(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0013】
(イオン搬送装置)
図1は、本実施形態に係るイオン搬送装置101の概略構成を示している。イオン搬送装置101は、
図1に示すように、イオン発生ユニット1、ダクト2を含んでいる。
【0014】
イオン発生ユニット1は、シロッコファン等からなる送風機3と、当該送風機3に隣接して風の流れの下流側(以下、風下側と称する)に配置されたイオン発生装置4とを含んでいる。従って、イオン発生ユニット1は、送風機3が駆動して風を起し、風下側に配置されたイオン発生装置4にて発生したイオンを含んだ空気(以下、空気イオンと称する)を排出する。
【0015】
ダクト2は、ポリカーボネート等の樹脂からなり、1つの空気導入口2aと2つの空気排出口2bを有し、空気導入口2aがイオン発生ユニット1の風下側に当接するように配置されている。これにより、ダクト2は、上記イオン発生ユニット1のイオン発生装置4において発生したイオンを、上記送風機3から吹き出した空気によって搬送し、2箇所の空気排出口2bから空気イオンを排出する。なお、ダクト2における空気導入口2aと空気排出口2bの数は、これに限定されるものではない。
【0016】
空気排出口2bは、空気導入口2aよりも小さくなるように形成されている。これにより、空気排出口2bと空気導入口2aと同じ、または、空気排出口2bのほうが空気導入口2aよりも大きい場合よりも、ダクト2内における空気イオンの搬送速度を速くすることができる。一般に、ダクト2内における空気イオンの搬送速度が速いほど、当該ダクトの空気排出口2bから排出される空気イオンのイオン濃度の低下が少ない。従って、上記構成のように、ダクト2の空気排出口2bを、当該ダクト2の空気導入口2aよりも小さくすることで、ダクト2内における空気イオンの搬送速度を速くすることができる。これにより、ダクト2の空気排出口2bから吹き出す空気イオンのイオン濃度を確保することが可能となる。ここで、イオン濃度は、1cm
3当たりのイオンの個数である。
【0017】
ダクト2は、空気排出口2bが空気導入口2aよりも小さければ上記効果を奏するものの、好ましくは、空気導入口2aの大きさが最大で、空気排出口2bに向かって徐徐にダクト2の開口の大きさが小さくなり、当該空気排出口2bにて最小になるように形成されるのが好ましい。このように形成されたダクト2内における空気イオンの搬送速度を確実に速くすることができるため、ダクト2の空気排出口2bから吹き出す空気イオンのイオン濃度を十分に確保することが可能となる。
【0018】
このように、ダクト2内での空気イオンのイオン濃度の低下が少なければ、イオン発生ユニット1(または、イオン発生装置4)をダクト2の空気導入口2a側に配置することが可能となる。これにより、イオン発生装置4は、ダクト2の空気導入口2a側の一箇所に配置すればよいので、従来のように、ダクト2に複数の空気排出口2bがある場合のように、各排出口の数の分だけイオン発生装置4を配置する必要はなく、ダクト2の形状及び空気排出口2bの設置の自由度を高めることができる。従って、限られた空間において、ダクト2を自由に這わせ、空気排出口2bも自由に配置することが可能となる。
【0019】
従って、ダクト2の空気導入口2a側の大きさは、イオン発生ユニット1側の大きさに左右されるものの、ダクト2の形状及び長さや空気排出口2bの大きさについては自由に設定できる。つまり、空気排出口2bが空気導入口2aよりも小さければ、ダクト2の形状、長さや空気排出口2bの大きさを自由に設定できることになるので、ダクト2を狭い空間に這わせたり、複雑な構造物の間を這わせたりすることが可能となる。例えばダクト2は、例えば内部形状(開口部)が直径50mm以下の範囲内で、円形、楕円形、長方形、正方形等に加えて、様々な形状をとることができる。このため、ダクト2を様々場所に這わせることが可能となる。以下に、イオン搬送装置101を適用した例について説明する。
【0020】
(イオン搬送装置の適用例1:自動車のシート)
図2の(a)(b)は、自動車のシート10,20に上記構成のイオン搬送装置101を適用した例を示している。
【0021】
図2の(a)に示すシート10では、シート座面の裏側にイオン発生ユニット1を配置し、3つの空気排出口2bを有するダクト2をシート座面の裏側からシート背面の裏側に這わした構造となっている。3つの空気排出口2bのうち、1つは、シート座面の脇から空気イオンを排出するように配置され、残りの2つは、シート背面の両側面から空気イオンを排出するように配置されている。3つの空気排出口2bは、何れも、イオン発生ユニット1に接続される空気導入口2aよりも小さく形成されている。ここでは、空気排出口2bの内径を9mmとする。内径を9mmとすることで、空気排出口2bを目立ちにくくするという効果を奏する。但し、空気排出口2bの内径についてはこれに限定されるものではない。
【0022】
図2の(b)に示すシート20では、
