特許第6771790号(P6771790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6771790アンテナ、アレイアンテナ、セクタアンテナ及びダイポールアンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771790
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】アンテナ、アレイアンテナ、セクタアンテナ及びダイポールアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20201012BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20201012BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20201012BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20201012BHJP
   H01Q 5/28 20150101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01Q1/52
   H01Q21/24
   H01Q21/08
   H01Q9/16
   H01Q5/28
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-518641(P2019-518641)
(86)(22)【出願日】2017年5月16日
(86)【国際出願番号】JP2017018398
(87)【国際公開番号】WO2018211597
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232287
【氏名又は名称】日本電業工作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149113
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 謹矢
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】王 琳
(72)【発明者】
【氏名】曽我 智之
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−504925(JP,A)
【文献】 特開2002−26629(JP,A)
【文献】 特表2012−503405(JP,A)
【文献】 特表2017−505075(JP,A)
【文献】 特表2016−534598(JP,A)
【文献】 特表2002−538648(JP,A)
【文献】 特開2015−33018(JP,A)
【文献】 特開平10−150319(JP,A)
【文献】 特開2009−200776(JP,A)
【文献】 特表2015−507382(JP,A)
【文献】 特開2004−23797(JP,A)
【文献】 特開2002−111358(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/136543(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/52
H01Q 5/28
H01Q 9/16
H01Q 21/08
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部を有する反射部材と、
前記反射部材の前記平面部に対して設けられ、第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、
前記反射部材の前記平面部に対して設けられるとともに、前記第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、前記第1の偏波と異なる第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子をそれぞれ延長した交点の近傍に、当該第1のアンテナ素子の一端部及び当該第2のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた導電性部材と、を備え
前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子のそれぞれは、
二つの放射部と、
前記反射部材の前記平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記反射部材の前記平面部に対して設けられ、前記第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、
前記反射部材の前記平面部に対して設けられるとともに、前記第3のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、前記第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、
前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子をそれぞれ延長した交点の近傍に、当該第3のアンテナ素子の一端部及び当該第4のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた他の導電性部材と、をさらに備え、
前記第4のアンテナ素子の他端部は、前記第1のアンテナ素子の他端部と近接し、前記第3のアンテナ素子の他端部は、前記第2のアンテナ素子の他端部と近接して設けられ
前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子のそれぞれは、
二つの放射部と、
前記反射部材の前記平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナである
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記導電性部材及び前記他の導電性部材のそれぞれは、
前記反射部材の前記平面部から起立する棒状又は板状の部材であって、
前記反射部材に一か所で直流的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記反射部材の前記平面部に対して設けられるとともに、前記第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、前記第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、
前記反射部材の前記平面部に対して設けられるとともに、前記第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、前記第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、をさらに備え、
前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子をそれぞれ延長した交点の近傍に、当該第3のアンテナ素子の一端部と当該第4のアンテナ素子の一端部に近接して前記導電性部材が設けられ
前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子のそれぞれは、
二つの放射部と、
前記反射部材の前記平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナである
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記導電性部材は、
前記反射部材の前記平面部から起立する棒状又は板状の部材であって、
前記反射部材に一か所で直流的に接続されていることを特徴とする請求項1又は4に記載のアンテナ。
【請求項6】
平面部を有する反射部材と、
第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられて当該第1の周波数帯の第1の偏波と異なる当該第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、当該第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、当該第3のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられて当該第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子及び当該第2のアンテナ素子のそれぞれを延長した交点の近傍に、当該第1のアンテナ素子の一端部及び当該第2のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた第1の導電性部材と、当該第3のアンテナ素子及び当該第4のアンテナ素子のそれぞれを延長した交点の近傍に、当該第3のアンテナ素子の一端部及び当該第4のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた第2の導電性部材と、をそれぞれが備え、当該第1のアンテナ素子の他端部と当該第4のアンテナ素子の他端部とが近接して設けられ、当該第2のアンテナ素子の他端部と当該第3のアンテナ素子の他端部とが近接して設けられ、前記反射部材の前記平面部に対して配列された複数の第1のアンテナと、
複数の前記第1のアンテナの配列に沿って、前記反射部材の前記平面部に対して配列され、前記第1の周波数帯より高い第2の周波数帯の電波をそれぞれが送受信する複数の第2のアンテナとを備え
前記第1のアンテナにおける前記第1のアンテナ素子、前記第2のアンテナ素子、前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子のそれぞれは、
二つの放射部と、
前記反射部材の前記平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナである
ことを特徴とするアレイアンテナ。
【請求項7】
複数の前記第2のアンテナの配列は、前記反射部材の前記平面部に対して複数の前記第1のアンテナの配列と重ねて配置されていることを特徴とする請求項6に記載のアレイアンテナ。
【請求項8】
複数の前記第1のアンテナの配列の間隔は、複数の前記第2のアンテナの配列の間隔の3倍であることを特徴とする請求項6又は7に記載のアレイアンテナ。
【請求項9】
前記第1のアンテナにおける前記第1のアンテナ素子、前記第2のアンテナ素子、前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子によって囲まれた領域に、二つの前記第2のアンテナが配置されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のアレイアンテナ。
