(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
送達アセンブリ;
該送達アセンブリに選択的に固定可能なアンビルアセンブリであって、該アンビルアセンブリは:
該送達アセンブリに選択的に固定可能である中心棒アセンブリ;および
該中心棒アセンブリに、第一の傾斜位置と作動可能位置との間で旋回的に固定されるヘッドアセンブリ
を備える、アンビルアセンブリ;ならびに
該アンビル送達システムから該ヘッドアセンブリを通って該ヘッドアセンブリの遠位に延びる縫合糸であって、該縫合糸は、該ヘッドアセンブリを該第一の傾斜位置に保持する、縫合糸
を備える、アンビル送達システム。
(項目2)
上記ヘッドアセンブリは、第一の近位開口部および第二の近位開口部を規定するハウジングを備え、上記縫合糸は、該第一の近位開口部および該第二の近位開口部の各々を通って延びる、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記送達アセンブリは、可撓性部材およびアダプタを備える、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
上記縫合糸は、上記アダプタを通って延びる、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
上記縫合糸は、上記可撓性部材と上記アダプタとの間に、摩擦により固定される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
上記縫合糸は、上記第一の近位開口部から上記アダプタを通って、上記第二の近位開口部まで延びる、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
上記縫合糸の第一の部分は、上記ヘッドアセンブリと上記アダプタとの間で、該縫合糸の第二の部分と交差する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目8)
上記縫合糸は、上記ヘッドアセンブリの遠位に延びるループを備える、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
上記ヘッドアセンブリは、上記第一の傾斜位置と逆の第二の傾斜位置まで移動可能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
アンビルアセンブリを第一の傾斜位置に固定する方法であって、該方法は:
縫合糸の第一の端部を、アンビルアセンブリのヘッドアセンブリの第一の開口部に通して受容する工程;
該縫合糸の該第一の端部を、該アンビルアセンブリの中心棒アセンブリに固定されたアダプタのボアに通して受容する工程;
該縫合糸の該第一の端部を戻して、該ヘッドアセンブリの第二の開口部に通して受容する工程;および
該ヘッドアセンブリに隣接する位置で、該縫合糸の該第一の端部を該縫合糸の該第二の端部に結ぶ工程
を包含する、方法。
(項目11)
上記縫合糸の上記第一の端部を該縫合糸の上記第二の端部に結ぶ工程の前に、上記ヘッドアセンブリを上記中心棒アセンブリに対して移動させる工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目12)
上記ヘッドアセンブリを上記中心棒アセンブリに対して移動させる工程が、該ヘッドアセンブリを第一の傾斜位置まで旋回させることを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記縫合糸の上記第一の端部を第一の開口部に通して受容する工程が、該縫合糸の該第一の端部を第一の遠位開口部に入れ、そして第一の近位開口部から出して受容することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記縫合糸の上記第一の端部を第二の開口部に通して受容する工程が、該縫合糸の該第一の端部を第二の近位開口部に入れ、そして第二の遠位開口部から出して受容することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
アンビルアセンブリを第一の傾斜位置に固定する方法であって、該方法は:
縫合糸の第一の端部を、アンビルアセンブリのヘッドアセンブリの第一の開口部に通して受容する工程;
該縫合糸の第二の端部を、該ヘッドアセンブリの第二の開口部に通して受容する工程;
該縫合糸の該第一の端部および該第二の端部を、アダプタのボアに通して受容する工程;ならびに
該縫合糸が該ボア内に固定されるように、該アダプタを可撓性部材に固定する工程
を包含する、方法。
(項目16)
上記縫合糸の上記第一の端部および上記第二の端部を、ボアに通して受容する工程は、該縫合糸の該第一の端部を第一のボアに第一の方向の方向に通して受容し、そして該縫合糸の該第二の端部を該第一のボアの第二の方向に通して受容すること、次いで、該縫合糸の該第一の端部を第二のボアに通して第二の方向に受容し、そして該縫合糸の該第二の端部を該第二のボアに該第一の方向に通して受容することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記アダプタを上記可撓性部材に固定する工程は、該アダプタの第一の端部を該可撓性部材の開口端に受容することを包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
摘要
経口送達に適したアンビルアセンブリは、縫合糸を受容するように構成されたアンビルヘッドを備え、この縫合糸は、このアンビルヘッドを送達位置に固定し、そしてこのアンビルアセンブリの送達後に、このアンビルヘッドから分離可能である。アンビル送達アセンブリは、このアンビルアセンブリ、このアンビルアセンブリに固定された送達アセンブリ、およびこのアンビルアセンブリに選択的に固定される縫合糸を備え、この縫合糸は、このアンビルアセンブリを送達位置に固定するため、およびこのアンビルアセンブリを回収するためのものである。
要旨
アンビル送達システムが提供される。このアンビル送達システムは、送達アセンブリ、この送達アセンブリに選択的に固定可能なアンビルアセンブリであって、この送達アセンブリに選択的に固定可能である中心棒アセンブリを備える、アンビルアセンブリ、およびこの中心棒アセンブリに、第一の傾斜位置と作動可能位置との間で旋回的に固定されるヘッドアセンブリを備える。このアンビル送達システムは、縫合糸をさらに備え、この縫合糸は、このアンビル送達システムからこのヘッドアセンブリを通ってこのヘッドアセンブリの遠位に延び、この縫合糸は、このヘッドアセンブリをこの第一の傾斜位置に保持する。
【0004】
