(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記作業要素の旋回時の姿勢と前記作業要素に作用する応力との対応関係を予め定めた参照用データベースを参照し、旋回動作が行われる際の前記作業要素の姿勢を決定する、
請求項1に記載のショベル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、
図1を参照して、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベルについて説明する。なお、
図1は、本実施例に係るショベルの側面図である。
図1に示すショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられる。アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、エンジン11等の動力源が搭載される。
【0010】
図2は、
図1のショベルに搭載される駆動系の構成例を示す図であり、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系をそれぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
【0011】
ショベルの駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14L、14R、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、角度センサ28、圧力センサ29、コントローラ30、及び自動操作機構31を含む。
【0012】
エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14L、14R及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
【0013】
メインポンプ14L、14Rは、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための装置であり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0014】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26及び自動操作機構31を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するための装置であり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0015】
コントロールバルブ17は、ショベルにおける油圧系を制御する油圧制御装置である。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れを制御する流量制御弁171〜176を含む。そして、コントロールバルブ17は、流量制御弁171〜176を通じ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(左用)、走行用油圧モータ1B(右用)、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの1又は複数のものに対しメインポンプ14L、14Rが吐出する作動油を選択的に供給する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A(左用)、走行用油圧モータ1B(右用)、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。
【0016】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダル(図示せず。)の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
【0017】
角度センサ28は、掘削アタッチメントの姿勢を検出するための姿勢検出部の一例である。本実施例では、角度センサ28は、ブーム4の上部旋回体に対する角度であるブーム角度をブームフートピンの回転角度の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、ブーム角度は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ等、角度センサ以外の他のセンサの出力を用いて導き出されてもよい。また、角度センサ28は、アーム5のブーム4に対する角度であるアーム角度、バケット6のアーム5に対する角度であるバケット角度等を検出してもよい。また、姿勢検出部の別の一例としてのストロークセンサは、油圧シリンダにおけるピストンの変位を検出するセンサであってもよい。
【0018】