図2の(a)と同じように、シート座面の裏側にイオン発生ユニット1を配置し、4つの空気排出口2bを有するダクト2をシート座面の裏側からシート背面の裏側に這わした構造となっている。4つの空気排出口2bのうち、2つは、シート座面の両脇から空気イオンを排出するように配置され、残りの二つは、シート背面の両側面から空気イオンを排出するように配置されている。シート背面の両側面に配置された2つの空気排出口2bのうち、1つはシート20に腰掛ける人に向かって空気イオンを排出し、1つは当該シート20の後ろ側のシート(図示せず)に向かって空気イオンを排出するようになっている。なお、4つの空気排出口2bは、何れも、イオン発生ユニット1に接続される空気導入口2aよりも小さく形成されている。また、4つの空気排出口2bを合わせた大きさ(開口面積の和)は、空気導入口2aよりも小さいことが好ましい。
【0023】
図3は、
図2に示すダクト2よりもさらに複雑な形状をしたダクト2の例を示している。この場合においても、ダクト2の空気排出口2bは、空気導入口2aよりも小さく形成されているため、空気排出口2bから排出される空気イオンのイオン濃度の低下は小さい。このように、ダクト2を複雑な形状にしても、空気排出口2bが空気導入口2aよりも小さく形成されていれば、当該空気排出口2bから排出される空気イオンのイオン濃度の低下は小さくて済み、十分なイオン濃度を確保することが可能となる。従って、空気排出口2bが空気導入口2aよりも小さく形成されていれば、ダクト2を様々な場所に這わせることを可能とする。
【0024】
(イオン搬送装置の適用例2:自動車のダッシュボード)
例えば
図4に示すように、自動車30のダッシュボード周囲にダクト2を這わせることも可能となる。この場合、ダクト2の空気排出口2bは3個形成され、それぞれが車内に向かって空気イオンを排出するように配置されている。この場合においても、各空気排出口2bが、イオン発生ユニット1からの空気イオンが導入されるダクト2の空気導入口2aよりも小さく形成されていることで、当該空気排出口2bから排出される空気イオンのイオン濃度の低下を小さくし、十分なイオン濃度が確保された空気イオンを自動車30の室内に排出することができる。
【0025】
従って、本実施形態のイオン搬送装置を用いれば、ダクト2を自動車30のダッシュボード内に自由に這わせて、空気排出口2bを所望する位置に設置することが可能となる。
【0026】
(イオン搬送装置の適用例3:複写機の転写ローラ)
また、
図5の(a)に示すように、複写機40の転写ローラ41に空気イオンを吹き付けて、当該転写ローラ41表面を除電するためにイオン搬送装置を用いてもよい。例えば
図5の(b)に示すように、3本のダクト2を用いて転写ローラ41の表面に空気イオンを吹き付けるようにしてもよい。各ダクト2は、送風機3からの空気をそれぞれの空気導入口2aから導入して、途中に配置されたイオン発生装置4が発生したイオンを導入した風によって搬送し、それぞれの空気排出口2bからイオンを含む空気、すなわち空気イオンを転写ローラ41に向かって吹き付けるように、複写機40内部に這わせている。この場合においても、各空気排出口2bが、空気導入口2aよりも小さく形成されていることで、当該空気排出口2bから排出される空気イオンのイオン濃度の低下を小さくし、十分なイオン濃度が確保された空気を転写ローラ41表面に吹き付けることができる。
【0027】
以上のように、本実施形態に係るイオン搬送装置101は、様々な場所に適用されるが、上述した自動車のシート、自動車のダッシュボード、複写機以外の場所に適用可能である。例えばレストランの椅子にイオン搬送装置101を適用し、椅子の座面から空気イオンを排出するようにしてもよい。この場合、椅子に座っている人のスカート等の衣服の帯電を除去することが可能となる。また、イオン搬送装置101を車両のシートに内蔵して、ダクト2を複雑な経路に這わせて、車両内の人に向けて、不快に感じない程度の風量以下で空気イオンを排出するようにしてもよい。さらに、イオン搬送装置101をエレベータのボタン近辺に設置して、ボタン操作を行う人に向けて空気イオンを排出するようにしてもよい。この場合、人は、ボタン操作前に空気イオンを浴びることで、冬場の不快感を低減できる。また、印刷工場等にイオン搬送装置101を設置することで、狭い空間に空気イオンを排出することで、狭い空間内の部材同士における各摩擦による帯電を除去できる。
【0028】
本実施形態に係るイオン搬送装置101では、搬送する空気イオンはプラスイオン及びマイナスイオンの両方を想定して説明したが、一方の極性のイオンを搬送してもよい。但し、一方の極性のイオンを搬送する場合には、ダクト2内部の帯電の影響を受けやすくなるため、帯電の影響を受け難くする工夫が必要となる。すなわち、ダクト2の帯電を除去する帯電除去機構を備えていることが好ましい。このように、ダクト2の帯電を除去する帯電除去機構を備えていることで、ダクト2内を帯電の影響を受けずに空気イオンを搬送させることができる。これにより、ダクト2の空気排出口2bから排出される空気イオンのイオン量は、送風機3からの風量によりコントロールできる。以下の実施形態2,3において、上記帯電除去機構の例について説明する。
【0029】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0030】
図6は、本実施形態に係るイオン搬送装置201の概略構成図である。イオン搬送装置201は、
