(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本願発明者の検討によれば、上述したような冷却水流路を設けたとしても、ウォータージャケットを形成するための薄肉部では、冷却不足による焼き付きが生じてしまうことがわかった。焼き付きの発生は、製造に要する時間やコストの増加を招く。
【0006】
そこで、本願発明者は、3Dプリンタを用いて金型を製造することを検討した。3Dプリンタを用いて立体構造物(三次元のオブジェクト)を形成する技術は、付加製造技術(additive manufacturing)と呼ばれ、近年注目を集めている。付加製造技術によれば、3DCADデータや3DCGデータに基づいて、複雑な形状を有する立体構造物であっても簡便に製造することができる。
【0007】
付加製造技術で金型を製造する場合、金型を製造する過程で同時に冷却水流路も形成されるので、機械加工により冷却水流路を形成する場合とは異なり、冷却水流路の形状や長さにほとんど制約がない。そのため、金型の薄肉部における冷却能力を向上できることが期待される。また、付加製造技術を用いることにより、金型の製造自体を従来よりも短時間、低コストで行うことができると考えられる。
【0008】
特許文献1には、シリンダブロックのウォータージャケットを形成するための金型を、付加製造技術により製造することが開示されている。特許文献1の金型では、ウォータージャケットに対応する薄肉部内に、1本の冷却水流路が長く引き回されており、そのことによって流路面積が拡大されている。
【0009】
しかしながら、本願発明者がさらに検討を進めたところ、単に長い冷却水流路を形成しても、薄肉部の冷却を好適に行えないことがわかった。1本の冷却水流路を長く引き回した場合、例えば、圧力損失によって冷却水が流れにくくなったり、冷却水の温度が上がって水蒸気となって冷却能力を失ったりしてしまう。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、付加製造技術により形成される金型において熱媒体流路による温度制御を好適に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態による金型は、付加製造技術により形成された金型であって、金型内部に設けられ、熱媒体が流れる熱媒体流路と、前記熱媒体が金型内部に導入される媒体導入口と、前記熱媒体が金型外部に排出される媒体排出口と、を有し、前記熱媒体流路は、前記媒体導入口から連続するように形成された第1流路部と、前記媒体排出口に連続するように形成された第2流路部と、それぞれが前記第1流路部および前記第2流路部よりも小径である複数の第3流路部であって、それぞれの一端が前記第1流路部に接続されるとともにそれぞれの他端が前記第2流路部に接続された複数の第3流路部と、を含み、前記第1流路部または前記第2流路部は、複数の中実部を有し、前記複数の第3流路部のそれぞれは、前記複数の中実部のいずれかを貫通している。
【0012】
本発明の実施形態による金型では、熱媒体流路は、媒体導入口から連続するように形成された第1流路部と、媒体排出口に連続するように形成された第2流路部と、それぞれの一端および他端がそれぞれ第1流路部および第2流路部に接続された比較的小径(第1流路部および第2流路部よりも径が小さい)の複数の第3流路部とを含んでいる。比較的小径の第3流路部が複数設けられる(つまり複数の狭小流路が並列配置される)ことにより、1本の流路を長く引き回す場合とは異なり、圧力損失によって熱媒体が流れにくくなることを防止でき、また、熱媒体の温度が上がりすぎたり下がりすぎたりすることを防止できる。また、流路抵抗の低減を図ったり、流路表面積の拡大により熱交換効率の向上を図ったり、より均一な温度分布を実現したりすることができる。また、単に狭小流路を多数設けると、熱媒体の入口および出口もそれに対応して多数設ける必要があるが、本発明の実施形態のように、比較的大径の(第3流路部よりも径が大きい)第1流路部および第2流路部に複数の第3流路部を接続することにより、熱媒体の入口および出口を少なくする(例えば媒体導入口および媒体排出口をそれぞれ1つだけ設ける)ことができる。このように、本発明の実施形態によれば、熱媒体流路による温度制御を好適に行うことができる。また、本発明の実施形態による金型では、第1流路部または第2流路部が複数の中実部を有しており、複数の第3流路部のそれぞれが第1流路部または第2流路部の中実部を貫通しているので、第1流路部、第2流路部および複数の第3流路部が互いに重なり合っている構成を実現することができる。
【0013】
ある実施形態において、前記第1流路部、前記第2流路部および前記複数の第3流路部は、ある方向から見たときに互いに重なり合っている。
【0014】
第1流路部、第2流路部および複数の第3流路部が互いに重なり合う(いわば直列配置される)ことにより、熱媒体流路全体のスペースを小さくすることができ、比較的狭い領域(例えば薄肉部およびその近傍)に熱媒体流路を配置することが容易となる。
【0015】
ある実施形態において、前記複数の第3流路部のそれぞれは、略U字状である。
【0016】
