特許第6772033号(P6772033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772033
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】昇降式什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 17/00 20060101AFI20201012BHJP
   A47B 9/00 20060101ALI20201012BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20201012BHJP
   A47B 17/03 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A47B17/00 A
   A47B9/00 Z
   A47B13/00 Z
   A47B17/03
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-216328(P2016-216328)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-68948(P2018-68948A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】小野 菜穂
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−093082(JP,A)
【文献】 特開2016−024988(JP,A)
【文献】 特開2002−276638(JP,A)
【文献】 実開平03−090997(JP,U)
【文献】 実開平04−112635(JP,U)
【文献】 特開平09−224754(JP,A)
【文献】 実開平06−064532(JP,U)
【文献】 特開平10−248646(JP,A)
【文献】 特開2016−000172(JP,A)
【文献】 特開2016−159051(JP,A)
【文献】 実開昭57−133325(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 17/00
A47B 9/00
A47B 13/00
A47B 17/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に設置される下部構造体と、
該下部構造体に昇降可能に支持された上部構造体と、を備え、
前記上部構造体は、
対象物を支持する下部支持部材と、
前記下部支持部材で対象物を支持する支持位置よりも上方となる支持位置で、前記対象物を支持する上部支持部材と、
前記下部構造体に支持され、上面に載置面を有する天板と、を有し、
前記下部支持部材及び前記上部支持部材の少なくともいずれか一方は、利用者が前記上部構造体に対向する対向方向に移動可能とされ
前記下部支持部材は、前記天板の前記載置面に載置され、前記天板上を前記対向方向に移動可能であり、
前記上部支持部材は、前記天板の上方に設けられた棚板を有し、
前記対象物は、前記棚板の前記利用者が対向する端部に支持されていることを特徴とする昇降式什器。
【請求項2】
前記下部支持部材は、
物品を収容可能な物品収容部と、
前記対象物の下部を支持する下部支持部と、を有することを特徴とする請求項に記載の昇降式什器。
【請求項3】
床面上に設置される下部構造体と、
該下部構造体に昇降可能に支持された上部構造体と、を備え、
前記上部構造体は、
対象物を支持する下部支持部材と、
前記下部支持部材で対象物を支持する支持位置よりも上方となる支持位置で、前記対象物を支持する上部支持部材と、を有し、
前記下部支持部材及び前記上部支持部材の少なくともいずれか一方は、利用者が前記上部構造体に対向する対向方向に移動可能とされ、
前記下部支持部材は、
物品を収容可能な物品収容部と、
前記対象物の下部を支持する下部支持部と、を有し、
前記下部支持部は、前記下部支持部材の上端部に下方に凹むように形成された溝部であることを特徴とする昇降式什器。
【請求項4】
前記上部構造体は、前記下部構造体に支持され、上面に載置面を有する天板を有し、
該下部支持部材は、前記天板の前記載置面に載置され、前記天板上を前記対向方向に移動可能であることを特徴とする請求項に記載の昇降式什器。
【請求項5】
前記上部構造体は、前記天板から上方に延び、前記対向方向に沿って配置され、前記対向方向と直交し前記天板の前記載置面に沿う直交方向に離間して配置された一対の移動規制部を有し、
