特許第6771784号(P6771784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6771784
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】バランスホールを有する排水羽根車
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/22 20060101AFI20201012BHJP
   F04D 1/14 20060101ALI20201012BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F04D29/22 E
   F04D29/22 C
   F04D1/14
   F04D29/66 A
【請求項の数】36
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-98512(P2019-98512)
(22)【出願日】2019年5月27日
【審査請求日】2019年5月29日
(31)【優先権主張番号】108113991
(32)【優先日】2019年4月22日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516068929
【氏名又は名称】合利美股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】蕭裕明
【審査官】 岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−119430(JP,A)
【文献】 実開平04−082398(JP,U)
【文献】 実開平02−076197(JP,U)
【文献】 特開2003−293976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/22
F04D 1/14
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心、環状底板および環状壁面を備え、
前記軸心は、連結溝および複数のメインブレードを有し、
前記連結溝は前記軸心の先端部に形成され、駆動軸は前記連結溝に嵌まり込んで前記軸心を旋転させ、
複数の前記メインブレードは前記軸心の径方向に沿って外部へ伸びて形成され、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延線と定義され、
前記環状底板は、複数の前記メインブレードの底部に配置され、前記軸心と一定の距離を置いて前記軸心、複数の前記メインブレードおよび前記環状底板の間に複数の空洞部を形成し、
前記環状壁面は、底部が前記環状底板の外周辺縁部に位置し、
前記環状底板は前記環状底板を貫通する複数のバランスホールを有し、
複数の前記バランスホールは前記環状壁面の近くに配置され、孔辺縁部と前記環状壁面との間の距離が1mm以下であり、
前記軸心は複数の前記メインブレードとともに旋転し、
複数の前記バランスホールは、複数の前記メインブレードの前記仮想延線の旋転方向の前方に配置されず、複数の前記メインブレードの下方または前記仮想延長線の旋転方向の後方に位置付けられ、かつ複数の前記メインブレードの後方の空間に繋がり、
複数の前記バランスホールが一つずつ前記メインブレードの後方に配置される際、前記バランスホールの孔辺縁部と前記メインブレードとの間の距離は1mm以下であり、
前記バランスホールの中心部は一つの前記メインブレードから遠く離れ、別の一つの前記メインブレードに近いことを特徴とする、
バランスホールを有する排水羽根車。
【請求項2】
複数の前記メインブレードは前記環状壁面に連結されることを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項3】
複数の前記メインブレードは末端部と前記環状壁面の間に一定の距離を置いて複数の間隙を形成し、複数の前記バランスホールはそれぞれ前記間隙に位置することを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項4】
前記環状底板の底面は前記環状底板の外円周に沿って起伏して波状を呈し、前記環状壁面は底部が波状の前記環状底板に伴って起伏し、頂部が起伏して波状を呈し、前記環状壁面において、前記底部が高ければ前記頂部も高く、前記底部が低ければ前記頂部も低いことを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項5】
複数の前記メインブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の山部と交差することを特徴とする請求項4に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項6】
複数の前記メインブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の谷部と交差することを特徴とする請求項4に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項7】
前記環状壁面の前記底部および頂部は、起伏せず水平を保つように形成されることを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項8】
複数の前記メインブレードの頂部の高さは、前記メインブレードの前記仮想延長線と交差する前記環状壁面の頂部の高さと同じであることを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項9】