複数の第3流路部のそれぞれは、好ましくは、略U字状である。略U字状の第3流路部は、第1流路部および第2流路部からそれぞれある方向に延びる第1部分および第2部分と、第1部分の先端から第2部分の先端までその方向に略直交する方向に延びる第3部分とを含む。第3部分の長さは、第1部分の長さおよび第2部分の長さのそれぞれよりも小さいことが好ましい。
【0017】
ある実施形態において、前記第2流路部は、前記第1流路部よりも大径である。
【0018】
熱媒体の外部への排出を好適に行う観点からは、第2流路部が第1流路部よりも大径であることが好ましい。
【0019】
ある実施形態において、前記第2流路部が前記複数の中実部を有しており、前記複数の第3流路部のそれぞれは、前記第2流路部の前記複数の中実部のいずれかを貫通している。
【0020】
ある実施形態において、前記第1流路部が前記複数の中実部を有しており、前記複数の第3流路部のそれぞれは、前記第1流路部の前記複数の中実部のいずれかを貫通している。
【0021】
ある実施形態において、本発明による金型は、他の部分の少なくとも一部より厚さが小さい薄肉部を含み、前記複数の第3流路部のそれぞれは、前記薄肉部内に位置する部分を含む。
【0022】
本発明の実施形態は、薄肉部を含む金型に好適に用いられる。薄肉部を含む金型では、複数の第3流路部のそれぞれは、薄肉部内に位置する部分を含むように配置される。
【0023】
ある実施形態において、本発明による金型は、シリンダブロックの少なくとも一部を形成するための金型であって、前記薄肉部は、前記シリンダブロックのウォータージャケットに対応する部分である。
【0024】
本発明の実施形態は、シリンダブロックの少なくとも一部を形成するための金型に好適に用いられる。そのような金型において、薄肉部は、シリンダブロックのウォータージャケットに対応する部分であってよい。
【0025】
ある実施形態において、本発明による金型は、前記熱媒体流路と金型外部とを連通する複数の連通路であって、金型外部に対して開閉自在な複数の連通路をさらに有し、前記複数の連通路のそれぞれは、前記複数の第3流路部のそれぞれに対応して設けられており、前記複数の連通路のそれぞれの一端は、対応する第3流路部の前記一端に前記第1流路部を介して対向しているか、または、対応する第3流路部の前記他端に前記第2流路部を介して対向している。
【0026】
金型が、熱媒体流路と金型外部とを連通する複数の連通路を有していると、開状態の連通路を利用して未焼結(または未溶融)の金属粉末を金型の外部に排出することができる。例えば、各連通路を介して対応する第3流路部に気体を吹き込むことにより、第3流路部内の金属粉末を容易に排出することができる。また、連通路を利用して、各第3流路部が閉塞していないことの確認(未閉塞確認)を行うこともできる。さらに、金型のメンテナンス時に、連通路を利用して(例えば連通路を介して対応する第3流路部に気体を吹き込むことにより)、異物を除去することも可能となる。
【0027】
ある実施形態において、前記複数の連通路のそれぞれの一端は、対応する第3流路部の前記一端に前記第1流路部を介して対向している。
【0028】
ある実施形態において、前記複数の連通路のそれぞれの一端は、対応する第3流路部の前記他端に前記第2流路部を介して対向している。
【0029】
ある実施形態において、本発明による金型は、前記熱媒体流路と金型外部とを連通する複数のさらなる連通路であって、金型外部に対して開閉自在な複数のさらなる連通路を有し、前記複数のさらなる連通路のそれぞれは、前記複数の第3流路部のそれぞれに対応して設けられており、前記複数の連通路を複数の第1連通路と呼び、前記複数のさらなる連通路を第2連通路と呼ぶとすると、(A)前記複数の第1連通路のそれぞれの一端が、対応する第3流路部の前記一端に前記第1流路部を介して対向しており、且つ、前記複数の第2連通路のそれぞれの一端が、対応する第3流路部の前記他端に前記第2流路部を介して対向している、または、(B)前記複数の第1連通路のそれぞれの一端が、対応する第3流路部の前記他端に前記第2流路部を介して対向しており、且つ、前記複数の第2連通路のそれぞれの一端が、対応する第3流路部の前記一端に前記第1流路部を介して対向している。
【0030】
金型が、複数の連通路(第1連通路)に加え、複数のさらなる連通路(第2連通路)を有していることにより、第3流路部内の未焼結(または未溶融)の金属粉末を金型の外部に排出する際に、第1連通路だけでなく第2連通路も利用することができる。
【0031】
本発明の実施形態による金型の製造方法は、上述したいずれかの構成を有する金型の製造方法であって、金属粉末を所定の厚さで層状に堆積する堆積工程と、前記堆積工程の後、堆積された前記金属粉末にレーザを照射して焼結または溶融させるレーザ照射工程と、を包含し、前記堆積工程と前記レーザ照射工程とを交互に繰り返し行うことによって、前記熱媒体流路を内部に含む前記金型が形成される。
【0032】
本発明の実施形態による金型の製造方法は、堆積工程とレーザ照射工程とを交互に繰り返し行うことによって、熱媒体流路を内部に含む金型を好適に形成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の実施形態によると、付加製造技術により形成される金型において熱媒体流路による温度制御を好適に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0036】
(実施形態1)
