特許第6771828号(P6771828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6771828キャパシターフィルム用のポリエーテルイミド混和性ポリマーブレンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771828
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】キャパシターフィルム用のポリエーテルイミド混和性ポリマーブレンド
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20201012BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   C08J5/18CFG
   C08J5/18CFD
   H01G4/32 500
【請求項の数】9
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2017-558620(P2017-558620)
(86)(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公表番号】特表2018-510955(P2018-510955A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】US2015053525
(87)【国際公開番号】WO2016126290
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2018年9月28日
(31)【優先権主張番号】62/111,458
(32)【優先日】2015年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/204,139
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516114031
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】マーク サナー
(72)【発明者】
【氏名】ニール フェイフェンバーガー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エフ ニーマイヤー
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/194212(WO,A1)
【文献】 特開昭51−143060(JP,A)
【文献】 特開2003−246870(JP,A)
【文献】 特開2005−029688(JP,A)
【文献】 特開2008−007750(JP,A)
【文献】 特開昭59−210939(JP,A)
【文献】 特開2002−134353(JP,A)
【文献】 特開2004−285298(JP,A)
【文献】 特表2009−508994(JP,A)
【文献】 特開昭60−170663(JP,A)
【文献】 特許第3409771(JP,B2)
【文献】 特表2016−528308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00−5/02;5/12−5/22
B29C 55/00−55/30
H01G 4/18;4/30−4/40
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、
前記ポリエーテルイミドが、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、
前記ポリエーテルイミドが、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、
前記ポリエーテルイミドが、式V:
【化1】

(式中、Tは、−O−、または式−O−Z−O−により表される基であり、該−O−または該−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあり、Zは、式IVa:
【化2】


(式IVa中、Qは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−SO−、−C2y−またはのハロゲン化誘導体であり、)で表される二価の基であり、yは、1〜5の整数である)によって表され、Rは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、またはこれらの組合せを含むジアミン残基である)によって表され、
前記ポリエステルは、前記ポリエーテルイミドの比重よりも大きい比重を有し、かつ、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、
前記ポリエステルは、式XIIIまたは式XIV:
【化3】

により表される繰り返し構造単位を含み、
前記ポリエステルが、前記混和性ポリマーブレンド中に、15重量%〜25重量%の量で存在し、
前記ポリエーテルイミドが、前記混和性ポリマーブレンド中に、75重量%〜85重量%の量で存在し、
前記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの90重量%以上を含み、
前記ポリエーテルイミドおよび前記ポリエステルが、それぞれ、前記混和性ポリマーブレンド中に、170℃以上の前記キャパシターフィルムの1つのガラス転移温度をもたらすのに有効な量で存在する、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム。
【請求項2】
前記混和性ポリマーブレンドが1.28〜1.31の比重を有する、請求項1に記載のキャパシターフィルム。
【請求項3】
請求項1に記載のキャパシターフィルムであって、
前記ポリエーテルイミドが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、20,000Da〜400,000Daの重量平均分子量を有し、
前記ポリエーテルイミドが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が11未満であり、
前記ポリエーテルイミドが、ASTM D638に準拠して決定すると、380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有し、
前記ポリエステルが、GPCによって測定すると、25,000Da〜75,000Daの重量平均分子量を有しており、前記ポリエステルが、0.1dl/g〜0.83dl/gの固有粘度を有し、
前記キャパシターフィルムが、
70℃を超えるガラス転移温度を有し、
3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8MPa)でASTM D648に準拠して測定すると、150℃以上の熱変形温度を有し、
1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)においてASTM D150に準拠して測定すると、3〜5の比誘電率を有し、
1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、0〜1の誘電正接を有し、
23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、500V/ミクロン〜800V/ミクロンの破壊強度を有し、
特定の測定エリア全体にわたる前記フィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有し、
光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルム。
【請求項4】
請求項1に記載のキャパシターフィルムであって、
前記ポリエーテルイミドが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、20,000Da〜400,000Daの重量平均分子量を有し、
前記ポリエーテルイミドが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が10未満であり、
前記ポリエーテルイミドが、ASTM D638に準拠して決定すると、380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有し、
前記ポリエステルが、GPCによって測定すると、25,000Da〜75,000Daの重量平均分子量を有し、
前記ポリエステルは、0.1dl/g〜0.83dl/gの固有粘度を有し、
前記キャパシターフィルムが、
90℃を超えるガラス転移温度を有し、
3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8MPa)でASTM D648に準拠して測定すると、170℃以上の熱変形温度を有し、
1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、3〜5の比誘電率を有し、
1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、0.1%〜0.5%の誘電正接を有し、
23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、600V/ミクロン〜800V/ミクロンの破壊強度を有し、
特定の測定エリア全体にわたる前記フィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有し、
光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルム。
【請求項5】
前記ポリエーテルイミドが、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含み、
ポリエーテルイミド:ポリエーテルイミドスルホンの重量比が、99:1〜30:70である、請求項1に記載のキャパシターフィルム。
【請求項6】
前記ポリエーテルイミドが、前記混和性ポリマーブレンド中に、60重量%〜99.9重量%の量で存在する、請求項1に記載のキャパシターフィルム。
【請求項7】
請求項1に記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、
前記キャパシターフィルムは、0.1ミクロン〜20ミクロンのフィルム厚さを有し、
任意で、前記ポリエーテルイミドが、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム。
【請求項8】
ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、
前記ポリエーテルイミドスルホンが、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、
前記ポリエーテルイミドスルホンが、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、
前記ポリエーテルイミドスルホンが、式V
【化4】


(式中、は、−O−、または式−O−Z−O−により表される基であり、該−O−または該−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあり、Zは、6〜27個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基、このハロゲン化誘導体、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基、このハロゲン化誘導体、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、このハロゲン化誘導体、または式−(C10−により表される基であり、zは、1〜4の整数であり、Rは、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミン残基である)により表され、
前記ポリエステルは、前記ポリエーテルイミドの比重よりも大きい比重を有し、かつ、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、
前記ポリエステルは、式XIIIまたは式XIV
【化5】


により表される繰り返し構造単位を含み、
前記ポリエステルは、前記混和性ポリマーブレンド中に、15重量%〜25重量%の量で存在し、
前記ポリエーテルイミドが、前記混和性ポリマーブレンド中に、75重量%〜85重量%の量で存在し、
前記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの90重量%以上を含
前記ポリエーテルイミドおよび前記ポリエステルが、それぞれ、前記混和性ポリマーブレンド中に、170℃以上の前記キャパシターフィルムの1つのガラス転移温度をもたらすのに有効な量で存在する、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム。
【請求項9】
請求項に記載のキャパシターフィルムであって、
前記ポリエーテルイミドスルホンが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、20,000Da〜400,000Daの重量平均分子量を有し、
前記ポリエーテルイミドスルホンが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が11未満であり、
前記ポリエーテルイミドスルホンが、ASTM D638に準拠して決定すると、380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有し、
前記ポリエステルが、GPCによって測定すると、25,000Da〜75,000Daの重量平均分子量を有し、
前記ポリエステルが、0.1dl/g〜0.83dl/gの固有粘度を有し、
前記キャパシターフィルムが、
70℃を超えるガラス転移温度を有し、
3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8MPa)でASTM D648に準拠して測定すると、150℃以上の熱変形温度を有し、
1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)においてASTM D150に準拠して測定すると、3〜5の比誘電率を有し、
1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、0〜1の誘電正接を有し、
23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、500V/ミクロン〜800V/ミクロンの破壊強度を有し、
特定の測定エリア全体にわたる前記フィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有し、
光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエーテルイミド混和性ポリマーブレンド、ならびにそれを作製する方法および使用する方法、より詳細には、押出成形キャパシターフィルム用のポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン混和性ポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
高容量エネルギー密度、高い作動温度および長寿命を有する、静電フィルムキャパシターは、パルスパワー、自動車および産業電子工学にとって重要な構成成分である。一般に、キャパシターは、絶縁(誘電性)フィルムの薄層により分離されている、2つの平行な導電性プレートを有する、エネルギー貯蔵デバイスである。電圧がこれらのプレート間に印加されると、誘電体における電場が、電荷を動かし、こうして、エネルギーを貯蔵する。キャパシターによって貯蔵されるエネルギーの量は、絶縁材料の比誘電率、印加電圧およびフィルムの寸法(総面積および厚さ)に依存する。したがって、キャパシターが蓄積することができるエネルギーの総量を最大化するために、フィルムの比誘電率および破壊電圧を最大化する必要があり、フィルムの厚さを最小化する必要がある。キャパシターにおける誘電性材料の物理的性質は、キャパシターの性能に対する一次決定因子であり、したがって、キャパシターの誘電性材料の物理特性のうちの1つまたは複数を改善すると、キャパシター構成成分の対応する性能を改善することができ、こうして、通常、キャパシターが埋め込まれているエレクトロニクスシステムまたは製品の性能および寿命が増強される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,546,516号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0355173号明細書
【特許文献3】米国特許第6,919,422号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0275372号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二軸配向ポリ(プロピレン)(BOPP)から作製された静電フィルムキャパシターは、電気機器、電子装置、オーブンおよび炉、冷蔵庫、自動車、ならびに家庭電化製品などにおいて、低い誘電正接、高い絶縁抵抗率および低い誘電吸収が要求される用途に使用されてきた。約2.2となる、BOPPの低い比誘電率(Dk)、および約100℃というBOPPの最大の使用温度により、高い作動温度および/または高いエネルギー密度が要求される用途におけるBOPPキャパシターの使用が制限される。Dk>3.0を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリカーボネート(PC)などの他の熱可塑性材料は、妥当な代替品となり得る。しかし、これらのフィルムから作製されたキャパシターは、約125℃もの高い作動温度でのみ使用することができ、したがって、所望の高温性能能力を満たさない。ポリフェニレンスルフィド(PPS)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの、高温能力に応えるいくつかの材料は、150℃を超える温度での電気特性が不安定であることにより制限され、こうして、PPSおよびPEEKはキャパシターに使用するにはそれほど望ましいものにならない。したがって、キャパシターに使用するための誘電性材料を開発および/または改善することが継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドが、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムが本明細書において開示されている。
【0006】
同様に、ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドが、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有する、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムも本明細書において開示されている。
【0007】
さらに、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドスルホンが、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ポリエーテルイミド(PEI)およびポリエステル(PE)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物、ならびにその作製方法および使用方法が本明細書において開示されており、該ポリマー組成物は、本明細書においてより詳細に議論される、混和性ポリマーブレンドである。一実施形態では、ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含むことができ、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、混和性ポリマーブレンドを形成する。一実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、ポリエステルは、低い固有粘度のPETを含む。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよびポリエステルは、混和性ポリマーブレンドを形成する。別の実施形態では、ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルは、混和性ポリマーブレンドを形成する。
【0009】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドスルホン(PEIS)およびポリエステル(PE)を含み、該ポリマー組成物が混和性ポリマーブレンドである。このような実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルは、混和性ポリマーブレンドを形成する。
【0010】
ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドが、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムが本明細書において開示されている。一実施形態では、ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば上述の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドおよびポリエステルを合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップを含む。このような実施形態では、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成することができる。別の実施形態では、本キャパシターフィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム)は積層化されて、積層フィルムキャパシターを形成することができる。
【0012】
ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドスルホンが、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムが本明細書において開示されている。
【0013】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば上述の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップを含む。このような実施形態では、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成することができる。別の実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム)は積層化されて、積層フィルムキャパシターを形成することができる。
【0014】
操作実施例以外、または特に示されている場合、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量、反応条件などを言及している、すべての数または表現は、すべての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解すべきである。様々な数の範囲が、本明細書において開示されている。これらの範囲は連続しているので、これらは、最小値と最大値との間の各値を含む。同じ性質または構成成分を列挙しているすべての範囲の端値は、独立して組み合わせることができ、列挙した端値を含む。特に明確に示されない限り、本出願において特定されている様々な数の範囲は、概数である。同じ構成成分または特性を対象とする、すべての範囲の両端値は、この端値を含み、かつ独立して組合せ可能である。用語「0超えからある量まで」とは、指定された構成成分が、0を超えるある量で、ならびに高い方の指定された量を含んで最大となる量で存在することを意味する。
【0015】
用語「a」、「an」および「the」は、量の限定を表すのではなく、むしろ、参照されている項目の少なくとも1つが存在することを表す。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示物を含む。
【0016】
本明細書で使用する場合、「その組合せ」は、場合により列挙されていない同様の要素と一緒に、列挙された要素のうちの1種または複数を含み、例えば、指定される構成成分の1種または複数と、場合により、同じ機能を本質的に有する具体的に指定されていない1種または複数の他の構成成分との組合せを含む。本明細書で使用する場合、用語「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0017】
本明細書全体にわたり、「一実施形態」、「別の実施形態」、「他の実施形態」、「一部の実施形態」などを言う場合、実施形態に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、特性および/または性質)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態では、存在していてもよいか、または存在していなくてもよいことを意味する。さらに、記載されている要素は、様々な実施形態において、任意の好適な様式で組み合わされ得る。
【0018】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。用語「ポリマー」は、本明細書で使用する場合、オリゴマー、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。
【0019】
本出願における分子量はすべて、特に示さない限り、重量平均分子量を指す。このように言及されている分子量は、ダルトン(Da)で表される。
【0020】
化合物は、標準命名法を使用して、本明細書に記載されている。例えば、指示されている任意の基によって置換されていない位置はいずれも、示されている結合によって占有されている原子価、または水素原子を有するものと理解される。2つの文字または記号との間に存在しないダッシュ「−」が使用されて、置換基の結合点を示す。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を介して結合している。
【0021】
用語「アルキル」には、分岐鎖および直鎖の両方のC1〜30、あるいは分岐鎖および直鎖の両方のC1〜18の、特定されている炭素原子数を有する不飽和脂肪族炭化水素基を含む。アルキルの例には、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、n−およびs−ヘキシル、n−およびs−ヘプチル、n−およびs−オクチル、デシル、ステアリルなどが含まれる。
【0022】
用語「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖の、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合(例えば、エテニル(HC=CH))を有する一価の炭化水素基を意味する。
【0023】
用語「アルコキシ」は、酸素を介して連結している、直鎖または分岐アルキル基(例えば、C1〜18)(すなわち、アルキル−O−)、例えばメトキシ、エトキシ、sec−ブチルオキシおよびノニルオキシ基を意味する。
【0024】
用語「アルキレン」は、直鎖または分岐鎖の、飽和二価脂肪族炭化水素基(例えば、メチレン(−CH−)またはプロピレン(−(CH−))を意味する。
【0025】
用語「シクロアルキレン」は、二価の環式アルキレン基−C2n−xを意味し、xは、環化によって置きかえられた水素の数を表す。「シクロアルケニル」は、環中に1つまたは複数の環および1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する一価の基を意味し、環員はすべて、炭素である(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)。
【0026】
用語「アリール」は、特定されている数の炭素原子を含有する芳香族炭化水素基(例えば、芳香族部分)を意味し(例えば、6個の炭素原子からなる不飽和環)、この基は、1つまたは複数のアルキル基により場合により置換されていてもよく、例えば、フェニル、トリル、キシリル、トロポン、インダニル、インデニル、ナフチルなどを含む。
【0027】
用語「アリールオキシ」は、6個の炭素原子からなる不飽和環により置換されている酸素ラジカルを意味し、このラジカルは、1つまたは複数のアルキル基により場合により置換されていてもよく、例えば、フェノキシを含む。
【0028】
接頭語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびアスタチノ(astatino)置換基をさらに1つ含む基または化合物を意味する。異なるハロ基(例えば、ブロモとフルオロ)の組合せが存在してもよい。一実施形態では、クロロ基のみ存在する。
【0029】
接頭語「ヘテロ」は、その化合物または基が、ヘテロ原子である少なくとも1つの環員(例えば、1個、2個または3個のヘテロ原子)を含み、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、SまたはPとすることができる。
【0030】
ASTM試験はすべて、特に示さない限り、Annual Book of ASTM Standardsの2003年版に基づいている。
【0031】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドを含む。別の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドスルホンを含む。さらに別の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンを含む。
【0032】
本明細書における開示の目的では、ポリエーテルイミドだけもしくはポリエーテルイミドスルホンだけのどちらか一方、またはポリエーテルイミドとポリエーテルイミドスルホンの両方を含むポリマー構成要素が、「ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン」とまとめて呼ばれる。記載されているポリマー(例えば、単一ポリマー構成成分、ポリマーブレンド、ポリマー混合物など)、特性、性質、特徴などのいずれかに関して本明細書で使用する場合、用語「ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン」は、特性値、性質、特徴などのいずれかが、ポリエーテルイミドだけ、またはポリエーテルイミドスルホンだけのどちらか一方、または組み合わせて使用される場合、ポリエーテルイミドとポリエーテルイミドスルホンの両方に該当することができる。
【0033】
一実施形態では、ポリエーテルイミド(PEI)およびポリエーテルイミドスルホン(PEIS)は、式I:
【化1】