前記下部支持部材は、前記一対の移動規制部の間に、前記直交方向の移動が規制されつつ配置されていることを特徴とする請求項1,2,4のいずれか一項に記載の昇降式什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降式什器に関する。
【背景技術】
【0002】
執務空間においては、執務者に作業エリアを提供するためにデスクが配置されていることが一般的である。このようなデスクにおいて、作業のし易い天板高さは、執務者の体格や性別、嗜好、作業内容等によって個々によって大きく異なる。そこで、天板高さを上下に変更可能とした天板昇降式什器が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
ところで、近年、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等の電子機器を用いての業務が広まりつつある。利用者が什器の天板上に電子機器を載置して使用する際には、電子機器を後傾させた方が見やすい。例えば、テーブルの載置面に後傾した傾斜面が設けられ、当該傾斜面に沿って電子機器を支持可能な支持台が提案されている(下記特許文献2参照)。
【0004】
電子機器に対して利用者の目線が高い場合には、傾斜面の角度が緩やかな方が見やすく、利用者の目線の高さが低い場合には、傾斜面の角度が急な方が見やすい等、利用者の姿勢や好み等により、電子機器のディスプレイの角度を変化できる方が好ましい。特に、天板昇降式什器で天板に電子機器が載置された場合には、天板の高さの変化により、電子機器の視認性が低下することがある。
【0005】
そこで、電子機器の入力装置にスライド部材を設け、ディスプレイに支持部を設け、これらスライド部材と支持部とをヒンジで連結した支持装置が提案されている。ヒンジによりスライド部材と支持部との角度を変えることで、ディスプレイの角度を変えることが可能である(下記特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−87025号公報
【特許文献2】実用新案登録第3187419号公報
【特許文献3】特開2015−22767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献3では、スライド部材、ヒンジ及び支持部等の支持装置を入力装置やディスプレイに固定しなくてはならず、単に電子機器を持ち歩いて使用する際等には支持装置が不要となり、体裁が悪いという問題点がある。このため、昇降式什器自体で、電子機器等の対象物の傾きを変更可能とする構成が望まれている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、対象物の高さに応じて対象物の傾きを変更可能として、支持することができる昇降式什器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る昇降式什器は、床面上に設置される下部構造体と、該下部構造体に昇降可能に支持された上部構造体と、を備え、前記上部構造体は、対象物を支持する下部支持部材と、前記下部支持部材で対象物を支持する支持位置よりも上方となる支持位置で、前記対象物を支持する上部支持部材と、前記下部構造体に支持され、上面に載置面を有する天板と、を有し、前記下部支持部材及び前記上部支持部材の少なくともいずれか一方は、利用者が前記上部構造体に対向する対向方向に移動可能とされ、前記下部支持部材は、前記天板の前記載置面に載置され、前記天板上を前記対向方向に移動可能であり、前記上部支持部材は、前記天板の上方に設けられた棚板を有し、前記対象物は、前記棚板の前記利用者が対向する端部に支持されていることを特徴とする。
また、本発明に係る昇降式什器は、床面上に設置される下部構造体と、該下部構造体に昇降可能に支持された上部構造体と、を備え、前記上部構造体は、対象物を支持する下部支持部材と、前記下部支持部材で対象物を支持する支持位置よりも上方となる支持位置で、前記対象物を支持する上部支持部材と、を有し、前記下部支持部材及び前記上部支持部材の少なくともいずれか一方は、利用者が前記上部構造体に対向する対向方向に移動可能とされ、前記下部支持部材は、物品を収容可能な物品収容部と、前記対象物の下部を支持する下部支持部と、を有し、前記下部支持部は、前記下部支持部材の上端部に下方に凹むように形成された溝部であることを特徴とする。
【0010】
