特許第6771849号(P6771849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771849
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】改ざん防止決済リーダー
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20201012BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20201012BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20201012BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G06K7/10 208
   G06Q20/32
   G06K7/10 204
   G06K7/00 078
   G06K7/08 040
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-540535(P2019-540535)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公表番号】特表2020-509462(P2020-509462A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】US2018025014
(87)【国際公開番号】WO2018183597
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】62/478,861
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/644,083
(32)【優先日】2018年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ツウェイ チョー リリー チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン パン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ツァイリンガー
【審査官】 佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−150685(JP,A)
【文献】 特開2009−093401(JP,A)
【文献】 特開2009−193119(JP,A)
【文献】 特開2013−003979(JP,A)
【文献】 特表2008−547240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 7/00
G06K 7/08
G06Q 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済リーダーであって、
上端部を有するハウジングと、
該ハウジングの前記上端部を少なくとも部分的に覆うように構成された非導電性カバーであって、該非導電性カバーが、上壁部と、該上壁部から下向きに垂下する相互接続された側壁部と、を有し、内部区画を形成し、前記上壁部が、x−y平面を画定するx軸次元及びy軸次元を有し、前記上壁部が、前記x−y平面に対して垂直であるz軸次元を有し、前記上壁部が、上面及び反対側の下面を有し、該下面が前記内部区画に面し、前記下面が表面積を画定し、前記下面の全表面積が、z方向に前記x−y平面から外向きに延在する少なくとも1つの三次元形状で形成されている、非導電性カバーと、
前記内部区画内の、前記カバーによって囲まれた電子回路と、
前記カバーの前記下面上に設けられた、前記電子回路と通信する導電トレースのメッシュと、を備える、決済リーダー。
【請求項2】
前記少なくとも1つの三次元形状が、互いに対して角度をなす複数の表面として形成されている、請求項1に記載の決済リーダー。
【請求項3】
前記表面が、
a)平坦面であって、該平坦面の各々が、互いに対して角度をなし、前記z軸に対して角度をなし、かつ前記x−y平面に対して角度をなす、平坦面と、
b)前記x−y平面に対して湾曲し、かつ前記z軸に対して角度をなす表面と、
c)前記平坦面と曲面との組み合わせと、のうちの1つで形成されている、請求項2に記載の決済リーダー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの三次元形状が単一の隆起部として形成されている、請求項1に記載の決済リーダー。
【請求項5】
前記隆起部が、
a)平坦面であって、該平坦面の各々が、互いに対して角度をなし、前記z軸に対して角度をなし、かつ前記x−y平面に対して角度をなす、平坦面と、
b)前記x−y平面に対して湾曲し、かつ前記z軸に対して角度をなす表面と、
