(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が設けられ、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が設けられ、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1凸部の数は、前記第2凸部の数より少ない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の幌。
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が設けられ、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が設けられ、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1凸部と前記第1凹凸構造との係合深さは、前記第2凸部と前記第2凹凸構造との係合深さよりも浅い、請求項1〜6のいずれか一項に記載の幌。
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が設けられ、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が設けられ、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1板状部の前記第1凸部又は前記第1凹凸構造が形成されている部分は、前記基部板状部の前記第2凸部又は前記第2凹凸構造が形成されている部分よりも撓みやすい、請求項1〜7のいずれか一項に記載の幌。
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が形成され、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が形成され、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1板状部の前記第1凸部又は前記第1凹凸構造が形成されている部分の厚みは、前記基部板状部の前記第2凸部又は前記第2凹凸構造が形成されている部分の厚みよりも薄い、請求項1〜8のいずれか一項に記載の幌。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の幌を片手で操作して幌の開閉を行おうとすると、複数の幌骨がそれぞれ動作を開始する。この結果、揺動中の複数の幌骨の両基端部にバランス良く力を加えることが難しくなり、結果として、幌骨をスムースに揺動させることができない。また、各幌骨が、その両基端部において異なる傾斜角度で傾斜し、幌の見栄えも悪くなる。
【0005】
このような不具合を解決するため、前側に配置された二つの幌骨間に、開度を調節する調節具を設けた幌も開発されている。この調節具を用いることにより、当該二つの幌骨の相対揺動を拘束し、特定の幌骨を揺動させることができる。しかしながら、このような幌では、幌の開平前に調節具の操作が必要となり、片手で容易に幌の開閉を行うことは難しい。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、複数の幌骨を含んだ幌の開閉を容易且つ円滑に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の幌は、
育児器具またはペット用カートに用いられる幌であって、
基部材と、
前記基部材にそれぞれ揺動可能に支持された第1幌骨及び第2幌骨と、
前記第1幌骨及び前記第2幌骨に装着された幌布と、を備え、
前記第2幌骨の前記基部材に対する揺動を規制する規制力は、前記第2幌骨が前記基部材に固定された状態において前記第1幌骨の前記基部材に対する揺動を規制する規制力よりも大きくなっていてもよい。
【0008】
本発明による第2の幌は、
育児器具またはペット用カートに用いられる幌であって、
基部材と、
前記基部材にそれぞれ揺動可能に支持された第1幌骨及び第2幌骨と、
前記第1幌骨及び前記第2幌骨に装着された幌布と、を備え、
前記第2幌骨の前記基部材に対する揺動を規制する規制力は、前記第1幌骨の前記第2幌骨に対する揺動を規制する規制力よりも大きくなっていてもよい。
【0009】
本発明による第1又は第2の幌において、前記第1幌骨は、前記第2幌骨よりも前方又は上方に位置するようにしてもよい。
【0010】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1幌骨は、前記第2幌骨に揺動可能に取り付けられ、
前記第2幌骨は、前記基部材に揺動可能に取り付けられていてもよい。
【0011】
本発明による第1又は第2の幌に、前記第1幌骨の前記第2幌骨に対する揺動を所定の範囲内に規制する構成が、設けられていてもよい。また、本発明による第1又は第2の幌に、前記第2幌骨の前記基部材に対する揺動を所定の範囲内に規制する構成が、設けられていてもよい。
【0012】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1幌骨は、前記第2幌骨と係合する第1板状部を有し、
前記第2幌骨は、前記第1板状部と係合する一側係合面と、前記基部材と係合する他側係合面と、を有する第2板状部を有し、
前記基部材は、前記第2板状部の前記他側係合面と係合する基部板状部を有し、
前記第1板状部と前記第2板状部との係合により、前記第1幌骨の前記第2幌骨に対する揺動を規制する規制力を生じさせ、
前記第2板状部と前記基部板状部との係合により、前記第2幌骨の前記基部材に対する揺動を規制する規制力を生じさせるようにしてもよい。
【0013】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が設けられ、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が設けられ、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1凸部の数は、前記第2凸部の数より少なくなっていてもよい。
