(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771806
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/028 20060101AFI20201012BHJP
H01G 9/15 20060101ALI20201012BHJP
H01G 9/022 20060101ALI20201012BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20201012BHJP
C08L 71/08 20060101ALI20201012BHJP
C08K 5/103 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
H01G9/028 G
H01G9/15
H01G9/022
C08L101/12
C08L71/08
C08K5/103
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-16422(P2017-16422)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-125410(P2018-125410A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390028897
【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】保田 亮二
(72)【発明者】
【氏名】和田 純一
【審査官】
田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−072284(JP,A)
【文献】
特開2015−050237(JP,A)
【文献】
特開2008−159826(JP,A)
【文献】
特開2014−112651(JP,A)
【文献】
特開2016−171257(JP,A)
【文献】
特開2009−130018(JP,A)
【文献】
特開2006−012984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/028
H01G 9/022
H01G 9/15
C08K 5/103
C08L 71/08
C08L 101/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ポリマーと添加剤を含有する固体電解コンデンサであって、添加剤として水酸基価から算出される平均重合度2〜20のポリグリセリンにアルキレンオキサイド1から150モル付加したポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルを含有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項2】
導電性ポリマーと添加剤を含有する固体電解コンデンサであって、添加剤として水酸基価から算出される平均重合度2〜20のポリグリセリンと炭素数2から18の飽和、又は不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸がエステル化されたエステル化率50mol%以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
【請求項3】
前記導電性ポリマーがポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリピロール、ポリフラン、ポリアニリンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項4】
前記導電性ポリマーがPEDOT/ポリスチレンスルホン酸(PSS)であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルがポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシプロプレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルの何れか1種以上であることを特徴とする請求項1、3〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリセリン誘導体を用いた固体電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のデジタル化に伴い、それに使用されるコンデンサにも、小型かつ大容量で、高周波領域における等価直列抵抗(ESR)の小さいものが求められている。タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を用いた電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。
【0003】
小型、且つ大容量で、低ESRの固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年は特に、ポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと記す)、ポリピロール、ポリフラン、ポリアニリン等の導電性ポリマーが有望とされている。特許文献1には、PEDOTから成る導電性高分子層に、ポリエチレングリコールを添加することで、固体電解コンデンサの静電容量維持率が上昇する効果が示されている。これは、ポリエチレングリコールが導電性高分子であるPEDOTの導電性を向上させることによって得られるものである。PEDOT/ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと記す)を固体電解質として用いた固体電解コンデンサには、導電性の向上効果だけでなく、耐熱性や破壊電圧を向上する効果を付与する添加剤が求められている。近年では、より高い信頼性が要望される固体電解コンデンサにおいて、ポリエチレングリコールの添加のみでは全ての要望を満足できない場合が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−130018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐熱性と破壊電圧が高い固体電解コンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることによって、高耐熱、且つ高破壊電圧の固体電解コンデンサが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、導電性ポリマーから形成される固体電解質層を有するとともに、該固体電解質層、又はコンデンサ素子内にポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐熱性と破壊電圧が高い固体電解コンデンサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本説明を実施するための形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で、変更等が加えられた形態も本発明に属する。
