特許第6771911号(P6771911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6771911
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】物品検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20201012BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20201012BHJP
【FI】
   G01N23/04
   G01N23/18
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-54927(P2016-54927)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-167083(P2017-167083A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】牧野 紘一
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/027813(WO,A1)
【文献】 特開2006−081972(JP,A)
【文献】 特開2010−094652(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0212229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送しつつ前記物品を検査し、検査結果を出力する検査部と、
前記検査部よりも前記物品の搬送方向の下流に設けられ、前記物品を搬送する搬送機構、及び前記搬送機構によって搬送される前記物品にエアを噴射して前記物品を振り分ける振分部と、
前記検査部と前記振分部との間に配置され、前記物品を検知するセンサと、
前記検査部から出力された前記検査結果と、前記センサによる前記物品の検知結果と、に基づいて前記物品の振り分けの要否を判断する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検査結果と前記検知結果とに基づいて前記物品を振り分けると判断した場合には、前記センサによる検知から第1時間が経過したときに前記物品を振り分ける第1振分動作を前記振分部に実施させ、
前記物品の前記検査結果が前記検査部から出力されず且つ前記センサにより前記物品が検知された場合には、前記振分部に前記第1振分動作を実施させ
前記物品が不良品である旨の前記検査結果が前記検査部から出力され、当該検査結果が出力されてから第2時間以内に前記物品が前記センサにより検知されない場合、前記物品を振り分ける第2振分動作を前記振分部に実施させる、物品検査システム。
【請求項2】
物品を搬送しつつ前記物品を検査し、検査結果を出力する検査部と、
前記検査部よりも前記物品の搬送方向の下流に設けられ、前記物品を搬送する搬送機構、及び前記搬送機構によって搬送される前記物品にエアを噴射して前記物品を振り分ける振分部と、
前記検査部と前記振分部との間に配置され、前記物品を検知するセンサと、
前記搬送機構の搬送方向における前記振分部よりも更に下流側に配置され、前記物品を排出する排出部と、
前記検査部から出力された前記検査結果と、前記センサによる前記物品の検知結果と、に基づいて前記物品の振り分けの要否を判断する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検査結果と前記検知結果とに基づいて前記物品を振り分けると判断した場合には、前記センサによる検知から第1時間が経過したときに前記物品を振り分ける第1振分動作を前記振分部に実施させ、
前記物品の前記検査結果が前記検査部から出力されず且つ前記センサにより前記物品が検知された場合には、前記振分部に前記第1振分動作を実施させ、
前記物品が不良品である旨の前記検査結果が前記検査部から出力され、当該検査結果が出力されてから第4時間以内に前記物品が前記センサにより検知されない場合、全ての前記物品を一定時間排出する第3振分動作を前記排出部に実施させる、物品検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品検査システムに関する技術として、例えば、特許文献1に記載されている選別装置が知られている。特許文献1に記載の選別装置は、物品を検査して良品信号又は不良品信号を出力する検査部と、検査部によって検査された物品を搬送する搬送機構と、搬送機構によって搬送される物品を検査部の検査結果に基づいて振り分ける振分部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−279895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品検査システムでは、検査部が不良品信号を出力してから所定時間経過後に、物品を振り分ける振分動作を振分部に実施させることがある。しかし、例えば、検査部が不良品信号を出力した後に物品の搬送が滞った場合、振分動作のタイミングが合わず、振分部が不良品を振り分けられないおそれがある。上述した選別装置では、通常、物品を不良品側に振り分ける位置に振分部の選別ゲートが配置され、良品信号が出力された場合に物品を振り分けないように選別ゲートを動作させるため、不良品が振り分けされないといった事態発生の抑制を図っている。
【0005】
ところで、物品検査システムでは、検査能力及び振り分け能力の向上等のため、物品にエアを噴射して物品を振り分ける振分部が設けられる場合がある。この場合、従来の選別装置のように、物品の搬送の滞り等が発生した場合に、振分部によって確実に不良品を振り分けるためには、エアを噴射させ続けることが考えられる。しかし、エアを噴射させ続けることは、エアの消費が大きい等、効率的ではない。一方、物品の搬送の滞り等が発生した場合、検査結果が出力されてから所定時間後にエアを短時間噴射させるだけだと、振り分けるべき物品を振り分けられないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、物品にエアを効率的に噴射しながら、物品を確実に振り分けることができる物品検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品検査システムは、物品を搬送しつつ物品を検査し、検査結果を出力する検査部と、検査部よりも物品の搬送方向の下流に設けられ、物品を搬送する搬送機構、及び搬送機構によって搬送される物品にエアを噴射して物品を振り分ける振分部と、検査部と振分部との間に配置され、物品を検知するセンサと、検査部から出力された検査結果と、センサによる物品の検知結果と、に基づいて物品の振り分けの要否を判断する制御部と、を備え、制御部は、検査結果と検知結果とに基づいて物品を振り分けると判断した場合には、センサによる検知から第1時間が経過したときに物品を振り分ける第1振分動作を振分部に実施させ、物品の検査結果が検査部から出力されず且つセンサにより物品が検知された場合には、振分部に第1振分動作を実施させる。