【0014】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が設けられ、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が設けられ、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1凸部と前記第1凹凸構造との係合深さは、前記第2凸部と前記第2凹凸構造との係合深さよりも浅くなっていてもよい。
【0015】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が設けられ、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が設けられ、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1板状部の前記第1凸部又は前記第1凹凸構造が形成されている部分は、前記基部板状部の前記第2凸部又は前記第2凹凸構造が形成されている部分よりも撓みやすくなっていてもよい。
【0016】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1板状部の前記第2板状部に対面する第1係合面および前記第2板状部の前記一側係合面の一方に、第1凹凸構造が形成され、且つ、前記第1係合面および前記一側係合面の他方に、前記第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられ、
前記基部板状部の前記第2板状部に対面する基部係合面および前記第2板状部の前記他側係合面の一方に、第2凹凸構造が形成され、且つ、前記基部係合面および前記他側係合面の他方に、前記第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられ、
前記第1板状部の前記第1凸部又は前記第1凹凸構造が形成されている部分の厚みは、前記基部板状部の前記第2凸部又は前記第2凹凸構造が形成されている部分の厚みよりも薄くなっていてもよい。
【0017】
本発明による第1又は第2の幌において、
前記第1凹凸構造が、前記第2幌骨の前記一側係合面に設けられ、
前記第2凹凸構造が、前記第2幌骨の前記他側係合面に設けられていてもよい。
【0018】
本発明による育児器具は、
上述した本発明による第1及び第2の幌のいずれかと、
前記幌を取り付けられた育児器具本体と、を備える。
【0019】
本発明による乳母車は、
上述した本発明による第1及び第2の幌のいずれかと、
前記幌を取り付けられた乳母車本体と、を備える。
【0020】
本発明によるチャイルドシートは、
上述した本発明による第1及び第2の幌のいずれかと、
前記幌を取り付けられたチャイルドシート本体と、を備える。
【0021】
本発明によるペット用カートは、
上述した本発明による第1及び第2の幌のいずれかと、
前記幌を取り付けられたペット用カート本体と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の幌骨を含んだ幌の開閉を容易且つ円滑に行えるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明による育児器具1は、育児器具本体2と、育児器具本体2に取り付けられた幌30と、を有している。育児器具1は、乳母車、チャイルドシート、ベビーラック等の器具であり、典型的には子供(乳児、幼児、児童等の年少者)を育てる過程において子供を世話するために使用される器具である。育児器具本体2は、乳母車、チャイルドシート、ベビーラック等の本体部であり、典型的には子供が乗り込むスペースを有している。幌30は、日差しや風雨等を遮って、育児器具本体2上の子供に快適な環境を提供する。とりわけ、本発明による幌30は、後述するように、開閉可能に構成され、且つ、開閉操作を容易且つ円滑に行うことができる工夫がなされている。
【0025】
以下、
図1〜
図19を参照しながら本発明による一実施の形態およびその変形例について説明する。以下に説明する実施の形態では、育児器具1が、乳母車として構成されている例を示すが、後述の変形例でも説明するように、乳母車としての例に限られず、育児器具1は、その他の器具として構成されていてもよい。
【0026】
図1には、育児器具1をなす乳母車10の全体構成が示されている。
図1に示すように、乳母車10は、育児器具本体2をなす乳母車本体11と、乳母車本体11に取り付けられたクッション座部25及び幌30と、を有している。乳母車本体11は、一対のアームレスト12と、一対の前脚13、一対の後脚15、及び、U字状に形成されたハンドル17を有している。一対のアームレスト11は、幅方向に離間して配置されている。一対の前脚13は、幅方向に離間して配置されている。各前脚13は、その上端部分において、アームレストの前方部分と揺動可能に接続している。各前脚13の下端には、前輪を回転可能に保持した前輪ユニット14が取り付けられている。一対の後脚15は、幅方向に離間して配置されている。各後脚15は、その上端部分において、アームレストの前方部分と揺動可能に接続している。各後脚15には、後輪を回転可能に保持した後輪ユニット16が設けられている。各アームレスト11の後端部分には、側部連結部材18が揺動可能に接続している。各側部連結部材18の下端部分には、ブラケット19が揺動可能に接続されている。各ブラケット19は、後脚15と揺動可能に接続している。ハンドル17は、U字の両端部分を、対応する側に配置された側部連結部材18及びブラケット19と揺動可能に接続されている。幌30は、側部連結部材18の上端部分に取り付けられ、クッション座部25を上方から覆うことができる。
【0027】
なお、本明細書において用いる「前」、「後」、「上」および「下」の用語は、特に指示がない場合、育児器具1への搭乗者を基準とした「前」、「後」、「上」および「下」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、搭乗者が向く側であり、
