(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1に示されるように、物品検査システム100は、例えば生産ライン等の一部を構成し、X線検査装置(検査部)10と、センサ20と、振分装置30と、排出装置(排出部)40と、制御部50と、を備える。X線検査装置10は、物品Gを搬送方向aに沿って搬送しつつ、当該物品Gの不良の有無等を検査する。
【0016】
物品Gに不良があるとは、例えば、物品Gへの異物の混入、及び物品Gの損傷(例えば物品Gの割れ及び欠け等、以下同じ)の発生等があることを意味する。不良がある物品Gは、不良品ともいう。物品Gに不良があるとは、例えば、物品Gへの異物の混入、及び物品Gの損傷の発生等がないことを意味する。不良がない物品Gは、良品ともいう。物品Gは、例えば内容物が収納された箱体である。物品Gの外形形状は、種々の形状であってもよい。なお、物品Gは、特に限定されず、例えば内容物が収納された缶詰、又は袋体でもよいし、カップ入り食品等の紙容器でもよい。
【0017】
X線検査装置10は、振分装置30における搬送方向aの上流側(以下、単に「上流側」という)に配置されている。X線検査装置10は、装置本体11と、搬入コンベア12と、を備える。搬入コンベア12は、装置本体11に検査前の物品Gを搬入する。搬入コンベア12には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。
【0018】
装置本体11は、検査室13と、X線源14と、X線検出器15と、搬送コンベア16と、を備える。検査室13は、箱状に形成されている。検査室13において上流側及び搬送方向aの下流側(以下、単に「下流側」という)には、物品Gが通過する搬入口及び搬出口がそれぞれ設けられている。搬入口及び搬出口のそれぞれには、X線遮蔽幕(不図示)が設けられている。X線遮蔽幕は、検査室13外への散乱X線の漏洩を防止する。
【0019】
X線源14は、装置本体11内における検査室13の上方に配置されている。X線源14は、スリット機構(図示せず)等を介してX線照射領域Aを形成しつつ、検査室13内に搬入された物品GにX線を照射する。X線検出器15は、X線源14と対向するように、装置本体11内における検査室13の下方に配置されている。
【0020】
X線検出器15は、搬送コンベア16の幅方向に一列に配列された複数の画素からなるラインセンサを有しており、物品Gを透過したX線を検出する。
【0021】
X線検査装置10では、物品GがX線照射領域Aを通過するときに、X線検出器15によって所定のタイミングで取得された検出信号が画像処理されて、物品Gの不良の有無等が検査される。X線検査装置10は、検査結果を出力する。X線検査装置10は、検査結果の一態様として、検査結果に応じた検査結果信号を後述の制御部50に出力する。検査結果信号は、「良品信号」及び「不良品信号」を含む。具体的には、X線検査装置10は、検査の結果、物品Gに不良がなかった場合、搬送コンベア16によって搬送される当該物品Gが良品である旨の検査結果として、「良品信号」を制御部50に出力する。X線検査装置10は、検査の結果、物品Gに不良があった場合、搬送コンベア16によって搬送される当該物品Gが不良品である旨の検査結果として、「不良品信号」を制御部50に出力する。ここでの良品信号及び不良品信号は、後述の振分フラグのトリガ用の短期間の波形の信号(いわゆるワンショット信号)である。短期間とは、振分フラグが設定(更新)されるのに足りる期間であればよい。
【0022】
搬送コンベア16には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。搬送コンベア16の両端部は、検査室13からそれぞれ突出している。搬送コンベア16は、搬入コンベア12から検査前の物品Gを受け取り、検査室13内に物品Gを搬入する。そして、搬送コンベア16は、検査室13外に物品Gを搬出し、振分装置30に検査後の物品Gを受け渡す。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、センサ20は、X線検査装置10と振分装置30との間に配置されている。センサ20は、センサ20の下流側において物品Gの搬送が搬出口に設けられたX線遮蔽幕により妨げられないように、X線検査装置10と振分装置30との間において、検査室13の搬出口よりも下流側に配置されている。センサ20は、例えば、搬送コンベア31の上流側の端部側に配置されている。
【0024】
センサ20は、搬送コンベア31の幅方向において対向するセンサ本体21及びミラー22を有する。センサ本体21は、ミラー22に向けて光を出射する光源と、ミラー22で反射された反射光を受光する受光部を有する(不図示)。センサ20は、X線検査装置10から振分装置30へ向かって搬送される物品Gを検知する。センサ20は、搬送される物品Gを検知した場合、当該物品Gを検出した旨の検知結果信号を制御部50に出力する。
【0025】