【0008】
上記物品検査システムでは、検査部と振分部との間に配置されたセンサにより検知された物品には、センサによる検知から第1時間が経過したときに第1振分動作が実施される。このように、センサによる物品の検知結果を利用して、検知タイミングに基づき物品に対してエアを噴射させることができるため、検査部から物品の検査結果が出力されない場合であっても、振分部にエアを噴射させ続ける必要がない。したがって、物品にエアを効率的に噴射しながら、物品を確実に振り分けることが可能となる。
【0009】
一実施形態では、制御部は、物品が不良品である旨の検査結果が検査部から出力され、当該検査結果が出力されてから第2時間以内に物品がセンサにより検知されない場合、当該検査結果が出力されてから第2時間以上の第3時間が経過したときに物品を振り分ける第2振分動作を振分部に実施させてもよい。この場合、例えばセンサに異常が生じてセンサが物品を検出できなかったとしても、検査部による物品の検査タイミングに基づき物品に対してエアを噴射させることができる。この結果、検査部が不良品信号を出力した物品の振り分け漏れを抑制することができる。
【0010】
一実施形態では、搬送機構の搬送方向における振分部よりも更に下流側に配置され、搬送機構によって振分部よりも下流側に搬送される物品を排出する排出部を更に備え、制御部は、物品が不良品である旨の検査結果が検査部から出力され、当該検査結果が出力されてから第4時間以内に物品がセンサにより検知されない場合、当該検査結果が出力されてから第4時間以上の第5時間が経過したときに全ての物品を一定時間排出する第3振分動作を排出部に実施させてもよい。この場合、例えばセンサに異常が生じてセンサが物品を検出できなかったとしても、検査部による物品の検査タイミングに基づき排出部により物品を排出させることができる。この結果、検査部が不良品信号を出力した物品の流出の阻止を図ることができる。また、例えば物品検査システムが生産ライン等の一部を構成する場合、生産ラインを止めることなく不良品の物品を排出でき、生産ライン停止後の運転復帰作業が不要となる。その結果、例えば生産量の多い工場等で、生産ライン停止で生じる影響等を抑えることができる。
【0011】
一実施形態では、制御部は、物品が不良品である旨の検査結果が検査部から出力され、当該検査結果が出力されてから第4時間以内に物品がセンサにより検知されない場合、搬送機構を停止させてもよい。この場合、自動的に搬送機構を停止させることで、搬送経路のどこかで滞留している可能性がある不良品を、確実に取り除くことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品にエアを効率的に噴射しながら、物品を確実に振り分けることができる物品検査システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の物品検査システムの正面図である。
図2図1の物品検査システムの振分装置の斜視図である。
図3図1の物品検査システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図4】検査部の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】制御部の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】振分部及び排出部の処理の一例を示すフローチャートである。
図9図1の物品検査システムの動作例を示すタイミングチャートである。
図10図1の物品検査システムの他の動作例を示すタイミングチャートである。
図11】他の物品検査システムの動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1に示されるように、物品検査システム100は、例えば生産ライン等の一部を構成し、X線検査装置(検査部)10と、センサ20と、振分装置30と、排出装置(排出部)40と、制御部50と、を備える。X線検査装置10は、物品Gを搬送方向aに沿って搬送しつつ、当該物品Gの不良の有無等を検査する。
【0016】
物品Gに不良があるとは、例えば、物品Gへの異物の混入、及び物品Gの損傷(例えば物品Gの割れ及び欠け等、以下同じ)の発生等があることを意味する。不良がある物品Gは、不良品ともいう。物品Gに不良があるとは、例えば、物品Gへの異物の混入、及び物品Gの損傷の発生等がないことを意味する。不良がない物品Gは、良品ともいう。物品Gは、例えば内容物が収納された箱体である。物品Gの外形形状は、種々の形状であってもよい。なお、物品Gは、特に限定されず、例えば内容物が収納された缶詰、又は袋体でもよいし、カップ入り食品等の紙容器でもよい。
【0017】
X線検査装置10は、振分装置30における搬送方向aの上流側(以下、単に「上流側」という)に配置されている。X線検査装置10は、装置本体11と、搬入コンベア12と、を備える。搬入コンベア12は、装置本体11に検査前の物品Gを搬入する。搬入コンベア12には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。
【0018】
装置本体11は、検査室13と、X線源14と、X線検出器15と、搬送コンベア16と、を備える。検査室13は、箱状に形成されている。検査室13において上流側及び搬送方向aの下流側(以下、単に「下流側」という)には、物品Gが通過する搬入口及び搬出口がそれぞれ設けられている。搬入口及び搬出口のそれぞれには、X線遮蔽幕(不図示)が設けられている。X線遮蔽幕は、検査室13外への散乱X線の漏洩を防止する。
【0019】
