特許第6771857号(P6771857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タチエスの特許一覧

<>
  • 特許6771857-車両用シート 図000002
  • 特許6771857-車両用シート 図000003
  • 特許6771857-車両用シート 図000004
  • 特許6771857-車両用シート 図000005
  • 特許6771857-車両用シート 図000006
  • 特許6771857-車両用シート 図000007
  • 特許6771857-車両用シート 図000008
  • 特許6771857-車両用シート 図000009
  • 特許6771857-車両用シート 図000010
  • 特許6771857-車両用シート 図000011
  • 特許6771857-車両用シート 図000012
  • 特許6771857-車両用シート 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771857
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   B60N2/58
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-262286(P2014-262286)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120844(P2016-120844A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年8月4日
【審判番号】不服2019-782(P2019-782/J1)
【審判請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石井 厚
(72)【発明者】
【氏名】水野 信一
【合議体】
【審判長】 島田 信一
【審判官】 藤井 昇
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−285277(JP,A)
【文献】 特開2013−100000(JP,A)
【文献】 特開2013−216260(JP,A)
【文献】 特開平8−66571(JP,A)
【文献】 特開平4−163139(JP,A)
【文献】 特開昭63−15730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00- 2/90
A47C 7/00- 7/74
B68G 7/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの座面部となるシートクッションと、
前記シートクッションの背側に設けられ、シートの背もたれ部となるシートバックと、を有する車両用シートであって、
前記シートクッションおよび前記シートバックのうち、少なくとも一方のベルトバックル周辺の表面の凹部において、表皮材、クッション材となるワディング、接着材、形状維持材となる芯地の四層の生地により形成されたカバーを備え、
前記カバーは、曲面を有する金型による加熱プレス加工により表面に前記表皮材と前記ワディングと前記芯地の伸縮性の違いにより生じるチリジワ或いは銀ジワのない凹形状を有して形成されており、
前記ワディングは、密度が20g/dm以上、50g/dm以下のウレタンを素材とする高密度ウレタンワディングであり、
前記接着材は、常温で固形のシート状であり、加熱溶融して接着するホットメルト系接着材であることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記表皮材は、天然皮革を素材とする本革であることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記天然皮革は、牛皮であることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車シートなどの車両用シートは安全性やホールド性、乗降性(乗り降りのしやすさ)など様々な機能が求められると同時に、座り心地や振動吸収性能といった乗員の快適性向上に対する要求も多い。また、自動車の内装部品のなかでも大きなパーツであり、その外観やデザインについても様々な要求がある。
【0003】
多様化する自動車シートのデザインにおいては、バリエーションに富んだ凹凸形状や曲面、曲線をシート表面に形成する必要があり、それを実現するためのシートカバーの開発が重要な課題となっている。
【0004】
本技術分野の背景技術として、例えば、特許文献1のような技術がある。特許文献1には、「複合樹脂製芯材の表面側に表皮層が一体的に貼着された自動車用内装部品において、前記表皮層は表皮材の裏面に連続気泡型発泡材がラミネートされ、複合樹脂製芯材のプレス成形時に、該芯材の表面側にプレス一体化される自動車用内装部品」が開示されている。
【0005】
上記自動車用内装部品によれば、芯材表皮層とが一体化して、所望の曲面を備えた自動車用内装部品が簡易に製作できるとともに、パッド材として使用する連続気泡型発泡材が成形時、その加圧力により偏平化しても、成形後その発泡材の持つ復元性により所望厚みを備えるため、製品のソフト感が失われるということがなく、良好な緩衝性が得られるとしている。