(式中、aは、1超、例えば、約1〜約1,000以上、あるいは約10〜約1,000以上、またはあるいは約10〜約500とすることができる)
によって表すことができる。
【0034】
一実施形態では、式I中の基Vは、エーテル基を含有する四価リンカー(本明細書で使用する場合、「ポリエーテルイミド」)、またはエーテル基とアリーレンスルホン基との組合せ(本明細書で使用する場合、「ポリエーテルイミドスルホン」)とすることができる。このようなリンカーには、以下に限定されないが、(a)5〜50個の炭素原子を有する、置換または無置換の、単環式および多環式飽和基、不飽和基または芳香族基であって、エーテル基、アリーレンスルホン基、またはエーテル基とアリーレンスルホン基との組合せにより場合により置換されている、飽和基、不飽和基または芳香族基、(b)1〜30個の炭素原子を有する、置換または無置換の、直鎖もしくは分岐の飽和または不飽和アルキル基であって、エーテル基、またはエーテル基とアリーレンスルホン基との組合せ、およびアリーレンスルホン基により場合により置換されている、アルキル基、または(c)それらの組合せを含むことができる。リンカー基Vに好適なさらなる置換基(substitution)は、以下に限定されないが、エーテル、アミド、エステルなど、またはこれらの組合せを含む。
【0035】
一実施形態では、式I中の基Rは、以下に限定されないが、(a)6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、およびこのハロゲン化誘導体、(b)2〜20個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルキレン基、(c)3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、または(d)式II:
【化2】

(式中、Qは、以下に限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−Cy〜2y−などの二価部分(yは、1〜5の整数である)、およびペルフルオロアルキレン基を含めた、このハロゲン化誘導体を含む)により表される、二価の基などの、置換または無置換の二価有機基を含むことができる。
【0036】
式Iの一実施形態では、リンカーVは、以下に限定されないが、式III:
【化3】

(式中、Wは、−O−、−SO−を含めた二価部分、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあることができる)により表される、四価芳香族基を含む。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により−O−Z−O−基は二価の基である一方、Zもやはり二価の基であり、Zの二価はそれぞれ、−O−Z−O−基中の酸素原子に連結している。このような実施形態では、Zは、以下に限定されないが、基IVの式:
【化4】

(式中、Qは、以下に限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−Cy〜2y−などの二価部分(yは、1〜5の整数である)、およびペルフルオロアルキレン基を含めた、このハロゲン化誘導体を含むことができる)により表される二価の基を含むことができる。
【0037】
一実施形態では、Zは、式IVa:
【化5】

(式中、Qは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−または−Cy〜2y−、このハロゲン化誘導体とすることができ、yは、1〜5の整数とすることができる)により表される、二価の基とすることができる。
【0038】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、1つを超える(more than more than)構造単位、あるいは約10〜約1,000の構造単位、またはあるいは約10〜約500の構造単位を含み、構造単位は、式V:
【化6】

(式中、Tは、−O−、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあることができ、Zは、基IVの式および式IVaにより表される、二価の基として本明細書において既に記載されており、Rは、式IIにより表される二価の基として、本明細書において既に記載されている)により表すことができる。このようなZおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式VのZ基およびR基を記載することができる。一実施形態では、Zは、式IVaにより表すことができる。
【0039】
Tが式−O−Z−O−により表される、式Vの一実施形態では、Zは、6〜27個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基、このハロゲン化誘導体、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基、このハロゲン化誘導体、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、このハロゲン化誘導体、または式−(C10−により表される基とすることができ、zは、1〜4の整数とすることができ、Rは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、またはこれらの組合せを含むジアミン残基とすることができる。
【0040】
別の実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、エーテル基およびスルホン基を含むポリイミドとすることができ、式I中のリンカーVおよび基Rの少なくとも50mol%は、二価アリーレンスルホン基を含む。例えば、基Rではなく、すべてのリンカーVは、アリーレンスルホン基を含有することができる。リンカーVではなく、すべてのR基は、アリーレンスルホン基を含有することができる。または、アリーレンスルホンは、リンカーVおよびR基のある部分中に存在することができるが、但し、アリールスルホン基を含有する、VおよびR基の総モル分率は、50mol%以上である条件とする。
【0041】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、1つ超えの構造単位、あるいは約10〜約1,000の構造単位、またはあるいは約10〜約500の構造単位を含み、構造単位は、式VI:
【化7】

(式中、Yは、−O−、−SO−、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−、−SO−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあることができ、Zは、基IVの式および式IVaにより表される二価の基として、本明細書において既に記載されており、Rは、式IIにより表される二価の基として、本明細書において既に記載されているが、但し、式VI中のYのモル数+Rのモル数の合計の50mol%超が、−SO−基を含有する条件とする)によって表すことができる。このようなZおよびRの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式VIのZ基およびR基を記載することができる。一実施形態では、Zは、式IVaにより表すことができる。
【0042】
一部の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、例えば、基VIIの式:
【化8】

により表されるリンカーなどの、エーテル基、またはエーテル基およびスルホン基を含まない、リンカーVをさらに含むことができる。
【0043】
一実施形態では、基VIIの式により表されるイミド単位含有リンカーは、約0mol%〜約10mol%の総単位数、またはあるいは0mol%〜5mol%の総単位数の範囲の量で一般に、存在することができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン中に、さらなるリンカーVは存在しない。
【0044】
さらに別の実施形態では、ポリエーテルイミドは、式Vにより表される約10〜約500の構造単位を含み、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIにより表される約10〜約500の構造単位を含む。
【0045】
ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンを調製する方法は、当業者に公知であり、一般に、特許文献1および特許文献2に記載されており、それらのそれぞれの全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0046】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、式VIIIまたは式IXにより表される、芳香族二無水物
【化9】

を、式Xにより表される有機ジアミン
【化10】

と反応させることによって調製することができ、式中、R、TおよびYは、式II、式Vおよび式VIについて、本明細書に既に記載されている。このようなR、TおよびYの説明の態様および/または実施形態のいずれも、非限定的に利用されて、式VIII、式IXおよび式XのR基、T基およびY基を記載することができる。
【0047】
式VIIIにより表される、本開示における使用に好適な芳香族二無水物の非限定例は、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物など;またはこれらの組合せを含む。
【0048】
式IXにより表される、本開示における使用に好適なスルホン基含有芳香族二無水物の非限定例には、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物など;またはこれらの組合せが含まれる。
【0049】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIIIおよび式IXにより表される、二無水物の組合せを使用して調製することができる。
【0050】
式Xにより表される、本開示における使用に好適なアミン化合物の非限定例は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−b−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−b−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0051】
式Xにより表される、本開示における使用に好適なスルホン基含有アミン化合物の非限定例は、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−DDS)、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’−DDS)、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS)など、またはこれらの組合せを含む。
【0052】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、式Vにより表される構造単位を含み、Rはそれぞれ独立して、p−フェニレン、m−フェニレン、またはこれらの組合せとすることができ、Tは、式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’位にあることができ、Zは、式XI:
【化11】

により表される二価の基とすることができる。
【0053】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、式Vaにより表される構造単位:
【化12】

式Vbにより表される構造単位:
【化13】

またはこれらの組合せを含む。
【0054】
一実施形態では、Rがp−フェニレンであり、Tが式−O−Z−O−により表され、−O−Z−O−基の二価結合が3,3’位にあり、Zが式XIにより表される二価の基である、式Vにより表される構造単位は、式Vaにより表される構造単位を含む。
【0055】
一実施形態では、Rがm−フェニレンであり、Tが式−O−Z−O−により表され、−O−Z−O−基の二価結合が3,3’位にあり、Zが式XIにより表される二価の基である、式Vにより表される構造単位は、式Vbにより表される構造単位を含む。
【0056】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、1つ超えの構造単位、あるいは約10〜約1,000の構造単位、またはあるいは約10〜約500の構造単位を含み、構造単位は、式Va、式Vbまたはこれらの組合せによって表すことができる。
【0057】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIにより表される構造単位を含み、R基の少なくとも50mol%は、基IVの式および式IVaによりそれぞれ独立して表すことができ、QおよびQは、−SO−とすることができ、残りのR基は、それぞれ独立して、p−フェニレン、m−フェニレンまたはこれらの組合せとすることができ、Yは、式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’位にあることができ、Zは、式XIにより表される二価の基とすることができる。
【0058】
一態様では、ポリエーテルイミドスルホンは、ジアミノジフェニルスルホンを含むアミンの重合から誘導される繰り返し構造単位を含むことができる。
【0059】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、式VIaに表される繰り返し構造単位:
【化14】

(式中、構造単位は、n’回繰り返されることができ、n’は、1超、あるいは約10〜約1,000、またはあるいは約10〜約500とすることができる)を含むことができる。
【0060】
一実施形態では、Yが式−O−Z−O−により表され、−O−Z−O−基の二価結合が3,3’位にあり、Zが式XIにより表される二価の基であり、Rが式IVaにより表される二価の基であり、Qが−SO−であり、二価の基Rの二原子価のそれぞれが−SO−に対してパラ位(4,4’位)にある、式VIにより表される構造単位は、式VIaにおいて表される構造単位を含む。
【0061】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、例えば置換および無置換アニリン、置換および無置換ナフチル一級アミン、ならびに置換および無置換ヘテロアリールアミンなどの、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖され得、置換基は、C6〜12アリール基、ハロゲン化C6〜12アリール基、C1〜12アルキル基、ハロゲン化C1〜12アルキル基、スルホン基、C1〜12エステル基、C1〜12アミド基、ハロゲン、C1〜12アルキルエーテル基、C6〜12アリールエーテル基、および芳香族環に結合しているC6〜12アリールケト基からなる群から選択することができる。結合している官能性は、分子量を制御するための芳香族一級モノアミンの機能を妨害するべきではない。芳香族モノアミンの好適な例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献3に、より詳細に記載されている。本開示における使用に好適な芳香族モノアミンの非限定例は、アニリン、クロロアニリン、ペルフルオロメチルアニリン、ナフチルアミンなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、芳香族モノアミンはアニリンを含む。
【0062】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの製造中に加えられる、芳香族モノアミンの量は、所望の分子量および様々な他の考慮点に依存し得る。一実施形態では、イミド反応中に存在する芳香族モノアミンの量は、芳香族ジアミン(例えば、フェニレンジアミン)の総モル数に対して、約0mol%〜約10mol%、あるいは約1mol%〜約10mol%、あるいは約2mol%〜約10mol%、あるいは約5mol%〜約9mol%、またはあるいは約6mol%〜約7mol%とすることができる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、一官能基性反応剤は、例えば、イミド化を開始する前またはその後などの任意の時点(例えば、芳香族ジアミン、芳香族二無水物、溶媒またはこれらの組合せに対して)、およびイミド化触媒の存在下または非存在下で加えることができる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、特定の量は、型通りの実験によって決定することができる。
【0063】
一実施形態では、各反応剤の相対量、触媒のタイプおよび量、ならびに芳香族一級モノアミンのタイプおよび量、ならびに反応条件は、1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.4モル当量の無水基、あるいは1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.3モル当量の無水基、1.0個のアミン基あたり、あるいは約1.0〜約1.2モル当量の無水基、あるいは1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.1モル当量の無水基、またはあるいは1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.002モル当量の無水基を有するポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンがもたらされるよう選択することができる。
【0064】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、さらに架橋され得る。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを架橋するための方法は、例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを架橋するのに有効な波長および時間、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンに照射(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンを含む押出成形フィルム)するなどの、任意の公知のポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの架橋方法を含むことができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの架橋は、280nm超かつ400nm以下の波長の紫外線照射によって実現することができる。
【0065】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、分岐状ポリエーテルイミド、非分岐状ポリエーテルイミド、またはこれらの組合せとすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドの分岐度は、ポリエーテルイミドの強度特性に影響を及ぼし、例えば、分岐状ポリエーテルイミドの含有率が高い程、強度が向上する。
【0066】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、分岐状ポリエーテルイミドスルホン、非分岐状ポリエーテルイミドスルホン、またはこれらの組合せとすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドスルホンの分岐度は、ポリエーテルイミドスルホンの強度特性に影響を及ぼし、例えば、分岐状ポリエーテルイミドスルホンの含有量が高い程、強度が向上する。
【0067】
ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、単独でまたは組み合わせて使用することができる。一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドを含む。他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドスルホンを含む。
【0068】
さらに他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンを含む。このような実施形態では、ポリエーテルイミド:ポリエーテルイミドスルホンの重量比は、約99:1〜約30:70、あるいは約90:10〜約40:60、またはあるいは約80:20〜約60:40とすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、混和性ポリマーブレンドを形成する。
【0069】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定すると、重量平均分子量(Mw)がモルあたり約20,000グラム(g/mol)またはダルトン(Da)〜約400,000Da、あるいは約10,000Da〜約400,000Da、あるいは約10,000Da〜約200,000Da、あるいは約10,000Da〜約80,000Da、またはあるいは約50,000Da〜約75,000Daであることを特徴とすることができる。一般に、Mwは、式1:
【数1】