図1を参照しながら、本実施形態における金型1を説明する。
図1は、金型1を模式的に示す斜視図である。
【0037】
金型1は、シリンダブロックを形成するための金型の一部を構成する入子金型である。つまり、金型1は、シリンダブロックの一部を形成するための金型である。シリンダブロックを形成するための金型全体の形状は、公知の種々の形状であり得るので、ここではその説明を省略する。ここでは、シリンダ数が2の場合を例示しているが、シリンダ数は2に限定されるものではない。
【0038】
また、
図1には、互いに直交する3つの方向(X方向、Y方向およびZ方向)を示している。Z方向は、シリンダ軸(
図1中に鎖線で示している)に平行な方向である。X方向は、2つのシリンダ軸を含む平面に平行で、且つ、Z方向に直交する方向である。Y方向は、2つのシリンダ軸を含む平面に直交し、且つ、Z方向に直交する方向である。以下の説明では、Z方向を「垂直方向」と呼び、Z方向に直交する方向(例えばX方向やY方向)を「水平方向」と呼ぶこともあるが、これらは便宜的な呼称であり、金型1が実際に使用される際の金型1の向きなどを限定するものではない。
【0039】
金型1は、後に詳述するように、付加製造技術により形成される。
【0040】
金型1は、
図1に示すように、他の部分の少なくとも一部より厚さが小さい薄肉部2と、薄肉部2よりも厚さが大きい厚肉部3とを含んでいる。
【0041】
薄肉部2は、シリンダブロックのウォータージャケットに対応する部分である。薄肉部2は、複数(ここでは2つ)の円筒を連ねた形状を有する。薄肉部2は、厚肉部3からZ方向に沿って上方に延びている。
【0042】
厚肉部3は、薄肉部2の下方に位置し、薄肉部2を支持している。厚肉部3の上面3aは、シリンダブロックのガスケット面を規定する。
【0043】
金型1は、その内部に設けられた熱媒体流路(
図1では不図示)を有する。熱媒体流路には、熱媒体が流れ、それによって金型1の冷却および/または加温が行われる。冷却用の熱媒体は、例えば水である。加温用の熱媒体は、例えば油である。
【0044】
ここで、
図2から
図5を参照しながら、金型1のより具体的な構成を説明する。
図2は、
図1と同様に金型1を示す斜視図であり、金型1の内部の熱媒体流路10を点線で併せて示している。
図3および
図4は、それぞれ熱媒体流路10を示す斜視図である。
図3は、
図2と同じ方向から見た図であり、
図4は、
図3とは異なる方向から見た図である。
図5は、熱媒体流路10の一部を拡大して示す図である。
【0045】
図2、
図3および
図4に示すように、金型1は、熱媒体流路10と、媒体導入口4と、媒体排出口5とを有する。媒体導入口4は、熱媒体の入り口、つまり、熱媒体が金型1の内部に導入される部分である。媒体排出口5は、熱媒体の出口、つまり、熱媒体が金型1の外部に排出される部分である。媒体導入口4および媒体排出口5は、それぞれ厚肉部3に設けられている。
【0046】
熱媒体流路10は、第1流路部11と、第2流路部12と、複数の第3流路部13とを含む。つまり、本実施形態における熱媒体流路10は、3種類の流路部11、12および13によって構成されている。
【0047】
第1流路部11は、媒体導入口4から連続するように形成されている。つまり、第1流路部11は、媒体導入口4に接続されている。第2流路部12は、媒体排出口5に連続するように形成されている。つまり、第2流路部12は、媒体排出口5に接続されている。第1流路部11および第2流路部12は、厚肉部3内に位置している。図示している例では、第2流路部12は、第1流路部11よりも大径である。
【0048】
複数の第3流路部13は、それぞれ第1流路部11および第2流路部12よりも小径である。
図5に示すように、各第3流路部13の一端13aは、第1流路部11に接続されている。一方、各第3流路部13の他端13bは、第2流路部12に接続されている。
【0049】
図示している例では、複数の第3流路部13のそれぞれは、略U字状である。より具体的には、第3流路部13は、第1流路部11からZ方向(垂直方向)に延びる第1部分p1と、第2流路部12からZ方向(垂直方向)に延びる第2部分p2と、第1部分p1の先端から第2部分p2の先端までZ方向に直交する方向(水平方向)に延びる第3部分p3とを含む。
【0050】
複数の第3流路部13のそれぞれは、薄肉部11内に位置する部分を含む。図示している例では、各第3流路部13の大部分が薄肉部11内に位置している。また、複数の第3流路部13は、薄肉部2内で並列的に配置されている。
【0051】
第2流路部12は、複数の中実部12aを有する。ここで、中実部12aとは、金型1を構成する材料(金属材料)が存在している領域である。複数の第3流路部13のそれぞれは、第2流路部12の複数の中実部12aのいずれかを貫通している。より具体的には、各第3流路部13の第1部分p1が、対応する中実部12aを貫通している。
【0052】
第1流路部11、第2流路部12および第3流路部13は、ある方向(ここではZ方向)から見たときに互いに重なり合っている。第1流路部11、第2流路部12および第3流路部13は、下側から上側に向かってこの順に配置されている。ただし、より厳密に言うと、第3流路部13は、その大部分が第2流路部12の上方に位置しているものの、第2流路部12の下方に位置している部分も含んでいる。
【0053】
