特許第6772063号(P6772063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6772063誘導可能なキメラポリペプチドを使用して細胞を活性化するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772063
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】誘導可能なキメラポリペプチドを使用して細胞を活性化するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20201012BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20201012BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20201012BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20201012BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20201012BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20201012BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20201012BHJP
   A61K 35/16 20150101ALI20201012BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 1/06 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 33/02 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20201012BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   C12N15/62 ZZNA
   C07K19/00
   C07K14/715
   C07K14/705
   C12N5/10
   A61K35/17 Z
   A61K35/15 Z
   A61K35/14 Z
   A61K35/16 Z
   A61P37/04
   A61K31/4545
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P25/00
   A61P37/02
   A61P7/00
   A61P19/00
   A61P7/06
   A61P17/14
   A61P31/18
   A61P1/06
   A61P31/12
   A61P33/06
   A61P33/02
   A61P31/04
   A61P31/06
【請求項の数】53
【全頁数】282
(21)【出願番号】特願2016-550700(P2016-550700)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公表番号】特表2017-506507(P2017-506507A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】US2015015829
(87)【国際公開番号】WO2015123527
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】61/952,839
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/940,347
(32)【優先日】2014年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/047,875
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510274452
【氏名又は名称】ベリカム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フォスター, アーロン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】コリンソン−パウツ, マシュー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】スローウィン, ケビン
【審査官】 山本 匡子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−503019(JP,A)
【文献】 特表2013−525305(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/079000(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−90
C07K 1/00−19/00
MEDLINE/BIOSIS/WPIDS/REGISTRY/CAPLUS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)誘導可能なキメラ刺激分子をコードする第1の核酸配列であって、該誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、第1のポリヌクレオチド;ならびに
b)キメラ抗原レセプターをコードする第2の核酸配列
を含む、核酸であって、該誘導可能なキメラ刺激分子が、領域(i)〜(iii)を、ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシ末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、核酸
【請求項2】
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、さらに(iv)膜標的化領域を含む、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iv)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(iv)、(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
前記多量体化領域が、FKBP12領域である、請求項1〜のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項5】
前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、請求項に記載の核酸。
【請求項6】
前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、請求項に記載の核酸。
【請求項7】
前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメント、あるいは配列番号10のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含む、請求項に記載の核酸。
【請求項8】
前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメント、あるいは配列番号12のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、請求項に記載の核酸。
【請求項9】
残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、請求項に記載の核酸。
【請求項10】
前記多量体化領域が、多量体リガンドに結合し、前記多量体リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、請求項のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項11】
前記多量体リガンドが、AP1903である、請求項1に記載の核酸。
【請求項12】
前記第1の核酸配列と前記第2の核酸配列の両方に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、請求項1〜1のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項13】
前記第1の核酸配列に作動可能に連結された第1のプロモーターおよび前記第2の核酸配列に作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む、請求項1〜1のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項14】
前記第1の核酸配列と前記第2の核酸配列との間にリンカーポリペプチドをコードする第3の核酸配列をさらに含み、ここで、該リンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後の該第1および第2の核酸配列の翻訳産物を分断している、請求項1〜1のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項15】
前記リンカーポリペプチドが、2Aポリペプチドである、請求項1に記載の核酸。
【請求項16】
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、配列番号49のアミノ酸配列を有するMyD88ポリペプチド領域もしくは配列番号134のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチド領域またはそれらの機能的フラグメントを含む、請求項1〜1のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項17】
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、配列番号49のアミノ酸配列を有するMyD88ポリペプチド領域を含む、請求項1に記載の核酸。
【請求項18】
前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、請求項1〜1のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項19】
前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、請求項1〜1のいずれか1項に記載の核酸。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変された細胞。
【請求項21】
前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞またはNK細胞である、請求項2に記載の改変された細胞。
【請求項22】
前記改変された細胞が、T細胞である、請求項2に記載の改変された細胞。
【請求項23】
前記改変された細胞が、ヒト細胞である、請求項2〜2のいずれか1項に記載の改変された細胞。
【請求項24】
被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための組み合わせ物であって、
(a)請求項2〜2のいずれか一項に記載の改変された細胞;および
(b)前記多量体化領域に結合する有効量の多量体リガンド
を含む、組み合わせ物。
【請求項25】
前記被験体が、腫瘍を有すると診断されているか、がんを有するか、あるいは血液疾患または骨髄疾患を有する、請求項2に記載の組み合わせ物。
【請求項26】
細胞において誘導可能なキメラ刺激分子を発現させるためのエキソビボ方法であって、該方法は、請求項1〜19のいずれか1項に記載の核酸を、該核酸が細胞に組み込まれる条件下において該細胞と接触させる工程を含み、それにより、該細胞は、該組み込まれた核酸からキメラ抗原レセプターを発現する、方法。
【請求項27】
誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変されたT細胞であって、ここで、該誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含み、該誘導可能なキメラ刺激分子が、領域(i)〜(iii)を、ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシ末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、改変されたT細胞。
【請求項28】
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、(iv)膜標的化領域をさらに含む、請求項2に記載の改変されたT細胞。
【請求項29】
前記多量体化領域が、FKBP12領域である、請求項2に記載の改変されたT細胞。
【請求項30】
前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、請求項29に記載の改変されたT細胞。
【請求項31】
前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、請求項29に記載の改変されたT細胞。
【請求項32】
前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメント、あるいは配列番号10のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチまたはその機能的フラグメントを含む、請求項29に記載の改変されたT細胞。
【請求項33】
前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメント、あるいは配列番号12のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、請求項3に記載の改変されたT細胞。
【請求項34】
残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、請求項3に記載の改変されたT細胞。
【請求項35】
前記多量体化領域が、多量体化リガンドに結合し、前記多量体リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、請求項274のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【請求項36】
前記多量体リガンドが、AP1903である、請求項3に記載の改変されたT細胞。
【請求項37】
前記誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、請求項2〜3のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【請求項38】
前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項2〜3のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【請求項39】
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、配列番号5のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチド領域またはその機能的フラグメントを含む、請求項2〜3のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【請求項40】
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、配列番号49のアミノ酸配列を有するMyD88ポリペプチド領域を含む、請求項2〜3のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【請求項41】
前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【請求項42】
前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、請求項2に記載の改変されたT細胞。
【請求項43】
前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、請求項4に記載の改変されたT細胞。
【請求項44】
前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、請求項4に記載の改変されたT細胞。
【請求項45】
被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための組み合わせ物であって、
(a)請求項2〜4のいずれか一項に記載の改変されたT細胞;および
(b)前記多量体化領域に結合する有効量の多量体リガンド
を含む、組み合わせ物。
【請求項46】
被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための組み合わせ物であって、
(a)請求項3に記載の改変されたT細胞;および
(b)前記多量体化領域に結合する有効量の多量体リガンド
を含み、前記キメラ抗原受容体が標的細胞に結合する、組み合わせ物。
【請求項47】
前記標的細胞が腫瘍細胞である、請求項4に記載の組み合わせ物。
【請求項48】
前記多量体リガンドが、AP1903またはAP20187である、請求項4〜4のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項49】
a)誘導可能なキメラ刺激分子をコードする第1の核酸配列であって、ここで、該誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)位置36におけるアミノ酸置換を含む改変されたFKBP12ポリペプチドを含む多量体化領域を含み、前記改変されたFKBP12ポリペプチドが、AP1903に結合し、前記誘導可能なキメラ刺激分子が、膜標的化領域を含まない、第1のポリヌクレオチドと、
b)キメラ抗原受容体をコードする第2の核酸配列
を含む、核酸であって、該誘導可能なキメラ刺激分子が、領域(i)〜(iii)を、ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシ末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、核酸
【請求項50】
請求項49に記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された改変された細胞。
【請求項51】
前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCR発現細胞、またはNK細胞である、請求項5に記載の改変された細胞。
【請求項52】
前記改変された細胞がT細胞である、請求項5に記載の改変された細胞。
【請求項53】
前記改変された細胞がヒト細胞である、請求項5〜5のいずれか一項に記載の改変された細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本技術は、概して免疫学の分野に関し、部分的には、CD40、MyD88またはCD40およびMyD88ポリペプチドを含む誘導可能なキメラポリペプチドを使用して、例えば、T細胞およびキメラ抗原レセプターを発現しているT細胞を含む細胞を活性化するための方法に関する。本技術は、さらに部分的には、患者において免疫応答を誘導するためおよび腫瘍を処置するための治療方法に関する。
【0002】
関連出願
2014年2月14日に出願され、「Methods for Activating T Cells Using an Inducible Chimeric Polypeptide」という名称の米国仮特許出願第61/940,347号;2014年3月13日に出願され、「Methods for Activating T Cells Using an Inducible Chimeric Polypeptide」という名称の米国仮特許出願第61/952,839号;および2014年9月9日に出願され、「Methods for Activating T Cells Using an Inducible Chimeric Polypeptide」という名称の米国仮特許出願第62/047,875号に基づく優先権を主張する。これらはすべて参照され、その全体が本明細書中に参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
T細胞の活性化は、病原微生物(例えば、ウイルス、細菌および寄生生物)、外来タンパク質および環境内の有害な化学物質に対する防御免疫において、ならびにがんおよび他の過剰増殖性疾患に対する免疫としても、重要な工程である。T細胞は、その表面上に、細胞表面上に提示された抗原を認識するレセプター(すなわち、T細胞レセプター)を発現している。正常な免疫応答では、これらの抗原がT細胞レセプターに結合することにより、細胞内の変化が惹起され、T細胞の活性化に至る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
キメラ抗原レセプター(CAR)によって操作されたT細胞の抗腫瘍有効性は、養子移入後のそれらの細胞の生存およびインビボにおける拡大に依存する。共刺激ドメイン(例えば、CD28および4−1BB)を含めることによって、白血病を処置するための、CD19によって標的化されるCARのT細胞拡大が向上したが1−4、そのCARを介してこれらのシグナル伝達ドメインと抗原認識とが密接に結び付くと、抑制されないT細胞活性化による強い毒性がもたらされた5,6。本明細書中には、CAR T細胞治療をコントロールするための方法が提供され、その方法は、1つの実施形態において、T細胞共刺激スイッチ、すなわち、共刺激分子によって誘導可能なMyD88/CD40(iMC)に依存し、そのiMCは、小分子である二量体化化学誘導物質(chemical inducer of dimerization)(CID)リミズシド(rimiducid)(AP1903)によってインビボにおいて活性化可能であり、それにより、CARによって改変されたT細胞に共刺激が提供され、T細胞の増殖、生存および抗腫瘍有効性が誘導される。iMCに基づく誘導可能な共刺激は、インビボにおけるT細胞の拡大を制御するために使用されることがあり、CAR−T細胞治療の安全性および有効性をコントロールする新しい治療法の選択肢となる。
【0005】
キメラ抗原レセプター(CAR)は、T細胞に抗原特異性を伝えるためにデザインされた人工レセプターである。それらは、一般的に、T細胞を活性化し、特異免疫をもたらすように選択された、抗原特異的な構成要素、膜貫通の構成要素および細胞内の構成要素を含む。キメラ抗原レセプターを発現しているT細胞は、癌治療をはじめとした様々な治療において使用され得る。これらの治療は、腫瘍に対して有効であるが、場合によっては、健康な組織に対する非特異的な攻撃に部分的に起因して、副作用をもたらした。強力な免疫療法反応をもたらし、かつ有毒な副作用を回避する、コントロール可能なT細胞治療のための方法が必要とされている。
【0006】
例えば、免疫応答を誘導するためまたは増大させるために使用され得る、誘導可能なキメラシグナル伝達分子(CSM)が、部分的に提供される。CSMは、単独でまたはキメラ抗原レセプター(CAR)と組み合わせて使用され得、特定の腫瘍細胞に対して免疫応答を特異的に向けさせる。コントロールされたT細胞活性化の方法は、以前のCARに基づく処置の有毒な副作用の多くを回避する。
【0007】
誘導可能なMyD88、誘導可能なCD40または誘導可能なキメラMyD88/CD40ポリペプチドを発現する活性化T細胞も本明細書中に提供される。それらの活性化された細胞は、疾患に対する免疫応答を高めるため、または例えば腫瘍サイズを減少させることによってがんを処置するために、使用され得る。活性化T細胞および活性化されたCAR T細胞を用いた処置の治療経過は、様々なイメージング様式(例えば、CT、骨スキャン、MRI、PETスキャン、Trofexスキャン)、様々な標準的な血液バイオマーカー(例えば、PSA、循環腫瘍細胞)、または様々な炎症性低酸素性(inflammatory,hypoxic)サイトカインもしくは処置されている患者における他の因子の血清レベルによって、腫瘍のサイズおよび血管分布を決定することによって、モニターされ得る。
【0008】
本明細書中で論じられる誘導可能なキメラシグナル伝達分子は、細胞内で共発現されるキメラ抗原レセプター(CAR)の持続的で調節されたコントロールを可能にする。その誘導可能なキメラシグナル伝達分子は、本明細書中で論じられる誘導可能なMyD88/CD40ポリペプチドを含む。ある疾患または状態に関係している細胞性抗原を標的化するようにデザインされた抗原特異的T細胞の活性化は、リガンド誘導物質の投与に依存する。そのリガンド誘導物質は、誘導可能なキメラシグナル伝達分子を多量体化することによってCAR発現細胞を活性化し、次に、細胞、例えば、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、ナチュラルキラー細胞またはナチュラルキラーT細胞を活性化する、NF−κBシグナル伝達および他の細胞内シグナル伝達経路を活性化する(例えば、図57を参照のこと)。リガンド誘導物質の非存在下では、T細胞は、静止状態であるか、または基底レベルの活性を有する。そのリガンドの投薬は、CAR発現T細胞の増殖および活性化の速度および規模を決定する。
【0009】
完全な活性化および腫瘍細胞殺傷は、依然として、抗原認識、およびCD3ゼータシグナル伝達を介したNFATのさらなる活性化に依存している。完全奏効(CR)が達成されると、リガンドの投薬を終了する。疾患または状態が再発した場合、リガンドの投薬を再開し、腫瘍を標的にしている静止状態のT細胞の再拡大および再活性化がもたらされる。
【0010】
細胞治療の1つの例において、キメラ抗原レセプターをコードする核酸を形質導入されたT細胞が、癌を処置するために患者に投与された(Zhong,X.−S.,(2010)Molecular Therapy 18:413−420)。例えば、ヒト化モノクローナル抗体Trastuzumab(Herceptin)に基づくキメラ抗原レセプターを発現しているT細胞が、癌患者を処置するために使用された。しかしながら、有害事象が生じる可能性があり、少なくとも1つの報告された症例では、その治療は、患者に対して致命的結果をもたらした(Morgan,R.A.ら(2010)Molecular Therapy 18:843−851)。本明細書中に提示されるように、コントロール可能で誘導可能な安全スイッチを細胞に形質導入することにより、リガンド誘導物質の投与を停止することによって有害事象が進行するのを阻止できる安全スイッチが提供され得る。低レベルの基底活性が残るかもしれないが、その誘導物質の存在を除去することにより、有害事象の症状は、無くなるとまではいかなくとも、大幅に減少するはずである。
【0011】
キメラ抗原レセプター(CAR)は、MHC抗原提示の必要なくT細胞に抗原特異性を伝えるためにデザインされた人工レセプターである。それらは、T細胞を活性化し、特異免疫をもたらすように選択された、抗原特異的な構成要素、膜貫通の構成要素および細胞内の構成要素を含む。キメラ抗原レセプターを発現しているT細胞は、がん治療をはじめとした様々な治療において使用され得る。共刺激ポリペプチドは、標的抗原に対するCAR発現T細胞の活性化を高め、ゆえに養子免疫療法の効力を高めるために使用され得る。
【0012】
例えば、ヒト化モノクローナル抗体Trastuzumab(Herceptin)に基づくキメラ抗原レセプターを発現しているT細胞が、がん患者を処置するために使用された。しかしながら、有害事象が生じる可能性があり、少なくとも1つの報告された症例では、その治療は、患者に対して致命的結果をもたらした(Morgan,R.A.ら(2010)Molecular Therapy 18:843−851)。本明細書中に提示されるように、誘導可能なキメラ刺激分子を細胞に形質導入することにより、リガンド誘導物質の存在下においてCAR T細胞のさらなる活性化が可能となり得;リガンド治療を中止すると、CAR T細胞は、それほど活性でなくなり得る。
【0013】
キメラ抗原レセプター(CAR)分子の効力を高めるためにCAR分子にさらなるシグナル伝達ドメインを組み込んだとき、CARを発現するように操作されたT細胞による免疫療法の抗腫瘍有効性は、着実に改善した。腫瘍細胞は、完全なT細胞活性化にとって必要な必須の共刺激分子を欠くことが多いので、CD3ζ細胞内シグナル伝達分子だけを含む第1世代CARを形質導入されたT細胞は、養子移入後にインビボにおいて不良な存続および拡大を示した(Till BG,Jensen MC,Wang Jら:CD20−specific adoptive immunotherapy for lymphoma using a chimeric antigen receptor with both CD28 and 4−1BB domains:pilot clinical trial results.Blood 119:3940−50,2012;Pule MA,Savoldo B,Myers GDら:Virus−specific T cells engineered to coexpress tumor−specific receptors:persistence and antitumor activity in individuals with neuroblastoma.Nat Med 14:1264−70,2008;Kershaw MH,Westwood JA,Parker LLら:A phase I study on adoptive immunotherapy using gene−modified T cells for ovarian cancer.Clin Cancer Res 12:6106−15,2006)。第2世代CAR T細胞は、それらの細胞の増殖および生存を改善するようにデザインされた。CD28または4−1BB由来の細胞内の共刺激ドメインを組み込んでいる第2世代CAR T細胞(Carpenito C,Milone MC,Hassan Rら:Control of large,established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains.Proc Natl Acad Sci USA 106:3360−5,2009;Song DG,Ye Q,Poussin Mら:CD27 costimulation augments the survival and antitumor activity of redirected human T cells in vivo.Blood 119:696−706,2012)は、養子移入後に、改善された生存およびインビボでの拡大を示し、これらの共刺激分子を含む、抗CD19 CARによって改変されたT細胞を用いたより最近の臨床試験では、CD19白血病の処置に対して顕著な有効性が示された(Kalos M,Levine BL,Porter DLら:T cells with chimeric antigen receptors have potent antitumor effects and can establish memory in patients with advanced leukemia.Sci Transl Med 3:95ra73,2011;Porter DL,Levine BL,Kalos Mら:Chimeric antigen receptor−modified T cells in chronic lymphoid leukemia.N Engl J Med 365:725−33,2011;Brentjens RJ,Davila ML,Riviere Iら:CD19−targeted T cells rapidly induce molecular remissions in adults with chemotherapy−refractory acute lymphoblastic leukemia.Sci Transl Med 5:177ra38,2013)。
【0014】
他の研究者らは、「第3世代」CAR T細胞と呼ばれる、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリータンパク質(例えば、OX40および4−1BB)由来のさらなるシグナル伝達分子を探索した(Finney HM,Akbar AN,Lawson AD:Activation of resting human primary T cells with chimeric receptors:costimulation from CD28,inducible costimulator,CD134,and CD137 in series with signals from the TCR zeta chain.J Immunol 172:104−13,2004;Guedan S,Chen X,Madar Aら:ICOS−based chimeric antigen receptors program bipolar TH17/TH1 cells.Blood,2014)が、活性化T細胞のCD3ζ核因子(NFAT)経路と異なるT細胞シグナル伝達を誘導する他の分子が、T細胞の生存および増殖に必要な共刺激を提供する可能性があり、おそらく、従来の共刺激分子によって供給されない、価値のあるさらなる機能をCAR T細胞に与える。いくつかの第2および第3世代CAR T細胞は、高度に活性化されたT細胞によって引き起こされるサイトカインストームおよび腫瘍崩壊症候群に起因する患者の死に関係していた。
【0015】
「キメラ抗原レセプター」または「CAR」は、例えば、T細胞を活性化し、特異免疫をもたらすように選択された、膜貫通ポリペプチドおよび細胞内ドメインポリペプチドに連結された、標的抗原を認識するポリペプチド配列(抗原認識ドメイン)を含むキメラポリペプチドのことを意味する。その抗原認識ドメインは、一本鎖可変フラグメント(ScFv)であり得るか、または例えば、他の分子(例えば、T細胞レセプターまたはパターン認識レセプター)に由来し得る。細胞内ドメインは、T細胞の活性化を引き起こす少なくとも1つのポリペプチド(例えば、CD3ゼータであるがこれに限定されず、例えば、共刺激分子、例えば、CD28、OX40および4−1BBであるがこれらに限定されない)を含む。用語「キメラ抗原レセプター」とは、抗体に由来するのではなくキメラT細胞レセプターに由来するキメラレセプターのことも指すことがある。これらのキメラT細胞レセプターは、標的抗原を認識するポリペプチド配列を含み得、ここで、その認識配列は、例えば、T細胞レセプターまたはscFvに由来する認識配列であり得るがこれらに限定されない。細胞内ドメインポリペプチドは、T細胞を活性化するように作用するポリペプチドである。キメラT細胞レセプターは、例えば、Gross,G.,and Eshar,Z.,FASEB Journal 6:3370−3378(1992)およびZhang,Y.ら、PLOS Pathogens 6:1−13(2010)において論じられている。
【0016】
1つのタイプのキメラ抗原レセプター(CAR)では、腫瘍特異的モノクローナル抗体に対する可変重(VH)鎖および可変軽(VL)鎖が、T細胞レセプター複合体由来のCD3ゼータ鎖(ζ)とインフレームで融合される。そのVHおよびVLは、通常、グリシン−セリン可動性リンカーを使用して互いに接続され、次いで、スペーサー(CH2CH3)によって膜貫通ドメインに付着されることにより、腫瘍抗原と相互作用できるようにscFvが細胞表面から離れて伸長する。形質導入の後、T細胞は、この時点で、その表面上にCARを発現し、腫瘍抗原と接触し、ライゲーションすると、CD3ゼータ鎖を介してシグナル伝達し、細胞傷害および細胞活性化を誘導する。
【0017】
研究者らは、CD3ゼータを介したT細胞の活性化が、腫瘍特異的殺滅を誘導するのに十分であるが、T細胞の増殖および生存を誘導するには不十分であることを述べている。ゼータ鎖のみを発現している第1世代CARによって改変されたT細胞を使用した初期の臨床試験は、遺伝子が改変されたT細胞が、インビボにおいて不良な生存および増殖を示すことを示した。
【0018】
B7軸を介した共刺激が、完全なT細胞活性化にとって必要であるので、研究者らは、共刺激ポリペプチドCD28シグナル伝達ドメインをCAR構築物に加えた。この領域は、通常、膜貫通領域(CD3ゼータバージョンの代わりに)、ならびにPI3KおよびLckに結合するためのYMNMモチーフを含む。ゼータだけを有するCARまたはゼータとCD28の両方を有するCARを発現しているT細胞の間のインビボでの比較から、活性化後のIL−2産生の増加に部分的に起因して、CD28がインビボにおいて拡大を促進することが実証された。CD28を含んでいるものは、第2世代CARと呼ばれる。最もよく使用される共刺激分子としては、CD28および4−1BBが挙げられ、これらは、腫瘍認識後に、NF−κBの活性化をもたらすシグナル伝達カスケードを惹起し得、T細胞の増殖と細胞生存の両方を促進する。
【0019】
CARのデザインにおいて共刺激ポリペプチド4−1BBまたはOX40を使用することにより、T細胞の生存および有効性がさらに改善された。4−1BBは、特に、T細胞の増殖および生存を大幅に増強するとみられる。この第3世代のデザイン(3つのシグナル伝達ドメインを有する)は、PSMA CAR(Zhong XSら、Mol Ther.2010 Feb;18(2):413−20)およびCD19 CARにおいて、最も著しくはCLLの処置のために、使用されている(Milone,M.C.ら(2009)Mol.Ther.17:1453−1464;Kalos,M.ら、Sci.Transl.Med.(2011)3:95ra73;Porter,D.ら(2011)N.Engl.J.Med.365:725−533)。これらの細胞は、インビボにおいて1000倍超拡大して、3人の患者において目覚ましい機能を示し、3人の患者すべてにおいて持続的な緩解をもたらした。
【0020】
「由来する」とは、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が、その分子の配列から得られることがあることを意味すると理解される。上記細胞内ドメインは、T細胞の活性化を引き起こす少なくとも1つのポリペプチド(例えば、CD3ゼータであるがこれに限定されず、例えば、共刺激分子、例えば、CD28、OX40および4−1BBであるがこれらに限定されない)を含む。
【0021】
したがって、本技術は、いくつかの実施形態において、a)誘導可能なキメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドであって、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、第1のポリヌクレオチド;ならびにb)キメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチドを含む核酸を提供する。いくつかの実施形態において、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(iv)膜標的化領域をさらに含む。ある特定の実施形態において、その膜標的化領域は、ミリストイル化領域である。いくつかの実施形態において、多量体化領域は、リガンド結合領域である。いくつかの実施形態において、リガンド結合領域は、FKBP領域である。いくつかの実施形態において、上記核酸は、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間にリンカーポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含み、ここで、そのリンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後の第1および第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断している。いくつかの実施形態において、キメラ抗原レセプターは、(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分を含む。いくつかの実施形態において、T細胞活性化分子は、CD3ζポリペプチドである。いくつかの実施形態において、抗原認識部分は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する。ある特定の実施形態において、抗原認識部分は、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する。
【0022】
本願の核酸でトランスフェクトされたまたは形質転換された、改変された細胞も提供される。いくつかの実施形態において、改変された細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞、またはNK細胞である。被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法も提供され、その方法は、本願の改変された細胞、および有効量の、多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、その被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程を含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原レセプターは、標的細胞に結合する。いくつかの実施形態において、被験体における標的細胞の数または濃度は、改変された細胞の投与後に減少する。
【0023】
標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法も提供され、その方法は、多量体リガンド結合領域に結合する多量体リガンドを投与する工程を含み、ここで、a)その多量体リガンドは、多量体リガンド領域、MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域およびCD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域を含む誘導可能なキメラ刺激分子に結合し;b)被験体内を循環しているT細胞は、(i)誘導可能なキメラ刺激分子;および(ii)標的抗原に結合するキメラ抗原レセプターを発現し;c)標的抗原は、被験体内を循環している標的細胞上に存在し;d)被験体における標的細胞の数または濃度は、多量体リガンドを投与した後に減少する。いくつかの実施形態において、誘導可能なキメラ刺激分子は、膜標的化領域をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変されたT細胞も提供され、ここで、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む。いくつかの実施形態において、誘導可能なキメラ刺激分子は、(iv)膜標的化領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、膜標的化領域は、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、改変されたT細胞は、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法も提供され、その方法は、a)本願の改変されたT細胞をその被験体に投与する工程;およびb)有効量の、多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、その被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程を含む。いくつかの実施形態において、キメラ抗原レセプターは、標的細胞に結合する。いくつかの実施形態において、被験体における標的細胞の数または濃度は、リガンドの投与後に減少する。
【0026】
誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸も提供され、ここで、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む。いくつかの実施形態において、本願の核酸でトランスフェクトされたまたは形質転換された、改変された細胞が提供される。他の実施形態において、改変された細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞、またはNK細胞である。
【0027】
いくつかの実施形態において、改変された細胞は、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法が提供され、その方法は、本願の改変された細胞をその被験体に投与する工程;および有効量の、多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、その被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程を含む。
【0028】
本技術は、T細胞を活性化するための方法も提供し、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域およびMyD88ポリペプチドを含み、それによって、そのT細胞は活性化される。本技術は、T細胞を活性化するための方法も提供し、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域、MyD88ポリペプチドおよびCD40ポリペプチド細胞質領域を含み、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有さず;それによって、そのT細胞は活性化される。T細胞を活性化するための方法が本技術において注目され、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域およびCD40ポリペプチド細胞質領域を含み、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有さず;それによって、そのT細胞は活性化される。
【0029】
いくつかの実施形態において、被験体において腫瘍抗原に対する免疫応答を誘導するための方法、被験体における表面腫瘍抗原を有する腫瘍サイズを減少させるための方法、または被験体における前立腺がんを処置するための方法が提供され、それらの方法は、本技術の方法に従ってT細胞を活性化する工程およびその活性化されたT細胞を被験体に投与する工程を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含むT細胞を含む組成物が提供され、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域およびMyD88ポリペプチドを含む。キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含むT細胞もまたいくつかの実施形態において注目され、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域、MyD88ポリペプチドおよびCD40ポリペプチド細胞質領域を含み、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない。キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含むT細胞を含む組成物もまたいくつかの実施形態において提供され、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域およびCD40ポリペプチド細胞質領域を含み、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない。
【0031】
いくつかの実施形態において、本技術の細胞組成物を用いて、免疫応答を誘導するための方法または腫瘍サイズを減少させるための方法が提供される。
【0032】
実施形態において、被験体におけるT細胞を活性化するための方法が提供され、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域およびMyD88ポリペプチドを含み、それによって、そのT細胞は活性化される。被験体におけるT細胞を活性化するための方法が、いくつかの実施形態において注目され、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域、MyD88ポリペプチドおよびCD40ポリペプチド細胞質領域を含み、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有さず;それによって、そのT細胞は活性化される。被験体におけるT細胞を活性化するための方法もまた提供され、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体化領域およびCD40ポリペプチド細胞質領域を含み、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有さず;それによって、そのT細胞は活性化される。
【0033】
なおも他の実施形態において、樹状細胞またはB細胞ではない細胞、例えば、非リンパ球性造血細胞または非造血細胞、例えば、マクロファージ、メラノーマ細胞、線維芽細胞およびケラチノサイト(keratinocyted)を用いる、T細胞に関して本明細書中で論じられるような方法および組成物が提供される。
【0034】
いくつかの実施形態において、膜標的化領域は、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、膜標的化領域は、ミリストイル化領域である。いくつかの実施形態において、多量体リガンド結合領域は、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体およびそれらの変異された配列からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、多量体リガンド結合領域は、FKBP12領域である。いくつかの実施形態において、多量体リガンドは、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである。いくつかの実施形態において、そのリガンドは、AP1903である。いくつかの実施形態において、上記細胞は、静脈内、皮内、皮下、腫瘍内、前立腺内(intraprotatic)または腹腔内投与によって被験体に投与される。いくつかの実施形態において、前立腺がんは、転移性、転移性去勢抵抗性、転移性去勢感受性、局所進行性および限局性前立腺がんからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記細胞およびリガンドが、少なくとも2回、被験体に投与される。いくつかの実施形態において、その細胞は、樹状細胞である。いくつかの実施形態において、CD40細胞質ポリペプチド領域は、配列番号8におけるポリヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、ベクター、例えば、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクターでトランスフェクトされる。いくつかの実施形態において、上記細胞は、Ad5f35ベクターでトランスフェクトされる。いくつかの実施形態において、FKBP12領域は、FKBP12v36領域である。
【0035】
いくつかの実施形態において、前立腺がんの進行が、少なくとも6ヶ月間、予防されるかまたは遅延される。いくつかの実施形態において、前立腺がんの進行が、少なくとも12ヶ月間、予防されるかまたは遅延される。いくつかの実施形態において、上記前立腺がんは、7、8、9、10またはそれを超えるグリーソンスコアを有する。いくつかの実施形態において、被験体は、多量体リガンドの投与の3ヶ月後までには部分奏功または完全奏効を有する。いくつかの実施形態において、被験体は、多量体リガンドの投与の6ヶ月後までには部分奏功または完全奏効を有する。いくつかの実施形態において、被験体は、多量体リガンドの投与の9ヶ月後までには部分奏功または完全奏効を有する。いくつかの実施形態において、被験体内の血清PSAのレベルは、多量体リガンドの投与の6週間後までには20%、30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%低下する。いくつかの実施形態において、被験体内の血清PSAのレベルは、多量体リガンドの投与の3ヶ月後までには30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%低下する。いくつかの実施形態において、被験体内の血清PSAのレベルは、多量体リガンドの投与の6ヶ月後までには30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%低下する。いくつかの実施形態において、被験体内の血清PSAのレベルは、多量体リガンドの投与の9ヶ月後までには30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%低下する。いくつかの実施形態において、前立腺がんの腫瘍サイズは、多量体リガンドの投与の3ヶ月後までには30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%減少する。いくつかの実施形態において、前立腺がんの腫瘍サイズは、多量体リガンドの投与の6ヶ月後までには30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%減少する。いくつかの実施形態において、前立腺がんの腫瘍サイズは、多量体リガンドの投与の9ヶ月後までには30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%減少する。いくつかの実施形態において、前立腺がんの腫瘍の血管新生は、多量体リガンドの投与の3ヶ月後までには20%、30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%減少する。いくつかの実施形態において、前立腺がんの腫瘍の血管新生は、多量体リガンドの投与の6ヶ月後までには20%、30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%減少する。いくつかの実施形態において、前立腺がんの腫瘍の血管新生は、多量体リガンドの投与の9ヶ月後までには20%、30%、40%.50%、60%、70%、80%、90%または95%減少する。いくつかの実施形態において、T1またはT2抗原特異的免疫応答が、多量体リガンドの投与後の被験体において検出される。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記方法は、化学療法剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記組成物、リガンドおよび化学療法剤は、被験体における前立腺がんを処置するのに有効な量で投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物またはヌクレオチド配列、リガンドおよび化学療法剤は、被験体における前立腺がんを処置するのに有効な量で投与される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、カルボプラチン、リン酸エストラムスチン(Emcyt)およびサリドマイドからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、タキサンである。そのタキサンは、例えば、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセルおよびカバジタキセル(cabazitaxel)からなる群より選択され得る。いくつかの実施形態において、タキサンは、ドセタキセルである。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、上記細胞、核酸もしくはリガンドの投与と同時にまたはその投与後1週間以内に投与される。他の実施形態において、化学療法剤は、リガンドの投与後に投与される。他の実施形態において、化学療法剤は、リガンドの投与の1〜4週間後または1週間〜1ヶ月後、1週間〜2ヶ月後または1週間〜3ヶ月後に投与される。他の実施形態において、上記方法は、上記細胞または核酸の投与の1〜4週間前または1週間〜1ヶ月前、1週間〜2ヶ月前または1週間〜3ヶ月前に化学療法剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、上記細胞または核酸の投与の少なくとも2週間前に投与される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、上記細胞または核酸の投与の少なくとも1ヶ月前に投与される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、多量体リガンドの投与後に投与される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、多量体リガンドの投与の少なくとも2週間後に投与される。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、多量体リガンドの投与の少なくとも1ヶ月後に投与される。
【0037】
いくつかの実施形態において、上記方法は、2つまたはそれを超える化学療法剤を投与する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、それらの化学療法剤は、カルボプラチン、リン酸エストラムスチンおよびサリドマイドからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの化学療法剤は、タキサンである。タキサンは、例えば、ドセタキセル、パクリタキセルおよびカバジタキセルからなる群より選択され得る。いくつかの実施形態において、タキサンは、ドセタキセルである。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、上記細胞、核酸もしくはリガンドの投与と同時またはその投与後1週間以内に投与される。他の実施形態において、化学療法剤は、リガンドの投与後に投与される。他の実施形態において、化学療法剤は、リガンドの投与の1〜4週間後または1週間〜1ヶ月後、1週間〜2ヶ月後または1週間〜3ヶ月後に投与される。他の実施形態において、上記方法は、上記細胞または核酸の投与の1〜4週間前または1週間〜1ヶ月前、1週間〜2ヶ月前または1週間〜3ヶ月前に化学療法剤を投与する工程をさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、被験体は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、被験体は、ヒトである。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
a)誘導可能なキメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドであって、該誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、第1のポリヌクレオチド;ならびに
b)キメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド
を含む、核酸。
(項目2)
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、さらに(iv)膜標的化領域を含む、項目1に記載の核酸。
(項目3)
前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、項目1に記載の核酸。
(項目4)
前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iv)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(iv)、(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、項目2に記載の核酸。
(項目5)
前記多量体化領域が、リガンド結合領域である、項目1〜4のいずれか1項に記載の核酸。
(項目6)
前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、項目5に記載の核酸。
(項目7)
前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、項目6に記載の核酸。
(項目8)
前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、項目6に記載の核酸。
(項目9)
前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよび配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、項目5に記載の核酸。
(項目10)
前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、項目9に記載の核酸。
(項目11)
残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、項目9に記載の核酸。
(項目12)
前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、項目5〜11のいずれか1項に記載の核酸。
(項目13)
前記リガンドが、AP1903である、項目12に記載の核酸。
(項目14)
領域(i)〜(iv)の少なくとも1つが、コドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目1〜13のいずれか1項に記載の核酸。
(項目15)
前記第1のポリヌクレオチドと前記第2のポリヌクレオチドの両方に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、項目1〜14のいずれか1項に記載の核酸。
(項目16)
前記第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第1のプロモーターおよび前記第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む、項目1〜14のいずれか1項に記載の核酸。
(項目17)
前記第1のポリヌクレオチドと前記第2のポリヌクレオチドとの間にリンカーポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含み、ここで、該リンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後の該第1および第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断している、項目1〜16のいずれか1項に記載の核酸。
(項目18)
前記リンカーポリペプチドが、2Aポリペプチドである、項目17に記載の核酸。
(項目19)
前記キメラ抗原レセプターが、
(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分
を含む、項目1〜18のいずれか1項に記載の核酸。
(項目20)
前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、項目19に記載の核酸。
(項目21)
前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、項目20に記載の核酸。
(項目22)
前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、項目19〜21のいずれか1項に記載の核酸。
(項目23)
前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、項目19〜22のいずれか1項に記載の核酸。
(項目24)
前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、項目19〜22のいずれか1項に記載の核酸。
(項目25)
前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目26)
前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目27)
前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目28)
前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目29)
前記抗原認識部分が、CD19に結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目30)
前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目31)
前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、項目19〜24のいずれか1項に記載の核酸。
(項目32)
前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、項目19〜31のいずれか1項に記載の核酸。
(項目33)
前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、項目19〜32のいずれか1項に記載の核酸。
(項目34)
前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、項目19〜32のいずれか1項に記載の核酸。
(項目35)
CD8ストーク領域をさらに含む、項目34に記載の核酸。
(項目36)
前記キメラ刺激分子が、配列番号49のアミノ酸配列を有するMyD88ポリペプチドもしくは配列番号137のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチドまたはそれらの機能的フラグメントを含む、項目1〜35のいずれか1項に記載の核酸。
(項目37)
前記MyD88ポリペプチドが、配列番号49のアミノ酸配列を有する、項目1〜36のいずれか1項に記載の核酸。
(項目38)
前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、項目1〜37のいずれか1項に記載の核酸。
(項目40)
前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、項目23〜38のいずれか1項に記載の核酸。
(項目41)
前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、項目2〜40のいずれか1項に記載の核酸。
(項目42)
前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、項目2〜40のいずれか1項に記載の核酸。
(項目43)
前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、項目42に記載の核酸。
(項目44)
前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、項目1〜43のいずれか1項に記載の核酸。
(項目45)
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、項目44に記載の核酸。
(項目46)
前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、項目44に記載の核酸。
(項目47)
前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、項目44に記載の核酸。
(項目48)
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、項目44に記載の核酸。
(項目49)
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、項目44に記載の核酸。
(項目50)
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスからなる群より選択される、項目44に記載の核酸。
(項目51)
前記核酸が、プラスミド内に含まれている、項目1〜43のいずれか1項に記載の核酸。
(項目52)
項目2〜19のいずれか1項に記載の核酸によってコードされるキメラ刺激分子ポリペプチド。
(項目53)
項目1〜51のいずれか1項に記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変された細胞。
(項目54)
前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞またはNK細胞である、項目53に記載の改変された細胞。
(項目55)
前記細胞が、T細胞である、項目53に記載の改変された細胞。
(項目56)
前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、項目53〜55のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目57)
前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、項目53〜55のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目58)
前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、項目53〜55のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目59)
前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、項目53〜55のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目60)
前記細胞が、ヒト細胞である、項目53〜55のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目61)
前記細胞が、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子を用いた遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子またはポリプレックスからなる群より選択される方法を用いて、前記核酸ベクターによってトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目53〜60のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目62)
被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、
a)項目53〜61のいずれか1項に記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程;および
b)有効量の、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、該被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程
を含む、方法。
(項目63)
前記キメラ抗原レセプターが、標的細胞に結合する、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記標的細胞が、腫瘍細胞である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記被験体における標的細胞の数または濃度が、前記改変された細胞の投与後に減少する、項目63〜64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞およびリガンドを投与した後に該被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて該第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、項目62〜65のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、項目66に記載の方法。
(項目69)
さらなる用量のリガンドが、前記被験体に投与される、項目66〜68のいずれか1項に記載の方法。
(項目70)
多量体リガンドの有効量が、標的細胞の数または濃度を減少させ、細胞傷害性の症候を減少させるのに有効な量である、項目62〜69のいずれか1項に記載の方法。
(項目71)
前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが前記被験体において決定され、(i)該多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目62〜69.1に記載の方法。
(項目72)
前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが、前記被験体において決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目62〜69.1に記載の方法。
(項目73)
前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的細胞の数または濃度が決定され、(i)該多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目62〜69.1に記載の方法。
(項目74)
前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的細胞の数または濃度が決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目62〜69.1に記載の方法。
(項目75)
前記多量体リガンドのさらなる用量が、前記以前の用量よりも120%〜200%高い、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記多量体リガンドのさらなる用量が、前記以前の用量よりも約150%高い、項目74に記載の方法。
(項目77)
被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の項目53〜61のいずれか1項に記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程および前記多量体化領域に結合するリガンドを投与することにより該被験体に抗腫瘍免疫を提供する工程を含む、方法。
(項目78)
標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の項目53〜61のいずれか1項に記載の改変された細胞、および有効量の、前記多量体化領域に結合するリガンドを該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目79)
前記標的抗原が、腫瘍抗原である、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記改変された細胞が、自己のT細胞である、項目53〜79のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、項目53〜79のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、該方法は、項目53〜61のいずれか1項に記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、該腫瘍上の抗原に結合する、方法。
(項目83)
前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、項目62〜82のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
前記被験体が、がんを有する、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目85)
前記被験体が、固形腫瘍を有する、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記改変された細胞が、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目87)
前記改変された細胞が、腫瘍床に送達される、項目62〜86のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、項目84に記載の方法。
(項目89)
前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目91)
前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目93)
前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、項目62〜83のいずれか1項に記載の方法。
(項目94)
さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、項目62〜93のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、項目62〜93のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
多量体リガンドの有効量が、標的抗原を発現している細胞の数もしくは濃度または該標的抗原を発現している細胞の組織浸潤の程度を減少させ、前記細胞傷害性の症候を減少させるのに有効な量である、項目78〜93のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが前記被験体において決定され、(i)該多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目78〜96に記載の方法。
(項目98)
前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが、前記被験体において決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目78〜97に記載の方法。
(項目99)
前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的抗原を発現している細胞の数もしくは濃度または該標的抗原を発現している細胞の組織浸潤の程度が決定され、(i)該多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目78〜97に記載の方法。
(項目100)
前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的抗原を発現している細胞の数もしくは濃度または該標的抗原を発現している細胞の組織浸潤の程度が決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、項目78〜99に記載の方法。
(項目101)
被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
該被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、項目53〜61のいずれか1項に記載のリガンドを投与する指示、該リガンドのその後の投与量を維持する指示または該被験体に投与される該リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、項目62〜100のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記状態が、白血病である、項目62〜101のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、項目62〜101のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
前記改変された細胞が、エキソビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目62〜103のいずれか1項に記載の方法。
(項目105)
前記改変された細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目53〜61のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目106)
前記リガンドが、AP1903である、項目62〜104のいずれか1項に記載の方法。
(項目107)
細胞においてキメラ刺激分子を発現させるための方法であって、該方法は、項目1〜51のいずれか1項に記載の核酸を、該核酸が細胞に組み込まれる条件下において該細胞と接触させる工程を含み、それにより、該細胞は、該組み込まれた核酸からキメラ抗原レセプターを発現する、方法。
(項目108)
前記核酸が、エキソビボにおいて前記細胞と接触される、項目107に記載の方法。
(項目109)
前記核酸が、インビボにおいて前記細胞と接触される、項目107に記載の方法。
(項目110)
標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、該方法は、多量体リガンド結合領域に結合する多量体リガンドを投与する工程を含み、ここで、
a)該多量体リガンドは、該多量体リガンド領域、MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域およびCD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域を含む誘導可能なキメラ刺激分子に結合し;
b)該被験体内を循環しているT細胞は、(i)該誘導可能なキメラ刺激分子;および(ii)該標的抗原に結合するキメラ抗原レセプターを発現し;
c)該標的抗原は、該被験体内を循環している標的細胞上に存在し;
d)該被験体における標的細胞の数または濃度は、該多量体リガンドを投与した後に減少する、
方法。
(項目111)
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、膜標的化領域をさらに含む、項目110に記載の方法。
(項目112)
前記キメラ刺激分子を発現しているT細胞が、項目1〜51のいずれか1項に記載の核酸を含む、項目110または111のいずれか1項に記載の方法。
(項目113)
前記標的抗原が、腫瘍細胞によって発現され、前記キメラ抗原レセプターが、前記腫瘍細胞に結合する、項目110〜112のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞およびリガンドを投与した後に該被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて該第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、項目110〜113のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、項目113に記載の方法。
(項目116)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、項目113に記載の方法。
(項目117)
さらなる用量の前記リガンドが、前記被験体に投与される、項目110〜116のいずれか1項に記載の方法。
(項目118)
前記標的抗原が、腫瘍抗原である、項目110〜117のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
前記被験体が、がんを有するまたは腫瘍を有すると診断されている、項目110〜118のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
前記被験体が、固形腫瘍を有する、項目110〜119のいずれか1項に記載の方法。
(項目121)
前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、項目119に記載の方法。
(項目122)
前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、項目110〜121のいずれか1項に記載の方法。
(項目123)
前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、項目110〜122のいずれか1項に記載の方法。
(項目124)
前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、項目110〜117のいずれか1項に記載の方法。
(項目125)
前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、項目110〜117のいずれか1項に記載の方法。
(項目126)
前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、項目110〜117のいずれか1項に記載の方法。
(項目127)
さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、項目110〜127のいずれか1項に記載の方法。
(項目128)
さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、項目110〜128のいずれか1項に記載の方法。
(項目129)
被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
該被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、前記多量体リガンドを該被験体に投与する指示、該多量体リガンドのその後の投与量を維持する指示または該被験体に投与される該多量体リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、項目110〜127のいずれか1項に記載の方法。
(項目130)
前記状態が、白血病である、項目110〜117のいずれか1項に記載の方法。
(項目131)
前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、項目110〜117のいずれか1項に記載の方法。
(項目133)
前記リガンドが、AP1903である、項目110〜132のいずれか1項に記載の方法。
(項目134)
誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変されたT細胞であって、ここで、該誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、改変されたT細胞。
(項目135)
前記誘導可能なキメラ刺激分子が、(iv)膜標的化領域をさらに含む、項目134に記載の改変されたT細胞。
(項目136)
前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、項目134に記載の改変されたT細胞。
(項目137)
前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iv)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(iv)、(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、項目135に記載の改変されたT細胞。
(項目138)
前記多量体化領域が、リガンド結合領域である、項目134〜137のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目139)
前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、項目138に記載の改変されたT細胞。
(項目140)
前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、項目138に記載の改変されたT細胞。
(項目141)
前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、項目140に記載の改変されたT細胞。
(項目142)
前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよび配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチまたはその機能的フラグメントをさらに含む、項目138に記載の改変されたT細胞。
(項目143)
前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、項目142に記載の改変されたT細胞。
(項目144)
残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、項目142に記載の改変されたT細胞。
(項目145)
前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、項目134〜144のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目146)
前記リガンドが、AP1903である、項目145に記載の改変されたT細胞。
(項目147)
領域(i)〜(iv)の少なくとも1つが、コドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目134〜146のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目148)
前記誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、項目134〜147のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目149)
前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、項目134〜148のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目150)
前記キメラ抗原レセプターが、
(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分
を含む、項目149に記載の改変されたT細胞。
(項目151)
前記改変された細胞が、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、項目134〜150のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目152)
前記改変された細胞が、T細胞レセプターまたはT細胞レセプターに基づくキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目145〜151のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目153)
前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、項目150に記載の改変されたT細胞。
(項目154)
前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、項目153に記載の改変されたT細胞。
(項目155)
前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、項目150に記載の改変されたT細胞。
(項目156)
前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、項目150に記載の改変されたT細胞。
(項目157)
前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、項目150に記載の改変されたT細胞。
(項目158)
前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目159)
前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目160)
前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目161)
前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目162)
前記抗原認識部分が、CD19に結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目163)
前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目164)
前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目165)
前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目166)
前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目167)
前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、項目150〜157のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目168)
前記キメラ抗原レセプターが、CD8ストーク領域をさらに含む、項目167に記載の改変されたT細胞。
(項目169)
前記キメラ刺激分子が、配列番号5のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含む、項目134〜169のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目170)
前記MyD88ポリペプチドが、配列番号49のアミノ酸配列を有する、項目134〜169のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目171)
前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、項目134〜70のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目172)
前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、項目156〜171のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目173)
前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、項目135〜172のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目174)
前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、項目135〜173のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目175)
前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、項目174に記載の改変されたT細胞。
(項目176)
被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、
a)項目134〜175のいずれか1項に記載の改変されたT細胞を該被験体に投与する工程;および
b)有効量の、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、該被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程
を含む、方法。
(項目177)
前記キメラ抗原レセプターが、標的細胞に結合する、項目176に記載の方法。
(項目178)
前記標的細胞が、腫瘍細胞である、項目176に記載の方法。
(項目179)
前記被験体における標的細胞の数または濃度が、前記リガンドの投与後に減少する、項目176〜178のいずれか1項に記載の方法。
(項目180)
前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞およびリガンドを投与した後に該被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて該第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、項目176〜179のいずれか1項に記載の方法。
(項目181)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、項目180に記載の方法。
(項目182)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、項目181に記載の方法。
(項目183)
さらなる用量の前記リガンドが、前記被験体に投与される、項目176〜182のいずれか1項に記載の方法。
(項目184)
被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の項目134〜175のいずれか1項に記載の改変されたT細胞を該被験体に投与する工程および前記多量体化領域に結合するリガンドを投与することにより該被験体に抗腫瘍免疫を提供する工程を含む、方法。
(項目185)
標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の項目134〜175のいずれか1項に記載の改変されたT細胞、および有効量の、前記多量体化領域に結合するリガンドを該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目186)
前記標的抗原が、腫瘍抗原である、項目185に記載の方法。
(項目187)
前記改変されたT細胞が、自己のT細胞である、項目176〜186のいずれか1項に記載の方法。
(項目188)
前記改変されたT細胞が、同種異系のT細胞である、項目176〜186のいずれか1項に記載の方法。
(項目189)
被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、該方法は、項目134〜175のいずれか1項に記載の改変されたT細胞を該被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、該腫瘍上の抗原に結合する、方法。
(項目190)
前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、項目176〜189のいずれか1項に記載の方法。
(項目191)
前記被験体が、がんを有する、項目176〜190のいずれか1項に記載の方法。
(項目192)
前記被験体が、固形腫瘍を有する、項目176〜191のいずれか1項に記載の方法。
(項目193)
前記改変されたT細胞が、腫瘍浸潤リンパ球、NK細胞またはNK−T細胞である、項目176〜192のいずれか1項に記載の方法。
(項目194)
前記改変されたT細胞が、腫瘍床に送達される、項目176〜193のいずれか1項に記載の方法。
(項目195)
前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、項目191に記載の方法。
(項目196)
前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、項目176〜195のいずれか1項に記載の方法。
(項目197)
前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、項目176〜196のいずれか1項に記載の方法。
(項目198)
前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、項目176〜190のいずれか1項に記載の方法。
(項目199)
前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、項目176〜190のいずれか1項に記載の方法。
(項目200)
前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、項目176〜190のいずれか1項に記載の方法。
(項目201)
さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、項目176〜200のいずれか1項に記載の方法。
(項目202)
さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、項目176〜201のいずれか1項に記載の方法。
(項目203)
被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
該被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、項目C53〜C61のいずれか1項に記載のリガンドを投与する指示、該リガンドのその後の投与量を維持する指示または該被験体に投与される該リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、項目176〜202のいずれか1項に記載の方法。
(項目204)
前記状態が、白血病である、項目176〜203のいずれか1項に記載の方法。
(項目205)
前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、項目176〜203のいずれか1項に記載の方法。
(項目206)
