【実施例】
【0068】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0069】
本実施例で用いる構成要素は以下の通りである。
【0070】
<使用した材料>
・エポキシ樹脂[A]
[A1]−1 “jER(登録商標)”154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:178、平均官能基数:3.0個/分子、三菱化学(株)製)
[A1]−2 “エピクロン(登録商標)”N−775(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:190、平均官能基数:6.5個/分子、DIC(株)製)
[A1]−3 “エピクロン(登録商標)”HP−7200H(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:279、平均官能基数:3.0個/分子、DIC(株)製)
[A1]−4 “jER(登録商標)”152(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:177、平均官能基数:2.2個/分子、三菱化学(株)製)
[A2]−1 “スミエポキシ(登録商標)”ELM434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ当量:125、住友化学工業(株)製)
[A2]−2 “アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジルm−アミノフェノール、エポキシ当量:118、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
[A3]−1 “エピクロン(登録商標)”830(液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:168、DIC(株)製)
[A3]−2 “エポトート(登録商標)”YDF−2001(固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:475、東都化成(株)製)
[A]−1 “jER(登録商標)”828(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:189、三菱化学(株)製)
[A]−2 “jER(登録商標)”1001(固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:475、三菱化学(株)製)。
【0071】
・ジシアンジアミド[B]
[B]−1 DICY7(ジシアンジアミド、三菱化学(株)製)。
【0072】
・芳香族ウレア化合物[C]
[C]−1 DCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、保土ヶ谷化学工業(株)製)
[C]−2 “Omicure(登録商標)”24(
トルエンビスジメチルウレア、ピィ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)。
【0073】
・芳香族ウレア化合物以外の硬化促進剤[C’]
[C’]−1 “キュアゾール(登録商標)”2PHZ−PW(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、四国化成工業(株)製)
[C’]−2 “キュアゾール(登録商標)”2P4MHZ−PW(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、四国化成工業(株)製)
[C’]−3 “キュアダクト(登録商標)”P−0505(エポキシ−イミダゾールアダクト、四国化成工業(株)製)。
【0074】
・ホウ酸エステルを含む混合物[D]
[D]−1 “キュアダクト(登録商標)”L−07N(ホウ酸エステル化合物を5質量部含む組成物、四国化成工業(株)製)。
【0075】
・熱可塑性樹脂[E]
[E]−1 “ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルホルマール、JNC(株)製)。
【0076】
・その他の化合物
ビスフェノールS(東京化成工業(株)製ビス(ヒドロキシフェニル)スルホンをハンマーミルで粉砕した後、ふるいで分級したもの。平均粒径14.8μm。)。
【0077】
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
(1)硬化促進剤マスター、硬化剤マスターの作製方法
液状樹脂である[A3]−1(“エピクロン(登録商標)”830)または[A]−1(“jER(登録商標)”828)10質量部(エポキシ樹脂[A]100質量部のうちの10質量部)に対し、芳香族ウレア化合物[C]または硬化促進剤[C’]、および、ホウ酸エステルを含む混合物[D]を添加し、ニーダーを用いて室温で混練した。三本ロールを用いて混合物をロール間に2回通し、硬化促進剤マスターを調製した。硬化促進剤マスターにジシアンジアミド[B]、およびビスフェノールSを含む場合はビスフェノールSを添加し、ニーダーを用いて室温で混練した後、三本ロールを用いてロール間に2回通し、硬化剤マスターを作製した。
【0078】
(2)エポキシ樹脂組成物の作製方法
ニーダー中に、エポキシ樹脂[A]のうち前記(1)で使用した[A3]−1(“エピクロン(登録商標)”830)または[A]−1(“jER(登録商標)”828)10質量部を除くエポキシ樹脂[A]90質量部および熱可塑性樹脂[E]を投入し、混練しながら150℃まで昇温し、150℃において1時間混練することで、透明な粘調液を得た。粘調液を60℃まで混練しながら降温させた後、前記(1)で作製した硬化剤マスターを配合し、60℃において30分間混練することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0079】