上述したように、本実施形態では、熱媒体流路10は、媒体導入口4および媒体排出口5にそれぞれ接続された比較的大径の(第3流路部13よりも径が大きい)第1流路部11および第2流路部12と、一端13aおよび他端13bがそれぞれ第1流路部11および第2流路部12に接続された比較的小径の(第1流路部11および第2流路部12よりも径が小さい)複数の第3流路部13とを含んで構成されている。ここで、熱媒体流路10を、人間(動物)の血管の構造に見立てると、第1流路部11が動脈、第2流路部12が静脈、第3流路部13が毛細血管に相当しているといえる。以下では、3種類の流路部11、12および13を含む熱媒体流路10の構造を、血管の構造になぞらえて「血管状構造」と呼ぶことがある。
【0054】
血管状構造では、比較的小径の第3流路部13が複数設けられる(つまり複数の狭小流路が並列配置される)ので、1本の流路を長く引き回す場合とは異なり、圧力損失によって熱媒体が流れにくくなることを防止でき、また、熱媒体の温度が上がりすぎたり下がりすぎたりすることを防止できる。また、流路抵抗の低減を図ったり、流路表面積の拡大により熱交換効率の向上を図ったり、より均一な温度分布を実現したりすることができる。また、単に狭小流路を多数設けると、熱媒体の入口および出口もそれに対応して多数設ける必要があるが、本実施形態のように、比較的大径の第1流路部11および第2流路部12に複数の第3流路部13を接続することにより、熱媒体の入口および出口を少なくする(ここで例示しているように媒体導入口4および媒体排出口5をそれぞれ1つだけ設ける)ことができる。
【0055】
このように、熱媒体流路10に「血管状構造」を採用することにより、熱媒体流路10による温度制御を好適に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、各第3流路部13が第2流路部12の中実部12aを貫通しており、そのことによって、第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合っている構成を実現することができる。第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合う(いわば直列配置される)ことにより、熱媒体流路10全体のスペースを小さくすることができ、薄肉部11およびその近傍に熱媒体流路10を配置することが容易となる。
【0057】
なお、本実施形態では、第2流路部12が第1流路部11よりも大径である構成を例示したが、第2流路部12が第1流路部11と同径であってもよいし、第1流路部11よりも小径であってもよい。ただし、熱媒体の外部への排出を好適に行う観点からは、第2流路部12が第1流路部11よりも大径であることが好ましい。熱媒体流路10内を流れる熱媒体が受熱によって膨張(体積が増加)すると、壁面による圧力損出が増大する。第2流路部12を第1流路部11よりも大径にすることにより、そのような圧力損失の増大を抑制することができる。
【0058】
第1流路部11および第2流路部12は、第3流路部13よりも大径であればよく、その太さに特に制限はない。
【0059】
第3流路部13は、第1流路部11および第2流路部12よりも小径であればよく、その太さに特に制限はない。
【0060】
なお、図示している例では、第1流路部11、第2流路部12および第3流路部13が略円形の断面形状を有しているが、第1流路部11、第2流路部12および第3流路部13の断面形状は、略円形に限定されるものではなく、略楕円形や略矩形等であってもよい。
【0061】
また、図示している例では、金型1全体で24個の(シリンダ1つ当たり12個の)第3流路部13が設けられているが、複数の第3流路部13の個数に制限はない。ただし、血管状構造の採用による効果を十分に得る観点からは、第3流路部13は、ある程度以上多く設けられていることが好ましい。
【0062】
ここで、
図6を参照しながら、第3流路部13の他の好ましい構成を説明する。
【0063】
第3流路部13の3つの部分p1、p2およびp3のうち、第3部分p3は、薄肉部2のもっとも先端側に位置しているので、薄肉部2の冷却にもっとも寄与する部分であり、また、もっとも熱を受けやすい部分である。
【0064】
冷却能力を高くする観点からは、薄肉部2の先端(表面)から第3流路部13の第3部分p3までの距離d1は、小さいことが好ましいといえる。
【0065】
第3部分p3の長さLは、冷却能力を高くする観点からは、ある程度以上大きいことが好ましい。また、熱媒体の温度の過度の上昇または低下(具体的には冷却用媒体の温度の過度の上昇や加温用媒体の温度の過度の低下)を抑制する観点からは、第3部分p3の長さLは、第1部分p1の長さおよび第2部分p2の長さのそれぞれよりも小さいことが好ましい。
【0066】
互いに隣接する第3流路部13間の距離d2に特に制限はない。
【0067】
[金型の他の構成]
図7を参照しながら、本実施形態の金型1の他の構成を説明する。
【0068】
図7に示す例では、第1流路部11が第2流路部12よりも上方に配置されている。つまり、下側から上側に向かって、第2流路部12、第1流路部11および第3流路部13がこの順に配置されている。
図7に示す例では、第1流路部11が複数の中実部11aを有しており、各第3流路部13は、第1流路部11の複数の中実部11aのいずれかを貫通している。
