(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771711
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】地上ベースの衛星アンテナ・ポインティング・システム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/10 20060101AFI20201012BHJP
H01Q 3/02 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
H04B7/10 A
H01Q3/02
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-517525(P2016-517525)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-533657(P2016-533657A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】US2014057623
(87)【国際公開番号】WO2015088627
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年8月14日
(31)【優先権主張番号】61/882,690
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/496,071
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598174370
【氏名又は名称】ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、フイウェン
(72)【発明者】
【氏名】ケース、ジョージ
【審査官】
原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−276934(JP,A)
【文献】
特開平11−038112(JP,A)
【文献】
米国特許第06346912(US,B1)
【文献】
特開昭59−049028(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0179137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02
H01Q 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星の衛星アンテナにおける該衛星アンテナと受信局との間のポインティング誤差を決定するための方法であって、
衛星から送信されるポインティング誤差信号を受信局において受信する工程であって、前記ポインティング誤差信号は第1のビーコン信号と、変調されている第2のビーコン信号とを含み、前記第1のビーコン信号および前記変調されている第2のビーコン信号は、前記第1のビーコン信号と前記変調されている第2のビーコン信号との間の相対的関係が送信中に維持されるように、前記衛星から第1の周波数によりアンテナの1つのフィード・ホーンから同時に送信され、前記アンテナの前記1つのフィード・ホーンは、前記第1のビーコン信号を送信するための和ポートと、前記変調されている第2のビーコン信号を送信するための差動ポートとを備える、工程と、
受信した前記ポインティング誤差信号を復調して、前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号を復元する工程と、
前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号に少なくとも部分的に基づいてポインティング誤差を決定するポインティング誤差決定工程と、を備え、
前記ポインティング誤差決定工程は、
前記変調されている第2のビーコン信号の大きさを前記第1のビーコン信号の大きさと比較することと、
前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号のうちの少なくとも一方の位相を決定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ポインティング誤差に基づいて制御信号を決定する工程と、
前記制御信号を前記衛星に送信する工程であって、前記制御信号は前記衛星アンテナの向きを修正するコマンドを含む工程と、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調されている第2のビーコン信号の前記大きさを前記第1のビーコン信号の前記大きさと比較することは、前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号の大きさにおける差を取ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポインティング誤差決定工程は、
決定した前記位相に基づいて前記ポインティング誤差の方向を決定することと、
前記変調されている第2のビーコン信号の前記大きさと前記第1のビーコン信号の前記大きさとの前記比較の結果に基づいて前記ポインティング誤差の大きさを決定することと、をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号のうちの少なくとも一方は、前記衛星アンテナのボアサイト軸に沿って実質的にゼロの大きさを有し、前記衛星アンテナの前記ボアサイト軸を離れると実質的に非ゼロの大きさを有するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記変調されている第2のビーコン信号は、位相変調、周波数変調、及び振幅変調のうちの1つを使用して変調される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変調されている第2のビーコン信号は、第1の位相角及び第2の位相角を使用して変調される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の位相角は0度であり、前記第2の位相角は180度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポインティング誤差信号は、空間領域において前記第1のビーコン信号と、前記変調されている第2のビーコン信号とを合成することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
