特許第6771822号(P6771822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771822
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】取付ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20201012BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20201012BHJP
   F16B 37/04 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H05K7/18 L
   F16B5/02 U
   F16B37/04 L
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-181820(P2016-181820)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-46239(P2018-46239A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 健
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−052599(JP,A)
【文献】 特開2012−021593(JP,A)
【文献】 特開2013−124766(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/151567(WO,A1)
【文献】 特開2014−027082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
F16B 5/02
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気電子機器収納用キャビネット内に配置したマウント部材の機器取付爪部を引っ掛けて取り付けられる固定部材に対してねじ止めする固定部を備えた取付ユニットであって、
固定部は、マウント部材と密着可能な当接面を備え、固定部設けたねじ取付穴の周囲を当接面より窪ませて凹部を形成することにより、機器取付に挿入される固定部材の爪部を収納可能な空間を形成する収納空間形成部を設けたことを特徴とする取付ユニット。
【請求項2】
ねじ取付穴は当接面の側端まで切欠かれた形状である請求項1に記載の取付ユニット。
【請求項3】
平面視L字形状の連結部材を備え、前記連結部材に固定部を備えた請求項1又は2に記載の取付ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウント部材に取り付けられる取付ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、ラックなどの電気機器収納用箱に備えられたマウント部材に、機器ユニットなどの取付ユニットを取り付ける際、爪部を有したケースの中にナット部材を保持したケージナットといわれる固定部材が用いられることは知られている。より具体的には、マウントアングルに取り付けたケージナットに対して、機器ユニットの取付穴の位置を合わせ、ねじ止めすることで、機器ユニットをマウントアングルに固定することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−21593号公報
【0004】
ところで、図8に示すように、ケージナット103はマウントアングル102に設けられた機器取付穴にケージナット103の爪部131を引っ掛けることで、マウントアングル102に取り付けられる。このときケージナット103の爪部131がマウントアングル102の取付面から飛び出すように位置するため、取付ユニット101とマウントアングル102との間に隙間10Sが生じてしまい、ボルト142でねじ止めしてもガタツキが生じる虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、マウント部材の機器取付穴に爪部を引っ掛けて取り付けられた固定部材に対してねじ止めしても、マウント部材に対してガタツキなく取り付け可能な取付ユニットにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、次のような手段を採用する。第一の手段は、電気電子機器収納用キャビネット内に配置したマウント部材の機器取付爪部を引っ掛けて取り付けられる固定部材に対してねじ止めする固定部を備えた取付ユニットであって、固定部は、マウント部材と密着可能な当接面を備え、固定部設けたねじ取付穴の周囲を当接面より窪ませて凹部を形成することにより、機器取付に挿入される固定部材の爪部を収納可能な空間を形成する収納空間形成部を設けたことを特徴とする取付ユニットである。
【0007】
第一の手段において、ねじ取付穴は当接面の側端まで切欠かれた形状であることが好ましい。
【0008】
第一の手段において、平面視L字形状の連結部材を備え、前記連結部材に固定部を備えた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、マウント部材の機器取付穴に爪部を引っ掛けて取り付けられた固定部材に対してねじ止めしても、マウント部材に対してガタツキなく取り付け可能な取付ユニットにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態の取付ユニットをマウント部材に取り付けた状態を示した斜視図である。
図2】取付ユニットをマウント部材に取り付ける直前の状態を示した斜視図である。
図3図1のIII−III矢視図である。
図4図3の固定部周りの部分拡大図である。
図5】第一実施形態の連結部材の斜視図である。
図6】第二実施形態の固定部周りの部分拡大図である。
図7】第二実施形態の連結部材の斜視図である。
