特許第6772041号(P6772041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772041
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】コネクタ端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6477 20110101AFI20201012BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01R13/6477
   H01R13/11 301C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-229242(P2016-229242)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-85305(P2018-85305A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】近藤 快人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 雅和
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−185302(JP,A)
【文献】 特開2007−122900(JP,A)
【文献】 特表2012−525670(JP,A)
【文献】 特開2011−119120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6473−13/6477
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子本体を備え、前記端子本体は、一方に筒状の第一接続部、他方に第二接続部を有し、前記第一接続部と前記第二接続部の間をつなぎ、かつ、前記第一接続部よりもインピーダンスが高い連結部を有するコネクタ端子において、前記連結部の少なくとも一部に重ね合わされ、前記端子本体と電気的に接続されるインピーダンス調整部材を備え、前記インピーダンス調整部材の一端部が前記第一接続部に挿入された状態で固定されていることを特徴とするコネクタ端子。
【請求項2】
前記連結部はL字型に曲げられた帯状片からなり、L字型の各辺をなす第一辺部と第二辺部を有し、前記第一辺部の端部で前記第一接続部とつながれ、前記第二辺部の端部で前記第二接続部とつながれており、前記インピーダンス調整部材は少なくとも第一辺部に重ね合わされるものである請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項3】
前記インピーダンス調整部材の前記一端部には先細りの先端が付けてある請求項1又は2に記載のコネクタ端子。
【請求項4】
前記インピーダンス調整部材の前記一端部を前記第一接続部の内径よりも太くすることで、当該一端部が前記第一接続部への圧入部とされている請求項1ないし3のいずれかに記載のコネクタ端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方に筒状の第一接続部、他方に第二接続部を有し、第一接続部と第二接続部の間をつなぎ、かつ、第一接続部よりもインピーダンスが高い連結部を有し、第一接続部と連結部の間でのインピーダンス整合が図られたコネクタ端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速伝送・高周波伝送において、質の高い伝送を行うには、コネクタ端子においてもインピーダンスを整合することが求められている。
【0003】
特許文献1には、コネクタ端子に関し、一方に相手コネクタ端子と接続する筒状の本体部、他方にケーブル導体を圧着する圧着片が設けられた圧着部を有し、本体部と圧着部の間をつなぎ、かつ、本体部よりもインピーダンスが高い連結部(圧着部の圧着片が設けられていない部分)を有するコネクタ端子において、一端を本体部の内部に挿入し、他端を圧着部に接合した状態で、連結部に重ね合わされるインピーダンス調整部材によって、連結部の断面外形を大きくして本体部の断面外形に合わせることで、本体部と連結部の間でのインピーダンス整合が図られたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5332677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のコネクタ端子は、インピーダンス調整部材を圧着部に接合する必要があり、第一接続部と連結部の間でのインピーダンス整合に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、一方に筒状の第一接続部、他方に第二接続部を有し、第一接続部と第二接続部の間をつなぎ、かつ、第一接続部よりもインピーダンスが高い連結部を有するコネクタ端子において、第一接続部と連結部の間でのインピーダンス整合にかかる手間が削減されたコネクタ端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.端子本体を備え、前記端子本体は、一方に筒状の第一接続部、他方に第二接続部を有し、前記第一接続部と前記第二接続部の間をつなぎ、かつ、前記第一接続部よりもインピーダンスが高い連結部を有するコネクタ端子において、前記連結部の少なくとも一部に重ね合わされ、前記端子本体と電気的に接続されるインピーダンス調整部材を備え、前記インピーダンス調整部材の一端部が前記第一接続部に挿入された状態で固定されていることを特徴とするコネクタ端子。
1に記載のコネクタ端子によれば、インピーダンス調整部材の一端部を第一接続部に挿入するだけで、第一接続部と連結部の間でのインピーダンス整合が可能となり、インピーダンス調整部材を第二接続部に接合する必要がないので、第一接続部と連結部の間でのインピーダンス整合にかかる手間が削減される。