前記改変されたT細胞が、エキソビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目176〜205のいずれか1項に記載の方法。
(項目207)
前記改変されたT細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目134〜175のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
(項目208)
前記リガンドが、AP1903である、項目176〜206のいずれか1項に記載の方法。
(項目209)
誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで、該誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、核酸。
(項目210)
前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、項目209に記載の核酸。
(項目211)
前記多量体化領域が、リガンド結合領域である、項目209〜210のいずれか1項に記載の核酸。
(項目212)
前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、項目211に記載の核酸。
(項目213)
前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、項目211に記載の核酸。
(項目214)
前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、項目211に記載の核酸。
(項目215)
前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよび配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、項目211に記載の核酸。
(項目216)
前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、項目215に記載の核酸。
(項目217)
残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、項目215に記載の核酸。
(項目218)
前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、項目209〜217のいずれか1項に記載の核酸。
(項目219)
前記リガンドが、AP1903である、項目218に記載の核酸。
(項目220)
領域(i)〜(iii)の少なくとも1つが、コドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされる、項目209〜219のいずれか1項に記載の核酸。
(項目221)
前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、項目209〜220のいずれか1項に記載の核酸。
(項目222)
前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、項目209〜221のいずれか1項に記載の核酸。
(項目223)
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、項目222に記載の核酸。
(項目224)
前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、項目223に記載の核酸。
(項目225)
前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、項目223に記載の核酸。
(項目226)
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、項目222に記載の核酸。
(項目227)
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、項目222に記載の核酸。
(項目228)
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスからなる群より選択される、項目222に記載の核酸。
(項目229)
前記核酸が、プラスミド内に含まれている、項目209〜222のいずれか1項に記載の核酸。
(項目230)
項目209〜230のいずれか1項に記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変された細胞。
(項目231)
前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞またはNK細胞である、項目230に記載の改変された細胞。
(項目232)
前記細胞が、T細胞である、項目230に記載の改変された細胞。
(項目234)
前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、項目230〜232のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目235)
前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、項目230〜232のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目236)
前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、項目230〜232のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目237)
前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、項目230〜232のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目238)
前記細胞が、ヒト細胞である、項目230〜237のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目239)
前記細胞が、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子を用いた遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子またはポリプレックスからなる群より選択される方法を用いて、前記核酸ベクターによってトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目230〜238のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目240)
前記改変された細胞が、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、項目230〜239のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目241)
前記改変された細胞が、T細胞レセプターまたはT細胞レセプターに基づくキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目230〜240のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目242)
前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、項目230〜241のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目243)
前記キメラ抗原レセプターが、
(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分
を含む、項目242に記載の改変された細胞
(項目244)
前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、項目243に記載の改変された細胞。
(項目245)
前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、項目244に記載の改変された細胞。
(項目246)
前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、項目243に記載の改変された細胞。
(項目247)
前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、項目243に記載の改変された細胞。
(項目248)
前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、項目243に記載の改変された細胞。
(項目249)
前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、項目243〜248のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目250)
前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、項目243〜249のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目251)
前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、項目243〜250のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目252)
前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、項目243〜250のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目253)
前記抗原認識部分が、CD19に結合する、項目243〜248のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目254)
前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、項目243〜248のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目255)
前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、項目243〜248のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目256)
前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、項目243〜255のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目257)
前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、項目243〜256のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目258)
前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、項目243〜256のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目259)
前記キメラ抗原レセプターが、CD8ストーク領域をさらに含む、項目258に記載の改変された細胞。
(項目260)
前記キメラ刺激分子が、配列番号5のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含む、項目230〜250のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目261)
前記MyD88ポリペプチドが、配列番号49のアミノ酸配列を有する、項目230〜260のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目262)
前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、項目230〜261のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目263)
前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、項目247〜261のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目264)
被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、
a)項目230〜263のいずれか1項に記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程;および
b)有効量の、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、該被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程
を含む、方法。
(項目265)
前記キメラ抗原レセプターが、標的細胞に結合する、項目264に記載の方法。
(項目266)
前記標的細胞が、腫瘍細胞である、項目264に記載の方法。
(項目267)
前記被験体における標的細胞の数または濃度が、前記リガンドの投与後に減少する、項目265〜266のいずれか1項に記載の方法。
(項目268)
前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、該改変された細胞および該リガンドを投与した後に該被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および該第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて該第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、項目265〜267のいずれか1項に記載の方法。
(項目269)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、項目268に記載の方法。
(項目270)
前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、項目268に記載の方法。
(項目271)
さらなる用量のリガンドが、前記被験体に投与される、項目264〜270のいずれか1項に記載の方法。
(項目272)
被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の項目230〜263のいずれか1項に記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程および前記多量体化領域に結合するリガンドを投与することにより該被験体に抗腫瘍免疫を提供する工程を含む、方法。
(項目273)
標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の項目230〜263のいずれか1項に記載の改変された細胞、および有効量の、前記多量体化領域に結合するリガンドを該被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目274)
前記標的抗原が、腫瘍抗原である、項目273に記載の方法。
(項目275)
前記改変された細胞が、T細胞である、項目273または274のいずれか1項に記載の方法。
(項目276)
前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、項目273または274のいずれか1項に記載の方法。
(項目277)
被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、該方法は、項目230〜263のいずれか1項に記載の改変された細胞を該被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、該腫瘍上の抗原に結合する、方法。
(項目278)
前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、項目264〜277のいずれか1項に記載の方法。
(項目279)
前記被験体が、がんを有する、項目264〜278のいずれか1項に記載の方法。
(項目280)
前記被験体が、固形腫瘍を有する、項目264〜279のいずれか1項に記載の方法。
(項目281)
前記改変された細胞が、腫瘍浸潤リンパ球である、項目264〜280のいずれか1項に記載の方法。
(項目282)
前記改変された細胞が、腫瘍床に送達される、項目264〜281のいずれか1項に記載の方法。
(項目283)
前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、項目279に記載の方法。
(項目284)
前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、項目264〜283のいずれか1項に記載の方法。
(項目285)
前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、項目264〜283のいずれか1項に記載の方法。
(項目286)
前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、項目264〜277のいずれか1項に記載の方法。
(項目287)
前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、項目264〜277のいずれか1項に記載の方法。
(項目288)
前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、項目264〜277のいずれか1項に記載の方法。
(項目289)
さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、項目264〜288のいずれか1項に記載の方法。
(項目290)
さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、項目264〜289のいずれか1項に記載の方法。
(項目291)
被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
該被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、前記リガンドを投与する指示、該リガンドのその後の投与量を維持する指示または該被験体に投与される該リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、項目264〜290のいずれか1項に記載の方法。
(項目292)
前記状態が、白血病である、項目264〜291のいずれか1項に記載の方法。
(項目293)
前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、項目264〜291のいずれか1項に記載の方法。
(項目294)
前記改変された細胞が、エキソビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目264〜293のいずれか1項に記載の方法。
(項目295)
前記改変された細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、項目230〜263のいずれか1項に記載の改変された細胞。
(項目296)
前記リガンドが、AP1903である、項目264〜294のいずれか1項に記載の方法。
【0039】
ある特定の実施形態は、以下の説明、実施例、請求項および図面においてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図面は、本技術の実施形態を図示するものであって、限定するものではない。図示を明確にするためおよび容易にするために、図面は、一定の比率で拡大縮小して作成されておらず、場合によっては、特定の実施形態の理解を容易にするために、様々な態様が、誇張または拡大されて示されていることがある。
図1図1a〜1hは、iMCの機能が、誘導可能な共刺激をT細胞に提供することを示している、アッセイの結果を提供している。1a)リミズシド曝露の後のT細胞におけるMyD88およびCD40細胞質シグナル伝達ドメインの二量体化の模式図。1b)iMCによって形質導入されたT細胞は、NTおよびコントロールベクター(FKBP)によって形質導入されたT細胞と比べて、AP1903用量依存的活性化を示す。1c)FKBPのみ、または誘導可能なMyD88、誘導可能なCD40もしくはiMCを含むベクターで形質導入されたT細胞における10nMのリミズシドによる処置の後のIL−6産生の解析。1d)形質導入されたT細胞を10nMリミズシドに曝露した後の時間依存的なリン酸化JNK、RelAおよびp38(MAPK)シグナル伝達分子を測定するマルチプレックスアレイ。1e)0、15および60分間のリミズシド処置の後の、FKPBまたはiMCを形質導入されたT細胞におけるリン酸化されたシグナル伝達タンパク質のウエスタンブロット(Western plot)解析。ポジティブコントロールは、PHAおよびイオノマイシンによるT細胞の処置を示している。1f)FKBPのみ、または誘導可能なMyD88、誘導可能なCD40もしくはiMCを含むベクターで形質導入されたT細胞を、10nMリミズシドおよび/または50ng/ml可溶性抗CD3を用いておよび用いずに活性化し、上清を、ELISAによってIL−2について測定し、フローサイトメトリーによってCD25の発現について評価した(1gおよび1h)。は、p値<0.05を示す。
図2図2a〜2fは、iMCとPSCA.ζCARとを同時形質導入されたT細胞が、腫瘍殺滅の改善および拡大をリミズシド依存的様式で示すことを示しているアッセイの結果を提供している。2a)CARおよびiMCで遺伝的に改変されたT細胞の模式図。2b)T細胞を、PSCA.ζCARおよびFKBPまたはiMCレトロウイルスで形質導入し、CD19−PEおよび抗CAR−APCを用いるフローサイトメトリーによって共発現について測定した。2c)形質導入されていないT細胞およびFKBPまたはiMCで改変されたPSCA.ζCAR T細胞をCapan−1−GFP腫瘍細胞とともにT細胞と腫瘍細胞との比が1:1で、10nMリミズシドを用いておよび用いずに共培養した。7日後にフローサイトメトリーによって腫瘍細胞およびT細胞の出現頻度を評価した。腫瘍細胞の出現頻度を、フローサイトメトリーによってSSC/GFPゲーティングによってCD3GFP腫瘍細胞を測定することによって評価した。iMCとCARとを共発現しているT細胞の濃縮を、共培養アッセイにおいてフローサイトメトリーによってそれぞれCD19−PEおよび抗CAR−APCの出現頻度を測定することによって評価した。2d)続いて、T細胞を、CD25の発現について評価し、フローサイトメトリーおよび細胞数測定を用いてT細胞の増殖(2e)について測定した。2f)iMCまたはCtrlベクターとPSCA.ζCARとを同時形質導入されたT細胞を、Capan−1腫瘍細胞を伴っておよび伴わずに10nMリミズシドを用いておよび用いずに共培養し、48時間後に上清をIL−2レベルについて測定した。は、p値<0.05を示す。**は、p値<0.01を示す。
図3図3a〜3hは、iMCを同時形質導入されたCAR T細胞が、インビボにおいてリミズシド依存的様式で抗腫瘍有効性の増大を示すことを示しているアッセイの結果を提供している。3a)ShornマウスにCapan−1腫瘍細胞を移植し、そのマウスを、コントロールベクターもしくはiMCを同時形質導入されたPSCA.ζCAR T細胞または形質導入されていないT細胞で処置し、7および14日目にi.v.注射した。21日目まで外来性IL−2をi.p.投与し、その後、中止した。すべてのマウスに5mg/kgのリミズシドを1週間に2回(biw)i.p.投与した。腫瘍サイズをノギスによって測定し(3b)、100日間にわたって生存を評価した(3c)。3d)インビボにおけるCAR T細胞の残留および拡大を測定するために、NSGマウスを用いた。マウスにCapan−1腫瘍細胞をs.c.注射し、次いで、そのマウスを、形質導入されていない(NT)T細胞またはFKBPおよびPSCA.ζで改変されたT細胞またはiMCおよびPSCA.ζで改変されたT細胞で処置した。iMCを使用できるT細胞で処置されたマウスに、2.5mg/kgリミズシドを1週間に1回(qw)、1週間に2回(biw)または食塩水のみをi.p.注射によって投与した。3e)皮下の腫瘍サイズを30日間にわたってノギスによって測定した。3f)食塩水のみを投与しつつ、iMCを形質導入されたT細胞で処置されたマウスまたはリミズシドの全身投与とともに、iMCを形質導入されたT細胞で処置されたマウスにおいて、インビボでの生物発光イメージングを行った。関心領域(ROI)の測定を、動物全体(3g)またはそれらの群の中の個々の腫瘍(3h)において行った。は、p値<0.05を示す。
図4図4aおよび4bは、レトロウイルス構築物のデザインの模式図である。4a)切断型CD19(ΔCD19)とインフレームで、ミリストイル化ドメイン(Myr)および2つのタンデムのFKBP12v36二量体結合ドメインをコードするSFGレトロウイルス骨格を用いて、4つの構築物を作製した。これらのベクターは、シグナル伝達分子を欠くか、またはMyD88および/もしくはCD40由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。4b)IgG1 CH2CH3スペーサーおよびCD3ζ細胞質シグナル伝達ドメインとインフレームである抗PSCA一本鎖可変フラグメント(scFv)bm2B34,5を用いて、2つのPSCA標的化CARを作製した。さらに、細胞内CD28シグナル伝達ドメインを含む第2世代CARを構築した。
図5図5a〜dは、iMCによって改変されたT細胞の形質導入効率、機能および表現型のアッセイの結果を提供している。5aおよび5b)形質導入されていないT細胞またはFKBPコントロールベクター(SFG−FKBP−2A−ΔCD19)もしくはiMC(SFG−iMC−2A−ΔCD19)を形質導入されたT細胞のフローサイトメトリー解析(n=7)。5c)形質導入されていないT細胞またはFKBPもしくはiMCベクターで形質導入されたT細胞からの、24時間後の10nMリミズシド(CID)曝露の後のIFN−γの誘導。5d)14日間の培養の後の、形質導入されたCD3CD19T細胞におけるゲーティングの後の、FKBPまたはiMCを形質導入されたT細胞の表現型分析。は、p値<0.05を示す。
図6図6aおよび6bは、iMCおよびコントロール構築物の形質導入効率のアッセイの結果を提供している。6a)コントロールおよびiMCレトロウイルスベクターのデザインの模式図。6b)FKBP、iMyD88、iCD40およびiMCを形質導入されたT細胞の形質導入効率。
図7図7a〜7cは、iMCによって改変されたT細胞の遺伝子発現解析の結果を提供している。健常ドナー(n=3)から作製されたT細胞に、FKBPまたはiMCレトロウイルスを形質導入し、次いで、10nMリミズシド(CID)を用いておよび用いずに処理した。48時間後、mRNAを抽出し、ヒト遺伝子発現チップにハイブリダイズさせた。ArrayStar(DNASTAR Inc.,Madison,WI)を用いてデータを抽出した。7a)CIDの活性化の後、iMCにおいてアップレギュレートされた遺伝子を用いて、iMCによって改変されたT細胞のみと比べて、階層クラスタリングを行った。7b)CIDを用いたおよび用いていないコントロールT細胞(FKBP)と、CIDを用いたおよび用いていないiMCによって改変されたT細胞との間のデータセットの比較。7c)CIDで処置されたiMCT細胞に対して、CIDで処置されたFKBPT細胞から抽出された遺伝子セット(433個のアップレギュレート遺伝子)を、誘導されたネットワークモジュールについてConsensusPathDBによって解析したところ、NK−κBおよびTRAF経路の中心になるシグナル伝達ネットワークの関連が実証された。
図8図8a〜8cは、初代T細胞(primary T cells)におけるiMCシグナル伝達がIL−2の非存在下において細胞生存を誘導するというアッセイの結果を提供している。8aおよび8b)FKBPおよびiMCを形質導入されたT細胞を、100U/ml IL−2が補充されたまたは補充されてない培地中で培養し、10nMリミズシド(CID)で毎週刺激し、細胞の計数によって成長について測定した。8c)CID刺激有りおよび無しで、IL−2を含まない培地中で培養された、iMCによって改変されたT細胞を、42日間培養した後、フローサイトメトリーによって(SSC、FSC)生存率について測定した。は、p値<0.05を示す。
図9図9aおよび9bは、iMCを形質導入されたT細胞におけるリミズシドによるサイトカインの誘導のアッセイの結果を提供している。FKBPコントロールベクター(9a)またはiMCレトロウイルス(9b)を形質導入されたT細胞を、10nMリミズシド(CID)で48時間処置した。次いで、上清を回収し、マルチプレックスサイトカイン/ケモカインアレイを用いて解析した。
図10図10a〜10dは、iMCおよびPSCA.ζCARで改変されたT細胞の表現型および機能のアッセイの結果を提供している。10a)FKBPコントロールまたはiMCレトロウイルスで形質導入されたPSCA.ζCAR T細胞の模式図。10b)形質導入されていない(NT)T細胞と比べたときの、PSCA.ζCARとFKBPおよびiMCレトロウイルスとの両方で同時形質導入されたT細胞の表現型。10c)PSCA.ζおよびFKBPまたはiMCを形質導入されたT細胞を、DELPHIA細胞傷害アッセイを用いて、PSCA腫瘍細胞株Capan−1およびHPACに対して異なるエフェクター:標的比で細胞傷害性についてアッセイした。10d)腫瘍およびリミズシド刺激の状況におけるIL−2産生に向けて、T細胞に、FKBPもしくはiMCのみ、PSCA.ζのみ、またはそれらの組み合わせを形質導入し、次いで、CARまたはシグナル伝達ベクターの共発現を検出するフローサイトメトリーを用いて表現型分析した。
図11図11は、iMC活性化が、IL−2の非存在下におけるCARの生存を高めることを示しているアッセイの結果を提供している。iMCおよびPSCA.ζCARを形質導入されたT細胞を、IL−2を含まない培地中で42日間培養した。T細胞に、処置を行わない(培地交換のみ)か、αCD3刺激(50ng/ml OKT3)、10nMリミズシド(CID)またはCD3とCID刺激の両方を毎週投与した。培養物を、フローサイトメトリーによってT細胞生存(FSC/SSC)について、およびフローサイトメトリーによってiMCCAR発現について表現型分析した。
図12図12a〜12dは、PSCA.ζCAR T細胞におけるCD28およびiMC共刺激を比較するアッセイの結果を提供している。12a)FKBPおよびiMC分子、ならびに第1(PSCA.ζ)および第2(PSCA.28.ζ)のCAR構築物で操作されたT細胞の模式図。12b)形質導入されていないT細胞、およびFKBPPSCA.ζ、FKBPPSCA.28.ζまたはiMCPSCA.ζを形質導入されたT細胞をCapan−1−GFP腫瘍細胞と、1:1というエフェクター:標的比で7日間共培養し、フローサイトメトリーによって残留腫瘍細胞(CD3GFP)について解析した。12c)リミズシド(CID)で処置されたおよび処置されなかった共培養上清において、IL−2のELISAを行った。12d)細胞の総数に、共培養アッセイにおいて得られたフローサイトメトリーによって測定されたCD3GFP細胞の出現頻度を乗算することによって、T細胞数を評価した。
図13図13a〜13c PSCA.ζCAR T細胞におけるiMCの共刺激は、CD28共刺激と比べて抗腫瘍有効性を高める。13a)CD28共刺激と、iMCのリミズシド(CID)依存性共刺激との比較を、s.c.Capan−1腫瘍を有するShornマウスにおいて比較した。腫瘍注射の7日後に、マウスに、1×10個の形質導入されていないT細胞、またはFKBPPSCA.ζ、FKBPPSCA.28.ζもしくはiMCPSCA.ζで改変されたT細胞を1回、i.v.投与した。続いて、形質導入されたT細胞を投与されたマウスを、1週間に2回、5mg/kgリミズシド(CID)でi.p.処置した。13b)腫瘍サイズをノギスによって各群について測定し、生存を評価した(13c)。
図14図14は、複数のレトロウイルスベクターを同時形質導入されたT細胞の形質導入効率を評価している散布図を提供している。形質導入されていないT細胞を、EGFPルシフェラーゼ(EGFPluc)のみを形質導入されたT細胞、およびFKBPPSCA.ζ、FKBPPSCA.28.ζを形質導入され、EGFPlucをさらに形質導入されたT細胞と比較した。FKBPおよびiMCならびにCARの発現をフローサイトメトリーによって解析した。
図15図15は、アミノ末端のミリストイル化領域を含まないベクターpSFG−iΔMC−2A−aCD19−Q−8stm−CD3ζのプラスミドマップである。
図16図16は、アミノ末端のミリストイル化領域を含まないベクターpSFG−iΔMC−2A−ΔCD19のプラスミドマップである。
図17図17a〜17bは、ミリストイル化されていない(606、608)誘導可能なMyD88/CD40を発現するT細胞と比べたときの、ミリストイル化された(172、607、180、609)誘導可能なMyD88/CD40によるリミズシド依存性のIL−6の産生を示している棒グラフを提供している。
図18図18a〜18bは、CD19Raji細胞と共培養されたミリストイル化されていない(608)誘導可能なMyD88/CD40を発現しているT細胞と比べたときの、ミリストイル化された(myistoylated)(180)誘導可能なMyD88/CD40によるリミズシド依存性のIL−2およびIL−6の産生を示している棒グラフを提供している。
図19図19は、ミリストイル化領域、誘導可能なCD40/完全長MyD88ポリペプチド、およびPSCAに結合するCARをコードする配列を含むベクターSFG−iMCfl−2A−PSCA(A11)scFv−CD34e−CD8stm−ゼータのプラスミドマップである。
図20図20は、ミリストイル化領域、誘導可能なCD40/完全長MyD88ポリペプチドおよびCD19ポリペプチドマーカーをコードする配列を含むベクターpBPO172−SFg−iMCfl.2A.CD19のプラスミドマップである。
図21図21は、ミリストイル化(myristoylateion)領域、誘導可能なCD40/完全長MyD88ポリペプチド、およびCD19に結合するCARをコードする配列を含む、ベクターpBPO180k−SFG−iMCfl−2A−CD19CD34eCD8stmゼータのプラスミドマップである。
図22図22は、誘導可能なMyD88/CD40キメラポリペプチドを発現している非樹状細胞の活性化を示している模式図である。
図23図23は、実験計画の模式図である。
図24図24Aおよび24Bは、形質導入されたマクロファージのアッセイの折れ線グラフを提供している。
図25図25Aおよび25Bは、形質導入されたマクロファージのアッセイの折れ線グラフを提供している。
図26-1】図26A〜Dは、マクロファージを用いたときの結果の棒グラフを提供している。
図26-2】図26A〜Dは、マクロファージを用いたときの結果の棒グラフを提供している。
図27図27Aおよび27Bは、形質導入されたメラノーマ細胞のアッセイの折れ線グラフを提供している。
図28図28Aおよび28Bは、形質導入されたメラノーマ細胞のアッセイの折れ線グラフを提供している。
図29図29Aおよび29Bは、メラノーマ細胞を用いたときの結果の棒グラフを提供している。
図30図30Aおよび30Bは、形質導入された線維芽細胞のアッセイの折れ線グラフを提供している。
図31図31Aおよび31Bは、線維芽細胞を用いたときの結果の棒グラフを提供している。
図32図32は、アッセイのデザインの模式図である。
図33図33は、マクロファージにおけるiMC活性化の棒グラフを提供している。
図34図34は、マクロファージにおけるiMC活性化の棒グラフを提供している。
図35図35は、マクロファージにおけるiMC活性化の棒グラフを提供している。
図36図36は、実施例のレトロウイルスベクターを作製するために使用され得るプラスミドに対するプラスミドベクターマップである。
図37図37は、実施例のアデノウイルスベクターを作製するために使用され得るプラスミドに対するプラスミドベクターマップである。
図38図38は、キメラ抗原レセプター(CAR)の遺伝子移入の図示を提供している。
図39図39は、CARの改善および関連する毒性の図示を提供している。
図40図40は、自殺(アポトーシス)遺伝子も発現しているCAR発現細胞と比べて、CIDによってコントロールされるキメラシグナル伝達分子の理論的解析のグラフ描写を提供している。
図41図41は、CIDによってコントロールされるCSMのいくつかの例の図示を提供している。
図42図42は、CSMのCID誘導、およびCARを含むT細胞の誘導可能なCSM活性化の図示を提供している。
図43図43は、CIDによってコントロールされるT細胞による腫瘍細胞の殺傷の図示を提供している。
図44図44は、改変されたT細胞のFACs選別解析の結果を提供している。
図45図45は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるGM−CSFおよびインターフェロンガンマのレベルの棒グラフを提供している。
図46図46は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるIL−10およびIL−13のレベルの棒グラフを提供している。
図47図47は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるIL−4およびIL−5のレベルの棒グラフを提供している。
図48図48は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるIL−6およびIL−8のレベルの棒グラフを提供している。
図49図49は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるIL−1βおよびIL−12−p70のレベルの棒グラフを提供している。
図50図50は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるIP−10およびMIP1αのレベルの棒グラフを提供している。
図51図51は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるMIP1βおよびRANTESのレベルの棒グラフを提供している。
図52図52は、改変されたT細胞およびコントロールT細胞におけるTNF−αレベルの棒グラフを提供している。
図53】iMCを形質導入されたT細胞のAP1903による活性化は、腫瘍細胞のT細胞殺傷を誘導する。コントロールベクター(MyD88/CD40シグナル伝達ドメインを欠く)、またはマクロファージにおけるiMC活性化により形質導入されたT細胞を、CAPAN−1−GFP腫瘍細胞とともに、5:1というT細胞と腫瘍細胞との比で培養した。共培養物を、10nM AP1903ありまたはなしで培養した。72時間後、共培養物をフローサイトメトリーによってGFP腫瘍細胞(X軸)について解析した。
図54図54は、図53について論じた実験と類似の、異なるドナーに対する実験の結果を示している。
図55】iMCを形質導入されたT細胞のAP1903による活性化は、腫瘍細胞のT細胞殺傷を誘導する。コントロールベクター(MyD88/CD40シグナル伝達ドメインを欠く)またはiMCを形質導入されたT細胞を、CAPAN−1−GFP腫瘍細胞とともに、5:1というT細胞と腫瘍細胞との比で培養した。共培養物を、10nM AP1903ありまたはなしで培養した。72時間後、共培養物をフローサイトメトリーによってGFP腫瘍細胞について解析した(n=2)。
図56】iMCを形質導入されたT細胞のAP1903による活性化は、腫瘍細胞のT細胞殺傷を誘導する。コントロールベクター(MyD88/CD40シグナル伝達ドメインを欠く)またはiMCを形質導入されたT細胞を、CAPAN−1−GFP腫瘍細胞とともに、5:1というT細胞と腫瘍細胞との比で培養した。共培養物を、10nM AP1903ありまたはなしで培養した。72時間後、共培養物を蛍光顕微鏡法によって解析したところ、10nM AP1903で活性化されたとき、T細胞芽球の活性化(右の2つのパネル)およびGFP腫瘍細胞の排除が示された。
図57図57は、キメラ抗原レセプターを形質導入されたまたはトランスフェクトされた細胞(左)および本明細書中に提供されるようなキメラシグナル伝達分子の例の模式図である。
図58図58は、キメラ抗原レセプターで形質導入されたまたはトランスフェクトされた細胞(左)および本明細書中に提供されるようなキメラシグナル伝達分子の例の模式図である。
図59図59は、2つのキメラポリペプチドとの間に2Aポリペプチドを有するキメラ抗原レセプターと共発現される誘導可能なキメラ刺激分子のプラスミドマップである。
図60図60A〜60Dは、誘導可能なキメラ刺激分子の例を提供している。図60Aは、誘導可能なキメラ刺激分子の一般的なポリペプチドエレメントのグラフによる図示を提供している。図60Bは、キメラ刺激分子を発現しているT細胞におけるCD19マーカー検出のフローサイトメトリーの結果を提供している。図60Cは、キメラ刺激分子を発現しているT細胞におけるIFNγ産生のグラフである。図60Dは、キメラ刺激分子を発現しているT細胞におけるIL−6産生のグラフである。
図61図61は、誘導可能なMyD88/CD40キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドおよびキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをコードするプラスミドのプラスミドマップであり、ここで、両方のポリヌクレオチドが、同じプロモーターに作動可能に連結されている。
図62図62は、誘導可能なキメラ共刺激分子のプラスミドマップである。このプラスミドは、ポリペプチドマーカーとしてCD19もコードする。
図63図63は、第1世代抗CD19−CARとともに、ミリストイル化領域を含む誘導可能なMyD88/CD40ポリペプチドをコードするpBP0172のプラスミドマップである。例えば本明細書中の実施例8に論じられるように、次世代のベクターにおいて外来の上流開始部位および付随の短いペプチドを除去するために、5’「ATG」を「AG」に変更した(下線の「ATG」配列および横線で消された「T」によって示されている)。この同一の5’非翻訳領域は、プラスミド606、607、608および609の間で共有された。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
キメラ抗原レセプター(CAR)を発現しているT細胞は、いくつかのタイプのがんの処置に対して長期間の有効性を示したが、しかしながら、過剰なT細胞の活性化に関連する毒性、例えば、サイトカイン放出症候群(CRS)が、なおも懸念として残っている。ステロイドを用いるか、またはベクター内への自殺遺伝子(例えば、誘導可能なカスパーゼ−9、HSV−TK、CD20、切断型EGFR)7−12の組み込みを用いることにより、安全性プロファイルを改善することができるが、これらの現行のアプローチは、治療のレベルを低下させることがあるか、または治療を終わらせることがあり、ゆえに、有効性を損なう可能性がある。より最近では、IL−6レセプターの遮断がCRSを管理するために使用されている;しかしながら、このストラテジーは、直接的なT細胞の細胞傷害性が組織損傷に関与しているときには、あまり有効でない可能性がある13。さらに、CAR−T細胞の有効性は、CAR−T細胞の不良な生存、活性化および増殖に起因して、おそらく、腫瘍内微小環境のより深刻な阻害作用に起因して、固形腫瘍においてより限定的である14,15。したがって、腫瘍を標的とするT細胞のコントロールされた拡大および生存を可能にするストラテジーは、毒性を最小限に抑えつつ、治療効力を最大にし得る。
【0042】
腫瘍細胞は、完全なT細胞活性化にとって必要な必須の共刺激分子を欠くことが多いので19、腫瘍抗原特異的な一本鎖可変フラグメント(scFv)ドメインおよびT細胞レセプター(TCR)と会合したCD3ζ細胞内シグナル伝達分子を含む第1世代CARを有するT細胞は、インビボにおいて存続しないかまたは拡大しない16−18。CD28または4−1BBのような強力な細胞内共刺激ドメインを組み込んでいる第2世代CAR−T細胞20,21は、養子移入後に、改善された生存およびインビボ拡大を示す1−4。いくつかの研究は、健康な組織によって活性化される阻害性ドメインを用いてCAR−T細胞を操作した22か、または「オンターゲットオフ腫瘍(on−target,off−tumor)」毒性を限定するために種々の抗原標的でCAR上の共刺激ドメインおよびCD3ζを分断することによる腫瘍センシングアプローチを用いた23,24。これらのアプローチは、腫瘍特異性を改善し得るが、予測不可能な細胞の自律性因子に依存することが多い。対照的に、インビボにおいてT細胞の増幅および排除をコントロールするために医師が実施可能なアプローチは、臨床経過に合わせた患者ごとの治療を促進し得、急性のまたは長期間にわたる治療関連毒性を潜在的に回避し得る。
【0043】
一般に、T細胞治療は、注入された細胞のインビボでの拡大が不良であるという困難を伴っていた。この問題に対処する1つの方法は、高用量のIL−2を患者に投与することによるものである。この治療は、T細胞の成長および抗腫瘍機能を助けるが、患者にとって非常に有毒でもある。高用量のIL−2は、メラノーマに対する標準治療法(standard−of−care therapy)であると考えられているので、これは、その疾患において広く使用されてきた。他のほとんどのT細胞治療の適用は、有毒作用に起因して、T細胞治療とともにIL−2を使用してこなかった。T細胞治療において生じている別の問題は、注入されたT細胞の生着および存続が不良であること(インビボでの増殖の機能)であり、これは、T細胞を注入する前にリンパ球枯渇前処置(lymphodepleting conditioning)を行うことによって対処されてきた。研究者らは、これを達成するために化学療法(特にシクロホスファミド)を広く使用するが、一部の研究者は、Campathを含む抗体を使用する。前処置は、リンパ系の「空間」を作り出すことならびに増殖因子および生存因子について競合する調節性の免疫細胞を枯渇させることによって、T細胞治療を大いに促進するとみられる。しかしながら、それは、患者にとって非常に有毒であり、正常な免疫細胞(例えば、病原体特異的)を完全に除去するので、いくつかのタイプの癌または高齢患者に対して容易に使用できない。さらに、リンパ球枯渇レジメンの使用は、T細胞治療を独立型の治療ではなく「一連の手順」に押し進め得る。
【0044】
各患者は、その患者に対して製造されたユニークな細胞生成物を有する必要があるので、T細胞治療は、ブティック療法(boutique therapy)であると広く考えられてきた。従来のT細胞治療(反復性の抗原刺激または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の単離によってもたらされる)は、それらの特異性または機能に関して再現できず、極端に変動する結果をもたらし、場合によっては、処置用の生成物を生成できないことがある。天然のT細胞レセプターまたはキメラT細胞レセプターの遺伝子移入は、この問題を解決し始めている(ここで、高度に腫瘍特異的なT細胞は、2週間未満で産生され得る)が、遺伝子が改変されたT細胞が、天然に存在するT細胞と異なって機能し得ることは明らかである。さらに、高度に特異的なCAR T細胞または最適化されたTCRアルファ鎖およびベータ鎖を発現しているT細胞は、オフターゲット毒性を引き起こし得ることから、自殺遺伝子を含めることが必要である。
【0045】
図38は、キメラ抗原レセプター(CAR)の最も基本的な構成要素を図示している。腫瘍特異的モノクローナル抗体に対する可変重(V)鎖および可変軽(V)鎖が、T細胞レセプター複合体由来のCD3ゼータ鎖(ζ)とインフレームで融合される。そのVおよびVは、通常、グリシン−セリン可動性リンカーを使用して互いに接続され、次いで、スペーサー(CH2CH3)によって膜貫通ドメインに付着されることにより、腫瘍抗原と相互作用できるようにscFvが細胞表面から離れて伸長する。
【0046】
形質導入の後、T細胞は、この時点で、その表面上にCARを発現し、腫瘍抗原と接触し、ライゲーションすると、細胞傷害および細胞活性化を誘導するCD3ゼータ鎖を介してシグナル伝達する。
【0047】
図39は、様々なキメラ抗原レセプターの開発を図示している。研究者らは、CD3ゼータを介したT細胞の活性化が、腫瘍特異的殺傷を誘導するのに十分であるが、T細胞の増殖および生存を誘導するには不十分であることを述べている。ゼータ鎖のみを発現しているCARによって改変されたT細胞を使用した初期の臨床試験は、遺伝子が改変されたT細胞が、インビボにおいて不良な生存および増殖を示すことを示した。これらの構築物は、第1世代CARと呼ばれる。
【0048】
B7軸を介した共刺激は、完全なT細胞活性化にとって必要であるので、研究者らは、共刺激ポリペプチドCD28シグナル伝達ドメインをCAR構築物に加えた。この領域は、通常、膜貫通領域(CD3ゼータバージョンの代わりに)、ならびにPI3KおよびLckに結合するためのYMNMモチーフを含む。ゼータだけを有するCARまたはゼータとCD28の両方を有するCARを発現しているT細胞の間のインビボでの比較から、CD28が、活性化後のIL−2産生の増加に部分的に起因して、インビボにおいて拡大を促進することが実証された。CD28を含んでいるものは、第2世代CARと呼ばれる。
【0049】
CARのデザインにおいて共刺激ポリペプチド4−1BBまたはOX40を使用することにより、T細胞の生存および有効性がさらに改善された。4−1BBは、特に、T細胞の増殖および生存を大幅に増強するとみられる。この第3世代のデザイン(3つのシグナル伝達ドメインを有する)は、PSMA CAR(Zhong XSら、Mol Ther.2010 Feb;18(2):413−20)およびCD19 CARにおいて、最も著しくはCLLの処置のために、使用されている(Milone,M.C.ら(2009)Mol.Ther.17:1453−1464;Kalos,M.ら、Sci.Transl.Med.(2011)3:95ra73;Porter,D.ら(2011)N.Engl.J.Med.365:725−533)。これらの細胞は、インビボにおいて1000倍超拡大して、3人の患者において目覚ましい機能を示し、3人の患者すべてにおいて持続的な緩解をもたらした。
【0050】
しかしながら、CARは、抗腫瘍効果を改善しながらも、それらは、より危険にもなった。第2および第3世代のCARを使用した2つの目立った死亡例があり、ほんの少数の患者しか処置されていないことを考慮すれば、これは、甚だしい。これらの死亡は、高度に活性化されたT細胞によって引き起こされるサイトカインストームおよび腫瘍崩壊症候群に起因する敗血症が原因で生じた(Morgan,R.A.ら(2010)Mol.Ther.14:843−851)。
【0051】
T細胞レセプターシグナル伝達は、二量体化化学誘導物質(chemical inducer of dimerization)(CID)に結合する多量体化領域を含むキメラレセプターと組み合わせてCIDを使用して誘導され得る。T細胞を、1、2または3つのFKBPフラグメントと連結されたCD3ゼータ鎖を発現するように操作した。それらの細胞は、キメラレセプターを発現し、CID依存性のT細胞活性化を示した(Spencer,D.M.ら、Science,1993.262:p.1019−1024)。本願は、CIDによってコントロールされる誘導可能なキメラシグナル伝達分子(CSM)を部分的に提供する。誘導可能なCSMを発現するT細胞をCIDと接触させることにより、細胞の活性化および免疫応答の誘導がもたらされる。
【0052】
樹状細胞(DC)は、「ユニバーサルな」Toll様レセプター(TLR)アダプターであるMyD88およびTNFファミリーメンバーであるCD40を含む、小分子(すなわち、リミズシド/AP1903)応答性(response)キメラシグナル伝達分子を用いる二量体化化学誘導(CID)によって活性化され得る25
【0053】
図40では、本願の治療法を、自殺遺伝子を使用するCAR処置の方法と比較している。本願は、抗腫瘍効果が徐々に増大するようにインビボにおけるT細胞の増殖および機能を増幅する遺伝子操作アプローチを部分的に提供する。二量体化化学誘導物質は、T細胞の機能および頻度を高めるために、インビボにおいてT細胞を活性化するためのコントロール可能な系において使用される。
【0054】
図63および64に示されているように、いくつかの実施形態において、CSMは、CD3ゼータ鎖を伴っておよび伴わずに、1つ以上の共刺激ポリペプチド(例えば、CD28および4−1BBなど)とタンデムで、Fvドメインなどの多量体化領域を使用することにより、CID依存性の増殖および共刺激が可能になる。共刺激を提供するためおよびT細胞免疫応答を増加させるために、CSMは、単独で使用され得る。この方法を使用して、T細胞の集団、例えば、非特異的な標的を含む集団が、CSMをコードするDNAでトランスフェクトされ得るかまたは形質転換され得、次いで、被験体に投与されることにより、全身的免疫応答が高められ得る。
【0055】
このCSMは、例えばscFvポリペプチドおよびCD3ゼータ鎖を含み得るCARとともに、細胞において発現され得る。この方法では、誘導可能なCSM分子は、CARと組み合わせて使用され、それにより、CARシグナル伝達が2つの別個の機能に分離される。CARによって提供されるこの第2の機能は、操作されたT細胞に対して抗原特異的細胞傷害をもたらす。図41において、この例は、PSMAに対して特異性を有するCARを示しており;これらの操作されたT細胞は、例えば、被験体に投与されることにより、特異的な免疫応答、例えば、前立腺癌腫瘍に対する免疫応答をもたらし得る(図43)。
【0056】
図59に示されるように、いくつかの実施形態において、誘導可能な共刺激ポリペプチド、例えば、CD40細胞質領域ポリペプチドまたは切断型MyD88ポリペプチドなどが、キメラ抗原レセプター自体の活性化をコントロールするために使用される。この改変された誘導可能なキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドは、細胞、例えば、T細胞などを形質導入するために使用され得る。これらの細胞は、本明細書中で論じられるようなキメラシグナル伝達分子をさらに発現し得、ある特定の実施形態において、キメラシグナル伝達分子は、CD3ゼータポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、誘導可能なキメラ抗原レセプターは、CD40細胞質領域ポリペプチドとMyD88ポリペプチドの両方を含む。
【0057】
誘導可能なMyD88/CD40キメラタンパク質は、TCRまたはCARシグナル伝達の状況において、T細胞の生存を強め、T細胞の増殖を高める、強力な共刺激シグナルとして機能し得る。さらに、この共刺激経路は、小分子を二量体化する高度に特異的な合成リガンドであるリミズシドを使用して、インビボにおいて活性化され得る。細胞溶解シグナル1(CD3ζ)ドメインを共刺激シグナル2(iMC)と分離することにより、T細胞が、投与されたリガンドおよび腫瘍抗原に応答して拡大され得るか、または刺激性の薬物を休薬して、不十分なT細胞の活性化を可能にすることによりアネルギーおよび細胞排除を誘導することによって、数を潜在的に減少させ得る、独特の機構がもたらされる。さらに、腫瘍特異的T細胞の拡大の制御に関連する、iMCによって駆動されるCAR−T細胞の効力増大の可能性は、以前にCAR−T抵抗性だった腫瘍標的、例えば、固形腫瘍に適応し得る。
【0058】
本明細書中で使用されるとき、請求項および/または明細書において用語「含む(comprising)」とともに使用されるときの単語「a」または「an」の使用は、「1つの」を意味し得るが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」および「1つもしくは2つ以上の」の意味とも一致する。なおもさらに、用語「有する」、「含む(including)」、「含む(containing)」および「含む(comprising)」は、相互交換可能であり、当業者は、これらの用語がオープンエンドな(open ended)用語であると認識している。
【0059】
本明細書中で使用される用語「同種異系」は、宿主細胞とドナー細胞との間で抗原的に異なるHLA遺伝子座またはMHC遺伝子座のことを指す。
【0060】
したがって、同じ種から移植される細胞または組織は、抗原的に異なり得る。同系マウスは、1つ以上の遺伝子座が異なり得(コンジェニック)、同種異系マウスは、同じバックグラウンドを有し得る。
【0061】
本明細書中で使用される用語「抗原」は、免疫応答を引き起こす分子として定義される。この免疫応答は、抗体の産生もしくは特定の免疫適格細胞の活性化またはその両方を含み得る。抗原は、生物、タンパク質/抗原のサブユニット、殺傷されたまたは不活性化されたホールセルまたは溶解産物に由来し得る。例示的な生物としては、ヘリコバクター、カンピロバクター、クロストリジウム、Corynebacterium diphtheriae、Bordetella pertussis、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、Borrelia burgdorfei、プラスモディウム、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、パピローマウイルス、Vibrio cholera、大腸菌、麻疹ウイルス、ロタウイルス、赤痢菌、Salmonella typhi、Neisseria gonorrheaが挙げられるが、これらに限定されない。ゆえに、実質的にすべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が、抗原として働き得る。さらに、抗原は、組換えDNAまたはゲノムDNAに由来し得る。病原性ゲノム、または免疫応答を誘発するタンパク質に対する遺伝子もしくは遺伝子のフラグメントのヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAは、抗原の合成をもたらす。さらに、本方法は、遺伝子またはゲノムの核酸配列全体の使用に限定されない。本発明が、2つ以上の遺伝子またはゲノムの部分的な核酸配列の使用を含むがこれに限定されないこと、およびこれらの核酸配列が、所望の免疫応答を誘発するように様々な組み合わせで配置されることは、容易に固有のことである。
【0062】
「抗原認識部分」は、抗原に結合する任意のポリペプチドまたはそのフラグメント、例えば、天然に由来するかまたは合成の抗体フラグメント可変ドメインであり得る。抗原認識部分の例としては、抗体に由来するポリペプチド、例えば、一本鎖可変フラグメント(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;T細胞レセプターに由来するポリペプチド、例えば、TCR可変ドメイン;ならびに細胞外の相同の(cognate)タンパク質に結合する任意のリガンドまたはレセプターフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
用語「抗原提示細胞」は、少なくとも1つの抗原または抗原性フラグメントをその細胞表面上に(または細胞表面に)ディスプレイするか、獲得するかまたは提示することができる種々の細胞のいずれかである。一般に、用語「細胞」は、抗原または抗原性組成物に対する免疫応答(すなわち、免疫系のT細胞またはB細胞のアームからの免疫応答)の強化を助けるという目標を達成する任意の細胞であり得る。例えば、Kuby,2000,Immunology,4.sup.th edition,W.H.Freeman and company(参照により本明細書中に援用される)において論じられ、ある特定の実施形態において本明細書中で使用されるように、正常にまたはクラスII主要組織適合分子もしくは主要組織適合複合体とともに免疫細胞に抗原をディスプレイするかまたは提示する細胞が、「細胞」である。ある特定の態様において、細胞(例えば、APC細胞)は、別の細胞、例えば、組換え細胞または所望の抗原を発現している腫瘍細胞と融合され得る。2つまたはそれを超える細胞の融合物を調製するための方法は、例えば、Goding,J.W.,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.65−66,71−74(Academic Press,1986);Campbell,Monoclonal Antibody Technology,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Vol.13,Burden & Von Knippenberg,Amsterdam,Elseview,pp.75−83,1984; Kohler & Milstein,Nature,256:495−497,1975;Kohler & Milstein,Eur.J.Immunol.,6:511−519,1976,Gefterら、Somatic Cell Genet.,3:231−236,1977(これらの各々は参照により本明細書中に援用される)において論じられている。場合によっては、細胞が抗原をディスプレイするかまたは提示する免疫細胞は、CD4TH細胞である。APC上または他の免疫細胞上に発現されるさらなる分子は、免疫応答の強化を助け得るか、または改善し得る。分泌分子または可溶性分子、例えば、サイトカインおよびアジュバントもまた、抗原に対する免疫応答を助け得るかまたは高め得る。様々な例が、本明細書中で論じられる。
【0064】
本明細書中で使用される用語「癌」は、そのユニークな特質である正常なコントロールの喪失が、制御されない成長、分化の欠如、局所的な組織浸潤および転移をもたらす、細胞の過剰増殖として定義される。例としては、メラノーマ、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、肝細胞癌、白血病、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、神経膠芽腫、歯肉癌、舌癌、神経芽細胞腫、頭部癌、頚部癌、乳癌、膵癌、前立腺癌、腎癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、脳癌、結腸癌、肉腫または膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書中で使用される用語「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、交換可能に使用され得る。これらの用語のすべてには、任意およびすべてのその後の世代のそれらの子孫も含まれる。故意または偶然の変異に起因して、すべての子孫が同一でない可能性があることが理解される。
【0066】
本明細書中で使用されるとき、用語「iCD40分子」は、誘導可能なCD40と定義される。このiCD40は、内因性のCD40シグナル伝達を無効にする機構を迂回し得る。用語「iCD40」は、「iCD40核酸」、「iCD40ポリペプチド」および/またはiCD40発現ベクターを包含する。
【0067】
本明細書中で使用されるとき、用語「cDNA」は、鋳型としてメッセンジャーRNA(mRNA)を使用して調製されたDNAのことを指すと意図されている。ゲノムDNA、またはゲノムRNA鋳型、プロセシングされていないRNA鋳型もしくは部分的にプロセシングされたRNA鋳型から重合されたDNAに対立するものとしてcDNAを使用することの利点は、cDNAが、主に、対応するタンパク質のコード配列を含む点である。完全または部分的なゲノム配列が使用されるときがあり、例えば、最適な発現のために非コード領域を必要とする場合、またはイントロンなどの非コード領域がアンチセンスストラテジーにおいて標的化される場合が存在する。
【0068】
用語「樹状細胞」(DC)は、インビボ、インビトロ、エキソビボ、または宿主もしくは被験体に存在するか、あるいは造血幹細胞または単球に由来し得る細胞である。樹状細胞およびそれらの前駆体は、種々のリンパ系器官、例えば、脾臓、リンパ節ならびに骨髄および末梢血から単離され得る。DCは、樹状細胞本体から薄いシート状物(ラメリポディウム)が複数の方向に広がる特徴的な形態を有する。通常、樹状細胞は、高レベルのMHCおよび共刺激(例えば、B7−1およびB7−2)分子を発現する。樹状細胞は、インビトロにおいてT細胞の抗原特異的な分化を誘導し得、インビトロおよびインビボにおいて、初代T細胞の応答を惹起することができる。
【0069】
本明細書中で使用されるとき、用語「発現構築物」または「導入遺伝子」は、遺伝子産物をコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝的構築物として定義され、ここで、核酸コード配列の一部または全部が転写されることが可能であり、該構築物は、ベクターに挿入され得る。転写産物は、タンパク質に翻訳されるが、必ずしも翻訳されるわけではない。ある特定の実施形態において、発現は、遺伝子の転写とmRNAから遺伝子産物への翻訳の両方を含む。他の実施形態において、発現は、目的の遺伝子をコードする核酸の転写だけを含む。用語「治療的な構築物」は、発現構築物または導入遺伝子のことを指すためにも使用され得る。発現構築物または導入遺伝子は、例えば、過剰増殖性疾患または過剰増殖性障害(例えば、癌)を処置する治療として、使用され得、ゆえに、発現構築物または導入遺伝子は、治療的な構築物または予防的な構築物である。
【0070】
本明細書中で使用されるとき、用語「発現ベクター」は、転写されることが可能な遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含むベクターのことを指す。場合によっては、RNA分子は、その後、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに翻訳される。他の場合、例えば、アンチセンス分子またはリボザイムの生成では、これらの配列は、翻訳されない。発現ベクターは、種々の調節配列を含み得、それらの調節配列は、特定の宿主生物において、作動可能に連結されたコード配列を転写するためおよびおそらく翻訳するために必要な核酸配列のことを指す。ベクターおよび発現ベクターは、転写および翻訳を支配する調節配列に加えて、同様に他の機能を果たす核酸配列を含み得、それらは、下で論じられる。
【0071】
本明細書中で使用されるとき、用語「エキソビボ」は、身体の「外側」のことを指す。用語「エキソビボ」および「インビトロ」は、本明細書中で交換可能に使用され得る。
【0072】
本明細書中で使用されるとき、用語「機能的に等価な」は、それがCD40に関するとき、例えば、CD40核酸フラグメント、バリアントまたはアナログについて言及しているとき、腫瘍もしくは過剰増殖性疾患を破壊するように免疫応答を刺激するCD40ポリペプチドをコードする核酸またはCD40ポリペプチドのことを指す。CD40ポリペプチドの「機能的に等価な」または「機能的フラグメント」とは、例えば、細胞外ドメインを欠いているが、抗原提示分子の樹状細胞の発現をアップレギュレートすることによってT細胞媒介性の腫瘍殺滅応答を増幅することができるCD40ポリペプチドのことを指す。用語「機能的に等価な」が、他の核酸またはポリペプチド、例えば、PSAペプチド、PSMAペプチド、MyD88または切断型MyD88に適用されるとき、その用語は、本明細書中の方法の参照ポリペプチドと同じまたは類似の活性を有するフラグメント、バリアントなどのことを指す。例えば、腫瘍抗原ポリペプチド、例えば、PSMAの機能的フラグメントは、抗原性であり得、特定の腫瘍抗原を認識する抗体を産生させ得る。リガンド結合領域の機能的フラグメント、例えば、Fvlsは、適切なリガンドに結合するのに十分なリガンド結合領域ポリペプチドの部分を含み得る。「機能的に等価な」とは、例えば、細胞外ドメインを欠いているが、T細胞において発現されたとき、T細胞媒介性の腫瘍殺滅応答を増幅することができる、共刺激ポリペプチドのことを指す。
【0073】
用語「過剰増殖性疾患」は、細胞の過剰増殖に起因する疾患として定義される。例示的な過剰増殖性疾患としては、癌または自己免疫疾患が挙げられるが、これらに限定されない。他の過剰増殖性疾患としては、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症または炎症性腸疾患が挙げられ得る。
【0074】
本明細書中で使用されるとき、用語「遺伝子」は、機能的なタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする単位として定義される。理解されるように、この機能的な用語には、ゲノム配列、cDNA配列、ならびにタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質および変異体を発現するかまたは発現するように適合された、より小さい操作された遺伝子セグメントが含まれる。
【0075】
用語「免疫原性組成物」または「免疫原」は、免疫応答を引き起こすことができる物質のことを指す。免疫原の例としては、例えば、抗原、自己免疫疾患の誘導において役割を果たす自己抗原、および癌細胞上に発現された腫瘍関連抗原が挙げられる。
【0076】
本明細書中で使用される用語「免疫無防備状態」は、免疫系が衰えているかまたは弱くなっている被験体として定義される。免疫無防備状態の状態は、免疫系の欠損もしくは機能不全または感染および/もしくは疾患への感受性を高める他の要因に起因し得る。そのような分類は、評価に対して概念的基礎を与えるが、免疫無防備状態の個体は、一方の群または他方の群に完全に当てはまらないことが多い。身体の防御機構における2つ以上の欠損が、影響され得る。例えば、HIVによって引き起こされる特定のTリンパ球欠損を有する個体は、抗ウイルス治療のために使用される薬物によって引き起こされる好中球減少症も有し得るか、または皮膚および粘膜の完全性が破られたために免疫無防備状態であり得る。免疫無防備状態の状況は、留置中心ライン(indwelling central lines)もしくは静脈内薬物乱用に起因する他のタイプの機能障害に起因し得るか;または続発性悪性疾患、栄養失調によって引き起こされ得るか、または他の感染病原体(例えば、結核)もしくは性行為感染症、例えば、梅毒もしくは肝炎に感染していることに起因し得る。
【0077】
本明細書中で使用されるとき、用語「薬学的または薬理学的に許容され得る」は、動物またはヒトに投与されたとき、有害(adverse)反応、アレルギー反応または他の有害(untoward)反応をもたらさない分子実体および組成物のことを指す。いくつかの実施形態において、被験体は、哺乳動物である。
【0078】
本明細書中で使用されるとき、「薬学的に許容され得るキャリア」は、任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対するそのような媒質および作用物質の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒質または作用物質が、本明細書中に提示されるベクターまたは細胞と不適合性である場合を除いては、治療的な組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分もまた、その組成物に組み込まれ得る。いくつかの実施形態において、被験体は、哺乳動物である。いくつかの実施形態において、被験体は、ヒトである。
【0079】
本明細書中で使用されるとき、用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドの鎖として定義される。さらに、核酸は、ヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書中で使用される核酸およびポリヌクレオチドは、相互交換可能である。核酸は、モノマーの「ヌクレオチド」に加水分解され得るポリヌクレオチドである。モノマーのヌクレオチドは、ヌクレオシドに加水分解され得る。本明細書中で使用されるとき、ポリヌクレオチドには、当該分野において利用可能な任意の手段によって得られるすべての核酸配列が含まれるが、これらに限定されず、そのような手段としては、組換え手段、すなわち、通常のクローニング技術およびPCRTMなどを使用する組換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニング、ならびに合成手段が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの変異を含み、当該分野で周知の方法によるヌクレオチドまたはヌクレオシドの変異を含むが、これらに限定されない。核酸は、1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。
【0080】
本明細書中で使用されるとき、用語「ポリペプチド」は、通常、規定の配列を有する、アミノ酸残基の鎖として定義される。本明細書中で使用されるとき、ポリペプチドという用語は、タンパク質という用語と相互交換可能であり得る。
【0081】
本明細書中で使用されるとき、用語「プロモーター」は、遺伝子の特異的な転写を開始するために必要とされる、細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識されるDNA配列として定義される。
【0082】
本明細書中で使用されるとき、用語「免疫応答を制御する」、「免疫応答を調節する」または「免疫応答をコントロールする」とは、免疫応答を改変できることを指す。例えば、組成物は、免疫応答を増強することおよび/または活性化することができる。なおもさらに、組成物は、免疫応答を阻害することもできる。制御の形態は、組成物とともに使用されるリガンドによって決定される。例えば、化学物質の二量体アナログが、共刺激ポリペプチドの二量体化をもたらし、T細胞活性化をもたらすが、しかしながら、その化学物質のモノマーアナログは、共刺激ポリペプチドの二量体化をもたらさず、T細胞を活性化しない。
【0083】
用語「トランスフェクション」および「形質導入」は、相互交換可能であり、外来性DNA配列が真核生物宿主細胞に導入されるプロセスのことを指す。トランスフェクション(または形質導入)は、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、遺伝子銃送達、レトロウイルス感染、リポフェクション、スーパーフェクション(superfection)などを含むいくつかの手段のうちのいずれか1つによって達成され得る。
【0084】
本明細書中で使用されるとき、用語「同系」とは、同一の遺伝子型、または組織移植が可能であるのに十分密接な関係がある遺伝子型、または免疫学的に適合性の遺伝子型を有する細胞、組織または動物のことを指す。例えば、同じ近交系の一卵性双生児または動物。同系および同遺伝子系は、交換可能に使用され得る。
【0085】
用語用語「患者」または「被験体」は、相互交換可能であり、本明細書中で使用されるとき、生物または動物;哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、サル)、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、サル、ヒツジまたは他の非ヒト哺乳動物を含む);非哺乳動物(例えば、非哺乳動物の脊椎動物、例えば、鳥類(例えば、ニワトリまたはアヒル)または魚類、および非哺乳動物の無脊椎動物を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0086】
「T細胞活性化分子」とは、キメラ抗原レセプターを発現するT細胞に組み込まれたとき、T細胞の活性化を増強するポリペプチドのことを意味する。例としては、ITAMを含みシグナル1を与える分子(ITAM−containing,Signal 1 conferring molecules)、例えば、CD3ζポリペプチド、およびFcレセプターガンマ、例えば、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニット(Haynes,N.M.ら、J.Immunol.166:182−7(2001)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書中で使用されるとき、用語「ワクチン」とは、動物に投与することができる形態で存在する、本明細書中に提示される組成物を含む製剤のことを指す。代表的には、ワクチンは、組成物が懸濁されるかまたは溶解される従来の食塩水または緩衝水溶液媒質を含む。この形態において、組成物は、ある状態を予防するか、回復させるか、または別途処置するために都合よく使用され得る。ワクチンは、被験体に導入されたとき、抗体、サイトカインおよび/または他の細胞応答の産生を含むがこれらに限定されない免疫応答を引き起こすことができる。
【0088】
本明細書中で使用されるとき、用語「転写支配下」または「作動可能に連結された」は、プロモーターが、RNAポリメラーゼの開始および遺伝子の発現をコントロールする核酸に対して正しい位置および方向で存在することとして定義される。
【0089】
本明細書中で使用されるとき、用語「処置」、「処置する(treat)」、「処置される」または「処置する(treating)」とは、予防法および/または治療のことを指す。その用語は、例えば、癌性の固形腫瘍などの固形腫瘍に関して使用されるとき、固形腫瘍または癌に対する被験体の抵抗性を高める予防的処置による予防のことを指す。いくつかの例において、被験体は、癌を予防するために処置され得、ここで、その癌は、家族性であるか、または遺伝的に関連する。その用語は、例えば、感染症に関して使用されるとき、病原体による感染に対する被験体の抵抗性を高める予防的処置、すなわち換言すれば、その被験体が病原体に感染する可能性もしくはその感染症に起因し得る疾病の徴候を示す可能性を低下させる予防的処置、ならびに感染症と闘うための、例えば、感染症を弱めるためもしくは排除するための、または悪化するのを防ぐための、その被験体が感染した後の処置のことを指す。
【0090】
本明細書中で使用されるとき、用語「ワクチン」とは、動物に投与することができる形態で存在する、本明細書中に提示される組成物を含む製剤のことを指す。代表的には、ワクチンは、組成物が懸濁されるかまたは溶解される従来の食塩水または緩衝水溶液媒質を含む。この形態において、組成物は、ある状態を予防するか、回復させるか、または別途処置するために都合よく使用され得る。ワクチンは、被験体に導入されたとき、抗体の産生、サイトカインの産生および/または他の細胞応答を含むがこれらに限定されない免疫応答を引き起こすことができる。
【0091】
血液疾患:本明細書中で使用される用語「血液疾患」、「血液疾患」および/または「血液の疾患」は、血液およびその構成要素(血液細胞、ヘモグロビン、血液タンパク質を含むが、これらに限定されない)の産生、凝固のメカニズム、血液の産生、血液タンパク質の産生などおよびそれらの組み合わせに影響する状態のことを指す。血液疾患の非限定的な例としては、貧血、白血病、リンパ腫、血液学的新生物、アルブミン血症(albuminemias)、血友病などが挙げられる。
【0092】
骨髄疾患:本明細書中で使用される用語「骨髄疾患」は、血液細胞および血小板の産生の減少をもたらす状態のことを指す。いくつかの骨髄疾患では、正常な骨髄の構造が、感染症(例えば、結核)または悪性疾患によって取って代わられ得、その後、血液細胞および血小板の産生の減少に至り得る。骨髄疾患の非限定的な例としては、白血病、細菌感染症(例えば、結核)、放射線宿酔または放射線中毒、汎血球減少症(apnocytopenia)、貧血、多発性骨髄腫などが挙げられる。
【0093】
T細胞および活性化T細胞(これはCD3+細胞を意味することを含む):T細胞(Tリンパ球とも称される)は、リンパ球と称される白血球の一群に属する。リンパ球は、一般に、細胞性免疫に関わる。「T細胞」における「T」とは、胸腺に由来する細胞またはその成熟が胸腺に影響される細胞のことを指す。T細胞は、T細胞レセプターとして知られる細胞表面タンパク質の存在によって、他のリンパ球のタイプ(例えば、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞)と区別され得る。本明細書中で使用される用語「活性化T細胞」は、クラスII主要組織適合性(MHC)マーカーにおいて提示された抗原決定基の認識によって免疫応答(例えば、活性化T細胞のクローン性拡大)をもたらすように刺激されたT細胞のことを指す。T細胞は、抗原決定基、サイトカインおよび/またはリンフォカインならびに分化クラスター細胞表面タンパク質(例えば、CD3、CD4、CD8などおよびそれらの組み合わせ)の存在によって活性化される。差次的なタンパク質のクラスターを発現する細胞は、しばしば、T細胞表面上のそのタンパク質の発現について「陽性」であると言われる(例えば、CD3またはCD4の発現について陽性の細胞は、CD3+またはCD4+と称される)。CD3およびCD4タンパク質は、T細胞におけるシグナル伝達に直接的および/または間接的に関わり得る細胞表面レセプターまたはコレセプターである。
【0094】
末梢血:本明細書中で使用される用語「末梢血」は、血液の循環プールから得られるかまたは調製され、リンパ系、脾臓、肝臓もしくは骨髄内に隔絶されない、血液の細胞成分(例えば、赤血球、白血球および血小板)のことを指す。
【0095】
臍帯血:臍帯血は、末梢血、およびリンパ系、脾臓、肝臓または骨髄内に隔絶された血液とは異なる。交換可能に使用され得る用語「臍帯血(umbilical blood)」、「臍帯血(umbilical blood)」または「臍帯血(cord blood)」は、胎盤および出産後のつながったままの臍帯に残存する血液のことを指す。臍帯血は、造血細胞をはじめとした幹細胞を含むことが多い。
【0096】
例えば、細胞の場合におけるような「得られるかまたは調製される」は、細胞または細胞培養物が、その供給源から単離されること、精製されることまたは部分的に精製されることを意味し、ここで、その供給源は、例えば、臍帯血、骨髄または末梢血であり得る。これらの用語は、元の供給源または細胞培養物が培養され、細胞が複製される場合、および子孫細胞がその元の供給源に由来する場合にも適用され得る。
【0097】
あるパーセントの細胞が殺傷される場合におけるような「殺傷する(kill)」または「殺傷する(killing)」は、アポトーシスを計測するための公知の任意の方法を用いて計測されるときの、アポトーシスによる細胞の死を意味する。その用語は、細胞剥離のことも指し得る。
【0098】
ドナーT細胞:ここで使用される用語「ドナーT細胞」は、同種異系の幹細胞移植の後に抗ウイルス免疫および/または抗腫瘍免疫をもたらすためにレシピエントにしばしば投与されるT細胞のことを指す。ドナーT細胞は、骨髄移植片拒絶反応を阻害するためおよび同種異系生着(alloengraftment)の成功を増加させるために利用されることが多いが、しかしながら、同じドナーT細胞は、宿主抗原に対する同種異系攻撃反応(alloaggressive response)を引き起こし得、それはその後、移植片対宿主病(GVHD)をもたらし得る。ある特定の活性化ドナーT細胞は、他の活性化T細胞よりも高いまたは低いGvHD反応を引き起こし得る。ドナーT細胞は、レシピエントの腫瘍細胞に対しても反応性であり得、有益な移植片対腫瘍効果を引き起こす。
【0099】
機能保存的バリアント」は、タンパク質または酵素の全体的な立体構造および機能を変化させずに所与のアミノ酸残基が変更されたタンパク質または酵素であり、それには、あるアミノ酸を、極性または非極性の性質、サイズ、形状および電荷を含む類似の特性を有するアミノ酸で置き換えることが含まれるが、これらに限定されない。一般に公知の遺伝的にコードされないアミノ酸の多くに対する保存的アミノ酸置換は、当該分野で周知である。他のコードされないアミノ酸に対する保存的置換は、遺伝的にコードされるアミノ酸の特性と比べたときの物理的特性に基づいて決定され得る。
【0100】
保存アミノ酸と示されるアミノ酸以外のアミノ酸は、タンパク質または酵素において異なり得、機能が類似した任意の2つのタンパク質の間のタンパク質配列またはアミノ酸配列の類似性のパーセントは、変動し得、アラインメントスキームに従って決定されるとき、例えば、少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%であり得る。本明細書中で言及されるとき、「配列類似性」は、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列が関係する程度を意味する。2つの配列間の類似性の程度は、配列同一性および/または保存のパーセントに基づき得る。本明細書中の「配列同一性」は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が不変である程度を意味する。「配列アラインメント」は、類似性の程度を評価する目的のために最大の同一性(およびアミノ酸配列の場合、保存)レベルを達成するように2つ以上の配列を並べるプロセスを意味する。配列をアラインメントするためおよび類似性/同一性を評価するための数多くの方法(例えば、類似性がMEGALIGNアルゴリズムに基づくCluster法ならびにBLASTN、BLASTPおよびFASTAなど)が、当該分野で公知である。これらのプログラムのうちのいずれかを使用するとき、好ましい設定は、最も高い配列類似性をもたらす設定である。
【0101】
間葉系ストローマ細胞:本明細書中で使用される用語「間葉系ストローマ細胞」または「骨髄由来間葉系ストローマ細胞」は、エキソビボ、インビトロおよびインビボにおいて脂肪細胞、骨芽細胞および軟骨芽細胞に分化し得、標準的な培養条件においてプラスチック培養皿に接着する単核骨髄細胞の一部としてさらに定義され得る、多分化能幹細胞のことを指し、造血系マーカーが陰性であり、CD73、CD90およびCD105が陽性である。
【0102】
胚性幹細胞:本明細書中で使用される用語「胚性幹細胞」は、50〜150個の細胞の初期胚である、胚盤胞の内部細胞塊に由来する、多能性幹細胞のことを指す。胚性幹細胞は、それ自体を無限に再生する能力、ならびに3つの一次胚葉である外胚葉、内胚葉および中胚葉のすべての誘導体に分化する能力を特徴とする。多能性細胞は、すべての細胞型を生み出せるが、多分化能細胞(例えば、成体幹細胞)は、限られた数の細胞型しか生み出せないという点で、多能性は、多分化能(mutipotent)と区別される。
【0103】
誘導可能な多能性幹細胞:本明細書中で使用される用語「誘導可能な多能性幹細胞」または「人工多能性幹細胞」は、胚性幹細胞のような、すべての細胞型ではないが多くの細胞型に分化できる細胞を作製するように、遺伝的操作(例えば、後に多能性を活性化する遺伝子の発現)、生物学的操作(例えば、ウイルスまたはレトロウイルスによる処理)および/または化学的操作(例えば、小分子、ペプチドなど)によって「再プログラムされた」または誘導された、成体の細胞または分化細胞のことを指す。誘導可能な多能性幹細胞は、それらが、中間に分化したまたは最終分化した状況(例えば、皮膚細胞、骨細胞、線維芽細胞など)を達成し、次いで、脱分化するように誘導され、それにより、多分化能細胞または多能性細胞を作製する能力の一部または全部を回復するという点で胚性幹細胞と区別される。
【0104】
CD34+細胞:本明細書中で使用される用語「CD34+細胞」は、その細胞表面上にCD34タンパク質を発現している細胞のことを指す。本明細書中で使用される「CD34」は、細胞間接着因子としてしばしば働き、リンパ節にT細胞が入ることに関与し、「分化クラスター」遺伝子ファミリーのメンバーである、細胞表面糖タンパク質(例えば、シアロムチンタンパク質)のことを指す。CD34は、骨髄、細胞外マトリックスに、またはストローマ細胞に直接、幹細胞が付着することも媒介し得る。CD34+細胞は、臍帯および骨髄において造血細胞として、間葉系幹細胞のサブセット、内皮前駆細胞、リンパ管(胸膜のリンパ管を除く)ではなく血管の内皮細胞、マスト細胞、皮膚の真皮の間質におよび付属器周辺における樹状細胞の部分集団(XIIIa因子が陰性である)、ならびにある特定の軟部組織の腫瘍(例えば、胞状軟部肉腫、プレB急性リンパ芽球性白血病(Pre−B−ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、AML−M7、隆起性皮膚線維肉腫、消化管間質腫瘍、巨細胞線維芽腫、顆粒球性肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、髄膜(mengingeal)血管周囲細胞腫、髄膜腫、神経線維腫、神経鞘腫および甲状腺乳頭癌)における細胞に見られることが多い。
【0105】
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、標的化された様式(manor)で、腫瘍に浸潤し、腫瘍細胞を殺傷する、様々なレセプターを有するT細胞のことを指す。本願の方法を使用してTILの活性を制御することは、腫瘍細胞の排除のより直接的なコントロールを可能にし得る。
【0106】
遺伝子発現ベクター:本文書全体を通じて交換可能に使用され得る、本明細書中で使用される用語「遺伝子発現ベクター」、「核酸発現ベクター」または「発現ベクター」は、宿主細胞内で複製され得、単数または複数の遺伝子を宿主細胞に導入するために利用され得る、核酸分子(例えば、プラスミド、ファージ、自律複製配列(ARS)、人工染色体、酵母人工染色体(例えば、YAC))のことを広く指す。発現ベクター上に導入された遺伝子は、内在性遺伝子(例えば、宿主細胞または宿主生物に通常見られる遺伝子)または異種遺伝子(例えば、ゲノムに通常見られない遺伝子または宿主細胞もしくは宿主生物の染色体外核酸上の遺伝子)であり得る。発現ベクターによって細胞に導入される遺伝子は、天然の遺伝子、または改変されたもしくは操作された遺伝子であり得る。遺伝子発現ベクターは、発現ベクター上に保有された単数または複数の遺伝子の効率的な転写を促進し得るかまたは増強し得る、エンハンサー配列、プロモーター領域および/またはターミネーター配列として時折、機能し得る、5’および3’非翻訳制御配列を含むようにも操作され得る。遺伝子発現ベクターは時折、特定の細胞型、細胞位置または組織タイプにおける複製および/または発現の機能性(例えば、転写および翻訳)について操作される。発現ベクターは時折、宿主細胞またはレシピエント細胞においてベクターを維持するための選択マーカーを含む。
【0107】
発生的に制御されるプロモーター:本明細書中で使用される用語「発生的に制御されるプロモーター」は、発生のプログラムまたは経路によってコントロールされるか、開始されるか、または影響されるある特定の条件下で発現される遺伝子を転写するRNAポリメラーゼに対する最初の結合部位として作用するプロモーターのことを指す。発生的に制御されるプロモーターは、発生のプログラムまたは経路の一部である遺伝子の転写に影響し得る転写のアクチベーターまたはリプレッサーに結合するためのさらなる調節領域をプロモーター領域にまたはプロモーター領域付近に有することが多い。発生的に制御されるプロモーターは、時折、遺伝子産物が細胞の発生分化に影響する遺伝子の転写に関与する。
【0108】
発生的に分化した細胞:本明細書中で使用される用語「発生的に分化した細胞」は、発生的に制御される特定の遺伝子の発現を伴うことが多く、特定の機能を果たすために、その細胞がそれほど特殊化されていない形態からより特殊化された形態に発展するプロセスを経た細胞のことを指す。発生的に分化した細胞の非限定的な例は、肝臓細胞、肺細胞、皮膚細胞、神経細胞、血液細胞などである。発生分化の変化は、通常、遺伝子発現の変化(例えば、遺伝子発現のパターンの変化)、遺伝子の再編成(例えば、サイレンシングされるかまたは発現される遺伝子をそれぞれ隠すかまたは曝すリモデリングまたはクロマチン)を含み、時々、DNA配列の変化(例えば、免疫多様性の分化)を含む。発生中の細胞分化は、遺伝子制御ネットワークの結果として理解され得る。制御遺伝子およびそのシス制御のモジュールは、インプット(例えば、発生の経路またはプログラムの上流で発現されるタンパク質)を受け取り、そのネットワークの別の箇所でアウトプットをもたらす、遺伝子制御ネットワークにおける分岐点(node)である(例えば、発現された遺伝子産物は、その発生の経路またはプログラムの下流の他の遺伝子に対して作用する)。
【0109】
用語「過剰増殖性疾患」は、細胞の過剰増殖に起因する疾患として定義される。例示的な過剰増殖性疾患としては、癌または自己免疫疾患が挙げられるが、これらに限定されない。他の過剰増殖性疾患としては、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症または炎症性腸疾患が挙げられ得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、核酸は、ウイルスベクター内に含まれている。ある特定の実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、細胞は、エキソビボにおいてウイルスベクターと接触され、いくつかの実施形態において、細胞は、インビボにおいてウイルスベクターと接触されることが理解される。
【0111】
いくつかの実施形態において、細胞は、樹状細胞、例えば、哺乳動物の樹状細胞である。しばしば、その細胞は、ヒト樹状細胞である。
【0112】
ある特定の実施形態において、細胞は、抗原とも接触される。しばしば、細胞は、エキソビボにおいて抗原と接触される。時折、細胞は、インビボにおいて抗原と接触される。いくつかの実施形態において、細胞は、被験体内に存在し、免疫応答が、抗原に対してもたらされる。時折、免疫応答は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫応答である。時折、免疫応答は、腫瘍抗原に対してもたらされる。ある特定の実施形態において、細胞は、アジュバントの添加なしに活性化される。
【0113】
いくつかの実施形態において、細胞は、エキソビボにおいて核酸を形質導入され、皮内投与によって被験体に投与される。いくつかの実施形態において、細胞は、エキソビボにおいて核酸を形質導入され、皮下投与によって被験体に投与される。時折、その細胞は、エキソビボにおいて核酸を形質導入される。時折、その細胞は、インビボにおいて核酸を形質導入される。
【0114】
MyD88とは、ミエロイド分化一次応答遺伝子88、例えば、ncbi遺伝子ID4615として引用されるヒトバージョンであるがこれに限定されないもののことを意味する。「切断型」とは、そのタンパク質が、完全長ではなく、例えば、あるドメインを欠くことがあることを意味する。例えば、切断型MyD88は、完全長ではなく、例えば、Toll/インターロイキン−1レセプタードメイン(TIRドメイン)を欠損していることがある。切断型MyD88の1つの例は、本明細書中でMyD88Lとして示され、配列番号4および5としても提示される。配列番号71および72は、サブクローニング中に付加されたリンカーを含む。「切断型MyD88」をコードする核酸配列とは、切断型MyD88ペプチドをコードする核酸配列のことを意味し、この用語は、リンカーによってコードされる任意のアミノ酸をはじめとした、クローニングのアーチファクトとして付加された任意のアミノ酸をコードする一部を含む核酸配列のことも指し得る。誘導可能なMyD88/CD40ポリペプチドは、例えば、配列番号48または49において提供されるヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を有する、完全長のMyD88ポリペプチドも含み得る。MyD88または本願の他のポリペプチドをコードする核酸配列は、例えば、コドン最適化され得、改変された細胞において好ましいコドンまたは本明細書中に提供されるようなゆらいだコドンを含む。
【0115】
本明細書中の方法では、上記ペプチドの誘導可能なCD40の一部は、誘導可能なMyD88または切断型MyD88ポリペプチドの一部の上流または下流に配置され得る。また、誘導可能なCD40の一部および誘導可能なMyD88または切断型MyD88アダプタータンパク質の一部は、同じベクターにおけるシスでまたは別個のベクターにおけるトランスで細胞にトランスフェクトされ得るかまたは形質導入され得る。
【0116】
いくつかの実施形態における細胞は、時折、エキソビボにおいて抗原と接触される。ある特定の実施形態において、細胞は、被験体内に存在し、免疫応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫応答が、その抗原に対してもたらされる。ある特定の実施形態において、免疫応答が、腫瘍抗原(例えば、PSMA)に対してもたらされる。いくつかの実施形態において、核酸は、エキソビボにおいて調製され、例えば、皮内投与または皮下投与によって、被験体に投与される。時折、細胞は、エキソビボまたはインビボにおいて核酸を形質導入されるかまたはトランスフェクトされる。
【0117】
いくつかの実施形態において、核酸は、ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む。あるいは、核酸は、キメラタンパク質のタンパク質コード領域を含む、エキソビボにおいて転写されるRNAを含む。
【0118】
固形腫瘍の「腫瘍サイズを減少させる」または「腫瘍の成長を阻害する」とは、標準的なガイドライン、例えば、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)基準に従う、処置に対する応答または疾患の安定化のことを意味する。例えば、これは、固形腫瘍の直径の約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%の減少、または腫瘍、循環腫瘍細胞もしくは腫瘍マーカーの数の約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%の減少を含み得る。腫瘍のサイズは、例えば、CTスキャン、MRI、例えば、CT−MRI、胸部X線(肺の腫瘍の場合)または分子イメージング、例えば、PETスキャン、例えば、阻害剤がTROFEXTM/MIP−1072/1095である場合、例えば、ヨウ素123で標識されたPSA、例えば、PSMAリガンドを投与した後のPETスキャン、または分子イメージング、例えば、SPECT、またはPSA、例えば、PSMA抗体、例えば、111−イリジウムで標識されたPSMA抗体であるカプロマブ(capromad)ペンデチド(pendetide)(Prostascint)を用いるPETスキャンをはじめとした任意の方法によって解析され得る。
【0119】
「腫瘍の血管新生を減少させるか、遅延させるかまたは阻害する」とは、処置前の腫瘍の血管新生の量と比べたときの、腫瘍の血管新生の約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%の減少または新しい血管構造の出現の約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%の減少のことを意味する。その減少は、1つの腫瘍について言及していることもあるし、1つより多い腫瘍における血管新生の合計または平均でもあり得る。腫瘍の血管新生を測定する方法としては、例えば、CATスキャン、MRI、例えば、CT−MRI、または分子イメージング、例えば、SPECTもしくはPETスキャン、例えば、阻害剤がTROFEXTM/MIP−1072/1095である場合、例えば、ヨウ素123で標識されたPSA、例えば、PSMAリガンドの投与後のPETスキャン、またはPSA、例えば、PSMA抗体、例えば、111−イリジウムで標識されたPSMA抗体であるカプロマブペンデチド(Prostascint)を用いるPETスキャンが挙げられる。
【0120】
例えば、腫瘍が、前立腺に存在するものであるか、または前立腺における腫瘍に由来するかもしくは前立腺における腫瘍から転移したものであるか、またはPSAを産生するものであるとき、その腫瘍は、前立腺がんの腫瘍と分類される。例えば、腫瘍が、被験体の前立腺における腫瘍と同じまたは同様の染色体切断点を有すると判定されるとき、その腫瘍は、前立腺における腫瘍から転移したものである。
【0121】
Spencer,D.らに対して2008年6月29日に発行された米国特許第7,404,950号および2014年4月8日に発行されたSpencer,D.らによる米国特許第8,691,210号は、それらの全体が参照により援用される。2010年10月26日に出願されたSpencer,D.らによる米国特許出願12/445,939;2009年9月21日に出願されたSpencer,D.らによる12/563,991;2011年4月14日に出願されたSlawin,K.らによる13/087,329;2013年2月8日に出願されたSpencer,D.らによる13/763,591;2009年9月21日に出願され、WO2010/033949として2010年3月28日に公開された国際特許出願PCT/US2009/057738;2011年4月14日に出願され、WO2011/130566として2011年10月20日に公開された国際特許出願PCT/US2011/032572もまた、それらの全体が参照により援用される。
【0122】
前立腺がん
米国では、前立腺がんは、男性において最も一般的な固形悪性腫瘍である。2008年の前立腺がんの新しい症例は推定186,320例であり、28,660人が死亡すると予想された。Jemal Aら、Cancer statistics,2008.CA Cancer J Clin.58:71−96,2008.一次療法の後にPSA−進行を経験する患者のおよそ70%が、その疾患の経過中の任意の時点において転移する。Gittes RF,N Engl J Med.324:236−45,1991.アンドロゲン枯渇療法(ADT)は、転移性前立腺がんに対する標準的な治療法であり、80〜85%の患者において、一時的な腫瘍のコントロールまたは後退を達成する。Crawford EDら、N Engl J Med.321:419−24,1989;Schellhammer PFら、J Urol.157:1731−5,1997;Scher HI and Kelly WK,J Clin Oncol.11:1566−72,1993;Small EJ and Srinivas S,Cancer.76:1428−34,1995.