衛星の衛星アンテナにおける該衛星アンテナと受信局との間のポインティング誤差を決定するためのシステムであって、
衛星と通信状態にあり、前記衛星から送信されるポインティング誤差信号を受信するように構成されている受信機であって、前記ポインティング誤差信号は第1のビーコン信号と、変調されている第2のビーコン信号とを含み、前記第1のビーコン信号および前記変調されている第2のビーコン信号は、前記第1のビーコン信号と前記変調されている第2のビーコン信号との間の相対的関係が送信中に維持されるように、前記衛星から第1の周波数によりアンテナの1つのフィード・ホーンから同時に送信され、前記アンテナの前記1つのフィード・ホーンは、前記第1のビーコン信号を送信するための和ポートと、前記変調されている第2のビーコン信号を送信するための差動ポートとを備える、受信機と、
制御回路であって、
受信した前記ポインティング誤差信号を復調して、前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号を復元し、
前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号に少なくとも部分的に基づいてポインティング誤差を決定するように構成されている、制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記変調されている第2のビーコン信号の大きさを前記第1のビーコン信号の大きさと比較することと、
前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号のうちの少なくとも一方の位相を決定することとによって、前記第1のビーコン信号及び前記第2のビーコン信号に少なくとも部分的に基づいて前記ポインティング誤差を決定するように構成されている、システム。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記ポインティング誤差に基づいて制御信号を決定し、
前記制御信号を前記衛星に送信するようにさらに構成されており、前記制御信号は前記衛星アンテナの向きを修正するコマンドを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御回路は、前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号の大きさにおける差を取ることによって前記変調されている第2のビーコン信号の前記大きさを前記第1のビーコン信号の前記大きさと比較するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御回路は、
決定した前記位相に基づいて前記ポインティング誤差の方向を決定することと、
前記変調されている第2のビーコン信号の前記大きさと前記第1のビーコン信号の前記大きさとの前記比較の結果に基づいて前記ポインティング誤差の大きさを決定することとによって、前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号に少なくとも部分的に基づいて前記ポインティング誤差を決定するようにさらに構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のビーコン信号及び前記変調されている第2のビーコン信号のうちの少なくとも一方は、前記衛星アンテナのボアサイト軸に沿って実質的にゼロの大きさを有し、前記衛星アンテナの前記ボアサイト軸を離れると実質的に非ゼロの大きさを有するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記変調されている第2のビーコン信号は、位相変調、周波数変調、及び振幅変調のうちの1つを使用して変調される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記変調されている第2のビーコン信号は、第1の位相角及び第2の位相角を使用して変調される、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の位相角は0度であり、前記第2の位相角は180度である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ポインティング誤差信号は、空間領域において前記第1のビーコン信号と、前記変調されている第2のビーコン信号とを合成することによって生成される、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、地上ベースの衛星アンテナ・ポインティング・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軌道上の衛星は、地球上の対象領域における地上局の送信及び/又は受信に高い信号品質を提供するために、その領域を精密に狙うアンテナを使用して、指向性ビームを提供する。しかし、様々な要因によって、この指向性ビームは意図される領域からドリフトして離れる場合があり、送信/受信される信号の品質を大幅に低下させ、その衛星と送信/受信を行う地上局との間のサービス(すなわち、通信リンク)を中断させる可能性がある。