c)前記平坦面と曲面との組み合わせと、のうちの1つで形成されている、請求項4に記載の決済リーダー。
【請求項6】
前記曲面が、概ね凸状及び概ね凹状のうちの一方である、請求項5に記載の決済リーダー。
【請求項7】
前記曲面のうちの1つが概ね凸状であり、前記表面のうちの1つが概ね凹状である、請求項5に記載の決済リーダー。
【請求項8】
前記隆起部が、前記x−y平面に対して湾曲した表面で形成されている、請求項4に記載の決済リーダー。
【請求項9】
前記少なくとも1つの三次元形状が複数の隆起部として形成されている、請求項1に記載の決済リーダー。
【請求項10】
各隆起部が、
a)平坦面であって、該平坦面の各々が、互いに対して角度をなし、前記z軸に対して角度をなし、かつ前記x−y平面に対して角度をなす、平坦面と、
b)前記x−y平面に対して湾曲し、かつ前記z軸に対して角度をなす表面と、
c)前記平坦面と曲面との組み合わせと、のうちの1つで形成されている、請求項9に記載の決済リーダー。
【請求項11】
前記曲面のうちの1つが概ね凸状であり、前記表面のうちの1つが概ね凹状である、請求項10に記載の決済リーダー。
【請求項12】
前記曲面が、概ね凸状及び概ね凹状である、請求項10に記載の決済リーダー。
【請求項13】
前記隆起部が、行及び列で概ね形成されている、請求項10に記載の決済リーダー。
【請求項14】
前記隆起部が、行及び列で形成されていない、請求項10に記載の決済リーダー。
【請求項15】
前記隆起部が、行及び列で概ね形成されている、請求項9に記載の決済リーダー。
【請求項16】
前記隆起部が、行及び列で形成されていない、請求項9に記載の決済リーダー。
【請求項17】
前記少なくとも1つの三次元形状が、波状パターンで形成され、複数の曲面を含む、請求項1に記載の決済リーダー。
【請求項18】
各側壁部が、前記内部区画に面する内側表面を有し、各内側表面が表面積を画定し、各内側表面の全表面積が少なくとも1つの三次元形状で形成されている、請求項1に記載の決済リーダー。
【請求項19】
各内側表面上の前記少なくとも1つの三次元形状が、概ね湾曲した表面として形成されている、請求項18に記載の決済リーダー。
【請求項20】
前記導電トレースのメッシュが、一対のトレースとして形成されている、請求項1に記載の決済リーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年3月30日に出願された米国特許仮出願第62/478,861号、及び2018年3月16日に出願された米国特許仮出願第62/644,083号に対する国内優先権を主張するものであり、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、販売時点情報管理デバイスで使用するための決済リーダーの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
販売時点情報管理デバイス、又は決済リーダーなどの電子決済端末は、様々なタイプの決済デバイスとインターフェース接続することができる。かかる決済デバイスの例としては、磁気ストライプを有するクレジットカード、EMVチップを有するクレジットカード、又は決済アプリケーションを実行するスマートフォンなどの近距離無線通信(near field communication、NFC)対応(NFC対応)電子デバイスが挙げられる。これらの決済デバイスの各々には、決済データを盗むために、又は不正トランザクションに他の方法で係わるために、不正者が決済情報を取得しようとするための複数の機会が存在する。したがって、多くのタイプの改ざん検出技術が存在する。
【0004】
市場の現在の決済リーダーは、電子決済端末内の電子回路を覆うメッシュに配置された導電トレースを有する、成形された平らなプラスチックカバーで主に形成されたハウジングを含む。不正者は、傍受又は悪意のある信号を注入するように決済端末を変更することで決済端末の構成要素へのアクセス権を得ることによって、決済情報を取得しようとする場合がある。メッシュは、電源に、及び決済リーダー内の検出器に接続される。電子回路に物理的にアクセスしようとすることは、メッシュ内の開回路状態を引き起こす程度にメッシュを損傷する可能性が高い。検出器は、この開回路状態を改ざんとして検出し、それに応答して適切な対策をトリガすることができる。かかるメッシュはある程度の改ざん防止を提供するが、断固とした不正者がそれをくぐり抜けることは可能である。例えば、注意深く検査するための時間がある場合、不正者は、メッシュから電子回路の一部を隔離するか、又はメッシュを必ずしも損傷することなく決済リーダーを開くことに成功し得る。平らな表面は、改ざんが比較的容易である。不正者は、ハウジングの外表面から導電性メッシュへとプラスチックハウジングを研削し、次いで、メッシュをハウジングから剥がすことが知られている。
【0005】
