(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
【0012】
〔第1実施形態〕
以下においては、本実施形態に係る塗布ブラシ100の構成要素の位置関係の説明を簡単にするため、
図1及び
図2における上方向が先端側、下方向が基端側、左方向が前方(前面側)、右方向が後方(背面側)であるものとする。また、
図1及び
図2における上下方向を先基端方向と称する場合がある。
【0013】
また、
図5に示す塗布用具300に関しては、構成要素の位置関係の説明を簡単にするため、
図5における上方向が上方、下方向が下方であるものとする。ただし、この上下方向は、塗布用具300、塗布用具300の容器200及び塗布用具300の塗布ブラシ100の製造時及び使用時における方向を制限するものではない。
【0014】
また、
図2及び
図5においては、芯材30を模式的に示している。
また、
図3、
図4及び
図6においては、複数の毛40(毛集合体41)について、複数の毛40を包絡する領域を模式的に示している。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る塗布ブラシ100は、柄部10と、柄部10の先端10aから当該柄部10の延長方向に延出しているブラシ部20と、を備えている。ブラシ部20は、芯材30と、芯材30に支持されていて芯材30の周囲に突出している毛40と、を備えている。
芯材30は、柄部10から上記延長方向に延出している延出部33と、延出部33の先端部から折り返されて延出部33と並んで配置されている折り返し部34と、を含む一繋がりの折り曲げ形状に形成されている。延出部33と折り返し部34とのうち折り返し部34にのみ毛40が設けられている。すなわち、毛40は、延出部33と折り返し部34とのうち折り返し部34に選択的に設けられている。そして、毛40のうち、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aは、延出部33を超えない長さに設定されている。
このように、折り返し部34が延出部33に対して折り返された状態となっており、芯材30において延出部33と折り返し部34とを含む部分は、折り曲げ形状(折り返し形状)となっている。なお、折り返し部34を基準としたときには、延出部33は折り返し部34の先端部から折り返されて折り返し部34と並んで配置されている。
ブラシ部20の作製に際しては、延出部33を固定した状態で折り返し部34を延出部33に対して相対的に移動させることで折り返し部34を延出部33に対して折り返しても良いし、折り返し部34を固定した状態で延出部33を折り返し部34に対して相対的に移動させることで延出部33を折り返し部34に対して折り返しても良いし、延出部33と折り返し部34との双方を他方に対して相対的に移動させることで延出部33と折り返し部34とを互いに折り返しても良い。
ここで、ブラシ部20が柄部10の延長方向に延出しているとは、ブラシ部20が柄部10の長手軸の延長線の方向に延出していることに限らず、柄部10の長手軸の延長線の方向成分を持つ方向であって当該延長線の方向に対して傾斜する方向に延出していることでもよい。
同様に、延出部33が柄部10の延長方向に延出しているとは、延出部33が柄部10の長手軸の延長線の方向に延出していることに限らず、柄部10の長手軸の延長線の方向成分を持つ方向であって当該延長線の方向に対して傾斜する方向に延出していることでもよい。
また、毛40が芯材30の周囲に突出しているとは、毛40が、芯材30の径方向成分を持つ方向へ、芯材30から突出していることである。
【0016】
本実施形態の場合、塗布ブラシ100は、いわゆるねじりブラシである。
すなわち、芯材30は、螺旋状に並進している複数本のワイヤ(例えば第1ワイヤ31及び第2ワイヤ32の2本のワイヤ)を含んで構成され、毛40は、複数本のワイヤどうしの間に挟み込まれている。
芯材30を構成する複数本のワイヤは、SUSなどの金属製のワイヤであることが好ましい。
毛40の材料は特に限定されないが、毛40は、例えば、熱可塑性樹脂により構成された繊維であることが挙げられる。
【0017】
第1ワイヤ31と第2ワイヤ32との間に複数本の毛40を含む毛束を挟んだ状態で、第1ワイヤ31と第2ワイヤ32とを螺旋状に撚りあわせることによって、1本の芯材30が構成されている。この1本の芯材30を
