【実施例】
【0051】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1および表2に示す配合量は質量%を表す。
1.輪転機用洗浄剤の調製
表1および表2に示す配合で各成分を混合し、攪拌機によって攪拌して水を分散させて可溶化し、輪転機用洗浄剤を得た。各表に示す疎水性溶媒(A)、界面活性剤(B)、脂肪酸(D)について以下に補足する。
【0052】
炭化水素(a1)
(エクソールD−40)
ナフテン系炭化水素 引火点47℃ 初留:166℃、乾点/最終沸点:191℃ エクソンモービル社製
(フォッグソルベント)
石油系炭化水素70質量%以上80質量%未満 ナフテン系合成炭化水素30質量%未満 引火点84℃ 沸騰範囲:初留点−終点210〜275℃ JXエネルギー社製
(ベースソルベント21)
石油系炭化水素100質量% 引火点75℃ 沸点:初留点−終点210〜240℃ JXエネルギー社製
(ドデカン(C12))
引火点74℃、沸点214〜216℃
(エクソールD−110)
ナフテン系炭化水素 引火点114℃ 初留:248℃、乾点/最終沸点:265℃ エクソンモービル社製
(エクソールD−130)
ナフテン系炭化水素 引火点140℃ 初留:279℃、乾点/最終沸点:313℃ エクソンモービル社製
(オクタデカン(C18))
引火点165℃ 沸点317℃
【0053】
脂肪酸エステル(a2)
(C8メチルエステル)
n−オクタン酸メチル 引火点72℃ 沸点193℃
(C10メチルエステル)
n−デカン酸メチル 引火点94℃ 沸点229℃
(C12メチルエステル)
n−ドデカン酸メチル 引火点136℃ 沸点260℃
(C8ブチルエステル)
n−オクタン酸ブチル 引火点124℃ 沸点245℃
(C18'メチルエステル)
n−オクタデセン酸メチル 引火点163℃
【0054】
界面活性剤(b1)
(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)
Cytec社製 エアロゾルOT−70PG ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムのプロピレングリコール/水の混合物溶液
【0055】
界面活性剤(b2)
(グリセリンモノオレイン酸エステル)
ミヨシ油脂社製 MOP グリセリンモノオレイン酸エステル
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)
三洋化成工業社製 サンノニックFN−80
【0056】
脂肪酸(D)
(脂肪酸1)
ミヨシ油脂社製 PM500 C12:2%、C14:1%、C16:5%、C18:2%、C18':76%、C18'':13%、C18''':1%(「'」は炭素−炭素二重結合の数を表わす)
(脂肪酸2)
東京化成工業社製 オレイン酸(C18':>99.0%)
(クエン酸)
東京化成工業社製
【0057】
表1および表2に示した実施例および比較例の輪転機用洗浄剤について、次の評価を行った。
【0058】
2.評価
(1)物性
[動粘度]
25℃での洗浄剤の動粘度(mm
2/s)をJIS K2283に準拠して測定した。
【0059】
[蒸発減量]
80℃における2時間後の洗浄剤の蒸発減量を、疎水性溶媒(A)と水(C)との合計を基準として次の方法で測定した。各洗浄剤5.00gをガラス製シャーレに計り取る。それらを80℃恒温槽に所定時間放置し、30分毎の重量を測定し、重量変化から蒸発減量を算出した。
【0060】
(2)性能評価
[洗浄性]
印刷インキ(藍色)80質量部と紙粉20質量部とを混合したもの0.1gを、オフセット印刷機用のゴムブランケットから作製した試料片(8cm×8cm)に塗布した後、洗浄剤を含ませて20分経過した不織布(10cm×10cmの不織布に洗浄剤3gを含浸させたもの)でブランケットを拭き取り、拭き取り後のブランケットへのインキおよび紙粉の残存状態を観察し、以下の基準で評価した。
【0061】
洗浄性(インキ溶解性)
評価基準
◎:インキの残存が認められない。
○:インキの残存が僅かに認められる。
×:インキの残存が多い。
【0062】
洗浄性(紙粉のカスの除去性)
評価基準
◎:紙粉の残存が認められない。
○:紙粉の残存が僅かに認められる。
×:紙粉の残存が多い。
【0063】
[版への影響]
CTP用印刷版上に洗浄剤を0.5ミリリットル滴下し、滴下20分後の版の画線部の破壊の程度を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:画線部の破壊なし。
○:僅かに画線部の破壊が認められる。
×:画線部の破壊程度が大きい。
【0064】
[乾燥性]
蒸発減量の評価において、80℃2時間後の蒸発減量から乾燥性を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:蒸発減量が60%以上80質量%以下
○:蒸発減量が50%以上60質量%未満もしくは80質量%超85質量%以下
×:80℃2時間後の蒸発減量が50%未満もしくは85%超
【0065】
(3)外観評価