ある実施形態において、このヘッドアセンブリは、第一の近位開口部および第二の近位開口部を規定するハウジングを備え、縫合糸は、第一の近位開口部および第二の近位開口部の各々を通って延びる。この送達アセンブリは、可撓性部材およびアダプタを備え得る。この縫合糸は、このアダプタを通って延び得る。この縫合糸は、この可撓性部材とこのアダプタとの間に、摩擦により固定され得る。この縫合糸は、この第一の近位開口部から、このアダプタを通り、そしてこの第二の近位開口部まで延び得る。この縫合糸の第一の部分は、このヘッドアセンブリとこのアダプタとの間で、この縫合糸の第二の部分と交差し得る。この縫合糸は、このヘッドアセンブリの遠位に延びるループを備え得る。このヘッドアセンブリは、第一の傾斜位置の逆の第二の傾斜位置まで移動可能であり得る。
【0005】
アンビルアセンブリを第一の傾斜位置に固定する方法がまた提供される。この方法は、縫合糸の第一の端部を、アンビルアセンブリのヘッドアセンブリの第一の開口部に通して受容する工程、この縫合糸の第一の端部を、このアンビルアセンブリの中心棒アセンブリに固定されたアダプタのボアに通して受容する工程、縫合糸の第一の端部を戻してこのヘッドアセンブリの第二の開口部に通して受容する工程、およびこのヘッドアセンブリに隣接する位置で、この縫合糸の第一の端部をこの縫合糸の第二の端部に結ぶ工程を包含する。
【0006】
ある実施形態において、この方法は、この縫合糸の第一の端部をこの縫合糸の第二の端部に結ぶ工程の前に、このヘッドアセンブリをこの中心棒アセンブリに対して動かす工程をさらに包含する。このヘッドアセンブリをこの中心棒アセンブリに対して動かす工程は、このヘッドアセンブリを第一の傾斜位置まで旋回させることを包含し得る。この縫合糸の第一の端部を第一の開口部に通して受容する工程は、この縫合糸の第一の端部を第一の遠位開口部に入れ、そして第一の近位開口部から出して受容することを包含し得る。この縫合糸の第一の端部を第二の開口部に通して受容する工程は、この縫合糸の第一の端部を第二の近位開口部に入れ、そして第二の遠位開口部から出して受容することを包含し得る。
【0007】
アンビルアセンブリを第一の傾斜位置に固定する別の方法もまた提供される。この方法は、縫合糸の第一の端部を、アンビルアセンブリのヘッドアセンブリの第一の開口部に受容する工程、この縫合糸の第二の端部を、このヘッドアセンブリの第二の開口部に通して受容する工程、この縫合糸の第一の端部および第二の端部を、アダプタのボアに通して受容する工程、ならびにこの縫合糸がこのボア内で固定されるように、このアダプタを可撓性部材に固定する工程を包含する。
【0008】
ある実施形態において、この縫合糸の第一の端部および第二の端部をボアに通して受容する工程は、この縫合糸の第一の端部を第一のボアに第一の方向に通して受容し、そしてこの縫合糸の第二の端部を第二の方向の第一のボアに通して受容すること、次いで、この縫合糸の第一の端部を第二のボアに第二の方向に通して受容し、そしてこの縫合糸の第二の端部を第二のボアに第一の方向に通して受容することを包含する。このアダプタをこの可撓性部材に固定する工程は、このアダプタの第一の端部を、この可撓性部材の開口端に受容することを包含し得る。
【0009】
本開示のアンビルアセンブリおよびアンビルアセンブリ送達システムの種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に開示される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施形態の詳細な説明
本開示のアンビルアセンブリ送達システムの実施形態が、図面を参照しながらここで詳細に記載される。図面において、同じ参照番号は、数枚の図の各々において、同一の要素または対応する要素を表す。本明細書全体にわたって、用語「近位」とは、その器具の、操作者に最も近い部分をいい、そして用語「遠位」とは、その器具の、操作者から最も遠い部分をいう。
【0045】
図1は、本開示による傾斜するアンビルアセンブリおよびアンビル送達システムと一緒に使用するために構成された、外科手術用ステープル留めデバイスの1つの実施形態を図示する。本開示のアンビルアセンブリおよびアンビル送達システムは、外科手術用ステープル留めデバイス10を参照しながら記載されるが、これらのアンビルアセンブリおよびアンビル送達システムは、代替の外科手術用ステープル留めデバイスと一緒に使用するために改変されてもよいことが想定される。
【0046】
手短に言えば、外科手術用ステープル留めデバイス10は、近位ハンドルアセンブリ12、湾曲した細長外側管14aを備える細長い中心本体部分14、および遠位ヘッド部分16を備える。あるいは、いくつかの外科手術手順(例えば、痔核の処置)において、実質的に真っ直ぐな、短い中心本体部分を有することが望ましい。本体部分14および遠位ヘッド部分16の長さ、形状および/または直径もまた、特定の外科手術手順に合うように変えられ得る。
【0047】
図1をなお参照すると、ハンドルアセンブリ12は、静止ハンドル18、発射トリガ20、回転可能な近接ノブ22およびインジケータ24を備える。旋回可能に設置されたトリガロック26がハンドルアセンブリ12に固定され、そしてステープル留めデバイス10の不注意での発射を防止するために、手動で配置される。インジケータ24は、静止ハンドル18上に位置し、そしてこのデバイスが近接させられて発射の準備ができているか否かを外科医に確認させるための印(例えば、色分け、英数字ラベルなど)を備える。ヘッド部分16は、アンビルアセンブリ110およびシェルアセンブリ31を備える。例示的な外科手術用ステープラーのより詳細な議論については、Millimanに対する共有に係る米国特許第7,364,060号(その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0048】
図2〜
図7を参照すると、本開示の1つの実施形態によるアンビルアセンブリが、一般にアンビルアセンブリ110として示されている。アンビルアセンブリ110は、非傾斜位置または作動可能位置で示されている。アンビルアセンブリ110は、ヘッドアセンブリ112および中心棒アセンブリ114を備える。ヘッドアセンブリ112は、ポスト116、ハウジング118、バックアップ部材またはプレート120、切断リング122、切断リングカバー123、アンビルプレート124、スペーサーまたはワッシャ125、カムラッチ部材126、および保持具部材127を備える。ポスト116は、ハウジング118とモノリシックに形成され、そしてこのハウジング内の中心に位置する。あるいは、ハウジング118とポスト116とは別々に形成され得、そして公知の固定技術(例えば、溶接)を使用して、一緒に固定され得る。
【0049】
以下でさらに詳細に議論されるように、ハウジング118は、1本またはより多くの縫合糸「S」を受容するようなサイズおよび寸法にされた、開口部119a、119bを備える。使用中に、第一の縫合糸「S
1」(
図11)は、開口部119aを通して挿入され、そして患者へのアンビルアセンブリ110の挿入中に、ヘッドアセンブリ112を引き込まれたまたは第一の傾斜位置(
図13)に保持するために使用される。第二の縫合糸「S
2」(
図11)は、開口部119bを通して挿入される。第二の縫合糸「S