【0010】
(導電性ポリマー)
導電性ポリマーとしては、固体電解コンデンサに適用できるものであればよく、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリアニリン、またはこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中で好ましいのはポリチオフェンであり、さらにポリチオフェンの中でもPEDOTが特に好ましい。また、導電性ポリマーのドーパントとしてはPSS等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0011】
ここで、本発明において、「導電性ポリマー」とは、導電性を有するポリマーを意味し、導電性ポリマーとドーパントからなる導電性ポリマー化合物も含まれる。また、「導電性ポリマー」は、粒子状、粉末状、又は粒子や粉末が凝集してなる凝集体の形態でも良い。
【0012】
導電性ポリマーの分散用溶媒としては、導電性ポリマーが分散するものであれば良く、主として水が用いられる。ただし、必要に応じて分散用溶媒としてエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリンなどを用いてもよい。なお、導電性ポリマーの分散体の含浸性、電導度の向上のため、導電性ポリマーの分散体への各種添加剤の配合や、アルカリによる中和を行っても良い。
【0013】
分散体中の導電性ポリマーの割合は、0.01重量%以上であり、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上である。導電性ポリマーの割合が0.01重量%以上であるとコンデンサの静電容量が大きくなる。
【0014】
(固体電解質層の形成)
コンデンサ素子に導電性ポリマーの分散体を含浸し、乾燥することにより、導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成する。コンデンサ素子に導電性ポリマーの分散体を含浸する時間は、コンデンサ素子の大きさによって決まるが、径5mm×長さ6mm程度のコンデンサ素子では5秒以上、径10mm×長さ12mm程度のコンデンサ素子では10秒以上が望ましく、最低でも5秒間は含浸することが必要である。なお、長時間含浸しても特性上の弊害はない。また、コンデンサ素子に導電性ポリマーの分散体を含浸する際、または含浸後に、減圧状態で保持すると、静電容量が大きくなるため好適である。その理由は、電極箔に形成されたエッチングピットの中に導電性ポリマーの粒子又は粉末が入り込むためであると考えられる。また、導電性ポリマーの分散体の含浸ならびに乾燥は、必要に応じて複数回行ってもよい。
【0015】
(添加剤の含浸方法)
添加剤の含浸方法は、コンデンサ素子が添加剤を適切に保持できる方法であれば特に限定されない。例えば、予め、導電性ポリマー分散体に対して、所定量の添加剤溶液を配合した後に、上記の固体電解質層の形成手順でコンデンサ素子に含浸させる方法や、導電性ポリマー分散体を含浸させた後に、コンデンサ素子を添加剤溶液に浸漬して含浸する方法、さらには、コンデンサ素子に所定量の添加剤溶液を滴下する方法、外装ケースに所定量の添加剤溶液を滴下し、そこにコンデンサ素子を挿入する方法等が挙げられる。さらにこれらの方法において、必要に応じて減圧工程や加圧工程を行っても良い。
【0016】
本発明で用いられる添加剤は、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である。ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、グリセリンの脱水縮合反応、グリシドール、エピクロルヒドリン、グリセリンハロヒドリン等のグリセリン類縁物質を用いての合成、あるいは合成グリセリンのグリセリン蒸留残分からの回収等によって得られるが、一般的には、グリセリンに少量のアルカリ触媒を加えて200℃以上の高温に加熱し、生成する水を除去しながら重縮合させる方法によって得られる。反応は逐次的な分子間脱水反応により、順次高重合体が生成するが、反応組成物は均質なものではなく、未反応グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等の複雑な混合組成物となり、反応温度が高いほど、あるいは反応時間が長いほど反応は高重合度側にシフトする。また、未反応のグリセリンは減圧蒸留による蒸留が可能であり、ジグリセリンは分子蒸留による蒸留が可能であるため、一般的にはジグリセリンは高純度品が使用され、それ以上の重合度のポリグリセリンは、複雑な多成分の混合物や、グリセリン、ジグリセリンを蒸留した残分が使用される。
【0017】
本発明で用いられるポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、水酸基価から算出される平均重合度が2から20のポリグリセリンが好ましく、より好ましくは平均重合度が2から10である。具体例としては、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリンなどが挙げられ、市販品としては、ジグリセリンS、R−PG、R−PG3、ポリグリセリン#310、ポリグリセリン#500、ポリグリセリン#750(何れも阪本薬品工業株式会社製)を用いることができる。また、平均重合度が2から20のポリグリセリンを用いることで、コンデンサの耐熱性と破壊電圧が共に高くなる。ここで、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)、及び(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編集、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2013年版」に準じて算出される。
【0018】