【0069】
図7に示した例においても、
図5に示した例と同様に、第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合っている構成を実現することができる。なお、
図5に示した例のように、第2流路部12が第1流路部11よりも上方に配置されている構成は、第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合う配置(直列配置)に好適に用いられる。直列配置の場合、第3流路部13を貫通させるために第2流路部12に中実部12aが設けられるので、中実部12aによって第2流路部12の断面積が減少するが、例示したように第2流路部12が第1流路部11よりも大径である場合、その影響が少ないからである。一方、
図7に示した例のように、第1流路部11が第2流路部12よりも上方に配置されている構成を採用する場合、第3流路部13を貫通させるために第1流路部11に中実部11aが設けられるので、そのことによる断面積の変動を考慮した形状設計を行うことが好ましい。
【0070】
(実施形態2)
図8から
図11を参照しながら、本実施形態における金型1Aを説明する。
図8は、金型1Aを示す斜視図であり、金型1Aの内部の熱媒体流路10を点線で併せて示している。
図9および
図10は、それぞれ金型1Aの熱媒体流路10を示す斜視図である。
図9は、
図8と同じ方向から見た図であり、
図10は、
図9とは異なる方向から見た図である。
図11は、熱媒体流路10の一部を拡大して示す図である。以下では、金型1Aが実施形態1における金型1と異なる点を中心に説明を行う。
【0071】
本実施形態の金型1Aは、
図8、
図9および
図10に示すように、熱媒体流路10と金型1Aの外部とを連通する複数の連通路20をさらに有する点において、実施形態1の金型1と異なる。複数の連通路20は、金型1Aの外部に対して開閉自在である。
【0072】
複数の連通路20のそれぞれは、複数の第3流路部13のそれぞれに対応して設けられている。具体的には、
図11に示すように、各連通路20の一端20aは、対応する第3流路部13の一端13aに第1流路部11を介して対向している。各連通路20は、Z方向に沿って延びている。
【0073】
図12(a)および(b)に、連通路20を金型1Aの外部に対して開閉するための具体的な構成の例を示す。例えば、
図12(a)に示すように、各連通路20の端部にボルト21をねじ込むことによって、連通路20が外部に対して閉じた状態(閉状態)を実現できる。一方、
図12(b)に示すように、各連通路20の端部からボルト21を取り外すことによって、連通路20が外部に対して開いた状態(開状態)を実現できる。この構成を採用する場合、各連通路20の内周面にはねじ溝が形成されている。
【0074】
なお、連通路20を金型1Aの外部に対して開閉するための構成は、
図12(a)および(b)に例示したものに限定されない。例えば、
図13(a)および(b)に示すような、Oリング23を用いる構成であってもよい。
図13(a)および(b)に示す構成では、連通路20の他端20bが他の部分よりも大径である大径部である。
図13(a)に示すように、大径部20b内にOリング23を配置し、大径部20bの上面20btと、大径部20bに対向する面24a(ここでは板状の蓋部材24の上面)とでOリング23を挟み込むことによって、連通路20が外部に対して閉じた状態(閉状態)を実現できる。一方、
図13(b)に示すように、連通路20の大径部20bからOリング23を取り出すことによって、連通路20が外部に対して開いた状態(開状態)を実現できる。
【0075】
既に説明したように、実施形態1の金型1は、付加製造技術により形成される。例えばレーザ焼結法を用いる場合、金属粉末を所定の厚さで層状に堆積する堆積工程と、堆積された金属粉末にレーザを照射して焼結させるレーザ照射工程とを交互に繰り返し行うことによって、熱媒体流路10を内部に含む金型1が形成される。実施形態1の金型1では、狭小流路である第3流路部13内に存在する未焼結の金属粉末を十分に排出することが難しいことがある。
【0076】
これに対し、本実施形態の金型1Aは、熱媒体流路10と金型1Aの外部とを連通する複数の連通路20を有しているので、開状態の連通路20を利用して未焼結の金属粉末を金型1Aの外部に排出することができる。例えば、各連通路20を介して対応する第3流路部13に気体を吹き込むことにより、第3流路部13内の金属粉末を容易に排出することができる。また、連通路20を利用して、各第3流路部13が閉塞していないことの確認(未閉塞確認)を行うこともできる。さらに、金型1Aのメンテナンス時に、連通路20を利用して(例えば連通路20を介して対応する第3流路部13に気体を吹き込むことにより)、異物を除去することも可能となる。なお、金型1Aの使用時には、複数の連通路20を閉状態としておけば、熱媒体流路部10による温度調節を問題なく行うことができるのはいうまでもない。
【0077】
[金型の他の構成]
図14、
図15および
図16を参照しながら、本実施形態の金型1Aの他の構成を説明する。
【0078】
図14に示す例では、熱媒体流路10と金型1Aの外部とを連通する複数のさらなる連通路22が設けられている。複数のさらなる連通路22は、複数の連通路20と同様、金型1Aの外部に対して開閉自在である。