振分装置30は、X線検査装置10よりも物品Gの搬送方向aの下流に設けられている。振分装置30は、搬送コンベア(搬送機構)31と、エアノズル(振分部)32と、を有する。搬送コンベア31は、X線検査装置10によって検査された物品Gを搬送する。搬送コンベア31は、装置本体11から受け渡された物品Gを搬送方向aに沿って搬送する。搬送コンベア31には、一般的な平ベルトコンベアが使用されている。
【0026】
エアノズル32は、搬送コンベア31によって搬送される物品Gにエアを噴射する。エアノズル32は、搬送コンベア31の幅方向一方側の側方に配置されている。エアノズル32は、一例として、搬送コンベア31の搬送方向aの上流側から下流側に向かう方向において左側に配置されている。エアノズル32は、搬送方向aに沿ってセンサ20よりも下流側にセンサ20と所定距離離間して配置されている。エアノズル32は、搬送コンベア31の搬送方向aの上流側から下流側に向かう方向において右側に配置されていてもよい。
【0027】
エアノズル32は、制御部50からの信号に基づいて物品Gにエアを噴射する振分動作を実施することにより、物品Gを搬送コンベア31の搬送面31a上から除く(物品Gを振り分ける)。
図2の例では、エアを噴射された物品G
NG1は、搬送コンベア31の幅方向における一方側から他方側に向けて振り分けられて、搬送コンベア31の搬送面31a上から除かれる。
【0028】
排出装置40は、搬送コンベア31の搬送方向aにおけるエアノズル32よりも更に下流側に配置されている。排出装置40は、搬送コンベア31によってエアノズル32よりも下流側に搬送される物品Gの非排出又は排出(全排出)を、制御部50からの信号に基づいて切り替えることができる。排出装置40は、一例として、搬送方向aに沿って配置されたドロップコンベアである。この場合、排出装置40は、搬送方向aの上流側を支点として、搬送方向aの下流側が揺動することで、物品Gの非排出又は排出を切り替え可能である。
図2の例では、搬送方向aの上流側から下流側に向かって下方に傾斜するように排出装置40が揺動されることで、搬送される物品G
NG2が排出される。排出装置40は、ドロップコンベアに限定されず、例えば延在方向に伸縮することで物品Gを落下させて排出するシャトルコンベアであってもよい。
【0029】
制御部50は、X線検査装置10による物品Gの検査結果信号に基づいて振分装置30及び排出装置40を制御する。制御部50は、ROM[Read Only Memory]に記憶されているプログラムをRAM[RandomAccess Memory]にロードし、CPU[Central Processing Unit]で実行することで、各種の制御を実行する。
【0030】
制御部50は、X線検査装置10から出力された検査結果信号と、センサ20による物品Gの検知結果と、に基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する。制御部50は、X線検査装置10から良品信号が出力され且つセンサ20により物品Gが検知された場合には、物品Gを振り分けないと判断する。この場合、制御部50は、物品Gにエアを噴射する振分動作をエアノズル32に実施させない。
【0031】
制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力され且つセンサ20により物品Gが検知された場合には、物品Gを第1振分動作で振り分けると判断する。第1振分動作は、センサ20による検知から第1時間T
1が経過したときにエアノズル32が物品Gを振り分ける動作である。制御部50は、物品Gを第1振分動作で振り分けると判断した場合には、エアノズル32に第1振分動作を実施させる。第1時間T
1は、センサ20により物品Gが検知された時刻から当該物品Gがエアノズル32の位置に到達するまでの時間である。第1時間T
1は、例えば、センサ20からエアノズル32までの搬送方向aに沿った所定距離を、搬送コンベア31の搬送速度で除算することで算出することができる。
【0032】
X線検査装置10から不良品信号が出力されず且つセンサ20により物品Gが検知された場合、この物品Gは良品であるか不良品であるかが不明であり、振分装置30において物品Gが振り分けられることが好ましい。そこで、制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力されず且つセンサ20により物品Gが検知された場合には、物品Gを第1振分動作で振り分けると判断し、エアノズル32に第1振分動作を実施させる。
【0033】
例えばセンサ20が故障している場合、X線検査装置10から不良品信号が出力されても、当該不良品信号が出力されてから第2時間T
2以内に物品Gがセンサにより検知されない場合がある。この物品Gは不良品であるため、振分装置30において物品Gが振り分けられることが好ましい。そこで、制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力され且つ当該不良品信号が出力されてから第2時間T