指向性ビームのドリフトは、マルチ・スポット・ビーム衛星については、各指向性ビームのビーム幅が狭いことから特に問題である。軌道を通じて1又は複数の衛星アンテナの正確な向きを維持することは、劣化及び中断することなく指向性ビームが意図される対象領域にサービスを確実に提供するために必要である。衛星アンテナの向きにおける送信/受信されるビーム、衛星、及び衛星の構成部品(例えば、アンテナ)に影響を与える任意の変動を補償するために、軽微なポインティングの補正が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポインティング補正を決定するための一部の現在の解決法には、「オンボードの」自動トラッキング・システム又はマルチ・ステーション・トラッキングの利用が含まれる。しかし、既存の各解決法は欠点を有する。したがって、衛星のポインティング誤差の地上ベースの決定及び補正のための改良された手法が、本明細書に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、衛星アンテナのポインティング誤差を決定するためのシステムと方法とを含む。一態様では、衛星アンテナのポインティング誤差を決定するための方法は、衛星から送信される、ポインティング誤差情報を含む信号を受信局において受信することを含み、その信号(本明細書においてポインティング誤差信号として参照される)は、対象の衛星アンテナからトラッキング・フィードを通じて送信されている第1のビーコン信号と、変調されている第2のビーコン信号とを含む。トラッキング・フィードは、アンテナ・ポインティング決定目的専用であってよく、又は他の通信機能と共有されてよい。受信局は、受信したポインティング誤差信号を復調して、第1のビーコン信号に対する第2のビーコン信号を復元することができる。また、復調したビーコン信号に少なくとも部分的に基づいて、受信局はその衛星アンテナのポインティング誤差を決定することができる。
【0005】
一部の実施形態では、受信局は、また、ポインティング誤差に基づいて制御信号を決定して衛星にその制御信号を送信することができ、その制御信号は衛星アンテナの向きを修正するコマンドを含む。例えば、受信局は、衛星を受信局と再び整合させるために、衛星アンテナがポインティング誤差と逆方向に作動するようにコマンドする制御信号を生成してよい。他の実施形態では、受信局は、トラッキング及びコマンド(TT&C)局にポインティング誤差を送信してよく、TT&C局は適切な制御信号を決定して送信してよい。
【0006】
一部の実施形態では、ポインティング誤差を決定することは、第2のビーコン信号の大きさを第1のビーコン信号の大きさと比較することと、第1のビーコン信号に対する第2のビーコン信号の位相を決定することとを備え得る。所定の実施形態では、ポインティング誤差の大きさは第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号の大きさの差によって決定されることができる。ポインティング誤差の方向は、第1のビーコン信号に対する第2の
ビーコン信号の位相によって決定されることができる。例示として、第1のビーコン信号は、送信ビームのボアサイト軸に沿って最大の大きさを有するように構成されている「和」信号(トラッキング・フィードの「和」ポートを通じて送信される)であってよく、第2のビーコン信号は、送信ビームのボアサイト軸に沿って実質的にゼロの大きさを有するように構成されている「差」信号(トラッキング・フィードの「差動」ポートを通じて送信される)であってよい。衛星ビームが受信局と整合する場合、差信号の大きさは実質的にゼロであり得る。衛星ビームが受信局と整合しない場合、差信号の大きさは実質的に非ゼロであり、差信号の該非ゼロの大きさは、送信アンテナのポインティング誤差の大きさを決定するべく和信号(基準として機能する)の大きさと比較され得る。差信号の位相は、ポインティング誤差の方向を示し得る。
【0007】
一部の実施形態では、第2のビーコン信号は、位相変調、周波数変調、振幅変調、及び任意の他の好適な変調手法のうちの何れか1つを使用して変調されることができる。一部の実施形態では、第2のビーコン信号は、第1の位相角及び第2の位相角を使用して変調される。例を挙げると、第2のビーコン信号は、第1のビーコン信号に対して0度及び180度で変調されてよい。一部の実施形態では、ポインティング誤差信号は、空間領域において第1のビーコン信号と、変調した第2のビーコン信号とを合成することによって生成される。例を挙げると、第1及び第2のビーコン信号は、マルチモード(又は、4フロン・クラスタ(4−hron cluster))・モノパルス・フィードの和ポートと差ポートとの中に供給され、空間領域において合成されてよい。このように、第1及び第2のビーコン信号は、1つのアンテナ又はアンテナ・アレイによって同時に送信されることができる。第1及び第2のビーコン信号は伝搬中に同様の障害によって影響が与えられ、したがって送信環境によって実質的に同じように変えられることができることから、この方法は有益である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態による、地球の周りの軌道上のマルチ・スポット・ビーム衛星と、意図される適用領域からドリフトして離れるビームの指向性アレイとの例示の図。
【
図2】本開示の実施形態による、1つ以上の地上局と通信状態にある衛星200の例示のブロック図。
【
図3】本開示の実施形態による、衛星から送信される和信号の振幅と差動信号の振幅との例示の2次元プロフィール。
【
図4】本開示の実施形態による、衛星アンテナ・ポインティング誤差を検出するための高水準プロセスのフロー図。
【