圧力センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するための操作内容検出部の一例である。本実施例では、圧力センサ29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、操作装置26の操作内容は、ポテンショメータ等、圧力センサ以外の他のセンサの出力を用いて導き出されてもよい。
【0019】
コントローラ30は、ショベルを制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、不揮発性メモリ等を備えたコンピュータで構成される。また、コントローラ30は、各種機能要素に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし、各種機能要素に対応する処理をCPUに実行させる。
【0020】
また、コントローラ30は、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rから、センターバイパス管路40L、40Rのそれぞれを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0021】
センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁171、173、及び175を通る高圧油圧ラインであり、センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁172、174、及び176を通る高圧油圧ラインである。
【0022】
流量制御弁171は、メインポンプ14L、走行用油圧モータ1A(左用)、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁172は、メインポンプ14R、走行用油圧モータ1B(右用)、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁173は、メインポンプ14L、旋回用油圧モータ2A、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。
【0023】
流量制御弁174は、メインポンプ14R、バケットシリンダ9、及び作動油タンクの間の作動油の間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁175は、メインポンプ14L、アームシリンダ8、及び作動油タンクの間の作動油の間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁176は、メインポンプ14R、ブームシリンダ7、及び作動油タンクの間の作動油の間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。
【0024】
また、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて旋回操作が行われたか否かを判定する。そして、旋回操作が行われたと判定した場合、自動操作機構31に制御指令を出力してブーム4を自動的に上昇させる。旋回動作の際にブーム4に作用する応力が小さくなるようにするためである。具体的には、旋回動作の際にブーム4に作用する応力が所定値以下となるように掘削アタッチメントの旋回半径を小さくするためである。なお、所定値は、ブーム4の構造解析等に基づいて予め設定される値である。また、コントローラ30は、所定条件が満たされた場合に自動操作機構31に制御指令を出力して旋回用油圧モータ2Aに供給される作動油の流量を自動的に低減させてもよい。旋回動作の際にブーム4に作用する応力が所定値以下となるように上部旋回体3の急加速、急減速、或いは急停止を防止するためである。
【0025】
自動操作機構31は、油圧アクチュエータを自動的に操作するための機構である。具体的には、自動操作機構31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じてパイロットポンプ15からコントロールバルブ17における各種流量制御弁のパイロットポートに導入される制御圧を調整する。そして、操作装置26を利用した操作者による操作入力の有無にかかわらず、各種流量制御弁を自動的に駆動し、対応する油圧アクチュエータを自動的に動作させる。
【0026】
図3は、自動操作機構31の構成例を示す図である。また、
図3は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁176に接続される構成を代表例として示す。なお、図示は省略するが、自動操作機構31は、旋回用油圧モータ2Aに対応する流量制御弁173等の他の流量制御弁にも同様に接続され得る。
【0027】
図3の自動操作機構31は、主に、電磁減圧弁32及び電磁切替弁33L、33Rを含み、ブーム操作レバー26Aと流量制御弁176との間に配置される。
【0028】
ブーム操作レバー26Aは、操作装置26の一例であり、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じたパイロット圧を生成する。具体的には、ブーム操作レバー26Aは、ブーム上げ方向に操作された場合に、流量制御弁176の左側のパイロットポートに作動油を導入させ、ブーム下げ方向に操作された場合には、流量制御弁176の右側のパイロットポートに作動油を導入させる。