ホルモン療法に対する奏功期間ならびにホルモン療法開始後の生存時間は、いくつかの因子に依存することが示されており、その因子としては、原発性腫瘍のグリーソン和(Gleason Sum)、ADT開始後に検出不可能な最下点PSAを達成する能力、およびADT開始前のPSA倍加時間が挙げられる。ホルモン療法にもかかわらず、転移性前立腺がんを有する実質的にすべての患者が、最終的には進行性疾患を発症する。Kelly WK and Slovin SF,Curr Oncol Rep.2:394−401,2000;Scher HIら、J Natl Cancer Inst.88:1623−34,1996;Small EJ and Vogelzang NJ,J Clin Oncol.15:382−8,1997.原発性腫瘍のグリーソン和、すなわちグリーソンスコアを用いることにより、その腫瘍の微視的評価に基づいて男性の前立腺がんのレベルがグレーディングされる。より高いグリーソンスコアは、そのがんが、より高悪性度であり、広がる可能性がより高いので、より不良な予後を有するがんであることを意味する。このグレーディングシステムの例は、Gleason DF.,The Veteran’s Administration Cooperative Urologic Research Group:histologic grading and clinical staging of prostatic carcinoma.In Tannenbaum M(ed.)Urologic Pathology:The Prostate.Lea and Febiger,Philadelphia,1977;171−198において論じられている。
【0123】
ADTを開始した前立腺がんを有するほとんどの患者は、一次療法(例えば、前立腺全摘除術、近接照射療法、外照射療法、凍結融解壊死治療など)が失敗した後の上昇性のPSAに対して処置される。臨床転移が無い場合、これらの患者は、7〜11年間の範囲の比較的長い無病期間を経験するが;しかしながら、これらの患者の大部分は、最終的には、去勢レベルの血清テストステロンにもかかわらず上昇性のPSAレベルの再発によって証明されるようなホルモン抵抗性疾患を発症する。これらの患者もまた、予後不良であり、大部分は、9ヶ月以内に臨床転移を発症し、24ヶ月という生存期間中央値を有する。Bianco FJら、Cancer Symposium:Abstract 278,2005.用語「前立腺がん」は、種々の形態またはステージを含み、それらには、例えば、転移性、転移性去勢抵抗性、転移性去勢感受性、局所進行性および限局性の前立腺がんが含まれる。
【0124】
抗原提示細胞
抗原提示細胞(APC)は、その表面上に外来抗原を主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子とともにディスプレイすることによって、その外来抗原に対してT細胞をプライムし得る細胞である。APCには、2つのタイプ、プロフェッショナルおよび非プロフェッショナルがある。プロフェッショナルAPCは、MHCクラスI分子とMHCクラスII分子の両方を発現し、非プロフェッショナルAPCは、MHCクラスII分子を恒常的に発現しない。特定の実施形態では、プロフェッショナルAPCが、本明細書中の方法において使用される。プロフェッショナルAPCとしては、例えば、B細胞、マクロファージおよび樹状細胞が挙げられる。
【0125】
活性化された細胞に関連する1つまたはそれを超える活性が、観察され得るおよび/または測定され得るとき、その細胞は、「活性化されている」。例えば、本明細書中に提示される発現ベクターと接触した後、発現ベクターと接触していないかまたはネガティブコントロールベクターと接触した細胞と比べて、発現ベクターと接触した細胞において、活性化に関連する活性が測定され得るとき、その細胞は、活性化されている。1つの例において、活性の上昇は、接触していない細胞またはネガティブコントロールと接触した細胞の活性と比べて2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10倍高いレベルまたはそれを超えるレベルであり得る。例えば、以下の活性のうちの1つが、発現ベクターと接触した細胞において高まり得る:その細胞上の共刺激分子の発現、細胞におけるNF−カッパーBの核移行、DC成熟マーカーの発現、例えば、toll様レセプターの発現またはCCR7の発現、特異的な細胞傷害性Tリンパ球応答、例えば、腫瘍細胞に対する特異的な溶解活性、またはサイトカイン(例えば、IL−2)もしくはケモカインの発現。
【0126】
細胞を活性化するかまたは免疫応答を「高める」組成物の量は、その組成物を添加せずに測定された同じ免疫応答と比べたとき、その組成物の添加に伴って、多少なりとも、より大きいかまたは増強するかまたは逸脱する免疫応答が観察される量のことを指す。例えば、細胞傷害性T細胞の溶解活性は、例えば、51Cr放出アッセイを用いて、組成物有りおよび無しで測定され得る。CTLの溶解活性が組成物無しでのCTLの溶解活性と比べて上昇する物質の量は、その抗原に対して動物の免疫応答を高めるのに十分な量であると言われる。例えば、免疫応答は、少なくとも約2倍、または例えば約3倍もしくはそれを超えて、高められ得る。分泌されるサイトカインの量もまた変化し得る。
【0127】
高められた免疫応答は、能動免疫応答または受動免疫応答であり得る。あるいは、その応答は、細胞を被験体(例えば、患者)から得て、次いで、その細胞に、本明細書中に提示される発現ベクターまたは構築物を含む組成物を形質導入するかまたはトランスフェクトする、適応免疫療法アプローチの一部であり得る。それらの細胞は、例えば、被験体の血液または被験体の骨髄から得られることがある。次いで、それらの細胞は、同じもしくは異なる動物、または同じもしくは異なる被験体(例えば、同じまたは異なるドナー)に投与され得る。ある特定の実施形態において、被験体(例えば、患者)は、がん(例えば、前立腺がん)を有するかもしくは有していると疑われるか、または感染症を有するかもしくは有していると疑われる。他の実施形態において、免疫応答を高める方法は、公知のがん治療または感染症を処置する任意の公知の治療とともに実施される。
【0128】
樹状細胞
自然免疫系は、微生物に存在する保存された分子パターンを認識するために、一連の生殖細胞系列によってコードされるレセプターを用いる。これらの分子パターンは、微生物のある特定の構成物に存在し、その構成物としては、リポ多糖類、ペプチドグリカン、リポテイコ酸、ホスファチジルコリン、リポタンパク質を含む細菌特異的タンパク質、細菌のDNA、ウイルスの一本鎖および二本鎖RNA、非メチル化CpG−DNA、マンナンならびに種々の他の細菌および真菌細胞壁の構成要素が挙げられる。そのような分子パターンは、植物アルカロイドなどの他の分子にも存在し得る。自然免疫の認識のこれらの標的は、微生物が産生するのであって、感染した宿主生物が産生するのではないので、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる(Janewayら(1989)Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.,54:1−13;Medzhitovら、Nature,388:394−397,1997)。
【0129】
PAMPを認識する自然免疫系のレセプターは、パターン認識レセプター(PRR)と呼ばれる(Janewayら、1989;Medzhitovら、1997)。これらのレセプターは、構造が異なり、いくつかの異なるタンパク質ファミリーに属する。これらのレセプターのいくつかは、直接PAMPを認識する(例えば、CD14、DEC205、コレクチン)が、その他のもの(例えば、補体レセプター)は、PAMP認識によって産生された生成物を認識する。これらのレセプターファミリーのメンバーは、一般に、3つのタイプ:1)血漿中に循環している体液性レセプター(humoral receptors);2)免疫細胞表面上に発現されるエンドサイトーシスレセプター、および3)細胞表面上または細胞内に発現され得るシグナル伝達レセプターに分けることができる(Medzhitovら、1997;Fearonら(1996)Science 272:50−3)。
【0130】
細胞性PRRは、適応免疫においてプロフェッショナル細胞(APC)として機能する細胞を含む、自然免疫系のエフェクター細胞上に発現される。そのようなエフェクター細胞としては、マクロファージ、樹状細胞、Bリンパ球および表面上皮が挙げられるが、これらに限定されない。この発現プロファイルのおかげで、PRRは、生得的なエフェクター機構を直接誘導することが可能になり、また、下記で論じられるように、一連の内因性シグナル(例えば、炎症性サイトカインおよびケモカイン)の発現を誘導することによって、宿主生物に感染病原体の存在を知らせることが可能になる。この後者の機能は、侵入者と戦うエフェクターの力の効率的な動員を可能にする。
【0131】
樹状細胞(DC)の主要な機能は、末梢組織において抗原を獲得すること、二次リンパ組織に移動すること、および免疫系のエフェクターT細胞に抗原を提示することである(Banchereau,J.ら、Annu Rev Immunol,2000,.18:p.767−811;Banchereau,J.,& Steinman,R.M.,Nature 392,245−252(1998))。DCは、免疫応答において決定的な役割を果たすとき、成熟変化を起こして、各環境に対して適切な機能を果たすことが可能になる(Termeer,C.C.ら、J Immunol,2000,Aug.15.165:p.1863−70)。DCの成熟中、抗原取り込みの潜在能力は失われ、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIおよびクラスII分子の表面密度が、10〜100倍高まり、CD40分子、共刺激分子および接着分子の発現もまた大幅に増加する(Lanzavecchia,A.and F.Sallusto,Science,2000.290:p.92−96)。さらに、他の遺伝子変化によって、DCが、流入領域リンパ節のT細胞が豊富な副皮質にホーミングすること、およびナイーブT細胞およびメモリーT細胞を引きつけ、抗原特異的ナイーブTH0細胞をプライムするT細胞ケモカインを発現することが可能になる(Adema,G.J.ら、Nature,1997,Jun.12.387:p.713−7)。このステージにおいて、成熟DCは、MHC II分子を介してCD4Tヘルパー細胞に抗原を提示して、T細胞CD40リガンド(CD40L)のアップレギュレーションを誘導し、その後、そのリガンドは、DC CD40レセプターに会合する。このDC:T細胞の相互作用は、MHC IおよびII分子、接着分子、共刺激分子(例えば、B7.1、B7.2)、サイトカイン(例えば、IL−12)ならびに抗アポトーシスタンパク質(例えば、Bcl−2)のさらなるアップレギュレーションを含む、強力なCD8細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の惹起にとって重大なさらなるDC分子の迅速な発現を誘導する(Anderson,D.M.ら、Nature,1997,Nov.13.390:p.175−9;Ohshima,Y.ら、J Immunol,1997,Oct.15.159:p.3838−48;Sallusto,F.ら、Eur J Immunol,1998,Sep.28:p.2760−9;Caux,C.Adv Exp Med Biol.1997,417:21−5;)。CD8T細胞は、リンパ節を出て、循環に再び入り、元の炎症部位にホーミングして、病原体または悪性細胞を破壊する。
【0132】
DCの機能に影響する鍵となるパラメータの1つは、DCに対して「オンスイッチ」として働くCD40レセプターである(Bennett,S.R.ら、Nature,1998,Jun.4.393:p.478−80;Clarke,S.R.,J Leukoc Biol,2000,May.67:p.607−14;Fernandez,N.C.ら、Nat Med,1999,Apr.5:p.405−11;Ridge,J.P.,D.R.F,and P.Nature,1998,Jun.4.393:p.474−8;Schoenberger,S.P.ら、Nature,1998,Jun.4.393:p.480−3)。CD40は、TNFレセプタースーパーファミリーの48kDa膜貫通メンバーである(McWhirter,S.M.ら、Proc Natl Acad Sci USA,1999,Jul.20.96:p.8408−13)。CD40−CD40L相互作用は、TNFレセプター関連因子(TRAF)が関与するシグナル伝達カスケードを惹起するために必要なCD40の三量体化を誘導する(Ni,C.ら、PNAS,2000,97(19):10395−10399;Pullen,S.S.ら、J Biol Chem,1999,May 14.274:p.14246−54)。CD40は、これらのシグナル伝達分子を用いて、NF−カッパーB、AP−1、STAT3およびp38MAPKをはじめとした、DCにおけるいくつかの転写因子を活性化する(McWhirter,S.M.ら、1999)。
【0133】
抗原をプロセシングして提示するユニークな方法ならびに共刺激分子およびサイトカイン分子の高レベル発現の可能性に起因して、樹状細胞(DC)は、ナイーブT細胞をプライミングして活性化するのに有効な細胞(APC)である(Banchereau Jら、Ann NY Acad Sci.2003;987:180−187)。この特性のおかげで、いくつかの臨床試験においてワクチン接種に対する細胞プラットフォームとして幅広く使用されており、有望な結果がもたらされている(O’Neill DWら、Blood.2004;104:2235−2246;Rosenberg SA,Immunity.1999;10:281−287)。しかしながら、がん患者におけるDCワクチンの臨床的有効性は、最適以下の活性化、流入領域リンパ節への限定的な遊走およびリンパ節の環境における最適なT細胞の活性化の不十分な寿命をはじめとしたいくつかの鍵となる欠点におそらく起因して、不十分である。
【0134】
DCベースのがんワクチンの最適化におけるパラメータは、免疫エフェクター細胞(例えば、CD4、CD8T細胞およびT調節性(Treg)細胞)とDCの相互作用である。これらの相互作用において、DCの成熟状態が、得られるエフェクター機能を決定する際の鍵となる因子である(Steinman RM,Annu Rev Immunol.2003;21:685−711)。Tregの拡大を最小限に抑えつつ、CD4およびCD8T細胞のプライミングを最大にするためには、DCは、完全に成熟していて、高レベルの共刺激分子(CD40、CD80およびCD86のような)ならびにIL−12p70およびIL−6のような炎症促進性サイトカインを発現している必要がある。等しく重要なことには、DCは、ワクチン接種部位から流入領域リンパ節に効率的に遊走して、T細胞の相互作用を惹起できなければならない(Vieweg Jら、Springer Semin Immunopathol.2005;26:329−341)。
【0135】
単球由来の未熟なDCをエキソビボにおいて成熟させる場合、DCベースの試験の大部分は、TNF−アルファ、IL−1ベータ、IL−6およびPGE2を含む標準的な成熟サイトカインカクテル(MC)を使用してきた。その標準的な成熟カクテル中のプロスタグランジンE2(PGE2)の主な機能は、CCケモカインレセプター7(CCR7)をそのリガンドであるCCケモカインリガンド19(CCL19)およびCCL21に対して感作することであり、それにより、流入領域リンパ節へのDCの遊走能が高まる(Scandella Eら、Blood.2002;100:1354−1361;Luft Tら、Blood.2002;100:1362−1372)。しかしながら、PGE2は、T細胞の増殖の抑制(Goodwin JSら、J Exp Med.1977;146:1719−1734;Goodwin JS,Curr Opin Immunol.1989;2:264−268)、炎症促進性サイトカイン産生の阻害(例えば、IL−12p70およびTNF−アルファ(Kalinski P,Blood.2001;97:3466−3469;van der Pouw Kraan TCら、J Exp Med.1995;181:775−779))および主要組織適合遺伝子複合体(MHC)II表面発現のダウンレギュレーション(Snyder DS,Nature.1982;299:163−165)をはじめとした、免疫応答の刺激にとって潜在的に有害な数多くの特性を有するとも報告されている。ゆえに、遊走を促進しつつPGE2を回避し得る成熟プロトコルは、DCベースのワクチンの治療効果を改善する可能性がある。
【0136】
リンパ系組織内のDCの刺激促進性の(pro−stimulatory)状態を拡大するために、CD40シグナル伝達経路の標的化された時間的なコントロールに基づくDCの活性化システムが開発された。CD40シグナル伝達の大きさと持続時間の両方を増加させることによって、DCの機能が改善された(Hanks BAら、Nat Med.2005;11:130−137)。これを達成するために、CD40の細胞質ドメインを、膜標的化配列とともに合成リガンド結合ドメインに融合するように、CD40レセプターが再度操作された。二量体化化学誘導物質(CID)(Spencer DMら、Science.1993;262:1019−1024)と呼ばれる脂質透過性の二量体化薬物AP20187(AP)の投与によって、マウスDCにおけるCD40依存性のシグナル伝達カスケードがインビボにおいて誘導された。この誘導ストラテジーは、インビボにおいて規定の抗原と腫瘍の両方に対する免疫原性を、他の活性化様式で達成されたものを超えて有意に高めた(Hanks BAら、Nat Med.2005;11:130−137)。
【0137】
パターン認識レセプター(PRR)シグナル伝達(その一例は、Toll様レセプター(TLR)シグナル伝達である)は、DCの成熟および活性化の誘導においても重大な役割を果たし;ヒトDCは、複数の異なるTLRを発現する(Kadowaki Nら、J Exp Med.2001;194:863−869)。11個の哺乳動物TLRが、様々な病原体由来の高分子に応答して、適応免疫の惹起ととともに自然免疫反応の活性化に寄与する。リポ多糖(LPS)および臨床的に妥当な誘導体であるモノホスホリルリピドA(MPL)は、細胞表面TLR−4複合体に結合し(Kadowaki Nら、J Exp Med.2001;194:863−869)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)p38およびc−Junキナーゼ(JNK)とともに、結果的に転写因子(例えば、NF−カッパーBおよびIRF3)を誘導する様々なシグナル伝達経路をもたらす(Ardeshna KMら、Blood.2000;96:1039−1046;Ismaili Jら、J Immunol.2002;168:926−932)。このプロセスの間に、DCは、成熟し、IL−6、IL−12およびタイプIインターフェロンのような炎症促進性サイトカインを部分的にアップレギュレートする(Rescigno Mら、J Exp Med.1998;188:2175−2180)。LPSによって誘導される成熟は、インビトロおよびインビボにおいて、DCが抗原特異的T細胞の応答を刺激する能力を高めると示されている(Lapointe Rら、Eur J Immunol.2000;30:3291−3298)。CD40ペプチドをコードする核酸を細胞に形質導入する工程を含む細胞を活性化するための方法は、米国特許第7,404,950号において論じられており、誘導可能なCD40ペプチドおよびパターン認識レセプターまたはその経路内の他の下流のタンパク質を含むキメラタンパク質をコードする核酸を細胞にトランスフェクトする工程を含む細胞を活性化するための方法は、2007年10月19日に出願され、WO2008/049113として公開された国際特許出願番号PCT/US2007/081963において論じられている(これらは、参照により本明細書に援用される)。
【0138】
誘導可能なCD40(iCD40)システムは、ヒト樹状細胞(DC)に適用されており、iCD40シグナル伝達をパターン認識レセプター(PRR)アダプターライゲーションと組み合わせることにより、ヒトDCの持続的かつ頑強な活性化を引き起こすことが実証されている(Spencerらの、2009年9月21日に出願され、2010年3月25日にWO2010/033949として公開された関連国際出願であり、参照により本明細書に援用されるUSSN12/563,991)。
【0139】
発現構築物の操作
発現構築物は、共刺激ポリペプチドおよびリガンド結合ドメインをコードし、これらはすべて、作動可能に連結されている。一般に、用語「作動可能に連結された」は、プロモーター配列が第2の配列に機能的に連結されていることを示すと意味され、ここで、そのプロモーター配列は、第2の配列に対応するDNAの転写を開始および媒介する。より詳細には、1つより多いリガンド結合ドメインが、発現構築物において使用される。なおもさらに、その発現構築物は、膜標的化配列を含む。適切な発現構築物は、上記のFKBPリガンド結合エレメントのいずれかの側に共刺激ポリペプチドエレメントを含み得る。発現構築物は、ベクター、例えば、ウイルスベクターまたはプラスミドに挿入され得る。提供される方法の工程は、任意の好適な方法を使用して行われ得、これらの方法としては、本明細書中に提示される細胞に核酸を形質導入する方法、形質転換する方法または別途提供する方法が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、切断型MyD88ペプチドは、配列番号4のヌクレオチド配列(DNAリンカー有りもしくは無しで、または配列番号5のアミノ酸配列を有する)によってコードされる。いくつかの実施形態において、CD40細胞質ポリペプチド領域は、配列番号8におけるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
【0140】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、誘導可能なキメラ刺激ポリペプチドおよび異種ポリペプチドをコードし得、それらは、例えば、マーカーポリペプチドであり得、例えば、キメラ抗原レセプターであり得る。その異種ポリペプチド、例えば、キメラ抗原レセプターは、ポリペプチド配列、例えば、2A様リンカーポリペプチドを介して、誘導可能なキメラ刺激分子に連結され得る。
【0141】
ある特定の例では、誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸は、第2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとして、同じベクター、例えば、ウイルスベクターまたはプラスミドベクターの中に含められる。この第2のポリペプチドは、例えば、本明細書中で論じられるようなキメラ抗原レセプターポリペプチド、またはマーカーポリペプチドであり得る。これらの例では、その構築物は、2Aポリペプチドによって連結された2つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸に作動可能に連結された1つのプロモーターを有するようにデザインされ得る。この例では、第1および第2のポリペプチドは、翻訳中に分断されており、キメラ刺激分子ポリペプチドおよび第2のポリペプチドが生じる。他の例では、これらの2つのポリペプチドは、同じベクターから別々に発現され得、ここで、それらのポリペプチドのうちの1つをコードするポリヌクレオチドを含む各核酸が、別個のプロモーターに作動可能に連結されている。なおも他の例では、1つのプロモーターが、2つの核酸に作動可能に連結され得、2つの別個のRNA転写物、ゆえに2つのポリペプチドの産生が指示される。ゆえに、本明細書中で論じられる発現構築物は、少なくとも1つまたは少なくとも2つのプロモーターを含み得る。
【0142】
発現構築物は、マーカーポリペプチドをさらに含み得る。ある特定の実施形態において、マーカーポリペプチドは、誘導可能なキメラシグナル伝達分子に連結される。例えば、マーカーポリペプチドは、ポリペプチド配列、例えば、切断可能な2A様配列を介して誘導可能なキメラシグナル伝達分子に連結され得る。マーカーポリペプチドは、例えば、CD19、ΔCD19であり得るか、または例えば誘導可能なキメラシグナル伝達分子の活性に影響しないように選択される異種タンパク質であり得る。
【0143】
2A様配列または「切断可能な」2A配列は、例えば、Thosea asignaを含む、例えば、多くの異なるウイルスに由来する。これらの配列は、時折、「ペプチドスキッピング配列」としても知られる。このタイプの配列が、分断されるように意図された2つのペプチドの間のシストロン内に配置されるとき、リボソームは、ペプチド結合をスキップするとみられ、Thosea asignaの配列の場合、Glyアミノ酸とProアミノ酸との間の結合が省略される。これにより、2つのポリペプチド、この場合、カスパーゼ−9ポリペプチドおよびマーカーポリペプチドが残される。この配列が使用されるとき、2A配列の5’側でコードされるペプチドは、カルボキシ末端において、Gly残基および2A配列内の任意の上流を含むさらなるアミノ酸で終わることがある。2A配列の3’側でコードされるペプチドは、アミノ末端において、Pro残基および2A配列内の任意の下流を含むさらなるアミノ酸で終わることがある。「2A」または「2A様」配列は、ペプチド結合のスキッピングを引き起こし得る大きなファミリーのペプチドの一部である(Donnelly,ML 2001,J.Gen.Virol.82:1013−25)。様々な2A配列が、特徴付けられており(例えば、F2A、P2A、T2A)、それらは、本願のポリペプチドにおいて使用され得る2A様配列の例である。
【0144】
共刺激ポリペプチド
共刺激ポリペプチド分子は、細胞の生存および増殖に関与するシグナル伝達経路の活性化によって細胞媒介性の免疫応答を増幅することができる。企図される共刺激タンパク質としては、例えば、腫瘍壊死因子レセプター(TNFR)ファミリーのメンバー(すなわち、CD40、RANK/TRANCE−R、OX40、4−1BB)およびCD28ファミリーのメンバー(CD28、ICOS)が挙げられるが、これらに限定されない。共刺激タンパク質には、例えば、CD28、4−1BB、OX40およびCD3ゼータ鎖、または例えばそれらの細胞質領域が含まれ得る。2つ以上の共刺激ポリペプチドまたは共刺激ポリペプチドの細胞質領域が、本明細書中で論じられる誘導可能なキメラシグナル伝達分子において使用され得る。例えば、誘導可能なCSMは、CD28細胞質ポリペプチドおよび4−1BB細胞質ポリペプチドを含み得る。または、例えば、誘導可能なCSMは、CD28細胞質ポリペプチドおよびOX40細胞質ポリペプチドを含み得る。または、例えば、誘導可能なCSMは、CD3ゼータドメインポリペプチドをさらに含み得る。
【0145】
共刺激ポリペプチドには、NF−カッパーB経路、Akt経路および/またはp38経路を活性化する任意の分子またはポリペプチドが含まれる。細胞活性化システムは、1つ以上のリガンド結合ドメイン(すなわち、小分子結合ドメイン)に融合された組換えシグナル伝達分子の利用に基づき、ここで、共刺激ポリペプチドは、オリゴマー化をもたらすリガンド(すなわち、脂質透過性の有機二量体化薬物)によって活性化されるおよび/または制御される。共刺激ポリペプチドの架橋またはオリゴマー化のために使用され得る他のシステムは、抗体、天然のリガンドおよび/または人工の交差反応リガンドもしくは合成リガンドを含む。なおもさらに、企図される別の二量体化のシステムは、クーママイシン/DNAジャイレースBシステムを含む。
【0146】
使用され得る共刺激ポリペプチドは、NF−カッパーBおよび他の可変性のシグナル伝達カスケード、例えば、p38経路および/またはAkt経路を活性化するポリペプチドを含む。そのような共刺激ポリペプチドとしては、CD28ファミリーメンバー(例えば、CD28、ICOS)、TNFレセプター(すなわち、CD40、RANK/TRANCE−R、OX40、4−1BB)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0147】
パターン認識レセプターとしては、エンドサイトーシスパターン認識レセプター(すなわち、マンノースレセプター、スカベンジャーレセプター(すなわち、Mac−1、LRP、ペプチドグリカン、テイコ酸(techoic acids)、トキシン、CD11c/CR4));外部シグナルパターン認識レセプター(Toll様レセプター(TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10)、ペプチドグリカン認識タンパク質(PGRPは、細菌のペプチドグリカンおよびCD14に結合する);内部シグナルパターン認識レセプター(すなわち、NODレセプター1および2)、RIG1およびPRRが挙げられるが、これらに限定されない。本方法および組成物に適したパターン認識レセプターには、例えば、Werts C.ら、Cell Death and Differentiation(2006)13:798−815;Meylan,E.ら、Nature(2006)442:39−44;およびStrober,W.ら、Nature Reviews(2006)6:9−20において論じられているものも含まれる。企図される共刺激タンパク質には、例えば、CD40およびMyD88ポリペプチド、ならびに本明細書中で論じられるキメラCD40およびMyD88ポリペプチドが含まれる。いくつかの実施形態において、キメラシグナル伝達分子は、CD40細胞質領域ポリペプチドおよび切断型MyD88ポリペプチドを含む。CD40細胞質領域ポリペプチドおよび切断型MyD88ポリペプチドを含むポリペプチドは、2009年9月21日に出願され、METHODS AND COMPOSITIONS FOR GENERATING AN IMMUNE RESPONSE BY INDUCING CD40 AND PATTERN RECOGNITION RECEPTOR ADAPTERSという標題の米国特許出願番号12/563,991(その全体が参照により本明細書に援用される)において論じられている。
【0148】
特定の実施形態において、共刺激ポリペプチド分子は、CD40である。CD40分子は、(1)ストリンジェントな条件下において、公知のCD40遺伝子の配列を有する核酸にハイブリダイズし、(2)CD40ポリペプチドをコードする、核酸分子を含む。CD40ポリペプチドは、ある特定の例では、細胞外ドメインを欠くことがある。CD40ポリペプチドをコードする例示的なポリヌクレオチド配列としては、配列番号1および他の種に由来するCD40アイソフォームが挙げられるが、これらに限定されない。CD40の他の正常なバリアントまたは変異体バリアントが、本方法および組成物において使用され得ることが企図される。したがって、CD40領域は、1つまたはそれを超えるアミノ酸の置換、欠失および/または挿入によって天然の配列とは異なるアミノ酸配列を有し得る。例えば、1つまたはそれを超えるTNFレセプター関連因子(TRAF)結合領域が、排除され得るかまたは効果的に排除され得る(例えば、CD40アミノ酸配列は、TRAFタンパク質が、天然のCD40配列に結合しないかまたは天然のCD40配列に結合するときよりも低親和性で結合するように、欠失されるかまたは変更される)。特定の実施形態において、TRAF3結合領域は、それが排除されるかまたは効果的に排除されるように、欠失されるかまたは変更される(例えば、アミノ酸250〜254が、変更され得るかまたは欠失され得る;Hauerら、PNAS 102(8):2874−2879(2005))。
【0149】
ある特定の実施形態において、本方法は、誘導可能な形態のCD40(iCD40)をコードする発現構築物が生成されるような遺伝物質の操作を含む。そのような方法は、例えば、CD40細胞質ドメインをコードする異種核酸配列およびそれを発現させるための手段を含む発現構築物の作製を含む。そのベクターは、適切なヘルパー細胞において複製され得、それらからウイルス粒子が産生され得、その組換えウイルス粒子に細胞が感染し得る。
【0150】
したがって、本明細書中に提示されるCD40分子は、例えば、細胞外ドメインを欠くことがある。特定の実施形態において、その細胞外ドメインは、切断されているか、または除去されている。細胞外ドメインは、標準的な変異誘発、挿入、欠失または置換を用いて、機能的な細胞外ドメインを有しないCD40分子が生成されるように変異され得ることも企図される。CD40核酸は、配列番号1の核酸配列を有し得る。CD40核酸には、配列番号1の配列を有する核酸のホモログおよび対立遺伝子、ならびに前述の核酸の機能的に等価なフラグメント、バリアントおよびアナログも含まれる。誘導可能なCD40ベクターを構築する方法は、例えば、2008年7月29日に発行された米国特許第7,404,950号において論じられている。
【0151】
遺伝子治療の文脈において、遺伝子は、ベクターの骨格を提供するウイルスゲノム以外の起源に由来する異種ポリヌクレオチド配列であり得る。遺伝子は、原核生物または真核生物の起源(例えば、細菌、ウイルス、酵母、寄生生物、植物またはさらには動物)に由来する。また、異種DNAは、2つ以上の起源に由来し、すなわち、多重遺伝子構築物または融合タンパク質である。また、異種DNAは、1つの起源に由来する制御配列および異なる起源に由来する遺伝子を含み得る。
【0152】
共刺激ポリペプチドは、本明細書中に提供されるアミノ酸配列を含み得るが、これらに限定されず、欠失または切断をはじめとした機能的な保存的変異を含み得、本明細書中に提供されるアミノ酸配列と70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
【0153】
T細胞などの細胞における共刺激ポリペプチドの発現は、例えば、2014年3月13日に出願されたMETHODS FOR CONTROLLING T CELL PROLIFERATIONという標題の米国特許出願番号14/210,034、および2014年9月25日にWO2014/151960として公開された国際特許出願番号PCT/US2014/026734(これらの全体が参照により本明細書に援用される)において論じられている。
【0154】
リガンド結合領域
発現構築物のリガンド結合(「二量体化」)ドメインは、天然または非天然のリガンド、例えば、非天然の合成リガンドを使用して誘導を可能にし得る任意の好都合なドメインであり得る。多量体化領域またはリガンド結合ドメインは、構築物の性質およびリガンドの選択に応じて、細胞膜に対して内側または外側であり得る。上に示された細胞質領域と会合されるリガンド結合タンパク質を含むレセプターをはじめとした多種多様のリガンド結合タンパク質が公知である。本明細書中で使用されるとき、用語「リガンド結合ドメインは、用語「レセプター」と相互交換可能であり得る。リガンド(例えば、小さい有機リガンド)が公知であるかまたは容易に生成され得るリガンド結合タンパク質が、特に興味深い。これらのリガンド結合ドメインまたはレセプターには、FKBPおよびシクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、上に示された他のレセプターなど、ならびに抗体から得ることができる「非天然の」レセプター、特に、重鎖または軽鎖サブユニット、その変異された配列、確率論的手順、コンビナトリアル合成などによって得られるランダムアミノ酸配列が含まれる。ある特定の実施形態において、リガンド結合領域は、FKBPリガンド結合領域、シクロフィリンレセプターリガンド結合領域、ステロイドレセプターリガンド結合領域、シクロフィリンレセプターリガンド結合領域およびテトラサイクリンレセプターリガンド結合領域からなる群より選択される。しばしば、リガンド結合領域は、Fvls配列を含む。時折、Fv’vls配列は、さらなるFv’配列をさらに含む。例としては、例えば、Kopytek,S.J.ら、Chemistry & Biology 7:313−321(2000)およびGestwicki,J.E.ら、Combinatorial Chem.& High Throughput Screening 10:667−675(2007);Clackson T(2006)Chem Biol Drug Des 67:440−2;Clackson,T.,in Chemical Biology:From Small Molecules to Systems Biology and Drug Design(Schreiber,s.ら、eds.,Wiley,2007))において論じられているものが挙げられる。
【0155】
おおむね、リガンド結合ドメインまたはレセプタードメインは、天然のドメインまたはその切断された活性な一部として、少なくとも約50アミノ酸、および約350アミノ酸未満、通常、200アミノ酸未満であり得る。結合ドメインは、例えば、低分子(ウイルスベクターでの効率的なトランスフェクションを可能にする<25kDa)であり得、モノマーであり得、非免疫原性であり得、二量体化のために形成され得る、合成的に入手可能な細胞透過性の無毒性リガンドを有し得る。
【0156】
レセプタードメインは、発現構築物のデザインおよび適切なリガンドの利用可能性に応じて、細胞内または細胞外であり得る。疎水性リガンドの場合、結合ドメインは、膜のいずれの側であってもよいが、親水性リガンド、特に、タンパク質リガンドの場合、リガンドを結合にとって利用可能な形態で内部移行させるための輸送系が存在しない場合、結合ドメインは、通常、細胞膜に対して外側であり得る。細胞内レセプターの場合、構築物は、レセプタードメイン配列の5’または3’においてシグナルペプチドおよび膜貫通ドメインをコードし得るか、またはレセプタードメイン配列の5’に脂質付着シグナル配列を有し得る。レセプタードメインが、シグナルペプチドと膜貫通ドメインとの間に存在する場合、レセプタードメインは、細胞外であり得る。
【0157】
レセプターをコードする発現構築物の一部は、種々の理由のために変異誘発に供され得る。変異誘発されたタンパク質は、より高い結合親和性を提供し得、天然に存在するレセプターと変異誘発されたレセプターとのリガンドによる区別を可能にし得、レセプター−リガンド対などをデザインする機会を提供し得る。レセプターの変更は、結合部位におけるコンビナトリアル法を使用したランダム変異誘発と知られているアミノ酸の変更を含み得、ここで、結合部位に関連するアミノ酸または立体構造変化に関連する他のアミノ酸に対するコドンが、特定のアミノ酸に対するコドン(複数可)を公知の変化によってまたはランダムに変更し、得られるタンパク質を適切な原核生物宿主において発現し、次いで、得られたタンパク質を結合についてスクリーニングすることによって、変異誘発に供され得る。
【0158】
抗体および抗体サブユニット、例えば、重鎖もしくは軽鎖、特にフラグメント、より詳細には、可変領域の全部もしくは一部、または高親和性結合をもたらす重鎖と軽鎖との融合物が、結合ドメインとして使用され得る。企図される抗体には、免疫応答を引き起こさず、一般に末梢(すなわち、CNS/脳領域の外側)では発現されない細胞外ドメインなどの異所的に発現されたヒト生成物であるものが含まれる。そのような例としては、低親和性神経成長因子レセプター(LNGFR)および胚表面タンパク質(すなわち、癌胎児抗原)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
なおもさらに、抗体は、生理的に許容され得るハプテン分子、および結合親和性についてスクリーニングされる個別の抗体サブユニットに対して調製され得る。そのサブユニットをコードするcDNAは、単離され、定常領域、可変領域の一部の欠失、可変領域の変異誘発などによって改変されることにより、リガンドに対して適切な親和性を有する結合タンパク質ドメインを得ることができる。このように、ほとんどの生理的に許容され得る任意のハプテン化合物が、リガンドとして使用され得るか、またはリガンドに対するエピトープを提供するために使用され得る。抗体単位の代わりに、結合ドメインが公知であって、結合のための有用なリガンドが存在する、天然のレセプターが使用され得る。
【0160】
オリゴマー化
形質導入されるシグナルは、通常、キメラタンパク質分子のリガンド媒介性のオリゴマー化によって、すなわち、リガンドが結合した後のオリゴマー化の結果として、生じ得るが、他の結合事象、例えば、アロステリックな活性化が、シグナルを惹起するために使用され得る。キメラタンパク質の構築物は、様々なドメインの順序および個々のドメインの反復の数に関して、変動し得る。
【0161】
レセプターを多量体化する場合、キメラ表面膜タンパク質のリガンド結合ドメイン/レセプタードメインに対するリガンドは、通常、少なくとも2つの結合部位を有し、それらの結合部位の各々がリガンドレセプタードメインに結合することができるという意味において、多量体であり得る。「多量体リガンド結合領域」とは、多量体リガンドに結合するリガンド結合領域のことを意味する。用語「多量体リガンド」には、二量体のリガンドが含まれる。二量体のリガンドは、リガンドレセプタードメインに結合することができる2つの結合部位を有し得る。望ましくは、対象のリガンドは、二量体またはそれより高次のオリゴマー、通常、約四量体以下の、小さい合成有機分子であり得、個々の分子は、代表的には、少なくとも約150Daおよび約5kDa未満、通常、約3kDa未満であり得る。合成リガンドとレセプターとの種々の対が、使用され得る。例えば、天然のレセプターを含む実施形態において、二量体のFK506は、FKBP12レセプターとともに使用され得、二量体化されたシクロスポリンAは、シクロフィリンレセプターとともに使用され得、二量体化されたエストロゲンは、エストロゲンレセプターとともに使用され得、二量体化された糖質コルチコイドは、糖質コルチコイドレセプターとともに使用され得、二量体化されたテトラサイクリンは、テトラサイクリンレセプターとともに使用され得、二量体化されたビタミンDは、ビタミンDレセプターとともに使用され得るなど。あるいは、それより高次のリガンド、例えば、三量体が、使用され得る。非天然のレセプター、例えば、抗体サブユニット、改変された抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域および軽鎖可変領域をタンデムで含む一本鎖抗体、または改変されたレセプターならびにその変異された配列などを含む実施形態の場合、多種多様な化合物のうちのいずれかが使用され得る。これらのリガンド単位の有意な特色は、各結合部位が、高親和性でレセプターに結合することができる点、およびそれらのリガンド単位が、化学的に二量体化されることができる点である。また、リガンドが、機能的なレベルで血清に溶解することができ、なおもほとんどの用途のために原形質膜を横断して拡散することができるように、それらのリガンドの疎水性/親水性のバランスをとる方法も利用可能である。
【0162】
ある特定の実施形態において、本方法は、条件的にコントロールされるタンパク質またはポリペプチドを生成するために、化学的に誘導される二量体化(CID)の手法を利用する。この手法は、誘導可能であることに加えて、不安定な二量体化剤の分解またはモノマーの競合的阻害剤の投与に起因して、可逆的である。
【0163】
CIDシステムは、合成二価リガンドを使用して、リガンド結合ドメインに融合されたシグナル伝達分子を迅速に架橋する。このシステムは、細胞表面タンパク質(Spencer,D.M.ら、Science,1993.262:p.1019−1024;Spencer D.M.ら、Curr Biol 1996,6:839−847;Blau,C.A.ら、Proc Natl Acad.Sci.USA 1997,94:3076−3081)またはサイトゾルタンパク質(Luo,Z.ら、Nature 1996,383:181−185;MacCorkle,R.A.ら、Proc Natl Acad Sci USA 1998,95:3655−3660)のオリゴマー化および活性化、転写を調節するDNAエレメントへの転写因子のリクルートメント(Ho,S.N.ら、Nature 1996,382:822−826;Rivera,V.M.ら、Nat.Med.1996,2:1028−1032)またはシグナル伝達を刺激する原形質膜へのシグナル伝達分子のリクルートメント(Spencer D.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1995,92:9805−9809;Holsinger,L.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1995,95:9810−9814)を引き起こすために使用されている。
【0164】
CIDシステムは、表面レセプターの凝集が、下流のシグナル伝達カスケードを効率的に活性化するという概念に基づく。最も単純な実施形態において、CIDシステムは、脂質透過性免疫抑制薬FK506の二量体アナログを使用し、その二量体アナログは、その正常な生物活性を失っているが、FK506結合タンパク質であるFKBP12に遺伝的に融合された分子を架橋する能力を獲得している。1つ以上のFKBPおよびミリストイル化配列を、標的レセプターの細胞質シグナル伝達ドメインに融合することによって、二量体化薬物に依存的であるがリガンドおよび外部ドメインに非依存的な様式でシグナル伝達を刺激することができる。これにより、時間的なコントロール、モノマー薬物アナログを使用して可逆性、および高い特異性を備えたシステムが提供される。第3世代のAP20187/AP1903 CIDの、それらの結合ドメインであるFKBP12に対する高親和性は、インビボにおいて、内在性のFKBP12による非特異的な副作用を誘導することなく、組換えレセプターの特異的な活性化を可能にする。二量体化薬に結合する、アミノ酸の置換および欠失を有するFKBP12バリアント(例えば、FKBP1236)もまた使用され得る。さらに、合成リガンドは、プロテアーゼ分解に対して抵抗性であり、それにより、インビボにおけるレセプターの活性化において、送達されるほとんどのタンパク質剤よりも効率的になる。
【0165】
使用されるリガンドは、リガンド結合ドメインの2つ以上に結合することができる。キメラタンパク質は、2つ以上のリガンド結合ドメインを含むとき、2つ以上のリガンドに結合することができる場合がある。そのリガンドは、代表的には、非タンパク質または化学物質である。例示的なリガンドとしては、二量体のFK506(例えば、FK1012)が挙げられるが、これに限定されない。
【0166】
他のリガンド結合領域は、例えば、二量体の領域、またはゆらぎ置換によって改変されたリガンド結合領域、例えば、FKBP12(V36)などであり得る:F36がVに置換されたヒト12kDa FK506結合タンパク質、完全に成熟したコード配列(アミノ酸1〜107)は、合成二量体化薬AP1903に対する結合部位を提供する(Jemal,A.ら、CA Cancer J.Clinic.58,71−96(2008);Scher,H.I.and Kelly,W.K.,Journal of Clinical Oncology 11,1566−72(1993))。上記タンパク質の2つのタンデムなコピーは、より高次のオリゴマーが、AP1903による架橋の際に誘導されるようにその構築物においても使用され得る。
【0167】
F36V’−FKBP:F36V’−FKBPは、F36V−FKBPのコドンゆらぎバージョンである。それは、
F36V−FKPBと同一のポリペプチド配列をコードするが、ヌクレオチドレベルでは62%の相同性しか有しない。F36V’−FKBPは、レトロウイルスベクターにおける組換えを減少させるようにデザインされた(Schellhammer,P.F.ら、J.Urol.157,1731−5(1997))。F36V’−FKBPは、PCRアセンブリ手順によって構築された。その導入遺伝子は、1コピーのF36V−FKBPに直接連結された1コピーのF36V’−FKBPを含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、リガンドは、小分子である。選択されたリガンド結合領域に対する適切なリガンドが、選択され得る。しばしば、リガンドは、二量体であり、時折、リガンドは、二量体のFK506または二量体のFK506アナログである。ある特定の実施形態において、リガンドは、AP1903(CAS索引名:2−ピペリジンカルボン酸、1−[(2S)−1−オキソ−2−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ブチル]−、1,2−エタンジイルビス[イミノ(2−オキソ−2,1−エタンジイル)オキシ−3,1−フェニレン[(1R)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピリデン]]エステル、[2S−[1(R),2R[S[S[1(R),2R]]]]]−(9Cl)CAS登録番号:195514−63−7;分子式:C78H98N4O20
分子量:1411.65)である。ある特定の実施形態において、リガンドは、AP20187である。ある特定の実施形態において、リガンドは、AP20187アナログ、例えば、AP1510などである。いくつかの実施形態において、ある特定のアナログは、FKBP12に対して適切であり得、ある特定のアナログは、FKBP12のゆらぎバージョンに対して適切であり得る。ある特定の実施形態において、1つのリガンド結合領域が、キメラタンパク質に含められる。他の実施形態において、2つ以上のリガンド結合領域が、含められる。例えば、リガンド結合領域が、FKBP12である場合、これらの領域の2つが含められる場合、一方は、例えば、ゆらぎバージョンであり得る。
【0169】
そのような方法において、多量体分子は、CD40細胞外ドメインにおけるエピトープに結合する抗体(例えば、ヒト化抗CD40抗体;Taiら、Cancer Research 64,2846−2852(2004))であり得るか、CD40リガンド(例えば、米国特許第6,497,876号(Maraskovskyら))であり得るか、または別の共刺激分子(例えば、B7/CD28)であり得る。本明細書中でアッセイされるとき、機能に影響しない配列の保存的バリエーションは、本請求項の範囲内であると理解される。
【0170】
CD40活性化の機構は、基本的に三量体化に基づくので、このレセプターは、特にCIDシステムに適用できる。CIDの制御により、1)時間的なコントロール、2)自己免疫反応の徴候の際に不活性モノマーを付加することによって可逆性、および3)非特異的な副作用が限られた可能性を備えたシステムが提供される。さらに、誘導可能なインビボでのDC CD40活性化は、CD40シグナル伝達の完全な誘導に通常必要とされる第2の「危険」シグナルの要求を回避し得、T細胞のプライミングの増大を可能にする、インサイチュにおいてDC生存を潜在的に促進し得る。したがって、iCD40を発現するようにDCワクチンを操作することにより、抗原提示分子、接着分子、TH1促進サイトカインおよび生存促進因子のDC発現をアップレギュレートすることによって、T細胞媒介性の殺滅応答が増幅される。
【0171】
企図される他の二量体化システムとしては、クーママイシン/DNAジャイレースBシステムが挙げられる。クーママイシンによって誘導される二量体化は、改変されたRafタンパク質を活性化し、MAPキナーゼカスケードを刺激する。Farrarら、1996を参照のこと。
【0172】
膜標的化
膜標的化配列は、細胞表面膜へのキメラタンパク質の輸送を提供し、ここで、同じ配列または他の配列が、細胞表面膜へのキメラタンパク質の結合をコードし得る。細胞膜と会合した分子は、膜会合を容易にするある特定の領域を含み、そのような領域は、キメラタンパク質分子に組み込まれることにより、膜標的化分子をもたらし得る。例えば、いくつかのタンパク質は、アシル化される配列をN末端またはC末端に含み、これらのアシル部分は、膜会合を容易にする。そのような配列は、アシルトランスフェラーゼによって認識され、特定の配列モチーフに一致することが多い。ある特定のアシル化モチーフは、単一のアシル部分(その後に、陰イオン性脂質頭部基との会合を改善するいくつかの正に帯電した残基(例えば、ヒトc−Src:M−G−S−N−K−S−K−P−K−D−A−S−Q−R−R−R)が続くことが多い)によって修飾されることができ、他のものは、複数のアシル部分によって修飾されることができる。例えば、タンパク質チロシンキナーゼSrcのN末端配列は、単一のミリストイル部分を含み得る。二重アシル化領域は、ある特定のタンパク質キナーゼ(例えば、Srcファミリーメンバーのサブセット(例えば、Yes、Fyn、Lck)およびGタンパク質アルファサブユニット)のN末端領域内に配置されている。そのような二重アシル化領域は、そのようなタンパク質の最初の18アミノ酸の中に配置されることが多く、それは、配列モチーフMet−Gly−Cys−Xaa−Cysに一致し、ここで、Metは、切断され、Glyは、N−アシル化され、Cys残基のうちの1つは、S−アシル化される。Glyは、ミリストイル化されることが多く、Cysは、パルミトイル化され得る。配列モチーフCys−Ala−Ala−Xaa(いわゆる「CAAXボックス」)に一致するアシル化領域は、Gタンパク質ガンマサブユニットのC末端由来のC15またはC10イソプレニル部分によって修飾され得、他のタンパク質(例えば、ワールドワイドウェブアドレスebi.ac.uk/interpro/DisplayIproEntry?ac=IPR001230)もまた使用され得る。これらのおよび他のアシル化モチーフとしては、例えば、Gauthier−Campbellら、Molecular Biology of the Cell 15:2205−2217(2004);Glabatiら、Biochem.J.303:697−700(1994)およびZlakineら、J.Cell Science 110:673−679(1997)において論じられているものが挙げられ、そのモチーフは、膜局在化を誘導するためにキメラ分子に組み込まれ得る。ある特定の実施形態において、アシル化モチーフを含むタンパク質由来の天然の配列が、キメラタンパク質に組み込まれる。例えば、いくつかの実施形態において、Lck、FynもしくはYesまたはGタンパク質アルファサブユニットのN末端部分(例えば、そのようなタンパク質由来の最初の25個のN末端アミノ酸またはそれより少ないアミノ酸(例えば、随意の変異を有する、その天然の配列の約5〜約20アミノ酸、約10〜約19アミノ酸または約15〜約19アミノ酸))が、キメラタンパク質のN末端の中に組み込まれ得る。ある特定の実施形態において、CAAXボックスモチーフ配列を含むGタンパク質ガンマサブユニット由来の約25アミノ酸以下のC末端配列(例えば、随意の変異を有する、天然の配列の約5〜約20アミノ酸、約10〜約18アミノ酸または約15〜約18アミノ酸)が、キメラタンパク質のC末端に連結され得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、アシル部分は、+1から+6というlog p値を有し、時折、+3から+4.5というlog p値を有する。Log p値は、疎水性の尺度であり、オクタノール/水の分配研究に由来することが多く、ここで、より高い疎水性を有する分子は、より高い頻度でオクタノールに分配し、より高いlog p値を有すると特徴付けられる。Log p値は、いくつかの親油性分子に対して公表されており、log p値は、公知の分配プロセスを使用して計算され得る(例えば、Chemical Reviews,Vol.71,Issue 6,page 599、エントリー4493は、4.2というlog p値を有するラウリン酸を示している)。任意のアシル部分が、上で論じられたペプチド組成物に連結され得、公知の方法および本明細書中以後に論じられる方法を用いて抗菌活性について試験され得る。アシル部分は、時折、例えば、C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C4ハロアルキル、C4−C12シクロアルキルアルキル(cyclalkylalkyl)、アリール、置換アリールまたはアリール(C1−C4)アルキルである。任意のアシル含有部分は、時折、脂肪酸であり、脂肪酸部分の例は、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)、ヘプチル(C7)、オクチル(C8)、ノニル(C9)、デシル(C10)、ウンデシル(C11)、ラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)、アラキジル(C20)、ベヘニル(C22)およびリグノセリル部分(C24)であり、各部分は、0、1、2、3、4、5、6、7または8つの不飽和(すなわち、二重結合)を含み得る。アシル部分は、時折、脂質分子(例えば、ホスファチジル脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴミエリン(shingomyelin)、スフィンゴシン、セラミド、ガングリオシド、セレブロシド))またはそれらの改変バージョンである。ある特定の実施形態において、1、2、3、4もしくは5個またはそれより多くのアシル部分が、膜会合領域に連結される。
【0174】
本明細書中のキメラタンパク質は、一回貫通型(single−pass)または複数回貫通型(multiple pass)の膜貫通配列も含み得る(例えば、キメラタンパク質のN末端またはC末端に)。一回貫通型膜貫通領域は、ある特定のCD分子、チロシンキナーゼレセプター、セリン/トレオニンキナーゼレセプター、TGFベータ、BMP、アクチビンおよびホスファターゼに見られる。一回貫通型膜貫通領域は、シグナルペプチド領域および約20〜約25アミノ酸(それらの多くは、疎水性アミノ酸であり、アルファヘリックスを形成し得る)の膜貫通領域を含むことが多い。短いトラックの正に帯電したアミノ酸が、タンパク質を膜に繋ぎ止める膜貫通の範囲の後に続くことが多い。複数回貫通型タンパク質には、イオンポンプ、イオンチャネルおよびトランスポーターが含まれ、膜を複数回またぐ2つ以上のらせんを含む。複数回貫通型タンパク質のすべてまたは実質的にすべてが、時折、キメラタンパク質に組み込まれる。一回貫通型および複数回貫通型膜貫通領域に対する配列は、公知であり、キメラタンパク質分子に組み込むために選択され得る。
【0175】
宿主において機能性であり、キメラタンパク質の他のドメインのうちの1つと会合されていることもあるし会合されていないこともある、任意の膜標的化配列が、使用され得る。いくつかの実施形態において、そのような配列としては、ミリストイル化標的化配列、パルミトイル化標的化配列、プレニル化配列(すなわち、ファルネシル化、ゲラニル−ゲラニル化、CAAXボックス)、タンパク質間相互作用モチーフ、またはレセプター由来の膜貫通配列(シグナルペプチドを利用する)が挙げられるが、これらに限定されない。例としては、例えば、ten Klooster JPら、Biology of the Cell(2007)99,1−12,Vincent,S.ら、Nature Biotechnology 21:936−40,1098(2003)において論じられているものが挙げられる。
【0176】
様々な膜におけるタンパク質の保持を高め得るさらなるタンパク質ドメインが存在する。例えば、約120アミノ酸のプレクストリン相同(PH)ドメインが、代表的には細胞内のシグナル伝達に関与する200個を超えるヒトタンパク質において見られる。PHドメインは、膜内の様々なホスファチジルイノシトール(PI)脂質(例えば、PI(3,4,5)−P3、PI(3,4)−P2、PI(4,5)−P2)に結合し得るので、種々の膜コンパートメントまたは細胞内コンパートメントにタンパク質をリクルートする際に鍵となる役割を果たし得る。しばしば、PI脂質のリン酸化状態は、例えば、PI−3キナーゼまたはPTENによって制御されるので、膜とPHドメインとの相互作用は、アシル脂質による相互作用ほど安定でない。
【0177】
AP1903 APIは、Alphora Research Inc.によって製造されており、AP1903 Drug Product for Injectionは、AAI Pharma Services Corpによって作製されている。それは、非イオン性可溶化剤Solutol HS 15(250mg/mL,BASF)の25%溶液中のAP1903の5mg/mL溶液として製剤化されている。室温において、この製剤は、透明の溶液である。冷蔵されると、この製剤は、長期の貯蔵において可逆的な相転移を起こし、乳白色の溶液になる。室温に再度温めると、この相転移は、元に戻る。1本分は、10mLのガラスバイアルにおける8mLである(バイアル1本あたり合計約40mgのAP1903 for Injection)。
【0178】
使用するために、AP1903は、投与前に、室温に温め、希釈される。50kgを超える被験体の場合、AP1903は、100mLの生理食塩水に希釈された40mgの用量で、1時間あたり50mLの速度で2時間にわたって、DEHPフリー食塩水バッグおよび溶液セットを使用して、i.v.注入によって投与される。50kg未満の被験体は、0.4mg/kgのAP1903を投与される。
【0179】
すべての試験薬が、2℃〜8℃の温度で維持され、過剰な光および熱から保護され、アクセスが制限された鍵が掛かった区域で保管される。
【0180】
AP1903を投与する必要性、ならびに治療用T細胞、例えば、キメラ抗原レセプターおよび誘導可能なキメラ共刺激ポリペプチドを発現しているT細胞を活性化する必要性を判定する際、患者には、例えば、非DEHPで非エチレンオキシドの滅菌された注入セットを使用して、2時間にわたるIV注入によって、単一の固定された用量のAP1903 for Injection(0.4mg/kg)が投与され得る。AP1903の用量は、すべての患者に対して個別に計算され、体重が≧10%上下しない限り、再計算されない。計算された用量は、注入前に0.9%生理食塩水において100mLに希釈される。
【0181】
AP1903の以前の第I相研究では、24人の健常志願者を、2時間にわたって、IV注入される0.01、0.05、0.1、0.5および1.0mg/kgという用量レベルにおいて、単一用量のAP1903 for Injectionで処置した。AP1903血漿レベルは、用量に正比例し、平均Cmax値は、0.01〜1.0mg/kgの用量の範囲にわたって、およそ10〜1275ng/mLの範囲だった。最初の注入期間の後、血中濃度は、急速な分布相を示し、血漿レベルは、投与の0.5、2および10時間後にそれぞれ最高濃度のおよそ18、7および1%に減少した。AP1903 for Injectionは、すべての用量レベルにおいて安全であり、耐容性がよいことが示され、好ましい薬物動態プロファイルを示した。Iuliucci JDら、J Clin Pharmacol.41:870−9,2001。
【0182】
使用されるAP1903 for injectionの固定された用量は、例えば、2時間にわたって静脈内に注入される0.4mg/kgであり得る。細胞の効率的なシグナル伝達のためにインビトロにおいて必要とされるAP1903の量は、約10〜100nM(MW:1412Da)である。これは、14〜140μg/Lまたは約0.014〜0.14mg/kg(1.4〜140μg/kg)に等しい。投与量は、用途に応じて変動することがあり、ある特定の例では、0.1〜10nMの範囲内、または50〜150nM、10〜200nM、75〜125nM、100〜500nM、100〜600nM、100〜700nM、100〜800nMもしくは100〜900nMの範囲内であり得る。1mg/kgまでの用量が、上に記載されたAP1903の第I相研究において耐容性がよかった。
【0183】
選択マーカー
ある特定の実施形態において、発現構築物は、その発現構築物にマーカーを含めることによってその発現がインビトロまたはインビボにおいて識別される核酸構築物を含む。そのようなマーカーは、その発現構築物を含む細胞の容易な識別を可能にする識別可能な変化を細胞にもたらし得る。通常、薬物選択マーカーを含めることが、クローニングおよび形質転換体の選択に役立つ。例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する抵抗性を付与する遺伝子は、有用な選択マーカーである。あるいは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(tk)などの酵素が使用される。免疫学的表面マーカーを含む細胞外の非シグナル伝達ドメインまたは様々なタンパク質(例えば、CD34、CD19、LNGFR)もまた使用され得、それにより、磁性抗体または蛍光抗体によって媒介される選別のための直接的方法が可能になる。使用される選択マーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されることができる限り、重要であると考えられない。選択マーカーのさらなる例としては、例えば、レポーター(例えば、GFP、EGFP、ベータ−galまたはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))が挙げられる。ある特定の実施形態において、マーカータンパク質、例えば、CD19などは、例えば、免疫磁気選択などにおいて、移入するための細胞の選択のために使用される。
【0184】
本明細書中で論じられるように、CD19マーカーは、抗CD19抗体、すなわち、例えば、CD19に結合するscFv、TCRまたは他の抗原認識部分と区別される。
【0185】
いくつかの実施形態において、細胞の選別を助けるために、あるポリペプチドが発現ベクターに含められ得る。例えば、CD34最小エピトープが、ベクターに組み込まれ得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されるキメラ抗原レセプターまたはキメラ刺激分子を発現させるために使用される発現ベクターは、16アミノ酸のCD34最小エピトープをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態、例えば、本明細書中の実施例に提供されるある特定の実施形態において、CD34最小エピトープは、CD8ストーク(stalk)のアミノ末端の位置に組み込まれる。
【0186】
膜貫通領域
本明細書中のキメラ抗原レセプターは、一回貫通型(single−pass)または複数回貫通型(multiple pass)の膜貫通配列を含み得る(例えば、キメラタンパク質のN末端またはC末端に)。一回貫通型膜貫通領域は、ある特定のCD分子、チロシンキナーゼレセプター、セリン/トレオニンキナーゼレセプター、TGFβ、BMP、アクチビンおよびホスファターゼに見られる。一回貫通型膜貫通領域は、シグナルペプチド領域および約20〜約25アミノ酸(それらの多くは、疎水性アミノ酸であり、アルファヘリックスを形成し得る)の膜貫通領域を含むことが多い。短いトラックの正に帯電したアミノ酸が、タンパク質を膜に繋ぎ止めるために膜貫通の範囲の後に続くことが多い。複数回貫通型タンパク質には、イオンポンプ、イオンチャネルおよびトランスポーターが含まれ、膜を複数回またぐ2つまたはそれを超えるらせんを含む。複数回貫通型タンパク質のすべてまたは実質的にすべてが、時折、キメラタンパク質に組み込まれる。一回貫通型および複数回貫通型膜貫通領域に対する配列は、公知であり、キメラタンパク質分子に組み込むために選択され得る。
【0187】
いくつかの実施形態において、膜貫通ドメインは、CARの細胞外ドメインに融合される。1つの実施形態において、CARにおけるドメインのうちの1つと天然に会合する膜貫通ドメインが使用される。他の実施形態において、CARにおけるドメインのうちの1つと天然に会合しない膜貫通ドメインが使用される。場合によっては、そのレセプター複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインにそのようなドメインが結合するのを回避するために膜貫通ドメインは、選択され得るか、またはアミノ酸置換によって改変され得る(例えば、代表的には、疎水性残基に変更される(charged))。
【0188】
膜貫通ドメインは、例えば、T細胞レセプターのアルファ、ベータもしくはゼータ鎖、CD3−ε、CD3ζ、CD4、CD5、CD8、CD8α、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD38、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137またはCD154に由来し得る。または、いくつかの例では、主に疎水性残基、例えば、ロイシンおよびバリンを含む膜貫通ドメインが、新規に合成され得る。ある特定の実施形態において、短いポリペプチドリンカーは、キメラ抗原レセプターの膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間に結合を形成し得る。それらのキメラ抗原レセプターは、ストーク、すなわち、細胞外領域のアミノ酸を細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間にさらに含み得る。例えば、そのストークは、選択された膜貫通ドメインに天然に会合するアミノ酸の配列であり得る。いくつかの実施形態において、キメラ抗原レセプターは、CD8膜貫通ドメインを含み、ある特定の実施形態において、キメラ抗原レセプターは、CD8膜貫通ドメインおよびその膜貫通ドメインの細胞外部分におけるさらなるアミノ酸を含み、ある特定の実施形態において、キメラ抗原レセプターは、CD8膜貫通ドメインおよびCD8ストークを含む。キメラ抗原レセプターは、膜貫通ドメインと細胞質ドメインとの間にアミノ酸の領域をさらに含み得、それらのアミノ酸は、その膜貫通ドメインが由来するポリペプチドと天然に会合するものである。
【0189】
調節領域
1.プロモーター
目的のポリヌクレオチド配列の発現をコントロールするために使用される特定のプロモーターは、標的化された細胞においてそのポリヌクレオチドの発現を指示することができる限り、重要であると考えられない。したがって、ヒト細胞が標的化される場合、ポリヌクレオチド配列コード領域は、例えば、ヒト細胞において発現されることができるプロモーターに隣接しておよびそのプロモーターの支配下に配置され得る。一般的に言えば、そのようなプロモーターは、ヒトプロモーターまたはウイルスプロモーターを含み得る。
【0190】
様々な実施形態において、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復配列、β−アクチン、ラットインスリンプロモーターおよびグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素が、目的のコード配列の高レベル発現を得るために使用され得る。発現レベルが所与の目的にとって十分であるならば、目的のコード配列の発現を達成すると当該分野で周知である他のウイルスプロモーターまたは哺乳動物細胞プロモーターまたは細菌ファージプロモーターの使用も同様に企図される。周知の特性を有するプロモーターを使用することによって、トランスフェクション後または形質転換後の目的のタンパク質の発現のレベルおよびパターンが、最適化され得る。
【0191】
特異的な生理学的シグナルまたは合成シグナルに応答して制御されるプロモーターの選択は、遺伝子産物の誘導可能な発現を可能にし得る。例えば、1つの導入遺伝子の発現、またはマルチシストロニックなベクターが使用されるときは複数の導入遺伝子の発現が、ベクターが生成される細胞にとって有毒である場合、それらの導入遺伝子のうちの1つ以上の発現を妨げるかまたは減少させることが望ましい。産生細胞株にとって有毒である導入遺伝子の例は、アポトーシス促進遺伝子およびサイトカイン遺伝子である。いくつかの誘導性プロモーターシステムが、導入遺伝子産物が有毒である場合のウイルスベクターの作製に利用可能である(より誘導性のプロモーターを付加する)。
【0192】
エクジソンシステム(Invitrogen,Carlsbad,CA)は、1つのそのようなシステムである。このシステムは、哺乳動物細胞において目的の遺伝子の制御された発現を可能にするようにデザインされる。そのシステムは、導入遺伝子の基底レベルの発現ではなく200倍超の誘導能を実質的に可能にする厳しく制御された発現機構からなる。そのシステムは、ショウジョウバエのヘテロ二量体エクジソンレセプターに基づき、エクジソンまたはムリステロンAなどのアナログが、そのレセプターに結合すると、そのレセプターは、プロモーターを活性化して、下流の導入遺伝子の発現をオンにし、高レベルのmRNA転写産物がもたらされる。このシステムでは、ヘテロ二量体レセプターの両方のモノマーが、1つのベクターから構成的に発現されるのに対し、目的の遺伝子の発現を駆動するエクジソン応答性プロモーターは、別のプラスミド上に存在する。ゆえに、このタイプのシステムを目的の遺伝子トランスファーベクターに遺伝子操作して導入することが、有用であり得る。次いで、産生細胞株において目的の遺伝子を含むプラスミドとレセプターモノマーを含むプラスミドとをコトランスフェクションすることにより、潜在的に有毒な導入遺伝子を発現させずに、遺伝子トランスファーベクターの作製が可能になり得る。適切な時点において、導入遺伝子の発現が、エクジソンまたはムリステロンAによって活性化され得る。
【0193】
有用であり得る別の誘導可能なシステムは、もともとはGossenおよびBujardによって開発された(Gossen and Bujard,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:5547−5551,1992;Gossenら、Science,268:1766−1769,1995)、Tet−OffTMまたはTet−OnTMシステム(Clontech,Palo Alto,CA)である。このシステムもまた、テトラサイクリンまたはテトラサイクリン誘導体(例えば、ドキシサイクリン)に応答して高レベルの遺伝子発現を制御することが可能である。Tet−OnTMシステムでは、ドキシサイクリンの存在下において遺伝子発現がオンになるのに対し、Tet−OffTMシステムでは、ドキシサイクリンの非存在下において遺伝子発現がオンになる。これらのシステムは、大腸菌のテトラサイクリン抵抗性オペロンに由来する2つの制御エレメントに基づく。テトラサイクリンリプレッサーが結合するテトラサイクリンオペレーター配列、およびテトラサイクリンリプレッサータンパク質。目的の遺伝子は、プラスミドの中に存在するテトラサイクリン応答性エレメントを有するプロモーターの後ろでプラスミド中にクローニングされる。第2のプラスミドは、テトラサイクリンによってコントロールされるトランス活性化因子と呼ばれる制御エレメントを含み、その制御エレメントは、Tet−OffTMシステムでは、単純ヘルペスウイルス由来のVP16ドメインおよび野生型テトラサイクリン(tertracycline)リプレッサーから構成される。したがって、ドキシサイクリンの非存在下において、転写は、恒常的にオンである。Tet−OnTMシステムでは、テトラサイクリンリプレッサーは、野生型でなく、ドキシサイクリンの存在下において転写を活性化する。遺伝子治療ベクターを作製する場合、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンの存在下において産生細胞が生育され得、潜在的に有毒な導入遺伝子の発現を妨げ得るように、Tet−OffTMシステムが使用され得るが、そのベクターが患者に導入されると、遺伝子発現は恒常的にオンになり得る。
【0194】
いくつかの状況において、遺伝子治療ベクターにおける導入遺伝子の発現を制御することが望ましい。例えば、様々な活性強度を有する種々のウイルスプロモーターが、所望の発現レベルに応じて使用される。哺乳動物細胞では、CMV前初期プロモーターが、強力な転写活性化をもたらすために使用されることが多い。CMVプロモーターは、Donnelly,J.J.ら、1997.Annu.Rev.Immunol.15:617−48において概説されている。導入遺伝子の低い発現レベルが望まれるとき、それほど強力でないCMVプロモーターの改変バージョンもまた、使用されている。造血細胞における導入遺伝子の発現が望まれるとき、MLVまたはMMTV由来のLTRなどのレトロウイルスプロモーターが使用されることが多い。所望の効果に応じて使用される他のウイルスプロモーターとしては、SV40、RSV LTR、HIV−1およびHIV−2 LTR、アデノウイルスプロモーター(例えば、E1A、E2AまたはMLP領域由来のもの)、AAV LTR、HSV−TKおよびトリ肉腫ウイルスが挙げられる。
【0195】
同様に、組織特異的プロモーターは、標的化されていない組織に対する潜在的な毒性または望ましくない効果を減少させるように、特定の組織または細胞において転写をもたらすために使用される。これらのプロモーターは、CMVプロモーターなどのより強力なプロモーターと比べて低い発現をもたらし得るが、より限定された発現および免疫原性ももたらし得る(Bojak,A.ら、2002.Vaccine 20:1975−79;Cazeaux.,N.ら、2002.Vaccine 20:3322−31)。例えば、組織特異的プロモーター(例えば、PSA関連プロモーター)または前立腺特異的腺性カリクレインまたは筋肉クレアチンキナーゼ遺伝子が、必要に応じて使用され得る。
【0196】
組織特異的プロモーターまたは分化特異的プロモーターの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:B29(B細胞);CD14(単球性細胞);CD43(白血球および血小板);CD45(造血細胞);CD68(マクロファージ);デスミン(筋肉);エラスターゼ−1(膵腺房細胞);エンドグリン(内皮細胞);フィブロネクチン(分化中の細胞、治癒中の組織);およびFlt−1(内皮細胞);GFAP(アストロサイト)。
【0197】
ある特定の適応症では、遺伝子治療ベクターを投与した後の特定の時点において転写を活性化することが望ましい。これは、ホルモンまたはサイトカインによって制御可能であるようなプロモーターを用いて行われる。使用され得るサイトカイン応答性プロモーターおよび炎症性タンパク質応答性プロモーターとしては、KキニノーゲンおよびTキニノーゲン(Kageyamaら(1987)J.Biol.Chem.,262,2345−2351)、c−fos、TNF−アルファ、C反応性タンパク質(Arconeら(1988)Nucl.Acids Res.,16(8),3195−3207)、ハプトグロビン(Olivieroら(1987)EMBO J.,6,1905−1912)、血清アミロイドA2、C/EBPアルファ、IL−1、IL−6(Poli and Cortese,(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,86,8202−8206)、補体C3(Wilsonら(1990)Mol.Cell.Biol.,6181−6191)、IL−8、アルファ−1酸性糖タンパク質(Prowse and Baumann,(1988)Mol Cell Biol,8,42−51)、アルファ−1抗トリプシン、リポタンパク質リパーゼ(Zechnerら、Mol.Cell.Biol.,2394−2401,1988)、アンジオテンシノーゲン(Ronら(1991)Mol.Cell.Biol.,2887−2895)、フィブリノゲン、c−jun(ホルボールエステル、TNF−アルファ、UV照射、レチノイン酸および過酸化水素によって誘導可能)、コラゲナーゼ(ホルボールエステルおよびレチノイン酸によって誘導される)、メタロチオネイン(重金属および糖質コルチコイド誘導性)、ストロメライシン(ホルボールエステル、インターロイキン−1およびEGFによって誘導可能)、アルファ−2マクログロブリンおよびアルファ−1抗キモトリプシンが挙げられる。他のプロモーターとしては、例えば、SV40、MMTV、ヒト免疫不全ウイルス(MV)、モロニーウイルス、ALV、エプスタイン・バーウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ミオシン、ヘモグロビンおよびクレアチンが挙げられる。
【0198】
上記プロモーターのいずれか単独または別のプロモーターとの併用が、所望の作用に応じて有用であり得ることが想定される。プロモーターおよび他の制御エレメントは、それらが所望の細胞または組織において機能的であるように選択される。さらに、このプロモーターのリストは、網羅的または限定的であると解釈されるべきでなく;他のプロモーターが、本明細書中に開示されるプロモーターおよび方法とともに使用される。
【0199】
2.エンハンサー
エンハンサーは、同じDNA分子上の離れた位置に配置されたプロモーターからの転写を増加させる遺伝的エレメントである。初期の例としては、コード配列に隣接し、かついくつかのイントロンの中に存在する、免疫グロブリンおよびT細胞レセプターに関連するエンハンサーが挙げられる。多くのウイルスプロモーター(例えば、CMV、SV40およびレトロウイルスLTR)は、エンハンサーの活性と密接に関連し、単一エレメントのように扱われることが多い。エンハンサーは、ほぼプロモーターのように組織化される。すなわち、エンハンサーは、多くの個々のエレメントから構成され、その各々が、1つ以上の転写性タンパク質に結合する。エンハンサーとプロモーターとの基本的な区別は、操作上のものである。エンハンサー領域は概して、少し離れて、しばしば向きに関係なく、転写を刺激する;これは、プロモーター領域またはその構成要素エレメントには必ずしも当てはまらない。他方で、プロモーターは、特定の部位において特定の向きでRNA合成の開始を指示する1つ以上のエレメントを有するのに対し、エンハンサーは、これらの特異性を欠く。プロモーターおよびエンハンサーは、しばしば重複し、近接することから、しばしば非常によく似たモジュール構成を有するようである。エンハンサーのサブセットには、転写活性を増加させ得るだけでなく、ゲノムにインテグレートされたとき、隣接する配列から転写性エレメントを(インスレーターエレメントとともに)隔離するのを助け得る、遺伝子座調節領域(LCR)が含まれる。
【0200】
任意のプロモーター/エンハンサーの組み合わせ(Eukaryotic Promoter Data Base EPDBのように)が、遺伝子の発現を駆動するために使用され得るが、多くは、特定の組織タイプまたは組織のサブセットに発現を限定し得る(例えば、Kutzler,M.A.,and Weiner,D.B.,2008.Nature Reviews Genetics 9:776−88に概説されている)。例としては、ヒトアクチン、ミオシン、ヘモグロビン、筋肉クレアチンキナーゼ由来のエンハンサー、ならびにウイルスCMV、RSVおよびEBV由来の配列が挙げられるが、これらに限定されない。適切なエンハンサーが、特定の用途に対して選択され得る。適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝的発現構築物として提供される場合、真核細胞は、ある特定の細菌プロモーターからの細胞質内転写を支持し得る。
【0201】
3.ポリアデニル化シグナル
cDNAインサートが使用される場合、遺伝子転写産物の適切なポリアデニル化をもたらすためにポリアデニル化シグナルを含めることが通常望ましい。ポリアデニル化シグナルの性質は、本方法の実施の成功にとって重大であるとは考えられておらず、任意のそのような配列(例えば、ヒトまたはウシの成長ホルモンおよびSV40のポリアデニル化シグナルならびにLTRポリアデニル化シグナル)が、使用される。1つの非限定的な例は、pCEP3プラスミド(Invitrogen,Carlsbad,California)に存在するSV40ポリアデニル化シグナルである。ターミネーターもまた、発現カセットのエレメントとして企図される。これらのエレメントは、メッセージレベルを高めるため、およびそのカセットから他の配列への読み過ごしを最小限にするために役立ち得る。終止シグナル配列またはポリ(A)シグナル配列は、例えば、mRNAの3’末端における保存配列(AAUAAA)から約11〜30ヌクレオチド下流に位置し得る(Montgomery,D.L.ら、1993.DNA Cell Biol.12:777−83;Kutzler,M.A.,and Weiner,D.B.,2008.Nature Rev.Gen.9:776−88)。
【0202】
4.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位
特定の開始シグナルもまた、コード配列の効率的な翻訳に必要とされることがある。これらのシグナルは、ATG開始コドンまたは隣接する配列を含む。ATG開始コドンをはじめとした外来性翻訳調節シグナルが、提供される必要があり得る。開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列の読み枠とインフレームで配置される。外来性翻訳調節シグナルおよび開始コドンは、天然または合成であり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメントを含めることによって上昇し得る。
【0203】
ある特定の実施形態において、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントの使用は、多重遺伝子すなわちポリシストロニックなメッセージを作製するために使用される。IRESエレメントは、5’メチル化cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルを迂回することができ、内部部位において翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg,Nature,334:320−325,1988)。ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRESエレメントが、論じられており(Pelletier and Sonenberg,1988)、ならびに哺乳動物メッセージ由来のIRESも論じられている(Macejak and Sarnow,Nature,353:90−94,1991)。IRESエレメントは、異種のオープンリーディングフレームに連結され得る。各々がIRESによって分断されている複数のオープンリーディングフレームが、共に転写され得、ポリシストロニックなメッセージを作製する。IRESエレメントのおかげで、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに接近可能である。複数の遺伝子が、単一のメッセージを転写するために単一のプロモーター/エンハンサーを使用して効率的に発現され得る(米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号(各々が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。