図1における紙面の左下側が前後方向における前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに育児器具1の接地面に直交する方向である。したがって、育児器具1の接地面が水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向をさす。また、「幅方向」及び「横方向」とは、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する横方向である。
【0028】
次に、幌30について説明する。
図2〜
図4に示すように、幌30は、乳母車本体11への接続箇所をなす基部材40と、基部材40にそれぞれ揺動可能に支持された第1幌骨50及び第2幌骨60と、第1幌骨50及び第2幌骨60に装着された幌布80と、を有している。図示された例において、幌布80は、第1幌骨50及び第2幌骨60の間に設けられた前方部分81と、前方部分81に後方から接続する後方部分82と、を含んでいる。図示された例において、第1幌骨50は、第2幌骨60の前方或いは上方に配置される。第1幌骨50及び第2幌骨60が基部材40に対して揺動することにより、
図2〜
図4に示すように、幌30を開閉することができる。
【0029】
ここで
図2に示す状態では、第1幌骨50及び第2幌骨60は、互いに接近し且つ共に後方に揺動している。すなわち、
図2は、幌布80が畳まれる幌30の閉じた状態、とりわけ全閉状態を示している。
図4に示す状態では、第1幌骨50及び第2幌骨60は、互いから離間し且つ共に前方に揺動している。すなわち、
図4は、幌布80が広げられる幌30の開いた状態、とりわけ全開状態を示している。
図3に示す状態において、第1幌骨50が第2幌骨60から離間するように前方に揺動し、その一方で、第2幌骨60は後方に揺動したままとなっている。したがって、
図3は、幌布80の前方部分81のみが広げられた幌30の半分開いた状態、すなわち半開状態を示している。
【0030】
以下、幌30の各構成要素について説明していく。まず、幌布80について説明する。幌布80は、日差しや風雨を遮ることができる柔軟な材料、例えば布を用いて形成され得る。ただし、幌布80には、種々の公知の材料を用いることができる。例えば、採光、通気、透視等を可能にする観点から、幌布80の一部分が、メッシュ材等により形成されていてもよい。
【0031】
幌布80は、前方部分81内に位置する前端部分において、第1幌骨50に取り付けられている。幌布80は、前方部分81と後方部分82との境界領域に位置する中央部分において、第2幌骨60に取り付けられている。さらに、幌布80は、後方部分82内に位置する後端部分に、留具83を設けられている。留具83は、クッション座部25に固定可能となっている。留具83を用いることによって、幌布80の後端部分が、クッション座部25に固定される。このような幌布80の構成により、
図2に示された幌30の全閉状態において、幌布80の前方部分81及び後方部分82の両方が、畳まれるようになる。また
図3に示された幌30の半開状態において、前方部分81のみが広げられ、その一方で、後方部分82は、畳まれたままとなる。さらに
図4に示された幌30の全開状態において、幌布80の前方部分81及び後方部分82の両方が、広げられる。ただし、留具83は必須ではなく、省略することもできる。
【0032】
また、
図1に示すように、幌30が開いた状態において幌布80が潰れてしまうことを防止するため、補助芯材84が幌布80に縫い付けられる或いは幌布80に内蔵されるようにしてもよい。補助芯材84は、例えば、第1幌骨50及び第2幌骨60よりも柔軟性に富んだ樹脂等か形成され得る。補助芯材84は、基部材40と接続されていない点において、第1幌骨50及び第2幌骨60と区別される。
【0033】
なお、幌布80の大きさは、第1幌骨50及び第2幌骨60の揺動可能範囲に応じて適宜設定される。好ましくは、幌30の全開状態において、幌布80が張った状態となる大きさに設定される。
【0034】
次に、基部材40、第1幌骨50及び第2幌骨60について説明する。
図1に示すように、第1幌骨50及び第2幌骨60は、略U字状に形成されている。基部材40は、第1幌骨50及び第2幌骨60がなすU字の両端にそれぞれ設けられている。この基部材40は、例えば樹脂成形物からなる。
図7及び
図8に示すように、基部材40は、側部連結部材18への接続箇所をなす取り付け部41と、取り付け部41の上方に配置された基部板状部42と、を有している。基部板状部42には、第1幌骨50及び第2幌骨60が接続されている。取り付け部41は、側部連結部材18と係合することにより、幌30を取り外し可能に乳母車本体11に取り付けることを可能にする。
図5及び
図8に示すように、基部板状部42は、第1幌骨50及び第2幌骨60との接続箇所をなしている。第1幌骨50及び第2幌骨60と対面するようになる基部係合面43には、
図7に示すように、軸部46が設けられている。
図5及び
図6に示すように、軸部46は、第1幌骨50及び第2幌骨60を貫通して延びている。第1幌骨50及び第2幌骨60は、軸部46の軸線によって画成される揺動軸線Asを中心として、基部材40に対して相対揺動可能となっている。図示された例では、各基部材40において、軸部46は、幅方向外方へ向けて基部板状部42から延び出している。したがって、第1幌骨50及び第2幌骨60の揺動軸線Asは、幅方向と平行になっている。
【0035】
図2〜
図4に示すように、第1幌骨50は、金属や樹脂等の略細板形状や線形状からなる幌骨本体51と、幌骨本体51の両端にそれぞれ固定された一対の接続部材52と、を有している。
図5及び
図10に示すように、第1幌骨50の接続部材52は、幌骨本体51を保持する保持部53と、基部材40及び第2幌骨60との接続箇所をなす第1板状部54と、を有している。保持部53には、幌骨本体51の端部が挿入され当該端部を保持する保持穴53aが、形成されている。一方、第1板状部54には、基部材40の軸部46が貫通する軸受穴54aが形成されている。第1幌骨50の接続部材52は、例えば樹脂成形物からなり、この場合、保持部53及び第1板状部54は一体的に形成され得る。