2以内に物品がセンサ20により検知されない場合、物品Gを第2振分動作で振り分けると判断する。第2振分動作は、X線検査装置10により不良品信号が出力されてから第3時間T
3が経過したときにエアノズル32が物品Gを振り分ける動作である。制御部50は、物品Gを第2振分動作で振り分けると判断した場合には、エアノズル32に第2振分動作を実施させる。
【0034】
第2時間T
2は、通常状態においてX線検査装置10により不良品信号が出力されてからセンサ20により物品Gが検知されるまでの時間以上の時間である。第2時間T
2は、例えば、通常状態においてX線検査装置10により不良品信号が出力されてから、センサ20により検知された物品Gがセンサ20により検知されなくなるまでの時間であってもよい。通常状態とは、X線検査装置10及びセンサ20に異常がなく、X線検査装置10により検査された物品Gの搬送の滞りがない状態である。第3時間T
3は、第2時間T
2以上の時間である。第3時間T
3は、例えば、上述の第1時間T
1を第2時間T
2に加算した時間であってもよい。
【0035】
また、例えばセンサ20が故障している場合、X線検査装置10から不良品信号が出力されても、当該不良品信号が出力されてから第4時間T
4以内に物品Gがセンサにより検知されない場合がある。不良品の確実な流出阻止を図るためには、この物品Gを含む全ての物品Gが排出装置40において排出されることが好ましい。そこで、制御部50は、X線検査装置10から不良品信号が出力され且つ当該不良品信号が出力されてから第4時間T
4以内に物品がセンサ20により検知されない場合、物品Gを第3振分動作で振り分けると判断する。第3振分動作は、X線検査装置10により不良品信号が出力されてから第5時間T
5が経過したときに排出装置40が全ての物品Gを一定時間排出する動作である。ここでは、排出装置40による排出も「振り分け」の一態様であるとする。制御部50は、物品Gを第3振分動作で振り分けると判断した場合には、排出装置40に第3振分動作を実施させる。
【0036】
第4時間T
4は、通常状態においてX線検査装置10により不良品信号が出力されてからセンサ20により物品Gが検知されるまでの時間以上の時間である。第4時間T
4は、第2時間T
2以上の時間である。第4時間T
4は、例えば、第3時間T
3に所定の時間を加算した時間であってもよい。第5時間T
5は、第4時間T
4以上の時間である。第5時間T
5は、例えば、更に所定の時間を第4時間T
4に加算した時間であってもよい。排出装置40が全ての物品Gを排出する一定時間は、例えば、物品検査システム100のオペレータが、物品検査システム100を含む生産ラインを止めることなく、物品Gの滞り等を解消させるために要する時間であってもよい。
【0037】
図3〜
図8を参照して、物品検査システム100の処理の一例を説明する。
図3に示されるように、まず、物品検査システム100では、X線検査装置10が物品Gを検査する(ステップS31)。物品検査システム100では、センサ20が物品Gを検知する(ステップS32)。物品検査システム100では、制御部50が、X線検査装置10から出力された検査結果信号と、センサ20による物品Gの検知結果と、に基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する(ステップS33)。物品検査システム100では、制御部50が、振り分けの要否判断の結果に基づいて、振分装置30又は排出装置40が物品Gを振り分ける(ステップS34)。
【0038】
図3のステップS31では、例えば、
図4に示されるように、X線検査装置10が検査結果を出力する。まず、X線検査装置10は、搬入された物品GにX線を照射して物品Gを検査する(ステップS41)。X線検査装置10は、当該物品Gの検査結果があるか否かを判定する(ステップS42)。物品Gの検査結果があるとは、X線検出器15によって取得された物品Gを透過したX線の検出信号の画像処理等が完了し、当該物品Gの検査結果が得られたことを意味する。X線検査装置10は、ステップS42において当該物品Gの検査結果がないと判定した場合、再びステップS41において物品Gを検査する。
【0039】
一方、X線検査装置10は、ステップS42において当該物品Gの検査結果があると判定した場合、信号遅延時間の期間、待機する(ステップS43)。信号遅延時間は、X線検査装置10が良品信号又は不良品信号を出力するまでの遅延時間であり、通常状態において、X線検査装置10により当該物品Gの検査結果が得られてからセンサ20により物品Gが検知されるまでの時間未満の時間である。信号遅延時間は、例えば、X線検出器15からセンサ20までの搬送方向aに沿った所定距離を、搬送コンベア16の搬送速度で除算することで算出することができる。
【0040】
信号遅延時間の経過後、X線検査装置10は、当該物品Gが良品であるか否かを判定する(ステップS44)。ステップS44において当該物品Gが良品であると判定した場合、X線検査装置10は、良品信号を制御部50に出力する(ステップS45)。一方、ステップS44において当該物品Gが不良品であると判定した場合、X線検査装置10は、不良品信号を制御部50に出力する(ステップS46)。