図5】本開示の実施形態による、本明細書に記載のプロセスのうちの何れかを行うためのコンピューティング装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の総合的な理解を提供するために、ここで、地上ベースの衛星アンテナ・ポインティング誤差検出及び補正用のシステムと方法とを含む、所定の例示の実施形態を記載する。しかし、本明細書に記載のシステムと方法とは、焦点となる用途に適切であるように採用及び修正が行われてよく、本明細書に記載のシステムと方法とは、他の適切な用途に使用されてよく、そのような他の追加及び修正は本明細書の範囲から逸脱しない。
【0010】
図1は、アンテナ・サブシステム102から地上局108a〜108e(地上局108と総称される)への適用領域104に対してスポット・ビームの指向性アレイ109を提供する、地球110の周りの軌道上のマルチ・スポット・ビーム衛星システム100の図を示す。スポット・ビームは高い指向性の衛星信号であり、パワーが集中されていて、地球110上の限られた地理的地域を覆う。各スポット・ビーム信号は、フィード・ホーン
103a〜103e(フィード・ホーン103と総称される)のうちの1つ、又はアンテナ102のフィード・ホーン・クラスタなどのフィード・ホーンによって提供され、また、共通のパレット上に実装されるリフレクタ107a〜107dのうちの1つによって指向性ビームへと成形される。調整機構101は、パレットに関連付けられており、衛星のオンボード・プロセッサからのコマンドに応答してパレットのポインティングを調整する。これに代えて、調整機構101は、オンボード・プロセッサから受信されるコマンドに基づいて各リフレクタ107a〜107dを個別に調整するために、各リフレクタ107a〜107d上に提供されてよい。調整機構101は、パレット又は各リフレクタ107a〜107dのポインティングを調整するために、1軸、2軸、又は3軸であってよい。他の実施形態では、フィード・ホーン103は、1つのリフレクタによって成形されるスポット・ビーム信号を提供してよい。アンテナ102は、任意の好適な数のフィード・ホーン103を含むことができる。フィード・ホーン103のうちの1つ以上のフィード・ホーン103cは、
図2に関連して後述されるように、アンテナ・ポインティング誤差を検出するため、受信する地上局108に対してトラッキング・ビーコン信号を送信するように構成されている。
【0011】
図1に示されるように、衛星システム100は、スポット・ビーム105a〜105eなどの複数のスポット・ビームを提供している。地上局108a〜108eのうちの1つ以上は、それぞれスポット・ビーム105a〜105eを受信しており、それぞれのスポット・ビームの適用領域内にある。しかし、衛星姿勢制御システムの過渡応答、衛星局維持の不確実性、衛星及びアンテナの熱変形の影響、又は他の要因など、様々な要因によって衛星アンテナ107a〜107dの向きがシフトする場合があり、したがって、適用領域104が意図される適用領域104から離れて誤差領域106へシフトする場合がある。衛星アンテナの適用領域におけるこのシフトは、衛星アンテナ・ポインティング誤差と呼ばれる。
図1に見られるように、衛星100の向きはアンテナ102を誤差領域106にポインティングを行うようにシフトし、所定の地上局108は、信号品質を失い始めたり、サービスの劣化/中断を経験したりする。例えば、地上局108eは誤差領域106の縁上にあり、したがって、衛星との通信のより低い信号品質を経験し得る。別の例では、地上局108dは、誤差領域106から外れるので、信号品質の劣化又はサービスの中断さえ経験し得る。各スポット・ビームは、2つの隣接するスポット・ビームが同じ周波数及び同じ偏波において動作することはないような周波数で動作させられてよい。
図1では各スポット・ビームが隣接するスポット・ビームと重なるように示されているが、スポット・ビームが重ならないように分離されていてもよい。衛星100は、地上の同じ適用領域を維持するように静止軌道にあるが、他の実施形態では、衛星は通信衛星に好適な他の軌道にあってよい。
【0012】
図2は、地上局230及びテレメトリ・トラッキング及び制御局(TT&C局)260などの1つ以上の地上局と通信状態にある衛星200の例示のブロック図を示す。衛星200は、
図1における衛星100のより詳細な表現であり得る。地上局230は、
図1における地上局108のより詳細な表現であり得る。衛星200は、マルチ・スポット・ビーム・アンテナの1つ以上のフィード・ホーン220に接続される宇宙船通信ペイロード216を備える。1つ以上のフィード・ホーン220は、例えば複数の指向性信号ビーム(地上局230又はテレメトリ及び制御局260を覆うビーム224を含む)を成形するリフレクタ222に対して/リフレクタ222から、信号の送信/受信を行う。衛星は、コマンド及びテレメトリ・サブシステム212からのコマンドに応答してパレットのポインティングを調整する、パレットに関連付けられる調整機構201を備える。これに代えて、調整機構201が、コマンド及びテレメトリ・サブシステム212から受信されるコマンドに基づいて各リフレクタ107a〜107dを個別に調整するために、各リフレクタ107a〜107d上に提供されてよい。調整機構201は、パレット又はリフレクタ222のポインティングを調整するために、1軸、2軸、又は3軸であってよい。衛星2
