特許第6771770号(P6771770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6771770搬送装置およびそれを用いた包装システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771770
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】搬送装置およびそれを用いた包装システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/10 20060101AFI20201012BHJP
   B65B 57/14 20060101ALI20201012BHJP
   B65B 35/24 20060101ALI20201012BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20201012BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20201012BHJP
   B65G 47/28 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   B65B57/10 D
   B65B57/14
   B65B35/24
   B65G43/08 B
   B65G47/52 A
   B65G47/28 E
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-244715(P2017-244715)
(22)【出願日】2017年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-112072(P2019-112072A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 和樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 さゆみ
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌典
【審査官】 西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−335145(JP,A)
【文献】 特表2015−525176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/24、57/10、57/14
B65G 43/08、47/28、47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を受入れる受入部と物品を送出する送出部の間で複数の物品を載置する載置部を有し、
前記受入部に順次載置された物品のそれぞれを、独立して加速又は減速して走行する各押送体によって押送すると共に各物品の押送方向における間隔と前記押送体の走行速度を調整して前記送出部から包装機に向けて、該包装機から取得した包装タイミングに関する情報に基づき該包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出する搬送装置であって、
前記受入部より搬送上流側で1つまたは複数の物品からなる搬送物の前端と後端を検知する検知部と、
磁界を発する固定子が設けられた周回走行路と、
それぞれが前記押送体を支持すると共に前記周回走行路に配設されており、前記固定子が発する磁界によって得た推力で、前記周回走行路を互いに独立して循環走行する複数の走行体と、
前記検知部による検知情報に基づき前記受入部に到来する前記搬送物に前記走行体を対応付けると共に、前記検知部により得た前記搬送物の後端の検知情報に基づき、該受入部に前記搬送物が到来する際に、該搬送物に対応付けた走行体を走行させて、該搬送物を前記送出部まで押送するよう前記走行体に推力を付与する指令を行う制御部を備えており、
前記制御部は、
前記受入部に到来する搬送物の搬送方向における長さを取得する長さ取得部と、
前記長さ取得部によって得た前記搬送物の長さが、前記包装機で包装する1包装分の搬送方向における物品の許容上限長さを超え、且つ、予め設定された第1設定長さより短い長さである第1異常長さであるか否かを判定する判定部と、
前記第1異常長さであると判定された搬送物の排除又は該搬送物の異常を報知するための処理機に向けた該搬送物の移動又は排除に関する情報を生成する情報生成部を備える搬送装置。
【請求項2】
前記載置部における搬送方向に交差する左右両側には、搬送方向に交差する幅方向における物品の位置を規制するように起立するサイドガイドが配設されている請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記長さ取得部は、前記物品における搬送方向の前後間隔が前記押送体の進入不可な距離である際に1つの搬送物とみなす処理を行う請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記判定部が、前記長さ取得部で取得した長さ情報が前記第1設定長さを超える第2異常長さであるか否かを判定し、該第2異常長さの搬送物と判定した際には、前記走行体の走行を停止する指令を行うと共に、該走行体の停止した停止情報を前記包装機に出力する請求項1から請求項3の何れかに記載の搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送装置の搬送下流側に前記包装機が配設され、
前記包装機は、前記第2異常長さの搬送物と判定した際に運転を停止する構成である搬送装置を用いた包装システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の搬送装置の搬送下流側に前記包装機が配設され、
前記包装機は、前記走行情報に基づいて前記第1異常長さの搬送物を包装した後に該包装された前記第1異常長さの搬送物を系外に排除する構成である搬送装置を用いた包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、順次、受入れた物品をその下流側に向けて所定間隔毎に送出する搬送装置およびそれを用いた包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上流側の製造機等から送り出される時間当たりの物品供給数にばらつきがあっても、物品の到来を検知する検知部によって得た情報に基づき、前後の物品の相対移動速度を変えて、包装機より搬送上流側に配設した搬送装置に貯留して包装機における包装タイミングに合うように物品を所定間隔毎に送出することにより、包装機を連続運転可能にする技術が知られている(例えば、特許文献1)。このような搬送装置をリニアモータの駆動力で独立して走行する各押送体によって物品を押送して下流側の包装機に向けて送出する搬送装置について実用化に向けた検討が行われている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2553992号公報
