特許第6771811号(P6771811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771811
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】光学ガラス、プリフォーム及び光学素子
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/068 20060101AFI20201012BHJP
   C03C 3/15 20060101ALI20201012BHJP
   C03C 3/155 20060101ALI20201012BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   C03C3/068
   C03C3/15
   C03C3/155
   G02B1/00
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-207389(P2015-207389)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-88839(P2016-88839A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2018年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-219973(P2014-219973)
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000128784
【氏名又は名称】株式会社オハラ
(72)【発明者】
【氏名】岩▲さき▼ 菜那
【審査官】 有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−306717(JP,A)
【文献】 特開昭55−121925(JP,A)
【文献】 特開昭61−168551(JP,A)
【文献】 特開2013−014454(JP,A)
【文献】 特開2009−203083(JP,A)
【文献】 特開2006−137662(JP,A)
【文献】 特開2012−250900(JP,A)
【文献】 特開2012−025649(JP,A)
【文献】 特開2012−197211(JP,A)
【文献】 特表2009−537427(JP,A)
【文献】 特開2005−047732(JP,A)
【文献】 特開2010−202508(JP,A)
【文献】 特開2003−021701(JP,A)
【文献】 特開2005−239544(JP,A)
【文献】 特開2000−159537(JP,A)
【文献】 特開2008−001551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
G02B 1/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、B成分を15.0〜28.0%、
La成分を20.0%〜45
.0%含有し、
TiO成分の含有量が15.0%以下、
ZrO成分の含有量が9.0%以下

Nb成分の含有量が5.0%以下、
WO成分の含有量が5.0%以下であり、

質量和で、(Nb+WO+TiO)が0%超〜12.5%
質量比(Nb+WO)/(La+Gd+Ta)が0.1以下であり、

(La+Gd+Ta)が25.0〜41.89%であり、
30〜45のアッベ数(νd)と1.75以上の屈折率(n)と、4.80以下の比重を有し、
分光透過率が70%を示す波長(λ70)が430nm以下であることを特徴とする光学ガラス。
【請求項2】
質量%でGd成分 0〜20.0%
成分 0〜20.0% Yb成分 0〜10.0% Lu成分 0〜5.0%
Ta成分 0〜5.0% である請求項1記載の光学ガラス。
【請求項3】
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以
上)の質量和が15.0%以上60.0%以下である請求項1又は2記載の光学ガラス。
【請求項4】
質量%でSiO成分 0〜15.0%
である請求項1からのいずれか記載の光学ガラス。
【請求項5】
質量%でCaO成分 0〜15.0% BaO成分 0〜15.0%
MgO成分 0〜10.0% SrO成分 0〜10.0% ZnO成分 0〜25.0% である請求項1からのいずれか記載の光学ガラス。
【請求項6】

RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の
質量和が30.0%以下である請求項1からのいずれか記載の光学ガラス。
【請求項7】
質量%でLiO成分 0〜5.0%
NaO成分 0〜5.0% KO成分 0〜5.0% である請求項1からのいずれか記載の光学ガラス。
【請求項8】
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が5.0%以下である請求項1からのいずれか記載の光学ガラス。
【請求項9】
質量%で P成分 0〜10.0%
GeO成分 0〜10.0% Bi成分 0〜10.0% TeO成分 0〜5.0%
Al成分 0〜5.0% Ga成分 0〜5.0% SnO成分 0〜3.0%
Sb成分 0〜3.0% である請求項1からのいずれか記載の光学ガラス。
【請求項10】
請求項1からのいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器や、プロジェクタやプロジェクションテレビ等の画像再生(投影)機器等の各種光学機器の分野では、光学系で用いられるレンズやプリズム等の光学素子の枚数を削減し、光学系全体を軽量化及び小型化する要求が強まっている。
【0003】
光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学系全体の軽量化及び小型化を図ることが可能な、1.75以上の屈折率(n)を有し、30以上40以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率低分散ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率低分散ガラスとしては、特許文献1〜3に代表されるようなガラス組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭52−103412号公報
【特許文献2】特開2008−120677号公報
【特許文献3】特開2014−047099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学ガラスの材料コストを低減するために、光学ガラスの原料はなるべく安価であることが望まれる。ところが、特許文献1〜3に記載されたガラス組成物は、原料が高価な成分であるTa成分を極力少なく含有していたとしても、その一方でNb成分、WO並びに、Gd成分やYb成分等の希土類成分を多量に含んでおり、依然として高価な原料を含んでいるため、こうした要求に十分応えるものとは言い難い。
【0006】
また、これらの高価な成分の代わりに、TiO2成分のような比較的安価な高屈折率成分を多く含有させて、所望の屈折率等の光学特性を得ることも考えられる。しかし、このような安価な高屈折率成分を多く含有するガラスは着色していることが多く、可視光を透過させるレンズやプリズム等の光学素子の用途に用いるには好適でない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、且つ光学機器の軽量化に寄与しうる安定である光学素子に好適な光学ガラスを、より安価に得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、B成分及びLa成分を含有するガラスに対して、Nb成分を5.0%以下、及びWO成分を5.0%以下にした場合であっても、高価な原材料であるNb成分やWO成分を極力含有させずに、所望の屈折率及びアッベ数が維持され、且つガラスの比重が小さくなることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) 質量%で、B成分を15.0〜35.0%、La成分を20.0%〜60.0%含有し、Nb成分の含有量が5.0%以下、WO成分の含有量が5.0%以下であり、1.75以上の屈折率(n)と、4.80以下の比重を有することを特徴とする光学ガラス。