本発明で用いられるポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルは、水酸基価から算出される平均重合度が2から20のポリグリセリンに対してアルキレンオキサイドが1から150モル付加したポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルが好ましく、より好ましくは水酸基価から算出される平均重合度が2から20のポリグリセリンに対して、アルキレンオキサイドの付加モル数が1から100のポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルであり、最も好ましくは水酸基価から算出される平均重合度が2から10のポリグリセリンに対して、アルキレンオキサイドの付加モル数が1から100のポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルである。
【0019】
本発明で用いられるポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルとしては、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルが挙げられ、この内、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルは、ブロック付加されていてもランダム付加されていてもよく、ブロック付加されている場合は、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)の付加の順序は任意で、例えば、EO/PO、PO/EO、EO/PO/EOなど何れでも構わない。さらに、アルキレンオキサイドとしては、好ましくはEO、EO/POであり、より好ましくはEOである。
【0020】
本発明で用いられるポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレン(4)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(13)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(12)デカグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(80)デカグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(24)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(20)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(30)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(20)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(40)デカグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(60)デカグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(30)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(30)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(30)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ポリオキシプロピレン(40)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ポリオキシプロピレン(40)デカグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)ポリオキシプロピレン(60)デカグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(10)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(20)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ポリオキシプロピレン(20)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(40)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ポリオキシプロピレン(20)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(40)ヘキサグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)ポリオキシプロピレン(40)デカグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ポリオキシプロピレン(60)デカグリセリルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明で用いられるポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルは、その含有量が導電性ポリマーの分散体100重量部に対して好ましくは0.01重量部から30重量部であり、より好ましくは0.5重量部から20重量部であり、最も好ましくは1.0重量部から10重量部である。ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテルの含有量が0.01重量部から30重量部の場合では、コンデンサ素子材料に対するぬれ性の改善効果が高くなり、静電容量が大きくなる。また、得られた固体電解コンデンサの耐熱性と破壊電圧の向上効果に優れるため、この範囲が好ましい。
【0022】
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、好ましくは炭素数2から18の飽和、又は不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数2から14の飽和、又は不飽和脂肪酸を使用する。脂肪酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらを単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。