【特許文献2】特表2015−525176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2における搬送装置は、実用化に際して以下のような問題が生じることが判明した。すなわち、各押送体は、物品の到来を検出するセンサの検知情報に基づき、物品の到来するタイミングに合うように走行する構成であるが、搬送装置に到来する1つの物品の上面に他の物品が乗り上げていたり、前後の物品の端部同士が隙間なく接触していたりしていたとしても、これらの複数の物品を1つの物品として扱ってしまう。そのため、下流側の包装機が横形製袋充填機の場合に、これらの複数の物品が纏めて押送されて物品同士が上下に重なり合って包装されてしまったり、物品の長さが所定長さを超えた状態で横シール手段に送られることにより物品の噛み込みが生じてしまったりする問題が生じることが判明した。
【0005】
ここで、例えば、特許文献1のような物品検知センサの光を搬送中の物品の側方から当てて、物品同士の接触を検知する方法を検討したが、物品の表面が湾曲しているなどの外径形状や、物品の厚みや重なり状態によっては物品同士の重なりを当該センサでは精度良く検出できない場合が生じることからセンサの設置位置などの調整が煩雑になってしまう。また、カメラで物品の重なりを判別する方法を検討したが、部分的に上下に重なっていた物品を、個々の押送体を加減速させながら下流側に向けて押送することで、完全に重なってしまう確率が高まるなどの理由から精度よく判別することができないことが判明した。
【0006】
本発明は、包装不良をもたらすことになる物品の到来状況を検知しつつ、独立走行する押送体が物品を順次、下流側の包装機の包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出し得る搬送装置およびそれを用いた包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の搬送装置は次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、物品(P)を受入れる受入部(112A)と物品(P)を送出する送出部(112B)の間で複数の物品(P)を載置する載置部(110)を有し、前記受入部(112A)に順次載置された物品(P)のそれぞれを、独立して加速又は減速して走行する各押送体(137)によって押送すると共に各物品(P)の押送方向における間隔と前記押送体(137)の走行速度を調整して前記送出部(112B)から包装機に向けて、該包装機から取得した包装タイミングに関する情報に基づき該包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出する搬送装置であって、前記受入部(112A)より搬送上流側で1つまたは複数の物品(P)からなる搬送物(W)の前端(WS1)と後端(WS2)を検知する検知部(150)と、磁界を発する固定子が設けられた周回走行路(122)と、それぞれが前記押送体(137)を支持すると共に前記周回走行路(122)に配設されており、前記固定子が発する磁界によって得た推力で、前記周回走行路(122)を互いに独立して循環走行する複数の走行体(130)と、前記検知部(150)による検知情報に基づき前記受入部(112A)に到来する前記搬送物(W)に前記走行体(130)を対応付けると共に、前記検知部(150)により得た前記搬送物(W)の後端の検知情報に基づき、該受入部(112A)に前記搬送物(W)が到来する際に、該搬送物(W)に対応付けた走行体(130)を走行させて、該搬送物(W)を前記送出部(112B)まで押送するよう前記走行体(130)に推力を付与する指令を行う制御部(140)を備えており、前記制御部(140)は、前記受入部(112A)に到来する搬送物(W)の搬送方向における長さを取得する長さ取得部(143)と、前記長さ取得部(143)によって得た前記搬送物(W)の長さが、前記包装機で包装する1包装分の搬送方向における物品(P)の許容上限長さ(PLmax)を超え、且つ、予め設定された第1設定長さ(WL1)より短い長さである第1異常長さ(WX1)であるか否かを判定する判定部(144)と、前記第1異常長さ(WX1)であると判定された搬送物(W)の排除又は該搬送物(W)の異常を報知するための処理機に向けた該搬送物の移動又は排除に関する情報を生成する情報生成部(145)を備える。
【0008】
この請求項1に係る発明によれば、検知部(150)による検知情報に基づき受入部(112A)に到来する1つまたは複数の物品(P)からなる搬送物(W)に走行体(130)を対応付けると共に、検知部(150)により得た搬送物(W)の後端の検知情報に基づき、受入部(112A)に搬送物(W)が到来する際に、搬送物(W)に対応付けた走行体(130)を走行させて、搬送物(W)を送出部(112B)まで押送するよう走行体(130)に推力を付与する指令を行う制御部(140)を備えている。これにより、独立走行する押送体(137)が物品(P)を順次、下流側の包装機の包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出し得る搬送装置を提供することができる。また、制御部(140)は、長さ取得部(143)によって得た搬送物(W)の長さが、包装機で包装する1包装分の搬送方向における物品(P)の許容上限長さ(PLmax)を超え、且つ、予め設定された第1設定長さ(WL1)より短い長さである第1異常長さ(WX1)であるか否かを判定する判定部(144)を備えており、搬送物(W)を押送する押送体(137)の走行速度を調整して包装機の包装タイミングに合わせるよう構成すると共に、判定部(144)による判定に基づき受入部(112A)より搬送下流側に搬送されている第1異常長さ(WX1)であると判定された搬送物(W)の排除又は該搬送物(W)の異常を報知するための処理機に向けた該搬送物の移動又は排除に関する情報を生成する情報生成部(145)を備える。これにより、包装不良をもたらすことになる物品(P)の到来状況を検知することができるため、搬送物(W)の内、正常な物品(P)と第1異常長さ(WX1)の搬送物(W)を的確に区別することができる。
【0009】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記載置部(110)における搬送方向に交差する左右両側には、搬送方向に交差する幅方向における物品(P)の位置を規制するように起立するサイドガイド(113)が配設されている。
【0010】
この請求項2に係る発明によれば、サイドガイド(113)を有することにより、前後の物品(P)の整列が乱れたとしても、搬送方向に交差する幅方向における物品(P)の位置を規制することができるため、下流側における包装機における包装を円滑に行うことができ、処理不良の抑制を図ることができる。