このように構成された昇降式什器では、床面上に設置される下部構造体により、下部支持部材及び上部支持部材の高さが変化する。これにより、下部支持部材及び上部支持部材に支持された対象物の高さが変化する場合には、下部支持部材及び上部支持部材の少なくともいずれか一方を、利用者が上部構造体に対向する対向方向に移動させることで、下部支持部材及び上部支持部材に支持された対象物の後傾の傾きを変えることができる。よって、対象物の高さに応じて、対象物の後傾の傾きを変更しつつ、対象物を支持することができる。
また、対象物は天板の上方に設けられた棚板の利用者が対向する端部に支持されている。よって、対象物を支持する上部支持部材の構成を簡易な構成とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る昇降式什器では、前記上部構造体は、前記下部構造体に支持され、上面に載置面を有する天板を有し、該下部支持部材は、前記天板の前記載置面に載置され、前記天板上を前記対向方向に移動可能であることが好ましい。
【0012】
このように構成された昇降式什器では、下部支持部材は、下部構造体に支持された天板の載置面に載置されていて、天板上を対向方向に移動可能である。よって、下部支持部材を利用者に近接する方向に移動させることで対象物が大きく後傾した姿勢になり、下部支持部材を利用者から離間する方向に移動させることで対象物が鉛直方向に沿った姿勢や鉛直方向から小さく後傾した姿勢になる。よって、下部支持部材を天板上で移動させるだけで対象物の後傾の傾きが変わるため、対向方向に移動可能な下部支持部材の構成を簡易な構成とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る昇降式什器では、前記上部構造体は、前記天板から上方に延び、前記対向方向に沿って配置され、前記対向方向と直交し前記天板の前記載置面に沿う直交方向に離間して配置された一対の移動規制部を有し、前記下部支持部材は、前記一対の移動規制部の間に、前記直交方向の移動が規制されつつ配置されていてもよい。
【0014】
このように構成された昇降式什器では、上部構造体は天板から上方に延び、対向方向に沿って配置され、対向方向と直交し天板の載置面に沿う直交方向に離間して配置された一対の移動規制部を有する。下部支持部材は一対の移動規制部の間に、直交方向の移動が規制されつつ配置されている。よって、下部支持部材を対向方向に移動させる際に、直交方向への位置ずれが抑制され、対象物の後傾の傾きの調整がしやすい。
【0017】
また、本発明に係る昇降式什器では、前記下部支持部材は、物品を収容可能な物品収容部と、前記対象物の下部を支持する下部支持部と、を有していてもよい。
【0018】
このように構成された昇降式什器では、下部支持部材は、物品を収容可能な物品収容部と、対象物の下部を支持する下部支持部と、を有する。よって、下部支持部材自体で、物品の収容が可能であるとともに、対象物の下部を支持可能であるため、物品収容部を別途設ける必要がなく、利便性が高い。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る昇降式什器によれば、対象物の高さに応じて対象物の傾きを変更可能として、支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る昇降式什器の全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る昇降式什器の脚体が伸縮可能する様子を示す側面図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る昇降式什器の下部支持部材及びその周辺を示す拡大図である。
図5】本発明の一実施形態に係る昇降式什器の下部支持部材の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る昇降式什器の下部支持部材及びその周辺を示す拡大図であり、下部支持部材及び上部支持部材が対象物を支持した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る昇降式什器を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る昇降式什器の全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る昇降式什器の脚体が伸縮する様子を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、天板昇降式デスク(昇降式什器)100は、一対の脚体1と、これら一対の脚体1間を連結する連結部材2(図3参照)と、脚体1に支持された上部構造体3と、を備えている。
