(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1層が、成分(A)80〜95重量%および成分(C)5〜20重量%を含有するエチレン系樹脂層Iからなり、前記第2層が、成分(A)1〜20重量%、成分(B)70〜98重量%及び成分(C)1〜20重量%を含有するエチレン系樹脂層IIからなり、前記第3層が、成分(A)40〜60重量%、成分(B)40〜60重量%及び成分(C)1〜30重量%を含有する(但し、該成分(A)、該成分(B)及び該成分(C)の配合量の和が100重量%である。)エチレン系樹脂層IIIからなることを特徴とする請求項1に記載の医療用袋。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、医療用袋について、項目ごとに詳細に説明する。
【0019】
本発明の医療用袋は、少なくとも第1層、第2層および第3層をこの順に積層した積層体で構成される医療用袋であって、第1層、第2層及び第3層の全てに、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体である成分(A)を含み、かつ、成分(A)の各樹脂層中に含有される割合が、第1層 > 第3層 > 第2層の関係を満たす医療用袋である。
好ましくは、第1層は、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)及び特定の高圧法低密度ポリエチレンを含有するエチレン系樹脂層Iからなり、第2層は、特定のエチレン・α−オレフィン(A)とメタロセン触媒を用いて製造された特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)と特定の高圧法低密度ポリエチレン(C)を含有するエチレン系樹脂層IIからなり、第3層は、特定のエチレン・α−オレフィン(A)とメタロセン触媒を用いて製造された特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)と特定の高圧法低密度ポリエチレン(C)を含有するエチレン系樹脂層IIIからなる医療用袋である。
【0020】
1.第1層
本発明の積層体の第1層は、好ましくはエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))70〜90重量%および高圧法低密度ポリエチレン(成分(C))1〜30重量%を含有する。
(1)成分(A)
本発明の積層体の第1層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。該共重合体は、下記(A−i)及び(A−ii)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
以下、構成モノマー、重合法及びそれが有する特性について、順次説明する。
【0021】
(A−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第1層に用いるエチレン・α−オレフィン(A)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜10g/10分であり、好ましくは0.1〜4.5g/10分であり、より好ましくは0.5〜3.0g/10分であり、さらに好ましくは1.0〜2.5g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、10g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる、111℃加熱加圧滅菌処理後にフィルムに皺が生じる等耐熱性に劣る挙動を示す恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0022】
(A−ii)密度
本発明の積層体の第1層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、0.930〜0.950g/cm
3、好ましくは0.933〜0.945g/cm
3、より好ましくは0.934〜0.940g/cm
3、さらに好ましくは、0.935〜0.939g/cm
3である。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度が0.930g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.945g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0023】
(A−iii)モノマー構成
本発明の積層体の第1層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1 、4−メチル−ヘキセン−1 、4, 4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1 − ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体が挙げられる。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせてターポリマーとする場合は、エチレン・プロピレン・ヘキセンターポリマー、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマーが挙げられる。
【0024】
(A−iv)重合触媒及び重合法
本発明の積層体の第1層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、チーグラー触媒、バナジウム触媒、メタロセン触媒、好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法は、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法が挙げられる。
【0025】
(2)成分(C)
本発明の積層体の第1層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(成分(C))は、下記(C−i)〜(C−ii)の特性を有する。
【0026】
(C−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第1層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜5.0g/10分であり、好ましくは0.5〜4.0g/10分であり、より好ましくは0.7〜3.0g/10分である。高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、5.0g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる恐れがあり、好ましく無い。
ここで、高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0027】
(C−ii)密度
本発明の積層体の第1層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(C)の密度は、0.915〜0.935g/cm
