特許第6772001号(P6772001)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772001
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20201012BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20201012BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G02F1/1343
   G02F1/1368
   G02F1/1337 525
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-166440(P2016-166440)
(22)【出願日】2016年8月29日
(65)【公開番号】特開2018-36289(P2018-36289A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−170066(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0207853(US,A1)
【文献】 特開2014−232136(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0354931(US,A1)
【文献】 特開2013−125277(JP,A)
【文献】 特開2010−060960(JP,A)
【文献】 国際公開第01/018597(WO,A1)
【文献】 特開2016−048276(JP,A)
【文献】 特開2002−040456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/136−1/1368
G02F1/1343−1/1345,1/135
G02F1/1337
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、第2基板と、遮光層と、前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶分子を含む液晶層と、を有する液晶表示装置であって、
前記第1基板は、第1方向に沿って延在する複数の走査信号線と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在する複数の映像信号線と、前記映像信号線に電気的に接続された画素電極と、前記画素電極と対向し、前記画素電極との間で電界を発生させて前記液晶分子を回転させる共通電極と、第1領域と第2領域とを有する複数の副画素領域と、を備え、
前記副画素領域は、一対の前記走査信号線と、一対の前記映像信号線とで囲まれた領域であり、
前記遮光層は、前記複数の走査信号線と前記複数の映像信号線に沿って形成され、前記副画素領域に対応した複数の開口部を有し、
前記第1領域は前記画素電極がある領域であり、前記第2領域は前記画素電極がない領域であり、
前記副画素領域は、前記第1方向において第1側と第2側とを有し、
前記第1領域は、前記第2側に隣接して形成され前記第2方向に延在する軸領域と、前記軸領域から前記第1側に向けて前記第1方向に延在する複数の枝領域と、を含み、
前記第2領域は、隣り合う前記枝領域の間において、前記第1方向に延在する複数の隙間領域を含み、
前記軸領域は、前記枝領域が接続される接続領域と、前記隙間領域と隣り合う非接続領域と、を含み、
前記軸領域は、前記接続領域において、前記第2側の縁部に凹部を有し、前記遮光層と重畳し、
前記凹部の前記第1方向における深さは、前記接続領域の前記第1方向における長さの1/3以上である、液晶表示装置。
【請求項2】
記非接続領域の前記第1方向における幅は、前記接続領域と前記枝領域の前記第1方向における合計幅の5分の1以下である、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記非接続領域の前記第2方向における幅は、前記接続領域の前記第2方向における幅よりも大きい、
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記枝領域は、前記第2方向に並ぶ第1辺と第2辺とを有し、
前記電界が発生している場合に、前記第1辺の近傍と、前記第2辺の近傍とで、前記液晶分子の回転方向が異なる、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記隙間領域の前記第2側における先端部は、前記第2側に凸の形状である、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1基板は、第1配向膜を備え、
前記第2基板は、第2配向膜を備え、
前記第1配向膜及び前記第2配向膜による前記液晶分子の配向方向は、前記第1方向又は前記第1方向と直交する方向と一致する、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1基板は、第1配向膜を備え、
前記第2基板は、第2配向膜を備え、