米国特許第9,578,763号は、内部電源信号を使用することによって電子デバイス内の改ざんを検出するための技術を開示している。この技術は、導電トレースを、抵抗器を介して直列に、デバイスのプロセッサ内のセキュリティモジュールに電力を供給する内部電源に電気的に結合することを含む。この技術は、トレース上の改ざん検出に使用するために、電源を検出器に電気的に結合することを更に含む。導電トレース上に短絡状態が発生すると、ローカル電源の実質的に全ての電圧が抵抗器中を降下する。その結果、検出器は、所定の閾値を下回る電圧降下を検出し、かかる降下を内部電源の「崩壊」として感知する。電源の崩壊は、検出器への改ざん事象を示し、それに応答して、セキュリティモジュールの動作を無効にする信号が出力される。
【0006】
攻撃を更に抑止するためにカバーの構造を修正することが有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
決済システムで使用するための決済リーダーが提供される。決済リーダーは、ハウジングと、ハウジングを覆い、内部区画を形成するカバーと、内部区画内の、カバーによって囲まれた電子回路と、カバー上に設けられ、電子回路と通信する導電トレースのメッシュと、を含む。カバーは、上壁部と、上壁部から下向きに垂下する相互接続された側壁部と、を有する。内部区画に面する上壁部の下面は、z方向にx−y平面から外向きに延在する少なくとも1つの三次元形状で形成された全表面積を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの三次元形状は、隆起部又は複数の隆起部として形成されている。一実施形態では、少なくとも1つの三次元形状は、複数の波状の凸状表面及び凹状表面として形成されている。
【0008】
この概要は、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、いくつかの例示的実施形態を要約する目的で提供される。したがって、上述の例示的実施形態は単なる例であり、いかなるようにも本開示の範囲又は趣旨を狭めるように解釈されるべきではないことが理解されるであろう。様々な開示される実施形態の他の実施形態、態様、及び利点は、説明される実施形態の原理を例として示す添付図面と併せて以下の詳細な説明を読めば、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】決済システムの概略表現である。
図2】決済システムの構成要素を形成する決済リーダーのカバーの一実施形態の底面図である。
図3図2のカバーの部分斜視平面図である。
図4図2のカバーの断面図である。
図5】メッシュが上に設けられた、図2のカバーの底面図である。
図6】決済システムの構成要素を形成する決済リーダーのカバーの別の実施形態の底面図である。
図7図6のカバーの部分斜視平面図である。
図8図6のカバーの断面図である。
図9】決済システムの構成要素を形成する決済リーダーのカバーの更なる実施形態の底面図である。
図10図9のカバーの部分斜視平面図である。
図11図9のカバーの別の部分斜視平面図である。
図12図9のカバーの更なる部分斜視平面図である。
図13】決済システムの構成要素を形成する決済リーダーのカバーのまた別の実施形態の底面図である。
図14図13のカバーの部分斜視平面図である。
図15図14のカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、決済システム20の例示的なブロック図を示す。一実施形態では、決済システム20は、顧客の決済デバイス22、販売業者の販売時点情報管理デバイス又は決済端末24、ネットワーク26、及び決済サーバー28を含む。決済システム20のこれらの構成要素は、販売業者と顧客との間の電子決済トランザクションを容易にする。一実施形態では、販売業者の決済端末24は、決済リーダー30及び販売業者デバイス32を含む。販売業者デバイス32は、販売業者用のユーザーインターフェースを提供して決済リーダー30及び決済サーバー28との通信を容易にする、販売時点情報管理アプリケーションを実行する。販売業者デバイス32は、タブレット決済デバイス34、モバイル決済デバイス36、又は決済端末38などの任意の好適なデバイスであってもよい。タブレット決済デバイス34又はモバイル決済デバイス36などのコンピューティングデバイスの場合に、販売時点情報管理アプリケーションは、購買及び決済情報のエントリ、顧客との対話、及び決済サーバー28との通信を提供してもよい。販売業者デバイス32は、有線(例えば、イーサネット、USB、FireWire、Lightning)、無線(例えば、Wi−Fi、Bluetooth、NFC、又はZigBee)接続、Bluetooth低エネルギーインターフェースを介して実装され得る通信経路40/42/44を介して、決済リーダー30と通信してもよい。決済端末24は、決済アプリケーションを実行するスマートフォン又はタブレットなどの決済情報(例えば、暗号化済み決済カードデータ及びユーザー認証データ)及びトランザクション情報(例えば、購入金額及び購買時点情報)を処理することができる。顧客は、磁気ストライプを有するクレジットカード、EMVチップを有するクレジットカード、又は決済アプリケーションを実行するスマートフォンなどのNFC対応(近距離無線通信)電子デバイスなどの決済デバイス22を有する。
