(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771753
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】設置工具
(51)【国際特許分類】
B25C 7/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
B25C7/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-501622(P2019-501622)
(86)(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公表番号】特表2019-520995(P2019-520995A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2017067289
(87)【国際公開番号】WO2018011149
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2019年1月11日
(31)【優先権主張番号】16178770.0
(32)【優先日】2016年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】マルクス スプレンガー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ロート
(72)【発明者】
【氏名】ペーア シュミット
【審査官】
山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−184076(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04041067(DE,A1)
【文献】
特開2004−230548(JP,A)
【文献】
米国特許第5878824(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 1/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、その中に配置されて設置衝撃又は打撃衝撃を生成する作業機と、前記設置衝撃又は打撃衝撃を検出するための検出装置とを備えた、支持面(被打ち込み面)に留め具を打ち込む設置工具であって、前記検出装置は、電子処理装置と、前記設置衝撃又は打撃衝撃の発生に伴い電気信号を生成するセンサと、前記センサから前記電子処理装置に前記電気信号を送信する信号送信装置と、前記電子処理装置に電力を供給するバッテリと、前記電子処理装置、前記センサ、及び前記バッテリが配置されたプリント回路基板と、を備え、前記プリント回路基板に、前記電子処理装置、前記センサ、及び前記バッテリを被覆し、所定の位置に保持する埋め込み用樹脂が設けられている、ことを特徴とする設置工具。
【請求項2】
前記埋め込み用樹脂が前記電子処理装置、前記センサ、及び前記バッテリを完全に被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載の設置工具。
【請求項3】
前記埋め込み用樹脂が前記信号送信装置を完全に被覆し、前記信号送信装置は特に前記プリント回路基板に設置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の設置工具。
【請求項4】
前記センサが1方向加速度センサとして構成される、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項5】
前記センサは、前記設置衝撃又は打撃衝撃の発生に伴い前記電気信号を生成するピエゾ要素を備える、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項6】
前記検出装置は、ブルートゥース(登録商標)低消費電力又は近距離通信標準に準拠するデータ通信用の1つ又はそれ以上のインターフェイスを備える、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項7】
前記検出装置がRFID(無線ICタグ)標準に準拠するデータ通信用の1つ又はそれ以上のインターフェイスを備える、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項8】
前記検出装置が受動ディスプレイを備える、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項9】
前記検出装置が前記電子処理装置を動作させるための押しボタンを備える、ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項10】
前記電子処理装置がマイクロプロセッサ及び/又はメモリを備える、ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項11】
前記検出装置は、多数の異なる前記設置衝撃又は打撃衝撃回数に係る情報を同時に記憶保存することを目的とするメモリを備える、ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記検出装置が挿入される分離可能な組立品を備える、ことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項13】
前記バッテリは、前記検出装置に供給するために配置された、前記設置工具の唯一の電力源であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項14】
前記バッテリが1つ又はそれ以上の非充電式一次電池を備える、ことを特徴とする請求項1乃至13の何れか1つに記載の設置工具。
【請求項15】
前記バッテリが1つ又はそれ以上の充電式2次電池を備える、ことを特徴とする請求項1乃至14の何れか1つに記載の設置工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留め具を支持面に打ち込むための設置工具に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