前記第1配向膜及び前記第2配向膜の少なくとも一方は、光配向膜である、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記枝領域は、前記第2方向に並ぶ第1辺と第2辺とを有し、
前記軸領域は、前記非接続領域と前記接続領域との境界において、前記第2側の縁部に屈曲部を有し、
前記電界が発生している場合に、前記第1辺の近傍から前記第1辺の延長にある前記屈曲部の近傍に亘って前記液晶分子が第1回転方向に回転し、前記第2辺の近傍から前記第2辺の延長にある前記屈曲部の近傍に亘って前記液晶分子が前記第1回転方向と異なる第2回転方向に回転する、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例として、IPS(In-Plane-Switching)モードの液晶表示装置が知られている。IPSモードの液晶表示装置は、液晶層を介して対向する一対の基板のうちの一方に画素電極及び共通電極が設けられ、これら電極間に発生する横電界を利用して液晶層の液晶分子の配向を制御する。また、画素電極及び共通電極を異なる層に配置し、これらの電極間に発生するフリンジ電界を利用して液晶分子の配向を制御するFFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置が実用化されている。
【0003】
一方で、下記の特許文献1には、画素電極及び共通電極を異なる層に配置するとともに、液晶層に近い側の電極にスリットを設け、このスリットの幅方向における両側辺の近傍の液晶分子を互いに逆方向に回転させる液晶表示装置が開示されている。この液晶表示装置はFFSモードとは明確に異なる方式であり、従来のFFSモードに比べて応答速度を速めるとともに配向安定性を向上させることができる。以下、この種の液晶表示装置の構成を、高速応答モードと呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−109309号公報
【特許文献2】特開2014−71309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高速応答モードの液晶表示装置において、配向安定性のさらなる改善が求められている。そこで、本開示の一態様における目的は、配向安定性を一層高めた高速応答モードの液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る液晶表示装置は、第1基板と、第2基板と、遮光層と、前記第1基板及び前記第2基板の間に配置された液晶分子を含む液晶層と、を有する。前記第1基板は、第1方向に沿って延在する複数の走査信号線と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在する複数の映像信号線と、前記映像信号線に電気的に接続された画素電極と、前記画素電極と対向し、前記画素電極との間で電界を発生させて前記液晶分子を回転させる共通電極と、第1領域と第2領域とを有する複数の副画素領域と、を備える。前記副画素領域は、一対の前記走査信号線と、一対の前記映像信号線とで囲まれた領域である。前記遮光層は、前記複数の走査信号線と前記複数の映像信号線に沿って形成され、前記副画素領域に対応した複数の開口部を有する。前記第1領域は前記画素電極がある領域であり、前記第2領域は前記画素電極がない領域である。前記副画素領域は、前記第1方向において第1側と第2側とを有する。前記第1領域は、前記第2側に隣接して形成され前記第2方向に延在する軸領域と、前記軸領域から前記第1側に向けて前記第1方向に延在する複数の枝領域と、を含む。前記第2領域は、隣り合う前記枝領域の間において、前記第1方向に延在する複数の隙間領域を含む。前記軸領域は、前記枝領域が接続される接続領域と、前記隙間領域と隣り合う非接続領域と、を含む。前記軸領域は、前記接続領域において、前記第2側の縁部に凹部を有し、前記遮光層と重畳している。前記凹部の前記第1方向における深さは、前記接続領域の前記第1方向における長さの1/3以上である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る液晶表示装置の概略的な等価回路を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る液晶表示装置の断面の一部を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る液晶表示装置が備える副画素の概略的な平面図である。
図5図5は、図4に示した画素電極の部分拡大図である。
図6図6は、電界の非発生時における液晶分子の初期配向状態を示す図である。
図7図7は、電界の発生時における液晶分子の配向状態を示す図である。
図8図8は、本実施形態との比較例を示す図である。
図9図9は、第2実施形態に係る画素電極の一部を示す概略的な平面図である。
図10図10は、第3実施形態に係る画素電極の一部を示す概略的な平面図である。
図11図11は、第4実施形態に係る画素電極の一部を示す概略的な平面図である。
図12図12は、第5実施形態に係る液晶表示装置の断面の一部を示す図である。
図13図13は、第5実施形態に係る共通電極の概略的な平面図である。
図14図14は、図13に示した画素電極の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