【0041】
次に、
図3のステップS32及びステップS33では、例えば、
図5に示されるように、制御部50が、振分フラグを設定(更新)すると共に、センサ20による物品Gの検知結果に基づいて振り分けの要否判断の起点となるタイミングを決定する。振分フラグは、検査結果信号が出力された物品Gに対応付けられた検査結果に係る情報であり、例えば「未検知」、「不良品」及び「良品」を示す情報を含む。振分フラグは、例えば、「未検知」、「不良品」及び「良品」を示す情報を、それぞれ「0」、「1」及び「2」等の整数の情報として記憶してもよい。振り分けの要否判断の起点となるタイミングは、X線検査装置10による物品Gの検査タイミング、又はセンサ20による物品Gの検知タイミングである。「未検知」とは、当該物品Gに係る検査結果信号を制御部50が未だ受信していない(物品Gの検査結果がX線検査装置10から出力されていない)ことを示す情報である。
【0042】
まず、制御部50は、当該物品Gの検査結果信号があるか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51において当該物品Gの検査結果信号がないと判定した場合、制御部50は、振分フラグを設定(あるいは更新)しない。つまり、制御部50は、
図5の処理を前回行ったときの振分フラグを保持する。
【0043】
一方、ステップS51において当該物品Gの検査結果信号があると判定した場合、制御部50は、当該物品Gの検査結果信号が良品信号であるか否かを判定する(ステップS52)。ステップS52において当該物品Gの検査結果信号が良品信号であると判定した場合、制御部50は、振分フラグを「良品」に設定する(ステップS53)。ステップS52において当該物品Gの検査結果信号が良品信号ではないと判定した場合、制御部50は、振分フラグを「不良品」に設定する(ステップS54)。すなわち、ステップS53及びステップS54では、検査結果信号(ワンショット信号)の受信により、振分フラグが更新される。
【0044】
続いて、制御部50は、センサ20による当該物品Gの検知が開始したか否かを判定する(ステップS55)。ここでは、検査後搬送された物品Gの下流側の端部が、センサ20のセンサ本体21及びミラー22に挟まれる領域に差しかかったとき(以下、単に「物品Gがセンサ20の位置に差しかかる」ともいう)、センサ20による物品Gの検知が開始したものと考える。つまり、センサ20による物品Gの検知が開始したとき、センサ20の検知結果が「未検知」から「検知」に立ち上がる(
図9参照)。また、搬送された物品Gの上流側の端部が、センサ20のセンサ本体21及びミラー22に挟まれる領域から脱したとき、センサ20による物品Gの検知が開始したとの判定がリセットされ、センサ20の検知結果が「検知」から「未検知」に戻る(
図9参照)。センサ20による物品Gの検知が開始されていない状態は、物品Gの下流側の端部がセンサ20のセンサ本体21及びミラー22に挟まれる領域に未だ差しかかっておらず、物品Gがセンサ20の位置に到達していない場合、あるいはセンサ20が故障等により物品Gの検知ができない場合を含む。
【0045】
ステップS55においてセンサ20による物品Gの検知が開始したと判定した場合、制御部50は、後述するように、センサ20による物品Gの検知タイミングに基づき振り分け要否判断を行う(ステップS56)。その後、制御部50は、振分フラグを「未検知」に設定(リセット)する(ステップS57)。すなわち、検査結果信号の受信からセンサ20による物品Gの検知開始まで、検査結果信号が出力された物品Gに対応付けられた検査結果に係る情報が、振分フラグとして記憶される。一方、ステップS55においてセンサ20による物品Gの検知が開始されていない判定した場合、制御部50は、後述するように、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づき振り分け要否判断を行う(ステップS58)。
【0046】
図5のステップS56では、例えば、
図6に示されるように、制御部50が、センサ20による物品Gの検知タイミングに基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する。まず、制御部50は、振分フラグが「良品」であるか否かを判定する(ステップS61)。ステップS61において振分フラグが「良品」であると判定した場合、制御部50は、当該物品Gを振り分けないと判断する(ステップS62)。一方、ステップS61において振分フラグが「良品」ではないと判定した場合(すなわち、振分フラグが「不良品」又は「未検知」であると判定した場合)、制御部50は、当該物品Gを第1振分動作で振り分けると判断する(ステップS63)。制御部50は、センサ20の検知タイミングからの振分遅延タイマを設定する(ステップS64)。ここでの振分遅延タイマは、制御部50がエアノズル32に第1振分動作を実施させる際、第1振分動作の実施を遅延させる時間である。ステップS64では、センサ20の検知タイミングを起点として第1時間T
