(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6771732
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】屋内空間部用の区画体、及び屋内空間部用の区画体を用いた区画方法
(51)【国際特許分類】
A63B 71/02 20060101AFI20201012BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
A63B71/02 E
E04B2/74 561M
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-240112(P2019-240112)
(22)【出願日】2019年12月12日
【審査請求日】2019年12月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592206156
【氏名又は名称】東田商工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 捷俊
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6589252(JP,B1)
【文献】
特開2006−194043(JP,A)
【文献】
特表2019−504224(JP,A)
【文献】
特開2019−181084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 71/02
E04B 2/74
E04H 15/00−15/64
A07G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害時の避難所として使用する屋内空間部を複数に区画すべく対向する側面間に複数本架け渡された区画用ロープ体と、該区画用ロープ体に取り付ける縦方向の区画及び横方向の区画を形成する区画用シート体とから構成された屋内空間部用の区画体において、前記各区画用ロープ体には、間仕切り面に応じて形成されたネット体又はシート体がそれぞれ吊り張りされ、且つ前記ネット体又はシート体を利用して上下方向の取り付け位置に対応できる長さに形成された縦方向の区画用シート体を前記区画用ロープ体の架け渡し方向に沿って所望の高さ位置に取り付け、及び隣り合う前記区画用ロープ体に取り付けられたネット体又はシート体を利用して前記区画用ロープ体間の幅に応じて形成された横方向の区画用シート体を取り付けることを特徴とする屋内空間部用の区画体。
【請求項2】
災害時の避難所として使用する屋内空間部の対向する側面間に複数本の区画用ロープ体を所望の間隔で架け渡し、前記区画用ロープ体に縦方向の区画を形成する区画用シート体を取り付けるとともに、前記隣り合う区画用ロープ体間に横方向の区画を形成する区画用シート体を取り付けることで、複数個の区画を形成する屋内空間部用の区画体の区画方法において、前記各区画用ロープ体に間仕切り面に応じて形成されたネット体又はシート体を取り付けた後、前記ネット体又はシート体を利用して前記縦方向の区画用シート体を上下方向の取り付け位置に対応できる長さに形成し、所望の高さ位置を設定して前記区画用ロープ体の架け渡し方向に沿って取り付けるとともに、前記縦方向の区画用シート体の高さ位置に応じて前記区画用ロープ体間の幅に応じて形成された前記横方向の区画用シート体を隣り合う前記区画用ロープ体に吊り張りされたネット体又はシート体間に取り付けることで、壁面の高さ位置及び床面の面積を自在に調整して複数個の区画を形成することを特徴とする屋内空間部用の区画体の区画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、災害時の避難所として使用される体育館等の施設の屋内空間部を複数に区画して避難者を受け入れる屋内空間部用の区画体、及び屋内空間部用の区画体を用いた区画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害時の避難所、又は避難施設としてメインホール、サブホールを形成する複数の屋内空間部を有する体育館が使用されている。
【0003】
前記屋内空間部は災害の状況に応じて数日間に渡って人々の避難場所となるために、非難した人々を複数に区画した区画体の中で生活できる状態として使用される。
【0004】
前記屋内空間部を複数に区画するのに、段ボール又はパネル体が一般的に利用されている。