【0011】
次に、請求項1又は請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記長さ取得部(143)は、前記物品(P)における搬送方向の前後間隔が前記押送体(137)の進入不可な距離である際に1つの搬送物(W)とみなす処理を行う。
【0012】
この請求項3に係る発明によれば、物品(P)における搬送方向の前後間隔が押送体(137)の進入不可な距離であった場合は、両物品(P)を1つの搬送物(W)とみなす処理を行う。そのため、前側の物品(P)の後端に向けて移動してくる押送体(137)が後続の物品(P)に接触することで、物品(P)が損傷したり押送体(137)が損傷することを回避し得る。
【0013】
次に、請求項1から請求項3の何れかに従属する請求項4に係る発明は、前記制御部(140)は、前記判定部(144)が、前記長さ取得部(143)で取得した長さ情報が前記第1設定長さ(WL1)を超える第2異常長さ(WX2)であるか否かを判定し、該第2異常長さ(WX2)の搬送物(W)と判定した際には、前記走行体(130)の走行を停止する指令を行うと共に、該走行体(130)の停止した停止情報を前記包装機に出力する。
【0014】
この請求項4に係る発明によれば、制御部(140)は、判定部(144)が長さ取得部(143)で取得した長さ情報が第1設定長さ(WL1)を超える第2異常長さ(WX2)であるか否かを判定と判定した際には、前記走行体(130)の走行を停止する指令を行うと共に、該走行体(130)の停止した停止情報を処理機に出力する。これにより、前後の押送体(137)がの間隔に対し、第2異常長さ(WX2)の搬送物(W)が浮き上がって搬送装置の系外に脱落したり、物品(P)が破損したりすることを防ぐことができる。また、包装機における包装能力を超えた搬送物(W)を包装機に送出することを防ぐことができる。
【0015】
次に、請求項5に係る発明は、請求項4に従属する搬送装置の搬送下流側に前記包装機が配設され、前記包装機は、前記第2異常長さ(WX2)の搬送物(W)と判定した際に運転を停止する構成である搬送装置を用いた包装システムである。
【0016】
この請求項5に係る発明によれば、第2異常長さ(WX2)の搬送物(W)と判定した際に包装機の運転を停止する構成であるため、第2異常長さ(WX2)の搬送物(W)を確実に排除することができる包装システムを提供することができる。
【0017】
次に、請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5の何れかに従属する搬送装置の搬送下流側に前記包装機が配設され、前記包装機は、前記走行情報に基づいて前記第1異常長さ(WX1)の搬送物(W)を包装した後に該包装された前記第1異常長さ(WX1)の搬送物(W)を系外に排除する構成である搬送装置を用いた包装システムである。
【0018】
この請求項6に係る発明によれば、上述したいずれかの搬送装置の搬送下流側に包装機が配設される。ここで、包装機は、走行情報に基づいて第1異常長さ(WX1)の搬送物(W)を包装した後に包装された第1異常長さ(WX1)の搬送物(W)を系外に排除する構成である。これにより、搬送装置は、独立走行する押送体(137)が物品(P)を順次、下流側の包装機の包装タイミングに合うように所定間隔毎に送出することを継続しつつ、包装機において第1異常長さ(WX1)の搬送物(W)を系外に排除することができる包装システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、包装不良をもたらすことになる物品の到来状況を検知しつつ独立走行する押送体が物品を順次、下流側の包装機の包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出し得る搬送装置およびそれを用いた包装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る搬送装置において連続して到来する各物品を包装機に向けて押送する状態を示した正面図である。
図2図1のII部の部分拡大斜視図ある。
図3図1のIII部を拡大した図である。
図4】実施形態に係る搬送装置の制御ブロック図である。
図5】供給コンベヤの第2押送体が載置面に出現し始めた際の押送体の規制部材と第2押送体との位置の関係を示すと共に、押送体の動きを示した模式図である。
図6】供給コンベヤの第2押送体が起立し終え際の押送体の規制部材と第2押送体及び物品との位置の関係を示した模式図である。
図7】押送体の先端部が後方に傾いて第2押送体が重なった状態を維持する状態を示した模式図である。
図8】(a)〜(c)は第1コンベヤによって搬送されている搬送物Wを示した略体平面図、(d)は第1搬送ベッドに載置された搬送物Wが押送体で押送している状態を示した略体平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の搬送装置およびそれを用いた包装システムにおける実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本実施形態の搬送装置は、図1に示すように、物品Pを受入れる受入部112Aに順次載置された複数の物品Pのそれぞれを、独立して加速又は減速して走行する各押送体137によって押送すると共に各物品Pの押送方向における間隔と押送体137の走行速度を調整して物品Pを送出する送出部112Bから横形製袋充填機などの包装機に向けて、包装機から取得した一定の間隔で連続して包装する包装タイミングに関する情報に基づき包装タイミングに合わせて、各物品P(本実施例では後述する搬送物W)を一定間隔ごとに送出する装置である。なお、「包装システム」は、搬送装置に加え、供給コンベヤ200及び包装機である横形製袋充填機を含めたものである。
【0023】
搬送装置は、図1に示すように、第1コンベヤ100から排出された物品Pを載置する平坦な搬送面を有した第1搬送ベッド110(載置部)と、その上方において第1搬送ベッド110に載置された物品Pを押送し得る押送体137を複数有したオーバーヘッド式の第2コンベヤ120と、第2コンベヤ120を制御する制御部140(図4参照)と、物品検知部150(検知部)と、を備えている。
【0024】
第1コンベヤ100は、無端状のベルトで構成された搬送面102に上流側の製造機から搬送方向における前後不定間隔(ランダム)に排出された物品Pを載置して一定の速度で送出する装置である。この第1コンベヤ100の搬送面102における下流側端部102bは、第1搬送ベッド110が接続されている。
【0025】
第1搬送ベッド110は、第1コンベヤ100の下流側に配設されており、第1コンベヤ100から排出された物品Pを載置し、直線的に搬送する平坦な搬送面112を構成する。なお、第1搬送ベッド110と第1コンベヤ100の下流側端部102bが接続される部位には、物品Pを受入れる受入部112Aが設けられている。第1搬送ベッド110の搬送面112における搬送方向に交差する左右両側には、搬送方向に交差する幅方向における物品Pの位置を規制するように起立するサイドガイド113(図8(d)に示す)が左右一対で搬送面112に沿って配設されている。