各実施例および比較例の成分配合比について表1〜5に示した。
【0080】
<樹脂組成物特性の評価方法>
(1)T(100)
エポキシ樹脂組成物3mgをサンプルパンに量り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、30℃から100℃/分で100℃まで昇温した後に8時間の等温測定を行った。昇温開始時刻から42秒後を等温測定開始時刻とし、等温測定開始時刻から熱流量が発熱ピークトップに至るまでの時間を測定し、100℃の等温測定時のピークトップまでの時間として取得した。測定は1つの水準あたり3サンプルずつ行い、その平均値を採用した。以後、本測定で得られた平均値をT(100)と表記する(ただし、T(100)の単位は[分]である。)。
【0081】
(2)T(60)
エポキシ樹脂組成物3mgをサンプルパンに量り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、30℃から100℃/分で60℃まで昇温した後に48時間の等温測定を行った。昇温開始時刻から18秒後を等温測定開始時刻とし、等温測定開始時刻から熱流量が発熱ピークトップに至るまでの時間を測定し、60℃の等温測定時のピークトップまでの時間として取得した。測定は1つの水準あたり3サンプルずつ行い、その平均値を採用した。以後、本測定で得られた平均値をT(60)と表記する(ただし、T(60)の単位は[時間]である。)。なお、48時間たってもピークトップが現れなかった場合は、T(60)の値は「48以上」とした。
【0082】
<樹脂硬化物の作製方法と評価方法>
(1)樹脂硬化物の弾性率と撓み
エポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン”(登録商標)製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中で、130℃の温度で90分間硬化させ、厚さ2mmの板状の樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用い、スパンを32mm、クロスヘッドスピードを100mm/分とし、JIS K7171(1994)に従って3点曲げを実施し、弾性率および撓みを測定した。サンプル数n=5で測定した値の平均値を弾性率と撓みの値とした。
【0083】
<プリプレグの作製方法と評価方法>
(1)プリプレグの作製方法
上記<エポキシ樹脂組成物の作製方法>に従い作製したエポキシ樹脂組成物を、フィルムコーターを用いて離型紙上に塗布し、目付が74g/m
2の樹脂フィルムを作製した。
【0084】
この樹脂フィルムをプリプレグ化装置にセットし、一方向に引き揃えたシート状にした炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700S(東レ(株)製、目付150g/m
2)の両面から加熱加圧含浸し、樹脂含有率33質量%のプリプレグを得た。
【0085】
(2)プリプレグの硬化速度の評価方法
プリプレグの硬化速度は、プリプレグを20cm四方に切り取り、厚さ150μmの“テフロン(登録商標)”シートで挟み込み、130℃でプレスした後に、取り出した時の取り扱い性によって判定した。取り扱い性は以下の基準で判定し、A〜Cを合格とした。
A:20分後に取り出した時にプリプレグが変形しなかった。
B:20分後に取り出した時はプリプレグが変形したが、30分後に取り出した時は変形しなかった。
C:30分後に取り出した時はプリプレグが変形したが、40分後に取り出した時は変形しなかった。
D:硬化速度が不十分で40分後に取り出した場合にプリプレグが変形した。
【0086】
(3)プリプレグの保管安定性の評価方法
プリプレグの保管安定性は、プリプレグを10cm四方に切り取り、40℃で60日放置した場合のガラス転移温度の増加量によって判定した。ガラス転移温度は、保管後のプリプレグ8mgをサンプルパンに測り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、−50℃から50℃まで10℃/分で昇温して測定した。得られた発熱カーブの変曲点の中点をTgとして取得した。
【0087】
(4)プリプレグの80℃1時間熱処理後の保管安定性の評価方法
熱履歴を加えた際の保管安定性の指標として、80℃で1時間の熱処理を加えたプリプレグの保管安定性を評価した。プリプレグを10cm四方に切り取り、80℃に調製したプレス機の盤面にプリプレグを1時間静置し、その後室温のアルミ板の上で急冷し、熱履歴を加えたプリプレグサンプルを調製した。得られたサンプルについて、(3)と同様の方法で、40℃で60日放置した場合のガラス転移温度の増加量を測定することにより、保管安定性を評価した。
【0088】
<炭素繊維複合材料(CFRP)の特性評価方法>
(1)CFRPの一方向積層板の作製方法
CFRPの特性評価に用いる一方向積層板は、次の方法によって作製した。上記<プリプレグの作製方法>に従って作製した一方向プリプレグの繊維方向を揃え、13ply積層した。積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆い、これをオートクレーブ中で130℃、内圧0.3MPaで2時間加熱加圧して硬化し、一方向積層板を作製した。
【0089】
(2)CFRPの0°曲げ強度の評価方法