【0006】
また、特許文献2には、「プレス成形用上型のセットピンにその周縁をセットした表皮材と、プレス成形用上下型内に供給された樹脂芯材とをプレス成形により所要形状に一体化するプレス成型用金型において、前記セットピンの外側面にエッジ部が形成されていることにより、プレス成形時、表皮材に所定のテンションが加わった際、表皮材がセットピンのエッジ部により切断されるプレス成形用金型」が開示されている。
【0007】
上記プレス成形用金型によれば、樹脂芯材と表皮材とを一体プレス成形するプレス成形用金型において、成形性を高めるとともに、表皮材にシワ,切れ等の発生を確実に防止して、製品の造形自由度を拡大することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平7−16492号公報
【特許文献2】実開平7−2024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、自動車シートなどの車両用シートにおいては、多様化する自動車シートのデザインに対応するため、バリエーションに富んだ凹凸形状や曲面、曲線をシート表面に形成する必要がある。
【0010】
一方、シートに高級感を持たせるため、シートカバーの表皮材として、いわゆる本革と呼ばれる牛皮等の天然皮革素材も多く使用されている。特に牛の背中の牛皮は腹側の牛皮に比べて伸び難く、様々な形状に加工した場合でも表面に皺が出来難いため、シートの表皮材としてより適している。
【0011】
しかしながら、シートの表皮材として牛皮を用いた場合、インバース形状と呼ばれる凹形状(窪み)を形成しようとすると、例え背中の牛皮であっても表面にチリジワ或いは銀ジワと呼ばれる細かい皺が生じてしまう。
【0012】
一般的に、自動車シートのシートカバーは、表皮材にワディングと呼ばれるクッション材を接着材で貼り合せた積層の生地(トリム複合体)が用いられる。この伸縮性の異なる複数の素材を貼り合せた積層の生地を用いて、インバース形状(凹形状)を形成しようとすると、伸縮性の違いにより、表皮材である牛皮表面にチリジワ或いは銀ジワが生じてしまう。
【0013】
特許文献1は、複合樹脂製芯材に表皮層を一体的に貼着した生地をプレス一体加工した自動車用内装部品のソフト感や緩衝性に関するものであり、天然皮革のチリジワ或いは銀ジワについては言及しておらず、上記のような課題を解決することはできない。
【0014】
また、特許文献2は、樹脂芯材と表皮材とを一体プレス成形する際に表皮材に生じる大きな皺に関するものであり、特許文献1と同様に、天然皮革のチリジワ或いは銀ジワについては言及しておらず、上記のような課題を解決することはできない。
【0015】
そこで、本発明の目的は、車両用シートにおいて、表皮材に牛皮のような天然皮革を用いた場合であっても、シート表面の凹部に細かい皺が少ない車両用シートを提供することにある。
【0016】
また、本発明の別の目的は、表皮材に牛皮のような天然皮革を用いた場合であっても、シート表面の凹部に細かい皺が生じ難い車両用シートの製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
また、本発明は、シートの座面部となるシートクッションと、前記シートクッションの背側に設けられ、シートの背もたれ部となるシートバックと、を有する車両用シートであって、前記シートクッションおよび前記シートバックのうち、少なくとも一方のベルトバックル周辺の表面の凹部において、表皮材、クッション材となるワディング、接着材、形状維持材となる芯地の四層の生地により形成されたカバーを備え、前記カバーは、曲面を有する金型による加熱プレス加工により表面に前記表皮材と前記ワディングと前記芯地の伸縮性の違いにより生じるチリジワ或いは銀ジワのない凹形状を有して形成されており、前記ワディングは、密度が20g/dm以上、50g/dm以下のウレタンを素材とする高密度ウレタンワディングであり、前記接着材は、常温で固形のシート状であり、加熱溶融して接着するホットメルト系接着材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車両用シートにおいて、表皮材に牛皮のような天然皮革を用いた場合であっても、シート表面の凹部に細かい皺が少ない車両用シートを実現することができる。
【0022】
また、本発明によれば、表皮材に牛皮のような天然皮革を用いた場合であっても、シート表面の凹部に細かい皺が生じ難い車両用シートの製造方法を実現することができる。
【0023】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートの全体概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部断面を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部製造工程を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部製造工程を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部製造工程を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る車両用シートの製造工程の概要を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部製造工程を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部断面を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部製造工程を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係るシートカバーの一部製造工程を示すフローチャートである。