【0005】
即ち、前記段ボールを利用した区画体は、段ボール板の床面部及び側壁部から構成され、床面部の各端辺に沿ってそれぞれ側壁部を立設し屋根部分のない箱状に組み立てることで1つの区画を形成し、該区画を複数個(避難者に応じた数)設置して屋内空間部用の区画体を形成している。
【0006】
また、前記パネル体を利用した区画体は、矩形状の複数枚のパネル体を側壁部として使用し屋根部分のない矩形状の枠に組み立てることで1つの区画を形成し、該区画を複数個設置することで屋内空間部用の区画体を形成している。
【0007】
しかしながら、上記段ボールを利用した区画体は、常時は折り畳まれた複数枚の段ボールを箱状にまとめ、該箱体を複数個積み重ねることで収納されているために、避難者に対応した数、例えば100区画分を保管するには、(少なくとも2m四方で厚みが約20cmの箱であるために)十分な保管スペースを確保することができない欠点があるとともに、段ボールを使用した後は廃棄物処理しなければならず、その廃棄コストの面でも大きな問題点があった。
【0008】
また、上記パネル体は使用後に廃棄物処理する必要はないものの、段ボールと同様に、各パネル体(少なくとも2m四方の形状であるために)を複数枚積み重ねて収納するための十分な保管スペースがないという問題点があった。
【0009】
そこで、収納に多くのスペースを必要とすることなく、且つ再利用が可能である区画用ロープ体と区画用シート体を用いた屋内空間部用の区画体が提案された。
【0010】
前記屋内空間部用の区画体は、複数本の区画用ロープ体と、複数枚の区画用シート体で形成されているために折り畳んで収納することができ、例えば100区画分であっても段ボール等に比し保管スペースを必要としない(約1/10)という利点とともに、再利用できる利点がある。
【0011】
前記区画体は、屋内空間部に所望の間隔(区画する間隔、及び区画間の通路の間隔)に応じて複数本の区画用ロープ体を架け渡し、該区画用ロープ体の架け渡し方向(縦方向)に沿って区画用シート体を区画の数に応じて取り付けた後、前記隣り合う区画用ロープ体間に横方向に区画用シート体を取り付けることで、各区画を形成し、全体で複数個の区画を形成することで、区画体を形成するために、複数個の区画を容易に形成することができる。
【0012】
しかしながら、前記区画用ロープ体と区画用シート体とを用いた屋内空間部用の区画体は、前記区画用ロープ体を屋内空間部用の側面に架け渡す際、その側面への取り付ける高さ位置が、区画を形成する区画用シート体の側壁部の高さ位置に相当するために、屋内空間部の対向する側面間に前記側壁部に相当する高さ位置に新たな連結部分を形成する必要があり、その設置に多くの作業時間及びコストを要する欠点があった。
【0013】
また、側壁部の高さ位置が予め決定されているために、その高さ位置の変更ができず、例えば赤ん坊のいる女性等目隠しを必要とする個別の区画を形成することができないという欠点があった。
【0014】
同様に、隣り合う区画用ロープ体間に取り付ける横方向の区画用シート体においてもその取り付け位置の高さ位置も区画用ロープ体の位置に限定される欠点があった。
【0015】
さらに、縦方向の区画用シート体は区画用ロープ体に掛けるように取り付けるために、縦方向の区画用シート体が移動することがあり、また区画用ロープ体に紐状体で固定するとその固定作業が煩雑であるという欠点があった。
【0016】
そこで、本願発明は、区画用シート体で形成する側壁部の高さ位置を自在に設定することができ、その組み立てが簡易であり、且つ区画用ロープ体の架け渡し方法も容易な屋内空間部用の区画体、及び屋内空間部用の区画体の区画方法を提供することを課題とする。
【0017】
上記課題を解決する手段としての屋内空間部用の区画体は、請求項1に記載のように、災害時の避難所として使用する屋内空間部を複数に区画すべく対向する側面間に複数本架け渡された区画用ロープ体と、前記区画用ロープ体に取り付け縦方向の区画及び横方向の区画を形成する区画用シート体とから構成された屋内空間部用の区画体において、前記
各区画用ロープ体には、間仕切り面に応じて形成されたネット体又はシート体が
それぞれ吊り張りされ、
且つ前記ネット体又はシート体を利用して上下方向の取り付け位置に対応できる長さに形成された縦方向