X線源14は、装置本体11内における検査室13の上方に配置されている。X線源14は、スリット機構(図示せず)等を介してX線照射領域Aを形成しつつ、検査室13内に搬入された物品GにX線を照射する。X線検出器15は、X線源14と対向するように、装置本体11内における検査室13の下方に配置されている。
【0020】
X線検出器15は、搬送コンベア16の幅方向に一列に配列された複数の画素からなるラインセンサを有しており、物品Gを透過したX線を検出する。
【0021】
X線検査装置10では、物品GがX線照射領域Aを通過するときに、X線検出器15によって所定のタイミングで取得された検出信号が画像処理されて、物品Gの不良の有無等が検査される。X線検査装置10は、検査結果を出力する。X線検査装置10は、検査結果の一態様として、検査結果に応じた検査結果信号を後述の制御部50に出力する。検査結果信号は、「良品信号」及び「不良品信号」を含む。具体的には、X線検査装置10は、検査の結果、物品Gに不良がなかった場合、搬送コンベア16によって搬送される当該物品Gが良品である旨の検査結果として、「良品信号」を制御部50に出力する。X線検査装置10は、検査の結果、物品Gに不良があった場合、搬送コンベア16によって搬送される当該物品Gが不良品である旨の検査結果として、「不良品信号」を制御部50に出力する。ここでの良品信号及び不良品信号は、後述の振分フラグのトリガ用の短期間の波形の信号(いわゆるワンショット信号)である。短期間とは、振分フラグが設定(更新)されるのに足りる期間であればよい。
【0022】
搬送コンベア16には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。搬送コンベア16の両端部は、検査室13からそれぞれ突出している。搬送コンベア16は、搬入コンベア12から検査前の物品Gを受け取り、検査室13内に物品Gを搬入する。そして、搬送コンベア16は、検査室13外に物品Gを搬出し、振分装置30に検査後の物品Gを受け渡す。
【0023】
図1及び図2に示されるように、センサ20は、X線検査装置10と振分装置30との間に配置されている。センサ20は、センサ20の下流側において物品Gの搬送が搬出口に設けられたX線遮蔽幕により妨げられないように、X線検査装置10と振分装置30との間において、検査室13の搬出口よりも下流側に配置されている。センサ20は、例えば、搬送コンベア31の上流側の端部側に配置されている。
【0024】
センサ20は、搬送コンベア31の幅方向において対向するセンサ本体21及びミラー22を有する。センサ本体21は、ミラー22に向けて光を出射する光源と、ミラー22で反射された反射光を受光する受光部を有する(不図示)。センサ20は、X線検査装置10から振分装置30へ向かって搬送される物品Gを検知する。センサ20は、搬送される物品Gを検知した場合、当該物品Gを検出した旨の検知結果信号を制御部50に出力する。
【0025】
振分装置30は、X線検査装置10よりも物品Gの搬送方向aの下流に設けられている。振分装置30は、搬送コンベア(搬送機構)31と、エアノズル(振分部)32と、を有する。搬送コンベア31は、X線検査装置10によって検査された物品Gを搬送する。搬送コンベア31は、装置本体11から受け渡された物品Gを搬送方向aに沿って搬送する。搬送コンベア31には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。
【0026】
エアノズル32は、搬送コンベア31によって搬送される物品Gにエアを噴射する。エアノズル32は、搬送コンベア31の幅方向一方側の側方に配置されている。エアノズル32は、一例として、搬送コンベア31の搬送方向aの上流側から下流側に向かう方向において左側に配置されている。エアノズル32は、搬送方向aに沿ってセンサ20よりも下流側にセンサ20と所定距離離間して配置されている。エアノズル32は、搬送コンベア31の搬送方向aの上流側から下流側に向かう方向において右側に配置されていてもよい。
【0027】
エアノズル32は、制御部50からの信号に基づいて物品Gにエアを噴射する振分動作を実施することにより、物品Gを搬送コンベア31の搬送面31a上から除く(物品Gを振り分ける)。図2の例では、エアを噴射された物品GNG1は、搬送コンベア31の幅方向における一方側から他方側に向けて振り分けられて、搬送コンベア31の搬送面31a上から除かれる。
【0028】
排出装置40は、搬送コンベア31の搬送方向aにおけるエアノズル32よりも更に下流側に配置されている。排出装置40は、搬送コンベア31によってエアノズル32よりも下流側に搬送される物品Gの非排出又は排出(全排出)を、制御部50からの信号に基づいて切り替えることができる。排出装置40は、一例として、搬送方向aに沿って配置されたドロップコンベアである。この場合、排出装置40は、搬送方向aの上流側を支点として、搬送方向aの下流側が揺動することで、物品Gの非排出又は排出を切り替え可能である。図2の例では、搬送方向aの上流側から下流側に向かって下方に傾斜するように排出装置40が揺動されることで、搬送される物品GNG2が排出される。排出装置40は、ドロップコンベアに限定されず、例えば延在方向に伸縮することで物品Gを落下させて排出するシャトルコンベアであってもよい。
【0029】
制御部50は、X線検査装置10による物品Gの検査結果信号に基づいて振分装置30及び排出装置40を制御する。制御部50は、ROM[Read Only Memory]に記憶されているプログラムをRAM[RandomAccess Memory]にロードし、CPU[Central Processing Unit]で実行することで、各種の制御を実行する。
【0030】
制御部50は、X線検査装置10から出力された検査結果信号と、センサ20による物品Gの検知結果と、に基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する。制御部50は、X線検査装置10から良品信号が出力され且つセンサ20により物品Gが検知された場合には、物品Gを振り分けないと判断する。この場合、制御部50は、物品Gにエアを噴射する振分動作をエアノズル32に実施させない。
【0031】