2」は、アンビルアセンブリ110を患者内で経口でガイドすることを容易にするように構成される。アンビルアセンブリ110の経口挿入中に、第二の縫合糸「S
2」は、患者の口「M」(
図15)から延びて、アンビルアセンブリ110が経口で回収されることを可能にする。
【0050】
図2〜
図7をなお参照すると、アンビルプレート124は、ハウジング118の外側環状凹部128内に支持され、そしてステープルを受容して変形させるための複数のステープル変形ポケット130を備える。少なくとも1個のタブ124aが、アンビルプレート124から半径方向外向きに延び、そしてハウジング118の外側リムに形成された切抜き部132に受容される。タブ124aおよび切抜き部132は、アンビルプレート124をハウジング118の環状凹部128内で整列させるため、または適切に配置するために、機能する。
【0051】
図6および
図7を特に参照して、ヘッドアセンブリ112が詳細に記載される。バックアッププレート120は、中心開口部134を備え、この中心開口部は、ハウジング118の内側環状凹部136内で、ポスト116と外側環状凹部128との間に、ポスト116の周囲に位置する。バックアッププレート120は、隆起したプラットフォーム120aを備える。切断リング122は、プラットフォーム120aと実質的に同じ構成を有する開口部122aを備える。プラットフォーム120aは、円形の形状を有するように図示されているが、他の構成(例えば、正方形、矩形、三角形など)が想定される。1つの実施形態において、切断リング122は、ポリエチレンから形成され、そして例えば接着剤を使用して、バックアッププレート120にしっかりと固定されて、バックアッププレート/切断リングアセンブリを形成する。バックアッププレート120は、硬い材料(例えば、金属)から形成される。あるいは、他の構築材料が、バックアッププレート120および切断リング122を構築するために使用されてもよい。さらに、バックアッププレート120および切断リング122は、代替例において、単一の構造体またはユニタリ構造体として形成され得る。
【0052】
図6および
図7をなお参照すると、切断リングカバー123は、切断リング122の外向きに面する表面または近位表面に、例えば接着剤を使用して、固定される。1つの実施形態において、切断リングカバー123は、切断リングの硬度より大きい硬度を有する材料(単数または複数)(例えば、マイラー)から形成される。1つの実施形態において、切断リングカバー123は、マイラーの2つの層(図示せず)を備え、これらの層は、接着剤およびポリプロピレンコーティングを使用して、一緒に接合される。あるいは、切断リング122はカバーを備えない。切断リング122およびバックアッププレート120は、ポスト116の周囲にスライド可能に設置される。バックアッププレート120は、内向きに延びる1対のフィンガー138を備え、これらのフィンガーは、以下にさらに詳細に記載される。
【0053】
図6および
図7をなお参照すると、保持具部材127は、内側環状凹部136内で、バックアッププレート120とハウジング118の背面壁118aとの間に位置する。1つの実施形態において、保持具部材127は環状であり、そして複数の変形可能なタブ127aを備え、これらのタブは、バックアッププレート120の後表面に係合する。保持具部材127は、タブ127aを変形させるために充分な所定の力がバックアッププレート/切断リングアセンブリに加えられるまで、バックアッププレート120および切断リング122がハウジング118の内側環状凹部136内に動くかまたは押し込まれることを防止する。この所定の力は、外科手術用ステープル留めデバイスの環状切断刃が、例えばアンビルアセンブリ110の切断リングに係合するときに、この環状切断刃によって加えられる力に近くてよいが、この力より小さい。1つの実施形態において、例として、この所定の力は、約10ポンド〜約90ポンドであり、そして約30ポンドであり得る。例えば組織の切断中に、この所定の力に達する場合、バックアッププレート120は内側環状凹部136内に推進され、そして保持具部材127を圧縮する。
【0054】
所定の力がバックアッププレート/切断リングアセンブリに加えられるまで、他の粉砕可能な部材、変形可能な部材、折り畳み可能な部材、または動きを制限する部材が、このバックアッププレート/切断リングアセンブリを固定された位置に保持するために使用され得ることが想定される。例示的な保持部材は、共有に係る米国特許出願第14/078,766号(その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0055】
図4に戻って参照すると、アンビルの中心棒アセンブリ114は、中心棒152、プランジャー154、およびプランジャーばね156を備える。中心棒152の第一の端部は、1対のアーム159を備え、これらのアームは、空洞159aを規定する。各アーム159は、横断貫通ボア158を有し、この横断貫通ボアは、中心棒152の中心長手方向軸と整列する。あるいは、貫通ボア158は、中心棒152の長手方向軸からずれていてもよい。ヘッドアセンブリ112のポスト116は、空洞159a内に配置されるような寸法にされ、そしてまた、横断貫通ボア(図示せず)を備える。旋回部材162は、ポスト116を中心棒152に、貫通ボア158を介して旋回可能に固定し、その結果、ヘッドアセンブリ112は、アンビルの中心棒アセンブリ114に旋回可能に設置され得る。
【0056】
図8を少し参照すると、カムラッチ部材126は、貫通ボア126bを有する本体126aを備える。貫通ボア126bは、カムラッチ部材126がポスト116の横断スロット172(
図3)内で、旋回部材162の周りで旋回可能に設置されるように、旋回部材162を受容するような寸法にされる。ここで
図3、
図6および
図7を参照すると、カムラッチ部材126は、本体部分126cを備え、この本体部分は、ポスト116の横断スロット172から部分的に延び、そしてプランジャー154のフィンガー166によって係合されるように配置される。本体部分126cは、本体部分126cの表面と貫通ボア126bとの間の距離が、カムラッチ部材126の周囲で時計回り方向に増大するように、構成される。この様式で、カムラッチ部材126が時計回り方向に回転するときに、プランジャー154は前方に移動することが可能である。さらに、本体部分126cのこの構成は、カムラッチ部材126が反時計回り方向に回転するときに、プランジャー154が引き込まれることを可能にする。カムラッチ部材126はまた、タブ126gを備える縁部126fを備える。縁部126fの前部分は、ヘッドアセンブリ112がその非傾斜位置または作動可能位置にあるときに、プランジャー154の係合フィンガー166によって、バックアッププレート120の内周120bと係合するように推進されるように、構成される。タブ126gは、ハウジング118の背面壁118aと係合して、カムラッチ部材126がハウジング118に対して反時計回りに回転することを防止するように構成される。