【0079】
複数のさらなる連通路22のそれぞれは、複数の第3流路部13のそれぞれに対応して設けられている。ここで、連通路20を「第1連通路」と呼び、さらなる連通路22を「第2連通路」と呼ぶこととする。
【0080】
各第1連通路20の一端20aは、対応する第3流路部13の一端13aに第1流路部11を介して対向している。一方、各第2連通路22の一端22aは、対応する第3流路部13の他端13bに第2流路部12を介して対向している。図示している例では、第1流路部11が複数の中実部11aを有しており、各第2連通路22は、第1流路部11の複数の中実部11aのいずれかを貫通している。
【0081】
このように、
図14に示す例では、第3流路部13の一端13aに対応した第1連通路20が設けられているとともに、第3流路部13の他端13bに対応した第2連通路22が設けられている。そのため、第3流路部13内の未焼結の金属粉末を金型1Aの外部に排出する際に、第1連通路20だけでなく第2連通路22も利用することができる。なお、第2連通路22を開閉するための構成は、第1連通路20を開閉するための構成と同様であってよい。
【0082】
図15に示す例では、第1流路部11が第2流路部12よりも上方に配置されている。つまり、下側から上側に向かって、第2流路部12、第1流路部11および第3流路部13がこの順に配置されている。各連通路20の一端20aは、対応する第3流路部13の他端13bに第2流路部12を介して対向している。また、第1流路部11が複数の中実部11aを有しており、各第3流路部13は、第1流路部11の複数の中実部11aのいずれかを貫通している。
【0083】
図15に示した例においても、
図11に示した例と同様に、各連通路20を利用して未焼成の金属粉末を排出できるという効果を得ることができる。なお、
図11に示した例のように、第2流路部12が第1流路部11よりも上方に配置されている構成は、第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合う配置(直列配置)に好適に用いられる。直列配置の場合、第3流路部13を貫通させるために第2流路部12に中実部12aが設けられるので、中実部12aによって第2流路部12の断面積が減少するが、例示したように第2流路部12が第1流路部11よりも大径である場合、その影響が少ないからである。一方、
図15に示した例のように、第1流路部11が第2流路部12よりも上方に配置されている構成を採用する場合、第3流路部13を貫通させるために第1流路部11に中実部11aが設けられるので、そのことによる断面積の変動を考慮した形状設計を行うことが好ましい。
【0084】
図16に示す例は、熱媒体流路10と金型1Aの外部とを連通する複数のさらなる連通路22が設けられている点において、
図15に示した例と異なっている。複数のさらなる連通路22は、複数の連通路20と同様、金型1Aの外部に対して開閉自在である。
【0085】
複数のさらなる連通路22のそれぞれは、複数の第3流路部13のそれぞれに対応して設けられている。ここで、連通路20を「第1連通路」と呼び、さらなる連通路22を「第2連通路」と呼ぶこととする。
【0086】
各第1連通路20の一端20aは、対応する第3流路部13の他端13bに第2流路部12を介して対向している。一方、各第2連通路22の一端22aは、対応する第3流路部13の一端13aに第1流路部11を介して対向している。図示している例では、第2流路部12が複数の中実部12aを有しており、各第2連通路22は、第2流路部12の複数の中実部12aのいずれかを貫通している。
【0087】
このように、
図16に示す例では、第1連通路20だけでなく第2連通路22が設けられているので、第3流路部13内の未焼結の金属粉末を金型1Aの外部に排出する際に、第1連通路20だけでなく第2連通路22も利用することができる。
【0088】
(金型の製造方法)
実施形態1および2における金型1および1Aの製造方法を説明する。
【0089】
金型1および1Aは、付加製造技術を用いて形成される。付加製造技術としては、3Dプリンタを用いた種々の手法を用いることができ、例えば、レーザ焼結法を好適に用いることができる。
【0090】
金型1および1Aの製造方法は、具体的には、金属粉末を所定の厚さで層状に堆積する堆積工程と、堆積工程の後、堆積された金属粉末にレーザを照射して焼結させるレーザ照射工程とを包含する。堆積工程とレーザ照射工程とを交互に繰り返し行うことによって、熱媒体流路10を内部に含む金型1や、熱媒体流路10および複数の連通路20を内部に含む金型1Aを形成することができる。
【0091】
金属粉末としては、種々の金属粉末を用いることができ、例えばマルエージング鋼やSKD61相当鋼を好適に用いることができる。1回の堆積工程において堆積される金属粉末の厚さは、例えば30μm〜50μmである。
【0092】
レーザ照射工程において、熱媒体流路10や複数の連通路20となる領域には、レーザの照射が行われない。そのため、熱媒体流路10や複数の連通路20となる領域には、未焼結の金属粉末が存在している。
【0093】
