した導体路搭載密度を有しない。中央領域206では、灰色の背景で示された面領域205a(縁部領域205の支持体面に対応)ないしは206a(中央領域206の支持体面に対応)によって表されている、各導体路が搭載されている支持体面を基準とする搭載密度は、40%となり、縁部領域では搭載密度は28.8%となる。
【0087】
図3Aは、本発明の赤外線面放射源の第3の実施形態を示しており、この赤外線面放射源には全体的に符号300が付されている。赤外線面放射源300は基板101を備えており、これについては図1について詳細に説明している。基板101には導体路302が設けられており、この導体路302の端部に導電路303a,303bが設けられている。導体路302は、温度勾配を生じさせるように構成されている。
【0088】
こうするために、基板101の表面304に設けられた導体路302は、搭載密度が矢印の方向310で見て増加していくようにするため、隣り合った導体路間の距離x〜x22が矢印の方向310で見て連続的に減少するように構成されている。搭載密度は、第1の導体路端部分321では40%であり、第2の導体路端部分322において91%になるまで連続的に増加していく。
【0089】
導体路302は、下記にて図5の実施例を参照して詳細に説明するように、スクリーン印刷によって形成される。導体路302は、矢印の方向310で見てメアンダ状の推移を有する。導体路302の導体断面積は0.02mm、幅は0.1mm、厚さは20μmである。
【0090】
赤外線面放射源300は、フレキシブルプリント電子部品をロール・トゥ・ロール法(R2R法)で製造するための装置(図示されていない)において使用することができる。この装置では赤外線面放射源300は、(ロールからロールへの)輸送方向が矢印の方向310と一致するように配置されている。これによって、照射の開始時に、たとえば印刷された電子部品を乾燥するために必要な出力等の僅かな出力を調達することが可能になる。赤外線面放射源300の搭載密度が輸送方向で見て増加していくことにより、加熱物品が照射される照射出力は、輸送中増加していき、照射プロセスの終了時には加熱物品は、たとえば印刷された電子部品の焼結に必要な出力等の高い出力を照射されるに至る。照射出力は、照射プロセスの開始時には50kW/mであり、終了時に150kW/mに達するまで連続的に増加していく。
【0091】
この勾配は、赤外線面放射源300の加熱面における温度分布にも反映される。図3Bは、赤外線面放射源300の加熱面における温度分布をグラフ400の形態で示している。搭載密度に依存して矢印の方向310で見て加熱面の温度が連続的に増加していき、しかも、赤外線面放射源300の左側のフィールドにおける約550℃の中程度の温度から、当該赤外線面放射源300の右側のフィールドの760℃の温度まで増加していく。
【0092】
図4は、本発明の赤外線面放射源の第4の実施形態を示しており、この赤外線面放射源には全体的に符号500が付されている。赤外線面放射源500は板状の基板101を備えており、基板101上には、下記に記載の図5の実施例にて説明するように、導体路502がスクリーン印刷を用いて設けられている。
【0093】
基板101に関しては、図1についての説明を参照されたい。基板101は、図1の基板101とは異なり、200mmの長さlと、100mmの幅bと、2mmの厚さと、を有する。
【0094】
導体路502は、直列接続された5つの導体路部分を有し、これらの導体路部分は符号A〜Eによって示されている。導体路部分B,Dは同一構成であり、これらの導体路部分B,Dの導体断面積は0.01mm、幅は0.05mm、厚さは20μmである。導体路部分A,Eも同一構成であり、これらの導体路部分A,Eの導体断面積は0.02mm、幅は0.1mm、厚さは20μmである。導体路部分Cは導体路部分A,Eと等しい導体路幅および等しい導体断面積を有し、導体路部分A,Eとは長さのみが異なる。部分Bは、部分Dと等しい導体路搭載密度を有する。しかし、これらの部分における導体路幅は他の部分A,EおよびCにおける導体路幅の半分のみである。よって、部分BおよびDにおける導体路搭載密度も、他の部分の導体路搭載密度の50%のみである。
【0095】
図5は、本発明の赤外線面放射源600の第5の実施形態を示しており、この赤外線面放射源600は基板603と、基板603上に設けられた導体路601と、導体路601を覆うカバー層602と、を備えており、導体路601は5つの導体路部分を有する。
【0096】
基板603は、図1の板状の基板101と同一の材料から作成されている。図1におけるこれについての説明を参照されたい。基板603を作成するための複合材料は、電気絶縁体である。電気絶縁体は、石英ガラスの形態のマトリクス成分から成る。マトリクス中には、シリコン元素から成る相が非球体の領域の形態で一様に分布しており、その重量割合は5%である。シリコン相領域の最大寸法は、平均(中間値)で約1μmから10μmの範囲である。複合材料は気密性であり、複合材料は2.19g/cmの密度を有し、複合材料は、約1150℃の温度までの空気に対して安定的である。複合材料は高温で、熱放射の高い吸収と高い放射率とを示す。この放射率は温度に依存する。600℃のときに、2μmから4μmの波長領域における垂直放射率は0.6を上回る。1,000℃のときに、同一の波長領域における垂直放射率は0.75を上回る。
【0097】
導体路601は、スクリーン印刷を用いて白金ペーストを基板603に設けてその後焼成したものから作成されている。この導体路601上に、石英ガラスから成る薄いカバー層602が設けられている。このSiOから成るカバー層は、厚膜手法を用いてスクリーン印刷で設けられ、20から50μmの平均層厚を有する。この層は、白金を腐食性の攻撃から保護するため、無亀裂かつ無孔性である。
【0098】
図6および図7に示されている実施形態において図5と同一の符号が使用されている場合には、これをもって、上記にて図5の説明において詳細に説明されている部品および構成要素と同一構成または均等の部品および構成要素を示している。
【0099】
図6は、本発明の赤外線面放射源700の他の一実施形態を示す図である。赤外線面放射源700が図5の赤外線面放射源600と相違する点は、基板組成である。基板705は2つの材料から構成されており、これらの材料は層状に互いに結合されている。中間の層704は、放射率が高い導電性の材料から、すなわちSiCから成る。層704には、その電気伝導度のため、導体路601を直接搭載することができない。よって、層704の上面および下面はそれぞれ、石英ガラスから成る層703によって覆われている。層703の相違点は、その層厚である。
【0100】
図7は、本発明の赤外線面放射源の第7の実施形態を示しており、この赤外線面放射源には符号800が付されている。赤外線面放射源800は基板805を備えており、これは、図6の基板705と同一の材料から成る。材料704は基板コアを構成し、この基板コアは、材料703から成る層によって包囲されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7