【0057】
図6を参照すると、プランジャー154は、中心棒152の第一の端部に形成されたボア164内にスライド可能に位置する。プランジャー154のフィンガー166は、ヘッドアセンブリ112の旋回軸からずれており、そしてカムラッチ126の本体部分126cと係合するように付勢されている。フィンガー166と、カムラッチ部材126の本体部分126cとの係合は、縁部126fの前部分を背面プレート120の内周に押し付けて、ヘッドアセンブリ112を、中心棒152上の作動可能位置または非傾斜位置に推進する。
【0058】
図7を参照すると、ヘッドアセンブリ112の発射前の作動可能位置において、すなわち、ヘッドアセンブリ112がその非傾斜位置の方に旋回させられたとき、バックアッププレート120に形成されたフィンガー138は、中心棒152の頂表面152aに隣接する突出部152bに係合して、ヘッドアセンブリ112が旋回部材162の周りで旋回することを防止する。ヘッドアセンブリ112は、この発射前の傾斜位置において、アンビルの中心棒アセンブリ114に対してα度(
図13)傾斜し得る。1つの実施形態において、ヘッドアセンブリ112は、その発射前の傾斜位置において、約70°傾斜している。しかし、ヘッドアセンブリ112を他の角度まで傾斜させることもまた想定されることが、理解されるべきである。アンビルの中心棒アセンブリ114に対してヘッドアセンブリ112を傾斜させることにより、カムラッチ部材126の本体部分126cがプランジャー154のフィンガー166と係合する。ヘッドアセンブリ112の傾斜とともにカムラッチ部材126が回転するにつれて、プランジャー154は、アンビルの中心棒アセンブリ114のボア164内に引き込まれ、これによって、ばね156を圧縮する。この様式で、プランジャー154のフィンガー166は、遠位に付勢されてカムラッチ部材126の本体部分126cに押し付けられる。
【0059】
図3および
図4を参照すると、中心棒152の第二の端部は、複数の可撓性アーム182によって規定されるボア180を備える。可撓性アーム182はそれぞれ、開口部182aを備え、この開口部は、シェルアセンブリ31(
図18)に形成されたかまたは接続された突出部を受容するような寸法にされる。あるいは、開口部182aは、アンビルアセンブリ110の回収を可能にするための縫合糸を受容するように構成され得る。可撓性アーム182の各々の近位端は、内部ショルダー184を備え、この内部ショルダーは、外科手術用ステープル留めデバイス10のシェルアセンブリ31を解放可能に係合して、アンビルアセンブリ110を外科手術用ステープル留めデバイス10に固定するような寸法にされる。複数のスプライン186が、中心棒152の周囲に形成される。スプライン186は、アンビルアセンブリ110を、外科手術用ステープル留めデバイス10のステープル保持部分と整列させるように機能する。中心棒152はまた、外科医が把持具(図示せず)によってアンビルアセンブリ110を把持することを容易にするための、環状凹部分190を備える。凹部分190は、粗くされた表面もしくはローレット掛けされた表面、またはオーバーモールドを備えて、アンビルアセンブリ110の把持を容易にし得る。
【0060】
ここで
図9〜
図12を参照すると、アンビルアセンブリ110を患者内に送達するためのシステムが、一般にアンビル送達システム50として示されている。アンビル送達システム50は、可撓性管または部材52、およびアダプタ62を備える。可撓性管52は、開口端52aを備える。アダプタ62およびアンビルアセンブリ110は、可撓性管52の開口端52aに支持される。可撓性管52の開口端52aは、この開口端を通って延びる貫通ボア53を備え、この貫通ボアは、ロックピン54を受容するように構成される。開口端52aは、開口部55をさらに備える。可撓性管52の閉鎖端52bは、患者内への経口受容のために構成される。可撓性管52は、その長さに沿ったマーキングまたは他の目盛56を備えて、挿入中に、可撓性管52がどのくらい患者内に受容されたかを外科医に示し得、そして/または取り出しのときに、患者内に残っている可撓性管52の長さを示し得る。
【0061】
図10を特に参照すると、アダプタ62は、可撓性管52の開口端52aに受容されるように構成された第一の端部62a、およびアンビルアセンブリ110の中心棒152に形成されたボア180に受容されるように構成された第二の端部62bを備える。第一の端部62aは、一連の環状リング64を備え、これらの環状リングは、アダプタ62の第一の端部62aを、可撓性管52の開口端52a内に摩擦により保持するように構成される。アダプタ62の第二の端部62bは、長手軸方向ガイド部材66を備え、この長手軸方向ガイド部材は、アンビルアセンブリ110の中心棒152内に形成された可撓性アーム182間に受容されるように構成される。さらに、アダプタ62の第二の端部62bは、アンビルアセンブリ110の中心棒152がアダプタ62の第二の端部62bに自由にスライドして嵌ったり外れたりすることを可能にするようなサイズにされる。アダプタ62は、中心ハブ部分62cに形成された第一の貫通ボア70、ならびに第一の端部62aに形成された第二の貫通ボアおよび72第三の貫通ボア74をさらに備える。第一の貫通ボア72は、可撓性管52の開口端52aに形成された貫通ボア53と整列するように構成され、そしてロックピン54を受容するようなサイズにされる。
【0062】
ここで
図10、
図13および
図14を特に参照すると、アンビルアセンブリ110は、アンビル送達システム50に支持される。アンビルアセンブリ110をアンビル送達システム50に固定することは、第一の縫合糸「S
1」がヘッドアセンブリ112に形成された開口部119aに通されて、縫合糸「S
1」の第一の端部「S
1a」および第二の端部「S
1b」が、中心棒152の反対側に位置するようにすることを必要とする。次に、アダプタ62の第二の端部62bが、中心棒152の貫通ボア180内に配置され、その結果、長手軸方向ガイド66が、アーム部材182のうちの2つの間に受容される。縫合糸「S
1」の第一の端部「S
1a」および第二の端部「S
1b」の各々が、可撓性管52の開口端52aに形成された開口部55を通して挿入される。次いで、ヘッドアセンブリ112が第一の傾斜位置まで回転させられ、同時に縫合糸「S
1」の第一の端部「S
1a」および第二の端部「S
1b」は、開口部55を通して引かれる。次いで、アダプタ62の第一の端部62aが可撓性部材52の開口端52aに挿入される。アダプタ62の第一の端部62aの環状リング64と、可撓性管52の内側表面との間の摩擦接触が、アダプタ62を可撓性管52に固定し、そして第一の縫合糸「S
1」が緩むことを防止する。1本より多くの縫合糸が、ヘッドアセンブリ112を発射前の傾斜位置に固定するために使用され得ることが、想定される。
【0063】
ここで