【0026】
また、第1コンベヤ100の搬送方向に交差する幅方向における側方には、受入部112Aに到来する物品Pを検知する光電センサなどからなる物品検知部150(検知部)が配設されている。係る物品検知部150は、受入部112Aより搬送上流側で1つまたは複数の物品Pからなる搬送物Wの前端WS1と後端WS2を検知する。
【0027】
搬送装置の第1搬送ベッド110の下流側には、包装機としての横形製袋充填機(不図示)の一部を構成する供給コンベヤ200が配設される。供給コンベヤ200は、搬送装置の第1搬送ベッド110の送出部112Bから送出される物品Pを、順次、載置する平坦な載置面202を有しており、該載置面202に載置された各物品Pを、無端索体の外周に一定間隔ごとに着いた第2押送体222の各々で押送して、各物品Pを一定の間隔及び一定の速度で搬送する装置である。なお、供給コンベヤ200は、横形製袋充填機(包装機)の一部を構成するものであり、稼働前にオペレータ等が定めた、横形製袋充填機で1分間当たりの包装数(処理能力)に応じた物品Pの搬送速度で物品Pを搬送する。よって、包装機の一定間隔ごとの包装タイミングとは、本実施形態では供給コンベヤ200の各第2押送体222の間に物品Pを渡し得るタイミングであり、そのタイミングは、後述する横シールを施すタイミングと同期が図られている。なお、第1搬送ベッド110と供給コンベヤ200の載置面202が接続される部位が物品Pを送出する送出部112Bである。
【0028】
図示を省略するが、横形製袋充填機(包装機)は、フィルム供給源としての原反ロールから引出した帯状のフィルムをフィルム成形手段でそのフィルムの両端縁を重合して筒状に成形する際に、その成形中のフィルムに供給コンベヤ200から物品Pを所定間隔ごとに供給し、フィルム送り方向に沿って重合したフィルムの重合部に縦シールを施すと共にフィルム送り方向に交差する左右方向に沿って横シールを施して、包装品を得る周知の包装機である。これらフィルム送り、縦シール、横シール、物品供給などの包装動作等に関する制御を行う横形製袋充填機の制御部230(図4参照)には、周知の入力手段が接続されており、該入力手段を介して単位時間当たりの包装処理数を設定し得るようになっており、その設定に基づき各包装動作の制御がなされる。
【0029】
オーバーヘッド式の第2コンベヤ120は、上下に対向離間して水平に配設された一対の直線状の直線レール123(直線走行路)と、上下の直線レール123の両端部をそれぞれ接続する一対の曲線状の曲線レール124(曲線走行路)と、を有しており、これら上下の直線レール123の夫々と曲線レール124の夫々により縦向きの周回走行路122が構成される。
【0030】
周回走行路122上には、複数の走行体130がリニアモータにより得た推力で互いに独立して、一方向に循環走行し得るように配設されている。また、第2コンベヤ120は、横形製袋充填機の制御部230(図4参照)との間で情報交換可能に接続され、物品検知部150による物品Pの検知情報などに基づき各走行体130の走行に推力を付与する指令を司る制御部140(図4参照)を備えている。リニアモータは、周回走行路122の全域に亘って磁界を発生する固定子としてのコイル125が周回走行路122に沿って配設され、可動子としての永久磁石132が各走行体130に固定され、第2コンベヤ120における制御部140による指令に基づきコイル125への電流供給が制御されることで固定子が発する磁界によって推力を発生させるものである。
【0031】
図1〜3に示すように、搬送装置における走行体130は、本体部131と、可動子としての永久磁石132と、センサ133とを有する。本体部131は、上述の一対の直線レール123及び曲線レール124に対し、回転部材としてのローラ131Rを介して摺動可能に嵌合される。ローラ131Rは、直線レール123及び曲線レール124の延出方向に交差する幅方向に2列設けられており、第1搬送ベッド110側に4つ、第1搬送ベッド110側とは反対側に2つ設けられている。第1搬送ベッド110側の列のローラ131Rは、直線レール123及び曲線レール124の内周側に2つ、外周側に2つ設けられている。ここで、内周側の2つのローラ131Rのピッチより、外周側の2つのローラ131Rのピッチの方が大きく設定されている。これにより、走行体130は、曲線レール124においても滑らかに走行することができる。第1搬送ベッド110側とは反対側の列の2つのローラ131Rは、直線レール123及び曲線レール124の外周側に設けられている。これにより、下側の直線レール123上を移動する走行体130は、押送体137を下方に向けて垂下させた状態で移動する際にも脱落することなく移動可能となる。また、本体部131の内部には、一対の直線レール123及び曲線レール124に沿った固定子に対向する位置に可動子としての永久磁石132が固定される。これにより、固定子としてのコイル125に電流供給が制御されて、係るコイル125に生じる磁束と可動子としての永久磁石132の磁束との相互作用によって推力が発生し、走行体130が一対の直線レール123及び曲線レール124からなる周回走行路122に沿って移動可能となる。また、本体部131は、センサ133が配設されている。センサ133は、各走行体130の固有情報(各走行体130の識別データや、固有の移動誤差情報)などの信号を制御部140(図4参照)に対して発信する。
【0032】
走行体130の循環走行方向に交差する幅方向の内、第1搬送ベッド110側には、押送体137が配設されている。走行体130は、本体部131の側方に支点134Aを中心に回動可能な基部134を有しており、その基部134から幅方向に延出する棒状のアーム部136が配設されている。押送体137は、アーム部136の先端から垂下状に固定されている。押送体137は、平板状の部材であり、幅方向中央部が切り欠かれることで第2押送体222の先端部222Aが接触しないように構成されている。また押送体137のうち前方側が物品を押送する押送面138である。また、押送面138と反対の裏面側には、押送体137の先端部137Aから後方に向けて延出した平板状の規制部材139が設けられている。また、基部134には、カムフォロアとしてのローラ135(第1係合体)が配設されている。また、周回走行路122において第1搬送ベッド110の送出部112Bに対向する直線レール123から曲線レール124に移行した範囲には、周回走行路122に沿ってローラ135と係合するカム溝126(第2係合体)が配設されている。
【0033】
