特許第6772105号(P6772105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772105
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20201012BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20201012BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20201012BHJP
【FI】
   G06Q50/02
   A01B69/00 301
   G05D1/02 N
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-105912(P2017-105912)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-200639(P2018-200639A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新海 敦
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】阪口 和央
(72)【発明者】
【氏名】島本 出
【審査官】 今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−160423(JP,A)
【文献】 特開2014−199513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
A01B 69/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路マップに沿って作業地を作業走行する作業車による作業を管理する作業管理システムであって、
前記作業地に関する情報を格納する作業地情報格納部と、
前記作業地に対して設定された1つ以上の前記走行経路マップを格納する走行経路マップ格納部と、
前記走行経路マップに基づく前記作業車の作業内容を格納する作業履歴格納部と、
前記走行経路マップを検索条件として、前記作業履歴格納部から前記作業内容を抽出するデータ管理部と、
前記抽出された前記作業内容を表示デバイスに表示するための表示データを生成する表示データ生成部と、
を備えている作業管理システム。
【請求項2】
前記走行経路マップは、前記作業地の地図画像に重畳して表示デバイスに表示され、表示された前記走行経路マップの1つを選択することが、当該走行経路マップを前記検索条件とする入力操作とみなされる請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
選択操作された前記走行経路マップに基づく作業走行によって行われた作業を表す前記作業内容が、前記走行経路マップとともに表示デバイスに表示される請求項2に記載の作業管理システム。
【請求項4】
前記走行経路マップは、時系列で識別される形態で前記走行経路マップ格納部に格納されており、かつ
前記データ管理部は、作業時期を検索条件として、前記走行経路マップを前記走行経路マップ格納部から抽出する請求項1から3のいずれか一項に記載の作業管理システム。
【請求項5】
前記データ管理部は、作業時期を検索条件として、前記作業履歴格納部から前記作業内容を抽出する請求項1から4のいずれか一項に記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路マップに沿って作業走行する作業車による作業を管理する作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1による圃場管理システムは、圃場地図データを記録する圃場地図レイヤを有する地図データ記録部と、圃場に対する作業毎に生成された圃場作業データを機種別圃場作業レイヤに記録する圃場作業データ記録部と、圃場地図データと圃場作業データとを共通の座標位置でデータ管理するデータ管理部と、圃場作業データに基づいて圃場の営農評価を行う評価部とを備えている。さらに、GPSユニットを用いて算出された自車位置を継時的に処理し、作業車の走行軌跡を示す走行軌跡データを生成する走行軌跡データ生成部が備えられ、生成された走行軌跡データは圃場作業データに組み込まれる。この圃場作業データから求められる各圃場の営農評価を参照して、より適切な営農計画が企画される。
【0003】