図15を参照すると、アンビルアセンブリ110を患者内の外科手術部位まで送達するための方法が記載される。1つの方法において、アンビルアセンブリ110が、第一の傾斜位置で、アンビル送達システム50に支持されて提供されて、送達の準備ができている。あるいは、医師は、アンビルアセンブリ110をアンビル送達システム50に、上で議論されたように固定する。一旦、アンビルアセンブリ110が可撓性管52に固定されると、外科医は、可撓性管52の閉鎖端52bを患者の口「M」に挿入し、そして閉鎖端52bを可撓性管52と一緒に、食道「E」を通して外科手術部位(すなわち、胃「St」)まで移動させる。
【0064】
挿入後、外科医は、第一の切開部「I
1」を外科手術部位(図示においては胃「St」)に作製して、可撓性管52の閉鎖端52bへの内側のアクセス部を作製し、次いで可撓性管52の開口端52aを、第一の切開部「I
1」に通して引く。いくつかの手順においては、アンビルアセンブリ110の中心棒152が第一の切開部「I
1」を通って前進するまで、可撓性管52を切開部「I
1」に通して引くことが有利であり得る。アンビルアセンブリ110が外科手術部位に適切に位置したとき、外科医は、縫合糸「S
1」を切断し、そしてアンビルアセンブリ110をアダプタ62の第二の端部62bから分離することによって、アンビル送達システム50をアンビルアセンブリ110から解放する。次いで、可撓性管52(取付具62を備える)が、第一の切開部「I
1」を通して身体から引き出され得る。
【0065】
縫合糸「S
1」を切断することにより、プランジャー154がボア164内から延びることが可能になり、これによって、フィンガー166をカムラッチ部材126の本体部分126cに係合させる。カムラッチ部材126の回転は、カムラッチ部材126の縁部126fを動かしてバックアッププレート120の内周と係合させ、これによって、ヘッドアセンブリ112を強制的に非傾斜作動可能位置に戻す。さらに、ステープル留めデバイス10の遠位端は、アンビルアセンブリ110が外科手術用ステープル留めデバイス10に取り付けられるときに、プランジャー154のフィンガー166と係合するように構成され得る。この様式で、外科手術用ステープル留めデバイス10の遠位端は、プランジャー154を遠位方向に推進し、これによって、ヘッドアセンブリ112の非傾斜位置への回転を確実にする。
【0066】
図15を特に参照すると、1つの方法において、第二の切開部「I
2」が次いで外科手術部位に形成され、その結果、外科手術用ステープル留めデバイス10の遠位ヘッド部分16は、この第二の切開部を通して受容され得る。あるいは、外科手術用ステープル留めデバイス10の遠位ヘッド部分16は、アンビル送達システム50が第一の切開部「I
1」から除去された後に、第一の切開部「I
1」を通して受容され得る。
【0067】
図16および
図17を少し参照すると、アンビルアセンブリ110は、外科手術用ステープル留めデバイス10の遠位端に形成されたシェルアセンブリ31から延びるアンビル保持具32に、作動可能に受容される。一旦、アンビルアセンブリ110が外科手術用ステープル留めデバイス10に受容されると、外科手術用ステープル留めデバイス10は、‘060特許に議論される様式で動作する。
【0068】
アンビルアセンブリ110の動作が、ここで
図18〜
図23を参照しながら記載される。アンビルアセンブリ110がその発射前の非傾斜位置にあるとき、バックアッププレート120は、保持具127によってハウジング118の背面壁118aから間隔を空け、そして中心棒152の突出部152bは、バックアッププレート120のフィンガー138と係合して、旋回部材162の周りでのヘッドアセンブリ112の傾斜を防止する。プランジャー154のフィンガー166は、ばね156によって、カムラッチ部材126の本体部分126cと係合するように推進され、カムラッチ部材126を、旋回部材162の周りで時計回り方向に推進し、その結果、カムラッチ部材126の縁部126fはバックアップ部材120の内周120bと係合する。
【0069】
外科手術用ステープル留めデバイス10の発射は、外科手術用ステープル留めデバイス10のナイフ刃33(
図19)を切断リング122と係合させて、切断リング122およびバックアッププレート120を、ヘッドアセンブリ112のハウジング118の環状凹部136内へと動かす。
図19の矢印「W」は、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射の結果として、切断リング122およびバックアッププレート120がどのように動くかを示す。このような動きが起こるとき、保持具127の変形可能なタブ127aは、変形してハウジング118の背面壁118aを押し、そしてバックアップ部材120のフィンガー138は、中心棒152の突出部152bから離れる方に移動する。さらに、バックアッププレート120の内周120bは、カムラッチ部材126の縁部126fを通過して移動し、その結果、カムラッチ部材126は、プランジャー154によって推進されて、旋回部材162の周りで、
図21において矢印「X」により示される方向に旋回し、本体部分126dがバックアッププレート120の前で、バックアッププレートと係合して配置される位置にくる。プランジャー154とカムラッチ部材126との係合は、ヘッドアセンブリ112を第二の傾斜位置(
図22および
図23)に推進する。ヘッドアセンブリ112は、外科手術用ステープル留めデバイス10の発射のときに即座に傾斜するのではないことが留意される。なぜなら、発射のときに、ヘッドアセンブリ112は近接位置にあり、すなわち、ヘッドアセンブリ112はステープル留めデバイス10のシェルアセンブリ31の近くで整列しており、従って、ヘッドアセンブリ112が旋回する余地を与えないからである。従って、ヘッドアセンブリ112は、外科手術用ステープル留めデバイス10のアンビルアセンブリ110とシェルアセンブリ31とが近接していないときに、傾斜を開始するのみである。
【0070】
ヘッドアセンブリ112がその前方または第二の傾斜位置に向かって旋回するにつれて、プランジャー154のフィンガー166は、カムラッチ部材126の湾曲表面126eをバックアッププレート120と接触させたままで維持して、ナイフ刃33(
図19)が引き込まれるときに、バックアッププレート120がナイフ刃33にくっつくことを防止する。カムラッチ部材126の湾曲表面126eは、カムラッチ部材126の湾曲表面126eとバックアッププレート120との間のあらゆる空隙を排除し、そしてこれらの間の接触を確実にして、ナイフ刃33の引き込み中および引き込み後に、バックアッププレート120を適所に保持すように構成され、その結果、この切断リングとバックアッププレートとのアセンブリは、アンビルアセンブリ112の引き続く傾斜中に、それらの正しい位置に留まることが留意される。アンビルアセンブリ110は、アンビルヘッドアセンブリが前方または第二の傾斜位置に、中心棒アセンブリ114に対してβ度(
