(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一底面部と前記第二底面部とが前記幅方向に並ぶように前記第一内側挟持部材と前記第二内側挟持部材とが組み合わされた際に、前記第一内側挟持部材の前記第一上面部の幅方向内側端部と前記第二内側挟持部材の前記凸状部の幅方向内側側面とが接触することを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル固定部材。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、図面において、矢印Wは太陽光パネル固定部材及び太陽光パネルの固定構造の幅方向を示し、矢印Dは太陽光パネル固定部材及び太陽光パネルの固定構造の奥行き方向を示し、矢印Hは太陽光パネル固定部材及び太陽光パネルの固定構造の高さ方向を示す。
【0012】
〔太陽光パネル固定部材〕
図1から
図3に示す太陽光パネル固定部材(以下、単に「固定部材」という。)10は、太陽光パネル2を構造物の屋根3に固定するための固定部材である。
【0013】
図1及び
図3に示すように、前述の構造物の屋根3は、例えば折板屋根であり、このような屋根3には、ハゼ部とも称される突起部4が設けられる。なお、屋根3及び突起部4は、折板屋根及び折板屋根に形成されるハゼ部には限定はされず、同様の構造を持つものであればよい。
【0014】
図1から
図3に示すように、固定部材10は、屋根3の突起部4を幅方向Wの両側から挟み込んで支持する内側挟持部材11と、内側挟持部材11を幅方向Wの両側から挟み込んで支持する外側挟持部材12と、を備える。
【0015】
内側挟持部材11は、屋根3の突起部4を間に挟んで配置される一対の挟持部材である第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14を有して構成される。
【0016】
図4及び
図5に示すように、第一内側挟持部材13は、第一上面部15と、第一上面部15の幅方向外側端部15aから下方に延在する第一側面部16とを有する。また、第一内側挟持部材13は、第一側面部16の下端部16aから幅方向Wの内側へと水平方向に延在する第一底面部17を有する。
【0017】
第一内側挟持部材13の第一上面部15に、上下方向に貫通する第一ボルト孔18が形成される。第一ボルト孔18は、幅方向Wに沿って長く形成される長穴形状に形成される。
【0018】
第一内側挟持部材13は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。また、第一内側挟持部材13は、比較的厚肉に形成されており、各部位の厚さが例えば5mm〜10mm程度とされる。
【0019】
図6及び
図7に示すように、第二内側挟持部材14は、第一内側挟持部材13の第一上面部15の下に重ねられる第二上面部19と、第二上面部19の幅方向外側端部19aから下方に延在する第二側面部20とを有する。また、第二内側挟持部材14は、第二側面部20の下端部20aから幅方向Wの内側へと水平方向に延在する第二底面部21を有する。
【0020】
第二内側挟持部材14の第二上面部19に、上下方向に貫通する第二ボルト孔22が形成される。第二ボルト孔22は、丸穴形状に形成される。
【0021】
第二内側挟持部材14は、第二上面部19の幅方向外側端部19aから上方に延在する凸状部23と、第二上面部19の幅方向内側端部19bから下方に延在する垂下部24とを有する。また、第二内側挟持部材14は、第二上面部19の幅方向外側端部19aから下方に延在する突起部25を有する。
【0022】
後述するボルト26が四角ボルト若しくは六角ボルトであり、第二内側挟持部材14における垂下部24と突起部25との間の間隔が、ボルト26の二面幅よりも広く、ボルト26の対角距離よりも狭くなっている。このように構成することにより、第二内側挟持部材14の垂下部24及び突起部25は、ボルト26の回転を規制する回転止めとして機能する。
【0023】
第二内側挟持部材14は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。また、第二内側挟持部材14は、比較的厚肉に形成されており、各部位の厚さが例えば5mm〜10mm程度とされる。
【0024】
図1及び
図3に示すように、第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とは、第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21とが幅方向W(水平方向)に並ぶように組み合わされる。このように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一上面部15と第二内側挟持部材14の第二上面部19との間に隙間27が生じる。