1を設定し、設定した第1時間T
1から残り時間が時間の経過と共に徐々に減少するように振分遅延タイマを設定する。センサ20の検知タイミングは、センサ20による当該物品Gの検知が開始したタイミング(時刻)を意味する。
【0047】
他方、
図5のステップS58では、例えば、
図7に示されるように、制御部50が、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づいて物品Gの振り分けの要否を判断する。まず、制御部50は、振分フラグが「不良品」であるか否かを判定する(ステップS71)。ステップS71において振分フラグが「不良品」ではないと判定した場合(すなわち、振分フラグが「良品」又は「未検知」であると判定した場合)、制御部50は、当該物品Gを振り分けないと判断する(ステップS72)。一方、ステップS71において振分フラグが「不良品」であると判定した場合、制御部50は、X線検査装置10の検査タイミングからの振分遅延タイマを設定する(ステップS73)。ここでの振分遅延タイマは、制御部50がエアノズル32に第2振分動作を実施させる際、又は、制御部50が排出装置40に第3振分動作を実施させる際、各振分動作の実施を遅延させる時間である。ステップS73では、X線検査装置10の検査タイミングを起点として振分遅延タイマを「0」にリセットし、時間の経過と共に時間が徐々に増加するように振分遅延タイマを設定する。X線検査装置10の検査タイミングは、物品Gの検査結果信号がX線検査装置10から出力されたタイミング(時刻)を意味する。すなわち、X線検査装置10の検査タイミングは、X線検査装置10から出力された物品Gの検査結果信号を制御部50が受信したタイミング(時刻)である。
【0048】
制御部50は、振分遅延タイマが第4時間T
4経過したか否かを判定する(ステップS74)。ステップS74において振分遅延タイマが第4時間T
4経過していないと判定した場合、制御部50は、振分遅延タイマが第2時間T
2経過したか否かを判定する(ステップS75)。ステップS75において振分遅延タイマが第2時間T
2経過していないと判定した場合、制御部50は、当該物品Gを振り分けないと判断する(ステップS72)。一方、ステップS75において振分遅延タイマが第2時間T
2経過したと判定した場合、制御部50は、当該物品Gを第2振分動作で振り分けると判断する(ステップS76)。また一方、ステップS74において振分遅延タイマが第4時間T
4経過したと判定した場合、制御部50は、当該物品Gを第3振分動作で振り分けると判断する(ステップS77)。
【0049】
次に、
図3のステップS34では、例えば、
図8に示されるように、制御部50が判断した振り分け要否に応じて、制御部50は、エアノズル32又は排出装置40に振分動作を実施させる。まず、制御部50は、当該物品Gを振り分けるとの判断をしたか否かを判定する(ステップS81)。ステップS81において当該物品Gを振り分けないとの判断をしたと判定した場合、制御部50は、エアノズル32又は排出装置40に振分動作を実施させることなく、処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS81において当該物品Gを振り分けるとの判断をしたと判定した場合、制御部50は、第3振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたか否かを判定する(ステップS82)。ステップS82において第3振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしていないと判定した場合、制御部50は、第2振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたか否かを判定する(ステップS83)。ステップS83において第2振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしていないと判定した場合、第1振分動作で当該物品Gを振り分けるため、センサ20の検知タイミングから第1時間T
1が経過するまで(つまり、第1時間T
1から減少する振分遅延タイマの残り時間が「0」となるまで)待機する(ステップS84)。その後、制御部50は、エアノズル32を作動させて物品Gにエアを噴射させ、物品Gを振り分ける(ステップS85)。
【0051】
ステップS83において第2振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたと判定した場合、第2振分動作で当該物品Gを振り分けるため、X線検査装置10の検査タイミングから第3時間T
3が経過するまで(つまり、「0」から増加する振分遅延タイマの積算時間が第3時間T
3となるまで)待機する(ステップS86)。その後、制御部50は、エアノズル32を作動させて物品Gにエアを噴射させ、物品Gを振り分ける(ステップS85)。
【0052】