図24)傾斜するように、構成される。1つの実施形態において、ヘッドアセンブリ112は、その第二の傾斜位置まで約70°傾斜し、その結果、引き込まれた位置または第一の傾斜位置から、前方または第二の傾斜位置までの、ヘッドアセンブリ112の全旋回移動は、約140°である。しかし、他の角度までのヘッドアセンブリ112の傾斜もまた想定されることが、留意されるべきである。
【0071】
上記のように、本開示のアンビルアセンブリは、外科手術部位(例えば、胃「St」(
図15))に経口的に送達されるように構成される。これらのアンビルアセンブリの経口送達中に、保持用縫合糸(すなわち、第一の縫合糸「S
1」)は、このアンビルアセンブリのヘッドアセンブリを第一の傾斜位置に保持し、そして近位のガイド用縫合糸(すなわち、第二の縫合糸「S
2」であり、患者の口「M」の外側に残る第一の端部「S
2a」および第二の端部「S
2b」を備える)は、外科医が、経口送達中にアンビルアセンブリ110を患者から取り外して回収することを可能にする。
【0072】
上記のように、
図11を参照すると、第二の縫合糸「S
2」は、アンビルアセンブリ110のヘッドアセンブリ112のハウジング118の開口部119bに通される。第二の縫合糸「S
2」をアンビルアセンブリ110から外すことは、第二の縫合糸「S
2」の第一の端部「S
2a」を引いて、第二の縫合糸「S
2」の第二の端部「S
2b」が、患者の口「M」(
図15)の外側の、外科医によりアクセス可能な位置から、患者の口「M」ならびに上部胃腸(GI)管(例えば、食道「E」および胃「St」(
図15)(まとめて、患者の体腔と称される))を通り、そしてアンビルアセンブリ110のヘッドアセンブリ112のハウジング118の開口部119bを通って移動するようにし、その後、上部GI管を通して戻されて患者の口「M」から出されることを必要とする。
【0073】
ここで
図25〜
図33を参照すると、本開示の代替の実施形態によるアンビルアセンブリが、一般にアンビルアセンブリ210として示されている。アンビルアセンブリ210は、1本の縫合糸「S」(
図27)を使用して、送達のための第一の傾斜位置(
図26)に固定され、そして送達されるように、構成されている。以下により詳細に記載されるように、縫合糸「S」は、アンビルアセンブリ210の経口送達後に、縫合糸「S」の1回の切断動作を使用して、そして/またはその切り離された片を作製することなく、縫合糸「S」をアンビルアセンブリ210から取り外すことを可能にする種々の構成で、アンビルアセンブリ210に固定され得る。さらに、1本の縫合糸「S」を使用し、そしてアンビルアセンブリ210を以下に記載される様式で固定することによって、縫合糸「S」のいずれの部分も、引き抜き中に、患者の口「M」(
図15)から、上部GI管(例えば、食道「E」(
図15)および胃「St」(
図15))を通って移動しない。その代わりに、縫合糸「S」の、アンビル送達システム50に取り付けられたままにならない部分は、上部GI管から口「M」を通して直接引き込まれる。
【0074】
アンビルアセンブリ210を第一の傾斜位置に、1本の縫合糸「S」を使用して固定するための種々の構成、および1本の縫合糸「S」をアンビルアセンブリ210に種々の構成で取り付けるための方法が、本明細書中で上に記載されたアンビル送達システム50(
図11)に関するものとして記載される。しかし、種々の構成および方法の局面は、種々のアンビルアセンブリおよびアンビル送達システムと一緒に使用するために、改変され得ることが想定される。本明細書中に記載される、アンビルアセンブリ210を第一の傾斜位置に固定する方法は、アンビルアセンブリ210の経口挿入前の任意の時点で(アンビルアセンブリ210およびアンビル送達システム50を備えるキットの組み立て中が挙げられるが、これらに限定されない)、またはこの外科手術手順中に医師によって、行われ得ることもまた、想定される。
【0075】
最初に
図25および
図26を参照すると、アンビルアセンブリ210は、本明細書中で上に記載されたアンビルアセンブリ110(
図2)と実質的に類似であるので、これらの間の差異に関してのみが詳細に記載される。アンビルアセンブリ210は、第一の傾斜位置(
図26)と、作動可能位置(
図25)と、第二の傾斜位置(例えば、
図24のアンビルアセンブリ110を参照のこと)との間で旋回するように、中心棒アセンブリ214に固定されるヘッドアセンブリ212を備える。ヘッドアセンブリ212のハウジング218は、第一の近位開口部215aおよび第二の近位開口部215b、第一の中間開口部217aおよび第二の中間開口部217b、ならびに第一の遠位開口部219aおよび第二の遠位開口部219bを規定する。以下により詳細に記載されるように、第一および第二の、近位および遠位の開口部215a、215b、219a、219bの各々は、縫合糸「S」を受容するように構成される。
【0076】
ヘッドアセンブリ212を縫合糸「S」を使用して固定する種々の方法を記載するときは、最初に、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212のハウジング218の、第一の近位開口部215aおよび第一の遠位開口部219aが参照されるが、ハウジング218の第二の近位開口部215bおよび第二の遠位開口部219bは、第一の近位開口部215aおよび第一の遠位開口部219aの鏡像であるので、これらの種々の方法の説明は、最初に第二の近位開口部215bおよび第二の遠位開口部219bを代わりに参照してもよい。
【0077】
図27および
図28は、縫合糸「S」を第一の構成で結ぶことによって、アンビルアセンブリ210を第一の傾斜位置に固定するための第一の方法を図示する。最初に
図27を参照すると、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」は、ヘッドアセンブリ212のハウジング218の第一の遠位開口部219aに受容され、そしてハウジング218の第一の近位開口部215aから出され、その後、アンビル送達システム50のアダプタ62の第一の貫通ボア70を通過する。次いで、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」は、ハウジング218の第二の近位開口部215bに受容され、そしてハウジング218の第二の遠位開口部219bから出る。
【0078】
アンビル送達システム50のアダプタ62がまだアンビルアセンブリ210の中心棒アセンブリ214に固定されていない場合、アダプタアセンブリ62は、アダプタアセンブリ62の第二の端部62bを、中心棒アセンブリ214の中心棒252のボア280に受容することによって、中心棒アセンブリ214に固定される。アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212を第一の傾斜位置に固定する第一の方法において、アダプタ62は、縫合糸「S」がアダプタ62を通して受容される前、または受容された後に、アンビルアセンブリ210に固定され得る。
【0079】