【0010】
(2) 質量和で、(La+Gd+Ta)が25.0〜60.0%であることを特徴とする(1)記載の光学ガラス。
【0011】
(3) 質量比で、(Nb+WO)/(La+Gd+Ta)が0.25以下であることを特徴とする(1)又は(2)記載の光学ガラス。
【0012】
(4) 質量比で、ZnO/BaOが0超〜5.0以下であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
【0013】
(5)質量和で、(Nb+WO+TiO)が0超〜20.0%であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
【0014】
(6) 質量%で
Gd成分 0〜20.0%
成分 0〜20.0%
Yb成分 0〜10.0%
Lu成分 0〜5.0%
Ta成分 0〜5.0%
である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
【0015】
(7) Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が15.0%以上60.0%以下である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
【0016】
(8) 質量%で
SiO成分 0〜15.0%
TiO成分 0〜20.0%
ZrO成分 0〜10.0%
である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
【0017】
(9) 質量%で
CaO成分 0〜15.0%
BaO成分 0〜15.0%
MgO成分 0〜10.0%
SrO成分 0〜10.0%
ZnO成分 0〜25.0%
である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
【0018】
(10) RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が30.0%以下である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
【0019】
(11) 質量%で
LiO成分 0〜5.0%
NaO成分 0〜5.0%
O成分 0〜5.0%
である(1)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
【0020】
(12) RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が5.0%以下である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
【0021】
(13) 質量%で
成分 0〜10.0%
GeO成分 0〜10.0%
Bi成分 0〜10.0%
TeO成分 0〜5.0%
Al成分 0〜5.0%
Ga成分 0〜5.0%
SnO成分 0〜3.0%
Sb成分 0〜3.0%
である(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
【0022】
(14) 30〜45のアッベ数(νd)を有する(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
【0023】
(15)分光透過率が70%を示す波長(λ70)が450nm以下である(1)から(14)のいずれか記載の光学ガラス。
【0024】
(16) (1)から(15)のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
【0025】
(17) (1)から(15)のいずれか記載の光学ガラスを研削及び/又は研磨してなる光学素子。
【0026】
(18) (16)の記載のプリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、且つ光学機器の軽量化に寄与しうる安定である光学素子に好適な光学ガラスを、より安価に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でB成分を15.0〜35.0%、La成分を20.0〜60.0%含有し、Nb成分の含有量が5.0%以下、WO成分の含有量が5.0%以下であり、1.75以上の屈折率(n)と、4.5以下の比重を有する。B成分及びLa成分を含有するガラスに対して、高価な原材料であるNb成分やWO成分を極力含有させなくても、1.75以上の屈折率(n)を有し、且つ比重が4.5以下の光学ガラスを得ることができ、また、より安価な光学ガラスを提供することが可能となる。
【0029】
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
【0030】
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
【0031】
<必須成分、任意成分について>
成分は、ガラス形成成分であり、本発明の光学ガラスに必須の成分である。
特に、B成分を15.0%以上含有することで、比重を小さくしつつ、安定なガラスの形成を促して失透を低減し、且つガラスの熱的安定性を高めることができる。従って、B成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは17.0%、さらに好ましくは20.0%を下限とする。
一方、B成分の含有量を35.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑え、且つ化学的耐久性の悪化を抑えることができる。従って、B成分の含有量は、好ましくは35.0%、より好ましくは33.0%、さらに好ましくは28.0%を上限とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
【0032】
La成分は、20.0%以上含有することで、ガラスの屈折率及びアッベ数を高める成分である。また、希土類元素の中では比較的安価であり、ガラスの材料コストの上昇を抑えるのに有効な成分である。そのため、La成分は、本発明の光学ガラスに含めるべき成分である。従って、La成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは30.0%、さらに好ましくは33.0%を下限とする。
一方、La成分の含有量を60.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減できる。従って、La成分の含有量は、好ましくは60.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは45.0%を上限とする。
La成分は、原料としてLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いることができる。
【0033】
Nb成分は、含有量を5.0%以下にすることで、高価なNb成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、ガラス製造時の溶解温度の上昇が抑えられるため、ガラスの製造コストも低減できる。また、Nb成分によるガラスの可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