複数の前記メインブレードの頂部は、前記メインブレードの前記仮想延長線と交差する前記環状壁面の頂部より低いことを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項10】
複数の前記バランスホールが一つずつ前記メインブレードの後方に配置される際、前記バランスホールの孔辺縁部は前記メインブレードの後側面に接触することを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項11】
さらに複数のサブブレードを備え、複数の前記サブブレードは前記環状底板の頂面に配置され、前記軸心の径方向に沿って放射状に伸びていき、前記軸心に接触せず一定の距離を置き、複数の前記サブブレードは複数の前記空洞部まで伸びず、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延長線と定義され、前記軸心は複数の前記サブブレードとともに旋転し、複数の前記サブブレードは下方または前記仮想延長線の旋転方向の後方に複数のバランスホールを有し、複数の前記バランスホールは複数の前記サブブレードの前記仮想延長線の旋転方向の前方に配置されず、複数の前記サブブレードの後方の空間に繋がり、複数の前記バランスホールが一つずつ前記サブブレードの後方に配置される際、前記バランスホールの孔辺縁部と前記サブブレードとの間の距離は1mm以下であり、前記バランスホールの中心部は一つの前記サブブレードまたは一つの前記メインブレードから遠く離れ、別の一つの前記サブブレードに近いことを特徴とする請求項1に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項12】
複数の前記サブブレードは前記環状壁面に連結されることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項13】
複数の前記メインブレードは前記環状壁面に連結されることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項14】
複数の前記サブブレードは前記環状壁面に一定の距離を置いて複数の間隙を形成し、前記環状底板は複数の前記間隙に位置する部位に前記バランスホールを有することを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項15】
複数の前記メインブレードは末端部と前記環状壁面の間に一定の距離を置いて複数の間隙を形成し、複数の前記バランスホールはそれぞれ前記間隙に位置することを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項16】
前記環状底板の底面は前記環状底板の外円周に沿って起伏して波状を呈し、前記環状壁面は底部が波状の前記環状底板に伴って起伏し、頂部が起伏して波状を呈し、前記環状壁面において、前記底部が高ければ前記頂部も高く、前記底部が低ければ前記頂部も低いことを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項17】
複数の前記メインブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の山部と交差することを特徴とする請求項16に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項18】
複数の前記サブブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の山部と交差することを特徴とする請求項16に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項19】
複数の前記メインブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の谷部と交差することを特徴とする請求項16に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項20】
複数の前記サブブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の谷部と交差することを特徴とする請求項16に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項21】
前記環状壁面の前記底部および頂部は、起伏せず水平を保つように形成されることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項22】
複数の前記メインブレードの頂部の高さは、前記メインブレードの前記仮想延長線と交差する前記環状壁面の頂部の高さと同じであることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項23】
複数の前記サブブレードの頂部の高さは、前記サブブレードの前記仮想延長線と交差する前記環状壁面の頂部の高さと同じであることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項24】
複数の前記メインブレードの頂部は、前記メインブレードの前記仮想延長線と交差する前記環状壁面の頂部より低いことを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項25】
複数の前記サブブレードの頂部は、前記サブブレードの前記仮想延長線と交差する前記環状壁面の頂部より低いことを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項26】
複数の前記バランスホールが一つずつ前記サブブレードの後方に配置される際、前記バランスホールの孔辺縁部は前記サブブレードの後側面に接触することを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項27】