図2に示す形状に屈曲させることによって、ブラシ部20が構成されている。
すなわち、芯材30は、延出部33と折り返し部34とを含む一繋がりの折り曲げ形状に形成されている。
また、延出部33と折り返し部34とのうち折り返し部34にのみ毛40が設けられている。より詳細には、芯材30において後述する第2直線部34aとなる部位の全域に亘って均一に毛40が設けられている。
なお、芯材30に設けられた複数の毛40の集合体を、毛集合体41と称する。
【0018】
本実施形態の場合、折り返し部34に設けられている毛40のうち、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aは、他の向きに延びている毛40bと比べて短い(
図1、
図2、
図4参照)。
これにより、折り返し部34に設けられている毛40のうち、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aが、延出部33を超えない長さに設定された構成が、好適に実現されている。
【0019】
延出部33は、直線形状の第1直線部33aと、第1直線部33aの先端側に位置する屈曲形状の第1屈曲部33bと、を含んでいる。
本実施形態の場合、第1屈曲部33bは、第1直線部33aの先端側に連接されている。
また、
図2に示すように、延出部33の基端部は、芯材30の一端部30aである。一端部30aは、柄部10の先端部に埋設固定されている。
【0020】
また、折り返し部34は、直線形状の第2直線部34aと、第2直線部34aの先端側に位置する屈曲形状の第2屈曲部34bと、を含んでいる。第2直線部34aは、第1直線部33aから離間しているとともに第1直線部33aと並んで配置されており、且つ、第2直線部34aには毛40が設けられている。
本実施形態の場合、第2屈曲部34bは、第2直線部34aの先端側に連接されている。
なお、毛40は、例えば、第2直線部34aの長手方向全域に亘って均一に配置されている。
ただし、第2屈曲部34bには毛が設けられていない。
【0021】
本実施形態の場合、芯材30の先端部30cは、弧状にループしており、第2屈曲部34bと第1屈曲部33bは、同一円弧上に配置されている。また、第2屈曲部34bと第1屈曲部33bとは、それらの先端どうしにて互いに連接されている。
また、第1直線部33aと第2直線部34aとは、例えば、互いに平行に延在している。
本実施形態の場合、折り返し部34に設けられている毛40のうち、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aは、延出部33に達しない(届かない)長さに設定されている。
【0022】
折り返し部34は、更に、第2直線部34aの基端側に位置していて第2直線部34aに対して傾斜する方向に延在している第3直線部34cと、第3直線部34cの基端側に位置していて第2直線部34a及び第1直線部33aに対して平行に延在している第4直線部34dと、を含んでいる。
より詳細には、第3直線部34cは、第2直線部34aの基端側に連接されており、第4直線部34dは第3直線部34cの基端側に連接されている。
また、第4直線部34dは、前後方向において、第1直線部33aの基端部と隣接して配置されている。なお、第4直線部34dと第1直線部33aとは、互いに接していても良いし、互いに非接触であっても良い(それらの間に間隙が存在していても良い)。
第3直線部34cは、先端側に向けて第1直線部33aから次第に遠ざかっている。
図2に示すように、第4直線部34dにおける基端側の部分は、芯材30の他端部30bである。他端部30bは、柄部10の先端部に埋設固定されている。
なお、芯材30は、例えば、柄部10の周面には露出しておらず、柄部10の先端面である先端10aから突出している。
また、第1直線部33a、第2直線部34a及び第4直線部34dは、柄部10の軸線AX1に対して平行に配置されている。
【0023】
柄部10は、一方向に長尺な棒状体である。
塗布ブラシ100は、更に、使用者に把持される把持部50を備えている。
本実施形態の場合、把持部50は円筒状に形成されている。
柄部10は、その基端側において把持部50によって支持されており、柄部10は把持部50から突出している。柄部10は、例えば、円筒状の把持部50と同軸に配置されている。