(式中、Nは、分子量Mの分子数である)に従って計算することができる。
【0070】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、プロトン核磁気共鳴分光法によって決定すると、ポリマーの重量部に対して、約100ppm未満、あるいは約50ppm未満、またはあるいは約10ppm未満のベンジル位含有率を有することができる。ベンジル位プロトンの官能基は高温で反応して、溶融状態において分子量を変化させる反応を加速させることができる。別の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ベンジル位プロトンを含まなくてもよく、実質的に含まなくてもよく、または本質的に含まなくてもよい。ベンジル位プロトンを本質的に含まないとは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン生成物が、ベンジル位プロトンを含有するモノマーおよび/または末端封鎖剤(endcapper)に由来する構造単位を、約5mol%未満、あるいは約3mol%未満、またはあるいは約1mol%未満有することを意味する。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ベンジル位プロトンを含有するモノマーおよび/もしくは末端封鎖剤に由来する構造単位を、プロトン核磁気共鳴分光法により決定すると、ポリマーの重量部に対して0ppm、または0mol%有することができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ベンジル位プロトンを含まない。
【0071】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの重量部に対して、約1,000ppm以下、あるいは約0ppm〜約1,000ppm、またはあるいは約0ppm〜約500ppmの臭素または塩素含有率を有することができる。臭素または塩素の量は、原子吸収などの通常の化学分析によって決定することができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの重量部に対して、約1,000ppm以下、あるいは約0ppm〜約1,000ppm、またはあるいは約0ppm〜約500ppmの、臭素と塩素を足した全含有率を有することができる。
【0072】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、低いレベルの有機反応副生成物を有することができる。例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの重量部に対して、1,3−ビス(N−(4−クロロフタルイミド))ベンゼン、1,3−ビス(N−フタルイミド)ベンゼン、メタ−フェニレンジアミンおよびビス(フタルイミド)のそれぞれを、約0ppm〜約500ppm、あるいは約0ppm〜約250ppm、またはあるいは約0ppm〜約100ppmの含有率で有することができる。
【0073】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、6.7キログラム(kg)重量の負荷の下、340℃〜370℃において、米国試験材料協会(ASTM)D1238に準拠して測定すると、1分間あたり、約0.1グラム(g/分)〜約10g/分、あるいは約0.5g/分〜約9.5g/分、またはあるいは約1g/分〜約9g/分のメルトインデックスとなることを特徴とすることができる。
【0074】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、25℃においてm−クレゾール中で測定すると、1グラムあたり約0.2デシリットル(dl/g)以上、あるいは約0.2dl/g〜約0.8dl/g、あるいは約0.3dl/g〜約0.75dl/g、またはあるいは約0.35dl/g〜約0.7dl/gの固有粘度を特徴とすることができる。一般に、流体の粘度は、せん断応力または引張応力により徐々に変形することに対して、流体が抵抗する尺度を表す。本明細書で使用する場合、用語「固有粘度」は、溶質の濃度(例えば、溶液中のポリマーの濃度)に対する既知濃度のポリマー溶液の比粘度の比をゼロ濃度に外挿したものを表す。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、固有粘度(ポリマーの性質の標準測定値として広く認識されている)は、ポリマーの重量平均分子量に直接、比例する。固有粘度は、ASTM4603に準拠して決定することができる。
【0075】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が、約11未満、あるいは約10未満、あるいは約9未満、またはあるいは約8未満であることを特徴とすることができる。
【0076】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上、あるいは約400,000psi(2,756MPa)〜約620,000psi(4,272MPa)、あるいは約420,000(2,893MPa)〜約600,000psi(4,134MPa)、またはあるいは約425,000psi(2,928MPa)〜約580,000psi(3,996MPa)の引張弾性率であることを特徴とすることができる。一般に、弾性率またはヤング率としても知られている引張弾性率は、材料の剛性の尺度である。
【0077】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、約150℃以上、あるいは約160℃超、あるいは約180℃超、あるいは約200℃超、あるいは約200℃〜約300℃、あるいは約200℃〜約290℃、またはあるいは約200℃〜約280℃のガラス転移温度(Tg)であることを特徴とすることができる。一般に、Tgは、ポリマーが、硬質なガラス状物質から軟質のゴム状物質に転移する温度領域を指す。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、1つのTg(複数のTg値とは対照的である)を特徴とすることができる。
【0078】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、例えば、ULTEM1000樹脂、ULTEM1010樹脂、ULTEM9011樹脂など、またはこれらの組合せを含む、ULTEM樹脂などの市販のポリエーテルイミドを含む。ULTEM樹脂は、アモルファスの熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂のファミリーである。ULTEM1000樹脂は、217℃のTgを有する、透明なアモルファスポリエーテルイミドプラスチックである。ULTEM1010樹脂(例えば、ULTEM1010K)は、217℃のTgを有する、透明な高流動性PEIである。ULTEM9011樹脂は、217℃のTgを有する、透明な高流動性PEIである。上記の樹脂の各々は、SABIC Innovative Plasticsから入手可能である。ポリエーテルイミド樹脂は、ASTM D5205においてさらに記載されている。
【0079】
一実施形態では、ポリエーテルイミドスルホンは、例えばULTEM XH6050樹脂などの市販のポリエーテルイミドスルホンを含み、このULTEM XH6050は、247℃のTgを有する透明な、流動性の高いポリエーテルイミドスルホンコポリマーであり、SABIC Innovative Plasticsから入手可能である。
【0080】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物内に、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の総重量に対して、約60重量パーセント(重量%)〜約99.9重量%、あるいは約65重量%〜約99重量%、あるいは約70重量%〜約95重量%、あるいは約75重量%〜約85重量%の量で存在することができる。
【0081】
一実施形態では、ポリエーテルイミドは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなど、またはこれらの組合せを含むアミンの重合から誘導される単位を含むポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドを約15重量%未満、あるいは約10重量%未満、またはあるいは約5重量%未満含む。
【0082】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、ポリエステルを含む。一実施形態では、ポリエステルは、式XII:
【化15】

(式中、Bは、ジヒドロキシ化合物、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20芳香族基、またはアルキレン基が、2〜6個の炭素原子またはあるいは2個、3個もしくは4個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン基から誘導される二価の基とすることができ、Tは、ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20アルキル芳香族基またはC6〜20芳香族基から誘導される二価の基とすることができる)により表される繰り返し構造単位を含むことができる。一実施形態では、Bはエチレンを含む。ポリエステルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献4により詳細に記載されている。
【0083】
一実施形態では、ポリエステルは、ジカルボン酸(例えば、芳香族ジカルボン酸)およびジヒドロキシ化合物を重合することにより得られる、熱可塑性ポリエステルを含むことができる。一実施形態では、ポリエステルは、香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含むことができる。一実施形態では、芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、これらのエステルなど、またはこれらの組合せを含むことができる。一実施形態では、芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、このエステルなど、またはこれらの組合せを含む。別の実施形態では、芳香族ジカルボン酸は、ナフタレンジカルボン酸、このエステルなど、またはこれらの組合せを含む。
【0084】
一部の実施形態では、芳香族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらのエステルなど、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0085】
一実施形態では、ジヒドロキシ化合物は、2〜15個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールおよび脂環式ジオール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、テトラメチレンレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘプタン−1,7−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、ネオペンチルグリコール、デカン−1,10−ジオール;ポリエチレングリコール;二価フェノール、ジヒドロキシジアリールアルカン、すなわち2,2−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)プロパン(ビスフェノール−AまたはBPA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;ジヒドロオキシジアリールシクロアルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン;ジヒドロキシジアリールスルホン、すなわちビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ジヒドロキシジアリールエーテル、すなわちビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ジヒドロキシジアリールケトン、すなわち4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;ジヒドロキシジアリールスルフィド、すなわちビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ジヒドロキシジアリールスルホキシド、すなわちビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ジヒドロキシジフェニル、すなわち4,4’−ジヒドロキシフェニル;ジヒドロキシアリールフルオレン、すなわち9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;ジヒドロキシベンゼン、ヒドロキシキノン、レゾルシノール、メチルヒドロキシキノン;ジヒドロキシナフタレン、すなわち1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなど、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0086】
一実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(ポリ(エチレンテレフタレート)またはPET)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリエチレンナフタレート(ポリ(エチレンナフタレート)またはPEN)、ポリ(ブチレンナフタレート)(PBN)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)(PBS)、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール修飾ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレン1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)、これらのコポリマーなど、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、ポリエステルは、PET、PEN、PBT、PETG、PCT、これらのコポリマーなど、またはこれらの組合せを含む。
【0087】
一実施形態では、PETは、式XIII:
【化16】

により表される繰り返し構造単位を含むことができる。
【0088】
一実施形態では、Tがp−フェニレンであり、Bがエチレンである、式XIIにより表される繰り返し構造単位は、式XIIIにより表される構造単位を含む。
【0089】
一実施形態では、PENは、式XIV:
【化17】