[洗浄剤の外観]
洗浄剤を調製後の外観を目視で確認し、以下の基準で評価した。
評価基準
○:均一
×:不均一
【0066】
[低温安定性]
洗浄剤を調製後、5℃で2週間放置した後の外観を目視で確認し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:透明均一
△:わずかに濁りあり
×:分離や固体の析出が見られる
【0067】
上記の評価結果を表1および表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
なお、外観評価が×評価であった比較例6、9、11については、本発明の目的に沿わないものとして、性能評価を行わなかった。洗浄性または版への影響の評価が×の評価であった比較例4、5、7、8については、本発明の目的に沿わないものとして、乾燥性の評価は行わなかった。
【0070】
表1より、疎水性溶媒(A)を60〜85質量%、界面活性剤(B)を5〜20質量%、水(C)を9〜20質量%含有し、疎水性溶媒(A)は、引火点70〜120℃の炭化水素(a1)を含有し、80℃における2時間後の蒸発減量が、疎水性溶媒(A)と水(C)との合計に対して50〜85質量%である輪転機用洗浄剤を用いた実施例1〜14では、インキと紙粉のカスの洗浄性が良好で、版の画線部の破壊も抑制された。さらに洗浄工程後の乾燥性が良好で、拭き取り後のブランケットは速やかに乾くことが確認された。
【0071】
実施例1〜3、6、10〜14では、疎水性溶媒(A)として炭化水素(a1)のみ用いた。これに対して実施例4、5、7〜9では炭化水素(a1)と共に脂肪酸エステル(a2)を配合した。この場合、実施例3と実施例4、5との対比に見られるように、乾燥性を維持しながら動粘度が低くなり、更に洗浄性(インキ溶解性)も向上することが確認された。一方、脂肪酸エステルとしてオクタデセン酸(オレイン酸)メチルエステルを用いた実施例9では、炭素数8〜12の脂肪酸のメチルエステルを用いた実施例4、5、7の洗浄剤より高粘度となり、洗浄性(インキ溶解性)の向上も見られなかった。また、実施例4、5、7〜9の洗浄剤を別途にポンプを用いてブランケット表面に吐出したところ、目視において吐出ムラは低減し、中でも炭素数8〜12の脂肪酸メチルエステルを用いた実施例4、5、7は動粘度が(5.0mm
2/s)以下であり、目視において吐出がほぼ均一であり、洗浄工程への良好な効果を示した。すなわち、インクを短時間で容易かつ速やかに拭き取りつつ、その後は速やかに乾燥し、洗浄、乾燥工程を速やかに行うことができることが確認された。
【0072】
乾燥性については、引火点74℃、75℃、84℃の炭化水素(a1)をベースとする80℃における2時間後の蒸発減量が60質量%以上ものは乾燥性が特に良く(実施例2〜9、12〜14)、疎水性溶媒(A)としてこれらの炭化水素(a1)と共に脂肪酸エステル(a2)を配合した実施例4、5、7〜9も蒸発減量が60質量%以上となり、乾燥性が特に良好であった。
【0073】
界面活性剤(B)として、スルホン酸塩型のアニオン界面活性剤(b1)と、ノニオン界面活性剤(b2)とを質量比(b1):(b2)=1:2〜2:1の範囲で組み合わせた実施例1〜9、13、14では、上記の効果が確認されると共に、版の画線部の破壊がなかった。質量比(b1):(b2)が、上記範囲外の実施例12は、洗浄性、乾燥性は良好であるが版の画線部の破壊が僅かに認められた。
【0074】
炭素数12〜18の脂肪酸(D)を配合した実施例1〜13では、洗浄剤を調製後、5℃で2週間放置した後も透明均一で、低温安定性が良好であった。炭素数12〜18の脂肪酸(D)を配合しない実施例14では、放置後にわずかに濁りが生じ、冬場などの低温での製品保管時に外観が悪化することが示唆された。
【0075】
表2より、比較例1は、炭化水素の引火点が低いものを用いたが、乾燥が速過ぎて洗浄性(インキ溶解性)が著しく悪化した。
【0076】
比較例2、3は、炭化水素の引火点が高いものを用いたが、乾燥が遅く、洗浄後に十分に乾燥するまでの時間が長くなり、洗浄、乾燥工程に長時間を要した。
【0077】
比較例4は、疎水性溶媒(A)の含有量が少なく、インキを十分に洗浄除去することができなかった。比較例5は、疎水性溶媒(A)の含有量が多く、水の含有量が少なく、紙粉を十分に洗浄除去することができなかった。
【0078】
比較例6は、界面活性剤(B)の含有量が少なく、可溶化が不十分で外観が不均一となり、製品として不適であった。比較例7は、界面活性剤(B)の含有量が多く、画線部の破壊が生じた。
【0079】
比較例8は、水(C)の含有量が少なく、紙粉を十分に洗浄除去することができなかった。比較例9は、水(C)の含有量が多く、洗浄剤を調製後、5℃で2週間放置した後に分離や固体の析出が見られ、外観が著しく悪化した。
【0080】
比較例10は、80℃における2時間後の蒸発減量が低く、乾燥が遅いため、洗浄後に十分に乾燥するまで長時間を要した。
【0081】
比較例11は、脂肪酸(D)としてクエン酸を用いたが、洗浄剤を調製後、5℃で2週間放置した後に分離や固体の析出が見られ、外観が著しく悪化した。