区画用シート体を前記区画用ロープ体の架け渡し方向に沿って所望の高さ位置に取り付け、及び隣り合う前記区画用ロープ体に取り付けられたネット体又はシート体を利用して前記区画用ロープ体間の幅に応じて形成された横方向の区画用シート体を取り付けることを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決する手段としての屋内空間部用の区画体の区画方法は、請求項
2に記載のように、災害時の避難所として使用する屋内空間部の対向する側面間に複数本の区画用ロープ体を所望の間隔で架け渡し、前記区画用ロープ体に縦方法の区画を形成する区画用シート体を取り付けるとともに、前記隣り合う区画用ロープ体間に横方法の区画を形成する区画用シート体を取り付けることで、複数個の区画を形成する屋内空間部用の区画体の区画方法において、前記
各区画用ロープ体に間仕切り面に応じて形成されたネット体又はシート体を取り付けた後、前記ネット体又はシート体を利用して前記縦方向の区画用シート体を
上下方向の取り付け位置に対応できる長さに形成し、所望の位置を設定して
前記区画用ロープ体の架け渡し方向に沿って取り付けるとともに、前記縦方法の区画用シート体の高さ位置に応じて
前記区画用ロープ体間の幅に応じて形成された前記横方向の区画用シート体を隣り合う前記
区画用ロープ体に吊り張りされたネット体又はシート体間に取り付けることで、壁面の高さ位置及び床面の面積を自在に調整して区画することを特徴とする。
【0020】
本願発明の屋内空間部用の区画体、及び屋内空間部用の区画体の区画方法の作用効果を説明する。
【0021】
先ず、請求項1に記載の屋内空間部用の区画体は、災害時の避難所として使用する屋内空間部の対向する側面間に架け渡された複数本の区画用ロープ体と、前記区画用ロープ体に吊り張りするネット体又はシート体と、前記ネット体又はシート体を利用して取り付けられた前記区画用ロープ体と同方向の縦方向の区画を形成する区画用シート体と、前記隣り合う区画用ロープ体間(交差方向)に取り付けられた横方向の区画を形成する区画用シート体とから構成されている。
【0022】
前記ネット体又はシート体は間仕切り面に応じて形成され、前記ネット体又はシート体に直接又は間接的(連結具を介して)に前記縦方向の区画用シート体及び前記横方向の区画用シート体が
それぞれ取り付けられる。
【0023】
このため、前記区画用ロープ体の架け渡された間隔で前記ネット体又はシート体が吊り張りされ、区画の幅が決定される。
【0024】
前記縦方向の区画用シート体は、前記ネット体又はシート体の面を利用して所望の高さ位置に取り付け可能で、区画体の側壁面の高さを自在に調整することができる。
【0025】
しかも、前記ネット体又はシート体の面を利用して取り付けるために、その取り付けが容易であり、また、取り付け後に前記縦方向の区画用シート体が取り付け位置より移動することがなく確実に取り付けできる。
【0026】
前記横方向の区画用シート体は、隣り合う区画用ロープ体にそれぞれ吊り張りされたネット体又はシート体を利用して、取り付け位置の高さ、及び幅を自在に調整することができる。
【0027】
この場合も前記縦方向の区画用シート体と同様に、その取り付けが容易であり、また取り付け位置が移動することなく、確実に取り付けできる。
【0028】
これにより、前記縦方向の区画用シート体及び前記横方向の区画用シート体を利用して高さ位置、面積の相違する複数個の区画を自在に形成することができる。
【0029】
このように、本願請求項1に記載の屋内空間部用の区画体は、避難者の数に応じて、また、避難者の家族構成に応じて、前記区画用ロープ体の架け渡された幅、又は前記横方向の区画用シート体で自在のその面積を調整することができ、避難者に応じた最適な複数個の区画を自在に形成することができる。
【0030】
また、前記縦方向の区画用シート体の取り付け位置により区画の側壁部の高さ位置を自在に調整することができる。
【0031】
また、区画体の構成が、区画用ロープ体と、区画用シート体とから構成されているために、その構成が簡易であり、再利用でき、コストの面で従来の段ボール等に比しかなり削減することができる。
【0032】
さらに、保管の面で従来のようにスペースを有することなく保管することができ、通常時の保管が容易である。
【0036】
次に、本願発明の請求項2に記載の屋内空間部用の区画体の区画方法は、災害時の避難所として使用する屋内空間部の対向する側面間に複数本区画用ロープ体を所望の間隔で架け渡し、前記
各区画用ロープ体に間仕切り面に応じて形成されたネット体又はシート体を
それぞれ吊り張りした後、前記ネット体又はシート体を利用して
