【実施例1】
【0015】
本発明に係る自動車の車両用サンシェード固定構造の一実施形態であるサンシェード固定構造100について図面を用いて説明する。なお、サンシェード固定構造100は、一般的な乗用車のサンシェードを有する後部ドアに用いられる。
【0016】
1.後部ドアDの構成
サンシェード固定構造100が配置される後部ドアDについて、
図1を用いて説明する。
図1に、遮光シートSA1(後述)が展開状態で固定された後部ドアDを車両内側から見た状態を示す。後部ドアDは、ドアパネルDP、ドアガラスDG、ドアガラス駆動装置GD(図示せず)、ドアトリムDT、及び、サンシェードアッセンブリSAを有している。ドアパネルDPは、金属製のドアインナパネルと、樹脂製のドアトリムDTとを組み合わせて形成される。ドアパネルDPは、上部に窓用開口WAを有している。ドアガラスDGは、窓用開口WA内を上下に移動し、窓用開口WAを閉塞又は開放する。ドアガラス駆動装置GDは、外部からの操作命令によって、ドアガラスDGを窓用開口WA内で上下方向に移動させる。なお、ドアガラス駆動装置GDは、ドアパネルDPとドアトリムDTとの間に配置される。
【0017】
ドアトリムDTは、ドアパネルDPにおいて、車両内側に取り付けられる。ドアトリムDTは、樹脂により成形されており、いわゆる内張として機能する。ドアトリムDTの構造について、
図2を用いて説明する。
図2は、ドアトリムDTの裏面、窓用開口WA側、つまり、上部側を示している。ドアトリムDTは、上端縁の中央付近に、第1上部バー収納時開口形成部101a、及び、第1上部バー収納時固定突出部103を有している。第1上部バー収納時開口形成部101a、及び、第1上部バー収納時固定突出部103については後述する。また、ドアトリムDTは、サンシェードアッセンブリSAのアウターケースSA9(後述)を取り付けるためのドアトリム係合部DTu1〜DTu8を有している。ドアトリム係合部DTu1〜DTu5は、ドアトリムDTの裏面から突出する断面コ字状の台座の天面に開口として形成される。ドアトリム係合部DTu6は、ドアトリムDTを貫通する開口として形成される。ドアトリム係合部DTu7、DTu8は、ドアトリムDTの裏面から突出する突出部として形成される。
【0018】
図1に戻って、サンシェードアッセンブリSAは、窓用開口WAの下側、ドアパネルDPとドアトリムDTとの間に配置される。サンシェードアッセンブリSAの構造を、
図3を用いて説明する。
図3は、遮光シートSA1の収納状態(後述)におけるサンシェードアッセンブリSAの分解図を示している。サンシェードアッセンブリSAは、遮光シートSA1、ロール軸SA3、一対のトーションばねSA5(図示せず)、上部バーSA7、及び、アウターケースSA9を有している。
【0019】
遮光シートSA1は、窓用開口WA(
図1参照)を覆うことによって、外部からの光の侵入を遮る。遮光シートSA1は、一端がロール軸SA3に取り付けられている。なお、
図3においては、遮光シートSA1は収納状態にあるため、ロール軸SA3の外周面に沿って巻き取られている。ロール軸SA3は、外周面で遮光シートSA1を巻き取る円筒形状部材である。一対のトーションバネSA5は、ロール軸SA3内の両端部に、それぞれ配置される。各トーションばねSA5の一端は、ロール軸SA3の中央部に係止される。また、トーションバネSA5のそれぞれの他端は、アウターケースSA9に係止される。上部バーSA7は、遮光シートSA1のロール軸SA3に取り付けられた一端とは異なる一端、つまり、開放されている一端に取り付けられる。上部バーSA7は、中央付近に操作部SA7aを有している。操作部SA7aは、遮光シートSA1をロール軸SA3から展開するための持ち手として機能する。上部バーSA7は、ドアパネルDPの窓用開口WAの幅と略同じ幅の長さを有している。
【0020】
アウターケースSA9は、ロール軸SA3を保持するとともに、サンシェードアッセンブリSAをドアトリムDTに取り付ける機能を有している。アウターケースSA9は、断面がJ字状の基部SA9a、基部SA9aの上端に略水平に一体形成された水平部SA9b、及び、基部SA9aの下部に略垂直に一体形成された垂直部SA9cを有している。基部SA9aは、第2上部バー収納時開口形成部101b、第2上部バー収納時固定突出部105、及び、上部バー収納時待機位置形成部107を有している。第2上部バー収納時開口形成部101b、第2上部バー収納時固定突出部105、及び、上部バー収納時待機位置形成部107については後述する。
【0021】
また、アウターケースSA9は、ドアトリムDTに取り付けるためのアウターケース係合部SA9t1〜SA9t8を有している。アウターケース係合部SA9t1〜SA9t6は、アウターケースSA9の裏面から突出する突出部として形成される。アウターケース係合部SA9t7、SA9t8は、アウターケースSA9を貫通する開口として形成される。なお、アウターケースSA9のアウターケース係合部SA9t1〜SA9t8は、それぞれ、ドアトリムDTのドアトリム係合部DTu1〜DTu8に係合し、これにより、アウターケースSA9は、ドアトリムDTに取り付けられる。
【0022】
さらに、アウターケースSA9は、ロール軸SA3を固定するためのロール軸係合部SA9t9を有している。アウターケース係合部SA9t9は、アウターケースSA9の裏面から突出する突出部として形成される。なお、アウターケースSA9のアウターケース係合部SA9t9は、ロール軸SA3のロール軸係合部SA3u1に係合し、これにより、ロール軸SA3は、アウターケースSA9に取り付けられる。
【0023】
2.サンシェード固定構造100の構成