【0025】
本実施形態では、第二内側挟持部材14の第二上面部19の上面に、幅方向W(水平方向)に対して傾斜する傾斜面28を形成することにより、前述の隙間27が生じる。
【0026】
本実施形態とは異なり、第一内側挟持部材13の第一上面部15の下面に、幅方向W(水平方向)に対して傾斜する傾斜面を形成することにより、前述の隙間27が生じるようにしてもよい。
【0027】
前述のように、第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とは、第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21とが幅方向W(水平方向)に並ぶように組み合わされる。このように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一上面部15の幅方向内側端部15bと第二内側挟持部材14の凸状部23の幅方向内側側面23aとが接触する。さらに、第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一側面部16の幅方向内側側面16bと第二内側挟持部材14の垂下部24の幅方向外側側面24aとが接触する。第一側面部16の幅方向内側側面16bに対する垂下部24の幅方向外側側面24aの接触は、少なくとも一部であればよく、幅方向外側側面24aの全部であってもよいし、幅方向外側側面24aの一部であってもよい。
【0028】
第一内側挟持部材13の第一側面部16と第二内側挟持部材14の第二側面部20との間の間隔は、上方から下方に向かうに従い広くなる。
【0029】
すなわち、第一内側挟持部材13の第一側面部16は、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの外側へ傾斜する形状とされる。一方、第二内側挟持部材14の第二側面部20も、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの外側へ傾斜する形状とされる。
【0030】
図8及び
図9に示すように、外側挟持部材12は、外側上面部29と、外側上面部29の幅方向両側端部29a,29aから下方に延在する一対の外側側面部30,30とを有する。また、外側挟持部材12は、外側側面部30の下端部30aに形成され、第一内側挟持部材13の第一側面部16又は第二内側挟持部材14の第二側面部20に幅方向Wの外側から接触する接触部31を有する。接触部31は、幅方向Wの内側に凸となる曲面形状に形成される。
【0031】
外側挟持部材12の外側上面部29に、上下方向に貫通する外側ボルト孔32が形成される。外側ボルト孔32は、丸穴形状に形成される。
【0032】
一対の外側側面部30,30の各外側側面部30は、上側側面部33と、下側側面部34とを有する。上側側面部33は、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの外側へ傾斜する形状とされる。下側側面部34は、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの内側へ傾斜する形状とされる。
【0033】
外側挟持部材12は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。また、外側挟持部材12は、比較的厚肉に形成されており、各部位の厚さが例えば5mm〜10mm程度とされる。なお、外側挟持部材12の奥行き方向Dの長さは、内側挟持部材11の奥行き方向Dの長さよりも長いことが好ましい。
【0034】
〔太陽光パネルの固定構造〕
図1から
図3に示す太陽光パネル2の固定構造1は、太陽光パネル2を構造物の屋根3に取り付けるための固定構造である。
【0035】
図1から
図3に示すように、太陽光パネル2の固定構造1は、前述の固定部材10と、ボルト26と、ナット35と、カラー36と、太陽光パネル保持部材37とを備える。
【0036】
カラー36は、外側挟持部材12の外側上面部29と第一内側挟持部材13の第一上面部15との間に配置されて、カラー36に形成されたカラー側ボルト孔38に、ボルト26が挿通される。カラー36は、外側挟持部材12の外側上面部29と第一内側挟持部材13の第一上面部15との間の間隔を規定する機能を有する。
【0037】
太陽光パネル保持部材37は、外側挟持部材12の外側上面部29の上に重ねられて載置される載置部39と、太陽光パネル2の外縁部を保持する逆向きL字状の保持部40とを有する。この太陽光パネル保持部材37は、保持部40と外側挟持部材12の外側上面部29との間に太陽光パネル2を挟み込んで保持する。
【0038】