縦方向の複数枚の区画用シート体を所望の高さ位置で
それぞれ取り付けるとともに、前記隣り合う区画用ロープ体間で前記ネット体又はシート体を利用して前記横方向の
複数枚の区画用シート体を所望の幅で、前記縦方向の区画用シート体の高さ位置に応じて
それぞれ取り付けることで、区画体を形成する。
【0037】
前記区画用ロープ体間は、避難者の人数に応じた区画の数に対応して自在に設定することができる。
【0038】
また、前記縦方向の区画用シート体の前記ネット体又はシート体への高さ方向の取り付け位置を自在に調整することができ、避難者の希望に応じて適切な高さ位置に決定することができる。
【0039】
しかも、前記ネット体又はシート体を利用して取り付けるので、その取り付け作業が容易であり、しかも、所望の位置に確実に取り付けできる。
【0040】
また、前記横方向の区画用シート体も同様に、前記ネット体又はシート体への取り付け位置を自在に調整することができ、避難者の家族構成等に応じて適切な面積を設定して区画することができる。
【0041】
しかも、前記横方向の区画用シート体の取り付けも、前記ネット体又はシート体を利用して取り付けために、容易に取り付けできる。
【0042】
このように、本願発明の請求項2に記載の屋内空間部用の区画体の区画方法は、避難者の状況に応じて自在に区画することができ、あらゆる屋内空間部で自在に区画体を形成することができる。
【0043】
また、ネット体又はシート体を利用して縦方向の区画用シート体及び横方向の区画用シート体を取り付けでき、従来に比しその組み立て工程が容易であり、簡易に組み立てできる。
【0044】
しかも、区画体の設置、及び区画体の解体が容易であり、また、再利用できるので、廃棄物処理の必要がない。
【0045】
本願発明の屋内空間部用の区画体、及び屋内空間部用の区画体の区画方法の一実施例について図面を利用して説明する。
【0046】
図1は本願発明の屋内空間部用の区画体の一実施例を示す概略説明一部分平面図であり、
図2は区画用ロープ体に吊り張りされたネット体又はシート体及び縦方向の区画用シート体の一実施例を示す概略説明正面図であり、
図3は縦方向の区画用シート体と横方向の区画用シート体で形成された区画の一実施例を示す概略説明平面図であり、
図4は横方向の区画用シート体の一実施例を示す概略説明正面図であり、
図5は屋内空間部用の区画体の一実施例を示す概略説明平面図であり、
図6は区画用ロープ体に吊り張りされたネット体又はシート体及び縦方向の区画用シート体の他実施例を示す概略説明側面図であり、
図7及び
図8は区画の他実施例を示す概略説明平面図であり、
図9は本願発明の屋内空間部用の区画体の他実施例を示す概略説明平面図であり、
図10はネット体又はシート体の他実施例を示す概略説明側面図であり、
図11、
図12及び
図13は区画用シート体の他実施例を示す概略説明平面図であり、
図14は区画用ロープ体の架け渡し方法の他実施例を示す概略説明平面図であり、
図15は区画用ロープ体の架け渡し方法の他実施例を示す概略説明側面図である。
【0047】
図16は本願発明の屋内空間部用の区画体の区画方法を示すフローチャートである。
【実施例1】
【0048】
本願発明の屋内空間部用の区画体1は、屋内空間部の側面間の所望の高さ位置に架け渡される複数本の区画用ロープ体2と、前記区画用ロープ体2に連結手段を介して吊り張りされるネット体(又はシート体)3と、前記ネット体3の網目部分を利用して取り付ける縦方向の区画用シート体4と、前記隣り合う区画用ロープ体2間で前記ネット体3の網目部分を利用して取り付け横方向の区画用シート体5とから構成されている。
【0049】
前記ネット体3は床面側までの上下方向の長さが調整可能とすべく、床面側の下端側を折り返して所望の高さ位置に設定することで、出入り口部分を形成する縦方向の区画用シート体4の開閉移動を容易にすることができる。
【0050】
また、対向する固定状態の側壁部を形成する縦方向の区画用シート体4を取り付けるネット体3は下端側を床面側まで位置することで、前記縦方向の区画用シート体4を外側より保護することができる。
【0051】
尚、前記ネット体3の上下方向の長さは、上記のように調整可能に構成することに限定されるものでなく、予め上下方向の長さの形成されたネット体3を使用することも可能である。
【0052】
即ち、区画の出入り口が可能な高さ位置までに形成されたネット体3を用いることも可能である。
【0053】