【請求項10】
平面部を有する反射部材と、
第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子の一端部に一端部が近接して設けられて当該第1の偏波と異なる当該第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子の一端部に一端部が近接して設けられて当該第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子の一端部に一端部が近接して設けられて当該第1の周波数帯の当該第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子、当該第2のアンテナ素子、当該第3のアンテナ素子及び当該第4のアンテナ素子を延長した交点の近傍に、当該第1のアンテナ素子の一端部、当該第2のアンテナ素子の一端部、当該第3のアンテナ素子の一端部及び当該第4のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた導電性部材と、をそれぞれが備え、前記反射部材の前記平面部に対して配列された複数の第1のアンテナと、
複数の前記第1のアンテナの配列に沿って、前記反射部材の前記平面部に対して配列され、前記第1の周波数帯より高い第2の周波数帯の電波をそれぞれが送受信する複数の第2のアンテナと、を備え
前記第1のアンテナにおける前記第1のアンテナ素子、前記第2のアンテナ素子、前記第3のアンテナ素子及び前記第4のアンテナ素子のそれぞれは、
二つの放射部と、
前記反射部材の前記平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナである
ことを特徴とするアレイアンテナ。
【請求項11】
複数の前記第1のアンテナの送受信する電波は、複数の当該第1のアンテナの配列に対して+45°方向の偏波及び−45°方向の偏波であることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載のアレイアンテナ。
【請求項12】
第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、当該第1の偏波と異なる第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、当該第1のアンテナ素子及び当該第2のアンテナ素子を延長した交点の近傍に、当該第1のアンテナ素子の一端部及び当該第2のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた導電性部材と、をそれぞれが備える複数のアンテナが、平面部を備える反射部材の当該平面部に対して配列されたアレイアンテナと、
前記アレイアンテナを覆うカバーと、を備え
前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子のそれぞれは、
二つの放射部と、
前記反射部材の前記平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナである
ことを特徴とするセクタアンテナ。
【請求項13】
二つの放射部と、
取り付けられる反射部材の平面部に向けて延びて、二つの前記放射部を支持する支持部と、
前記反射部材の前記平面部に対して前記支持部を保持する台部と、を備え、
二つの前記放射部のそれぞれは、前記反射部材の前記平面部に平行な第1の部分と、前記支持部から離れるにしたがって、当該平面部との距離が変化する第2の部分と、当該第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有することを特徴とするダイポールアンテナ。
【請求項14】
前記台部と前記反射部材の前記平面部との間に挿入される誘電体で構成されたスペーサを備え、
前記スペーサは、前記台部を保持するための台部保持部材を有することを特徴とする請求項13に記載のダイポールアンテナ。
【請求項15】
前記台部と前記反射部材の前記平面部との間に挿入される誘電体で構成されたスペーサを備え、
前記スペーサは、前記反射部材に保持されるためのスペーサ保持部材を備えることを特徴とする請求項13に記載のダイポールアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ、アレイアンテナ、セクタアンテナ及びダイポールアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信の基地局アンテナには、電波が放射される方向に対応して設定されたセクタ(領域)毎に電波を放射するセクタアンテナが複数組み合わせて用いられている。セクタアンテナには、ダイポールアンテナなどの放射素子(アンテナ素子)をアレイ状に並べたアレイアンテナが用いられている。
【0003】
特許文献1には、分離特性を2dB〜6dB改善する2又は4のスリットが設けられた反射板と、アンテナアレイにおける分離特性を改善する分離部材とを備えた広帯域の偏波アンテナが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第103647138号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでアレイアンテナには、セクタアンテナの通信品質の向上/通信容量の増大を狙って、互いに異なる偏波の送受信が可能な偏波共用のアンテナが用いられることがある。そして、各偏波を送受信するアンテナ素子間の偏波結合量が広帯域にわたって低く抑えられていることが求められている。
本発明の目的は、互いに異なる偏波を送受信するアンテナ素子間の偏波結合量を低減した偏波共用のアンテナ等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明が適用されるアンテナは、平面部を有する反射部材と、反射部材の平面部に対して設けられ、第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、反射部材の平面部に対して設けられるとともに、第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、第1の偏波と異なる第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子を延長した交点の近傍に、第1のアンテナ素子の一端部及び第2のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた導電性部材と、を備え、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子のそれぞれは、二つの放射部と、反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とする
【0007】
このようなアンテナにおいて、反射部材の平面部に対して設けられ、第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、反射部材の平面部に対して設けられるとともに、第3のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子をそれぞれ延長した交点の近傍に、第3のアンテナ素子の一端部及び第4のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた他の導電性部材と、をさらに備え、第4のアンテナ素子の他端部は、第1のアンテナ素子の他端部と近接し、第3のアンテナ素子の他端部は、第2のアンテナ素子の他端部と近接して設けられ、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子のそれぞれは、二つの放射部と、反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とすることができる。
このようにすることで、水平方向及び垂直方向の指向特性の対称性が向上する。
また、導電性部材及び他の導電性部材のそれぞれは、反射部材の平面部から起立する棒状又は板状の部材であって、反射部材に一か所で直流的に接続されていることを特徴とすることができる。
このようにすることで、相互変調歪やホワイトノイズの発生が抑制される。
【0008】
このようなアンテナにおいて、反射部材の平面部に対して設けられるとともに、第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、反射部材の平面部に対して設けられるとともに、第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、をさらに備え、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子を延長した交点の近傍に、第3のアンテナ素子の一端部と第4のアンテナ素子の一端部に近接して導電性部材が設けられ、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子のそれぞれは、二つの放射部と、反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とすることができる。
このようにすることで、水平方向及び垂直方向の指向特性の対称性が向上する。
また、導電性部材は、反射部材の平面部から起立する棒状又は板状の部材であって、反射部材に一か所で直流的に接続されていることを特徴とすることができる。
このようにすることで、相互変調歪やホワイトノイズの発生が抑制される。
【0009】
また、他の観点から捉えると、本発明が適用されるアレイアンテナは、平面部を有する反射部材と、第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられて第1の周波数帯の第1の偏波と異なる第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、第3のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられて第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子のそれぞれを延長した交点の近傍に、第1のアンテナ素子の一端部及び第2のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた第1の導電性部材と、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子のそれぞれを延長した交点の近傍に、第3のアンテナ素子の一端部及び第4のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた第2の導電性部材と、をそれぞれが備え、第1のアンテナ素子の他端部と第4のアンテナ素子の他端部とが近接して設けられ、第2のアンテナ素子の他端部と第3のアンテナ素子の他端部とが近接して設けられ、反射部材の平面部に対して配列された複数の第1のアンテナと、複数の第1のアンテナの配列に沿って、反射部材の平面部に対して配列され、第1の周波数帯より高い第2の周波数帯の電波をそれぞれが送受信する複数の第2のアンテナと、を備え、第1のアンテナにおける第1のアンテナ素子、第2のアンテナ素子、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子のそれぞれは、二つの放射部と、反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とする