【0204】
配列の最適化
タンパク質産生は、導入遺伝子におけるコドンを最適化することによっても増加され得る。タンパク質産生を増加させるために、種特異的コドンの変更が用いられ得る。また、コドンが最適化されることにより、最適化されたRNAが生成され得、それにより、より効率的な翻訳がもたらされ得る。RNAに組み込まれるコドンを最適化することによって、不安定性を引き起こす二次構造をもたらすエレメント、例えばリボソーム結合を阻害し得るmRNA二次構造、またはmRNAの核外輸送を阻害し得るクリプティック(cryptic)配列などのエレメントが、除去され得る(Kutzler,M.A.,and Weiner,D.B.,2008.Nature Rev.Gen.9:776−88;Yan.,J.ら、2007.Mol.Ther.15:411−21;Cheung,Y.K.ら、2004.Vaccine 23:629−38;Narum.,D.L.ら、2001.69:7250−55;Yadava,A.,and Ockenhouse,C.F.,2003.Infect.Immun.71:4962−69;Smith.,J.M.ら、2004.AIDS Res.Hum.Retroviruses 20:1335−47;Zhou,W.ら、2002.Vet.Microbiol.88:127−51;Wu,X.ら、2004.Biochem.Biophys.Res.Commun.313:89−96;Zhang,W.ら、2006.Biochem.Biophys.Res.Commun.349:69−78;Deml,L.A.ら、2001.J.Virol.75:1099−11001;Schneider,R.M.ら、1997.J.Virol.71:4892−4903;Wang,S.D.ら、2006.Vaccine 24:4531−40;zur Megede,J.ら、2000.J.Virol.74:2628−2635)。例えば、FBP12または他の多量体化領域ポリペプチド、共刺激ポリペプチド細胞質シグナル伝達領域およびCD19配列が、コドンの変更によって最適化され得る。
【0205】
リーダー配列
リーダー配列は、mRNAの安定性を高めるためおよびより効率的な翻訳をもたらすために付加され得る。リーダー配列は、通常、mRNAを小胞体に標的化することに関与する。例としては、自身の切断を遅延させる、HIV−1エンベロープ糖タンパク質(Env)に対するシグナル配列、およびIgE遺伝子リーダー配列が挙げられる(Kutzler,M.A.,and Weiner,D.B.,2008.Nature Rev.Gen.9:776−88;Li,V.ら、2000.Virology 272:417−28;Xu,Z.L.ら、2001.Gene 272:149−56;Malin,A.S.ら、2000.Microbes Infect.2:1677−85;Kutzler,M.A.ら、2005.J.Immunol.175:112−125;Yang.,J.S.ら、2002.Emerg.Infect.Dis.8:1379−84;Kumar.,S.ら、2006.DNA Cell Biol.25:383−92;Wang,S.ら、2006.Vaccine 24:4531−40)。IgEリーダーは、小胞体への挿入を高めるために使用され得る(Tepler,Iら(1989)J.Biol.Chem.264:5912)。
【0206】
導入遺伝子の発現は、発現を最適化するための適切な方法を選択することによって、最適化され得るおよび/またはコントロールされ得る。これらの方法は、例えば、プロモーター、送達方法および遺伝子配列を最適化する工程を含む(例えば、Laddy,D.J.ら、2008.PLoS.ONE 3 e2517;Kutzler,M.A.,and Weiner,D.B.,2008.Nature Rev.Gen.9:776−88に提示されているような)。
【0207】
核酸
本明細書中で使用される「核酸」は、一般に、核酸塩基を含む、DNA、RNAまたはその誘導体もしくはアナログの分子(1本、2本またはそれより多くの鎖)のことを指す。核酸塩基には、例えば、DNA(例えば、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」またはシトシン「C」)またはRNA(例えば、A、G、ウラシル「U」またはC)に見られる天然に存在するプリンまたはピリミジン塩基が含まれる。用語「核酸」は、用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」を包含し、その各々は、用語「核酸」の亜属として包含される。核酸は、少なくとも、多くとも、または約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、441、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990もしくは1000ヌクレオチド長、またはこの中の導き出せる任意の範囲の長さであり得る。
【0208】
本明細書中に提供される核酸は、別の核酸に対して同一または相補的である領域を有し得る。その相補的または同一である領域は、少なくとも5つ連続した残基であり得ることが企図されるが、その領域は、少なくとも、多くとも、または約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、441、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990または1000個連続したヌクレオチドであることが特に企図される。
【0209】
本明細書中で使用されるとき、「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」または「ハイブリダイズすることができる」は、二本鎖分子もしくは三本鎖分子、または部分的な二本鎖もしくは三本鎖の性質を有する分子を形成することを意味すると理解される。本明細書中で使用される用語「アニールする」は、「ハイブリダイズする」と同義である。用語「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」または「ハイブリダイズすることができる」は、用語「ストリンジェントな条件(複数可)」または「高ストリンジェンシー」および用語「低ストリンジェンシー」または「低ストリンジェンシー条件(複数可)」を包含する。
【0210】
本明細書中で使用されるとき、「ストリンジェントな条件(複数可)」または「高ストリンジェンシー」は、相補的な配列(複数可)を含む1つ以上の核酸鎖の間のまたはその1つ以上の核酸鎖内のハイブリダイゼーションを可能にするが、ランダム配列のハイブリダイゼーションを妨げる条件である。ストリンジェントな条件は、核酸と標的鎖との間のミスマッチを、たとえあったにしてもほとんど許容しない。そのような条件は、公知であり、高選択性が要求される用途のために使用されることが多い。非限定的な用途としては、核酸(例えば、遺伝子またはその核酸セグメント)の単離、または少なくとも1つの特異的なmRNA転写産物もしくはその核酸セグメントの検出などが挙げられる。
【0211】
ストリンジェントな条件は、約42℃〜約70℃の温度における約0.02M〜約0.5M NaClによって提供されるような、低塩および/または高温の条件を含み得る。所望のストリンジェンシーの温度およびイオン強度は、特定の核酸(複数可)の長さ、標的配列(複数可)の長さおよび核酸塩基含有量、核酸(複数可)の電荷組成、ならびにハイブリダイゼーション混合物中のホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウムまたは他の溶媒(複数可)の存在または濃度によって部分的に決定されることが理解される。
【0212】
ハイブリダイゼーションのためのこれらの範囲、組成および条件は、単なる非限定的な例という目的で言及されていること、特定のハイブリダイゼーション反応に対する所望のストリンジェンシーは、1つ以上のポジティブコントロールまたはネガティブコントロールとの比較によって経験的に決定されることが多いことが理解される。想定される用途に応じて、標的配列に対する様々な程度の核酸選択性を達成するために、様々なハイブリダイゼーション条件が使用され得る。非限定的な例では、ストリンジェントな条件下において核酸にハイブリダイズしない関係する標的核酸の同定または単離は、低温および/または高イオン強度におけるハイブリダイゼーションによって達成され得る。そのような条件は、「低ストリンジェンシー」または「低ストリンジェンシー条件」と呼ばれ、低ストリンジェンシーの非限定的な例としては、約20℃〜約50℃の温度範囲における約0.15M〜約0.9M NaClで行われるハイブリダイゼーションが挙げられる。低または高ストリンジェンシー条件は、特定の用途に適合させるためにさらに改変され得る。
【0213】
「機能保存的バリアント」は、タンパク質または酵素の全体的な立体構造および機能を変化させずに所与のアミノ酸残基が変更されたタンパク質または酵素であり、それには、あるアミノ酸を、極性または非極性の性質、サイズ、形状および電荷を含む類似の特性を有するアミノ酸で置き換えたものが含まれるが、これらに限定されない。一般に公知の遺伝的にコードされないアミノ酸の多くに対する保存的アミノ酸置換は、当該分野で周知である。他のコードされないアミノ酸に対する保存的置換は、遺伝的にコードされるアミノ酸の特性と比べたときの物理的特性に基づいて決定され得る。
【0214】
保存アミノ酸と示されるアミノ酸以外のアミノ酸は、タンパク質または酵素において異なり得、機能が類似した任意の2つのタンパク質の間のタンパク質配列またはアミノ酸配列の類似性のパーセントは、変動し得、アラインメントスキームに従って決定されるとき、例えば、少なくとも70%、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%であり得る。本明細書中で言及されるとき、「配列類似性」は、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列が関係する程度を意味する。2つの配列間の類似性の程度は、配列同一性および/または保存のパーセントに基づき得る。本明細書中の「配列同一性」は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が不変である程度を意味する。「配列アラインメント」は、類似性の程度を評価する目的のために最大の同一性(およびアミノ酸配列の場合、保存)レベルを達成するように2つ以上の配列を並べるプロセスを意味する。配列をアラインメントするためおよび類似性/同一性を評価するための数多くの方法(例えば、類似性がMEGALIGNアルゴリズムに基づくCluster法ならびにBLASTN、BLASTPおよびFASTAなど)が、当該分野で公知である。これらのプログラムのうちのいずれかを使用するとき、好ましい設定は、最も高い配列類似性をもたらす設定である。
【0215】
核酸修飾
下記で論じられる修飾のいずれかが、核酸に適用され得る。修飾の例としては、RNAもしくはDNAの骨格、糖または塩基、およびそれらの様々な組み合わせに対する変更が挙げられる。核酸における任意の好適な数の骨格結合、糖および/または塩基が、修飾され得る(例えば、独立して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、最大100%)。修飾されていないヌクレオシドは、ベータ−D−リボ−フラノースの1’炭素に結合された塩基アデニン、シトシン、グアニン、チミンまたはウラシルのうちのいずれか1つである。
【0216】
修飾塩基は、1’位におけるアデニン、グアニン、シトシンおよびウラシル以外のヌクレオチド塩基である。修飾塩基の非限定的な例としては、イノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)または6−アザピリミジンまたは6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピンなどが挙げられる。修飾塩基の他の非限定的な例としては、ニトロピロリル(例えば、3−ニトロピロリル)、ニトロインドリル(例えば、4−、5−、6−ニトロインドリル)、ヒポキサンチニル、イソイノシニル、2−アザ−イノシニル、7−デアザ−イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンゾイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニル、ジフルオロトリル、4−フルオロ−6−メチルベンゾイミダゾール、4−メチルベンゾイミダゾール、3−メチルイソカルボスチリリル、5−メチルイソカルボスチリリル、3−メチル−7−プロピニルイソカルボスチリリル、7−アザインドリル、6−メチル−7−アザインドリル、イミジゾピリジニル、9−メチル−イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7−プロピニルイソカルボスチリリル、プロピニル−7−アザインドリル、2,4,5−トリメチルフェニル、4−メチルインドリル、4,6−ジメチルインドリル、フェニル、ナフタレニル(napthalenyl)、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
【0217】
いくつかの実施形態において、例えば、核酸(nucleid acid)は、リン酸骨格修飾を有する修飾された核酸分子を含み得る。骨格修飾の非限定的な例としては、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、モルホリノ、アミデート、カルバメート、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタールおよび/またはアルキルシリル修飾が挙げられる。ある特定の場合において、ヌクレオシドに天然に存在するリボース糖部分は、ヘキソース糖、多環式ヘテロアルキル環またはシクロヘキセニル基で置き換えられる。ある特定の場合において、ヘキソース糖は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロースまたはそれらの誘導体である。ヘキソースは、D−ヘキソース、グルコースまたはマンノースであり得る。ある特定の場合において、多環式ヘテロアルキル基は、環内に1つの酸素原子を含む二環式環であり得る。ある特定の場合において、多環式ヘテロアルキル基は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンまたはビシクロ[3.3.1]ノナンである。
【0218】
ニトロピロリル核酸塩基およびニトロインドリル核酸塩基は、ユニバーサル塩基として公知の化合物のクラスのメンバーである。ユニバーサル塩基は、オリゴヌクレオチド二重鎖の融解挙動または活性に実質的に影響せずに4つの天然に存在する塩基のいずれかを置き換え得る化合物である。天然に存在する核酸塩基に関連する安定化する水素結合相互作用とは対照的に、3−ニトロピロリル核酸塩基を含むオリゴヌクレオチド二重鎖は、スタッキング相互作用によって単独で安定化され得る。ニトロピロリル核酸塩基との有意な水素結合相互作用が無いことにより、特定の相補性塩基に対する特異性は不必要になる。さらに、4−、5−および6−ニトロインドリルは、4つの天然塩基に対して非常に低い特異性しか示さない。1−(2’−O−メチル−β−D−リボフラノシル)−5−ニトロインドールを調製するための手順は、Gaubert,G.;Wengel,J.Tetrahedron Letters 2004,45,5629に論じられている。他のユニバーサル塩基としては、ヒポキサンチニル、イソイノシニル、2−アザ−イノシニル、7−デアザ−イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンゾイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニルおよびそれらの構造的誘導体が挙げられる。
【0219】
ジフルオロトリルは、ユニバーサル塩基として機能する非天然の核酸塩基である。ジフルオロトリルは、天然の核酸塩基チミンの同配体である。しかしながら、チミンとは異なり、ジフルオロトリルは、天然塩基のいずれに対しても、顕著な選択性を示さない。ユニバーサル塩基として機能する他の芳香族化合物は、4−フルオロ−6−メチルベンゾイミダゾールおよび4−メチルベンゾイミダゾールである。さらに、比較的疎水性のイソカルボスチリリル誘導体である3−メチルイソカルボスチリリル、5−メチルイソカルボスチリリルおよび3−メチル−7−プロピニルイソカルボスチリリルは、天然塩基だけを含むオリゴヌクレオチド配列と比べてオリゴヌクレオチド二重鎖の不安定化をわずかにしか引き起こさないユニバーサル塩基である。他の非天然の核酸塩基としては、7−アザインドリル、6−メチル−7−アザインドリル、イミジゾピリジニル、9−メチル−イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル、イソカルボスチリリル、7−プロピニルイソカルボスチリリル、プロピニル−7−アザインドリル、2,4,5−トリメチルフェニル、4−メチルインドリル、4,6−ジメチルインドリル、フェニル、ナフタレニル、アントラセニル、フェナントラセニル、ピレニル、スチルベニル、テトラセニル、ペンタセニルおよびそれらの構造的誘導体が挙げられる。ジフルオロトリル、4−フルオロ−6−メチルベンゾイミダゾール、4−メチルベンゾイミダゾールおよび上で言及された他の非天然塩基の合成手順を含むより詳細な考察については、Schweitzerら、J.Org.Chem.,59:7238−7242(1994)を参照のこと。
【0220】
さらに、化学的置換基、例えば、架橋剤が、反応物に対して安定性または不可逆性をさらに付加するために使用され得る。架橋剤の非限定的な例としては、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例えば、4−アジドサリチル酸とのエステル、ホモ二官能性イミドエステル(ジスクシンイミジルエステル、例えば、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)を含む)、二官能性マレイミド(例えば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタン)およびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの作用物質が挙げられる。
【0221】
ヌクレオチドアナログは、「ロックド(locked)」核酸も含み得る。ある特定の組成物は、内因性の核酸を特定の構造に本質的に「繋ぎ止める」または「ロックする」ために使用され得る。配列を繋ぎ止めることは、核酸複合体の解離を防ぐために役立ち、ゆえに、複製を防ぎ得るだけでなく、内在性配列の標識、修飾および/またはクローニングも可能にし得る。ロックされた構造は、遺伝子発現を制御し得る(すなわち、転写または複製を阻害し得るかまたは増強し得る)か、または内在性の核酸配列を標識するためもしくはその他の方法で修飾するために使用され得る安定した構造として使用され得るか、またはその内在性配列を単離するために、すなわちクローニングのために使用され得る。
【0222】
核酸分子は、RNAまたはDNAだけを含む分子に必ずしも限定されず、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに包含する。非ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドのパーセントは、1%〜100%(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95%)であり得る。
【0223】
核酸調製物
いくつかの実施形態において、例えば、アッセイにおけるコントロールまたは標準物質として、または治療薬として使用するための核酸が、提供される。核酸は、当該分野で公知の任意の手法(例えば、化学合成、酵素的生成または生物学的生成など)によって作製され得る。核酸は、生物学的サンプルから回収され得るかまたは単離され得る。核酸は、組換えであり得るか、または天然であり得るかもしくは細胞にとって内因性であり得る(細胞のゲノムから産生され得る)。生物学的サンプルは、小さい核酸分子の回収率を高めるような方法で処理され得ることが企図される。一般に、方法は、グアニジニウムおよび界面活性剤を有する溶液で細胞を溶解する工程を含み得る。
【0224】
核酸合成はまた、標準的な方法に従って行われ得る。合成核酸(例えば、合成オリゴヌクレオチド)の非限定的な例としては、ホスホトリエステル、ホスファイトもしくはホスホルアミダイト化学を使用するインビトロ化学合成および固相法によってまたはデオキシヌクレオシドH−ホスホネート中間体を介して作製された核酸が挙げられる。様々な異なるオリゴヌクレオチド合成機構が、他の箇所に開示されている。
【0225】
核酸は、公知の手法を用いて単離され得る。特定の実施形態において、小さい核酸分子を単離するためおよび/またはRNA分子を単離するための方法が、使用され得る。クロマトグラフィーは、タンパク質または他の核酸から核酸を分離するためまたは単離するために使用されるプロセスである。そのような方法は、ゲルマトリックスを用いる電気泳動、フィルターカラム、アルコール沈殿および/または他のクロマトグラフィーを含み得る。細胞からの核酸が、使用されるかまたは評価される場合、方法は、一般に、特定のRNA集団を単離するためのプロセスを実行する前に、細胞をカオトロピック(例えば、グアニジニウムイソチオシアネート)および/または界面活性剤(例えば、N−ラウロイルサルコシン)で溶解する工程を含む。
【0226】
方法は、核酸を単離するための有機溶媒および/またはアルコールの使用を含み得る。いくつかの実施形態において、細胞溶解産物に加えられるアルコールの量は、約55%〜60%というアルコール濃度に達する。種々のアルコールを使用できるが、エタノールがうまく機能する。固体支持体は、任意の構造であってよく、それには、電気陰性基を有する無機物またはポリマー支持体を含み得る、ビーズ、フィルターおよびカラムが含まれる。ガラス繊維のフィルターまたはカラムは、そのような単離手順にとって有効である。
【0227】
核酸単離プロセスは、時折、a)サンプル中の細胞を、グアニジニウムを含む溶解液で溶解する工程(ここで、少なくとも約1Mグアニジニウムの濃度を有する溶解産物が生成される);b)その溶解産物から核酸分子を、フェノールを含む抽出液を用いて抽出する工程;c)その溶解産物にアルコール溶液を加えることにより、溶解産物/アルコール混合物を形成する工程(ここで、その混合物中のアルコールの濃度は、約35%〜約70%である);d)その溶解産物/アルコール混合物を固体支持体に適用する工程;e)イオン性溶液を用いてその固体支持体から核酸分子を溶出する工程;およびf)その核酸分子を捕捉する工程を含み得る。サンプルは、乾燥され得、その後の操作にとって適切な液体および体積で再懸濁され得る。
【0228】
遺伝子移入の方法
細胞内での導入遺伝子発現の効果を媒介するために、発現構築物を細胞に移行させる必要があり得る。そのような移行は、ウイルスによる遺伝子移入方法またはウイルスによらない遺伝子移入方法を使用し得る。この項では、遺伝子移入の方法および組成物の考察が提供される。
【0229】
発現ベクターを含む形質転換された細胞は、その細胞に発現ベクターを導入することによって作製される。本方法とともに使用するための細胞小器官、細胞、組織または生物の形質転換のためのポリヌクレオチド送達に適した方法は、ポリヌクレオチド(例えば、DNA)を細胞小器官、細胞、組織または生物に導入し得る実質的に任意の方法を含む。
【0230】
宿主細胞は、ベクターに対するレシピエントとして使用され得るし、使用されてきた。宿主細胞は、所望の結果が、ベクターの複製であるかまたはベクターによってコードされるポリヌクレオチド配列の一部もしくは全部の発現であるかに応じて、原核生物または真核生物に由来し得る。数多くの細胞株および細胞培養物が、宿主細胞として使用するために利用可能であり、それらは、生存している培養物および遺伝物質に対する保管所としての機能を果たす組織であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を通じて入手することができる。具体的な実施形態では、宿主細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、ナチュラルキラー細胞、またはナチュラルキラーT細胞である。
【0231】
適切な宿主は、決定され得る。一般に、これは、ベクターの骨格および所望の結果に基づく。例えば、プラスミドまたはコスミドは、多くのベクターの複製のために、原核生物宿主細胞に導入され得る。ベクターの複製および/または発現のための宿主細胞として使用される細菌細胞としては、DH5アルファ、JM109およびKC8、ならびにいくつかの商業的に入手可能な細菌宿主(例えば、SURE(登録商標)Competent CellsおよびSOLOPACK Gold Cells(STRATAGENE(登録商標),La Jolla,CA))が挙げられる。あるいは、大腸菌LE392などの細菌細胞が、ファージウイルスに対する宿主細胞として使用され得る。宿主細胞として使用され得る真核細胞としては、酵母、昆虫および哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。ベクターの複製および/または発現のための哺乳動物真核生物宿主細胞の例としては、HeLa、NIH3T3、Jurkat、293、COS、CHO、SaosおよびPC12が挙げられるが、これらに限定されない。酵母株の例としては、YPH499、YPH500およびYPH501が挙げられるが、これらに限定されない。
【0232】
核酸ワクチンは、例えば、非ウイルスDNAベクター、「裸の」DNAおよびRNA、ならびにウイルスベクターを含み得る。細胞をこれらのワクチンで形質転換する方法およびこれらのワクチンに含まれる遺伝子の発現を最適化するための方法は公知であり、それらの方法も本明細書中で論じられる。
【0233】
核酸またはウイルスベクターを移入する方法の例
細胞、例えば、T細胞をトランスフェクトするためもしくは形質導入するため、または本方法のヌクレオチド配列もしくは組成物を投与するために、任意の適切な方法が使用され得る。ある特定の例が、本明細書中に提示され、それらの例としてはさらに、カチオン性ポリマー、脂質様分子およびある特定の市販品、例えば、IN−VIVO−JET PEIなどを使用した送達などの方法が挙げられる。
【0234】
1.エキソビボ形質転換
生物から取り出された血管細胞および血管組織をエキソビボの環境においてトランスフェクトするために、様々な方法が利用可能である。例えば、イヌ内皮細胞は、インビトロにおけるレトロウイルス遺伝子移入によって遺伝的に変更され、イヌに移植された(Wilsonら、Science,244:1344−1346,1989)。別の例では、ユカタンミニブタ内皮細胞を、インビトロにおいてレトロウイルスでトランスフェクトし、ダブルバルーンカテーテルを使用して動脈に移植した(Nabelら、Science,244(4910):1342−1344,1989)。したがって、細胞または組織が、取り出され、本明細書中に提示されるポリヌクレオチドを使用してエキソビボにおいてトランスフェクトされ得ることが企図される。特定の態様において、移植された細胞または組織は、生物の中に配置され得る。例えば、動物由来の樹状細胞が、発現ベクターでその細胞をトランスフェクトし、次いで、トランスフェクトされたまたは形質導入された細胞をその動物に投与して戻す。
【0235】
2.注射
ある特定の実施形態において、細胞または核酸ベクターもしくはウイルスベクターは、1つ以上の注射(すなわち、針による注射)、例えば、例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、前立腺内(intraprotatic)、腫瘍内、腹腔内(intrintraperitoneal)などを介して、細胞小器官、細胞、組織または生物に送達され得る。注射の方法としては、例えば(foe example)、食塩水溶液を含む組成物の注射が挙げられる。さらなる実施形態は、直接マイクロインジェクションによるポリヌクレオチドの導入を含む。使用される発現ベクターの量は、抗原の性質、ならびに使用される細胞小器官、細胞、組織または生物に応じて変動し得る。
【0236】
皮内注射、結節内注射またはリンパ管内注射は、DC投与のより一般的に使用される方法の一部である。皮内注射は、血流への吸収が低速度であるがリンパ系への取り込みが迅速であることを特徴とする。真皮に多数のランゲルハンス樹状細胞が存在することにより、インタクトな抗原ならびにプロセシングされた抗原が流入領域リンパ節に輸送され得る。これを正しく行うためには、適切な部位の準備が必要である(すなわち、適切な針の留置を観察するために、毛を刈り込む)。結節内注射は、リンパ系組織への抗原の直接的な送達を可能にする。リンパ管内注射は、DCの直接投与を可能にする。
【0237】
3.エレクトロポレーション
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、エレクトロポレーションを介して細胞小器官、細胞、組織または生物に導入される。エレクトロポレーションは、細胞およびDNAの懸濁液を高圧放電に曝露することを含む。この方法のいくつかの変法では、ある特定の細胞壁分解酵素(例えば、ペクチン分解酵素)を使用して、標的レシピエント細胞を、未処理の細胞よりもエレクトロポレーションによる形質転換に対してより感受性にする(参照により本明細書中に援用される米国特許第5,384,253号)。
【0238】
エレクトロポレーションを使用した真核細胞のトランスフェクションは、かなり成功している。この様式で、マウスプレBリンパ球がヒトカッパー免疫グロブリン遺伝子でトランスフェクトされ(Potterら(1984)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,81,7161−7165)、ラット肝細胞がクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子でトランスフェクトされた(Tur−Kaspaら(1986)Mol.Cell Biol.,6,716−718)。
【0239】
インビボにおけるワクチン用エレクトロポレーション(electroporation for vaccines)、すなわちeVacは、単純な注射法を介して臨床で実行されている。腫瘍抗原をコードするDNAベクターが、患者の皮内に注射される。次いで、電極によって皮内の空間に電気的パルスが適用されることにより、そこに局在化している細胞、特に、常在の皮膚樹状細胞が、DNAベクターを取り込み、コードされる腫瘍抗原を発現するようになる。次いで、局所炎症によって活性化された、腫瘍抗原を発現しているこれらの樹状細胞が、リンパ節に遊走し、腫瘍抗原を提示し、腫瘍抗原特異的T細胞をプライムし得る。核酸が、エレクトロポレーションによって細胞に送達され得る場合、その核酸は、例えば、限定されないが、核酸の注射または他の任意の投与手段の後で、エレクトロポレーションを使用して投与されるとき、電気穿孔的に(electroporetically)投与される。
【0240】
エレクトロポレーションの方法は、例えば、Sardesai,N.Y.,and Weiner,D.B.,Current Opinion in Immunotherapy 23:421−9(2011)およびFerraro,B.ら、Human Vaccines 7:120−127(2011)(これらの全体が本明細書中で参照により援用される)に論じられている。
【0241】
4.リン酸カルシウム
他の実施形態では、リン酸カルシウム沈殿を用いて、ポリヌクレオチドが細胞に導入される。この手法を用いて、ヒトKB細胞が、アデノウイルス5DNAでトランスフェクトされた(Graham and van der Eb,(1973)Virology,52,456−467)。また、この様式において、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV−1、BHK、NIH3T3およびHeLa細胞が、ネオマイシンマーカー遺伝子でトランスフェクトされ(Chen and Okayama,Mol.Cell Biol.,7(8):2745−2752,1987)、ラット肝細胞が、種々のマーカー遺伝子でトランスフェクトされた(Rippeら、Mol.Cell Biol.,10:689−695,1990)。
【0242】
5.DEAE−デキストラン
別の実施形態では、DEAE−デキストランの後にポリエチレングリコールを使用して、ポリヌクレオチドが細胞に送達される。この様式において、レポータープラスミドが、マウス骨髄腫細胞および赤白血病細胞に導入された(Gopal,T.V.,Mol Cell Biol.1985 May;5(5):1188−90)。
【0243】
6.音波処理負荷(Sonication Loading)
さらなる実施形態は、直接音波負荷(direct sonic loading)によるポリヌクレオチドの導入を含む。LTK線維芽細胞が、音波処理負荷によってチミジンキナーゼ遺伝子でトランスフェクトされた(Fechheimerら(1987)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,84,8463−8467)。
【0244】
7.リポソーム媒介性トランスフェクション
さらなる実施形態において、ポリヌクレオチドは、脂質複合体、例えば、リポソームなどの中に閉じ込められ得る。リポソームは、リン脂質二重層膜および内側の水性媒質を特徴とする小胞構造である。多重膜リポソームは、水性媒質によって隔てられた複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰量の水溶液に懸濁されると、自発的に形成する。それらの脂質成分は、自己再配列を起こした後、閉鎖構造を形成し、水および溶解した溶質を脂質二重層の間に閉じ込める(Ghosh and Bachhawat,(1991)In:Liver Diseases,Targeted Diagnosis and Therapy Using Specific Receptors and Ligands.pp.87−104)。Lipofectamine(Gibco BRL)またはSuperfect(Qiagen)と複合体化されたポリヌクレオチドも企図される。
【0245】
8.レセプター媒介性トランスフェクション
なおもさらに、ポリヌクレオチドは、レセプター媒介性送達ビヒクルを介して標的細胞に送達され得る。これらは、標的細胞において生じているレセプター媒介性エンドサイトーシスによる高分子の選択的取り込みを利用する。様々なレセプターの細胞型特異的分布に照らして、この送達方法は、別の特異性の程度を付加する。
【0246】
ある特定のレセプター媒介性遺伝子標的化ビヒクルは、細胞レセプター特異的リガンドおよびポリヌクレオチド結合剤を含む。他のものは、送達されるべきポリヌクレオチドに作動可能に付着された細胞レセプター特異的リガンドを含む。いくつかのリガンドは、レセプター媒介性遺伝子移入のために使用され(Wu and Wu,(1987)J.Biol.Chem.,262,4429−4432;Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87(9):3410−3414,1990;Peralesら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:4086−4090,1994;Myers,EPO 0273085)、これにより、この手法の実施可能性が確立される。別の哺乳動物細胞型における特異的送達も論じられている(Wu and Wu,Adv.Drug Delivery Rev.,12:159−167,1993;参照により本明細書中に援用される)。ある特定の態様では、標的細胞集団上に特異的に発現されるレセプターに対応するリガンドが、選択される。
【0247】
他の実施形態において、細胞特異的ポリヌクレオチド標的化ビヒクルのポリヌクレオチド送達ビヒクル成分は、リポソームとともに特異的結合リガンドを含み得る。送達されるべきポリヌクレオチド(複数可)は、そのリポソーム内に収容され、特異的結合リガンドは、リポソーム膜に機能的に組み込まれる。このようにして、そのリポソームは、標的細胞のレセプター(複数可)に特異的に結合し、細胞にその内容物を送達し得る。そのようなシステムは、例えば、上皮成長因子(EGF)が、EGFレセプターのアップレギュレーションを示す細胞へのポリヌクレオチドのレセプター媒介性送達において使用されるシステムを使用して機能的であると示された。
【0248】
なおもさらなる実施形態において、標的化された送達ビヒクルのポリヌクレオチド送達ビヒクル成分は、リポソーム自体であり得、そのリポソームは、例えば、細胞特異的結合を指示する1つ以上の脂質または糖タンパク質を含み得る。例えば、ガラクトース末端のアシアロガングリオシドであるラクトシル−セラミドが、リポソームに組み込まれ、肝細胞によるインスリン遺伝子の取り込みの増加が観察された(Nicolauら(1987)Methods Enzymol.,149,157−176)。組織特異的な形質転換構築物が、類似の様式で標的細胞に特異的に送達され得ることが企図される。
【0249】
9.微粒子銃(microprojectile bombardment)
微粒子銃法は、ポリヌクレオチドを少なくとも1つの細胞小器官、細胞、組織または生物に導入するために使用され得る(米国特許第5,550,318号;米国特許第5,538,880号;米国特許第5,610,042号;およびPCT出願WO94/09699;これらの各々は、参照により本明細書中に援用される)。この方法は、DNAでコーティングされた微小発射体が高速度に加速して、それらが細胞膜を貫通し、細胞を殺傷せずにそれらの細胞に入ることを可能にする能力に依存する(Kleinら(1987)Nature,327,70−73)。当該分野で公知の多種多様の微粒子銃法が存在し、それらの多くは、本方法に適用可能である。
【0250】
この微粒子銃では、1つ以上の粒子が、少なくとも1つのポリヌクレオチドでコーティングされ、推進力によって細胞に送達され得る。小粒子を加速するためのいくつかのデバイスが、開発された。1つのそのようなデバイスは、電流を発生させ、その後その電流が輸送力を提供する高圧放電に依存する(Yangら(1990)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,87,9568−9572)。使用される微小発射体は、生物学的に不活性な物質(例えば、タングステンまたは金の粒子またはビーズ)からなった。例示的な粒子としては、タングステン、白金、およびある特定の例では、金から構成された粒子(例えば、ナノ粒子を含む)が挙げられる。場合によっては、金属粒子上へのDNA沈殿が、微粒子銃を使用したレシピエント細胞へのDNA送達に必要としないことが企図される。しかしながら、粒子は、DNAでコーティングされるのではなく、DNAを含み得ることが企図される。DNAでコーティングされた粒子は、粒子銃を介したDNA送達のレベルを上昇させ得るが、本質的に必要ない。
【0251】
ウイルスベクター媒介性移入方法の例
被験体内の単数または複数の細胞がヌクレオチド配列によってコードされる遺伝子を発現し得るようにそのヌクレオチド配列またはそのヌクレオチド配列を含む組成物をその細胞またはその被験体に投与するのに適した任意のウイルスベクターが、本方法において使用され得る。ある特定の実施形態において、導入遺伝子は、細胞への遺伝子移入を媒介するウイルス粒子に組み込まれる。代表的には、そのウイルスは、単純に、適切な宿主細胞に生理学的条件下で曝露されることにより、ウイルスの取り込みが可能になり得る。本方法は、下記で論じられるように、種々のウイルスベクターを使用して都合よく使用される。
【0252】
1.アデノウイルス
アデノウイルスは、その中程度のサイズのDNAゲノム、操作の容易性、高力価、広範囲な標的細胞および高感染力を理由に、遺伝子トランスファーベクターとして使用するのに特に適している。およそ36kbのウイルスゲノムは、ウイルスDNAの複製およびパッケージングに必要なシス作用性エレメントを含む100〜200塩基対(bp)の末端逆位配列(ITR)が境を接している。異なる転写単位を含む、ゲノムの初期(E)領域および後期(L)領域は、ウイルスDNA複製の開始によって分割される。
【0253】
E1領域(E1AおよびE1B)は、ウイルスゲノムおよびいくつかの細胞遺伝子の転写の制御に関与するタンパク質をコードする。E2領域(E2AおよびE2B)の発現により、ウイルスDNA複製のためのタンパク質が合成される。これらのタンパク質は、DNAの複製、後期遺伝子の発現および宿主細胞の切り離しに関与する(Renan,M.J.(1990)Radiother Oncol.,19,197−218)。ウイルスキャプシドタンパク質の大部分を含む後期遺伝子(L1、L2、L3、L4およびL5)の産物は、主要後期プロモーター(MLP)によってもたらされる単一の一次転写産物の有意なプロセシングの後にだけ、発現される。MLP(16.8マップ単位に位置する)は、感染の後期において特に有効であり、このプロモーターからもたらされたすべてのmRNAは、それらを翻訳にとって有用にする5’トリパータイトリーダー(tripartite leader)(TL)配列を有する。
【0254】
アデノウイルスが遺伝子治療に対して最適化されるために、大きなDNAセグメントを含むことができるように運搬能を最大にする必要がある。ある特定のアデノウイルス産物に関連する毒性および免疫学的反応を減少させることも非常に望ましい。これらの2つの目標は、アデノウイルス遺伝子の除去が両方の目的にかなうという点で、ある程度重なり合っている。本方法の実施によって、治療的な構築物を比較的容易にマニピュレートする能力を保持しつつ、これらの両方の目標を達成することができる。
【0255】
ウイルスDNAの複製に必要とされるシスエレメントがすべて、直鎖状のウイルスゲノムのいずれかの末端の末端逆位反復配列(ITR)(100〜200bp)に局在化するので、DNAの大きな置き換えが可能である。ITRを含むプラスミドは、非欠陥アデノウイルスの存在下において複製し得る(Hay,R.T.ら、J Mol Biol.1984 Jun 5;175(4):493−510)。ゆえに、これらのエレメントをアデノウイルスベクターに含めることにより、複製が可能になり得る。
【0256】
さらに、ウイルス封入のためのパッケージングシグナルは、ウイルスゲノムの左端の194〜385bp(0.5〜1.1マップ単位)に局在する(Hearingら、J.(1987)Virol.,67,2555−2558)。このシグナルは、左端に近いが付着末端配列の外側の特異的配列が、頭部構造へのDNAの挿入に必要とされるタンパク質への結合を媒介する、バクテリオファージラムダDNAにおけるタンパク質認識部位を模倣している。AdのE1置換ベクターは、ウイルスゲノムの左端の450bp(0〜1.25マップ単位)フラグメントが293細胞においてパッケージングを指示し得ることを実証した(Levreroら、Gene,101:195−202,1991)。
【0257】
以前に、アデノウイルスゲノムのある特定の領域が、哺乳動物細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより、コードされている遺伝子が発現され得ることが示された。これらの細胞株は、その細胞株によってコードされる、アデノウイルス機能を欠いたアデノウイルスベクターの複製を支持することができる。「補助」ベクター、例えば、野生型ウイルスまたは条件欠陥性変異体による複製欠損性アデノウイルスベクターの補完の報告も存在する。
【0258】
複製欠損性アデノウイルスベクターは、ヘルパーウイルスによってトランスで補完され得る。しかしながら、複製機能を提供するのに必要なヘルパーウイルスが存在するせいで、いずれの調製物も汚染され得るので、この知見だけでは、複製欠損性ベクターの単離が可能にならない。したがって、複製欠損性ベクターの複製および/またはパッケージングに特異性を付加し得るさらなるエレメントが必要だった。そのエレメントは、アデノウイルスのパッケージング機能に由来する。
【0259】
アデノウイルスに対するパッケージングシグナルは、従来のアデノウイルスマップの左端に存在することが示されている(Tibbettsら(1977)Cell,12,243−249)。後の研究から、ゲノムのE1A(194〜358bp)領域に欠失を有する変異体が、初期(E1A)機能を補完した細胞株においてさえ不十分にしか成長しないことが示された(Hearing and Shenk,(1983)J.Mol.Biol.167,809−822)。代償的な(compensating)アデノウイルスDNA(0〜353bp)が、その変異体の右端に組み換えられたとき、そのウイルスは、正常にパッケージングされた。さらなる変異解析から、Ad5ゲノムの左端に、短い反復性の位置依存性エレメントが同定された。その反復は、ゲノムのいずれかの末端に存在する場合、効率的なパッケージングには1コピーで十分であるが、Ad5 DNA分子の内側に向かって移動した場合は、そうではないことが見出された(Hearingら、J.(1987)Virol.,67,2555−2558)。
【0260】
パッケージングシグナルの変異バージョンを使用することによって、様々な効率でパッケージングされるヘルパーウイルスを作製することが可能である。代表的には、変異は、点変異または欠失である。パッケージングが低効率であるヘルパーウイルスをヘルパー細胞内で生育させるとき、そのウイルスは、野生型ウイルスと比べて低い速度であったとしてもパッケージングされ、それにより、ヘルパーの繁殖が可能となる。しかしながら、これらのヘルパーウイルスを、野生型パッケージングシグナルを含むウイルスとともに細胞内で生育させるとき、その野生型パッケージングシグナルは、変異バージョンよりも優先的に認識される。パッケージング因子の量が限られていることを考慮すると、野生型シグナルを含むウイルスは、ヘルパーと比べて選択的にパッケージングされる。優先性が十分大きい場合、均質に近い系統(stock)が達成され得る。
【0261】
特定の組織または種に対するADV構築物の向性を改善するために、レセプター結合ファイバー配列は、しばしばアデノウイルス分離株の間で置換され得る。例えば、アデノウイルス5において見出されたコクサッキー−アデノウイルスレセプター(CAR)リガンドは、アデノウイルス35由来のCD46結合ファイバー配列の代わりに用いられ、ヒト造血細胞に対する結合親和性が大幅に改善されたウイルスが作製され得る。得られた「シュードタイプ化された」ウイルスであるAd5f35は、いくつかの臨床的に開発されたウイルス分離株の基礎となった。さらに、例えばT細胞などの標的細胞に対してウイルスを再標的化することを可能にするファイバーを改変する様々な生化学的方法が存在する。方法は、二機能性抗体(一方の末端はCARリガンドに結合し、もう一方の末端は標的配列に結合する)の使用、およびカスタマイズされたアビジンベースのキメラリガンドとの会合を可能にするファイバーの代謝性のビオチン化を含む。あるいは、リガンド(例えば、抗CD205)をヘテロ二機能性リンカー(例えば、PEG含有)によってアデノウイルス粒子に付着することができる。
【0262】
2.レトロウイルス
レトロウイルスは、そのRNAを逆転写のプロセスによって感染細胞において二本鎖DNAに変換する能力を特徴とする一本鎖RNAウイルスの群である(Coffin,(1990)In:Virology,ed.,New York:Raven Press,pp.1437−1500)。次いで、得られたDNAは、プロウイルスとして細胞染色体内に安定に組み込み、ウイルスタンパク質の合成を指示する。その組み込みにより、レシピエント細胞およびその子孫においてウイルス遺伝子配列が保持される。レトロウイルスゲノムは、3つの遺伝子、それぞれキャプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素およびエンベロープ成分をコードするgag、polおよびenvを含む。psiと呼ばれる、gag遺伝子から上流に見られる配列は、ゲノムをビリオンにパッケージングするためのシグナルとして機能する。2つの長い末端反復(LTR)配列が、ウイルスゲノムの5’および3’末端に存在する。これらは、強力なプロモーター配列およびエンハンサー配列を含み、宿主細胞ゲノムへの組み込みにも必要である(Coffin,1990)。したがって、例えば、本技術は、例えば、細胞を形質導入するために使用されるポリヌクレオチドがその細胞のゲノムに組み込まれた細胞を含む。
【0263】
レトロウイルスベクターを構築するために、プロモーターをコードする核酸を、ウイルスゲノム内のある特定のウイルス配列の位置に挿入することにより、複製欠損であるウイルスが作製される。ビリオンを生成するために、gag、polおよびenv遺伝子を含むがLTRおよびpsi成分を含まないパッケージング細胞株を構築する(Mannら(1983)Cell,33,153−159)。レトロウイルスのLTR配列およびpsi配列とともにヒトcDNAを含む組換えプラスミドをこの細胞株に導入するとき(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)、そのpsi配列は、その組換えプラスミドのRNA転写産物をウイルス粒子内にパッケージングさせ、次いでそれを培養培地中に分泌させる(Nicolas,J.F.,and Rubenstein,J.L.R.,(1988)In:Vectors:a Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,Rodriquez and Denhardt,Eds.).Nicolas and Rubenstein;Teminら(1986)In:Gene Transfer,Kucherlapati(ed.),New York:Plenum Press,pp.149−188;Mannら、1983)。組換えレトロウイルスを含む培地を捕集し、必要に応じて濃縮し、遺伝子移入のために使用する。レトロウイルスベクターは、幅広い種類の細胞型に感染することができる。しかしながら、多くのタイプのレトロウイルスの組み込みおよび安定な発現は、宿主細胞の分裂を必要とする(Paskindら(1975)Virology,67,242−248)。
【0264】
レトロウイルスベクターの特異的標的化を可能にするようにデザインされたアプローチは、ウイルスエンベロープへのガラクトース残基の化学的付加によるレトロウイルスの化学修飾に基づいて最近開発された。アシアロ糖タンパク質レセプターを介した肝細胞などの細胞の特異的感染を可能にし得るこの修飾が望まれる場合がある。
【0265】
組換えレトロウイルスの標的化に対する異なるアプローチがデザインされており、そのアプローチは、レトロウイルスエンベロープタンパク質に対するビオチン化抗体および特異的な細胞レセプターに対するビオチン化抗体を使用した。それらの抗体は、ストレプトアビジンを使用することによってビオチン成分を介して結合された(Rouxら(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,86,9079−9083)。主要組織適合遺伝子複合体クラスIおよびクラスII抗原に対する抗体を使用して、それらの表面抗原を有する種々のヒト細胞がインビトロにおいてエコトロピックウイルスに感染することが実証された(Rouxら、1989)。
【0266】
3.アデノ随伴ウイルス
AAVは、約4700塩基対の直鎖状の一本鎖DNAを使用する。末端逆位反復配列は、ゲノムに隣接している。2つの遺伝子が、ゲノム内に存在し、いくつかの異なる遺伝子産物を生じる。第1に、cap遺伝子は、VP−1、VP−2およびVP−3と命名された3つの異なるビリオンタンパク質(VP)を生成する。第2に、rep遺伝子は、4つの非構造タンパク質(NS)をコードする。これらのrep遺伝子産物の1つ以上は、AAV転写のトランス活性化に関与する。
【0267】
AAVにおける3つのプロモーターは、ゲノム内のそれらの位置によって、マップ単位で命名されている。これらは、左から右へ、p5、p19およびp40である。転写によって、6つの転写産物が生じ、2つは、3つの各プロモーターにおいて開始され、各対の一方がスプライシングされる。マップ単位42〜46に由来するスプライス部位は、各転写産物にとって同じである。4つの非構造タンパク質は、より長い転写産物に由来するとみられ、3つのビリオンタンパク質のすべてが、最も小さい転写産物から生じる。
【0268】
AAVは、ヒトにおけるいかなる病的状態にも関連しない。興味深いことに、効率的な複製のために、AAVは、単純ヘルペスウイルスIおよびII、サイトメガロウイルス、仮性狂犬病ウイルス、ならびに当然のことながらアデノウイルスなどのウイルスからの「補助」機能を必要とする。それらのヘルパーのうち最も特徴付けられたものは、アデノウイルスであり、このウイルスに対する多くの「初期」機能は、AAVの複製を支援すると示された。AAV repタンパク質の低レベルの発現は、AAV構造発現を抑制すると考えられており、ヘルパーウイルス感染は、この阻止を取り消すと考えられている。
【0269】
AAVベクターの末端反復配列は、AAVまたは改変されたAAVゲノムを含むp201などのプラスミドの制限エンドヌクレアーゼ消化によって(Samulskiら、J.Virol.,61:3096−3101(1987))またはAAVの公開配列に基づく末端反復配列の化学的合成もしくは酵素的合成を含むがこれらに限定されない他の方法によって得ることができる。それは、例えば、機能、すなわち安定した部位特異的な組み込みを可能にするために必要とされるAAV ITRの最小の配列または一部を、欠失分析によって決定することができる。また、安定した部位特異的な組み込みを指示する末端反復配列の能力を維持しつつ、配列のどの軽微な改変が許容され得るかを判定することもできる。
【0270】
AAVベースのベクターは、インビトロにおいて遺伝子送達するための安全で有効なビヒクルであることが証明されており、これらのベクターは、開発されており、エキソビボとインビボの両方における潜在的な遺伝子治療において広範囲に適用するために前臨床段階および臨床段階において試験されている(Carter and Flotte,(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci.,770;79−90;Chatteijeeら(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci.,770,79−90;Ferrariら(1996)J.Virol.,70,3227−3234;Fisherら(1996)J.Virol.,70,520−532;Flotteら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,90,10613−10617,(1993);Goodmanら(1994),Blood,84,1492−1500;Kaplittら(1994)Nat’l Genet.,8,148−153;Kaplitt,M.G.ら、Ann Thorac Surg.1996 Dec;62(6):1669−76;Kesslerら(1996)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,93,14082−14087;Koeberlら(1997)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,94,1426−1431;Mizukamiら(1996)Virology,217,124−130)。
【0271】
肺におけるAAV媒介性の効率的な遺伝子移入および遺伝子発現は、嚢胞性線維症の処置のための臨床試験に至っている(Carter and Flotte,1995;Flotteら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,90,10613−10617,(1993))。同様に、骨格筋へのジストロフィン遺伝子のAAV媒介性の遺伝子送達による筋ジストロフィーの処置、脳へのチロシンヒドロキシラーゼ遺伝子送達によるパーキンソン病の処置、肝臓への第IX因子遺伝子送達による血友病Bの処置、および潜在的に、心臓への血管内皮成長因子遺伝子による心筋梗塞の処置の見込みは、これらの器官におけるAAV媒介性の導入遺伝子発現が高度に効率的であると最近示されたので、有望であるとみられる(Fisherら(1996)J.Virol.,70,520−532;Flotteら、1993;Kaplittら、1994;1996;Koeberlら、1997;McCownら(1996)Brain Res.,713,99−107;Pingら(1996)Microcirculation,3,225−228;Xiaoら(1996)J.Virol.,70,8098−8108)。
【0272】
4.他のウイルスベクター
他のウイルスベクターも、本発明の方法および組成物において発現構築物として用いられる。ワクシニアウイルス(Ridgeway,(1988)In:Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses,pp.467−492;Baichwal and Sugden,(1986)In,Gene Transfer,pp.117−148;Couparら、Gene,68:1−10,1988)カナリアポックスウイルスおよびヘルペスウイルスなどのウイルスに由来するベクターが使用される。これらのウイルスは、様々な哺乳動物細胞への遺伝子移入において使用するためのいくつかの特徴を提供する。
【0273】
いったん、構築物が細胞内に送達されたら、導入遺伝子をコードする核酸は、種々の部位に位置づけられ、発現される。ある実施形態おいて、導入遺伝子をコードする核酸は、細胞のゲノムに安定に組み込まれる。この組み込みは、相同組換えを介して同種の(cognate)位置および向きである(遺伝子置換)かまたはランダムで非特異的な位置に組み込まれる(遺伝子増強)。なおもさらなる実施形態において、核酸は、DNAの別個のエピソームセグメントとして細胞において安定に維持される。そのような核酸セグメントまたは「エピソーム」は、宿主細胞周期と無関係のまたはそれと同期した維持および複製を可能にするのに十分な配列をコードする。発現構築物がどのように細胞に送達され、その核酸が細胞のどこにとどまるかは、使用される発現構築物のタイプに依存する。
【0274】
疾患を処置するための方法
本方法は、疾患を処置するかまたは予防する方法も包含し、ここで、例えば注入による細胞の投与が、有益であり得る。
【0275】
細胞、例えば、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、ナチュラルキラー細胞、TCRを発現している細胞、ナチュラルキラーT細胞、または前駆細胞など、例えば、造血幹細胞、間葉系ストローマ細胞、幹細胞、多能性幹細胞および胚性幹細胞などが、細胞治療のために使用され得る。それらの細胞は、ドナーに由来し得るか、または患者から得られた細胞であり得る。それらの細胞は、例えば、病的な細胞の機能を置き換えるための、例えば、再生において使用され得る。それらの細胞は、生物学的作用物質が、特定の微小環境、例えば、病的な骨髄または転移性の沈着物(metastatic deposit)などに送達され得るように、異種遺伝子を発現するようにも改変され得る。間葉系ストローマ細胞は、例えば、免疫抑制活性を提供するためにも使用されており、移植片対宿主病および自己免疫障害の処置において使用され得る。本願において提供される細胞は、細胞治療後に治療用細胞の活性が取り除かれるか、増加されるか、または減少される必要がある状況において価値のあるものであり得る安全スイッチを含む。例えば、キメラ抗原レセプターを発現する前駆T細胞が患者に提供される場合、場合によっては、該細胞のより成熟した細胞型への不適切な分化または別組織のオフターゲット毒性への望ましくない誘因などの有害事象が存在し得る。リガンドの投与を終了すると、治療用T細胞は非活性化状態に戻り、無毒性の低い発現レベルで残存し得る。または、例えば、治療用細胞が取り除かれる必要がある場合である。その治療用細胞は、腫瘍細胞または腫瘍サイズを減少させるように働き得、もはや必要とされなくなることがある。この状況では、リガンドの投与は、終了してもよく、治療用細胞は、もはや活性化されない。最初の治療後に腫瘍細胞が再発する(return)かまたは腫瘍サイズが増加する場合、キメラ抗原レセプターを発現しているT細胞を活性化させ、患者を再処置するために、リガンドが再度投与され得る。
【0276】
「治療用細胞」とは、細胞治療のために使用される細胞、すなわち、状態または疾患を処置するためまたは予防するために被験体に投与される細胞のことを意味する。
【0277】
用語「単位用量」は、それが接種材料に関するとき、哺乳動物に対する単位投与量(unitary dosages)として好適な物理的に分離した単位のことを指し、各単位は、必要とされる希釈剤とともに、所望の免疫刺激効果をもたらすと計算された所定の量の薬学的組成物を含む。接種材料の単位用量に対する詳述は、薬学的組成物のユニークな特色および達成されるべき特定の免疫学的効果によって規定され、それらに依存する。
【0278】
本明細書中に提示される多量体リガンドなどの薬学的組成物の有効量は、60%、70%、80%、85%、90%、95%もしくは97%超または80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%もしくは10%未満の治療用細胞が活性化されるような、誘導可能なキメラシグナル伝達分子を発現するT細胞を活性化するこの選択された結果を達成する量であり得る。この用語は、「十分な量」とも同義である。有効量は、所望の治療的応答(例えば、リガンド誘導物質が投与される前の時点と比べて、腫瘍サイズの減少、腫瘍細胞のレベルの低下、またはCD19発現白血病細胞のレベルの低下)を達成する量でもあり得る。
【0279】
任意の特定の用途に対する有効量は、処置される疾患もしくは状態、投与される特定の組成物、被験体のサイズおよび/または疾患もしくは状態の重症度などのような因子に応じて変動し得る。本明細書中に提示される特定の組成物の有効量は、過度の実験を必要とせずに、経験的に決定され得る。
【0280】
用語「接触される」および「曝露される」は、細胞、組織または生物に適用されるとき、薬学的組成物および/もしくは別の作用物質、例えば、化学療法剤または放射線治療薬などが、標的細胞、組織もしくは生物に送達されるプロセス、または標的細胞、組織もしくは生物のすぐ近位に配置されるプロセスを記述するために本明細書中で使用される。細胞の殺傷または静止を達成するために、薬学的組成物および/またはさらなる作用物質(複数可)が、細胞(複数可)を殺傷するのに有効または細胞の分裂を防ぐのに有効な合計量で1つ以上の細胞に送達される。
【0281】
薬学的組成物の投与は、数分から数週間の範囲の間隔だけ、他の作用物質(複数可)より先に行われ得る、他の作用物質(複数可)と同時であり得る、および/または他の作用物質(複数可)の後に行われ得る。薬学的組成物および他の作用物質(複数可)が別々に細胞、組織または生物に適用される実施形態では、その薬学的組成物および作用物質(複数可)がなおも、都合よく組み合わされた効果をその細胞、組織または生物に対して発揮することができ得るように、各送達の時点の間に有効時間が満了しないことが通常、保証され得る。例えば、そういった場合には、2、3、4つまたはそれより多くの様式を用いて、細胞、組織または生物を実質的に同時に(すなわち、約1分未満以内に)薬学的組成物と接触させ得ることが企図される。他の態様では、1つ以上の作用物質が、発現ベクターを投与する前および/または投与した後に、実質的に同時、約1分以内から、約24時間、約7日間、約1〜約8週間またはそれより長くまで、およびそれらの中の任意の導き出せる範囲で投与され得る。なおもさらに、本明細書中に提示される薬学的組成物と1つ以上の作用物質との様々な併用レジメンが、使用され得る。
【0282】
最適化されたおよび個別化された治療的処置
リガンド誘導物質の投与量および投与スケジュールは、処置される疾患または状態のレベルを決定することによって最適化され得る。例えば、任意の残存している固形腫瘍のサイズ、または標的化される細胞、例えば、患者の中に残存している可能性がある腫瘍細胞またはCD19発現B細胞などのレベルが、決定され得る。
【0283】
例えば、患者が臨床的に関連するレベルの腫瘍細胞を有するか、または最初の治療の後に固形腫瘍を有するという判定は、多量体リガンドを投与することによる、キメラ抗原レセプターを発現しているT細胞活性化することによってそれらの細胞を活性化する必要があり得るという指示を臨床医に提供する。別の例では、多量体リガンドで処置した後に、患者が、低下したレベルの腫瘍細胞または減少した腫瘍サイズを有するという判定は、追加の用量の多量体リガンドが必要ないと臨床医に指示し得る。同様に、多量体リガンドで処置した後、患者が、疾患もしくは状態の症状を示し続けているかまたは症状の再発に苦しんでいるという判定は、少なくとも1つのさらなる用量の多量体リガンドを投与する必要があり得ると臨床医に指示し得る。用語「投与量」は、投与の用量と投与の頻度(例えば、次の投与のタイミングなど)の両方を含むと意味される。用語「投与量レベル」とは、被験体の体重との関係から投与される多量体リガンドの量のことを指す。したがって、投与量レベルの上昇は、被験体の体重に対して投与されるリガンドの量の増加を意味し得る。さらに、投与される用量(例えば、多量体リガンドが持続注入ポンプを使用して投与されるときなど)の濃度の上昇は、1分あたりまたは1秒あたりに投与される濃度(ひいては、投与される量)が上昇することを意味し得る。
【0284】
したがって、例えば、ある特定の実施形態において、上記方法は、多量体リガンドの投与後の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数と比べて、被験体における腫瘍サイズの増加および/または腫瘍細胞数の増加の存在または不在を決定する工程、ならびに腫瘍サイズの増加および/または腫瘍細胞数の増加の存在が決定された場合、さらなる用量の多量体リガンドを被験体に投与する工程を含む。上記方法は、例えば、多量体リガンドの投与後のCD19発現B細胞のレベルと比べて、被験体におけるCD19発現B細胞の増加の存在または不在を決定する工程、および被験体におけるCD19発現B細胞の増加の存在が決定された場合、さらなる用量の多量体リガンドを被験体に投与する工程も含む。これらの実施形態では、例えば、患者は最初に、本明細書中に提供される方法に従って治療用細胞およびリガンドで処置される。最初の処置の後、例えば、腫瘍サイズ、腫瘍細胞数またはCD19発現B細胞数は、最初の処置の前の時点と比べて減少し得る。この最初の処置の後のある特定の時点において、患者は、再度試験されるか、または患者は、疾患症状について継続的にモニターされ得る。例えば、腫瘍サイズ、腫瘍細胞数またはCD19発現B細胞数が、最初の処置の直後の時点と比べて増加していると判定される場合、リガンドは、さらなる用量のために投与され得る。誘導可能なキメラシグナル伝達分子を発現する治療用細胞が、さらなるリガンドの非存在下においては比較的不活性な状態であるが患者の中に残っているので、このモニタリングおよび処置スケジュールは、継続され得る。
【0285】
その後の薬物の用量、例えば、その後の多量体リガンドの用量、および/またはその後の薬物投与量などを調整するまたは維持する指示は、任意の好都合な様式で提供され得る。指示は、いくつかの実施形態において、表形式で(例えば、物理的媒体または電子媒体において)提供され得る。例えば、腫瘍細胞のサイズ、またはサンプル中の腫瘍細胞の数もしくはレベルが、表に提供され得、臨床医は、疾患のステージのリストまたは表とその症状を比較し得る。次いで、その臨床医は、その表から、その後の薬物用量に対する指示を特定し得る。ある特定の実施形態において、指示は、それらの症状がコンピュータに提供された後(例えば、コンピュータ上のメモリに入れられた後)、コンピュータによって提示され得る(例えば、表示され得る)。例えば、この情報は、コンピュータに提供され得(例えば、ユーザーによってコンピュータメモリに入れられ得るか、またはコンピュータネットワーク内のリモートデバイスを介してコンピュータに送信され得)、コンピュータ内のソフトウェアが、その後の薬物用量を調整するかもしくは維持するための指示を生成し得、および/またはその後の薬物用量の量を提供し得る。
【0286】
その後の用量が、指示に基づいて決定されたら、臨床医は、決定されたその後の用量を投与し得るか、または別の人もしくは実体に対してその用量を調整する指示書を提供し得る。本明細書中で使用される用語「臨床医」は、意思決定者のことを指し、ある特定の実施形態において、臨床医は、医療専門家である。意思決定者は、いくつかの実施形態において、コンピュータまたは表示されたコンピュータプログラムのアウトプットであり得、そのコンピュータによって表示される指示またはその後の薬物用量に基づいて、保健サービス提供者が行動し得る。意思決定者は、その後の用量を直接投与し得る(例えば、その後の用量を被験体に注入し得る)か、または遠隔的に投与し得る(例えば、ポンプパラメータが、意思決定者によって遠隔的に変更され得る)。
【0287】
本明細書中に提示されるような方法は、有効量の活性化された細胞、核酸またはそれをコードする発現構築物の送達を含むが、これらに限定されない。薬学的組成物の「有効量」は、一般に、述べられた所望の結果を検出可能におよび繰り返し達成するのに十分な量、例えば、疾患またはその症状を回復させるか、減少させるか、最小にするか、またはその程度を限定するのに十分な量として定義される。疾患の排除、根絶または治癒を含む他のより厳密な定義が、適用され得る。いくつかの実施形態において、処置の有効性を評価するためおよび毒性をコントロールするためにバイオマーカーをモニターする工程が存在し得る。
【0288】
免疫応答の増強
ある特定の実施形態において、生物学的経路、例えば、免疫学的経路、例えば、NF−カッパーB経路、Akt経路および/またはp38経路を活性化するシグナル伝達共刺激ポリペプチドの操作を組み込んだDC活性化ストラテジーが企図される。このDC活性化システムは、APC活性化においてCD4T細胞を助けるための要件に取って代わるので、免疫応答を増強する標準的なワクチンとともにまたは標準的なワクチンなしで使用され得る(Bennett,S.R.ら、Nature,1998,Jun.4.393:p.478−80;Ridge,J.P.,D.R.F,and P.Nature,1998,Jun.4.393:p.474−8;Schoenberger,S.P.ら、Nature,1998,Jun.4.393:p.480−3)。したがって、本明細書中に提示されるDC活性化システムは、MHCクラスII特異的ペプチドを作製する必要性を回避することによって、免疫応答を増強する。
【0289】
特定の実施形態において、DC活性化は、CD40活性化を介する。したがって、内因性のCD40/CD40L相互作用を介したDC活性化は、負のフィードバックに起因してダウンレギュレーションすることがあり、急速に「IL−12バーンアウト作用(burn−out effect)」がもたらされる。CD40活性化後7〜10時間以内に、CD40の選択的スプライシングされたアイソフォーム(タイプII)が、分泌可能な因子として産生される(Tone,M.ら、Proc Natl Acad Sci USA,2001.98(4):p.1751−1756)。タイプII CD40は、ドミナントネガティブレセプターとして作用し得、CD40Lを介してシグナル伝達をダウンレギュレートし、潜在的には、発生する免疫応答の効力を限定する。ゆえに、本方法は、誘導可能な形態のCD40(iCD40)を作製し、細胞外ドメインを欠損させ、代わりに化学誘導二量体化(CID)と呼ばれる技術によって合成二量体化リガンド(Spencer,D.M.ら、Science,1993.262:p.1019−1024)によって活性化することによって、CD40の天然の制御を取り込む。
【0290】
被験体における免疫応答を増強する方法が含まれ、その方法は、発現ベクター、発現構築物または形質導入された細胞をその被験体に投与する工程を含む。発現ベクターは、iCD40などの共刺激ポリペプチドをコードする。
【0291】
ある特定の実施形態において、上記細胞は、動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類における細胞である。上記被験体は、例えば、動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類であり得る。上記被験体は、例えば、ヒト、例えば、感染症に罹患している患者、および/または免疫無防備状態であるかもしくは過剰増殖性疾患に罹患している被験体であり得る。
【0292】
さらなる実施形態において、発現構築物および/または発現ベクターは、細胞を活性化する組成物または物質として利用され得る。「細胞を活性化する」または「細胞の活性(the activity cells)を増強する」そのような組成物とは、細胞に関連する1つまたはそれを超える活性を刺激する能力のことを指す。例えば、本方法の発現構築物またはベクターなどの組成物は、細胞上の共刺激分子のアップレギュレーションを刺激し得るか、細胞におけるNF−カッパーBの核移行を誘導し得るか、細胞におけるtoll様レセプター、またはサイトカインもしくはケモカインを含む他の活性を活性化し得る。
【0293】
発現構築物、発現ベクターおよび/または形質導入された細胞は、例えば、より弱い抗原(例えば、高度に精製された抗原または組換え抗原)の免疫原性を高めること、免疫応答に必要な抗原の量を減少させること、防御免疫をもたらすのに必要な免疫化の頻度を減少させること、免疫応答が低下しているかまたは弱まっている被験体(例えば、新生児、高齢および免疫無防備状態の個体)におけるワクチンの有効性を改善すること、および粘膜免疫などの標的組織における免疫を増強することによって、ワクチンの有効性を高め得るかもしくはワクチンの有効性に寄与し得るか、または特定のサイトカインプロファイルを誘発することによって細胞媒介性免疫もしくは体液性免疫を促進し得る。
【0294】
ある特定の実施形態において、細胞は、抗原とも接触される。しばしば、細胞は、エキソビボにおいて抗原と接触される。時折、細胞は、インビボにおいて抗原と接触される。いくつかの実施形態において、細胞は、被験体内に存在し、免疫応答が、抗原に対してもたらされる。時折、その免疫応答は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)免疫応答である。時折、その免疫応答は、腫瘍抗原に対してもたらされる。ある特定の実施形態において、その細胞は、アジュバントの添加なしに活性化される。
【0295】
いくつかの実施形態において、細胞は、エキソビボにおいて核酸を形質導入され、皮内投与によって被験体に投与される。いくつかの実施形態において、細胞は、エキソビボにおいて核酸を形質導入され、皮下投与によって被験体に投与される。時折、細胞は、エキソビボにおいて核酸を形質導入される。時折、細胞は、インビボにおいて核酸を形質導入される。
【0296】
ある特定の実施形態において、エキソビボまたはインビボにおいて、キメラタンパク質をコードする核酸が細胞に形質導入され得る。細胞は、その細胞が多量体リガンドと接触されるのと同時に抗原に対して感作され得るか、または細胞は、その細胞が多量体化リガンドと接触される前に、予めその抗原に感作され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、エキソビボにおいて抗原と接触される。ある特定の実施形態では、エキソビボにおいて核酸が細胞に形質導入され、その細胞が、皮内投与によって被験体に投与され、時折、エキソビボにおいて細胞に核酸が形質導入され、皮下投与によって被験体に投与される。抗原は、腫瘍抗原であり得、流入領域リンパ節への細胞の遊走によってCTL免疫応答が誘導され得る。腫瘍抗原は、宿主において免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、ペプチドまたはポリペプチドである。腫瘍抗原は、新生物腫瘍細胞に関連する腫瘍関連抗原であり得る。
【0297】
いくつかの実施形態において、免疫無防備状態の個体または被験体は、免疫応答が低下したまたは弱まった被験体である。そのような個体には、化学療法または免疫系を弱める他の任意の治療を受けた被験体、移植レシピエント、現在、免疫抑制剤を摂取している被験体、高齢化している個体、またはCD4 Tヘルパー細胞が減少しているおよび/もしくは損なわれている任意の個体も含まれ得る。本方法は、免疫無防備状態の被験体におけるCD4 Tヘルパー細胞の量および/または活性を高めるために利用され得ることが企図される。
【0298】
標的抗原によるチャレンジ
特定の実施形態において、形質導入された細胞を投与する前に、それらの細胞を抗原(本明細書中では「標的抗原」とも称される)でチャレンジする。チャレンジの後、負荷された形質導入された細胞は、被験体に非経口的に、皮内に、結節内に、またはリンパ内に(intralymphatically)、投与される。さらなる非経口的経路としては、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、心筋内、経心内膜、経心外膜(transepicardial)、鞘内、前立腺内、腫瘍内および注入の手法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0299】
標的抗原は、本明細書中で使用されるとき、抗原または抗原上の免疫学的エピトープであり、それは、哺乳動物における、免疫認識および疾患を引き起こす物質または疾患状態の最終的な排除またはコントロールにおいて重大である。その免疫認識は、細胞性および/または体液性であり得る。細胞内の病原体およびがんの場合、免疫認識は、例えば、Tリンパ球応答であり得る。
【0300】
標的抗原は、例えば、病原性の微生物、例えば、HIV(Korberら編 HIV Molecular Immunology Database,Los Alamos National Laboratory,Los Alamos,N.Mex.1977)、インフルエンザ、ヘルペス、ヒトパピローマウイルス(米国特許第5,719,054号)、B型肝炎(米国特許第5,780,036号)、C型肝炎(米国特許第5,709,995号)、EBV、サイトメガロウイルス(CMV)などを含むウイルスに由来し得るかまたはそれらから単離され得る。標的抗原は、病原菌、例えば、クラミジア(米国特許第5,869,608号)、マイコバクテリア、レジオネラ、髄膜炎菌(Meningiococcus)、A群連鎖球菌、サルモネラ、リステリア、Hemophilus influenzae(米国特許第5,955,596号)などに由来し得るかまたはそれらから単離され得る。
【0301】
標的抗原は、例えば、アスペルギルス、侵襲性カンジダ(米国特許第5,645,992)、ノカルジア、ヒストプラスマ(Histoplasmosis)、クリプトスポリジウムなどを含む病原性の酵母に由来し得るかまたはそれらから単離され得る。
【0302】
標的抗原は、例えば、Pneumocystis carinii、トリパノソーマ、リーシュマニア(米国特許第5,965,242号)、マラリア原虫(米国特許第5,589,343号)およびToxoplasma gondiiを含むがこれらに限定されない、病原性の原生動物および病原性の寄生生物に由来し得るかまたはそれらから単離され得る。
【0303】
標的抗原には、新生物発生前または過形成の状態に関連する抗原が含まれる。標的抗原はまた、がんに関連し得るか、またはがんの原因となり得る。そのような標的抗原は、例えば、腫瘍特異的抗原、腫瘍関連抗原(TAA)または組織特異的抗原、それらのエピトープおよびそれらのエピトープアゴニストであり得る。そのような標的抗原としては、がん胎児抗原(CEA)およびそのエピトープ、例えば、CAP−1、CAP−1−6Dなど(GenBankアクセッション番号M29540)、MART−1(Kawakarniら、J.Exp.Med.180:347−352,1994)、MAGE−1(米国特許第5,750,395号)、MAGE−3、GAGE(米国特許第5,648,226号)、GP−100(Kawakamiら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 91:6458−6462,1992)、MUC−1、MUC−2、点変異したrasがん遺伝子、正常なおよび点変異したp53がん遺伝子(Hollsteinら、Nucleic Acids Res.22:3551−3555,1994)、PSMA(Israeliら、Cancer Res.53:227−230,1993)、チロシナーゼ(Kwonら、PNAS 84:7473−7477,1987)TRP−1(gp75)(Cohenら、Nucleic Acid Res.18:2807−2808,1990;米国特許第5,840,839号)、NY−ESO−1(Chenら、PNAS 94:1914−1918,1997)、TRP−2(Jacksonら、EMBOJ,11:527−535,1992)、TAG72、KSA、CA−125、PSA、HER−2/neu/c−erb/B2(米国特許第5,550,214号)、BRC−I、BRC−II、bcr−abl、pax3−fkhr、ews−fli−1、TAAおよび組織特異的抗原の改変物、TAAのスプライスバリアント、エピトープアゴニストなどが挙げられるがこれらに限定されない。他のTAAは、当該分野で公知の方法、例えば、米国特許第4,514,506号に開示されている方法によって同定され、単離され、クローニングされ得る。標的抗原は、1つまたはそれを超える成長因子および各々のスプライスバリアントも含み得る。
【0304】
ある抗原は、非がん細胞よりもがん細胞において、頻繁に発現され得る。その抗原は、改変された樹状細胞を、前立腺特異的膜抗原、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはそのフラグメントと接触させた結果、生じ得る。
【0305】
前立腺抗原(PA001)は、PSMA抗原の細胞外の一部からなる組換えタンパク質である。PSMAは、ニューロペプチダーゼ活性および葉酸加水分解酵素活性を有する約100kDa(グリコシル化前は84kDaであり、二量体としては約180kDa)のタイプII膜タンパク質であるが、PSMAの真の機能は、現在のところ不明である。Carter REら、Proc Natl Acad Sci USA.93:749−53,1996;Israeli RSら、Cancer Res.53:227−30,1993;Pinto JTら、Clin Cancer Res.2:1445−51,1996.
発現は、広く前立腺特異的ではあるが前立腺特異的に限らず、進行型のホルモン不応性疾患において維持される。Israeli RSら、Cancer Res.54:1807−11,1994.前立腺以外の正常な組織における弱い検出が、唾液腺、脳、小腸、十二指腸粘膜、近位尿細管および結腸陰窩の神経内分泌細胞においても見られた。Silver DAら、Clin Cancer Res.3:81−5,1997;Troyer JKら、Int J Cancer.62:552−8,1995.さらに、PSMAは、アンドロゲン枯渇療法(ADT)の後にアップレギュレートされる。Wright GL,Jr.ら、Urology.48:326−34,1996.ほとんどのPSMAは、細胞質タンパク質として発現されるが、選択的スプライシングされた膜貫通型は、新生物前立腺細胞の頂端表面上の優勢型(predominate form)である。Su SLら、Cancer Res.55:1441−3,1995;Israeli RSら、Cancer Res.54:6306−10,1994.
さらに、PSMAは、架橋後に内部移行され、結合した抗体または放射性ヌクレオチドもしくはウイルスおよび他の高分子複合体と複合体化したリガンドを内部移行するために使用されている。Liu Hら、Cancer Res.58:4055−60,1998;Freeman LMら、Q J Nucl Med.46:131−7,2002;Kraaij Rら、Prostate.62:253−9,2005.Banderらは、腫瘍を微小管阻害剤で前処置すると、PSMAの異常な基底面標的化および抗体媒介性の内部移行が増加することを実証した。Christiansen JJら、Mol Cancer Ther.4:704−14,2005.腫瘍の標的化は、前立腺だけでなく腎臓および他の腫瘍の腫瘍血管内皮においてもPSMAの異所性発現が観察されることによって容易になり得る。Liu Hら、Cancer Res.57:3629−34,1997;Chang SSら、Urology.57:801−5,2001;Chang SSら、Clin Cancer Res.5:2674−81,1999.
PSMAは、対応する良性の組織の血管内皮細胞には見られない。de la Taille Aら、Cancer Detect Prev.24:579−88,2000.転移性前立腺疾患の初期の組織学的研究の1つは、約50%(18個中8個)の骨転移(8個中7個のリンパ節転移)だけしかPSMAを発現しなかったことを示唆したが、PSMAの外部ドメインに標的化された、より感度の高い試薬である177Luで放射標識されたMoAb J591は、30人中30人の患者において骨および軟部組織の転移の既知のすべての部位を標的化することができたことから、進行した前立腺疾患におけるほぼ普遍的な発現が示唆される。Bander NHら、J Clin Oncol.23:4591−601,2005.