3、好ましくは0.920〜0.930g/cm
3、さらに好ましくは0.923〜0.929g/cm
3である。高圧法低密度ポリエチレンの密度が0.915g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.935g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、高圧法低密度ポリエチレンの密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0028】
(3)他の添加成分
本発明のエチレン系樹脂層Iには、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリエチレン系樹脂材料に使用される酸化防止剤( 中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、中和剤、熱安定剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
また、柔軟性を付与するため、EBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS 、HSBR等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を配合することができる。
【0029】
(4)成分(A)と成分(C)の配合割合
本発明のエチレン系樹脂層I中における成分(A)と成分(C)に配合割合は、成分(A)70〜99重量%に対し成分(C)1〜30重量%であり、好ましくは、成分(A)75〜95重量%に対し成分(C)5〜25重量%であり、さらに好ましくは、成分(A)80〜90重量%に対し成分(C)10〜20重量%である。
成分(A)の配合割合が99重量%を超え、かつ、成分(C)の配合割合が1重量%未満であると、特に111℃加熱加圧滅菌処理後の柔軟性、落袋強度、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
また、成分(A)の配合割合が70重量%未満であり、かつ、成分(C)の配合割合が30重量%を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
【0030】
(5)エチレン系樹脂層Iの調整方法
エチレン系樹脂層Iに含有される成分(A)と成分(C)は製造方法に従って配合し、必要に応じて溶融混練により調整することができる。
より具体的には、成分(A)と成分(C)とを、あらかじめドライブレンドし、そのブレンド物をそのまま成形機のホッパーに投入してもよい。また、そのブレンド物を押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融、混練し、通常用いられている方法でペレット状とし、フィルムもしくはシートを製造することもできる。
【0031】
2.第2層
本発明の積層体の第2層は、好ましくはエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))1〜20重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(成分(B))70〜99重量%および高圧法低密度ポリエチレン(成分(C))1〜20重量%を含有するエチレン系樹脂層IIからなる。
【0032】
(1)成分(A)
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。該共重合体は、下記(A−i)及び(A−ii)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
以下、構成モノマー、重合法及びそれが有する特性について、順次説明する。
【0033】
(A−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン(A)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜10g/10分であり、好ましくは0.1〜4.5g/10分であり、より好ましくは0.5〜3.0g/10分であり、さらに好ましくは1.0〜2.5g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、4.5g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる、111℃加熱加圧滅菌処理後にフィルムに皺が生じる等耐熱性に劣る挙動を示す恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0034】
(A−ii)密度
本発明の積層体の第1層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、0.930〜0.950g/cm
3、好ましくは0.933〜0.945g/cm
3、より好ましくは0.934〜0.940g/cm
3、さらに好ましくは、0.935〜0.939g/cm
3である。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度が0.930g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.945g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0035】
(A−iii)モノマー構成
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1 、4−メチル−ヘキセン−1 、4, 4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1 − ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体が挙げられる。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせてターポリマーとする場合は、エチレン・プロピレン・ヘキセンターポリマー、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマーが挙げられる。
【0036】
(A−iv)重合触媒及び重合法
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、チーグラー触媒、バナジウム触媒、メタロセン触媒、好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法は、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法が挙げられる。
【0037】
(2)成分(B)
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(B))は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。該共重合体は、下記(B−i)〜(B−iv)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