これらを用いたポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ジグリセリンアセテート、ジグリセリンカプロネート、ジグリセリンカプリレート、ジグリセリン2−エチルヘキサノエート、ジグリセリンカプレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、テトラグリセリンアセテート、テトラグリセリンカプロネート、テトラグリセリンカプリレート、テトラグリセリン2−エチルヘキサノエート、テトラグリセリンカプレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンミリステート、テトラグリセリンパルミテート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレート、ヘキサグリセリンアセテート、ヘキサグリセリンカプロネート、ヘキサグリセリンカプリレート、ヘキサグリセリン2−エチルヘキサノエート、ヘキサグリセリンカプレート、ヘキサグリセリンラウレート、ヘキサグリセリンミリステート、ヘキサグリセリンパルミテート、ヘキサグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンオレート、デカグリセリンアセテート、デカグリセリンカプロネート、デカグリセリンカプリレート、デカグリセリン2−エチルヘキサノエート、デカグリセリンカプレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンミリステート、デカグリセリンパルミテート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪酸の炭素数が2から14の飽和、又は不飽和脂肪酸を使用した場合では、コンデンサ素子材料に対するぬれ性の改善効果が高くなり、静電容量が大きくなるため、この範囲が好ましい。
【0023】
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、水酸基価から算出されるエステル化率は好ましくは50mol%以下であり、より好ましくは30mol%以下である。エステル化率が50mol%以下の場合では、コンデンサ素子材料に対するぬれ性の改善効果が高くなり、静電容量が大きくなるため、この範囲が好ましい。
【0024】
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルは、その含有量が導電性ポリマーの分散体100重量部に対して好ましくは0.01重量部から30重量部であり、より好ましくは0.5重量部から20重量部であり、最も好ましくは1.0重量部から10重量部である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.01重量部から30重量部の場合では、コンデンサ素子材料に対するぬれ性の改善効果が高くなり、静電容量が大きくなる。また、得られた固体電解コンデンサの耐熱性と破壊電圧の向上効果に優れるため、この範囲が好ましい。
【0025】
本発明の固体電解コンデンサは、巻回型の固体電解コンデンサに限定されるものではなく、積層型の固体電解コンデンサであっても良い。
【実施例】
【0026】
次に、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0027】
(添加剤の耐熱性評価)
固体電解コンデンサの耐熱性の指標として、差動型示差熱天秤(Thermo Plus TG−DTA TG8120、RIGAKU製)を用いて、添加剤の熱重量測定(TG)を実施した。アルミ製試料セルに試料と、対照物質としてα−アルミナをそれぞれ10mgずつ量り取り、空気雰囲気下にて室温から毎分10℃の速さで450℃まで昇温させ、重量減少率が10重量%となった際の温度を読み取り、以下の基準で評価した。
○:重量減少温度が300℃以上
×:重量減少温度が300℃未満
【0028】
(実施例1から4、及び比較例1から2の固体電解コンデンサの作成)
導電性ポリマーとしてPEDOT/PSS分散体(CLEVIOS
TMPH500、ヘレウス社製、固形成分濃度1.0重量%)を用い、28%アンモニア水(特級試薬、キシダ化学社製)にてpH3に調整した。その後、添加剤をPEDOT/PSS分散体に対して5重量部添加し、充分に撹拌した。得られた添加剤を含有するPEDOT/PSS分散体をコンデンサ素子に含浸させた。含浸工程は、25℃にてコンデンサ素子を導電性ポリマーの分散体に浸漬させ、50mmHg、10分間の真空条件に供した。その後、120℃、60分の加熱乾燥を行った。この含浸工程と乾燥工程の一連の作業を1サイクルとし、この工程を3回繰り返したものを固体電解コンデンサとした。なお、コンデンサ素子は、定格電圧が50V、定格容量が100μF、サイズφ10mm×12.6mmのものを使用した。
【0029】
(実施例1から4、及び比較例1から2の固体電解コンデンサの特性評価)
作製した固体電解コンデンサの静電容量、等価直列抵抗、破壊電圧の測定を行った。
【0030】
(静電容量の測定)
LCRメーター(ZM2376:エヌエフ回路ブロック社製)を用いて、20℃、電圧0.5V、DCバイアス1.0V、周波数120Hzにて静電容量を測定した。静電容量は以下の基準で評価した。
○:85μF〜115μF
△:80μF〜84μF
×:80μF未満
【0031】
(ESRの測定)
LCRメーター(ZM2376:エヌエフ回路ブロック社製)を用いて、20℃、実効電圧0.5V、DCバイアス1.0V、周波数100kHzにて等価直列抵抗(ESR)を測定した。ESRは以下の基準で評価した。
○:25mΩ未満
△:25〜40mΩ
×:40mΩ以上
【0032】
(破壊電圧の測定)
直流安定化電源(PL−650−0.1:松定プレシジョン社製)を用いて、電圧を1V/secの条件にて印加した。破壊電圧の判定は、一定速度で電圧を印加し続けた際の電流値をモニタリングし、電流値が最初に1mAを超えたときの電圧値を読み取った。破壊電圧は以下の基準で評価した。
○:定格電圧の1.2倍以上
△:定格電圧の1.0から1.2倍未満
×:定格電圧未満
【0033】
(比較例3)
添加剤を用いなかった以外は実施例1から4、及び比較例1から2と同様に固体電解コンデンサを作製し、コンデンサの特性評価を実施した。
【0034】
添加剤の詳細を表1に、各種評価結果を表2に示した。なお、表中の組成は重量部である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
添加剤の耐熱性評価において、実施例1から4の添加剤は、比較例1から2の添加剤に比べて耐熱性が優れるものであった。また、コンデンサの特性評価において、実施例1から4の固体電解コンデンサは、比較例1から3に比べて破壊電圧の高い固体電解コンデンサが得られることが明らかとなった。このことから、PEDOT/PSSの添加剤として、ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルが有効であることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の固体電解コンデンサは、耐熱性と破壊電圧が高いことから、自動車電装機器、通信基地局など高い信頼性を必要とする用途に有用である。