以下の説明において、便宜上、利用者が天板昇降式に向かう側を「前方」と称し、反対側を「後方」と称する。また、これら前方と後方とを結ぶ前後方向(対向方向)と直交し水平方向に沿う方向を「幅方向」(左右方向)と称する。
【0023】
脚体1は、上部構造体3の幅方向に間隔を有して配置されている。脚体1は床面F上に設置されたベース部材11と、ベース部材11から起立して上方に延び、上部構造体3を支持する脚部材12と、を備えている。
【0024】
ベース部材11は、例えば前後方向に長い長方形状をなしている。ベース部材11の前後両端部の下面には、それぞれアジャスター11aが設けられ、床面Fからの高さ調整が可能となっている。
【0025】
脚部材12は、ベース部材11に固定された下部支持体12aと、下部支持体12a内から上下方向に昇降可能に収容された中間支持体12bと、中間支持体12b内から上下方向に昇降可能に収容された上部支持体12cと、を有している。上部支持体12cの上端部に上部構造体3が支持されている。
【0026】
これら下部支持体12a、中間支持体12b及び上部支持体12cは、例えば四角形筒状に形成されているが、円筒状等でもよく、水平断面形状は任意の筒状でよい。下部支持体12aに対して中間支持体12b及び上部支持体12cがそれぞれ上下方向に出没することで脚部材12の上下方向長さを調整することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、下部支持体12aに対して中間支持体12bと上部支持体12cとを上下方向に出没可能に配設したが、上部構造体3を上下動させるには少なくとも下部支持体12aと上部支持体12cとを備えていればよい。または、中間支持体12bを複数設けて互いに出没可能としてもよい。
本実施形態では、脚体1と、連結部材2とが下部構造体10を構成している。
【0028】
上部構造体3は、脚体1に支持された天板体30と、引き出し40と、天板体30の幅方向の両端部に設けられた側板パネル(移動規制部)50と、側板パネル50間に架設された棚板60と、天板体30に載置されたトレイ70と、を有している。
【0029】
天板体30は、脚体1の上部支持体12c及び連結部材2の上面に支持されて設けられている。天板体30は、上部支持体12c及び連結部材2に、溶接またはボルト等によって接合されている。天板体30は、幅方向に長い平面視長方形状をなしている。
【0030】
図3は、図1のA−A断面図である。
図1及び図3に示すように、天板体30は、水平面に沿って板状に配置された天板31と、天板31の前端部31fの下部に設けられた下部補助部材36と、を有している。天板31と下部補助部材36とは、接合され、一体とされている。図3に示すように、天板31の上面には、水平面に沿い物品が載置可能な作業面(載置面)31uが形成されている。
【0031】
下部補助部材36は、天板31の左右両側に設けられている。換言すると、天板31において、左右方向の中央には、下部補助部材36が設けられていない。下部補助部材36が設けられていない左右方向の中央には、引き出し40が設けられている。
【0032】
例えば、天板31の下面31cには、引き出し40の側板42に沿って配置された引き出し支持部(不図示)が設けられ、当該引き出し支持部に前後方向に延びるレール(不図示)が設けられている。引き出し40は、レールに沿って、天板31に対して前後方向に移動可能、つまり天板31の下方に収容された位置から、天板31の下方から前方に突出した位置に移動可能とされている。
【0033】
図1に示すように、天板体30の左右方向両端部には、側板パネル50が設けられている。側板パネル50は、前側に配置された前側板部51と、前側板部51に連続して前側板部51よりも後方に配置された後側板部52と、を有している。前側板部51の高さは、後側板部52の高さよりも低い。後側板部52の前部には、上方から下方に向かうにしたがって次第に前方に傾斜する傾斜面52sが形成されている。
【0034】
左右方向に離間して配置された側板パネル50間には、上面が載置面とされた棚板(上部支持部材)60が架設されている。
【0035】
図3に示すように、棚板60の前後方向の長さは、天板31の前後方向の長さよりも随分短く、棚板60は天板31の後部寄りに配置されている。棚板60の前端部60fは、天板31の前端部31fよりも後方に配置されている。
【0036】
例えば、棚板60の左右両端部及び天板31の左右両端部に設けられたダボが側板パネル50に設けられたダボ穴に挿通されて、棚板60及び天板31は側板パネル50に固定されている。
【0037】