により表される繰り返し構造単位を含むことができる。
【0090】
一実施形態では、Tが2,6−ナフタレンであり、Bがエチレンである、式XIIにより表される繰り返し構造単位は、式XIVにより表される構造単位を含む。
【0091】
一実施形態では、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含む。ポリエチレンテレフタレートは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、特許文献1により詳細に記載されている。
【0092】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、低い固有粘度のポリエチレンテレフタレートを含み、該ポリエチレンテレフタレートは、(i)ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約0.1重量%〜約4重量%のジエチレングリコール由来の含有率、(ii)約0.1デシリットル/グラム(dl/g)〜約0.83dl/gの固有粘度、および(iii)約10ミリ当量/キログラム(meq/kg;ポリエチレンテレフタレート1キログラムあたりのカルボン酸末端基のミリ当量)〜約150meq/kgの量の含有率のカルボン酸末端基を有することができる。
【0093】
本明細書で使用する場合、ジエチレングリコールに由来する含有率に関すると、「ジエチレン」とは、ジエチレングリコールとテレフタル酸またはテレフタル酸のエステル(テレフタル酸ジメチルなど)との反応によるポリエチレンテレフタレートポリマーに取り込まれた、式−(C)O(C)−により表される基を指す。一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約0.1重量%〜約4重量%、あるいは約0.1重量%〜約2重量%、またはあるいは約0.1重量%〜約1重量%のジエチレングリコール含有率を有することができる。
【0094】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、約0.1dl/g〜約0.83dl/g、あるいは約0.2dl/g〜約0.65dl/g、またはあるいは約0.5dl/g〜約0.60dl/gの固有粘度(IV)を有することができる。一般に、流体の粘度は、せん断応力または引張応力により徐々に変形することに対して、流体が抵抗する尺度を表す。本明細書で使用する場合、用語「固有粘度」は、溶質の濃度(例えば、溶液中のポリマーの濃度)に対する既知濃度のポリマー溶液の比粘度の比をゼロ濃度に外挿したものを表す。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、固有粘度(ポリマーの性質の標準測定値として広く認識されている)は、ポリマーの重量平均分子量に直接、比例する。ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、ASTM D4603に準拠して、60:40のフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン(TCE)溶液にポリエチレンテレフタレートを溶解することにより決定することができる。本明細書における本開示の目的として、約0.83dl/g未満の固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートは、「低い固有粘度のポリエチレンテレフタレート」(「低IV PET」)と呼ばれ、約0.83dl/g以上の固有粘度を有するポリエチレンテレフタレートは、「高い固有粘度のポリエチレンテレフタレート」(「高IV PET」)と呼ばれる。
【0095】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、約10meq/kg〜約150meq/kg、あるいは約10meq/kg〜約100meq/kg、またはあるいは約20meq/kg〜約50meq/kgの量のカルボン酸末端基含有率を有することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、カルボン酸末端基の数を修正する方法は、ポリエチレンテレフタレートを製造するために使用される方法に依存する。
【0096】
一実施形態では、ポリエステル(例えば、PET、低いIV PETなど)は、任意の好適な方法により製造することができる。
【0097】
一実施形態では、低いジエチレングリコール由来の含有率を有するポリエチレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレートの総重量に基づくと、約0.1重量%〜約4重量%)は、マンガン、亜鉛、チタン、アンチモンまたはリチウム触媒の存在下で、ジアルキルテレフタレート(例えば、テレフタル酸ジメチル(DMT))およびエチレングリコールをエステル交換して、重合度1、2または3を有する低分子量エステルからなる混合物である、エステル交換生成物を形成させることにより調製することができ、この場合、末端基の大部分はグリコキシルである。このような実施形態では、次に、エステル交換反応生成物は、触媒の存在下でさらに重合されて、高分子量ポリマーにすることができる。IVは、例えば、最終生成物の重合度を調節することにより、調節することができる。カルボン酸末端基の所望のレベルを得るために、例えば、直鎖ポリエチレンテレフタレートを調製する方法の1つは、反応の透明点に到達するのに有効な条件下で、テレフタル酸を過剰量のエチレングリコールと反応させるステップ、25℃において60:40のフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン中、ASTM D4603に準拠して測定すると、約0.7dl/g未満のIV、および約100meq/kg未満のカルボン酸末端基数を有するオリゴマーを生成するのに有効な条件下で、上記の濁りのない反応生成物を予め重合するステップ、および25℃において60:40のフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン中、ASTM D4603に準拠して測定すると、約0.4dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度、および約10meq/kg〜約100meq/kgのカルボン酸末端基数を有する直鎖ポリ(アルキレンテレフタレート)樹脂(例えば、低IV PET)を生成するのに有効な条件下で、上記のオリゴマーを重縮合するステップを含む。
【0098】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、リサイクルPETから誘導することができる。本開示における使用に好適なリサイクルPETの非限定例には、使用後の廃棄PET、スクラップPET(例えば、成形物品から切り取られたPETなど)、PETフレーク、PETフィルム、PET繊維、品質不良により不合格となったPET物品など、またはこれらの組合せが含まれる。リサイクルPETを製造ラインに加えて、PETを作製することができるか、または100%リサイクル/スクラップ材料として再粉砕形態で使用することができるか、またはバージンPETを混合することができる。一部の実施形態では、リサイクルPETは、約5未満の黄色度指数(YI)を有する無色とすることができる。一般に、YIは、透明または白色から黄色である試験試料の色変化を説明する、分光光度データから算出される数である。一実施形態では、リサイクルPETは、ポリ塩化ビニル(PVC)を、該リサイクルPETの総重量に対して約0.1重量%未満有する。
【0099】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ポリエチレンテレフタレートポリマーは、他のポリエステル単位、例えば、他のジオール(例えば、エチレングリコール以外のジオール)、例えば脂肪族ジオールから誘導される単位を含有することができる。
【0100】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、例えば脂肪族ジオール、すなわち2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)などの、エチレングリコール以外のジオール;脂肪族多価アルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール;脂環式ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノールなど、またはこれらの組合せに由来する基を含有する。
【0101】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、エチレングリコール以外のジオールに由来する基を、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約20重量%未満、あるいは約10重量%未満、あるいは約5重量%未満、またはあるいは約1重量%未満の量で含有する。一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する基を、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約1重量%未満の量で含有する。
【0102】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは直鎖とすることができ、該ポリエチレンテレフタレートは、プロトン核磁気共鳴分光法によって決定すると、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約3重量%未満、あるいは約2重量%未満、あるいは約1重量%未満の環式ポリエステルを含み得る。一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、プロトン核磁気共鳴分光法によって決定すると、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、環式ポリエステルを含み得ない。
【0103】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、例えばイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸(ナトリウム塩)、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホジカルボン酸、トリメリト酸、ピロメリット酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、これらの塩、これらのエステル、これらの無水物など、またはこれらの組合せなどの、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する基を含有する。
【0104】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する基を、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約20重量%未満、あるいは約10重量%未満、あるいは約5重量%未満、またはあるいは約1重量%未満の量で含有する。一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、イソフタル酸に由来する基を、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約5重量%未満の量で含有する。
【0105】
一実施形態では、ポリエチレンテレフタレートは、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する基を、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約1重量%未満の量で、およびイソフタル酸に由来する基を、該ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約5重量%未満の量で含有する。
【0106】
一実施形態では、低IV PETは、約25,000D以上、あるいは約25,000Da〜約75,000Da、またはあるいは約45,000Da〜約60,000DaのMwであることを特徴とすることができる。
【0107】
一実施形態では、低いIV PETは、10℃/分の加熱速度で、示差走査熱量測定(DSC)によりASTM D3418に準拠して決定すると、約240℃〜約260℃、あるいは約245℃〜約255℃、またはあるいは、約255℃〜約260℃の融点であることを特徴とすることができる。
【0108】
一実施形態では、低いIV PETは、約70℃〜約90℃、あるいは約80℃〜約85℃、またはあるいは約81℃〜約83℃の単一ガラス転移温度(Tg)であることを特徴とすることができる。
【0109】
一実施形態では、ポリエステルは、5kgの重量負荷下、265℃においてASTM D1238に準拠して測定すると、10分あたり約5立方センチメートル(cc)(cc/10分)〜約150cc/10分、あるいは約7cc/10分〜約125cc/10分、あるいは約9cc/10分〜約110cc/10分、またはあるいは約10cc/10分〜約100cc/10分のメルトボリュームレート(cc/10分)であることを特徴とすることができる。
【0110】
一実施形態では、ポリエステルは、例えば、DAK Americasから入手可能な中程度のIV製品である、LASER+C(C61A)ポリエチレンテレフタレート樹脂などの市販のポリエステル;Akra Polyesters S.A.de C.V.から入手可能な「5F0441RP」という商標名の低IV PET;Eastman Chemical Companyから入手可能なコポリエステルであるTRITAN TX2001;およびGoodfellowから入手可能なPENポリマーであるKALADEX ES366300など、またはこれらの組合せを含む。
【0111】
一実施形態では、ポリエステルは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物内に、該キャパシターフィルム用ポリマー組成物の総重量に対して、約0.1重量パーセント(重量%)〜約40重量%、あるいは約1重量%〜約35重量%、あるいは約5重量%〜約30重量%、またはあるいは約15重量%〜約25重量%の量で存在することができる。
【0112】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、例えば、安定剤(例えば、抗酸化剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線(UV)吸収添加剤、消光剤、可塑剤、滑沢剤、潤滑油、帯電防止剤、難燃剤、抗ドリップ剤、照射安定剤、フルオロポリマー、顔料、色素、微粒子フィラー、ガラス、炭素繊維、雲母、タルク、追加のポリマー(例えば、アモルファスポリマー)、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、脂肪酸、シロキサン、ワックスなど、またはこれらの組合せなどの、ポリマー組成物の1つまたは複数の特性を改善するための添加剤をさらに含む。このような実施形態では、添加剤は、組成物の重量基準でフッ素が約10重量%を超えないよう、シリコーンが約1,000ppmを超えないよう、または他には、ポリマー組成物の所望の特性に有意に悪影響を及ぼさないよう、選択され得る。一実施形態では、添加剤は、約250Da未満の分子量を有する化合物を約1,000ppm未満もたらす量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在することができる。
【0113】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、例えば、リン含有安定剤、有機リン化合物、二官能性リン含有化合物、ホスファイト、トリアリールホスファイト、ホスホナイト、アリールスルホネート、立体障害フェノールなど、またはこれらの組合せなどの抗酸化剤を含むことができる。他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、安定剤、例えば、リン含有安定剤を含まない。一実施形態では、リン含有安定剤は、約300Da以上の重量平均分子量を特徴とすることができる。
【0114】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、2種以上のリン含有安定剤を含むことができる。このような実施形態では、リン含有安定剤は、同一タイプまたは異なるタイプとすることができる。例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、2種のホスファイト、または1種のホスファイトと1種のホスホナイトを含むことができる。
【0115】
本開示における使用に好適なホスファイトおよびホスホナイトの非限定例は、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル) 4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィラン、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニルジホスホナイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(PEPQ)など、またはこれらの組合せを含む。
【0116】
一実施形態では、リン含有安定剤は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0.005重量%〜約3重量%、またはあるいは約0.01重量%〜約1.0重量%の量で存在することができる。
【0117】
一実施形態では、リン含有安定剤は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0重量%〜約2重量%、あるいは約0重量%〜約1.0重量%、またはあるいは約0.5重量%〜約1.0重量%の量で存在することができ、リン含有安定剤は、約500Da以上の重量平均分子量を特徴とすることができる。
【0118】
一実施形態では、リン含有安定剤は、IRGAPHOS168を含み、これは、Ciba Chemical Co.から市販の、トリス−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトである。一実施形態では、リン含有安定剤は、DOVERPHOS S−9228を含み、これは、Dover Chemical Co.から市販されている。
【0119】
一実施形態では、抗酸化剤は、例えばアルキル化モノフェノール、アルキル化ビスフェノール、ポリフェノールなど、またはこれらの組合せなどの立体障害フェノールを含む。
【0120】
本開示における使用に好適なアルキル化モノフェノールの非限定例は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール;2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール;2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール;2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール;2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール;側鎖が直鎖または分岐状であるノニルフェノール;2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール;2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノールなど、またはこれらの組合せを含む。
【0121】
本開示における使用に好適なアルキリデンビスフェノールの非限定例は、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α、α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンなど、またはこれらの組合せを含む。
【0122】
一実施形態では、立体障害フェノールは、約300Da以上の分子量を特徴とすることができる。このような実施形態では、立体障害フェノールの分子量は、例えば、約300℃以上の温度などの、高い加工温度において、ポリマー溶融物中に立体障害フェノール部分を保持する一助となり得る。
【0123】
一実施形態では、立体障害フェノールは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0.005重量%〜約2重量%、またはあるいは約0.01重量%〜約1.0重量%の量で存在することができる。
【0124】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、該組成物の特性、例えば、比誘電率、熱膨張係数などを調節するために、1種または複数の微粒子フィラーを含むことができる。他の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、微粒子フィラーを含まない。
【0125】
本開示における使用に好適な微粒子フィラーの非限定例には、シリカ粉末、ヒューズドシリカ、結晶性シリカ;窒化ホウ素粉末、ホウ素−シリケート粉末;アルミナ、酸化マグネシウム(マグネシア);シリケートスフィア(silicate sphere);粉塵;セノスフェア;アルミノシリケート(アルモスフェア(armosphere));天然ケイ砂;石英;珪岩;酸化チタン、チタン酸バリウム、バリウムストロンチウム、五酸化タンタル、トリポリ;珪藻土;合成シリカなど;またはこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、微粒子フィラーは、シランにより表面処理されて、ポリマー組成物との接着性および分散性が改善され得る。
【0126】
一実施形態では、微粒子フィラーは、所望の物理特性をもたらすのに有効な量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在することができる。一実施形態では、微粒子フィラーは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総体積に対して、約0.1体積%〜約50体積%、あるいは約0.1体積%〜約40体積%、あるいは約5体積%〜約30体積%、あるいは約5体積%〜約20体積%の量で存在することができる。
【0127】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、少なくとも1つの追加のポリマーをさらに含むことができ、該追加のポリマーは、フッ素またはケイ素を該組成物の総重量に対して、約10重量%を超えてもたらさないよう、または他には該組成物の所望の特性に有意に悪影響を及ぼさないよう、選択される。
【0128】
本開示における使用に好適な追加のアモルファスポリマーの非限定例には、ポリ(フェニレンスルホン)、ポリ(スルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリカーボネート、ポリエーテルイミドシロキサンなど、これらのブレンド、これらのコポリマー、またはこれらの組合せが含まれる。
【0129】
一実施形態では、追加のポリマーは、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0重量%〜約12重量%、あるいは約0.1重量%〜約10重量%、またはあるいは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在することができる。
【0130】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、約200℃を超える温度用途において使用するよう意図されている組成物の場合、例えば、フルオロ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)などのフルオロポリマー、および約200℃未満の温度用途において使用するよう意図されているキャパシターフィルムの摩擦係数を低下させるため、滑りを改善するためおよびキャパシターフィルムの加工の一助とするためのフィラーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)およびポリ(エテン−co−テトラフルオロエテン)(ETFE)をさらに含むことができる。
【0131】
一実施形態では、添加剤(いかなるフィラーも除外する)は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中、該組成物の総重量に対して、約0.005重量%〜約20重量%、またはあるいは約0.01重量%〜約10重量%の量で存在することができる。
【0132】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル、ならびに任意の任意選択の添加剤を合わせると(例えば、接触、ブレンド、混合など)、任意の好適な混合手段を使用することによって、キャパシターフィルム用ポリマー組成物を得ることができる。一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル、ならびに任意の任意選択の添加剤は、緊密なブレンドを形成するための条件下で合わせることができ、このような条件は、一軸または二軸押出機、混合ボウル、または一緒に合わされる構成成分にせん断を適用することができる類似の混合装置もしくはブレンド装置での溶融混合を含むことができる。一部の実施形態では、二軸押出機は、一軸押出機よりも、二軸押出機の方が一層の強力な混合能力および自己拭き取り能力があるために好ましいものとなり得る。
【0133】
一実施形態では、押出機における少なくとも1つの通気導入口からブレンド組成物に真空を適用して、該組成物中の揮発性不純物を除去することが有利となり得る。一実施形態では、溶融前に、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル、ならびに任意の任意選択の添加剤を乾燥する(例えば、できる限り水が含まれない)のが有利となり得る。
【0134】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の溶融加工は、ブレンドされていない構成成分を何も含まない緊密なポリマー混合物を得るのに十分な溶融を依然として可能にしながら、ポリマーの過剰分解を回避するため、約290℃〜約360℃の温度で行うことができる。一実施形態では、コンパウンディングは、機械中のポリマー組成物の滞留時間が短く、温度が慎重に制御され得、かつ摩擦熱が利用されて、その結果、構成成分間の緊密なブレンドを得ることができるのを確実とするよう実施することができる。
【0135】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物はまた、例えば、約1ミクロン〜約100ミクロン、あるいは約25ミクロン〜約100ミクロン、またはあるいは約40ミクロン〜約100ミクロンの細孔サイズまたはアパーチャーサイズを有するポリマーキャンドルフィルターまたはスクリーンフィルターなどの、任意の好適なポリマーフィルター装置を使用して溶融ろ過を行い、望ましくない黒色小片(black speck)または他の不均一な汚染物質、例えば、約1ミクロン超の直径を有する任意の粒子を除去することもできる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、ろ過装置が、例えば、1ミクロンの細孔サイズまたはアパーチャーサイズを有する場合、このようなろ過装置は、1ミクロン以上のサイズの固体粒子のすべてを留め、1ミクロン未満のサイズを有する固体粒子を通過させる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、除去することができる固体粒子のサイズは、ろ過装置の細孔サイズまたはアパーチャーサイズに関して言及されたものであり、このような固体粒子の形状および関連する物理寸法に関するものではない。
【0136】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル、ならびに任意の任意選択の添加剤は、押出成形コンパウンダーに入れて、連続した糸状のものを製造し、これを冷却して、次にペレット(例えば、押出成形ペレット)に切断することができる。別の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル、ならびに任意の任意選択の添加剤は、乾式ブレンドにより混合して、次に、ミルで流体にして粉砕または押出成形し、ペレットに切断することができる。さらに別の実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル、ならびに任意の任意選択の添加剤はまた、本明細書の後でより詳細に記載されている通り、混合して、直接、押出成形し、フィルムを形成することができる。さらに別の実施形態では、ポリマー組成物のペレットは溶融されて、次に、押出成形されてフィルムを形成することができる。
【0137】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、混和性ポリマーブレンドを含み、該ポリマー組成物は、示差走査熱量測定(DSC)により測定すると、約125℃〜約250℃、あるいは約130℃〜約240℃、あるいは約135℃〜約230℃、あるいは約150℃〜約220℃、またはあるいは約160℃〜約210℃、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、あるいは約200℃以上、あるいは約210℃以上、またはあるいは約220℃以上のガラス転移温度(Tg)が1つあることを特徴とすることができる。
【0138】
一般に、混和性ポリマーブレンドは、2種以上のポリマーからなる混合物を指し、この場合、この混合ポリマーは、一緒に溶融すると、一相(例えば、1つのポリマーとして挙動する)として挙動する、すなわち、この混合ポリマーは1つのTgを示す。対照的に、非混和性ポリマーブレンドは、2種以上のポリマーからなる混合物を指し、この混合ポリマーは、一緒に溶融すると、相分離する、すなわち、この混合ポリマーは2つ以上のTgを示す。例えば、2つの混和性ポリマーの場合、一緒に混合すると、これらのポリマーは相分離し、これらの相は分散することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、2つのポリマーが一緒に混合された場合、2つのポリマーの場合、これらのポリマーが混和性となって、混和性ポリマーブレンドを形成することができる、ある種の混合比のみ存在する。一実施形態では、本明細書において開示されているポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステルは、約60:40〜約99.9:0.01の重量比の(ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン):ポリエステルで混合して、混和性ポリマーブレンドを形成することができる。さらに、本明細書において開示されているポリエーテルイミドおよびポリエーテルイミドスルホンは、任意の比で混合されて、混和性ポリマーブレンドを形成することができる。
【0139】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、押出成形ペレットの外観を特徴とすることができ、この押出成形ペレットの外観は透明(例えば、曇りがない)である。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、2つの透明なポリマーがブレンドされた場合、得られたブレンドの外観は、これらのポリマーの混和性に依存する。一般に、2つの透明なポリマーが混合されて、混和性ポリマーブレンドが形成される場合、この混和性ポリマーブレンドは透明となり得る。さらに、2つの透明なポリマーが混合されて、非混和性ポリマーブレンドが形成された場合、この非混和性ポリマーブレンドは、該ポリマーが相分離するので、不透明で、濁りがある非透明なものとなり得る。