各実施形態においては、液晶表示装置の一例として、透過型の液晶表示装置を開示する。ただし、各実施形態は、他種の表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。他種の表示装置としては、例えば、外光を利用して画像を表示する反射型の液晶表示装置や、透過型と反射型の双方の機能を備えた液晶表示装置などが想定される。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置1(以下、表示装置1と呼ぶ)の概略的な構成を示す斜視図である。表示装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、車載装置、ゲーム機器、ウェアラブル端末等の種々の装置に用いることができる。
【0012】
表示装置1は、表示パネル2と、表示パネル2に対向するバックライト3と、表示パネル2を駆動するドライバIC4と、表示パネル2及びバックライト3の動作を制御する制御モジュール5と、表示パネル2及びバックライト3へ制御信号を伝達するフレキシブル回路基板FPC1,FPC2とを備えている。
【0013】
本実施形態において、第1方向D1は後述する枝領域40が延出する方向であり、第2方向D2は後述する軸領域30が延出する方向である。図1においては、第1方向D1は、表示パネル2の短辺に沿う方向にも該当する。第2方向D2は、例えば表示パネル2の長辺に沿う方向にも該当する。図示した例において、各方向D1,D2は互いに垂直に交わるが、各方向D1,D2は他の角度で交わってもよい。
【0014】
表示パネル2は、互いに対向する第1基板SUB1及び第2基板SUB2と、各基板SUB1,SUB2の間に配置された液晶層(後述の液晶層LC)とを備えている。表示パネル2は、画像を表示する表示領域DAを有している。表示パネル2は、例えば、表示領域DAにおいて、各方向D1,D2にマトリクス状に並ぶ複数の画素PXを備えている。
【0015】
図2は、表示装置1の概略的な等価回路を示す図である。表示装置1は、第1ドライバDR1と、第2ドライバDR2と、第1ドライバDR1に接続された複数の走査信号線Gと、第2ドライバDR2に接続された複数の映像信号線Sとを備えている。各走査信号線Gは、表示領域DAにおいて第1方向D1に延びるとともに第2方向D2に並んでいる。各映像信号線Sは、表示領域DAにおいて第2方向D2に延びるとともに第1方向D1に並び、各走査信号線Gと交差している。
【0016】
表示装置1は、複数の副画素領域Aを有している。副画素領域Aは、平面視において、各走査信号線G及び各映像信号線Sによって区画された領域である。各副画素領域Aには、副画素SPが形成される。本実施形態においては、1つの画素PXが赤色、緑色、青色をそれぞれ表示する副画素SPR,SPG,SPBを1つずつ含む場合を想定する。但し、画素PXは、白色を表示する副画素SPなどをさらに含んでもよいし、同一の色に対応する複数の副画素SPを含んでもよい。
【0017】
各副画素SPは、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、画素電極PEに対向する共通電極CEとを備えている。共通電極CEは、複数の副画素SPに亘って形成されている。スイッチング素子SWは、走査信号線G、映像信号線S、及び画素電極PEと接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWを介して映像信号線Sと電気的に接続されている。
【0018】
第1ドライバDR1は、各走査信号線Gに対して走査信号を順次供給する。第2ドライバDR2は、各映像信号線Sに対して映像信号を選択的に供給する。あるスイッチング素子SWに対応する走査信号線Gに走査信号が供給され、かつこのスイッチング素子SWに接続された映像信号線Sに映像信号が供給されると、この映像信号に応じた電圧が画素電極PEに印加される。このとき画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって、液晶層LCの液晶分子の配向が電圧の印加されていない初期配向状態から変化する。このような動作により、表示領域DAに画像が表示される。
【0019】
図3は、表示装置1の断面の一部を示す図である。この図においては、1つの画素PXに含まれる副画素SPR,SPG,SPBの第1方向D1に沿う断面を示している。
第1基板SUB1は、光透過性を有するガラス基板や樹脂基板などの第1絶縁基板10を備えている。第1絶縁基板10は、第2基板SUB2と対向する第1主面10Aと、第1主面10Aの反対側の第2主面10Bとを有している。さらに、第1基板SUB1は、スイッチング素子SWと、画素電極PEと、共通電極CEと、第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第1配向膜13とを備えている。
【0020】
スイッチング素子SWは、第1絶縁基板10の第1主面10Aに設けられ、第1絶縁層11によって覆われている。なお、図3においては、走査信号線Gや映像信号線Sの図示を省略している。さらに、図3においては、スイッチング素子SWを簡略化して示している。実際には、第1絶縁層11が複数の層を含んでおり、スイッチング素子SWはこれらの層に形成された半導体層や各種電極を含む。
