第四級アンモニウム化合物が、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンジルアルキルジメチルアンモニウム塩、又はそれらの混合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の消毒用組成物。
成分(i)と成分(ii)の重量比が、1:3〜1:5の範囲であり、成分(i)と成分(iii)の重量比が、1:5〜1:8の範囲である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の消毒用組成物。
基材が、メルトブローン、コフォーム、スパンボンド、エアレイド、水流交絡不織物、スパンレース、ボンデッドカーデッドウェブ及びそれらの積層物を含む、請求項13に記載のワイプ。
消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の消毒用組成物を消毒を必要とする表面上に適用するステップ、前記組成物を一定期間前記表面上に残存させるステップを含む、前記方法(ヒトへの医療行為を除く)。
消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、請求項13又は14に記載のワイプにより表面を拭くステップ、消毒用組成物の一部を消毒を必要とする表面上に放出するステップ、前記組成物を一定期間前記表面上に残存させるステップを含む、前記方法(ヒトへの医療行為を除く)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
驚くべきことに、ビグアニド又はグアニド成分及び塩基性成分を第四級アンモニウム化合物を消毒剤として含有する組成物と組み合わせることによって、消毒を達成するための接触時間を短縮することができることが本発明で判明した。
【0011】
消毒用組成物の成分(i)は、ビグアニド、モノグアニド及びそれらの組み合わせの中から選択される。好ましいビグアニドは、米国特許出願公報2005/0014670号に記載されている。特許公報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一般に、ビグアニドは、少なくとも1つのメチレン基を含有する架橋基により結合される、少なくとも2つの式(1):
【化1】
のビグアニド単位を含む。一般に、架橋基は、場合により1個又は複数個のヘテロ原子、例えば酸素、硫黄又は窒素を組み込んだ又はそれらの原子により置換されているポリメチレン鎖を含む。架橋基は飽和又は不飽和であり得る1つ又は複数の環状部分を含むことができる。典型的に、架橋基は、2つの隣接した式(1)のビグアニド単位間に直接挿入される、少なくとも3個、とりわけ少なくとも4個の炭素原子が存在するような基である。大抵の場合では、2つの隣接した式(1)のビグアニド単位間に挿入される、10個以下、とりわけ8個以下の炭素原子が存在する。
【0012】
高分子ビグアニドは、任意の適切な基、例えばヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基若しくはアミノ基、又は式(2):
【化2】
のシアノグアニジン基を末端とすることができる。
【0013】
末端基がヒドロカルビルである場合、典型的に、ヒドロカルビルは、アルキル、シクロアルキル、アリール又はアラルキルである。ヒドロカルビル基がアルキル基である場合、アルキル基は、直鎖状又は分岐状であり得るが、一般に直鎖状である。使用可能なアルキル基は、C
1-8-アルキルを含む。好ましいアルキル基の例は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ペンチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びn-オクチルを含む。
【0014】
ヒドロカルビル基がシクロアルキルである場合、典型的に、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。ヒドロカルビル基がアラルキルである場合、一般に、アラルキルは、アリール基をビグアニドに結合するアルキレン基中に、1〜6個、より典型的には1個又は2個の炭素原子を含有する。アラルキル基は、ベンジル及び2-フェニルエチル基を含む。アリール基は、フェニル基を含む。
【0015】
末端基が置換ヒドロカルビルである場合、置換基は高分子ビグアニドの微生物学的特性において望ましくない有害効果を示さない任意の置換基であり得る。このような置換基の例は、アリールオキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ハロゲン及びニトリルであり、これらの基は、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基上に存在することができる。
【0016】