図6の(a)に示すように、2本のダクト21・21を隣接して配置し、一方のダクト21にマイナスイオンを発生する第1イオン発生装置22、他方のダクト21にプラスイオンとマイナスイオンとを発生する第2イオン発生装置23を設置した構成となっている。なお、
図6の(a)では、イオン搬送装置201の構成要素の一つである送風機は図示していないが、送風機の構成としては前記実施形態1の送風機3と同じシロッコファンである。なお、送風機としてシロッコファンに限定されるものではなく、他のファンであってもよい。第1イオン発生装置22及び第2イオン発生装置23は、
図6の(b)に示すように、放電用の電極22a・電極23aが各ダクト21の内部に突出するように、当該ダクト21に設置されている。これにより、第1イオン発生装置22が設置されたダクト21はマイナスイオンを含む空気(以下、単にマイナスイオンと称する)を搬送し、第2イオン発生装置23が設置されたダクト21は、プラスイオンとマイナスイオンを含む空気(以下、空気イオンと称する)を搬送する。
【0031】
上記イオン搬送装置201によれば、近接した2本のダクト21のうち、一方のダクト21の空気導入口21a側に配置された第2イオン発生装置23は、プラスイオン及びマイナスイオンを発生させ、他方のダクト21の空気導入口21a側に配置された第1イオン発生装置22は、マイナスイオンを発生させる。これにより、第1イオン発生装置22が設置されたダクト21が最初にプラスに帯電されていれば、発生するマイナスイオンにより除電されるが、その後、マイナスイオンが過剰になるとマイナスに帯電し、搬送されるマイナスイオンの濃度が低下する。しかしながら、第2イオン発生装置23が設置されたダクト21に搬送される空気イオンのプラスイオン及びマイナスイオンのうち、プラスイオンによって、上記第1イオン発生装置22が設置されたダクト21の除電が行われるので、当該第1イオン発生装置22が設置されたダクト21に搬送されるマイナスイオンの濃度が低下せず、排出される。
【0032】
ここで、2本のダクト21が近接しているとは、一方のダクト21の壁が他方のダクト21の壁に接していることをいう。
【0033】
なお、上記の例では、第1イオン発生装置22は、マイナスイオンを発生しているが、プラスイオンを発生してもよい。この場合、前記とは逆に、第1イオン発生装置22が設置されたダクト21は、プラスイオンによってプラスに帯電するため、第2イオン発生装置23によって発生するプラスイオン及びマイナスイオンのうち、マイナスイオンによって除電することになる。
【0034】
以上のように、イオン搬送装置201は、2本のダクト21のうち、一方のダクト21の空気導入口21a側に配置された第2イオン発生装置23は、プラスイオン及びマイナスイオンを発生させ、他方のダクト21の空気導入口21a側に配置された第1イオン発生装置22は、マイナスイオンまたはプラスイオンを発生させる。
【0035】
また、2本のダクト21は、何れも、空気排出口21bは空気導入口21aよりも小さく形成されていてもよい。この場合、前記実施形態1のダクト2と同様に、本実施形態のダクト21内におけるマイナスイオン及び空気イオンの搬送速度を速くすることができる。これにより、ダクト21の空気排出口21bから吹き出すマイナスイオン及び空気イオンのイオン濃度を十分に確保することが可能となる。
【0036】
このように、ダクト21内でのイオン濃度の低下が少なければ、第1イオン発生装置22及び第2イオン発生装置23をダクト21の空気導入口21a側に配置することが可能となる。これにより、第1イオン発生装置22及び第2イオン発生装置23は、ダクト2の空気導入口21a側の一箇所に配置すればよいので、ダクト21の形状及び空気排出口21bの設置の自由度を高めることができる。従って、限られた空間において、ダクト21を自由に這わせ、空気排出口21bも自由に配置することが可能となる。
【0037】
本実施形態2では、2本のダクト21・21を用いて帯電除去を行っていたが、以下の実施形態3では、1本のダクトで帯電除去する例について説明する。
【0038】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0039】
図7は、本実施形態に係るイオン搬送装置301の概略構成図である。イオン搬送装置301は、ダクト2の空気導入口2a側にイオン発生装置24が設置され、さらに、当該ダクト2の帯電を検知する帯電量検知回路25を含んでいる。なお、
図7では、イオン搬送装置301の構成要素の一つである送風機は図示していないが、送風機の構成としては前記実施形態1の送風機3と同じシロッコファンである。また、送風機としてシロッコファンに限定されるものではなく、他のファンであってもよい。
【0040】
イオン発生装置24は、2つの電極24a・24bを備えている。電極24aは、ダクト2内に突出するように配置され、当該ダクト2内でマイナスイオンを発生し、電極24bは、ダクト2の表面に近接するように配置され、当該ダクト2の表面にプラスイオンを発生する。これにより、ダクト2の内部がマイナスに帯電しても、当該ダクト2の表面にプラスイオンが発生するので、当該プラスイオンによって帯電除去することができる。従って、ダクト2内は、マイナスイオンが過剰に発生し、マイナスに帯電しても当該ダクト2の表面に発生するプラスイオンによって帯電除去されるので、当該ダクト2に搬送されるマイナスイオンのイオン濃度が低下せず、排出される。なお、電極24bは、ダクト2の表面に近接しているだけでなく、外側面に対向するように設けられていてもよい。