前記区画用ロープ体2は、屋内空間部の二階部分に設置されている手すり部分を利用して対向する側面間に所望の間隔(区画体1を形成する横方向の幅)で複数本架け渡され、側面側に取り付けられた滑車、ウインチ等を用いて架け渡されている。
【0054】
尚、前記区画用ロープ体2の取り付け位置は上記二階の手すり部分に限定されるものでなく、屋内空間部の側面側でネット体3の吊り張りできる高さ位置であれば取り付け位置は特に問うものでない。
【0055】
前記区画用ロープ体2の両端側は、両端側に設置されたウインチ等に巻回されたウインチ用ロープ体(図示せず)に連結することで、前記区画用ロープ体2の両端側の延びを調整することも可能である。
【0056】
即ち、架け渡された区画用ロープ体2に異常な負荷がかかった場合に、両端側のウインチ用ロープが延出し前記区画用ロープ体2に弛みを与え、破損等の危険を回避することができる。
【0057】
前記縦方向の区画用シート体4は、縦方向(区画用ロープ体2の架け渡す方向)の区画面積(左右方向は避難者の人数に応じた長さ、上下方向はネット体3への取り付け位置に自在に対応できる長さ)に応じて形成されたシート本体7と前記シート本体7の上端側に沿って連結された棒状体6とから構成され、前記棒状体6を前記ネット体3の網目部分にカギ状の連結具8を介して所望の高さ位置に取り付けることで、縦方向の壁面を形成することができる。
【0058】
これにより、前記縦方向の区画用シート体4は棒状体6に沿って開閉移動することができ、出入り口部分としても使用できる。
【0059】
また、前記開閉する縦方向の区画用シート体4に対向する側壁部を形成する縦方向の区画用シート体4は固定状態で取り付ける。
【0060】
尚、前記縦方向の区画用シート体4の前記ネット体3への取り付けは上記連結具8に限定されるものでなく、前記棒状体6の両端側を連結紐(図示せず)で前記ネット体3の網目部分に連結することで縦方向の壁面部を形成することも可能である。
【0061】
また、前記縦方向の区画用シート体4(固定側の壁面部分)は長尺状に形成することで、前記ネット体3に沿って複数個の区画体1の縦方向の壁面を一体的に形成することも可能である。
【0062】
前記横方向の区画用シート体5は、前記区画用ロープ体2間の幅に応じて形成されたシート本体9と、前記シート本体9の上端側に沿って取り付けられた棒状体10とから構成され、前記棒状体10の両端側に取り付けられ、前記ネット体3の網目部分に連結する連結具11とから構成され、前記連結具11を前記ネット体3の網目部分へ連結することで、横方向の壁面を形成することができる。
【0063】
尚、前記横方向の区画用シート体5の前記ネット体3への連結は、上記連結具11に限定されるものでなく、連結紐(図示せず)で前記棒状体10の端部をネット体3の網目部分に連結することも可能である。
【0064】
尚、前記横方向の区画用シート体5の前記ネット体3への取り付け位置で区画の面積が決定される。
【0065】
また、前記横方向の区画用シート体5は隣り合う区画毎に別々に取り付け、別々の側壁部とすることで、縦方向の区画間に隙間を形成することも可能であり、また、一つの横方向の区画用シート体5で隣り合う縦方向の区画の側壁部とすることも可能である。
【0066】
また、前記縦方向の区画用シート体4を開閉移動する際、前記棒状体6に限定されるものでなく、レール(図示せず)を用いてシート本体7を開閉することも可能である。
【0067】
上記実施例では、縦方向の区画用シート体4と横方向の区画用シート体5とをそれぞれ別々に形成したが、本願発明において、縦方向の区画用シート体4と横方向の区画用シート体5を一体的に形成することも可能である。
【0068】
即ち、1枚の縦方向の区画用シート体4とその両側面側に横方向の区画用シート体5をそれぞれ一体的に取り付けることで、略コ字状の形状で一度に取り付け、開口部に他の縦方向の区画用シート体4を開閉自在に取り付けて区画を形成する。
【0069】
又は、1枚の縦方向の区画用シート体4と1枚の横方向の区画用シート体5とを一体的に形成し、略L字状の形状を組み合わせて区画を形成する。
【0070】
さらに、2枚の縦方向の区画用シート体4と2枚の横方向の区画用シート体5とを一体的に形成し、略口字状の形状で区画を予め形成する。
【0071】
また、上記のように、区画用シート体4及び区画用シート体5を一体的に形成した場合は、棒状体6及び棒状体10も同様に一体的に形成、例えば略コ字状、略L字状又は略ロ字状等形成し、屈折部分を折り畳み式に構成することも可能である。