特許文献2による農業支援システムは、農作業と農作業期間とを関係付ける作業計画を圃場毎に設定する作業計画設定手段と、この作業計画を記憶する作業計画記憶手段と、農作業の完了または未完了を圃場毎に記憶する作業実績記憶手段と、作業計画に対する進捗状況の演算を行う演算手段と、進捗状況を表示する進捗表示手段とを備えている。演算手段は、同一の農作業を行う圃場を前記作業計画記憶手段から抽出した圃場群の中で農作業が完了している圃場の完了割合を演算し、進捗表示手段は、圃場の完了割合を進捗状況として表示する。これにより、圃場単位の作業計画に対する進捗状況の把握が簡単となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−68533号公報
【特許文献2】特開2015−49871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示されたシステムは、圃場単位の農作業のコンピュータ管理を実現し、農業におけるコンピュータ利用の道を開いている。但し、いずれのシステムも圃場単位で農作業をコンピュータ管理している。ところが現実では、広大な圃場や複雑な多角形状の圃場なども少なくはなく、そのような圃場では、圃場を複数の区画に分割して、区画毎に農作業が行われる。しかも、その農作業が、設定された走行経路マップ(走行経路地図データ)に沿って自動走行する作業車によって行われる場合、走行経路マップが分割された区画毎に設定される。特に、圃場が複雑な多角形状であれば、その面積は小さくても、複数の比較的単純な幾何形状の区画に分割され、その区画に走行経路マップが設定される。また、圃場の状態が一様でなく、局部的な特異な特性(軟らかな土、硬い土、傾斜した地面など)を有するのであれば、特性毎に圃場を分割し、分割された区画毎に作業車の作業走行も変更しなければならない。
【0006】
上述した実情から、走行経路マップに基づいて作業走行する作業車による作業を、より適切な形態で管理することができる作業管理システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による作業管理システムは、走行経路マップに沿って作業地を作業走行する作業車による作業を管理するものであり、前記作業地に関する情報を格納する作業地情報格納部と、前記作業地に対して設定された1つ以上の前記走行経路マップを格納する走行経路マップ格納部と、前記走行経路マップに基づく前記作業車の作業内容を格納する作業履歴格納部と、前記走行経路マップを検索条件として、前記作業履歴格納部から前記作業内容を抽出するデータ管理部と、前記抽出された前記作業内容を表示デバイスに表示するための表示データを生成する表示データ生成部とを備えている。
【0008】
この構成によれば、作業されるべき作業地に1つ以上の走行経路マップを設定することができ、設定された走行経路マップは走行経路マップ格納部に格納される。さらに、作業車が当該走行経路マップに沿って作業走行した際の作業内容が、作業履歴格納部に格納される。作業履歴格納部に格納された作業内容は、走行経路マップを検索条件として抽出することができ、表示デバイスに表示することができる。つまり、圃場単位ではなく、その圃場におけて作業走行のために設定された1つ以上の走行経路マップを検索条件として、作業内容の抽出が可能である。例えば、各区画に設定された走行経路マップに沿って、作業車が、異なる作業パラメータで作業走行を行っても、各区画単位の作業内容(作業履歴)、言い換えると各走行経路マップ単位の作業内容が抽出され、表示される。
【0009】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記走行経路マップは、前記作業地の地図画像に重畳して表示デバイスに表示され、表示された前記走行経路マップの1つを選択することが、当該走行経路マップを前記検索条件とする入力操作とみなされる。この構成では、作業地で実施された作業内容を検索する際に、検索画面において作業地だけが表示されるのではなく、作業地とともに、当該作業地において設定された走行経路マップも表示される。表示された走行経路マップから、所望の走行経路マップを選択操作することで、この走行経路マップに沿って作業車が実施した作業内容が抽出される。
【0010】
本発明の好適な実施形態の1つでは、選択操作された前記走行経路マップに基づく作業走行によって行われた作業を表す前記作業内容が、前記走行経路マップとともに表示デバイスに表示される。この構成では、走行経路だけでなく、その走行経路に沿って実施された作業走行による作業内容も同時に表示されるので、作業走行した作業車の把握が容易となる。
【0011】
作業地の地質や形状は、経年変化するものではないが、作業地に設定される走行経路マップは、毎回の作業毎に変更される可能性がある。特に作業地が圃場で、作業車が農作業車の場合、作業は季節毎に毎年行われる。したがって、特定の作業時期の走行経路マップを抽出するためには、走行経路マップの属性値に、年月日のようなタイムスタンプが付与されている必要がある。そのためには、走行経路マップ格納部に格納される走行経路マップの属性値に走行経路マップが設定された作業年月日を加えるなどの方法を採用すれば、作業年月日によって走行経路マップを特定することができるので、好都合である。したがって、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記走行経路マップは、時系列で識別される形態で前記走行経路マップ格納部に格納されており、かつ前記データ管理部は、作業時期(作業年月日など)を検索条件として、前記走行経路マップを前記走行経路マップ格納部から抽出するように構成されている。