高分子ビグアニドが2つの式(1)のビグアニド基を含有する場合、ビグアニドはビスビグアニドである。2つのビグアニド基は、ポリメチレン基、典型的にはヘキサメチレン基により結合されることが好ましい。
【0017】
高分子ビグアニドは、3つ以上の式(1)のビグアニド単位を含有し、式(3)により表される反復(recurring)高分子鎖を有する直鎖状高分子ビグアニド、又はその塩であることが好ましい:
【化3】
(式中、X及びYは、同じであっても、異なっていてもよい架橋基を表し、ここで、Yにより結合される一対の窒素原子間に直接挿入される炭素原子の数とXにより結合される一対の窒素原子間に直接挿入される炭素原子の数とを共に合わせた合計は9より大きく、17未満である)。
【0018】
架橋基X及びYは、場合によりヘテロ原子、例えば酸素、硫黄又は窒素が挿入される、ポリメチレン鎖であり得る。X及びYはまた、飽和又は不飽和であり得る部分を組み合わせることができる。加えて、X及びYは環状基であってもよく、この場合、X及びYにより結合される一対の窒素原子間に直接挿入される炭素原子の数は、一番短い環状基(1つ又は複数)の部分を含むものとしてとらえられる。
【0019】
典型的に、式(3)の反復高分子単位を有する直鎖状高分子ビグアニドは、高分子鎖が異なる長さである高分子の混合物として得られる。典型的に、個々のビグアニド単位の数は3個〜約80個の範囲である。
【0020】
1つの特定の直鎖状高分子ビグアニドは、X及びYが同じであり、末端基を除く個々の高分子鎖が式(4)である高分子鎖又はその塩の混合物である:
【化4】
(式中、nは4〜20、とりわけ4〜18である)。1つの特定の例では、nの平均値は約12である。典型的に、遊離塩基形態での高分子の平均分子量は1100〜4000である。
【0021】
一般に、高分子ビグアニドは、塩の形態である。典型的な塩は、有機又は無機の酸との塩、とりわけ水可溶性塩であり、少し挙げれば、例えば、塩化物、グルコン酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩である。
【0022】
直鎖状高分子ビグアニドは、米国特許出願公報2005/0014670号に記載されている方法により調製することができる。1つの特定の市販品は、Arch Chemicals, Inc.、Lonza Companyから入手可能であるVantocil(商標)Pである。
【0023】
本発明において使用可能なモノグアニド又はグアニドは、少なくとも1つの式(5):
【化5】
(式中、各Rは、独立して、水素原子、場合により置換されたアルキル基、又は場合により置換されたアルコキシ基である)
の基を有する化合物を含む。
【0024】
1つの特定のモノグアニドは、典型的に複数の式(6)の基又はその塩を含むポリモノグアニド(PMG)である:
【化6】
[式中、各mは、独立して、0又は1であり、各Zは、独立して、C
2-18-ヒドロカルビル基又はそれが結合している窒素原子と一緒に一般式(7)
【化7】
(式中、A’及びA”は、一緒に合計3個〜18個の炭素原子を含むヒドロカルビル基である)を有する環状基を形成する基であり、各Rは前記で定義される]。A’及びA”が存在する場合、一般に、各mは0である。
【0025】
PMG中の、Z、A’及びA”により表されるヒドロカルビル基には、場合により1個若しくは複数個のヘテロ原子又は基が挿入され、該ヒドロカルビル基は場合により1つ又は複数の水素以外の置換基を有する。挿入原子及び基は、-O-、-S-、-NH-、-C(=O)-及びフェニレンである。任意の置換基は、ヒドロキシ、C
1-4-アルコキシ、ハロ、とりわけクロロ又はブロモ、ニトロ、アミノ、置換アミノ、及び酸基、とりわけカルボキシ、スルホ及びホスファトである。
【0026】
一般に、PMG中の、Zにより表されるヒドロカルビル基は、場合により1個又は複数の-O-、-S-、-NH-又は-C(=O)-基が挿入される、C
2-18-アルキレン(より好ましくはC
4-16-アルキレン、とりわけC
6-12-アルキレン、より特にはC
6-アルキレン)、C
3-12-アリーレン、より好ましくはC
6-10-アリーレン、とりわけフェニレン又はナフチレン、C
7-12-アラキレン(arakylene)(より好ましくはC
7-11-アリーレン、とりわけベンジレン(benzylene)又はキシリエン(xylyene))、又はそれらの組み合わせである。
【0027】
典型的に、A’及びA”により表されるヒドロカルビル基は、それぞれ独立して、場合により1個又は複数の-O-、-S-、-NH-又は-C(=O)-基が挿入される、C
2-6-アルキレンであり、ただし、A’及びA”は、合計3個〜12個の炭素原子、好ましくは3個〜6個の炭素原子、より好ましくは3個又は4個の炭素原子を含む。1つの実施形態では、A’又はA”の一方は-CH
2-又は-(CH
2)
2-であり、他方は-(CH