00は、衛星200のアンテナ向きをトラッキングするために使用される無線周波数(RF)トラッキング信号又はビーコン信号を生成するトラッキング・ビーコン202aを備える。一部の実施形態では、衛星200は、冗長性測定のために第2のトラッキング・ビーコン202bを備えてよい。一部の実施形態では、トラッキング・ビーコン202は、通信衛星においてアップリンク・パワー制御に使用される同じビーコンであってよい。ビーコン202aは、プロセッサ205にトラッキング信号を送る。プロセッサ205は、ビーコン信号を2つの信号(信号208及び信号206)に分割するスプリッタ204を備える。分割されたビーコン信号208及び206は、それぞれ、マルチモード・フィード・ホーン(又は、モノパルス・フィード・ホーン・アセンブリ)218の「和」ポート及び「差動」ポートと、リフレクタ222とを介して地上局230へ送信され得る。地上局230は、トラッキング・ビーコンの「和」信号と「差動」信号とを含む指向性信号ビーム224を衛星200から受信するように構成され得るアンテナ232を備える。アンテナ232は、受信した信号を復調のために受信機234へ送信し、その後、復調した信号235を処理のためにプロセッサ238へ送るように構成されている。一部の実施形態では、プロセッサ238は衛星アンテナ・ポインティング誤差を決定することができる。衛星姿勢制御サブシステム(ACS)又は衛星アンテナの調整機構101を通じて衛星アンテナ・ポインティング誤差の補正のために上に送られる信号は、地上局230から、送信機236からアンテナ232を介して衛星200へ送信され得る。これに代えて、ポインティング誤差信号は、地上局230と通信状態にあるTT&C局260へルーティングされる。誤差信号は、補正信号263を生成するためにプロセッサ262によって処理され、補正信号263は、TT&Cアンテナ266及び送信機264を介して衛星200へ送信される。他の実施形態では、トラッキング信号の受信、ポインティング誤差の決定、補正信号の生成、及び衛星200への補正信号の送信は、それぞれTT&C局260によって行われてよい。地上局230とTT&C局260とは、また、独立して又は集合的に地上局と称される場合がある。
【0013】
分割されたビーコン信号(マルチモード・トラッキング・フィード又はモノパルス・トラッキング・フィードを通じて送信される信号208及び信号206)は、衛星アンテナ・ポインティング誤差を決定するために使用されることができる。衛星アンテナ222及びトラッキング・フィード・ホーン218を介して送信される和信号302の振幅と差動信号308の振幅との2次元プロフィール300を示す
図3を参照すると、和信号302は原点306においてピーク304を有する振幅プロフィールを特徴とし、差動信号308は原点306におけるゼロ310を特徴とする。一部の実施形態では、原点306は、衛星アンテナ222のボアサイト軸に対応し得る。例えば、和信号302は衛星アンテナ222のボアサイト軸について対称であり得る。また、差動信号308は、衛星アンテナ222のボアサイト軸において実質的にゼロの振幅と、衛星アンテナ222のボアサイト軸を離れると実質的に非ゼロの振幅を有し得る。所定の実施形態では、差動信号308は、信号中の雑音又は他の要因によって、原点306における振幅に非ゼロの値を含む場合がある。衛星200が地上局230と整合するとき、差動信号308の振幅はゼロ又は実質的にゼロ(雑音又は他の外乱による)であり得る。差動信号308は、また、ゼロ310の付近に急な凹状の変化312を含み得る。したがって、衛星200が地上局230と整合しないとき、差動信号308の振幅は実質的に非ゼロの振幅を有することができる。変化領域312の急な傾斜は、差動信号308の振幅に影響を与え得る任意の雑音又は他の外乱の上での非ゼロの振幅の検出を助けることができる。地上局230は、トラッキング信号の振幅と位相情報との受信及び検出を行う。「和」信号に対する急な変化領域における「差動」信号の振幅の変動によって衛星アンテナ・ポインティング誤差の大きさが提供される一方、差動信号308の位相の変動によってポインティング誤差の方向が提供される。変化312及び関連する位相情報は、地上局によって衛星アンテナのポインティング誤差を検出するために使用されることができる。
【0014】
再び
図2を参照すると、プロセッサ205は、マルチモード・トラッキング・フィード218(又は、モノパルス・トラッキング・フィード)の和ポートに直接的に信号208を送る。信号206は、交互の0度及び180度位相シフトにより信号206を変調する位相変調器210によって処理される。他の実施形態では、位相変調器210は、45度、90度、120度、又は任意の他の好適な位相角で信号206を変調してよい。位相変調器210は、変調した信号214を生成し、その変調した信号214をマルチモード・トラッキング・フィード218(又は、モノパルス・トラッキング・フィード)の差動ポートへ送る。マルチモード・トラッキング・フィード218(又は、モノパルス・トラッキング・フィード)は、地上局230又はテレメトリ及び制御(TT&C)局260によって受信される指向性信号ビーム224へと信号を成形するリフレクタ222を通じて、空間において和信号208と、変調した差動信号214とを合成する。「差動」信号プロフィールのドリフトは、衛星アンテナのポインティング・ドリフトを反映する。式1では、ポインティング誤差信号S(t)は、「和」信号Σ(t)と、0度及び180度で位相変調されている「差動」信号Δ(t)との和として定義される。ここで、expは自然対数の底であり、jは虚数単位であり、θは原点のまわりの角度であり、iは0又は1であり位相シフトを定義する。
【0015】
【数1】
「和」信号と「差動」信号とが空間において共に送信されることから、これらの相対的関係は、誤差信号が地上局230又は260によって復調されるまで維持され、送信環境によって影響されない。
【0016】
地上局230は、地上局アンテナ232において、ポインティング誤差信号を含む衛星200のトラッキング・フィード218からのビーム224を受信する。受信したポインティング誤差信号は、プロセッサ238へ送られる前に、この信号を復調信号235へと復調する受信機234へ送られる。地上局230は、また、衛星200へ信号を送信する送信機236を備える。例えば、地上局230は、衛星200へ制御信号を送信することができる。プロセッサ238は、復調信号235を受信して、差動信号214の変化を検出する。衛星が正しい向きにポインティングが行われているとき、「差動」信号214の振幅は小さいか、ない。プロセッサ238は、信号を衛星から地上局受信機へ送信する時に導入される任意の変動を除去するために、「和」信号208と「差動」信号214との構成要素を比較する。プロセッサは、「和」信号と「差動」信号との構成要素を有する復調信号235を使用して、衛星アンテナのポインティング誤差(すなわち、衛星アンテナ仰角誤差240及び衛星アンテナ方位角誤差242)の大きさ及び方向を決定する。決定した衛星アンテナ・ポインティング誤差は、アンテナ・ポインティング誤差を補正するように衛星を制御するために、TT&C局260へ送信され得る。