【0041】
ここで、ダクト2におけるマイナスイオンの搬送の初期段階において、当該ダクト2の内部がプラスに帯電している場合、イオン発生装置24の電極24bからプラスイオンを発生させれば、マイナスイオンによる帯電除去の効果が薄れてしまう。このため、本実施形態では、上述した帯電量検知回路25を備え、必要なときに、イオン発生装置24の電極24bからプラスイオンを発生するようにしている。
【0042】
帯電量検知回路25は、ダクト2の帯電量を検知する回路であり、検知結果はイオン発生装置24に送られる。イオン発生装置24は、帯電量検知回路25からの検知結果(ダクト2の帯電量)に応じて、プラスイオンの発生量を調整する。すなわち、イオン発生装置24は、ダクト2の帯電量に応じて、当該ダクト2の帯電(マイナス帯電)を除去し得る量のプラスイオンを発生させる。これにより、ダクト2の空気排出口2bから、マイナスイオンの濃度が所望する濃度以上の空気を排出することが可能となる。
【0043】
このように、上記構成のイオン搬送装置301は、マイナスイオンを発生して、ダクト2(樹脂)で搬送する場合、ダクトはマイナスに帯電するが、ダクト2(樹脂)に直接プラスイオンを当てることにより帯電を除去する。これにより、ダクト2の帯電は解消され、吹き出し口よりマイナスイオンを放出することが可能となる。
【0044】
なお、
図7では、ダクト2でマイナスイオンを搬送する例を示しているが、ダクト2でプラスイオンを搬送する場合、当該ダクト2内にプラスイオンを発生させ、当該ダクト2表面にマイナスイオンを発生させるようにしてもよい。この場合も、マイナスイオンを搬送する場合と同様の効果を得ることができる。
【0045】
前記実施形態2,3では、ダクト2(ダクト21)の帯電を、逆極性のイオンによって除去して、所望する極性のイオンを搬送させる例について説明したが、ダクトの材質を所望するイオンと同極性に帯電しにくい材質とすることで、所望する極性のイオンを搬送させてもよい。
【0046】
ダクトの材質とイオン濃度との関係について、
図8及び
図9を参照しながら以下に説明する。
【0047】
図8は、イオン搬送装置におけるイオン濃度を測定するための測定システムを示している。
図9は、
図8に示す測定システムを用いて得られた測定結果及び結果を説明するための資料を示している。
【0048】
測定システムに用いるイオン搬送装置401は、前記実施形態1等と同様に、送風機31、ダクト32、イオン発生装置33を含んでいる。
【0049】
送風機31は、シロコファン等からなり、ダクト32の空気導入口32aに風を送り込む位置に設置されている。
【0050】
ダクト32は、空気導入口32aと空気排出口32bとを有している。ここで、ダクト32は、長手方向に直交する短手方向断面が、一辺30mmの略正方形状、長さhbが250mmとする。
【0051】
イオン発生装置33は、ダクト32の空気導入口32a側に設置され、当該ダクト32内にマイナスイオンを発生するようになっている。これにより、イオン発生装置33によってダクト32内に発生されたイオンは、送風機31からの風によってダクト32の空気排出口32bに向かって搬送される。
【0052】
ダクト32の空気排出口32bに対向する位置には、当該空気排出口32bから排出されるイオンの濃度を測定するためのイオン濃度測定機34が設置されている。
【0053】
イオン濃度測定機34は、ダクト32の空気排出口32bから100mmの位置に測定面が位置するように設置されている。イオン濃度測定機34によって測定されるのは、1cm
3当たりのイオンの個数である。
【0054】
図8に示す測定システムを用いてダクト材質毎のイオン濃度を測定した結果を
図9の(a)に示す。ここで、モデルA、モデルBは、空間イオン量が異なる、すなわちマイナスイオンの発生性能が異なるイオン発生装置を備えた搬送装置とする。ここでは、
図9の(b)に示すように、モデルAの空間イオン量は、モデルBの空間イオン量よりも多い。つまり、モデルAは、モデルBよりもマイナスイオンの発生能力が高い。
【0055】
モデルAでは、ダクト32の材質がナイロン樹脂、ポリカ(PC)である場合、モデルBよりもイオン濃度が高く、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル(PVC)である場合、モデルBよりもイオン濃度が低いことが分かる。ここで、イオン濃度は、マイナスイオン濃度である。
【0056】
従って、
図9の(c)に示すように、ナイロン樹脂、ポリカがプラスに帯電しやすく、ポリスチレン、塩化ビニルがマイナスに帯電し易いことが分かる。
【0057】
このことから、ダクト材質の選定と、イオン発生量の選定は、最適な組合せがあり、実施の材料にて確認する必要があることが分かる。つまり、ダクトの材質としては様々な材質が考えられるが、イオンの発生量を考慮して、
図9の(d)に示すように、帯電しにくいか、プラスに帯電しやすいか、マイナスに帯電しやすいかによって、ダクトの材質は選定されることが好ましい。