2.前記連結部はL字型に曲げられた帯状片からなり、L字型の各辺をなす第一辺部と第二辺部を有し、前記第一辺部の端部で前記第一接続部とつながれ、前記第二辺部の端部で前記第二接続部とつながれており、前記インピーダンス調整部材は少なくとも第一辺部に重ね合わされるものである1に記載のコネクタ端子。
2に記載のコネクタ端子によれば、連結部はL字型に曲げられているので、インピーダンス調整部材の一端部を第一接続部に挿入する際に、第二接続部が邪魔にならず、挿入しやすい。
3.前記インピーダンス調整部材の前記一端部には先細りの先端が付けてある1又は2に記載のコネクタ端子。
3に記載のコネクタ端子によれば、インピーダンス調整部材の一端部には先細りの先端が付けてあるので、インピーダンス調整部材の一端部を第一接続部に挿入する際に、挿入しやすい。
4.前記インピーダンス調整部材の前記一端部を前記第一接続部の内径よりも太くすることで、当該一端部が前記第一接続部への圧入部とされている1ないし3のいずれかに記載のコネクタ端子。
4に記載のコネクタ端子によれば、インピーダンス調整部材の一端部を第一接続部に圧入により固定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一方に筒状の第一接続部、他方に第二接続部を有し、第一接続部と第二接続部の間をつなぎ、かつ、第一接続部よりもインピーダンスが高い連結部を有するコネクタ端子において、第一接続部と連結部の間でのインピーダンス整合にかかる手間が削減されたコネクタ端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例にかかるコネクタ端子を示す分解斜視図である。
図2】本発明の実施例にかかるコネクタ端子を示す斜視図である。
図3】本発明の実施例にかかるコネクタ端子を示す断面図である。
図4】本発明の他の実施例にかかるコネクタ端子を示す要部断面図である。
図5】本発明のさらに他の実施例にかかるコネクタ端子のインピーダンス調整部材を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例をいくつか図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1ないし図3に示すコネクタ端子1は、端子本体10と、インピーダンス調整部材20を備えている。
【0012】
端子本体10は、一方に筒状の第一接続部として図示しないピン状(雄型)の相手コネクタ端子と接続する筒状(雌型)の本体部11、他方に第二接続部として図示しないケーブル導体と接続する圧着部12を有している。また、本体部11と圧着部12の間をつなぐ連結部13を有している。この端子本体10は、導電性を有する金属薄板をプレス加工することによって形成されている。
【0013】
本体部11は、先端部11aと基部11bを有している。先端部11aは、軸方向に延びる複数(図は2つ)のスリット11cが周方向に等間隔に設けられており、このスリット11cを利用して相手コネクタ端子との接続が行われるようになっている。先端部11aに連続する基部11bは、円筒状に形成されている。
【0014】
ケーブル導体と接続する前の圧着部12は、断面U字状に形成されており、U字の対向する側辺をなす一対の圧着片12aと、U字の底辺をなす基部12bを有している。圧着部12は、ケーブル導体を嵌め込んだ状態で一対の圧着片12aを図示するように加締めることにより、ケーブル導体と接続されるようになっている。
【0015】
連結部13は、本体部11の基部11bの外径よりも細幅でL字型に曲げられた帯状片からなり、L字型の各辺をなす第一辺部13aと第二辺部13bを有し、第一辺部13aの端部(端面)で本体部11の基部11bの端部(端面)とつながれ、第二辺部13bの端部(端面)で圧着部12の基部12bの一端部(一端面)とつながれている。
【0016】
インピーダンス調整部材20は、端子本体10の連結部13の第一辺部13aよりも長く、端子本体10の本体部11の基部11bの内径よりも太い丸棒状の金属部材であり、導電性を有している。また、インピーダンス調整部材20の一端部20aには半球状をなす先細りの先端20bが付けてある。
【0017】
そして、インピーダンス調整部材20は、先細りの先端20bが付けてある一端部20aが、端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に挿入された状態で端子本体10の本体部11の基部11bに固定され、先細りの先端20bが付けてある一端部20a以外の部分が端子本体10の連結部13の第一辺部13aに重ね合されている。またこの状態でインピーダンス調整部材20は端子本体10と電気的に接続されている。ここで、インピーダンス調整部材20の先細りの先端20bが付けてある一端部20aは、端子本体10の本体部11の基部11bの内径よりも太く、端子本体10の本体部11の基部11bへの圧入部とされている。
【0018】
次に、以上のように構成されたコネクタ端子1の作用を説明する。
【0019】
端子本体10は、本体部11の断面外形と圧着部12の断面外形とが略同じ大きさになるので、本体部11のインピーダンスと圧着部12のインピーダンスとは略等しくなるのに対し、連結部13の断面外形は本体部11及び圧着部12のいずれの断面外形よりも小さくなるので、連結部13のインピーダンスは本体部11及び圧着部12のいずれのインピーダンスよりも高くなり、本体部11と連結部13の間及び圧着部12と連結部13の間で、それぞれ、インピーダンス不整合が生じることになる。
【0020】
インピーダンス調整部材20は、その一端部20a以外の部分が端子本体10の連結部13の第一辺部13aに重ね合わされており、その一端部20a以外の部分で端子本体10の連結部13の第一辺部13aの断面外形を大きくして端子本体10の連結部13のインピーダンスを低下させることができ、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス不整合を小さくして、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス整合を図ることができる。