【0034】
WO成分は、含有量を5.0%以下にすることで、高価なWO成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、WO成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高め、さらに比重を小さくすることができる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
WO成分は、原料としてWO等を用いてガラス内に含有できる。
【0035】
本発明の光学ガラスにおける、La成分、Gd成分及びTa成分の合計量は、25.0%以上60.0%以下であることが好ましい。特に質量和(La+Gd+Ta)を25.0%以上とすることにより、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得ることができ、ガラスを安定して取得できる。従って、質量和は、好ましくは25.0%を下限とし、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは35.0%を下限とする。
一方、質量和(La+Gd+Ta)を60.0%以下とすることで、材料コストを低減することができる。従って、質量和(La+Gd+Ta)は、好ましくは60.0%、より好ましくは55.0%、さらに好ましくは50.0%、最も好ましくは45.0%を上限とする。
【0036】
本発明の光学ガラスにおける、La成分、Gd成分及びTa成分に対するNb成分及びWO成分の含有量の比率(質量比)は、0.25以下が好ましい。これにより、所望の屈折率及びアッベ数を有するガラスを得つつも、比重を小さくでき、また、NbやWOなどによって高まる原料のコストを低減することができる。従って、質量比(Nb+WO)/(La+Gd+Ta)は、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.10以下、最も好ましくは0.05以下とする。
【0037】
本発明の光学ガラスにおける、BaO成分に対するZnO成分の含有量の比率(質量比)は、0超5.0以下が好ましい。(ZnO)/(BaO)の質量比を0超とすることにより、ガラス成形時の安定性を高めることができる。従って、この質量比は、好ましくは0超、より好ましくは0.1、さらに好ましくは0.5超を下限としてもよい。
一方、(ZnO)/(BaO)の質量比は、5.0以下とすることで、ガラスの比重を小さくすることができる。従って、この質量比は、好ましくは5.0、より好ましくは4.9、さらに好ましくは4.8を上限とする。
【0038】
本発明の光学ガラスにおける、Nb成分、WO成分及びTiO成分の合計量は、0%超にする場合に、高屈折率及び高分散へと調整できるため、所望の光学定数を得やすくすることができる。従って、質量和(Nb+WO+TiO)は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは6.0%を下限としてもよい。
一方、質量和(Nb+WO+TiO)を20.0%以下とすることで、ガラスの着色を低減し、ガラスの可視光透過率を高めることができる。従って、質量和(Nb+WO+TiO)は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは12.5%を上限とする。
【0039】
Gd成分、Y成分、Yb及びLu成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高め、且つ失透を低減する任意成分である。
一方で、Gd成分、Y成分の含有量を各々20.0%以下にすること、Yb成分の含有量を10.0%以下にすること、また、Lu成分の含有量を5.0%以下とすることで、これら高価な成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、これら成分の過剰な含有によるガラスのアッベ数の必要以上の上昇や、失透を抑えることができる。従って、Gd成分、Y成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とし、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。また、Yb成分の含有量は、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。また、Lu成分の含有量は、好ましくは5.0%を上限とし、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Gd成分、Y成分、Yb及びLu成分は、原料としてGd、GdF、Y、YF、Yb、Lu等を用いてガラス内に含有できる。
【0040】
Ta成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、且つ失透を低減する任意成分である。
一方で、Ta成分の含有量を5.0%以下にすることで、高価なTa成分の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。また、Ta成分の使用の低減により、原料の溶解温度が低くなり、原料の溶解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストをも低減できる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.1%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
Ta成分は、原料としてTa等を用いてガラス内に含有できる。
【0041】
本発明の光学ガラスにおける、Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の合計量は、15.0%以上60.0%以下であることが好ましい。
特に、この合計量を15.0%以上にすることで、ガラスのアッベ数を高めることができる。従って、Ln成分の合計量(質量和)は、好ましくは15.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは25.0%、最も好ましくは30.0%を下限とする。
一方、この合計量を60.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減しながらも、高価な希土類の使用が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは60.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは45.0%を上限とする。
【0042】
SiO成分は、0%超含有する場合に、比重を小さくしつつ、ガラスの粘度を高められ、且つガラスの失透を低減できる任意成分である。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは1.0%超、より好ましくは2.0%超、さらに好ましくは4.0%超としてもよい。
一方で、SiO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラス転移点の上昇を抑え、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有できる。
【0043】
TiO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高くでき、且つアッベ数を低く調整できる任意成分である。そのため、TiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは5.0%を下限としてもよい。