【0036】
第1幌骨50と同様に、第2幌骨60は、金属や樹脂等の略細板形状や線形状からなる幌骨本体61と、幌骨本体61の両端にそれぞれ固定された一対の接続部材62と、を有している。
図6及び
図9に示すように、第2幌骨60の接続部材62は、幌骨本体61を保持する保持部63と、基部材40及び第1幌骨50との接続箇所をなす第2板状部64と、を有している。保持部63には、幌骨本体61の端部が挿入され当該端部を保持する保持穴63aが、形成されている。一方、第2板状部64には、基部材40の軸部46が貫通する軸受穴64aが形成されている。第2幌骨60の接続部材62は、例えば樹脂成形物からなり、この場合、保持部63及び第2板状部64は一体的に形成され得る。
【0037】
ここで
図5〜
図7は、基部材40、第1幌骨50及び第2幌骨60の接続箇所を、揺動軸線Asにおける一側から、図示された例においては幅方向における外方から、示している。
図8〜
図10は、基部材40、第1幌骨50及び第2幌骨60の接続箇所を、揺動軸線Asにおける他側から、図示された例においては幅方向における内方から、示している。また、
図11及び
図12は、揺動軸線Asにおける一側から第2幌骨60を示す平面図であり、
図13及び
図14は、揺動軸線Asにおける他側から第2幌骨60を示す平面図である。
図5〜
図14は、幌30の左側に位置する部材を示している。
【0038】
図5によく示されているように、図示された例において、基部材40の軸部46は、第2幌骨60の第2板状部64および第1幌骨50の第1板状部54をこの順番で、貫通している。そして、第1板状部54は、揺動軸線Asに沿った一側(幅方向における外方)から、第2板状部64に当接している。さらに、第1板状部54の揺動軸線Asに沿った他側を向く第1係合面55(
図10参照)が、第2板状部64の揺動軸線Asに沿った一側を向く第2一側係合面65(
図6、
図11,
図12参照)と係合可能となっている。
【0039】
第1係合面55と第2一側係合面65とが係合することにより、第1幌骨50及び第2幌骨60が、複数の所定の相対位置のいずれかに維持されるようになっている。具体的には、第1板状部54の第1係合面55及び第2板状部64の第2一側係合面65の一方に、第1凹凸構造66が形成され、且つ、第1係合面55及び第2一側係合面65の他方に、第1凹凸構造66と係合可能な第1凸部56が設けられる。
【0040】
図示された例では、
図6に示すように、第2幌骨60の第2一側係合面65に、第1凹凸構造66が形成されている。
図6及び
図15から理解され得るように、第1凹凸構造66は、第2一側係合面65に形成された複数の第1凹部66aによって形成されている。各第1凹部66aは、揺動軸線Asと平行な方向に深さを有している。複数の第1凹部66aは、揺動軸線Asを中心とした一つの円周上に等間隔離間して設けられている。
図6に示された例において、12個の第1凹部66aが、揺動軸線Asを中心とした円周上に中心角30°ずつ離間して設けられている。
【0041】
一方、
図10に示すように、第1幌骨50の第1係合面55に、第1凸部56が設けられている。
図15に示すように、第1凸部56は、揺動軸線Asと平行な方向に第1係合面55から突出している。第1凸部56は、少なくともその先端が第1凹凸構造66の第1凹部66aに入り込み得るよう、太さ及び長さを決定されている。また、第1凸部56は、第1凹部66aと同様に、揺動軸線Asを中心とした一つの円周上に離間して設けられている。図示された例においては、二組の第1凸部群が、揺動軸線Asを中心として点対称に設けられている。各第1凸部群には、二つの第1凸部56が設けられている。
図15に示すように、二つの第1凸部56は、第1凹部66aと同一ピッチで配置されている。
【0042】
図10に示すように、各第1凸部群の両側に、一対の溝54bが形成されている。溝54bは、第1板状部54を貫通している。各溝54bは、揺動軸線Asを中心とした円弧に沿って延びている。このような構成により、各第1凸部群をなす二つの第1凸部56が形成されている部分は、第1板状部54のその他の部分に対して、変形することができる。すなわち、一対の溝54bの間に位置し且つ二つの第1凸部56が形成されている部分は、その長手方向における両端を固定端として、第2幌骨60の第2板状部64から離間するように撓むことができる。
【0043】
また、
図10に示すように、第1板状部54の第1係合面55には、揺動範囲規制突起57が形成されている。一方、
図6、
図11及び
図12に示すように、第2板状部64の第2一側係合面65には、揺動範囲規制壁67が形成されている。揺動範囲規制突起57が、揺動範囲規制壁67に当接することによって、第1幌骨50の第2幌骨60に対して相対揺動可能な範囲が画成される。
【0044】
以上の構成により、第1係合面55と第2一側係合面65とが係合することにより、第1幌骨50及び第2幌骨60が、複数の所定の相対位置のいずれかに維持されるようになっている。すなわち、第1係合面55と第2一側係合面65との係合により、第1幌骨50の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力が生じる。ただし、この規制力よりも大きな力で第1幌骨50を第2幌骨60に対して揺動させようとすると、第1係合面55と第2一側係合面65との係合が弾性変形によって解除され、第1幌骨50を第2幌骨60に対して揺動させることができる。
図11及び
図12は、第1板状部51の第1凸部56が、第2板状部62の異なる第1凹部66aに係合している状態を示している。
【0045】