上記に従い作製した一方向積層板を、厚み2mm、幅15mm、長さ100mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7074(1988)に従って3点曲げを実施した。スパンを80mm、クロスヘッドスピードを5.0mm/分、厚子径10mm、支点径4.0mmで測定を行い、0°曲げ強度を測定した。サンプル数n=6で測定した値の平均値を0°曲げ強度の値とした。
【0090】
(3)CFRPの90°曲げ強度の評価方法
上記に従い作製した一方向積層板を、厚み2mm、幅15mm、長さ60mmとなるように切り出した。インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いJIS K7074(1988)に従って3点曲げを実施した。スパンを40mm、クロスヘッドスピードを1.0mm/分、厚子径10mm、支点径4.0mmで測定を行い、90°曲げ強度を測定した。サンプル数n=6で測定した値の平均値を90°曲げ強度の値とした。
【0091】
(実施例1)
[A]エポキシ樹脂として“jER(登録商標)”154を30質量部、“jER(登録商標)”828を40質量部、jER(登録商標)”1001を30質量部、[B]ジシアンジアミドとしてDICY7を5.3質量部、および[C]芳香族ウレア化合物としてDCMU99を3.0質量部、[D]ホウ酸エステルを含む混合物として“キュアダクト(登録商標)”L−07Nを3.0質量部、熱可塑樹脂として“ビニレック(登録商標)”Kを3.0質量部用い、上記<エポキシ樹脂組成物の作製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を作製した。すなわち、液状樹脂である[A]−1(“jER(登録商標)”828)10質量部(エポキシ樹脂[A]100質量部のうちの10質量部)に対し、DCMU99を3.0質量部、および“キュアダクト(登録商標)”L−07Nを3.0質量部添加しニーダーを用いて室温で混練した。三本ロールを用いて混合物をロール間に2回通し、硬化促進剤マスターを調製した。硬化促進剤マスターにDICY7を5.3質量部添加し、ニーダーを用いて室温で混練した後、三本ロールを用いてロール間に2回通し、硬化剤マスターを作製した。
【0092】
ニーダー中に、残りのエポキシ樹脂[A]90質量部として、“jER(登録商標)”154を30質量部、“jER(登録商標)”828を30質量部、jER(登録商標)”1001を30質量部投入し、さらに“ビニレック(登録商標)”Kを3.0質量部投入した。混練しながら150℃まで昇温し、150℃において1時間混練することで、透明な粘調液を得た。粘調液を60℃まで混練しながら降温させた後、上記で作製した硬化剤マスターを配合し、60℃において30分間混練することにより、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0093】
このエポキシ樹脂組成物について、T(100)およびT(60)を測定したところ、T(100)は43分、T(60)は29時間であった。
【0094】
また、エポキシ樹脂組成物を上記<樹脂硬化物の作製方法と評価方法>に記載の方法で硬化して樹脂硬化物を作製し、同記載の3点曲げ試験を行った結果、弾性率は3.3GPa、撓みは10.2mmと、樹脂硬化物の力学特性も良好であった。
【0095】
さらに、得られたエポキシ樹脂組成物から、<プリプレグの作製方法と評価方法>に記載の方法でプリプレグを作製した。得られたプリプレグは十分なタック性・ドレープ性を有していた。得られたプリプレグに関し、同記載の硬化速度と保管安定性の評価を行ったところ、130℃において30分以内にプリプレグは変形しなくなる程度まで硬化し、また、40℃において60日間保管後にTgは2℃の上昇に留まり、プリプレグは十分な硬化速度と保管安定性を有していた。さらに、熱履歴への安定性について、80℃で1時間熱処理後のプリプレグの保管安定性を評価したところ、40℃において60日間保管後にTgは3℃の上昇に留まり、80℃での熱処理前とほぼ同等の保管安定性を有していた。
【0096】
<炭素繊維複合材料(CFRP)の評価方法>に記載の方法で積層・硬化して一方向積層板を作製し、3点曲げ試験を行った結果、0°曲げ強度は1420MPa、90°曲げ強度は105MPaと、CFRPの力学特性も良好であった。
【0097】
(実施例2〜16)
樹脂組成をそれぞれ表1〜3に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、およびプリプレグを作製した。得られたプリプレグは、実施例1と同様、いずれも十分なタック性・ドレープ性を示した。
【0098】
各実施例のエポキシ樹脂組成物に関して、T(100)、T(60)は、それぞれ表1〜3に記載の通りであった。
【0099】
プリプレグの硬化速度と保管安定性、および熱履歴への安定性について、実施例1と同様の評価を行った結果、全ての水準において十分な硬化速度と保管安定性、熱履歴への安定性を示した。
【0100】
また、樹脂硬化物の弾性率と撓みの値は、いずれも良好であり、CFRPの力学特性も良好であった。
【0101】
(比較例1)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表4に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が23時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。また、80℃で1時間熱処理後のプリプレグの保管安定性を評価したところ、ビスフェノールSを含むためか、Tgは44℃と大きく上昇し、熱履歴への安定性は得られなかった。
【0102】
(比較例2)