【0072】
本願発明の屋内空間部用の区画体1は上記のように構成され、次に、前記屋内空間部用の区画体1を用いて、屋内空間部を複数に区画する場合について説明する。
【0073】
先ず避難所としての屋内空間部の二階部分の手すり部分を利用して、例えば複数本の手すり間約2.4m幅に2本の区画用ロープ体2を架け渡し、約1.2m間隔を開けて隣接する区画用ロープ体2、再度約2.4m幅で区画用ロープ体2を架け渡すことを、屋内空間部の面積(避難者の人数に対応した区画を形成)に応じて繰り返す。
【0074】
次に、約2.4m幅の2本の区画用ロープ体2にそれぞれ間仕切り面に応じて形成されたネット体3を広げた状態で吊り張りする。
【0075】
前記ネット体3の下端側は床面側より出入り口に相当する高さ位置までに形成することで、各区画の出入り口部分に対応する。
【0076】
その後、前記ネット体3の網目部分を利用して縦方向の区画用シート体4の上端側の連結具11を取り付けることで、容易に前記縦方向の区画用シート体4を取り付けでき、縦方向の側壁部を形成することができる。
【0077】
この際、前記縦方向の区画用シート体4のシート本体7の縦方向の長さは区画体1の側壁部を形成するために、一人用、二人用、及び四人用等の目的に応じて形成されたシート本体7を選択して対向する両側の前記ネット体3の同位置にそれぞれ取り付ける。
【0078】
また、前記縦方向の区画用シート体4の前記ネット体3への取り付け位置の上下方向は、約2m以下、又はそれ以上等、自在に設取り付け可能であるために、避難者の希望する高さ位置に取り付けできる。
【0079】
次に、前記約2.4m幅で上下方向約2mで形成されたシート本体9からなる横方向の区画用シート体5を前記対向した縦方向に取り付けられた前記縦方向の区画用シート体4の両端側で、交差する方向(隣接する区画用ロープ体2に吊り張りされたネット体3間)でそれぞれ前記ネット体3の網目部分を利用して取り付けることで、横方向(交差方向)の側壁部を形成することができる。
【0080】
これにより、屋根部分のない一つの矩形状の区画を形成することができる。
【0081】
このように、前記縦方向の区画用シート体4の前記ネット体3への取り付けと、前記横方向の区画用シート体5の前記ネット体3への取り付けとを、前記隣接する区画用ロープ体2間で繰り返すことで、複数個の面積の相違する区画を屋内空間部に形成することができる。
【0082】
これにより、屋内空間部に避難者に応じた複数個の区画を有する屋内空間部用の区画体1を構成することができる。
【0083】
このように、本願発明の屋内空間部用の区画体1は、各区画の形成が簡易であり、例え100以上の区画であってもその形成も容易であり、且つ避難者の家族構成に応じた面積を有する区画を自在に形成することができる。
【0084】
また、各区画の壁面の高さ位置を自在に調整及び変更することができるので、避難者の状況に応じて自在に調整及び変更することができる。
【0085】
しかも、屋内空間部用の区画体1の構成が、区画用ロープ体2と、ネット体3、縦方向の区画用シート体4、及び横方向の区画用シート体5から構成されているために、100区画分であってもその保管に従来に比しスペースを必要としない利点があり、且つ再利用ができるために、使用毎の廃棄物処理の必要がない。
【実施例2】
【0086】
前記実施例1では、隣り合う区画用ロープ体2間の幅は横方向の区画用シート体5を形成する棒状体10を用いて区画幅は維持されたが、本願発明の屋内空間部用の区画体1において、区画幅の維持はこれに限定されるものでない。
【0087】
即ち、屋内空間部用の側面間に所望の幅で複数本の区画用ロープ体2を架け渡す際、各区画用ロープ体2にネット体3をそれぞれ吊り張りするとともに、隣り合う区画用ロープ体2間に所望の間隔で幅維持手段としての幅維持用棒状体20を複数本取り付ける。
【0088】
この際、前記幅維持用棒状体20の両端側をそれぞれ区画用ロープ体2に移動自在に取り付けることで、取り付け位置を自在に調整することができる。
【0089】
これにより、前記横方向の区画用シート体5の棒状体10に対応する位置に前記幅維持用棒状体20を位置することで、より強固に前記区画用ロープ体2間を維持することができる。
【0090】
しかも、区画を形成する位置に応じて、その取り付け位置を自在に調整することができ、区画を維持することも可能である。
【0091】