以下、構成モノマー、重合法及びそれが有する特性について、順次説明する。
【0038】
(B−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン(B)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.5〜10g/10分であり、より好ましくは0.7〜2.0g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、10g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる、111℃加熱加圧滅菌処理後にフィルムに皺が生じる等耐熱性に劣る挙動を示す恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0039】
(B−ii)密度
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、0.890〜0.930g/cm
3、好ましくは0.900〜0.920g/cm
3、さらに好ましくは0.905〜0.910g/cm
3である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が0.890g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.920g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0040】
(B−iii)α−オレフィンの含有量
本発明の積層体の第2層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)中のα−オレフィンの含有量は、5〜40重量%が好ましく、より好ましくは7〜35重量%、さらに好ましくは9〜30重量%である。α−オレフィンの含有量が少ない場合、フィルムの衝撃強度、及び柔軟性が得られず、多すぎる場合は耐熱性が損なわれる。ここでα−オレフィンの含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体は、1種又は2種以上の混合物であっても良い。
【0041】
(B−iv)Z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)
Z平均分子量(Mz)は、高分子量成分の平均分子量への寄与が大きいので、Mzと数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)は、重量平均分子量(Mw)とMnとの比(Mw/Mn)に比べて高分子量成分の存在を確認しやすい。高分子量成分は、成形時の樹脂圧力に影響を与える要因であり、高分子量成分が多いと加工時に問題となる。よって、Mz/Mnは小さい方が好ましい。
【0042】
そこで、本発明で用いる成分(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)は、8.0以下であり、好ましくは5.0以下である。Mz/Mnが8.0を超えると透明性が悪化する。また、Mz/Mnを所定の範囲に調整する方法としては、適当なメタロセン触媒を選択する方法等が挙げられる。
なお、(Mz/Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行い、測定条件は次のとおりである。
【0043】
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分。
【0044】
(3)成分(C)
本発明の積層体の第2層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(成分(C))は、下記(C−i)〜(C−ii)の特性を有する。
(C−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第2層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜5.0g/10分であり、好ましくは0.5〜4.0g/10分であり、より好ましくは0.7〜3.0g/10分である。高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、5.0g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる恐れがあり、好ましく無い。
ここで、高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0045】
(C−ii)密度
本発明の積層体の第2層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(C)の密度は、0.915〜0.935g/cm
3、好ましくは0.920〜0.930g/cm
3、さらに好ましくは0.923〜0.929g/cm
3である。高圧法低密度ポリエチレンの密度が0.915g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.935g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、高圧法低密度ポリエチレンの密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0046】
(4)他の添加成分
本発明のエチレン系樹脂層IIには、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリエチレン系樹脂材料に使用される酸化防止剤(中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、中和剤、熱安定剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
また、柔軟性を付与するため、EBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS 、HSBR等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を配合することができる。
【0047】
(5)成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合
本発明のエチレン系樹脂層I中における成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合は、成分(A)1〜20重量%に対し、成分(B)70〜99重量%及び成分(C)1〜20重量%であり、好ましくは、成分(A)5〜15重量%に対し、成分(B)75〜95重量%及び成分(C)5〜15重量%であり、さらに好ましくは、成分(A)7〜13重量%に対し、成分(B)80〜90重量%及び成分(C)7〜13重量%である。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合が上記範囲を満たさないと、特に111℃加熱加圧滅菌処理後の柔軟性、落袋強度、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
【0048】