【0021】
図3の例において、画素電極PEは副画素SPR,SPG,SPBに対して1つずつ設けられており、共通電極CEは副画素SPR,SPG,SPBに亘って設けられている。共通電極CEは、第1絶縁層11の上に形成され、各画素電極PEに対向する位置において開口部14を有している。共通電極CEは、第2絶縁層12によって覆われている。
【0022】
画素電極PEは、第2絶縁層12の上に形成され、共通電極CEと対向している。各画素電極PEは、開口部14を通じてそれぞれ副画素SPR,SPG,SPBのスイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)などの透明な導電材料で形成することができる。第1配向膜13は、画素電極PEを覆い、液晶層LCと接している。
【0023】
一方、第2基板SUB2は、光透過性を有するガラス基板や樹脂基板などの第2絶縁基板20を備えている。第2絶縁基板20は、第1基板SUB1と対向する第1主面20Aと、第1主面20Aの反対側の第2主面20Bとを有している。さらに、第2基板SUB2は、カラーフィルタ21(21R,21G,21B)と、遮光層22と、オーバーコート層23と、第2配向膜24とを備えている。なお、遮光層22は、第1基板SUB1に備えられていてもよい。
【0024】
遮光層22は、平面視において、副画素SPR,SPG,SPBの境界に配置されている。オーバーコート層23は、カラーフィルタ21R,21G,21Bを覆うとともに、これらカラーフィルタ21R,21G,21Bの表面を平坦化している。第2配向膜24は、オーバーコート層23を覆っており、液晶層LCと接している。
【0025】
各配向膜13,24は、液晶層LCに含まれる液晶分子を初期配向方向に配向する機能を有している。一例として、各配向膜13,24は、ポリイミドなどの高分子膜に紫外線を照射して異方性を持たせる光配向処理が施された光配向膜である。但し、各配向膜13,24は、ラビング処理が施されたラビング配向膜であってもよい。また、各配向膜13,24のいずれか一方が光配向膜であり、他方がラビング配向膜であってもよい。
【0026】
図3の例において、第1絶縁基板10の第2主面10Bには、第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1が配置されている。また、第2絶縁基板20の第2主面20Bには、第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2が配置されている。
【0027】
図4は、副画素SPの一例を概略的に示す平面図である。第2方向D2に隣り合う2本の走査信号線Gと、第1方向D1に隣り合う2本の映像信号線Sとで囲われた、上述の副画素領域Aが形成されている。副画素領域Aは、第1方向D1において、第1側SD1(図中の右側)と第2側SD2(図中の左側)とを有している。
【0028】
副画素領域Aは、第1領域A1と、第2領域A2とを有している。図4においては、第1領域A1にドットの模様を付している。第2領域A2は、副画素領域Aから第1領域A1を除いた形状である。
【0029】
第1領域A1は、軸領域30と、複数の枝領域40とを有している。軸領域30は、第2方向D2に延在し、副画素領域Aにおける第2側SD2に配置されている。各枝領域40は、軸領域30から第1側SD1に向けて、第1方向D1に延在している。枝領域40は、例えば先端に向けて先細る形状である。
【0030】
さらに図4において、第1領域A1は、端部領域50を有している。端部領域50は、枝領域40と同じく、軸領域30から第1側SD1に向けて、第1方向D1に延在している。端部領域50は、第2方向D2における幅が枝領域40よりも大きい。
【0031】
第2領域A2は、第2方向D2において隣り合う2つの枝領域40の間において、第1方向D1に延在する隙間領域60を有している。隙間領域60は、端部領域50と端部領域50に隣り合う枝領域40との間にも形成されている。
【0032】
図4の例においては、各枝領域40が全て同じ形状であり、且つ等ピッチで第2方向D2に配列されている。同様に、各隙間領域60が全て同じ形状であり、且つ等ピッチで第2方向D2に配列されている。但し、各枝領域40及び各隙間領域60の形状やピッチは全て同じである必要はなく、一部が異なってもよい。
【0033】
第1領域A1及び第2領域A2の一方は画素電極PEがある領域であり、他方は画素電極PEがない領域である。図4の例では、第1領域A1に画素電極PEが形成され、第2領域A2に画素電極PEが形成されていない。すなわち、本実施形態において、第1領域A1の形状は画素電極PEの形状に相当する。
【0034】
スイッチング素子SWは、半導体層SCを備えている。半導体層SCは、接続位置P1において映像信号線Sに接続され、接続位置P2において画素電極PEに接続されている。図4の例において、接続位置P2は、端部領域50に含まれる。半導体層SCは、図中上側の走査信号線Gと2回交差している。すなわち、ここではスイッチング素子SWがダブルゲート型である場合を例示している。但し、スイッチング素子SWは、走査信号線Gと1回のみ交差するシングルゲート型であってもよい。