次に、基部材40と第2幌骨60の第2板状部64との係合について説明する。第2板状部64は、揺動軸線Asに沿った一側(幅方向における外方)から、基部板状部42に当接している。そして、第1係合面55と第2一側係合面65との係合と同様に、第2板状部64の揺動軸線Asに沿った他側を向く第2他側係合面68が、基部材40の揺動軸線Asに沿った一側を向く基部係合面43と係合可能となっている。第2他側係合面68と基部係合面43とが係合することにより、第2幌骨60及び基部材40が、複数の所定の相対位置のいずれかに維持されるようになる。具体的には、第2板状部64の第2他側係合面68及び基部材40の基部係合面43の一方に、第2凹凸構造69が形成され、且つ、第2他側係合面68及び基部係合面43の他方に、第2凹凸構造69と係合可能な第2凸部44が設けられる。
【0046】
図示された例では、
図9に示すように、第2幌骨60の第2他側係合面68に、第2凹凸構造69が形成されている。
図9及び
図15から理解され得るように、第2凹凸構造69は、第2他側係合面68に形成された複数の第2凹部69aによって形成されている。各第2凹部69aは、揺動軸線Asと平行な方向に深さを有している。複数の第2凹部69aは、揺動軸線Asを中心とした一つの円周上に設けられている。
図9に示された例において、7個の第2凹部69aを含む第2凹部群が、揺動軸線Asを中心として、点対称な二つの位置にそれぞれ配置されている。
【0047】
一方、
図7に示すように、基部材40の基部係合面43に、第2凸部44が設けられている。
図7に示すように、第2凸部44は、揺動軸線Asと平行な方向に基部係合面43から突出している。第2凸部44は、少なくともその先端が第2凹凸構造69の第2凹部69aに入り込み得るよう、太さ及び長さを決定されている。また、第2凸部44は、第2凹部69aと同様に、揺動軸線Asを中心とした一つの円周上に離間して設けられている。図示された例においては、二組の第2凸部群が、揺動軸線Asを中心として点対称に設けられている。各第2凸部群には、三つの第2凸部44が設けられている。
図7に示すように、一つ第2凸部群内において、第2凸部44は、一つの第2凹凸構造群に含まれる複数の第2凹部69aのピッチの二倍のピッチで配置されている。
【0048】
また、
図7に示すように、各第2凸部群の両側に、一対の溝42aが形成されている。溝42aは、基部板状部42を貫通している。各溝42aは、揺動軸線Asを中心とした円弧に沿って延びている。このような構成により、各第2凸部群をなす三つの第2凸部44が形成されている部分は、基部板状部42のその他の部分に対して、変形することができる。すなわち、一対の溝42aの間に位置し且つ二つの第2凸部44が形成されている部分は、その長手方向における両端を固定端として、第2幌骨60の第2板状部64から離間するように撓むことができる。
【0049】
また、
図7に示すように、基部板状部42の基部係合面43には、揺動範囲規制突起45が形成されている。一方、
図9、
図13及び
図14に示すように、第2板状部64の第2他側係合面68には、揺動範囲規制壁70が形成されている。揺動範囲規制突起45が、揺動範囲規制壁70に当接することによって、第2幌骨60の基部材40に対して相対揺動可能な範囲が画成される。
【0050】
以上の構成により、基部係合面43と第2他側係合面68とが係合することにより、基部材40及び第2幌骨60が、複数の所定の相対位置のいずれかに維持されるようになっている。すなわち、基部係合面43と第2他側係合面68との係合により、基部材40の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力が生じる。ただし、この規制力よりも大きな力で第1幌骨50を第2幌骨60に対して揺動させようとすると、基部係合面43と第2他側係合面68との係合が弾性変形によって解除され、第1幌骨50を第2幌骨60に対して揺動させることができる。
図13及び
図14は、基部板状部42の第2凸部33が、第2板状部62の異なる第2凹部69aに係合している状態を示している。
【0051】
ところで、図示された幌30においては、幌30の開閉操作を容易且つ円滑に行うことができるよう、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力が、第1幌骨50の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力よりも大きく設定されている。なお、上述した構成では、第2幌骨60が基部材40に対して静止した状態で第1幌骨50が第2幌骨60に対して相対揺動することにより、第1幌骨50は基部材40に対して相対揺動する。その一方で、第1幌骨50が第2幌骨60に対して静止した状態で第2幌骨60が基部材40に対して相対揺動した場合にも、第1幌骨50は基部材40に対して相対揺動する。このような幌30においては、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力は、第2幌骨60が基部材40に静止した状態において第1幌骨50の基部材40に対する揺動を規制する規制力よりも小さく設定されていることになる。
【0052】
第2凸部44および第2凹凸構造69の係合を解除されにくくすれば、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力を大きくすることができる。また、第1凸部56及び第1凹凸構造66の係合を解除されやすくすれば、第1幌骨50の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力を小さくすることができる。図示された例においては、上述したように、合計で六つの第2凸部44が同時に第2凹凸構造69と係合することができ、その一方で、合計で四つの第1凸部56が同時に第1凹凸構造66と係合することができる。すなわち、第1凸部56の数が第2凸部44の数よりも少なくなって。この結果、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力を第1幌骨50の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力よりも大きくすることが可能となっている。