(6)エチレン系樹脂層IIの調整方法
エチレン系樹脂層IIに含有される成分(A)、成分(B)及び成分(C)は製造方法に従って配合し、必要に応じて溶融混練により調整することができる。
【0049】
より具体的には、成分(A)と成分(C)とを、あらかじめドライブレンドし、そのブレンド物をそのまま成形機のホッパーに投入してもよい。また、そのブレンド物を押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融、混練し、通常用いられている方法でペレット状とし、フィルムもしくはシートを製造することもできる。
【0050】
3.第3層
本発明の積層体の第3層は、エチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))40〜60重量%、エチレン・α−オレフィン共重合体(成分(B))40〜60重量%および高圧法低密度ポリエチレン(成分(C))1〜30重量%を含有するエチレン系樹脂層IIIからなる。
【0051】
(1)成分(A)
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(A))は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。該共重合体は、下記(A−i)〜(A−iv)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
以下、構成モノマー、重合法及びそれが有する特性について、順次説明する。
【0052】
(A−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜10g/10分であり、好ましくは0.1〜4.5g/10分であり、より好ましくは0.5〜3.0g/10分であり、さらに好ましくは1.0〜2.5g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、4.5g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる、111℃加熱加圧滅菌処理後にフィルムに皺が生じる等耐熱性に劣る挙動を示す恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0053】
(A−ii)密度
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の密度は、0.930〜0.950g/cm
3、好ましくは0.933〜0.945g/cm
3、より好ましくは0.934〜0.940g/cm
3、さらに好ましくは、0.935〜0.939g/cm
3である。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.930g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.945g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0054】
(A−iii)モノマー構成
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1 、4−メチル−ヘキセン−1 、4, 4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1 − ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体が挙げられる。また、α−オレフィンは1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせてターポリマーとする場合は、エチレン・プロピレン・ヘキセンターポリマー、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマーが挙げられる。
【0055】
(A−iv)重合触媒及び重合法
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、チーグラー触媒、バナジウム触媒、メタロセン触媒、好ましくはメタロセン触媒を使用して製造することができる。製造法は、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法が挙げられる。
【0056】
(2)成分(B)
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(B))は、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。該共重合体は、下記(B−i)〜(B−iv)の特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体である。
以下、構成モノマー、重合法及びそれが有する特性について、順次説明する。
【0057】
(B−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィンのMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.5〜10g/10分であり、より好ましくは0.7〜2.0g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、10g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる、111℃加熱加圧滅菌処理後にフィルムに皺が生じる等耐熱性に劣る挙動を示す恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0058】
(B−ii)密度
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度は、0.890〜0.930g/cm
3、好ましくは0.900〜0.920g/cm
3、さらに好ましくは0.905〜0.910g/cm
3である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の密度が0.890g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.920g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0059】
(B−iii)α−オレフィンの含有量
本発明の積層体の第3層に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)中のα−オレフィンの含有量は、5〜40重量%が好ましく、より好ましくは7〜35重量%、さらに好ましくは9〜30重量%である。α−オレフィンの含有量が少ない場合、フィルムの衝撃強度、及び柔軟性が得られず、多すぎる場合は耐熱性が損なわれる。ここでα−オレフィンの含有量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測される値である。
装置:日本電子製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体は、1種又は2種以上の混合物であっても良い。