2)
2-であり、より特には、A’及びA”は両方とも-(CH
2)
2-である。
【0028】
Zにより表されるヒドロカルビル基の例は、-CH
2C
6H
4-CH
2-、-CH
2OC
8H
4OCH
2-、-CH
2OC
6H
10OCH
2-、-(CH
2)
3-O-(CH
2)
3-及び-(CH
2)
2S(CH
2)
2-を含む。
【0029】
Zにより表されるヒドロカルビル基の例は、-(CH
2)
6、-(CH
2)
8-、-(CH
2)
12-、-CH
2CH(-CH
3)(CH
2)
4CH
3、1,4-、2,3-及び1,3-ブチレン、2,5-へキシレン、2,7-ヘプチレン及び3-メチル-1,6-へキシレンを含む。
【0030】
一般に、Zにより表される全ての基は同じであり、C
4-16-アルキレン、より好ましくはC
4-12-アルキレン、とりわけC
4-8-アルキレン、より特には1,6-へキシレンである。
【0031】
典型的に、Rにより表される全ての基は同じであり、典型的に、Rにより表される全ての基はHである。
【0032】
PMGの末端基の性質は、重要であるとされていない。PMGの末端基は、アミノ及びグアニジノであり得る。
【0033】
前記好適例を考慮して、PMGは、1つ又は複数の式(8)の基又はその塩を含むことが好ましい:
【化8】
(式中、n’は2〜50、典型的に3〜25である)。
【0034】
典型的には、PMGは塩の形態である。塩は、有機又は無機の酸との塩、とりわけ水可溶性塩、例えば、塩化物、グルコン酸塩、酢酸塩又はリン酸塩である。
【0035】
PMGは、グアニジン塩酸塩とジアミン、例えば式H
2N-Z-NH
2(式中、Zは前記で定義した通りである)のジアミン又はこのようなジアミンの混合物との反応による方法を含む、公知の方法により調製することができる。
【0036】
一般に、成分(a)は、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩である。典型的に、成分(a)は、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩である。
【0037】
消毒用組成物の成分(ii)は、第四級アンモニウム化合物又は第四級アンモニウム化合物の混合物である。典型的に、「クワット(quat)」としても知られる、第四級アンモニウム化合物は、少なくとも1つの第四級アンモニウムカチオンを適切なアニオンと共に含む。一般に、クワットは、一般式(9)を有する。
【化9】
【0038】
基R
1、R
2、R
3 及びR
4は、広範囲に変更することができ、抗微生物の性質を有する第四級アンモニウム化合物の例は、当業者に公知である。A
-は、無機又は有機の酸の、一価のアニオン又は多価アニオンの一当量である。適切なアニオンA
-は、原則として、全ての無機又は有機のアニオンであり、特に、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン又は臭化物イオン、炭酸イオン、重炭酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン又はそれらの混合物である。
【0039】
各基R
1、R
2、R
3及びR
4は、例えば、独立して、置換若しくは非置換及び/又は直鎖若しくは分岐及び/又は挿入若しくは非挿入の、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(芳香族又は非芳香族)ヘテロシクリル又はアルケニル基であり得る。あるいは、R
1、R
2、R
3及びR
4の2つ以上は、窒素原子と一緒に、置換又は非置換ヘテロ環式環を形成することができる。基R
1、R
2、R
3及びR
4中の炭素原子の総数は、少なくとも4個でなくてはならない。典型的に、基R
1、R
2、R
3及びR
4中の炭素原子の総数は、10個以上である。本発明の1つの態様では、基R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの少なくとも1つは、8個〜18個の炭素原子を含有する。例えば、R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの少なくとも1つから最大4つまでは、8個〜18個の炭素原子、典型的には、10個〜16個の炭素原子を含有することができる。
【0040】
基R
1、R
2、R
3及びR
4に適切な置換基は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、置換アルキルアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキルからなる群から選択することができる。置換された基上の各置換基は、F、Br、I、-OR’、-NR’R”、-CF
3、-CN、-NO
2、-C
2R’、-SR’、-N