第2コンベヤ120における制御部140は、図4に示すように、横形製袋充填機(包装機)の包装タイミングに関する情報を取得するタイミング取得部142と、受入部112Aに到来する搬送物Wの搬送方向における長さを取得する長さ取得部143と、長さ取得部143によって得た搬送物Wの搬送方向における長さが、包装機で包装する包装仕様毎に定められた1包装分の物品の許容上限長さPLmaxを超え、且つ、予め設定された第1設定長さWL1(許容上限長さPLmaxより大きい長さ)より短い長さである第1異常長さWX1であるか否かを判定する判定部144と、第1異常長さWX1であると判定された搬送物Wの排除又は該搬送物Wの異常を報知するための処理機に向けた該搬送物Wの移動又は排除に関する情報を生成する情報生成部145とを備えている。
【0034】
なお、処理機が、第1異常長さWX1の搬送物Wを排除するプッシャなどからなる排除手段が採用される場合には、本搬送装置の搬送経路内で搬送物Wを排除する構成と、本搬送装置から排出された第1異常長さWX1の搬送物Wを横形製袋充填機(包装機)で包装した後に排除する構成とでは情報生成部145が生成する情報の性質が一部相違する。
【0035】
第1異常長さWX1の搬送物Wを搬送装置の搬送経路内で排除する場合には、情報生成部145は、後述する走行体130の位置に関する情報に基づき、第1異常長さWX1の搬送物Wの位置に関する情報を生成すると共に該搬送物Wが排除手段による搬送物Wの排除位置に到来するタイミングに排除手段が作動するよう作動指令に関する情報を生成する。
【0036】
第1異常長さWX1の搬送物Wを横形製袋充填機が包装した後に、その下流の搬送経路に設けた排出手段で搬送路の外(系外)に排除する場合には、情報生成部145は、後述する走行体130の位置に関する情報に基づき、第1異常長さWX1の搬送物Wの位置に関する情報を生成して、第1異常長さWX1の搬送物Wが横形製袋充填機に渡ったことを示す情報を横形製袋充填機の制御部230に送るのみであり、排除手段への作動指令に関する情報の生成は行わない。この場合の処理機は、プッシャなどからなる排除手段と該排除手段に作動指令を行う横形製袋充填機の制御部230によって構成される。このことは、処理機が第1異常長さWX1の搬送物Wの異常を表示装置や音などによる報知手段によって報知する場合も同様であり、第1異常長さWX1の搬送物Wが搬送装置から横形製袋充填機に渡った後で報知する際には、第1異常長さWX1の搬送物Wが横形製袋充填機に渡ったことを示す情報を横形製袋充填機の制御部230に送るのみであり、報知手段への作動指令に関する情報の生成は行わない。
【0037】
制御部140は、各走行体130に設けられたセンサ133からの走行体130の位置などに関する情報と、物品検知部150による物品Pの検知情報と、第1コンベヤ100に付設されたエンコーダ104のパルス情報により得られた物品Pが受入部112Aに到来する情報と、横形製袋充填機の制御部230から得た供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のパルス情報により得られた各第2押送体222の移動位置に関する情報に基づき、各走行体130の移動量や走行速度など押送に関する指令情報を生成し、コイル125への電流供給に関する指令を行う。これにより、各走行体130は、互いに独立して第2コンベヤ120における制御部140によって推力を付与する指令に基づき走行する。なお、エンコーダ204のパルス情報などにより得られた各第2押送体222の移動位置に関する情報に代えて、横形製袋充填機の横シール装置のシール動作タイミング関する情報などの包装機の処理動作に関する情報であってもよい。この処理動作に関する情報には、単位時間当りの包装数や、搬送方向における物品Pの長さ、高さ、包装長さなど予め横形製袋充填機の制御部230にオペレータによって登録された登録情報や、供給コンベヤ200の包装タイミングに関する情報などの横形製袋充填機等の包装機の作動情報も含まれる。
【0038】
次に、搬送装置で搬送する物品Pについて説明する。ここで、物品Pは、円板形状で大きさにバラツキがある煎餅などの菓子であり、互いにぶつかり合った際などに一方が他方の上面に乗り上げて部分的に上下に重なり合い易いものを例示して説明する。また、物品Pは、第1コンベヤ100から受入部112Aに到来する際に前後不定間隔(ランダム)に搬送されるため、1つの物品Pまたは複数の物品Pが押送体137で搬送されるものを搬送物Wとする。ここで、物品Pの搬送方向における物品長さPLの製造許容範囲は、許容上限長さPLmax≧物品長さPL≧許容下限長さPLminの範囲で設定される。
【0039】
次に、搬送装置によって1つの物品Pが搬送物Wとして包装機に向けて搬送される態様について先ず説明する。上流側の製造機から排出された物品Pが第1コンベヤ100によって第1搬送ベッド110に向けて搬送される。物品検知部150は受入部112Aに物品Pが到来したことを検知するごとにその検知情報を制御部140に送る。制御部140が物品検知情報を受取ると、タイミング取得部142によって包装機の供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のパルス情報などから得た第2押送体222の移動位置に関する情報を取得すると共に制御部140において次のような処理を実行する。
【0040】
制御部140は、検知した物品Pをどの走行体130の押送体137に対応付けるかを判定すると共に、タイミング取得部142が取得した供給コンベヤ200の包装タイミングに関する情報に基づき、検知した物品Pより1つ先行の物品Pが送出部112Bに到来する際の包装タイミングの1つ後の供給コンベヤ200における受け入れタイミング(包装タイミング)に、検知した物品Pが送出部112Bに到来可能か否か判定する。すなわち、検知した物品Pを押送する第2押送体222の1つ先行の第2押送体222が1つ先行の物品Pを押送することになっているか判定する。
【0041】
これは、第2コンベヤ120の押送体137が第1コンベヤ100から受け取った物品Pを第1搬送ベッド110の下流における送出部112Bまで押送することで物品Pが第1搬送ベッド110から載置面202に渡る際に第2押送体222に乗り上げないようにするために、次の物品Pを押送する押送体137の搬送方向における先端(先端部137A)から、1つ先行の押送体137の規制部材139の搬送方向における後端までの距離が供給コンベヤ200の受入れタイミングに対応した後述する設定距離に調整可能か否かを簡素に判別するものである。
【0042】
図1に示すように、1つ先行の第2押送体222が物品Pを押送する場合は、検知した物品Pが第1コンベヤ100から第1搬送ベッド110に渡る受入部112Aの位置に到来するタイミングに合わせて押送体137を物品Pの後方に移動させて、送出部112Bにおいて物品Pを送出するために貯留している先行の押送体137の後方まで押送するように、制御部140による走行体130の走行指令が付与される。すなわち、制御部140は、物品検知部150による検知情報に基づき受入部112Aに到来する搬送物Wに走行体130を対応付けると共に、物品検知部150により得た搬送物Wの後端WS2の検知情報に基づき、受入部112Aに搬送物Wが到来する際に、搬送物Wに対応付けた走行体130を走行させて、搬送物Wを送出部112Bまで押送するよう走行体130に推力を付与する指令を行う。