ステップS82において第3振分動作で当該物品Gを振り分けるとの判断をしたと判定した場合、第3振分動作で当該物品Gを振り分けるため、X線検査装置10の検査タイミングから第5時間T
5が経過するまで(つまり、「0」から増加する振分遅延タイマの積算時間が第5時間T
5となるまで)待機する(ステップS87)。その後、制御部50は、排出装置40を上述した一定時間作動させて全ての物品Gを排出させる(ステップS88)。
【0053】
次に、
図9〜
図11を参照して、物品検査システム100の動作例を説明する。
【0054】
図9に示されるように、時刻t
1において、X線検査装置10により良品G
OK1が検査された場合、信号遅延時間経過後の時刻t
2において、X線検査装置10は、良品信号を出力する。時刻t
2において、制御部50は、当該良品G
OK1の検査結果信号が良品信号であると判定し、振分フラグを「良品」に設定する。時刻t
3において、制御部50は、センサ20による良品G
OK1の検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「良品」であると判定し、当該良品G
OK1を振り分けないと判断する。また、時刻t
3において、制御部50は、振分フラグを「未検知」に設定する。この場合、制御部50は、エアノズル32及び排出装置40に振分動作を実施させない。
【0055】
次に、時刻t
4において、X線検査装置10により良品G
OK2が検査された場合、信号遅延時間経過後の時刻t
5において、X線検査装置10は、良品信号を出力する。時刻t
5において、制御部50は、当該良品G
OK2の検査結果信号が良品信号であると判定し、振分フラグを「良品」に設定する。ここでは、本来であれば良品G
OK2がセンサ20の位置に差しかかる時刻t
6において、センサ20による良品G
OK2の検知が開始しておらず、その後の時刻t
7において、センサ20による良品G
OK2の検知が開始した場合を想定する。なお、時刻t
4から時刻t
7までの時間は、第2時間T
2よりも短い。
【0056】
この場合、制御部50は、時刻t
5から時刻t
7までの時間、「良品」に設定された振分フラグを保持する。時刻t
7において、センサ20による良品G
OK1の検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「良品」であると判定し、当該良品G
OK2を振り分けないと判断する。また、時刻t
7において、制御部50は、振分フラグを「未検知」に設定する。この場合、制御部50は、エアノズル32及び排出装置40に振分動作を実施させない。このように、良品G
OK2の搬送の滞り等が発生したとしても、振分フラグを保持しつつセンサ20による良品G
OK2の検知開始のときに振り分け要否判断をするため、適切な振り分け要否判断をすることができ、良品G
OK2を誤って振り分けてしまう製品ロスの低減を図ることができる。
【0057】
次に、物品G
Xの検査結果信号がX線検査装置10から出力されていないにも関わらず、時刻t
8において、センサ20による物品G
Xの検知が開始した場合を想定する。この場合、制御部50は、時刻t
7において「未検知」に設定した振分フラグを保持している。そのため、時刻t
8において、制御部50は、センサ20による物品G
Xの検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「未検知」であると判定し、当該物品G
Xを第1振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、時刻t
8から第1時間T
1経過したとき(つまり時刻t
9)に物品G
Xを振り分ける第1振分動作をエアノズル32に実施させる。制御部50は、時刻t
9から時刻t
10までエアノズル32にエアを噴射させる。
【0058】
次に、時刻t
11においてX線検査装置10により良品G
OK3が検査されたにも関わらず、センサ20による良品G
OK3の検知が開始せず、且つ、その後の時刻t
13においてX線検査装置10により不良品G
NGが検査され、時刻t
14において当該不良品G
NGの不良品信号がX線検査装置10から出力された場合を想定する。この場合、制御部50は、時刻t
12において「良品」に設定した振分フラグを、時刻t
14まで保持している。しかし、時刻t
14において、不良品G
NGの不良品信号がX線検査装置10から出力されるため、制御部50は、時刻t
14において振分フラグを「不良品」に設定(更新)する。その後、時刻t
15において、制御部50は、センサ20による不良品G
NGの検知が開始したと判定すると共に、振分フラグが「不良品」であると判定し、当該不良品G
NGを第1振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、時刻t
15から第1時間T
1経過したとき(つまり時刻t
16)に不良品G
NGを振り分ける第1振分動作をエアノズル32に実施させる。制御部50は、時刻t
16から時刻t
17までエアノズル32にエアを噴射させる。このように、良品G