【0035】
図4においては、遮光層22の縁部を1点鎖線で示している。遮光層22は、走査信号線G、映像信号線S、及びスイッチング素子SWと重畳している。さらに図4の例において、遮光層22は、軸領域30の全てと重畳するとともに、枝領域40の根本(軸領域30との接続位置の近傍)及び先端と重畳している。なお、遮光層22は、軸領域30の一部と重畳しなくてもよい。また、遮光層22は、枝領域40の根本及び先端と重畳しなくてもよい。
【0036】
図3に示した第1配向膜13及び第2配向膜24には、第1方向D1と平行な配向処理方向ADに沿って配向処理が施されている。これにより、第1配向膜13及び第2配向膜24は、液晶分子を配向処理方向ADと平行な初期配向方向に配向する機能を有している。すなわち、本実施形態においては、枝領域40の延出方向と、液晶分子の初期配向方向とが一致している。
【0037】
続いて、画素電極PE(第1領域A1)の形状の詳細について説明する。図5は、図4に示した画素電極PEの部分拡大図である。枝領域40は、第2方向D2において第1辺41と第2辺42とを有している。さらに、枝領域40は、先端において、第1辺41及び第2辺42を繋ぐ頂辺43を有している。隣り合う2本の枝領域40の間において、軸領域30は、底辺31を有している。第1辺41は配向処理方向ADに対して時計回りに鋭角である角度θ(例えば約1.0度)だけ傾いており、第2辺42は配向処理方向ADに対して反時計回りに角度θだけ傾いている。
【0038】
底辺31及び第1辺41により角部C1が形成され、第1辺41及び頂辺43により角部C2が形成され、底辺31及び第2辺42により角部C3が形成され、第2辺42及び頂辺43により角部C4が形成されている。
【0039】
軸領域30は、枝領域40が接続される接続領域33と、隙間領域60と第1方向D1において隣り合う非接続領域34とを有している。接続領域33と非接続領域34は、第2方向D2において交互に並んでいる。
【0040】
軸領域30は、底辺31の反対側に、縁部32を有している。縁部32は、第2側SD2における軸領域30の側辺に相当する。縁部32は、非接続領域34に設けられた平坦部101と、接続領域33に設けられた傾斜部102,103とを有している。平坦部101、傾斜部102、傾斜部103は、この順で第2方向D2に繰り返し形成されている。平坦部101は、第2方向D2と平行に延びている。傾斜部102,103は、各方向D1,D2と交差する方向に延びている。
【0041】
平坦部101及び傾斜部102,103により、第2側SD2に突出する突出部35と、第1側SD1に窪む凹部36とが第2方向D2に交互に形成される。突出部35は、隙間領域60と第1方向D1に並んでいる。凹部36は、枝領域40と第1方向D1に並んでいる。図5の例においては、凹部36が接続領域33に設けられている。また、突出部35は、隣り合う凹部36の間に相当する部分、すなわち非接続領域34に相当する。例えば図示したように、平面視において、凹部36は、傾斜部102,103を有する三角形状である。また、平面視において、突出部35は、平坦部101と傾斜部102,103とを有する台形状である。凹部36及び突出部35の形状はこれに限定されず、例えば凹部36が台形状であってもよいし、突出部35が三角形状であってもよい。
【0042】
接続領域33とその上下に配置された2つの非接続領域34との境界(或いは突出部35と凹部36との境界)には、それぞれ屈曲部BP1,BP2が形成される。図5の例において、屈曲部BP1は平坦部101と傾斜部102とで構成され、屈曲部BP2は平坦部101と傾斜部103とで構成されている。例えば、屈曲部BP1,BP2は、それぞれ枝領域40の各辺41,42の延長線上に位置することが好ましい。
【0043】
接続領域33の第2方向D2における長さはL1であり、非接続領域34の第2方向D2における長さはL2である。長さL2が長さL1より大きいことが好ましいが(L2>L1)、長さL2が長さL1以下の構成を採用することも可能である(L2≦L1)。
【0044】
突出部35の第1方向D1における長さ(高さ)は、L3である。なお、長さL3は、凹部36の第1方向D1における長さ(深さ)に相当する。非接続領域34の第1方向D1における長さ(幅)は、L4である。接続領域33の第1方向D1における最大長さもL4である。一例として、長さL3は、1μm以上が好ましい。また、長さL3は、長さL4の1/3以上であることが好ましい。
【0045】
枝領域40の第1方向D1における長さは、L5である。枝領域40は、表示に実質的に寄与する領域である。上述の通り、軸領域30は遮光層22と重畳している。したがって、突出部35の長さL3が枝領域40の長さL5に対して大きすぎると、表示に寄与しない領域が大きくなり、表示品位が低下する。この観点から、非接続領域34の第1方向D1における長さL4は、接続領域33と枝領域40の第1方向D1における合計幅(L4+L5)の5分の1以下であることが好ましい。
突出部35及び凹部36は図5に示した例に限られず、後述の第2乃至4実施形態に示す形状など、種々変形可能である。
【0046】