かかる設置工具は通常、固体、気体、若しくは液体燃料又は加圧空気若しくは圧縮空気若しくは電気により動作する。設置用プランジャは発火ガスにより燃焼駆動型設置工具で駆動され、留め具を支持面(被打ち込み面)に打ち込むために使用することができる。設置工具の設置動作は、加速度センサにより検出可能であることが知られている。加速度センサは検出装置の一部であり、検出装置には加速度センサに加えてその他の電子部品も備えられている。特に高い打ち込みエネルギーにおいては、それによる高加速が電子部品に衝撃を与える。そのため電子部品は時間の経過とともに緩み、故障することもある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、堅牢な検出装置を備えた設置工具を提供することである。
【0004】
この目的は、ハウジングと、その中に配置されて設置又は打撃衝撃を生成する作業機と、設置又は打撃衝撃を検出するための検出装置とを備えた、支持面(被打ち込み面)に留め具を打ち込むための設置工具により達成される。検出装置は、電子処理装置と、設置又は打撃衝撃の発生に伴い電気信号を生成するセンサと、このセンサから電子処理装置に電気信号を送信する信号送信装置と、電子処理装置に電気エネルギーを供給するバッテリと、プリント回路基板とを有し、電子処理装置、センサ、バッテリ、及びこれらの信号送信装置は好ましくはプリント回路基板に配置される。この回路基板には、電子処理装置、センサ、バッテリ、及び必要に応じて信号送信装置を被覆する埋め込み用樹脂が配置される。この埋め込み用樹脂は、電子処理装置、センサ、バッテリ、及び必要に応じて信号送信装置を完全に被覆することが好ましい。この埋め込み用樹脂により被覆又は完全に被覆される要素はそれぞれの位置に保持され、設置工具の設置作業中に高加速度による衝撃を緩和して減衰するよう装着され得る。
【0005】
信号送信装置は、電気信号をセンサから電子処理装置へと送信する。このため、信号送信装置は、例えば、有線接続用に特にケーブル型信号線を備えるか、又はワイヤレス接続用に特にブルートゥース(登録商標)低消費電力又は近距離通信標準に準拠して作動する送信機及び受信機を備える。
【0006】
本発明の一態様では、センサが1方向加速度センサとして構成される。センサは、設置又は打撃衝撃の発生に伴い電気信号を生成するピエゾ要素を備えることが好ましい。スイッチング閾値(Schaltschwelle)が特に好ましく、このスイッチング閾値とは、電子的手段、特に電子処理装置により調節が可能な、設置又は打撃衝撃を検出するための加速度の閾値である。
【0007】
埋め込み式のバッテリは、特にバッテリが交換できない、又は多大な労力を費やすことのみにより交換が可能となるといった欠点がある。これが特に該当するのは、検出装置に電気エネルギーを供給することを目的として、バッテリが設置工具の唯一の電源である場合、又はバッテリが1つ又はそれ以上の非充電式一次電池を有し、充電式二次電池を有さない場合である。そのため、検出装置は低消費電力部品を備えていると都合がよい。検出装置は、ブルートゥース(登録商標)低消費電力又は近距離通信標準に準拠するデータ通信用のインターフェイスを備えることが好ましい。検出装置は、RFID(無線ICタグ)標準に準拠するデータ通信用のインターフェイスを備えるとさらに好ましい。検出装置は、受動的な、具体的には非照明ディスプレイを備えるとさらに好ましい。検出装置は、入力要素を備えるとさらに好ましい。電子処理装置は、マイクロプロセッサを備えるとさらに好ましい。
【0008】
本発明の態様において、検出装置は、多数の異なる設置又は打撃回数に係る情報を同時に記憶保存することを目的とするメモリを備える。例えば、設置作業の総数、次回のクリーニングまでの残りの設置作業数、及び/又は次のメインテナンスまでの残りの設置作業数が記憶保存される。1つの設置作業数のリセット又はバッテリ上がりの発生等の事象が検出され、特に好ましくはメモリに組み込まれたダイアリーに保存することが好ましい。
【0009】
本発明の態様において、ハウジングは脱着式組立品、特にキャップを有し、そこに検出装置が挿入される。検出装置は、脱着式組立品のみに取り付けられることが好ましい。そして脱着式組立品は、ハウジングの残りの部分に、例えば強くねじ止めされて取り付けられる。
【0010】
本発明の態様において、バッテリは1つ又はそれ以上の非充電式一次電池を備える。さらなる態様においては、バッテリは、特にワイヤレス接続で充電が可能な1つ又はそれ以上の充電式2次電池を備える。設置工具は、二次電池を充電するために、例えば太陽電池を備える。
【0011】
本発明のさらなる優位性と構成は、従属項並びに以下の発明の詳細な説明及び図面に記載されている。図面には本発明の実施例が示されている。
【0012】
図は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2の検出装置を示すさらなる部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、設置工具10を示す部分断面図である。設置工具10は、ハウジング11と、その中に配置された作業機械12とを有し、その作業機械12はピストン15を備えた打ち込み機として構成される。ピストン15がピストンガイド14で移動可能に案内され、図面で非表示の打撃手段により駆動されるのは、トリガスイッチ13、特に設置工具10のハンドル部16に配置されたトリガスイッチ13、さらには任意に設けられた安全スイッチが作動した場合である。設置プロセスにおいて前方向に打ち出されるピストン15は、ピストンの前に位置する留め具を支持面(被打ち込み面)に打ち込むために用いられる。
【0015】