このようなアレイアンテナにおいて、複数の第2のアンテナの配列は、反射部材の平面部に対して複数の第1のアンテナの配列と重ねて配置されていることを特徴とすることができる。
このようにすることで、周波数共用のアレイアンテナを小型にできる。
【0010】
また、複数の第1のアンテナの配列の間隔は、複数の第2のアンテナの配列の間隔の3倍であることを特徴とすることができる。
そして、第1のアンテナにおける第1のアンテナ素子、第2のアンテナ素子、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子によって囲まれた領域に、二つの第2のアンテナが配置されていることを特徴とすることができる。
このようにすることで、アンテナを効率よく配列できる。
【0011】
また、さらに他の観点から捉えると、本発明が適用されるアレイアンテナは、平面部を有する反射部材と、第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子の一端部に一端部が近接して設けられて第1の偏波と異なる第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子の一端部に一端部が近接して設けられて第1の周波数帯の第1の偏波の電波を送受信する第3のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子の一端部に一端部が近接して設けられて第1の周波数帯の第2の偏波の電波を送受信する第4のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子、第2のアンテナ素子、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子を延長した交点の近傍に、第1のアンテナ素子の一端部、第2のアンテナ素子の一端部、第3のアンテナ素子の一端部及び第4のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた導電性部材と、をそれぞれが備え、反射部材の平面部に対して配列された複数の第1のアンテナと、複数の第1のアンテナの配列に沿って、反射部材の平面部に対して配列され、第1の周波数帯より高い第2の周波数帯の電波をそれぞれが送受信する複数の第2のアンテナと、を備え、第1のアンテナにおける第1のアンテナ素子、第2のアンテナ素子、第3のアンテナ素子及び第4のアンテナ素子のそれぞれは、二つの放射部と、反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とする
【0012】
このようなアレイアンテナは、複数の第1のアンテナの送受信する電波は、複数の第1のアンテナの配列に対して+45°方向の偏波及び−45°方向の偏波であることを特徴とすることができる。
このようにすることで、偏波間結合量がより低く抑えられる。
【0013】
また、さらに他の観点から捉えると、本発明が適用されるセクタアンテナは、第1の偏波の電波を送受信する第1のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子の一端部に、一端部が近接して設けられ、第1の偏波と異なる第2の偏波の電波を送受信する第2のアンテナ素子と、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子を延長した交点の近傍に、第1のアンテナ素子の一端部及び第2のアンテナ素子の一端部に近接して設けられた導電性部材と、をそれぞれが備える複数のアンテナが、平面部を備える反射部材の平面部に対して配列されたアレイアンテナと、アレイアンテナを覆うカバーと、を備え、第1のアンテナ素子及び第2のアンテナ素子のそれぞれは、二つの放射部と、反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有するダイポールアンテナであることを特徴とする
【0014】
さらに他の観点から捉えると、本発明が適用されるダイポールアンテナは、二つの放射部と取り付けられる反射部材の平面部に向けて延びて、二つの放射部を支持する支持部と、反射部材の平面部に対して支持部を保持する台部と、を備え、二つの放射部のそれぞれは、反射部材の平面部に平行な第1の部分と、支持部から離れるにしたがって、平面部との距離が変化する第2の部分と、第2の部分の先端部分から曲がって延びる第3の部分とを有することを特徴とすることができる。
このようにすることで、ダイポールアンテナの長さを短くすることができる。
【0015】
このようなダイポールアンテナは、台部と反射部材の平面部との間に挿入される誘電体で構成されたスペーサを備え、スペーサは、台部を保持するための台部保持部材を有することを特徴とすることができる。
このようにすることで、スペーサを装着させる作業の効率が向上する。
さらに、台部と反射部材の平面部との間に挿入される誘電体で構成されたスペーサを備え、スペーサは、反射部材に保持されるためのスペーサ保持部材を特徴とすることができる。
このようにすることで、ダイポールアンテナを反射板に固定する作業の効率が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、互いに異なる偏波を送受信するアンテナ素子間の偏波結合量を低減した偏波共用のアンテナ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態が適用される移動体通信の基地局アンテナの全体構成の一例を示す図である。(a)は、基地局アンテナの斜視図、(b)は、基地局アンテナの設置例を説明する図である。
図2】第1の実施の形態におけるアレイアンテナの構成の一例を示す図である。(a)は、アレイアンテナの正面図(x−y面での図)、(b)は、(a)のIIB−IIB線でのアレイアンテナの断面図(x−z面での図)である。
図3】アンテナにおけるダイポールアンテナの詳細図である。(a)は、正面図、(b)は、(a)の上面図、(c)は、裏正面図、(d)は、(a)の側面図である。
図4】スペーサを説明する図である。(a)は、上面図、(b)は、正面図、(c)は、側面図、(d)は、反射板の平面部におけるスペーサを取り付ける部分の一例を示す図である。
図5】導電性部材を説明する図である。(a−1)は、円柱の場合の上面図、(a−2)は、円柱の場合の正面図、(a−3)は、円柱の場合の底面図、(b−1)は、変形例である板状の場合の上面図、(b−2)は、板状の場合の正面図、(b−3)は、板状の場合の底面図である。
図6】低周波数帯の電波における偏波間結合量の測定値である。(a)は、第1の実施の形態の導電性部材を備える場合、(b)は、第1の実施の形態を採用せず、導電性部材を備えない場合である。
図7】導電性部材の効果を説明する図である。(a)は、第1の実施の形態の導電性部材を備える場合、(b)は、第1の実施の形態を採用せず、導電性部材を備えない場合である。
図8】第2の実施の形態におけるアレイアンテナの構成の一例を示す図である。(a)は、アレイアンテナの正面図(x−y面での図)、(b)は、(a)のVIIIB−VIIIB線でのアレイアンテナの断面図(x−z面での図)である。
図9】第3の実施の形態におけるアレイアンテナの構成の一例を示す図である。(a)は、アレイアンテナの正面図(x−y面での図)、(b)は、(a)のIXB−IXB線でのアレイアンテナの断面図(x−z面での図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
<基地局アンテナ1>
図1は、第1の実施の形態が適用される移動体通信の基地局アンテナ1の全体構成の一例を示す図である。図1(a)は、基地局アンテナ1の斜視図、図1(b)は、基地局アンテナ1の設置例を説明する図である。
基地局アンテナ1は、図1(a)に示すように、例えば鉄塔20に保持された複数のセクタアンテナ10−1〜10−3(区別しない場合は、セクタアンテナ10と表記する。)を備える。セクタアンテナ10−1〜10−3は、それぞれがアレイアンテナ11を備える。そして、アレイアンテナ11は、風雨などから保護するためのカバーであるレドーム12で覆われている。すなわち、セクタアンテナ10−1〜10−3の外側はレドーム12であって、レドーム12の内部にアレイアンテナ11が収納されている。図1(a)では、レドーム12は、円筒状としたが、他の形状であってもよい。基地局アンテナ1は、図1(b)に示すセル2内において電波の送受信を行う。
【0019】
セクタアンテナ10は、後述するように異なる二つの周波数帯のそれぞれにおいて直交する偏波の電波を送受信する周波数共用且つ偏波共用アンテナである。ここで異なる二つの周波数帯を高周波数帯及び低周波数帯と表記する。なお、高周波数帯において設計する周波数を周波数f0H(波長λ0H)、低周波数帯において設計する周波数を周波数f0L(波長λ0L)とする。なお、波長λ0H、λ0Lは自由空間波長である。例えば、高周波数帯は、2GHz帯、低周波数帯は、800MHz帯である。
低周波数数帯が第1の周波数帯の一例、高周波数帯が第2の周波数帯の一例である。
【0020】
ここでは、図1(a)に示すように、セクタアンテナ10−1に対して、xyz座標を設定する。つまり、上下方向をy方向に設定する。そして、後述する図2に示すように、セクタアンテナ10−1を例にとり、アレイアンテナ11における反射板300の平面部310に沿ってx方向を設け、反射板300の平面部310に垂直にz方向を設定する。
x方向が水平方向、y方向が垂直方向、y−z面が垂直面、x−z面が水平面である。
【0021】
基地局アンテナ1は、図1(b)に示すように、セル2内において電波の送受信を行う。セル2は、セクタアンテナ10−1〜10−3に対応して複数のセクタ3−1〜3−3(区別しない場合は、セクタ3と表記する。)に分割されている。そして、セクタアンテナ10−1〜10−3は、それぞれのアレイアンテナ11が送受信する電波のメインローブ13の方向が、対応するセクタ3−1〜3−3に向くように設定されている。
【0022】
なお、図1では、基地局アンテナ1は、3個のセクタアンテナ10−1〜10−3及びこれらに対応するセクタ3−1〜3−3を備えるとした。しかし、セクタアンテナ10及びセクタ3は、3以外の予め定められた個数であってよい。また、図1(b)では、セクタ3は、セル2を3等分に分割(中心角120°)して構成されているが、等分でなくともよく、いずれか1つのセクタ3が他のセクタ3に比べ広く又は狭く構成されていてもよい。