【0140】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、約1.25〜約1.35、あるいは約1.27〜約1.33、またはあるいは約1.28〜約1.31の比重であることを特徴とすることができる。一般に、比重は、水の密度に対する物質の密度の比を表し、この場合、物質の密度および水の密度は、同じ温度で測定される。ポリマーの密度は、一般に、g/ccで表され、ASTM D1505に準拠して決定することができる。
【0141】
一実施形態では、本明細書において開示されているポリエステルは、本明細書において開示されているポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの比重と比べて、比較的高い比重を有することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の比重は、対応するポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンそれ自体の比重よりも高く、ひいては、ブレンド(例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物)内の自由体積を低下させ、その結果、電気性能を向上させる。さらに、当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、物質における自由体積は、このような物質から製造された誘電性フィルムにおける公知の故障機構である。一般に、物質の自由体積は、所与の分子が自由に動き回る物質内の体積と見なされる。
【0142】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度の比が、約1〜約10、あるいは約2〜約9、またはあるいは約2.5〜約8.5であることを特徴とすることができる。
【0143】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、6.7キログラム(kg)の重量負荷下、295℃〜337℃においてASTM D1238に準拠して測定すると、10分あたり約1立方センチメートル(cc)(cc/10分)〜約40cc/10分、あるいは約2.5cc/10分〜約35cc/10分、あるいは約4.5cc/10分〜約13cc/10分、またはあるいは約20cc/10分〜約37cc/10分のメルトボリュームレートであることを特徴とすることができる。
【0144】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約100℃〜約225℃、あるいは約110℃〜約215℃、あるいは約115℃〜約200℃、あるいは約150℃以上、あるいは約160℃以上、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、またはあるいは約200℃以上の熱変形温度または熱たわみ温度(HDT)を特徴とすることができる。物質のHDTは、一般に、この物質が特定されている負荷の元で変形する温度を指す。
【0145】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、フラットダイを使用する熱可塑性組成物に慣用的に使用されている押出機を使用して、押出成形することができる。一般に、押出キャストフィルム法は、押出機中でポリマー組成物を溶融して、溶融ポリマーを形成するステップ;小さなリップ間隔分離のフラットダイに該溶融ポリマーを運搬して、フィルム(例えば、押出成形フィルム)を形成するステップ;巻き取りローラー上に該フィルムを引っ張り、このフィルムを比較的高い巻き取り速度で延伸するステップ;およびフィルム中のポリマーの冷却/固化により、最終フィルムを形成するステップを含む。押出機は、一軸または二軸設計とすることができ、溶融ポンプも使用して、ダイを通るポリマーが一定の非脈動流をもたらすよう使用することができる。一実施形態では、ダイは、約100ミクロン〜約200ミクロンのダイリップ間隔を特徴とすることができる。一実施形態では、巻き取りローラーは、最大約200m/分の速度(例えば、巻き取り速度)で運転することができる。キャパシターフィルムは、フラットダイを通って押出成形することができ、フィルムが巻き取りローラーに引っ張られるにつれて、フィルムが、フィルムの移動方向に延伸されて(例えば、一軸延伸)、一軸延伸キャパシターフィルムを形成することができる。一実施形態では、押出機の設計はまた、フィルムを焼き戻し/アニーリングするために加熱ロールを追加して含み、こうして凍結した内部応力の発生を最小化することもできる。フィルムの縁を切りそろえ、このフィルムを張力制御式巻き取り機構を使用するロール上に巻き取ることができる。
【0146】
一部の実施形態では、市販の官能基化フィラーおよび/または実験的に官能基化されたフィラーが、ポリマー組成物中で均一に分散されて(例えば、ポリマー組成物にコンパウンドされて)、コンポジット材料を形成し、その後、該コンポジット材料を薄化フィルムに延伸することができる。このような実施形態では、ポリマー組成物にフィラーをコンパウンドして均一な分散液を得るのは、個別の押出機で、またはあるいはポリマーの溶融を行うために使用される同じ押出機で行った後、フィルムに延伸することができる。一実施形態では、ポリマー組成物にフィラーをコンパウンドするのは、ポリマーの溶融を行うために使用される同じ押出機で行った後、フィルムに延伸することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、溶融ポリマーをダイに一定かつ均一な流れで正確に送り込むこと、フィルムを作製するために使用されるポリマーのレオロジー特性、ポリマー組成物と装置の両方が汚れていないこと、および巻き取り機構の機械的特性が、比較的小さな厚さ(例えば、約20ミクロン未満)を有する押出成形フィルムを首尾良く調製するのに寄与する。
【0147】
一実施形態では、押出キャストフィルム法を一段階法とすることができ、より大きなサイズの装置にまで規模を変えることが可能であり、いかなる溶媒の使用も必要としない。比較的高い分子量および/または高いガラス転移温度のポリマーの例でさえも、この押出成形法(例えば、押出キャストフィルム法)は、ポリマー組成物の熱的または機械的分解を引き起こす恐れがある過剰温度をもたらさない、ポリマーの環境を実現するよう、適切に設計され得る。一実施形態では、溶融ポリマー用のろ過装置の使用により、ゲルおよび黒色小片などの汚染物質を実質的に含まないフィルムを生成することができ、これらの汚染物質は、溶融ポリマーから適切に除去されない場合、得られるフィルムの絶縁性能に害をなす恐れがある。一実施形態では、押出キャストフィルム法によって生成されたフィルムは、フィルムの幅全体に均一な厚さの薄化フィルム(例えば、厚さが約50ミクロン未満、および一層薄い)、しわまたは表面の波打ちがほとんどなく平坦である(例えば、滑らか、しわのないなど)、および汚染物質混入が比較的ないものとすることができる。
【0148】
一実施形態では、溶融ポリマーは、溶融ポンプを使用して、フラットダイに運ぶことができる。一実施形態では、フィルムは、約250℃〜約500℃、またはあるいは約300℃〜約450℃の温度で押出成形することができる。一実施形態では、押出成形フィルムは、一軸延伸されて、誘電性フィルム基材を生成することができる。
【0149】
一実施形態では、キャパシターフィルムの形成は、キャパシターフィルム用ポリマー組成物の構成成分を合わせ、溶融し、緊密に混合して溶融ポリマーを形成するステップ、該溶融ポリマーをろ過して約1マイクロメートル超の粒子を除去し、ろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、該ろ過済み溶融ポリマーを約250℃〜約500℃、あるいは約275℃〜約400℃、またはあるいは約300℃〜約450℃の温度でフラットダイに通して押出成形し、押出成形フィルムを形成するステップ、および該押出成形フィルムを一軸延伸して、誘電性フィルム基材(例えば、キャパシターフィルム、一軸延伸キャパシターフィルム)を形成するステップを含む。延伸後、このキャパシターフィルムは、本明細書の後でより詳細に記載される通り、金属化する、または保管もしくは輸送するために、巻き取りロールに巻き付けることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターフィルムの組成物および製造方法は、所望の性能特性、特に電気特性を実現するために、さまざまとすることができる。
【0150】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、約10メートル以上、あるいは約100メートル超、またはあるいは約10,000メートル超のフィルム長さを有することができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、約300mm以上、あるいは約300mm超、またはあるいは約3,000mm超のフィルム幅を有することができる。
【0151】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムが押出成形され得る速度は、さまざまとなり得る。一実施形態では、キャパシターフィルムが押出成形され得る速度は、約10lbs/時(4.5kg/時)〜約1000lbs/時(500kg/時)とすることができる。
【0152】
一実施形態では、巻き取り速度(例えば、キャパシターフィルムが押出機のダイプレートから引き出すことができる速度)は、約10メートル/分(m/分)〜約300m/分、あるいは約50m/分〜約275m/分、またはあるいは約100m/分〜約250m/分の範囲とすることができる。
【0153】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、高収率押出成形フィルムを含み、該キャパシターフィルム(例えば、高収率押出成形キャパシターフィルム)は、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して(例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在している、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルの総重量)、例えば、押出成形前のキャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在している、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルの、約90重量%以上、あるいは約92重量%超、あるいは約94重量%超、あるいは約96重量%超、またはあるいは約98重量%超を含む。一実施形態では、キャパシターフィルムは、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを含む。
【0154】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、例えば第1のフィルム面および第2のフィルム面などの、2つの面(例えば、2つの対向する面)を有する。一実施形態では、キャパシターフィルムの少なくとも一方の面(例えば、第1のフィルム面、第2のフィルム面)は、金属化され得、金属層は、フィルムの少なくとも一部に堆積されて、金属化キャパシターフィルムを得ることができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、キャパシターフィルムの少なくとも一方の面(例えば、第1のフィルム面、第2のフィルム面)の少なくとも一部分が金属化され得、キャパシターフィルムの少なくとも一方の面は、滑らかな面とすることができる。一般に、キャパシターフィルムの滑らかな面は、本明細書の後でより詳細に記載されている通り、光学式形状測定法によって決定すると、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する面を指す。
【0155】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムの所期の使用に応じて、様々な金属が、キャパシターフィルムを金属化するために使用され得る。本開示における使用に好適な金属(例えば、導電性金属)の非限定例には、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、亜鉛、チタン、クロム、バナジウム、タンタル、ニオブ、黄銅など、またはこれらの組合せが含まれる。
【0156】
一実施形態では、ポリマー組成物を含むキャパシターフィルムの金属化の方法は、真空金属蒸着、高温真空蒸着、化学蒸着、原子層堆積、金属スパッタリング、プラズマ処理、電子ビーム処理、化学的酸化反応または還元反応、無電解湿式化学蒸着など、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、キャパシターフィルムは、無電解めっきにより両面が金属化され得る。別の実施形態では、パターン化された金属層が、例えば、インクジェット印刷により、キャパシターフィルムの表面に形成され得る。
【0157】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、金属層の厚さは、金属化フィルムの所期の使用によって決定される。一実施形態では、キャパシターフィルム上で堆積される金属層は、約1オングストローム〜約1,000ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約500ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約10ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約3,000オングストローム、あるいは約1オングストローム〜約2,820オングストローム、あるいは約1オングストローム〜約2,000オングストローム、またはあるいは約1オングストローム〜約1,000オングストロームの金属層の厚さであることを特徴とすることができる。
【0158】
一実施形態では、キャパシターフィルム上に堆積させた金属層は、導電性金属を含む。このような実施形態では、金属層は、ASTM D257に準拠して測定すると、金属層の抵抗率が、約0.1〜約1,000オーム/スクエア、あるいは約0.1〜約500オーム/スクエア、またはあるいは約0.1〜約100オーム/スクエアであることを特徴とすることができる。
【0159】
一実施形態では、金属化されることになるキャパシターフィルムの表面は、例えば、金属層の粘着性を増強するため、前処理され得る。本開示における使用に好適なフィルムの前処理法の非限定例は、洗浄、火炎処理、プラズマ放電、コロナ放電など、またはこれらの組合せを含む。
【0160】
一実施形態では、1つまたは複数の付加の層が、金属層上に、例えば、クリアコート(例えば、耐ひっかき性をもたらすよう、ポリ(メタクリル酸メチル)および/またはポリ(メタクリル酸エチル))および/またはポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホン、ポリエステル、またはこれらの組合せ)のフィルムの別の層に堆積させて、ラミネートを形成することができる。
【0161】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、示差走査熱量測定(DSC)により測定すると、約125℃〜約250℃、あるいは約130℃〜約240℃、あるいは約135℃〜約230℃、あるいは約150℃〜約220℃、あるいは約160℃〜約210℃、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、あるいは約200℃以上、あるいは約210℃以上、またはあるいは約220℃以上のTg(例えば、1つのTg)であることを特徴とすることができる。
【0162】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステルは、それぞれ、キャパシターフィルムの1つのガラス転移温度をもたらすのに有効な量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物(例えば、混和性ポリマーブレンド)中に存在することができる。
【0163】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、透明(例えば、曇りがない)であるフィルムの外観を特徴とすることができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムが透明な混和性ポリマーブレンドから調製される場合、得られたフィルムの外観は透明となり得る。フィルムの外観は、フィルム表面の目視検査によって評価することができる。
【0164】
一実施形態では、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステルは、それぞれ、混和性ポリマーブレンドをもたらすのに有効な量で、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に存在することができる。
【0165】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約100℃〜約225℃、あるいは約110℃〜約215℃、あるいは約115℃〜約200℃、あるいは約150℃以上、あるいは約160℃以上、あるいは約170℃以上、あるいは約180℃以上、あるいは約190℃以上、またはあるいは約200℃以上のHDTであることを特徴とすることができる。
【0166】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)において誘電分光分析により測定すると、約0%〜約2%、あるいは約0.1%〜約1.5%、あるいは約0.1%〜約1%、またはあるいは約0.1%〜約0.5%の誘電正接(Df)であることを特徴とすることができる。Dfはまた、損率または誘電損率とも称することができ、一般に、誘電体による熱としての消散力を指す。Dfは、ASTM D150に準拠して測定することができる。RHは、一般に、所与の温度における水蒸気の分圧と平衡水蒸気圧との比として定義することができる。
【0167】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、1kHz、23℃および50%RHにおいて誘電分光分析により測定すると、約0%〜約1%、あるいは約0.1%〜約0.75%、またはあるいは約0.1%〜約0.5%の誘電正接(Df)であることを特徴とすることができる。
【0168】
一実施形態では、キャパシターフィルムのDfは、温度の上昇につれて、本質的に変化しないままであり得、例えば、温度の上昇または低下によるいかなるDfの変化も、このようなキャパシターフィルムを含むキャパシターの物理特性および/または電気特性に悪影響を及ぼして干渉することはない。一実施形態では、キャパシターフィルムのDfは、約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約185℃、あるいは約0℃〜約175℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃の温度では、本質的に変化しないままである。
【0169】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約2〜約5、あるいは約3〜約5、あるいは約2.5〜約4.5、またはあるいは約3〜約4の比誘電率(Dk)であることを特徴とすることができる。一般に、Dkは、キャパシター誘電体として使用する場合、電荷を貯蔵する物質の能力を指す。Dkは、比で測定されるので、無次元値である。
【0170】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、キャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のTgまで、あるいはキャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のTgより約10℃低い温度まで、またはあるいはキャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のTgより約20℃低い温度まで、安定なDk値であることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、約250℃まで、約240℃まで、あるいは約230℃まで、あるいは約220℃まで、あるいは約210℃まで、あるいは約200℃まで、あるいは約190℃まで、あるいは約180℃まで、あるいは約175℃まで、あるいは約170℃まで、またはあるいは約150℃まで、安定なDk値であることを特徴とすることができる。
【0171】
一実施形態では、キャパシターフィルムのDkは、温度の向上につれて、本質的に変化しないままであり得、例えば、温度の上昇または低下によるいかなるDkの変化も、このようなキャパシターフィルムを含むキャパシターの物理特性および/または電気特性に悪影響を及ぼして干渉することはない。一実施形態では、キャパシターフィルムのDkは、約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約185℃、あるいは約0℃〜約175℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃の温度では、本質的に変化しないままである。一部の実施形態では、キャパシターフィルムのDkは、約0℃からキャパシターフィルムを生成するために使用されるポリマー組成物のおよそのTgまでの温度範囲内、またはあるいは約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約190℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃の温度範囲内の最高のDk値に対して、約20%未満、あるいは約10%未満、またはあるいは約10%未満まで変動し得る。
【0172】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、しわのない少なくとも1つの領域(例えば、しわのない領域)があることを特徴とすることができ、しわのない領域は、十分に平坦で滑らかであり、その結果、キャパシターフィルムの表面が金属化されて、この金属化フィルムは、有利には、一貫した表面モルホロジーを有する。
【0173】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、約50ミクロン未満、あるいは約40ミクロン未満、あるいは約30ミクロン未満、あるいは約20ミクロン未満、あるいは約15ミクロン未満、またはあるいは約10ミクロン未満のフィルム厚さであることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、約0.1ミクロン〜約50ミクロン、あるいは約0.1ミクロン〜約20ミクロン、あるいは約0.1ミクロン〜約15ミクロン、あるいは約0.1ミクロン〜約10ミクロン、またはあるいは約0.1ミクロン〜約7ミクロンのフィルム厚さであることを特徴とすることができる。
【0174】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、フィルムの厚さは、しわのない領域全体に均一で、さまざまとなり得る。一般に、キャパシターフィルムのしわのない領域の平坦性は、特定のエリア全体にわたるフィルムの厚さのばらつきを測定することにより決定することができる。本明細書における開示の目的として、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対してフィルム厚さの約+/−10%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−9%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−8%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−7%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−6%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−5%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−4%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−3%未満、あるいは、フィルム厚さの約+/−2%未満、またはあるいは、フィルム厚さの約+/−1%未満となる、フィルム厚さのばらつきがあることを特徴とする場合、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、「平坦」と見なすことができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−1%未満のフィルム厚さのばらつきであることを特徴とすることができる。
【0175】
一般に、フィルムの表面のしわのない領域の滑らかさは、光学式形状測定法によって表面の平均表面粗さ(Ra)を測定することにより定量することができる。一般に、表面の粗さは、表面の不規則性を定義することを言う。Raは、このような表面の不規則性の個々の高さおよび深さの平均をもたらす。本明細書における開示の目的として、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さ対して、約+/−3%未満、あるいは約+/−2%未満、あるいは約+/−1%未満のRaであることを特徴とする場合、しわがないと見なすことができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、光学式形状測定法により測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満のRaであることを特徴とすることができる。
【0176】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきであること、および光学式形状測定法によって測定すると、フィルムの平均厚さに対して、約+/−3%未満のRaであることを特徴とすることができる。
【0177】
一般に、キャパシターフィルムは、フィルム表面積を特徴とすることができ、該フィルム表面積は、第1のフィルム面面積および第2のフィルム面面積を含めた、キャパシターフィルムの総面積を表す。
【0178】
一実施形態では、しわのない領域は、広いフィルム表面積全体に生成することができる。一実施形態では、フィルムの全表面積の少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約97%は、しわがないものとすることができる。
【0179】
別の実施形態では、しわのない領域は、少なくとも約1平方メートル(m)、あるいは少なくとも約2m、あるいは少なくとも約3m、あるいは少なくとも約5m、あるいは少なくとも約10m、あるいは少なくとも約20m、あるいは少なくとも約50m、またはあるいは少なくとも約100mの、連続したしわのない領域を有することができる。
【0180】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、大きなサイズのしわのない領域により、金属化キャパシターフィルムをロール形態で、製造、保管および輸送することができるという製造上のかなりの利点がもたらされる。
【0181】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、約1メートル(m)〜約10,000m、あるいは約10m〜約1,000m、またはあるいは約100m〜約10,000m、またはあるいは約100m〜約500mのフィルム長さであることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルムは、約100mm〜約3,000mm、あるいは約200mm〜約2,000mm、あるいは約300mm〜約3,000mm、またはあるいは約100mm〜約1,000mmのフィルム幅であることを特徴とすることができる。
【0182】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、少なくとも約10mのフィルム長さおよび少なくとも約300mmのフィルム幅を有することができ、フィルムの全表面積の少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約97%が、しわのないものとすることができる。
【0183】
別の実施形態では、キャパシターフィルムは、約10m〜約10,000mのフィルム長さおよび約300mm〜約3,000mmのフィルム幅を有することができ、フィルムの全表面積の少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約97%が、しわのないものとすることができる。
【0184】
一実施形態では、しわのない領域は、キャパシターフィルムが金属化されて、該領域全体に実質的に均質な破壊強度(BDS)のある金属化キャパシターフィルムをもたらすよう、十分に滑らかで平坦とすることができる。一実施形態では、しわのない領域は、キャパシターフィルムが金属化されて、本明細書の後でより詳細に記載される通り、少なくとも300ボルト/マイクロメートル(V/ミクロン)のBDSを有する金属化キャパシターフィルムをもたらすよう、十分に滑らかで平坦とすることができる。
【0185】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、非金属化キャパシターフィルム)は、10ミクロンのフィルムについて、23℃および50%RHにおいて、ASTM D149に準拠して測定すると、約100V/ミクロン〜約1,500V/ミクロン、あるいは約200V/ミクロン〜約1,250V/ミクロン、あるいは約300V/ミクロン〜約1,000V/ミクロン、あるいは約500V/ミクロン〜約800V/ミクロン、またはあるいは約600V/ミクロン〜約800V/ミクロンのBDSであることを特徴とすることができる。一般に、BDSは、物質が破壊するまで耐えることができる、最大電場(例えば、エネルギー密度)を表す。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、電気特性(例えば、Dk、BDSなど)の改善により、以下の理論式(2)に基づくエネルギー密度が有意に向上する:
エネルギー密度=1/2εoDkBDS (2)
(式中、線形法則およびべき法則は、それぞれ、エネルギー密度とDkとBDSとの間の関係を記載したものであり、εoは、自由空間の誘電率を表す定数である)。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、高温および高い周波数において、他の特性、すなわちDkおよびDfに影響を及ぼすことなく、物質のBDSを高めるのはとりわけ困難である。BDSの25%の向上により、エネルギー密度が56%向上する一方、Dkの変化は直線的に変動することに留意すべきである。
【0186】
一実施形態では、約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約190℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃のキャパシターフィルムのBDSの差異は、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約40%未満、あるいは約30%未満、あるいは約20%未満、またはあるいは約10%未満のBDS値となり得る。
【0187】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、非金属化キャパシターフィルム)は、1kHzおよび約0℃〜約200℃、あるいは約0℃〜約190℃、あるいは約0℃〜約170℃、またはあるいは約0℃〜約150℃において、23℃におけるキャパシタンス値に対して、約+/−5%未満、あるいは約+/−4%未満、またはあるいは約+/−3%未満のキャパシタンス差を有することができる。一般に、キャパシタンスとは、材料が電荷を貯蔵する能力を指す。