【0053】
なお、
図5及び
図8に二点鎖線で示すように、第1幌骨50の第1板状部54に隣接して蓋体35が設けられてもよい。蓋体35は、第1幌骨50の第1板状部54を揺動軸線Asに沿った一側から、すなわち幅方向における外方から覆う。蓋体35は、例えば、第1板状部54を貫通した基部材40の軸部46に取り付けられ、軸部46によって支持されるようにしてもよい。
【0054】
次に、以上の構成からなる幌の開閉時における作用について説明する。
【0055】
上述したように、本実施の形態では、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力は、第2幌骨60が基部材40に固定された状態において第1幌骨50の基部材40に対する揺動を規制する規制力よりも大きくなっている。とりわけ本実施の形態では、第1幌骨50は、第2幌骨60に揺動可能に取り付けられ、第2幌骨60は、基部材40に揺動可能に取り付けられている。そして、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力は、第1幌骨40の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力よりも大きくなっている。
【0056】
したがって、幌30が全閉した
図2の状態から幌布80の前端部分を把持して幌30を開こうとすると、まず、第1幌骨50が、基部材40に対して揺動する。この際、第2幌骨60は、基部材40に対して停止している。すなわち、一つの幌骨50のみが、その他の幌骨60及び基部材40に対して、相対揺動する。このため、操作者は、第1幌骨50の一方の端部および他方の端部が基部材40に対して同様に動作するよう、比較的容易に、一方の端部および他方の端部のそれぞれにバランスよく力を加えることができる。この結果、幌30が閉じた状態から、第1幌骨50のみが揺動して幌が半分開いた
図3の状態まで、幌30を片手で容易且つ円滑に開くことができる。また、第1幌骨50の両端における傾斜角度を容易に揃えることができる。且つ、幌30が半分開いた
図2の状態において、幌布80は、第1幌骨50と第2幌骨60との間で張った状態に維持され、第2幌骨60と後端部分との間においで畳まれた状態となる。したがって、途中まで開いた
図3の半開状態における幌30の見栄えも良くなる。
【0057】
次に、第1幌骨50が揺動可能範囲内において第2幌骨60から最も離間した
図3の状態から、さらに、幌布80の前端部分を把持して幌30をさらに開こうとすると、第2幌骨60が、基部材40に対して揺動する。この際、第2幌骨60に接続された第1幌骨50は、第2幌骨60とともに、基部材40に対して揺動する。すなわち、この操作中、第1幌骨50の第2幌骨60に対する位置は変化しない。したがって、操作者は、第2幌骨60の一方の端部および他方の端部が基部材40に対して同様に動作するよう、比較的容易に、一方の端部および他方の端部にバランスよく力を加えることできる。この結果、第1幌骨50のみが前方に揺動した状態から、第1幌骨50及び第2幌骨60の両方が揺動して幌30が全開した状態まで、幌30を片手で容易且つ円滑に開くことができる。また、第2幌骨60の両端における傾斜角度を容易に揃えることもできる。
【0058】
以上のようにして、閉じた状態の幌30を、容易且つ円滑に広げることができる。しかも、閉じた幌30を開く操作は片手で難なく行うことができる。
【0059】
次に、開いた状態の幌30を閉じる場合、幌30の前端を後方に押す。本実施の形態において、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力は、第2幌骨60が基部材40に固定された状態において第1幌骨50の基部材40に対する揺動を規制する規制力よりも大きくなっている。したがって、まず、第1幌骨50が、第2幌骨60及び基部材40に対して揺動し、第2幌骨60に接近する。この際、第2幌骨60は、基部材40に対して停止している。第1幌骨60が揺動可能範囲内において最も第2幌骨60に接近すると、次に、第2幌骨60が、基部材40に対して揺動を開始する。この際、第1幌骨50は、第2幌骨60にともなって、基部材40に対して揺動する。ただし、第1幌骨50の第2幌骨60に対する相対位置は変化しない。そして、最終的に、第2幌骨60が揺動可能範囲内において最も後方に揺動し、幌30が全閉する。
【0060】
幌30の開放操作と同様に、幌30の閉鎖操作においても、第1幌骨50の第2幌骨60及び基部材40に対する揺動動作、及び、第2幌骨60の第1幌骨50をともなった基部材40に対する揺動動作が、順に、行われる。すなわち、第1幌骨50及び第2幌骨60が一つずつ順に揺動する。したがって、操作者は、揺動している幌骨50,60の両端部分が同様に動作するよう、比較的容易に、当該幌骨50,60にバランスよく力を加えることができる。この結果、幌30が全開した状態から幌30が全閉した状態まで、幌30を片手で容易且つ円滑に閉じることができる。
【0061】
以上のように本実施の形態によれば、基部材40に対する第2幌骨60の揺動を規制する規制力が、第2幌骨60及び基部材40の両方に対する第1幌骨50の揺動を規制する規制力よりも大きくなっている。したがって、第2幌骨60及び基部材40に対する第1幌骨50の揺動、及び、基部材40に対する第2幌骨60の揺動が、同時に行われることなく、この順番で一つずつ行われるようになる。したがって、操作者は、動作中の幌骨50,60の両端にバランス良く力を加えやすくなり、これにより、幌骨50,60を容易且つ円滑に揺動させることができる。とりわけ、幌30の先端部分を把持することにより、幌30の開閉を片手で円滑に行うことも可能なる。
【0062】