前立腺特異的抗原、すなわちPSAは、PSA、例えば、PSMAに対して免疫応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得、かつ任意の抗PSA抗体によって特異的に認識され得る、任意の抗原を含むと意味される。本方法において使用されるPSAは、従来の方法を用いてアッセイされるとき、細胞を負荷するために使用されることができる。したがって、「前立腺特異的抗原」または「PSA」は、例えば、PSAの野生型アミノ酸配列を有するタンパク質、またはPSAタンパク質の一部を含むポリペプチドのことを指すことがある。
【0306】
前立腺特異的膜抗原、すなわちPSMAは、PSMAに対する免疫応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得、かつ抗PSMA抗体によって特異的に認識され得る、任意の抗原を含むと意味される。本方法において使用されるPSMAは、従来の方法を用いてアッセイされるとき、細胞を負荷するために使用されることができる。したがって、「前立腺特異的膜抗原」または「PSMA」は、例えば、PSMAの野生型アミノ酸配列を有するタンパク質、またはそのPSMAタンパク質の一部を含むポリペプチドのことを指すことがある。前述のもののいずれかのバリアントも含まれ、そのバリアントとしては、例えば、置換および欠失を有するバリアントが挙げられる。野生型PSMAと差次的な翻訳後プロセシング(例えば、グリコシル化の差異)を有するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドもまた、本方法において使用され得る。さらに、PSMAに対する免疫応答を誘導することができる様々な糖分子もまた企図される。
【0307】
PSAポリペプチド、例えば、PSMAポリペプチドは、改変された細胞を負荷するために使用され得る。ある特定の実施形態において、改変された細胞は、PSMAポリペプチドフラグメントと接触される。いくつかの実施形態において、PSA、例えば、PSMAポリペプチドフラグメントは、シグナルペプチド配列を含まない。他の実施形態において、改変された細胞は、そのポリペプチドにおけるアミノ酸の置換または欠失を含むPSA、例えば、PSMAポリペプチドフラグメントと接触され、そのフラグメントは、細胞を負荷するのに十分である。
【0308】
前立腺特異的タンパク質抗原、すなわちsPSPAは、本明細書では前立腺特異的抗原またはPSAとも称され、前立腺特異的タンパク質抗原に対する免疫応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得る任意の抗原を含むと意味される。これには、例えば、前立腺特異的タンパク質抗原または前立腺特異的抗原が含まれる。本方法において使用されるPSPAは、従来の方法を用いてアッセイされるとき、細胞を負荷するために使用されることができる。前立腺特異的抗原、すなわちPSAは、例えば、PSAの野生型アミノ酸配列を有するタンパク質またはそのPSAタンパク質の一部を含むポリペプチドのことを指すことがある。
【0309】
前立腺特異的膜抗原、すなわちPSMAは、PSMAに対する免疫応答、例えば、細胞傷害性Tリンパ球応答を誘導し得、かつ抗PSMA抗体によって特異的に認識され得る、任意の抗原を含むと意味される。本方法において使用されるPSMAは、従来の方法を用いてアッセイされるとき、細胞を負荷するために使用されることができる。したがって、「前立腺特異的膜抗原」または「PSMA」は、例えば、PSMAの野生型アミノ酸配列を有するタンパク質、またはそのPSMAタンパク質の一部を含むポリペプチドのことを指すことがある。前述のもののいずれかのバリアントも含まれ、そのバリアントとしては、例えば、置換および欠失を有するバリアントが挙げられる。野生型PSMAと差次的な翻訳後プロセシング(例えば、グリコシル化の差異)を有するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドもまた、本方法において使用され得る。さらに、PSMAに対する免疫応答を誘導することができる様々な糖分子もまた企図される。
【0310】
PSPAポリペプチド、例えば、PSMAポリペプチドは、改変された細胞を負荷するために使用され得る。ある特定の実施形態において、改変された細胞は、PSMAポリペプチドフラグメントと接触される。いくつかの実施形態において、PSA、例えば、PSMAポリペプチドフラグメントは、シグナルペプチド配列を含まない。他の実施形態において、改変された細胞は、そのポリペプチドにおけるアミノ酸の置換または欠失を含むPSPA、例えば、PSMAポリペプチドフラグメントと接触され、そのフラグメントは、細胞を負荷するのに十分である。
【0311】
腫瘍抗原は、宿主において腫瘍に対する免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、ペプチドまたはポリペプチドであり得る。腫瘍抗原は、腫瘍関連抗原、すなわち新生物腫瘍細胞に関連するものであり得る。
【0312】
前立腺がん抗原、すなわちPCAは、宿主において前立腺がん腫瘍に対する免疫応答を引き起こす任意の抗原、例えば、ペプチドまたはポリペプチドである。前立腺がん抗原は、前立腺がん腫瘍に特異的である場合もあるし、または前立腺がん腫瘍に特異的でない場合もある。前立腺がん抗原は、他のタイプの腫瘍または新生物細胞に対しても免疫応答を引き起こし得る。前立腺がん抗原としては、例えば、前立腺特異的タンパク質抗原、前立腺特異的抗原および前立腺特異的膜抗原が挙げられる。
【0313】
上記細胞は、例えば、未分画の腫瘍溶解産物、MHCによって溶出されたペプチド、腫瘍由来の熱ショックタンパク質(HSP)、腫瘍関連抗原(TAA(ペプチドまたはタンパク質))を未熟なDCにパルスすること、またはバルク腫瘍mRNA、すなわちTAAをコードするmRNAでDCをトランスフェクトすること(Gilboa,E.& Vieweg,J.,Immunol Rev 199,251−63(2004);Gilboa,E,Nat Rev Cancer 4,401−11(2004)に概説)をはじめとした様々な方法によって、腫瘍抗原、例えば、PSA、例えば、PSMAポリペプチドと接触され得る。
【0314】
DNAゲノムを含む生物の場合、標的抗原またはその目的の免疫学的エピトープをコードする遺伝子は、そのゲノムDNAから単離される。RNAゲノムを有する生物の場合、所望の遺伝子は、そのゲノムのcDNAコピーから単離され得る。そのゲノムの制限酵素地図が入手可能である場合、目的の遺伝子を含むDNAフラグメントは、日常的な方法による制限エンドヌクレアーゼ消化によって切断される。所望の遺伝子が以前にクローニングされていた場合、それらの遺伝子は、入手可能なクローンから容易に得られることがある。あるいは、その遺伝子のDNA配列が既知である場合、その遺伝子は、デオキシリボ核酸を合成するための任意の従来の手法によって合成することができる。
【0315】
目的の抗原をコードする遺伝子は、例えば、その遺伝子を細菌宿主にクローニングすることによって、増幅され得る。この目的のために、様々な原核生物のクローニングベクターが使用され得る。例は、プラスミドpBR322、pUCおよびpEMBLである。
【0316】
少なくとも1つの標的抗原またはその免疫学的エピトープをコードする遺伝子は、標準的な手法によるウイルスを用いた組換えのためにデザインされたプラスミドベクターに挿入するために調製され得る。一般に、クローニングされた遺伝子は、制限酵素消化によって原核生物クローニングベクターから切り取られ得る。ほとんどの場合、切り取られたフラグメントは、その遺伝子のコード領域全体を含み得る。クローニングされた遺伝子を有するDNAフラグメントは、例えば、ウイルスを用いた組換えのために使用されるDNAベクターの挿入部位と適合するフラグメントの末端を作製するために、必要に応じて改変され得、次いで、精製された後、そのベクターの制限エンドヌクレアーゼ切断部位(クローニング部位)に挿入される。
【0317】
細胞、例えば、樹状細胞の抗原負荷は、例えば、細胞、例えば、樹状細胞または前駆細胞を抗原と接触させることによって、例えば、細胞を抗原とともにインキュベートすることによって、達成され得る。負荷は、例えば、抗原をコードするDNA(裸のものまたはプラスミドベクター内のもの)またはRNAを;または抗原を発現している組換え細菌またはウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルスまたはレンチウイルスベクター)とともにインキュベートすることによっても達成され得る。負荷の前に、抗原は、T細胞を助ける免疫学的パートナー(例えば、キャリア分子)に共有結合的に結合体化されてもよい。あるいは、樹状細胞は、別々にまたはポリペプチドの存在下において、結合体化されていない免疫学的パートナーでパルスされ得る。細胞由来の抗原またはMHC分子は、酸溶出または他の方法によって得られることがある(Zitvogel Lら、J Exp Med 1996.183:87−97を参照のこと)。それらの細胞は、それらの細胞が抗原で負荷される前、負荷された後、または負荷されるのと同時に、本方法に従って、キメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列を形質導入され得るかまたはトランスフェクトされ得る。特定の実施形態において、抗原負荷は、形質導入またはトランスフェクションの後に行われる。
【0318】
さらなる実施形態において、形質導入された細胞は、腫瘍細胞mRNAでトランスフェクトされる。形質導入され、トランスフェクトされた細胞は、動物に投与されて、細胞傷害性Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞の抗腫瘍抗原免疫応答をもたらし、その細胞は、二量体のFK506および二量体のFK506アナログによって制御される。腫瘍細胞mRNAは、例えば、前立腺腫瘍細胞由来のmRNAであり得る。
【0319】
いくつかの実施形態において、形質導入された細胞は、腫瘍細胞溶解産物でパルスすることによって負荷され得る。パルスされ、形質導入された細胞は、動物に投与されて、細胞傷害性Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞の抗腫瘍抗原免疫応答をもたらし、その細胞は、二量体のFK506および二量体のFK506アナログを用いて制御される。その腫瘍細胞溶解産物は、例えば、前立腺腫瘍細胞溶解産物であり得る。
【0320】
免疫細胞および細胞傷害性Tリンパ球応答
Tリンパ球は、本明細書中で論じられる発現ベクターを含む細胞との接触によって活性化され得、ここで、その細胞は、抗原でチャレンジされているか、トランスフェクトされているか、パルスされているか、または電気融合されている。
【0321】
T細胞は、その膜上にユニークな抗原結合レセプター(T細胞レセプター)を発現し、そのレセプターは、他の細胞の表面上の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と共同して抗原を認識することだけができる。T細胞にはいくつかの集団、例えば、Tヘルパー細胞および細胞傷害性T細胞がある。Tヘルパー細胞および細胞傷害性T細胞は、第一に、それぞれ、膜結合糖タンパク質CD4およびCD8のディスプレイによって区別される。Tヘルパー細胞は、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージおよび他の免疫系細胞の活性化にとって重大な様々なリンフォカインを分泌する。対照的に、抗原−MHC複合体を認識するナイーブCD8T細胞は、増殖し、細胞傷害性CD8Tリンパ球(CTL)と呼ばれるエフェクター細胞に分化する。CTLは、細胞溶解をもたらす物質を産生することによって、抗原をディスプレイしている体内の細胞(例えば、ウイルスに感染した細胞および腫瘍細胞)を排除する。
【0322】
CTLの活性は、例えば、本明細書中で論じられる方法によって評価され得る。例えば、CTLは、単離されたばかりの末梢血単核球(PBMC)において評価され得るか、PBMCから確立された、フィトヘマグルチニン(phytohaemaglutinin)によって刺激され、IL−2によって拡大された細胞株において評価され得るか(Bernardら、AIDS,12(16):2125−2139,1998)、または予め免疫された被験体から単離され、抗原を含むアデノウイルスベクターに感染したDCで6日間にわたって再刺激されたT細胞によって、標準的な4時間の51Cr放出マイクロ毒性アッセイを用いて評価され得る。1つのタイプのアッセイは、クローン化T細胞を用いる。クローン化T細胞は、再指向化(redirected)細胞傷害性アッセイにおいてパーフォリン依存性の殺滅とFasリガンド依存性の殺滅の両方を媒介する能力について試験された(Simpsonら、Gastroenterology,115(4):849−855,1998)。クローン化細胞傷害性Tリンパ球は、Fas依存性殺滅とパーフォリン依存性殺滅の両方を示した。最近になって、新しい蛍光増幅システムを利用するインビトロデヒドロゲナーゼ放出アッセイが開発された(Page,B.ら、Anticancer Res.1998 Jul−Aug;18(4A):2313−6)。このアプローチは、高感度であり、迅速であり、再現性があり、混合リンパ球反応(MLR)に対して有益に使用され得る。このアプローチは、細胞膜の完全性を用いる、大規模な細胞傷害性試験のためにさらに容易に自動化され得るので、考慮に入れられる。細胞媒介性の細胞傷害性を検出するために開発された別の蛍光定量的アッセイでは、使用されるフルオロフォアは、無毒性分子のAlamarBlueである(Nociariら、J.Immunol.Methods,213(2):157−167,1998)。AlamarBlueは、ミトコンドリアの還元が生じ、それによってAlamarBlueの蛍光強度の劇的な増加(すなわち、量子収量の増加)がもたらされるまで、蛍光消光される(すなわち、低量子収量)。このアッセイは、極めて高感度であり、特異的であると報告されており、標準的な51Cr放出アッセイよりも有意に少ない数のエフェクター細胞しか必要ない。
【0323】
本方法によって誘導され得る他の免疫細胞としては、ナチュラルキラー細胞(NK)が挙げられる。NKは、抗原特異的レセプターを欠き、自然免疫系の一部である、リンパ系細胞である。代表的には、感染した細胞は、通常、細胞表面MHCに結合した外来粒子によって警告されたT細胞によって破壊される。しかしながら、ウイルスに感染した細胞は、抗体によって認識されるウイルスタンパク質を発現することによって感染をシグナル伝達する。これらの細胞は、NKによって殺滅され得る。腫瘍細胞では、その腫瘍細胞が、MHC I分子の発現を失っている場合、それは、NKに感受性であり得る。
【0324】
患者に投与するための製剤および経路
臨床適用が企図される場合、薬学的組成物(発現構築物、発現ベクター、融合タンパク質、形質導入された細胞、活性化T細胞、形質導入されたT細胞、および負荷されたT細胞)を、意図される用途にとって適切な形態で調製する必要があり得る。一般に、これは、発熱物質ならびにヒトまたは動物にとって有害であり得る他の不純物を本質的に含まない組成物を調製することを伴い得る。
【0325】
多量体リガンド、例えば、AP1903などは、例えば、約0.01〜1mg/kg被験体体重、約0.05〜0.5mg/kg被験体体重、0.1〜2mg/kg被験体体重、約0.05〜1.0mg/kg被験体体重、約0.1〜5mg/kg被験体体重、約0.2〜4mg/kg被験体体重、約0.3〜3mg/kg被験体体重、約0.3〜2mg/kg被験体体重または約0.3〜1mg/kg被験体体重、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9もしくは10mg/kg被験体体重の用量で送達され得る。いくつかの実施形態において、リガンドは、1用量あたり0.4mg/kg、例えば、5mg/mLの濃度で提供される。リガンドを、例えば、バイアル1本あたり約0.25ml〜約10ml、例えば、約0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5または10ml、例えば、約2mlの体積で含むバイアルまたは他の容器が提供され得る。
【0326】
AP1903 for Injection
AP1903 APIは、Alphora Research Inc.によって製造されており、AP1903 Drug Product for Injectionは、Formatech Incによって作製されている。それは、非イオン性可溶化剤Solutol HS 15(250mg/mL,BASF)の25%溶液中のAP1903の5mg/mL溶液として製剤化されている。室温において、この製剤は、わずかに黄色の透明の溶液である。冷蔵されると、この製剤は、可逆的な相転移を起こし、乳白色の溶液になる。この相転移は、室温に再度温めると、元に戻る。1本分は、3mLのガラスバイアルにおける2.33mLである(バイアル1本あたり合計約10mgのAP1903 for Injection)。
【0327】
AP1903は、患者に投与する前の夜に冷蔵庫から取り出され、およそ21℃の温度で一晩保管され、その結果、その溶液は、希釈前に透明になる。その溶液は、注入開始の30分以内にガラスボトルもしくはポリエチレンボトルまたは非DEHPバッグにおいて調製され、投与するまでおよそ21℃で保管される。
【0328】
すべての試験薬が、2℃〜8℃の温度で維持され、過剰な光および熱から保護され、アクセスが制限された鍵が掛かった区域で保管される。
【0329】
投与
1つの例において、患者には、非DEHPで非エチレンオキシドの滅菌された注入セットを使用して、2時間にわたるIV注入によって、単一の固定された用量のAP1903 for Injection(0.4mg/kg)が投与される。AP1903の用量は、すべての患者に対して個別に計算され、体重が≧10%上下しない限り、再計算されない。計算された用量は、注入前に0.9%生理食塩水で100mLに希釈される。
【0330】
患者は、注入終了後15分間、都合の悪い有害作用について観察される。
【0331】
送達ベクターを安定にするためおよび標的細胞による取り込みを可能にするために適切な塩および緩衝剤を使用することが一般に望ましい場合がある。緩衝剤は、組換え細胞が患者に導入されるときにも使用され得る。水性組成物は、薬学的に許容され得るキャリアまたは水性媒質に溶解されたまたは分散された、細胞に対して有効量のベクターを含む。そのような組成物は、接種材料とも称される。句「薬学的にまたは薬理学的に許容され得る」とは、動物またはヒトに投与されたとき、有害(adverse)反応、アレルギー反応または他の有害(untoward)反応をもたらさない分子実体および組成物のことを指す。薬学的に許容され得るキャリアは、任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質に対するそのような媒質および作用物質の使用は、公知である。任意の従来の媒質または作用物質が、ベクターまたは細胞と不適合性である場合を除いては、治療的な組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性成分もまた、その組成物に組み込まれ得る。
【0332】
活性な組成物は、従来の医薬品を含み得る。これらの組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の通常の経路を介し得る。これには、例えば、経口、経鼻、頬側、直腸、膣または局所的が含まれる。あるいは、投与は、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射による投与であり得る。そのような組成物は、通常、本明細書中で論じられる薬学的に許容され得る組成物として投与され得る。
【0333】
注射可能な使用に適した薬学的な形態としては、滅菌された水溶液または分散液、および滅菌された注射可能な溶液または分散液の即時調製用の滅菌された粉末が挙げられる。すべての場合において、その形態は、滅菌されており、容易に注射できる程度に流動性である。それは、製造および貯蔵の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護される。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用すること、分散液の場合、必要とされる粒径を維持すること、および界面活性物質を使用することによって、維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。ある特定の例では、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムが、含められ得る。注射可能な組成物の持続性の吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物において使用することによってもたらされ得る。
【0334】
経口投与の場合、組成物は、賦形剤とともに組み込まれ得、摂取不可能なうがい薬および歯磨剤の形態で使用され得る。必要とされる量で活性成分をホウ酸ナトリウム溶液(ドーベル液)などの適切な溶媒に組み込んでいるうがい薬が、調製され得る。あるいは、活性成分は、ホウ酸ナトリウム、グリセリンおよび重炭酸カリウムを含む殺菌洗浄液に組み込まれ得る。活性成分は、例えば、ゲル、ペースト、粉末およびスラリーを含む、歯磨剤にも分散され得る。活性成分は、例えば、水、結合剤、研磨剤、香味料、起泡剤および湿潤剤を含み得るペースト歯磨剤に治療有効量で加えられ得る。
【0335】
組成物は、中性または塩の形態で製剤化され得る。薬学的に許容され得る塩としては、例えば、無機酸、例えば、塩酸もしくはリン酸など、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などのような有機酸とともに形成される酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられる。遊離カルボキシル基とともに形成される塩は、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄など、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのような有機塩基からも得ることができる。
【0336】
製剤化されると、溶液は、投与製剤(dosage formulation)に適合した様式で、および治療的に有効であるような量で、投与され得る。それらの製剤は、種々の剤形(例えば、注射可能な液剤、薬物放出カプセル剤など)で容易に投与される。例えば、水性液剤での非経口投与の場合、その液剤は、必要であれば適切に緩衝され得、最初に、液体希釈剤が、十分な食塩水またはグルコースで等張性にされ得る。これらの特定の水性液剤は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。この文脈では、滅菌された水性媒質が使用され得る。例えば、1投与量が、1mlの等張性NaCl溶液に溶解され得、1000mlの皮下注入液に加えられ得るか、または提案される注入部位に注射され得る(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”15th Edition,1035−1038および1570−1580頁を参照のこと)。処置されている被験体の状態に応じて、投与量のいくつかのバリエーションが必然的に生じる。いずれにしても、投与に関与する者が、個々の被験体に対する適切な用量を決定し得る。さらに、ヒトに投与する場合、調製物は、FDA Office of Biologicsの基準が要求するような、無菌性、発熱性ならびに一般的な安全性および純度の基準を満たし得る。
【0337】
投与スケジュールは、患者にふさわしいように決定され得、例えば、核酸が0週目に投与された後、二量体化化学誘導物質の投与による誘導が行われ、それに続いて、さらなる誘導物質が、有効な治療結果を得るのに必要なとき、または例えば、その後、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20間隔で、例えば、合計2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30、40、50、60、70、80、90または100週間わたって、投与される投薬スケジュールを含み得る。
【0338】
投与スケジュールは、患者にふさわしいように決定され得、例えば、核酸を形質導入されたT細胞または他の細胞が0週目に投与された後、二量体化化学誘導物質の投与による誘導が行われ、それに続いて、さらなる誘導物質が、有効な治療結果を得るのに必要なとき、または例えば、その後、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20間隔で、例えば、合計2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30、40、50、60、70、80、90または100週間わたって、投与される投薬スケジュールを含み得る。
【0339】
形質導入されたT細胞の投与の場合、おそらく、そのT細胞の1回の投与の後の複数回のリガンドの投与で十分であるが、T細胞は、1回よりも多く提供されてもよいし、他の細胞(例えば、本明細書中で論じられる非樹状細胞および非B細胞)が、複数回投与されてもよい。さらに、本技術の非T細胞の態様に標的化された核酸が、最適な治療効果のために、1回よりも多く投与されてもよい。ゆえに、例えば、投与スケジュールは、患者にふさわしいように決定され得、例えば、核酸または核酸を形質導入された細胞が0週目に投与された後、二量体化化学誘導物質の投与による誘導が行われ、それに続いて、その後、さらなる核酸または核酸を形質導入された細胞および誘導物質が2週間間隔で、例えば、合計2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28または30週間にわたって投与される投薬スケジュールを含み得る。
【0340】
他の投薬スケジュールには、例えば、細胞が1回および誘導物質が1回投与されるスケジュールが含まれる。別の例では、スケジュールは、細胞を投与する工程を含み得、誘導物質が、0週目に投与された後、さらなる細胞および誘導物質の投与が、4週間間隔で、例えば、合計4、8、12、16、20、24、28または32週間にわたって行われる。
【0341】
ある用量の細胞の投与は、1セッションでまたは1セッションより多いセッションで行われ得るが、用量という用語は、リガンドを投与する前に投与される細胞の総量のことを指し得る。
【0342】
必要であれば、上記方法は、処置において使用されるより多くの細胞を得るためにさらなる白血球アフェレーシスをさらに含み得る。
【0343】
疾患を処置するための方法
本方法は、病原微生物によって引き起こされる疾患および/または過剰増殖性疾患の処置または予防の方法も包含する。
【0344】
処置され得るかまたは予防され得る疾患としては、ウイルス、細菌、酵母、寄生生物、原生動物、がん細胞などによって引き起こされる疾患が挙げられる。薬学的組成物(形質導入されたT細胞、発現ベクター、発現構築物など)は、一般化された免疫賦活物(T細胞を活性化する組成物またはシステム)として使用され得、それ自体、疾患を処置する際の有用性を有する。処置され得るおよび/または予防され得る例示的な疾患としては、ウイルス病因の感染症(例えば、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、パピローマウイルスなど);または細菌病因の感染症(例えば、肺炎、結核、梅毒など);または寄生生物病因の感染症(例えば、マラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症、アメーバ症など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0345】
薬学的組成物(形質導入されたT細胞、発現ベクター、発現構築物など)を使用して処置され得るかまたは予防され得る新生物発生前または過形成の状態としては、結腸ポリープ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乳房病変などのような新生物発生前または過形成の状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0346】
薬学的組成物を使用して処置され得る、固形腫瘍を含むがんとしては、原発性または転移性メラノーマ、腺がん、扁平上皮がん腫、腺扁平上皮がん腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺がん、肝臓がん、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、子宮がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、膵がん、結腸がん、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、NPC、膀胱がん、子宮頸がんなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0347】
本明細書中に提示されるT細胞活性化システムおよび他の治療的細胞活性化システムを使用して処置され得る、固形腫瘍を含む他の過剰増殖性疾患としては、関節リウマチ、炎症性腸疾患、変形性関節症、平滑筋腫、アデノーマ、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、新生物発生前の病変(例えば、腺腫様過形成および前立腺上皮内新形成)、上皮内がん、口腔毛状白斑症または乾癬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0348】
処置方法において、薬学的組成物(発現構築物、発現ベクター、融合タンパク質、形質導入された細胞、活性化T細胞、形質導入されたT細胞および負荷されたT細胞)の投与は、「予防的」または「治療的」な目的であり得る。薬学的組成物は、予防的に提供されるとき、任意の症候よりも先に提供される。薬学的組成物の予防的投与は、その後の任意の感染または疾患を予防するためまたは回復させるために役立つ。薬学的組成物は、治療的に提供されるとき、感染または疾患の症候の発生時または発生後に提供される。したがって、本明細書中に提示される組成物は、疾患を引き起こす物質もしくは疾患状態への予想される曝露の前または感染もしくは疾患の開始後に提供され得る。したがって、本明細書中で論じられる核酸およびリガンドを用いる、固形腫瘍(例えば、がんに見られる固形腫瘍、または例えば前立腺がんであるがこれに限定されない)の予防的処置のための方法が、本明細書中に提供される。例えば、被験体における腫瘍サイズを予防的に妨げるかまたは減少させる方法が提供され、その方法は、それを必要とする被験体に、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸および腫瘍抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含むポリヌクレオチドを含む核酸を投与する工程(ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体リガンド結合領域、CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド、MyD88ポリペプチドを含む)および多量体リガンド結合領域に結合する多量体リガンドを投与する工程を含み、ここで、その核酸およびリガンドは、被験体における腫瘍サイズを妨げるかまたは減少させるのに有効な量で投与される。被験体における腫瘍サイズを予防的に妨げるかまたは減少させる方法も提供され、その方法は、それを必要とする被験体に、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸および腫瘍抗原をコードするポリヌクレオチドを投与する工程(ここで、そのキメラタンパク質は、膜標的化領域、多量体リガンド結合領域、CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド、MyD88ポリペプチドを含む)および多量体リガンド結合領域に結合する多量体リガンドを投与する工程を含み、ここで、その核酸およびリガンドは、被験体における腫瘍サイズを妨げるかまたは減少させるのに有効な量で投与される。多量体化領域という用語は、本願では、リガンド結合領域という用語の代わりに使用されることがある。
【0349】
任意の組織または器官由来の固形腫瘍が、本方法を用いて処置され得るが、その固形腫瘍としては、血管構造において、PSA、例えばPSMAを発現している任意の腫瘍、例えば、肺、骨、肝臓、前立腺または脳、ならびにまた、例えば、乳房、卵巣、腸、精巣、結腸、膵臓、腎臓、膀胱、神経内分泌系、軟部組織、骨塊(boney mass)およびリンパ系に存在する固形腫瘍が挙げられる。処置され得る他の固形腫瘍としては、例えば、神経膠芽腫および悪性骨髄腫が挙げられる。
【0350】
用語「単位用量」は、それが接種材料に関するとき、哺乳動物に対する単位投与量として好適な物理的に分離した単位のことを指し、各単位は、必要とされる希釈剤とともに、所望の免疫原性効果をもたらすと計算された所定の量の薬学的組成物を含む。接種材料の単位用量に対する詳述は、薬学的組成物のユニークな特色および達成されるべき特定の免疫学的効果によって規定され、その特色に依存する。
【0351】
薬学的組成物の有効量は、免疫応答を増強するこの選択された結果を達成する量であり得、そのような量は、決定され得る。例えば、免疫系不全を処置するための有効量は、免疫系の活性化を引き起こし、抗原に曝露されたときに抗原特異的な免疫応答を発生させるために必要な量であり得る。この用語は、「十分な量」とも同義である。
【0352】
任意の特定の用途に対する有効量は、処置されている疾患もしくは状態、投与される特定の組成物、被験体のサイズおよび/または疾患もしくは状態の重症度のような因子に応じて変動し得る。本明細書中に提示される特定の組成物の有効量は、過度の実験を必要とせずに、経験的に決定され得る。したがって、例えば、1つの実施形態において、形質導入されたT細胞または他の細胞は、例えば、免疫応答を誘導するのに有効な量で、または例えば、腫瘍サイズを減少させるかもしくは腫瘍血管構造の量を減少させるのに有効な量で、被験体に投与される。
【0353】
いくつかの実施形態において、多量体リガンドが、被験体に複数回投与され、その複数回投与の間で投与量レベルを漸増させながら投与される。いくつかの実施形態において、投与量レベルの漸増は、CAR−T細胞の活性のレベルを上げ、ゆえに、治療効果(例えば、標的細胞、例えば、腫瘍細胞の量または濃度の減少)を高める。いくつかの実施形態において、用量は、0.01mg/kgから1mg/kgに漸増させる。いくつかの実施形態において、それらの用量は、約15〜30分きざみで投与される。いくつかの実施形態において、多量体リガンドは、持続注入ポンプを用いて投与され、多量体リガンドの濃度は、注入中に上げられる。いくつかの実施形態において、多量体リガンドは、別個の用量で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日空けて、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくは11ヶ月空けて、または1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10年空けて投与される。
【0354】
いくつかの実施形態において、個別化された処置が提供され、ここで、その疾患または状態のステージまたはレベルは、多量体リガンドを投与する前、さらなる用量の多量体リガンドを投与する前、または多量体リガンドの投与に関与する方法および投与量を決定する際に、決定される。これらの方法は、本願の方法のいずれかにおいて使用され得る。リガンドを投与する前に患者を評価するこれらの方法は、例えば固形腫瘍を有する被験体の処置の文脈において論じられるが、これらの方法は、他の状態および疾患の処置にも同様に適用され得ると理解される。したがって、例えば、本願のいくつかの実施形態において、本方法は、本願の改変された細胞を被験体に投与する工程を含み、さらに、腫瘍サイズの有効な減少レベルを達成するための多量体リガンドの適切な用量を決定する工程を含む。いくつかの例では、必要とされる治療結果を達成するために十分なレベルの共刺激分子の活性を誘導することによって、CAR−T細胞を活性化するために、より少ない用量で十分であり得る。いくつかの例では、CAR−T細胞の活性のより高いレベルの共刺激を達成するためには、より高い用量が必要である場合もある。リガンドの量は、例えば、被験体の臨床上の状態、体重および/もしくは性別または他の関連する身体的特色に基づいて決定され得る。被験体に投与される多量体リガンドの量をコントロールすることによって、有害事象、例えば、サイトカインストームの可能性が、低下し得る。CARとともに誘導可能なMyD88/CD40共刺激分子を発現する改変された細胞の抗腫瘍活性は、適切な投与量の多量体リガンドを用いて調節され得る。したがって、ある特定の実施形態において、改変された細胞が被験体に投与され、ある投与量の多量体リガンドが投与される方法が提供され;この最初の投与の後に、その方法は、その患者における、CAR−T細胞の活性のレベルの増加または減少を必要とする状態の有無を特定する工程を含み得、その工程は、第1の用量よりも高いまたは低い濃度のさらなる用量の多量体リガンドによって達成され得る。したがって、その方法は、その患者において特定された状態の有無に基づいて、誘導可能なMyD88/CD40共刺激分子の多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与する工程、その多量体リガンドのその後の投与量を維持する工程、またはその患者への多量体リガンドのその後の投与量を調整する工程を含む。
【0355】
用語「投与量」は、投与の用量と投与の頻度(例えば、次の投与のタイミング)の両方を含むと意味される。用語「投与量レベル」とは、被験体の体重との関係から投与される多量体リガンドの量のことを指す。したがって、投与量レベルの上昇は、被験体の体重に対して投与されるリガンドの量の増加を意味し得る。さらに、投与される用量(例えば、多量体リガンドが持続注入ポンプを使用して投与されるとき)の濃度の上昇は、1分あたりまたは1秒あたりに投与される濃度(ひいては、投与される量)が上昇することを意味し得る。
【0356】
その後の薬物の用量、例えば、その後の多量体リガンドの用量、および/またはその後の薬物投与量を調整するまたは維持する指示は、任意の好都合な様式で提供され得る。指示は、いくつかの実施形態において、表形式で(例えば、物理的媒体または電子媒体において)提供され得る。例えば、疾患または状態の症候が、表として提供され得、臨床医は、疾患のステージのリストまたは表とその症候を比較し得る。次いで、その臨床医は、その表から、その後の薬物用量に対する指示を特定し得る。ある特定の実施形態において、指示は、それらの症候またはステージがコンピュータに提供された後(例えば、コンピュータ上のメモリに入れられた後)、コンピュータによって提示され得る(例えば、表示され得る)。例えば、この情報は、コンピュータに提供され得(例えば、ユーザーによってコンピュータメモリに入れられ得るか、またはコンピュータネットワーク内のリモートデバイスを介してコンピュータに送信され得)、コンピュータ内のソフトウェアが、その後の薬物用量を調整するかもしくは維持することについての指示を生成し得、および/またはその後の薬物用量の量を提供し得る。
【0357】
その後の用量が、指示に基づいて決定されたら、臨床医は、決定されたその後の用量を投与し得るか、または別の人もしくは実体に対してその用量を調整する指示書を提供し得る。本明細書中で使用される用語「臨床医」は、意思決定者のことを指し、ある特定の実施形態において、臨床医は、医療専門家である。意思決定者は、いくつかの実施形態において、コンピュータまたは表示されたコンピュータプログラムのアウトプットであり得、そのコンピュータによって表示される指示またはその後の薬物用量に基づいて、保健サービス提供者が行動し得る。意思決定者は、その後の用量を直接投与し得る(例えば、その後の用量を被験体に注入し得る)か、または遠隔的に投与し得る(例えば、ポンプパラメータが、意思決定者によって遠隔的に変更され得る)。
【0358】
本明細書中に提示されるような方法は、有効量の活性化された細胞、核酸またはそれをコードする発現構築物の送達を含むが、これらに限定されない。薬学的組成物の「有効量」は、一般に、述べられた所望の結果を検出可能におよび繰り返し達成するのに十分な量、例えば、疾患またはその症候を回復させるか、減少させるか、最小にするか、またはその程度を限定するのに十分な量として定義される。疾患の排除、根絶または治癒を含む他のより厳密な定義が、適用され得る。いくつかの実施形態において、処置の有効性を評価するためおよび毒性をコントロールするために生物学的マーカーをモニターする工程が存在し得る。
【0359】
A.遺伝子に基づく治療
ある特定の実施形態において、共刺激ポリペプチド(例えば、本明細書中で論じられるもの)を提供することができる発現構築物が、細胞に、および例えばT細胞において提供される。発現ベクターおよびその中に使用される遺伝的エレメントに関する長い考察が、参照によりこの項に援用される。ある特定の例では、発現ベクターは、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスおよびレトロウイルス)であり得る。別の例では、ベクターは、リソソームによって被包された発現ベクターであり得る。
【0360】
遺伝子送達は、インビボとエキソビボの両方の状況において行われ得る。ウイルスベクターの場合、一般に、ウイルスベクターストックが調製され得る。エキソビボおよびインビボにおけるウイルスベクター媒介性の遺伝子送達の例は、本願において提示される。インビボで送達する場合、ウイルスの種類および達成可能な力価に応じて、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×10、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×10、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×10、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×10、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×10、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×10、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×1010、1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×1011または1、2、3、4、5、6、7、8もしくは9×1012個の感染性粒子が患者に送達され得る。類似の数字は、相対的な取り込み効率を比較することによって、リポソーム製剤または他の非ウイルス製剤に対して外挿され得る。薬学的に許容され得る組成物としての製剤は、下記で論じられる。多量体リガンド、例えば、AP1903などは、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9または10mg/kg被験体体重の用量で送達され得る。
【0361】
B.細胞に基づく治療
企図される別の治療は、形質導入されたT細胞の投与である。それらのT細胞は、インビトロにおいて形質導入され得る。薬学的に許容され得る組成物としての製剤は、本明細書中で論じられる。
【0362】
細胞に基づく治療では、形質導入される細胞は、例えば、標的抗原核酸(例えば、mRNAまたはDNA)もしくはタンパク質でトランスフェクトされ得るか;細胞溶解産物、タンパク質もしくは核酸でパルスされ得るか;または細胞と電気的に融合され得る。それらの細胞、タンパク質、細胞溶解産物または核酸は、腫瘍細胞などの細胞、または他の病原微生物、例えば、ウイルス、細菌、原生動物などに由来し得る。
【0363】
C.併用療法
本明細書中に提示される発現ベクターの有効性を高めるために、これらの組成物および方法をその疾患の処置において有効な作用物質と組み合わせることが、望ましい場合がある。
【0364】
ある特定の実施形態において、抗癌剤が、本方法と組み合わせて使用され得る。「抗癌」剤は、例えば、1つ以上の癌細胞を殺傷すること、1つ以上の癌細胞においてアポトーシスを誘導すること、1つ以上の癌細胞の成長速度を低下させること、転移の発生率もしくは数を減少させること、腫瘍のサイズを減少させること、腫瘍の成長を阻害すること、腫瘍もしくは1つ以上の癌細胞への血液の供給を減少させること、1つ以上の癌細胞もしくは腫瘍に対する免疫応答を促進すること、癌の進行を予防するかもしくは阻害すること、または癌を有する被験体の寿命を延長することによって、被験体における癌に悪影響を与えることができる。抗癌剤としては、例えば、化学療法剤(化学療法)、放射線治療剤(放射線治療)、外科手技(手術)、免疫治療剤(免疫療法)、遺伝的治療剤(遺伝子治療)、ホルモン治療、他の生物学的薬剤(生物療法)および/または代替療法が挙げられる。
【0365】
さらなる実施形態では、感染症を処置するためおよび/または予防するために、抗生物質が薬学的組成物と組み合わせて使用され得る。そのような抗生物質としては、アミカシン、アミノグリコシド類(例えば、ゲンタマイシン)、アモキシシリン、アンホテリシンB、アンピシリン、アンチモン類(antimonials)、アトバコン、スチボグルコン酸ナトリウム、アジスロマイシン、カプレオマイシン、セフォタキシム、セフォキシチン、セフトリアキソン、クロラムフェニコール、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロファジミン、サイクロセリン、ダプソン、ドキシサイクリン、エタンブトール、エチオナミド、フルコナゾール、フルオロキノロン類、イソニアジド、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、ミノサイクリン、オフロキサシン)、パラ−アミノサリチル酸、ペンタミジン、ポリミキシン、ディフェンシン類(definsins)、プロチオナミド、ピラジナミド、ピリメタミン、スルファジアジン、キノロン類(例えば、シプロフロキサシン)、リファブチン、リファンピン、スパルフロキサシン、ストレプトマイシン、スルホンアミド類、テトラサイクリン類、チアセタゾン、トリメトプリム(trimethaprim)−スルファメトキサゾール、バイオマイシンまたはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0366】
より一般的には、そのような薬剤は、癌細胞および/もしくは微生物を殺傷するためまたは癌細胞および/もしくは微生物の増殖を阻害するために有効な発現ベクターとともに、合計量で提供され得る。このプロセスは、細胞(複数可)を薬剤(複数可)および薬学的組成物と同時にまたはある時間内に接触させる工程を含み得、ここで、細胞、組織または生物への薬学的組成物と薬剤との別個の投与によって、所望の治療的な利益がもたらされる。これは、薬学的組成物と1つ以上の薬剤の両方を含む単一の組成物または薬理学的製剤と細胞、組織もしくは生物を接触させることによって、または2つ以上の別々の組成物もしくは製剤(ここで、一方の組成物は薬学的組成物を含み、他方は1つ以上の薬剤を含む)と細胞を接触させることによって達成され得る。
【0367】
用語「接触される」および「曝露される」は、細胞、組織または生物に適用されるとき、薬学的組成物および/もしくは別の作用物質、例えば、化学療法剤または放射線治療薬などが標的細胞、組織もしくは生物に送達されるプロセスを記述するために本明細書中で使用されるか、または標的細胞、組織もしくは生物のすぐ近位に配置されるプロセスを記述するために本明細書中で使用される。細胞の殺傷または静止を達成するために、薬学的組成物および/またはさらなる作用物質(複数可)が、細胞(複数可)を殺傷するのに有効または細胞の分裂を防ぐのに有効な合計量で1つ以上の細胞に送達される。
【0368】
薬学的組成物の投与は、数分から数週間の範囲の間隔だけ、他の作用物質(複数可)より先に行われ得る、他の作用物質(複数可)と同時であり得る、および/または他の作用物質(複数可)の後に行われ得る。薬学的組成物および他の作用物質(複数可)が別々に細胞、組織または生物に適用される実施形態では、その薬学的組成物および作用物質(複数可)がなおも、都合よく組み合わされた効果をその細胞、組織または生物に対して発揮することができ得るように、各送達の時点の間に有効時間が満了しないことが通常、保証され得る。例えば、そういった場合には、2、3、4つまたはそれより多くの様式を用いて、細胞、組織または生物を実質的に同時に(すなわち、約1分未満以内に)薬学的組成物と接触させ得ることが企図される。他の態様において、1つ以上の作用物質が、発現ベクターを投与する前および/または投与した後に、実質的に同時、約1分以内から、約24時間、約7日間、約1〜約8週間またはそれより長くまで、およびそれらの中の任意の導き出せる範囲で投与され得る。なおもさらに、本明細書中に提示される薬学的組成物と1つ以上の作用物質との様々な併用レジメンが、使用され得る。
【0369】
いくつかの実施形態において、化学療法剤は、タキソテール(ドセタキセル)または別のタキサン、例えば、カバジタキセル(cabazitaxel)などであり得る。化学療法剤は、細胞および誘導物質による処置の前、処置中または処置の後に投与され得る。例えば、化学療法剤は、第1の用量の活性化された核酸を投与する約1年前、11、10、9、8、7、6、5もしくは4ヶ月前、または18、17、16、15、14、13、12,11、10、9、8、7、6、5、4、3、2週間前もしくは1週間前に、投与され得る。または、例えば、化学療法剤は、第1の用量の細胞または誘導物質を投与した約1週間後、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17もしくは18週間後、または4、5、6、7、8、9、10もしくは11ヶ月後、または1年後に投与され得る。
【0370】
化学療法剤の投与は、2つ以上の化学療法剤の投与を含み得る。例えば、シスプラチンは、タキソテールまたは他のタキサン、例えば、カバジタキセルなどに加えて投与され得る。
【0371】
特定の腫瘍または疾患に標的化された免疫応答の発生
キメラ抗原レセプター(CAR)は、T細胞に抗原特異性を伝えるためにデザインされた人工レセプターである。それらは、T細胞を活性化し、特異免疫をもたらすように選択された、抗原特異的な構成要素、膜貫通の構成要素および細胞内の構成要素を含む。キメラ抗原レセプターを発現しているT細胞は、がん治療をはじめとした様々な治療において使用され得る。
【0372】
誘導可能なCD40、誘導可能なMyD88または誘導可能なMyD88/CD40を形質導入されたT細胞および他の細胞には、キメラ抗原レセプター、すなわちCARをコードする核酸も形質導入され得る。そのキメラ抗原レセプターは、処置されるべき腫瘍の表面上に存在する腫瘍抗原または疾患に関連する他の抗原を標的化するために選択され得る。そしてそのキメラ抗原レセプターを発現している活性化T細胞は、腫瘍または他の疾患を標的化し得る。形質導入されたT細胞には、特定の腫瘍または疾患に対する免疫防御を維持し得るメモリーT細胞も含まれることがある。
【0373】
最適化されたおよび個別化された治療的処置
例えば前立腺がんを含む固形腫瘍がんに対する処置は、処置の経過中にIL−6、IL6−sRまたはVCAM−1の濃度を決定することによって、最適化され得る。IL−6とは、インターロイキン6のことを指す。IL−6sRとは、IL−6可溶性レセプターのことを指し、そのレベルは、IL−6のレベルと密接に相関することが多い。VCAM−1とは、血管細胞接着分子のことを指す。種々のステージまたはタイプのがんを有する種々の患者は、様々な治療に対して異なって反応し得る。処置に対する応答は、様々な体液中または組織内のIL−6、IL−6sRまたはVCAM−1の濃度またはレベルを追跡することによってモニターされ得る。IL−6、IL−6sRまたはVCAM−1などのポリペプチドの濃度、レベルまたは量の決定には、完全長ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくはバリアントの検出が含まれ得る。そのフラグメントまたはバリアントは、例えば、免疫学的方法、質量分析、核酸ハイブリダイゼーションなどによって検出されるのに十分であり得る。個々の患者に対する処置の最適化は、過量投与の結果としての副作用を回避するのに役立つこともあるし、その処置がいつ無効であるかを判定し、処置の経過を変更するのに役立つこともあるし、いつ用量を増加させ得るかを判定するのに役立つこともある。本明細書中で論じられる技術は、臨床医が生物学的マーカー、例えば、IL−6、IL−6sRまたはVCAM−1を追跡すること、および被験体に投与するための薬物またはワクチンのその後の用量を維持し得るか、減少させ得るかまたは増加させ得るかを判定すること、およびその後の投与のタイミングを決定することを可能にすることによって、固形腫瘍がんを処置するための治療方法を最適化する。
【0374】
例えば前立腺がんを含む固形腫瘍がんに対する処置は、処置の経過中にウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーターレセプター(uPAR)、肝細胞成長因子(HGF)、上皮成長因子(EGF)または血管内皮成長因子(VEGF)の濃度を決定することによっても最適化され得る。種々のステージまたはタイプのがんを有する種々の患者は、様々な治療に対して異なって反応し得る。処置の経過の間、被験体1003に対するuPAR、HGF、EGFおよびVEGFのレベルが測定された。被験体1003は、血清中の低酸素因子の全身の乱れを示し、これは、処置に対する正の応答を示唆し得る。この知見の解釈を限定するものではないが、これは、処置に応答した腫瘍による低酸素因子の分泌を示唆し得る。したがって、処置に対する応答は、例えば、様々な体液中または組織内のuPAR、HGF、EGFまたはVEGFの濃度またはレベルを追跡することによってモニターされ得る。uPAR、HGF、EGFまたはVEGFなどのポリペプチドの濃度、レベルまたは量の決定には、完全長ポリペプチドまたはそのフラグメントもしくはバリアントの検出が含まれ得る。そのフラグメントまたはバリアントは、例えば、免疫学的方法、質量分析、核酸ハイブリダイゼーションなどによって検出されるのに十分であり得る。個々の患者に対する処置の最適化は、過量投与の結果としての副作用を回避するのに役立つこともあるし、その処置がいつ無効であるかを判定し、処置の経過を変更するのに役立つこともあるし、いつ用量を増加させ得るかを判定するのに役立つこともある。本明細書中で論じられる技術は、臨床医が生物学的マーカー、例えば、uPAR、HGF、EGFまたはVEGFを追跡すること、および被験体に投与するための薬物またはワクチンのその後の用量を維持し得るか、減少させ得るかまたは増加させ得るかを判定すること、およびその後の投与のタイミングを決定することを可能にすることによって、固形腫瘍がんを処置するための治療方法を最適化する。
【0375】
例えば、ある特定の生物学的マーカーの量または濃度が、固形腫瘍の処置の経過中に変化することが決定されてきた。薬物を必要とする被験体(例えば、固形腫瘍、例えば、前立腺腫瘍を有する被験体)に投与される薬物のその後の用量を増加させ得るか、減少させ得るかまたは維持し得るかを臨床医が判定することを可能にする、そのような生物学的マーカーの所定の標的レベル、すなわち生物学的マーカーの閾値は、正常な被験体において特定され得、提供される。臨床医は、生物学的マーカーの有無または量が、ある特定の実施形態において、それぞれの生物学的マーカーの閾値より低いか、高いか、またはほぼ同じであるかに基づいて、そのような判定を行い得る。
【0376】
例えば、薬物処置またはワクチン接種の後に、過大に示された生物学的マーカーのレベルが有意に減少しているおよび/または過少に示された生物学的マーカーのレベルが有意に増加しているとの判定は、投与された薬物が治療効果を発揮しているという兆しを臨床医に提供する。「レベル」とは、流体中もしくは組織内の生物学的マーカーの濃度または組織内の絶対量のことを意味する。そのような生物学的マーカーの測定に基づいて、臨床医は、その薬物のその後の用量を維持するかまたはその後の用量を上げるかもしくは下げること(投与のタイミングの変更することを含む)を決定し得る。用語「薬物」は、従来の医薬(例えば、小分子)、ならびに生物製剤(例えば、核酸、抗体、タンパク質、ポリペプチド、改変された細胞など)を含む。別の例では、過大に示された生物学的マーカーのレベルが有意に減少していないおよび/または過少に示された生物学的マーカーのレベルが有意に増加していないとの判定は、投与された薬物が治療効果を有意に発揮していないという兆しを臨床医に提供する。そのような生物学的マーカーの測定に基づいて、臨床医は、その薬物のその後の用量を増加させることを決定し得る。薬物は、被験体にとって有毒である場合があり、副作用を発揮することがあることを考えると、本明細書中に提供される方法は、薬物の有効な投与量に「ダイヤルイン(dial in)」する能力および副作用を最小限に抑える能力を臨床医に提供するので、治療的アプローチを最適化する。特定の例では、本明細書中に提供される方法は、臨床医が、薬物用量を治療的に効果的なレベルに「ダイヤルアップ(dial up)」することを可能にし、ここで、ダイヤルアップされた投与量は、毒性閾値レベル未満である。したがって、本明細書中で論じられる処置方法は、有効性を高め、有毒な副作用の可能性を低下させる。
【0377】
サイトカインは、多種多様な起源の細胞によって全身で広く産生されるポリペプチド制御因子の多種多様な大きなファミリーである。サイトカインは、小さな分泌タンパク質であり、それには、ペプチドおよび糖タンパク質が含まれ、免疫、炎症および造血を媒介し、制御する。サイトカインは、免疫刺激に応答して新規に産生される。サイトカインは、通常、短い距離および短い時間枠にわたって低濃度で作用する(が必ずしもそうではない)。サイトカインは、通常、特定の膜レセプターに結合することによって作用し、次いでその結合によって、セカンドメッセンジャー(チロシンキナーゼであることが多い)を介して細胞にシグナルを伝達し、それにより、細胞の挙動(例えば、遺伝子発現)を変化させる。サイトカインに対する応答としては、例えば、膜タンパク質(サイトカインレセプターを含む)の発現の増加または減少、エフェクター分子の増殖および分泌が挙げられる。
【0378】
用語「サイトカイン」は、タンパク質および糖タンパク質の大きなファミリーの総称である。他の名称としては、リンフォカイン(リンパ球によって産生されるサイトカイン)、モノカイン(単球によって産生されるサイトカイン)、ケモカイン(化学走性活性を有するサイトカイン)およびインターロイキン(1種類の白血球によって産生され、他の白血球に対して作用するサイトカイン)が挙げられる。サイトカインは、サイトカインを分泌する細胞に対して作用することもあるし(オートクライン作用)、近くの細胞に対して作用することもあるし(パラクリン作用)、場合によっては、遠く離れた細胞に対して作用することもある(内分泌作用)。
【0379】
サイトカインの例としては、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18など)、インターフェロン(例えば、IFN−ベータ、IFN−ガンマなど)、腫瘍壊死因子(例えば、TNF−アルファ、TNF−ベータなど)、リンフォカイン、モノカインおよびケモカイン;成長因子(例えば、トランスフォーミング成長因子(例えば、TGF−アルファ、TGF−ベータなど));コロニー刺激因子(例えば、GM−CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)など);などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0380】
サイトカインは、細胞表面レセプター対応物を介して作用することが多い。次いで、その後の細胞内のシグナル伝達のカスケードは、細胞の機能を変化させる。このシグナル伝達には、他のサイトカインの産生をもたらす、いくつかの遺伝子およびそれらの転写因子のアップレギュレーションおよび/もしくはダウンレギュレーション、他の分子に対する表面レセプターの数の増加、またはフィードバック阻害によるそれら自体の作用の抑制が含まれ得る。
【0381】
VCAM−1(CD106とも呼ばれる血管細胞接着分子−1)は、6つまたは7つの免疫グロブリンドメインを含み、内皮細胞がサイトカインによって刺激された後だけ、大血管と小血管の両方において発現される。したがって、VCAM−1の発現は、サイトカイン発現に対するマーカーである。
【0382】
サイトカインは、完全長(例えば、全)タンパク質、ポリペプチド、代謝産物、メッセンジャーRNA(mRNA)、相補DNA(cDNA)、ならびに前述のものの様々な中間生成物およびフラグメント(例えば、切断産物(例えば、ペプチド、mRNAフラグメント))として検出され得る。例えば、IL−6タンパク質は、完全な完全長分子として、または様々なレベルの陽性の特定を提供するのに十分大きな任意のフラグメントとして、検出され得る。そのようなフラグメントは、総数が10未満、10〜20、20〜50、50〜100、100〜150、150〜200およびそれを超える数に達するアミノ酸を含み得る。同様に、VCAM−1タンパク質は、完全な完全長アミノ酸分子として、または様々なレベルの陽性の特定を提供するのに十分大きな任意のフラグメントとして、検出され得る。そのようなフラグメントは、総数が10未満、10〜20、20〜50、50〜100、100〜150およびそれを超える数に達するアミノ酸を含み得る。
【0383】
ある特定の実施形態において、サイトカインのmRNAは、完全な配列または特異的な検出にとって十分な任意のフラグメントを標的化することによって検出され得る。mRNAフラグメントは、10個より少ないヌクレオチドまたはそれより多い任意の数のヌクレオチドを含み得る。フラグメントは、mRNA鎖の任意の部分を含むその鎖の3’末端、その鎖の任意の部分を含む5’末端、およびその鎖の任意の中心部分を含み得る。
【0384】
検出は、任意の好適な方法を用いて行われ得、これらの方法としては、質量分析(例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、エレクトロスプレー質量分析(ES−MS))、電気泳動(例えば、キャピラリー電気泳動)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核酸の親和性(例えば、ハイブリダイゼーション)、増幅および検出(例えば、リアルタイムまたは逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR))、ならびに抗体アッセイ(例えば、抗体アレイ、酵素結合免疫吸着測定法(enzyme−linked immunosorbant assay)(ELISA))が挙げられるが、これらに限定されない。IL−6および他のサイトカインのアッセイの例としては、例えば、Millipore,Inc.が提供するアッセイ(Milliplex Human Cytokine/Chemokine Panel)が挙げられる。IL6−sRアッセイの例としては、例えば、Invitrogen,Incが提供するアッセイ(Soluble IL−6R:(Invitrogen Luminex(登録商標)Bead−based assay))が挙げられる。VCAM−1アッセイの例としては、例えば、R&D Systemsが提供するアッセイ(R&D Systems製の(CD106)ELISA development Kit,DuoSet(#DY809))が挙げられる。
【0385】
生物学的マーカーの起源
生物学的マーカーの有無または量は、被験体内(例えば、インサイチュ)または被験体外(例えば、エキソビボ)において決定され得る。いくつかの実施形態において、生物学的マーカーの有無または量は、細胞(例えば、分化細胞、幹細胞)において決定され得、ある特定の実施形態では、生物学的マーカーの有無または量は、実質的に無細胞の媒質(例えば、インビトロ)において決定され得る。用語「被験体において生物学的マーカーの有無または量を特定する」は、本明細書中で使用されるとき、生物学的マーカーを評価するため、およびその被験体における有無または量を推測するための当該分野で公知の任意の方法(例えば、インサイチュ、エキソビボにおいてまたはインビトロにおける方法)のことを指す。
【0386】
体液または組織サンプルは、エキソビボにおいて生物学的マーカーの有無または量を決定するために被験体から得られることが多い。組織サンプルを得ることがある身体の非限定的な部分としては、いくつかの実施形態において、脚、腕、腹部、上背部、下背部、胸部、手、指、爪、足、足指、足指爪、頸部、直腸、鼻部、咽頭、口、頭皮、顔、脊椎、咽頭、心臓、肺、乳房、腎臓、肝臓、腸、結腸、膵臓、膀胱、子宮頸部、精巣、筋肉、皮膚、毛髪、腫瘍または腫瘍の周囲の領域などが挙げられる。組織サンプルは、当該分野で公知の任意の好適な方法によって得ることができ、ある特定の実施形態において、その方法としては、生検(例えば、薄片生検、パンチ生検、切開生検、切除生検、掻爬生検、穿刺吸引生検、へら(scoop)生検、スキャロップ(scallop)生検、コア針生検、真空補助下生検、開放外科的(open surgical)生検)などが挙げられるがこれらに限定されない。被験体から得ることができる体液の例としては、いくつかの実施形態において、血液、脳脊髄液、髄液、洗浄液(例えば、気管支肺胞洗浄液、胃洗浄液、腹膜洗浄液、管洗浄液、耳洗浄液、関節鏡下洗浄液)、尿、間質液、便、痰、唾液、鼻粘膜、前立腺液、洗浄液、精液、リンパ液、胆汁、涙、汗、母乳、乳汁、炎症領域からの流体、筋消耗領域からの流体などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0387】
被験体由来のサンプルは、生物学的マーカーの有無または量を決定する前に処理され得る。例えば、被験体由来の血液サンプルは、ある特定の画分を得るために処理され得、その画分としては、血漿、血清、バフィーコート、赤血球層などが挙げられるがこれらに限定されず、生物学的マーカーの有無または量は、その画分において決定され得る。ある特定の実施形態において、組織サンプル(例えば、腫瘍生検サンプル)は、組織サンプルをスライスし、生物学的マーカーを可視化する作用物質(例えば、抗体)とスライスされたサンプルを接触させる前および/または接触させた後にそのサンプルを顕微鏡下で観察することによって、処理され得る。いくつかの実施形態において、組織サンプルは、以下の非限定的な条件のうちの1つまたはそれを超える条件に曝露され得る:洗浄、高塩溶液または低塩溶液(例えば、高張液、低張液、等張液)への曝露、剪断条件への曝露(例えば、超音波処理、プレス(例えば、フレンチプレス))、ミンシング、遠心分離、細胞の分離、組織の分離など。ある特定の実施形態において、生物学的マーカーは、組織から分離され得、有無または量が、インビトロにおいて決定され得る。サンプルは、生物学的マーカーの有無または量を決定する前に、ある期間にわたって保管されることもある(例えば、サンプルは、凍結され、凍結保存され、保存媒質(例えば、ホルムアルデヒド)中で維持され得る)。
【0388】
サンプルは、薬物を被験体に送達した後、任意の好適な回収時点において被験体から得ることができる。例えば、サンプルは、薬物を被験体に送達した後、約1時間以内(例えば、薬物送達の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、55または60分以内)、薬物を被験体に送達した後、約1日以内(例えば、薬物送達の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24時間以内)または薬物を被験体に送達した後、約2週間以内(例えば、薬物送達の約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14日以内)に回収され得る。回収は、例えば、毎時間、毎日、週2回、週1回、隔週、毎月、隔月、年4回および年1回などを含む指定のスケジュールにおいて行われ得る。薬物が、ある期間にわたって持続的に投与される場合(例えば、注入)、薬物が被験体に導入された最初の時点、薬物投与が終わる時点またはその中間の時点(例えば、投与時間枠の中間点または他の時点)からの遅延時間が決定され得る。
【0389】
生物学的マーカーの検出
1つまたはそれを超える生物学的マーカーの有無または量は、当該分野で公知の任意の好適な方法によって決定され得、非限定的な決定方法は、本明細書中で論じられる。生物学的マーカーの有無または量の決定は、時折、生物学的アッセイの使用を含む。生物学的アッセイにおいて、そのアッセイにおいて検出される1つまたはそれを超えるシグナルは、生物学的マーカーの有無または量に変換され得る。そのアッセイにおいて検出されたシグナルの変換は、例えば、検量線、1つまたはそれを超える標準物質(例えば、内部標準、外部標準)、チャート、シグナルを生物学的マーカーの有無または量に変換するコンピュータプログラムなど、および前述のものの組み合わせの使用を含み得る。
【0390】
アッセイにおいて検出される生物学的マーカーは、例えば、完全長の生物学的マーカー、生物学的マーカーのフラグメント、変更されたもしくは改変された生物学的マーカー(例えば、生物学的マーカー誘導体、生物学的マーカー代謝産物)または2つもしくはそれを超える前述のものを足し合わせたものであり得る。改変された生物学的マーカーは、本明細書中で論じられる生物学的マーカーに対して実質的な配列同一性を有することが多い。例えば、改変された生物学的マーカーと本明細書中で論じられる生物学的マーカーとの間の同一性パーセントは、15〜20%、20〜30%、31〜40%、41〜50%、51〜60%、61〜70%、71〜80%、81〜90%および91〜100%の範囲内(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および100パーセントの同一性)であり得る。改変された生物学的マーカーは、本明細書中で論じられる生物学的マーカーの配列と90%またはそれを超えて同一である配列(例えば、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列)を有することが多い。パーセント配列同一性は、当該分野で公知のアラインメント方法を用いて決定され得る。
【0391】
生物学的マーカーの検出は、当該分野で公知の任意の好適な方法を用いて行われ得、その方法としては、質量分析、抗体アッセイ(例えば、ELISA)、核酸親和性、マイクロアレイハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、逆PCRおよびRT−PCRが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、RNAの純度および濃度は、Nanodrop 1000において、分光光度的に決定され得る(260/280>1.9)。RNAの質は、当該分野で公知の方法(例えば、Agilent 2100 Bioanalyzer;RNA 6000 Nano LabChip(登録商標)など)を用いて評価され得る。
【0392】
その後の薬物用量を調整することまたは維持することについての指示
その後の薬物用量を調整することまたは維持することについての指示は、生物学的マーカーの有無に基づき得る。例えば、(i)生物学的マーカーのレベルの低感度の測定が利用可能であるとき、(ii)生物学的マーカーのレベルが、薬物に応答して急激に変化するとき、(iii)低レベルもしくは高レベルの生物学的マーカーが存在するとき、および/または(iv)薬物が、投与のレベルにおいて明らかに有毒でないとき、生物学的マーカーの有無は、その後の薬物用量を調整するかまたは維持する指示を作製するのに十分であり得る。
【0393】
その後の薬物用量を調整することまたは維持することについての指示は、生物学的マーカーの量またはレベルに基づくことが多い。生物学的マーカーの量は、いくつかの実施形態において、平均値、中央値、名目上の量、範囲、間隔、最大値、最小値または相対量であり得る。生物学的マーカーの量は、ある特定の実施形態において、測定誤差範囲を伴ってまたは測定誤差範囲なしで表現され得る。いくつかの実施形態において、生物学的マーカーの量は、生物学的マーカーの濃度、単位重量あたりの生物学的マーカーの重量、単位体積あたりの生物学的マーカーの重量、生物学的マーカーのモル、単位体積あたりの生物学的マーカーのモル、単位重量あたりの生物学的マーカーのモル、単位細胞あたりの生物学的マーカーの重量、単位細胞数あたりの生物学的マーカーの体積、単位細胞数あたりの生物学的マーカーのモルなどとして表現され得る。重量は、例えば、フェムトグラム、ピコグラム、ナノグラム、マイクログラム、ミリグラムおよびグラムとして表現され得る。体積は、例えば、フェムトリットル、ピコリットル、ナノリットル、マイクロリットル、ミリリットルおよびリットルとして表現され得る。モルは、例えば、ピコモル、ナノモル、マイクロモル、ミリモルおよびモルで表現され得る。いくつかの実施形態において、単位重量は、被験体の重量または被験体由来のサンプルの重量であり得、単位体積は、被験体由来のサンプルの体積(例えば、血液サンプルの体積)であり得、単位細胞数は、1つの細胞あたりまたはある特定の数の細胞あたりであり得る(例えば、1000個の細胞あたりの生物学的マーカーのマイクログラム)。いくつかの実施形態において、1つの組織または体液から決定された生物学的マーカーの量は、当該分野で公知であるように、別の体液中または組織内の生物学的マーカーの量に相関し得る。
【0394】
その後の薬物用量を調整することまたは維持することについての指示は、被験体における生物学的マーカーの決定されたレベルを生物学的マーカーの所定のレベルと比較することによって作製されることが多い。ある特定の実施形態において、生物学的マーカーの所定のレベルは、時折、被験体における薬物の治療的な量または効果的な量に関連し、時折、薬物の毒性レベルに関連し、時折、ある状態の存在に関連し、時折、処置の中間点に関連し、時折、処置の終点に関連する。生物学的マーカーの所定のレベルは、時折、エレメントとして時間を含み、いくつかの実施形態において、閾値は、時間依存的シグネチャである。
【0395】
例えば、正常レベルより約8倍またはそれを超えて高い(例えば、正常レベルよりも約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74または75倍高い)IL−6またはIL6−sRレベルは、薬物の投与量または投与の頻度がその後の投与において高められ得ることを示唆し得る。
【0396】
用語「投与量」は、投与の用量と投与の頻度(例えば、次の投与のタイミング)の両方を含むと意味される。正常レベルよりも約8倍高いレベルより低いIL−6またはIL−6sRのレベル(例えば、正常レベルよりも約7、6、5、4、3、2もしくは1倍高いか、または正常レベル未満もしくは正常レベルと等しいレベル)は、その後の投与において投与量が維持され得るかまたは減少され得ることを示唆し得る。正常レベルよりも約8倍またはそれを超えて高い(例えば、例えば、正常レベルよりも約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74または75倍高い)VCAM−1レベルは、その後の投与においてその薬物の投与量が増加され得ることを示唆し得る。正常レベルよりも約8倍高いレベルよりも低いVCAM−1レベル(例えば、正常レベルよりも約7、6、5、4、3、2もしくは1倍高いか、または正常レベル未満もしくは正常レベルと等しいレベル)は、その後の投与において投与量が維持され得るかまたは減少され得ることを示唆し得る。IL−6、IL−6sRまたはVCAM−1の正常レベルは、患者において処置されている固形腫瘍または固形腫瘍のタイプと診断されていない被験体において評価され得る。
【0397】
薬物の用量を調整することまたは維持することについての他の指示としては、例えば、個々の分泌因子、例えば、GM−CSF、MIP−1アルファ、MIP−1ベータ、MCP−1、IFN−ガンマ、RANTES、EGFもしくはHGFの濃度の乱れ、または分泌因子のパネル(例えば、GM−CSF、MIP−1アルファ、MIP−1ベータ、MCP−1、IFN−ガンマ、RANTES、EGFおよびHGFからなる群より選択される2つまたはそれを超えるマーカー)の平均濃度の乱れが挙げられる。この乱れは、例えば、個々の分泌因子の濃度の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくは100%の増加または減少、あるいは分泌因子のパネルの血清濃度の相対変化の平均値の少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の増加または減少からなり得る。この増加の後、次の投与の前に、ベースライン血清濃度に戻ることもあるし、戻らないこともある。血清濃度の相対的変化の平均値の増加または減少は、例えば、パネルの中の各因子の相対値の重みづけを含み得る。また、その増加または減少は、例えば、収集されたデータの各時点の相対値の重みづけを含み得る。各時点に対する重みづけされた値または各因子は、がん、転移または腫瘍量の状態または程度に応じて変動し得る。薬物の用量を調整することまたは維持することについての指示は、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10回またはそれを超える投与の後の個々の分泌因子の濃度または分泌因子のパネルの平均濃度の乱れを含み得る。例えば、処置の経過にわたって、例えば、薬物または本明細書中で論じられるワクチンもしくは組成物の6回の投与にわたって、個々の分泌因子の濃度または分泌因子のパネルの平均濃度が、少なくとも1回の投与の後に乱されることが観察される場合、これは、投与の頻度もしくはその後の投与量を維持するか、減少させるか、もしくは増加させる指示であり得るか、または例えば、さらなる薬物、アデノウイルスワクチン、またはアデノウイルスでトランスフェクトされたもしくは形質導入された細胞を調製することによって処置を継続する指示であり得る。
【0398】
いくつかの処置方法は、(i)1回またはそれを超える投与(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回)で被験体に薬物を投与する工程、(ii)(i)の後、被験体における生物学的マーカーまたは被験体由来の生物学的マーカーの有無または量を決定する工程、(iii)被験体への投与についてその薬物のその後の用量を増加させるか減少させるかまたは維持する指示を提供する工程、および(iv)必要に応じて、被験体にその後の用量を投与する工程(ここで、上記その後の用量は、(i)におけるより早いときの用量と比べて増加しているか、減少しているか、または維持されている)を含む。いくつかの実施形態において、生物学的マーカーの有無または量は、薬物の各用量が被験体に投与された後に決定され、時折、生物学的マーカーの有無または量は、薬物の各用量が投与された後に決定されない(例えば、生物学的マーカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回目の投与のうちの1回またはそれを超える投与の後に評価されるが、各投与後に毎回評価されるわけではない)。
【0399】
その後の薬物用量を調整することについての指示は、その後の薬物用量を増加させる必要性または減少させる必要性を考慮され得る。その後の薬物用量を調整することまたは維持することについての指示は、臨床医によって考慮され得、臨床医は、ある特定の実施形態において、その指示に従って行動し得る。いくつかの実施形態において、臨床医は、指示に従って行動しないことがある。したがって、臨床医は、提供された指示に基づいてその後の薬物用量を調整することまたは調整しないことを選ぶことができる。
【0400】
その後の薬物用量および/またはその後の薬物投与量を調整するまたは維持する指示は、任意の好都合な様式で提供され得る。指示は、いくつかの実施形態において、表形式で(例えば、物理的媒体または電子媒体において)提供され得る。例えば、生物学的マーカーの閾値が、表として提供され得、臨床医は、被験体に対して決定された生物学的マーカーの有無または量をその閾値と比較し得る。次いで、その臨床医は、その表から、その後の薬物用量に対する指示を特定し得る。ある特定の実施形態において、指示は、生物学的マーカーの有無または量がコンピュータに提供された後(例えば、コンピュータ上のメモリに入れられた後)、コンピュータによって提示され得る(例えば、表示され得る)。例えば、被験体に対して決定された生物学的マーカーの有無または量は、コンピュータに提供され得(例えば、ユーザーによってコンピュータメモリに入れられ得るか、またはコンピュータネットワーク内のリモートデバイスを介してコンピュータに送信され得)、コンピュータ内のソフトウェアが、その後の薬物用量を調整するかもしくは維持することについての指示を生成し得、および/またはその後の薬物用量の量を提供し得る。その後の用量は、例えば、生物学的マーカーの有無または量以外のある特定の因子(例えば、被験体の重量、その被験体に対する1つまたはそれを超える代謝産物のレベル(例えば、肝機能に関する代謝産物のレベル)など)に基づいて決定され得る。
【0401】
その後の用量が、指示に基づいて決定されたら、臨床医は、決定されたその後の用量を投与し得るか、または別の人もしくは実体に対してその用量を調整する指示書を提供し得る。本明細書中で使用される用語「臨床医」は、意思決定者のことを指し、ある特定の実施形態において、臨床医は、医療専門家である。意思決定者は、いくつかの実施形態において、コンピュータまたは表示されたコンピュータプログラムのアウトプットであり得、そのコンピュータによって表示される指示またはその後の薬物用量に基づいて、保健サービス提供者が行動し得る。意思決定者は、その後の用量を直接投与し得る(例えば、その後の用量を被験体に注入し得る)か、または遠隔的に投与し得る(例えば、ポンプパラメータが、意思決定者によって遠隔的に変更され得る)。
【0402】
被験体は、特定の生物学的マーカーの有無または量が決定され得るか否かを判定するために、事前にスクリーニングされ得る。事前のスクリーニングの非限定的な例としては、遺伝的マーカー(例えば、多型、特定のヌクレオチド配列)の有無の特定;特定の代謝産物の有無または量の特定が挙げられる。事前のスクリーニングの結果は、その後の薬物用量が調整され得るかまたは維持され得るかを判定するために、生物学的マーカーの有無または量と組み合わせて、臨床医によって使用され得る。
【0403】
抗体および小分子
いくつかの実施形態において、例えば、アッセイにおいてコントロールまたは標準物質として使用するため、または治療薬として使用するために、抗体または小分子が提供される。いくつかの実施形態において、抗体または他の小分子は、サイトカインもしくはサイトカインレセプター(IL−6、IL−6sRを含むがこれらに限定されない)に結合し、そのサイトカインの作用を変化させるように形成されているか、またはVCAM−1に結合するように形成されていることがある。ある特定の実施形態において、抗体または他の小分子は、サイトカインまたはレセプターをコードするmRNAの構造に結合し得る。
【0404】
本明細書中で使用される小分子という用語は、およそ800ダルトンまたはそれより小さいダルトンの有機分子のことを意味する。ある特定の実施形態において、小分子は、細胞膜を横断して拡散することにより、細胞間の作用部位に到達し得る。いくつかの実施形態において、小分子は、生体高分子(例えば、タンパク質、核酸または多糖)に高親和性で結合し、時折、その生体高分子の活性または機能を変化させ得る。様々な実施形態において、小分子は、天然のもの(例えば、二次代謝産物)または人工のもの(例えば、抗ウイルス薬)であり得;それらは、疾患に対して有益な効果を有し得る(例えば、薬物)か、または有害であり得る(例えば、催奇形物質および発がん性物質)。
【0405】
非限定的な例として、小分子には、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、アミノ酸、単糖類および小さいオリゴマー(例えば、ジヌクレオチド)、ペプチド(例えば、抗酸化物質であるグルタチオン)および二糖類(例えば、スクロース)が含まれ得る。
【0406】
本明細書中で使用される抗体という用語は、脊椎動物の血液または他の体液中に見られ、細菌およびウイルスなどの外来の物体を識別し、中和するために免疫系によって用いられる、ガンマグロブリンタンパク質を意味していると理解されるべきである。抗体は、代表的には、2本の大きな重鎖および2本の小さな軽鎖という基本的な構造単位を含む。
【0407】
抗体への特異的結合には、特定のタンパク質に対する親和性について選択された抗体が必要である。例えば、特定のタンパク質、多型バリアント、対立遺伝子、オルソログおよび保存的に改変されたバリアントもしくはスプライスバリアントまたはそれらの一部に対して産生されたポリクローナル抗体が、GM−CSF、TNF−アルファまたはNF−カッパー−Bを調節するタンパク質には特異的に免疫反応性であるが他のタンパク質には免疫反応性でないポリクローナル抗体だけを得るために選択され得る。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を取り去ることによって達成され得る。
【0408】
本明細書中に提示されるような方法としては、有効量の活性化された細胞、核酸またはそれをコードする発現構築物の送達が挙げられるがこれに限定されない。薬学的組成物の「有効量」は、一般に、述べられた所望の結果を検出可能かつ繰り返し達成するのに十分な量、例えば、疾患またはその症候を回復させるか、減少させるか、最小にするか、またはその程度を限定するのに十分な量として定義される。疾患の排除、根絶または治癒を含む他のより厳密な定義が、適用されることもある。いくつかの実施形態において、処置の有効性を評価するためおよび毒性をコントロールするために生物学的マーカーをモニターする工程が存在してもよい。
【実施例】
【0409】
下記に示される実施例は、ある特定の実施形態を例証するものであって、本技術を限定しない。インビトロまたはエキソビボにおいて細胞を形質転換するためまたはトランスフェクトするための方法を論じている本明細書中の実施例は、キメラポリペプチドを発現する核酸の使用例を提供するがこれに限定されない。実験動物またはヒト被験体への、形質導入されたまたはトランスフェクトされた細胞の送達およびリガンド誘導物質の送達の例は、それを必要とする被験体において、キメラポリペプチドを発現する核酸、腫瘍抗原およびリガンド誘導物質の直接的な投与の例を提供するがこれに限定されない。
【0410】
また、以下の項では、特に実施例21(以下参照)は、治療用細胞、例えば、T細胞において、誘導可能なキメラシグナル伝達分子を発現する方法、および形質転換された細胞を使用する方法の例が、提供される。誘導可能なポリペプチドを発現する方法、形質導入されたまたはトランスフェクトされた細胞の使用、およびアッセイは、例えば、Spencer,D.M.ら、Science 262:1019−1024(1993);2008年7月29日に発行された“Induced Activation in Dendritic Cells”という表題の米国特許第7,404,950号;2011年4月14日に出願された“Methods for Treating Solid Tumors”という表題の米国特許出願番号13/087,329;および2011年5月20日に出願された“Methods
for Inducing Selective Apoptosisという表題の米国特許出願番号13/112,739(これらの全体が参照により本明細書中に援用される)に論じられている。
【0411】
実施例1:材料および方法
以下の実施例において論じられる研究において用いられた材料および方法が、本明細書中以後、論じられる。
【0412】
マウス。NOD.Cg−PrkdcscidHrhr/NCrHsdマウスは、Harlan Laboratories(Indianapolis,IN)から購入し、NOD.Cg−PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME)から入手し、University of Texas Health Sciences(UTHSC)の動物施設における病原体フリーのマウス施設において、施設のガイドラインに従って維持した。この研究は、UTHSCのInstitutional Animal Care and Use Committeesによって承認されたものだった。
【0413】
細胞株、培地および試薬。293T(HEK293T/17)、Capan−1、HPAC、Raji細胞株は、American Type Culture Collectionから入手した。293T、Capan−1およびHPAC細胞株は、37℃および5%COにおいて、10%ウシ胎仔血清(FCS)および2mM glutamax(Invitrogen)が補充されたDMEM(Invitrogen,Grand Island,NY)中で維持した。Raji腫瘍細胞は、10%FSCおよび2mM glutamaxを含むRPMI中で培養した。Gulf Coast Blood Bank(Houston,TX)から入手した末梢血単核球(PBMC)から作製したT細胞は、別段述べられない限り、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM glutamax(T細胞培地;TCM)および100U/ml IL−2(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)が補充された45%RPMI1640、45%Click’s培地(Invitrogen)中で培養した。臨床グレードのリミズシドは、インビトロアッセイのためにエタノールで、または動物試験のために0.9%食塩水で、100mMの使用溶液(working solution)に希釈した。
【0414】
レトロウイルスおよびプラスミドの構築物。ミリストイル化標的化配列(M)、TLRアダプター分子、MyD88、CD40細胞質領域および2つのタンデムのリガンド結合FKBP12v36ドメイン(Fv’Fv)を含む誘導可能なMyD88/CD40(iMC)を、Gibsonアセンブリ(New England Biolabs,Ipswich,MA)を用いて、SFGレトロウイルス骨格において2A−ΔCD19とインフレームでクローニングすることにより、SFG−M.MyD88/CD40.Fv’Fv−2A−ΔCD19を作製した。同様に、ミリストイル化配列およびタンデムのFKBP12v36ドメインだけを含むコントロールベクター(FKBPまたはSFG−FKBP−2A−ΔCD19と呼ばれる)を作製した。合成DNAアプローチ(Integrated DNA Technologies,San Diego,CA)を用いて、SFG−M.MyD88−2A−ΔCD19またはSFG−M.CD40−2A−ΔCD19と呼ばれる、それぞれMyD88またはCD40だけの構築物を作製することにより、さらなるレトロウイルスベクターを構築した。以前に記載されたように、マウスbm2B3一本鎖可変フラグメント(scFv)4,5、IgG1 CH2CH3スペーサー領域、CD28膜貫通ドメインおよびCD3ζ細胞質ドメイン(PSCA.ζ)を含む第1世代PSCA CARを合成した。CD28膜貫通および細胞質ドメインを含む第2世代CAR(PSCA.28.ζ)をPCR増幅によって構築した。PSCA−CARによって改変された細胞との共培養アッセイに向けて、Capan−1およびHPAC腫瘍細胞を、GFP発現プラスミド(pcDNA3.1−GFP.2A.ピューロマイシン)によるトランスフェクションによって改変し、1μg/mlピューロマイシン(Sigma)を用いて安定に選択した。インビボ腫瘍生物発光研究に向けて、T細胞にSFG−EGFPルシフェラーゼを同時形質導入した。
【0415】
レトロウイルス上清。以前に記載されたように、GeneJuice(EMD Biosciences,Gibbstown,NJ)トランスフェクション試薬を用いて、MoMLV gag−polに対する配列を含むSFGベクタープラスミドであるPeg−Pam−eプラスミドとRD114エンベロープをコードするプラスミドとによって293T細胞を一過性にコトランスフェクトすることによってレトロウイルス上清を生成した。レトロウイルスを含む上清をトランスフェクションの48および72時間後に回収した。
【0416】
活性化T細胞の作製。Gulf Coast Blood Bank(Houston,TX)から入手した末梢血単核球(PBMC)を用いて、抗CD3/抗CD28によって活性化されるT細胞を、本質的には論じられたように作製した。簡潔には、5×10個のPBMCを、TCMに再懸濁し、各々0.5μg/mlの抗CD3および抗CD28抗体(Miltenyi Biotec)でコーティングされた組織培養用処理がなされていない24ウェルプレート上において、100U/ml IL−2の存在下において刺激した。3日目に、活性化T細胞を回収し、下記に記載されるように、その細胞にレトロウイルスベクターを形質導入するかまたはその細胞をIL−2が補充された培地中で拡大した。
【0417】
T細胞の形質導入。組織培養用処理がなされていない24ウェルプレートを、4℃において一晩、7μg/ml Retronectin(Takara Bio,Otsu,Shiga,Japan)でコーティングした。そのウェルをリン酸緩衝食塩水で洗浄し、次いで、レトロウイルス上清でコーティングした。その後、活性化T細胞を、100U/mlのIL−2が補充されたウイルス上清中において、1ウェルあたり3×10個の細胞でプレーティングした。3日間の培養の後、細胞を回収し、TCM+100U/mlのIL−2を含む組織培養用処理がなされたプレートにおいて拡大した。2遺伝子または3遺伝子の形質導入の場合、プロトコルは、ウェルを等量の各レトロウイルス上清でコーティングしたこと、および次いで活性化T細胞を100U/mlのIL−2が補充された等量のウイルス上清を含む各ウェルにプレーティングしたことを除いては上記と同一であった。
【0418】
免疫表現型分析。遺伝子改変されたT細胞を、CD3−PerCP.Cy5およびCD19−PE(BioLegend)を使用することによって、形質導入の10〜14日後に、iMC導入遺伝子の発現について解析した。CARを形質導入された細胞を検出するために、T細胞を、レセプターのIgG1 CH2CH3構成要素を認識するFc特異的APC結合体化モノクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,PA)でも染色した。T細胞を、10nMリミズシドおよびCapan−1腫瘍細胞で活性化した後、CD4、CD8およびCD25(BioLegend)についても解析した。すべてのフローサイトメトリーを、LSRIIフローサイトメーター(Becton Dickenson,East Rutherford,NJ)を用いて行い、データは、FlowJo(Tree star,Ashland,OR)またはKaluzaソフトウェア(Beckman Coulter,Pasadena,CA)を用いて解析した。
【0419】
サイトカインおよびケモカインの産生。iMCベクターまたはコントロールベクターで改変されたT細胞によるIFN−γ、IL−2およびIL−6の産生を、製造者のプロトコル(eBioscience,San Diego,CA)に従ってELISAによって解析した。さらに、サイトカインおよびケモカインのパネルを、マルチプレックスアレイシステム(Bio−Plex MAGPIX;Bio−Rad,Hercules,CA)を用いて解析した。このアッセイでは、形質導入されていないT細胞およびiMCベクターまたはコントロールベクター(FKBP)で改変されたT細胞を、10nMリミズシドを用いておよび用いずに活性化し、24および48時間後に上清を回収した。いくつかの実験では、T細胞を50ng/ml可溶性抗CD3でも刺激した。PSCA.ζCARとiMCシグナル伝達の両方によるサイトカインおよびケモカインの産生の効果を測定するために、iMC(またはコントロールベクター)で改変されたT細胞、ならびにリミズシドおよびCapan−1標的細胞とともにおよびそれら無しでPSCA.ζCARを同時形質導入されたT細胞を用いて、さらなる実験を行った。48時間後に上清を回収し、解析した。
【0420】