【0024】
より詳細には、塗布ブラシ100は、例えば、柄部10を構成する柄部構成部材110と、把持部50を構成する把持部構成部材150と、を備えており、これら柄部構成部材110と把持部構成部材150とが相互に固定されている。
【0025】
柄部構成部材110は、例えば、把持部構成部材150に固定されている被固定部111と、被固定部111の先端側に連接されていて被固定部111から先端側に突出している嵌入部112と、嵌入部112の先端側に連接されている棒状の棒状部113と、を備えて構成されている。
被固定部111は円筒状に形成されている。嵌入部112は被固定部111よりも小径の円筒状に形成されている。なお、被固定部111の先端は閉塞されていて、嵌入部112の基端部は被固定部111の先端部に対して周回状に固定されている。また、嵌入部112の先端部も閉塞されている。被固定部111、嵌入部112及び棒状部113は互いに同軸に配置されている。
棒状部113によって柄部10が構成されている。
【0026】
把持部構成部材150は、全体が円筒形状に形成されている。すなわち、把持部構成部材150は円筒状の筒状部151と、筒状部151の基端側の端部を閉塞している平板状の閉塞部152と、を備えている。
筒状部151の内部空間における基端側部分は、柄部構成部材110の被固定部111が嵌合固定される嵌合凹部154を構成している。
筒状部151において嵌合凹部154の先端側に隣接する部位は、内周面にネジ山が形成された雌ネジ部153を構成している。
筒状部151の先端部には開口部151aが形成されている。柄部10(棒状部113)は、開口部151aを介して、把持部構成部材150の内部から外部に突出している。
柄部構成部材110(被固定部111、嵌入部112、棒状部113)は、筒状部151と同軸に配置されている。
【0027】
ここで、ブラシ部20の総体(延出部33、折り返し部34及び毛集合体41)は、は先基端方向に長尺な棒状に形成されている。
また、上述のように、延出部33と折り返し部34とのうち折り返し部34にのみ毛40が設けられている(毛集合体41が設けられている)。したがって、ブラシ部20の周方向において局部的に毛40が設けられている。
すなわち、
図1及び
図2に示すように、ブラシ部20における前側の部分に毛40(毛集合体41)が配置されている。
【0028】
このように、ブラシ部20は、当該ブラシ部20における毛40(毛集合体41)の背面側に、棒状の延出部33が配置された構造となっている。
【0029】
図1から
図3に示すように、塗布ブラシ100は、更に、ブラシ部20の周方向において毛40が設けられている側を示す指標部(例えば面取り形状部60)を備えている。指標部は、把持部50において、ブラシ部20の毛40が設けられている側に形成されている。すなわち、把持部50の前部に指標部が形成されている。
図3に示すように、指標部は、把持部50の外周面(筒状部151の外周面)に形成された面取り形状部60である。面取り形状部60は、例えば、平面形状の面取り形状部60である。
面取り形状部60は、例えば、基端側に向けて幅広となっており、且つ、基端側に向けて円筒状の把持部50の軸心に近づく方向に傾斜している。
【0030】
ここで、
図4は
図1のA−A線に沿った矢視断面において、塗布ブラシ100の各部の外形線の位置関係を示す図である。なお、
図1のA−A線に沿った矢視断面は、柄部10の軸線AX1に対して直交する断面で切断した矢視断面である。
図4には、延出部33の外形線(模式的に円形で示している)、折り返し部34の外形線(模式的に円形で示している)、毛集合体41の外形線、柄部10の外形線(全体を点線で示している)、及び、把持部50の外形線(筒状部151の外形線)(全体を一点鎖線で示している)を示している。
更に、
図4には、柄部10の軸線AX1の位置と、軸線AX1の延長線L1との位置を示している。
【0031】
図4に示すように、柄部10の軸線AX1の延長線L1と第1直線部33aとの距離D1が、延長線L1と第2直線部34aとの距離D2よりも短い。
換言すれば、直線部33aは、第2直線部34aよりも、延長線L1の近くに配置されている。
なお、延長線L1は、第1直線部33aと重なっていても良い。すなわち、距離D1は、ゼロでも良い。