複数の前記バランスホールが一つずつ前記メインブレードの後方に配置される際、前記バランスホールの孔辺縁部は前記メインブレードの後側面に接触することを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項28】
複数の前記メインブレードおよび複数のサブブレードは頂部の高さが同じであることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項29】
さらに複数の補助ブレードを備え、複数の前記補助ブレードは複数の前記サブブレードより短く、前記環状底板の頂面に配置され、かつ前記軸心に接触せず一定の距離を置いて前記軸心の径方向に沿って放射状に広がり、複数の前記補助ブレードは複数の前記空洞部まで伸びず、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延長線と定義されることを特徴とする請求項11に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項30】
複数の前記補助ブレードは前記環状壁面に連結されることを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項31】
複数の前記補助ブレードは前記環状壁面に一定の距離を置くことを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項32】
前記軸心は複数の前記補助ブレードとともに旋転し、複数の前記補助ブレードは下方または後方に複数のバランスホールを有し、複数の前記バランスホールは複数の前記補助ブレードの前方に配置されず、複数の前記補助ブレードの後方の空間に繋がり、複数の前記バランスホールが一つずつ前記補助ブレードの後方に配置される際、前記バランスホールの孔辺縁部と前記補助ブレードとの間の距離は1mm以下であることを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項33】
複数の前記メインブレードおよび複数の前記サブブレードは頂部の高さが同じであり、複数の前記補助ブレードおよび複数の前記メインブレードは頂部の高さが同じであることを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項34】
複数の前記メインブレードおよび複数の前記サブブレードは頂部の高さが同じであり、複数の前記補助ブレードおよび複数の前記メインブレードは頂部の高さが一致しないことを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項35】
複数の前記メインブレードの前記仮想延長線および複数の前記サブブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の頂部の起伏構造の山部と交差し、複数の前記補助ブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の谷部と交差することを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【請求項36】
複数の前記メインブレードの前記仮想延長線および複数の前記サブブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の頂部の起伏構造の谷部と交差し、複数の前記補助ブレードの前記仮想延長線は、波状の前記環状壁面の前記頂部の起伏構造の山部と交差することを特徴とする請求項29に記載のバランスホールを有する排水羽根車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置に関し、詳しくは排水ポンプ内のバランスホールを有する排水用羽根車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアコンの排水ポンプに生じる騒音の一部分は水中の気泡が排水羽根車のブレードに衝突して生じる破裂音、或いは衝撃を受けた気泡が抵抗の変化によって生じる振動である。従って、羽根車のブレードが水を切って気泡に衝突する際の衝撃力または状況を改善すれば騒音を効果的に低減することができる。
【0003】
特許文献1により掲示された排水ポンプにおいて、大直径の羽根車は内側ブレードおよび外側ブレードから構成される。内側ブレードおよび外側ブレードは交互に配置されるため、スワールが発生する際、気泡を回転方向の下方へ逃してブレードとの衝突を抑制し、気泡が破裂して生じる騒音と、気体および液体が合流して相互に衝突して生じる振動とを減少させることができる。
しかしながら、羽根車が回転する際、羽根車の上方に位置する気泡はブレードの旋転方向の後方へ移動してブレードに付着し、かつ遠心力が原因でブレードの末端かつ外周に近い位置に残留する。つまり、特許文献1は気泡を誘導できるが、誘導流路が長い過ぎるため、気泡を下方へ効果的かつ迅速に拡散させることができない。
【0004】
特許文献2により掲示された排水ポンプにおいて、羽根車は複数の流路孔(符号250)を有する。複数の流路孔はメインプレートおよび補助ブレードの間、かつこれらのブレードの間の中点に均等に配置される。複数の流路孔は水流をブレードの下方から上方へ流動させるか、水流をブレードの上方から下方へ流動させることが役割であるため、水流は中央の貫通孔(符号252)を流れることがない。つまり、特許文献2はブレードの上下の水圧を平衡状態に維持したうえで水流が複数の流路孔を流れる、即ち水圧を平衡状態に維持する方式を採用する。