【0023】
それぞれのセクタアンテナ10は、アレイアンテナ11に送信信号及び受信信号を伝送する送受信ケーブル14−1〜14−4に接続されている。なお、送受信ケーブル14−1、14−2は、高周波数帯の互いに直交する偏波の電波の送信信号及び受信信号を伝送する。送受信ケーブル14−3、14−4は、低周波数帯の互いに直交する偏波の電波の送信信号及び受信信号を伝送する。
送受信ケーブル14−1〜14−4は、基地局(不図示)内に設けられた送信信号の生成及び受信信号を受信する送受信部(不図示)に接続されている。送受信ケーブル14−1〜14−4は、例えば同軸ケーブルである。
なお、基地局アンテナ1、セクタアンテナ10、アレイアンテナ11などは、アンテナの可逆性により、電波を送信及び受信することができる。
【0024】
セクタアンテナ10は、アレイアンテナ11が備える複数のアンテナ(後述する図2のアンテナ100−1〜100−7、200−1、200−2)に対して送受信信号を分配/合成する分配/合成回路、及び、複数のアンテナ間において送受信信号の位相を異ならせる移相器を備えてもよい。アンテナ間において、送受信信号の位相を異ならせることで、電波(ビーム)の放射角度を地上方向に傾ける(チルトさせる)ことができる。
【0025】
<アレイアンテナ11>
図2は、第1の実施の形態におけるアレイアンテナ11の構成の一例を示す図である。図2(a)は、アレイアンテナ11の正面図(x−y面での図)、図2(b)は、図2(a)のIIB−IIB線でのアレイアンテナ11の断面図(x−z面での図)である。ここでは、図1(a)に示したセクタアンテナ10−1を例にして、アレイアンテナ11を説明する。
アレイアンテナ11は、高周波数帯の互いに直交する偏波の電波を送受信するアンテナ100−1〜100−7(区別しない場合は、アンテナ100と表記する。)と、低周波数帯の互いに直交する偏波の電波を送受信するアンテナ200−1、200−2(区別しない場合は、アンテナ200と表記する。)とを備える。
【0026】
さらに、アレイアンテナ11は、一方の面側にアンテナ100−1〜100−7、200−1、200−2が配列された反射板300と、アンテナ100−1〜100−7のy方向における間及び両端部に設けられた仕切り板400−1〜400−8(区別しない場合は、仕切り板400と表記する。)とを備える。
反射板300は、反射部材の一例である。
【0027】
アンテナ100−1〜100−7は、反射板300のx方向の中央部において、y方向に配列されている。
アンテナ200−1、200−2も、反射板300のx方向の中央部において、y方向に配列されている。
【0028】
すなわち、アレイアンテナ11は、偏波共用及び周波数共用である。
偏波共用のアレイアンテナにおいては、偏波間の結合量(偏波間結合量)が広帯域にわたって低く抑えられることが求められる。なお、偏波間結合量とは、異なる偏波をそれぞれが送受信するアンテナ素子(後述するダイポールアンテナ110a、110b又はダイポールアンテナ210a、210b、210c、210d)間におけるSパラメータS21をいう。
【0029】
また、周波数共用のアレイアンテナにおいては、高周波帯の電波を送受信するアンテナ(図1におけるアンテナ100−1〜100−7)と低周波帯の電波を送受信するアンテナ(図1におけるアンテナ200−1、200−2)との配置の自由度が少なくなる。このため、アンテナの配置によっては、高周波帯の電波を送受信するアンテナの垂直面(y−z面)内の指向特性にグレーティングローブが発生したり、低周波帯の電波を送受信するアンテナにおける水平面(x−z面)内の指向特性の対称性が損なわれたりする。つまり、アンテナの配置によって指向特性が劣化する。よって、高周波帯の電波を送受信するアンテナと低周波帯の電波を送受信するアンテナとは、指向特性の劣化が抑制されるように配置されることが求められる。
【0030】
さらに、移動体通信の基地局アンテナ1には、相互変調歪やホワイトノイズの発生を低く抑えることが求められる。
【0031】
アンテナ100は、アンテナ100−1に示すように、二つのダイポールアンテナ110a、110bを交差(クロス)して配置したクロスダイポール構造である。−y方向を大地の方向としたとき、ダイポールアンテナ110aが、+45°傾いた偏波の電波を送受信し、ダイポールアンテナ110bが、−45°傾いた偏波の電波を送受信する。
なお、ダイポールアンテナ110a、110bを区別しない場合は、ダイポールアンテナ110と表記する。ダイポールアンテナ110の中心の記号は、給電点を示す。ダイポールアンテナ110は、アンテナ素子の一例である。
そして、アンテナ100は、y方向に間隔pで配列されている。
+45°傾いた偏波が第1の偏波の一例、−45°傾いた偏波が第2の偏波の一例である。
【0032】
アンテナ200は、アンテナ200−1に示すように、四つのダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dと二つの導電性部材220a、220bとを備える。なお、ダイポールアンテナ210a〜210dは、同じ構造を有している。よって、それぞれを区別しない場合は、ダイポールアンテナ210と表記する。ダイポールアンテナ210の中心の記号は、給電点を示す。ダイポールアンテナ210は、アンテナ素子の一例である。
また、導電性部材220a、220bは、同じ構造を有している。よって、それぞれを区別しない場合は、導電性部材220と表記する。
【0033】
ダイポールアンテナ210a、210bは、それぞれの一端部が近接して配置されている。そして、ダイポールアンテナ210a、210bを延長した交点(二つのダイポールアンテナ210a、210bをそれぞれが含むように設けた仮想的な二つの延長線の交点)の近傍に、ダイポールアンテナ210a、210bのそれぞれの一端部に近接して設けられた導電性部材220aを備える。
【0034】
また、ダイポールアンテナ210c、210dは、それぞれの一端部が近接して配置されている。そして、ダイポールアンテナ210c、210dを延長した交点(二つのダイポールアンテナ210c、210dをそれぞれが含むように設けた仮想的な二つの延長線の交点)の近傍に、ダイポールアンテナ210c、210dのそれぞれの一端部に近接して設けられた導電性部材220bを備える。
【0035】
そして、ダイポールアンテナ210aの他端部とダイポールアンテナ210dの他端部とは、互いに近接して配置されている。なお、ダイポールアンテナ210aの他端部とダイポールアンテナ210dの他端部とは、アンテナ100−1に近接して設けられている。
同様に、ダイポールアンテナ210bの他端部とダイポールアンテナ210cの他端部とは、互いに近接して配置されている。なお、ダイポールアンテナ210bの他端部とダイポールアンテナ210cの他端部とは、アンテナ100−4に近接して設けられている。
【0036】
さらに、ダイポールアンテナ210a、210b及び導電性部材220aと、ダイポールアンテナ210c、210d及び導電性部材220bとは、反射板300の平面部310のx方向の中央部においてy方向に設けた軸に対して対称の位置関係に設けられている。
【0037】
−y方向を大地の方向としたとき、ダイポールアンテナ210a、210cが、+45°傾いた偏波の電波を送受信する。そして、ダイポールアンテナ210b、210dが、−45°傾いた偏波の電波を送受信する。よって、ダイポールアンテナ210a、210cとダイポールアンテナ210b、210dとが受信する偏波の向きは、90°異なる。
そして、対向して配置されているダイポールアンテナ210a、210cの組と、ダイポールアンテナ210b、210dの組とは、それぞれ同位相同振幅で信号が分配/合成される。
【0038】
つまり、四つのダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dと、ダイポールアンテナ210a、210bを延長した交点の近傍に、ダイポールアンテナ210a、210bのそれぞれの一端部に近接して設けた導電性部材220aと、ダイポールアンテナ210c、210dを延長した交点の近傍に、ダイポールアンテナ210c、210dのそれぞれの一端部に近接して設けた導電性部材220bとを合わせて、一組の±45°偏波共用アンテナを構成している。
【0039】
このため、ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dは、四角形のそれぞれの辺に配置されている。なお、四角形は正方形であって、それぞれの辺の中心にダイポールアンテナ210の給電点があることがよい。
四つのダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dを、正方形のそれぞれの辺に対応する位置に配置することで、水平方向(x方向)及び垂直方向(y方向)の対称性がよくなり、水平面(x−z面)内及び垂直面(y−z面)内の指向特性の対称性が向上する。
【0040】
アンテナ200(アンテナ200−1、200−2)は、y方向に間隔pで配列されている。
【0041】
ここで、「近接して設けた」における近接とは、他の部分より近い距離にあることであって、低周波数帯において設計する波長λ0Lの1/4以内をいう。
そして、「交点の近傍に設けた」における近傍とは、交点から波長λ0Lの1/4以内をいう。
【0042】
導電性部材220(導電性部材220a、220b)は、図2(b)に示すように、直径CD、高さCHの円柱である(後述する図5(a)参照)。そして、導電性部材220は、一端部が反射板300の平面部310に設けられた貫通孔を介して、ネジによりにより固定されている(不図示)。そして、導電性部材220は、反射板300の平面部310に直流的に接続されていることがよい。
導電性部材220は、例えばアルミニウムなどの導電性材料で構成されている。
【0043】
導電性部材220は、反射板300の平面部310に一か所で接続されていることがよい。導電性部材220が反射板300の平面部310に一か所(一点)で接続されることにより、複数個所や線状又は面状で接続される場合に比べて、相互変調歪やホワイトノイズの発生が抑制される。
なお、導電性部材220は、反射板300の平面部310に対して絶縁体材料を介して固定され、容量結合により高周波的に接続されてもよい。直接接続される場合に比べて、相互変調歪やホワイトノイズの発生の抑制が容易になる。
なお、導電性部材220は、角柱であってもよく、他の断面形状を有する棒状の部材であってもよい。また、導電性部材220は、後述するように、板状の部材であってもよい。
【0044】