次いで、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および縫合糸「S」の第二の端部「S
b」は、互いに交叉させられ、そして
図27にそれぞれ矢印「B」および「C」によって示されるように、きつく引かれる。縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」がきつく引かれるにつれて、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212は、第一の傾斜位置まで移動する。あるいは、ヘッドアセンブリ212は、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」と第二の端部「S
b」とを引き締める前に、手動で第一の傾斜位置まで動かされてもよい。一旦、ヘッドアセンブリ212が第一の傾斜位置にくると、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、互いに交叉させられて、結び目「K」を、ハウジング218の第一の遠位開口部219aと第二の遠位開口部219bとの間に形成する(
図28)。結び目「K」は、縫合糸「S」の縫合糸端部「S
a」、「S
b」を連続的に引くことにより引き締められて、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212を第一の傾斜位置に固定する。
【0080】
アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212を第一の傾斜位置に固定する第一の方法において、アンビル送達システム50のアダプタアセンブリ62は、アダプタアセンブリ62の第一の端部62aを可撓性部材52の開口端52aで受容することによって、任意の時点でアンビル送達システム50の可撓性部材52に固定され得る。
【0081】
縫合糸「S」の第一の端部「S
a」または第二の端部「S
b」のいずれかは、線「D」によって示されるように、結び目「K」に隣接する位置で切断されて、アンビルアセンブリ210から遠位方向に延びる縫合糸「S」の1本のストランドを形成し得る。あるいは、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、ループを形成するように一緒に結ばれてもよい(図示せず)。次いで、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および/または第二の端部「S
b」、あるいはこのループは、アンビルアセンブリ110に関して上に記載されたような、アンビルアセンブリ210の患者への経口挿入を容易にするために使用され得る。上で詳述されたように、アンビルアセンブリ210の経口挿入中に、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および/または第二の端部「S
b」は、患者の外側に残って、外科医がアンビルアセンブリ210を取り外すかまたは回収することを可能にする。
【0082】
一旦、アンビルアセンブリ210がその手術部位(例えば、患者の内部)で受容されたら、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212は、ヘッドアセンブリ212のハウジング218の第一の近位開口部215aおよび第二の近位開口部215bと、アンビル送達システム50のアダプタ62の第一の貫通ボア70との間に延びる、縫合糸「S」のいずれかを切断することによって、その作動可能位置まで移動させられ得る。縫合糸「S」は、結び目「K」とアダプタ62との間の任意の地点で切断され得る。第一の近位開口部215aおよび第二の近位開口部215bと、第一の貫通ボア70との間に延びる、縫合糸「S」のうちの1本のみが切断される場合、縫合糸「S」は、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および/または第二の端部「S
b」(例えば、縫合糸「S」の、患者の口「M」から延びる部分)を引くことによって、その全体が患者から除去され得る。第一の近位開口部215aおよび第二の近位開口部215bと、第一の貫通ボア70との間に延びる、両方の縫合糸「S」が切断される場合、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および/または第二の端部「S
b」を引くことによって、縫合糸「S」のこの切断部より遠位にある部分のみが、患者から除去される。
【0083】
図29〜
図31は、縫合糸「S」を第二の構成で結ぶことによって、アンビルアセンブリ210を第一の傾斜位置に固定するための第二の方法を図示する。最初に
図29を参照すると、結び目「K」を縫合糸「S」に結ぶことによって、ループ「L」が、縫合糸「S」の中点に形成される。次いで、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」が、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212のハウジング218の第一の遠位開口部219aに受容され、そしてハウジング218の第一の近位開口部215aから出され、一方で、縫合糸「S」の第二の端部「S
b」は、ハウジング218の第二の遠位開口部219bに受容され、そしてこのハウジングの第二の近位開口部215aから出される。この様式で、縫合糸「S」に形成された結び目「K」は、ハウジング218の第一の遠位開口部219aと第二の遠位開口部219bとの間に位置する。
【0084】
次いで、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、アンビル送達システム50のアダプタ62の第一の貫通ボア70を逆方向から通って受容され、次いでアダプタ62の第二の貫通ボア72を逆方向から通って受容される。あるいは、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」と第二の端部「S
b」との両方は、アンビル送達システム50のアダプタ62の第一の貫通ボア70を同じ方向に通って受容され、次いでアダプタ62の第二の貫通ボア72を同じ方向または逆方向に通って受容されてもよい。
【0085】
アンビル送達システム50のアダプタ62がまだアンビルアセンブリ210の中心棒アセンブリ214に固定されていない場合、アダプタ62は、上記のように中心棒アセンブリ214に固定される。アダプタ62は、縫合糸「S」がアダプタ62を通して受容される前、または受容された後に、アンビルアセンブリ210に固定され得る。
【0086】
次いで、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212は、縫合糸「S」の、アダプタ62の第一の貫通ボア70から延びる部分を、