制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力され且つセンサ20により物品Gが検知された場合には、物品Gを第1振分動作で振り分けると判断する。第1振分動作は、センサ20による検知から第1時間Tが経過したときにエアノズル32が物品Gを振り分ける動作である。制御部50は、物品Gを第1振分動作で振り分けると判断した場合には、エアノズル32に第1振分動作を実施させる。第1時間Tは、センサ20により物品Gが検知された時刻から当該物品Gがエアノズル32の位置に到達するまでの時間である。第1時間Tは、例えば、センサ20からエアノズル32までの搬送方向aに沿った所定距離を、搬送コンベア31の搬送速度で除算することで算出することができる。
【0032】
X線検査装置10から不良品信号が出力されず且つセンサ20により物品Gが検知された場合、この物品Gは良品であるか不良品であるかが不明であり、振分装置30において物品Gが振り分けられることが好ましい。そこで、制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力されず且つセンサ20により物品Gが検知された場合には、物品Gを第1振分動作で振り分けると判断し、エアノズル32に第1振分動作を実施させる。
【0033】
例えばセンサ20が故障している場合、X線検査装置10から不良品信号が出力されても、当該不良品信号が出力されてから第2時間T以内に物品Gがセンサにより検知されない場合がある。この物品Gは不良品であるため、振分装置30において物品Gが振り分けられることが好ましい。そこで、制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力され且つ当該不良品信号が出力されてから第2時間T以内に物品がセンサ20により検知されない場合、物品Gを第2振分動作で振り分けると判断する。第2振分動作は、X線検査装置10により不良品信号が出力されてから第3時間Tが経過したときにエアノズル32が物品Gを振り分ける動作である。制御部50は、物品Gを第2振分動作で振り分けると判断した場合には、エアノズル32に第2振分動作を実施させる。
【0034】
第2時間Tは、通常状態においてX線検査装置10により不良品信号が出力されてからセンサ20により物品Gが検知されるまでの時間以上の時間である。第2時間Tは、例えば、通常状態においてX線検査装置10により不良品信号が出力されてから、センサ20により検知された物品Gがセンサ20により検知されなくなるまでの時間であってもよい。通常状態とは、X線検査装置10及びセンサ20に異常がなく、X線検査装置10により検査された物品Gの搬送の滞りがない状態である。第3時間Tは、第2時間T以上の時間である。第3時間Tは、例えば、上述の第1時間Tを第2時間Tに加算した時間であってもよい。
【0035】
また、例えばセンサ20が故障している場合、X線検査装置10から不良品信号が出力されても、当該不良品信号が出力されてから第4時間T以内に物品Gがセンサにより検知されない場合がある。不良品の確実な流出阻止を図るためには、この物品Gを含む全ての物品Gが排出装置40において排出されることが好ましい。そこで、制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力され且つ当該不良品信号が出力されてから第4時間T以内に物品がセンサ20により検知されない場合、物品Gを第3振分動作で振り分けると判断する。第3振分動作は、X線検査装置10により不良品信号が出力されてから第5時間Tが経過したときに排出装置40が全ての物品Gを一定時間排出する動作である。ここでは、排出装置40による排出も「振り分け」の一態様であるとする。制御部50は、物品Gを第3振分動作で振り分けると判断した場合には、排出装置40に第3振分動作を実施させる。
【0036】
第4時間Tは、通常状態においてX線検査装置10により不良品信号が出力されてからセンサ20により物品Gが検知されるまでの時間以上の時間である。第4時間Tは、第2時間T以上の時間である。第4時間Tは、例えば、第3時間Tに所定の時間を加算した時間であってもよい。第5時間Tは、第4時間T以上の時間である。第5時間Tは、例えば、更に所定の時間を第4時間Tに加算した時間であってもよい。排出装置40が全ての物品Gを排出する一定時間は、例えば、物品検査システム100のオペレータが、物品検査システム100を含む生産ラインを止めることなく、物品Gの滞り等を解消させるために要する時間であってもよい。
【0037】
図3図8を参照して、物品検査システム100の処理の一例を説明する。図3に示されるように、まず、物品検査システム100では、X線検査装置10が物品Gを検査する(ステップS31)。物品検査システム100では、センサ20が物品Gを検知する(ステップS32)。物品検査システム100では、制御部50が、X線検査装置10から出力された検査結果信号と、センサ20による物品Gの検知結果と、に基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する(ステップS33)。物品検査システム100では、制御部50が、振り分けの要否判断の結果に基づいて、振分装置30又は排出装置40が物品Gを振り分ける(ステップS34)。
【0038】
図3のステップS31では、例えば、図4に示されるように、X線検査装置10が検査結果を出力する。まず、X線検査装置10は、搬入された物品GにX線を照射して物品Gを検査する(ステップS41)。X線検査装置10は、当該物品Gの検査結果があるか否かを判定する(ステップS42)。物品Gの検査結果があるとは、X線検出器15によって取得された物品Gを透過したX線の検出信号の画像処理等が完了し、当該物品Gの検査結果が得られたことを意味する。X線検査装置10は、ステップS42において当該物品Gの検査結果がないと判定した場合、再びステップS41において物品Gを検査する。
【0039】
一方、X線検査装置10は、ステップS42において当該物品Gの検査結果があると判定した場合、信号遅延時間の期間、待機する(ステップS43)。信号遅延時間は、X線検査装置10が良品信号又は不良品信号を出力するまでの遅延時間であり、通常状態において、X線検査装置10により当該物品Gの検査結果が得られてからセンサ20により物品Gが検知されるまでの時間未満の時間である。信号遅延時間は、例えば、X線検出器15からセンサ20までの搬送方向aに沿った所定距離を、搬送コンベア16の搬送速度で除算することで算出することができる。
【0040】