また、前記幅維持用棒状体20により上方で区画用ロープ体2間が維持されているために、例えば横方向の区画用シート体5をシート本体9のみで形成し、両端側に前記ネット体3への連結具11を取り付けることで、前記ネット体3への取り付けをさらに容易に行うことができる。
【0092】
また、前記幅維持用棒状体20を所望の長さ延長可能に構成することで、区画用ロープ体2間の幅に応じて自在に長さ調整することができ、前記区画用ロープ体2の架け渡しがさらに容易に行える。
【0093】
また、幅維持手段は前記幅維持用棒状体20に限定されるものでなく、ロープ体(図示せず)を用いて側面側より区画用ロープ体2に連結することも可能である。
【0094】
尚、上記実施例1及び実施例2では、区画に屋根用シート体(図示せず)を用いなかったが、屋根用シート体を開閉式で前記ネット体3の網目部分を利用して取り付けることも可能である。
【0095】
また、上記実施例1及び実施例2では、区画用ロープ体2にネット体3を吊り張りしたが、本願発明において、ネット体3に限定されるものでなく、連結部分の形成されたシート体3を吊り張りすることで、ネット体3と同様に使用することも可能である。
【0096】
また、上記実施例1及び実施例2では、縦方向の区画を形成する区画用シート体4と横方向の区画を形成する区画用シート体5について、色彩を特定しなかったが、例えば、区画の大きさに応じて、区画用シート体4及び/又は区画用シート体5に色をつけることで、容易に必要とする面積を有する区画用シート体4及び区画用シート体5を選択することができる。
【0097】
また、区画用シート体4の面積が大きい場合は、棒状体6の長さも長くなるために、その中央部分に床面側より垂直方向の支持となる別体の棒状体(図示せず)を取り付けることで前記棒状体6の水平方向の維持を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】本願発明の屋内空間部用の区画体の一実施例を示す概略説明一部分平面図
【
図2】区画用ロープ体に吊り張りされたネット体及びシート体及び縦方向の区画用シート体の一実施例を示す概略説明側面図
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図3】縦方向の区画用シート体と横方向の区画用シート体で形成された区画の一実施例を示す概略説明平面図
【
図4】横方向の区画用シート体の一実施例を示す概略説明正面図
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図5】本願発明の屋内空間部用の区画体の一実施例を示す概略説明平面図
【
図6】区画用ロープ体に吊り張りされたネット体又はシート体及び縦方向の区画用シート体の他実施例を示す概略説明側面図
【
図9】本願発明の屋内空間部用の区画体の他実施例を示す概略説明平面図
【
図10】区画用ロープ体に吊り張りされたネット体又はシート体の他実施例を示す概略説明側面図
【
図11】区画用シート体の他実施例を示す概略説明平面図
【
図12】区画用シート体の他実施例を示す概略説明平面図
【
図13】区画用シート体の他実施例を示す概略説明平面図
【
図14】区画用ロープ体の架け渡し方法の他実施例を示す概略説明平面図
【
図15】区画用ロープ体の架け渡し方法の他実施例を示す概略説明側面図
【
図16】本願発明の屋内空間部用の区画体の区画方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0099】
1…屋内空間部用の区画体、2…区画用ロープ体、3…ネット体(シート体)、
4…縦方向の区画用シート体、5…横方向の区画用シート体
【要約】
【課題】本願発明は、避難所として使用する屋内空間部を非難者に応じて複数に区画でき、その区画が容易に行え、且つ保管にスペースを取ることなく、廃棄物処理の必要がない屋内空間部用の区画体、及び屋内空間部用の区画体の区画方法を提供することを課題とする。
【解決手段】屋内空間部を複数に区画すべく対向する側面間に複数本架け渡された区画用ロープ体と、該区画用ロープ体に取り付ける縦方向の区画を形成する区画用シート体と、前記隣り合う区画用ロープ体間に取り付ける横方向の区画を形成する区画用シート体とかから構成された屋内空間部用の区画体において、前記区画用ロープ体には、間仕切り面に応じて形成されたネット体又はシート体が吊り張りされ、前記ネット体又はシート体を利用して前記縦方向の区画用シート体及び横方向の区画用シート体が取り付けられていることである。
【選択図】
図1