免疫ブロット法。SFG−FKBP−2A−ΔCD19またはSFG−iMC−2A−ΔCD19を形質導入された初代ヒトT細胞(1時点あたり4×10)を、10nMリミズシド、各250nMのPMAおよびイオノマイシン、または培地のみを用いて、37℃のウォーターバス内で、示された時点まで培養した。4℃での2分間の6000rpmにおける遠心分離の後に、培地を吸引によって除去した。1×MS−SAFE(Roche)を含む100μlのラジオイムノ沈殿アッセイ緩衝液(50mM Tris、150mM NaCl、1%NP40、2mM EDTA、0.1%SDS、0.25%デオキシコール酸ナトリウム)中での溶解によって、細胞質抽出物を調製した。溶解産物を氷上で10分間インキュベートし、4℃での20分間の11,000rpmにおける遠心分離によって細胞質画分を取り除いた。1.5×10個の細胞と等価な細胞質抽出物を、98℃で5分間煮沸することによって1×Laemmli緩衝液中で変性させた。タンパク質をSDS−PAGEによって分離し、ポリビニリデンジフルオリド膜(Immobilon;Millipore)に電気的に転写した。続いて、膜を、p−RelA(S536)、p−Akt(S473)、p−p38(T180/Y182)、p−JNK(T183/Y185)、p−ERK1/2(T202/Y204)(Cell Signaling Technology)または総β−チューブリン(Santa Cruz)に特異的なAbでプロービングした。結合したAbを、HRP結合体化ヤギ抗ウサギIgG Ab(Pierce)に続いてECL(Pierce)によって検出し、Gel Logicイメージングシステム(Carestream)において検出した。
【0421】
Milliplex MAPアッセイ。3人の健常ドナーから回収された初代ヒトT細胞を、SFG−FKBP−2A−ΔCD19またはSFG−iMC−2A−ΔCD19を形質導入した。細胞(1時点あたり2×10)を、T細胞培地中で維持する(刺激しない)か、または示された時間にわたって37℃のウォーターバス内で、10nMリミズシドもしくは各250nMのPMAおよびイオノマイシンで処理した。4℃での5分間の5000rpmにおける遠心分離によって、細胞を回収した。ペレットを、Protease Inhibitor Cocktail(Cell Signaling Technology)が補充された200μlのCell Signaling Lysis Buffer(MILLIPLEX MAPキット;Millipore)で溶解し、氷上で10分間インキュベートした。溶解産物を卓上型振盪機によって15分間撹拌し、10分間の10,000rpmにおいてペレットにし、これらすべてを4℃において行った。液相を新しいエッペンドルフチューブに移し、個々のアリコートを製造者の提唱するプロトコルに従って処理し、Bio−Plex MAGPIX Multiplex Reader(Bio−Rad)において解析した。p−RelA(S536)、p−Akt(S473)、p−p38(T180/Y182)、p−JNK(T183/Y185)、p−ERK1/2(T202/Y204)(カスタムMILLIPLEX Magnetic Bead MAPmateキット;Millipore)、または総タンパク質含有量に対するコントロールとしてのGAPDHに特異的な抗体によって、リン酸化されたエピトープをAssay Buffer 2(MILLIPLEX MAPキット)中で検出した。リン酸化の増加倍率を、所与の時点におけるリミズシド処理の正味のMFIを、刺激されていない対応する時点の正味のMFIで除算することによって算出した。
【0422】
遺伝子発現解析。形質導入されていないT細胞またはFKBPレトロウイルスベクターもしくはiMCレトロウイルスベクターで改変されたT細胞を、3人の健常ドナー由来のPBMCから作製した。T細胞を、10nMリミズシド有りおよび無しで24時間刺激し、次いで、回収し、Baylor College of Medicine Genomics and RNA Profiling Core(Baylor College of Medicine,Houston,TX)を用いるHuman Genome U133 Plus 2.0アレイ(Affymetrix,Santa Clara,CA)におけるハイブリダイゼーションに向けてmRNAを抽出した(RNeasy;Qiagen,Valencia,CA)。ArrayStar Ver 12.0.0ソフトウェア(DNASTAR,Madison,WI)を用いてイメージファイルからシグナルデータを抽出した。遺伝子は、データセット間で、>95%のBenjamini−Hochberg信頼区間および>2倍の増加を示した。遺伝子オントロジーを、C2 CP:KEGG遺伝子セット、C3転写因子標的およびC7免疫学的標的遺伝子セットを使用して、Molecular Signatures Database(MSigDB)(Broad Institute,Cambridge,MA)を用いて行った。誘導されたネットワークのモジュール解析を、ConsensusPathDB−human(Max Plank Institute for Molecular Genetics,Berlin,Germany)を用いて行った。
【0423】
細胞傷害アッセイ。Capan−1腫瘍細胞に対するCAR T細胞の特異的な細胞傷害性を、10:1〜0.5:1の範囲のエフェクターと標的との比(E:T)、ならびに標的細胞としてCapan−1およびHPACを用いて、製造者の推奨(Clontech Laboratories,Mountain View,CA)に従って、4時間のDELFIA細胞傷害アッセイ(Perkin Elmer,Waltham,MA)において測定した。
【0424】
共培養実験。リミズシド依存的なPSCA.ζCARの活性化の後の細胞傷害性、活性化、増殖およびサイトカイン産生を試験するために、10nMリミズシド有りまたは無しかつ外来性IL−2の非存在下のTCM中でCapan−1−GFP腫瘍細胞を様々なエフェクター:標的比において用いて、共培養アッセイを行った。7日後、すべての残留細胞をトリプシン処理によって回収し、カウントし、CD3、CD19およびFc特異的抗体で染色し、フローサイトメトリーによって解析した。
【0425】
インビボ研究。iMCで改変されたCAR−T細胞の固形腫瘍に対するインビボでの有効性を評価するために、Matrigel(BD Biosciences)に再懸濁された1×10個のCapan−1腫瘍細胞を免疫不全Shornマウスの右側腹部の皮下に注射して移植した。マウスに、1×10個のT細胞を、1回(7日目)または2回(7および14日目)i.v.注射した。いくつかの実験では、外来性IL−2を、1週間に2回(biw)腹腔内に与えた(4,000U/動物)。Shorn実験の場合、リミズシドを、0.9%食塩水中の5mg/kgでbiwにおいて投与した。腫瘍をノギスによって測定し、腫瘍サイズを算出した。T細胞のインビボ拡大および有効性に対するiMCおよびCARの寄与を評価するために、NSGマウスを用いた。ここで、NSGマウスには、1×10個のCapan−1腫瘍細胞をs.c.で移植した。7日後、マウスを、iMCおよびPSCA.ζCARによって改変され、EGFPルシフェラーゼを同時形質導入された5×10個のT細胞の単回のi.v.で処置した。続いて、マウスを、1週間に1回または1週間に2回、リミズシドi.p.で処置し、次いで、150mg/kg D−ルシフェリン(Perkin Elmer)のi.p.注射の後、IVISイメージングカメラ(Perkin Elmer)を用いて撮像した。光子放出を、腫瘍領域の中から抜き取られた一定の関心領域(ROI)によって解析し、シグナルを、以前に検証されたように10総カウントとして測定した。上記のように、ノギスを用いて腫瘍を測定することによって有効性を評価した。
【0426】
統計。データは、平均値±SEMとして表される。すべてのアッセイにおいて2つの処置群を比較するとき、差の統計的有意性を判定するために両側P値または片側P値を算出するために、対応のないスチューデントのt検定を用いてデータを解析した。1元配置分散分析に続くボンフェローニ多重比較検定を用いることにより、複数の処置群を比較した。2元配置分散分析に続くボンフェローニ検定を用いることにより、異なる時点における複数の処置群間の腫瘍の成長の差の統計的有意性を評価した。生存時間は、カプラン・マイヤーグラフによって記録し、ログランク検定によって有意性を判定した。GraphPad Prismバージョン5.0ソフトウェア(GraphPad)を用いてデータを解析した。
【0427】
方法の参考文献
【表A-1】
【表A-2】
【0428】
実施例2:誘導可能なMyD88/CD40によるT細胞の活性化
T細胞を、iMCおよび表面マーカー、ΔCD19、CD19の細胞外の部分をコードするバイシストロニックベクター、またはMyD88/CD40シグナル伝達の構成要素を欠くがタンデムのFKBP12v36リガンド結合ドメインを保持しているコントロールベクターで形質導入した(図1aおよび4a)。フローサイトメトリーによって類似の形質導入効率を確認した後(それぞれ77±10%および62±16%のCD3CD19)(図5a,b)、形質導入されたT細胞および形質導入されていないT細胞を10nMリミズシドと接触させた;iMCによって改変されたT細胞においてのみ、二量体化によってIFN−γの産生が誘発された(図5c)。重要なことには、iMCの発現は、形質導入されたT細胞の表現型または分化状態を変化させなかった(図5D)。樹状細胞において観察されたように25、リミズシドの滴定は、iMCスイッチの高感度を実証し、ナノモル濃度未満の範囲(EC50=約0.12nM)でT細胞を活性化した(図1b)。MyD88だけまたはCD40だけを発現するさらなるベクター(図4a、6aおよび6b)は、両方の分子が、リミズシド曝露の後に、相乗的に作用することによりT細胞を活性化することを示した(図1c)。
【0429】
JNK、Akt、RelA、ERKおよびp38 MAPKを含む鍵となる下流のシグナル伝達分子のリン酸化を、誘導されたiMC T細胞において測定した。経時的解析から、リミズシドが、曝露の15分後という早さでT細胞においてシグナル伝達を誘導すること(図1d)、およびT細胞におけるこれらの各シグナル伝達経路がリン酸化の増加を示し、MAPKおよびJNKは、最も大きなリミズシド依存的活性化を示すこと(図1e)が示唆された。マイクロアレイ比較研究は、iMCによって改変されたT細胞が、主に、IFN−γサイトカインの産生に関連するサイトカイン関連遺伝子(例えば、IFIT1、IFIT3、CXCL10およびCXCL11)、MyD88依存的Toll様レセプターシグナル伝達の下流の遺伝子(例えば、IL−5、IL−6、IL−13)、およびリミズシドによる活性化の際にアポトーシスを制御するCD40関連遺伝子(例えば、BCL2L1)をアップレギュレートしたことを示唆した(図7aおよび7b)。遺伝子オントロジー経路解析は、タンパク質の解析によって特定されたリン酸化事象の増加に対応する、アポトーシスに関連するMAPK経路の増加を示した(図1dおよび1e)。さらに、遺伝子セット濃縮解析(MSigDBおよびConsensusPathDB)は、NF−κB活性化との有意な関連(p=4.4×10−15)、ならびにTLR4、7および8アゴニストによって活性化されたDCにおける遺伝子発現プロファイリングとの有意な重複(p=6.1×10−40)を示した(表1〜3)。これらのデータは、iMCが、生存促進遺伝子のネットワークを誘導するいくつかの経路を活性化することを示唆する(図7c)。実際に、iMCを発現しているT細胞のリミズシド活性化によって、外来性IL−2の存在下においてT細胞生存の増加および細胞の拡大が可能になったが、IL−2を取り除いたとき、増殖は観察されなかった(図8a〜8c)。
【0430】
実施例3:改変された活性化T細胞のさらなる特徴づけ
T細胞の活性化をさらに特徴づけるために、マルチプレックスアレイ解析を行うことにより、種々のサイトカインおよびケモカインを測定した(図9aおよび9b)。GM−CSF、TNF−α、IL−5、IL−6、IL−8およびIL−13の分泌は、リミズシドによって誘導されたが、IL−2および他のサイトカインの産生は、アップレギュレートされず、これは、完全なT細胞活性化にはNFATとNF−κBの両方のシグナル伝達が必要であるという仮説19と一致した。このことを調べるために、共刺激されたT細胞を、CD3架橋有りおよび無しで、リミズシドで処理した後、IL−2の産生およびCD25(高親和性IL−2レセプター)の発現を測定した。両方のシグナル(例えば、TCRおよびiMC)によって活性化された、iMC(およびそれほどではないがiM)によって改変されたT細胞だけが、測定可能なIL−2を産生し(図1f)、CD25の発現を増加させた(図1gおよび1h)。これらのデータは、iMCが、T細胞において共刺激シグナルとして機能し得ることを示唆しており、ここで、天然のTCRとiMCとの同時のシグナル伝達が、IL−2の産生およびT細胞増殖の持続に必要とされる。
【0431】
実施例4:誘導可能なMyD88/CD40によるCAR発現T細胞の刺激
TCR複合体の主要なシグナル伝達構成要素としては、2本の非共有結合的に連結されたCD3ζ鎖が挙げられ、その各々は、3つの免疫受容活性化チロシンモチーフ(immunoreceptor tyrosine−based activation motif)(ITAM)を含み、その2本のCD3ζ鎖は、シグナル伝達カスケードを惹起してNFATの活性化をもたらすチロシンキナーゼであるζ活性化タンパク質70kDa(ZAP70)に結合する。第1世代CARは、代表的には、タンパク質特異的scFv領域がCD3ζ細胞質領域に結合した状態で構築され、そのscFvによる標的抗原の認識は、天然のTCRシグナル伝達を模倣し、T細胞の活性化および標的細胞の細胞溶解を誘導する。誘導可能なMyD88/CD40が、CD3ζポリペプチド分子を含むキメラ抗原レセプターに共刺激活性を提供し得るかを調べるために、腫瘍関連表面タンパク質である前立腺幹細胞抗原(PSCA)を認識する第1世代CAR28を構築し、それを用いることにより、T細胞をiMCまたはFKBPのみのコントロールベクターと同時形質導入した(図4bおよび5a)。CD3、CD19および抗CAR抗体を用いたフローサイトメトリー解析は、それらのT細胞のおよそ70±21%および58±23%が、それぞれ、CARとコントロールの両方、またはCARとiMCベクターの両方で形質導入されたことを示し(図2b、10aおよび10b)、CARによって改変されたT細胞が、PSCA腫瘍細胞株(すなわち、Capan−1およびHPAC)に対する細胞傷害性機能を保持したことを示した(図10c)。CAR(腫瘍抗原による)とiMC(リミズシドによる)との同時活性化によって、T細胞の拡大および腫瘍管理の増加がもたらされ得るかを調べるために、GFPによって改変されたPSCA腫瘍細胞株(Capan−1)に対して共培養アッセイを行った。リミズシドの非存在下において、PSCA.ζおよびコントロールベクターまたはPSCA.ζCARおよびiMCで操作されたT細胞は、形質導入されていないT細胞と比べて有意な腫瘍殺滅を示した;しかしながら、リミズシド添加によるiMCの活性化は、Capan−1−GFPの排除をさらに高めた(図2c)。フローサイトメトリー解析は、リミズシドによって活性化されたCAR+iMCT細胞の出現頻度の劇的な増加を示した(図2c)。さらに、CARとiMCの両方で改変されたT細胞は、IL−2を産生しただけでなく、CD25の発現をアップレギュレートし、腫瘍抗原とリミズシドの両方の存在下において増殖した(図2dおよび2e)。IL−2の産生に対する必要条件をさらに定義するために、T細胞に、PSCA.ζ有りまたは無しでiMCまたはコントロールベクター(FKBP)を形質導入し(図10d)、網羅的解析を行ったところ、腫瘍抗原の刺激およびリミズシドの活性化が変化した(図2f)。iMCおよびCARだけを形質導入され、腫瘍抗原とリミズシドの両方で刺激されたT細胞だけが、IL−2を産生した。重要なことには、リミズシドによって誘導されるiMCの活性化は、同様に、外来性IL−2またはTCR活性化の非存在下においてCAR T細胞の生存を改善した(図11)ことから、CARおよびiMCを介した同時活性化は、T細胞の応答を増幅し得るが、iMCの活性化のみでは、生存および存続を改善し得ることが示唆される。
【0432】
実施例5:誘導可能なMyD88/CD40によるCAR発現T細胞の活性化は抗腫瘍活性を高める
腫瘍細胞およびリミズシドによるCARとiMCとの同時活性化が、抗腫瘍有効性の改善に変換されるかを評価するために、免疫不全マウスにおける腫瘍異種移植研究を行った。Capan−1腫瘍細胞を皮下移植されたShorn(「SHrN」無毛NOD.SCID)マウスを、形質導入されていないT細胞またはiMCもしくはコントロールベクターとともにPSCA.ζCARを同時形質導入されたT細胞で2回、静脈内処置した(図3a)。リミズシド(5mg/kg)を、1日目から100日目まで1週間に2回、腹腔内(i.p.)注射によって投与し、外来性IL−2を21日目まで投与した。インビトロ研究によると、iMCおよびPSCA.ζCARを形質導入されたT細胞で処置されたマウスは、形質導入されていないT細胞またはPSCA.ζCARおよびコントロールベクターで形質導入されたT細胞と比べて、有意に改善された腫瘍管理および生存を示した(図3bおよび3c)。iMCの架橋は、T細胞の共刺激をもたらすとみられるので、iMCが第2世代PSCA−CAR(PSCA.28.ζ)におけるCD28の機能(例えば、増殖および生存の増加)に取って代わり得るかを判定するために、iMCを試験した(図4b)。ここで、形質導入されていないT細胞、あるいはFKBPおよびPSCA.ζもしくはPSCA.28.ζまたはiMCおよびPSCA.ζで改変されたT細胞(図12a)を、共培養アッセイにおいて、腫瘍殺滅およびIL−2分泌について調べた。CD28シグナル伝達ドメインを含めることによって、腫瘍殺滅、T細胞増殖およびIL−2産生が改善されたが、これらの特徴は、iMC活性化によってなおもさらに高度に増強された(図12b〜12d)ことから、iMCは、CAR分子内に組み込まれたアクセサリーシグナル伝達ドメインの代わりに、リミズシド依存的共刺激スイッチとして作用し得ることが示唆される。このことをインビボにおいて評価するために、Capan−1腫瘍を有する免疫不全マウスを単回のPSCA.ζ、PSCA.28.ζまたはPSCA.ζおよびiMCによって改変されたT細胞で処置し、次いで、IL−2補充なしで5mg/kgのリミズシドを隔週で投与した(図13a)。PSCA.ζおよびコントロールベクターを発現しているT細胞またはPSCA.28.ζを発現しているT細胞と比べて、PSCA.ζおよびiMCによって改変されたT細胞は、腫瘍量の有意な減少および全体的な生存の改善をもたらした(図13bおよび13c)。これらのデータから、IL−2産生およびおそらく他の因子の増加が、CD28内部ドメインを含むCAR分子によって達成される上記のT細胞の存続および抗腫瘍機能を改善することが示唆される。
【0433】
実施例6:誘導可能なMyD88/CD40によって刺激された細胞における、CARによって改変されたT細胞の拡大
リミズシドによって媒介されるiMCの活性化は、CARによって改変されたT細胞に対して成長の利点を提供したので、インビボにおけるT細胞の拡大を、NOD/SCID IL−2Rγ欠損(NSG)マウスにおいて生物発光(BLI)を用いて調べた。形質導入されていないものおよびiMCまたはFKBPを同時形質導入されたPSCA.ζCARに、続いて、EGFP−ホタルルシフェラーゼ融合タンパク質(EGFPluc)をコードするレトロウイルスを形質導入し(図14)、それを、Capan−1腫瘍を有するNSGマウスに注入し、2.5mg/kgリミズシドで1週間に1回(qw)または1週間に2回(biw)処置し、生物発光をイメージングした(図3d)。リミズシドの全身投与によるiMCの活性化によって、iMC活性化を欠くT細胞と比べて、高い腫瘍管理が可能になった(図3e)。インビボイメージングは、リミズシドで処置されたマウスの全身(図3fおよび3g)と皮下腫瘍部位(図3h)の両方において、T細胞のBLIの劇的な増加を示した。これらのデータは、リミズシドを用いたT細胞共刺激の外部管理によって、T細胞の拡大および有効性がインビボにおいて調節できることを示している。
【0434】
実施例7:実施例2〜6および本明細書における引用
【表B-1】
【表B-2】
【表B-3】
【0435】
【表1】
【0436】
【表2】
【0437】
【表3】
【0438】
【表4】
【0439】
実施例8:より低い基底活性を有する誘導可能なMyD88/CD40キメラ(chimeri)刺激分子
中程度の二量体化剤(dimerizer)非依存的な(「基底」の)NF−κB誘導およびIL−6分泌が、時折、誘導可能なMyD88/CD40キメラ刺激分子を用いたとき観察される。この活性は低いにもかかわらず、アミノ末端のミリストイル化領域を含まない改変されたMyD88/CD40キメラ刺激分子がデザインされた。この改変されたMyD88/CD40キメラ刺激分子は、アミノ末端のミリストイル化領域を含むキメラ刺激分子よりも低いレベルの自発的な二量体化、すなわち、より低い基底活性を有するかを判定するために試験された。
【0440】
「iMC」のミリストイル化標的化ドメインの役割を厳密に実証するために、pBP180−SFG−iMC−2A−aCD19−CD34e−ゼータ(図63を参照のこと)を用いて、約2kbのBsrGI−SacIIフラグメントを、v−Srcに由来する14アミノ酸のミリストイル化標的化アミノ末端を欠く類似のフラグメントで置き換えることによって、バイシストロニックなγ−レトロウイルスベクターを構築した。その親ベクターをさらに「クリーンアップ(clean−up)」するために、最適以下のリボソーム負荷「Kozak」配列の後にあるベクター180内の上流の余分なインフレームのATGを除去して、わずかに改変されたpBP180(「pBP607」と呼ばれる)、およびミリストイル化されていない(non−myristorylated)iΔを含む新しい試験ベクター「pBP606−pSFG−iΔMC.2A−aCD19.Q.8stm.CD3ζ」を得た(図15)。さらに、そのミリストイル化されていないiMCベクターの「一般的な」バージョンを作製するために、上記のような2つ目の上流のATGを、ΔCD19を共発現するiMCベクターであるpBP0172−SFG−iMCnoE−2A−ΔCD19から除去することにより、pBP609を得て、pBP609由来の除去されたミリストイル化標的化配列を除去することにより、「pBP608−pSFG−iΔMC−2A−ΔCD19」を得た(図16)。
【0441】
ミリストイル化されていないiMCの機能をミリストイル化されたiMCと比較して試験するために、対応するレトロウイルスベクターを、SFGをコードするプラスミドから作製し、ミリストイル化されたまたはミリストイル化されていないiMCを、同一の5’非翻訳領域または対応する元のベクターpBP0172およびpBP0180、わずかに改変された5’末端とともに含み、さらにそれぞれΔCD19または抗CD19 CAR−CD3ζを含む3セットのウイルスベクターを1ヒトT細胞に形質導入した。ウイルスへの曝露の2日後に、抗CD19(172、606および607)または抗CD34(180、608および609)を用いて、形質導入されたT細胞のフローサイトメトリーを行ったところ、感染が成功したこと、および各群内でベクター間の発現レベルが匹敵していたこと(それぞれ約80%または約40%;示さず)が確かめられた。その後、等しい数の細胞を、10nMリミズシドの存在下または非存在下において再プレーティングし、24時間後に、培養した培地を、ELISAによってIL−6についてアッセイした(図17)。
【0442】
等しい数(5個)のT細胞芽球を、ウイルスでコーティングされた24ウェルプレートに加えた。48時間後、細胞を回収し、CD19の発現(ベクター172、606および607)またはCD34 Qエピトープの発現(180、608および609)についてアッセイした。細胞を回収し、10nMリミズシド有りまたは無しで再プレーティングした。24時間後、上清を回収し、ELISAによってIL−6のレベルについてアッセイした。上清を10倍(17a)または50倍(17b)希釈した。1O.D.約300ng/ml(検量線から)。
【0443】
172と180の両方のファミリーのベクターに対する結果は、ミリストイル化されていないiΔMC構築物が、予測されたように、リミズシドの非存在下において、より少ないIL−6を産生したことを示唆する;が、IL−6の誘導されたレベルは、低下しなかった。ゆえに、ミリストイル化されていないiΔMCは、CD3ζシグナル伝達の非存在下において(TCRシグナル伝達に相当する)、よりコントロール可能なリミズシド(rimudicid)依存的活性化シグナルを提供し得る。
【0444】
ミリストイル化されていない誘導可能なMyD88/CD40(iΔMC)とミリストイル化された誘導可能なMyD88/CD40(iMC)とをさらに比較するために、抗CD19第1世代CAR+iMC(180)またはiΔMC(608)を含む細胞を、CD19Raji腫瘍細胞有りまたは無しおよびリミズシド有りまたは無しで培養し、IL−2とIL−6の両方をアッセイした。
【0445】
形質導入されていない(NT)T細胞、ならびにiMCおよびミリストイル化されていないiΔMCを使用できるCAR構築物を形質導入されたT細胞をCD19Raji腫瘍細胞とともに、T細胞と腫瘍細胞との比が1:1で24ウェルプレートにおいて共培養した。続いて、T細胞を10nMリミズシドで刺激した。24時間後、上清を回収し、ELISAを用いてIL−6(18a)およびIL−2(18b)の産生について測定した。
【0446】
上記のIL−6アッセイと同様に、外来性の刺激の非存在下において、iΔMC(608)によって改変された細胞は、最初のiMC−19構築物(180)を発現する細胞よりも少ないIL6を分泌した(図18、左のパネル)。IL−2について同様の結果が観察された(図18、右のパネル)。さらに、Raji細胞の存在は、IL−6に関して、180および608によって改変された細胞の基底のシグナル伝達を有意に変化させなかった。興味深いことに、Raji細胞の存在は、リミズシドの非存在下でさえも、iMCまたはiΔMCによるIL−2の高レベル産生をもたらしたことから、iΔMCの基底のシグナル伝達は、iMCのそれよりも低いが、完全なCD19依存性IL−2産生にとってなおも十分であることが示された。それにもかかわらず、CD19hiのリンパ腫細胞は、例外である可能性があり、IL−2産生のリミズシド依存性は、B細胞由来の腫瘍によって与えられる残残存APC様特性がなければ、上皮由来の腫瘍細胞において、より厳重にコントロールされる可能性がある。これは、B細胞が、DCのような他のAPCと同様に、CD80およびCD86のような共刺激分子に加えて、より高いレベルのMHCクラスIIを発現するからである。
【0447】
iΔMCにおけるような、iMCからのミリストイル化標的化ドメインの除去は、MyD88/CD40キメラ共刺激分子のより低いリミズシド非依存的基底活性をもたらし、より少ないNF−κBシグナル伝達およびより少ない自発的なIL−6産生をもたらす。T細胞の生存および拡大は、5−アミノ末端にミリストイル化領域を含まないMyD88/CD40キメラ刺激分子を用いて、インビボにおいて、より厳重にコントロールされ得る。これらの構築物を形質導入されたT細胞は、CIDの非存在下では、より低い二量体非依存的毒性およびより低い存続を有し得る。それらは、滴定によって決定された最適なレベルのリミズシドを用いて、T細胞の拡大および腫瘍サイズのコントロールを高めることも可能にし得る。
【0448】
したがって、本明細書中に提供される誘導可能なMyD88/CD40キメラ共刺激分子による共刺激のレベルをコントロールするために、様々な投与量のAP1903が提供されるという点において、T細胞を活性化するための方法が調整できる実施形態も提供される。
【0449】
実施例9:プラスミドを構築するために使用されたポリヌクレオチド配列
pSFG−iΔMC−2A−aCD19−Q−8stm−CD3ζ(随意のミリストイル化標的化ドメインを伴う)。
【0450】
【表5-1】
【0451】
【表5-2】
【0452】
【表5-3】
【0453】
【表5-4】
【0454】
【表5-5】
【0455】
pSFG−idMC−2A−dCD19(随意のミリストイル化標的化ドメインを伴う)。
【0456】
【表6-1】
【0457】
【表6-2】
【0458】
【表6-3】
【0459】
実施例10:特定の核酸配列およびアミノ酸配列の例
【0460】
【化1】
【0461】
【化2】
【0462】
【化3】
【0463】
【化4】
【0464】
実施例11:種々の細胞型における誘導可能なキメラポリペプチドの発現
本願の誘導可能なキメラポリペプチドを、様々な細胞型において、腫瘍抗原とともに発現させた。形質導入された細胞は、キメラポリペプチドを発現し、免疫応答を誘導したことがケモカインおよびサイトカインの分泌によって実証された。例えばIL−6の発現によって実証されるような免疫応答は、AP1903リガンドの存在下と非存在下の両方において活性化された。細胞株には、ケラチノサイト、メラノサイト(例えば、B16−F10メラノーマ)、マクロファージ(例えば、IC−21)および線維芽細胞(例えば、BLK−CL4)が含まれた。図22は、AP1903と接触した後のキメラポリペプチドの発現が、形質導入された細胞において炎症性サイトカインおよびケモカインの発現を誘導し得るプロセスの模式的な概要を提供している。図23は、形質導入された細胞におけるPSMAの発現およびサイトカインの分泌を測定するために使用されたアッセイの模式図を提供している。それらの細胞は、4つのアデノウイルスAd5ベクター:Ad5−iMC−RP−FL;Ad5−iMC−P2A−P−FL;Ad5f35iMC−RP−FL;またはAd5f35iMC−P2A−FLのうちの1つで形質導入された。図24は、IC−21マクロファージの形質導入の後の結果のグラフを提供しており、IL−6を産生することによるAP1903に対する応答を示している。IC−21マクロファージは、24ウェルプレートにおいて100,000細胞/ml/ウェルで培養された。アデノウイルスを、1000、2000、4000、8000および16000v.p./細胞比で加え、細胞を24時間インキュベートした。その後、100nMのAP1903をすべてのウェルに加え、翌日、細胞および培養上清を回収した。A.細胞を抗ヒトPSMA抗体LNI−17(Biolegend,San Diego,CA)で標識し、PSMAの発現をフローサイトメトリーによって解析した。形質導入されていない細胞と比較したときのPSMA細胞のパーセンテージが表されている。B.IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。図25は、種々のレベルの細胞プレーティングおよび感染効率においてキメラポリペプチドを形質導入されたマクロファージにAP1903を加えた後のIL−6の発現も評価している。IC−21マクロファージは、24ウェルプレートにおいて50,000細胞/ml/ウェルで培養された。アデノウイルスを、6000、12000、18000、24000および30000v.p./細胞比で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903をすべてのウェルに加え、翌日、細胞および培養上清を回収した。A.細胞を抗ヒトPSMA抗体LNI−17(Biolegend,San Diego,CA)で標識し、PSMAの発現をフローサイトメトリーによって解析した。形質導入されていない細胞と比較したときのPSMA細胞のパーセンテージが表されている。B.IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。図26は、形質導入された細胞の活性化がAP1903の添加有りおよび無しで生じたことを実証しているアッセイの結果を提示している。IC−21マクロファージは、6ウェルプレートにおいて300,000細胞/ウェルで培養された。アデノウイルスを、Ad5f35−iMC−RP−FLに対しては24,000v.p./細胞比で、およびAd5−iMC−P2A−P−FLに対しては18000v.p./細胞で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903を加え、6時間後および20時間後に培養上清を回収した。IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。
【0465】
図27は、B16−F10メラノーマ細胞の形質導入の後の結果のグラフを提供しており、IL−6を産生することによるAP1903に対する応答を示している。B16.F10メラノーマは、24ウェルプレートにおいて100,000細胞/ml/ウェルで培養された。アデノウイルスを、1000、2000、4000、8000および16000ウイルス/細胞比で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903をすべてのウェルに加え、翌日、細胞および培養上清を回収した。A.細胞を抗ヒトPSMA抗体LNI−17(Biolegend,San Diego,CA)で標識し、PSMAの発現をフローサイトメトリーによって解析した。形質導入されていない細胞と比較したときのPSMA細胞のパーセンテージが表されている。B.IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。図28は、種々の感染効率およびプレーティング濃度におけるアッセイの結果を提供している。B16メラノーマは、24ウェルプレートにおいて50,000細胞/ml/ウェルで培養された。アデノウイルスを、6000、12000、18000、24000および30000ウイルス/細胞比で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903をすべてのウェルに加え、翌日、細胞および培養上清を回収した。A.細胞を抗ヒトPSMA抗体LNI−17(Biolegend,San Diego,CA)で標識し、PSMAの発現をフローサイトメトリーによって解析した。形質導入されていない細胞と比較したときのPSMA細胞のパーセンテージが表されている。B.IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。図29は、AP1903の存在下および非存在下におけるIL−6アッセイの棒グラフを提供しており、形質導入された細胞が、AP1903の添加無しでIL−6を産生することを示している。B16メラノーマ細胞は、6ウェルプレートにおいて300,000細胞/ウェルで培養された。アデノウイルスを、Ad5f35−iMC−RP−FLに対しては24,000v.p./細胞比で、およびAd5−iMC−P2A−P−FLに対しては18000v.p./細胞で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903を加え、6時間後および20時間後に培養上清を回収した。IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。
【0466】
図30は、BLK CL4線維芽細胞の形質導入の後の結果のグラフを提供しており、IL−6を産生することによるAP1903に対する応答を示している。BLK.CL4線維芽細胞は、24ウェルプレートにおいて175,000細胞/ml/ウェルで培養された。アデノウイルスを、6000、12000、18000、24000および30000ウイルス/細胞比で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903をすべてのウェルに加え、翌日、細胞および培養上清を回収した。A.細胞を抗ヒトPSMA抗体LNI−17(Biolegend,San Diego,CA)で標識し、PSMAの発現をフローサイトメトリーによって解析した。形質導入されていない細胞と比較したときのPSMA細胞のパーセンテージが表されている。B.IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。図31では、BLK.CL4線維芽細胞は、6ウェルプレートにおいて350,000細胞/ウェルで培養された。アデノウイルスを、20,000v.p./細胞比で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903を加え、翌日、培養上清を回収した。IL−6を、ELISA(e−Bioscience,San Diego,CA)によって培養上清から評価した。
【0467】
図32は、形質導入された細胞の活性化を決定するために使用された遺伝子発現アッセイの模式図を提供している。マクロファージを用いるこのアッセイにおいて、図33は、AP1903応答性を調べるマクロファージベースのアッセイである。IC−21マクロファージは、6ウェルプレートにおいて300,000細胞/ウェルで培養された。アデノウイルスを、Ad5f35−iMC−RP−FLに対しては24,000v.p./細胞比で、Ad5−iMC−P2A−P−FLに対しては18,000v.p./細胞で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903を加え、20時間後に細胞を回収した。それらの細胞からのIL−1、IL−6およびTNF−アルファのmRNA遺伝子発現を、Syber green(Biorad,Hercules,CA)を用いるRT−PCRによって評価した。図34は、CXCL1およびCXCL10の遺伝子発現のアッセイの結果を示している。IC−21マクロファージは、6ウェルプレートにおいて300,000細胞/ウェルで培養された。アデノウイルスを、Ad5f35−iMC−RP−FLに対しては24,000v.p./細胞比で、Ad5−iMC−P2A−P−FLに対しては18,000v.p./細胞で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903を加え、20時間後に細胞を回収した。それらの細胞からのCXCL1およびCXCL10のmRNA遺伝子発現を、Syber green(Biorad,Hercules,CA)を用いるRT−PCRによって評価した。図35は、CCL2およびCCL3の遺伝子発現のアッセイの結果を示している。IC−21マクロファージは、6ウェルプレートにおいて300,000細胞/ウェルで培養された。アデノウイルスを、Ad5f35−iMC−RP−FLに対しては24,000v.p./細胞比で、Ad5−iMC−P2A−P−FLに対しては18000v.p./細胞で加え、細胞を24時間インキュベートした。次いで、100nMのAP1903を加え、20時間後に細胞を回収した。それらの細胞からのCCL2およびCCL3のmRNA遺伝子発現を、Syber green(Biorad,Hercules,CA)を用いるRT−PCRによって評価した。
【0468】
メラノーマ、線維芽細胞、マクロファージおよびケラチノサイト細胞株をはじめとした様々な細胞の形質導入の例が、本実施例に含まれる。マクロファージにおけるIL−6の活性化が、AP1903の存在下または非存在下において生じた。形質導入された細胞株におけるIL−6の遺伝子発現ならびに他のサイトカインおよびケモカインの遺伝子発現が、AP1903によって誘導された。
【0469】
実施例12:プラスミド構築配列
以下のヌクレオチド配列を使用して、Ad5−iMC−P2A−P−FLおよびAd5f35−iMC−P2A−P−FLベクターを構築した。それらのヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列も提供される。
【0470】
【化5】
【0471】
【化6】
【0472】
【化7】
【0473】
プラスミドベクターの図は、図37に提供されている。
【0474】
pAd1127−02.iMC−P2A−P−FLは、Ad5−iMC−P2A−P−FLと血清型35シュードタイプ化Ad5f35−iMC−P2A−P−FLの両方を作製するために使用されたシャトルベクターである。それは、誘導可能なMyD88/CD40および完全長PSMAを、CMVpおよびウシ成長ホルモンポリA部位によって駆動される同じ転写物上に含む。CMV−iMC−P2A−P−FLに対する配列は、以下のようなハイライトが付けられた様々な領域を伴う:緑色:CMVプロモーター、青色:ミリストイル化ドメイン、赤色:MyD88L、橙色:CD40、緑がかった青色:FKBPv36(コドンゆらぎ)、琥珀色:FKBPv36(WT配列)、黄緑色:P2Aペプチド、赤色下線:PSMA−FL、茶色:BGHpA
【0475】
実施例13:Tリンパ球における誘導可能なキメラポリペプチドの発現
初代T細胞におけるiMCの活性化を試験する実験:
1.293T細胞の一過性のトランスフェクションによってレトロウイルスを生成する:
2.CD3/CD28によって活性化されたT細胞にSFG−MC.Fv1.Fv2.2A.ΔCD19プラスミドベクター(配列はこの実施例および図36に提供されている)を形質導入し、フローサイトメトリーによってCD3CD19の発現を調べることによって形質導入効率を測定する。
3.10nM AP1903有りまたは無しでT細胞を活性化し、24、48および72時間後に以下の解析を行う:
a.マルチプレックス解析を用いて、サイトカインおよびケモカインの産生を測定する。
b.CD25、CD69、CD80、CD86ならびにMHCクラスIおよびII抗体を用いて、CD4およびCD8T細胞の活性化の表現型を測定する。
c.CFSE希釈および細胞数測定を用いて、増殖を測定する。
d.Alamar blueアッセイおよび細胞数測定アッセイを用いて、外来性IL−2の非存在下における細胞生存を測定する。
4.さらなるマーカー(例えば、CD62LおよびCD45RAおよびCD45RO)を用いて、CD4およびCD8T細胞のメモリーの表現型を調べる。
5.TGFβおよび/またはIL−10を産生するTreg細胞の存在下における、休止T細胞およびiMCによって活性化されたT細胞の耐性を試験する。
【0476】
予想される結果:
1.iMCの架橋は、この実施例において列挙されるT細胞活性化マーカーを用いてアッセイしたとき、T細胞の活性化を駆動し、T細胞増殖を増加させるTh1サイトカイン(例えば、IL−2およびIFNγ)および細胞傷害性を増加させるIFNγの同化を増大する。2.T細胞は、iMCの架橋によって活性化され、アポトーシスの変化は、ほとんどまたは全く無い。
3.メモリーの表現型(phonotype)の増加ならびにTreg細胞の阻害作用に対するCD4およびCD8+T細胞の耐性の増大が観察される。
【0477】
本実施例は、誘導可能なキメラポリペプチドをTリンパ球において発現させるために使用される方法の例を提供する。誘導可能なキメラMyD88/CD40ポリペプチドを用いる特定の例が提供される。同様の方法が、誘導可能なキメラMyD88またはCD40ポリペプチドに適用され得る。
【0478】
誘導可能なMyD88/CD40ポリペプチドであるiMyD88/CD40(iMC)をT細胞において試験するために、同じ転写物上でiMCおよび切断型CD19マーカーをコードするレトロウイルスプラスミドベクターpSFG.Myr−MC−Fv1−Fv2−2A−ΔCD19(「pSFG.iMC−2A−ΔCD19」)を、gag−pol発現ベクターおよびRD114エンベロープベクターとともに293細胞に一過性にコトランスフェクトすることにより、高力価のレトロウイルスを作製する。
【0479】
誘導可能なポリペプチドは、Gly−Ser−Gly−Gly−Gly−SerリンカーとともにMyD88またはCD40配列に連結された2つのFK506結合タンパク質(FKBP、例えば、F36V変異を含むFKBP12v36バリアント、すなわちFKBP12;GenBank AH002818))を含む。レトロウイルスにおいて発現されたときの相同組換えを防ぐために、FKBP(F2)のうちの1つのアミノ酸配列をコドンゆらぎにする(例えば、各アミノ酸コドンの3番目のヌクレオチドを、元々コードされていたアミノ酸を維持したサイレント変異によって変更する)。それらの構築物を、SFGにクローニングする;それらは、pLenti7.3にもクローニングされ得る。
【0480】
293T細胞を、これらの各構築物でトランスフェクトし、形質導入の48時間後に、マーカー遺伝子GFPまたはΔCD19の発現をフローサイトメトリーによって解析する。GFPまたはΔCD19の発現レベルに加えて、発現された遺伝子産物をウエスタンブロットによって解析することにより、キメラポリペプチドの発現も確かめる。
【0481】
トランスフェクトされた293T細胞を、アプロチニン、ロイペプチンおよびフッ化フェニルメチルスルホニル(Boehringer,Ingelheim,Germany)を含む溶解緩衝液(50%Tris/Gly、10%ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]、4%ベータ−メルカプトエタノール、10%グリセロール、12%水、4%ブロモフェノールブルー0.5%)に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートする。30分間の遠心分離の後、上清を収集し、1:2でLaemmli緩衝液(Bio−Rad,Hercules,CA)と混合し、煮沸し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルにローディングする。膜を、ウサギ抗共刺激ポリペプチド免疫グロブリンG(IgG;Affinity BioReagents,Golden,CO;1:500希釈)およびマウス抗GFP IgG(Covance,Berkeley,CA;1:25,000希釈)でプロービングする。次いで、ブロットを、適切なペルオキシダーゼ結合二次抗体に曝露し、タンパク質の発現を、高感度化学発光(ECL;Amersham,Arlington Heights,IL)で検出する。次いで、その膜をストリッピングし、ヤギポリクローナル抗アクチン(Santa Cruz Biotechnology;1:500希釈)でリプロービングすることにより、ローディングの質を調べる。
【0482】
誘導可能な発現構築物の評価
細胞株
がん細胞株LNCaP、PC3、DU145およびA549、ならびにヒト胎児腎細胞株HEK−293Tを、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から入手する。細胞を、37℃における5%二酸化炭素(CO2)を含む加湿雰囲気において、10%ウシ胎児血清(Hyclone,Waltham,MA)および2mM L−グルタミンを含む完全IMDM(Sigma,St Louis,MO)中で維持する。形質導入されたT細胞およびPHA芽球を、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC(Cellgenix)培地中で維持する。
【0483】
T細胞の活性化
拡大および形質導入のためのT細胞の活性化は、可溶性αCD3およびαCD28(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して行われる。PBMCを、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC培地に、1×10細胞/mlで再懸濁し、0.2μg/ml αCD3および0.5μg/ml αCD28可溶性抗体で刺激する。次いで、細胞を37℃、5%CO2において4日間培養する。4日目に、IL−2を含む1mlの新鮮培地を加える。7日目に、形質導入に向けて、細胞を収集し、Cellgenix DC培地に再懸濁する。
【0484】
レトロウイルス構築物およびレンチウイルス構築物
誘導可能なキメラポリペプチドの構築物は、Blue Heron Bio(Bothell,WA)によって合成され、模式図が図36に示されている。そのキメラポリペプチドの発現、ならびに炎症性サイトカインおよびケモカインの発現および分泌の評価を、これらの導入遺伝子をコードするレトロウイルスまたはレンチウイルスをT細胞に個別にまたは同時に形質導入することによって行う。
【0485】
レトロウイルス形質導入
レトロウイルスの一過性の生成のために、GeneJuiceトランスフェクション試薬(Novagen,Madison,WI)を使用して、gag−polおよびRD114エンベロープをコードするプラスミドとともに、キメラポリペプチド構築物で293T細胞をトランスフェクトする。トランスフェクションの48〜72時間後にウイルスを収集し、急速凍結し、使用するまで約80℃で保存する。レンチウイルスの一過性の生成のために、GeneJuiceを使用して、プラスミドpLP1(gag/pol)、pLP2(rev)およびpLP/VSVG(VSVG env)とともに、上記構築物で293T細胞をトランスフェクトする。トランスフェクションの48〜72時間後にウイルスを収集し、急速凍結し、使用するまで約80℃で保存する。大規模なレトロウイルスの生成のために、一過性VSV−Gシュードタイプ化レトロウイルス上清を用いた複数回の形質導入によって、安定なFLYRD18由来レトロウイルス産生株を作製する。導入遺伝子発現が最も高いFLYRD18細胞を、単一細胞ソーティングし、最も高いウイルス力価をもたらすクローンを拡大し、リンパ球形質導入のためのウイルスを作製するために使用する。このクローンの導入遺伝子発現、機能およびレトロウイルス力価は、8週間超にわたる連続培養中、維持される。組織培養用の処理が行われていない24ウェルプレートを、37℃において1時間または4℃において一晩、7μg/ml Retronectin(TakaraBio,Otsu,Shiga,Japan)でコーティングする。それらのウェルを、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、次いで、37℃において30分間、プレートを1.5mlの上清とともにインキュベートすることによって、レトロウイルス上清でコーティングする。続いて、T細胞芽球を、100U/ml IL−2が補充されたウイルス上清において1ウェルあたり5×10細胞でプレーティングする。60時間にわたって形質導入を行う。形質導入後、細胞を収集し、フローサイトメトリーによってCD19またはGFPの発現について表現型分析を行う。
【0486】
形質導入されたT細胞の細胞傷害性
形質導入された各T細胞株の細胞傷害活性は、例えば、以前に提示されたような標準的な4時間の51Cr放出アッセイにおいて評価され得る。T細胞に上記レトロウイルスまたはレンチウイルスを形質導入し、それを、フィトヘマグルチニン(PHA)によって刺激された自家リンパ球(PHA芽球)、LNCaP、PC3またはDU145およびA549がん細胞株、ならびにヒトPSMAを発現するトランスジェニックA549(A549−PSMA)を含む、Cr51で標識された標的細胞と比較する。完全培地または1%Triton X−100(Sigma,St Louis,MO)中でインキュベートされた標的細胞をそれぞれ自発的なおよび最大の51Cr放出を決定するために使用する。3つ組ウェルの特異的溶解の平均パーセンテージを、100×(実験による放出−自発的な放出)/(最大放出−自発的な放出)として計算した。クロム放出アッセイに加えて、共培養実験を行う。ここでは、細胞株LNCaP、PC3、DU145、A549およびA549−PSMAを、蛍光性mOrangeを発現するように形質導入し、標的細胞として使用する。mOrangeを発現している腫瘍細胞を、完全培地中、IL−2(50U/ml)の存在下において、形質導入されていないT細胞または改変されたT細胞とともに、腫瘍細胞とT細胞とが1:10という比で共培養する。24時間後、T細胞を100nM AP1903で刺激する。72時間後、細胞を捕集し、カウントし、T細胞を検出するためにCD3で標識し、mOrange腫瘍細胞のパーセンテージをフローサイトメトリー(LSRII;BD)によって解析する。
【0487】
形質導入されたT細胞の表現型分析および活性化状態
形質導入されたT細胞の細胞表面の表現型を、以下のモノクローナル抗体を使用して調べる:CD3、CD4、CD8、CD19、CD25、CD27、CD28、CD44、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD80、CD83、CD86、CD127、CD134、CD137、HLA−ABCおよびHLA−DR。100nM AP903を用いておよび用いずに、表現型分析を行う。適切なアイソタイプマッチコントロールを各実験において使用し、LSRIIフローサイトメーター(BD)を用いて細胞を解析する。抗F(ab’)2(Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,PA)を使用して、キメラポリペプチドの発現を評価する。
【0488】
形質導入されたT細胞のサイトカイン産生の解析
100nM AP1903による刺激の前および後(24時間)のT細胞培養上清中のインターフェロン−γ(IFN−γ)、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10および腫瘍壊死因子−α(TNFα)の濃度を、ヒトTh1/Th2サイトカインサイトメトリビーズアレイ(BD Pharmingen)を使用して測定する。培養上清中の誘導されたサイトカイン産生を、製造者の指示書に従って酵素結合免疫吸着測定法(ELISA;R&D Systems,Minneapolis,MN)によって検証する。
【0489】
形質導入されたT細胞の増殖
AP1903によって誘導される活性化の増殖効果を、AP1903に曝露した後の、形質導入されたT細胞および形質導入されていないT細胞の細胞成長を測定することによって評価する。T細胞を、37℃において10分間、10μMカルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル(CFSE)で標識する。インキュベーション後、細胞をPBS中で洗浄し、次いで、Cellgenix DC培地に再懸濁する。その後、1×10個のCFSEで標識された改変T細胞または形質導入されていないT細胞を、Cellgenix DC培地のみにおいて培養するか、または100nM AP1903で刺激する。5日後、細胞を収集し、CD3−PerCP.Cy5.5およびCD19−PEで標識し、CFSE希釈についてフローサイトメトリーによって解析する。
【0490】
可溶性免疫グロブリンが、形質導入されたTリンパ球の増殖および拡大に影響するかを評価するために、いかなる外来性サイトカインも加えずに、健常ドナーから得られたヒト血漿の段階希釈物または精製されたヒト免疫グロブリン(Jackson ImmunoResearch)の段階希釈物とともに細胞を1×10細胞/ウェルで培養する。72時間後、それらの細胞を、1μCi(0.037MBq)メチル−3[H]チミジン(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)でパルスし、さらに15時間培養する。次いで、それらの細胞を、フィルター上に収集し、乾燥させ、毎分のカウント数を、β−シンチレーションカウンター(TriCarb 2500 TR;Packard BioScience,Meridien,CT)において測定する。これらの実験は、3つ組で行う。他の実験では、コントロールおよび改変されたTリンパ球を、培地のみ、または血漿もしくは精製された免疫グロブリンの段階希釈物を1日おきに加えた培地を用いて培養する。次いで、トリパンブルー排除を用いて細胞を2日おきにカウントする。
【0491】
インビボ実験
インビボにおける腫瘍サイズに対する活性化T細胞の効果は、例えば以下のとおりアッセイされ得る。6〜8週齢の非肥満糖尿病重症複合免疫不全(NOD/SCID)マウスに照射し(250rad)、Matrigel(BD Bioscience)に再懸濁された10×10〜15×10個のLNCaP腫瘍細胞を、そのマウスの右側腹部の皮下に注射する。2週間後、直径がおよそ0.5cmの腫瘍を有するマウスの尾静脈に、形質導入されていないT細胞または形質導入されたT細胞(合計15×10個)を注射する。それらのマウスを、ランダムに2群に分ける:T細胞を拡大するために、1群には、CID(50μg AP1903、腹腔内、1週間に2回)を投与し、もう1群には、キャリアのみ(16.7%プロパンジオール、22.5%PEG400および1.25%Tween80、腹腔内、1週間に2回)を投与する。21日間にわたるノギス測定によって、腫瘍の成長についてマウスを評価する。末梢血サンプルを、7、14および21日目に後眼窩出血によって採取することにより、ヒトCD3/ヒトCD19発現T細胞に対するフローサイトメトリー解析を用いて、形質導入されたT細胞またはコントロールT細胞の残留および拡大を測定する。
【0492】
注釈付きベクター配列:
8931bp ds−DNA
/note=“MMLV Psi”
/note=“モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)のパッケージングシグナル”
CDS 1226..3802
/codon_start=1
/note=“iMC−2A−デルタ−CD19”
/translation=”
【0493】
【化8】
【0494】
【化9】
【0495】
misc_feature 1226..1267
/note=“Myr”
misc_feature 1268..1273
/note=“XhoI”
misc_feature 1274..1789
/note=“MyD88”
misc_feature 1790..1975
/note=“デルタ−CD40”
misc_feature 1976
/note=“SalI”
misc_feature 1977..1981
/note=“XhoI”
misc_feature 1982..1999
/note=“L1”
misc_feature 2000..2320
/note=“LFv1”
misc_feature 2327..2647
/note=“Fv2L”
misc_feature 2648..2665
/note=“L1”
misc_feature 2666
/note=“SalI”
misc_feature 2667..2671
/note=“SalI”
misc_feature 2672..2683
/note=“フューリン”
misc_feature 2684..2725
/product=“サルウイルス5由来のエピトープタグ”
/note=“V5タグ”
misc_feature 2726..2794
/note=“L−2A”
misc_feature 2795..2800
/note=“MluI”
misc_feature 2801..3802
/note=“dCD19”
misc_feature 3962..4551
/note=“LTR”
primer_bind complement(5250..5266)
/note=“M13 fwd”
/note=“共通のシークエンシングプライマー、複数の類似のバリアントのうちの1つ”
promoter 5741..5845
/gene=“bla”
/note=“AmpRプロモーター”
CDS 5846..6706
/codon_start=1
/gene=“bla”
/product=“ベータ−ラクタマーゼ”
/note=“AmpR”
/note=“アンピシリン、カルベニシリンおよび関連する抗生物質に対する耐性を付与する”
/translation=”
【0496】
【化11】
【0497】
rep_origin 6877..7465
/direction=RIGHT
/note=“ori”
/note=“高コピー数colE1/pMB1/pBR322/pUC複製起点”
promoter 7789..7819
/note=“lacプロモーター”
/note=“大腸菌のlacオペロンに対するプロモーター”
protein_bind 7827..7843
/bound_ moiety=“lacIによってコードされるlacリプレッサー”
/note=“lacオペレーター”
/note=“このlacリプレッサーは、lacオペレーターに結合して、大腸菌における転写を阻害する。この阻害は、ラクトースまたはイソプロピル−ベータ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を加えることによって軽減され得る”
primer _bind7851..7867
/note=“M13 rev”
/note=“共通のシークエンシングプライマー、複数の類似のバリアントのうちの1つ”
LTR 8276..8869
/note=“モロニーマウス白血病ウイルス由来の長い末端反復配列”
ORIGIN
【0498】
【化12】
【0499】
【化13】
【0500】
【化14】
【0501】
【化15】
【0502】
【化16】
【0503】
実施例14:さらなる配列
【0504】
【化17】
【0505】
【化18】
【0506】
【化19】
【0507】
【化20】
【0508】
【化21】
【0509】
実施例15:エキソビボにおけるT細胞の活性化およびヒト被験体への投与
ヒトを治療するために、改変されたT細胞を使用する方法が、この実施例に提示される。これらの方法は、他の非T細胞にも適用され得る。
【0510】
材料および方法
遺伝子改変されたT細胞の大規模産生
T細胞は、標準的な方法を用いて健常志願者から作製される。簡潔には、健常ドナーまたはがん患者由来の末梢血単核球(PBMC)を、可溶性αCD3およびαCD28(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して、拡大および形質導入のために活性化する。PBMCを、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC培地に、1×10細胞/mlで再懸濁し、0.2μg/ml αCD3および0.5μg/ml αCD28可溶性抗体で刺激する。次いで、細胞を37℃、5%COにおいて4日間培養する。4日目に、IL−2を含む1mlの新鮮培地を加える。7日目に、形質導入に向けて、細胞を収集し、Cellgenix DC培地に再懸濁する。
【0511】
プラスミドおよびレトロウイルス
SFGベースのプラスミドは、自己切断可能な2A様配列を介して、細胞質シグナル伝達ドメインを欠く切断型ヒトCD19に連結された誘導可能なキメラポリペプチドからなる。1つの反復(interation)において、その誘導可能なキメラポリペプチドは、F36V変異を有し、短いVal−Gluリンカーを介してヒトキメラポリペプチドに接続された、ヒトFK506結合タンパク質(FKBP12;GenBank AH002818)からなる。そのF36V変異は、合成ホモ二量体化剤(homodimerizer)AP20187またはAP1903に対するFKBP12の結合親和性を高める。その2A様配列は、Thosea asigna昆虫ウイルス由来の20アミノ酸ペプチドをコードし、それは、グリシンと末端プロリン残基との間での>99%の切断を媒介して、誘導可能なキメラポリペプチドのC末端に19個の追加のアミノ酸およびCD19のN末端に1つの追加のプロリン残基をもたらす。CD19は、細胞質内ドメインを242アミノ酸から19アミノ酸に短縮し、リン酸化に対する潜在的な部位である保存されたすべてのチロシン残基を除去する、アミノ酸333(TDPTRRF)で切断される、完全長CD19(GenBank NM001770)からなる。
【0512】
テナガザル白血病ウイルス(Gal−V)シュードタイプ化レトロウイルスを産生する安定したPG13クローンを、Phoenix Eco細胞株(ATCC product #SD3444;ATCC,Manassas,VA)をSFGプラスミドで一過性にトランスフェクトすることによって、作製する。これは、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスを産生する。そのPG13パッケージング細胞株(ATCC)を、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスで3回形質導入することにより、細胞1つあたり複数のSFGプラスミド(plamid)プロウイルス組み込み体を含む産生株を作製する。単一細胞クローニングを行い、最も高い力価をもたらしたPG13クローンを、拡大し、ベクター作製のために使用する。
【0513】
レトロウイルス形質導入
T細胞の活性化および拡大のための培養液は、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充された無血清Cellgenix DC培地(Cellgenix)である。レトロウイルスベクターで形質導入する前の7日間にわたって、T細胞を可溶性抗CD3および抗CD28(Miltenyi Biotec)によって活性化する。必要であれば、ΔCD19の免疫磁気選択を形質導入後の4日目に行い;陽性画分をさらに2日間にわたって拡大し、凍結保存する。
【0514】
遺伝子改変され、同種異系枯渇された(allodepleted)細胞のスケールアップ産生
臨床適用のための形質導入プロセスのスケールアップでは、10mlの抗CD3 0.5μg/mlおよび抗CD28 0.2μg/mlまたは10mlのフィブロネクチン7μg/mlで4℃において一晩コーティングされた、組織培養用に処理されていないT75フラスコ(Nunc,Rochester,NY)を使用する。高細胞粘着性のためにコロナ処理されたフッ化エチレンプロピレンバッグ(2PF−0072AC,American Fluoroseal Corporation,Gaithersburg,MD)も使用する。PBMCを、抗CD3、抗CD28によってコーティングされたフラスコに、100U/ml IL−2が補充された培地中、1×10細胞/mlで播種する。レトロウイルス形質導入に向けて、レトロネクチンでコーティングされたフラスコまたはバッグを、10mlのレトロウイルス含有上清で2〜3時間、一度負荷する。活性化T細胞を、レトロウイルスベクター含有新鮮培地と100U/ml IL−2が補充されたT細胞培養液とが3:1の中に1×10細胞/mlで播種する。細胞を、翌朝収集し、組織培養用に処理されたT75またはT175フラスコ内、100U/ml IL−2が補充された培養液中で、約5×10細胞/ml〜8×10細胞/mlの播種密度で拡大する。
【0515】
CD19免疫磁気選択
CD19に対する免疫磁気選択は、1つの例において、形質導入の4日後に行われ得る。細胞を、モノクローナルマウス抗ヒトCD19抗体(Miltenyi Biotech,Auburn,CA)に結合体化された常磁性マイクロビーズで標識し、小規模実験ではMSまたはLSカラムにおいて、および大規模実験ではCliniMacs Plus自動選択デバイスにおいて、選択する。CD19によって選択された細胞を、さらに4日間拡大し、形質導入後の8日目に凍結保存する。これらの細胞は、「遺伝子改変細胞」と称される。
【0516】
免疫表現型分析および五量体解析
フローサイトメトリー解析(FACSCaliburおよびCellQuestソフトウェア;Becton Dickinson)を、以下の抗体を使用して行う:CD3、CD4、CD8、CD19、CD25、CD27、CD28、CD45RA、CD45RO、CD56およびCD62L。CD19−PE(クローン4G7;Becton Dickinson)は、最適な染色をもたらすと見出されており、その後のすべての解析において使用された。形質導入されていないコントロールを、CD19に対するネガティブゲートを設定するために使用する。
【0517】
統計解析
対応のある両側スチューデントt検定を使用して、サンプル間の差の統計的有意性を判定する。すべてのデータを平均値±1標準偏差として表す。
【0518】
実施例16:誘導可能なキメラシグナル伝達分子発現ベクターの構築および評価
ベクターの構築および発現の確認
ヒトFK506結合タンパク質(FKBP)、例えば、FKBP12v36(Fv)に融合されたシグナル伝達分子をコードする、治療薬としての使用に適した発現ベクターを構築する。これらの方法は、1つまたはそれを超える誘導可能なシグナル伝達分子を発現させるためにも使用され得る。誘導可能なCSMは、小分子医薬を使用して二量体化(または多量体化)され得る。誘導可能なCSMをコードする核酸を、リガンド結合ドメインをコードする核酸に融合し、蛍光マーカーであるGFPの発現も可能にする、SFGレトロウイルスベクターまたはpLenti7.3レンチウイルスベクターに挿入する。
【0519】
誘導可能なCSMポリペプチドは、Gly−Ser−Gly−Gly−Gly−SerリンカーとともにCSM配列に連結された、2つ、3つまたはそれを超える、ある特定の実施形態では、2つまたは3つのFK506結合タンパク質(FKBP、例えば、F36V変異を含むFKBP12v36バリアントまたはFKBP12;GenBank AH002818))を含む。レトロウイルスにおいて発現されたときの相同組換えを防ぐために、1つまたはそれを超えるFKBP(F2)のアミノ酸配列をコドンゆらぎにする(例えば、各アミノ酸コドンの3番目のヌクレオチドを、元々コードされていたアミノ酸を維持したサイレント変異によって変更する)。すべての構築物を、SFGまたはpLenti7.3にクローニングする。
【0520】
293T細胞を、これらの各構築物でトランスフェクトし、形質導入の48時間後に、マーカー遺伝子GFPまたはΔCD19の発現をフローサイトメトリーによって解析する。GFPまたはΔCD19の発現レベルに加えて、発現された遺伝子産物をウエスタンブロットによって解析することにより、キメラシグナル伝達分子ポリペプチドの発現も確かめる。例えば、共刺激ポリペプチドに結合する抗体が、そのウエスタンブロットのために使用され得る。
【0521】
トランスフェクトされた293T細胞を、アプロチニン、ロイペプチンおよびフッ化フェニルメチルスルホニル(Boehringer,Ingelheim,Germany)を含む溶解緩衝液(50%Tris/Gly、10%ドデシル硫酸ナトリウム[SDS]、4%ベータ−メルカプトエタノール、10%グリセロール、12%水、4%ブロモフェノールブルー0.5%)に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートする。30分間の遠心分離の後、上清を収集し、1:2でLaemmli緩衝液(Bio−Rad,Hercules,CA)と混合し、煮沸し、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルにローディングする。膜を、ウサギ抗共刺激ポリペプチド免疫グロブリンG(IgG;Affinity BioReagents,Golden,CO;1:500希釈)およびマウス抗GFP IgG(Covance,Berkeley,CA;1:25,000希釈)でプロービングする。次いで、ブロットを、適切なペルオキシダーゼ結合二次抗体に曝露し、タンパク質の発現を、高感度化学発光(ECL;Amersham,Arlington Heights,IL)で検出する。次いで、その膜をストリッピングし、ヤギポリクローナル抗アクチン(Santa Cruz Biotechnology;1:500希釈)でリプロービングすることにより、ローディングの質を調べる。
【0522】
誘導可能なCSM発現構築物の評価
細胞株
がん細胞株LNCaP、PC3、DU145およびA549、ならびにヒト胎児腎細胞株HEK−293Tを、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から入手する。細胞を、37℃における5%二酸化炭素(CO)を含む加湿雰囲気において、10%ウシ胎児血清(Hyclone,Waltham,MA)および2mM L−グルタミンを含む完全IMDM(Sigma,St Louis,MO)中で維持する。形質導入されたT細胞およびPHA芽球を、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC(Cellgenix)培地中で維持する。
【0523】
T細胞の活性化
拡大および形質導入のためのT細胞の活性化は、可溶性αCD3およびαCD28(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して行われる。PBMCを、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC培地に、1×10細胞/mlで再懸濁し、0.2μg/ml αCD3および0.5μg/ml αCD28可溶性抗体で刺激する。次いで、細胞を37℃、5%CO2において4日間培養する。4日目に、IL−2を含む1mlの新鮮培地を加える。7日目に、形質導入に向けて、細胞を収集し、Cellgenix DC培地に再懸濁する。
【0524】
レトロウイルス構築物およびレンチウイルス構築物
PSMA、PSCA、MUC1およびHer2/Neuを標的化するコドン最適化された一本鎖可変フラグメントで構成される誘導可能なCSM(iCSM)およびCAR−CD3ゼータ構築物は、Blue Heron Bio(Bothell,WA)によって合成される。iCSM構築物は、T細胞レセプターのCD28、4−1BBおよびCD3ゼータ鎖を含む共刺激内部ドメインにインフレームで連結されたFKBP12v36ドメインからなる。CAR構築物は、ヒトIgG1−Ch2Ch3ドメインおよびCD3−ゼータ鎖をインフレームで含むscFvフラグメントをクローニングすることによって作製される。iCSM構築物とCAR−CD3ゼータ構築物の両方を、エメラルドGFPを共発現する、SFGレトロウイルス骨格またはpLenti7.3レンチウイルス骨格(Invitrogen)にサブクローニングする。iCSMの刺激作用および共刺激作用、ならびにCAR−CD3ゼータの細胞傷害性の評価を、これらの導入遺伝子をコードするレトロウイルスまたはレンチウイルスでT細胞を個別にまたは同時に形質導入することによって行う。
【0525】
レトロウイルス形質導入
レトロウイルスの一過性の生成のために、GeneJuiceトランスフェクション試薬(Novagen,Madison,WI)を使用して、gag−polおよびRD114エンベロープをコードするプラスミドとともに、iCSM構築物で293T細胞をトランスフェクトする。トランスフェクションの48〜72時間後にウイルスを収集し、急速凍結し、使用するまで−80℃で保存する。レンチウイルスの一過性の生成のために、GeneJuiceを使用して、プラスミドpLP1(gag/pol)、pLP2(rev)およびpLP/VSVG(VSVG env)とともに、iCAR構築物で293T細胞をトランスフェクトする。トランスフェクションの48〜72時間後にウイルスを収集し、急速凍結し、使用するまで−80℃で保存する。大規模なレトロウイルスの生成のために、一過性VSV−Gシュードタイプ化レトロウイルス上清を用いた複数回の形質導入によって、安定なFLYRD18由来レトロウイルス産生株を作製する。導入遺伝子発現が最も高いFLYRD18細胞を、単一細胞ソーティングし、最も高いウイルス力価をもたらすクローンを拡大し、リンパ球形質導入のためのウイルスを作製するために使用する。このクローンの導入遺伝子発現、機能およびレトロウイルス力価を、8週間超にわたる連続培養中、維持する。組織培養用の処理が行われていない24ウェルプレートを、37℃において1時間または4℃において一晩、7μg/ml Retronectin(TakaraBio,Otsu,Shiga,Japan)でコーティングする。それらのウェルを、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、次いで、37℃において30分間、プレートを1.5mlの上清とともにインキュベートすることによって、レトロウイルス上清でコーティングする。続いて、T細胞芽球を、100U/ml IL−2が補充されたウイルス上清において1ウェルあたり5×10細胞でプレーティングする。60時間にわたって形質導入を行う。形質導入後、細胞を収集し、フローサイトメトリーによってCD19またはGFPの発現について表現型分析を行う。
【0526】
iCSM/CARを形質導入されたT細胞の細胞傷害性
形質導入された各T細胞株の細胞傷害活性を、先に提示されたような、標準的な4時間の51Cr放出アッセイにおいて評価する。iCSM、PSMA CAR−CD3ゼータ、またはiCSMウイルスとCARウイルスの両方で形質導入されたT細胞を、フィトヘマグルチニン(PHA)によって刺激された自家リンパ球(PHA芽球)、LNCaP、PC3またはDU145およびA549癌細胞株、ならびにヒトPSMAを発現するトランスジェニックA549(A549−PSMA)を含む、Cr51で標識された標的細胞に対して比較する。完全培地または1%Triton X−100(Sigma,St
Louis,MO)中でインキュベートされた標的細胞をそれぞれ自発的なおよび最大の51Cr放出を決定するために使用する。3つ組ウェルの特異的溶解の平均パーセンテージを、100×(実験による放出−自発的な放出)/(最大放出−自発的な放出)として計算した。クロム放出アッセイに加えて、共培養実験を行う。ここでは、細胞株LNCaP、PC3、DU145、A549およびA549−PSMAを、蛍光性mOrangeを発現するように形質導入し、標的細胞として使用する。mOrangeを発現している腫瘍細胞を、完全培地中、IL−2(50U/ml)の存在下において、形質導入されていないT細胞またはCARによって改変されたT細胞とともに、腫瘍細胞とT細胞とが1:10という比で共培養する。24時間後、iCARを有するT細胞を100nM AP1903で刺激する。72時間後、細胞を捕集し、カウントし、T細胞を検出するためにCD3で標識し、mOrange腫瘍細胞のパーセンテージをフローサイトメトリー(LSRII;BD)によって解析する。
【0527】
iCSMを形質導入されたT細胞の表現型分析および活性化状態
iCARを形質導入されたT細胞の細胞表面の表現型を、以下のモノクローナル抗体を使用して調べる:CD3、CD4、CD8、CD19、CD25、CD27、CD28、CD44、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD80、CD83、CD86、CD127、CD134、CD137、HLA−ABCおよびHLA−DR。iCSM刺激剤として10〜100nM AP1903を用いておよび用いずに、表現型分析を行う。適切なアイソタイプマッチコントロールを各実験において使用し、LSRIIフローサイトメーター(BD)を用いて細胞を解析する。抗F(ab’)2(Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,PA)を使用して、CARの発現を評価した。
【0528】
iCSMを形質導入されたT細胞のサイトカイン産生の解析
100nM AP1903による刺激の前および後(24時間)のT細胞培養上清中のインターフェロン−γ(IFN−γ)、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10および腫瘍壊死因子−α(TNFα)の濃度を、ヒトTh1/Th2サイトカインサイトメトリビーズアレイ(BD Pharmingen)を使用して計測する。培養上清中の誘導されたサイトカイン産生を、製造者の指示書に従って酵素結合免疫吸着測定法(ELISA;R&D Systems,Minneapolis,MN)によって検証する。
【0529】
iCSMを形質導入されたT細胞の増殖
iCSMを介したAP1903誘導性シグナル伝達の増殖効果を、AP1903に曝露した後の、形質導入されたT細胞および形質導入されていないT細胞の細胞成長を計測することによって評価する。T細胞を、37℃において10分間、10μMカルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル(CFSE)で標識する。インキュベーション後、細胞をPBS中で洗浄し、次いで、Cellgenix DC培地に再懸濁する。その後、1×10個のCFSEで標識されたiCSM改変T細胞または形質導入されていないT細胞を、Cellgenix DC培地のみにおいて培養するか、または100nM AP1903で刺激する。5日後、細胞を収集し、CD3−PerCP.Cy5.5およびCD19−PEで標識し、CFSE希釈についてフローサイトメトリーによって解析する。
【0530】
可溶性免疫グロブリンがCARTリンパ球の増殖および拡大に影響するかを評価するために、いかなる外来性サイトカインも加えずに、健常ドナーから得られたヒト血漿の段階希釈物または精製されたヒト免疫グロブリン(Jackson ImmunoResearch)の段階希釈物とともに細胞を1×10細胞/ウェルで培養する。72時間後、それらの細胞を、1μCi(0.037MBq)メチル−[H]チミジン(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)でパルスし、さらに15時間培養する。次いで、それらの細胞を、フィルター上に収集し、乾燥させ、毎分のカウント数を、β−シンチレーションカウンター(TriCarb 2500 TR;Packard BioScience,Meridien,CT)において計測する。これらの実験は、3つ組で行う。他の実験では、コントロールおよびCARTリンパ球を、培地のみ、または血漿もしくは精製された免疫グロブリンの段階希釈物を1日おきに加える培地を用いて培養する。次いで、トリパンブルー排除を用いて細胞を2日おきにカウントする。
【0531】
インビボ実験
6〜8週齢の非肥満糖尿病重症複合免疫不全(NOD/SCID)マウスを照射し(250rad)、Matrigel(BD Bioscience)に再懸濁された10×10〜15×10個のLNCaP腫瘍細胞を、そのマウスの右側腹部の皮下に注射する。2週間後、直径がおよそ0.5cmの腫瘍を有するマウスの尾静脈に、形質導入されていないT細胞またはiCSM/CARを形質導入されたT細胞(合計15×10個)を注射した。それらのマウスを、ランダムに2群に分ける:T細胞を拡大するために、1群には、CID(50〜125μg AP1903、腹腔内、1週間に2回)を投与し、もう1群には、キャリアのみ(16.7%プロパンジオール、22.5%PEG400および1.25%Tween80、腹腔内、1週間に2回)を投与する。21日間にわたるノギス計測によって、腫瘍の成長についてマウスを評価する。末梢血サンプルを、7、14および21日目に後眼窩出血によって採取することにより、ヒトCD3/ヒトCD19発現T細胞に対するフローサイトメトリー解析を用いて、iCSMまたはコントロールT細胞の残留および拡大を計測する。
【0532】
iCSMを形質導入されたT細胞の特色のインビボにおける評価
誘導可能なCSMの発現が、T細胞の特色を変化させないことを確実にするために、形質導入されていないまたは非機能性の誘導可能なCAR(PSMA CAR−CD3ゼータのみ)の表現型、抗原特異性、増殖能および機能を、iCSM/CARを形質導入されたT細胞と比較する。形質導入された細胞および形質導入されていない細胞におけるCD4、CD8、CD56およびTCRα/β細胞の数を比較し、IFN−γ、TNFα、IL−10、IL−4、IL−5およびIL−2を含むサイトカインの産生産生も同様に比較する。指数関数的に増えるCTLの成長の特色、ならびに増殖に対する抗原およびIL−2への依存性を評価し、抗原刺激の際のタイプT1およびT2サイトカインの表現型データおよび分泌データも同様に評価する。
【0533】
実施例17:治療のためのヒト細胞における誘導可能なCSMの使用
発現構築物、およびヒト細胞においてその発現構築物を使用する方法が、この実施例に提示される。
【0534】
材料および方法
遺伝子改変されたT細胞の大規模産生
T細胞は、標準的な方法を用いて健常志願者から作製される。簡潔には、健常ドナーまたはがん患者由来の末梢血単核球(PBMC)を、可溶性αCD3およびαCD28(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して、拡大および形質導入のために活性化する。PBMCを、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC培地に、1×106細胞/mlで再懸濁し、0.2μg/ml αCD3および0.5μg/ml αCD28可溶性抗体で刺激する。次いで、細胞を37℃、5%CO2において4日間培養する。4日目に、IL−2を含む1mlの新鮮培地を加える。7日目に、形質導入に向けて、細胞を収集し、Cellgenix DC培地に再懸濁する。
【0535】
プラスミドおよびレトロウイルス
SFGプラスミドは、切断可能な2A様配列を介して切断型ヒトCD19に連結された誘導可能なCSMからなる。その誘導可能なCSMは、F36V変異を有し、Ser−Gly−Gly−Gly−Serリンカーを介してヒトCSMに接続された、ヒトFK506結合タンパク質(FKBP12;GenBank AH002818)からなる。そのF36V変異は、合成ホモ二量体化剤(homodimerizer)AP20187またはAP1903に対するFKBP12の結合親和性を高める。その2A様配列は、Thosea asigna昆虫ウイルス由来の20アミノ酸ペプチドをコードし、それは、グリシンと末端プロリン残基との間での>95%の切断を媒介して、iCSMのC末端に19個の追加のアミノ酸およびCD19のN末端に1つの追加のプロリン残基をもたらす。CD19は、細胞質内ドメインを242アミノ酸から19アミノ酸に短縮し、リン酸化に対する潜在的な部位である保存されたすべてのチロシン残基を除去する、アミノ酸333(TDPTRRF)で切断される、完全長CD19(GenBank NM001770)からなる。
【0536】
テナガザル白血病ウイルス(Gal−V)シュードタイプ化レトロウイルスを産生するPG13ベースの安定したクローンを、Phoenix Eco細胞株(ATCC product #SD3444;ATCC,Manassas,VA)をSFGプラスミドで一過性にトランスフェクトすることによって、作製する。これは、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスを産生する。そのPG13パッケージング細胞株(ATCC)を、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスで3回形質導入することにより、細胞1つあたり複数のSFGプラスミドプロウイルス組み込み体を含む産生株を作製する。単一細胞クローニングを行い、最も高い力価をもたらしたPG13クローンを、拡大し、ベクター作製のために使用する。
【0537】
レトロウイルス形質導入
T細胞の活性化および拡大のための培養液は、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充された無血清Cellgenix DC培地(Cellgenix)である。レトロウイルスベクターで形質導入する前の7日間にわたって、T細胞を可溶性抗CD3および抗CD28(Miltenyi Biotec)によって活性化する。必要であれば、ΔCD19の免疫磁気選択を形質導入後の4日目に行い;陽性画分をさらに2日間にわたって拡大し、凍結保存した。
【0538】
遺伝子改変され、同種異系枯渇された細胞のスケールアップ産生
臨床適用のための形質導入プロセスのスケールアップでは、10mlの抗CD3 0.5μg/mlおよび抗CD28 0.2μg/mlまたは10mlのフィブロネクチン7μg/mlで4℃において一晩コーティングされた、組織培養用に処理されていないT75フラスコ(Nunc,Rochester,NY)を使用する。高細胞粘着性のためにコロナ処理されたフッ化エチレンプロピレンバッグ(2PF−0072AC,American Fluoroseal Corporation,Gaithersburg,MD)も使用する。PBMCを、抗CD3、抗CD28によってコーティングされたフラスコに、100U/ml IL−2が補充された培地中、1×10細胞/mlで播種する。レトロウイルス形質導入に向けて、レトロネクチンでコーティングされたフラスコまたはバッグを、10mlのレトロウイルス含有上清で2〜3時間、一度負荷する。活性化T細胞を、レトロウイルスベクター含有新鮮培地と100U/ml IL−2が補充されたT細胞培養液とが3:1の比の中に1×10細胞/mlで播種する。細胞を、翌朝収集し、組織培養用に処理されたT75またはT175フラスコ内、100U/ml IL−2が補充された培養液中で、約5×10細胞/ml〜8×10細胞/mlの播種密度で拡大する。
【0539】
CD19免疫磁気選択
CD19に対する免疫磁気選択は、例えば、形質導入の4日後に行われ得る。細胞を、モノクローナルマウス抗ヒトCD19抗体(Miltenyi Biotech,Auburn,CA)に結合体化された常磁性マイクロビーズで標識し、小規模実験ではMSまたはLSカラムにおいて、および大規模実験ではCliniMacs Plus自動選択デバイスにおいて、選択する。CD19によって選択された細胞を、さらに4日間拡大し、形質導入後の8日目に凍結保存する。これらの細胞は、「遺伝子改変細胞」と称される。
【0540】
免疫表現型分析および五量体解析
フローサイトメトリー解析(FACSCaliburおよびCellQuestソフトウェア;Becton Dickinson)を、以下の抗体を使用して行う:CD3、CD4、CD8、CD19、CD25、CD27、CD28、CD45RA、CD45RO、CD56およびCD62L。CD19−PE(クローン4G7;Becton Dickinson)は、最適な染色をもたらすと見出されており、その後のすべての解析において使用された。形質導入されていないコントロールを、CD19に対するネガティブゲートを設定するために使用する。CAR発現を、抗F(ab’)2(Jackson ImmunoResearch Laboratories,West Grove,PA)を使用して評価する。
【0541】
統計解析
対応のある両側スチューデントt検定を使用して、サンプル間の差の統計的有意性を判定する。すべてのデータを平均値±1標準偏差として表す。
【0542】
実施例18:AP1903依存性T細胞活性化の測定
目的:2つのFKBPv36分子に連結されたシグナル伝達分子をコードするレトロウイルスベクターで初代T細胞を形質導入することにより、そのT細胞のAP1903活性化を可能にすること。この実験では、二量体化に応答したサイトカインの産生を、マルチプレックスサイトカインビーズアレイを使用して計測した。
【0543】
方法:
誘導可能なT細胞分子のデザインおよびクローニング:
1.2つのSFGベースのレトロウイルスベクターを、Gibsonクローニングによって構築した(ここで、PCR産物を、pAd1127−02−iMCから増幅し、LFv1.Fv2L DNAフラグメントの代わりにpBP0320−SFG−Myr.LFv1.Fv2L.2A.ΔCD19構築物に挿入した)。
【0544】
a.第1のベクターにおいて、増幅されるPCR産物は、Fv’Fvであるか、またはFKBPv36フラグメントだけをレトロウイルス骨格に挿入した場合、XhoIおよびSalI部位においてLFv1.Fv2Lを置き換えた。このベクターは、pBP0171−SFG−Myr.Fv’.Fv.2A.ΔCD19と呼ばれ、いかなるT細胞シグナル伝達分子も有しないコントロールベクターである。
【0545】
b.第2のベクターにおいて、増幅されるPCR産物は、MyD88/CD40.Fv’.Fv(またはiMCnoE)だった。これを、LFv1.Fv2L DNA配列の代わりに、XhoIおよびSalI制限酵素認識部位においてpBP0320プラスミドに挿入した。このベクターは、pBP0172−SFG−Myr.iMCnoE.2A.ΔCD19と呼ばれる。「noE」という接尾辞は、このiMC DNAが、エピトープタグをコードしないことを示す。
【0546】
レトロウイルスの産生:
2.一過性のトランスフェクション法によってレトロウイルスを作製し、ここで、HEK293T細胞を以下のプラスミドでトランスフェクトした:a.SFGレトロウイルスプラスミド(pBP0171またはpBP0172;それぞれRV−171またはRV−172)b.レトロウイルスエンベローププラスミド(RD114)c.Gag/polプラスミド(pEQ−PAM−E)。
【0547】
3.48および72時間で、複製欠損レトロウイルスを含むトランスフェクトされた細胞からの上清を捕集し、ドライアイス/エタノールにおいて急速凍結し、T細胞の形質導入まで−80℃で保存した。
【0548】
4.初代T細胞を形質導入するために、健常ドナー由来のPBMCを、100U/ml
IL−2が補充されたT細胞増殖培地中において、抗CD3抗体および抗CD28抗体で活性化した。3日後、T細胞を活性化し、収集し、レトロウイルス形質導入の準備を整えた。それらのT細胞を形質導入するために、まず、組織培養用に処理されていないプレートを4℃において一晩、Retronectinでコーティングした。次いで、Retronectinを除去し、プレートをPBSで洗浄した。次いで、レトロウイルス上清を、Retronectinプレートをコーティングするために使用した。次いで、活性化T細胞をウェルに加え、プレートを遠心分離することにより、ウイルス粒子の結合および形質導入を促進した。48時間後、それらのT細胞を収集し、CD3とCD19との共発現についてフローサイトメトリーによって解析することにより、ウイルスの形質導入効率を決定した。
【0549】
AP1903によって誘導されたT細胞活性化の、サイトカイン産生による解析:
5.T細胞のAP1903依存性T細胞活性化を評価するために、1×10個の形質導入されていない(NT)T細胞またはコントロールレトロウイルス(RV−171)もしくはiMCを含むレトロウイルス(RV−172)で形質導入されたT細胞を、96ウェルプレートに3つ組でプレーティングし、培地のみまたは10nM AP1903を含む培地を用いて37℃、5%COにおいて培養した。
【0550】
6.24時間後、それらの細胞を静かに混合し、プレートを遠心分離した。次いで、上清を捕集し、以下のサイトカインおよびケモカインを計測するBio−Plex Human Cytokine/Chemokine 27−plexプレートにプレーティングした:
a.塩基性FGF、G−CSF、GM−CSF、IFN−ガンマ、IL−1Ra、IL−1ベータ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12p70、IL−13、IL−15、IL−17RA、エオタキシン、IP10、MCP−1、MIP−1アルファ、MIP−1ベータ、PDGF−bb、RANTES、TNF−アルファおよびVEGF。
【0551】
b.続いて、Bio−Plex MAGPIX Multiplex Readerを使用して、上清中のサイトカインおよびケモカインを計測し、そのプレートにおける標準物質と比較した。
【0552】
結果:
形質導入効率:
1.2人の健常ドナー由来のT細胞を、レトロウイルスで形質導入し、48時間後、CD3CD19共発現についてフローサイトメトリーによって決定された効率は、以下のとおりだった:
a.ドナー063
i.NT=6.54%
ii.RV−171=73.9%
iii.RV−172=54.6%
b.ドナー707
i.NT=2.16%
ii.RV−171=85.2%
iii.RV−172=73.6% 。
【0553】
2.形質導入は、ベクターとドナーの両方についてかなり高かったことから、それらがHEK293T細胞にとって有毒でないことおよびウイルス力価が良好であることが示唆された。
【0554】
サイトカイン/ケモカインの産生
3.サイトカインおよびケモカインの分泌の解析から、AP1903二量体化に対する顕著な依存性が示された。T細胞によって産生された以下のサイトカインおよびケモカインは、24時間にわたって誘導を示したが、コントロールベクターで形質導入されたT細胞または形質導入されていないT細胞からは誘導されなかった:
a.GM−CSF、IFN−ガンマ、IL−13、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−1ベータ、IL−12p70、IP10、MIP−1アルファ、MIP−1ベータ、RANTESおよびTNF−アルファ。
【0555】
4.さらに、他のサイトカインおよびケモカインは、iMCのAP1903活性化によって誘導されないとみられた。これらには、以下が含まれる:
a.塩基性FGF、G−CSF、IL−1Ra、IL−2、IL−7、IL−9、IL−10、IL−15、IL−17RA、エオタキシン、MCP−1、PDGF−bbおよびVEGF。
【0556】
ある特定の結果は、図66〜74にも示される。NT=形質導入されていない活性化T細胞
RV0171=SFG−Myr.Fv’.Fv.2A.ΔCD19;RV0172=SFG=Myr.MyD88/CD40.Fv’.Fv.2A.ΔCD19。
【0557】
T細胞を、10nM AP1903で24時間刺激し、次いで、上清をサイトカインレベルについてアッセイした。
【0558】
実施例19:AP1903依存性のT細胞の細胞傷害性の計測:
目的:2つのFKBPv36分子に連結されたシグナル伝達分子をコードするレトロウイルスベクターで初代T細胞を形質導入することにより、そのT細胞のAP1903活性化を可能にすること。この実験では、AP1903活性化の2つの態様を調べた。第1に、T細胞が、腫瘍細胞の近位に存在する場合、それらの活性化によって腫瘍細胞の殺傷が誘導されるのか?第2に、T細胞が、AP1903を介して活性化される場合、それらは増殖するのか?