サンシェード固定構造100の構成について説明する。サンシェード固定構造100は、上部バー収納開口部101、第1上部バー収納時固定突出部103、第2上部バー収納時固定突出部105、及び、上部バー収納時待機位置形成部107を有している。アウターケースSA9をドアトリムDTに取り付けた状態における
図2及び
図3のX−X断面を
図4Aに示す。
図4Aに示すように、アウターケースSA9をドアトリムDTに取り付けることによって、ドアトリムDTの第1上部バー収納時開口形成部101a(
図2参照)、及び、アウターケースSA9の第2上部バー収納時開口形成部101bによって、上部バー収納開口部101が形成される。また、アウターケースSA9をドアトリムDTに取り付けることによって、サンシェードアッセンブリSAを収納するサンシェードアッセンブリ収納空間Sが形成される。上部バー収納開口部101は、遮光シートSA1を展開状態から収納状態、又は、収納状態から展開状態とする際に、上部バーSA7が通過する、サンシェードアッセンブリ収納空間Sと外部空間とを接続する開口として機能する。
【0024】
上部バー収納時待機位置形成部107は、遮光シートSA1の収納状態において、巻き取った遮光シートSA1を有するロール軸SA3の外周面と、上部バー収納時待機位置形成部107との間に形成される空間を上部バーSA7が通過できないように形成される。これにより、遮光シートSA1が収納状態にあるときに、上部バーSA7を取り出しやすい収納時待機位置に配置する。なお、遮光シートSA1が収納状態にあるとき、上部バーSA7は、巻き取った遮光シートSA1を有するロール軸SA3の外周面に当接している。
【0025】
アウターケースSA9をドアトリムDTに取り付けた状態における
図2及び
図3のY−Y断面を
図4Bに示す。
図4Bに示すように、第1上部バー収納時固定突出部103は、ドアトリムDTの上部に形成されている第1上部バー収納時開口形成部101aの中央付近に、上部バー収納開口部101に向かって突出するように形成されている(
図2参照)。第1上部バー収納時固定突出部103は、樹脂製のドアトリムDTと一体で形成される。第1上部バー収納時固定突出部103は、遮光シートSA1の収納状態において、収納時待機位置にある上部バーSA7の上部を、自身の突出方向に押圧する。なお、収納時待機位置にある上部バーSA7において、巻き取った遮光シートSA1を有するロール軸SA3の外周面との当接位置P107は、上部バーSA7の中心軸JSA7に対して、第1上部バー収納時固定突出部103、上部バーSA7を押圧する押圧位置P103と、同一側に存在する。
【0026】
アウターケースSA9をドアトリムDTに取り付けた状態における
図2及び
図3のZ−Z断面を
図4Cに示す。
図4A及び
図4Cに示すように、第2上部バー収納時固定突出部105は、アウターケースSA9の基部SA9aの左右の両下端部、及び、上部バー収納時待機位置形成部107の上に、サンシェードアッセンブリ収納空間Sに向かって突出するように形成されている。第2上部バー収納時固定突出部105は、樹脂製のアウターケースSA9と一体で形成される。第2上部バー収納時固定突出部105は、遮光シートSA1の収納状態において、上部バーSA7の下部〜中央部を、自身の突出方向、つまり、第1上部バー収納時固定突出部103が押圧する方向とは反対の方向に押圧する。
【0027】
このように、互いに対向する方向に向かって突出する第1上部バー収納時固定突出部、及び、第2上部バー収納時固定突出部を形成することによって、遮光シートSA1の収納状態において、収納時待機位置に位置する上部バーSA7を互いに対向する方向に押圧することができ、ひいては、上部バー収納時待機位置に上部バーSA7を固定することができる。これにより、遮光シートSA1の収納状態において、上部バーSA7ががたつくことを防止できる。
【0028】
また第1上部バー収納時固定突出部103が車両前後方向中央部に1つ第2上部バー収納時固定突出部105が車両前後方向両端部に2つ形成されている場合において、中央部に形成されている突出部を両端部に形成されている突出部よりも高い位置に形成してもよい。その場合、前後方向に若干傾けて上部バーを格納しようとしてもサンシェード巻取の瞬間に中央の突出部が先当たりすることによりサンシェードの巻取速度を減速させることができ、操作フィーリングや質感を向上させることができる。
【0029】
[その他の実施形態]
(1)第1上部バー収納時固定突出部103、第2上部バー収納時固定突出部105の形成:前述の実施例1においては、第1上部バー収納時固定突出部103を1つ、第2上部バー収納時固定突出部105を2つ、それぞれ形成するとしたが、互いに対向する方向に押圧するものであれば、例示の個数に限定されない。第1上部バー収納時固定突出部103、及び、第2上部バー収納時固定突出部105の形成位置についても同様である。
【0030】
(2)サンシェードアッセンブリSAの配置位置:前述の実施例1においては、サンシェードアッセンブリSAは、窓用開口WAの下部に配置されるとしたが、上部に配置されるものであってもよい。この場合、サンシェードアッセンブリSAは、窓用開口WAの上部に位置するドアトリムとアウターケースSA9によって形成されるサンシェードアッセンブリ収納空間に配置され、遮光シートSA1は、上から下に向かって展開し、上部バーSA7は、遮光シートSA1の収納状態において、窓用開口WAの上部に位置する。
【0031】
(3)後部ドアD:前述の実施例1においては、サンシェードアッセンブリSAを後部ドアDに配置するとしたが、サンシェードアッセンブリSAを配置するドアであれば、その他のドアであってもよい。
【0032】
(4)乗用車:前述の実施例1においては、乗用車のドアにサンシェードアッセンブリSAを配置するとしたが、ドアにサンシェードアッセンブリSAを配置するものであれば、その他の自動車であってもよい。