信号遅延時間の経過後、X線検査装置10は、当該物品Gが良品であるか否かを判定する(ステップS44)。ステップS44において当該物品Gが良品であると判定した場合、X線検査装置10は、良品信号を制御部50に出力する(ステップS45)。一方、ステップS44において当該物品Gが不良品であると判定した場合、X線検査装置10は、不良品信号を制御部50に出力する(ステップS46)。
【0041】
次に、図3のステップS32及びステップS33では、例えば、図5に示されるように、制御部50が、振分フラグを設定(更新)すると共に、センサ20による物品Gの検知結果に基づいて振り分けの要否判断の起点となるタイミングを決定する。振分フラグは、検査結果信号が出力された物品Gに対応付けられた検査結果に係る情報であり、例えば「未検知」、「不良品」及び「良品」を示す情報を含む。振分フラグは、例えば、「未検知」、「不良品」及び「良品」を示す情報を、それぞれ「0」、「1」及び「2」等の整数の情報として記憶してもよい。振り分けの要否判断の起点となるタイミングは、X線検査装置10による物品Gの検査タイミング、又はセンサ20による物品Gの検知タイミングである。「未検知」とは、当該物品Gに係る検査結果信号を制御部50が未だ受信していない(物品Gの検査結果がX線検査装置10から出力されていない)ことを示す情報である。
【0042】
まず、制御部50は、当該物品Gの検査結果信号があるか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51において当該物品Gの検査結果信号がないと判定した場合、制御部50は、振分フラグを設定(あるいは更新)しない。つまり、制御部50は、図5の処理を前回行ったときの振分フラグを保持する。
【0043】
一方、ステップS51において当該物品Gの検査結果信号があると判定した場合、制御部50は、当該物品Gの検査結果信号が良品信号であるか否かを判定する(ステップS52)。ステップS52において当該物品Gの検査結果信号が良品信号であると判定した場合、制御部50は、振分フラグを「良品」に設定する(ステップS53)。ステップS52において当該物品Gの検査結果信号が良品信号ではないと判定した場合、制御部50は、振分フラグを「不良品」に設定する(ステップS54)。すなわち、ステップS53及びステップS54では、検査結果信号(ワンショット信号)の受信により、振分フラグが更新される。
【0044】
続いて、制御部50は、センサ20による当該物品Gの検知が開始したか否かを判定する(ステップS55)。ここでは、検査後搬送された物品Gの下流側の端部が、センサ20のセンサ本体21及びミラー22に挟まれる領域に差しかかったとき(以下、単に「物品Gがセンサ20の位置に差しかかる」ともいう)、センサ20による物品Gの検知が開始したものと考える。つまり、センサ20による物品Gの検知が開始したとき、センサ20の検知結果が「未検知」から「検知」に立ち上がる(図9参照)。また、搬送された物品Gの上流側の端部が、センサ20のセンサ本体21及びミラー22に挟まれる領域から脱したとき、センサ20による物品Gの検知が開始したとの判定がリセットされ、センサ20の検知結果が「検知」から「未検知」に戻る(図9参照)。センサ20による物品Gの検知が開始されていない状態は、物品Gの下流側の端部がセンサ20のセンサ本体21及びミラー22に挟まれる領域に未だ差しかかっておらず、物品Gがセンサ20の位置に到達していない場合、あるいはセンサ20が故障等により物品Gの検知ができない場合を含む。
【0045】
ステップS55においてセンサ20による物品Gの検知が開始したと判定した場合、制御部50は、後述するように、センサ20による物品Gの検知タイミングに基づき振り分け要否判断を行う(ステップS56)。その後、制御部50は、振分フラグを「未検知」に設定(リセット)する(ステップS57)。すなわち、検査結果信号の受信からセンサ20による物品Gの検知開始まで、検査結果信号が出力された物品Gに対応付けられた検査結果に係る情報が、振分フラグとして記憶される。一方、ステップS55においてセンサ20による物品Gの検知が開始されていない判定した場合、制御部50は、後述するように、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づき振り分け要否判断を行う(ステップS58)。
【0046】
図5のステップS56では、例えば、図6に示されるように、制御部50が、センサ20による物品Gの検知タイミングに基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する。まず、制御部50は、振分フラグが「良品」であるか否かを判定する(ステップS61)。ステップS61において振分フラグが「良品」であると判定した場合、制御部50は、当該物品Gを振り分けないと判断する(ステップS62)。一方、ステップS61において振分フラグが「良品」ではないと判定した場合(すなわち、振分フラグが「不良品」又は「未検知」であると判定した場合)、制御部50は、当該物品Gを第1振分動作で振り分けると判断する(ステップS63)。制御部50は、センサ20の検知タイミングからの振分遅延タイマを設定する(ステップS64)。ここでの振分遅延タイマは、制御部50がエアノズル32に第1振分動作を実施させる際、第1振分動作の実施を遅延させる時間である。ステップS64では、センサ20の検知タイミングを起点として第1時間Tを設定し、設定した第1時間Tから残り時間が時間の経過と共に徐々に減少するように振分遅延タイマを設定する。センサ20の検知タイミングは、センサ20による当該物品Gの検知が開始したタイミング(時刻)を意味する。
【0047】
他方、図5のステップS58では、例えば、図7に示されるように、制御部50が、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する。まず、制御部50は、振分フラグが「不良品」であるか否かを判定する(ステップS71)。ステップS71において振分フラグが「不良品」ではないと判定した場合(すなわち、振分フラグが「良品」又は「未検知」であると判定した場合)、制御部50は、当該物品Gを振り分けないと判断する(ステップS72)。一方、ステップS71において振分フラグが「不良品」であると判定した場合、制御部50は、X線検査装置10の検査タイミングからの振分遅延タイマを設定する(ステップS73)。ここでの振分遅延タイマは、制御部50がエアノズル32に第2振分動作を実施させる際、又は、制御部50が排出装置40に第3振分動作を実施させる際、各振分動作の実施を遅延させる時間である。ステップS73では、X線検査装置10の検査タイミングを起点として振分遅延タイマを「0」にリセットし、時間の経過と共に時間が徐々に増加するように振分遅延タイマを設定する。X線検査装置10の検査タイミングは、物品Gの検査結果信号がX線検査装置10から出力されたタイミング(時刻)を意味する。すなわち、X線検査装置10の検査タイミングは、X線検査装置10から出力された物品Gの検査結果信号を制御部50が受信したタイミング(時刻)である。