しかしながら、特許文献2は複数の流路孔によって水圧を平衡状態に維持でき、空気中に油分を含有する環境においても良好な排水効果を発揮できるが、水中の気泡を処理する技術について何も掲示していない。一方、羽根車が旋転する際、水中の気泡は通常ブレードの旋転方向の後方へ移動してブレードに付着する。従って、特許文献2における流路孔は気泡を効果的に排出できる排出流路にならない。
つまり、上述した先行技術の記載からは、現在の排水ポンプの排水羽根車が気泡を効果的に排出できる機能を持たないことがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許I499724号公報
【特許文献2】日本特許5707086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は複数のバランスホールによって水中の気泡をブレードの後方に移動させず効果的に排出し、騒音および振動を大幅に低減することができる排水羽根車を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するためのバランスホールを有する排水羽根車は、軸心、環状底板および環状壁面を備える。軸心は連結溝および複数のメインブレードを有する。
連結溝は軸心の先端部に形成される。駆動軸は連結溝に嵌まり込んで軸心を旋転させる。複数のメインブレードは軸心の径方向に沿って外部へ伸びて形成され、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延長線と定義される。環状底板は複数のメインブレードの底部に配置され、軸心に一定の距離を置いて軸心、複数のメインブレードおよび環状底板の間に複数の空洞部を形成する。環状底板の底面は環状底板の外円周に沿って起伏して波状を呈する。環状壁面は底部が環状底板の外周辺縁部に位置し、波状の環状底板に伴って起伏し、頂部が起伏して波状を呈する。つまり、環状壁面において、底部が高ければ頂部も高い。底部が低ければ頂部も低い。環状底板は環状底板を貫通する複数のバランスホールを有する。複数のバランスホールは環状壁面の近くに配置され、孔辺縁部と環状壁面との間の距離が1mm以下である。上述した構造により、軸心は複数のメインブレードとともに旋転する。複数のバランスホールは複数のメインブレードの下方または仮想延長線の旋転方向の後方に位置付けられ、かつ複数のメインブレードの後方の空間に繋がる。つまり、複数のバランスホールは複数のメインブレードの仮想延長線の旋転方向の前方に配置されない。複数のバランスホールが一つずつメインブレードの後方に配置される際、バランスホールの孔辺縁部とメインブレードとの間の距離は1mm以下である。

【0008】
上述した構造の特徴により、本発明によるバランスホールを有する排水羽根車が作動する際、複数のバランスホールは気泡をブレードの後方に移動させず、外部へ排出するため、気泡が原因で騒音および振動を引き起こすという問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す平面図である。
図3図2中の3−3線に沿った断面図である。
図4】本発明の第1実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車の作動状態を示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す平面図である。
図6図5中の6−6線に沿った断面図である。
図7】本発明の第3実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す平面図である。
図8図7中の8−8線に沿った断面図である。
図9】本発明の第3実施形態によるバランスホールを有する別の一つの排水羽根車を示す平面図である。
図10】本発明の第4実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す平面図である。
図11図10中の11−11線に沿った断面図である。
図12】本発明の第5実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す平面図である。
図13図12中の13−13線に沿った断面図である。
図14】本発明の第6実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車を示す平面図である。
図15図14中の15−15線に沿った断面図である。
図16】本発明の第3実施形態によるバランスホールを有する別の一つの排水羽根車を示す斜視図である。
図17図16の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるバランスホールを有する排水用羽根車を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の第1実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車10は、軸心11、環状底板15、および環状壁面17から構成される。
【0012】
軸心11は、連結溝111および複数のメインブレード12を有する。連結溝111は軸心11の先端部に形成される。モーター92は駆動軸92によって軸心11の連結溝111に嵌まり込んで軸心11を旋転させる。複数のメインブレード12は軸心11の径方向に沿って外部へ伸びて形成され、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延長線VLと定義される。
【0013】
環状底板15は、複数のメインブレード12の底部に配置され、軸心11に一定の距離を置いて軸心11、複数のメインブレード12および環状底板15の間に複数の空洞部16を形成する。環状底板15の底面は環状底板15の外円周に沿って起伏して波状を呈する。