なお、ダイポールアンテナ210aが第1のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210bが第2のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210cが第3のアンテナ素子の一例、及び、ダイポールアンテナ210dが第4のアンテナ素子の一例である。そして、導電性部材220aが導電性部材又は第1の導電性部材の一例、導電性部材220bが他の導電性部材又は第2の導電性部材の一例である。
【0045】
なお、導電性部材220aの代わりに、ダイポールアンテナ210a、210dを延長した交点の近傍に、ダイポールアンテナ210aの他端部とダイポールアンテナ210dの他端部とに近接させて導電性部材220aと同様な導電性部材220を配置してもよい。同様に、導電性部材220bの代わりに、ダイポールアンテナ210b、210cを延長した交点の近傍に、ダイポールアンテナ210bの他端部とダイポールアンテナ210cの他端部に近接させて導電性部材220bと同様な導電性部材220を配置してもよい。
【0046】
上記においては、アンテナ200は、四つのダイポールアンテナ210と二つの導電性部材220とを備えるとした。これは、アンテナ200の水平方向及び垂直方向の対称性をよくするためである。
しかし、アンテナ200は、必ずしも四つのダイポールアンテナ210と二つの導電性部材220とを備えなくともよい。すなわち、アンテナ200は、二つのダイポールアンテナ210と一つの導電性部材220とを備えていてもよい。つまり、アンテナ200は、アンテナ200−1に示すように、ダイポールアンテナ210a、210bと、ダイポールアンテナ210a、210bをそれぞれ延長した交点の近傍に、ダイポールアンテナ210a、210bのそれぞれの一端部に近接して設けた導電性部材220aとを備えるとしてもよい。この場合、ダイポールアンテナ210aが第1のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210bが第2のアンテナ素子の一例である。そして、導電性部材220aが導電性部材の一例である。
【0047】
また、アンテナ200は、アンテナ200−1に示すように、ダイポールアンテナ210c、210dと、ダイポールアンテナ210c、210dをそれぞれ延長した交点の近傍に、ダイポールアンテナ210c、210dのそれぞれの一端部に近接して設けた導電性部材220bとを備えるとしてもよい。この場合、ダイポールアンテナ210cが第1のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210dが第2のアンテナ素子の一例である。そして、導電性部材220bが導電性部材の一例である。
【0048】
ダイポールアンテナの長さは、送受信する電波の波長に依存し、波長が長いほど長くなる。よって、高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100のダイポールアンテナ110の長さDWは、低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200のダイポールアンテナ210の長さDWに比べて短い。なお、ダイポールアンテナ110の長さDW及びアンテナ200のダイポールアンテナ210の長さDWは、ダイポールアンテナ110及びダイポールアンテナ210が反射板300の平面部310に投影された場合における端間の長さをいう。
【0049】
高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100(アンテナ100−1〜100−7)は、垂直面(y−z面)内の指向特性におけるグレーティングローブの発生を抑制するように、例えば、間隔pを約0.8λ0Hに設定して配列されている。
【0050】
これに対して、低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200(アンテナ200−1、200−2)は、高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100の3個分に対して1個が配列されている。すなわち、アンテナ200の配列の間隔pは、アンテナ100の配列の間隔pの3倍(p=3×p)である。例えば、低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200は、間隔pが約0.7λ0Lに設定されている。
【0051】
つまり、アンテナ100−2とアンテナ100−3との間のy方向における位置は、アンテナ200−1の導電性部材220a、220bが設けられるy方向の位置に対応する。つまり、ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dは、二つのアンテナ100(アンテナ100−2、100−3)を内側に囲むように設けられている。
そして、アンテナ200−1の−y方向の外側に、アンテナ100−1が設けられ、アンテナ200−1の+y方向の外側に、アンテナ100−4が設けられている。
すなわち、アンテナ200は、三つのアンテナ100のy方向の長さ(間隔p)を繰り返し単位(間隔)として繰り返すようにy方向に配置されている。
【0052】
つまり、第1の実施の形態では、アンテナ200を構成する正方形のそれぞれの一辺に配置した四つのダイポールアンテナ210で囲まれた領域に、高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100を二つ配置し、二つのアンテナ200間に一つのアンテナ100を配置している。
このように、低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200の間隔pを、高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100の間隔pの3倍とすることで、それぞれのアンテナから見たときの対称性を維持しつつ、高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100の垂直面(y−z面)内の指向特性におけるグレーティングローブの発生が抑制され、良好な指向特性が得られる。
【0053】
なお、アンテナ200のダイポールアンテナ210の全長は、送受信する低周波数帯の電波の波長で設定される。そこで、上記の間隔Pと間隔Pとの関係を保持するように、ダイポールアンテナ210は、端部が折り曲げられて、長さDWとなっている。ダイポールアンテナ210の形状については後述する。
【0054】
反射板300は、平面部310と、±x方向側の両端部分に平面部310からz方向に起立してy方向に延びる2つの起立部320−1、320−2(区別しない場合は、起立部320と表記する。)を備える。
さらに、反射板300は、平面部310の中央と±x方向側の両端部分との間に、平面部310からz方向に起立してy方向に延びる2つの起立部330−1、330−2(区別しない場合は、起立部330と表記する。)を備える。
そして、アンテナ100−1〜100−7は、反射板300の平面部310のx方向の中央部分に、間隔pでy方向に配列されている。
なお、2つの起立部330−1、330−2は、アンテナ100−1〜100−7をx方向と−x方向とから挟むように設けられている。
【0055】
また、アンテナ200−1、200−2は、起立部320−1と起立部330−1との間において、間隔pでy方向に配列されている。
【0056】
反射板300の平面部310と起立部320−1、320−2とは、例えば平板を折り曲げる等により一体型に構成してもよいし、それぞれを別の部材で構成し、それらをネジ等で結合して構成してもよい。また、平面部310と起立部320−1、320−2とは、絶縁体材料を介して容量結合されてもよい。
【0057】
そして、起立部330−1、330−2は、平面部310とは別の部材で構成し、反射板300の平面部310にネジ等で結合して構成してもよい。このとき、平面部310と起立部330−1、330−2とは、絶縁体材料を介して容量結合されてもよい。
さらに、例えば平板を折り曲げる等により両端部分に起立部330−1、330−2を設けた部材を構成し、両端に起立部320−1、320−2を設けた部材と重ね合わせて反射板300としてもよい。
【0058】
なお、反射板300の起立部320−1、320−2、330−1、330−2は、平面部310に対して垂直であるとしたが、斜めであってもよい。
反射板300は、例えばアルミニウムなどの導電性材料で構成されている。
【0059】
仕切り板400−1〜400−8は、アンテナ100−1〜100−7の配列において、隣接する二つのアンテナ100の間及びy方向の両端部に設けられている。仕切り板400−1〜400−8は、反射板300の起立部330−1、330−2と同様に、反射板300の平面部310から起立するように、平面部310に接続されるとともに、起立部330−1、330−2に接続される。
なお、仕切り板400−1〜400−8は、反射板300の平面部310に対して容量結合されてもよい。また、仕切り板400−1〜400−8は、反射板300の起立部330−1、330−2に対して容量結合されてもよい。
なお、仕切り板400は、反射板300の平面部310に対して垂直であるとしたが、斜めであってもよい。
仕切り板400は、例えばアルミニウムなどの導電性材料で構成されている。
【0060】
反射板300の起立部330−1、330−2は、アンテナ100を±x方向から挟み込む。仕切り板400は、アンテナ100を±y方向から挟み込む。このようにすることで、アンテナ100が、x方向とy方向とで電気的に対称となるようにしている。このようにすることで、x方向(水平方向)及びy方向(垂直方向)の指向特性が向上する。
【0061】
なお、起立部320−1、320−2、330−1、330−2及び仕切り板400−1〜400−8の全部又は一部を除いてもよい。
【0062】
図2(b)に示すように、反射板300は、起立部320−1、320−2間の幅が、幅RW、起立部320−1、320−2の平面部310からの高さが、高さRHである。また、反射板300は、起立部330−1、330−2間の幅が、幅RW、起立部330−1、330−2及び仕切り板400−1〜400−8の平面部310からの高さが、高さRHである。
例えば、幅RWは、0.7λ0L、高さRHは、0.07λ0Lである。また、幅RWは、0.7λ0H、高さRHは、0.15λ0Hである。
また、アンテナ100の放射部は、平面部310から距離DHに設けられ、アンテナ200の放射部は、平面部310から距離DHに、設けられている。なお、放射部とは、後述する図3(a)に示すダイポールアンテナ210の放射部211、212に相当する部分をいう。
例えば、距離DHは、0.25λ0H、距離DHは、0.2λ0Lである。
これらの寸法及び起立部330−1、330−2の反射板300の平面部310における位置等は、要求されるアレイアンテナ11の指向特性等により適宜変更可能である。
【0063】
<ダイポールアンテナ210>