左右方向に離間して配置された側板パネル50間には、前後方向及び鉛直面に沿う仕切りパネル(移動規制部)56が左右方向に離間して一対設けられている。仕切りパネル56の前部には、上方から下方に向かうにしたがって次第に前方に傾斜する傾斜面56sが形成されている。
【0038】
例えば、仕切りパネル56の下端部は、天板31に接着等により接合されている。仕切りパネル56の上端部に設けられたダボが棚板60の下面に設けられたダボ穴に挿通されて、仕切りパネル56は棚板60に固定されている。
【0039】
天板31の後端部には、背面板66Aが設けられている。図1に示すように、天板31の幅方向の中央では、天板31の後部に、目隠し板66Bが設けられている。
【0040】
側板パネル50と仕切りパネル56との間において、天板31の作業面31uにはトレイ(下部支持部材)70が載置されている。
【0041】
図4は、天板昇降式デスク100のトレイ70及びその周辺を示す拡大図である。図5は、トレイ70の斜視図である。
図4及び図5に示すように、トレイ70は、平面視矩形状に形成されたトレイ底板71と、トレイ底板71の側端部から立設されたトレイ側板72と、トレイ底板71の後端部から立設されたトレイ後板73と、トレイ底板71の前端部から立設されたトレイ前縁部74と、を有している。トレイ底板71、トレイ側板72、トレイ後板73及びトレイ前縁部74により、物品が収容可能な物品収容空間(物品収容部)S1が形成されている。各トレイ側板72は、側板パネル50及び仕切りパネル56に当接または近接配置されている。
【0042】
トレイ前縁部74は、傾斜面75と、溝部(下部支持部)76と、を有している。傾斜面75は、トレイ前縁部74の前端部に設けられ、上方から下方に向かうにしたがって次第に前方に傾斜している。傾斜面75は、側板パネル50の傾斜面52s(図1参照)及び仕切りパネル56の傾斜面56s(図1参照)に沿っている。
【0043】
トレイ前縁部74の上端部には、下方に凹む溝部76が、天板31の幅方向に沿って形成されている。
【0044】
図6は、天板昇降式デスク100のトレイ70及びその周辺を示す拡大図であり、トレイ70と棚板60が対象物を支持した状態を示している。
図6に示すように、トレイ70の溝部76には、タブレット型コンピュータ等の電子機器(対象物)Eが載置されている。電子機器Eは、下端部(支持位置)E1が溝部76に支持され、裏面であり下端部E1よりも上方の部分(支持位置)E2が棚板60の前端部60fに支持されている。
【0045】
図3に示すように、トレイ70は、トレイ後板73が背面板66Aに当接して配置された収容位置において、電子機器Eは、上方が後傾した第一傾斜位置X1に沿って配置されている。
【0046】
トレイ70を前方に引き出すと、トレイ底板71が天板31の作業面31uに沿って前方に移動する。各トレイ側板72は側板パネル50及び仕切りパネル56に当接または近接配置されているため、トレイ70は左右方向に移動が規制された状態で前方に移動する。トレイ70が前方に引き出された引き出し位置において、電子機器Eは、第一傾斜位置X1よりも上方が大きく後傾した第二傾斜位置X2で配置されている。
【0047】
側板パネル50と仕切りパネル56との間において、棚板60の前端部の下部には、支持板63が設けられている。例えば、側板パネル50及び仕切りパネル56に設けられたダボが支持板63の端面に設けられたダボ穴に挿通されて、支持板63は側板パネル50と仕切りパネル56との間に固定されている。なお、さらに支持板63の上端部が棚板60の下面に固定される構成であってもよい。支持板63には、後述するコンセント64や操作部65が設けられている。
【0048】
さらに、天板昇降式デスク100は、中間支持体12b及び上部支持体12cを昇降動作させる駆動モータ(不図示)と、中間支持体12b及び上部支持体12cの昇降動作を制御する公知の制御ユニット(不図示)と、制御ユニットに昇降動作信号を入力するための操作部65と、を備えている。
【0049】
制御ユニットは、例えば、天板31の下面31cに固定された配線ダクト67(図3参照)に載置されている。制御ユニットは、操作部65及び外部電源に配線ケーブルCで接続されている。制御ユニットと外部電源とを接続する配線ケーブルCは、脚部材12に沿って配置されたカバー部材68の内部に配置されている。
【0050】
利用者が操作部65に対して所定の操作を入力すると、操作部65から配線ケーブルを介し、制御ユニットに操作信号が送信される。制御ユニットは、操作部65から操作信号を受信すると、受信した信号に基づいて脚部材12に昇降動作を実行させる指令信号を出力する。各脚部材12は、指令信号を受信すると、その指令信号に応じて、駆動モータが駆動し、中間支持体12b及び上部支持体12cを昇降動作、天板体30の高さの調整がされる。