【0011】
販売業者と顧客との間の電子的対話は、顧客の決済デバイス22と販売業者の決済端末24との間で行われる。いくつかの実施形態では、NFC又はEMV決済デバイス22によって示される決済限界未満の低値トランザクション又は決済トランザクションの場合、決済トランザクションの初期処理及び承認は、販売業者の決済端末24で処理されてもよい。他の実施形態では、販売業者の決済端末24は、ネットワーク26を介して決済サーバー28と通信してもよい。販売業者の決済端末24及び決済サーバー28は、決済情報及びトランザクション情報を通信して、トランザクションが認証されるかどうかを判定する。
【0012】
決済リーダー30は、ハウジング50と、ハウジング50の上端部を覆う非導電性カバー52と、カバー52に取り付けられ、カバー52によって囲まれた電子回路56と通信する導電トレースのメッシュ54と、を含む。カバー52は、プラスチックで形成されてもよい。かかる電子回路56は既知であり、1つ以上の回路基板を含んでもよく、回路基板は、リーダーチップ、複数の決済インターフェース、電源、無線通信インターフェース、有線通信インターフェースなどの、決済リーダー30の機能を実行する様々な電気部品を含む。本明細書で使用されるメッシュ54という用語は、必須ではないが互いに電気的に結合されてもよく、電子回路56に電気的に結合されてもよい、1つ以上の導電トレースを指す。いくつかの実施形態では、複数の導電トレース58a、58bが互いに織り合わされてメッシュ54を形成する。異なる織り合わされた導電トレース58a、58bは、空間的に平行な経路に沿って、非常に密集して延びることができる。いくつかの実施形態では、導電トレース58a、58bは、0.25mm離れている。いくつかの実施形態では、導電トレース58a、58bは、0.40mm離れている。実施形態では、導電トレース58a、58bは、フレックス回路、レーザ直接構造化(laser direct structuring、LDS)技術、又は他の追加の導電性インクプロセスによって設けられる。
【0013】
いくつかの実施形態では、決済リーダー30はまた、チップカードを受容することが可能であるEMVスロットを含む。決済リーダー30はまた、磁気ストリップカードとインターフェース接続するハードウェアを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハードウェアは、磁気ストリップリーダーが磁気ストリップカードから決済情報を受け取ることができるように、磁気ストリップカードの磁化されたストリップをスワイプする又は下げるように顧客を誘導するスロットを含んでもよい。受信された決済情報は、次に、決済リーダー30によって処理される。2つの導電トレース58a、58bが記載され、例示されているが、より多くの導電トレースが設けられ得ることを理解されたい。
【0014】
カバー52は、上壁部60と、上壁部60の外周から下向きに垂下する4つの相互接続された側壁部62、64、66、68と、を含み、それによって内部に電子回路56を保持する内部区画70を画定する。上壁部60は、上面60aを有し、反対側の下面60bを有する。いくつかの実施形態では、上面60aは平坦である。各側壁部62、64、66、68は、上面62a、64a、66a、68a、反対側の下面62b、66b(側壁部64、68については示されていない)、外側表面62c、64c、66c、68c、及び反対側の内側側面62d、64d、66d、68d(これらの側壁部表面は、図2図4でのみ符号付けされている)を有する。内側表面62d、64d、66d、68dは、内部区画70に面している。いくつかの実施形態では、上面62a、64a、66a、68a、下面62b、64b、66b、68b、及び外側表面62c、64c、66c、68cは、平坦である。一実施形態では、側壁部62、64、66、68は、上壁部60に対して垂直である。いくつかの実施形態では、側壁部62、64、66、68は、0度より大きく180度より小さい角度で上壁部60に対して角度をなす。
【0015】
図面に座標系が符号付けされている。カバー52は、x軸、y軸、及びz軸が互いに垂直であるように、側壁部62と側壁部66との間の座標系のx軸に沿った幅、側壁部64と側壁部68との間の座標系のy軸に沿った長さ、及び上壁部60の上面60aから上壁部60の下面60bまで延在する座標系のz軸に沿った高さだけ延在する。上壁部60の下面60bは、内部区画70のz軸境界を画定し、側壁部62、64、66、68は、内部区画70のx軸及びy軸境界を画定する。上壁部60の上面60a及び下面60bはz軸と交差し、以下の説明では、上壁部60の上面60aと下面60bとの間に延在する方向はz軸方向と定義され、上壁部60はx軸及びy軸に沿って画定されたx−y平面を有する。一実施形態では、平坦な上面60aはx−y平面を画定する。