図3は、アンテナ200におけるダイポールアンテナ210の詳細図である。図3(a)は、正面図、図3(b)は、図3(a)の上面図、図3(c)は、裏正面図、図3(d)は、図3(a)の側面図である。
図3(a)、(b)には、反射板300の平面部310を合わせて示している。
【0064】
図3(a)に示すように、ダイポールアンテナ210は、放射部211、212と、脚部213、214と、台部215とを備える。また、ダイポールアンテナ210は、給電ケーブル216と、給電板217とを備える。さらに、ダイポールアンテナ210は、台部215と反射板300の平面部310との間に、スペーサ500を備える。なお、スペーサ500を備えなくてもよい。
【0065】
ダイポールアンテナ210の放射部211、212、脚部213、214及び台部215は、例えばアルミニウムなどの導電性材料により削り出しにより構成されている。なお、ダイキャストで構成してもよい。
スペーサ500は、テトラフルオロエチレンや、ポリアセタールなどの誘電体材料で構成されている。
給電ケーブル216は、送信信号及び受信信号を伝搬する同軸ケーブルである。
給電板217は、銅などの導電性材料で構成されている。
【0066】
図3(a)を中心に、ダイポールアンテナ210を説明する。なお、スペーサ500については後述するので、ここではスペーサ500を除いたダイポールアンテナ210の構成を詳細に説明する。
放射部211は、脚部213から反射板300の平面部310に平行に延びる、板状の第1の部分211aを備える。そして、第1の部分211aに連なって、反射板300の平面部310との距離が徐々に小さくなる、板状の第2の部分211bを備える。さらに、第2の部分211bの先端部分の側面から、反射板300の平面部310側に向かって延びる、板状の第3の部分211cを備える。ここで、第3の部分211cは、第1の部分211a及び第2の部分211bの表面が上側を向いているのと異なり、正面側を向いている。すなわち、第3の部分211cは、第2の部分211bの先端部の側面に連なるように設けられている(図3(b)、(d)参照)。
【0067】
放射部212は、脚部214から反射板300の平面部310に平行に延びる、板状の第1の部分212aを備える。そして、第1の部分212aに連なって、反射板300の平面部310との距離が徐々に小さくなる、板状の第2の部分212bを備える。さらに、第2の部分212bの先端部分の側面から、反射板300の平面部310側に向かって延びる、板状の第3の部分212cを備える。ここで、第3の部分212cは、第3の部分211cと同様に、表面が正面側を向いている。すなわち、第3の部分212cは、第2の部分212bの先端部の側面に連なるように設けられている。そして、第3の部分211cと第3の部分212cとは、同じ側(正面側)に設けられている(図3(b)、(d)参照)。
さらに、放射部212の第1の部分212aには、給電ケーブル216の外導体と接続されるとともに、内導体及び内導体の周囲の誘電体を通す貫通孔212dが設けられている。
【0068】
脚部213は、断面がL字状(図3(b)参照)であって、一端部(上側)が放射部211の第1の部分211aの端部に接続されている。つまり、脚部213のL字状の断面が、放射部211の第1の部分211aの端部(第2の部分212bと接続されていない側)と接続されている。そして、脚部213は、他端部(下側)が台部215に接続されている。
【0069】
脚部214は、脚部213と同様であって、一端部(上側)が放射部212の第1の部分212aの端部に接続され、他端部(下側)が台部215に接続されている。
つまり、脚部213、214の放射部211、212と接続される一端部(上側)は、分離している。しかし、他端部(下側)は、反射板300の平面部310に接続されることで、互いに接続されている。つまり、脚部213、214の他端部(下側)は、直流的に接続されている。
脚部213、214は、支持部の一例である。
【0070】
台部215は、スペーサ500を挟んで反射板300の平面部310に固定されるように構成されている。このため、台部215の裏面(反射板300側)には、スペーサ500の貫通孔(後述する図4(a)の貫通孔513)を介して、ネジで台部215を反射板300の平面部310に固定するためのネジ孔215aが設けられている。
このように、誘電体材料で構成されたスペーサ500を介して台部215と反射板300の平面部310とを接続することにより、接続面からの相互変調歪やホワイトノイズの発生が抑制される。
【0071】
さらに、台部215は、スペーサ500の貫通孔(後述する図4(a)の貫通孔512)を介して、給電ケーブル216を通過させる貫通孔215bを備える。なお、台部215が固定される反射板300の平面部310には、給電ケーブル216を通過させる貫通孔(後述する図4(d)の貫通孔311)が設けられている。
【0072】
つまり、反射板300の裏面から反射板300の平面部310の貫通孔(後述する図4(d)の貫通孔311)、スペーサ500の貫通孔512及び台部215の貫通孔215bを通じて、給電ケーブル216が挿入される。
台部215の貫通孔215bを通過した給電ケーブル216は、脚部214に沿って、放射部212に向かう。
そして、給電ケーブル216の外導体が、放射部212の第1の部分212aに設けられた貫通孔212dにハンダなどにより接続される。そして、内導体が、放射部212の第1の部分212aに設けられた貫通孔212dを通過して、給電板217の一端部にハンダなどにより接続される。そして、給電板217の他端部が放射部211の第1の部分211aにハンダなどにより接続される。
【0073】
さらに、台部215は、スペーサ500に設けられた凸部(後述する図4(a)、(b)、(c)に示す凸部511a、511b)と嵌合して、台部215をスペーサ500に対して位置決めする凹部215c、215dを備える。
【0074】
以上説明したように、ダイポールアンテナ210は、放射部211、212は折り曲げ部を有するように構成されている。つまり、折り曲げ部とは、放射部211の第2の部分211b及び第3の部分211c、放射部212の第2の部分212b及び第3の部分212cである。
折り曲げ部を備えない場合、放射部211の端と放射部212の端との間の距離であるダイポールアンテナ210の長さは、電波の波長λ0Lに対して約1/2λ0Lである。
しかし、図3に示すように、ダイポールアンテナ210は、折り曲げ部を備えることで、長さDWは、1/2λ0Lより短くなる。
【0075】
逆に言えば、折り曲げ部は、ダイポールアンテナ210の長さDWが、1/2λ0Lより短くなるように構成されればよい。つまり、第2の部分211bは、平面部310との距離が変化するように構成されていればよく、第3の部分211cは、第2の部分211bから曲がって延びていればよい。同様に、第2の部分212bは、平面部310との距離が変化するように構成されていればよく、第3の部分212cは、第2の部分212bから曲がって延びていればよい。
これにより、4個のダイポールアンテナ210(ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210d)を配置した場合、それぞれのダイポールアンテナ210の端間の距離が遠くなるため、隣接する異なる偏波のダイポールアンテナ210間の偏波間結合量がより低く抑えられる。
【0076】
そして、低周波数帯において設計する周波数f0Lが変更されても、ダイポールアンテナ210の折り曲げ部である放射部211の第2の部分211b及び第3の部分211c、放射部212の第2の部分212b及び第3の部分212cの長さを調整することにより、予め定められた周波数帯に整合をとることができる。さらに、ダイポールアンテナ210の長さDWを同じ又は長さDWの変更を小さくすることにより、図2に示したアレイアンテナ11における高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100と低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200との配列を変更することを要しない。すなわち、アレイアンテナ11の設計が容易になる。
【0077】
さらに、低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200は、図2(a)に示したように、反射板300の±x方向における端部に配置される。また、反射板300の平面部310からの距離DHも大きい。よって、ダイポールアンテナ210が放射部211、212に折り曲げ部(第2の部分211b、212b、第3の部分211c、212c)を備えることで、レドーム12が小さくなる(図1(a)参照)。
【0078】
<スペーサ500>
図4は、スペーサ500を説明する図である。図4(a)は、上面図、図4(b)は、正面図、図4(c)は、側面図、図4(d)は、反射板300の平面部310におけるスペーサ500を取り付ける部分の一例を示す図である。
【0079】
スペーサ500は、反射板300の平面部310とダイポールアンテナ210の台部215とを直接接触させて導通させることを抑制するための、誘電体で構成された部材である。
スペーサ500は、底面部510と底面部510から一方の面(上面)側に立ち上がる縁部520とを備える。
図4(a)、(b)、(c)に示すように、底面部510には、ダイポールアンテナ210の台部215を位置決めするために、台部215の凹部215c、215dと嵌合する凸部511a、511b(区別しない場合は凸部511と表記する。)と、給電ケーブル216を通すための貫通孔512と、台部215のネジ孔215aに対してネジを通すための貫通孔513とを備える。なお、給電ケーブル216を通すための貫通孔512は、周囲が延長部分として、底面部510から底面部510の他方の面(下面)側に張り出している。
【0080】
縁部520は、底面部510から上面側に立ち上がる側に、ダイポールアンテナ210の台部215を保持し、仮固定されるように保持する台部保持爪521を備える。また、縁部520は、底面部510から立ち上がる側の反対側の反射板300の平面部310と接する側に、反射板300の平面部310にスペーサ500を仮固定するようにスペーサ500を保持するスペーサ保持爪514a、514b(区別しない場合はスペーサ保持爪514と表記する。)を備える。
台部保持爪521は、台部保持部材の一例、スペーサ保持爪514は、スペーサ保持部材の一例である。
【0081】
ダイポールアンテナ210の台部215に設けられた凹部215c、215dにスペーサ500に設けられた凸部511a、511bをそれぞれ挿入して嵌合させることによって、ダイポールアンテナ210の予め定められた位置にスペーサ500が装着される。よって、生産時に、ダイポールアンテナ210及び/又はスペーサ500に寸法のばらつきが生じたとしても、貫通孔512、513の位置がずれることが抑制される。さらに、台部保持爪521によって、ダイポールアンテナ210の台部215がスペーサ500に仮固定されるため、スペーサ500を装着させる作業の効率が飛躍的に向上する。