【0029】
圧力センサ29Aは、圧力センサ29の一例であり、ブーム操作レバー26Aに対する操作者の操作内容を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0030】
電磁減圧弁32は、パイロットポンプ15の吐出圧を利用し、コントローラ30からの制御指令に応じた二次圧を生成する。
【0031】
電磁切替弁33L、33Rは、4ポート3位置の切替弁であり、コントローラ30からの制御指令に応じて弁位置を第1弁位置、第2弁位置、及び第3弁位置のうちの何れかに切り替える。なお、図中の括弧内の数字は弁位置の番号を表す。
【0032】
第1弁位置は、電磁減圧弁32が生成する二次圧を流量制御弁176のパイロットポートに導入させる弁位置である。また、第2弁位置は、ブーム操作レバー26Aが生成するパイロット圧を流量制御弁176のパイロットポートに導入させる弁位置である。また、第3弁位置は、流量制御弁176のパイロットポートにある作動油を作動油タンクに流出させる弁位置である。
【0033】
例えば、コントローラ30は、ブーム4を自動的に動作させない場合には、電磁切替弁33L、33Rの双方を第2弁位置とし、ブーム操作レバー26Aが生成するパイロット圧が流量制御弁176のパイロットポートに作用できるようにする。そして、ブーム4を自動的に上昇させる場合には、コントローラ30は、電磁減圧弁32で所望の二次圧を生成させた上で電磁切替弁33Lを第1弁位置に切り替え、その二次圧を流量制御弁176の左側のパイロットポートに作用させる。また、コントローラ30は、電磁切替弁33Rを第3弁位置に切り替え、流量制御弁176の右側のパイロットポートにある作動油を作動油タンクに流出させる。ブーム4を自動的に下降させる場合も同様である。
【0034】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム操作レバー26Aに対する操作入力の有無にかかわらず、流量制御弁176を自動的に駆動し、ブームシリンダ7を自動的に動作させることができる。そして、コントローラ30は、ブーム4の疲労寿命の短縮を防止するため、旋回時のブーム4の姿勢を自動的に制御できる。
【0035】
図4は、旋回時のブーム角度θとブーム4の所定部分の累積疲労損傷度との関係の一例を示す図である。具体的には、
図4(A1)及び
図4(A2)はブーム角度θが比較的小さい場合の関係を表し、
図4(B1)及び
図4(B2)はブーム角度θが比較的大きい場合の関係を表す。また、
図4(A1)及び
図4(B1)はブーム4を斜め下から見た図であり、
図4(A2)及び
図4(B2)はブーム4を側方から見た図である。なお、本実施例では、ブーム角度θは、センターボス4bとブームフートピン4cとを結ぶ線分L1の、ブームフートピン4cを通る鉛直線L2に対する角度を意味する。なお、ブーム角度θは対地表角度で表されてもよい。また、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度は、旋回動作の際にブーム4の所定部分に作用する繰り返し応力の繰り返し数を破断繰り返し数で除した値の総和を意味する。なお、破断繰り返し数は、ブーム4の所定部分が疲労破壊されるときの繰り返し応力の繰り返し数である。また、領域Raは、アームシリンダフートブラケット4aの近くにある溶接部を表し、具体的には、ブーム4の外面を構成する上下左右の4つの板材のうちの下板とブーム4の内部にある仕切り板(隔壁)との間の溶接部を表す。また、領域Rbは、ブームフートピン4cの近くにある溶接部を表し、具体的には、4つの板材のうちの左右の側板とブーム4の内部にある仕切り板(隔壁)との間の溶接部を表す。なお、
図4(A1)及び
図4(B1)では、左の側板に関する溶接部のみが視認できる。
【0036】
また、
図4は、
図4(A1)に示すようにブーム角度θが比較的小さい場合に領域Raの累積疲労損傷度が領域Rbよりも大きく、
図4(B1)に示すようにブーム角度θが比較的大きい場合に領域Raの累積疲労損傷度が領域Rbよりも小さいことを表す。なお、領域Ra及び領域Rbを示すハッチングは、目が粗いほど累積疲労損傷度が小さいことを表す。
【0037】
このように、旋回動作によるブーム4の各部分の累積疲労損傷度は、旋回時のブーム4のブーム角度θによって異なる。そのため、旋回時のブーム4の姿勢を制御することで疲労寿命の短縮を防止できることが分かる。
【0038】
図5は、旋回時のブーム角度θと領域Ra及び領域Rbのそれぞれの累積疲労損傷度Dとの関係の一例を示すグラフである。また、
図5の実線で示す推移はブーム角度θに対する領域Raの累積疲労損傷度の推移を表し、一点鎖線で示す推移はブーム角度θに対する領域Rbの累積疲労損傷度の推移を表す。
【0039】
具体的には、
図5は、領域Raの累積疲労損傷度(例えば1回の旋回動作によるダメージに対応)の最大値が領域Rbの累積疲労損傷度の最大値よりも小さいことを表す。また、