【0012】
作業地における作業内容を時系列で出力し、過去の作業の経緯を判定したり、今後の作業計画のために参照したりするために、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記データ管理部は、作業時期を検索条件として、前記作業履歴格納部から前記作業内容を抽出するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】作業管理システムを取り入れた作業車の一例としての自動走行可能なトラクタを示す側面図である。
図2】作業地としての圃場に設定された2つの走行経路マップの一例を示す模式図である。
図3】トラクタの制御系の機能を説明するための機能ブロック図である。
図4】データベースモジュールにおけるデータ構造と、走行経路マップ単位の作業履歴の表示とを説明する模式図である。
図5】表示デバイスに表示される画面の一例を示す画面図である。
図6】表示デバイスに表示される画面の一例を示す画面図である。
図7】表示デバイスに表示される画面の一例を示す画面図である。
図8】表示デバイスに表示される画面の一例を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を用いて、本発明による作業管理システムを取り入れた作業車の実施形態の1つを説明する。この実施形態の作業車は、作業地としての圃場に設定された走行経路マップに沿って作業走行するトラクタである。図1は、そのようなトラクタの側面図である。図1に示されているように、このトラクタは、前輪11と後輪12とによって支持された車体10の中央部に運転室20が設けられている。車体10の後部には、油圧式の昇降機構31を介して、対地作業を行う作業装置としてのロータリ式の耕耘装置30が装備されている。したがって、このトラクタの作業走行により、圃場が耕耘される。前輪11は操向輪として機能し、その操舵角を変更することでトラクタの走行方向が変更される。前輪11の操舵角は操舵機構13の動作によって変更される。操舵機構13には自動操舵のための操舵モータ14が含まれている。手動走行の際には、前輪11の操舵は運転室20に配置されているステアリングホイール22の操作によって行われる。このトラクタは、自車位置検出機能を実現するために、トラクタのキャビン21に、衛星測位モジュール80を備えている。衛星測位モジュール80の構成要素として、GNSS(global navigation satellite system)信号(GPS信号を含む)を受信するための衛星用アンテナがキャビン21の天井領域に取り付けられている。さらに、この衛星測位モジュール80による衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法モジュール81が備えられている。衛星測位モジュール80と慣性航法モジュール81とは、同じユニットハウジングに組み込むことも可能である。運転室20には、この実施形態では、タブレットコンピュータによって構成されている汎用端末装置6が操縦席に設置されたクレードルに装着されている。この汎用端末装置6は、無線データ伝送機能を備えており、クレードルから取り外して、監視者が作業車の外部に持ち出しても、トラクタの制御系との間でデータ通信可能である。汎用端末装置6は、運転者や管理者に情報を提供する機能と、運転者や管理者からの情報を入力する機能とを有する。
【0015】
図2には、複数の圃場が示されており、今回の作業対象となっている圃場は、太線枠で囲まれている。この圃場は、変形六角形であるが、中央に区画線を設定して、単純な四角形である第1区画と第2区画に分割されている。第1区画には、長い直線経路をUターン経路でつないだ走行経路を有する走行経路マップが設定されている。第2区画には、四角形渦巻き状の走行経路を有する走行経路マップが設定されている。この例では、第1区画と第2区画とに別形状の走行経路マップが設定されているが、もちろん同様な形状の走行経路マップが設定されてもよいし、さらに異なった形状の走行経路マップが設定されてもよい。また、圃場の地面状態(硬軟、傾斜など)の違いにから圃場を複数の区画に分割する場合には、同じ形状の走行経路マップが設定されても、その走行経路マップに沿って作業走行する際に記録される作業内容の1つとしてのトラクタの制御パラメータ(車速や耕耘深さなど)が異なって設定される。