【0014】
環状壁面17は、底部が環状底板15の外周辺縁部に位置し、波状の環状底板15に伴って起伏し、頂部が起伏して波状を呈する。つまり、環状壁面17において、底部が高ければ頂部も高い。底部が低ければ頂部も低い。
【0015】
環状底板15は、環状底板15を貫通する複数のバランスホール151を有する。複数のバランスホール151は環状壁面17の近くに配置され、孔辺縁部と環状壁面17との間の距離が1mm以下である。比較的好ましい場合、複数のバランスホール151が環状壁面17に隣接すればバランスホール151の孔辺縁部と環状壁面17の内壁面との間の距離がなくなる。詳しく言えば、軸心11は複数のメインブレード12とともに旋転する。
複数のバランスホール151は複数のメインブレード12の旋転方向の後方に位置付けられ、かつ複数のメインブレード12の後方の空間に繋がる。バランスホール151の孔辺縁部とメインブレード12との間の距離は1mm以下である。距離が小さければ小さいほどよい。比較的好ましい場合、バランスホール151の孔辺縁部がメインブレード12の後側面に隣接すれば、バランスホール151の孔辺縁部とメインブレード12との間の距離がなくなる、即ちバランスホール151の孔辺縁部がメインブレード12の後方に密接する。またバランスホール151を配置する際、配置位置を考慮する必要がある。詳しく言えば、一つのメインブレード12から遠く離れて別の一つのメインブレード12に近い位置にバランスホール151を配置すれば、バランスホール151に近いメインブレード12の後方の気泡に良好な排出流路を形成できる。
【0016】
第1実施形態において、複数のメインブレード12は環状壁面17に連結され、連結箇所が波状の環状壁面17の頂部の起伏構造の山部にある。複数のメインブレード12の頂部はメインブレード12と連結した環状壁面17の頂部より低い。複数のメインブレード12は直接環状壁面17に連結され、連結位置が仮想延長線VLと環状壁面17との交差位置にある。
【0017】
以上は第1実施形態の構築についての説明である。続いて作動状況を説明する。
【0018】
図4に示すように、本発明の第1実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車10を作動させる際、軸心11の先端部とモーター91の駆動軸92を嵌め合わせ、排水羽根車10を集水溝95に格納する。集水槽95に水が溜まったうえでモーター91が排水羽根車10を駆動して旋転させる際、集水溝95の中の水は波状の環状底板15の底面の起伏構造および頂面の複数のメインブレード12によって掻き回され、スワールを生じさせ、続いて排水口96から外部へ排出される。一方、波状の環状底板15の底面の起伏構造および波状の環状壁面17の起伏構造は撥水効果を生じ、気泡発生を抑制することができる。
撥水過程において気泡が発生する際、環状底板15の頂面の気泡は排水羽根車10の旋転に伴って生じた遠心力によって環状壁面17へ移動し、環状壁面17の内面に衝突すると同時に複数のメインブレード12の旋転方向の後方空間へ移動して複数のメインブレード12に付着する。このとき複数のバランスホール151は複数のメインブレード12の後方の空間に繋がるため、気泡を逃して複数のバランスホール151の下方へ排出することができる。水は複数のバランスホール151によって流入したり流出したりすることによって環状底板15の下方および上方の水圧を平衡状態に維持し、同時にスワールとともに排水口96から外部へ流出することができる。一方、複数のバランスホール151は複数のメインブレード12の後方、即ち気泡が存在する位置に隣接するため、気泡を残留させず排出することが容易である。
上述した構造特徴により、気泡が潰れて騒音を発生する、気泡が抵抗の変化によって振動を発生するという問題を抑制できる。つまり、本発明による技術は騒音および振動を大幅に低減できる。
【0019】
(第2実施形態)
図5および図6に示したのは本発明の第2実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車20である。第1実施形態との違いは次のとおりである。
【0020】
第2実施形態はさらに複数のサブブレード23を備える。複数のサブブレード23は環状底板25の頂面に配置され、軸心21の径方向に沿って放射状に広がり、軸心21に接触せず一定の距離を置く。複数のサブブレード23は複数の空洞部26まで伸びず、環状壁面27に連結され、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延長線VLと定義される。
【0021】
第2実施形態において、複数のバランスホール251は、複数のメインブレード22および複数のサブブレード23の下方に位置付けられ、かつ複数のメインブレード22および複数のサブブレード23の後方の空間に繋がる。
【0022】
第2実施形態において、複数のメインブレード22および複数のサブブレード23は頂部の高さが同じである。複数のメインブレード22および複数のサブブレード23は連結箇所が波状の環状壁面27の頂部の起伏構造の山部にある。複数のメインブレード22および複数のサブブレード23の頂部はメインブレード22およびサブブレード23と連結した環状壁面27の頂部より低い。波状の環状壁面27の頂部の起伏構造の谷部に応じて複数のメインブレード22および複数のサブブレード23を環状壁面27より低く設計する方式は回転中の複数のメインブレード22および複数のサブブレード23が水を掻き回し、環状壁面27の頂部から外部へ飛ばす事態を抑制できる。また複数のサブブレード23は直接環状壁面27に連結され、連結位置が仮想延長線VLと環状壁面27との交差位置にある。
【0023】