【0032】
更に、
図4に示すように、第1直線部33aが柄部10の延長上に配置されている。すなわち、柄部10の軸線AX1の方向に塗布ブラシ100を見たときに、第1直線部33aの全体が柄部10と重なっている。
【0033】
なお、
図4に示すように、毛集合体41の外形線は、略D字形状に形成されている。すなわち、毛集合体41における延出部33側の面は、平面状に形成されている。
また、柄部10の軸線AX1の方向に塗布ブラシ100を見たときに、柄部10、延出部33、折り返し部34及び毛40(毛集合体41)の全体が把持部50と重なっている。
【0034】
塗布ブラシ100は、以上のように構成されている。
【0035】
次に、
図5を用いて本実施形態に係る塗布用具300を説明する。
塗布用具300は、上述した塗布ブラシ100と、以下に説明する容器200と、を備えて構成されている。
容器200は、例えば、容器本体210と、しごき部材220と、を備えて構成されている。
【0036】
容器本体210の形状は特に限定されないが、例えば、容器本体210は、下端が閉塞された筒状の胴部211と、胴部211よりも小径に形成されていて胴部211の上側に配置されている円筒状の口頸部213と、口頸部213の下端部と胴部211の上端部とを相互に接続している環状の肩部212と、を備えている。
胴部211は、塗布ブラシ100を用いて頭髪などの塗布対象に塗布される塗布剤230を収容している。なお、塗布剤230は、例えば、染毛剤である。
更に、胴部211は、塗布剤230を攪拌するための攪拌球240を収容している。
口頸部213の少なくとも一部分は、外周面にネジ山が形成された雄ネジ部214となっている。雄ネジ部214は、把持部50(把持部構成部材150)の雌ネジ部153と螺合する部分である。
【0037】
しごき部材220は、エラストマー等の弾性変形容易な材料により構成された部材である。
しごき部材220は、円筒状の本体部221と、本体部221の下端部に形成された円環状の第1係止部222と、本体部221の上端部に形成された円環状の第2係止部223と、を備えている。本体部221は、口頸部213の内径と同等の外径寸法を有しており、口頸部213に挿通されている。
第1係止部222及び第2係止部223は、口頸部213よりも大径に形成されている。
第1係止部222は、口頸部213を通して胴部211内に嵌め込まれている。しごき部材220を口頸部213から引き抜く方向の力が作用したときには、第1係止部222が肩部212の内面である被係止部212aに対して係合し、口頸部213からのしごき部材220の脱落が規制されるようになっている。
また、第2係止部223は、口頸部213の先端面に対して係止されている。
【0038】
しごき部材220は、更に、塗布剤230が付着したブラシ部20を容器200から取り出す際にブラシ部20から余分な塗布剤230をしごき取るためのしごき部224と、飛散抑止部225と、を有している。
しごき部224は、例えば、平面視において放射状のスリットが形成された膜体であり、ブラシ部20及び柄部10が当該しごき部224を通過可能となっている。
しごき部224は、本体部221の下端部に配置されている。飛散抑止部225は、しごき部224の上方に配置されている。
飛散抑止部225は、例えば、平面視において円形の通過孔が形成された膜体であり、ブラシ部20及び柄部10が当該飛散抑止部225を通過可能となっている。
【0039】
把持部50は、容器200のキャップとしての機能を兼ねており、保管時等の通常時には、
図5に示すように、把持部50が容器200の口頸部213に装着されている。
把持部50を口頸部213に装着するには、先ず、塗布ブラシ100のブラシ部20及び柄部10を先端側(
図5では下端側)から容器200内に挿入する。すなわち、ブラシ部20及び柄部10をしごき部材220に挿通(本体部221、飛散抑止部225、しごき部224に挿通)し、更に、ブラシ部20及び柄部10を胴部211内に挿入する。そして、雌ネジ部153と雄ネジ部214とを螺合させる。これにより、把持部50によって口頸部213の上端の開口(しごき部材220の上端の開口)が閉塞される。
把持部50が口頸部213に装着された状態では、ブラシ部20が容器200内の塗布剤230に浸漬された状態となるとともに、柄部10が飛散抑止部225及びしごき部224を貫通した状態となる。