【0043】
物品Pを押送し始めの状態(図1参照)においては、押送する押送体137と先行する押送体137(別の押送体)との間隔が大きいが、物品Pを押送する押送体137が加速して徐々に先行する押送体137との間隔を狭くしていき、送出部112Bに到来する直前となった物品Pを一定の速度で送出部112Bまで押送するときには、物品Pを押送する押送体137を支持する走行体130と1つ先行する押送体137を支持する走行体130の間隔は、所定の押送体137の上部の間隔と同様の前後間隔137Lとなるように調整される(図6参照)。なお、送出部112Bに到来する直前となった物品Pの前後直近に位置しているこれら押送体137の前後間隔137Lは、第2押送体222の間隔222Lよりも大きい間隔である。また第1コンベヤ100によって、物品Pの前後間隔が詰って物品Pが送られてくる場合には、送出部112B直前の物品Pの後方に、後続の物品Pが所定数貯留されることになるが、この場合のこれらの物品Pを押送する押送体137の前後間隔は、直前の押送体137の前後間隔137Lと同じになる。
【0044】
図5、6に示すように、押送体137には、それぞれ押送体137の先端部137Aから後方に向けて延出した規制部材139が設けられている。規制部材139は、物品Pを押送する第2押送体222の先端部222A(上端)が載置面202に出現して起立し終えるまで、後続の物品Pが第2押送体222の先端部222Aに乗り上げることがないようにするために、押送体137の先端部137Aから後方に向けて規制部材長さ139Lを有している。ここで、押送体137の前後間隔137Lから規制部材長さ139Lを引いた長さは、物品Pの物品長さPLよりも大きい関係(押送体137の前後間隔137L−規制部材長さ139L>物品長さPL)である。また、押送体137の前後間隔137Lから規制部材長さ139Lを引いた長さは、第2押送体222の間隔222Lよりも小さい関係(押送体137の前後間隔137L−規制部材長さ139L<第2押送体222の間隔222L)である。各第2押送体222は、先端部222Aが送出部112Bより上流側から搬送面112に進入を開始して下流側に移動するに連れて徐々に姿勢を変えて送出部112Bで起立し終える。ここで規制部材139は、第2押送体222の先端部222Aが搬送面112に進入してから起立し終えるまでの間、第2押送体222に接触することなく、且つ押送方向と交差する方向から見て第2押送体222と重なりながら、押送方向に移動する。
【0045】
図3に示すように、送出部112Bに対向する直線レール123(図1参照)から曲線レール124(図1参照)に移行した範囲には周回走行路に沿ってローラ135と係合するカム溝126が第2コンベヤ120のフレーム本体(不図示)に直線レール123、曲線レール124と共に配設されている。このカム溝126にローラ135が係合すると基部134が回転することで押送体137の先端部137Aが後方側に傾く。そのため押送体137は、物品Pを前方に押し出すことなく移動する。
【0046】
各第2押送体222は、一定の第2押送体222の間隔222L(設定距離)で押送体137の走行速度より遅い一定の速度で移動している。これに対し、図3、7に示すように押送体137が送出部112Bに到来する直前となった物品Pを送出部112Bまで一定の速度で押送するときは、押送体137における移動速度、移動軌跡は押送体137のいずれもが共通の定形の動作となるよう構成されている。具体的には、押送体137は、送出部112Bの直前では第2押送体222より速い一定の速度で走行するが、押送体137の先端部137Aはカム溝126とローラ135の係合により後方側に傾くため、押送体137の先端部137Aの移動速度は遅くなり、且つ押送体137が曲線レール124(図1参照)に沿って上昇し始めるため、押送体137の先端部137Aの水平方向成分の移動速度が遅くなる。そのため、押送方向と交差する方向から見て押送体137の規制部材139と重なるように、第2押送体222の先端部222Aが起立して載置面202に出現する。これにより、走行体130は、直線レール123から曲線レール124に移行した範囲では、押送体137の先端部137Aが物品Pを前方に押し出すことなく移行動作が完了する。そして移行を終えて、物品Pから上方に退避した押送体137を有す走行体130は、先行の走行体130に向けて走行し、上側の直線レール123において、前後の走行体130の間隔が一定間隔になされる。
【0047】
次に、包装仕様に合致しない長さの搬送物Wを検知する場合の態様について説明する。上流側の製造機から排出された物品Pが第1コンベヤ100によって第1搬送ベッド110に向けて搬送される。物品検知部150は、受入部112Aより搬送上流側で複数の物品Pからなる搬送物Wの前端WS1と後端WS2を検知した検知情報を制御部140に送る。制御部140は、検知情報を受け取ると、タイミング取得部142によって供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のパルス情報から得られる各第2押送体222の移動位置に関する情報を取得すると共に長さ取得部143及び判定部144において次のような判定を行う。
【0048】
物品検知部150は、搬送方向と交差する側方に光を発しており、物品Pによって光が遮られるとスイッチがONとなり、物品Pが通過するとスイッチがOFFになるが、前後の物品Pが接触していたり、重なっていたりすると、スイッチがONからOFFに切替わるタイミングが変化する周知の光電スイッチによって構成されており、搬送装置より上流側の第1コンベヤ100によって受入部112Aに向けて搬送されている複数の物品Pからなる搬送物Wの前端WS1と後端WS2を第1コンベヤ100に設定された検知領域で検知すると共に、その検知情報を制御部140に送る。制御部140における長さ取得部143は、物品検知部150で搬送物Wの前端WS1が検知されることでスイッチがONとなってから、搬送物Wの後端WS2が検知されることでスイッチがOFFになるまでのタイミングと第1コンベヤ100における搬送物Wの送り量に関する情報に基づき搬送物Wの搬送物長さWLを求める。
【0049】
ここで、一つ先行の物品Pが通過してスイッチがOFFになった後、設定時間経過する前に後続の物品Pが検知される際、即ち、図8(b)に示すように前後の物品Pの距離が短く、受入部112A(図1参照)において、これら物品Pの間に押送体137(図1参照)が進入する際に後続の物品Pに接触してしまうような物品間隔である場合には、制御部140(図4参照)は、一つ先行の物品PのOFF信号が検知されてから後続の物品PのON信号が検知されるまでを一つの搬送物Wとして見做す処理を行う。
【0050】
制御部140には、許容上限長さPLmaxより大きな、長さ判定しきい値として、第1設定長さWL1が予め設定されている。ここで、制御部140における判定部144は、第1の判定と、第2の判定と、第3の判定を行う。