【0051】
このように構成された天板昇降式デスク100では、床面F上に設置された脚体1により、天板31の高さが変化し、これにともない天板31に載置されたトレイ70及び天板31の上方に設けられた棚板60の高さが変化する。これにより、トレイ70及び棚板60の前端部60fに支持された電子機器Eの高さが変化する。利用者は、トレイ70を前方に引き出すと電子機器Eが大きく後傾した姿勢になり、後方に押すと電子機器Eが鉛直方向に沿った姿勢や鉛直方向から小さく後傾した姿勢になる。よって、天板31の高さの変化とともに変化する電子機器Eの高さに応じて、電子機器Eの傾きを変更しつつ、電子機器Eを支持することができる。
【0052】
また、トレイ70は、脚体1に支持された天板31の載置面に載置されていて、天板31上を前後方向に移動可能である。よって、トレイ70を利用者に近接する方向(前方)に移動させることで電子機器Eが大きく後傾した姿勢になり、トレイ70を利用者から離間する方向(後方)に移動させることで電子機器Eが鉛直方向に沿った姿勢や鉛直方向から小さく後傾した姿勢になる。よって、トレイ70を天板31上で移動させるだけで電子機器Eの傾きが変わるため、下部支持部材を簡易な構成とすることができる。
【0053】
また、トレイ70は、物品を収容可能な物品収容空間S1と、電子機器Eの下部を支持する溝部76と、を有する。よって、トレイ70自体で、物品の収容が可能であるとともに、電子機器Eの下部を支持可能であるため、物品収容部を別途設ける必要がなく、利便性が高い。
【0054】
また、天板31から上方に延び、前後方向に沿って配置され、左右方向に離間して配置された側板パネル50及び仕切りパネル56が設けられている。トレイ70は側板パネル50と仕切りパネル56材との間に、側板パネル50及び仕切りパネル56に沿って配置されているため、トレイ70は左右方向に移動が規制される。よって、トレイ70を前後方向に移動させる際に、左右方向への位置ずれが抑制され、電子機器Eの傾きの調整がしやすい。
【0055】
また、電子機器Eは天板31の上方に設けられた棚板60の前端部60fに支持されている。よって、電子機器Eを支持する上部支持部材の構成を簡易な構成とすることができる。
【0056】
なお、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0057】
上記に示す実施形態では、下部支持部材及び上部支持部材のうち下部支持部材が対向方向に移動するように構成されているが本発明はこれに限られず、上部支持部材が対向方向に移動するように構成されていたり、あるいは下部支持部材及び上部支持部材の両方が対向方向に移動するように構成されていてもよい。上部支持部材が対向方向に移動するように構成として、例えば、上部支持部材として棚が、前後方向の長さを収縮する構成が採用される。
【0058】
また、トレイは天板上に載置され、棚板は天板の上方に設けられているが、本発明はこれに限られず、天板に設けられたブラケットに下部支持部材及び上部支持部材が設けられていてもよい。また、トレイは左右両側等がレール等に支持された堅牢な構成であってもよい。
【0059】
また、上記に示す実施形態では、下部支持部材及び上部支持部材に支持される対象物として、電子機器Eを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。対象物として、本や雑誌等の書物や、鏡等が採用される。
【0060】
また、天板昇降式デスク100は、天板31が昇降可能であれば、例えば脚体1の構成、配置、設置本数等、他のいかなる構成としても良い。
【0061】
また、駆動モータの構成についても、天板31を昇降可能とするのであれば、他のいかなる構成としても良い。
【符号の説明】
【0062】
100…天板昇降式デスク(昇降式什器)
1…脚体
3…上部構造体
10…下部構造体
11…ベース部材
12…脚部材
12a…下部支持体
12b…中間支持体
12c…上部支持体
2…連結部材
3…上部構造体
30…天板体
31…天板
31u…作業面(載置面)
36…下部補助部材
40…引き出し
50…側板パネル(移動規制部)
56…仕切りパネル(移動規制部)
60…棚板(上部支持部材)
60f…前端部
70…トレイ(下部支持部材)
76…溝部(下部支持部)
E…電子機器(対象物)
F…床面
S1…物品収容空間(物品収容部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6