【0040】
塗布ブラシ100を用いて頭髪などの塗布対象に塗布剤230を塗布する際には、先ず、雌ネジ部153と雄ネジ部214との螺合を解除して柄部10及びブラシ部20を容器200から引き抜く。
このとき、柄部10及びブラシ部20がしごき部224によってしごかれる。
これにより、柄部10及び延出部33に付着していた塗布剤230は実質的に除去されるとともに、折り返し部34に設けられた毛集合体41には適量の塗布剤230はが付着した状態となる。
また、しごき部224によって毛集合体41がしごかれる際に塗布剤230が容器200の外部に飛散することが、飛散抑止部225によって抑止される。
【0041】
容器200から引き抜いた塗布ブラシ100によって塗布剤230を塗布対象に塗布する際には、ブラシ部20において、毛40(毛集合体41)が設けられている折り返し部34と、毛40が設けられていない延出部33とのうち、折り返し部34が塗布対象側となるようにして把持部50を把持し、毛集合体41を塗布対象に当てて、塗布剤230を塗布する。
【0042】
ここで、把持部50には面取り形状部60が形成されているため、使用者は、把持部50を把持することによって、ブラシ部20の周方向において毛40(毛集合体41)が設けられている側を触覚により認識することができる。よって、ブラシ部20を狙った部位に当てることが容易となる。
これにより、狙った部位に塗布剤230を付着させる作業が容易になるとともに、余計な部位に塗布剤230を付着させてしまうことを抑制できる。
例えば、把持部50を把持する手の親指等、いずれかの指の腹を面取り形状部60に当てて把持部50を把持することにより、把持部50を安定的に把持できるとともに、ブラシ部20の毛40(毛集合体41)を容易に塗布対象に向けて、該塗布対象に毛40を当てることができる。
【0043】
また、芯材30は、延出部33と、延出部33の先端部から折り返されて延出部33と並んで配置されている折り返し部34と、を含む一繋がりの折り曲げ形状に形成されている。すなわち、芯材30がブラシ部20の先端部においてループしている。このため、ブラシ部20の先端部に対して頭髪等の体毛が引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0044】
また、毛40(毛集合体41)の背面側に延出部33が配置されており、且つ、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aが延出部33を超えない長さに設定されているため、ブラシ部20の背面側に対して頭髪が引っ掛かってしまうことを抑制できる。
【0045】
ここで、
図6を参照して、塗布ブラシ100を用いて頭髪70の生え際(根元)に塗布剤230を塗布する場合について説明する。
塗布剤230を塗布するために頭髪70の根元に毛40(毛集合体41)を当てたときに、一部の頭髪70aがブラシ部20の上にのってしまうことがある。この場合も、塗布ブラシ100を柄部10の軸心方向(矢印A方向)に引き抜くことにより、頭髪70aがブラシ部20に引っ掛かることなく、スムーズにブラシ部20を引き抜くことができる。何故なら、毛40(毛集合体41)の背面側に延出部33が配置されており、且つ、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aが延出部33を超えない長さに設定されているためである。ここで、延出部33には毛40が設けられていないため、頭髪70は延出部33上でスムーズに滑動することができる。また、ブラシ部20を柄部10の軸心方向(矢印A方向)にスムーズに引き抜くことができため、頭髪70aの毛先に塗布剤230が付着することを抑制できる。よって、塗布剤230が付着した頭髪70aが顔などに垂れて、顔などが塗布剤230で汚れてしまうことを抑制できる。
また、芯材30には実質的に塗布剤230が付着しないので、延出部33にのった頭髪70に対する塗布剤230の付着を抑制できる。つまり、延出部33は、頭髪70をブラシ部20に対してスムーズに滑らせる機能と、頭髪70に対する毛40(毛集合体41)の接触を規制する機能とを有する。