【0051】
第1の判定は、長さ取得部143によって得た搬送物Wの搬送物長さWLが許容下限長さPLminから許容上限長さPLmaxまでの範囲に該当するか否か、即ち、包装仕様に対応した適正な物品Pサイズであるか否かを判定する。第2の判定は、図8(a)(b)のように許容上限長さPLmaxより大きく、且つ、予め設定された第1設定長さWL1以下であるか否か、即ち、第1異常長さWX1であるか否かを判定する。第3の判定は、図8(c)のように第1設定長さWL1より大きいか否か、即ち、第2異常長さWX2であるか否かを判定する。ここで、第1異常長さWX1と判定される搬送物Wとは、包装仕様に合致する物品Pの規定の長さの製造許容範囲に該当する単一の物品Pではなく、複数の物品P同士が一部重なり合った搬送物Wなどである可能性を含み、搬送物Wを構成する一部の物品Pが押送体137によって押送される際に他の物品に乗り上がる際などに一部の物品Pが搬送装置の系外に離脱したり、物品Pなどが破損したりする可能性が低い長さの搬送物Wである。従って、第1異常長さWX1と判定された搬送物Wは、押送体137によって下流側に押送される。第2異常長さWX2と判定される搬送物Wとは、N個の物品Pが積み重なる際に特定の物品Pが暴れて搬送装置の系外に離脱するなどの可能性が高い長さの搬送物Wである。
【0052】
係る搬送物Wを下流側に押送する押送体137は、その前方の押送体137との間隔を徐々に詰めて前方の押送体137との間隔を横形製袋充填機の第2押送体222の間隔222Lに対応するよう定められた前後間隔137Lにする。
【0053】
第2の判定で第1異常長さWX1と判定(第1設定長さWL1<搬送物長さWL<許容上限長さPLmaxの関係)された際には、制御部140における情報生成部145は、搬送装置における第1異常長さWX1の搬送物Wの移動位置を追跡すると共に第1異常長さWX1の搬送物Wが搬送装置から横形製袋充填機(包装機)に送出されるタイミングに関する情報を生成する。横形製袋充填機の制御部230は、情報生成部145によって生成された第1異常長さWX1の搬送物Wの送出タイミングに関する情報を受け取り、情報生成部145に代わって横形製袋充填機内を移動する第1異常長さWX1の搬送物Wの移動位置を追跡すると共に、第1異常長さWX1の搬送物Wが、プッシャなどからなる排除手段(処理機)が設けられた横形製袋充填機より下流側の搬送路に到来する際に、該搬送物Wを排除手段が搬送路の外(系外)に排除するよう排除手段に作動指令を行うように構成されている。即ち、横形製袋充填機の制御部230は、横形製袋充填機の包装動作に関する指令とは別に、横形製袋充填機に渡った第1異常長さWX1の搬送物Wの位置を追跡すると共にプッシャに該搬送物Wを排除する指令を行う処理機としても構成されている。なお、本実施形態では、プッシャの作動指令を横形製袋充填機の制御部230が行うことにしたが、搬送物Wの位置追跡情報を横形製袋充填機の制御部230から搬送装置の制御部140に送って搬送装置の制御部140が排除指令を行うなど様々な態様が採用可能である。このことは処理機を表示や音などで報知する報知手段として構成する場合も同様に搬送物Wの位置追跡と報知に関する指令を行い得る。なお、第1の判定において長さ取得部143によって得た搬送物Wの搬送物長さWLが許容下限長さPLminより短い長さであるときも、包装仕様に対応した適正な物品Pサイズではないため、上記第1異常長さWX1の搬送物Wと同様に処理される。
【0054】
図1、8(b)に示すように、先行の物品Pと後続の物品Pの間に、押送体137が物品Pと干渉することなく進入することができない搬送物Wである場合は、前後の物品Pを1つの搬送物Wと見做す処理を行う。すなわち、後続の物品Pの後端WS2の検知情報に基づき、受入部112Aに搬送物Wの後端WS2が到来タイミングに合わせて該走行体130が搬送物Wの後端WS2に到来するように、搬送物Wに対応付けた走行体130を走行させて、搬送物Wを送出部112Bまで押送する。これにより、走行体130の前後間隔137Lを一定の間隔にする際には、それらの走行体130の間に置かれた前後に並んだ両物品Pは押送体137によって押圧されて物品Pの一方が他方の上面に乗り上がって部分的または上面全てを覆うように上下に重なり合った状態で押送されることになり、第2押送体222の間隔222Lに対応するよう定められた前後間隔137Lとなる。
【0055】
図1、4、図8(c)で示すように、制御部140は、判定部144が搬送物長さWLが第1設定長さWL1を超える長さであると判定した場合(搬送物長さWL>第1設定長さWL1の関係)は、係る搬送物Wの長さを第2異常長さWX2と判定する。そして、制御部140は、第2異常長さWX2の搬送物Wと判定した際には、走行体130の走行を停止する指令を行うと共に、走行体130の停止した停止情報を横形製袋充填機に出力する(搬送装置における搬送動作と包装機の包装動作の停止)。ここで、搬送装置における搬送動作の停止は、走行体130を直ちに停止する態様であってもよいし、第2異常長さWX2と判定された搬送物Wより先行した搬送物Wを横形製袋充填機に送出した後に停止してもよい。また、横形製袋充填機の包装動作の停止についても、直ちに包装動作を停止してもよいし、第2異常長さWX2と判定された搬送物Wより先行した物品Pの包装が終了した後に停止してもよい。
【0056】
ここでは、第1設定長さWL1は、物品Pの物品長さPLの約2.5倍の設定がなされる例を示す。これは、物品Pが2個より多く重なるなどあまりにも長すぎると判定した場合に、前後の押送体137の間隔を狭くすると物品Pが浮き上がって系外に飛び出したり、物品Pが破損したりすることなどを防ぐために搬送装置における搬送を停止すると共に下流側の包装機の運転を停止するものである。搬送装置を停止するに際し、第2異常長さWX2と判定された搬送物Wが受入部112Aに到来しても押送体137を走行させず、先行して押送されている上記条件に該当しないと判定された搬送物Wを包装機に全て送出してから停止する。この場合、搬送装置から送出し終えた旨の情報が包装機に送られ、包装機は停止する。なお、前後の物品Pが上下に重なり合うことなく当接する際に、前後の物品Pの中心同士を結んだ線分が搬送方向に沿う場合と、搬送方向に対して傾斜する場合があり、搬送方向における搬送物Wの搬送物長さWLは前者の方が後者より長くなることから常に一定にならず変動する。そのため、本実施形態においては、第1設定長さWL1は、このように前後の物品Pが斜めに並ぶことに起因して搬送方向における搬送物Wの搬送物長さWLが変動することと、物品Pの製造許容範囲に起因して搬送方向における搬送物Wの長さ搬送物長さWLが変動することが重複しても、完全に無視できるように、搬送物Wの基準長さの2.5倍と大きな値に設定されている。
【0057】