実施形態2の金型1Aの製造方法は、さらに、粉末排出工程を包含してもよい。粉末排出工程は、堆積工程とレーザ照射工程とを交互に繰り返し行った後に行われる。粉末排出工程では、複数の連通路20を利用して未焼結の金属粉末を金型1Aの外部に排出する。粉末排出工程は、例えば、複数の連通路20を介して複数の第3流路部13に気体を吹き込む工程を含む。この工程は、例えば、各連通路20にエアパージ用のツール(エアダスターガン等)を挿入して行うことができる。
【0094】
なお、ここではレーザ焼結法を用いる場合を例示したが、レーザ溶融法を用いることもできる。レーザ溶融法を用いる場合、レーザ照射工程では、金属粉末は、レーザの照射により溶融する。また、粉末排出工程では、複数の連通路20を利用して未溶融の金属粉末が金型1Aの外部に排出される。
【0095】
(他の金型への適用)
上記の説明では、シリンダブロックの少なくとも一部を形成するための金型(薄肉部2がシリンダブロックのウォータージャケットに対応する部分である金型)1および1Aを例示したが、本発明の実施形態は、このような金型に限定されるものではない。本発明の実施形態は、薄肉部を有する金型に広く用いることができ、例えば、水冷式モーターのウォータージャケットを形成するための金型にも好適に用いることができる。また、本発明の実施形態は、薄肉部の厚さが約10mm以下の場合に特に好適に用いることができる。
【0096】
なお、これまでの説明では、金型1および1Aが、熱媒体流路10、媒体導入口4および媒体排出口5のセットを1つだけ含む構成を例示したが、金型1および1Aの大きさや用途等によっては、金型1および1Aがこれらのセットを複数含んでいてもよい。
【0097】
上述したように、本発明の実施形態による金型1、1Aは、付加製造技術により形成された金型1、1Aであって、金型内部に設けられ、熱媒体が流れる熱媒体流路10と、前記熱媒体が金型内部に導入される媒体導入口4と、前記熱媒体が金型外部に排出される媒体排出口5と、を有し、前記熱媒体流路10は、前記媒体導入口4から連続するように形成された第1流路部11と、前記媒体排出口5に連続するように形成された第2流路部12と、それぞれが前記第1流路部11および前記第2流路部12よりも小径である複数の第3流路部13であって、それぞれの一端13aが前記第1流路部11に接続されるとともにそれぞれの他端13bが前記第2流路部12に接続された複数の第3流路部13と、を含み、前記第1流路部11または前記第2流路部12は、複数の中実部11a、12aを有し、前記複数の第3流路部13のそれぞれは、前記複数の中実部11a、12aのいずれかを貫通している。
【0098】
本発明の実施形態による金型1、1Aでは、熱媒体流路10は、媒体導入口4から連続するように形成された第1流路部11と、媒体排出口5に連続するように形成された第2流路部12と、それぞれの一端13aおよび他端13bがそれぞれ第1流路部11および第2流路部12に接続された比較的小径(第1流路部11および第2流路部12よりも径が小さい)の複数の第3流路部13とを含んでいる。比較的小径の第3流路部13が複数設けられる(つまり複数の狭小流路が並列配置される)ことにより、1本の流路を長く引き回す場合とは異なり、圧力損失によって熱媒体が流れにくくなることを防止でき、また、熱媒体の温度が上がりすぎたり下がりすぎたりすることを防止できる。また、流路抵抗の低減を図ったり、流路表面積の拡大により熱交換効率の向上を図ったり、より均一な温度分布を実現したりすることができる。また、単に狭小流路を多数設けると、熱媒体の入口および出口もそれに対応して多数設ける必要があるが、本発明の実施形態のように、比較的大径の(第3流路部13よりも径が大きい)第1流路部11および第2流路部12に複数の第3流路部13を接続することにより、熱媒体の入口および出口を少なくする(例えば媒体導入口4および媒体排出口5をそれぞれ1つだけ設ける)ことができる。このように、本発明の実施形態によれば、熱媒体流路10による温度制御を好適に行うことができる。また、本発明の実施形態による金型1、1Aでは、第1流路部11または第2流路部12が複数の中実部11a、12aを有しており、複数の第3流路部13のそれぞれが第1流路部11または第2流路部12の中実部11a、12aを貫通しているので、第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合っている構成を実現することができる。
【0099】
ある実施形態において、前記第1流路部11、前記第2流路部12および前記複数の第3流路部13は、ある方向から見たときに互いに重なり合っている。
【0100】
第1流路部11、第2流路部12および複数の第3流路部13が互いに重なり合う(いわば直列配置される)ことにより、熱媒体流路10全体のスペースを小さくすることができ、比較的狭い領域(例えば薄肉部およびその近傍)に熱媒体流路10を配置することが容易となる。
【0101】
ある実施形態において、前記複数の第3流路部13のそれぞれは、略U字状である。
【0102】
複数の第3流路部13のそれぞれは、好ましくは、略U字状である。略U字状の第3流路部13は、第1流路部11および第2流路部12からそれぞれある方向に延びる第1部分p1および第2部分p2と、第1部分p1の先端から第2部分p2の先端までその方向に略直交する方向に延びる第3部分p3とを含む。第3部分p3の長さLは、第1部分p1の長さおよび第2部分p2の長さのそれぞれよりも小さいことが好ましい。