OK3の後に検査された不良品G
NGがセンサ20により検知されたとしても、制御部50が、X線検査装置10から出力された不良品G
NGの不良品信号に基づいて振分フラグを更新するため、適切な振り分け要否判断をすることができる。
【0059】
次に、
図10に示されるように、不良品G
NGの不良品信号がX線検査装置10から出力されたにも関わらず、センサ20による不良品G
NGの検知が開始しない場合を想定する。時刻t
21において、不良品G
NGがX線検査装置10により検査された場合、信号遅延時間経過後の時刻t
22において、X線検査装置10により不良品信号が出力される。制御部50は、当該不良品G
NGの検査結果信号が不良品信号であると判定し、時刻t
22において振分フラグを「不良品」に設定する。上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第2時間T
2が経過した時刻t
23において、不良品G
NGがセンサ20により検知されないため、制御部50は、不良品G
NGを第2振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第3時間T
3が経過したとき(つまり時刻t
24)に不良品G
NGを振り分ける第2振分動作をエアノズル32に実施させる。制御部50は、時刻t
24から時刻t
25までエアノズル32にエアを噴射させる。このように、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が不良品G
NGを検出できなかったとしても、X線検査装置10による不良品G
NGの検査タイミングに基づき不良品G
NGに対してエアを噴射させることができる。
【0060】
次に、
図10において、上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第4時間T
4が経過した時刻t
25において、不良品G
NGがセンサ20により検知されないため、制御部50は、不良品G
NGを第3振分動作で振り分けると判断する。この場合、制御部50は、上記不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第5時間T
5が経過したとき(つまり時刻t
26)に不良品G
NGを含む全ての物品Gを排出する第3振分動作を排出装置40に実施させる。制御部50は、時刻t
26から時刻t
27までの一定時間、排出装置40を揺動させて全ての物品Gを排出させる。このように、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が不良品G
NGを検出できなかったとしても、X線検査装置10による不良品G
NGの検査タイミングに基づき排出装置40により不良品G
NGを排出させることができる。なお、不良品信号がX線検査装置10から出力されてから第4時間T
4が経過した時刻は、時刻t
25に限定されない。
【0061】
ここで、従来、例えば、
図11に示されるように、時刻t
31において良品G
OK1がX線検査装置により検査された場合、時刻t
32から所定時間、X線検査装置10が良品信号を出力する手法が考えられる。この場合、良品G
OK1がセンサ20により検知された時刻t
33においてX線検査装置10が良品信号を出力していれば、振分フラグが「通過」となり、良品G
OK1を通過させる。しかしながら、検査室13の搬出口のX線遮蔽幕(いわゆるノレン)に物品Gが接触する等、物品Gの搬送の滞り等が発生することがある。この場合、物品Gがエアノズル32に到達するタイミングがばらついてしまう。エアノズル32によって確実に不良品を排除させるためには、エアを噴射させ続けることが考えられる。しかし、エアを噴射させ続けることは、エアの消費が大きい等、効率的ではない。
【0062】
また、物品Gの搬送の滞り等が発生すると、振り分けなくてもよい良品を振り分けてしまうおそれがある。例えば、時刻t
34においてX線検査装置により検査された良品G
OK2の搬送が滞ってしまう場合、時刻t
35から所定時間、X線検査装置10が良品信号を出力したとしても、良品G
OK2がセンサ20により検知された時刻t
36において、X線検査装置10が良品信号を出力していなければ、振分フラグが「排除」となり、良品G
OK2を振り分けてしまい、製品ロスが生じ得る。
【0063】
また、物品Gの検査結果信号がX線検査装置10から出力されないことがある。この場合、物品Gが良品であるか不良品であるかが不明であるため、この物品Gは振り分けられることが好ましい。しかしながら、例えば、時刻t
37においてX線検査装置により検査された良品G
OK3の後、検査結果信号がX線検査装置10から出力されない物品G
Xが存在した場合、時刻t
38から所定時間、X線検査装置10が良品信号を出力してしまうため、振分フラグが「通過」となり、物品G
Xが存在したとしても、物品G
Xを振り分けず通過させてしまうことが生じ得る。
【0064】