図8(d)に示すように搬送装置における第1搬送ベッド110の両側には、鉛直方向に起立したサイドガイド113が物品Pの幅より広く、且つ、前後の搬送物Wの整列が乱れても、下流側の包装機で縦シールを行う際に整列が乱れた物品Pによってフィルムが幅方向(搬送方向と交差する左右方向)に引っ張られてシール不良が起こることがないように幅方向における物品Pの位置を規制し得るように配設されている。サイドガイド113を設けることは、特に押送体137からの押圧力を幅方向に向く力に分散させてしまうような物品形状として、例えば円板状の物品Pに対して好適である。
【0058】
以上のような搬送装置は、次のような効果がある。
・本実施形態の搬送装置及びこれを用いた包装システムは、包装不良をもたらすことになる物品の到来状況を精度よく判別しつつ、独立走行する押送体が物品を順次、下流側の包装機の包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出することができ、連続包装を効率的に実現し得る。
・独立走行する押送体137が物品Pを順次、下流側の包装機の包装タイミングに合わせて一定間隔ごとに送出し得る搬送装置を提供することができる。また、包装不良をもたらすことになる物品Pの到来状況を検知することができるため、搬送物の内、正常な物品Pと第1異常長さWX1の搬送物Wを的確に区別することができる。
・サイドガイド113を有することにより、前後の物品Pの整列が乱れたとしても、搬送方向に交差する幅方向における物品Pの位置を規制することができるため、下流側における包装機における包装を円滑に行うことができ、処理不良の抑制を図ることができる。
・物品Pにおける搬送方向の前後間隔が押送体137の進入不可な距離であった場合は、両物品Pを1つの搬送物Wとみなす処理を行う。そのため、前側の物品Pの後端に向けて移動してくる押送体137が後続の物品Pに接触することで、物品Pが損傷したり押送体137が損傷することを回避し得る。
・前後の押送体137の間隔に対し、第2異常長さWX2の搬送物Wが浮き上がって搬送装置の系外に脱落したり、物品が破損したりすることを防ぐことができる。また、包装機における包装能力を超えた搬送物Wを包装機に送出することを防ぐことができる。
・搬送装置の走行体130が停止した停止情報に基づいて包装機の運転を停止する構成であるため、第2異常長さWX2の搬送物Wを確実に排除することができる包装システムを提供することができる。
・搬送装置は、独立走行する押送体137が物品Pを順次、下流側の包装機の包装タイミングに合うように所定間隔毎に送出することを継続しつつ、包装機において第1異常長さWX1の搬送物を系外に排除することができる包装システムを提供することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の搬送装置は、実施形態に限定されず、以下のようにその他各種の形態で実施することができるものである。
・搬送装置として、オーバーヘッド式の第2コンベヤ120を示したがこれに限られず、押送体137を水平方向に沿って周回させて物品Pを押送するコンベヤや、第1搬送ベッド110の下方から押送体137が搬送面112に出現するタイプであってもよい。
・横形製袋充填機の供給コンベヤ200としては、一包装ごとの、横シール装置における一対のシーラの噛み合いタイミングとの関係で、物品Pの噛み込みが生じないように物品Pを所定の間隔で搬送するものであれば、物品Pを押送する第2押送体222が無い無端状のベルトコンベヤや、第2押送体222を水平旋回させて物品を搬送するコンベヤ、一対の無端状ベルトで物品Pの左右両側を支持して搬送するコンベヤなどでもよい。また、横形製袋充填機としては、搬送装置から成形中のフィルムに直接、搬送物Wを受け渡すといった供給コンベヤ200を備えない構造であってもよい。
・搬送装置の下流側に横形製袋充填機を示したが、これに限られず例えばカートナー等の種々の包装機が本発明の包装システムとして適用し得る。
・制御部140は、搬送物Wの後端WS2の情報と、搬送物長さWLの情報を得てから、その搬送物Wに対応する走行体130が走行し始める例を示したが、物品検知部150により得た物品Pの前端WS1の情報で走行体130の走行を開始させると共に走行体130の走行中にその検知された物品Pの後端WS2の情報と搬送物長さWLの情報と先行して走行する走行体の走行位置に関する情報に基づき、その物品Pに対応する走行体130の移動位置に応じた移動速度になるように走行体130を走行させる指令を行ってもよい。
・横形製袋充填機の供給コンベヤ200としては、1包装ごとの横シール手段における一対のシーラの噛み合いタイミングとの関係で、物品Pの噛み込みが生じないように物品Pを所定の間隔で搬送するものであれば、物品Pを押送する第2押送体222がない無端状のベルトコンベヤや水平旋回するコンベヤや一対の無端状ベルトで物品Pの左右両側を支持するコンベヤなどでもよい。
・判定部144の判定手段としては、物品検知部150が物品Pを検知してから次の物品Pを検知するまでの時間が所定時間を過ぎていれば、搬送物Wを押送する押送体137が間に合うように第2押送体222に渡す態様でもよい。
・互いが当接している前後の物品Pを、前後の押送体137で押圧しても物品Pの一方が他方の上面に乗り上がらないような形状をした物品Pでは、第1設定長さWL1を物品Pの基準長さの1倍と2倍の間の値、例えば1.5倍に設定することで実施形態と同様に前後の物品Pが部分的に重なった状態で物品検知部150の検知領域に到来する際に包装された後に排除することができ得る。
・処理機としては、プッシャ等の排除手段以外にブザー等の報知、包装品に異常である旨の印を付すマーカー等であってもよい。その場合、情報生成部145における指令(情報)は、第1異常長さWX1の搬送物Wを搬送した旨の情報を生成し、これに応じてブザー、マーカーなどの処理機が排除処理を行う。
・搬送装置の制御部140におけるタイミング取得部142は、横形製袋充填機の包装タイミングとして、供給コンベヤ200に付設されたエンコーダ204のエンコーダパルスカウント値を得る例を示したが、例えば、シーラ開閉タイミング情報であってもよい。すなわち、横形製袋充填機の場合には、エンドシール装置のシーラ開閉タイミング情報と、供給コンベヤ200の物品搬送速度と搬送距離、フィルム送り速度とフィルムに載った物品がシーラまで移動する距離から物品がシーラに到達する際のシーラ開閉タイミングとの関係を求めることが可能であり、同期関係にある種々な包装動作に関する情報などから包装の包装タイミングを取得し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
110:第1搬送ベッド(載置部) 112A:受入部 112B:送出部
113:サイドガイド 122:周回走行路 130:走行体 137:押送体
140:制御部 143:長さ取得部 144:判定部 145:情報生成部
150:物品検知部(検知部) P:物品 PLmax:許容上限長さ
W:搬送物 WS1:前端 WS2:後端 WL1:第1設定長さ
WX1:第1異常長さ WX2: 第2異常長さ

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