【0017】
TT&C局260は、衛星仰角誤差240と衛星アンテナ・ピッチ誤差242とを受信するプロセッサ262を備える。プロセッサ262は、その後、衛星仰角誤差240と衛星アンテナ・ピッチ誤差242とを処理して、補正信号263を生成する。補正信号263は、アンテナ266を通じて衛星へ送信されるために、送信機264へ送られる。所定の実施形態では、送信機264は、位相変調を使用して信号を変調する。他の実施形態では、送信機264は、周波数変調、振幅変調、又は任意の他の好適な変調手法を使用して制御信号263を変調する。アンテナ266は、衛星200へビーム226として制御信号263を送信し、衛星200はビーム226を受信して、コマンド及びテレメトリ・サブシステム212においてその制御信号を処理する。衛星が自身の向きを補正する命令を
受信する場合、コマンド及びテレメトリ・サブシステム212は、アンテナ・ポインティング調整機構101及び/又は201が衛星アンテナの向きを補正するように命令することができる。プロセッサ205は、衛星のテレメトリを決定し、地上局230又はテレメトリ及び制御局260などの地上局からコマンドを受信するために、コマンド及びテレメトリ・サブシステム212と通信することができる。本実施形態ではアンテナ仰角誤差240とアンテナ・ピッチ誤差242とから制御信号を生成して送信するようなテレメトリ及び制御局260を示すが、地上局230は、プロセッサ238、送信機236、及びパラボラ・アンテナ232を使用して実質的に同じ機能を行うことができることが理解される。
【0018】
図4は、衛星アンテナ・ポインティング誤差を検出するための高水準プロセス400のフロー図を示す。プロセス300は、衛星においてビーコン信号を生成すること(402)、ビーコン信号を第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号へと処理すること(404)、第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号を処理してポインティング誤差信号を生成すること(406)、ポインティング誤差信号を受信局へ送信すること(408)、受信局においてポインティング誤差信号を受信すること(410)、第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号に少なくとも部分的に基づいてポインティング誤差を決定すること(412)、及び制御信号を衛星へ送信することであって、制御信号はポインティング誤差に関連付けられていること(414)、及び制御信号に少なくとも部分的に基づいてアンテナの向きを修正すること(516)を含み得る。プロセス400は、衛星アンテナ・ポインティングの所望の正確さを達成するために繰り返されてよい。
【0019】
工程402では、衛星200はビーコン202a〜bを使用してビーコン信号を生成する。ビーコン信号は、変調されていないRF信号又は変調されているRF信号であってよい。工程404では、衛星200はビーコン信号を第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号へと処理する。第1のビーコン信号は和信号に対応することができ、和信号は、衛星アンテナのボアサイト軸においてピークを有する振幅プロフィールを持つ。第2のビーコン信号は差動信号に対応することができ、差動信号は、衛星アンテナのボアサイト軸において実質的にゼロの振幅を有し、ボアサイト軸を離れると実質的に非ゼロの振幅を有する。差動信号は、また、ボアサイト軸の付近に、ポインティング誤差を検出するために地上局230によって使用される急な凹状の変化を含み得る。
【0020】
工程406では、衛星200は、第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号を処理してポインティング誤差信号を生成する。第1のビーコン信号(信号208)は、アンテナに関連付けられているトラッキング・フィードの和ポートに直接的に送られ、アンテナのボアサイト軸においてピークを有する振幅プロフィールを持つ「和」信号を生成する。第2のビーコン信号(信号206)は、位相変調器210において0度及び180度の位相角により変調され、その後、アンテナのボアサイト軸において実質的にゼロの大きさを有する振幅プロフィールを持つ「差動」信号206を生成するべく、アンテナに関連付けられているトラッキング・フィード218の差動ポートへ変調信号214が送られる。他の実施形態では、位相変調器は、45度、90度、120度、又は任意の他の好適な位相角で差動信号206の位相をシフトしてよい。第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号は、地上局230(又は260)へ送信するためのポインティング誤差信号を生成するべく、トラッキング・フィード218を通じて空間領域において合成される。
【0021】
工程408では、衛星200は、ポインティング誤差信号を地上局230又はテレメトリ及び制御局260などの地上局へ送信する。工程410では、地上局230は、衛星200からポインティング誤差信号を受信する。受信機はポインティング誤差信号を復調し、復調信号235をプロセッサ238へ送る。工程412では、地上局230が、第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号に少なくとも部分的に基づいてポインティング誤差