図5は、ブーム角度θがθ2を超えると、領域Rbの累積疲労損傷度が領域Raの累積疲労損傷度よりも大きいことを表す。この場合、コントローラ30は、旋回時のブーム角度θがθ2未満となるようにブーム4を自動的に動作させることで、ブーム4の疲労寿命の短縮を防止できる。なお、θ1は例えば0〜10度であり、θ2は例えば20〜40度であり、θ3は例えば60〜75度である。
【0040】
次に、
図6を参照し、旋回時にコントローラ30がブーム4の姿勢を自動的に制御する処理(以下、「ブーム姿勢制御処理」とする。)について説明する。なお、
図6は、ブーム姿勢制御処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこのブーム姿勢制御処理を実行する。
【0041】
最初に、コントローラ30は、旋回操作が行われたかを判定する(ステップS1)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて旋回操作レバーが操作されたかを判定する。
【0042】
そして、旋回操作が行われたと判定した場合(ステップS1のYES)、コントローラ30は、ブーム角度θが目標ブーム角度θtg以上であるかを判定する(ステップS2)。本実施例では、コントローラ30は、角度センサ28の出力に基づいてブーム角度θが目標ブーム角度θtg以上であるかを判定する。
【0043】
そして、ブーム角度θが目標ブーム角度θtg以上であると判定した場合(ステップS2のYES)、コントローラ30は、ブーム4を上昇させる(ステップS3)。本実施例では、コントローラ30は、自動操作機構31に制御指令を出力して流量制御弁176を自動的に駆動し、ブーム角度θが目標ブーム角度θtg未満となるまでブームシリンダ7を自動的に伸張させる。
【0044】
そして、コントローラ30は、ブーム角度θを目標ブーム角度θtg未満とした後で旋回動作を開始させる。なお、コントローラ30は、旋回中にブーム4を上昇させてもよい。
【0045】
また、ブーム角度θが目標ブーム角度θtg未満であると判定した場合には(ステップS2のNO)、コントローラ30は、ブーム4を上昇させることなく旋回動作を実行する。なお、旋回操作が行われていないと判定した場合には(ステップS1のNO)、コントローラ30は、何ら制御を行うことなく今回のブーム姿勢制御処理を終了する。
【0046】
以上の構成により、コントローラ30は、旋回操作が行われたときのブーム角度θが目標ブーム角度θtg以上であれば、ブーム角度θが目標ブーム角度θtg未満となるまでブーム4を自動的に上昇させる。そのため、コントローラ30は、旋回時にブーム4の所定部分(例えば溶接部Ra及び溶接部Rb)に作用する応力を所定値以下にできる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の疲労寿命の短縮を防止できる。なお、コントローラ30は、ブーム角度θを制御対象とする代わりに、ブーム4の旋回半径、ブーム角度θとブーム4の旋回半径との組み合わせ、アーム5(バケットピンの位置)の旋回半径、アーム角度とアーム5の旋回半径との組み合わせ、掘削アタッチメントの慣性モーメント等を制御対象としてもよい。
【0047】
次に、
図7を参照し、ブーム姿勢制御処理の別の構成例について説明する。なお、
図7は、ブーム姿勢制御処理の別の構成例の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこのブーム姿勢制御処理を実行する。
【0048】
最初に、コントローラ30は、旋回動作の実行回数を計数する(ステップS11)。本実施例では、コントローラ30は、圧力センサ29の出力に基づいて旋回操作レバーが操作されたかを判定する。そして、旋回操作レバーが操作されたと判定した場合に、不揮発性メモリに記憶される旋回動作実行回数をインクリメントする。
【0049】
その後、コントローラ30は、旋回動作実行回数が予め定められた所定回数Nth以上となったかを判定する(ステップS12)。本実施例では、コントローラ30は、不揮発性メモリに記憶された旋回動作実行回数及び所定回数Nthを読み出して旋回動作実行回数が所定回数Nth以上となったかを判定する。
【0050】
旋回動作実行回数が所定回数Nth未満であると判定した場合(ステップS12のNO)、コントローラ30は、今回のブーム姿勢制御処理を終了させる。
【0051】
一方で、旋回動作実行回数が所定回数Nth以上になったと判定した場合(ステップS12のYES)、コントローラ30は、旋回時に取るべき掘削アタッチメントの姿勢を切り替える(ステップS13)。本実施例では、コントローラ30は、目標ブーム角度θtgの値を変更する。なお、コントローラ30は、旋回動作実行回数が所定回数Nth未満の場合には、旋回時に取るべき掘削アタッチメントの姿勢を制御しないようにしてもよい。この場合、自動操作機構31が作動することはなく、ブームシリンダ7が自動的に伸縮させられることもない。
【0052】