【0021】
この際、インピーダンス調整部材20は、その一端部20aが端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に挿入された状態で端子本体10の本体部11の基部11bに固定されることによって、その一端部20a以外の部分が端子本体10の連結部13の第一辺部13aに重ね合わされている。このため、インピーダンス調整部材20の一端部20aを端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に挿入するだけで、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス整合が可能となり、インピーダンス調整部材20を端子本体10の圧着部12に接合する必要がないので、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス整合にかかる手間を削減することができる。
【0022】
また、端子本体10の連結部13はL字型に曲げられているので、インピーダンス調整部材20の一端部20aを端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に挿入する際に、圧着部12が邪魔にならず、挿入しやすくなっている。さらに、インピーダンス調整部材20の一端部20aには先細りの先端20bを付けてあるので、インピーダンス調整部材20の一端部20aを端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に挿入する際に、挿入しやすくなっている。
【0023】
また、インピーダンス調整部材20の一端部20aは、端子本体10の本体部11の基部11bの内径よりも太く、端子本体10の本体部11の基部11bへの圧入部とされているので、端子本体10の本体部11の基部11bに圧入固定することができる。
【0024】
なお、インピーダンス調整部材20は、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス整合と同時に、端子本体10の圧着部12と連結部13の間でのインピーダンス整合を図ることができる。
【実施例2】
【0025】
図4に示すコネクタ端子30は、インピーダンス調整部材20に代えてL字型に曲げられたインピーダンス調整部材40を備えている点でコネクタ端子1と相違するものである。
【0026】
L字型に曲げられたインピーダンス調整部材40は、先細りの先端40bが付けてある一端部40a以外の部分が端子本体10の連結部13の第一辺部13aと第二辺部13bに重ね合わされる点でインピーダンス調整部材20と相違するものである。
【0027】
そして、L字型に曲げられたインピーダンス調整部材40は、その一端部40aが端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に挿入された状態で端子本体10の本体部11の基部11bに固定されることによって、その一端部40a以外の部分が端子本体10の連結部13の第一辺部13aと第二辺部13bに重ね合わされており、その一端部40a以外の部分で端子本体10の連結部13の第一辺部13aと第二辺部13bの断面外形を大きくして端子本体10の連結部13のインピーダンスを低下させることができ、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス不整合を略解消して、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス整合及び端子本体10の圧着部12と連結部13の間でのインピーダンス整合を図ることができるものである。
【実施例3】
【0028】
図5(A),図5(B)に示す楔付きインピーダンス調整部材50のインピーダンス調整部材20との相違点は、端子本体10の本体部11の基部11bの内径と略同じ太さの丸棒状をなし、先細りの先端50bを付けてある一端部50aの外周面に3つの楔部50cが等間隔に設けられ、この楔部50cによって先細りの先端50bを付けてある一端部50aの外径が先端50b側とは反対側に向かって徐々に大径化されている点にある。
【0029】
そして、楔付きインピーダンス調整部材50は、先細りの先端50bを付け、かつ、外周面に楔部50cが設けられた一端部50aが端子本体10の本体部11の基部11bの端部開口からその基部11bの内部に圧入された状態で端子本体10の本体部11の基部11bに固定されることによって、その一端部50a以外の部分が端子本体10の連結部13の第一辺部13aに重ね合わされ、端子本体10の本体部11と連結部13の間でのインピーダンス整合を図ることができるものである。
【0030】
以上、本発明の実施例をいくつか図面を参照して説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。例えば、インピーダンス調整部材は、断面円形の丸棒状のものを示したが、断面角形の多角形の角棒状のものであってもよい。また、インピーダンス調整部材の一端部を端子本体の本体部の基部に挿入した状態で固定する方法には、圧入を採用したが、その他インピーダンス調整部材(軸)を端子本体の本体部(孔)に挿入したときに互いに係合可能な一対の係合凹部と係合凸部のいずれか一方をインピーダンス調整部材、他方を端子本体の本体部の基部に設けるなどの係合手段を採用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 コネクタ端子
10 端子本体
20 インピーダンス調整部材
20a 一端部
20b 先端
11 本体部(第一接続部)
12 圧着部(第二接続部)
13 連結部
13a 第一辺部
13b 第二辺部
図1
図2
図3
図4
図5