太陽光パネル保持部材37の載置部39に、上下方向に貫通する保持部材ボルト孔41が形成される。保持部材ボルト孔41は、丸穴形状に形成される。
【0039】
先ず、ボルト26が、第二内側挟持部材14の第二ボルト孔22、第一内側挟持部材13の第一ボルト孔18、カラー36のカラー側ボルト孔38、外側挟持部材12の外側ボルト孔32、太陽光パネル保持部材37の保持部材ボルト孔41の順に挿通される。すなわち、下方から順に、第二内側挟持部材14の第二上面部19、第一内側挟持部材13の第一上面部15、カラー36、外側挟持部材12の外側上面部29、太陽光パネル保持部材37の載置部39が重ねられる。そして、ボルト26が下方から、各部材の各ボルト孔(第二ボルト孔22、第一ボルト孔18、カラー側ボルト孔38、外側ボルト孔32、保持部材ボルト孔41)に挿通される。
【0040】
第一内側挟持部材13の第一上面部15と第二内側挟持部材14の第二上面部19との間に生じる隙間27を閉じることにより、対になる第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21との間の間隔が広くなる。これにより、第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21との間に、屋根3の突起部4を挟み込むことが可能になる。
【0041】
次いで、対になる第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21とで屋根3の突起部4を挟み込み、ボルト26の上端にナット35が締め付けられることにより、外側挟持部材12が下降される。
【0042】
すなわち、ボルト26が各ボルト孔(18,22,32,38,41)に挿通された状態で、ボルト26の先端にナット35が締め付けられることにより、外側挟持部材12の外側上面部29と、第一内側挟持部材13の第一上面部15との間の間隔が狭められる。これにより、対になる第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが屋根3の突起部4を幅方向Wの両側から挟み込み、さらに、外側挟持部材12が対になる第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14を幅方向Wの両側から挟み込む。
【0043】
また、カラー36が外側挟持部材12の外側上面部29と第一内側挟持部材13の第一上面部15との間に配置されているため、外側挟持部材12が必要以上に下降されることが抑制され、固定部材10による適切な固定強度を得ることが可能になる。
【0044】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0045】
(1)本実施形態に係る固定部材10は、屋根3の突起部4を幅方向Wの両側から挟み込んで支持する内側挟持部材11と、内側挟持部材11を幅方向Wの両側から挟み込んで支持する外側挟持部材12と、を備える。内側挟持部材11は、屋根3の突起部4を間に挟んで配置される第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14を有して構成される。第一内側挟持部材13は、第一上面部15と、第一上面部15の幅方向外側端部15aから下方に延在する第一側面部16とを有する。また、第一内側挟持部材13は、第一側面部16の下端部16aから幅方向Wの内側に延在する第一底面部17を有する。第二内側挟持部材14は、第一内側挟持部材13の第一上面部15の下に重ねられる第二上面部19と、第二上面部19の幅方向外側端部19aから下方に延在する第二側面部20とを有する。また、第二内側挟持部材14は、第二側面部20の下端部20aから幅方向Wの内側に延在する第二底面部21を有する。第一底面部17と第二底面部21とが幅方向Wに並ぶように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一上面部15と第二内側挟持部材14の第二上面部19との間に隙間27が生じる。
【0046】
第一内側挟持部材13の第一上面部15と第二内側挟持部材14の第二上面部19との間に生じる隙間27を閉じることにより、対になる第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21との間の間隔が広くなる。これにより、第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21との間に、屋根3の突起部4を挟み込むことが可能になる。
【0047】
対になる第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21とで屋根3の突起部4を挟み込み、ボルト26の上端にナット35が締め付けられることにより、外側挟持部材12が下降される。これにより、固定部材10による固定強度(内側挟持部材11の挟持強度)が増加される。