図11】一般的なシートカバーの一部断面を示す図である。
図12】一般的なシートカバーの一部製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0026】
先ず、図11および図12を用いて、自動車シートなどの車両用シートの一般的なシートカバーとその製造工程の一部について説明する。図11はシートカバーの一部断面を示し、図12はシートカバーの製造工程における一部断面を示している。
【0027】
一般的なシートカバーは、図11に示すように、表皮材7とクッション材であるワディング9を接着材8で貼り合せた積層の生地により形成されている。この接着材8には、いわゆるホットメルト接着材と呼ばれるシート状の接着材が多く用いられる。ホットメルト接着材は、常温では固形のものを80℃から100℃程度の熱で加熱溶融させて塗布し、冷却によって固着するタイプの接着材である。ホットメルト接着材の材質は、例えば、ポリアミドやエチレン酢酸ビニルのような熱可塑性プラスチック等である。
【0028】
また、図12に示すように、一般的なシートカバーの製造工程においては、図11のような表皮材7、接着材8、ワディング9の三層の素材を加熱しながらプレス機によりプレス加工し、積層の生地を形成する。従来、このプレス機には、平型のプレス機の上型13と同じく平型のプレス機の下型14を用いており、平面状の生地を形成している。
【0029】
この平面状の積層の生地を、自動車シートのシートカバーとして使用する場合、上記で説明したように、シートの凹部に使用するため凹面を形成しようとすると、表皮材7の表面にチリジワ或いは銀ジワと呼ばれる細かい皺が生じてしまう。特に、表皮材7の素材として牛皮のような天然皮革を用いた場合は、チリジワ或いは銀ジワが顕著に生じる。この表皮材7の表面に形成されるチリジワ或いは銀ジワにより、シートの外観性が低下してしまう。
【0030】
次に、図1を用いて、本発明の一実施例である自動車シートなどの車両用シートの全体概要を説明する。実施例1における車両用シート1は、図1に示すように、その主な部位として、シートの座面部となるシートクッション2、シートクッション2の背側に設けられ、シートの背もたれ部となるシートバック3、乗員の頭部および頸部を保護するヘッドレスト4などを有している。シートクッション2の両脇には、座面部のサイド部分のサポートとなるサイドサポート5が設けられている。
【0031】
車両用シート1のシートクッション2およびシートバック3の一部の表面には、凹部(窪み)6が立体的に設けられている。この凹部(窪み)6の表面には上記で説明したようなチリジワ或いは銀ジワがほとんど生じていない。
【0032】
図2に、上記の凹部(窪み)6の部分のシートカバーの一部断面を示す。図1の凹部(窪み)6の部分のシートカバーは、図2に示すように、生地が凹形状に形成されている。この生地は、図11と同様に、表皮材7、接着材8、ワディング9の三層の素材を加熱しながらプレス機によりプレス加工した積層の生地であるが、予め凹形状に形成されている点において、図11の平面状の生地とは異なっている。
【0033】
この凹形状の積層の生地は、図3に示すように、凸型のプレス機の上型10と凹型のプレス機の下型11で、表皮材7、接着材8、ワディング9の三層の素材を加熱しながらプレス加工することにより形成することができる。
【0034】
ここで、ワディング9は、ウレタンを素材とするウレタンワディング等を用いる。このウレタンワディングは、その密度が20g/〜50g/程度の高密度ワディングを使用するのがより好適である。シートのクッション性を向上するとともに、シートの凹部(窪み)の表面にチリジワ或いは銀ジワが生じるのを抑制するのに効果的である。
【0035】
図4および図5に、加熱しながら積層の生地をプレス加工する例を示す。図4では、凹型のプレス機の下型11に複数の貫通孔を設け、その貫通孔を通して約100℃の蒸気を供給することにより、ワディング9側から積層の生地を加熱している。積層の生地を蒸気で加熱しながら、プレス機の上型10およびプレス機の下型11によりプレス加工することにより、接着材8を溶融させて表皮材7とワディング9を接着する。
【0036】
また、図5では、プレス機の下型11に電熱ヒータを設け、ワディング9側から積層の生地を直接加熱している。加熱されたプレス機の下型11で積層の生地を直接加熱しながら、プレス機の上型10およびプレス機の下型11によりプレス加工することにより、接着材8を溶融させて表皮材7とワディング9を接着する。もちろん、熱源が上部、すなわちプレス機の上型10に備えられている場合も工程及び完成品について前述の実施例と相違ないことはいうまでもない。
【0037】
次に、図6および図7を用いて、本実施例における車両用シートの製造方法について説明する。図6は、本実施例の車両用シートの製造工程の概要を示している。