【0188】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、金属化表面(例えば、アルミニウム表面)および/またはキャパシターフィルムそれ自体の動摩擦係数が、ASTM D1894に準拠して測定すると、約0.75未満、あるいは約0.6未満、またはあるいは約0.5未満となることを特徴とすることができる。一般に、動摩擦係数もしくは滑り摩擦係数、または摩擦係数とも呼ばれる動摩擦係数は、どれくらい大きな摩擦力が2つの固体間、例えば2つの固体表面間に存在するかの尺度である。
【0189】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、金属化表面(例えば、アルミニウム表面)および/またはキャパシターフィルムそれ自体の静摩擦係数が、ASTM D1894に準拠して測定すると、約0.75未満、あるいは約0.6未満、またはあるいは約0.5未満となることを特徴とすることができる。一般に、静摩擦係数は、どちらの表面も動かない場合に、どれくらい大きな摩擦力が2つの固体間、例えば2つの固体表面間に存在するかの尺度である。
【0190】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用してASTM D1938に準拠して測定すると、約0.4N/mm〜約3.5N/mm、あるいは約0.5N/mm〜約3.0N/mm、またはあるいは約1N/mm〜約2.5N/mmの縦方向(MD)のトラウザー引裂強度があることを特徴とすることができる。一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用してASTM D1938に準拠して測定すると、約0.4N/mm〜約3.5N/mm、あるいは約0.5N/mm〜約3.0N/mm、またはあるいは約1N/mm〜約2N/mmの横方向(TD)のトラウザー引裂強度があることを特徴とすることができる。トラウザー引裂強度とは、試験片全体にかかる一定の引き裂き速度での引き裂きを伝播するのに必要な平均力を試験片の厚さで除算したものを指し、1mm未満の厚さを有するフィルムに使用される。引き裂きは、MDまたはTDのどちらかに伝播され得る。
【0191】
一実施形態では、キャパシターフィルムは、約1.35未満、あるいは約1.30未満、またはあるいは約1.25未満の炭素/(酸素+水素)(C/(O+H))比であることを特徴とすることができる。例えば、ポリエーテルイミド(PEI)のC/(O+H)比は、約1.23であり、ポリエーテルイミドスルホン(PEIS)の場合、約1.11であり、ITR−PC−Siの場合、約1.10であり、ポリエチレンナフタレート(PEN)の場合約1.00であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、約0.83であり、ポリフェニレンスルホン(PPSU)の場合、約0.92であり、ポリプロピレン(PP)の場合、約0.50である。さらに、例えば、誘電性能が乏しいことが知られている材料である、ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、C/(O+H)比が約1.50を有する。C/(O+H)比は、チャーの形成に関すると、清浄工程の面で重要となり得る。一般に、自己回復としても公知の清浄は、ピンホール、フィルム傷または外部電圧過渡(external voltage transient)により引き起こされる欠陥を取り除くことを指す。破損の間のアークによって生じる熱は、不具合点周辺のフィルムの金属化薄膜をかなり蒸発させ、それにより、短絡状態が除かれて隔離される。清浄工程に由来する熱は、チャー形成をもたらす恐れがある。理論によって拘泥されることを望むものではないが、PPSの場合のように、C/(O+H)比が高すぎる場合、例えば1.5となる場合、炭素(例えば、チャー)は、厚い層として堆積し、絶縁抵抗率を高め、電力が一層容易に消散される恐れがあり、これは望ましいことではない。
【0192】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、本質的に溶媒不含とすることができ、すなわち、キャパシターフィルムの総重量に対して、約1,000ppm未満、あるいは約750ppm未満、あるいは約500ppm未満、またはあるいは約250ppm未満の溶媒(例えば、約250Da未満のMwを有する化合物)を含有する。
【0193】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、拡大せずに、0.3mの距離で見た場合、少なくとも約3mのエリアにわたり、または少なくとも約9mのエリアにわたり、観察可能な小片またはゲルを有し得ない。
【0194】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、100cmのエリアにおいて、約20ミクロン超の直径を有する、2つ未満、またはあるいは1つ未満の炭化封入体(carbonized inclusion)を含む。
【0195】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、100cmのエリアにおいて、約20ミクロン超の直径を有する、2つ未満、またはあるいは1つ未満のゲルエリアを含む。
【0196】
一実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、キャパシターフィルム、金属化キャパシターフィルム)は、50×の拡大で見た場合、少なくとも約3mのエリアにわたり、または少なくとも約9mのエリアにわたり、観察可能な空隙を有し得ない。
【0197】
一実施形態では、混和性ポリマーブレンドを含む一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含み、該ポリエーテルイミドは、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、該ポリエーテルイミドが、置換または無置換の芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、キャパシターフィルムは、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有しており、ポリエーテルイミドは、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドは、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が約10未満であり、ポリエーテルイミドは、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリエステルは、GPCによって測定すると、約25,000Da〜約75,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエステルは、約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度を有しており、キャパシターフィルムは、約180℃を超えるガラス転移温度を有しており、キャパシターフィルムは、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約160℃以上の熱変形温度を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0.1%〜約0.5%の誘電正接を有しており、キャパシターフィルムは、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約600V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、キャパシターフィルムは、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、キャパシターフィルムは、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する。このような実施形態では、混和性ポリマーブレンドを含む一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、約60:40〜約99.9:0.01の重量比のポリエーテルイミド:ポリエステルで、ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む。このような実施形態では、ポリエーテルイミドは、ポリエーテルイミドスルホンをさらに含むことができる。
【0198】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば、上の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドおよびポリエステルを合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップであって、該ポリエステルが、(i)ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約0.1重量%〜約4重量%のジエチレングリコール由来の含有率、(ii)約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度、および(iii)約10meq/kg〜約150meq/kgの量のカルボン酸末端基含有率を有する、低い固有粘度のポリエチレンテレフタレートを含む、ステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成するステップを含む。
【0199】
一実施形態では、混和性ポリマーブレンドを含む一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを含み、該ポリエーテルイミドスルホンが、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、キャパシターフィルムは、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有しており、ポリエーテルイミドスルホンは、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドスルホンは、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が約10未満であり、ポリエーテルイミドスルホンは、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリエステルは、GPCによって測定すると、約25,000Da〜約75,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエステルは、約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度を有しており、キャパシターフィルムは、約180℃を超えるガラス転移温度を有しており、キャパシターフィルムは、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約160℃以上の熱変形温度を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、キャパシターフィルムは、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0.1%〜約0.5%の誘電正接を有しており、キャパシターフィルムは、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約600V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、キャパシターフィルムは、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、キャパシターフィルムは、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する。このような実施形態では、混和性ポリマーブレンドを含む一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、約60:40〜約99.9:0.01の重量比のポリエーテルイミドスルホン:ポリエステルで、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを含む。
【0200】
一実施形態では、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルム、例えば、上の段落において記載されているフィルムを製造する方法は、(a)ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップであって、該ポリエステルが、(i)ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約0.1重量%〜約4重量%のジエチレングリコール由来の含有率、(ii)約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度、および(iii)約10meq/kg〜約150meq/kgの量のカルボン酸末端基含有率を有する、低い固有粘度のポリエチレンテレフタレートを含む、ステップ、(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、さらに金属化されて巻かれ、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成するステップを含む。
【0201】
一実施形態では、本明細書において開示されているキャパシターフィルムは、いかなるアモルファスフィルム用途にも使用することができるが、特に金属化に好適である。一実施形態では、金属化キャパシターフィルムは、いかなる金属化フィルム用途にも使用することができるが、特に、例えば、キャパシターまたは短絡材料として、電子用途に好適である。高いエネルギー密度(例えば、約1J/cm超)、高電圧(例えば、約150V超)、非極性のキャパシターは、円筒形状に巻かれるか(例えば、巻回型金属化キャパシターフィルム)、または積層化されて長方形もしくは正方形の形状に圧縮された(例えば、積層フィルムキャパシター、ダイス型フィルムキャパシター)金属化ポリマーフィルムを使用して作製することができる。
【0202】
一実施形態では、本明細書において開示されているキャパシターフィルムは、以下に限定されないが、例えば、キャパシター(例えば、自動車用インバーター用キャパシター、自動車用コンバーター用キャパシターなど)などの、電子物品を含めた、様々な物品に形成することができる。
【0203】
一実施形態では、キャパシターフィルム用ポリマー組成物は、押出成形されて、次に、真空チャンバ中、移動しているポリマーフィルム上に、真空蒸着によって銅またはアルミニウムなどの導電性金属を、約1オングストローム〜約1,000ナノメートル、あるいは約1オングストローム〜約3,000オングストローム、またはあるいは約1オングストローム〜約1,000オングストロームの金属層の厚さまで噴霧することにより金属化することができる。キャパシターフィルム上の金属層の抵抗率は、約0.1オーム/スクエア〜約100オーム/スクエアの範囲とすることができる。ポリマーフィルムは、金属化工程が行われる前に、適切にマスクされて、該フィルムの幅の縁に金属化されていないマージンを設けることができ、その結果、金属化フィルムの交互層(キャパシターが組み立てられている場合)は、端の金属化が最終的に適用される場合、キャパシターの電極が短絡するのを防止するため、反対側の縁に金属化されていない領域をもたせることができる。
【0204】
一実施形態では、キャパシターは、2つの積層化されている金属化ポリマーフィルムを筒状に巻くことによって製造することができる。次に、電気ワイヤを各金属層に接続することができる。一実施形態では、金属化フィルムの2つの個々のロールを、キャパシター巻き付け器に置き、マンドリル(このマンドリルは、続いて取り外してもよい)に一緒に強く巻くことができ、その結果、層が、ポリマー組成物/金属化層/ポリマー組成物/金属化層という順序で配置されて、キャパシターの典型的な構造、すなわち、対向する両面に2つの金属層を有する誘電体が複製される。一実施形態では、キャパシターは、巻回型金属化キャパシターフィルムを含む。フィルムの2つのロールは、対向する両面に金属化されていないマージンを設けて巻くことができる。
【0205】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターを巻く程度は、所望のキャパシターの物理的サイズまたは所望のキャパシタンスに依存する。2つのロールをきつく巻くと、そうでないと、早すぎる故障を引き起こす恐れのある、いかなる捕捉空気も除去する一助となる。個々のキャパシターは、HEPAフィルターを取り込んだ少なくともクラス100のクリーンルーム環境中で加工されて、誘電フィルム層間の接触点の、異物粒子による汚染の可能性を低減し、かつ誘電体における水分の取込みを低減することができる。電気的な巻き付けを使用して、各キャパシターにかかる張力を均一に良好に維持することができる。次に、このキャパシターに、この縁でテープを施し、両面の開放トレイに固定して、フィルム層が巻き付けられないのを防止して、円筒の縁または両端を導電性元素、例えば導電性金属により噴霧するのが可能になる。直流(DC)を適用した場合、亜鉛の含有率が高いはんだを用いて第1の噴霧を、次いで、90%のスズ、10%の亜鉛からなる通常の、より軟らかい端部噴霧はんだ(end spray solder)を使用することができる。第1の噴霧は、金属表面をこすって、溝を作り、誘電性フィルム上で金属化と良好な接触を達成する。端部噴霧を組み合わせると、最終的な終端との良好な接着接触をさらに助ける。続いて、次に、導電性(例えば、アルミニウム)鉛を各端部にめっきし、最終的な終端を形成することができる。一方の終端は、缶の底部に点溶接することができる一方、もう一方の終端は、蓋に平行溶接することができる。キャパシターには、真空充填装置で液体含浸物(例えば、イソプロピルフェニルスルホン)を満たして閉じることができる。
【0206】
別の実施形態では、電子物品は、巻回型金属化一軸延伸押出成形フィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム、巻回型金属化キャパシターフィルム)から作製されたキャパシターを含むことができる。
【0207】
当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、他のキャパシターの構成が可能である。例えば、キャパシターは、積層構成で配置されている少なくとも第1および第2の電極、および該第1と第2の電極との間に配置されているキャパシターフィルムであって、それらの電極のそれぞれと少なくとも一部が接触して配置されているキャパシターフィルムを含む、平坦構成を有することができる。追加のキャパシターフィルムおよび電極層が、交互層中に存在することができる。一実施形態では、電子デバイスを形成するための多層物品は、ポリマー組成物層/金属層/誘電層を含むことができ、この場合、誘電層は、本明細書において開示されているキャパシターフィルム、または他の誘電性材料とすることができる。追加の層(例えば、追加の交互誘電層/金属層)が、場合により存在することができる。
【0208】
一部の実施形態では、キャパシターフィルム(例えば、金属化キャパシターフィルム)は積層されて、積層フィルムキャパシターを形成することができる。金属化キャパシターフィルムは、積層前に、接着剤(例えば、ワックス)によりコーティングされ得る。金属化キャパシターフィルムを積層する際、金属化されていないキャパシターフィルムまたは金属化されていないシートを金属化キャパシターフィルムの積層体の上部および/または底部に適用することができ、得られた積層体は、さらに圧縮して加熱され、金属化キャパシターフィルムのシートが互いに結合するのが促進され、これにより、積層フィルムキャパシターを形成することができる。一実施形態では、積層フィルムキャパシターは、さらにダイス型にされて(例えば、裁断する、立方体に裁断する、切断する、ポーションにする、分割するなど)、ダイス型フィルムキャパシターを形成することができる。一実施形態では、少なくとも1つの導電性層は、ダイス型フィルムキャパシターに適用することができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、積層フィルムキャパシターおよびダイス型フィルムキャパシターは、高エネルギー密度キャパシターである。
【0209】
一実施形態では、本明細書において開示されているポリマー組成物を含むキャパシターフィルムを含むキャパシターは、自動車用インバーターおよび/またはコンバーター(例えば、ハイブリッド電気自動車用のインバーター、ハイブリッド電気自動車用のコンバーター、電気自動車用のインバーター、電気自動車用のコンバーターなど)の一部とすることができる。
【0210】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、例えば、二軸配向ポリ(プロピレン)(BOPP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの他のポリマーから生成されるフィルムと比較して、電気特性(例えば、BDS、Dk、Df)の改善を示すことができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、薄化フィルムへと溶融加工することに加え、高温での容量を維持しながら、適切な電気特性の組合せを得て、高いエネルギー密度を実現することはかなり困難である。本明細書において開示されているキャパシターフィルム用ポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)からなる材料により作製された誘電性フィルムは、新規であり有用でもあるという、このような考察によるものである。したがって、フィルム、および該フィルムから作製されたキャパシターは、電子産業にとって、構成成分を製造する現在の材料および方法よりも利点をもたらす。
【0211】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、約170℃まで安定なDkを示すことができる。当業者により認識されている通り、および本開示の一助により、キャパシターフィルムの電気特性は、キャパシターフィルムのTgまで一般に、安定である。
【0212】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、無溶媒法で生成することができ、この無溶媒法により、このようなキャパシターフィルムを工業規模で信頼性高く製造することが可能となる。従来のキャパシターフィルムの場合、溶媒−キャストフィルムから溶媒を除去するのは難しいものとなり得る。本明細書において開示されている押出成形キャパシターフィルムは、溶媒なしに加工することができ、費用と製造の利点の両方をもたらし、環境に一層優しいものとなる。一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、有利には、約20ミクロン未満の均一なフィルム厚さに溶融押出成形することにより加工され得る。
【0213】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン構成成分それ自体と比較した場合、加工温度において、溶融流動レオロジーの改善を有利にも示すことができる。一般に、ポリエステルは、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンと比較した場合、低い粘度を有しており、したがって、ポリエステルは、一緒にブレンドされると、その粘度を低下させることにより、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホンの加工性を改善する。
【0214】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、従来のキャパシターフィルムと比べて、可撓性、薄さおよび比誘電率の安定性などの、他の有利な物理的および電気的性質を維持しながら、有利にもDkとBDSの両方の向上を示すことができる。一部の実施形態では、本明細書において開示されているキャパシターフィルムは、高いBDS(約600V/ミクロン超)、高いDk(約3超)および低いDf(約1%未満)を有することができる。
【0215】
一実施形態では、本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムは、自動車産業(例えば、電気自動車のインバーターおよび/またはコンバーター、DC−DCコンバーター、AC−DCインバーター、フィルター、回路隔離など)において、ならびに高い作動温度および高いエネルギー密度の誘電性材料が要求される任意の電気/電子用途において有利にも使用することができる。本開示のポリマー組成物(例えば、ポリエーテルイミドおよび/またはポリエーテルイミドスルホン、ならびにポリエステル組成物)から生成されたキャパシターフィルムのさらなる利点は、本開示を鑑みる当業者には明白となり得る。
【実施例】
【0216】
主題は一般的に記載されているので、以下の実施例は、本開示の特別な実施形態として、およびこの実施および利点を実証するために提示されている。実施例は、例示によって示されていること、および後に続く特許請求の範囲の詳述を決して限定することを意図するものではないことが理解される。以下の試験手順を使用して、様々なキャパシターフィルムおよびポリマー組成物を評価した。
【0217】
キャパシターフィルムのガラス転移温度(Tg)は、ポリエーテルイミド(対照/比較)の場合、300℃まで、および本明細書において開示されているキャパシターフィルム用ポリマー組成物から作製されたキャパシターフィルムの場合、250℃まで、20℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。結果を第2のスキャンで報告した。
【0218】
フィルムの試料のトラウザー引裂強度は、ASTM D1938に準拠して、縦方向(MD)および横方向(TD)で測定した。
【0219】
押出成形フィルムの動的および静摩擦係数は、アルミニウム表面上で、ASTM D1894に準拠して測定した。
【0220】
フィルムの透明度は、フィルム表面の目視評価によって観察した。キャパシターフィルムは、目視によるヘイズまたは不透明性がなかった。
【0221】
各材料の押出成形薄化フィルムは、GALDEN HTオイル中で、ASTM D149試験方法を使用して、絶縁破壊強度(BDS)に関する試験を行い、ここで、GALDEN HTは、55℃〜270℃の範囲の沸点を有する一連の誘電性流体であり、Ideal Vacuum Products、LLCから市販されている。このオイルは、ホットプレート/抵抗コイルを使用して、試験温度にした。電極は、3インチの真鍮板の底部電極上に、1/4インチのステンレス鋼製ボールからなった。材料が電気的に短絡し、破損を引き起こした電圧がLabviewコンピューターソフトウェアにより記録されるまで、Trek 30/20±30kV DCの高圧出力電源を使用して、500V/sでこの真鍮板に勾配を設けた。BDSは、20℃、50℃、100℃、135℃および150℃で測定した。報告値は、各温度において、20個を超える試料の平均を表し、ワイブル統計解析を報告した。
【0222】
比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)は、以下の方法によってフィルム試料上で測定した。厚さ100nmの金を、上部電極として、電子ビーム蒸着によって10mmの円形シャドーマスクにより、各々のタイプの材料のうちの5つの試料に堆積させた。底部電極は、試料の底部全体のエリアにわたる100nmの厚さの金からなった。Agilent E4980A Precision LCR計測器を使用して、適用したバイアス場におけるキャパシタンスおよび誘電正接を測定した。Dkは、電極の直径(10mmの直径の円板状電極を電気試験のすべてに使用した)およびフィルム厚さを使用して計算した。フィルム厚さは、Heidenhain Metro厚さゲージを使用して、正確に±0.2μmと計算した。炉の温度は、−40℃〜150℃とさまざまとし、LCR計測器は、それぞれの温度において、100Hz〜1GHzの範囲の周波数で変化させた。デジタルマルチメーターに接続した炉の内部の熱電対により、炉の温度を確認した。
【実施例1】
【0223】
ポリエーテルイミド(PEI)およびポリエステル(PE)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物の特性を検討した。より詳細には、表1に概略されている試料を、まずコンパウンドしてペレットにし、次にフィルムに押出成形した。
【表1】
【0224】
ULTEM 1010Kは、構造Vbを特徴とするPEIである。PETは、構造XIIIを特徴とするポリエステルである。PENは、構造XIVを特徴とするKALADEXポリマーである。Co−PENは、Imperial Chemical Industries(ICI)により供給されているPENのコポリエステルとした。ホスファイト安定剤は、IRGAPHOS168(トリス−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイト)とした。
【0225】
押出成形された材料の特性が、表2に示されている。
【表2】
【0226】
樹脂ブレンド(例えば、キャパシターフィルム用ポリマー組成物)は、二軸を使用して容易にコンパウンドしてペレット形態にした後、溶融押出成形し、厚さ10ミクロンを有するフィルムにした。温度および周波数の関数としての性能の向上は驚くべきものであり、絶縁破壊強度(BDS)、比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)という材料特性を予期するものではなかった。特性の改善は、式(2)に基づくエネルギー密度をかなり向上し、ここでは、線形法則およびべき法則は、それぞれ、DkとBDSに関する関係を説明するものである。
【実施例2】
【0227】
ポリエーテルイミド(PEI)およびポリエステル(PE)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物に由来する、実施例1に記載されている通り調製したフィルム試料の電気特性を検討した。より具体的には、平均破壊強度(BDS)を検討した。
【0228】
組成物および温度の関数として試験した物質の平均BDS値[V/ミクロン]が、表3に示されている。
【表3】
【0229】
10ミクロンの厚さのフィルムのBDSは、一般に、比較試料Aから試料#1、試料#2および試料#3まで値が向上し、BDSは、室温における644V/ミクロンから150℃における669V/ミクロンまでの範囲の値で向上し、ピークBDSは、690V/ミクロン〜716V/ミクロンの範囲となった。このBDSの向上は、BDS性能が9.5%から21.6%まで向上したことを示しており、したがって、エネルギー密度は、20%〜48%に向上した(式(2)において2乗に向上)。さらに、各試料材料に関して、特定の温度において最大値が得られ、RTから135℃の間の範囲であったことが留意された。最大値に到達した後に、温度の増加に伴って、材料のBDSが低下するのは一般的なことではない。組成物による非線形応答は予期されず、予測もされなかった。
【実施例3】
【0230】
ポリエーテルイミド(PEI)およびポリエステル(PE)を含むキャパシターフィルム用ポリマー組成物に由来する、実施例1に記載されている通り調製したフィルム試料の電気特性を検討した。より具体的には、比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)を検討した。
【0231】
DkおよびDfは、10ミクロンの厚さのフィルムについて、温度および周波数の関数として検討し、これらのデータは、表#4(Dk)および表#5(Df)に示されている。
【表4】