【0082】
図4(d)に示すように、反射板300の平面部310は、ダイポールアンテナ210を取り付ける部分に、給電ケーブル216を貫通させる貫通孔311と、ダイポールアンテナ210の台部215のネジ孔215aにネジを挿入してダイポールアンテナ210を反射板300に取り付ける貫通孔312と、スペーサ500を仮固定するように保持するためにスペーサ500のスペーサ保持爪514a、514bが挿入される貫通孔313a、313b(区別しない場合は、貫通孔313と表記する。)が設けられている。
【0083】
次に、ダイポールアンテナ210の反射板300への取り付け方法を説明する。
スペーサ500が装着されたダイポールアンテナ210を、反射板300の平面部310へ固定する際、スペーサ500の貫通孔512の延長部分を貫通孔311へ挿入し、貫通孔313a、313bにスペーサ500のスペーサ保持爪514a、514bを挿入して反射板300の平面部310に引っ掛ける。そして、貫通孔312にネジを通して、ネジによってスペーサ500が装着された台部215のネジ孔215aに固定する。
このとき、スペーサ500のスペーサ保持爪514a、514bは、反射板300の平面部310に設けられた貫通孔313a、313bに引っ掛けられているため、一つのネジで台部215を反射板300の平面部310に固定しても、回転や位置ずれ等が生じにくく、ダイポールアンテナ210を反射板300に対して確実に固定することができるとともに、ダイポールアンテナ210を反射板300に固定する作業性も飛躍的に向上する。
また、スペーサ500における貫通孔512の延長部分を、反射板300の貫通孔311に挿入することで、貫通孔311の端部によって、給電ケーブル216を傷つけることが抑制される。
【0084】
このように、ダイポールアンテナ210の台部215にスペーサ500を装着し、反射板300の平面部310に固定することによって、作業性を悪化させることなく、相互変調歪やホワイトノイズの発生が抑制される。
なお、凸部511の数や、台部保持爪521の数、そしてスペーサ保持爪514の数は、上記の数でなくともよい。これらの数は、適宜変更可能である。
【0085】
<導電性部材220>
図5は、導電性部材220を説明する図である。図5(a−1)は、円柱の場合の上面図、図5(a−2)は、円柱の場合の正面図、図5(a−3)は、円柱の場合の底面図、図5(b−1)は、変形例である板状の場合の上面図、図5(b−2)は、板状の場合の正面図、図5(b−3)は、板状の場合の底面図である。
図5(a−1)、(a−2)に示すように、導電性部材220は、直径CD、高さCHの円柱であって、棒状の一例である。そして、図5(a−2)、(a−3)に示すように、導電性部材220の一端部に反射板300の平面部310に固定するためのネジ孔221が設けられている。導電性部材220は、このネジ孔221を介して、反射板300の平面部310の裏面側から差し込まれたネジによりに直流的に接続される。すなわち、導電性部材220は、一か所で反射板300の平面部310に直流的に接続される。これにより、相互変調歪やホワイトノイズの発生を低く抑えることができる。
【0086】
図5(a−1)の上面図に示す凹部(符号無し)は、導電性部材を固定する際に、スクリュードライバの刃先を挿入するための溝である。なお、導電性部材220は、凹部を備えなくてもよい。
例えば、導電性部材220は、直径CDが9mm、高さCHが50mmである。要求される偏波間結合量により、直径CD及び高さCHを調整すればよい。
なお、前述したように、導電性部材220は、角柱であってもよく、他の断面形状を有する棒状の部材であってもよい。
【0087】
図5(b−1)、(b−2)に示すように、変形例である導電性部材220は、幅CW、厚さCT、高さCHの板であって、板状の一例である。そして、図5(b−2)、(b−3)に示すように、導電性部材220の一側面部に反射板300の平面部310に固定するためのネジ孔221が設けられている。よって、導電性部材220は、一か所で反射板300の平面部310に直流的に接続される。
【0088】
<偏波間結合量>
図6は、低周波数帯の電波における偏波間結合量の測定値である。図6(a)は、第1の実施の形態の導電性部材220を備える場合、図6(b)は、第1の実施の形態を採用せず、導電性部材220を備えない場合である。図6(a)、(b)において、横軸は正規化された周波数(f/f0L)、縦軸は偏波間結合量(dB)である。なお、周波数f0Lは、800MHz帯に設定されている。
ここで示す偏波間結合量は、上記において例として示した数値のアレイアンテナ11において、各アンテナ200における+45°偏波の電波を送受信するダイポールアンテナ210aと、−45°偏波の電波を送受信するダイポールアンテナ210bとの間において測定したSパラメータS21である。
【0089】
図6(a)に示す第1の実施の形態における偏波間結合量の最大値は、約−28dB程度である。これに対し、図6(b)に示す第1の実施の形態を採用せず、導電性部材220を備えない場合の偏波間結合量の最大値は、約−22dBである。すなわち、第1の実施の形態では、偏波間結合量の最大値が約6dB改善されるとともに、0.85f/f0Lから1.15f/f0Lの広帯域にわたって、偏波間結合量が低く抑えられていることが分かる。
【0090】
図7は、導電性部材220の効果を説明する図である。図7(a)は、第1の実施の形態の導電性部材220aを備える場合、図7(b)は、第1の実施の形態を採用せず、導電性部材220を備えない場合である。図7(a)は、図2に示したアンテナ200−1におけるダイポールアンテナ210a、210b及び導電性部材220aの部分を取り出して示している。そして、図7(a)、(b)において、ダイポールアンテナ210aによって励振された電流を実線で示し、ダイポールアンテナ210bによって励振された電流を点線で示す。
【0091】
図7(a)に示すように、第1の実施の形態の導電性部材220aを備える場合は、ダイポールアンテナ210aによって励振された電流、及び、ダイポールアンテナ210bによって励振された電流によって、導電性部材220aにも電流が流れる。しかし、導電性部材220aの一端部が反射板300の平面部310に短絡しているため、導電性部材220aにより遮蔽効果が発生する。
一方、図7(b)に示すように、第1の実施の形態を採用せず、導電性部材220を備えない場合は、ダイポールアンテナ210aに励振された電流は、直接ダイポールアンテナ210bに結合する。また同様に、ダイポールアンテナ210bに励振された電流は、直接ダイポールアンテナ210aに結合する。
このように、導電性部材220は、互いの電波を遮蔽し、互いに影響することを抑制するため、偏波間結合量が低く抑えられると考えられる。
【0092】
このとき、互いに異なる偏波の電波を送受信するアンテナ200をそれぞれが含むように設けた仮想的な二つの延長線の交点の近傍に、導電性部材220を設けることにより、偏波における電界の振動方向が交差する部分で電波が遮蔽されることになり、偏波間結合量がより効果的に低く抑えられると考えられる。
【0093】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態におけるアレイアンテナ11では、高周波数帯の電波を送受信する複数のアンテナ100が反射板300のx方向における中央部に配列され、低周波数帯の電波を送受信する複数のアンテナ200が複数のアンテナ100の配列の両側に配列されていた。
第2の実施の形態におけるアレイアンテナ15では、低周波数帯の電波を送受信する複数のアンテナ200が反射板300のx方向における中央部に配列され、高周波数帯の電波を送受信する複数のアンテナ100が複数のアンテナ200のx方向における両側に配列されている。
他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、アレイアンテナ15の第1の実施の形態におけるアレイアンテナ11と異なる部分を主に説明する。
【0094】
<アレイアンテナ15>
図8は、第2の実施の形態におけるアレイアンテナ15の構成の一例を示す図である。図8(a)は、アレイアンテナ15の正面図(x−y面での図)、図8(b)は、図8(a)のVIIIB−VIIIB線でのアレイアンテナ15の断面図(x−z面での図)である。ここでも、図1(a)に示したセクタアンテナ10−1を例にして、アレイアンテナ11を説明する。
アレイアンテナ15は、高周波数帯の互いに直交する偏波の電波を送受信するアンテナ100−1〜100−10、100−11〜100−20(区別しない場合は、アンテナ100と表記する。)と、低周波数帯の互いに直交する偏波の電波を送受信するアンテナ200−1〜200−3(区別しない場合は、アンテナ200と表記する。)とを備える。
【0095】
アンテナ200−1〜200−3は、反射板300のx方向の中央部において、y方向に間隔pで配列されている。
【0096】
アンテナ100−1〜100−10は、アンテナ200−1〜200−3の配列の左側(−x方向側)にy方向に間隔pで配列されている。
アンテナ100−11〜100−20は、アンテナ200−1〜200−3の配列の右側(+x方向側)にy方向に間隔pで配列されている。
ここでも、アンテナ200の配列の間隔pは、アンテナ100の配列の間隔pの3倍(p=3×p)に設定されている。
【0097】
反射板300は、第1の実施の形態と同様に、平面部310と、±x方向の両端部に平面部310からz方向に起立してy方向に延びる2つの起立部320−1、320−2を備える。さらに、反射板300は、平面部310の中央と±x方向側の両端部との間に、平面部310からz方向に起立してy方向に延びる2つの起立部330−1、330−2を備える。
【0098】
アンテナ200−1〜200−3は、起立部330−1と起立部330−2との間に設けられている。
アンテナ100−1〜100−10は、起立部320−1と起立部330−1との間に配列され、アンテナ100−11〜100−20は、起立部320−2と起立部330−2との間に配列されている。
なお、アンテナ100−1〜100−10、100−11〜100−20におけるアンテナ100間には、第1の実施の形態と同様に、仕切り板400が設けられている。なお、図6では、個々の仕切り板についての符号の記載を省略する。
アンテナ100は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0099】
アンテナ200は、アンテナ200−1に示すように、四つのダイポールアンテナ210a、210b、210c、210d及び二つの導電性部材220a、220bを備える。なお、アンテナ200−1は、図2に示した第1の実施の形態におけるアンテナ200−1をz軸の周りに90°回転させた状態と同じである。
【0100】