【0016】
上壁部60の下面60bを形成する全表面積は、z方向にx−y平面から外向きに延在する少なくとも1つの三次元形状で形成されている。少なくとも1つの三次元形状は、様々な形状及び形態をとることができ、図面は、かかる三次元形状の例示的な例を示す。
【0017】
図2図4に示されるような一実施形態では、複数の三次元形状が設けられ、隆起部82、84として形成されている。
【0018】
図2図4に示された例示的な実施形態では、各隆起部82、84は、x−y平面に対して凸状又は概ね凸状に湾曲した連続面から形成されている。隆起部82は、行をなして横に並んでおり、カバー52の長さに沿って延在して列を形成する。隣接する隆起部82間の表面は、頂点に沿って、又は接線で、当該表面の隣接する縁部において互いに滑らかに融合する。各隆起部84は、側壁部64から側壁部68まで幅に沿って延在する。隆起部84は、隆起部82の行を互いに分離する。概ね、隆起部82、84は、行及び列のアレイを形成する。各隆起部82を形成する表面は、隆起部84を形成する表面と、頂点に沿って、又は接線で、当該表面の隣接する縁部において滑らかに融合する。図2に示されるように、隆起部82は、隆起部82上に、湾曲が第1の方向に延在することを示す水平線を有し、隆起部84は、隆起部84上に、湾曲が第2の垂直方向に延在することを示す垂直線を有する。例示的な実施形態では、側壁部62、64、66、68に隣接する隆起部82’は、部分的にのみ形成され、側壁部62、64、66、68によって切り取られている。
【0019】
一実施形態では、隆起部82は同じ表面積を有する。一実施形態では、隆起部82の表面積は様々である。一例として、隆起部82のいくつかは第1の表面積を有し、隆起部82のいくつかは第2の表面積を有するなどである。一例として、各隆起部82は異なる表面積を有する。一実施形態では、隆起部82の全てはz方向に同じ距離だけ延在する。一実施形態では、隆起部82のいくつかはz方向に第1の距離だけ延在し、隆起部82のいくつかはz方向に第2の距離だけ延在するなどである。一実施形態では、各隆起部82はz方向に異なる距離だけ延在する。
【0020】
一実施形態では、隆起部84は同じ表面積を有する。一実施形態では、隆起部84の表面積は様々である。一例として、隆起部84のいくつかは第1の表面積を有し、隆起部84のいくつかは第2の表面積を有するなどである。一例として、各隆起部84は異なる表面積を有する。一実施形態では、隆起部84の全てはz方向に同じ距離だけ延在する。一実施形態では、隆起部84のいくつかはz方向に第1の距離だけ延在し、隆起部84のいくつかはz方向に第2の距離だけ延在するなどである。一実施形態では、各隆起部84はz方向に異なる距離だけ延在する。
【0021】
図6図8に示されるような一実施形態では、複数の三次元形状が設けられ、表面182として形成されており、表面182の各々は互いに対して角度をなし、表面182の各々はz軸に対して角度をなし、表面182の各々はx−y平面に対して角度をなす。表面182は、下面60b上にランダムに形成されている。図6の例示的な実施形態に示されるように、表面182は、隆起部を概ね形成し、各々が互いに対して角度をなすA’、B’、C’、E’、F’、G’、H’と符号付けされた8つの表面を有する。図6の例示的な実施形態に示されるように、A”、B”と符号付けされた表面182は、互いに対して角度をなし、表面A’、B’、C’、E’、F’、G’、H’に対して角度をなす。
【0022】
隣接する表面182は、互いに滑らかに融合し、頂点又は接線で合流する。表面182は、平坦な表面から形成されてもよく、湾曲した、凹状若しくは概ね凹状又は凸状若しくは概ね凸状のいずれかである表面から形成されてもよい。これらの表面の任意のものの組み合わせを使用することができる。
【0023】
一実施形態では、表面182は同じ表面積を有する。一実施形態では、表面182の表面積は様々である。一例として、表面182のいくつかは第1の表面積を有し、表面182のいくつかは第2の表面積を有するなどである。一例として、各表面182は異なる表面積を有する。
【0024】
一実施形態では、表面182の全てはz方向に同じ距離だけ延在する。一実施形態では、表面182のいくつかはz方向に第1の距離だけ延在し、表面182のいくつかはz方向に第2の距離だけ延在するなどである。一実施形態では、各表面182はz方向に異なる距離だけ延在する。
【0025】