【0103】
ある実施形態において、前記第2流路部12は、前記第1流路部11よりも大径である。
【0104】
熱媒体の外部への排出を好適に行う観点からは、第2流路部12が第1流路部11よりも大径であることが好ましい。
【0105】
ある実施形態において、前記第2流路部12が前記複数の中実部12aを有しており、前記複数の第3流路部13のそれぞれは、前記第2流路部12の前記複数の中実部12aのいずれかを貫通している。
【0106】
ある実施形態において、前記第1流路部11が前記複数の中実部11aを有しており、前記複数の第3流路部13のそれぞれは、前記第1流路部11の前記複数の中実部11aのいずれかを貫通している。
【0107】
ある実施形態において、本発明による金型1、1Aは、他の部分の少なくとも一部より厚さが小さい薄肉部2を含み、前記複数の第3流路部13のそれぞれは、前記薄肉部2内に位置する部分を含む。
【0108】
本発明の実施形態は、薄肉部2を含む金型1、1Aに好適に用いられる。薄肉部2を含む金型1、1Aでは、複数の第3流路部13のそれぞれは、薄肉部2内に位置する部分を含むように配置される。
【0109】
ある実施形態において、本発明による金型1、1Aは、シリンダブロックの少なくとも一部を形成するための金型であって、前記薄肉部2は、前記シリンダブロックのウォータージャケットに対応する部分である。
【0110】
本発明の実施形態は、シリンダブロックの少なくとも一部を形成するための金型1、1Aに好適に用いられる。そのような金型1、1Aにおいて、薄肉部2は、シリンダブロックのウォータージャケットに対応する部分であってよい。
【0111】
ある実施形態において、本発明による金型1Aは、前記熱媒体流路10と金型外部とを連通する複数の連通路20であって、金型外部に対して開閉自在な複数の連通路20をさらに有し、前記複数の連通路20のそれぞれは、前記複数の第3流路部13のそれぞれに対応して設けられており、前記複数の連通路20のそれぞれの一端20aは、対応する第3流路部13の前記一端13aに前記第1流路部11を介して対向しているか、または、対応する第3流路部13の前記他端13bに前記第2流路部12を介して対向している。
【0112】
金型1Aが、熱媒体流路10と金型外部とを連通する複数の連通路20を有していると、開状態の連通路20を利用して未焼結(または未溶融)の金属粉末を金型1Aの外部に排出することができる。例えば、各連通路20を介して対応する第3流路部13に気体を吹き込むことにより、第3流路部13内の金属粉末を容易に排出することができる。また、連通路20を利用して、各第3流路部13が閉塞していないことの確認(未閉塞確認)を行うこともできる。さらに、金型1Aのメンテナンス時に、連通路20を利用して(例えば連通路20を介して対応する第3流路部13に気体を吹き込むことにより)、異物を除去することも可能となる。
【0113】
ある実施形態において、前記複数の連通路20のそれぞれの一端20aは、対応する第3流路部13の前記一端13aに前記第1流路部11を介して対向している。
【0114】
ある実施形態において、前記複数の連通路20のそれぞれの一端20aは、対応する第3流路部13の前記他端13bに前記第2流路部12を介して対向している。
【0115】
ある実施形態において、本発明による金型1Aは、前記熱媒体流路10と金型外部とを連通する複数のさらなる連通路22であって、金型外部に対して開閉自在な複数のさらなる連通路22を有し、前記複数のさらなる連通路22のそれぞれは、前記複数の第3流路部13のそれぞれに対応して設けられており、前記複数の連通路20を複数の第1連通路と呼び、前記複数のさらなる連通路22を第2連通路と呼ぶとすると、(A)前記複数の第1連通路20のそれぞれの一端20aが、対応する第3流路部13の前記一端13aに前記第1流路部11を介して対向しており、且つ、前記複数の第2連通路22のそれぞれの一端22aが、対応する第3流路部13の前記他端13bに前記第2流路部12を介して対向している、または、(B)前記複数の第1連通路20のそれぞれの一端20aが、対応する第3流路部13の前記他端13bに前記第2流路部12を介して対向しており、且つ、前記複数の第2連通路22のそれぞれの一端22aが、対応する第3流路部13の前記一端13aに前記第1流路部11を介して対向している。
【0116】
金型1Aが、複数の連通路(第1連通路)20に加え、複数のさらなる連通路(第2連通路)22を有していることにより、第3流路部13内の未焼結(または未溶融)の金属粉末を金型1Aの外部に排出する際に、第1連通路20だけでなく第2連通路22も利用することができる。
【0117】
本発明の実施形態による金型1、1Aの製造方法は、上述したいずれかの構成を有する金型1、1Aの製造方法であって、金属粉末を所定の厚さで層状に堆積する堆積工程と、前記堆積工程の後、堆積された前記金属粉末にレーザを照射して焼結または溶融させるレーザ照射工程と、を包含し、前記堆積工程と前記レーザ照射工程とを交互に繰り返し行うことによって、前記熱媒体流路10を内部に含む前記金型が形成される。
【0118】
本発明の実施形態による金型1、1Aの製造方法は、堆積工程とレーザ照射工程とを交互に繰り返し行うことによって、熱媒体流路10を内部に含む金型1、1Aを好適に形成することができる。