一方で、TiO成分の含有量を20.0%以下にすることで、TiO成分が結晶核になることによるガラスの失透を抑制し、アッベ数の必要以上の低下を抑え、且つTiO成分の含有によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高めることができる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは12.0%を上限とする。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いてガラス内に含有できる。
【0044】
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの高屈折率及び低分散に寄与でき、且つガラスの失透を低減できる任意成分である。そのため、ZrO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超、最も好ましくは3.0%超としてもよい。
一方で、ZrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラス製造時の溶解温度の上昇を抑えることでガラスの製造コストの上昇を抑えられる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
【0045】
CaO成分、BaO成分、MgO成分及びSrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を調整し、ガラス原料の溶解性を高め、且つ失透を低減できる任意成分である。
一方で、CaO成分、BaO成分の含有量を各々15.0%以下にすること、また、MgO成分、SrO成分の含有量を各々10.0%以下とすることで、ガラスの屈折率の必要以上の低下や、失透を抑えることができる。CaO成分、BaO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。また、MgO成分、SrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。特に、BaO成分及びSrO成分のうち少なくともいずれかについては、比重を小さくすることができるため、好ましくは0%超、より好ましくは1%、さらに好ましくは2%を下限として含有してもよい。
MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分は、原料としてMgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いることができる。
【0046】
ZnO成分は、本発明の屈折率及びアッベ数の範囲では、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を調整し、ガラス原料の溶解性を高め、且つ失透を低減できる任意成分である。そのため、ZnO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%超としてもよい。
一方で、ZnO成分の含有量を25.0%以下にすることで、比重が大きくなることを抑えつつ、ZnO成分の過剰な含有による失透を抑えることができる。また、溶融ガラスの粘性の低下が抑えられることで、ガラスへの脈理の発生を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは15.0%を上限とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
【0047】
本発明の光学ガラスでは、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の合計量は30.0%以下が好ましい。これにより、RO成分の過剰な含有による、ガラスの屈折率の低下や、液相温度の上昇を抑えることができ、比重を小さくすることができる。従って、RO成分の合計量(質量和)は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは15.0%を上限とする。
一方で、RO成分の質量和は、ガラス原料の溶解性を高め、且つ失透を低減する観点から、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上としてもよい。
【0048】
LiO成分は、0%超含有する場合に、ガラス原料の溶解性を改善し、且つガラスを再加熱したときの失透を低減でき、比重を小さくできる任意成分である。
一方で、LiO成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つLiO成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。特に、LiO成分を含むガラスは、屈折率が低くなり易く、アッベ数が高くなり易い。従って、LiO成分の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とし、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.35%未満、さらに好ましくは0.3%未満とする。
LiO成分は、原料としてLiCO、LiNO、LiF等を用いることができる。
【0049】
NaO成分、KO成分及びCsO成分は、0%超含有する場合に、ガラス原料の溶解性を改善し、且つガラスを再加熱したときの失透を低減でき、比重を小さくできる任意成分である。
一方で、これら成分の各々の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つこれら成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、NaO成分、KO成分及びCsO成分の各々の含有量は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
NaO成分、KO成分及びCsO成分は、原料としてNaNO、NaF、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF、CsCO、CsNO等を用いることができる。
【0050】
本発明の光学ガラスでは、RnO成分(式中、RnはLi、Na、K及びCsからなる群より選択される1種以上)の合計量は5.0%以下が好ましい。これにより、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つRnO成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、RnO成分の合計量(質量和)は、好ましくは5.0%、より好ましくは3.0%を上限とし、さらに好ましくは1.0%未満とする。
【0051】
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの液相温度を下げて失透を低減できる任意成分である。
一方で、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
【0052】
GeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、ガラスの液相温度を下げられる任意成分である。
一方で、高価なGeO成分を低減することで、本発明におけるガラスの材料コストを低減できる効果を高められる。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
【0053】
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高め、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。