図8】従来の取付構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1に示すように、本実施形態の取付ユニット1は、連結部材12を備えたケーブルダクト11である。この取付ユニット1は、図2に示すような状態からマウント部材2に対してボルト42でねじ固定されるものである。ねじ固定されると、取付ユニット1とマウント部材2は図3に示すような状態で固定される。具体的には、図2及び図4に示すことから理解されるように、本実施形態の取付ユニット1は、マウント部材2の機器取付穴21に爪部31を引っ掛けて取り付けられる固定部材3に対して、固定部13をねじ止めすることで、マウント部材2に取り付けられるものである。この取付ユニット1は、固定部材3の爪部31を収納可能な空間を形成する収納空間形成部5を、マウント部材2と当接する固定部13の当接面14側に設けている。したがって、マウント部材2の機器取付穴21に爪部31を引っ掛けて取り付けられた固定部材3に対して取付ユニット1をねじ止めした際であっても、マウント部材2に対してガタツキなく取り付けることが可能となる。その結果、ガタツキによって生じる輸送時の取付ユニット固定用のねじの緩みや脱落、取付ユニット1への傷の発生を防ぐことができる。
【0012】
本実施形態であると、固定部材3の爪部31の存在に関わらず、マウント部材2と取付ユニット1が接触し、図8に示すような、取付ユニット101とマウントアングル102との間の隙間10Sを無くすことが可能となるため、取付ユニット1のガタツキが抑制され、取付ユニット1の固定が安定する。本実施形態では、収納空間形成部5として、当接面14のねじ取付穴15の周囲に凹部16を設けている。このため、取付ユニット1の取付時に固定部材3の爪部31が凹部16に嵌りこみ、当面14とマウント部材2とが密着する。したがって、取付ユニット1を取り付ける際の位置決めが容易となる。
【0013】
収納空間形成部5として設けた凹部16は、当接面14の厚さを変化させず、ねじ取付穴15の周囲を窪ませることで、形成しても良いが、マウント部材2と当接する固定部13の当接面14側のねじ取付穴15の周囲に、他の当接面14よりも厚さが薄い部位を設けて形成することが好ましい。
【0014】
図5に示すように、本実施形態の凹部16の形状は、ねじ取付穴15を囲うように形成している。ただし、凹部16の形状は固定部材3の爪部31を回避できる形状であればよいため、ねじ取付穴15の周囲全てに凹部16を形成する必要はなく、固定部材3の爪部31と接触する位置の周囲にのみ凹部16を形成してもよい。
【0015】
凹部16の深さについては、マウント部材2から突出する固定部材3の爪部31の長さと同じ、若しくは、爪部31の長さよりも深いことが好ましい。凹部16の深さはマウント部材2から突出している固定部材3の爪部31の長さ以上であればよいため、ねじ取付穴15の一部を切欠くことで、固定部13の前面と背面を貫通する切欠きとしてもよい。固定部13の前面と背面を貫通する凹部16の場合には、ねじ取付穴15にボルト42などのねじを挿入し、取付ユニット1を固定することができる限り、形状、位置は種々のものを採用することが可能である。
【0016】
本実施形態のねじ取付穴15は、当接面14の側端まで切欠いた形状である。このような形状であると、片側のねじを仮止めし、そのねじにねじ取付穴15を引っ掛けた状態で、もう片方のねじを止めることができるため、取付ユニット1を固定する際の作業性が良い。
【0017】
次に第二の実施形態について説明する。図6及び図7に示すように、本実施形態では、固定部材3の爪部31を収納可能な空間を形成する収納空間形成部5として、当接面14側に突起部17を設けている。突起部17の形状については、円形状でも、四角形状でも、それ以外の形状でもよい。
【0018】
突起部17の大きさは、その機能を満たす範囲でどのような大きさでも構わない。但し、取付ユニット1が固定されるマウント部材2には、上下方向に機器取付穴21が複数設けられているため、突起部17の大きさが機器取付穴21よりも小さい場合には、突起部17が機器取付ユニット1に吸収されてしまい、ケーブルナット爪部31と取付ユニット1との接触を回避できなくなることも考えられる。このため、突起部17の上下方向、左右方向の一方向の大きさは、機器取付穴21よりも大きい方が好ましい。
【0019】
突起部17を設ける位置は限定されないが、ねじ取付穴15を基準として上下左右方向に同数の突起部17を設ける方が良い。さらには、対称の位置に複数設けられることが好ましい。
【0020】
また、マウント部材2の機器取付穴21同士の間に設けられている渡り部22に突起部17が当接するように設けることが好ましい。ねじ取付穴15近傍に突起部17を設けるよりも、遠隔に突起部17を設ける方が、取付ユニット101とマウントアングル102との間に生じる隙間10Sを小さくすることができ、取付ユニット1を固定したときのガタツキを抑えることができるため、好ましい。
【0021】
突起部17の高さは、固定部材3の爪部31がマウント部材2から突出する高さ以上とすることが考えられるが、爪部31がマウント部材2から突出する高さと突起部17の高さを同程度にすれば、突起部17と爪部31とで、固定部13が支持されるため、取付ユニット1の固定がより安定する。
【0022】
以上、二つの実施形態を中心に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、取付ユニットは、ケーブルダクトに限定される必要は無く、電気機器収納用箱内でマウントアングルなどのマウント部材に固定部材を介して取り付けられるものであればよい。
【0023】
固定部材はケージナットに限ることは無く、マウント部材の機器取付穴に爪部を引っ掛けることで取り付けられるナット部材であればよい。
【0024】
ねじ取付穴の形状については、実施形態と同様なものにする必要性は無く、ねじの首下が挿入される円形状の穴とすることも、四角など別の形状とすることも可能である。
【0025】
連結部材は、平面視L字形状とする必要は無く、種々の形態とすることが可能である。また、取付ユニットは連結部材を備えている必要は無く、固定部を本体と一体的に構成することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 取付ユニット
2 マウント部材
3 固定部材
13 固定部
14 当接面
15 ねじ取付穴
16 凹部
17 突起部
21 機器取付穴
31 爪部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8