図29の矢印「E」および「F」に示されるように外向きに引くことによって、第一の傾斜位置まで移動させられ得る。あるいは、ヘッドアセンブリ212は、第一の傾斜位置まで手動で移動させられてもよい。ヘッドアセンブリ212が第一の傾斜位置まで手動で移動させられる場合、縫合糸「S」の、アダプタ62の第一の貫通ボア70から延びる部分を引くことによって、縫合糸「S」が引き締められる。
【0087】
アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212を第一の傾斜位置に固定するために、縫合糸「S」の、アダプタ62の第二の貫通ボア72から延びる部分(すなわち、第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」)が、
図30の矢印「G」および「H」によって示されるように外向きに引かれて、縫合糸「S」をアダプタ62の第一の端部62aの周囲で引き締める。縫合糸「S」をこの引き締められた状態に維持するために、アダプタ62の第一の端部62aは、アンビル送達システム50の可撓性部材52の開口端52aに挿入される。アダプタ62の第一の端部62aが可撓性部材52の開口端52aに挿入されると、アダプタ62は、可撓性部材52に摩擦ばめによって固定され、そして縫合糸「S」は、アダプタ62と可撓性部材52との間に固定される。
【0088】
代替の方法において、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、アダプタ62の第一の貫通ボア70を通して受容されることなく、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212から、アンビル送達システム50のアダプタ62の第二の貫通ボア72を通して直接受容される。この様式では、ヘッドアセンブリ212を第一の傾斜位置に維持するために、アダプタ62が可撓性部材52に固定されるまで、連続的な張力が、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」に加えられなければならない。
【0089】
一旦、縫合糸「S」が引き締められ、そしてアンビル送達システム50のアダプタ62がアンビル送達システム50の可撓性部材52に固定されると、可撓性部材52とアダプタ62との間に延びる、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、切り取られ得る。あるいは、可撓性部材52とアダプタ62との間から延びる、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、このアンビルアセンブリの中心棒アセンブリ214の周り、アダプタ62の周り、および/または可撓性部材52の周りに巻き付けられてもよい。
【0090】
アンビルアセンブリ210が患者に経口挿入される外科手術手順中に、縫合糸「S」のループ「L」は、患者へのアンビルアセンブリ210の挿入を容易にするために使用され得る。あるいは、縫合糸「S」は、縫合糸「S」に形成された結び目「K」に隣接する位置で切断されて、アンビルアセンブリ210から遠位方向に延びる縫合糸「S」の1本のストランドを形成し得、そしてこの縫合糸「S」の1本のストランドが、アンビルアセンブリ210の挿入を容易にするために使用され得る。
【0091】
一旦、アンビルアセンブリ210がその手術部位(例えば、患者の内部)で受容されたら、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212は、ヘッドアセンブリ212のハウジング218の第一の近位開口部215aおよび第二の近位開口部215bと、アンビル送達システム50のアダプタ62の第一の貫通ボア70との間に延びる、両方の縫合糸「S」を切断することによって、その作動可能位置まで移動させられる。縫合糸「S」は、ヘッドアセンブリ212とアダプタ62との間の任意の地点で切断され得る。縫合糸「S」が切断された後に、縫合糸「S」の、ヘッドアセンブリ212から遠位に延びる部分を引くことによって、縫合糸「S」の、この切断部より遠位に延びる部分が、患者から除去され得る。
【0092】
図32は、上記のような、アンビルアセンブリ210を第一の傾斜位置に、1本の縫合糸「S」を使用して固定するための第二の方法の、1つのバリエーションを図示する。この第二の方法のバリエーション中に、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」を、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212のハウジング218に通して受容した後に、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、1回またはより多く、互いに交叉させられるかまたは重ねられ、その後、縫合糸「S」の第一の端部「S
a」および第二の端部「S
b」は、アンビル送達システム50のアダプタ62の第一の貫通ボア70に通して受容される。この様式では、縫合糸「S」を切断するために、縫合糸「S」の重なりの任意の部分に沿って、縫合糸「S」に1回の切断がなされ得、そしてこのアンビルアセンブリのヘッドアセンブリ212が作動可能位置まで移動することを可能にし得る。
【0093】
図33を参照すると、上記第二の方法のバリエーションを使用して、アンビル送達システム50に取り付けられ、そして第一の傾斜位置に固定されている、アンビルアセンブリ210のヘッドアセンブリ212が示されている。縫合糸「S」の、アンビルアセンブリ210から遠位に延びる部分を支持している、縫合糸リール300が示されている。例示的な縫合糸リールは、米国特許出願第14/078,814号(その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示されている。アンビルアセンブリ210、アンビル送達システム50、および縫合糸リール300は、1つのキット内に提供されてもよい。このキットは、上記方法のいずれかを使用して、上記構成のいずれかで、アンビル送達システム50に固定されたアンビルアセンブリ210を備え得る。あるいは、このキットの構成要素は、互いに別々に提供され得、そして/または部分的に組み立てられ得る。
【0094】
当業者は、本明細書中に具体的に記載され、そして添付の図面に図示されるデバイスおよび方法が、非限定的な例示的実施形態であることを理解する。1つの例示的実施形態に関連して図示または記載される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく別の例示的実施形態の要素および特徴と組み合わせられ得ることが想定される。同様に、当業者は、上記実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴および利点を理解する。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲により示されるものを除いて、具体的に図示および記載されたものによって限定されるべきではない。