図8は、旋回動作実行回数と溶接部Ra、Rbの累積疲労損傷度との関係を示すグラフである。なお、本実施例では、コントローラ30は、旋回動作実行回数が所定回数Nthとなったときに、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢を、
図4(A1)及び
図4(A2)に示すブーム角度θが比較的小さい状態から
図4(B1)及び
図4(B2)に示すブーム角度θが比較的大きい状態に切り替える。
【0053】
具体的には、
図8の実線で示すように、ブーム4の溶接部Raの累積疲労損傷度は、旋回動作実行回数の増大にしたがって増加率α1で増大する。そして、旋回動作実行回数が所定回数Nthに達したところで値D1に達する。その後、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢が切り替えられると、増加率α1より小さい増加率α2で増大し、旋回動作実行回数がN2回に達したところで許容最大値Dmaxに達する。
【0054】
また、
図8の破線で示すように、ブーム4の溶接部Rbの累積疲労損傷度は、旋回動作実行回数の増大にしたがって増加率β1で増大する。そして、旋回動作実行回数が所定回数Nthに達したところで値D2に達する。その後、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢が切り替えられると、増加率β1より大きい増加率β2で増大し、旋回動作実行回数がN2回に達したところで許容最大値Dmax未満の値D3に達する。
【0055】
なお、旋回動作実行回数が所定回数Nthに達したところで旋回時の掘削アタッチメントの姿勢の切り替えが行われなかった場合、ブーム4の溶接部Raの累積疲労損傷度は、
図8の一点鎖線で示すように、旋回動作実行回数が値N1(<N2)に達したところで許容最大値Dmaxに達する。これは、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢が切り替えられることで、(N2−N1)回の旋回動作分だけブーム4の全体としての疲労寿命が延長されることを表す。
【0056】
また、ブーム角度θが比較的大きい状態で旋回動作が繰り返された場合、ブーム4の溶接部Rbの累積疲労損傷度は、
図8の二点鎖線で示すように、旋回動作実行回数が値N0(<N1)に達したところで許容最大値Dmaxに達する。これは、ブーム角度θが比較的小さい状態で旋回動作が行われることで(N1−N0)回の旋回動作分だけブーム4の全体としての疲労寿命が延長されることを表す。さらに、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢が切り替えられることで、(N2−N0)回の旋回動作分だけブーム4の全体としての疲労寿命が延長されることを表す。
【0057】
以上の構成により、コントローラ30は、旋回時に自動調整されるブーム角度θの値を旋回動作実行回数に応じて変更できる。例えば、コントローラ30は、旋回動作実行回数が所定回数Nth以上となった場合に目標ブーム角度θtgを小さくし、旋回時の自動調整後のブーム角度θの値を小さくできる。その結果、コントローラ30は、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢を常に同じにすることでブーム4の特定部分の累積疲労損傷度が早期に許容最大値に達してしまうのを防止できる。すなわち、コントローラ30は、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢を切り替えることで、ブーム4の他の部分の累積疲労損傷度が比較的低いにもかかわらずその特定部分の累積疲労損傷度だけが突出して高くなってしまうのを防止できる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の全体としての疲労寿命を延長できる。
【0058】
また、コントローラ30は、ショベルの累計稼働時間が所定時間に達した場合、所定の日時が到来した場合等、所定のタイミングで旋回時に取るべき掘削アタッチメントの姿勢を切り替えるようにしてもよい。
【0059】
また、コントローラ30は、旋回時に取るべき掘削アタッチメントの姿勢の切り替えを3段階以上で行うようにしてもよい。
【0060】
次に、
図9を参照し、ブーム姿勢制御処理のさらに別の構成例について説明する。なお、
図9は、ブーム姿勢制御処理のさらに別の構成例の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこのブーム姿勢制御処理を実行する。
【0061】