第2実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車20を作動させる際、複数のバランスホール251は複数のメインブレード22および複数のサブブレード23の後方に分布せず、これらの下方に位置付けられる、かつ複数のメインブレード22および複数のサブブレード23の後方の空間に繋がるため、回転中の排水羽根車20は複数のバランスホール251によって気泡を下方へ排出することができる。一方、増設した複数のサブブレード23は複数のメインブレード22とともに撥水効果を向上させることができる。
図5および図6に示すように、第2実施形態は第1実施形態における部分のメインブレードの一部をサブブレードに入れ替えるため、撥水ブレードの数は変わらない。以上は本発明を説明するための一例に過ぎないため、本発明を限定できない。つまり、本発明は第1実施形態においてメインブレードのほかにサブブレードを増設することができる。
【0024】
第2実施形態において、複数のメインブレード22および複数のサブブレード23は波状の環状壁面27の頂部の起伏構造の山部に位置付けられるため、波状の環状壁面の頂部の起伏構造に伴って水を掻き回して最良の撥水効果を発揮することができる。言い換えれば、複数のメインブレード22および複数のサブブレード23の配置位置が環状壁面27の頂部の起伏構造の山部または谷部でなければ、撥水効果を向上させることができない。
【0025】
第2実施形態において、複数のバランスホール251は複数のサブブレード23の下方に配置されるが、これに限らず、複数のサブブレード23の後方に配置されてもよい。複数のバランスホール251の配置方式は第1実施形態においてメインブレードを配置する方式と同じであり、一つのサブブレード23に隣接する位置が配置位置である。
【0026】
第2実施形態のほかの構造および達成できる効果は第1実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0027】
(第3実施形態)
図7および図8に示したのは本発明の第3実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車30である。第2実施形態との違いは次のとおりである。
【0028】
第3実施形態はさらに補助ブレード34を備える。複数の補助ブレード34は複数のサブブレード33より短く、環状底板35の頂面に配置される。複数の補助ブレード34は軸心31に接触せず一定の距離を置いて軸心31の径方向に沿って放射状に広がる。複数の補助ブレード34は複数の空洞部36まで伸びず、環状壁面37に連結され、延伸方向に沿って形成した仮想線が仮想延長線VLと定義される。環状底板35の複数のバランスホール351は複数の補助ブレード34の下方にも配置され、かつ複数の補助ブレード34の後方の空間に繋がる。
【0029】
第3実施形態において、複数のメインブレード32、複数のサブブレード33および複数の補助ブレード34は頂部の高さが同じである。複数のメインブレード32および複数のサブブレード33の連結位置は波状の環状壁面37の頂部の起伏構造の谷部にある。複数のメインブレード32および複数のサブブレード33の頂部の高さは波状の環状壁面37の頂部の高さが同じである。複数の補助ブレード34の連結位置は波状の環状壁面37の頂部の起伏構造の山部にある。一方、複数のサブブレード33は直接環状壁面37に連結され、連結位置が仮想延長線VLと環状壁面37との交差位置にある。
複数のメインブレード32および複数のサブブレード33は波状の環状壁面37の頂部の起伏構造の谷部に位置付けられ、複数の補助ブレード34は波状の環状壁面37の頂部の起伏構造の山部に位置付けられるため、波状の環状壁面37の頂部の起伏構造に伴って水を掻き回して最良の撥水効果を発揮することができる。言い換えれば、複数のメインブレード32、複数のサブブレード33および複数の補助ブレード34の配置位置が環状壁面37の頂部の起伏構造の山部または谷部でなければ、撥水効果を向上させることができない。
【0030】
第3実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車30を作動させる際、複数の補助ブレード34は撥水効果を生じる。複数のバランスホール351は複数の補助ブレード34の下方にも配置されるため、気泡を効果的に排出することができる。
【0031】
図9に示すように、第3実施形態において、複数のバランスホール351’は複数の補助ブレード34’の下方に配置されず、複数のメインブレード32’および複数のサブブレード33’の下方に配置されるため、複数の補助ブレード34’の後方の気泡は複数のメインブレード32’および複数のサブブレード33’の下方の複数のバランスホール351’によって流出するしかない。詳しく言えば、全体構造は効果が落ちても気泡排出効果を維持できる。
【0032】
第3実施形態のほかの構造および達成できる効果は第2実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0033】
(第4実施形態)
図10および図11に示したのは本発明の第4実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車40である。第3実施形態との違いは次のとおりである。
【0034】
複数の補助ブレード44は環状壁面47と一定の距離を保ち、下方または後方にバランスホール451が配置されない。
【0035】