を決定する。一部の実施形態では、地上局230は、ポインティング誤差の大きさを決定するために、第1のビーコン信号及び第2のビーコン信号の大きさを比較する。例えば、地上局230は、第1のビーコン信号の大きさから第2のビーコン信号の大きさを減じ得る。地上局230は、また、第1のビーコン信号の位相に対する第2のビーコン信号の位相を決定し、位相情報からポインティング誤差の方向を決定し得る。例えば、差動信号308は、衛星アンテナのボアサイト軸についての位相の変化を含むことができる。したがって、衛星アンテナが1つの方向に対して整合しない場合、差動信号308の位相情報は、衛星アンテナが逆の方向に整合しない場合とは異なり得る。
【0022】
工程414では、地上局230又はテレメトリ及び制御局260などの受信局は、制御信号を衛星へ送信する。地上局230は、アンテナ仰角誤差240及びアンテナ方位角誤差242を含む算出されたポインティング誤差を、テレメトリ及び制御局260のプロセッサ262へ送る。テレメトリ及び制御局260はアンテナ仰角誤差240及びアンテナ方位角誤差242を処理して、衛星200へ送る制御信号263(又は、制御信号のセット)を決定する。制御信号263は送信機264へ送られ、その時点で、制御信号が衛星200へ送信されるために作成される。送信機264は制御信号263を変調し、制御信号をビーム226へと成形してそのビーム226を衛星200へ送信するTT&Cアンテナ266へ変調信号を送る。所定の実施形態では、送信機264は、位相変調を使用して制御信号263を変調する。他の実施形態では、送信機264は、周波数変調、振幅変調、又は任意の他の好適な変調手法を使用して制御信号263を変調する。本実施形態ではアンテナ仰角誤差240とアンテナ方位角誤差242とから制御信号を生成して送信する工程を行うテレメトリ及び制御局260を示すが、地上局230は、プロセッサ238、送信機236、及びアンテナ232を使用して実質的に同じ工程を行うことができることが理解される。
【0023】
工程416では、衛星200は、制御信号に少なくとも部分的に基づいてアンテナの向きを修正する。衛星200の衛星コマンド及びテレメトリ・サブシステム212は、制御信号を受信し、ポインティング調整機構がパレット又はリフレクタ222の向きを調整するように命令する。プロセス400は、衛星アンテナ・ポインティングの所望の正確さを達成するために繰り返されてよい。
【0024】
図5は、本開示の実施形態による、本明細書に記載のプロセスのうちの何れかを行うための、
図2のシステムの処理又は回路構成部品のうちの何れかなどのコンピューティング装置のブロック図である。これらのシステムの構成部品の各々は、1つ以上のコンピューティング装置500において実装されることができる。所定の態様では、これらのシステムの複数の構成部品は、1つのコンピューティング装置500の中に備えられてよい。所定の実施形態では、構成部品と記憶装置511とは、いくつかのコンピューティング装置500にわたって実装されてよい。
【0025】
コンピューティング装置500は、1つ以上の通信インタフェース・ユニット508、入力/出力制御装置510、システム・メモリ503、及び1つ以上のデータ記憶装置511を備える。システム・メモリ503は、1つ以上のランダム・アクセス・メモリ(RAM502)と1つ以上のリード・オンリー・メモリ(ROM504)とを備える。これらの構成要素の全ては、コンピューティング装置500の動作を容易にするために中央処理ユニット(CPU506)と通信状態にある。コンピューティング装置500は、多くの異なる方法により構成されることができる。例えば、コンピューティング装置500は従来のスタンドアロン・コンピュータであってよく、又はこれに代えて、コンピューティング装置500の機能は、複数のコンピュータ・システム及びアーキテクチャにわたって分散されてよい。
図5では、コンピューティング装置500は、他のサービス又はシステムに対して、ネットワーク518又はローカル・ネットワークを介してリンクされる。ネ
ットワーク518は、衛星200と通信する地上局230又はTT&C局260などの受信局を含むことができ、受信局は、他のサービス又はシステムと通信することができる。
【0026】
コンピューティング装置500は分散型のアーキテクチャにより構成されることができ、データベース及びプロセッサは、複数の分離したユニット又は場所に収容される。一部のユニットは主要な処理機能を行い、最低限の一般的な制御装置又はプロセッサ及びシステム・メモリ503を備える。分散型のアーキテクチャの実施形態では、これらのユニットの各々が、他のサービス、クライアント、又はユーザ・コンピュータ及び他の関連する装置との主要な通信リンクとしてサービスを提供する通信ハブ又はポート(図示せず)に対して、通信インタフェース・ユニット508を介して取り付けられることができる。通信ハブ又はポートは、最少の処理性能そのものを有することができ、主として通信ルータとしてサービスを提供する。様々な通信プロトコルがシステムの一部であってよく、該通信プロトコルはイーサネット(登録商標)(ETHERNET(登録商標))、SAP、SAS(商標)、ATP、ブルートゥース(登録商標)(BLUETOOTH(登録商標))(商標)、GSM(登録商標)、及びTCP/IPを含むが、これらに限定されない。
【0027】
CPU506は、1つ以上の従来のマイクロプロセッサ及び1つ以上の補足のコプロセッサ(例えば、CPU506からの作業負荷のオフロードのための数値演算コプロセッサ)などのプロセッサを備える。CPU506は、通信インタフェース・ユニット508及び入力/出力制御装置510と通信状態にあり、CPU506は入力/出力制御装置510を通じて他のサービス、ユーザ端末、又は装置などの他の装置と通信する。通信インタフェース・ユニット508及び入力/出力制御装置510は、例えば他のプロセッサ、サービス、又はクライアント端末との同時通信のための複数の通信チャネルを備え得る。