【0058】
このように、ダクトが、当該ダクトに搬送されるイオンの極性と逆の極性に帯電する材質で形成されていることで、帯電によるイオン量の低下を招かずに、ダクトによってイオンを搬送させることができる。つまり、イオン発生装置によって発生したイオン量がほとんど低下することなく、一方の極性のイオンを搬送し、排出することができる。
【0059】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について説明すれば、以下のとおりである。
【0060】
図10は、本実施形態に係るイオン搬送装置501の概略構成図である。イオン搬送装置501は、
図10の(a)に示すように、1本のダクト51に2台のイオン発生装置(第1イオン発生装置52,第2イオン発生装置53)が設置されている。第1イオン発生装置52および第2イオン発生装置53は、
図10の(b)に示すように、ダクト51を介して互いに対向する位置に配置され、当該ダクト51内に、それぞれの放電用の電極52a,53aが突出するようになっている。なお、
図10の(a)では、イオン搬送装置501の構成要素の一つである送風機は図示していないが、送風機の構成としては前記実施形態1の送風機3と同じシロッコファンである。なお、送風機としてシロッコファンに限定されるものではなく、他のファンであってもよい。
【0061】
本実施形態において、第1イオン発生装置52は、マイナスイオンを発生するイオン発生装置、第2イオン発生装置53は、プラスイオン及びマイナスイオンを発生するイオン発生装置として説明する。なお、第1イオン発生装置52は、プラスイオンを発生するイオン発生装置であってもよい。また、第2イオン発生装置53が、マイナスイオンまたはプラスイオンを発生するイオン発生装置、第1イオン発生装置52がプラスイオン及びマイナスイオンを発生するイオン発生装置であってもよい。すなわち、上記2台のイオン発生装置(第1イオン発生装置52、第2イオン発生装置53)のうち、1台(第1イオン発生装置52)はプラスイオンまたはマイナスイオンを発生し、残りの1台(第2イオン発生装置53)はプラスイオンおよびマイナスイオンを発生すればよい。
【0062】
これにより、ダクト51には、第1イオン発生装置52が発生したマイナスイオンが導入され、当該ダクト51はマイナスイオンを含む空気(以下、単にマイナスイオンと称する)を搬送する。一方、ダクト51には、第2イオン発生装置53が発生したプラスイオンとマイナスイオンが導入され、当該ダクト51によってプラスイオンとマイナスイオンとを含む空気(以下、空気イオンと称する)を搬送する。
【0063】
上記イオン搬送装置501は、まず、第1イオン発生装置52によって発生したマイナスイオンを、ダクト51の空気導入口51aから導入された空気と共に搬送し、当該ダクト51の空気排出口51bから外部に排出される。これにより、ダクト51内がマイナスに帯電される。なお、ダクト51が初期の段階でプラスに帯電されていれば、当該ダクト51に搬送されるマイナスイオンにより除電される。そして、ダクト51内でマイナスイオンが過剰になるとマイナスに帯電される。マイナスに帯電されたダクト51内は、空気は通過するものの、プラスやマイナスに帯電した粒子(埃や塵)の移動は制限される。これは、ダクト51内が帯電した場合、当該ダクト51内と同じ極性に帯電した粒子は反発力が作用し、当該ダクト51内と異なる極性に帯電した粒子は吸着力が作用するため、粒子がダクト51内を通過や侵入がし難くなるためである。
【0064】
その後、第1イオン発生装置52によるマイナスイオンの発生を停止させて、第2イオン発生装置53によって発生したプラスイオンとマイナスイオンをダクト51の空気導入口51aから導入された空気と共に搬送し、当該ダクト51の空気排出口51bから外部に排出される。これにより、プラスイオンによって、マイナスに帯電されたダクト51内の除電が行われる。そして、ダクト51内の除電が終わると、プラスイオンとマイナスイオンとを含む空気イオンが当該ダクト51の空気排出口51bから排出される。このとき、ダクト51は除電されているため、ダクト51内の帯電によるイオン量の低下を招かずに、ダクト51によってイオンを適切に搬送させることができる。
【0065】
また、ダクト51は、前記実施形態2のダクト21と同様に空気排出口51bは空気導入口51aよりも小さく形成されている。この場合、前記実施形態2のダクト21と同様に、本実施形態のダクト51内におけるマイナスイオン及び空気イオンの搬送速度を速くすることができる。これにより、ダクト51の空気排出口51bから吹き出すマイナスイオン及び空気イオンのイオン濃度を十分に確保することが可能となる。
【0066】
このように、ダクト51内でのイオン濃度の低下が少なければ、第1イオン発生装置52及び第2イオン発生装置53をダクト51の空気導入口51a側に配置することが可能となる。これにより、第1イオン発生装置52及び第2イオン発生装置53は、ダクト51の空気導入口51a側の一箇所に配置すればよいので、ダクト51の形状及び空気排出口51bの設置の自由度を高めることができる。従って、限られた空間において、ダクト51を自由に這わせ、空気排出口51bも自由に配置することが可能となる。すなわち、限られた空間(例えば狭い空間)において、ダクト51は、例えば内部形状(開口部)が直径50mm以下の範囲内で、円形、楕円形、長方形、正方形等に加えて、様々な形状をとることができる。