本実施形態における画素電極PEの形状によれば、一般的なFFSモードよりも応答速度の速い高速応答モードを実現することができる。なお、ここにいう応答速度は、例えば、画素電極PE及び共通電極CEの間への電圧印加により液晶層LCの光の透過率を所定レベルの間で遷移させる際の速度として定義することができる。
【0047】
高速応答モードの動作原理につき、図6及び図7を用いて説明する。
図6は、画素電極PE(第1領域A1)の一部と、液晶層LCに含まれる液晶分子LMの初期配向状態とを示す図である。画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されていないオフ状態において、液晶分子LMは、図6に示すようにその長軸が配向処理方向ADと一致するように初期配向される。
【0048】
一般的に広く使用されているFFSモードにおいて、2つの電極間にフリンジ電界が形成された場合、液晶分子は全て同一の方向に回転する。しかし、高速応答モードにおける液晶分子の回転は、FFSモードの液晶分子の回転とは異なっている。
【0049】
図7は、画素電極PE及び共通電極CEの間に電圧が印加されたオン状態における液晶分子LMの配向状態を示す図である。図中に符号EL1,EL2で示すラインは、画素電極PEの周囲に生じる電界の等電位線の一例である。本実施形態における液晶分子LMは、誘電率異方性が正(ポジ型)である。そのため、図6に示したオフ状態から画素電極PE及び共通電極CEの間に電圧が印加されると、これにより生じる電界の方向に対して長軸が平行となる(或いは等電位線EL1,EL2に直交する)ように液晶分子LMを回転させる力が働く。
【0050】
角部C1,C2の近傍においては、液晶分子LMが実線矢印で示す第1回転方向R1に回転する。また、角部C3,C4の近傍においては、液晶分子LMが破線矢印で示す第2回転方向R2に回転する。第1回転方向R1及び第2回転方向R2は、互いに異なる方向(反対の回転方向)である。
【0051】
角部C1〜C4は、第1辺41及び第2辺42の近傍における液晶分子LMの回転方向を制御する配向制御機能(換言すると、配向を安定化する機能)を有している。すなわち、第1辺41の近傍の液晶分子LMは、角部C1,C2の近傍における液晶分子LMの回転の影響を受けて、第1回転方向R1に回転する。また、第2辺42の近傍の液晶分子LMは、角部C3,C4の近傍における液晶分子LMの回転の影響を受けて、第2回転方向R2に回転する。一方で、第2方向D2における枝領域40の中心及び隙間領域60の中心の近傍においては、第1回転方向R1に回転する液晶分子LMと第2回転方向R2に回転する液晶分子LMとが拮抗している。このため、このような領域の液晶分子LMは、初期配向状態に維持され、殆ど回転しない。
【0052】
このように、高速応答モードにおいては、各辺41,42の近傍において、根本から先端まで液晶分子LMの回転方向が揃う。これにより、電圧印加時における応答速度を速めるとともに、液晶分子LMの回転方向のバラつきを抑えて配向安定性を高めることが可能となる。
【0053】
なお、枝領域40において、各辺41,42が配向処理方向ADに対して傾いていることも、配向安定性の向上に寄与している。すなわち、配向処理方向ADに対して傾いた各辺41,42の近傍においては、電界の方向が配向処理方向ADに対して直角以外の角度で交わるために、電圧印加時における液晶分子LMの回転方向を概ね一定に定めることができる。
【0054】
ここで、軸領域30の縁部32の近傍に着目する。上述の通り、縁部32は、突出部35と凹部36を有している。等電位線EL2は、これら突出部35及び凹部36の形状に応じて蛇行している。屈曲部BP1,BP2から凹部36の第2方向D2における中心にかけては、等電位線EL2が各方向D1,D2と交差する方向に傾く。これにより、屈曲部BP1の近傍では液晶分子LMが第1回転方向R1に回転し、屈曲部BP2の近傍では液晶分子LMが第2回転方向R2に回転する。一方で、第2方向D2における凹部36の中心及び突出部35の中心の近傍においては、第1回転方向R1に回転する液晶分子LMと第2回転方向R2に回転する液晶分子LMとが拮抗している。このため、このような領域の液晶分子LMは、初期配向状態に維持され、殆ど回転しない。
【0055】
縁部32の近傍の液晶分子LMが上記のように回転すると、破線枠で囲ったように、第1辺41から屈曲部BP1に亘って液晶分子LMの回転方向が揃い、第2辺42から屈曲部BP2に亘って液晶分子LMの回転方向が揃う。さらに、枝領域40から凹部36に亘って、これらの第2方向D2における中心では液晶分子LMが回転しない。同様に、隙間領域60から突出部35に亘って、これらの第2方向D2における中心では液晶分子LMが回転しない。
【0056】
ここで、本実施形態との比較例を図8に示す。この比較例においては、軸領域30の縁部32が第2方向D2に沿って平坦な場合を想定する。この場合、縁部32の全体に亘って等電位線EL2が第2方向D2と平行となる。すなわち、等電位線EL2が配向処理方向ADと直交するために、縁部32の近傍の液晶分子LMが各回転方向R1,R2のいずれにも回転し得る不安定な状態となる。例えば、高精細な画素になると電極の大きさも小さくなり、縁部32近傍の液晶分子LMの各回転方向R1,R2は、より不安定になりやすい。例えば、軸領域30の長さ(図5においては非接続領域34)が3.5μm以下、又は3.0μm以下となると、より上述の不安定な回転が起こりやすい。