【0060】
(3)成分(C)
本発明の積層体の第3層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(成分(C))は、下記(C−i)〜(C−ii)の特性を有する。
(C−i)メルトフローレート(MFR)
本発明の積層体の第3層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFR(190℃ 、21.18N荷重)は、0.1〜5.0g/10分であり、好ましくは0.5〜4.0g/10分であり、より好ましくは0.7〜3.0g/10分である。高圧法低密度ポリエチレン(C)のMFRが0.1g/10分未満では樹脂圧力が高く成形性が不良となり、5.0g/10分を超えると、インフレーション成形時、バブルが不安定になり成形性が不良になる恐れがあり、好ましく無い。
ここで、高圧法低密度ポリエチレンのMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定する。
【0061】
(C−ii)密度
本発明の積層体の第3層に用いる高圧法低密度ポリエチレン(C)の密度は、0.915〜0.935g/cm
3、好ましくは0.920〜0.930g/cm
3、さらに好ましくは0.923〜0.929g/cm
3である。高圧法低密度ポリエチレンの密度が0.915g/cm
3未満では、111℃加熱加圧滅菌処理後に医療用袋が溶融してしまう恐れがあり、0.935g/cm
3を超えると、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
ここで、高圧法低密度ポリエチレンの密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定する。
【0062】
(4)他の添加成分
本発明のエチレン系樹脂層IIには、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリエチレン系樹脂材料に使用される酸化防止剤(中でも、フェノール系、及びリン系酸化防止剤が好ましい)、アンチブロッキング剤、中和剤、熱安定剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0063】
また、柔軟性を付与するため、EBR、EPR等のエチレン・α−オレフィンエラストマー、SEBS 、HSBR等のスチレン系エラストマー等のゴム系化合物を配合することができる。
【0064】
(5)成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合
本発明のエチレン系樹脂層III中における成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合は、成分(A)40〜60重量%に対し、成分(B)40〜60重量%及び成分(C)1〜30重量%
である。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合が上記範囲を満たさないと、特に111℃加熱加圧滅菌処理後の柔軟性、落袋強度、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
【0065】
(6)エチレン系樹脂層IIIの調整方法
エチレン系樹脂層IIIに含有される成分(A)、成分(B)及び成分(C)は製造方法に従って配合し、必要に応じて溶融混練により調整することができる。
【0066】
より具体的には、成分(A)と成分(C)とを、あらかじめドライブレンドし、そのブレンド物をそのまま成形機のホッパーに投入してもよい。また、そのブレンド物を押出機、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー等を用いて溶融、混練し、通常用いられている方法でペレット状とし、フィルムもしくはシートを製造することもできる。
【0067】
4.第1層、第2層及び第3層の成分(A)の割合の関係
本発明の積層体の第1層、第2層及び第3層に含まれる成分(A)の含有割合(重量%)は、第1層 > 第3層 > 第2層 の関係を満たし、かつ、「第1層の成分(A)の割合−第3層の成分(A)の割合」が20〜80重量%であると好ましく、特に好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%を満たす。
【0068】
第1層の成分(A)の割合、第2層の成分(A)の割合、第3層の成分(A)の割合が成分(A) > 第3層 > 第2層 の割合の関係を満たさない場合、耐熱性と落袋強度のバランスをとることが難しくなり、好ましくない。
【0069】
また、「第1層の成分(A)の割合−第3層の成分(A)の割合」が20重量%未満であると、耐熱性と透明性のバランスをとることが難しくなり好ましく無い。また、第1層の成分(A)の割合−第3層の成分(A)の割合」が80重量%を超えると、耐熱性が劣り、透明性が低下する恐れがあり、好ましく無い。
【0070】
5.積層体
本発明の積層体は、少なくとも上記第1層、第2層及び第3層をこの順で積層したものであればよいが、上記第1層、第2層及び第3層のほかに、かかる積層体に一般的に使用される各種の層を適宜必要に応じて設けることができる。具体的には、各種の層間に接層やEVOH等のガスバリアー層を設けることができる。
さらに、本発明の積層体の厚みは、100〜700μmが好ましい。上記範囲内であれば透明性に優れるフィルムが安定的に成形できるので好ましい。
本発明の積層体の製造方法は、特に制限はなく、公知の方法で行うことができる。水冷インフレーション法により製造するのが好ましい。
【0071】
具体的には、上述の第1層、第2層、第3層用樹脂材料をそれぞれ押出機及び円形ダイスを用いて共押出し、溶融チューブ内に空気を入れ膨張させつつ水槽に導入し、急冷する水冷インフレーション成形法により製膜される。なお、水冷 インフレーション法の条件は特に限定しないが、下向きにブローし、内部に閉じこめた水で冷却したり、サイジングリングや水槽式の水冷リングなどを用いて水冷する方式が挙げられる。成形温度は160〜280℃、好ましくは170〜230℃で、水冷する水温は10〜60℃、好ましくは15〜50℃である。
【0072】
6.用途
本発明の積層体からなる医療用袋は、特に、耐熱性の必要な111℃ 滅菌処理用途に好適に使用できる。医療用袋の具体的用途としては、輸液バッグ、体液や薬液等の注入、排出、保存用等の容器、腹膜透析バッグ、人工透析バッグ等が挙げられる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
【0074】
1.樹脂物性の評価方法
(1)メルトフローレート(MFR):前述のように、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃ 、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:前述のように、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)準拠して23℃で測定した。
(3)α−オレフィン含有量:前述のように、α−オレフィンの含有量は、13C−NMR法によって計測した。
(4)Mz/Mn:前述のように、GPCにより測定した。