この点、上述した物品検査システム100では、X線検査装置10とエアノズル32との間に配置されたセンサ20により検知された物品Gには、センサ20による検知から第1時間T
1が経過したときに第1振分動作が実施される。このように、センサ20による物品Gの検知結果を利用して、センサ20の検知タイミングに基づき物品Gに対してエアを噴射させることができるため、X線検査装置10から物品Gの検査結果信号が出力されない場合であっても、エアノズル32にエアを噴射させ続ける必要がない。したがって、物品Gにエアを効率的に噴射しながら、物品Gを確実に振り分けることが可能となる。
【0065】
また、制御部50は、物品Gが不良品である旨の不良信号がX線検査装置10から出力され、当該不良信号が出力されてから第2時間T
2以内に物品Gがセンサ20により検知されない場合、当該不良信号が出力されてから第2時間T
2以上の第3時間T
3が経過したときに物品Gを振り分ける第2振分動作をエアノズル32に実施させる。これにより、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が物品Gを検出できなかったとしても、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づき物品Gに対してエアを噴射させることができる。この結果、X線検査装置10が不良品信号を出力した物品Gの振り分け漏れを抑制することができる。
【0066】
また、物品検査システム100は、搬送コンベア31の搬送方向aにおけるエアノズル32よりも更に下流側に配置され、搬送コンベア31によってエアノズル32よりも下流側に搬送される物品Gを排出する排出装置40を更に備える。制御部50は、物品Gが不良品である旨の不良信号がX線検査装置10から出力され、当該不良信号が出力されてから第4時間T
4以内に物品Gがセンサ20により検知されない場合、当該不良信号が出力されてから第4時間T
4以上の第5時間が経過したときに全ての物品Gを一定時間排出する第3振分動作を排出装置40に実施させる。これにより、例えばセンサ20に異常が生じてセンサ20が物品Gを検出できなかったとしても、X線検査装置10による物品Gの検査タイミングに基づき排出装置40により物品Gを排出させることができる。この結果、X線検査装置10が不良品信号を出力した物品Gの流出の阻止を図ることができる。また、例えば物品検査システム100が生産ライン等の一部を構成する場合、生産ラインを止めることなく不良品の物品Gを排出でき、生産ライン停止後の運転復帰作業が不要となる。その結果、例えば生産量の多い工場等で、生産ライン停止で生じる影響等を抑えることができる。
【0067】
なお、例えば良品G
OK2の搬送の滞り等が発生したとしても、制御部50は、「良品」に設定された振分フラグを保持しつつセンサ20による良品G
OK2の検知開始のときに振り分け要否判断をするため、適切な振り分け要否判断をすることができ、良品G
OK2を誤って振り分けてしまう製品ロスの低減を図ることができる。
【0068】
[変形例]
上記実施形態では、制御部50は、物品Gが不良品である旨の不良信号がX線検査装置10から出力され、当該不良信号が出力されてから第4時間T
4以内に物品Gがセンサ20により検知されない場合、第3振分動作を排出装置40に実施させた。制御部50は、第3振分動作を排出装置40に実施させることに代えて、搬送コンベア31を停止させてもよい。この場合、自動的に搬送コンベア31を停止させることで、搬送経路のどこかで滞留している可能性がある不良品の物品Gを、確実に取り除くことが可能となる。なお、制御部50は、搬送コンベア31を停止させることに加えて、又は搬送コンベア31を停止させることに代えて、搬送コンベア31の搬送機構(例えば、搬入コンベア12及び搬送コンベア16等)を自動的に停止させてもよい。
【0069】
上記実施形態では、検査装置としてX線検査装置10を備えるが、検査装置としては、例えば近赤外線検査装置、重量検査装置等であってもよい。
【0070】
上記実施形態では、制御部50がエアノズル32に第2振分動作を実施させる際、又は、制御部50が排出装置40に第3振分動作を実施させる際、振分遅延タイマの起点となるX線検査装置10の検査タイミングは、X線検査装置10から出力された物品Gの検査結果信号を制御部50が受信したタイミング(時刻)であったが、X線検査装置10が物品Gを検査して検査結果を得たタイミング(時刻)であってもよい。
【0071】
上記実施形態では、物品検査システム100が排出装置40を備えていたが、物品検査システム100が排出装置40を備えず、「不良品」を示す振分フラグが「未検知」を示す情報を兼ねていてもよい。この場合、制御部50は、上記ステップS52において物品Gの検査結果信号が良品信号であると判定した場合に限り、上記ステップS53において振分フラグを「良品」に設定する。つまり、物品Gの検査結果信号が良品信号であると制御部50が判定しない限り、振分フラグが「不良品」に設定(あるいは保持)され、エアノズル32により第1振分動作が実施される。これにより、良品である物品Gのみが振分装置30を通過することとなる。