【0038】
先ずはじめに、工程aにおいてシート表皮材原反の裁断を行う。次に、工程bにおいて図4或いは図5に示した方法を用いてシート表皮材の凹面接着を行う。この工程bは、上記したように、表皮材7、接着材8、ワディング9の三層の素材を加熱しながらプレス機によりプレス加工を施す工程である。
【0039】
続いて、シート表皮材の各ピースを縫製する(工程c)。また、別のラインでは、金属材料等の成形・加工によりシートのフレームを形成し(工程d)、リクライニングアジャスタやシートレバーなどのシート機構部品の組み付けが行われる(工程e)。
【0040】
さらに別のラインでは、トリムカバーとウレタンの一体発泡(工程f)、トリムカバーとウレタンパッドの接着成形(工程g)などの処理が行われる。
【0041】
図6に示すように、それぞれの工程で形成されたシートの各部はシートアッセンブリー工程(工程h)でシートとして組み立てられる。その後、検査(工程i)を経て、自動車メーカなどへ出荷される(工程j)。
【0042】
上述のシート表皮材の凹面接着工程(工程b)について、その工程の内訳を図7に示す。表皮材6、接着材8、クッション材となるワディング9を三層に重ね合わせて積層の生地を形成する(工程k)。次に、この積層の生地を図4或いは図5に示した方法を用いてプレス加工を施し、生地を凹形状に加工する(工程l)。
【0043】
以上説明したように、本実施例の車両用シートおよびその製造方法によれば、表皮材に牛皮のような天然皮革(本革)を用いた場合であっても、シート表面の凹部にチリジワ或いは銀ジワなどの細かい皺が少ない車両用シートを製造し、提供することができる。
【0044】
また、シートの凹部(窪み)のシートカバーの生地を予め凹形状に形成しておくことにより、シートアッセンブリー工程でシートカバーを凹形状に加工する必要が無くなり、作業性が向上する。
【実施例2】
【0045】
図8および図9を用いて、本発明の別の実施例である自動車シートなどの車両用シートについて説明する。図8は、図1に示す車両用シート1の凹部(窪み)6の部分のシートカバーの一部断面を示している。本実施例におけるシートカバーは、図8に示すように、表皮材7、クッション材となるワディング9、接着材8、形状維持材となる芯地12の四層の素材を加熱しながらプレス機によりプレス加工した積層の生地を用いている。
【0046】
この図8に示す積層の生地は、図2に示した生地と同様に、プレス面に曲面(凹凸面)を有する金型を用いることにより、予め凹形状に形成されている。図8の生地を、図1の車両用シート1の凹部(窪み)6に用いることで、立体的な凹部を形成することができる。また、予め凹形状が形成された生地を用いることにより、表皮材7の表面にチリジワ或いは銀ジワが生じるのを防ぐことができる。さらに、形状維持材である芯地12を含む生地により形成しており、より確実に凹形状を形成し、その凹形状を維持することができる。
【0047】
この形状維持材である芯地12には、綿、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリプロピレン等を素材とする織物や編物、或いは、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン等を素材とする不織布を用いる。
【0048】
この凹形状の積層の生地は、図9に示すように、凸型のプレス機の上型10と凹型のプレス機の下型11で、表皮材7、ワディング9、接着材8、芯地12の四層の素材を加熱しながらプレス加工することにより形成する。
【0049】
図10に本実施例における車両用シートの製造方法の一部工程を示す。図10は、実施例1において図6で説明した工程bの内訳を示している。表皮材7、ワディング9、接着材8、芯地12を四層に重ね合わせて積層の生地を形成する(工程m)。次に、この積層の生地を図4或いは図5に示した方法を用いてプレス加工を施し、生地を凹形状に加工する(工程n)。
【0050】
以上説明したように、本実施例の車両用シートおよびその製造方法によれば、表皮材に牛皮のような天然皮革(本革)を用いた場合であっても、シート表面の凹部にチリジワ或いは銀ジワなどの細かい皺が少ない車両用シートを製造し、提供することができる。
【0051】
また、本発明は、シート表面のベルトバックル周辺部分に対して凹形状を形成する際に適用することも可能である。
【0052】
また、シートの凹部(窪み)部のシートカバーの生地を予め凹形状に形成しておくことにより、シートアッセンブリー工程でシートカバーを凹形状に加工する必要が無くなり、作業性が向上する。
【0053】
また、シートの凹部(窪み)を形成する部分に形状維持材である芯地12を含む生地を用いることで、シートの凹形状を長期に渡り維持することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…車両用シート、2…シートクッション、3…シートバック、4…ヘッドレスト、5…サイドサポート、6…凹部(窪み)、7…表皮材(本革)、8…接着材、9…ワディング、10…プレス機の上型(凸型)、11…プレス機の下型(凹型)、12…芯地、13…プレス機の上型(平型)、14…プレス機の下型(平型)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12