【0057】
仮に、第1辺41の延長線付近にある液晶分子LMが第2回転方向R2に回転すれば、第1辺41の近傍と縁部32の近傍とで液晶分子の回転方向が揃わない。同様に、第2辺42の延長線付近にある液晶分子LMが第1回転方向R1に回転すれば、第2辺42の近傍と縁部32の近傍とで液晶分子の回転方向が揃わない。このように回転方向が不揃いになると、各辺41,42の近傍における応答速度が遅くなる。
【0058】
一方で、突出部35或いは凹部36を縁部32に設けて等電位線EL2を図7のように屈曲させると、各辺41,42の近傍のみならず縁部32の近傍まで液晶分子LMの回転方向が揃う。これにより、高速応答モードにおける応答速度を一層高めることが可能となる。
応答速度を高めることで、表示装置1が表示する画像の切り替わりが早くなる。したがって、例えば高品位で映像を表示できるなど、種々の好適な効果を奏する。
【0059】
なお、画素電極PE(第1領域A1)の形状は、本実施形態にて開示したものに限られない。以下に、第2乃至第5実施形態として、画素電極PEの形状の変形例を示す。
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係る画素電極PEの一部を示す概略的な平面図である。この図に示す画素電極PEにおいて、軸領域30の縁部32は、非接続領域34に設けられた平坦部201と、接続領域33に設けられた平坦部202と、各平坦部201,202の間に設けられた傾斜部203,204とを有している。平坦部201、傾斜部203、平坦部202、傾斜部204は、この順で第2方向D2に繰り返し形成されている。
【0060】
平坦部201,202は、例えば第2方向D2と平行である。傾斜部203,204は、例えばそれぞれ枝領域40の各辺41,42と同じ角度で第1方向D1に対し傾いている。平坦部201,202及び傾斜部203,204により、突出部35と凹部36とが第2方向D2に交互に形成される。突出部35は、平坦部201と傾斜部203,204とを有する台形状である。凹部36は、平坦部202と傾斜部203,204とを有する台形状である。また、平坦部201と傾斜部203,204との境界に屈曲部BP1,BP2が形成される。これら屈曲部BP1,BP2は、例えば、各辺41,42の延長線上に位置する。
【0061】
図9の例においては、傾斜部203,204及び平坦部201によって構成される突出部35の形状と、各辺41,42及び底辺31によって構成される隙間領域60の形状とが相似している。なお、本開示における「相似」は、比較対象となる2つの形状の一方を縮小又は拡大すると他方と完全に一致するという数学上の相似の意味だけでなく、2つの形状が類似しているという意味も含む。例えば図9の例において、傾斜部203,204及び平坦部201がそれぞれ成す角度と、各辺41,42及び底辺31がそれぞれ成す角度とが異なる場合でも、全体として台形状であるという点で突出部35及び隙間領域60の形状が類似しており、本開示における「相似」の概念に含まれる。
【0062】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係る画素電極PEの一部を示す概略的な平面図である。この図に示す画素電極PEにおいて、軸領域30の縁部32は、非接続領域34に設けられた湾曲部301と、接続領域33に設けられた平坦部302とを有している。湾曲部301及び平坦部302は、第2方向D2に繰り返し形成されている。
【0063】
湾曲部301は、例えば第2側SD2に凸の円弧状である。平坦部302は、例えば第2方向D2と平行である。湾曲部301及び平坦部302により、突出部35と凹部36とが第2方向D2に交互に形成される。また、湾曲部301と平坦部302との境界に屈曲部BP1,BP2が形成される。これら屈曲部BP1,BP2は、例えば、各辺41,42の延長線上に位置する。
【0064】
図10の例においては、底辺31が湾曲部301と同様に湾曲している。すなわち、隙間領域60の第2側SD2における先端部(底辺31)は、第2側SD2に凸の円弧状である。また、枝領域40の頂辺43は、第1側SD1に凸の円弧状である。
【0065】
第2実施形態と同様に、湾曲部301によって構成される突出部35の形状と、底辺31によって構成される隙間領域60の形状とが相似している。例えば、湾曲部301と底辺31の曲率や曲率中心の位置が異なる場合であっても、全体として第2側SD2に凸となるように湾曲しているという点で突出部35及び隙間領域60の形状が類似しており、本開示における「相似」の概念に含まれる。
【0066】
[第4実施形態]
図11は、第4実施形態に係る画素電極PEの一部を示す概略的な平面図である。この図に示す画素電極PEにおいて、軸領域30の縁部32は、非接続領域34に設けられた湾曲部401と、接続領域33に設けられた湾曲部402とを有している。湾曲部401,402は、第2方向D2に繰り返し形成されている。
【0067】
湾曲部401は、第2側SD2に凸の円弧状である。湾曲部402は、第1側SD1に窪んだ円弧状である。湾曲部401,402は、滑らかに繋がっており、蛇行形状を形成している。すなわち、湾曲部401,402により、突出部35と凹部36とが第2方向D2に交互に形成される。本実施形態では、湾曲部401,402の境界を屈曲部BP1,BP2と定義する。これら屈曲部BP1,BP2は、例えば、各辺41,42の延長線上に位置する。