3、-C(=O)NR’R”、-NR’C(O)R”、-O(CR’R”)
rC(=O)R’、O(CR’R”)
rNR’C(O)R’、-(CR’R”)
rNR”SO
2R’、-OC(O)NR’R”、-NR’C(O)OR”、-SO
2R’、-SO
2NR’R”及び-NR’SO
2R”(式中、R’及びR”は、それぞれ、水素、C
1-C
8-アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はアリールアルキルであり、rは、1〜6の整数であり、又は、R’及びR”は、一緒に、環状官能基を形成する)であり得る。
【0041】
典型的に、本発明において使用される第四級アンモニウム化合物は、R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの少なくとも2つがメチル基であり、R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの2つが8個〜約18個の炭素原子を有するものである。代表的な第四級アンモニウム化合物は、ジアルキルジメチルアンモニウム化合物、及びアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物(ここで、アルキル基は8個〜18個の炭素原子を有する)を含む。特定の第四級アンモニウム化合物は、ジC
8-10アルキルジメチルアンモニウム塩及びベンジルC
12-16アルキルジメチルアンモニウム塩を含む。本発明の1つの実施形態では、第四級アンモニウム化合物の混合物は、ジC
8-10アルキルジメチルアンモニウム塩及びベンジルC
12-16アルキルジメチルアンモニウム塩を含む。特定の実施形態では、ジC
8-10アルキルジメチルアンモニウム塩は、ジC
8-10アルキルジメチルアンモニウムクロリドであり、ベンジルC
12-16アルキルジメチルアンモニウム塩は、ベンジルC
12-16アルキルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0042】
本発明において使用可能である第四級アンモニウム化合物は、Allendale, NJにオフィスを有するLonza, Inc.から入手可能である。1つの特定の第四級アンモニウム化合物の組み合わせは、Lonzaguard(商標) Concentrate 75、又は他の同様のクワット含有組成物である。
【0043】
成分(iii)は、塩基性化合物であり、成分(i)及び(ii)に添加されて、組成物のpHを8より高くする。一般に、pHは約10.5より高い値に上昇され得る。全ての適切な塩基性化合物を使用することができるが、アルカノールアミンが第四級アンモニウム化合物の機能に反対の影響を与えて組成物のpHを上昇するのに有効であることが判明している。本質的に、モノ、ジ及びトリのアルカノールアミンを含む、全てのアルカノールアミンを使用することができる。1つの特定の有用なアルカノールアミンはモノエタノールアミンである。塩基性成分の添加により、一般に、消毒用組成物は約10.5〜約13の範囲の組成物のpHを有し得る。
【0044】
成分(i)と成分(ii)の重量比が約1:1.5〜約1:10の範囲であり、成分(i)と成分(iii)の重量比が約1:3〜約1:15の範囲である場合、組成物は3分未満の消毒接触時間を示すことが判明している。1つの実施形態では、成分(i)と成分(ii)は、1:3〜1:5の範囲であり、成分(i)と成分(iii)の重量比は、1:5〜1:8の範囲である。
【0045】
本発明の消毒用組成物は、使用する前に使用濃度まで希釈される濃縮物として提供することができる。濃縮物は、前記で表した量の成分比を有し得る。あるいは、消毒用組成物は、即時使用可能な(Ready-to-Use (RTU))組成物として提供することができる。RTU組成物又は使用する前に希釈される濃縮物のいずれにおいても、消毒用組成物中の各成分の使用量は、以下の範囲内であるべきである。
【0046】
本発明の使用構成では、一般に、成分(i)は組成物中に約400ppm〜約1200ppmの量で存在し、成分(ii)は組成物中に約2000ppm〜約3600ppmの量で存在し、成分(iii)は組成物中に約3000ppm〜約7000ppmの量で存在する。特定の実施形態では、成分(i)は最終使用消毒用組成物中に約600ppm〜約1000ppmの量で存在する。より特定の実施形態では、成分(ii)は最終使用消毒用組成物中に約2600ppm〜約3200ppmの量で存在する。成分(iii)は最終使用消毒用組成物中に約4000ppm〜約6000ppmの量で存在する。
【0047】