一方で、Bi成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減し且つガラスの着色を低減することで、ガラスの可視光透過率を高めることができる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
【0054】
TeO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められ、且つガラス転移点を低くできる任意成分である。
一方で、TeO成分の含有量を5.0%以下にすることで、TeO成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、溶解設備の長寿命化を図ることができる。また、高価なTeO成分を低減することで、ガラスの材料コストを低減できる。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは5.0%を上限とし、より好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
【0055】
Al成分及びGa成分は、0%超含有する場合に、ガラスの化学的耐久性を高められ、且つガラス原料溶解時の失透を低減できる任意成分である。特に、Al成分は0%超含有する場合に、ガラス成形時の安定性を高めることができる。従って、Al成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%超を下限としてもよい。
一方で、Al成分及びGa成分の各々の含有量を5.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減することができる。また、高価なGa成分を低減することで、ガラスの材料コストを低減できる。従って、Al成分及びGa成分の各々の含有量は、好ましくは5.0%を上限とし、より好ましくは3.0%未満とし、さらに好ましくは2.0%未満とする。
Al成分及びGa成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF、Ga、Ga(OH)等を用いることができる。
【0056】
SnO成分は、0%超含有する場合に、溶融ガラスを清澄でき、且つガラスの可視光透過率を高められる任意成分である。
一方で、SnO成分の含有量を3.0%以下にすることで、溶融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を生じ難くすることができる。また、SnO成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、溶解設備の長寿命化を図ることができる。従って、SnO成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.5%を上限とする。
SnO成分は、原料としてSnO、SnO、SnF、SnF等を用いることができる。
【0057】
Sb成分は、0%超含有する場合に、ガラスの可視光透過率を高め、且つガラス原料を溶解する際に脱泡できる任意成分である。
一方で、Sb成分の含有量を3.0%以下にすることで、ガラス原料溶解時における過度の発泡を抑えられる。また、Sb成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くなることで、溶解設備の長寿命化を図れる。また、Sb成分の含有量が多すぎると、ガラスの可視光透過率がかえって低くなる。従って、Sb成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは2.0%を上限とし、さらに好ましくは1.0%未満、最も好ましくは0.5%未満とする。
Sb成分は、原料としてSb、Sb、NaSb・5HO等を用いることができる。
【0058】
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤、脱泡剤或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
【0059】
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
【0060】
他の成分を、本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。ただし、Ce、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じることで、本願発明の可視光透過率を高める効果を減殺する性質があるため、特に可視領域の波長を透過させる光学ガラスでは、実質的に含まないことが好ましい。
【0061】
さらに、PbO等の鉛化合物、及び、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄できる。
【0062】
本発明における各成分の含有量の範囲は、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
成分 5.0〜70.0モル%、
La成分 3.0〜40.0モル%、及び
Nb成分 0〜20.0モル%、
WO成分 0〜25.0モル%、
並びに
Gd成分 0〜10.0モル%、
成分 0〜10.0モル%、
Yb成分 0〜10.0モル%、
Lu成分 0〜5.0モル%、
Ta成分 0〜10.0モル%、
SiO成分 0〜30.0モル%、
TiO成分 0〜40.0モル%、
ZrO成分 0〜30.0モル%、
CaO成分 0〜40.0モル%、
BaO成分 0〜35.0モル%、
MgO成分 0〜20.0モル%、
SrO成分 0〜20.0モル%、
ZnO成分 0〜60.0モル%
LiO成分 0〜30.0モル%、
NaO成分 0〜25.0モル%、
O成分 0〜20.0モル%、
CsO成分 0〜10.0モル%、
成分 0〜15.0モル%、
GeO成分 0〜10.0モル%、
Bi成分 0〜5.0モル%、
TeO成分 0〜25.0モル%、
Al成分 0〜15.0モル%、
Ga成分 0〜5.0モル%、
SnO成分 0〜0.3モル%又は
Sb成分 0〜1.0モル%
【0063】
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶解難易度に応じて電気炉で1200〜1400℃の温度範囲で3〜4時間溶解し、攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
【0064】
[物性]
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.75、より好ましくは1.78、さらに好ましくは1.80を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは1.95、より好ましくは1.90、さらに好ましくは1.88であってもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは30、より好ましくは33、さらに好ましくは35を下限とし、好ましくは45、より好ましくは43、さらに好ましくは40、最も好ましくは39.5を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズであっても光の波長による焦点のずれ(色収差)が小さくなる。加えて、このような低分散を有することで、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせた場合に、高い結像特性等を図ることができる。
従って、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
【0065】