【0075】
2.積層体の成形方法
プラコー社製3種3層水冷インフレーション成形機(ダイ径:100mmφ、ダイリップ:3mm、ダイス温度:185℃)を用い、第1層と第3層の厚みを30μm、中間層の厚み190μmの場合、折り径:180mm、のチューブ状積層体を成形した。
【0076】
3.積層体の評価方法
(1)耐熱性:円筒状になっている積層体を210mmの大きさに切り出し、切り出した一方をインパルスシーラーを使ってヒートシールして袋状にした。ついで、その中に、純水を500ml充填し、もう一辺をヒートシールして密封した。ヒートシールとヒートシールの間の距離は1 8 0 mmとなるようにシールした。このようにして得られたサンプル袋を、高温高圧調理殺菌試験機(日阪製作所製、RCS・40 RTGN型)の中に入れた後加圧し、111 ℃ または115℃まで雰囲気温度を上昇させて、その温度を30分間保持した。その後、約4 0℃まで冷却し、該サンプル袋を試験機から取り出した。以下、この殺菌処理をした積層体( 「サンプル袋」)を「滅菌処理後積層体」と記述する。
サンプル袋の耐熱性の評価は、以下の基準で行った。
○:しわがほとんどない。または、まったくない。
×:しわが多い。または、透明性が低下する。
【0077】
(2)GLOSS
JIS−Z8741を参考にして測定した。尚、GLOSS測定は、成形した積層体及び加熱加圧滅菌処理後の積層体について行った。反射角度は、20°を選択した。
加熱加圧滅菌処理後の積層体について、GLOSSを測定する際には、中に充填されている水を抜いて1週間経過後に行った。
【0078】
(3)引張弾性率
JIS−K7217を参考に、成形した積層体及び加熱加圧滅菌処理後の積層体のMD方向(フィルムまたはシートの引き取り方向)及びTD方向(フィルムまたはシートの引き取りに垂直な方向)の1%引張弾性率を測定した。この値が小さい程、柔軟性に優れていることを示す。
加熱加圧滅菌処理後の積層体について、引張弾性率を測定する際には、中に充填されている水を抜いて1週間経過後に行った。
【0079】
(4)落袋強度
加熱加圧滅菌処理後の水入り積層体(2個)を10℃の環境で24時間保管後、その温度で、2mの高さから平行に鉄板の上に落下させて評価した。以下の基準で評価した。
×:加熱加圧滅菌処理後、積層体が1 個又は2 個破袋した。
○:落下試験前と様子が変わらず、2 個とも問題なかった。
【0080】
4.使用樹脂
(1)成分(A):エチレン・α−オレフィン共重合体
成分(A)として、市販品である次の3種類の樹脂を用いた。表1に示す。
A−1:日本ポリエチレン社製ノバテックC6 SF941(MFR 2.0g/10min、密度 0.936g/cm
3)
A−2:日本ポリエチレン社製ノバテックHD HM160(MFR 5.0g/10min、密度 0.953g/cm
3)
(2)成分(B):エチレン・α−オレフィン共重合体
成分(B)として、メタロセン触媒で製造された、次の樹脂を用いた。表1に示す。
B−1:日本ポリエチレン社製ハーモレックス NF324A(MFR 1.0g/10min、密度 0.906g/cm
3)
(3)成分(C):高圧法低密度ポリエチレン
成分(C)として、市販品である次の樹脂を用いた。表1に示す。
C−1:日本ポリエチレン社製ノバテックLD LM360(MFR 0.9g/10min、密度 0.928g/cm
3)
【0081】
【表1】
【0082】
[実施例1]
第1層に、(A−1)90重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層Iを用い、第2層には、(A−1)9重量%、(B−1)81重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層II用い、第3層には、(A−1)49.5重量%、(B−1)40.5重量%、(C−1)10重量%からなるエチレン系樹脂層III用いた。
これら各層の樹脂材料を、上記プラコー社製3種3層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って厚さ250μmの積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。
【0083】
[実施例2]
第2層に、(A−1)18重量%、(B−1)72重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層IIを用いた以外は、実施例1と同様に積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。
【0084】
[実施例3]
第2層に、(A−1)27重量%、(B−1)63重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層IIを用いた以外は、実施例1と同様に積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。
【0085】
[比較例1]
第1層に、(A−2)90重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層Iを用い、第3層には、(A−2)49.5重量%、(B−1)40.5重量%、(C−1)10重量%に用いた以外は、実施例1と同様に積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、加熱加圧滅菌処理前及び加熱加圧滅菌処理後のGLOSSが低くなり、光学的特性が低下する。
【0086】
[比較例2]
第1層に、(A−2)90重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層Iを用い、第3層には、(A−2)49.5重量%、(B−1)40.5重量%、(C−1)10重量%に用いた以外は、実施例2と同様に積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、加熱加圧滅菌処理前及び加熱加圧滅菌処理後のGLOSSが低くなり、光学的特性が低下する。
【0087】
[比較例3]
第1層に、(A−2)90重量%、(C−1)10重量%を配合したエチレン系樹脂層Iを用い、第3層には、(A−2)49.5重量%、(B−1)40.5重量%、(C−1)10重量%に用いた以外は、実施例3と同様に積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。
このものは、加熱加圧滅菌処理前及び加熱加圧滅菌処理後のGLOSSが低くなり、光学的特性が低下する。
【0088】
[比較例4]
第1層に、(A−2)100重量%を配合したエチレン系樹脂層Iを用い、第2層には、(B−1)90重量%、(C−1)10重量%、第3層に、(A−2)100重量%に配合したエチレン系樹脂層III用いた。
これら各層の樹脂材料を、上記プラコー社製3種3層水冷インフレーション成形機に各々セットし、上記条件で水冷インフレーション成形を行って厚さ250μmの積層体を得て、評価を行った。結果を表2に示す。当該フィルムのみ、加熱加圧滅菌処理の条件を115℃とした。
このものは、加熱加圧滅菌処理前及び加熱加圧滅菌処理後のGLOSSが低くなり、光学的特性が低下する。
【0089】
【表2】