消毒用組成物は、洗浄用及び消毒用の溶液中に当該技術分野において一般に使用される、界面活性剤、キレート剤、ビルダー塩(builder salt)、染料、香料などの成分を含む、追加成分を場合によりさらに含有することができる。適切な界面活性剤は、限定されないが、非イオン性界面活性剤、例えば、アミンオキシド、直鎖状アルコールエトキシレート、第二級アルコールエトキシレート、エトキシレートエステル、ベタミン(betamine)、ポリオキシアルキレンポリマー及びコポリマー並びにアルキルポリグリセリドを含む。界面活性剤は、消毒用組成物中に0.001重量%〜10重量%の範囲、より典型的には0.01重量%〜5重量%の範囲で存在することができる。使用することができるキレート剤の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、ニトリロ酢酸、並びに様々なリン酸及びゼオライトの、ナトリウム及びカリウムの塩である。キレート剤は、溶媒として使用される水から硬度を除去するのに役立つ。消毒用組成物中に使用することができるキレート剤の重量パーセントは、0.001重量%〜10重量%の範囲、より典型的には0.001重量%〜5重量%の範囲である。使用することができるビルダー塩の例は、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、クエン酸塩及びゼオライトを含む。消毒用組成物中に使用することができるビルダー塩の重量パーセントは、0.001重量%〜15重量%の範囲、好ましくは0.001重量%〜0.5重量%の範囲である。組成物中に添加される他の成分の量は、消毒用組成物中に通常使用される量である。これらの成分は、濃縮物中に存在することができ、又は使用する組成物を生成中に組成物に添加することができる。
【0048】
本発明の消毒用組成物は、通常の適用技術を使用して、被処理基材に適用され得る。通常の技術は、基材上に消毒用組成物を、噴霧、注入、噴射及び/又はワイピングすることを含む。組成物は即時使用可能な消毒用組成物として末端使用者に提供され、適用手段を有する容器において末端使用者に提供される。例えば、組成物は、エアロゾルとしての加圧容器、噴射容器としてのトリガー若しくはポンプ噴霧器を有する容器、又は使用者が消毒用組成物を基材上に注入することができる取り外し可能なキャップを有する通常の容器中に提供することができる。
【0049】
しかしながら、1つの特定の有用な適用手段は、消毒用組成物をワイプ基材中に含浸させることである。この実施形態では、ワイプは消毒用組成物を含浸させた単回使用ワイプであり、ワイプを使用者に分配し得る容器中に保存される。一般に、この構成は使い捨てワイプと呼ばれる。ワイプを有する容器は、単一のワイプ、又は複数のワイプを含有することができる。適切な容器は、使用者により裂開されるウェットティッシュなどの単一のワイプを含有するポーチを含み、あるいは、積層式、ロール式、又は単一のワイプを開口部から一度に取り出すことができる他の適切な方式で、再封可能な開口部を有する複数のワイプを含有するポーチであり得る。一般に、ポーチは、流体不浸透材料、例えばフィルム、コート紙若しくはホイル、又は他の同様の流体不浸透材料から調製される。本発明のワイプを分配する別の方法では、容器中のワイプを入手するための開口部を有する流体不浸透容器中にワイプを置く。容器は、流体不浸透である蓋を有する成形プラスチック容器であり得る。一般に、蓋は、容器中のワイプを入手するための開口部を有し得る。容器中のワイプは、ワイプを容器から取り出すと次のワイプを取り出す使用者の準備のために次のワイプが容器の開口部に位置するように、交互に挟み込んで積層され得る。あるいは、ワイプは、連続する材料の個々のワイプ間にミシン目のある連続する材料であり得る。ミシン目を有する連続するワイプの材料は、折り重ね状の形態であり得るか、又はロール状の形態であり得る。一般に、ロール状の形態では、ワイプの材料は、ロール状材料の中心から供給される。交互に挟み込んだ積層式と同様に、ワイプを容器から取り出すと、必要な時に次のワイプを取り出して使用するために次のワイプが開口部に位置する。
【0050】
使い捨てワイプは、他の適用媒体、例えば、再利用できるスポンジ、布きれなどよりも利点を提供する。繰り返して使用される、スポンジや、布きれとは異なり、含浸ワイプは、一回使用されて、処分される。前記したように、スポンジや布きれには消毒用組成物により簡単に死滅しない微生物が存在し得るので、再利用されるスポンジや布きれには問題が存在する。さらに、消毒用組成物は、スポンジや布きれに存在する多孔軟質表面ではなく、硬質表面を処理するよう処方される。
【0051】
消毒用組成物はワイプが前もって湿らされるようにワイプ中に含浸され、ワイプを被処理基材にわたって動かして、基材上に消毒用組成物を押し出すか、又は放出し得る。一般に、ワイプがワイピング作用(塗付作用)を通して基材に消毒用組成物を放出し得るように、ワイプ中に消毒用組成物をしみ込ませる。ワイプ基材に依存して、一般に、浸潤は、1重量部の被浸潤ワイプ基材当たり少なくとも約3重量部の即時使用可能な消毒用組成物を使用することにより達成された。一般に、消毒用組成物は、1重量部のワイプ基材当たり約4重量部〜6重量部で使用される。これらの範囲では、基材の完全な浸潤を達成することができる。消毒用溶液の量は、特定のワイプ基材に依存して、ワイプ基材の完全な浸潤を達成するために、多くしたり、少なくしたりすることができることに注目されたい。