【表5】
【0232】
表4に示されている通り、Dkは、一定の周波数において温度の上昇に伴って低下し、Dkの変化程度およびDkの値が重要である。試料Aの場合、Dkは、1kHzでは、20℃から150℃の温度上昇の場合、3.06〜3.01の範囲であった。対照的に、試料1は、それぞれの周波数における温度変化に対して感度は低く、Dkは、比較的、変化しないままであった。これは、1kHzにおける試料#1の場合に実証され、Dkは、20〜150℃において、3.28〜3.27でほぼ変化しないままであった。試料#2および試料#3は、試料Aと同様の傾向を実証したが、1kHにおける20℃〜150℃でのDk値は、実験ブレンドの場合、かなり一層高く、この値は、それぞれ、3.26〜3.12および3.17〜3.12の範囲であった。さらに、周波数が一定温度で増加するにつれて、Dk値は一般に低下する。20℃での試料AのDkは、100Hz〜1MHzの周波数範囲の場合、3.07〜3.05で変化した。Dk値はより高いが、同様の傾向が、試料#1、試料#2および試料#3の場合に報告された。Dkの向上は、PET、PENおよびco−PENポリエステルポリマーの添加に起因しており、これらのポリマーは、1kHzおよび20℃において、3.2〜3.3の範囲のDkであることを特徴としている。高いDkの有意性は、式(2)によって記載されている通り、Dkのより高いエネルギー密度への直接的な変換となる。
【0233】
試料#1、試料#2および試料#3のDfはすべて、試料Aと比較すると、温度および周波数がフィルム組成に応じて変化するにつれて向上した。Dkがより高い程、より高いDfとなることが一般に理解されている。試料#1のDfは、1kHzにおいて20℃〜150℃の温度範囲にわたり、試料Aの場合、0.214%〜0.332%対0.153%〜0.294%の範囲となった。同様に、試料#2および試料#3のDfは、それぞれ、0.424%から0.511%、および0.208%から0.282%に向上した。Dfは、ポリエステル材料(より高いDf)の性質であるので、キャパシターフィルム中のPET、PENまたはco−PENの含有率に伴い向上することが予期される一方、PEIは、この温度範囲にわたり、比較的安定のままである。Dfの向上は、理想未満と考えられる。しかし、すべての試料が、キャパシターフィルム用途に必要な1%未満で良好に挙動した。
【0234】
表6は、試験試料に対するキャパシターフィルムの特性の一部をまとめており、高温および高エネルギーキャパシターにおける誘電性能を改善するために、ULTEM樹脂にポリエステル樹脂を添加するのが有用であることが示されている。
【表6】
【0235】
本出願からのいかなる米国国内段階での出願のために、本開示に言及されているすべての刊行物および特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれており、上記は、そのような刊行物において記載されている構成物および方法を記載および開示する目的として、本開示の方法に関連して使用される。本明細書において議論されているいずれの刊行物および特許も、本出願の出願日以前にそれらが開示されていることを単に提示しているに過ぎない。本明細書において、先行発明によって本発明者らがこのような開示を先行するものであると認めることを承認すると解釈すべきではない。
【0236】
米国特許商標庁以前のいかなる出願においても、37C.F.R.§1.72の要件を満足させるため、および37C.F.R.§1.72(b)、「米国特許庁および公衆が概観することにより、技術的開示の性質および主旨を迅速に決定できることである」(to enable the United States Patent and Trademark Office and the public generally to determine quickly from a cursory inspection the nature and gist of the technical disclosure)」に明記されている目的のために、本出願の要約が提示されている。したがって、本出願の要約は、特許請求の範囲を解釈するため、または本明細書において開示されている主題の範囲を限定するために使用されることを意図するものではない。さらに、本明細書において使用され得るいかなる見出しも、特許請求の範囲を解釈するため、または本明細書において開示されている主題の範囲を限定するために使用されていることをやはり意図するものではない。構成的または予測的なものとして他で示されている実施例を記載する過去形の文章のいかなる使用も、該構成的または予測的実施例が、実際に行われたことを反映していると意図するものではない。
【0237】
本開示は、さらに、以下の実施例により例示され、該実施例は、その範囲に限定を課すものとして、決して解釈されるべきではない。それどころか、手段には、様々な他の態様、実施形態、修正およびその等価物でなければならず、本明細書における説明を一読した後で、本発明の主旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆され得ることが明確に理解される。
【0238】
開示の追加
以下は、本発明による、非限定的な具体的実施形態である。
【0239】
第1の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドが、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムである。
【0240】
第2の実施形態は、約0.1ミクロン〜約50ミクロンの厚さを有する、第1の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0241】
第3の実施形態は、約0.1ミクロン〜約20ミクロンの厚さを有する、第1から第2の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0242】
第4の実施形態は、ポリエーテルイミドが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が約11未満であり、ポリエーテルイミドが、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリエステルが、GPCによって測定すると、約25,000Da〜約75,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエステルが、約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度を有している、第1から第3の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、約170℃を超えるガラス転移温度を有しており、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約150℃以上の熱変形温度を有しており、1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)においてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0%〜約1の誘電正接を有しており、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約500V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルムである。
【0243】
第5の実施形態は、ポリエーテルイミドが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が約10未満であり、ポリエーテルイミドが、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリエステルが、GPCによって測定すると、約25,000Da〜約75,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエステルが、約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度を有している、第1から第4の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、約190℃を超えるガラス転移温度を有しており、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約170℃以上の熱変形温度を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0.1%〜約0.5%の誘電正接を有しており、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約600V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルムである。
【0244】
第6の実施形態は、ASTM D1894に準拠して測定すると、金属化表面上の、アルミニウム上の、および/またはそれ自体上の動摩擦係数が約0.75未満である、第1から第5の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0245】
第7の実施形態は、ASTM D1894に準拠して測定すると、金属化表面上の、アルミニウム上の、および/またはそれ自体上の静摩擦係数が約0.75未満である、第1から第6の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0246】
第8の実施形態は、1kHzにおけるキャパシターフィルムの比誘電率が、約0℃〜約170℃で本質的に変化しないままであり、該比誘電率は、約0℃〜約170℃の温度範囲内で、最高の比誘電率の値に対して、約20%未満変動する、第1から第7の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0247】
第9の実施形態は、1kHzにおけるキャパシターフィルムの誘電正接が、約0℃〜約170℃で本質的に変化しないままであり、約0.1%〜約1%である、第1から第8の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0248】
第10の実施形態は、キャパシターフィルムの誘電正接が、23℃および50%RHにおいて、1kHz〜100kHzで測定すると、約0.1%〜約1%である、第1から第9の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0249】
第11の実施形態は、約0℃〜約170℃の該キャパシターフィルムの破壊強度差が、ASTM D149に準拠して測定すると、23℃における破壊強度値の約40%未満である、第1から第10の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0250】
第12の実施形態は、1kHzおよび約0℃〜約170℃におけるキャパシタンス差が、23℃におけるキャパシタンス値に対して、約+/−5%未満である、第1から第11の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0251】
第13の実施形態は、約170℃以上の1つのガラス転移温度を有する、第1から第12の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0252】
第14の実施形態は、100cmのエリアにおいて、約20ミクロンより大きな直径を有する、2つ未満の炭化封入体を含む、第1から第13の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0253】
第15の実施形態は、約10m〜約10,000mのフィルム長さおよび約300mm〜約3,000mmのフィルム幅を有する、第1から第14の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、該フィルムの全表面積の少なくとも約80%にしわがない、キャパシターフィルムである。
【0254】
第16の実施形態は、約1.25未満の炭素/(酸素+水素)(C/(O+H))比を有する、第1から第15の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0255】
第17の実施形態は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用し、ASTM D1938に準拠して測定すると、約0.5N/mm〜約3.0N/mmの縦方向のトラウザー引裂強度を有する、第1から第16の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0256】
第18の実施形態は、20ミクロンの厚さを有する試験片を使用し、ASTM D1938に準拠して測定すると、約0.5N/mm〜約3.0N/mmの横方向のトラウザー引裂強度を有する、第1から第17の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0257】
第19の実施形態は、該キャパシターフィルムの総重量に対して、約1000ppm未満の溶媒を含む、第1から第18の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0258】
第20の実施形態は、ポリエーテルイミドが、式V:
【化18】