方法:
誘導可能なT細胞分子のデザインおよびクローニングならびにレトロウイルスの産生
1.方法は、上記の実施例4において論じられた方法と本質的に同じである。同じ細胞をこのアッセイのために使用した。
【0559】
GFPによってマークされたCAPAN−1(膵臓腺癌)細胞株の作製:
2.CAPAN−1をATCCから購入した。続いて、EGFP/ホタルルシフェラーゼ融合タンパク質に対する遺伝子、ならびに安定にトランスフェクトされた細胞が、G418抗生物質とともに培養することによって長い時間にわたって選択されるのを可能にするネオマイシン耐性遺伝子を含むpBP0168−pcDNA3.1−EGFPlucプラスミドによるトランスフェクションによって、その細胞株を遺伝子改変した。培養後、高いGFP発現を有するクローンを選択し、>95%GFPを有する細胞株が得られるまで継代培養した。
【0560】
iMC対応(enabled)T細胞とCAPAN−1腫瘍細胞との共培養:
3.形質導入されていないT細胞またはRV−171(コントロールベクター)もしくはRV−172(iMCベクター)で形質導入された細胞を、10nM AP1903ありまたはなしで50U/ml IL−2が補充された培地中においてT細胞と腫瘍細胞とが5:1の比で培養した。次いで、共培養物を37℃および5%COにおいて72時間インキュベートした。続いて、蛍光顕微鏡法によって、および0.25%トリプシン/EDTAを用いて培養物を収集し、培養物中のGFPCD3腫瘍細胞の頻度をフローサイトメトリーによって計測することによって、GFP腫瘍細胞の存在について培養物を解析した。
【0561】
結果:
4.共培養物のウェルを調べたところ、両方のドナーにおいて、AP1903で刺激されたRV−172(iMC含有ベクター)で形質導入されたT細胞は、大きなT細胞芽球コロニーによって明らかであるように、増殖していることが明らかだった。さらに、蛍光顕微鏡法によって、AP1903を投与されたRV−172を形質導入されたT細胞を含む共培養物は、非常に少ない生存可能なGFP腫瘍細胞しか示さなかった。これらの最初の観察の後、T細胞および腫瘍細胞を収集し、フローサイトメトリーによって解析することにより、残存しているCAPAN−1 GFP腫瘍細胞の頻度を決定した。
【0562】
5.顕微鏡法によって観察されたように、フローサイトメトリーは、AP1903によって処理された、iMCを形質導入された(RV−172)T細胞を含む共培養物におけるAP1903の明白な効果を示した。GFP腫瘍細胞の減少は、この条件だけで生じ、コントロールベクターで形質導入されたT細胞では生じず、二量体化剤を投与されなかったRV−172で形質導入されたT細胞ではより低い程度でしか生じなかった。
【0563】
6.まとめると、これらのデータから、T細胞におけるiMCの活性化が、T細胞の殺傷を誘導することができ、AP1903によって処理されたT細胞の増殖を誘導することが示唆される。集合的には、サイトカイン/ケモカイン産生に関する本発明者らの知見とともに、これらのデータは、iMCが、T細胞において活性化され得ること、およびiMC二量体化の際にT細胞がそのエフェクター機能を保持し、高めることを示す。
【0564】
ある特定の結果は、図75〜78にも示される。
【0565】
実施例20:エキソビボにおけるT細胞の活性化およびヒト被験体への投与
ヒトを治療するために、改変されたT細胞を使用する方法が、この実施例に提示される。この実施例では、共刺激ポリペプチドの細胞質領域は、CD40およびMyD88に由来する。これらの方法は、他の細胞、例えば、NKおよびNKT細胞など、ならびに腫瘍浸潤リンパ球に対して適合され得、本明細書中で論じられるような他の共刺激ポリペプチド細胞質領域を含むキメラ共刺激ポリペプチドに対しても適合され得る。
【0566】
材料および方法
遺伝子改変されたT細胞の大規模産生
T細胞は、標準的な方法を用いて健常志願者から作製される。簡潔には、健常ドナーまたはがん患者由来の末梢血単核球(PBMC)を、可溶性αCD3およびαCD28(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)を使用して、拡大および形質導入のために活性化する。PBMCを、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充されたCellgenix DC培地に、1×10細胞/mlで再懸濁し、0.2μg/ml αCD3および0.5μg/ml αCD28可溶性抗体で刺激する。次いで、細胞を37℃、5%CO2において4日間培養する。4日目に、IL−2を含む1mlの新鮮培地を加える。7日目に、形質導入に向けて、細胞を収集し、Cellgenix DC培地に再懸濁する。
【0567】
プラスミドおよびレトロウイルス
SFGプラスミドは、切断可能な2A様配列を介して切断型ヒトCD19に連結された誘導可能なキメラポリペプチドからなる。その誘導可能なキメラポリペプチドは、F36V変異を有し、Ser−Gly−Gly−Gly−Serリンカーを介してヒトキメラポリペプチドに接続された、ヒトFK506結合タンパク質(FKBP12;GenBank AH002818)からなる。そのF36V変異は、合成ホモ二量体化剤AP20187またはAP1903に対するFKBP12の結合親和性を高める。その2A様配列は、Thosea asigna昆虫ウイルス由来の20アミノ酸ペプチドをコードし、それは、グリシンと末端プロリン残基との間での>99%の切断を媒介して、誘導可能なキメラポリペプチドのC末端に19個の追加のアミノ酸およびCD19のN末端に1つの追加のプロリン残基をもたらす。CD19は、細胞質内ドメインを242アミノ酸から19アミノ酸に短縮し、リン酸化に対する潜在的な部位である保存されたすべてのチロシン残基を除去する、アミノ酸333(TDPTRRF)で切断される、完全長CD19(GenBank NM001770)からなる。
【0568】
テナガザル白血病ウイルス(Gal−V)シュードタイプ化レトロウイルスを産生する安定したPG13クローンを、Phoenix Eco細胞株(ATCC product #SD3444;ATCC,Manassas,VA)をSFGプラスミドで一過性にトランスフェクトすることによって、作製する。これは、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスを産生する。そのPG13パッケージング細胞株(ATCC)を、Ecoシュードタイプ化レトロウイルスで3回形質導入することにより、細胞1つあたり複数のSFGプラスミド(plamid)プロウイルス組み込み体を含む産生株を作製する。単一細胞クローニングを行い、最も高い力価をもたらしたPG13クローンを、拡大し、ベクター作製のために使用する。
【0569】
レトロウイルス形質導入
T細胞の活性化および拡大のための培養液は、100U/ml IL−2(Cellgenix)が補充された無血清Cellgenix DC培地(Cellgenix)である。レトロウイルスベクターで形質導入する前の7日間にわたって、T細胞を可溶性抗CD3および抗CD28(Miltenyi Biotec)によって活性化する。必要であれば、ΔCD19の免疫磁気選択を形質導入後の4日目に行い;陽性画分をさらに2日間にわたって拡大し、凍結保存する。
【0570】
遺伝子改変され、同種異系枯渇された細胞のスケールアップ産生
臨床適用のための形質導入プロセスのスケールアップでは、10mlの抗CD3 0.5μg/mlおよび抗CD28 0.2μg/mlまたは10mlのフィブロネクチン7μg/mlで4℃において一晩コーティングされた、組織培養用に処理されていないT75フラスコ(Nunc,Rochester,NY)を使用する。高細胞粘着性のためにコロナ処理されたフッ化エチレンプロピレンバッグ(2PF−0072AC,American Fluoroseal Corporation,Gaithersburg,MD)も使用する。PBMCを、抗CD3、抗CD28によってコーティングされたフラスコに、100U/ml IL−2が補充された培地中、1×10細胞/mlで播種する。レトロウイルス形質導入に向けて、レトロネクチンでコーティングされたフラスコまたはバッグを、10mlのレトロウイルス含有上清で2〜3時間、一度負荷する。活性化T細胞を、100U/ml IL−2が補充された、3:1の比のレトロウイルスベクター含有新鮮培地およびT細胞培養培地中に1×10細胞/mlで播種する。細胞を、翌朝収集し、組織培養用に処理されたT75またはT175フラスコ内、100U/ml IL−2が補充された培養培地中で、約5×10細胞/ml〜8×10細胞/mlの播種密度で拡大する。
【0571】
CD19免疫磁気選択
CD19に対する免疫磁気選択は、例えば、形質導入の4日後に行われ得る。細胞を、モノクローナルマウス抗ヒトCD19抗体(Miltenyi Biotech,Auburn,CA)に結合体化された常磁性マイクロビーズで標識し、小規模実験ではMSまたはLSカラムにおいて、および大規模実験ではCliniMacs Plus自動選択デバイスにおいて、選択する。CD19によって選択された細胞を、さらに4日間拡大し、形質導入後の8日目に凍結保存する。これらの細胞は、「遺伝子改変細胞」と称される。
【0572】
実施例21:白血病患者の処置
本願の方法を使用して、進行した治療抵抗性白血病を有する白血病患者を処置する本実施例は、他の状態または疾患、例えば、他の過剰増殖性疾患または固形腫瘍などにも適用され得る。これらの方法は、標的抗原に応じて一本鎖可変フラグメントが変化し得るという理解の下で、本質的には論じられるように使用され得る。
【0573】
T細胞を、キメラシグナル伝達分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸で形質導入する。それらのT細胞を、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でも形質導入する。誘導可能なキメラシグナル伝達分子の例としては、CD28ポリペプチド細胞質刺激領域および4−1BBポリペプチド細胞質シグナル伝達領域を含む、図41に示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。誘導可能なキメラシグナル伝達分子は、CD3ゼータポリペプチドも含み得る。キメラ抗原レセプターは、CD19を認識する一本鎖可変フラグメントを含む。
【0574】
患者は、リンパ球枯渇の前処置を受けた後、形質導入されたCD19標的化T細胞を投与される。それらのT細胞は、自家、同種異系または非同種異系であり得る。それらのT細胞を投与した後、キメラシグナル伝達分子を誘導することによってCD19標的化T細胞を拡大するために、リガンド誘導物質をその患者に投与する。その用量は、例えば、毎日、1週間に2回、または毎週、提供され得る。腫瘍細胞のレベルをモニターし、リガンド誘導物質、例えば、AP1903の投薬スケジュールを腫瘍細胞の負荷に基づいて調整する。制御されない速すぎる速度のT細胞の拡大、活性化および腫瘍細胞殺傷は、不必要に患者を害するより重度のサイトカインストーム(cytoking storm)をもたらし得るという懸念を理由に、投薬スケジュールは、毒性を限定し、患者に対して多大な害を引き起こさず、例えば、患者を病院の集中治療室の外で維持する速度で完全な回復を達成するようにデザインされる。いったん患者が完全な回復を達成し、決定されるある特定の長さの時間、例えば、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間にわたって疾患の無いままになると、AP1903の投与は、停止される。処置の後、リガンド誘導物質の非存在下において、CD19標的化T細胞の数は、減少する。少数の静止状態のCD19標的化T細胞の生存を可能にする低レベルの基底のシグナル伝達が、存在し得る。リガンド誘導物質なしでは、これらの細胞は、不活性のままであり、正常なB細胞の回復が可能となる。将来の任意の時点において、患者が、白血病の再発を起こした場合、リガンド誘導物質であるAP1903の投与を再開することにより、CD19標的化T細胞が再活性化し、その患者において完全奏効が再誘導される。複数の再発の場合には、この追加の投与は、2回以上繰り返されてもよい。
【0575】
実施例22:CARを形質導入されたT細胞におけるiMC活性の計測:
目的:2つのFKBPv36分子に連結されたシグナル伝達分子をコードするレトロウイルスベクターで初代T細胞を形質導入することにより、そのT細胞のAP1903活性化を可能にすること。この実験は、切断型MyD88およびCD40ポリペプチドを含む誘導可能な共刺激分子が、CAPAN−1腫瘍細胞上に高度に発現される前立腺幹細胞抗原(PSCA)を認識するCARで形質導入されたT細胞によるGFP改変CAPAN−1(膵臓腺癌)細胞の殺傷を改善するかを調べるためにデザインされる。
【0576】
方法:
誘導可能なT細胞分子のデザインおよびクローニング:
1.T細胞の形質導入は、RV−172(SFG−Myr.MyD88/CD40.Fv.Fv’.2A.ΔCD19)およびRV−89(SFG.PSCAscFv.CH2CH3.CD28.ゼータ)を用いて行う。そのscFvは、ヒト化モノクローナル抗体1G8(US2012077962A1におけるヒト化抗PSCAから得られる)由来のscFvを使用してPSCAを標的化する。これは、ヒトIgG1のCH2CH3領域に連結され、それは続いて、その分子の膜貫通部分と細胞質部分の両方を含むCD28に連結される。CD28は、CD3ゼータの細胞質部分に連結される。
【0577】
レトロウイルスの産生:
2.本質的には、前の実施例と同じである。
【0578】
GFPによってマークされたCAPAN−1(膵臓腺癌)細胞株の作製:
3.CAPAN−1をATCCから購入する。続いて、EGFP/ホタルルルシフェリン融合タンパク質に対する遺伝子、ならびに安定にトランスフェクトされた細胞が、G418抗生物質とともに培養することによって長い時間にわたって選択されるのを可能にするネオマイシン耐性遺伝子を含むpBP0168−pcDNA3.1−EGFPlucによるトランスフェクションによって、その細胞株を遺伝子改変する。培養後、高いGFP発現を有するクローンを選択し、>95%GFPを有する細胞株が得られるまで継代培養する。
【0579】
iMC対応T細胞とCAPAN−1腫瘍細胞との共培養:
4.形質導入されていないT細胞またはRV−89(PSCA CAR)およびRV−172(iMCベクター)で共形質導入されたT細胞を、10nM AP1903ありまたはなしで50U/ml IL−2が補充された培地中においてT細胞と腫瘍細胞とが5:1の比で培養する。次いで、共培養物を37℃および5%COにおいて72時間インキュベートする。続いて、蛍光顕微鏡法によって、および0.25%トリプシン/EDTAを用いて培養物を回収し、培養物中のGFPCD3腫瘍細胞の頻度をフローサイトメトリーによって計測することによって、GFP腫瘍細胞の存在について培養物を解析する。
【0580】
結果:
1.培養物を蛍光顕微鏡法によって調べることにより、誘導可能な共刺激分子およびキメラ抗原レセプターを形質導入されたT細胞を含むウェルおよびAP1903を投与されたウェルにおける腫瘍細胞殺傷の改善を評価する。
【0581】
2.フローサイトメトリーを使用して、トリプシン処理後の培養物中のGFP細胞を解析することにより、AP1903がこの短い培養期間(72時間)において腫瘍細胞数の減少に寄与するかを判定する。培養の時間は、およそ5日間まで延長され得る。フローサイトメトリーのプロットは、5:1の比において、両方のウイルスで形質導入され、AP1903を投与されたウェル内のGFP細胞の減少を示し得る。
【0582】
3.残存している生存可能なCAPAN−1−GFP細胞を、AP1903なしのNT
T細胞の条件に正規化することにより、腫瘍細胞殺傷に対するiMC活性化の効果が示される。
【0583】
実施例23:特定の核酸配列およびアミノ酸配列の例
【0584】
【化22】
【0585】
【化23-1】
【0586】
以下は、キメラ抗原レセプター(CAR)配列に対するヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の例である(順番に、scFvフラグメントなしで)。
【0587】
【化23-2】
【0588】
【化24】
【0589】
【化25】
【0590】
【化26】
【0591】
【化27】
【0592】
実施例24:誘導可能なMyD88/CD40キメラポリペプチドに対するさらなる配列
【0593】
【化28】
【0594】
【化29】
【0595】
【化30】
【0596】
【化31】
【0597】
【化32】
【0598】
Her2/Neuに結合するキメラ抗原レセプターをコードするプラスミドインサートの例を下記に提供する。そのキメラ抗原レセプターは、共刺激ポリペプチド(例えば、CD28、OX40および4−1BBであるがこれらに限定されない)を含めることによってさらに改変され得る。
【0599】
【化33】
【0600】
【化34】
【0601】
【化35】
【0602】
【化36】
【0603】
実施例25:誘導可能なMyD88、CD40またはMyD88/CD40を用いた初代T細胞の活性化
図41は、誘導可能なMyD88、CD40およびMyD88/CD40キメラポリペプチドの模式図を提供している。MyD88、CD40または両方の分子が、潜在的なキメラ抗原レセプター構築物に内部ドメインとして含められるべきであるかを調べるために、AP1903結合ドメインのみを含む(Fv’Fv)か、またはMyD88(iMyD88)、CD40(iCD40)もしくはMyD88とCD40の両方(iMC)と遺伝的に融合されている、4つの異なるベクターをデザインした(図41a)。CD3/CD28によって活性化されたT細胞に形質導入し、各ベクターの形質導入効率を、CD3T細胞の表面上のCD19のフローサイトメトリー検出(CD3CD19)によって測定したところ、各レトロウイルスは、初代T細胞において、形質導入されていないT細胞と比べて十分に発現されたことが示された(57%〜95%)(図41b)。次いで、AP1903への曝露の後にiMyD88、iCD40またはiMCがT細胞を活性化する能力を、ELISAによってIFN−γおよびIL−6の産生を測定することによってアッセイした。iMCを形質導入されたT細胞だけが、AP1903活性化の後にかなりの量のIFN−γとIL−6の両方を産生したことが観察されたのに対し、NT、iMyD88およびiCD40のいずれもがサイトカイン産生を示さなかった(図41cおよびd)。これらのデータから、MyD88およびCD40が、ヒトT細胞において活性化シグナル伝達分子として相乗作用を示すこと、およびCAR分子が、複合のMCシグナル伝達ドメインを含めることの恩恵を受けるはずであることが示唆される。
【0604】
MyD88、CD40または両方の構成要素が、iMC分子を用いた最適なT細胞刺激のために必要とされるかを調べるために、一連の実験を行った。MyD88とCD40のいずれもが、サイトカインの産生(IL−2およびIL−6)によって測定されたとき、T細胞の活性化を十分に誘導できなかったが、単一の融合タンパク質として組み合わされたときは、強力なT細胞の活性化を誘導することができたことが観察された(図41)。
【0605】
生存および成長の利点は別として、MCによって誘導される共刺激は、CARによって改変されたT細胞にさらなる機能も提供し得る。Medzhitovらは、最近になって、MyD88のシグナル伝達がTh1とTh17の両方の応答に欠かせないこと、およびそれが、IL−1を介して作用することにより、CD4T細胞を、制御性T細胞(Treg)によって駆動される阻害に対して耐性にすることを実証した。iMCを用いた実験は、IL−1αおよびβがAP1903活性化の後に分泌されることを示す。さらに、Martinらは、CD8T細胞におけるRas、PI3Kおよびタンパク質キナーゼCを介したCD40シグナル伝達が、CD4CD25Treg細胞を溶解する細胞傷害性メディエーターであるグランザイムおよびパーフォリンのNF−κB依存性誘導をもたらすことを実証した。したがって、MyD88とCD40との同時活性化は、CAR−T細胞を、固形腫瘍および他のタイプのがんの処置において非常に重要であり得る機能であるTreg細胞の免疫抑制効果に対して耐性にし得る。
【0606】
誘導可能なMyD88/CD40キメラ刺激分子は、例えばscFvポリペプチドおよびCD3−ζ鎖を含み得るCARとともに、細胞において発現され得る。この方法では、iCSM分子は、CARと組み合わせて使用され、それにより、CARシグナル伝達が2つの別個の機能に分離される。CARによって提供されるこの第2の機能は、操作されたT細胞に対して抗原特異的細胞傷害をもたらす。例えば、PSMAに対して特異性を有するCARは、誘導可能なMyD88/CD40キメラ刺激分子とともにT細胞において発現され得る。また、誘導可能なMyD88/CD40 CSMおよびCARの一部は、同じベクターにおけるcisでまたは別個のベクターにおけるtransで細胞にトランスフェクトされ得るかまたは形質導入され得る。したがって、それらの2つのポリペプチドは、2つの核酸、例えば、2つのプラスミドまたは2つのウイルスを用いて発現され得、それらのT細胞は、例えば、2回トランスフェクトされ得るか、または特定の実施形態では、それらの2つの核酸が、コトランスフェクトされ得る。他の実施形態において、それらの2つのポリペプチドは、1つの核酸として、例えば、同じプラスミドまたはウイルスにおいて、発現され得る。その核酸は、それらの2つのポリペプチドを、2つの別個のプロモーター(1つはCAR用であり、もう1つはiCSM用である)を用いて発現し得る。または、他の実施形態において、それらの2つのポリペプチドは、同じプロモーターを用いて発現され得る。この実施形態において、それらの2つのポリペプチドは、切断可能なポリペプチド、例えば、2A配列によって分断され得る。操作されたTは、例えば、特異的な免疫応答、例えば、前立腺がん腫瘍に対する免疫応答をもたらすために被験体に投与され得る。
【0607】
いくつかの実施形態において、誘導可能なキメラ刺激分子は、CD40を含まない。MyD88/CD40キメラ刺激分子に対して提供される方法、構築物、ポリペプチドおよび細胞は、必要に応じて、MyD88キメラ刺激分子の発現および使用のために改変され得ることが理解される。
【0608】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書中の実施例において引用されているか、または例えば本明細書中の実施例を含む関連し得るさらなる情報を提供する。
【表C-1】
【表C-2】
【表C-3】
【表C-4】
【0609】
実施例26:T細胞レセプターを発現している細胞および腫瘍浸潤リンパ球におけるMyD88/CD40共刺激分子の発現
本明細書中に提供される誘導可能なMyD88/CD40共刺激分子を発現する改変された細胞は、T細胞レセプターも発現し得る。これらの例では、そのT細胞レセプターは、その細胞にとって内在性であってもよいし、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸によるトランスフェクションまたは形質転換を介してその細胞に提供されてもよい。ある特定の例では、そのT細胞レセプターは、誘導可能なMyD88/CD40共刺激分子と同じ核酸ベクターにおいて発現され得る。いくつかの例では、改変された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球である。
【0610】
実施例27:様々な投与量の多量体リガンドの投与による、コントロールされたレベルのCAR−T細胞活性の共刺激の誘導
標的細胞(例えば、腫瘍細胞)の迅速かつ完全な排除が、いくつかの臨床上のシナリオにおいて望まれ得るが、これらの細胞の部分的な排除および減少がより望ましい場合がある他の多くのシナリオも存在する。そのようなシナリオの可能性は、キメラ抗原レセプター(CAR)−T細胞の標的に固有の様々な特性および関連する有害事象(AE)のタイプによって左右される。これらの特性には、標的化される分子および器官、毒性の重症度、ならびに発生の迅速性が含まれる。これらの特性に関して異なるプロファイルを有する異なるタイプのCAR−T細胞標的が少なくとも5つ存在し、それらの特性は、各患者に対して適切なレベルのCAR−T細胞活性を達成するために、よりコントロールされた量の多量体リガンドの送達の恩恵を受け得る臨床上のシナリオに関連し得る有効性および安全性を左右し、十分な治療効果をもたらしながらも、有害事象、例えば、サイトカインストームまたはオフターゲット毒性を回避する必要性とのバランスがとられる。これらの例では、十分な投与量の多量体リガンドを治療のために使用し、かつ有害な副作用をもたらし得る過剰な活性を回避しつつ、よりコントロールされたレベルの共刺激が望まれる場合がある。
【0611】
カテゴリー1:分化抗原(例えば、MART、gp100、CEA、Her−2/neu)は、成体において低レベルで発現される。これらの抗原を標的化するCAR T細胞は、臨床上の生存率を限定する重大なAEおよび生命を危うくするAEの高い割合に関連し、大多数が初期段階の治験に進んでも突破していない。これらの抗原が正常な器官(例えば、肺)において低レベルで発現することに起因して、予想外の患者の合併症および死亡が生じた。
【0612】
カテゴリー2:非必須組織の標的(例えば、B細胞上のCD19、甲状腺上のチログロブリン、前立腺細胞上のPSMA)。これらのCAR T細胞は、患者において著しい抗がん活性を示したが、患者の死亡を含むSAEも伴い、処置に別途応答している患者における腫瘍崩壊症候群およびサイトカインストームに関係することが多かった。
【0613】
カテゴリー3:がん精巣抗原(CTA)(例えば、NY−ESO−1、MAGE−A1、−A3;がんの50%が、これらの2つのファミリーのいずれかを発現する)。CTAは、生殖細胞およびいくつかの腫瘍において発現される。ファミリーメンバーとの交差反応性に起因して、カテゴリー1と同様の懸念。
【0614】
カテゴリー4:ユニークな抗原(例えば、EGFRvIII)は、利用可能であるとき、おそらく最善であるが、少数の腫瘍でしか利用可能でない。
【0615】
カテゴリー5:腫瘍間質(例えば、VEGF−R2、FAP)は、腫瘍において高レベルであるが、正常な組織において低レベルである。いくつかの完全奏効(CR)が存在したが、SAEに対する潜在的なリスクは高い。
【0616】
より高い用量の化学誘導物質、例えば、AP1903またはAP20187を用いるCAR−T細胞治療のレベルの上昇および有害事象の回避が必要とされるときはそのレベルの減少に「ダイヤルイン」し得る共刺激分子の加減抵抗器は、細胞治療毒性の種々の臨床上のシナリオに対して、測定された応答を考慮に入れることによって、未だ対処されていない臨床上の必要性をより良く満たし得る。誘導可能なMyD88/CD40共刺激分子技術を加減抵抗器として用いることは、0.5〜1mg/kgの総量において>90%の迅速な殺滅を達成する能力を維持し得るのと同時に、抗腫瘍治療などの臨床的に用量設定可能な治療を可能にし得る。
【0617】
1つの実施形態において、0.01から1mg/kgまでの用量漸増が、15〜30分きざみで、またはより長い時間間隔(例えば、1時間、半日、24時間)きざみで、または1日、1週間もしくは1ヶ月きざみで行われる間、患者の有害事象が、応答についてモニターされる。
【0618】
別の実施形態において、持続注入ポンプを用いることにより、AP1903注入が非常に低用量で開始され、15〜30分きざみでゆっくり用量を増加させ、患者の有害事象がモニターされる。
【0619】
別の実施形態において、AP1903の緩効性製剤(経口、IM、SQ、SL)が、数日間または数週間にわたって投与されることにより、生命を危うくしない亜急性の細胞治療のコントロールがゆっくり達成される。
【0620】
実施例28:代表的な実施形態
本技術のある特定の実施形態の例を、この後に提供する。
【0621】
A1.a)誘導可能なキメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドであって、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、第1のポリヌクレオチド;ならびに
b)キメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド
を含む、核酸。
【0622】
A2.前記誘導可能なキメラ刺激分子が、(iv)膜標的化領域をさらに含む、実施形態A1に記載の核酸。
【0623】
A3.前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態A1に記載の核酸。
【0624】
A4.前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iv)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(iv)、(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態A2に記載の核酸。
【0625】
A5.前記多量体化領域が、リガンド結合領域である、実施形態A1〜A4のいずれか1つに記載の核酸。
【0626】
A6.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態A5に記載の核酸。
【0627】
A7.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態A6に記載の核酸。
【0628】
A8.前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、実施形態A6に記載の核酸。
【0629】
A9.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよび配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態A9に記載の核酸。
【0630】
A10.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態A10に記載の核酸。
【0631】
A11.残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、実施形態A9に記載の核酸。
【0632】
A12.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態A5〜A11のいずれか1つに記載の核酸。
【0633】
A13.前記リガンドが、AP1903である、実施形態A12に記載の核酸。
【0634】
A14.領域(i)〜(iv)の少なくとも1つが、コドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態A1〜A13のいずれか1つに記載の核酸。
【0635】
A15.前記第1のポリヌクレオチドと前記第2のポリヌクレオチドの両方に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、実施形態A1〜A14のいずれか1つに記載の核酸。
【0636】
A16.前記第1のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第1のプロモーターおよび前記第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む、実施形態A1〜A14のいずれか1つに記載の核酸。
【0637】
A17.前記第1のポリヌクレオチドと前記第2のポリヌクレオチドとの間にリンカーポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含み、ここで、そのリンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後の第1および第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断している、実施形態A1〜A15のいずれか1つに記載の核酸。
【0638】
A18.前記リンカーポリペプチドが、2Aポリペプチドである、実施形態A17に記載の核酸。
【0639】
A19.前記キメラ抗原レセプターが、
(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分
を含む、実施形態A1〜A18のいずれか1つに記載の核酸。
【0640】
A20.前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、実施形態A19に記載の核酸。
【0641】
A21.前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、実施形態A20に記載の核酸。
【0642】
A22.前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態A19〜A21のいずれか1つに記載の核酸。
【0643】
A23.前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、実施形態A19〜A22のいずれか1つに記載の核酸。
【0644】
A24.前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態A19〜A22のいずれか1つに記載の核酸。
【0645】
A25.前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0646】
A26.前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0647】
A27.前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0648】
A28.前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0649】
A29.前記抗原認識部分が、CD19に結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0650】
A30.前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0651】
A31.前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態A19〜A24のいずれか1つに記載の核酸。
【0652】
A32.前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、実施形態A19〜A31のいずれか1つに記載の核酸。
【0653】
A33.前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、実施形態A19〜A32のいずれか1つに記載の核酸。
【0654】
A34.前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、実施形態A19〜A32のいずれか1つに記載の核酸。
【0655】
A35.CD8ストーク領域をさらに含む、実施形態A34に記載の核酸。
【0656】
A36.前記キメラ刺激分子が、配列番号49のアミノ酸配列を有するMyD88ポリペプチドもしくは配列番号137のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチドまたはそれらの機能的フラグメントを含む、実施形態A1〜A35のいずれか1つに記載の核酸。
【0657】
A37.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号49のアミノ酸配列を有する、実施形態A1〜A36のいずれか1つに記載の核酸。
【0658】
A38.前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜A37のいずれか1つに記載の核酸。
【0659】
A40.前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、実施形態A23〜A38のいずれか1つに記載の核酸。
【0660】
A41.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態A2〜A40のいずれか1つに記載の核酸。
【0661】
A42.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態A2〜A40のいずれか1つに記載の核酸。
【0662】
A43.前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A42に記載の核酸。
【0663】
A44.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態A1〜A43のいずれか1つに記載の核酸。
【0664】
A45.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態A44に記載の核酸。
【0665】
A46.前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態A44に記載の核酸。
【0666】
A47.前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、実施形態A44に記載の核酸。
【0667】
A48.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、実施形態A44に記載の核酸。
【0668】
A49.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態A44に記載の核酸。
【0669】
A50.前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスからなる群より選択される、実施形態A44に記載の核酸。
【0670】
A51.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態A1〜A43のいずれか1つに記載の核酸。
【0671】
A52.実施形態A2〜A19のいずれか1つに記載の核酸によってコードされるキメラ刺激分子ポリペプチド。
【0672】
A53.実施形態A1〜A51のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変された細胞。
【0673】
A54.前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞またはNK細胞である、実施形態A53に記載の改変された細胞。
【0674】
A55.前記細胞が、T細胞である、実施形態A53に記載の改変された細胞。
【0675】
A56.前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、実施形態A53〜A55のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0676】
A57.前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、実施形態A53〜A55のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0677】
A58.前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、実施形態A53〜A55のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0678】
A59.前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、実施形態A53〜A55のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0679】
A60.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態A53〜A55のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0680】
A61.前記細胞が、エレクトロポレーション、ソノポレーション(sonoporation)、バイオリスティック(biolistics)(例えば、Au粒子を用いた遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子またはポリプレックス(polyplexes)からなる群より選択される方法を用いて、前記核酸ベクターによってトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態A53〜A60のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0681】
A62.被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、
a)実施形態A53〜A61のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程;および
b)有効量の、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、その被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程
を含む、方法。
【0682】
A63.前記キメラ抗原レセプターが、標的細胞に結合する、実施形態A62に記載の方法。
【0683】
A64.前記標的細胞が、腫瘍細胞である、実施形態A63に記載の方法。
【0684】
A65.被験体における標的細胞の数または濃度が、前記改変された細胞の投与後に減少する、実施形態A63〜A64のいずれか1つに記載の方法。
【0685】
A66.前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、改変された細胞およびリガンドを投与した後に被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、実施形態A62〜A65のいずれか1つに記載の方法。
【0686】
A67.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態A66に記載の方法。
【0687】
A68.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、実施形態A66に記載の方法。
【0688】
A69.さらなる用量のリガンドが、前記被験体に投与される、実施形態A66〜A68のいずれか1つに記載の方法。
【0689】
A69.1.多量体リガンドの有効量が、標的細胞の数または濃度を減少させ、細胞傷害性の症候を減少させるのに有効な量である、実施形態A62〜A69のいずれか1つに記載の方法。
【0690】
A69.2.前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の(cytoxicity)症候のレベルが前記被験体において決定され、(i)多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A62〜A69.1に記載の方法。
【0691】
A69.3.前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが、前記被験体において決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A62〜A69.1に記載の方法。
【0692】
A69.4.前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的細胞の数または濃度が決定され、(i)その多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A62〜A69.1に記載の方法。
【0693】
A69.5.前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的細胞の数または濃度が決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A62〜A69.1に記載の方法。
【0694】
A69.6.前記多量体リガンドのさらなる用量が、前記以前の用量よりも120%〜200%高い、実施形態69.5に記載の方法。
【0695】
A69.7.前記多量体リガンドのさらなる用量が、前記以前の用量よりも約150%高い、実施形態A69.5に記載の方法。
【0696】
A70.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の実施形態A53〜A61のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程および前記多量体化領域に結合するリガンドを投与することによりその被験体に抗腫瘍免疫を提供する工程を含む、方法。
【0697】
A71.標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の実施形態A53〜A61のいずれか1つに記載の改変された細胞、および有効量の、前記多量体化領域に結合するリガンドをその被験体に投与する工程を含む、方法。
【0698】
A72.前記標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態A71に記載の方法。
【0699】
A73.前記改変された細胞が、自己のT細胞である、実施形態A53〜A72のいずれか1つに記載の方法。
【0700】
A74.前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、実施形態A53〜A72のいずれか1つに記載の方法。
【0701】
A75.被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、その方法は、実施形態A53〜A61のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、その腫瘍上の抗原に結合する、方法。
【0702】
A76.前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、実施形態A62〜A75のいずれか1つに記載の方法。
【0703】
A76.前記被験体が、がんを有する、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0704】
A77.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0705】
A78.前記改変された細胞が、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0706】
A79.前記改変された細胞が、腫瘍床に送達される、実施形態A62〜A78のいずれか1つに記載の方法。
【0707】
A80.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態A76に記載の方法。
【0708】
A81.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0709】
A82.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0710】
A83.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0711】
A84.前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0712】
A84.前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態A62〜A76のいずれか1つに記載の方法。
【0713】
A85.さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態A62〜A84のいずれか1つに記載の方法。
【0714】
A86.さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態A62〜A85のいずれか1つに記載の方法。
【0715】
A86.1.多量体リガンドの有効量が、標的抗原を発現している細胞の数もしくは濃度または標的抗原を発現している細胞の組織浸潤の程度を減少させ、前記細胞傷害性の症候を減少させるのに有効な量である、実施形態A71〜A86のいずれか1つに記載の方法。
【0716】
A86.2.前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが前記被験体において決定され、(i)該多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A71〜A86.1に記載の方法。
【0717】
A86.3.前記多量体リガンドを投与した後に、細胞傷害性の症候のレベルが、前記被験体において決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A71〜A86に記載の方法。
【0718】
A86.4.前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的抗原を発現している細胞の数もしくは濃度または標的抗原を発現している細胞の組織浸潤の程度が決定され、(i)多量体リガンドの投与が中止されるか、または(ii)投与された多量体リガンドの以前の用量よりも低いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A71〜A86.3に記載の方法。
【0719】
A86.5.前記多量体リガンドを投与した後に、前記被験体における標的抗原を発現している細胞の数もしくは濃度または標的抗原を発現している細胞の組織浸潤の程度が決定され、投与された多量体リガンドの以前の用量よりも高いさらなる用量の多量体リガンドが投与される、実施形態A71〜A86.3に記載の方法。
【0720】
A87.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、実施形態A53〜A61のいずれか1つに記載のリガンドを投与する指示、そのリガンドのその後の投与量を維持する指示またはその被験体に投与されるそのリガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態A62〜A86.5のいずれか1つに記載の方法。
【0721】
A88.前記状態が、白血病である、実施形態A62〜A87のいずれか1つに記載の方法。
【0722】
A89.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態A62〜A87のいずれか1つに記載の方法。
【0723】
A90.前記改変された細胞が、エキソビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態A62〜A89のいずれか1つに記載の方法。
【0724】
A91.前記改変された細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態A62〜A89のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0725】
A92.前記リガンドが、AP1903である、実施形態A62〜A90のいずれか1つに記載の方法。
【0726】
A93.細胞においてキメラ刺激分子を発現させるための方法であって、その方法は、実施形態A1〜A51のいずれか1つに記載の核酸を、その核酸が細胞に組み込まれる条件下において細胞と接触させる工程を含み、それにより、その細胞は、組み込まれた核酸からキメラ抗原レセプターを発現する、方法。
【0727】
A94.前記核酸が、エキソビボにおいて前記細胞と接触される、実施形態A93に記載の方法。
【0728】
A95.前記核酸が、インビボにおいて前記細胞と接触される、実施形態A93に記載の方法。
【0729】
B1.標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、その方法は、多量体リガンド結合領域に結合する多量体リガンドを投与する工程を含み、ここで、
a)その多量体リガンドは、前記多量体リガンド領域、MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域およびCD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域を含む誘導可能なキメラ刺激分子に結合し;
b)被験体内を循環しているT細胞は、(i)誘導可能なキメラ刺激分子;および(ii)標的抗原に結合するキメラ抗原レセプターを発現し;
c)標的抗原は、被験体内を循環している標的細胞上に存在し;
d)被験体における標的細胞の数または濃度は、多量体リガンドを投与した後に減少する、
方法。
【0730】
B2.前記誘導可能なキメラ刺激分子が、膜標的化領域をさらに含む、実施形態B1に記載の方法。
【0731】
B3.前記キメラ刺激分子を発現しているT細胞が、実施形態A1〜A51のいずれか1つに記載の核酸を含む、実施形態B1またはB2のいずれか1つに記載の方法。
【0732】
B4.前記標的抗原が、腫瘍細胞によって発現され、前記キメラ抗原レセプターが、その腫瘍細胞に結合する、実施形態B1〜B3のいずれか1つに記載の方法。
【0733】
B5.前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、改変された細胞およびリガンドを投与した後に被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、実施形態B1〜B4のいずれか1つに記載の方法。
【0734】
B6.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態B5に記載の方法。
【0735】
B7.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、実施形態B5に記載の方法。
【0736】
B8.さらなる用量の前記リガンドが、前記被験体に投与される、実施形態B1〜B7のいずれか1つに記載の方法。
【0737】
B9.前記標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態B1〜B8のいずれか1つに記載の方法。
【0738】
B10.前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0739】
B11.前記被験体が、がんを有する、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0740】
B12.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態B1〜B11のいずれか1つに記載の方法。
【0741】
B13.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態B11に記載の方法。
【0742】
B14.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態B1〜B13のいずれか1つに記載の方法。
【0743】
B15.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0744】
B16.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0745】
B17.前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0746】
B18.前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0747】
B19.さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態B1〜B18のいずれか1つに記載の方法。
【0748】
B20.さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態B1〜B18のいずれか1つに記載の方法。
【0749】
B21.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、前記多量体リガンドをその被験体に投与する指示、その多量体リガンドのその後の投与量を維持する指示またはその被験体に投与されるその多量体リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態B1〜B18のいずれか1つに記載の方法。
【0750】
B22.前記状態が、白血病である、実施形態B1〜B21のいずれか1つに記載の方法。
【0751】
B23.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態B1〜B9のいずれか1つに記載の方法。
【0752】
B24.前記リガンドが、AP1903である、実施形態B1〜B23のいずれか1つに記載の方法。
【0753】
C1.誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変されたT細胞であって、ここで、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、改変されたT細胞。
【0754】
C2.前記誘導可能なキメラ刺激分子が、(iv)膜標的化領域をさらに含む、実施形態C1に記載の改変されたT細胞。
【0755】
C3.前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態C1に記載の改変されたT細胞。
【0756】
C4.前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iv)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(iv)、(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態C2に記載の改変されたT細胞。
【0757】
C5.前記多量体化領域が、リガンド結合領域である、実施形態C1〜C4のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0758】
C6.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態C5に記載の改変されたT細胞。
【0759】
C7.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態C6に記載の改変されたT細胞。
【0760】
C8.前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、実施形態C6に記載の改変されたT細胞。
【0761】
C9.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよび配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態C5に記載の改変されたT細胞。
【0762】
C10.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含むか、または配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態C9に記載の改変されたT細胞。
【0763】
C11.残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、実施形態C9に記載の改変されたT細胞(T cel)。
【0764】
C12.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態C5〜C11のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0765】
C13.前記リガンドが、AP1903である、実施形態C12に記載の改変されたT細胞。
【0766】
C14.領域(i)〜(iv)の少なくとも1つが、コドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態C1〜C13のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0767】
C15.前記誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、実施形態C1〜C14のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0768】
C16.前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態C1〜C15のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0769】
C17.前記キメラ抗原レセプターが、
(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分
を含む、実施形態C16に記載の改変されたT細胞。
【0770】
C18.前記改変された細胞が、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態C1〜C15のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0771】
C19.前記改変された細胞が、T細胞レセプターまたはT細胞レセプターに基づくキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態C1〜C15のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0772】
C20.前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、実施形態C16に記載の改変されたT細胞。
【0773】
C21.前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、実施形態C20に記載の改変されたT細胞。
【0774】
C22.前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態C17に記載の改変されたT細胞。
【0775】
C23.前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、実施形態C17に記載の改変されたT細胞。
【0776】
C24.前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態C17に記載の改変されたT細胞。
【0777】
C25.前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態C17またはC22〜C24のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0778】
C26.前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態C17またはC22〜C24のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0779】
C27.前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態C17またはC22〜C26のいずれか1項に記載の改変されたT細胞。
【0780】
C28.前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、実施形態C17またはC22〜C24のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0781】
C29.前記抗原認識部分が、CD19に結合する、実施形態C17またはC22〜C24のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0782】
C30.前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、実施形態C17またはC22〜C24のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0783】
C31.前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態C17またはC22〜C24のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0784】
C32.前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、実施形態C17またはC22〜C31のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0785】
C33.前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、実施形態C17またはC22〜C32のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0786】
C34.前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、実施形態C17またはC22〜C32のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0787】
C35.前記キメラ抗原レセプターが、CD8ストーク領域をさらに含む、実施形態C34に記載の改変されたT細胞。
【0788】
C36.前記キメラ刺激分子が、配列番号5のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含む、実施形態C1〜C35のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0789】
C37.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号49のアミノ酸配列を有する、実施形態C1〜C36のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0790】
C38.前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態C1〜C37のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0791】
C40.前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、実施形態C23〜C38のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0792】
C41.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態C2〜C40のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0793】
C42.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態C2〜C40のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0794】
C43.前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態C42に記載の改変されたT細胞。
【0795】
C44〜C61 保留。
【0796】
C62.被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、
a)実施形態C1〜C43のいずれか1つに記載の改変されたT細胞をその被験体に投与する工程;および
b)有効量の、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、その被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程
を含む、方法。
【0797】
C63.前記キメラ抗原レセプターが、標的細胞に結合する、実施形態C62に記載の方法。
【0798】
C64.前記標的細胞が、腫瘍細胞である、実施形態C63に記載の方法。
【0799】
C65.被験体における標的細胞の数または濃度が、前記リガンドの投与後に減少する、実施形態C62〜C64のいずれか1つに記載の方法。
【0800】
C66.前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、改変された細胞およびリガンドを投与した後に被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、実施形態C62〜C65のいずれか1つに記載の方法。
【0801】
C67.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態C66に記載の方法。
【0802】
C68.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、実施形態C66に記載の方法。
【0803】
C69.さらなる用量の前記リガンドが、前記被験体に投与される、実施形態C62〜C68のいずれか1つに記載の方法。
【0804】
C70.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の実施形態C1〜C43のいずれか1つに記載の改変されたT細胞をその被験体に投与する工程および多量体化領域に結合するリガンドを投与することによりその被験体に抗腫瘍免疫をもたらす工程を含む、方法。
【0805】
C71.標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の実施形態C1〜C43のいずれか1つに記載の改変されたT細胞、および有効量の、前記多量体化領域に結合するリガンドをその被験体に投与する工程を含む、方法。
【0806】
C72.前記標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態C71に記載の方法。
【0807】
C73.前記改変されたT細胞が、自己のT細胞である、実施形態C62〜C72のいずれか1つに記載の方法。
【0808】
C74.前記改変されたT細胞が、同種異系のT細胞である、実施形態C62〜C72のいずれか1つに記載の方法。
【0809】
C75.被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、その方法は、実施形態C1〜C43のいずれか1つに記載の改変されたT細胞をその被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、その腫瘍上の抗原に結合する、方法。
【0810】
C76.前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0811】
C76.前記被験体が、がんを有する、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0812】
C77.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0813】
C78.前記改変されたT細胞が、腫瘍浸潤リンパ球、NK細胞またはNK−T細胞である、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0814】
C79.前記改変されたT細胞が、腫瘍床に送達される、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0815】
C80.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態C76に記載の方法。
【0816】
C81.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0817】
C82.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0818】
C83.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0819】
C84.前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態C62〜C75のいずれか1つに記載の方法。
【0820】
C84.前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態C62〜C76のいずれか1つに記載の方法。
【0821】
C85.さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態C62〜C84のいずれか1つに記載の方法。
【0822】
C86.さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態C62〜C85のいずれか1つに記載の方法。
【0823】
C87.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、実施形態C53〜C61のいずれか1つに記載のリガンドを投与する指示、そのリガンドのその後の投与量を維持する指示またはその被験体に投与されるそのリガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態C62〜C86のいずれか1つに記載の方法。
【0824】
C88.前記状態が、白血病である、実施形態C62〜C87のいずれか1つに記載の方法。
【0825】
C89.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態C62〜C87のいずれか1つに記載の方法。
【0826】
C90.前記改変されたT細胞が、エキソビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態C62〜C89のいずれか1つに記載の方法。
【0827】
C91.前記改変されたT細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態C62〜C89のいずれか1つに記載の改変されたT細胞。
【0828】
C92.前記リガンドが、AP1903である、実施形態C62〜C90のいずれか1つに記載の方法。
【0829】
D1.誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)MyD88ポリペプチド領域またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、核酸。
【0830】
D2.前記キメラ刺激分子がポリペプチドであって、領域(i)〜(iii)を、該ポリペプチドのアミノ末端からカルボキシル末端に向かって(i)、(ii)、(iii)という順序で含むポリペプチドである、実施形態D1に記載の核酸。
【0831】
D3.前記多量体化領域が、リガンド結合領域である、実施形態D1〜D2のいずれか1つに記載の核酸。
【0832】
D3.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態D3に記載の核酸。
【0833】
D4.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態D3に記載の核酸。
【0834】
D5.前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、実施形態D3に記載の核酸。
【0835】
D6.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントおよび配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、実施形態D3に記載の核酸。
【0836】
D7.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D6に記載の核酸。
【0837】
D8.残基36がバリンであるFvポリペプチドバリアントをさらに含む、実施形態D6に記載の核酸。
【0838】
D9.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態D1〜D8のいずれか1つに記載の核酸。
【0839】
D10.前記リガンドが、AP1903である、実施形態D9に記載の核酸。
【0840】
D11.領域(i)〜(iii)の少なくとも1つが、コドン最適化されたヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態D1〜D10のいずれか1つに記載の核酸。
【0841】
D12.前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、実施形態D1〜D11のいずれか1つに記載の核酸。
【0842】
D13.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態D1〜D12のいずれか1つに記載の核酸。
【0843】
D14.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態D13に記載の核酸。
【0844】
D15.前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態D14に記載の核酸。
【0845】
D16.前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、実施形態D14に記載の核酸。
【0846】
D17.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、実施形態D13に記載の核酸。
【0847】
D18.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態D13に記載の核酸。
【0848】
D19.前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスからなる群より選択される、実施形態D13に記載の核酸。
【0849】
D20.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態D1〜D12のいずれか1つに記載の核酸。
【0850】
D21.実施形態D1〜D20のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変された細胞。
【0851】
D22.前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞またはNK細胞である、実施形態D21に記載の改変された細胞。
【0852】
D23.前記細胞が、T細胞である、実施形態D21に記載の改変された細胞。
【0853】
D24.前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、実施形態D21〜D23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0854】
D25.前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、実施形態D21〜D23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0855】
D26.前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、実施形態D21〜D23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0856】
D27.前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、実施形態D21〜D23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0857】
D28.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態D21〜D27のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0858】
D29.前記細胞が、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子を用いた遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子またはポリプレックスからなる群より選択される方法を用いて、前記核酸ベクターによってトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態D21〜D28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0859】
D30.前記改変された細胞が、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態D1〜D29のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0860】
D31.前記改変された細胞が、T細胞レセプターまたはT細胞レセプターに基づくキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態D1〜D29のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0861】
D32.前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態D21〜D29のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0862】
D33.前記キメラ抗原レセプターが、(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分を含む、実施形態D32に記載の改変された細胞。
【0863】
D34.前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、実施形態D33に記載の改変された細胞。
【0864】
D35.前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、実施形態D34に記載の改変された細胞。
【0865】
D36.前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態D33に記載の改変された細胞。
【0866】
D37.前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、実施形態D33に記載の改変された細胞。
【0867】
D38.前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態D33に記載の改変された細胞。
【0868】
D39.前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態D32〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0869】
D40.前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態D32〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0870】
D41.前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態D32〜D40のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0871】
D42.前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、実施形態D32〜D40のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0872】
D43.前記抗原認識部分が、CD19に結合する、実施形態D32〜D40のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0873】
D44.前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、実施形態D32〜D40のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0874】
D45.前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態D32〜D38のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0875】
D46.前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、実施形態D32〜D45のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0876】
D47.前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、実施形態D32〜D46のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0877】
D48.前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、実施形態D32〜D46のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0878】
D49.前記キメラ抗原レセプターが、CD8ストーク領域をさらに含む、実施形態D48に記載の改変された細胞。
【0879】
D50.前記キメラ刺激分子が、配列番号5のアミノ酸配列を有する切断型MyD88ポリペプチドまたはその機能的フラグメントを含む、実施形態D21〜D49のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0880】
D51.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号49のアミノ酸配列を有する、実施形態D21〜D50のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0881】
D52.前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態D21〜D51のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0882】
D53.前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、実施形態D32〜D52のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0883】
D54.被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、
a)実施形態D21〜D53のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程;および
b)有効量の、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与することにより、その被験体においてT細胞媒介性の免疫応答を刺激する工程
を含む、方法。
【0884】
D55.保留。
【0885】
D56.前記キメラ抗原レセプターが、標的細胞に結合する、実施形態D54に記載の方法。
【0886】
D57.前記標的細胞が、腫瘍細胞である、実施形態D56に記載の方法。
【0887】
D58.被験体における標的細胞の数または濃度が、前記リガンドの投与後に減少する、実施形態D56またはD57のいずれか1つに記載の方法。
【0888】
D59.前記改変された細胞またはリガンドを投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、改変された細胞およびリガンドを投与した後に被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、および第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程をさらに含む、実施形態D56〜D58のいずれか1つに記載の方法。
【0889】
D60.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態D59に記載の方法。
【0890】
D61.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、実施形態D59に記載の方法。
【0891】
D62.さらなる用量のリガンドが、前記被験体に投与される、実施形態D54〜D61のいずれか1つに記載の方法。
【0892】
D63.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の実施形態D21〜D53のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程および前記多量体化領域に結合するリガンドを投与することによりその被験体に抗腫瘍免疫を提供する工程を含む、方法。
【0893】
D64.標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の実施形態D32〜D53のいずれか1つに記載の改変された細胞、および有効量の、前記多量体化領域に結合するリガンドをその被験体に投与する工程を含む、方法。
【0894】
D65.前記標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態D64に記載の方法。
【0895】
D66.前記改変された細胞が、T細胞である、実施形態D64またはD65のいずれか1つに記載の方法。
【0896】
D67.前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、実施形態D64またはD65のいずれか1つに記載の方法。
【0897】
D68.被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、その方法は、実施形態D32〜D53のいずれか1項に記載の改変された細胞を前記被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、その腫瘍上の抗原に結合する、方法。
【0898】
D69.前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、実施形態D54〜D69のいずれか1つに記載の方法。
【0899】
D70.前記被験体が、がんを有する、実施形態D54〜D70のいずれか1つに記載の方法。
【0900】
D71.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態D54〜D70のいずれか1つに記載の方法。
【0901】
D72.前記改変された細胞が、腫瘍浸潤リンパ球である、実施形態D54〜D71のいずれか1つに記載の方法。
【0902】
D73.前記改変された細胞が、腫瘍床に送達される、実施形態D54〜D72のいずれか1つに記載の方法。
【0903】
D74.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態D70に記載の方法。
【0904】
D75.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態D54〜D74のいずれか1つに記載の方法。
【0905】
D76.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態D54〜D75のいずれか1つに記載の方法。
【0906】
D77.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態D54〜D75のいずれか1つに記載の方法。
【0907】
D78.前記被験体が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HAH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態D54〜D75のいずれか1つに記載の方法。
【0908】
D79.前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XAP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態D54〜D75のいずれか1つに記載の方法。
【0909】
D80.さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態D54〜D79のいずれか1つに記載の方法。
【0910】
D81.さらなる用量の前記リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態D54〜D80のいずれか1つに記載の方法。
【0911】
D82.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、前記リガンドを投与する指示、そのリガンドのその後の投与量を維持する指示またはその被験体に投与されるそのリガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態D54〜D80のいずれか1つに記載の方法。
【0912】
D83.前記状態が、白血病である、実施形態D54〜D82のいずれか1つに記載の方法。
【0913】
D84.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態D54〜D82のいずれか1つに記載の方法。
【0914】
D85.前記改変された細胞が、エキソビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態D54〜D82のいずれか1つに記載の方法。
【0915】
D86.前記改変された細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態D21〜D53のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【0916】
D87.前記リガンドが、AP1903である、実施形態D54〜D86のいずれか1つに記載の方法。
【0917】
実施例29:さらなる代表的な実施形態
本技術のある特定の実施形態の例を、この後に提供する。
【0918】
A1.T細胞を活性化するための方法であって、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程
を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)MyD88ポリペプチド
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【0919】
A2.T細胞を活性化するための方法であって、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程
を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40細胞質領域
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【0920】
B1.T細胞を活性化するための方法であって、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程
を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、
c)MyD88ポリペプチド、および
d)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【0921】
C1.T細胞を活性化するための方法であって、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でT細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程
を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【0922】
D1.前記T細胞が、初代T細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【0923】
D2.前記T細胞が、細胞傷害性T細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【0924】
D3.前記T細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【0925】
D4.前記T細胞が、ヘルパーT細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【0926】
D4.1.前記T細胞が、単離されたT細胞である、実施形態A1〜D4のいずれか1つに記載の方法。
【0927】
D5.多量体化領域に結合するリガンドと前記T細胞を接触させることにより多量体化をもたらし、それによって、そのT細胞が活性化される工程を含む、実施形態A1〜D4.1のいずれか1つに記載の方法。
【0928】
D6.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態A1〜D5のいずれか1つに記載の方法。
【0929】
D7.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態D6に記載の方法。
【0930】
D8.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態D6に記載の方法。
【0931】
D9.前記レトロウイルスベクターが、図36のプラスミドベクターを用いて作製される、実施形態D8に記載の方法。
【0932】
D10.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態A1〜D5のいずれか1つに記載の方法。
【0933】
D11.前記核酸が、プラスミド内またはウイルス内に含まれていない、実施形態D10に記載の方法。
【0934】
D12.前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態A1〜D10のいずれか1つに記載の方法。
【0935】
D13.前記MyD88ポリペプチドが、TIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドである、実施形態A1、B1またはD1〜D12のいずれか1つに記載の方法。
【0936】
D14.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態D13に記載の方法。
【0937】
D15.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号4の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態D13またはD14に記載の方法。
【0938】
D16.腫瘍抗原を標的化するキメラ抗原レセプター(CAR)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸で前記T細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程をさらに含む、実施形態A1〜D15のいずれか1つに記載の方法。
【0939】
D17.前記標的化された腫瘍抗原が、前立腺がん抗原である、実施形態D16のいずれか1つに記載の方法。
【0940】
D18.前記標的化された腫瘍抗原が、前立腺特異的膜抗原である、実施形態D16のいずれか1つに記載の方法。
【0941】
D19.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態A1〜D18のいずれか1つに記載の方法。
【0942】
D20.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態D19に記載の方法。
【0943】
D21.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体およびそれらの変異された配列からなる群より選択されるリガンド結合領域である、実施形態A1〜D20のいずれか1つに記載の方法。
【0944】
D22.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態D21に記載の方法。
【0945】
D23.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態D22に記載の方法。
【0946】
D24.前記FKBP領域が、Fv’Fvlsである、実施形態D21に記載の方法。
【0947】
D25.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態D5〜D24のいずれか1つに記載の方法。
【0948】
D26.前記リガンドが、AP1903である、実施形態D25に記載の方法。
【0949】
D27.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号9の細胞質領域のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜D26のいずれか1つに記載の方法。
【0950】
D28.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号8におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態B1〜D27のいずれか1つに記載の方法。
【0951】
D29.保留。
【0952】
D30.保留。
【0953】
D31.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜D29のいずれか1つに記載の方法。
【0954】
D32.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態A1〜D30のいずれか1つに記載の方法。
【0955】
D33.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【0956】
D33.1.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【0957】
D33.1.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【0958】
D33.2.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【0959】
D33.3.前記多量体化領域が、配列番号27もしくは配列番号32のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D33.1またはD33.2に記載の方法。
【0960】
D33.4.前記多量体化領域が、配列番号12もしくは配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D33.1またはD33.2に記載の方法。
【0961】
D34.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態A1〜D33.24のいずれか1つに記載の方法。
【0962】
D35.前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態D34に記載の方法。
【0963】
D36.前記ミリストイル化領域が、配列番号2におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態D34に記載の方法。
【0964】
D37.前記T細胞が、ヒトT細胞である、実施形態A1〜D36のいずれか1つに記載の方法。
【0965】
D38.前記T細胞が、インビボにおいて前記多量体リガンドと接触される、実施形態D1〜D37のいずれか1つに記載の方法。
【0966】
E1.被験体における腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導する方法であって、実施形態A1〜D37のいずれか1つに記載の方法に従ってT細胞を活性化する工程およびその活性化されたT細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【0967】
E2.被験体における表面腫瘍抗原を有する腫瘍のサイズを減少させる方法であって、実施形態A1〜D37のいずれか1つに記載の方法に従ってT細胞を活性化する工程を含む、方法。
【0968】
E3.前記腫瘍が、前立腺がん腫瘍である、実施形態E2に記載の方法。
【0969】
E3.被験体における前立腺がんを処置する方法であって、その方法は、実施形態A1〜D37のいずれか1つに記載の方法に従ってT細胞を活性化する工程であって、ここで、その腫瘍抗原は、前立腺がん抗原である、工程、およびその活性化されたT細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【0970】
E4.前記腫瘍抗原が、PSMAである、実施形態E3に記載の方法。
【0971】
E5.前記被験体が、ヒトである、実施形態E1〜E4のいずれか1つに記載の方法。
【0972】
E6.前記被験体が、前立腺がんを有する、実施形態E1〜E5のいずれか1つに記載の方法。
【0973】
E7.前記T細胞が、インビボにおいて前記多量体リガンドと接触される、実施形態E1〜E6のいずれか1つに記載の方法。
【0974】
E8.前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程を含む、実施形態E1〜E7のいずれか1つに記載の方法。
【0975】
E9.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態E8に記載の方法。
【0976】
E10.前記T細胞を投与する前および/または投与した後に腫瘍のサイズを測定する工程を含む、実施形態E2〜E9のいずれかに記載の方法。
【0977】
E11.前記T細胞を投与する前および/または投与した後に前記被験体の血清PSAレベルを決定する工程を含む、実施形態E2〜E9のいずれか1つに記載の方法。
【0978】
E12.前記被験体が、7またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態E2〜E11のいずれか1つに記載の方法。
【0979】
E13.前記被験体が、8またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態E2〜E11のいずれか1つに記載の方法。
【0980】
F1.キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含むT細胞であって、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)MyD88ポリペプチド
を含む、T細胞。
【0981】
F2.キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含むT細胞であって、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、
c)MyD88ポリペプチド、および
d)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含む、T細胞。
【0982】
F3.キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含むT細胞であって、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含む、T細胞。
【0983】
F4.腫瘍抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸をさらに含む、実施形態F1〜F3のいずれか1つに記載のT細胞。
【0984】
F5.保留。
【0985】
F6.保留。
【0986】
F7.前記T細胞が、初代T細胞である、実施形態F1〜F7のいずれか1つに記載のT細胞。
【0987】
F8.前記T細胞が、細胞傷害性T細胞である、実施形態F1〜F7のいずれか1つに記載のT細胞。
【0988】
F9.保留。
【0989】