【0052】
適切なワイプ基材は、織物材料及び不織物材料を含む。本質的に、全ての不織ウェブ材料を使用することができる。代表的な不織物材料は、限定されないが、メルトブローン、コフォーム(coform)、スパンボンド、エアレイド、水流交絡不織物、スパンレース、ボンデッドカーデッドウェブ(bonded carded web)及びそれらの積層物を含むことができる。場合により、不織物はまた、フィルム材料と積層することもできる。ワイプ基材を調製するために使用される繊維は、セルロース繊維、熱可塑性繊維、及びそれらの混合物であり得る。繊維はまた、連続繊維、不連続繊維、ステープル繊維、及びそれらの混合物であり得る。不織ウェブの坪量は、1平方メートル当たり約12グラム〜1平方メートル当たり200グラム以上で変わり得る。
【0053】
ウェットティッシュ(ワイプ)は本明細書において開示される。1つの実施形態では、ワイプは許容公差量内の活性及び不活性成分の両方を含有する液体成分に含浸され、ワイプから押し出される消毒用組成物は許容公差量内の活性成分を含有する。一度表面に適用されると、抗微生物消毒用組成物は一定期間表面上に残存することができる。抗微生物組成物は、表面に適用させて乾燥させることができ、あるいは、未使用であることが好ましい乾燥ワイプ又はワイピング装置により表面を拭くことによって乾燥させることができる。
【0054】
本発明のワイプ又は消毒用組成物が表面を拭くために使用される場合、消毒は4分未満、一般に3分以下、特に90秒以下で達成される。抗微生物消毒用組成物は、消毒を起こさせるのに十分な時間、消毒を必要とする表面との接触状態を維持することが当業者に理解されるであろう。本発明の組成物は、限定されないが、多くの異なる微生物に対して有効であることが判明している。
【0055】
本発明は、以下の実施例により、さらに詳細に説明される。特に明記しない限り、全ての部及びパーセンテージは重量部及び重量%であり、全ての温度はセルシウス度である。
【実施例】
【0056】
試験手順
以下の各実施例の組成物の有効性を試験するために、以下の試験手順を実施した。全試験をPre-Saturated Towelette for Hard-Surface Disinfection(硬質表面消毒用の浸潤済タオレット)(modified AOAC 961.02、AOAC Germicidal Spray Products as Disinfectants (修正版AOAC 961.02、消毒剤としてのAOAC殺菌噴霧製品))の試験法を使用して実施した。
【0057】
以下の各実施例では、第四級アンモニウム化合物の濃縮混合物は、即時使用可能な組成物中の第四級アンモニウム含有成分として使用される。濃縮物は、13重量%のジ-C
8-10アルキルジメチルアンモニウムクロリド、8.5重量%のベンジルC
12-16アルキルジメチルアンモニウムクロリド、3重量%のエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、72.5重量%の水及び3重量%のエタノールを含有する。
【0058】
実施例1
【表1】
【0059】
表1の組成物は約11.6のpHを有しており、ポリプロピレン不織ウェブのロールをスナップキャップクロージャー付HDPE製キャニスター中に置いて、容器が約1重量部の不織ウェブ及び5重量部の表1に示す組成物を含有するように添加して、34g/m
2±2g/m
2を有し、EHRT結合様式を有するポリプロピレン不織ウェブ上に表1の組成物を浸潤させた。
【0060】
容器からワイプを取出し、乾燥細菌である黄色ブドウ球菌又は緑膿菌を有する10個のスライドガラスを拭くために使用した。各スライドガラスを60秒間、ワイプ及び消毒用溶液と接触させた。黄色ブドウ球菌を含有する60個のスライドの全てが5の対数減少値を満たし、対数減少値の平均値は6.48であった。
【0061】
実施例2
【表2】
【0062】
表2の組成物は約11.6のpHを有しており、ポリプロピレン不織ウェブのロールをスナップキャップクロージャー付HDPE製キャニスター中に置いて、容器が約1重量部の不織ウェブ及び4重量部の表2に示す組成物を含有するように添加して、34g/m
2±2g/m
2を有し、EHRT結合様式を有するポリプロピレン不織ウェブ上に表2の組成物を浸潤させた。
【0063】
容器からワイプを取出し、乾燥細菌である黄色ブドウ球菌又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginos)を有する10個のスライドガラスを拭くために使用した。各スライドガラスを90秒間、ワイプ及び消毒用溶液と接触させた。黄色ブドウ球菌を含有する60個のスライドの全てが5の対数減少値を満たし、対数減少値の平均値は6.82であった。緑膿菌を含有する60個のスライドの全てが5の対数減少値を満たし、対数減少値の平均値は6.86であった。