【0016】
図3には、作業車の制御系の機能ブロック図が示されている。この実施形態の制御系は、1つ以上のECUからなる制御ユニット5と、無線モジュール70と、衛星測位モジュール80と、慣性航法モジュール81と、汎用端末装置6とを備えている。制御ユニット5は、トラクタの車載LANに固定的に接続されている。汎用端末装置6は、クレードル及び車載LANを介して制御ユニット5と接続される。ただし、クレードルから取り外され、車外に持ち出された汎用端末装置6は、無線モジュール70を介して、制御ユニット5と接続可能である。衛星測位モジュール80及び慣性航法モジュール81は、車載LANを介して制御ユニット5と接続されている。
【0017】
汎用端末装置6は、実質的には、タブレットコンピュータのような無線通信機能を有するコンピュータであり、タッチパネル60や入出力処理部61などが標準機能として備えられている。タッチパネル60は、グラフィックインターフェース機能を有し、表示デバイスや入力デバイスとして用いられる。入出力処理部61は、無線または有線で入力されたデータや無線または有線で出力されるデータの処理を行う。さらに、この汎用端末装置6には、走行経路生成部62及び作業走行管理モジュール63を実現するコンピュータプログラムがインストールされている。作業走行管理モジュール63には、表示データ生成部64とデータベースモジュール65が含まれている。データベースモジュール65は、汎用端末装置6のメモリを用いて、作業走行に関する情報をデータベース化する。表示データ生成部64は、データベースモジュール65によって管理されている作業走行に関する情報を、タッチパネル60に表示するための表示データを生成する。
【0018】
走行経路生成部62は、圃場外形データや圃場の出入口の位置や形状を示す出入口位置データに基づいて、走行経路マップを生成する。その際、ユーザの指示等に基づいて、圃場が複数の区画に分割された場合は、走行経路生成部62は、当該区画毎に走行経路マップを生成する。走行経路マップの作成のために必要な、圃場の地図データや圃場外形データなどは、クラウドコンピュータ9からのダウンロード、あるいはポータブルメモリなどからの読み込みで入力される。
【0019】
制御ユニット5は、入出力インタフェースとして、出力処理部7と入力処理部8とを備えている。出力処理部7は、車両走行機器群71及び作業装置機器群72と接続している。車両走行機器群71には、車両走行に関する制御機器、例えばエンジン制御機器、変速制御機器、制動制御機器、操舵制御機器などが含まれている。作業装置機器群72には、耕耘装置30への動力伝達を入り切りするPTOクラッチなどの動力制御機器や、耕耘装置30を昇降させる昇降機構31の昇降シリンダ制御機器などが含まれている。
【0020】
入力処理部8には、走行系検出センサ群82、作業系検出センサ群83、走行モード切替器84などが接続されている。走行モード切替器84は、自動操舵で走行する自動走行モードと、手動操舵で走行する手動操舵モードとのいずれかを選択するスイッチである。例えば、自動操舵モードで走行中に走行モード切替器84を操作することで、手動操舵での走行に切り替えられ、手動操舵での走行中に走行モード切替器84を操作することで、自動操舵での走行に切り替えられる。走行系検出センサ群82には、エンジン回転数調整具、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール22などの操作具の状態を検出するセンサが含まれている。作業系検出センサ群83には、耕耘装置30の駆動状態や姿勢を検出するセンサなどが含まれている。
【0021】
制御ユニット5には、作業走行制御モジュール50、自車位置算出部57、作業内容記録部58が備えられている。自車位置算出部57は、衛星測位モジュール80から逐次送られてくる測位データに基づいて、車体10の座標位置(地図座標または圃場座標)である自車位置を算出する。その際、測位データの欠落や測位データエラーが生じた場合には、慣性航法モジュール81からの測定データに基づいて、自車位置が算出される。
【0022】
作業内容記録部58は、走行系検出センサ群82、作業系検出センサ群83、走行モード切替器84からの信号、作業走行制御モジュール50で取り扱われる内部データ、運転者や監視者による手動操作入力などに基づいて、このトラクタの作業走行における種々の情報を含む作業内容を継時的(タイプスタンプ等の付与)に記録する。さらに、作業内容記録部58によって記録される作業内容には、運転者または監視者に対する警告情報が含まれている。警告情報には、車体10の許容以上の傾斜、目標走行経路に対する自車位置の許容以上の位置ずれ、オーバーヒートなどのエンジントラブル、燃料切れ、バッテリ切れ、などがある。
【0023】