F10.前記T細胞が、ヘルパーT細胞である、実施形態F1〜F7のいずれか1つに記載のT細胞。
【0990】
F10.1.前記T細胞が、単離されたT細胞である、実施形態F1〜F10のいずれか1つに記載のT細胞。
【0991】
F11.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態F1〜F3またはF7〜F10.1のいずれか1つに記載のT細胞。
【0992】
F12.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態F11に記載のT細胞。
【0993】
F13.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態F11に記載のT細胞。
【0994】
F14.前記レトロウイルスベクターが、図36のプラスミドベクターを用いて作製される、実施形態F13に記載のT細胞。
【0995】
F15.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態F1〜F3またはF7〜F10.1のいずれか1つに記載のT細胞。
【0996】
F16.保留。
【0997】
F17.前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態F1〜F16のいずれか1つに記載のT細胞。
【0998】
F18.前記MyD88ポリペプチドが、TIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドである、実施形態F1〜F2またはF4〜F18のいずれか1つに記載のT細胞。
【0999】
F19.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態18に記載のT細胞。
【1000】
F20.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号4の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F18またはF19に記載のT細胞。
【1001】
F21.保留。
【1002】
F22.前記腫瘍抗原が、前立腺がん抗原である、実施形態F4に記載のT細胞。
【1003】
F23.前記腫瘍抗原が、前立腺特異的膜抗原である、実施形態F22に記載のT細胞。
【1004】
F24.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態F1〜F23のいずれか1つに記載のT細胞。
【1005】
F25.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態F24に記載のT細胞。
【1006】
F26.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体およびそれらの変異された配列からなる群より選択される、実施形態F1〜F25のいずれか1つに記載のT細胞。
【1007】
F27.前記多量体化領域が、FKBP12領域である、実施形態F26に記載のT細胞。
【1008】
F28.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態F27に記載のT細胞。
【1009】
F29.前記FKBP領域が、Fv’Fvlsである、実施形態F26に記載のT細胞。
【1010】
F30.前記多量体化領域に結合することができる多量体リガンドを含む組成物中の、実施形態F1〜F29のいずれか1つに記載のT細胞。
【1011】
F30.1.前記多量体リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態F30に記載のT細胞。
【1012】
F31.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態F30.1に記載のT細胞。
【1013】
F32.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号9の細胞質領域のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態F2〜F3またはF5〜F31のいずれか1つに記載のT細胞。
【1014】
F33.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号8におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F2〜F3またはF5〜F31のいずれか1つに記載のT細胞。
【1015】
F34.〜F35.保留。
【1016】
F36.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態F1〜F35のいずれか1つに記載のT細胞。
【1017】
F37.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F1〜F36のいずれか1つに記載のT細胞。
【1018】
F37.1.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F36に記載の方法。
【1019】
F37.2.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F37に記載の方法。
【1020】
F37.3.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F37.1に記載の方法。
【1021】
F37.4.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F37.2に記載の方法。
【1022】
F38.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態F1〜F37のいずれか1つに記載のT細胞。
【1023】
F39.前記ミリストイル化領域が、配列番号13のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態F38に記載のT細胞。
【1024】
F40.前記ミリストイル化領域が、配列番号2におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F38に記載のT細胞。
【1025】
F41.前記T細胞が、ヒトT細胞である、実施形態F1〜F39のいずれか1つに記載のT細胞。
【1026】
G1.被験体における腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導する方法であって、実施形態F1〜F14のいずれか1つに記載のT細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1027】
G2.被験体における腫瘍サイズを減少させる方法であって、実施形態F1〜F41のいずれか1つに記載のT細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1028】
G3.前記腫瘍が、前立腺がん腫瘍である、実施形態G2に記載の方法。
【1029】
G4.被験体における前立腺がんを処置する方法であって、その方法は、実施形態F1〜F41のいずれか1つに記載のT細胞を被験体に投与する工程を含み、前記腫瘍抗原は、前立腺がん抗原である、方法。
【1030】
G5.前記腫瘍抗原が、PSMAである、実施形態G4に記載の方法。
【1031】
G6.前記被験体が、ヒトである、実施形態G1〜G5のいずれか1つに記載の方法。
【1032】
G7.前記被験体が、前立腺がんを有する、実施形態G1〜G6のいずれか1つに記載の方法。
【1033】
G8.前記T細胞が、前記被験体に前記T細胞を投与する前に、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドとエキソビボにおいて接触される、実施形態G1〜G7のいずれか1つに記載の方法。
【1034】
G9.前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含む、実施形態G1〜G8のいずれか1つに記載の方法。
【1035】
G10.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態G9に記載の方法。
【1036】
G11.前記T細胞を投与する前および/または投与した後に前記腫瘍のサイズを測定する工程を含む、実施形態G2〜G10に記載の方法。
【1037】
G12.前記T細胞を投与する前および/または投与した後に前記被験体の血清PSAレベルを決定する工程を含む、実施形態G2〜G10に記載の方法。
【1038】
G13.前記被験体が、7またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態G2〜G12に記載の方法。
【1039】
G14.前記被験体が、8またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態G2〜G12に記載の方法。
【1040】
G15.前記T細胞を投与する前および/または投与した後に腫瘍血管構造のレベルを測定する工程を含む、実施形態G2〜G10に記載の方法。
【1041】
H1.被験体におけるT細胞を活性化するための方法であって、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)MyD88ポリペプチド領域
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【1042】
H2.被験体におけるT細胞を活性化するための方法であって、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、
c)MyD88ポリペプチド、および
d)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【1043】
H3.被験体におけるT細胞を活性化するための方法であって、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、そのT細胞は活性化される、方法。
【1044】
H4.被験体における腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導する方法であって、実施形態H1〜H3のいずれか1つに記載の方法に従って核酸を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1045】
H5.被験体における腫瘍サイズを減少させる方法であって、実施形態H1〜H3のいずれか1つに記載の方法に従って核酸を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1046】
H6.前記腫瘍が、前立腺がん腫瘍である、実施形態H5に記載の方法。
【1047】
H7.被験体における前立腺がんを処置する方法であって、実施形態H1〜H3のいずれか1つに記載の方法に従って核酸を被験体に投与する工程を含み、前立腺がん抗原をコードする核酸を投与する工程をさらに含む、方法。
【1048】
H8.前記腫瘍抗原が、PSMAである、実施形態H4に記載の方法。
【1049】
H6.前記被験体が、ヒトである、実施形態H1〜H5のいずれか1つに記載の方法。
【1050】
H7.前記被験体が、前立腺がんを有する、実施形態H1〜H6のいずれか1つに記載の方法。
【1051】
H8.前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与する工程をさらに含む、実施形態H1〜H7のいずれか1つに記載の方法。
【1052】
H9.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態H8に記載の方法。
【1053】
H10.前記T細胞を投与する前および/または投与した後に腫瘍のサイズを測定する工程を含む、実施形態H4〜H9に記載の方法。
【1054】
H11.前記核酸を投与する前および/または投与した後に前記被験体の血清PSAレベルを決定する工程を含む、実施形態H4〜H10に記載の方法。
【1055】
H12.前記被験体が、7またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態H4〜H11に記載の方法。
【1056】
H13.前記被験体が、8またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態H4〜H11に記載の方法。
【1057】
H14.前記核酸を投与する前および/または投与した後に腫瘍血管構造のレベルを測定する工程を含む、実施形態H4〜H13に記載の方法。
【1058】
実施例30:さらなる代表的な実施形態
本技術のある特定の実施形態の例を、この後に提供する。
【1059】
A1.細胞を活性化するための方法であって、ここで、その細胞は、樹状細胞またはB細胞ではなく、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でその細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)MyD88ポリペプチド
を含み、それによって、その細胞は活性化される、方法。
【1060】
B1.細胞を活性化するための方法であって、ここで、その細胞は、樹状細胞またはB細胞ではなく、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でその細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、
c)MyD88ポリペプチド、および
d)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、その細胞は活性化される、方法。
【1061】
C1.細胞を活性化するための方法であって、ここで、その細胞は、樹状細胞またはB細胞ではなく、その方法は、
キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でその細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、その細胞は活性化される、方法。
【1062】
D1.前記細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【1063】
D2.前記細胞が、非リンパ球性造血細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【1064】
D2.1.前記細胞が、非造血細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【1065】
D3.前記細胞が、マクロファージである、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【1066】
D4.前記細胞が、ミエローマ細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【1067】
D4.1.前記細胞が、ケラチノサイトまたは線維芽細胞である、実施形態A1〜C1のいずれか1つに記載の方法。
【1068】
D5.多量体化領域に結合するリガンドと前記細胞を接触させることにより多量体化をもたらし、それによって、その細胞が活性化される工程を含む、実施形態A1〜D4.1のいずれか1つに記載の方法。
【1069】
D6.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態A1〜D5のいずれか1つに記載の方法。
【1070】
D7.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態D6に記載の方法。
【1071】
D8.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態D6に記載の方法。
【1072】
D8.1.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、実施形態D6に記載の方法。
【1073】
D9.前記レトロウイルスベクターが、図36のプラスミドベクターを用いて作製される、実施形態D8に記載の方法。
【1074】
D10.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態A1〜D5のいずれか1つに記載の方法。
【1075】
D11.前記核酸が、プラスミド内またはウイルス内に含まれていない、実施形態D10に記載の方法。
【1076】
D12.前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態A1〜D10のいずれか1つに記載の方法。
【1077】
D13.前記MyD88ポリペプチドが、TIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドである、実施形態A1、B1またはD1〜D12のいずれか1つに記載の方法。
【1078】
D14.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態D13に記載の方法。
【1079】
D15.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号4の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態D13またはD14に記載の方法。
【1080】
D16.腫瘍抗原を標的化するキメラ抗原レセプター(CAR)をコードするポリヌクレオチドを含む核酸で前記細胞をトランスフェクトするかまたは形質導入する工程をさらに含む、実施形態A1〜D15のいずれか1つに記載の方法。
【1081】
D17.前記標的化された腫瘍抗原が、前立腺がん抗原である、実施形態D16のいずれか1つに記載の方法。
【1082】
D18.前記標的化された腫瘍抗原が、前立腺特異的膜抗原である、実施形態D16のいずれか1つに記載の方法。
【1083】
D19.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態A1〜D18のいずれか1つに記載の方法。
【1084】
D20.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態D19に記載の方法。
【1085】
D21.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体およびそれらの変異された配列からなる群より選択されるリガンド結合領域である、実施形態A1〜D20のいずれか1つに記載の方法。
【1086】
D22.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態D21に記載の方法。
【1087】
D23.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態D22に記載の方法。
【1088】
D24.前記FKBP領域が、Fv’Fvlsである、実施形態D21に記載の方法。
【1089】
D25.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態D5〜D24のいずれか1つに記載の方法。
【1090】
D26.前記リガンドが、AP1903である、実施形態D25に記載の方法。
【1091】
D27.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号9の細胞質領域のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜D26のいずれか1つに記載の方法。
【1092】
D28.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号8におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態B1〜D27のいずれか1つに記載の方法。
【1093】
D29〜D30.保留。
【1094】
D31.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態A1〜D29のいずれか1つに記載の方法。
【1095】
D32.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態A1〜D30のいずれか1つに記載の方法。
【1096】
D33.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【1097】
D33.1.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【1098】
D33.1.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【1099】
D33.2.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D31に記載の方法。
【1100】
D33.3.前記多量体化領域が、配列番号11もしくは配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D33.1またはD33.2に記載の方法。
【1101】
D33.4.前記多量体化領域が、配列番号10もしくは配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態D33.1またはD33.2に記載の方法。
【1102】
D34.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態A1〜D33.24のいずれか1つに記載の方法。
【1103】
D35.前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態D34に記載の方法。
【1104】
D36.前記ミリストイル化領域が、配列番号2におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態D34に記載の方法。
【1105】
D37.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態A1〜D36のいずれか1つに記載の方法。
【1106】
D38.前記細胞が、インビボにおいて前記多量体リガンドと接触される、実施形態D1〜D37のいずれか1つに記載の方法。
【1107】
E1.被験体における腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導する方法であって、実施形態A1〜D37のいずれか1つに記載の方法に従って細胞を活性化する工程およびその活性化された細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1108】
E2.被験体における表面腫瘍抗原を有する腫瘍のサイズを減少させる方法であって、実施形態A1〜D37のいずれか1つに記載の方法に従って細胞を活性化する工程を含む、方法。
【1109】
E3.前記腫瘍が、前立腺がん腫瘍である、実施形態E2に記載の方法。
【1110】
E3.被験体における前立腺がんを処置する方法であって、その方法は、実施形態A1〜D37のいずれか1つに記載の方法に従って細胞を活性化する工程であって、ここで、前記腫瘍抗原は、前立腺がん抗原である、工程、およびその活性化された細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1111】
E4.前記腫瘍抗原が、PSMAである、実施形態E3に記載の方法。
【1112】
E5.前記被験体が、ヒトである、実施形態E1〜E4のいずれか1つに記載の方法。
【1113】
E6.前記被験体が、前立腺がんを有する、実施形態E1〜E5のいずれか1つに記載の方法。
【1114】
E7.前記細胞が、インビボにおいて前記多量体リガンドと接触される、実施形態E1〜E6のいずれか1つに記載の方法。
【1115】
E8.前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程を含む、実施形態E1〜E7のいずれか1つに記載の方法。
【1116】
E9.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態E8に記載の方法。
【1117】
E10.前記細胞を投与する前および/または投与した後に前記腫瘍のサイズを測定する工程を含む、実施形態E2〜E9のいずれかに記載の方法。
【1118】
E11.前記細胞を投与する前および/または投与した後に前記被験体の血清PSAレベルを決定する工程を含む、実施形態E2〜E9のいずれか1つに記載の方法。
【1119】
E12.前記被験体が、7またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態E2〜E11のいずれか1つに記載の方法。
【1120】
E13.前記被験体が、8またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態E2〜E11のいずれか1つに記載の方法。
【1121】
F1.キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む細胞であって、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)MyD88ポリペプチド
を含む、細胞。
【1122】
F2.キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む細胞であって、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、
c)MyD88ポリペプチド、および
d)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、ここで、その細胞は、樹状細胞またはB細胞ではない、細胞。
【1123】
F3.キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む細胞であって、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含む、細胞。
【1124】
F4.腫瘍抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む核酸をさらに含む、実施形態F1〜F3のいずれか1つに記載の細胞。
【1125】
F5.前記細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1126】
F6.前記細胞が、非リンパ球性造血細胞である、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1127】
F7.前記細胞が、非造血細胞である、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1128】
F8.前記細胞が、マクロファージである、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1129】
F9.前記細胞が、ケラチノサイトである、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1130】
F10.前記細胞が、線維芽細胞である、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1131】
F10.1.前記細胞が、メラノーマ細胞である、実施形態F1〜F4のいずれか1つに記載の細胞。
【1132】
F11.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態F1〜F3またはF7〜F10.1のいずれか1つに記載の細胞。
【1133】
F12.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態F11に記載の細胞。
【1134】
F13.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態F11に記載の細胞。
【1135】
F14.前記レトロウイルスベクターが、図36のプラスミドベクターを用いて作製される、実施形態F13に記載の細胞。
【1136】
F15.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態F1〜F3またはF7〜F10.1のいずれか1つに記載の細胞。
【1137】
F16.保留。
【1138】
F17.前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに作動可能に連結されている、実施形態F1〜F16のいずれか1つに記載の細胞。
【1139】
F18.前記MyD88ポリペプチドが、TIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドである、実施形態F1〜F2またはF4〜F18のいずれか1つに記載の細胞。
【1140】
F19.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態18に記載の細胞。
【1141】
F20.前記MyD88ポリペプチドが、配列番号4の配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F18またはF19に記載の細胞。
【1142】
F21.保留。
【1143】
F22.前記腫瘍抗原が、前立腺がん抗原である、実施形態F4に記載の細胞。
【1144】
F23.前記腫瘍抗原が、前立腺特異的膜抗原である、実施形態F22に記載の細胞。
【1145】
F24.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態F1〜F23のいずれか1つに記載の細胞。
【1146】
F25.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態F24に記載の細胞。
【1147】
F26.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体およびそれらの変異された配列からなる群より選択される、実施形態F1〜F25のいずれか1つに記載の細胞。
【1148】
F27.前記多量体化領域が、FKBP12領域である、実施形態F26に記載の細胞。
【1149】
F28.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態F27に記載の細胞。
【1150】
F29.前記FKBP領域が、Fv’Fvlsである、実施形態F26に記載の細胞。
【1151】
F30.前記多量体化領域に結合することができる多量体リガンドを含む組成物中の、実施形態F1〜F29のいずれか1つに記載の細胞。
【1152】
F30.1.前記多量体リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態F30に記載の細胞。
【1153】
F31.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態F30.1に記載の細胞。
【1154】
F32.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号9の細胞質領域のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態F2〜F3またはF5〜F31のいずれか1つに記載の細胞。
【1155】
F33.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号8におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F2〜F3またはF5〜F31のいずれか1つに記載の細胞。
【1156】
F34〜F35.保留。
【1157】
F36.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態F1〜F35のいずれか1つに記載の細胞。
【1158】
F37.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F1〜F36のいずれか1つに記載の細胞。
【1159】
F37.1.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F36に記載の方法。
【1160】
F37.2.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F37に記載の方法。
【1161】
F37.3.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F37.1に記載の方法。
【1162】
F37.4.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態F37.2に記載の方法。
【1163】
F38.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態F1〜F37のいずれか1つに記載の細胞。
【1164】
F39.前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態F38に記載の細胞。
【1165】
F40.前記ミリストイル化領域が、配列番号2におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態F38に記載の細胞。
【1166】
F41.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態F1〜F39のいずれか1つに記載の細胞。
【1167】
G1.被験体における腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導する方法であって、実施形態F1〜F14のいずれか1つに記載の細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1168】
G2.被験体における腫瘍サイズを減少させる方法であって、実施形態F1〜F41のいずれか1つに記載の細胞を被験体に投与する工程を含む、方法。
【1169】
G3.前記腫瘍が、前立腺がん腫瘍である、実施形態G2に記載の方法。
【1170】
G4.被験体における前立腺がんを処置する方法であって、その方法は、実施形態F1〜F41のいずれか1つに記載の細胞を被験体に投与する工程を含み、前記腫瘍抗原は、前立腺がん抗原である、方法。
【1171】
G5.前記腫瘍抗原が、PSMAである、実施形態G4に記載の方法。
【1172】
G6.前記被験体が、ヒトである、実施形態G1〜G5のいずれか1つに記載の方法。
【1173】
G7.前記被験体が、前立腺がんを有する、実施形態G1〜G6のいずれか1つに記載の方法。
【1174】
G8.前記細胞が、前記被験体にその細胞を投与する前に、前記多量体化領域に結合する多量体リガンドとエキソビボにおいて接触される、実施形態G1〜G7のいずれか1つに記載の方法。
【1175】
G9.前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含む、実施形態G1〜G8のいずれか1つに記載の方法。
【1176】
G10.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態G9に記載の方法。
【1177】
G11.前記細胞を投与する前および/または投与した後に前記腫瘍のサイズを測定する工程を含む、実施形態G2〜G10に記載の方法。
【1178】
G12.前記細胞を投与する前および/または投与した後に前記被験体の血清PSAレベルを決定する工程を含む、実施形態G2〜G10に記載の方法。
【1179】
G13.前記被験体が、7またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態G2〜G12に記載の方法。
【1180】
G14.前記被験体が、8またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態G2〜G12に記載の方法。
【1181】
G15.前記細胞を投与する前および/または投与した後に腫瘍血管構造のレベルを測定する工程を含む、実施形態G2〜G10に記載の方法。
【1182】
H1.被験体における細胞を活性化するための方法であって、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)MyD88ポリペプチド
を含み、それによって、その細胞は活性化され、ここで、その細胞は、樹状細胞またはB細胞ではない、方法。
【1183】
H2.被験体における細胞を活性化するための方法であって、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、
c)MyD88ポリペプチド、および
d)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、その細胞は活性化される、方法。
【1184】
H3.被験体における細胞を活性化するための方法であって、その方法は、キメラタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む核酸をその被験体に投与する工程を含み、ここで、そのキメラタンパク質は、
a)膜標的化領域、
b)多量体化領域、および
c)CD40ポリペプチド細胞質領域であって、ここで、そのCD40ポリペプチドは、機能的な細胞外ドメインを有しない、CD40ポリペプチド細胞質領域
を含み、それによって、その細胞は活性化される、方法。
【1185】
H4.実施形態H1〜H3のいずれか1つに記載の方法に従って核酸を被験体に投与する工程を含む、被験体における腫瘍抗原に対して免疫応答を誘導する方法。
【1186】
H5.実施形態H1〜H3のいずれか1つに記載の方法に従って核酸を被験体に投与する工程を含む、被験体における腫瘍サイズを減少させる方法。
【1187】
H6.前記腫瘍が、前立腺がん腫瘍である、実施形態H5に記載の方法。
【1188】
H7.被験体における前立腺がんを処置する方法であって、実施形態H1〜H3のいずれか1つに記載の方法に従って核酸を被験体に投与する工程を含み、前立腺がん抗原をコードする核酸を投与する工程をさらに含む、方法。
【1189】
H8.前記腫瘍抗原が、PSMAである、実施形態H4に記載の方法。
【1190】
H6.前記被験体が、ヒトである、実施形態H1〜H5のいずれか1つに記載の方法。
【1191】
H7.前記被験体が、前立腺がんを有する、実施形態H1〜H6のいずれか1つに記載の方法。
【1192】
H8.前記多量体化領域に結合する多量体リガンドを投与する工程をさらに含む、実施形態H1〜H7のいずれか1つに記載の方法。
【1193】
H9.前記多量体リガンドが、AP1903である、実施形態H8に記載の方法。
【1194】
H10.前記細胞を投与する前および/または投与した後に前記腫瘍のサイズを測定する工程を含む、実施形態H4〜H9に記載の方法。
【1195】
H11.前記核酸を投与する前および/または投与した後に前記被験体の血清PSAレベルを決定する工程を含む、実施形態H4〜H10に記載の方法。
【1196】
H12.前記被験体が、7またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態H4〜H11に記載の方法。
【1197】
H13.前記被験体が、8またはそれを超えるグリーソンスコアを有する前立腺がんを有する、実施形態H4〜H11に記載の方法。
【1198】
H14.前記核酸を投与する前および/または投与した後に腫瘍血管構造のレベルを測定する工程を含む、実施形態H4〜H13に記載の方法。
【1199】
H15.前記細胞が、ナチュラルキラー細胞である、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1200】
H16.前記細胞が、非リンパ球性造血細胞である、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1201】
H17.前記細胞が、非造血細胞である、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1202】
H18.前記細胞が、マクロファージである、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1203】
H19.前記細胞が、ケラチノサイトである、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1204】
H20.前記細胞が、線維芽細胞である、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1205】
H21.前記細胞が、メラノーマ細胞である、実施形態H1〜H14のいずれか1つに記載の方法。
【1206】
J1.誘導可能なキメラシグナル伝達分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む組成物を形質導入されたまたはトランスフェクトされた細胞であって、ここで、その誘導可能なキメラシグナル伝達分子は、膜標的化領域、多量体化領域、およびTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドを含む、細胞。
【1207】
J1.1.前記誘導可能なキメラシグナル伝達分子が、細胞外ドメインを欠く細胞質CD40ポリペプチドをさらに含む、実施形態J1に記載の細胞。
【1208】
J1.2.誘導可能なキメラシグナル伝達分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む組成物を形質導入されたまたはトランスフェクトされた細胞であって、ここで、その誘導可能なキメラシグナル伝達分子が、膜標的化領域、多量体化領域、および細胞外ドメインを欠く細胞質CD40ポリペプチドを含む、細胞。
【1209】
J2.前記切断型MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態J1またはJ1.2のいずれかに記載の細胞。
【1210】
J2.1.前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態J1.1またはJ1.2のいずれかに記載の細胞。
【1211】
J3.前記膜標的化領域が、ミリストイル化標的化配列である、実施形態J1〜J2.1のいずれかに記載の細胞。
【1212】
J4〜J6.保留。
【1213】
J7.前記誘導可能なキメラシグナル伝達分子が、CD3ζポリペプチドをさらに含む、実施形態J1〜J3のいずれか1つに記載の細胞。
【1214】
J8.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニットおよびそれらの変異された配列からなる群より選択される、実施形態J1〜J7のいずれか1つに記載の細胞。
【1215】
J9.前記多量体化領域が、FKBP12領域である、実施形態J1〜J8のいずれか1つに記載の細胞。
【1216】
J10.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態J1〜J9のいずれか1つに記載の細胞。
【1217】
J11.前記多量体化領域が、Fv’Fvlsである、実施形態J1〜J8のいずれか1つに記載の細胞。
【1218】
J12.前記多量体化領域が、FK506二量体および二量体のFK506アナログリガンドからなる群より選択されるリガンドに結合する、実施形態J1〜J8のいずれか1つに記載の細胞。
【1219】
J13.前記リガンドが、AP1903またはAP20187である、実施形態J1〜J12のいずれか1つに記載の細胞。
【1220】
J14.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態J1〜J13のいずれか1つに記載の細胞。
【1221】
J15.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態J1〜J14のいずれか1つに記載の細胞。
【1222】
J16.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態J14に記載の細胞。
【1223】
J17.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態J15に記載の細胞。
【1224】
J18.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態J14またはJ16に記載の細胞。
【1225】
J19.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態J15またはJ17に記載の細胞。
【1226】
J20.前記多量体化領域が、配列番号11もしくは配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態J14、J16またはJ18のいずれか1つに記載の細胞。
【1227】
J21.前記多量体化領域が、配列番号10もしくは配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態J15、J17またはJ19のいずれか1つに記載の細胞。
【1228】
J22.前記核酸が、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター配列を含む、実施形態J1〜J21のいずれか1つに記載の細胞。
【1229】
J23.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態J1〜J22のいずれか1つに記載の細胞。
【1230】
J24.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態J23に記載の細胞。
【1231】
J25.前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態J24に記載の細胞。
【1232】
J26.前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、実施形態J24に記載の細胞。
【1233】
J27.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、実施形態J23に記載の細胞。
【1234】
J28.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態J23に記載の細胞。
【1235】
J29.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態J1〜J22のいずれか1つに記載の細胞。
【1236】
J30.保留。
【1237】
J31.前記細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞またはNK細胞である、実施形態J1〜J30のいずれか1つに記載の細胞。
【1238】
J32.前記細胞が、T細胞である、実施形態J31に記載の細胞。
【1239】
J33.前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、実施形態J1〜J32のいずれか1つに記載の細胞。
【1240】
J34.前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、実施形態J1〜J32のいずれか1つに記載の細胞。
【1241】
J35.前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、実施形態J1〜J32のいずれか1つに記載の細胞。
【1242】
J36.前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、実施形態J1〜J32のいずれか1つに記載の細胞。
【1243】
J37.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態J31〜J36のいずれか1つに記載の細胞。
【1244】
J38.前記細胞が、シグナルペプチド、一本鎖可変フラグメント、CH2−CH3ヒンジ領域およびCD3ζポリペプチドを含む誘導可能なキメラシグナル伝達分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸でさらに形質転換されるかまたは形質導入される、実施形態J1〜J37のいずれか1つに記載の細胞。
【1245】
J38.1.前記誘導可能なキメラシグナル伝達分子が、CD3ζポリペプチドを含まない、実施形態J38に記載の細胞。
【1246】
J38.2.前記誘導可能なキメラシグナル伝達分子が、CD3ζポリペプチドを含む、実施形態J38またはJ38.1に記載の細胞。
【1247】
J39.前記一本鎖可変フラグメントが、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態J38〜J38.2のいずれか1つに記載の細胞。
【1248】
J40.前記一本鎖可変フラグメントが、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態J38〜J38.2のいずれか1つに記載の細胞。
【1249】
J41.前記一本鎖可変フラグメントが、αPSMA、αPSCA、αMUC1、αCD19、αROR1、αMesothelin、αGD2、αCD123、αMUC16およびαHer2/Neu一本鎖可変フラグメントからなる群より選択される、実施形態J38〜J40のいずれか1つに記載の細胞。
【1250】
J42.前記一本鎖可変フラグメントが、αCD19一本鎖可変フラグメントである、実施形態J38〜J40のいずれかに記載の細胞。
【1251】
J42.1.前記一本鎖可変フラグメントが、αPSCA一本鎖可変フラグメントである、実施形態J38〜J40のいずれかに記載の細胞。
【1252】
J43.免疫応答を誘導するための方法であって、実施形態J1〜J42.1に記載の細胞を、前記多量体化領域に結合するリガンドと接触させることによりその誘導可能なキメラシグナル伝達分子の多量体化をもたらす工程を含む、方法。
【1253】
J44.前記細胞が、インビボにおいて前記リガンドと接触される、実施形態J43に記載の方法。
【1254】
J45.前記リガンドが、二量体である、実施形態J43またはJ44に記載の方法。
【1255】
J46.前記リガンドが、二量体のFK506または二量体のFK506様アナログである、実施形態J45に記載の方法。
【1256】
J47.前記リガンドが、AP1903またはAP20187である、実施形態J45に記載の方法。
【1257】
J48.前記トランスフェクトされたまたは形質導入された細胞を被験体に投与する工程をさらに含む、実施形態J43〜J47のいずれか1つに記載の方法。
【1258】
J49.前記細胞が、静脈内投与によって前記被験体に投与される、実施形態J48に記載の方法。
【1259】
J50〜J56.保留。
【1260】
J56.前記被験体が、腫瘍と診断されている、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1261】
J57.前記被験体が、がんを有する、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1262】
J58.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1263】
J59.前記細胞が、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態J58に記載の方法。
【1264】
J60.前記細胞が、前記腫瘍床に送達される、実施形態J58またはJ59に記載の方法。
【1265】
J61.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態J57に記載の方法。
【1266】
J62.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1267】
J63.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る障害と診断されている、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1268】
J64.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1269】
J65.前記患者が、原発性免疫不全障害、血球貪食リンパ組織球増多症(HLH)または他の血球貪食障害、遺伝性骨髄不全障害、異常ヘモグロビン症、代謝障害および破骨細胞障害からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1270】
J66.前記状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCK8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XLP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態J43〜J49のいずれか1つに記載の方法。
【1271】
J67.被験体における白血病を処置するための方法であって、実施形態J1〜J42.1のいずれか1つに記載の細胞を投与する工程および多量体リガンドをその被験体に投与する工程を含む、方法。
【1272】
J68.前記一本鎖可変フラグメントが、CD19に結合する、実施形態J67に記載の方法。
【1273】
J69.前記多量体リガンドが、AP1903またはAP20187である、実施形態J67またはJ68に記載の方法。
【1274】
J70.前記細胞が、T細胞である、実施形態J67〜J69のいずれかに記載の方法。
【1275】
J71.前記被験体が、ヒトである、実施形態J43〜J70のいずれか1つに記載の方法。
【1276】
J72.さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態J43〜J71のいずれか1つに記載の方法。
【1277】
J73.さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態J43〜J72のいずれか1つに記載の方法。
【1278】
J74.実施形態1〜42.1のいずれか1つに記載の細胞を投与する前に、前記被験体が、ある疾患または状態と診断されており、前記多量体リガンドを投与した後にその疾患または状態が検出され、さらなる用量の該多量体リガンドが、その被験体に投与される、実施形態J73に記載の方法。
【1279】
J75.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程、および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、多量体結合領域に結合する多量体リガンドを投与する指示、その多量体リガンドのその後の投与量を維持する指示またはその患者に投与されるその多量体リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態J43〜J74のいずれか1つに記載の方法。
【1280】
J76.前記状態が、がんである、実施形態J72〜J75のいずれか1つに記載の方法。
【1281】
J77.前記状態が、白血病である、実施形態J72〜J75のいずれか1つに記載の方法。
【1282】
J78.前記状態が、固形腫瘍である、実施形態J72〜J75のいずれか1つに記載の方法。
【1283】
J79.前記多量体リガンドを投与した後の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数と比べたときの、被験体における腫瘍サイズの増加および/または腫瘍細胞数の増加の有無を判定する工程、および
腫瘍サイズの増加および/または腫瘍細胞数の増加の存在が判定された場合、さらなる用量の該多量体リガンドをその被験体に投与する工程
を含む、実施形態J78に記載の方法。
【1284】
J80.前記多量体リガンドを投与した後の、CD19を発現しているB細胞のレベルと比べたときの、被験体におけるCD19を発現しているB細胞の増加の有無を判定する工程、および
その被験体においてCD19を発現しているB細胞の増加の存在が判定された場合、さらなる用量の該多量体リガンドをその被験体に投与する工程
を含む、実施形態J77に記載の方法。
【1285】
J81.前記多量体リガンドを投与した後の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数が、その多量体リガンドを投与する前の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数と比べて減少する、実施形態J79に記載の方法。
【1286】
J82.前記多量体リガンドを投与した後のCD19を発現しているB細胞のレベルが、その多量体リガンドを投与する前のCD19を発現しているB細胞のレベルと比べて減少する、実施形態J80に記載の方法。
【1287】
J83.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態J43〜J74のいずれか1つに記載の方法。
【1288】
K1.誘導可能なキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む組成物であって、ここで、前記誘導可能なキメラ抗原レセプターは、多量体化領域、TIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチドおよび一本鎖可変フラグメントを含む、組成物。
【1289】
K1.1.前記誘導可能なキメラ抗原レセプターが、細胞外ドメインを欠く細胞質CD40ポリペプチドをさらに含む、実施形態K1に記載の組成物。
【1290】
K1.2.誘導可能なキメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含む組成物であって、ここで、前記誘導可能なキメラ抗原レセプターは、多量体化領域、細胞外ドメインを欠く細胞質CD40ポリペプチドおよび一本鎖可変フラグメントを含む、組成物。
【1291】
K2.前記切断型MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、任意の実施形態K1またはK1.2に記載の組成物。
【1292】
K2.1.前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態K1.1またはK1.2のいずれかに記載の組成物。
【1293】
K3〜K6.保留。
【1294】
K7.前記誘導可能なキメラ抗原レセプターが、CD3ζポリペプチドをさらに含む、実施形態K1〜K2.1のいずれか1つに記載の組成物。
【1295】
K8.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニットおよびそれらの変異された配列からなる群より選択される、実施形態K1〜K7のいずれか1つに記載の組成物。
【1296】
K9.前記多量体化領域が、FKBP12領域である、実施形態K1〜K8のいずれか1つに記載の組成物。
【1297】
K10.前記多量体化領域が、FKBP12v36領域である、実施形態K1〜K9のいずれか1つに記載の組成物。
【1298】
K11.前記多量体化領域が、Fv’Fvlsである、実施形態K1〜K8のいずれか1つに記載の組成物。
【1299】
K12.前記多量体化領域が、FK506二量体および二量体のFK506アナログリガンドからなる群より選択されるリガンドに結合する、実施形態K1〜K8のいずれか1つに記載の組成物。
【1300】
K13.前記リガンドが、AP1903またはAP20187である、実施形態K1〜K12のいずれか1つに記載の組成物。
【1301】
K14.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態K1〜K13のいずれか1つに記載の組成物。
【1302】
K15.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態K1〜K14のいずれか1つに記載の組成物。
【1303】
K16.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態K14に記載の組成物。
【1304】
K17.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態K15に記載の組成物。
【1305】
K18.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態K14またはK16に記載の組成物。
【1306】
K19.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態K15またはK17に記載の組成物。
【1307】
K20.前記多量体化領域が、配列番号11もしくは配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態K14、K16またはK18のいずれか1つに記載の組成物。
【1308】
K21.前記多量体化領域が、配列番号10もしくは配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態K15、K17またはK19のいずれか1つに記載の組成物。
【1309】
K22.前記核酸が、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター配列を含む、実施形態K1〜K21のいずれか1つに記載の組成物。
【1310】
K23.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態K1〜K22のいずれか1つに記載の組成物。
【1311】
K24.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態K23に記載の組成物。
【1312】
K25.前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態K24に記載の組成物。
【1313】
K26.前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、実施形態K24に記載の組成物。
【1314】
K27.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、実施形態K23に記載の組成物。
【1315】
K28.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態K23に記載の組成物。
【1316】
K29.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態K1〜K22のいずれか1つに記載の組成物。
【1317】
K30.実施形態K1〜K29のいずれか1つに記載の組成物を形質導入されたまたは形質転換された細胞。
【1318】
K31.前記細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞またはNK細胞である、実施形態K30に記載の細胞。
【1319】
K32.前記細胞が、T細胞である、実施形態K31に記載の細胞。
【1320】
K33.前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、実施形態K1〜K3のいずれか1つに記載の細胞。
【1321】
K34.前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、実施形態K1〜K3のいずれか1つに記載の細胞。
【1322】
K35.前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、実施形態K1〜K3のいずれか1つに記載の細胞。
【1323】
K36.前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、実施形態K1〜K3のいずれか1つに記載の細胞。
【1324】
K37.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態K31〜K3のいずれか1つに記載の細胞。
【1325】
K38.保留。
【1326】
K39.前記一本鎖可変フラグメントが、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態K1〜K37のいずれか1つに記載の細胞。
【1327】
K40.前記一本鎖可変フラグメントが、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態K1〜K37のいずれか1つに記載の細胞。
【1328】
K41.前記一本鎖可変フラグメントが、αPSMA、αPSCA、αMUC1、αCD19、αROR1、αMesothelin、αGD2、αCD123、αMUC16およびαHer2/Neu一本鎖可変フラグメントからなる群より選択される、実施形態K1〜K40のいずれか1つに記載の細胞。
【1329】
K42.前記一本鎖可変フラグメントが、αCD19一本鎖可変フラグメントである、実施形態K1〜K40のいずれかに記載の細胞。
【1330】
K42.1.前記一本鎖可変フラグメントが、αPSCA一本鎖可変フラグメントである、実施形態K1〜K40のいずれかに記載の細胞。
【1331】
K43.免疫応答を誘導するための方法であって、実施形態K1〜K42.1に記載の細胞を、多量体化領域に結合するリガンドと接触させることにより、誘導可能なキメラ抗原レセプターの多量体化をもたらす工程を含む、方法。
【1332】
K44.前記細胞が、インビボにおいて前記リガンドと接触される、実施形態K43に記載の方法。
【1333】
K45.前記リガンドが、二量体である、実施形態K43またはK44に記載の方法。
【1334】
K46.前記リガンドが、二量体のFK506または二量体のFK506様アナログである、実施形態K45に記載の方法。
【1335】
K47.前記リガンドが、AP1903またはAP20187である、実施形態K45に記載の方法。
【1336】
K48.前記トランスフェクトされたまたは形質導入された細胞を被験体に投与する工程をさらに含む、実施形態K43〜K47のいずれか1つに記載の方法。
【1337】
K49.前記細胞が、静脈内投与によって前記被験体に投与される、実施形態K48に記載の方法。
【1338】
K50〜K56.保留。
【1339】
K56.前記被験体が、腫瘍と診断されている、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1340】
K57.前記被験体が、がんを有する、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1341】
K58.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1342】
K59.前記細胞が、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態K58に記載の方法。
【1343】
K60.前記細胞が、前記腫瘍床に送達される、実施形態K58またはK59に記載の方法。
【1344】
K61.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態K57に記載の方法。
【1345】
K62.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1346】
K63.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る障害と診断されている、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1347】
K64.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1348】
K65.前記患者が、原発性免疫不全障害、血球貪食リンパ組織球増多症(HLH)または他の血球貪食障害、遺伝性骨髄不全障害、異常ヘモグロビン症、代謝障害および破骨細胞障害からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1349】
K66.前記状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCK8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XLP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態K43〜K49のいずれか1つに記載の方法。
【1350】
K67.被験体における白血病を処置するための方法であって、実施形態K1〜K42.1のいずれか1つに記載の細胞を投与する工程および多量体リガンドをその被験体に投与する工程を含む、方法。
【1351】
K68.前記一本鎖可変フラグメントが、CD19に結合する、実施形態K67に記載の方法。
【1352】
K69.前記多量体リガンドが、AP1903またはAP20187である、実施形態K67またはK68に記載の方法。
【1353】
K70.前記細胞が、T細胞である、実施形態K67〜K69のいずれかに記載の方法。
【1354】
K71.前記被験体が、ヒトである、実施形態K43〜K70のいずれか1つに記載の方法。
【1355】
K72.さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与するべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態K43〜K71のいずれか1つに記載の方法。
【1356】
K73.さらなる用量の前記多量体リガンドを前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態K43〜K72のいずれか1つに記載の方法。
【1357】
K74.実施形態1〜42.1のいずれか1つに記載の細胞を投与する前に、前記被験体が、ある疾患または状態と診断されており、多量体リガンドを投与した後に、その疾患または状態が検出され、さらなる用量の該多量体リガンドが、その被験体に投与される、実施形態K73に記載の方法。
【1358】
K75.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程、および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、多量体結合領域に結合する多量体リガンドを投与する指示、その多量体リガンドのその後の投与量を維持する指示またはその患者に投与されるその多量体リガンドのその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態K43〜K74のいずれか1つに記載の方法。
【1359】
K76.前記状態が、がんである、実施形態K72〜K75のいずれか1つに記載の方法。
【1360】
K77.前記状態が、白血病である、実施形態K72〜K75のいずれか1つに記載の方法。
【1361】
K78.前記状態が、固形腫瘍である、実施形態K72〜K75のいずれか1つに記載の方法。
【1362】
K79.前記多量体リガンドを投与した後の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数と比べたときの、被験体における腫瘍サイズの増加および/または腫瘍細胞数の増加の有無を判定する工程、および
腫瘍サイズの増加および/または腫瘍細胞数の増加の存在が判定された場合、さらなる用量の該多量体リガンドをその被験体に投与する工程
を含む、実施形態K78に記載の方法。
【1363】
K80.前記多量体リガンドを投与した後の、CD19を発現しているB細胞のレベルと比べたときの、被験体におけるCD19を発現しているB細胞の増加の有無を判定する工程、および
その被験体においてCD19を発現しているB細胞の増加の存在が判定された場合、さらなる用量の該多量体リガンドをその被験体に投与する工程
を含む、実施形態K77に記載の方法。
【1364】
K81.前記多量体リガンドを投与した後の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数が、その多量体リガンドを投与する前の腫瘍サイズおよび/または腫瘍細胞数と比べて減少する、実施形態C79に記載の方法。
【1365】
K82.前記多量体リガンドを投与した後のCD19を発現しているB細胞のレベルが、その多量体リガンドを投与する前のCD19を発現しているB細胞のレベルと比べて減少する、実施形態K80に記載の方法。
【1366】
K83.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態K43〜K74のいずれか1つに記載の方法。
【1367】
L1.前記キメラ刺激分子が、(i)膜標的化領域;(ii)MyD88ポリペプチド、またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド;(iii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iv)多量体化領域を含む、誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸。
【1368】
L2.キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで、前記キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;(ii)MyD88ポリペプチド、またはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド、および多量体化領域を含む、核酸。
【1369】
L3.誘導可能なキメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドを含む核酸であって、ここで、前記キメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;(ii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および(iii)多量体化領域を含む、核酸。
【1370】
L4.前記キメラ刺激分子が、T細胞活性化分子をさらに含む、実施形態L1〜L3のいずれか1つに記載の核酸。
【1371】
L4.1.前記多量体化領域が、FKBP、シクロフィリンレセプター、ステロイドレセプター、テトラサイクリンレセプター、重鎖抗体サブユニット、軽鎖抗体サブユニット、可動性リンカードメインによって分断された重鎖可変領域と軽鎖可変領域とをタンデムで含む一本鎖抗体およびそれらの変異された配列からなる群より選択されるリガンド結合領域である、実施形態L1〜L4のいずれか1つに記載の核酸。
【1372】
L4.2.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態L4.1に記載の核酸。
【1373】
L4.3.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態L4.2に記載の核酸。
【1374】
L4.4.前記FKBP領域が、Fv’Fvlsである、実施形態4.2に記載の核酸。
【1375】
L4.5.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態L4.1〜L4.4のいずれか1つに記載の核酸。
【1376】
L4.6.前記リガンドが、AP1903である、実施形態L4.5に記載の核酸。
【1377】
L4.7.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号9の細胞質領域のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態L1〜L4.6のいずれか1つに記載の核酸。
【1378】
L4.8.前記CD40細胞質ポリペプチド領域が、配列番号8におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態L1〜L4.7のいずれか1つに記載の核酸。
【1379】
L4.9.前記多量体化領域が、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態L1〜L4.8のいずれか1つに記載の核酸。
【1380】
L4.10.前記多量体化領域が、配列番号10におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態L1〜L4.9のいずれか1つに記載の核酸。
【1381】
L4.11.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態L4.9に記載の核酸。
【1382】
L4.12.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態L4.10に記載の核酸。
【1383】
L4.13.前記多量体化領域が、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態L4.11に記載の核酸。
【1384】
L4.14.前記多量体化領域が、配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態L4.12に記載の核酸。
【1385】
L4.15.前記多量体化領域が、配列番号11もしくは配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態L4.11またはL4.13のいずれか1つに記載の核酸。
【1386】
L4.16.前記多量体化領域が、配列番号10もしくは配列番号12におけるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントをさらに含む、実施形態L4.12またはL4.14のいずれか1つに記載の核酸。
【1387】
L4.17.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態L1〜L4.16のいずれか1つに記載の核酸。
【1388】
L4.18.前記ミリストイル化領域が、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態L4.17に記載の核酸。
【1389】
L4.19.前記ミリストイル化領域が、配列番号2におけるヌクレオチド配列によってコードされるか、またはその機能的フラグメントである、実施形態L4.17に記載の核酸。
【1390】
L4.20.キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態L1〜L4.19のいずれか1つに記載の核酸。
【1391】
L4.21.誘導可能なキメラ刺激分子をコードする第1のポリヌクレオチドであって、ここで、その誘導可能なキメラ刺激分子は、(i)膜標的化領域;(ii)MyD88ポリペプチドまたはTIRドメインを欠く切断型MyD88ポリペプチド;(iii)CD40細胞外ドメインを欠くCD40細胞質ポリペプチド領域、および多量体化領域を含む、第1のポリヌクレオチド;および
キメラ抗原レセプターをコードする第2のポリヌクレオチド
を含む、核酸。
【1392】
L4.22.前記多量体化が、リガンド結合領域である、実施形態L4.21に記載の核酸。
【1393】
L4.23.前記リガンド結合領域が、FKBP12領域である、実施形態4.22に記載の核酸。
【1394】
L4.24.前記FKBP12領域が、FKBP12v36領域である、実施形態L4.23に記載の核酸。
【1395】
L4.25.前記FKBP12領域が、Fv’Fvlsである、実施形態L4.23に記載の核酸。
【1396】
L4.26.前記リガンドが、FK506二量体または二量体のFK506アナログリガンドである、実施形態L4.21〜L4.25のいずれか1つに記載の核酸。
【1397】
L4.27.前記リガンドが、AP1903である、実施形態L4.26に記載の核酸。
【1398】
L4.28.少なくとも1つのプロモーターをさらに含む、実施形態4.21〜4.27のいずれか1つに記載の核酸。
【1399】
L4.29.少なくとも2つのプロモーターをさらに含む、実施形態4.21〜4.27のいずれか1つに記載の核酸。
【1400】
L4.30.1つのプロモーターが、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドの両方に作動可能に連結されている、実施形態L4.28に記載の核酸。
【1401】
L4.31.第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間にリンカーポリペプチドをコードする第3のポリヌクレオチドをさらに含み、ここで、そのリンカーポリペプチドは、翻訳中または翻訳後の第1および第2のポリヌクレオチドの翻訳産物を分断している、実施形態L4.21〜L4.30のいずれか1つに記載の核酸。
【1402】
L4.32.前記リンカーポリペプチドが、2Aポリペプチドである、実施形態L4.31に記載の核酸。
【1403】
L4.33.前記核酸が、キメラ刺激分子、2Aポリペプチドおよびカスパーゼ−9ポリペプチドを含むポリペプチドをコードする、実施形態L4.21〜L4.32のいずれか1つに記載の核酸。
【1404】
L4.34.前記第1のポリヌクレオチドが、第1のプロモーターに作動可能に連結され、前記第2のポリヌクレオチドが、第2のプロモーターに作動可能に連結されている、実施形態L4.21〜L4.33のいずれか1つに記載の核酸。
【1405】
L4.35.前記2つのポリヌクレオチドに相補的な2つのRNA転写物が生成される、実施形態L4.21〜L4.34のいずれか1つに記載の核酸。
【1406】
L5.前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態L4〜L4.35のいずれか1つに記載の核酸。
【1407】
L6.前記T細胞活性化分子が、CD3ζポリペプチドである、実施形態L4〜L4.19のいずれか1つに記載の核酸。
【1408】
L6.1.前記T細胞活性化分子が、Fcイプシロンレセプターガンマ(FcεR1γ)サブユニットポリペプチドである、実施形態L4〜L4.19のいずれか1つに記載の核酸。
【1409】
L7.前記切断型MyD88ポリペプチドが、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態L1〜L6.1のいずれか1つに記載の核酸。
【1410】
L8.前記細胞質CD40ポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを有する、実施形態L1またはL2〜L7のいずれか1つに記載の核酸。
【1411】
L9.前記CD3ζポリペプチドが、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的フラグメントを含む、実施形態L6〜L8のいずれか1つに記載の核酸。
【1412】
L10.前記膜標的化領域が、レセプターのミリストイル化領域、パルミトイル化領域、プレニル化領域および膜貫通配列からなる群より選択される、実施形態L1〜L9のいずれか1つに記載の核酸。
【1413】
L11.前記膜標的化領域が、ミリストイル化領域である、実施形態L1〜L10のいずれか1つに記載の核酸。
【1414】
L11.1.前記キメラ刺激分子をコードするポリヌクレオチドが、二量体化分子結合領域または多量体化分子結合領域を含まない、実施形態L1〜L10のいずれか1つに記載の核酸。
【1415】
L12.前記核酸が、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーター配列を含む、実施形態L1〜L11.1のいずれか1つに記載の核酸。
【1416】
L13.前記核酸が、ウイルスベクター内に含まれている、実施形態L1〜L12のいずれか1つに記載の核酸。
【1417】
L14.前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクターである、実施形態L13に記載の核酸。
【1418】
L15.前記レトロウイルスベクターが、マウス白血病ウイルスベクターである、実施形態L14に記載の核酸。
【1419】
L16.前記レトロウイルスベクターが、SFGベクターである、実施形態L14に記載の核酸。
【1420】
L17.前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクターである、実施形態L13に記載の核酸。
【1421】
L18.前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態L13に記載の核酸。
【1422】
L18.1.前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルスおよびワクシニアウイルスからなる群より選択される、実施形態L13に記載の核酸。
【1423】
L19.前記核酸が、プラスミド内に含まれている、実施形態L1〜L12のいずれか1つに記載の核酸。
【1424】
L20.実施形態L1〜L19のいずれか1つに記載の核酸によってコードされるキメラ刺激分子ポリペプチド。
【1425】
L21.実施形態L1〜L19のいずれか1つに記載の核酸でトランスフェクトされたまたは形質導入された、改変された細胞。
【1426】
L22.前記改変された細胞が、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球、NK−T細胞、TCRを発現している細胞またはNK細胞である、実施形態L21に記載の改変された細胞。
【1427】
L23.前記細胞が、T細胞である、実施形態L21に記載の改変された細胞。
【1428】
L24.前記細胞が、骨髄から得られるかまたは調製される、実施形態L21〜L23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1429】
L25.前記細胞が、臍帯血から得られるかまたは調製される、実施形態L21〜L23のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1430】
L26.前記細胞が、末梢血から得られるかまたは調製される、実施形態L21〜L25のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1431】
L27.前記細胞が、末梢血単核球から得られるかまたは調製される、実施形態L21〜L25のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1432】
L28.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態L21〜L27のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1433】
L29.前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態L21〜L28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1434】
L30.前記キメラ抗原レセプターが、抗原認識部分を含む、実施形態L29に記載の改変された細胞。
【1435】
L30.1.前記細胞が、T細胞である、実施形態L21〜L30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1436】
L30.2.前記改変された細胞が、T細胞レセプターをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態L21〜L28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1437】
L30.3.前記改変された細胞が、T細胞レセプターに基づくCARをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、実施形態L21〜28のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1438】
L30.4.改変された細胞が、前記T細胞レセプターまたはT細胞レセプターに基づくCARをコードするポリヌクレオチドを含む核酸でトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態L30.2またはL30.3のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1439】
L31.前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、実施形態L27.1またはL30のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1440】
L31.1.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターが、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態L29〜L31のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1441】
L32.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターが、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態L29〜L31.1のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1442】
L33.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターが、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態L29〜L31.1のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1443】
L34.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターが、CD19に結合する、実施形態L29〜L33のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1444】
L35.前記キメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターが、Her2に結合する、実施形態L29〜L33のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1445】
L36.前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態L29〜L33のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1446】
L36.1.前記細胞が、エレクトロポレーション、ソノポレーション、バイオリスティック(例えば、Au粒子を用いた遺伝子銃)、脂質トランスフェクション、ポリマートランスフェクション、ナノ粒子またはポリプレックスからなる群より選択される方法を用いて、前記核酸ベクターによってトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態L29〜L36のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1447】
L37.被験体におけるT細胞媒介性の免疫応答を刺激するための方法であって、実施形態L21〜L36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程を含む、方法。
【1448】
L37.1.前記改変された細胞が、標的細胞上の抗原に結合するキメラ抗原レセプターまたはT細胞レセプターを含む、実施形態L37に記載の方法。
【1449】
L38.前記標的細胞が、腫瘍細胞である、実施形態L37.1に記載の方法。
【1450】
L39.前記被験体における標的細胞の数または濃度が、前記改変された細胞の投与後に減少する、実施形態L37〜L38のいずれか1つに記載の方法。
【1451】
L40.前記改変された細胞を投与する前に前記被験体から得られる第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度を測定する工程、改変された細胞を投与した後に被験体から得られる第2のサンプル中の標的細胞の数濃度を測定する工程、および第1のサンプル中の標的細胞の数または濃度と比べて第2のサンプル中の標的細胞の数または濃度の増加または減少を判定する工程を含む、実施形態L37〜L39のいずれか1つに記載の方法。
【1452】
L41.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて減少する、実施形態L40に記載の方法。
【1453】
L42.前記第2のサンプル中の標的細胞の濃度が、前記第1のサンプル中の標的細胞の濃度と比べて増加する、実施形態L40に記載の方法。
【1454】
L43.さらなる用量の改変された細胞が、前記被験体に投与される、実施形態L40〜L42のいずれか1つに記載の方法。
【1455】
L44.被験体に抗腫瘍免疫を提供するための方法であって、有効量の実施形態L21〜L36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程を含む、方法。
【1456】
L45.標的抗原の高発現に関連する疾患または状態を有する被験体を処置するための方法であって、有効量の実施形態L21〜L36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程を含む、方法。
【1457】
L46.前記標的抗原が、腫瘍抗原である、実施形態L45に記載の方法。
【1458】
L47.前記改変された細胞が、自己のT細胞である、実施形態L37〜L46のいずれか1つに記載の方法。
【1459】
L48.前記改変された細胞が、同種異系のT細胞である、実施形態L37〜L46のいずれか1つに記載の方法。
【1460】
L50.被験体における腫瘍サイズを減少させるための方法であって、その方法は、実施形態L29〜L36.1のいずれか1つに記載の改変された細胞をその被験体に投与する工程を含み、前記抗原認識部分は、前記腫瘍上の抗原に結合する、方法。
【1461】
L51.前記被験体が、腫瘍を有すると診断されている、実施形態L37〜L50のいずれか1つに記載の方法。
【1462】
L52.前記被験体が、がんを有する、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1463】
L53.前記被験体が、固形腫瘍を有する、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1464】
L54.前記改変された細胞が、腫瘍浸潤リンパ球またはT細胞である、実施形態L37〜L53のいずれか1つに記載の方法。
【1465】
L55.前記改変された細胞が、腫瘍床に送達される、実施形態L37〜L54のいずれか1つに記載の方法。
【1466】
L56.前記がんが、前記被験体の血液中または骨髄中に存在する、実施形態L52に記載の方法。
【1467】
L57.前記被験体が、血液疾患または骨髄疾患を有する、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1468】
L58.前記被験体が、任意の状態または幹細胞移植によって緩和され得る状態と診断されている、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1469】
L59.前記被験体が、鎌状赤血球貧血または異染性白質ジストロフィーと診断されている、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1470】
L60.前記患者が、原発性免疫不全状態、血球貪食リンパ組織球増多症(HLH)または他の血球貪食状態、遺伝性骨髄不全状態、異常ヘモグロビン症、代謝状態および破骨細胞状態からなる群より選択される状態と診断されている、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1471】
L61.前記疾患または状態が、重症複合免疫不全症(SCID)、複合免疫不全症(CID)、先天性T細胞欠損/欠損症、分類不能型免疫不全症(CVID)、慢性肉芽腫症、IPEX(免疫不全、多腺性内分泌障害、腸症、X連鎖)またはIPEX様、ウィスコット・オールドリッチ症候群、CD40リガンド欠損症、白血球接着不全、DOCA8欠損症、IL−10欠損症/IL−10レセプター欠損症、GATA2欠損症、X連鎖リンパ球増殖性疾患(XLP)、軟骨毛髪形成不全、シュバッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンドブラックファン貧血、先天性角化異常症、ファンコニー貧血、先天性好中球減少症、鎌状赤血球症、サラセミア、ムコ多糖症、スフィンゴリピドーシスおよび大理石骨病からなる群より選択される、実施形態L37〜L51のいずれか1つに記載の方法。
【1472】
L62.さらなる用量の前記改変された細胞が、前記被験体に投与されるべきであるかを判定する工程をさらに含む、実施形態L37〜L61のいずれか1つに記載の方法。
【1473】
L63.さらなる用量の前記改変された細胞を前記被験体に投与する工程をさらに含み、ここで、前記疾患または状態の症候は、症候の減少後になおも残っているかまたは検出される、実施形態L37〜L62のいずれか1つに記載の方法。
【1474】
L64.被験体における状態または疾患の有無またはステージを特定する工程;および
その被験体において特定された状態または疾患の有無またはステージに基づいて、実施形態L31〜L36のいずれか1つに記載の改変された細胞を投与する指示、その改変された細胞のその後の投与量を維持する指示またはその患者に投与される改変された細胞のその後の投与量を調整する指示を伝える工程
をさらに含む、実施形態L37〜L63のいずれか1つに記載の方法。
【1475】
L65.前記状態が、白血病である、実施形態L37〜L64のいずれか1つに記載の方法。
【1476】
L66.保留。
【1477】
L67.前記被験体が、HIV、インフルエンザ、疱疹、ウイルス性肝炎、エプスタイン・バー、ポリオ、ウイルス性脳炎、麻疹、水痘、サイトメガロウイルス(CMV)、アデノウイルス(ADV)、HHV−6(ヒトヘルペスウイルス6,I)およびパピローマウイルスからなる群より選択されるウイルス病因の感染症と診断されているか、または肺炎、結核および梅毒からなる群より選択される細菌病因の感染症と診断されているか、またはマラリア、トリパノソーマ症、リーシュマニア症、トリコモナス症およびアメーバ症からなる群より選択される寄生生物病因の感染症と診断されている、実施形態L37〜L64のいずれか1つに記載の方法。
【1478】
L68.前記改変された細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態L37〜L67のいずれか1つに記載の方法。
【1479】
L69.前記改変された細胞が、インビボにおいてトランスフェクトされるかまたは形質導入される、実施形態L21〜L67のいずれか1つに記載の改変された細胞。
【1480】
L70.細胞においてキメラ刺激分子を発現させるための方法であって、その方法は、実施形態L1〜L20のいずれか1つに記載の核酸を、その核酸が細胞に組み込まれる条件下においてその細胞と接触させる工程を含み、それにより、その細胞は、組み込まれた核酸からキメラ抗原レセプターを発現する、方法。
【1481】
L71.前記核酸が、エキソビボにおいて前記細胞と接触される、実施形態L70に記載の方法。
【1482】
L72.前記核酸が、インビボにおいて前記細胞と接触される、実施形態L70に記載の方法。
【1483】
M1.前記核酸が、キメラ抗原レセプターをコードするか、または前記改変された細胞が、キメラ抗原レセプターを含む、実施形態L4.20〜L72のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1484】
M2.前記キメラ抗原レセプターが、
(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分
を含む、実施形態M1に記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1485】
M3.前記キメラ抗原レセプターが、(i)膜貫通領域;(ii)T細胞活性化分子;および(iii)抗原認識部分を含む、実施形態M1〜M2のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1486】
M4.前記キメラ抗原レセプターが、共刺激分子をさらに含む、実施形態M3に記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1487】
M5.前記共刺激分子が、CD28、OX40および4−1BBからなる群より選択される、実施形態M4に記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1488】
M6.前記T細胞活性化分子が、ITAMを含みシグナル1を与える分子である、実施形態M2〜M5のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1489】
M7.前記T細胞活性化分子が、CD3ゼータポリペプチドである、実施形態M2〜M5のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1490】
M8.前記T細胞活性化分子が、Fcレセプターガンマポリペプチドである、実施形態M2〜M5のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1491】
M9.前記抗原認識部分が、腫瘍細胞上の抗原に結合する、実施形態M2〜M8のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1492】
M9.前記抗原認識部分が、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原に結合する、実施形態M2〜M8のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1493】
M10.前記抗原認識部分が、PSMA、PSCA、MUC1、CD19、ROR1、Mesothelin、GD2、CD123、MUC16およびHer2/Neuからなる群より選択される抗原に結合する、実施形態M2〜M8のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1494】
M11.前記抗原認識部分が、PSCAに結合する、実施形態M2〜M8のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1495】
M12.前記抗原認識部分が、CD19に結合する、実施形態M2〜M8のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1496】
M13.前記抗原認識部分が、ウイルス抗原または細菌抗原に結合する、実施形態M2〜M8のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1497】
M14.前記抗原認識部分が、一本鎖可変フラグメントである、実施形態M2〜M13のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1498】
M15.前記膜貫通領域が、CD28膜貫通領域である、実施形態M2〜M14のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1499】
M16.前記膜貫通領域が、CD8膜貫通領域である、実施形態M2〜M14のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1500】
M17.CD8ストーク領域をさらに含む、実施形態M16に記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1501】
M18.前記抗原認識部分が、Her2/Neuに結合する、実施形態M2〜M17のいずれか1つに記載の核酸、改変された細胞または方法。
【1502】
本明細書中で参照された特許、特許出願、刊行物および文書の各々の全体が、参照により本明細書によって援用される。上記特許、特許出願、刊行物および文書の引用は、前述のいずれかが、関連する従来技術であることを自認するものでもないし、これらの刊行物または文書の内容または日付に関して何ら自認するものでもない。
【1503】
本技術の基本的な態様から逸脱することなく、前述のものに対して改変が行われ得る。本技術は、1つ以上の特定の実施形態に照らして実質的に詳細に説明されてきたが、当業者は、本願において具体的に開示された実施形態に対して変更が行われ得るが、これらの改変および改善が本技術の範囲内および精神内であることを認識する。
【1504】
本明細書中に例証的に記載された技術は、本明細書中に具体的に開示されていない任意のエレメント(複数可)の非存在下において、適切に実施され得る。したがって、例えば、本明細書中の各場合において、用語「〜を含む」、「〜から本質的になる」および「〜からなる」のいずれかは、他の2つの用語のいずれかと置き換えられてもよい。使用されてきた用語および表現は、限定の用語ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用は、示されたおよび記載された特徴またはそれらの一部のいかなる等価物も排除せず、特許請求される本技術の範囲内で様々な改変が可能である。エレメントのうちの1つまたはエレメントのうちの2つ以上が記載されていることが文脈から明らかでない限り、用語「a」または「an」は、それが修飾するエレメントのうちの1つまたは複数のことを指し得る(例えば、「試薬(a reagent)」は、1つ以上の試薬を意味し得る)。本明細書中で使用される用語「約」は、基となるパラメータの10%以内の値(すなわち、プラスまたはマイナス10%)のことを指し、一続きの値の始めに用語「約」を使用することにより、それらの値の各々が修飾される(すなわち、「約1、2および3」は、約1、約2および約3のことを指す)。例えば、「約100グラム」という重量は、90グラム〜110グラムの重量を含み得る。さらに、値のリストが、本明細書中に記載されるとき(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%または86%)、そのリストには、それらのすべての中間値および分数値(例えば、54%、85.4%)が含まれる。したがって、本技術は、代表的な実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書中に開示された概念の改変およびバリエーションが、当業者によって用いられることがあり、そのような改変およびバリエーションは、本技術の範囲内であるとみなされると理解されるべきである。
【1505】
本技術のある特定の実施形態が、以下の請求項に示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26-1】
図26-2】
図27
図28
図29
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図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
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図42
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図45
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図47
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図49
図50
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図52
図53
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図55
図56
図57
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図59
図60
図61
図62
図63
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]