最初に、コントローラ30は、ブーム4の各所定部分の累積疲労損傷度を算出する(ステップS21)。本実施例では、コントローラ30は、ショベルに取り付けられた各種センサの出力に基づき、旋回動作が行われる度に、旋回動作中にブーム4の所定部分のそれぞれに作用する応力を算出する。なお、ブーム4の所定部分は、例えば溶接部Ra、Rb等を含む。また、各種センサは、角度センサ28、ブームシリンダ圧センサ(図示せず。)等を含む。そして、角度センサ28の出力はブーム4の姿勢を導き出すために用いられ、ブームシリンダ圧センサの出力はブーム4に作用する荷重を導き出すために用いられる。また、応力の算出には、例えば有限要素法等の数値解析手法が用いられ、ブーム4の姿勢及びブーム4に作用する荷重が境界条件として用いられる。また、コントローラ30は、応力の時間変化から抽出される応力の極値に基づいて所定部分のそれぞれの累積疲労損傷度を算出する。例えば、コントローラ30は、旋回動作中に溶接部Rbに作用する応力の極大値と極小値に基づき、その応力が変動する範囲である応力範囲Δσとその出現頻度nを応力範囲Δσ毎に導き出す。その上で、コントローラ30は、累積疲労損傷則に基づく以下の式(1)に基づいて溶接部Rbの累積疲労損傷度Dを導き出す。なお、破断繰り返し数Nは、応力範囲Δσ毎に予め設定される値であり、iは1以上の整数である。また、コントローラ30は、他の所定部分のそれぞれについても同様に累積疲労損傷度Dを導き出す。また、コントローラ30は、旋回動作中ばかりでなく、掘削動作、排土動作等のショベルの各種動作中にブーム4の所定部分のそれぞれに作用する応力を算出した上で、所定部分のそれぞれの累積疲労損傷度Dを導き出してもよい。
【0062】
【数1】
その後、コントローラ30は、ブーム4の所定部分の何れかの累積疲労損傷度Dが予め定められた所定値Dth以上となったかを判定する(ステップS22)。なお、所定値Dthは、所定部分のそれぞれに共通の値であってもよく異なる値であってもよい。
【0063】
そして、ブーム4の所定部分の何れかの累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定した場合(ステップS22のYES)、コントローラ30は、その後の旋回時に取るべき掘削アタッチメントの最適な姿勢を決定する(ステップS23)。本実施例では、コントローラ30は、不揮発性メモリに予め記憶されたダメージパターンマップを参照してブーム4の最適な姿勢を決定する。ダメージパターンマップは、ブーム4の姿勢毎(例えばブーム角度θの1度毎)に、その姿勢で所定動作(例えば旋回動作)が行われたときにブーム4の所定部分のそれぞれに作用する応力を予め算出して記憶する参照用データベースである。具体的には、コントローラ30は、ダメージパターンマップを参照し、例えば、累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったブーム4の所定部分に作用する旋回時応力が最小となるブーム角度θを導き出す。そして、コントローラ30は、導き出したブーム角度θを、ブーム4を自動操作する際の目標角度である目標ブーム角度θtgに設定する。
【0064】
以上の構成により、コントローラ30は、ブーム4の複数の部分のそれぞれの累積疲労損傷度Dを継続的に算出し、何れかの累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定した場合に、その後の旋回時の目標ブーム角度θtgを決定する。そして、コントローラ30は、その後に旋回操作が行われた場合には、ブーム角度θがその目標ブーム角度θtg未満となるよう、必要に応じてブーム4を自動的に上昇させる。そのため、コントローラ30は、累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上となったブーム4の所定部分に作用する旋回時応力を低減させることができる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の全体としての疲労寿命を延長できる。
【0065】
また、コントローラ30は、旋回時の掘削アタッチメントの姿勢を切り替えることで、ブーム4の他の部分の累積疲労損傷度が比較的低いにもかかわらず特定部分の累積疲労損傷度だけが突出して高くなるのを防止できる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の全体としての疲労寿命を延長できる。
【0066】
また、コントローラ30は、各種センサの実測値から算出されるブーム4における複数の局所部分のそれぞれの累積疲労損傷度に基づいてその後の旋回時に採用すべき目標ブーム角度θtgを決定する。そのため、コントローラ30は、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度をより高精度に推定しながらその後の旋回時に採用すべき目標ブーム角度θtgをより高精度に決定できる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の全体としての疲労寿命を延長できる。
【0067】
次に、
図10を参照し、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定した場合にコントローラ30が旋回加速度を自動的に制限する処理(以下、「旋回加速度制限処理」とする。)について説明する。なお、
図10は、旋回加速度制限処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの旋回加速度制限処理を実行する。なお、
図10のステップS31及びS32は
図9のステップS21及びS22と共通であるため、その説明を省略する。