かかる設置作業中には、設置工具10に設置衝撃が作用し、その設置衝撃を検出するために設置工具10は電子ペーパの形態の受動ディスプレイ25と押しボタンの形態の入力要素30とを有する検出装置20を有する。ハウジング11は、検出装置20が挿入されたキャップの形態の脱着式組立品35を有する。検出装置20は脱着式組立品35にのみ取り付けられ、脱着式組立品35に、例えば、しっかりとねじ止めされる。脱着式組立品そのものがハウジング11の残りの部分に取り付けられ、ハウジング11の残りの部分に、例えば、しっかりとねじ止めされる。これによって検出装置20が脱着式組立品35とともに容易に交換可能となる。脱着式モジュールは凹部を有し、その凹部を通してディスプレイ25を見ることができ、入力要素30に手が届く。
【0016】
図2及び
図3では、それぞれ二つの異なる方向から検出装置120を部分断面図で表している。検出装置120は、マイクロプロセッサとして形成される電子処理装置130が設置されたプリント回路基板100と、設置又は打撃衝撃の発生に伴い電気信号を生成するセンサ140と、センサ140から電子処理装置130に電気信号を送信するケーブル型信号線として形成される信号送信装置150と、電子処理装置130に電力を供給するバッテリ160とを備える。
【0017】
センサ140は1方向加速度センサとして構成され、ピエゾ要素を備えて設置又は打撃衝撃が設置方向のみに発生する場合に電気信号を生成する。一方、その他の方向での加速度は検出されない。センサ140はプリント回路基板100の直角湾曲部に配置され、この回路基板100は、例えば、特にL字型又はT字型のフレキシブルプリントである。センサ140のスイッチング閾値(Schaltschwelle)は、信号送信装置150経由で電子処理装置130により電子的に設定される。例えば、4つの異なるスイッチング閾値が提供され、高中低の設置エネルギー及びピストンの前に釘がないいわゆる空打ち(Leersetzungen)にそれぞれ一つのスイッチング閾値が付与される。
【0018】
検出装置120には省電力部品が備わっており、バッテリ160は長寿命である。ブルートゥース(登録商標)低消費電力標準に準拠するデータ通信用のインターフェイス170、書き換え可能な受動RFID(無線ICタグ)トランスポンダ190、及び受動ディスプレイ200がプリント回路基板100に設置されている。検出装置120は、押しボタンとして構成される入力要素180をさらに備える。プリント回路基板100には、電子処理装置130、センサ140、信号送信装置150、バッテリ160、インターフェイス170、及びRFIDトランスポンダ190を完全に被覆する埋め込み用樹脂210が設けられる。結果として、これらの要素はそれぞれの位置に保持され、高加速の衝撃に対しそれを減衰させて衝撃を和らげるよう設置される。
【0019】
検出装置120は、電子処理装置130に組み込まれるメモリをさらに備える。メモリは、設置作業の総数、次回のクリーニングまでの残りの設置作業数、及び次のメインテナンスまでの残りの設置作業数のデータを同時に記憶保存することを目的としている。1つの設置作業数のリセット又はバッテリ上がりの発生等の事象が検出されると、メモリに組み込まれたダイアリーに保存することが好ましい。特に、検出された設置作業にはそれぞれタイムスタンプが、例えば、リアルタイムクロックにより付与されるとともに記憶保存され、検出されたデータを読み出すことにより設置工具がいつどのように使用されたかを追跡することができる。
【0020】
RFIDトランスポンダ190は、上述の設置作業数及び設置工具の装置データを記憶保存するために用いられる。入力要素180が作動する都度、電子処理装置130はRFIDトランスポンダ190からの装置データを読み込む一方、電子処理装置130に組み込まれたメモリからの現在の設置作業数をRFIDトランスポンダ190に記憶保存する。そのため、製造中にRFIDトランスポンダ190のみに装置データを記憶保存するだけで十分である。さらに、電子処理装置130に組み込まれたメモリに記憶保存されたすべてのデータがRFIDトランスポンダ190に記憶保存されるのは、バッテリ故障の際にデータが失われないようにバッテリ160の充電レベルが所定の閾値を下回った場合、又は入力要素30が作動した場合である。電子処理装置130を入力要素30の作動により又はリアルタイムクロックの所定の期間でディープスリープモードから起動し、ディスプレイ25を更新した後で、ディープスリープモードへと戻す。
【0021】
記憶保存されたデータには、例えば、クリーニング及びメインテナンスのそれぞれの設置作業の最大数、最後のクリーニングの時間、最後のメインテナンスの時間、バッテリの充電状態、エラーの有無及び該当する場合はエラーコード、1つ又はそれ以上のタイムスタンプ、現在の操作モード、サポートされている操作モード数等が含まれる。
【0022】
さらに、入力要素180が作動された場合、インターフェイス170が作動して電子処理装置130は無線で遠隔端末に接続が可能となる。これにより遠隔端末による設置工具、好ましくは複数の設置工具の特定及び監視が可能となる。特に、遠隔端末は設置工具の使用状況の追跡並びにクリーニング及びメインテナンスの計画策定に使用することができる。これにより、中断時間の削減が可能となる。消耗品及び注文品を適時に購入するための制御も可能である。
【0023】
ディスプレイ200は、特に電圧測定により検出されるバッテリ160の充電レベル、設置工具により実行される設置作業の総数、次のメインテナンスまでの残りの設置作業数、次のクリーニングまでの残りの設置作業数、又はインターフェイス170が作動中か否か等、広範な情報をユーザーに示す。次のメインテナンスまでの残りの設置作業数はメインテナンス作業員のみが重要な時にゼロのみにリセットすることができる一方、次のクリーニングまでの残りの設置作業数は設置工具をクリーニング作業中に各ユーザーがリセットすることができる。
【0024】
検出装置は枠に留め付けられると都合がよく、この枠は検出装置を超えて機械的な打撃衝撃を伝達するので、全ての加速(有害且つ検出されるべき)に対し検出装置及び加速度センサに対する減少効果しかない。これは検出装置に機械的保護を提供し、よって加速度センサのスイッチング閾値が適合する。