図9図12に示されるような一実施形態では、単一の三次元形状が設けられ、山部又は隆起部282として形成されている。隆起部282は、湾曲した単一の表面で形成されてもよく、又は互いに滑らかに融合し、各々が頂点又は接線で合流する複数の表面で形成されてもよい。複数の表面から形成される場合、隆起部282を形成する表面は、平坦面から形成されてもよく、平坦面の各々は、互いに対して角度をなし、z軸に対して角度をなし、x−y平面に対して角度をなし、当該表面は、x−y平面に対して、凹状、概ね凹状、凸状、又は概ね凸状の形状のいずれかとして湾曲した表面から形成され、z軸に対して角度をなしてもよく、平坦面及び曲面の組み合わせで形成されてもよい。
【0026】
図13図15に示されるような一実施形態では、三次元形状は波状パターンで形成され、側壁部64と側壁部68(側壁部68は図14及び図15には示されていない)との間の上壁部60の長さに沿って延在する概ね凸状の形状で凸状である又は湾曲した複数の表面382と、側壁部64と側壁部68との間の上壁部60の長さに沿って延在する概ね凹状の形状で凹状である又は湾曲した複数の表面384と、を含み、表面382、384は、側壁部62と側壁部66との間のカバー52の幅の方向に互いに交互になっている。表面382は、x−y平面に対して湾曲している。表面384は、x−y平面に対して湾曲している。表面382は、表面382の隣接する縁部において、接線に沿って表面384と滑らかに融合する。
【0027】
一実施形態では、表面382、384は、同じ表面積を有する。一実施形態では、表面382、384の表面積は様々である。一例として、表面382、384のいくつかは第1の表面積を有し、表面382、384のいくつかは第2の表面積を有するなどである。一例として、各表面382、384は、異なる表面積を有する。
【0028】
一実施形態では、表面382の全てはz方向に同じ距離だけ延在する。一実施形態では、表面382のいくつかはz方向に第1の距離だけ延在し、表面382のいくつかはz方向に第2の距離だけ延在するなどである。一実施形態では、各表面384は、z方向に異なる距離だけ延在する。一実施形態では、表面384の全てはz方向に同じ距離だけ延在する。一実施形態では、表面384のいくつかはz方向に第1の距離だけ延在し、表面384のいくつかはz方向に第2の距離だけ延在するなどである。一実施形態では、各表面384はz方向に異なる距離だけ延在する。
【0029】
図面に示された実施形態は、下面60b上に形成され得る三次元形状の例であり、多数の他の三次元形状が内面60上に形成され得ることを理解されたい。一実施形態では、単一の三次元形状が、z方向にx−y平面から外向きに延在する上壁部60の下面60bの全表面積上に形成される。
【0030】
メッシュ54は、カバー60の下面60b上に設けられ、三次元形状の部分にオーバーレイする。図2図4に示されたカバー52の実施形態を示す図5に例示されるように、メッシュ54は、電子回路56と各々通信する複数のトレース58a、58bとして形成されてもよい。一実施形態では、トレース58a、58bは、蛇行パターンで設けられているが、これは例示的であり、他のパターンが設けられてもよい。下面60b上に三次元形状が形成されているため、不正者が上壁部60の上面60aを上面60aから下面60bに向かって研削する場合に、不正者はメッシュ54の表面全体を同時に露出させることができず、また、不正者は、上壁部60が下方に研削される際にメッシュ54の部分のみが露出するため、メッシュ54のかなりの部分を同時に露出させることもできない。結果として、メッシュ54を上壁部60から剥がすことができず、また、不正者が、メッシュ54内の隣接するトレース58a、58b間で穿孔する場所を容易に判定することもできない。メッシュ54は、図5において、図2図4に示されたカバー52の実施形態に関連して図面に示されているのみであるが、メッシュ54は、図6図15に示された実施形態のカバー52上に設けられることを理解されたい。
【0031】
一実施形態では、オーバーレイ(図示せず)が、メッシュ54の下面及び三次元形状の露出した下面60b上に設けられる。一実施形態では、オーバーレイは、電子回路56と通信する、オーバーレイの下面上に形成された二次メッシュ(図示せず)を有する。オーバーレイ上の二次メッシュは、第1のメッシュ54が設けられるパターンとは異なるパターンで形成されてもよく、それにより、不正者が第1のメッシュ54のパターンの空間の間で穿孔しようとする場合に、第2のパターンを分断する。
【0032】