作業走行制御モジュール50には、走行制御部51、作業制御部52、エンジン制御部53、自動作業走行指令部54、走行経路設定部55、協調走行管理部56が含まれている。走行制御部51は、操舵モータ14などの車両走行機器群71を制御する。この作業車は自動走行(自動操舵)と手動走行(手動操舵)の両方で走行可能である。このため、走行制御部51は、手動走行制御機能と自動走行制御機能とを有する。手動走行制御機能が実行されている場合、運転者による操作に基づいて車両走行機器群71が制御される。自動走行制御機能が実行されている場合、自動作業走行指令部54から与えられる自動操舵指令に基づいて、走行制御部51が車両走行機器群71を制御する。作業制御部52は、耕耘装置30の動きを制御するために、作業装置機器群72に作業制御信号を与える。エンジン制御部53は、エンジンの動作機器にエンジン制御信号を与える。
【0024】
走行経路設定部55は、汎用端末装置6の走行経路生成部62によって生成された走行経路マップを取り込み、トラクタの自動走行のための目標走行経路として、メモリに展開する。この走行経路マップは、手動走行の場合には、作業車が当該走行経路に沿って走行するためのガイダンスのために利用できる。
【0025】
自動作業走行指令部54は、走行経路設定部55によって目標走行経路として設定された走行経路マップと、自車位置算出部57によって算出された自車位置との間の方位ずれ及び位置ずれを算出し、その方位ずれ及び位置ずれを解消する自動操舵指令を生成して、走行制御部51に与える。さらに、自動作業走行指令部54は、作業制御部52に、自車位置や自車の走行状態に応じて、作業装置動作指令を与える。
【0026】
協調走行管理部56は、協調相手のトラクタの走行状態や作業状態を取得し、協調相手のトラクタの作業走行を制御する機能、及び協調相手の作業車から自己の作業走行を制御される機能を有する。協調走行を実施する前には、指示された協調走行パターンに基づいて、走行経路生成部62は、協調走行に参加するトラクタの走行経路マップを生成する。つまり、走行経路マップは、協調走行に参加するトラクタ毎に生成される。
【0027】
汎用端末装置6のデータベースモジュール65は、データ管理部66、作業地情報格納部67、走行経路マップ格納部68、作業履歴格納部69からなる。作業地情報格納部67は、この実施形態では、圃場の地図位置や外形データ、育成農産物の種類などの圃場に関する情報を格納している。走行経路マップ格納部68は、各圃場(作業地)に、前記走行経路生成部62で生成され、走行経路設定部55で設定された1つ以上の走行経路マップを格納する。走行経路マップは同じ作業地または作業地を分割した区画に、時期に応じて異なる形で設定されることがある。このため、走行経路マップは、時系列で識別される形態で走行経路マップ格納部68に格納される。これにより、データ管理部66は、例えば作業年月日を検索条件として、走行経路マップを抽出することができる。作業履歴格納部69は、走行経路マップに基づく作業走行において作業内容記録部58に記録された作業内容を、対応する走行経路マップとリンクされた形で収納する。この作業内容も、時系列で識別される形態で作業履歴格納部69に格納される。したがって、データ管理部66は、作業年月日を検索条件として、作業内容を抽出することができる。
【0028】
データ管理部66は、ユーザによって入力された検索条件と一致するデータを、作業地情報格納部67、走行経路マップ格納部68、作業履歴格納部69から抽出して、表示データ生成部64に与える。また、データ管理部66は、各種情報を、作業地情報格納部67、走行経路マップ格納部68、作業履歴格納部69に振り分けて、格納する。表示データ生成部64に与えられたデータは、前設定されているテンプレートと形式を用いて、表示データ化され、タッチパネル60に表示される。
【0029】
図4を用いて、データベースモジュール65におけるデータ構造と、走行経路マップ単位の作業履歴の表示とを説明する。図4に示すように、作業地情報格納部67では、作業地情報(圃場情報)が、作業地の位置及び外形を示す作業地画像とリンクして、格納されている。走行経路マップ格納部68では、走行経路マップが、作業地とリンクして、あるいは、作業地が複数区画に分割されている場合にはその分割された区画とリンクして、格納されている。作業履歴格納部69は、作業内容を、対応する走行経路マップとリンクして、格納する。
【0030】