(式中、Tは、−O−、または式−O−Z−O−により表される基とすることができ、−O−または−O−Z−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、または4,4’位にあり、Zは、6〜27個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基、このハロゲン化誘導体、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキレン基、このハロゲン化誘導体、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、このハロゲン化誘導体、式−(C10−により表される基であり、zは、1〜4の整数であり、Rは、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、またはこれらの組合せを含むジアミン残基である)により表される、第1から第19の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0259】
第21の実施形態は、Zが、式IVa:
【化19】

(式中、Qは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−または−Cy〜2y−、このハロゲン化誘導体であり、yは、1〜5の整数である)
により表される二価の基である、第20の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0260】
第22の実施形態は、zが、式XI:
【化20】

により表される、第20から第21の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0261】
第23の実施形態は、ポリエーテルイミドが、1.0個のアミン基あたり、約1.0〜約1.4モル当量の無水基を含む、第1から第22の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0262】
第24の実施形態は、置換または無置換芳香族一級モノアミンが、置換および無置換アニリン、置換および無置換ナフチル一級アミン、ならびに置換および無置換ヘテロアリールアミンを含み、置換基が、C6〜12アリール基、ハロゲン化C6〜12アリール基、C1〜12アルキル基、ハロゲン化C1〜12アルキル基、スルホン基、C1〜12エステル基、C1〜12アミド基、ハロゲン、C1〜12アルキルエーテル基、C6〜12アリールエーテル基、および芳香族環に結合しているC6〜12アリールケト基からなる群から選択される、第1から第23の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0263】
第25の実施形態は、置換または無置換芳香族一級モノアミンがアニリンを含む、第1から第24の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0264】
第26の実施形態は、ポリエーテルイミドがポリエーテルイミドスルホンをさらに含む、第1から第25の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0265】
第27の実施形態は、ポリエーテルイミド:ポリエーテルイミドスルホンの重量比が約99:1〜約30:70である、第26の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0266】
第28の実施形態は、ポリエーテルイミドが、混和性ポリマーブレンド中に、約60重量%〜約99.9重量%の量で存在する、第1から第27の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0267】
第29の実施形態は、ポリエーテルイミドが、混和性ポリマーブレンド中に、約70重量%〜約95重量%の量で存在する、第1から第28の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0268】
第30の実施形態は、ポリエーテルイミドが、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むアミンの重合から誘導される単位を含むポリエーテルイミド以外のポリエーテルイミドを約15重量%未満含む、第1から第29の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0269】
第31の実施形態は、ポリエステルが、式XII:
【化21】

(式中、Bは、ジヒドロキシ化合物、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20芳香族基、またはアルキレン基が、2〜6個の炭素原子またはあるいは2個、3個もしくは4個の炭素原子を含有するポリオキシアルキレン基から誘導される二価の基であり、Tは、芳香族ジカルボン酸、C2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20アルキル芳香族基またはC6〜20芳香族基から誘導される二価の基である)により表される繰り返し構造単位を含む、第1から第30の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0270】
第32の実施形態は、ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(ブチレンナフタレート)(PBN)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)(PPT)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(PCT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)(PBS)、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール修飾ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレン1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)、これらのコポリマーまたはこれらの組合せを含む、第1から第31の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0271】
第33の実施形態は、ポリエステルが、低い固有粘度のポリエチレンテレフタレートであって、(i)ポリエチレンテレフタレートの総重量に対して、約0.1重量%〜約4重量%のジエチレングリコール由来の含有率、(ii)約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度、および(iii)約10meq/kg〜約150meq/kgの量のカルボン酸末端基含有率を有する、ポリエチレンテレフタレートを含む、第1から第32の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0272】
第34の実施形態は、PETがリサイクルPETに由来する、第32の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0273】
第35の実施形態は、PETが直鎖であり、プロトン核磁気共鳴分光法によって決定すると、該PETの総重量に対して、環式ポリエステルを約3重量%未満含む、第32の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0274】
第36の実施形態は、ポリエステルが、混和性ポリマーブレンド中に、約0.1重量%〜約40重量%の量で存在する、第1から第35の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0275】
第37の実施形態は、ポリエステルが、混和性ポリマーブレンド中に、約5重量%〜約30重量%の量で存在する、第1から第36の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0276】
第38の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリエステルがそれぞれ、混和性ポリマーブレンド中にキャパシターフィルムの1つのガラス転移温度をもたらすのに有効な量で存在する、第1から第37の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0277】
第39の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリエステルがそれぞれ、キャパシターフィルム用ポリマー組成物中に混和性ポリマーブレンドをもたらすのに有効な量で存在する、第1から第38の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0278】
第40の実施形態は、混和性ポリマーブレンドが、リン含有安定剤を、該混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、約0重量%〜約2重量%の量でさらに含み、該リン含有安定剤は、約500Da以上の重量平均分子量を有する、第1から第39の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムである。
【0279】
第41の実施形態は、第1から第40の実施形態のいずれかに記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを含む物品である。
【0280】
第42の実施形態は、金属化キャパシターフィルムを形成させるために、フィルムの少なくとも一部分上に堆積させた金属層をさらに含む、第41の実施形態に記載の物品である。
【0281】
第43の実施形態は、金属層が導電性金属を含む、第42の実施形態に記載の物品である。
【0282】
第44の実施形態は、導電性金属が、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル、亜鉛、チタン、クロム、バナジウム、タンタル、ニオブ、黄銅またはこれらの組合せを含む、第43の実施形態に記載の物品である。
【0283】
第45の実施形態は、金属層が、約1オングストローム〜約3,000オングストロームの金属層の厚さを有する、第42から第44の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0284】
第46の実施形態は、金属層が、約1オングストローム〜約2,820オングストロームの金属層の厚さを有する、第42から第45の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0285】
第47の実施形態は、金属層が、約0.1〜約100オーム/スクエアの金属層の抵抗率を有する、第42から第46の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0286】
第48の実施形態は、金属層が、真空金属蒸着、高温真空蒸着、化学蒸着、原子層堆積、金属スパッタリング、プラズマ処理、電子ビーム処理、化学的酸化反応または還元反応、無電解湿式化学蒸着、またはこれらの組合せにより、フィルムの少なくとも一部に堆積される、第42から第47の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0287】
第49の実施形態は、金属化キャパシターフィルムが巻かれて、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成する、第42から第48の実施形態のいずれかに記載の物品である。
【0288】
第50の実施形態は、第49の実施形態に記載の巻回型金属化フィルムを含むキャパシターである。
【0289】
第51の実施形態は、第50の実施形態に記載のキャパシターを含む、電子物品である。
【0290】
第52の実施形態は、第50の実施形態に記載のキャパシターを含む、自動車用インバーターである。
【0291】
第53の実施形態は、第50の実施形態に記載のキャパシターを含む、自動車用コンバーターである。
【0292】
第54の実施形態は、ポリエーテルイミドおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドが、芳香族二無水物と、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンまたはこれらの組合せを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含み、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有する、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムである。
【0293】
第55の実施形態は、ポリエーテルイミドがポリエーテルイミドスルホンをさらに含む、第54の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0294】
第56の実施形態は、ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを含む混和性ポリマーブレンドを含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムであって、上記ポリエーテルイミドスルホンが、芳香族二無水物と、ジアミノジフェニルスルホンを含むジアミンとの重合から誘導される単位を含み、置換または無置換芳香族一級モノアミンにより末端封鎖されており、上記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重合から誘導される繰り返し構造単位を含み、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムは、溶媒不含であり、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムである。
【0295】
第57の実施形態は、約0.1ミクロン〜約20ミクロンのフィルム厚さを有する、第56の実施形態に記載のキャパシターフィルムである。
【0296】
第58の実施形態は、ポリエーテルイミドスルホンが、ポリスチレン標準品を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定すると、約20,000Da〜約400,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエーテルイミドスルホンが、340℃におけるキャピラリーレオメトリーによって測定すると、100sec−1の粘度と5,000sec−1の粘度との比が約11未満であり、ポリエーテルイミドスルホンが、ASTM D638に準拠して決定すると、約380,000psi(2,618MPa)以上の引張弾性率を有しており、ポリエステルが、GPCによって測定すると、約25,000Da〜約75,000Daの重量平均分子量を有しており、ポリエステルが、約0.1dl/g〜約0.83dl/gの固有粘度を有する、第56から第57の実施形態のいずれかに記載のキャパシターフィルムであって、約170℃を超えるガラス転移温度を有しており、3.2ミリメートル(mm)の厚さの試料において、264psi(1.8Mpa)でASTM D648に準拠して測定すると、約150℃以上の熱変形温度を有しており、1kHz、23℃および50%相対湿度(RH)においてASTM D150に準拠して測定すると、約3〜約5の比誘電率を有しており、1kHz、23℃および50%RHにおいて測定すると、約0%〜約1の誘電正接を有しており、23℃において、ASTM D149に準拠して測定すると、約500V/ミクロン〜約800V/ミクロンの破壊強度を有しており、特定の測定エリア全体にわたるフィルムの平均厚さに対して、フィルム厚さの約+/−10%未満のフィルム厚さのばらつきを有するしわのない領域を有しており、光学式形状測定法によって測定すると、平均フィルム厚さに対して、約+/−3%未満の平均表面粗さ(Ra)を有する、キャパシターフィルムである。
【0297】
第59の実施形態は、第1から第58の実施形態のいずれかに記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)混和性ポリマーブレンドを押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(b)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0298】
第60の実施形態は、第1から第59の実施形態のいずれかに記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリエーテルイミドおよびポリエステルを合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、
(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、
(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、
(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0299】
第61の実施形態は、フィルムの少なくとも一部分上に金属層を堆積させて、金属化キャパシターフィルムを形成させるステップをさらに含む、第60の実施形態に記載の方法である。
【0300】
第62の実施形態は、金属化キャパシターフィルムを巻いて、巻回型金属化キャパシターフィルムを形成するステップをさらに含む、第61の実施形態に記載の方法である。
【0301】
第63の実施形態は、金属化キャパシターフィルムを積層し、積層フィルムキャパシターを形成するステップをさらに含む、第61から第62の実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0302】
第64の実施形態は、積層フィルムキャパシターをダイス型に裁断し、ダイス型フィルムキャパシターを形成するステップをさらに含む、第63の実施形態に記載の方法である。
【0303】
第65の実施形態は、第56の実施形態に記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)混和性ポリマーブレンドを押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(b)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0304】
第66の実施形態は、第56の実施形態に記載の一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを製造する方法であって、
(a)ポリエーテルイミドスルホンおよびポリエステルを合わせて、混和性ポリマーブレンドを形成するステップ、
(b)該混和性ポリマーブレンドを溶融して混合し、溶融ポリマーを形成するステップ、
(c)該溶融ポリマーをろ過して、約1ミクロンを超える粒子を除去してろ過済み溶融ポリマーを形成するステップ、
(d)約250℃〜約500℃の温度で、該ろ過済み溶融ポリマーをフラットダイにより押出成形して、高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップであって、該高収率押出成形キャパシターフィルムが、該キャパシターフィルムを製造するために使用される押出機に入る前の混和性ポリマーブレンドの総重量に対して、該押出機に入る該混和性ポリマーブレンドの約90重量%以上を含む、ステップ、および
(e)該高収率押出成形キャパシターフィルムを一軸延伸して、上記一軸延伸高収率押出成形キャパシターフィルムを形成するステップ
を含む、方法である。
【0305】
本開示の実施形態が示されて、説明されているが、その修正は、本発明の主旨および教示から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載されている実施形態および実施例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。明細書において開示されている本発明の多数の変形および修正が考えられ、本発明の範囲内にある。
【0306】
したがって、保護の範囲は上で説明されている記載によって限定されるものではないが、特許請求の範囲の主題と等価なすべてのものを含めたそうした範囲に従う、特許請求の範囲によってのみ限定される。あらゆる請求項が、本発明の実施形態として、本明細書に組み込まれている。したがって、特許請求の範囲は、さらなる説明であり、本発明の詳細説明に追加されるものである。本明細書において引用されている特許、特許出願および刊行物のすべての開示は、参照により本明細書に組み込まれている。