【0048】
以上要するに、本実施形態によれば、太陽光パネル2を構造物の屋根3に対してより強固に固定する固定部材10を提供することが可能となる。
【0049】
(2)第二内側挟持部材14は、第二上面部19の幅方向外側端部19aから上方に延在する凸状部23と、第二上面部19の幅方向内側端部19bから下方に延在する垂下部24とを有する。第一底面部17と第二底面部21とが幅方向Wに並ぶように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一側面部16の幅方向内側側面16bと第二内側挟持部材14の垂下部24の幅方向外側側面24aの全部又は一部とが接触する。
【0050】
対になる第一内側挟持部材13の第一側面部16の幅方向内側側面16bと第二内側挟持部材14の垂下部24の幅方向外側側面24aとが面接触で接触されるため、固定部材10による高い固定強度を発揮することが可能になる。垂下部24の幅方向外側側面24aの少なくとも一部が第一側面部16の幅方向内側側面16bと接触していれば、当該効果を発揮することが可能である。
【0051】
(3)第一底面部17と第二底面部21とが幅方向Wに並ぶように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一上面部15の幅方向内側端部15bと第二内側挟持部材14の凸状部23の幅方向内側側面23aとが接触する。
【0052】
対になる第一内側挟持部材13の第一上面部15の幅方向内側端部15bと第二内側挟持部材14の凸状部23の幅方向内側側面23aとが接触されて、第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14が、これら部材間の接触部分を支点として相対的に回動し得る。このため、第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とによって屋根3の突起部4を挟み込む作業を安定的に行うことが可能である。
【0053】
(4)第一内側挟持部材13の第一側面部16と第二内側挟持部材14の第二側面部20との間の間隔が、上方から下方に向かうに従い広くなる。
【0054】
外側挟持部材12の外側上面部29と第一内側挟持部材13の第一上面部15とを近付けることにより、固定部材10による固定強度(内側挟持部材11の挟持強度)を増加させることが可能である。
【0055】
(5)外側挟持部材12は、外側上面部29と、外側上面部29の幅方向両側端部29a,29aから下方に延在する一対の外側側面部30,30とを有する。また、外側挟持部材12は、外側側面部30の下端部30aに形成され、第一内側挟持部材13の第一側面部16又は第二内側挟持部材14の第二側面部20に幅方向Wの外側から接触する接触部31を有する。接触部31は、幅方向Wの内側に凸となる曲面形状に形成される。
【0056】
外側挟持部材12の接触部31が幅方向Wの内側に凸となる曲面形状に形成されることにより、外側挟持部材12の接触部31のおける第一内側挟持部材13の第一側面部16又は第二内側挟持部材14の第二側面部20に対する摺動を円滑に行うことが可能である。
【0057】
(6)外側挟持部材12、第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。
【0058】
これにより、これらの各部材(外側挟持部材12、第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14)を鋼材からなるものとした場合と比較すると、固定部材10の全体を軽量化することが可能になる。また、これらの各部材(外側挟持部材12、第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14)の寸法精度を高めることができ、固定部材10を用いた固定を容易且つ正確に行うことができると共に、優れた耐食性及び外観を得ることができる。
【0059】
(7)本実施形態に係る太陽光パネル2の固定構造1は、太陽光パネル2を構造物の屋根3に固定する固定部材10を備える。固定部材10は、屋根3の突起部4を幅方向Wの両側から挟み込んで支持する内側挟持部材11と、内側挟持部材11を幅方向Wの両側から挟み込んで支持する外側挟持部材12とを有する。内側挟持部材11は、屋根3の突起部4を間に挟んで配置される第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14を有して構成される。第一内側挟持部材13は、第一上面部15と、第一上面部15の幅方向外側端部15aから下方に延在する第一側面部16とを有する。また、第一内側挟持部材13は、第一側面部16の下端部16aから幅方向Wの内側に延在する第一底面部17を有する。