図4の例では、表示デバイスであるタッチパネル60に、作業地における複数の区画からさらに選択された区画における作業履歴を表示する過程が示されている。まず、処理対象となる作業地の周辺を示す地図画像が、地図画像データから切り取られる。次に、処理対象となる作業地を検索条件として、作業地情報格納部67が抽出した作業地情報にリンクしている当該作業地の作業地画像が、作業地周辺の地図画像に割り当てられる。その際、当該作業地が区画されている場合、その区画線も割り当てられる。さらに、選択された作業地に属する2つの走行経路マップが作業地画像に重畳するような表示データが生成され、タッチパネル60に表示される。ユーザによって、タッチパネル60に表示された2つの走行経路マップから所望の1つを選択されると、選択された走行経路マップを検索条件として、対応する作業履歴が、作業履歴格納部69から抽出され、タッチパネル60に表示される。別の走行経路マップが選択されると、当該走行経路マップにリンクしている作業内容が表示される。つまり、選択操作された走行経路マップに基づく作業走行によって行われた作業を表す前記作業内容が、走行経路マップとともにタッチパネル60に表示される。
【0031】
図5から図8には、所望する作業地における作業履歴をデータベースモジュール65から抽出して、タッチパネル60に表示する過程でのタッチパネル60の画面の遷移が示されている。
【0032】
図5では、作業走行管理モジュール63による圃場管理に用いられる管理プログラムをタッチパネル60に構築されているグラフィックインターフェースを利用して起動するためのスタート画面である。このスタート画面で、履歴ボタンをクリックすると、図6に示す検索条件画面が表示される。この検索条件画面では、ユーザが属する地区の圃場群の地図画像が表示されるともに、ユーザに関係する圃場が他の圃場を識別された形態(図6では斜線)で表示されている。さらに、この圃場に対して設定された時期内で設定されていた走行経路マップを示すマップ領域が太線枠で示されている。このマップ領域をクリックすることで、図7に示すように、このマップ領域の走行経路マップに基づく作業走行における作業内容が、作業内容表示欄に表示される。図7では、圃場群の地図画像も横並びで表示されている。長期間にわたる作業内容が表示されている場合には、作業日絞込み欄を利用して、さらに作業日の期間を絞込むことができる。
【0033】
図7において、作業内容表示欄に隣接して配置されているボタン群のうちから詳細表示ボタンをクリックすると、図8に示される作業履歴詳細表示画面が表示される。この画面では、作業内容の詳細とともに、対応する走行経路マップの詳細図も示されている。
【0034】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0035】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、作業走行管理モジュール63が汎用端末装置6に構築されていたが、作業走行管理モジュール63を制御ユニット5に構築することが可能である。その際、タッチパネル60による表示機能や入力操作機能は、車体10に装備されているディスプレイ及び操作ボタン、あるいは車体10に装備されているタッチパネルに委譲することになる。また、作業走行管理モジュール63の一部を、例えばデータベースモジュール65を制御ユニット5に構築することも可能である。さらいは、データベースモジュール65をクラウドコンピュータ9に構築することも可能である。
(2)上述した実施形態では、走行経路生成部62は汎用端末装置6に構築されていたが、走行経路生成部62を制御ユニット5やクラウドコンピュータ9に構築することも可能である。
(3)図3で示された各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合してもよいし、またはさらに複数の機能部に分けてもよい。
(4)上述した実施形態では、本発明の作業管理システムを組み込んだ作業車として、耕耘装置30を作業装置として装備したトラクタを取り上げたが、そのようなトラクタ以外にも、例えば、田植機、施肥機、コンバインなどの農作業車、建設作業車両、などの種々の作業車にも、本発明の作業管理システムを組み込むことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、走行経路マップに沿って作業地を作業走行する作業車による作業を管理する作業管理システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
5 :制御ユニット
50 :作業走行制御モジュール
51 :走行制御部
54 :自動作業走行指令部
55 :走行経路設定部
56 :協調走行管理部
57 :自車位置算出部
58 :作業内容記録部
6 :汎用端末装置
60 :タッチパネル
61 :入出力処理部
62 :走行経路生成部
63 :作業走行管理モジュール
64 :表示データ生成部
65 :データベースモジュール
66 :データ管理部
67 :作業地情報格納部
68 :走行経路マップ格納部
69 :作業履歴格納部
80 :衛星測位モジュール
81 :慣性航法モジュール
82 :走行系検出センサ群
83 :作業系検出センサ群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8