【0048】
制御部50は、振分遅延タイマが第4時間T経過したか否かを判定する(ステップS74)。ステップS74において振分遅延タイマが第4時間T経過していないと判定した場合、制御部50は、振分遅延タイマが第2時間T経過したか否かを判定する(ステップS75)。ステップS75において振分遅延タイマが第2時間T経過していないと判定した場合、制御部50は、当該物品Gを振り分けないと判断する(ステップS72)。一方、ステップS75において振分遅延タイマが第2時間T経過したと判定した場合、制御部50は、当該物品Gを第2振分動作で振り分けると判断する(ステップS76)。また一方、ステップS74において振分遅延タイマが第4時間T経過したと判定した場合、制御部50は、当該物品Gを第3振分動作で振り分けると判断する(ステップS77)。
【0049】
次に、図3のステップS34では、例えば、図8に示されるように、制御部50が判断した振り分け要否に応じて、制御部50は、エアノズル32又は排出装置40に振分動作を実施させる。まず、制御部50は、当該物品Gを振り分けるとの判断をしたか否かを判定する(ステップS81)。ステップS81において当該物品Gを振り分けないとの判断をしたと判定した場合、制御部50は、エアノズル32又は排出装置40に振分動作を実施させることなく、処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS81において当該物品Gを振り分けるとの判断をしたと判定した場合、制御部50は、第3振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたか否かを判定する(ステップS82)。ステップS82において第3振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしていないと判定した場合、制御部50は、第2振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたか否かを判定する(ステップS83)。ステップS83において第2振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしていないと判定した場合、第1振分動作で当該物品Gを振り分けるため、センサ20の検知タイミングから第1時間Tが経過するまで(つまり、第1時間Tから減少する振分遅延タイマの残り時間が「0」となるまで)待機する(ステップS84)。その後、制御部50は、エアノズル32を作動させて物品Gにエアを噴射させ、物品Gを振り分ける(ステップS85)。
【0051】
ステップS83において第2振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたと判定した場合、第2振分動作で当該物品Gを振り分けるため、X線検査装置10の検査タイミングから第3時間Tが経過するまで(つまり、「0」から増加する振分遅延タイマの積算時間が第3時間Tとなるまで)待機する(ステップS86)。その後、制御部50は、エアノズル32を作動させて物品Gにエアを噴射させ、物品Gを振り分ける(ステップS85)。
【0052】
ステップS82において第3振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたと判定した場合、第3振分動作で当該物品Gを振り分けるため、X線検査装置10の検査タイミングから第5時間Tが経過するまで(つまり、「0」から増加する振分遅延タイマの積算時間が第5時間Tとなるまで)待機する(ステップS87)。その後、制御部50は、排出装置40を上述した一定時間作動させて全ての物品Gを排出させる(ステップS88)。
【0053】
次に、図9図11を参照して、物品検査システム100の動作例を説明する。
【0054】
図9に示されるように、時刻tにおいて、X線検査装置10により良品GOK1が検査された場合、信号遅延時間経過後の時刻tにおいて、X線検査装置10は、良品信号を出力する。時刻tにおいて、制御部50は、当該良品GOK1の検査結果信号が良品信号であると判定し、振分フラグを「良品」に設定する。時刻tにおいて、制御部50は、センサ20による良品GOK1の検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「良品」であると判定し、当該良品GOK1を振り分けないと判断する。また、時刻tにおいて、制御部50は、振分フラグを「未検知」に設定する。この場合、制御部50は、エアノズル32及び排出装置40に振分動作を実施させない。
【0055】
次に、時刻tにおいて、X線検査装置10により良品GOK2が検査された場合、信号遅延時間経過後の時刻tにおいて、X線検査装置10は、良品信号を出力する。時刻tにおいて、制御部50は、当該良品GOK2の検査結果信号が良品信号であると判定し、振分フラグを「良品」に設定する。ここでは、本来であれば良品GOK2がセンサ20の位置に差しかかる時刻tにおいて、センサ20による良品GOK2の検知が開始しておらず、その後の時刻tにおいて、センサ20による良品GOK2の検知が開始した場合を想定する。なお、時刻tから時刻tまでの時間は、第2時間Tよりも短い。
【0056】
この場合、制御部50は、時刻tから時刻tまでの時間、「良品」に設定された振分フラグを保持する。時刻tにおいて、センサ20による良品GOK1の検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「良品」であると判定し、当該良品GOK2を振り分けないと判断する。また、時刻tにおいて、制御部50は、振分フラグを「未検知」に設定する。この場合、制御部50は、エアノズル32及び排出装置40に振分動作を実施させない。このように、良品GOK2の搬送の滞り等が発生したとしても、振分フラグを保持しつつセンサ20による良品GOK2の検知開始のときに振り分け要否判断をするため、適切な振り分け要否判断をすることができ、良品GOK2を誤って振り分けてしまう製品ロスの低減を図ることができる。