側壁部62、66の内側表面62d、66dの全表面積は、x軸方向にy−z平面から外向きに延在する少なくとも1つの三次元形状を全表面積上に有してもよく、側壁部64、68の内側表面64d、68dの全表面積は、y軸方向にx−z平面から外向きに延在する三次元形状を全表面積上に有してもよい。側壁部62、64、66、68の内側表面62d、64d、66d、68d上の三次元形状は、図2図15に示されるもののいずれかと同じように下面60b上に形成されてもよい。側壁部62、64、66、68の内側表面62d、64d、66d、68d上の三次元形状は、凸状若しくは概ね凸状又は凹状若しくは概ね凹状である単一の表面として形成されてもよい。メッシュ(図示せず)は、カバー60の内側表面62d、64d、66d、68d上に設けられてもよく、側壁部62、64、66、68の内側表面62d、64d、66d、68d上の三次元形状の部分にオーバーレイする。側壁部62、64、66、68の内側表面62d、64d、66d、68d上に三次元形状が形成されるいくつかの実施形態では、不正者が、側壁部62、64、66、68を当該側壁部の外側表面62c、64c、66c、68cから当該側壁部の内側表面62d、64d、66d、68dに向かって研削する場合、不正者は、側壁部62、64、66、68上のメッシュの表面全体を同時に露出させることができず、また、不正者は、側壁部62、64、66、68が下方に研削される際にメッシュの部分のみが露出するため、メッシュのかなりの部分を同時に露出させることもできない。その結果、側壁部62、64、66、68上のメッシュを側壁部62、64、66、68から剥がすことができず、また、不正者は、側壁部62、64、66、68内のメッシュ54内の隣接するトレース間で穿孔する場所を容易に判定することもできない。
【0033】
一実施形態では、オーバーレイ(図示せず)が、側壁部62、64、66、68上のメッシュの内側表面、及び三次元形状の露出した内側表面62d、64d、66d、68d上に設けられる。一実施形態では、オーバーレイは、電子回路56と通信する内側表面上に形成された二次メッシュ(図示せず)を有する。オーバーレイ上の二次メッシュは、第1のメッシュが設けられるパターンとは異なるパターンで形成されてもよく、それにより、不正者が第1のメッシュのパターンの空間の間で穿孔しようとする場合に、第2のパターンを分断する。
【0034】
本開示の説明の文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つの」という用語、並びに類似の指示物の使用は、本明細書に特に指示がない限り又は文脈と明確に相反しない限り、単数及び複数形の両方を包含するように解釈されるものとする。1つ以上の項目の一覧が後に続く「少なくとも1つ」という用語の使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書に特に指示がない限り又は文脈と明確に相反しない限り、列記された項目(A若しくはB)から選択された1つの項目又は列記された項目(A及びB)の2つ以上の任意の組み合わせを意味するように解釈されるものとする。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、特に記載がない限り、制限のない用語(すなわち、「〜が挙げられるが、それに限定されない」を意味する)として解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の記述は、本明細書に特に指示がない限り、単に、範囲内にあるそれぞれの別個の値を個々に言及する簡略化法として機能することが意図され、それぞれの別個の値は、それが本明細書に個々に記述されたかのように明細書に組み込まれる。本明細書に説明される全てのプロセスは、本明細書に特に指示がない限り又は文脈と明確に相反しない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書に提供された任意の及び全ての例、又は例示的な文言(例えば、「〜など」)の使用は、単に、本開示をより良好に例示することが意図され、特に特許請求されない本開示の範囲への限定をもたらさない。明細書における文言は、本開示の実施に欠かせないとして、いかなる特許請求されない要素も指示するものとして解釈されるべきではない。
【0035】
本開示の好ましい実施形態は、本明細書に記載され、本開示を実行するために本発明者らに既知である最良の形態を含む。それらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読んだ後に当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が、必要に応じてかかる変形を採用することを期待し、発明者らは、本明細書に具体的に説明されるようなもの以外に本開示が実施されることを意図する。したがって、本開示は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記述された主題の全ての修正物及び等価物を含む。更に、その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別途指示がない限り、又は文脈に明らかな矛盾がない限り、本開示によって包含される。
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15