第二内側挟持部材14は、第一内側挟持部材13の第一上面部15の下に重ねられる第二上面部19と、第二上面部19の幅方向外側端部19aから下方に延在する第二側面部20とを有する。また、第二内側挟持部材14は、第二側面部20の下端部20aから幅方向Wの内側に延在する第二底面部21を有する。第一底面部17と第二底面部21とが幅方向Wに並ぶように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に、第一内側挟持部材13の第一上面部15と第二内側挟持部材14の第二上面部19との間に隙間27が生じる。外側挟持部材12は、外側上面部29と、外側上面部29の幅方向両側端部29a,29aから下方に延在する一対の外側側面部30,30とを有する。また、外側挟持部材12は、外側側面部30の下端部30aに形成され、第一内側挟持部材13の第一側面部16又は第二内側挟持部材14の第二側面部20に幅方向Wの外側から接触する接触部31を有する。外側挟持部材12の外側上面部29に、上下方向に貫通する外側ボルト孔32が形成される。また、第一内側挟持部材13の第一上面部15に、上下方向に貫通する第一ボルト孔18が形成される。さらに、第二内側挟持部材14の第二上面部19に、上下方向に貫通する第二ボルト孔22が形成される。
【0060】
このように太陽光パネル2の固定構造1を構成するにあたり、外側挟持部材12、第一内側挟持部材13及び第二内側挟持部材14を、ボルト26及びナット35を用いて仮固定した状態で出荷若しくは搬送し、現場で太陽光パネル2を順次固定することが可能である。
【0061】
また、第一内側挟持部材13の第一上面部15と第二内側挟持部材14の第二上面部19との間に生じる隙間27を閉じることにより、対になる第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21との間の間隔が広くなる。これにより、第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21との間に、屋根3の突起部4を挟み込むことが可能になる。
【0062】
さらに、対になる第一内側挟持部材13の第一底面部17と第二内側挟持部材14の第二底面部21とで屋根3の突起部4を挟み込み、ボルト26の上端にナット35が締め付けられることにより、外側挟持部材12が下降される。これにより、固定部材10による固定強度(内側挟持部材11の挟持強度)が増加される。
【0063】
以上要するに、本実施形態によれば、太陽光パネル2を構造物の屋根3に対してより強固に固定する太陽光パネル2の固定構造1を提供することが可能となる。
【0064】
[他の実施形態]
次に、
図10から
図18を参照して他の実施形態について説明するが、前述の実施形態と同一構造部位には同一符号を付けて説明を省略する。
【0065】
図13及び
図14に示すように、第一内側挟持部材13の第一側面部16の幅方向内側側面16bは、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの外側へ傾斜する形状とされている。また、第一内側挟持部材13の第一側面部16の幅方向外側側面16cは、幅方向Wの内側に凹むように湾曲している。さらに、第一内側挟持部材13の第一底面部17の幅方向Wの端面には、凸部51が形成されている。
【0066】
図15及び
図16に示すように、第二内側挟持部材14の第二側面部20の幅方向内側側面20bは、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの外側へ傾斜する形状とされる。また、第二内側挟持部材14の第二側面部20の幅方向外側側面20cは、幅方向Wの内側に凹むように湾曲している。さらに、第二内側挟持部材14の第二底面部21の幅方向Wの端面には、第一底面部17と第二底面部21とが幅方向Wに並ぶように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に凸部51と嵌め合うことが可能な凹部52が形成されている。
【0067】
また、第二内側挟持部材14の凸状部23は、主に第二内側挟持部材14の軽量化のために薄肉化がなされており、凸状部23の幅方向外側側面23bと第二側面部20の幅方向外側側面20cとの間には、段差部20dが形成されている。
【0068】
なお、
図10から
図18に示す実施形態には限定はされず、第一内側挟持部材13の第一底面部17の幅方向Wの端面に、凹部52(
図15及び
図16参照)が形成され、第二内側挟持部材14の第二底面部21の幅方向Wの端面に、凹部52と嵌め合うことが可能な凸部51(
図13及び
図14参照)が形成されていてもよい。
【0069】
図17及び