【0057】
次に、物品Gの検査結果信号がX線検査装置10から出力されていないにも関わらず、時刻tにおいて、センサ20による物品Gの検知が開始した場合を想定する。この場合、制御部50は、時刻tにおいて「未検知」に設定した振分フラグを保持している。そのため、時刻tにおいて、制御部50は、センサ20による物品Gの検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「未検知」であると判定し、当該物品Gを第1振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、時刻tから第1時間T経過したとき(つまり時刻t)に物品Gを振り分ける第1振分動作をエアノズル32に実施させる。制御部50は、時刻tから時刻t10までエアノズル32にエアを噴射させる。
【0058】
次に、時刻t11においてX線検査装置10により良品GOK3が検査されたにも関わらず、センサ20による良品GOK3の検知が開始せず、且つ、その後の時刻t13においてX線検査装置10により不良品GNGが検査され、時刻t14において当該不良品GNGの不良品信号がX線検査装置10から出力された場合を想定する。この場合、制御部50は、時刻t12において「良品」に設定した振分フラグを、時刻t14まで保持している。しかし、時刻t14において、不良品GNGの不良品信号がX線検査装置10から出力されるため、制御部50は、時刻t14において振分フラグを「不良品」に設定(更新)する。その後、時刻t15において、制御部50は、センサ20による不良品GNGの検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「不良品」であると判定し、当該不良品GNGを第1振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、時刻t15から第1時間T経過したとき(つまり時刻t16)に不良品GNGを振り分ける第1振分動作をエアノズル32に実施させる。制御部50は、時刻t16から時刻t7までエアノズル32にエアを噴射させる。このように、良品GOK3の後に検査された不良品GNGがセンサ20により検知されたとしても、制御部50が、X線検査装置10から出力された不良品GNGの不良品信号に基づいて振分フラグを更新するため、適切な振り分け要否判断をすることができる。
【0059】
次に、図10に示されるように、不良品GNGの不良品信号がX線検査装置10から出力されたにも関わらず、センサ20による不良品GNGの検知が開始しない場合を想定する。時刻t21において、不良品GNGがX線検査装置10により検査された場合、信号遅延時間経過後の時刻t22において、X線検査装置10により不良品信号が出力される。制御部50は、当該不良品GNGの検査結果信号が不良品信号であると判定し、時刻t22において振分フラグを「不良品」に設定する。上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第2時間Tが経過した時刻t23において、不良品GNGがセンサ20により検知されないため、制御部50は、不良品GNGを第2振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第3時間Tが経過したとき(つまり時刻t24)に不良品GNGを振り分ける第2振分動作をエアノズル32に実施させる。制御部50は、時刻t24から時刻t25までエアノズル32にエアを噴射させる。このように、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が不良品GNGを検出できなかったとしても、X線検査装置10による不良品GNGの検査タイミングに基づき不良品GNGに対してエアを噴射させることができる。
【0060】
次に、図10において、上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第4時間Tが経過した時刻t25において、不良品GNGがセンサ20により検知されないため、制御部50は、不良品GNGを第3振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第5時間Tが経過したとき(つまり時刻t26)に不良品GNGを含む全ての物品Gを排出する第3振分動作を排出装置40に実施させる。制御部50は、時刻t26から時刻t27までの一定時間、排出装置40を揺動させて全ての物品Gを排出させる。このように、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が不良品GNGを検出できなかったとしても、X線検査装置10による不良品GNGの検査タイミングに基づき排出装置40により不良品GNGを排出させることができる。なお、不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第4時間Tが経過した時刻は、時刻t25に限定されない。
【0061】
ここで、従来、例えば、図11に示されるように、時刻t31において良品GOK1がX線検査装置により検査された場合、時刻t32から所定時間、X線検査装置10が良品信号を出力する手法が考えられる。この場合、良品GOK1がセンサ20により検知された時刻t33においてX線検査装置10が良品信号を出力していれば、振分フラグが「通過」となり、良品GOK1を通過させる。しかしながら、検査室13の搬出口のX線遮蔽幕(いわゆるノレン)に物品Gが接触する等、物品Gの搬送の滞り等が発生することがある。この場合、物品Gがエアノズル32に到達するタイミングがばらついてしまう。エアノズル32によって確実に不良品を排除させるためには、エアを噴射させ続けることが考えられる。しかし、エアを噴射させ続けることは、エアの消費が大きい等、効率的ではない。
【0062】
また、物品Gの搬送の滞り等が発生すると、振り分けなくてもよい良品を振り分けてしまうおそれがある。例えば、時刻t34においてX線検査装置により検査された良品GOK2の搬送が滞ってしまう場合、時刻t35から所定時間、X線検査装置10が良品信号を出力したとしても、良品GOK2がセンサ20により検知された時刻t36において、X線検査装置10が良品信号を出力していなければ、振分フラグが「排除」となり、良品GOK2を振り分けてしまい、製品ロスが生じ得る。