このように、頭髪70がブラシ部20の背面側の延出部33にのった時でも、頭髪70において意図しない部分に塗布剤230を付着させてしまうことを抑制でき、且つ、顔などの頭髪70以外の部分を塗布剤230によって汚してしまうことも抑制できる。つまり、狙った部位に対して選択的に塗布剤230を塗布することが容易となる。
【0046】
また、
図4に示すように、距離D2が距離D1よりも長いことにより、毛40(毛集合体41)が設けられた折り返し部34の第2直線部34aは、延出部33の直線部33aよりも、柄部10の延長上から張り出した構造となっている。これにより、毛40(毛集合体41)によって容易に塗布剤230を塗布対象に塗布できるとともに、延出部33と塗布対象との干渉を抑制できる。
より詳細には、延出部33の第1直線部33aが柄部10の延長上に配置されているため、延出部33と塗布対象との干渉をより好適に抑制できる。
【0047】
また、折り返し部34の先端側の部分である第2屈曲部34bには毛40が設けられていないため、もし手元が狂って第2屈曲部34bが頭皮などの塗布対象からずれた部位に接触した場合でも、当該部位に塗布剤230が付着してしまうことを抑制できる。
【0048】
以上のような第1実施形態によれば、ブラシ部20は、芯材30と毛40とを備え、芯材30は、延出部33と、延出部33の先端部から折り返されて延出部33と並んで配置されている折り返し部34と、を含む一繋がりの折り曲げ形状に形成されている。そして、延出部33と折り返し部34とのうち折り返し部34にのみ毛40が設けられており、折り返し部34から延出部33に向けて延びている毛40aは延出部33を超えない長さに設定されている。
これにより、頭髪70などの体毛が意図せずブラシ部20に引っ掛かってしまうことを抑制することができ、その結果として、意図しない部位に塗布剤230が付着してしまうことも抑制可能である。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、
図7を用いて第2実施形態に係る塗布ブラシ100について説明する。
本実施形態に係る塗布ブラシ100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る塗布ブラシ100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る塗布ブラシ100と同様に構成されている。
【0050】
本実施形態の場合、折り返し部34は、第2直線部34aに対して傾斜している第5直線部34e(第5直線部)を第2直線部34aと第2屈曲部34bとの間に有している。
すなわち、延出部33は、直線形状の第1直線部33aと、第1直線部33aの先端側に位置する屈曲形状の第1屈曲部33bと、を含み、折り返し部34は、第1直線部33aから離間しているとともに第1直線部33aと並んで配置されている直線形状の第2直線部34aと、第2直線部34aの先端側に位置していて第2直線部34aに対して傾斜している傾斜部(例えば、第5直線部34e)と、傾斜部34aの先端側に位置する屈曲形状の第2屈曲部34bと、を含んでいる。
そして、第2直線部34aと傾斜部(第5直線部34e)とにそれぞれ毛40が設けられている。
【0051】
本実施形態の場合、傾斜部は、直線形状の第5直線部34eである。
第5直線部34eの長さは、第2直線部34aの長さよりも短い。
第5直線部34eの長さは特に限定されないが、例えば、2mm以上10mm以下とすることができ、好ましくは、例えば5mm程度とすることができる。
また、第2直線部34aの長さは特に限定されないが、例えば、10mm以上30mm以下とすることができ、好ましくは、例えば、20mm程度とすることができる。
第5直線部34eに設けられた毛40は、当該第5直線部34eの先端側に設けられているものの方が、長さが短くなっている。すなわち、第5直線部34eに設けられた毛40の長さは、第5直線部34eの先端側に向けて短くなっている。
本実施形態の場合も、第2直線部34aと第1直線部33aとは互いに平行に延在している。このため、第5直線部34eの軸線AX3は、第1直線部33aの軸線AX2に対して傾斜している。
軸線AX2と軸線AX3とのなす角度αは、例えば、10度以上20度以下とすることができ、好ましくは、例えば15度程度とすることができる。
【0052】