【0068】
ブーム4の所定部分の何れかの累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定した場合(ステップS32のYES)、コントローラ30は、その後の旋回時における旋回加速度を制限する(ステップS33)。本実施例では、コントローラ30は、累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上となった部分がブーム4の何れの部分であったとしてもその後の旋回時における旋回加速度を同じように制限する。なお、コントローラ30は、累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上となった部分がブーム4のどの部分であるかに応じてその後の旋回時における旋回加速度の制限内容を決定してもよい。また、コントローラ30は、旋回動作の実行回数が所定回数Nth以上になった場合に、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定してその後の旋回時における旋回加速度を制限してもよい。
【0069】
次に、
図11を参照し、旋回用油圧モータ2Aの代わりに旋回用電動機(図示せず。)を搭載するショベルの旋回加速度を制限する方法について説明する。なお、
図11は、コントローラ30が旋回用電動機の駆動制御を行う際に用いる旋回制御部30Aの構成例を示す機能ブロック図である。
【0070】
旋回制御部30Aは、主に、速度指令生成部E1、加速度制限値切替部E2、加速度制限部E3、減算部E4、及びPI制御部E5を有する。
【0071】
速度指令生成部E1は、圧力センサ29が出力する操作指令Lに基づいて速度指令C1を生成する。具体的には、速度指令生成部E1は、旋回操作レバーの操作内容に対応する操作指令Lと速度指令C1との対応関係を予め記憶する対応テーブルを参照し、現在の操作指令Lに対応する速度指令C1を生成する。そして、速度指令生成部E1は、生成した速度指令C1を加速度制限部E3に対して出力する。
【0072】
加速度制限値切替部E2は、コントローラ30による累積疲労損傷度Dの計算によって導き出されるダメージに基づく操作量の補正値に応じて出力値を切り替える。本実施例では、加速度制限値切替部E2は、例えば
図10の旋回加速度制限処理のステップS32においてコントローラ30がブーム4の所定部分の何れかの累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定した場合に出力値を切り替える。具体的には、加速度制限値切替部E2は、累積疲労損傷度Dが所定値Dth未満のときに採用していた通常加速度a1を低加速度a2に切り替えて出力値である加速度制限値aとして出力する。なお、加速度制限値切替部E2は、旋回動作の実行回数が所定回数Nth以上になったとコントローラ30が判定した場合に出力値を切り替えてもよい。
【0073】
加速度制限部E3は、加速度制限値切替部E2が出力する加速度制限値aを用いて速度指令生成部E1が出力する速度指令C1を調整して速度指令C2を生成する。そして、生成した速度指令C2を減算部E4に対して出力する。本実施例では、加速度制限部E3は、前回の制御周期で生成した速度指令C2と今回の制御周期で取得した速度指令C1との差が加速度制限値a以下となるように速度指令C2を新たに生成する。具体的には、その差が加速度制限値a未満であれば今回の制御周期で取得した速度指令C1をそのまま速度指令C2として出力する。一方で、その差が加速度制限値a以上であれば、前回の制御周期で取得した速度指令C2に加速度制限値aを加算した値(速度指令増加時の値)、又は前回の制御周期で取得した速度指令C2から加速度制限値aを減算した値(速度指令減少時の値)を速度指令C2として出力する。
【0074】
減算部E4は、速度指令C2と旋回速度Vとの偏差ΔVをPI制御部E5に対して出力する。旋回速度Vは、例えばレゾルバ等の旋回速度検出部(図示せず。)が出力する値である。
【0075】
PI制御部E5は、減算部E4が出力する偏差に基づいてPI制御を実行する。本実施例では、PI制御部E5は、旋回速度Vが速度指令C2に近づくようにトルク指令Tを生成して出力する。具体的には、コントローラ30は、旋回用電動機駆動用インバータのトランジスタをスイッチング制御するPWM信号生成部(図示せず。)に対してトルク指令Tを出力する。PWM信号生成部は、トルク指令Tに応じて生成したPWM信号を旋回用電動機駆動用インバータに対して出力する。そして、旋回用電動機駆動用インバータは、PWM信号に応じて旋回用電動機に電流を供給し、旋回速度Vが速度指令C2に対応する旋回速度となるよう旋回用電動機を回転駆動させる。
【0076】