表4に示した樹脂組成について、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。本組成は、比較例1からビスフェノールSを除いた組成にあたる。樹脂組成物特性および評価結果は表4に示した。プリプレグの保管安定性および硬化物特性は良好であり、熱履歴への安定性も有したが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が70分と60分より長く、得られたプリプレグの硬化速度が不十分であった。
【0103】
(比較例3)
成分[D]を添加しなかった以外は、実施例4と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表4に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が19時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。また、80℃で1時間熱処理後のプリプレグの保管安定性を評価したところ、Tgは43℃と大きく上昇し、熱履歴への安定性は得られなかった。
【0104】
(比較例4)
硬化促進剤を“キュアゾール(登録商標)”2PHZ−PW(1.0質量部)に変更し、成分[D]を添加しなかった以外は、実施例2と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表4に示した。プリプレグの保管安定性および硬化物特性は良好であり、熱履歴への安定性も有したが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が300分と60分より極めて長く、得られたプリプレグの硬化速度が不十分であった。
【0105】
(比較例5)
硬化促進剤を“キュアゾール(登録商標)”2P4MHZ−PW(1.0質量部)に変更し、成分[D]を添加しなかった以外は、実施例2と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表4に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が24時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。また、80℃で1時間熱処理後のプリプレグの保管安定性を評価したところ、Tgは44℃と大きく上昇し、熱履歴への安定性は得られなかった。
【0106】
(比較例6)
樹脂組成をそれぞれ表5に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表5に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が15時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。また、80℃で1時間熱処理後のプリプレグの保管安定性を評価したところ、Tgは42℃と大きく上昇し、熱履歴への安定性は得られなかった。また、樹脂硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪化し、CFRPの90°曲げ強度は83MPaと低いものであった。
【0107】
(比較例7)
樹脂組成をそれぞれ表5に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表5に示した。プリプレグの保管安定性および硬化物特性は良好であり、熱履歴への安定性も有したが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が70分と60分より極めて長く、得られたプリプレグの硬化速度が不十分であった。
【0108】
(比較例8)
樹脂組成をそれぞれ表5に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表5に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が24時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。
【0109】
(比較例9)
樹脂組成をそれぞれ表5に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表5に示した。プリプレグの保管安定性および硬化物特性は良好であり、熱履歴への安定性も有したが、エポキシ樹脂組成物のT(100)の値が65分と60分より極めて長く、得られたプリプレグの硬化速度が不十分であった。
【0110】
(比較例10)
樹脂組成をそれぞれ表5に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表5に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が22時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。
【0111】
(比較例11)
樹脂組成をそれぞれ表5に示したように変更した以外は、実施例1と同じ方法でエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および樹脂硬化物を作製した。樹脂組成物特性および評価結果は表5に示した。エポキシ樹脂組成物のT(60)の値が13時間と25時間未満であり、プリプレグの保管安定性は不十分であった。また、80℃で1時間熱処理後のプリプレグの保管安定性を評価したところ、Tgは43℃と大きく上昇し、熱履歴への安定性は得られなかった。また、樹脂硬化物の弾性率と撓みのバランスが悪化し、CFRPの90°曲げ強度は73MPaと低いものであった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
【表5】