【0064】
比較例1
【表3】
【0065】
表3に示す組成物を浸潤させたワイプを黄色ブドウ球菌に対して試験し、3分の接触時間後に、試験した30個のうちの2個のスライドガラスが黄色ブドウ球菌について陽性であった。
【0066】
実施例3
実施例1及び2に記載の組成物について、表4に示す、追加の細菌微生物、ウイルス及び酵母微生物に対して、前記と同じ試験パラメータを使用して試験した。この微生物に対する結果を表4に示す。
【表4】
【0067】
前記実施例において示されるように、ビグアニド及び塩基性化合物を添加した本発明の組成物は、意外なことに、これらの成分を含有しない組成物をさらにより長い接触時間で使用した場合よりも改善された結果を示す。
【0068】
本発明はその特定の実施形態を参照することにより上に記載されたが、本明細書に記載された本発明の概念から逸脱することなく多くの変更、修正及び変形をすることができる。したがって、添付される特許請求の範囲の精神及び幅広い範囲に含まれる、全てのこのような変更、修正及び変形を包含することが意図される。
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
(i)抗微生物ビグアニド、モノグアニド又はそれらの組み合わせ;
(ii)第四級アンモニウム化合物又は第四級アンモニウム化合物の混合物;及び
(iii)塩基性化合物
を含む消毒用組成物であって、
成分(i)と成分(ii)の重量比が、約1:1.5〜約1:10の範囲であり、
成分(i)と成分(iii)の重量比が、約1:3〜約1:15の範囲である、
前記消毒用組成物。
[実施形態2]
塩基性化合物が、アルカノールアミンを含む、実施形態1に記載の消毒用組成物。
[実施形態3]
アルカノールアミンが、エタノールアミンを含む、実施形態1又は2に記載の消毒用組成物。
[実施形態4]
抗微生物ビグアニドが、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態5]
第四級アンモニウム化合物が、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンジルアルキルジメチルアンモニウム塩、又はそれらの混合物を含む、実施形態1〜4のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態6]
ジアルキルジメチルアンモニウム塩がジC8-10アルキルジメチルアンモニウム塩を含み、ベンジルアルキルジメチルアンモニウム塩がベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウム塩を含む、実施形態1〜5のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態7]
ジC8-10アルキルジメチルアンモニウム塩がジC8-10アルキルジメチルアンモニウムクロリドであり、ベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウム塩がベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウムクロリドである、実施形態1〜6のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態8]
抗微生物ビグアニドがポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩を含み、第四級アンモニウム化合物がジC8-10アルキルジメチルアンモニウムクロリド及びベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウムクロリドを含む第四級アンモニウム化合物の混合物であり、塩基性化合物がモノエタノールアミンを含む、実施形態1〜7のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態9]
成分(i)と成分(ii)の重量比が、1:3〜1:5の範囲であり、成分(i)と成分(iii)の重量比が、1:5〜1:8の範囲である、実施形態1〜8のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態10]
成分(i)と成分(ii)の重量比が、1:3〜1:5の範囲であり、成分(i)と成分(iii)の重量比が、1:5〜1:8の範囲である、実施形態1〜9のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態11]