【0067】
一方、ダクト51は、設置する場所、使用目的等により分離可能にする必要がある。例えば、工場での風路切換を行うダクトの場合、自動車のドアとダッシュボードとの間を通るダクトの場合等がある。
【0068】
図11の(a)(b)は、2つに分離可能なダクトを備えたイオン搬送装置601の概略構成を示す図である。なお、イオン搬送装置601は、基本的に、
図10に示すイオン搬送装置501と同じ構成であるが、ダクトが分離可能に構成されている点で異なる。
【0069】
イオン搬送装置601は、
図11の(a)に示すように、第1ダクト61に2台のイオン発生装置(第1イオン発生装置62,第2イオン発生装置63)が設置されている。第1イオン発生装置62および第2イオン発生装置63は、ダクト61を介して互いに対向する位置に配置され、図示しないが、前記の第1イオン発生装置52、第2イオン発生装置53と同様に、当該ダクト61内に、それぞれの放電用の電極が突出するようになっている。個々までの構成は、前記イオン搬送装置501と同じ構成である。
【0070】
イオン搬送装置601は、さらに、第1ダクト61の空気排出口61b側に第2ダクト64が分離可能に設けられている。すなわち、第1ダクト61と第2ダクト64とは分離可能な構造となっている。例えば
図12の(a)(b)に示すように、第1ダクト61の空気排出口61bの外周面にウレタンフォーム等のパッキン65を設け、第2ダクト64の空気導入口64aが当該パッキン65に一部めり込むことで、当該第2ダクト64がイオン搬送装置601に接続される構造が考えられる。この接続構造によれば、
図12の(a)に示すように、第1ダクト61と第2ダクト64とが分離した状態から、第2ダクト64を、パッキン65を介して第1ダクト61側に押し込むようにするだけで、
図12の(b)に示すように、第1ダクト61と第2ダクト64との接合状態に簡単にすることができる。そして、このパッキン65により第1ダクト61と第2ダクト64との接続部分を密閉することができる。このように、パッキン65を用いた接続構造をとることで、接続部分の密閉構造を考慮した、第1ダクト61と第2ダクト64との接続・分離を、単純な押さえ込み力、引き離し力で実現することが可能となる。なお、第1ダクト61と第2ダクト64との接続構造は、あくまでも一例であり、上記の例に限定されるものではなく、第1ダクト61と第2ダクト64とが接続・分離可能な他の接続構造であってもよい。
【0071】
第2ダクト64の空気導入口64aが第1ダクト61の空気排出口61bと同じ形状、同じ大きさに形成され、空気排出口64bが空気導入口64aよりも小さくなるように形成されている。これにより、第1ダクト61と第2ダクト64とを接続した場合には、イオン搬送装置601全体としての空気排出口64bが空気導入口61aよりも小さくなるため、第1ダクト61および第2ダクト64内における空気イオンの搬送速度を速くすることができる。
【0072】
一般に、分離可能なダクトを用いたイオン搬送装置では、ダクトを分離した場合、当該ダクト内にホコリ等が侵入し、ダクトを再接続した場合、ダクト内に侵入した埃が風に乗って搬送され当該ダクトから排出される虞がある。
【0073】
上記構成イオン搬送装置601の場合、第1ダクト61と第2ダクト64とを分離した場合、第1ダクト61側に送風機が設けられているので、当該送風機の送風の力で第1ダクト61内部には埃等の侵入は防げるものの、分離された第2ダクト64側には埃等の侵入を保護する機能が無いため、当該第2ダクト64内部に埃等が侵入する虞がある。
【0074】
しかしながら、上記構成のイオン搬送装置601では、第1ダクト61と第2ダクト64とを分離する前に、第1イオン発生装置62によってマイナスイオンを放出する。これにより、第1ダクト61および第2ダクト64内は、マイナスに帯電される。第1ダクト61および第2ダクト64がマイナスに帯電し易いポリエチレン製等の樹脂ダクトであれば、当該第1ダクト61および第2ダクト64はさらにマイナスに帯電し易くなる。このように、マイナスに帯電された第1ダクト61および第2ダクト64は、空気の搬送には問題無いものの、極性を持つイオンや粒子(埃や塵等)は、帯電により搬送に制限を受ける。従って、この状態で、第1ダクト61と第2ダクト64とを分離すると、
図11の(b)に示すように、第1ダクト61の空気排出口61b、第2ダクト64の空気導入口64aおよび空気排出口64bは、数キロボルトの帯電によるフィルタ(図中の灰色箇所)が形成されることになるため、埃等の侵入を防止する事が出来る。
【0075】
一般に、埃等の侵入を防止するには、ダクトの分離部にフィルタを用いることが考えられるが、この場合のフィルタではイオンを通すことができないため、イオンを適切に搬送出来ないという問題が生じる。しかも、フィルタは別途設けた場合、コストアップの招来は避けられない。これに対して、上記のように、帯電によるフィルタであれば、埃等を搬送せず、イオンを含む空気を搬送することが可能であるため、別途フィルタを設ける必要が無く、フィルタを設けた場合に比べて、コストアップの招来を抑え、イオンを確実に搬送させることができる。