第4実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車40を作動させる際、複数の補助ブレード44は環状壁面47と一定の距離を保つため、水中の気泡は複数の補助ブレード44の後方に残留せず、遠心力によって環状壁面47の内壁面に沿って移動する。つまり、複数の補助ブレード44は気泡を残留させず、撥水効果を発揮することができる。一方、複数の補助ブレード44は下方または後方にバランスホール451が配置されないため、水中の気泡は複数のメインブレード42および複数のサブブレード43の下方の複数のバランスホール451によって排出される。
【0036】
第4実施形態のほかの構造および達成できる効果は第3実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0037】
(第5実施形態)
図12および図13に示したのは本発明の第5実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車50である。第4実施形態との違いは次のとおりである。
【0038】
第5実施形態において、複数のメインブレード52および複数のサブブレード53の連結位置は波状の環状壁面57の頂部の起伏構造の山部にある。複数の補助ブレード54の仮想延長線VLは波状の環状壁面57の頂部の起伏構造の谷部と交差する。複数のメインブレード52および複数のサブブレード53は頂部の高さが同じである。複数の補助ブレード54の頂部は複数のメインブレード52および複数のサブブレード53の頂部より低い。つまり、複数の補助ブレード54の高さは複数のメインブレード52および複数のサブブレード53の高さとは異なる。波状の環状壁面57の頂部の起伏構造の山部および谷部に応じて複数の補助ブレード54の高さを複数のメインブレード52および複数のサブブレード53の高さと一致させないように設計する方式によって、回転中の排水羽根車50に良好な撥水効果を発揮させることができる。
【0039】
第5実施形態のほかの構造および達成できる効果は第4実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0040】
(第6実施形態)
図14および図15に示したのは本発明の第6実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車60である。第5実施形態との違いは次のとおりである。
【0041】
第6実施形態において、複数のメインブレード62は環状壁面67に一定の距離を置いて間隙621を形成する。複数のサブブレード63は環状壁面67に一定の距離を置いて間隙631を形成する。環状底板65は複数の間隙621内に位置するバランスホール651と、複数の間隙631内に位置するバランスホール651とを有する。複数の間隙621内のバランスホール651はそれぞれメインブレード62の仮想延長線VLの下方に位置付けられる。複数の間隙631内のバランスホール651はそれぞれサブブレード63の仮想延長線VLの下方に位置付けられる。
【0042】
第6実施形態によるバランスホールを有する排水羽根車60を作動させる際、複数のメインブレード62、複数のサブブレード63および複数の補助ブレード64は環状壁面67と一定の距離を保つため、水中の気泡はメインブレード62、サブブレード63および補助ブレード64の後方に残留せず、遠心力によって環状壁面67の内壁面に沿って複数のバランスホール651の上方まで移動する。続いて複数のバランスホール651の上方まで移動した水中の気泡は水圧によって複数のバランスホール651から下方へ排出される。
【0043】
第6実施形態のほかの構造および達成できる効果は第5実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0044】
上述した実施形態において、環状壁面は起伏して波状を呈するが、これに限らず、水平を保つように配置されてもよい。図16および図17に示すように、排水羽根車70において、環状壁面77の底部および頂部は起伏せず水平を保つように形成され、波状の起伏構造によって撥水効果を向上させるような設計とは異なるが、撥水効果に影響を与えることはあまりない。
詳しく言えば、排水羽根車70を作動させる際、撥水効果は波状の起伏構造でなく、複数のメインブレード72、複数のサブブレード73および複数の補助ブレード74によって生じるものであるため、環状壁面77の底部および頂部は水平を保つように形成されても、撥水効果を降下させることはあまりない。気泡は複数のバランスホール751から排出される。
【符号の説明】
【0045】
10、20、30、40、50、60、70 バランスホールを有する排水羽根車
11、21、31 軸心
111 連結溝
12、22、32、32’、42、52、62、72 メインブレード
23、33、33’、43、53、63、73 サブブレード
34、34’、44、54、64、74 補助ブレード
621、631 間隙
15、25、35、65 環状底板
151、251、351、351’、451、651、751 バランスホール
16、26、36 空洞部
17、27、37、47、57、67、77 環状壁面
91 モーター
92 駆動軸
95 集水槽
96 排水口
VL 仮想延長線
【要約】
【課題】バランスホールを有する排水羽根車を提供する。
【解決手段】バランスホールを有する排水羽根車は軸心、環状底板および環状壁面を備える。軸心は径方向に沿って外部へ伸びていく複数のメインブレードを有する。環状底板は複数のメインブレードの底部に配置され、底面が環状底板の外円周に沿って起伏して波状を呈する。環状壁面は底部が環状底板の外周辺縁部に位置し、波状の環状底板に伴って起伏する。環状底板は環状底板を貫通する複数のバランスホールを有する。複数のバランスホールは環状壁面に隣接し、複数のメインブレードの下方または旋転方向の後方に位置付けられ、複数のメインブレードの後方の空間に繋がる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17