以上の構成により、コントローラ30は、ブーム4の所定部分のそれぞれの累積疲労損傷度Dを継続的に算出し、何れかの累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上になったと判定した場合に、その後に行われる旋回時の旋回加速度を制限する。上部旋回体3を急加速、急減速、或いは急停止させないようにするためである。そのため、コントローラ30は、累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上となったブーム4の所定部分に作用する旋回時応力を低減させることができる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の全体としての疲労寿命を延長できる。
【0077】
また、コントローラ30は、旋回動作の実行回数が所定回数Nth以上になった場合に、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度Dが所定値Dth以上となったと判定してその後に行われる旋回時の旋回加速度を制限してもよい。この場合もコントローラ30は、その後の旋回動作において、累積疲労損傷度が高くなったと推定されるブーム4の所定部分に作用する旋回時応力を低減させることができる。その結果、コントローラ30は、ブーム4の全体としての疲労寿命を延長できる。
【0078】
また、コントローラ30は、ブーム角度θの自動調整と旋回加速度の制限とを組み合わせてもよい。具体的には、コントローラ30は、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度が高くなったと推定される場合に、その後の旋回時の目標ブーム角度θtgを小さくした上で旋回加速度を制限してもよい。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0080】
例えば、コントローラ30は、旋回動作の際にブーム4に作用する応力が所定値以下となるように、掘削動作の際の掘削アタッチメントの姿勢を自動的に制御してもよい。具体的には、コントローラ30は、掘削アタッチメントによる掘削深さが浅くなるように、すなわち掘削完了時のバケット6における土砂の重量が小さくなるように掘削動作の際の掘削アタッチメントの姿勢を自動的に制御してもよい。また、コントローラ30は、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度が高くなったと推定した場合、その後の掘削動作の際の掘削アタッチメントの姿勢を自動的に制御してもよい。この場合、コントローラ30は、ブーム4の所定部分の累積疲労損傷度が高くなったと推定する前に行われた掘削動作の際の平均的な掘削深さよりも所定深さΔhだけ浅い掘削深さをその推定後の許容最大掘削深さとしてもよい。
【0081】
また、上述の実施例に係るショベルは操作者が操作する有人作業機として機能する。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、本発明の実施例に係るショベルは、予め設定されたスケジュールにしたがって自律的に動作する無人作業機であってもよい。
【0082】
図12は、自動操作機構31の別の構成例を示す図である。また、
図12は、ブームシリンダ7に対応する流量制御弁176に接続される構成を代表例として示す。なお、図示は省略するが、
図12の自動操作機構31は、旋回用油圧モータ2Aに対応する流量制御弁173等の他の流量制御弁にも同様に接続され得る。また、
図12の自動操作機構31は、電磁切替弁34を含む点で
図3の自動操作機構31と相違するがその他の点で共通する。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳細に説明する。
【0083】
電磁切替弁34は、2ポート2位置の切替弁であり、コントローラ30からの制御指令に応じて弁位置を第1弁位置及び第2弁位置のうちの何れかに切り替える。なお、図中の括弧内の数字は弁位置の番号を表す。
【0084】
第1弁位置は、パイロットポンプ15の吐出圧をブーム操作レバー26Aに導入させる弁位置である。また、第2弁位置は、パイロットポンプ15とブーム操作レバー26Aとの間の連通を遮断する弁位置である。
【0085】
例えば、コントローラ30は、ショベルを有人作業機として動作させる場合には、電磁切替弁34を第1弁位置とし、且つ、電磁切替弁33L、33Rの双方を第2弁位置とし、ブーム操作レバー26Aが生成するパイロット圧が流量制御弁176のパイロットポートに作用できるようにする。一方で、ショベルを無人作業機として動作させる場合には、コントローラ30は、電磁切替弁34を第2弁位置とし、パイロットポンプ15とブーム操作レバー26Aとの間の連通を遮断する。そして、電磁減圧弁32で所望の二次圧を生成させた上で電磁切替弁33L及び電磁切替弁33Rのうちの一方を第1弁位置に切り替え他方を第3弁位置に切り替える。そして、コントローラ30は、その二次圧を流量制御弁176の左右のパイロットポートのうちの一つに作用させ、且つ、流量制御弁176の左右のパイロットポートの他方にある作動油を作動油タンクに流出させる。
【0086】
この構成により、コントローラ30は、流量制御弁171〜176を自動的に駆動し、ショベルを自動的に動作させることができる。また、コントローラ30は、ブーム4の疲労寿命の短縮を防止するため、旋回時のブーム4の姿勢を自動的に制御できる。