また、本実施の形態において、第1幌骨50は、第2幌骨60よりも前方又は上方に位置する。このような本実施の形態によれば、全閉状態から幌30を半分開放した際に、より目に入りやすい幌布80の前方部分81が、張った状態となる。その一方で、より目に入りにくい幌布80の後方部分82が、畳んだ状態に維持される。したがって、半分開いた状態の幌30の見栄えが良い。幌30は、育児器具、とりわけ乳母車10において、最も人目に付きやすい部位の一つである。この幌30の見栄えを改善することにより、育児器具1の美観を効果的に改善することができ、当該乳母車10の高級感、商品性を効果的に向上させることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態において、第1幌骨50は、第2幌骨60と係合する第1板状部54を有する。また、第2幌骨60は、互いに対向する第2一側係合面65および第2他側係合面68を含む第2板状部64を有し、第2一側係合面65は第1板状部54と係合し且つ第2他側係合面68は基部材40と係合する。さらに、基部材40は、第2板状部64の第2他側係合面68と係合する基部板状部42を有する。そして、第1板状部54と第2板状部64との係合により、第2幌骨60及び基部材40に対する第1幌骨50の揺動を規制する規制力を生じさせ、第2板状部64と基部板状部42との係合により、基部材40に対する第2幌骨60の揺動を規制する規制力を生じさせる。このような本実施の形態によれば、小型化された構成により、第2幌骨60及び基部材40に対する第1幌骨50の揺動を規制する規制力の大きさ、及び、基部材40に対する第2幌骨60の揺動を規制する規制力の大きさを、独立して容易に調節することができる。
【0064】
さらに、本実施の形態によれば、第1凹凸構造66が、第2幌骨60の第2一側係合面65に設けられ、第2凹凸構造69が、第2幌骨60の第2他側係合面68に設けられている。そして、第1幌骨50の第1係合面55に第1凸部56が設けられ、第1板状部54の第1凸部56が設けられている部分が変形しやすくなっている。また、基部材40の基部係合面43に第2凸部44が設けられ、基部板状部42の第2凸部44が設けられている部分が変形しやすくなっている。したがって、第1幌骨50及び第2幌骨60を相対揺動させる場合および第2幌骨60及び基部材40を相対揺動させる場合のいずれの場合にも、第1凹凸構造66及び第2凹凸構造69が形成された第2板状部64が変形しないようにすることができる。このため、基部材40に対する第2幌骨60の揺動を規制する規制力が、第1幌骨50及び第2幌骨60の相対揺動に影響を受けることを効果的に回避することができる。また、第2幌骨60に対する第1幌骨50の揺動を規制する規制力が、第2幌骨60及び基部材40の相対揺動に影響を受けることを効果的に回避することができる。この結果、第1板状部54、第2板状部64及び基部板状部42を並設してなる小型化された幌30により、基部材40に対する第2幌骨60の揺動を規制する規制力を、第2幌骨60及び基部材40の両方に対する第1幌骨50の揺動を規制する規制力よりも、安定して大きく保つことができる。これにより、幌骨50,60の円滑な揺動を安定して確保することができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0066】
上述した実施の形態において、第1幌骨30の第1係合面55に第1凸部56が設けられ、第2幌骨の第2一側係合面65に第1凹凸構造66が設けられる例を示したが、これに限られない。第1幌骨30の第1係合面55に第1凹凸構造が設けられ、第2幌骨の第2一側係合面65に第1凹凸構造と係合する第1凸部が設けられていてもよい。また、基部材40の基部係合面43に第2凸部44が設けられ、第2幌骨の第2他側係合面68に第2凹凸構造69が設けられる例を示したが、これに限られない。基部材40の基部係合面43に第2凹凸構造が設けられ、第2幌骨の第2他側係合面68に第2凹凸構造と係合する第2凸部が設けられていてもよい。
【0067】
また、上述した実施の形態において、第1幌骨50の基部材40及び第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力の大きさを、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力よりも小さくする手法として、第1凸部56の数を第2凸部44の数より少なくすることを例示した。しかしながら、この例に限られず、第1凸部56の数を第2凸部44の数より少なくすることに代えて、或いは、第1凸部56の数を第2凸部44の数より少なくすることに加えて、次の手法を採用することもできる。
【0068】
まず、第1の代替案として、
図16に示すように、第1凸部56と第1凹凸構造66との係合深さD1を、第2凸部44と第2凹凸構造69との係合深さD2よりも浅くしてもよい。凸部56,44と凹凸構造66,69との係合深さD1,D2は、凸部56,44が凹凸構造66,69の凹部66a,69a内に入り込んだ深さである。この係合深さD1,D2が深い程、凸部56,44と凹凸構造66,69との係合が解除されにくくなる。したがって、第1凸部56と第1凹凸構造66との係合深さD1および第2凸部44と第2凹凸構造69との係合深さD2の少なくとも一方を調整することにより、第1幌骨50の基部材40及び第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力の大きさと、第2幌骨60の基部材40に対する揺動を規制する規制力の大きさと、の関係を調節することができる。
【0069】
また、第2の代替案として、第1板状部54の第1凸部56又は第1凹凸構造66が形成されている部分が、基部板状部42の第2凸部44又は第2凹凸構造69が形成されている部分よりも撓みやすくしてもよい。第1板状部54又は基部板状部42の凸部56,44又は凹凸構造66,69が形成されている部分が撓みやすければ、当該板状部54,42と第2板状部64との係合が解除されやすくなる。具体的な手法としては、
図17に示すように、第1板状部54の第1凸部56又は第1凹凸構造66が形成されている部分の厚みT1が、基部板状部42の第2凸部44又は第2凹凸構造69が形成されている部分の厚みT2よりも薄くしてもよい。
【0070】