図18に示すように、外側挟持部材12における一対の外側側面部30,30の各外側側面部30は、上方から下方に向かうに従って幅方向Wの外側へ傾斜する形状とされる。また、外側挟持部材12の外側上面部29の下面には、外側ボルト孔32を間に挟むようにして幅方向Wに一対の突起部53,53が形成されている。一対の突起部53,53の各突起部53は、奥行き方向Dへ連続して延在するように形成されている。外側挟持部材12の一対の突起部53,53は、内側挟持部材11に対する外側挟持部材12の固定の際の下方移動を所定位置までに規制する移動規制として機能する。
【0070】
図10から
図12に示すように、導通部材54が、外側挟持部材12の外側上面部29の上面に配置されて、太陽光パネル保持部材37と外側挟持部材12との間に挟み込まれている。この導通部材54により、太陽光パネル2と外側挟持部材12とが導通(電気的に接続)され、太陽光パネル2の帯電を防止することが可能となる。
【0071】
以下に、
図10から
図18に示す実施形態による作用効果を説明する。
【0072】
(1)
図10から
図18に示す実施形態に係る固定部材10Aでは、第一内側挟持部材13の第一側面部16の幅方向外側側面16c及び第二内側挟持部材14の第二側面部20の幅方向外側側面20cは、幅方向Wの内側に凹むように湾曲している。
【0073】
第一側面部16及び第二側面部20の肉厚を薄くすることにより、固定部材10Aの製造コストを低減することが可能である。また、ボルト26及びナット35を用いて内側挟持部材11と外側挟持部材12とを締結する際に、内側挟持部材11に対して外側挟持部材12を下方へスライド移動し易くすることが可能である。このため、内側挟持部材11への外側挟持部材12の取り付けが比較的容易となり、同様に、内側挟持部材11からの外側挟持部材12の取り外しも比較的容易となる。
【0074】
(2)
図10から
図18に示す実施形態に係る固定部材10Aでは、第一底面部17の端面及び第二底面部21の端面の内の一方は、凹部52を有する。第一底面部17の端面及び第二底面部21の端面の内の他方は、第一底面部17と第二底面部21とが幅方向Wに並ぶように第一内側挟持部材13と第二内側挟持部材14とが組み合わされた際に凹部52と嵌め合うことが可能な凸部51を有する。
【0075】
屋根3の突起部4を第一底面部17と第二底面部21とによって挟持する際に、突起部4を凸部51と凹部52とによって塑性変形させて挟み込むことにより、固定部材10Aによる固定強度(内側挟持部材11の挟持強度)を向上させることが可能である。
【0076】
(3)
図10から
図18に示す実施形態に係る固定部材10Aでは、外側挟持部材12の外側上面部29に、上下方向に貫通する外側ボルト孔32が形成されている。外側挟持部材12の外側上面部29の下面には、外側ボルト孔32を間に挟むようにして幅方向Wに一対の突起部53,53が形成されている。
【0077】
外側挟持部材12の外側上面部29の下面に一対の突起部53,53が形成されることにより、外側挟持部材12の接触部31が内側挟持部材11の下端よりも下方へ沈み込むことを抑制することができる。これにより、ボルト26及びナット35を用いて内側挟持部材11と外側挟持部材12とを締結した際に、外側挟持部材12が下方へスライド移動し、接触部31が内側挟持部材11の下端よりも下方へ沈み込むと、外側挟持部材12の取り外しが困難になる、という状況の発生を抑制することが可能である。
【0078】
[更なる他の実施形態]
次に、
図19および
図20を参照して更なる他の実施形態について説明するが、前述の実施形態と同一構造部位には同一符号を付けて説明を省略する。
【0079】
図19および
図20に示すように、二つの内側挟持部材11が、屋根3の突起部4の延設方向(奥行き方向D)に間隔をおいて配置され、一つの外側挟持部材12が、これら二つの内側挟持部材11を跨ぐように装着される。なお、並設される内側挟持部材11の数量は、「二つ」には限定はされず、「三つ以上」であってもよい。すなわち、複数の内側挟持部材11が、屋根3の突起部4の延設方向(奥行き方向D)に間隔をおいて配置され、一つの外側挟持部材12が、複数の内側挟持部材11間を架け渡して設けられる。
【0080】
図19および
図20に示す実施形態の場合には、挟持部材12の奥行き方向Dの長さは、二つ分の内側挟持部材11の奥行き方向Dの長さと、二つの内側挟持部材11間の奥行き方向Dの間隔とを足し合わせた長さ以上であることが好ましい。
【0081】
図19および
図20に示す実施形態によれば、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0082】
ところで、本発明の太陽光パネル固定部材、及び太陽光パネルの固定構造は前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。