組成物のpHが8より高い、実施形態1〜10のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態12]
組成物のpHが約10.5〜約13の範囲である、実施形態1〜11のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態13]
(i)抗微生物ビグアニド、モノグアニド又はそれらの組み合わせ;
(ii)第四級アンモニウム化合物又は第四級アンモニウム化合物の混合物;
(iii)塩基性化合物;及び
(iv)水
を含む消毒用組成物であって、
成分(i)が、組成物中に約400ppm〜約1200ppmの量で存在し、
成分(ii)が、組成物中に約2000ppm〜約3600ppmの量で存在し、
成分(iii)が、組成物中に約3000ppm〜約7000ppmの量で存在する、
前記消毒用組成物。
[実施形態14]
成分(i)が、組成物中に約600ppm〜約1000ppmの量で存在し、
成分(ii)が、組成物中に約2600ppm〜約3200ppmの量で存在し、
成分(iii)が、組成物中に約4000ppm〜約6000ppmの量で存在する、実施形態1〜13のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態15]
塩基性化合物が、アルカノールアミンを含む、実施形態1〜14のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態16]
アルカノールアミンが、エタノールアミンを含む、実施形態1〜15のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態17]
抗微生物ビグアニドが、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩を含む、実施形態1〜16のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態18]
第四級アンモニウム化合物が、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンジルアルキルジメチルアンモニウム塩、又はそれらの混合物を含む、実施形態1〜17のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態19]
ジアルキルジメチルアンモニウム塩がジC8-10アルキルジメチルアンモニウム塩を含み、ベンジルアルキルジメチルアンモニウム塩がベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウム塩を含む、実施形態1〜18のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態20]
ジC8-10アルキルジメチルアンモニウム塩がジC8-10アルキルジメチルアンモニウムクロリドであり、ベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウム塩がベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウムクロリドである、実施形態1〜19のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態21]
抗微生物ビグアニドがポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩を含み、第四級アンモニウム化合物がジC8-10アルキルジメチルアンモニウムクロリド及びベンジルC12-16アルキルジメチルアンモニウムクロリドを含む第四級アンモニウム化合物の混合物であり、塩基性化合物がモノエタノールアミンを含む、実施形態1〜20のいずれかに記載の消毒用組成物。
[実施形態22]
実施形態1〜21のいずれかに記載の消毒用組成物を含浸させた基材を含むワイプ。
[実施形態23]
基材が、メルトブローン、コフォーム、スパンボンド、エアレイド、水流交絡不織物、スパンレース、ボンデッドカーデッドウェブ及びそれらの積層物を含む、実施形態22に記載のワイプ。
[実施形態24]
消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、実施形態1〜21のいずれかに記載の消毒用組成物を消毒を必要とする表面上に適用するステップ、前記組成物を一定期間前記表面上に残存させるステップを含む、前記方法。
[実施形態25]
一定期間が3分以下である、実施形態24に記載の方法。
[実施形態26]
一定期間が90秒以下である、実施形態24又は25に記載の方法。
[実施形態27]
消毒を必要とする表面を消毒する方法であって、実施形態22又は23に記載のワイプにより表面を拭くステップ、消毒用組成物の一部を消毒を必要とする表面上に放出するステップ、前記組成物を一定期間前記表面上に残存させるステップを含む、前記方法。