第2実施形態の場合、折り返し部34は、第2直線部34aに対して傾斜している第5直線部34eを有しており、この第5直線部34eにも毛40が設けられている。このため、第2直線部34aの先端側に位置する第5直線部34eを用いて、細かい部分に対して塗布剤230を選択的に塗布することが容易となる。
【0053】
なお、第2実施形態では、傾斜部が直線形状の第5直線部34eである例を説明したが、傾斜部は、第2屈曲部34bよりも曲率が小さい(第2屈曲部34bよりも曲率半径が大きい)屈曲部であってもよい。
【0054】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0055】
例えば、上記においては、塗布ブラシ100がねじりブラシである例を説明したが、本発明は、この例に限らず、ブラシ部20(芯材30及び毛40(毛集合体41))は、エラストマーを材料とする射出成形により一体成形されていてもよい。
【0056】
また、第1直線部33aの代わりに、屈曲した棒状の部分が設けられていてもよい。同様に、第2直線部34aの代わりに、屈曲した棒状の部分が設けられていてもよい。
【0057】
また、折り返し部34から延出部33側に延びている毛40aは、実質的に存在していなくても良い(毛40aの長さは実質的にゼロでも良い)。
【0058】
また、上記の実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0059】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含する。
<1>柄部と、前記柄部の先端から当該柄部の延長方向に延出しているブラシ部と、を備える塗布ブラシであって、
前記ブラシ部は、芯材と、前記芯材に支持されていて前記芯材の周囲に突出している毛と、を備え、
前記芯材は、前記柄部から前記延長方向に延出している延出部と、前記延出部の先端部から折り返されて前記延出部と並んで配置されている折り返し部と、を含む一繋がりの折り曲げ形状に形成されており、
前記延出部と前記折り返し部とのうち前記折り返し部にのみ前記毛が設けられており、
前記毛のうち、前記折り返し部から前記延出部に向けて延びている毛は、前記延出部を超えない長さに設定されている塗布ブラシ。
<2>前記毛のうち、前記折り返し部から前記延出部に向けて延びている毛は、他の向きに延びている毛と比べて短い<1>に記載の塗布ブラシ。
<3>前記延出部は、直線形状の第1直線部と、前記第1直線部の先端側に位置する屈曲形状の第1屈曲部と、を含み、
前記折り返し部は、前記第1直線部から離間しているとともに前記第1直線部と並んで配置されており且つ前記毛が設けられている直線形状の第2直線部と、前記第2直線部の先端側に位置する屈曲形状の第2屈曲部と、を含み、
前記柄部の軸線の延長線と前記第1直線部との距離が、前記延長線と前記第2直線部との距離よりも短い<1>又は<2>に記載の塗布ブラシ。
<4>前記第1直線部が前記柄部の延長上に配置されている<3>に記載の塗布ブラシ。
<5>使用者に把持される把持部と、
前記ブラシ部の周方向において前記毛が設けられている側を示す指標部と、
を備え、
前記指標部は、前記把持部において、前記ブラシ部の前記毛が設けられている側に形成されている<1>から<4>のいずれか一項に記載の塗布ブラシ。
<6>前記把持部は、円筒状に形成されており、
前記指標部は、前記把持部の外周面に形成された面取り形状部である<5>に記載の塗布ブラシ。
<7>前記延出部は、直線形状の第1直線部と、前記第1直線部の先端側に位置する屈曲形状の第1屈曲部と、を含み、
前記折り返し部は、前記第1直線部から離間しているとともに前記第1直線部と並んで配置されている直線形状の第2直線部と、前記第2直線部の先端側に位置していて前記第2直線部に対して傾斜している傾斜部と、前記傾斜部の先端側に位置する屈曲形状の第2屈曲部と、を含み、
前記第2直線部と前記傾斜部とにそれぞれ前記毛が設けられている<1>から<6>のいずれか一項に記載の塗布ブラシ。
<8>前記折り返し部は、直線形状の第2直線部と、前記第2直線部の先端側に位置する屈曲形状の第2屈曲部と、を含み、
前記第2屈曲部には前記毛が設けられていない<1>から<7>のいずれか一項に記載の塗布ブラシ。
<9>前記芯材は、螺旋状に並進している複数本のワイヤを含んで構成され、
前記毛は、前記複数本のワイヤどうしの間に挟み込まれている<1>から<8>のいずれか一項に記載の塗布ブラシ。