【0076】
上記のように、第1ダクト61と第2ダクト64とを分離しても、埃等の侵入を防止できるので、定期的あるいは必要に応じて第1ダクト61と第2ダクト64を分離する必要がある場合、例えば、工場の風路を切り替える場合、分離したダクトに埃等の侵入を防止することができるので、風路から埃等が工場内に排出されない。特に、埃や塵等の影響を受けやすい精密機器等を製造する工場において、本実施形態のイオン搬送装置601は好適である。
【0077】
なお、第1ダクト61,第2ダクト64として、マイナスに帯電し易いポリエチレン製等の樹脂ダクトの例について説明したが、プラスに帯電し易いナイロン系の樹脂ダクトであってもよい。マイナスに帯電し易い樹脂ダクトを用いる場合には、第1イオン発生装置62は、マイナスイオンを発生することが好ましいく、プラスに帯電し易い樹脂ダクトを用いる場合には、第1イオン発生装置62は、プラスイオンを発生することが好ましい。つまり、第1イオン発生装置62から発生するイオンの極性は、ダクトが帯電し易い極性と同じ極性であることが好ましい。この場合、第1イオン発生装置62が発生するイオンの極性と同じ極性でダクトを帯電し易くすることができる。
【0078】
また、イオン搬送装置601では、ダクトを第1ダクト61、第2ダクト64の2つに分離した例について説明したが、これに限定されるものではなく、3つ以上に分離可能としてもよい。
【0079】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るイオン搬送装置は、送風機3と、イオン発生装置4と、上記イオン発生装置4において発生したイオンを、上記送風機3から吹き出す空気と共に導入する空気導入口2aと、当該空気導入口2aから導入した空気を排出する空気排出口2bとを有するダクト2と、を含み、上記ダクト2の空気排出口2bは、当該ダクト2の空気導入口2aよりも小さいことを特徴としている。
【0080】
一般に、ダクト内におけるイオンの搬送速度が速いほど、当該ダクトから排出されるイオンの濃度低下が少ない。従って、上記構成のように、ダクトの空気排出口を、当該ダクトの空気導入口よりも小さくすることで、ダクト内におけるイオンを含む空気(空気イオン)の搬送速度を速くすることができる。これにより、ダクトの空気排出口から吹き出す空気イオンのイオン濃度を十分に確保することが可能となる。
【0081】
このように、イオン発生装置をダクトの空気導入口側に配置しても当該ダクト内でのイオン濃度の低下が少ないため、従来のように、ダクトの空気排出口側にイオン発生装置を設ける必要がなくなる。つまり、空間にイオンを吹き出す空気排出口から十分なイオン濃度の空気イオンを吹出し、且つ当該空気排出口の近傍にイオン発生装置を配置する必要のないイオン搬送装置を実現することができる。
【0082】
従って、ダクトの空気排出口側にイオン発生装置を設けない分、当該空気排出口を小さくすることが可能となり、狭い空間、あるいは複雑な空間であってもダクトを這わせて、目的の空間に空気イオンを排出することが可能となる。つまり、ダクトの形状及び空気排出口の設置の自由度を高めることができる。例えば、自動車の車内の複数箇所にダクトの空気排出口を配置する場合であっても、上記構成のイオン搬送装置を用いれば、ダクトを自動車内に自由に這わせて、空気排出口を所望する位置に設置することが可能となる。
【0083】
本発明の態様2に係るイオン搬送装置は、上記態様1において、上記ダクト2の帯電を除去する帯電除去機構(第2イオン発生装置23、イオン発生装置24)を備えていてもよい。
【0084】
ダクトの材質が樹脂であれば、帯電しやすい(プラスに帯電するか、マイナスに帯電するかは材質による)ため、一方の極性のイオンを搬送する際に、ダクトが同極性に帯電していれば、イオンを十分に搬送することができない。つまり、ダクトの空気排出口側において十分なイオン濃度の空気イオンが得られない。そこで、上記構成によれば、ダクトの帯電を除去する帯電除去機構を備えていることで、ダクト内を帯電の影響を受けずに空気イオンを搬送させることができる。従って、ダクトの空気排出口から排出される空気イオンのイオン量は、送風機からの風量によりコントロールすることが可能となる。
【0085】
本発明の態様3に係るイオン搬送装置は、上記態様1において、ダクト21・21を少なくとも2本備え、上記ダクト21・21のうち、2本のダクト21・21は近接して配置され、それぞれのダクト21・21の空気導入口21a側に、上記イオン発生装置(第1イオン発生装置22、第2イオン発生装置23)が設置されており、上記2本のダクト21・21の一方のダクト21の空気導入口21a側に設置されたイオン発生装置(第2イオン発生装置23)は、プラスイオン及びマイナスイオンを当該ダクト21内に発生させ、他方のダクト21の空気導入口21a側に設置されたイオン発生装置(第1イオン発生装置22)は、マイナスイオンまたはプラスイオンを当該ダクト21内に発生させてもよい。
【0086】