【0028】
CPU506は、また、データ記憶装置511と通信状態にある。データ記憶装置511は、磁気、光学、又は半導体メモリの適切な組み合わせを備えることができ、例えば、RAM502、ROM504、フラッシュドライブ、コンパクトディスクなどの光ディスク、又はハードディスク又はドライブを含んでよい。CPU506及びデータ記憶装置511のそれぞれは、例えば、1つのコンピュータ又は他のコンピューティング装置の中に完全に配置されることができるか、USBポート、シリアル・ポート・ケーブル、同軸ケーブル、イーサネット・ケーブル、電話回線、無線トランシーバ若しくは他の同様の無線若しくは有線媒体、又は前述の組み合わせなどの通信媒体によって互いに接続されることができる。例えば、CPU506は、通信インタフェース・ユニット508を介してデータ記憶装置511へ接続されてよい。CPU506は、1つ以上の特定の処理機能を実行するように構成されることができる。
【0029】
データ記憶装置511は、例えば、(i)コンピューティング装置500用のオペレーティング・システム512、(ii)本明細書に記載のシステム及び方法によって、及び特にCPU506に関して詳細に記載されるプロセスによってCPU506を指示するように構成されている1つ以上のアプリケーション514(例えば、コンピュータ・プログラム・コード又はコンピュータ・プログラム製品)、又は(iii)プログラムによって要求される情報を記憶するために利用されることができる情報を記憶するように構成されているデータベース516を記憶することができる。
【0030】
オペレーティング・システム512及びアプリケーション514は、例えば、圧縮形式、非コンパイル(uncompiled)形式、及び暗号化形式で記憶されることができ、コンピュータ・プログラム・コードを含むことができる。プログラムの命令は、ROM504から、又はRAM502からなど、データ記憶装置511以外のコンピュータ可読媒体からプロセッサのメイン・メモリの中へ読み込まれることができる。プログラム中の
命令のシーケンスの実行によってCPU506が本明細書に記載のプロセス工程を行う間、本開示のプロセッサの実施形態に対して、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路が使用されることができる。したがって、記載のシステムと方法とは、ハードウェア及びソフトウェアの任意の特定の組み合わせに限定されない。
【0031】
本明細書に使用される用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピューティング装置500のプロセッサ(又は、本明細書に記載の装置の任意の他のプロセッサ)に対して実行用の命令を提供するか、実行用の命令を提供することに関与する任意の非一時的な媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体と揮発性媒体とを含むがこれらに限定されない、多くの形態をとることができる。不揮発性媒体は、例えば、光、磁気、若しくは光磁気ディスク、又はフラッシュメモリなどの集積回路メモリを含む。揮発性媒体は、メイン・メモリを典型的に構成するダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)を含む。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD−ROM、DVD、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、EPROM又はEEPROM(電気的消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(electronically erasable programmable read−only memory))、FLASH−EEPROM、任意の他のメモリ・チップ若しくはカートリッジ、又はコンピュータが読み出すことのできる任意の他の非一時的な媒体を含む。
【0032】
コンピュータ可読媒体の様々な形態は、実行のためにCPU506(又は、本明細書に記載の装置の任意の他のプロセッサ)に対して1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを運ぶことに携わることができる。例えば、命令は、最初に遠隔コンピュータ(図示せず)の磁気ディスク上で運ばれることができる。遠隔コンピュータは、該命令をその動的メモリの中にロードし、高利得アンテナを使用して無線通信上で該命令を送ることができる。コンピューティング装置500のローカルな通信装置(例えば、サーバ)は、それぞれの通信回線上でデータを受信し、プロセッサへのシステム・バス上にこのデータを配置することができる。システム・バスは、プロセッサが命令を取り出して実行するメイン・メモリに、このデータを運ぶ。メイン・メモリによって受信されている命令は、プロセッサによる実行の前又は後の何れかに、メモリに任意に記憶されることができる。これに加えて、命令は、様々な種類の情報を運ぶ無線通信又はデータストリームの例示的形態である電気信号、電磁信号、又は光信号として、通信ポートを介して受信されてよい。
【0033】
本明細書では好適な実施形態が示されて記載されているが、このような実施形態が例としてのみ提供されていることが、当業者にとって明らかである。当業者は、本発明から逸脱することなく、ここで多くの変更、変化、及び置換を思いつくだろう。本明細書に記載の実施形態の様々な代替案が実際に使用可能であることが理解される。例えば、本明細書の開示は、スポット・ビーム及び衛星信号の任意の他の種類に対して適用されることができる。地上局及びTT&C局は独立して記載されるが、各局が地上局と見なされてよく、それぞれで記載された機能と特徴とは、1つの集合した局によって、又は複数の局によって行われることができる。