【0063】
また、物品Gの検査結果信号がX線検査装置10から出力されないことがある。この場合、物品Gが良品であるか不良品であるかが不明であるため、この物品Gは振り分けられることが好ましい。しかしながら、例えば、時刻t37においてX線検査装置により検査された良品GOK3の後、検査結果信号がX線検査装置10から出力されない物品Gが存在した場合、時刻t38から所定時間、X線検査装置10が良品信号を出力してしまうため、振分フラグが「通過」となり、物品Gが存在したとしても、物品Gを振り分けず通過させてしまうことが生じ得る。
【0064】
この点、上述した物品検査システム100では、X線検査装置10とエアノズル32との間に配置されたセンサ20により検知された物品Gには、センサ20による検知から第1時間Tが経過したときに第1振分動作が実施される。このように、センサ20による物品Gの検知結果を利用して、センサ20の検知タイミングに基づき物品Gに対してエアを噴射させることができるため、X線検査装置10から物品Gの検査結果信号が出力されない場合であっても、エアノズル32にエアを噴射させ続ける必要がない。したがって、物品Gにエアを効率的に噴射しながら、物品Gを確実に振り分けることが可能となる。
【0065】
また、制御部50は、物品Gが不良品である旨の不良信号がX線検査装置10から出力され、当該不良信号が出力されてから第2時間T以内に物品Gがセンサ20により検知されない場合、当該不良信号が出力されてから第2時間T以上の第3時間Tが経過したときに物品Gを振り分ける第2振分動作をエアノズル32に実施させる。これにより、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が物品Gを検出できなかったとしても、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づき物品Gに対してエアを噴射させることができる。この結果、X線検査装置10が不良品信号を出力した物品Gの振り分け漏れを抑制することができる。
【0066】
また、物品検査システム100は、搬送コンベア31の搬送方向aにおけるエアノズル32よりも更に下流側に配置され、搬送コンベア31によってエアノズル32よりも下流側に搬送される物品Gを排出する排出装置40を更に備える。制御部50は、物品Gが不良品である旨の不良信号がX線検査装置10から出力され、当該不良信号が出力されてから第4時間T以内に物品Gがセンサ20により検知されない場合、当該不良信号が出力されてから第4時間T以上の第5時間が経過したときに全ての物品Gを一定時間排出する第3振分動作を排出装置40に実施させる。これにより、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が物品Gを検出できなかったとしても、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づき排出装置40により物品Gを排出させることができる。この結果、X線検査装置10が不良品信号を出力した物品Gの流出の阻止を図ることができる。また、例えば物品検査システム100が生産ライン等の一部を構成する場合、生産ラインを止めることなく不良品の物品Gを排出でき、生産ライン停止後の運転復帰作業が不要となる。その結果、例えば生産量の多い工場等で、生産ライン停止で生じる影響等を抑えることができる。
【0067】
なお、例えば良品GOK2の搬送の滞り等が発生したとしても、制御部50は、「良品」に設定された振分フラグを保持しつつセンサ20による良品GOK2の検知開始のときに振り分け要否判断をするため、適切な振り分け要否判断をすることができ、良品GOK2を誤って振り分けてしまう製品ロスの低減を図ることができる。
【0068】
[変形例]
上記実施形態では、制御部50は、物品Gが不良品である旨の不良信号がX線検査装置10から出力され、当該不良信号が出力されてから第4時間T以内に物品Gがセンサ20により検知されない場合、第3振分動作を排出装置40に実施させた。制御部50は、第3振分動作を排出装置40に実施させることに代えて、搬送コンベア31を停止させてもよい。この場合、自動的に搬送コンベア31を停止させることで、搬送経路のどこかで滞留している可能性がある不良品の物品Gを、確実に取り除くことが可能となる。なお、制御部50は、搬送コンベア31を停止させることに加えて、又は搬送コンベア31を停止させることに代えて、搬送コンベア31の搬送機構(例えば、搬入コンベア12及び搬送コンベア16等)を自動的に停止させてもよい。
【0069】
上記実施形態では、検査装置としてX線検査装置10を備えるが、検査装置としては、例えば近赤外線検査装置、重量検査装置等であってもよい。
【0070】
上記実施形態では、制御部50がエアノズル32に第2振分動作を実施させる際、又は、制御部50が排出装置40に第3振分動作を実施させる際、振分遅延タイマの起点となるX線検査装置10の検査タイミングは、X線検査装置10から出力された物品Gの検査結果信号を制御部50が受信したタイミング(時刻)であったが、X線検査装置10が物品Gを検査して検査結果を得たタイミング(時刻)であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、物品検査システム100が排出装置40を備えていたが、物品検査システム100が排出装置40を備えず、「不良品」を示す振分フラグが「未検知」を示す情報を兼ねていてもよい。この場合、制御部50は、上記ステップS52において物品Gの検査結果信号が良品信号であると判定した場合に限り、上記ステップS53において振分フラグを「良品」に設定する。つまり、物品Gの検査結果信号が良品信号であると制御部50が判定しない限り、振分フラグが「不良品」に設定(あるいは保持)され、エアノズル32により第1振分動作が実施される。これにより、良品である物品Gのみが振分装置30を通過することとなる。
【符号の説明】
【0072】
10…X線検査装置(検査部)、20…センサ、40…排出装置(排出部)、50…制御部、31…搬送コンベア(搬送機構)、32…エアノズル(振分部)、100…物品検査システム、a…搬送方向、G…物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11