第3実施形態と同様に、湾曲部401によって構成される突出部35の形状と、底辺31によって構成される隙間領域60の形状とが相似している。
【0068】
以上の第2乃至第4実施形態に係る画素電極PEの形状であっても、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が発生した際に、第1辺41から屈曲部BP1に亘って液晶分子の回転方向が揃い、第2辺42から屈曲部BP2に亘って液晶分子の回転方向が揃う。したがって、第1実施形態と同様に、高速応答モードにおける応答速度を一層高めることが可能となる。
【0069】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。ここでは主に第1実施形態との相違点に着目し、第1実施形態と同一の構成については説明を適宜省略する。
【0070】
本実施形態は、共通電極CEが画素電極PEと液晶層LCとの間に配置されている点で、第1実施形態と相違する。図12は、第5実施形態に係る表示装置1の断面の一部を示す図である。この図においては、図3と同じく、副画素SPR,SPG,SPBの第1方向D1に沿う断面を示している。また、走査信号線Gや映像信号線Sの図示を省略するとともに、スイッチング素子SWを簡略化して示している。
【0071】
図12において、画素電極PEは、第1絶縁層11の上に形成され、第2絶縁層12で覆われている。共通電極CEは、第2絶縁層12の上に形成され、第1配向膜13で覆われている。他の構成は、図3と同様である。
【0072】
図13は、共通電極CEの概略的な平面図である。ここでは、主に1つの副画素SPに対応する副画素領域Aを示している。この図の例において、副画素領域Aは、図4と同じく第1領域A1及び第2領域A2を有している。また、第1領域A1は軸領域30及び複数の枝領域40を有し、第2領域A2は複数の隙間領域60を有している。本実施形態において、第1領域A1は共通電極CEがない領域であり、第2領域A2は共通電極CEがある領域である。すなわち、第1領域A1は、軸領域30及び複数の枝領域40を有するスリット(開口)である。第1領域A1の形状としては、上述の第1乃至第4実施形態における第1領域A1の形状のいずれを適用することもできる。一例として、図13においては、第2実施形態(図9)と同様の形状を適用している。
【0073】
画素電極PEは、例えば破線枠で示した外形を有し、平面視において第1領域A1と重畳している。例えば、遮光層22は、軸領域30や枝領域40の根本及び先端と重畳し、一点鎖線で示した形状に開口している。
【0074】
図14は、図13に示した画素電極PEの部分拡大図である。軸領域30は、図9の例と同様に、接続領域33と、非接続領域34とを有している。突出部35は、隙間領域60と第1方向D1に並んでいる。凹部36は、枝領域40と第1方向D1に並んでいる。さらに、軸領域30は、非接続領域34において突出部35を有し、接続領域33において凹部36を有している。接続領域33と非接続領域34との境界(或いは突出部35と凹部36との境界)には、それぞれ屈曲部BP1,BP2が形成される。
【0075】
このような形状においても、上述の各実施形態と同様に、枝領域40の各辺41,42から屈曲部BP1,BP2まで液晶分子の回転方向が揃う。したがって、本実施形態の構成においても、上述の各実施形態と同様の高速応答モードを実現できる。
【0076】
なお、第1乃至第5実施形態においては、液晶層LCの液晶分子の誘電率異方性が正である場合に採用し得る構成を例示した。しかしながら、誘電率異方性が負(ネガ型)である液晶分子により液晶層LCを構成することもできる。この場合においては、配向処理方向AD(液晶分子の初期配向方向)を枝領域40の延在方向(第1方向D1)に直交する方向(第2方向D2)とすればよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0078】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
また、各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0080】
1…液晶表示装置、2…表示パネル、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、A…副画素領域、A1…第1領域、A2…第2領域、LC…液晶層、LM…液晶分子、PE…画素電極、CE…共通電極、AD…配向処理方向、D1…第1方向、D2…第2方向、R1…第1回転方向、R2…第2回転方向、SD1…第1側、SD2…第2側、BP1,BP2…屈曲部、LM…液晶分子、13…第1配向膜、22…遮光層、24…第2配向膜、30…軸領域、31…底辺、32…縁部、33…接続領域、34…非接続領域、35…突出部、36…凹部、40…枝領域、41…第1辺、42…第2辺、43…頂辺、50…端部領域、60…隙間領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14