また、本発明の光学ガラスは、比重が小さいことが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの比重は4.80以下である。これにより、光学素子やそれを用いた光学機器の質量が低減されるため、光学機器の軽量化に寄与することができる。従って、本発明の光学ガラスの比重は、好ましくは4.80、より好ましくは4.60、好ましくは4.30を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの比重は、概ね3.00以上、より詳細には3.50以上、さらに詳細には4.00以上であることが多い。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
【0066】
本発明の光学ガラスは、可視光透過率、特に可視光のうち短波長側の光の透過率が高く、それにより着色が少ないことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは360nmを上限としてもよい。また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す最も短い波長(λ70)は、好ましくは450nm、より好ましくは430nm、さらに好ましくは400nmを上限としてもよく、また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す最も短い波長(λ80)は、好ましくは500nm、より好ましくは490nm、さらに好ましくは480nmを上限としてもよい。これらにより、ガラスの吸収端が可視領域から外れ、より幅広い可視域の波長の光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスをレンズ等の可視光を透過させる光学素子に好適に用いることができる。
【0067】
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスから形成されたゴブやガラスブロックに対して研削及び研磨を行って光学素子の形状を得る方法、光学ガラスから形成されたゴブやガラスブロックを再加熱して成形(リヒートプレス成形)して得られたガラス成形体を研削及び研磨する方法、及び、ゴブやガラスブロックを切断して研磨したプリフォーム材、若しくは公知の浮上成形等により成形されたプリフォーム材を超精密加工された金型で成形(精密プレス成形)して光学素子の形状を得る方法により、ガラス成形体を作製することができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
【0068】
このようにして作製されるガラス成形体は、様々な光学素子及び光学設計に有用である。特に、本発明の光学ガラスから、精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム、ミラー等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等のような光学素子に可視光を透過させる光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性等を実現しつつ、これら光学機器における光学系の小型化を図ることができる。
【実施例】
【0069】
本発明の実施例(No.1〜No.8)及び比較例(No.A)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、比重、並びに分光透過率が5%、70%、80%を示す波長(λ、λ70、λ80)の結果を表1及び表2に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
【0070】
これら実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1及び表2に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶解難易度に応じて電気炉で1100〜1500℃の温度範囲で2〜5時間溶解した後、攪拌均質化して泡切れ等を行ってから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
【0071】
ここで、実施例及び比較例のガラスの屈折率及びアッベ数は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01−2003に基づいて測定した。なお、本測定に用いたガラスとして、アニール条件を徐冷降下速度を−25℃/hrとして、徐冷炉で処理を行ったガラスを用いた。
【0072】
また、実施例及び比較例のガラスの比重は、JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に準じて測定した。
【0073】
また、実施例及び比較例のガラスの可視光透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)、λ70(透過率70%時の波長)及びλ80(透過率80%時の波長)を求めた。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
本発明の実施例の光学ガラスは、比重が4.80以下、より詳細には4.50以下であった。一方、比較例Aのガラスは、比重が4.80を超えていた。このため、本発明の実施例の光学ガラスは比較例のガラスに比べて比重が小さいことが明らかになった。
【0077】
本発明の実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも500nm以下、より詳細には480nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ70(透過率70%時の波長)がいずれも450nm以下、より詳細には430nm以下であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも400nm以下、より詳細には380nm以下であった。
【0078】
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.75以上、より詳細には1.80以上であり、所望の範囲内であった。
【0079】
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が30以上、より詳細には35以上であるとともに、このアッベ数(ν)は40以下、より詳細には39.5以下であり、所望の範囲内であった。
【0080】
また、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べてNb成分及びWOの含有量が少ないため、材料コストが低減されている。
【0081】
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら安価に作製でき、比重が小さく、且つ着色が少なく可視光透過率が高いことが明らかになった。そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、光学機器の軽量化に寄与し、且つ可視光を透過させる用途に好適に用いられることが推察される。
【0082】
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、リヒートプレス成形を行った後で研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームをレンズ及びプリズムの形状に精密プレス成形加工した。いずれの場合も、成形型との融着の問題や、加熱軟化後のガラスへの乳白化及び失透等の問題は生じず、安定に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
【0083】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。