さらに、第1板状部54又は基部板状部42の凸部56,44又は凹凸構造66,69が形成されている部分が、その両側に形成された一対の溝54b,42aによって、区画されている場合には、当該部分の長さL(
図18参照)を調節することにより、言い換えると一対の溝54b,42aの長さを調節することにより、当該部分の変形のしやすさを制御することができる。具体的には、第1板状部54又は基部板状部42の凸部56,44又は凹凸構造66,69が形成されている部分の長さLを長くすることによって、板状部54,42の当該部分が撓みやすくなり、当該板状部54,42と第2板状部64との係合を解除しやすくすることができる。したがって、第1板状部54の第1凸部56又は第1凹凸構造66が形成されている部分の長さを、基部板状部42の第2凸部44又は第2凹凸構造69が形成されている部分の長さよりも長くしてもよい。
【0071】
さらに、第1板状部54又は基部板状部42の凸部56,44又は凹凸構造66,69が形成されている部分が、その両側に形成された溝54b,42aによって、区画されている場合には、当該部分の幅W(
図18参照)を調節することにより、言い換えると一対の溝54b,42aの間隔を調節することにより、当該部分の変形のしやすさを制御することができる。具体的には、第1板状部54又は基部板状部42の凸部56,44又は凹凸構造66,69が形成されている部分の幅Wを狭くすることによって、板状部54,42の当該部分が撓みやすくなり、当該板状部54,42と第2板状部64との係合を解除しやすくすることができる。したがって、第1板状部54の第1凸部56又は第1凹凸構造66が形成されている部分の幅を、基部板状部42の第2凸部44又は第2凹凸構造69が形成されている部分の幅よりも狭くしてもよい。
【0072】
なお、
図18は、第1板状部54又は基部板状部42の凸部56,44又は凹凸構造66,69が形成されている部分の長さL及び幅Wに関する変形例を説明するための図であり、基部材40の基部板状部42を代表として示している。
【0073】
また別の変形例として、上述した実施の形態において、基部材40の軸部46によって、第1幌骨50の接続部材52及び第2幌骨60の接続部材62の両方が貫通され、これにより、第1幌骨50及び第2幌骨60の両方が基部材40に接続されている例を示したがこれに限られない。例えば、第2幌骨60の接続部材62が、基部材40の基部板状部42に接続され、且つ、第1幌骨50が、基部材40に直接接続されることなく、第2幌骨60に接続されるようにしてもよい。この際、第1幌骨50の基部材40に対する揺動軸線が、第2幌骨60の基部材40に対する揺動軸線からずれていてもよい。
【0074】
さらに別の変形例として、上述した実施の形態において、幌30が、二つの幌骨50,60を有する例を示したが、この例に限られない。例えば、幌30が、第2幌骨60の後方又は下方に位置する第3の幌骨を有するようにしてもよい。第3の幌骨は、基部材40に対して揺動不可能であってもよいし、揺動可能であってもよい。第3の幌骨が、基部材40に対して揺動不可能な固定幌として形成されている場合、幌布80の後端部分を第3の幌骨に取り付けるようにしてもよい。
【0075】
一方、第3の幌骨が揺動可能である場合、第1幌骨50、第2幌骨60及び第3の幌骨が順に一つずつ揺動し得るように、各幌骨の揺動を規制する規制力を調整しておくことが好ましい。具体例として、まず、第3の幌骨が、上述した実施の形態における第1幌骨50及び第2幌骨60と同様の構成を有するようにし、基部材40の基部板状部42と第2幌骨60の第2板状部64との間に、第3の幌骨の板状部を配置する。第3の幌骨の板状部が、第2幌骨60の第2板状部64と係合することにより、第2幌骨60の第3の幌骨に対する揺動を規制する規制力を発生させ、第3の幌骨の板状部が、基部材40の基部板状部42と係合することにより、第3の幌骨の基部材40に対する揺動を規制する規制力を発生させる。そして、第3の幌骨の基部材40に対する揺動を規制する規制力が、第2幌骨60の第3の幌骨に対する揺動を規制する規制力よりも大きく、且つ、第2幌骨60の第3の幌骨に対する揺動を規制する規制力が、第1幌骨50の第2幌骨60に対する揺動を規制する規制力よりも大きくなるようにする。このような例によれば、上述した実施の形態と同様に、第1幌骨50の第2幌骨60、第3の幌骨及び基部材40に対する揺動、第2幌骨60の第3の幌骨及び基部材40に対する揺動、第3の幌骨の基部材40に対する揺動が、同時に行われることなく、この順番で一つずつ行われるようになる。したがって、操作者は、動作中の幌骨の両端にバランス良く力を加えやすくなり、これにより、幌を容易且つ円滑に開閉することができる。
【0076】
また、一実施の形態として図示された乳母車10及び乳母車本体11の全体構成は、単なる例に過ぎず、上述した幌30を種々の形式の乳母車に適用可能である。
【0077】
さらに、上述した実施の形態において、乳母車10が育児器具1をなす例を示したが、既に説明したように、幌30が適用される育児器具1は、乳母車10に限られない。一例として、
図19に示すように、育児器具1が、チャイルドシート本体91と、チャイルドシート本体91に装着された上述の幌30と、を有するチャイルドシート90であるようにしてもよい。チャイルドシート90は、車両、例えば自動車の座席上に配置されて使用される。チャイルドシート90は、大人を対象として設計された座席やシートベルトを含む車両に、子供を安全に乗車させることを可能にする装置である。限られたスペースとなる車両内において、容易且つ円滑に開閉操作を実施し得る幌30は有用である。加えて、幌30は、育児器具1への適用に限定されることなく、ペット用カート本体との組み合わせによってペット用カートを構成するようにしてもよい。ペット用カートは、ペットを乗せた状態で走行するカートであり、ペットを連れ出す際に用いられる。ペット用カートに幌30を適用した場合にも、上述の実施の形態で説明した作用効果が確保される。
【0078】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。