上記構成によれば、近接された2本のダクトのうち、一方のダクトの空気導入口側に設置されたイオン発生装置は、プラスイオン及びマイナスイオンを発生させ、他方のダクトの空気導入口側に設置されたイオン発生装置は、マイナスイオンまたはプラスイオンを発生させることで、他方のダクトの帯電を一方のダクトに搬送されるプラスイオン及びマイナスイオンによって除去することができる。例えば、他方のダクトにマイナスイオンが搬送されれば、当該ダクトはマイナスに帯電する。そこで、他方のダクトに近接した一方のダクトに搬送されるイオンのうちプラスイオンによって、当該他方のダクトの帯電を除去することができる。他方のダクトにプラスイオンが搬送される場合、当該ダクトはプラスに帯電するので、一方のダクトに搬送されるイオンのうちマイナスイオンによって、当該他方のダクトの帯電を除去することができる。
【0087】
これにより、帯電によるイオン量の低下を招かずに、ダクトによってイオンを搬送させることができる。
【0088】
本発明の態様4に係るイオン搬送装置は、上記態様1において、イオン発生装置24は、プラスイオン及びマイナスイオンを発生し、発生した一方の極性のイオンを上記ダクト2によって搬送させ、他方の極性のイオンを当該ダクト2に当ててもよい。
【0089】
上記構成によれば、イオン発生装置が、発生した一方の極性のイオンをダクトによって搬送させ、他方の極性のイオンを当該ダクトに当てることで、ダクトの帯電を除去することができる。例えば、ダクトによって搬送されるのがマイナスイオンであれば、プラスイオンをダクトに当てることで、ダクトの帯電を除去することができる。また、ダクトによって搬送されるのがプラスイオンであれば、マイナスイオンをダクトに当てることで、ダクトの帯電を除去することができる。
【0090】
これにより、帯電によるイオン量の低下を招かずに、ダクトによってイオンを搬送させることができる。
【0091】
本発明の態様5に係るイオン搬送装置は、上記態様4において、上記ダクト2の帯電量を検知する帯電量検知回路25を備え、上記イオン発生装置24は、上記帯電量検知回路25によって検知された帯電量に応じて、上記ダクト2に当てるイオンの発生量を設定してもよい。
【0092】
上記構成によれば、イオン発生装置が、帯電量検知回路によって検知された帯電量に応じて、上記ダクトに当てるイオンの発生量を設定(調整)することで、ダクトの帯電量に応じた適切な量の帯電除去用のイオンを発生することができるため、無駄なイオン(帯電除去に用いられないイオン)の発生を抑制することが可能となる。
【0093】
本発明の態様6に係るイオン搬送装置は、上記態様1〜5の何れか1態様において、上記ダクト(2,21,32)は、当該ダクト(2,21,32)に搬送されるイオンの極性と逆の極性に帯電する材質で形成されていてもよい。
【0094】
上記構成によれば、ダクトが、当該ダクトに搬送されるイオンの極性と逆の極性に帯電する材質で形成されていることで、帯電によるイオン量の低下を招かずに、ダクトによってイオンを搬送させることができる。
【0095】
本発明の態様7に係るイオン搬送装置は、上記態様1において、上記イオン発生装置を2台含み、上記2台のイオン発生装置のうち、1台はプラスイオンまたはマイナスイオンを発生する第1イオン発生装置(52,62)、残りの1台はプラスイオンおよびマイナスイオンを発生する第2イオン発生装置(53,63)であることが好ましい。
【0096】
上記構成によれば、第1イオン発生装置が、発生した一方の極性のイオンをダクトに搬送させることで、ダクト内を搬送されたイオンの極性に帯電させることができる。次に、第2イオン発生装置が発生したプラスイオンおよびマイナスイオンをダクトに搬送させることで、ダクト内の帯電をプラスイオンまたはマイナスイオンの何れかにより除去することができる。例えば、ダクトがプラスに帯電されていれば、マイナスイオンにより帯電を除去でき、ダクトがマイナスに帯電されていれば、プラスイオンにより帯電を除去できる。
【0097】
これにより、ダクト内の帯電によるイオン量の低下を招かずに、ダクトによってイオンを適切に搬送させることができる。
【0098】
本発明の態様8に係るイオン搬送装置は、上記態様7において、第1イオン発生装置(52,62)から発生するイオンの極性は、上記ダクト(51,第1ダクト61,第2ダクト64)が帯電し易い極性と同じ極性であることが好ましい。
【0099】
上記構成によれば、第1イオン発生装置が発生するイオンの極性と同じ極性でダクトを帯電し易くすることができる。
【0100】
本発明の態様9に係るイオン搬送装置は、上記態様8において、上記ダクト(第1ダクト61,第2ダクト64)は、少なくとも2つに分離可能な構造であることが好ましい。
【0101】
上記構成によれば、ダクトは、少なくとも2つに分離可能な構造であることで、様々な空間にイオン搬送装置を適用することが可能となる。例えば、複雑な構造物の間を、ダクトを這わす場合等に、ダクトが分離可能な構造であることが好ましい。
【0102】
本発明の態様10に係る自動車は、上記態様1〜9の何れか1態様に記載のイオン搬送装置を備えていてもよい。
【0103】
上記構成によれば、自動車の車内をイオンで満たすことが可能となる。
【0104】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。