つまり、ダイポールアンテナ210a、210bは、それぞれの一端部が近接して配置されている。そして、ダイポールアンテナ210a、210bを延長した交点(二つのダイポールアンテナ210a、210bをそれぞれが含むように設けた仮想的な二つの延長線の交点)の近傍に、ダイポールアンテナ210a、210bのそれぞれの一端部に近接して設けられた導電性部材220aを備える。
【0101】
また、ダイポールアンテナ210c、210dは、それぞれの一端部が近接して配置されている。そして、ダイポールアンテナ210c、210dを延長した交点(二つのダイポールアンテナ210c、210dをそれぞれが含むように設けた仮想的な二つの延長線の交点)の近傍に、ダイポールアンテナ210c、210dのそれぞれの一端部に近接して設けられた導電性部材220bを備える。
【0102】
そして、ダイポールアンテナ210aの他端部とダイポールアンテナ210dの他端部とは、互いに近接して配置されている。
同様に、ダイポールアンテナ210bの他端部とダイポールアンテナ210cの他端部とは、互いに近接して配置されている。
【0103】
−y方向を大地の方向としたとき、ダイポールアンテナ210b、210dが、+45°傾いた偏波の電波を送受信する。そして、ダイポールアンテナ210a、210cが、−45°傾いた偏波の電波を送受信する。よって、ダイポールアンテナ210a、210cとダイポールアンテナ210b、210dとが受信する偏波の向きは、90°異なる。
このため、ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dは、四角形のそれぞれの辺に配置されている。なお、四角形は正方形であって、それぞれの辺の中心にダイポールアンテナ210の給電点があることがよい。
このようにすることで、アンテナ200の水平方向及び垂直方向の対称性がよくなる。
【0104】
なお、第2の実施の形態では、アンテナ200−1における導電性部材220bは、アンテナ200−2の導電性部材220aでもある。すなわち、第2の実施の形態のアレイアンテナ15は、導電性部材220の数が、第1の実施の形態のアレイアンテナ11に比べて、少ない。
【0105】
第2の実施の形態においても、低周波数帯の互いに異なる偏波の電波を送受信するアンテナ200が導電性部材220を備える効果は、第1の実施の形態と同じであると考えられる。よって、説明を省略する。
【0106】
第2の実施の形態では、反射板300のx方向における中央部に平面部310からの距離DHが大きい低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200が配置され、両端部に平面部310からの距離DHが距離DHに比べて小さい高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100が配置される。よって、レドーム12の大きさが、アンテナ200の大きさの影響を受けにくい。
【0107】
なお、ダイポールアンテナ210aが第1のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210bが第2のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210cが第3のアンテナ素子の一例、及び、ダイポールアンテナ210dが第4のアンテナ素子の一例である。そして、導電性部材220aが第1の導電性部材の一例、導電性部材220bが第2の導電性部材の一例である。
【0108】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、アンテナ200が備える四つのダイポールアンテナ210が、四角形のそれぞれの辺に配置されていた。
第3の実施の形態におけるアレイアンテナ16では、四つのダイポールアンテナ210が十字状に配置されている。
他の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、アレイアンテナ16の第1の実施の形態におけるアレイアンテナ11と異なる部分を主に説明する。
【0109】
<アレイアンテナ16>
図9は、第3の実施の形態におけるアレイアンテナ16の構成の一例を示す図である。図9(a)は、アレイアンテナ16の正面図(x−y面での図)、図9(b)は、図9(a)のIXB−IXB線でのアレイアンテナ16の断面図(x−z面での図)である。ここでも、図1(a)に示したセクタアンテナ10−1を例にして、アレイアンテナ16を説明する。
アレイアンテナ16は、高周波数帯の互いに直交する偏波の電波を送受信するアンテナ100−1〜100−6、100−11〜100−16(区別しない場合は、アンテナ100と表記する。)と、低周波数帯の互いに直交する偏波の電波を送受信するアンテナ200−1、200−2(区別しない場合は、アンテナ200と表記する。)とを備える。
【0110】
アンテナ200−1、200−2は、反射板300のx方向の中央部において、y方向に間隔pで配列されている。
【0111】
アンテナ100−1〜100−6は、アンテナ200−1、200−2の配列の左側(−x方向側)にy方向に間隔pで配列されている。
アンテナ100−11〜100−16は、アンテナ200−1、200−2の配列の右側(+x方向側)にy方向に間隔pで配列されている。
ここでも、アンテナ200の配列の間隔pは、アンテナ100の配列の間隔pの3倍(p=3×p)に設定されている。
【0112】
反射板300は、第1の実施の形態と同様に、平面部310と、±x方向の両端部に平面部310からz方向に起立してy方向に延びる2つの起立部320−1、320−2を備える。さらに、反射板300は、平面部310の中央と±x方向側の両端部との間に、平面部310からz方向に起立してy方向に延びる2つの起立部330−1、330−2を備える。
【0113】
アンテナ200−1、200−2は、起立部330−1と起立部330−2との間に設けられている。
アンテナ100−1〜100−6は、起立部320−1と起立部330−1との間に配列され、アンテナ100−11〜100−16は、起立部320−2と起立部330−2との間に配列されている。
なお、アンテナ100−1〜100−6、100−11〜100−16におけるアンテナ100間には、第1の実施の形態と同様に、仕切り板400が設けられている。なお、図9では、個々の仕切り板についての符号の記載を省略する。
アンテナ100は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0114】
アンテナ200は、アンテナ200−1に示すように、四つのダイポールアンテナ210a、210b、210c、210d及び一つの導電性部材220を備える。なお、アンテナ200−1は、図2に示した第1の実施の形態におけるアンテナ200−1において、二つのダイポールアンテナ210a、210bをx方向に、二つのダイポールアンテナ210c、210dを−x方向にずらした状態と同じである。そして、導電性部材220aと導電性部材220bとを、合わせてずらして一つの導電性部材220とした状態である。
【0115】
つまり、ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dは、それぞれの一端部が近接して配置されている。そして、ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dを延長した交点(二つのダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dをそれぞれが含むように設けた仮想的な四つの延長線の交点)の近傍に、ダイポールアンテナ210a、210b、210c、210dのそれぞれの一端部に近接して設けられた導電性部材220を備える。
四つのダイポールアンテナ210をそれぞれの一端部が互いに近接するように十字状に配置することで、対称性がよくなる。このように配置することで、x方向(水平方向)及びy方向(垂直方向)の指向特性の対称性が改善される。
【0116】
第3の実施の形態においても、低周波数帯の互いに異なる偏波の電波を送受信するアンテナ200が導電性部材220を備える効果は、第1の実施の形態と同じであると考えられる。よって、説明を省略する。
【0117】
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、反射板300のx方向における中央部に平面部310からの距離DHが大きい低周波数帯の電波を送受信するアンテナ200が配置され、両端部に平面部310からの距離DHが距離DHに比べて小さい高周波数帯の電波を送受信するアンテナ100が配置される。よって、レドーム12の大きさが、アンテナ200の大きさの影響を受けにくい。
【0118】
なお、ダイポールアンテナ210aが第1のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210bが第2のアンテナ素子の一例、ダイポールアンテナ210cが第3のアンテナ素子の一例、及び、ダイポールアンテナ210dが第4のアンテナ素子の一例である。そして、導電性部材220が導電性部材の一例である。
【0119】
本明細書では、アレイアンテナ11、15、16を周波数共用アンテナとして説明したが、低周波数帯のアンテナ200のみを備えたアンテナとしてもよい。この場合、低周波数帯の設計する周波数f0L(波長λ0L)を、設計する周波数f(波長λ)とすればよい。
また、本明細書では、アンテナ200を、±45°偏波の電波を送受信する偏波共用アンテナとして説明したが、偏波の向きはこれに限らず、垂直偏波及び水平偏波の電波を送受信する偏波共用アンテナであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…基地局アンテナ、2…セル、3、3−1〜3−3…セクタ、10、10−1〜10−3…セクタアンテナ、11、15、16…アレイアンテナ、12…レドーム、13…メインローブ、14−1〜14−4…送受信ケーブル、20…鉄塔、100、100−1〜100−10、100−11〜100−20…アンテナ、110、110a、110b…ダイポールアンテナ、200、200−1〜200−3…アンテナ、210、210a、210b、210c、210d…ダイポールアンテナ、211a、212a…第1の部分、211b、212b…第2の部分、211c、212c…第3の部分、213、214…脚部、215…台部、216…給電ケーブル、217…給電板、220、220a、220b…導電性部材、300…反射板、310…平面部、320、320−1、320−2…起立部、330、330−1、330−2…起立部、400、400−1〜400−8…仕切り板、500…スペーサ、510…底面部、514、514a、514b…スペーサ保持爪、520…縁部、521…台部保持爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9