(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記優先検体の分析を行う場合、前記吸引位置に位置付けられた前記検体ラックを前記ラック搬送部により前記吸引位置から退避させた後、前記検体移送部により前記優先検体を前記第2位置に移送する、請求項15に記載の検体分析装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の検体分析装置では、検体を吸引するために検体容器を搬送する経路が2つ設けられている。このような検体分析装置では、いずれの経路により検体容器が搬送されても、簡易な構成により、検体容器の開口に装着された栓体に吸引部を貫通させて、検体容器内から検体を吸引することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、検体分析装置に関する。本態様に係る検体分析装置(30)は、検体容器(20)の開口(221)に装着される栓体(210)を貫通して検体容器(20)内の検体を吸引する吸引部(411)と、
第1の検体容器(20)を保持した検体ラック(10)を搬送路(42a)に沿って搬送し、検体ラック(10)に保持された
第1の検体容器(20)を吸引部(411)による吸引位置(301)に位置付けるラック搬送部(42)と、
搬送路(42a)外の第1位置において第2の検体容器(20)が保持される保持部材(311)を有し、保持部材(311)
を搬送路(42a)から上方に離れ且つ吸引位置(301)と平面視で重複する第2位置(301)に移送する検体移送部(310)と、吸引位置(301)に位置付けられた
第1の検体容器(20)
および第2位置(301)に移送された第2の検体容器(20)から吸引部(411)により吸引した検体を測定する測定部(32)と、測定部(32)の測定結果に基づいて検体を分析する分析部(33)と、を備える。
【0007】
本態様に係る検体分析装置によれば、ラック搬送部によって搬送された検体容器および検体移送部によって移送された検体容器の両方、すなわち2つの経路によってそれぞれ搬送された検体容器が、同じ吸引位置に位置付けられる。そして、吸引位置において栓体を貫通可能な共通の吸引部を用いて検体が吸引される。このように、本態様に係る検体分析装置によれば、2つの経路のうちいずれの経路により検体容器が搬送されても、簡易な構成により、検体容器の開口に装着された栓体に吸引部を貫通させて、検体容器内から検体を吸引できる。
【0008】
本態様に係る検体分析装置(30)は、吸引位置(301)
および第2位置(301)の上方に設けられた押さえ部材(334)を備えるよう構成され得る。こうすると、栓体を貫通した吸引部が検体容器から抜き取られる際に、検体容器が吸引部の移動に伴って上方に移動して検体ラックまたは検体移送部から抜き取られてしまうことを防止できる。
【0009】
この場合に、本態様に係る検体分析装置(30)は、押さえ部材(334)に設けられ、吸引部(411)の外側面を洗浄する洗浄部(335)を備えるよう構成され得る。こうすると、吸引部の外側面に付着した検体を取り除くことができるため、検体のコンタミネーションを防止できる。
【0010】
本態様に係る検体分析装置(30)において、検体移送部(310)は、検体容器(20)を保持する保持部材(311)と、保持部材(311)を回転軸(312)周りに回転させる回転駆動部(313)と、を備えるよう構成され得る。こうすると、検体移送部は、検体移送部に設置された検体容器を、搬送路の外側から搬送路内の吸引位置へと円滑に移送できる。
【0011】
この場合に、保持部材(311)は、回転軸(312)の一方側に形成され得る。こうすると、保持部材の回転位置に応じて、保持部材が吸引位置に掛かる状態と、保持部材が吸引位置に掛からない状態とを円滑に切り替えることができる。
【0012】
本態様に係る検体分析装置(30)において、保持部材(311)の平面視における形状は、回転軸(312)を中心とする円弧を含むよう構成され得る。こうすると、保持部材の回転に要する平面領域を小さくできる。
【0013】
本態様に係る検体分析装置(30)において、保持部材(311)には、
第2の検体容器(20)を保持するための複数の容器保持部(311a)が形成され得る。こうすると、オペレータは、複数の検体容器を容器保持部にセットすることで、検体移送部を介した複数の検体の分析を連続的に行わせることができる。
【0014】
本態様に係る検体分析装置(30)において、検体移送部(310)は、保持部材(311)に
第2の検体容器(20)が保持されていることを検知する検知部(314)を備えるよう構成され得る。
【0015】
この場合に、検体移送部(310)は、保持部材(311)に
第2の検体容器(20)が保持されていることを検知部(314)が検知したことに基づいて、保持部材(311)に保持された
第2の検体容器(20)を
第2位置(301)に搬送するよう構成され得る。こうすると、検体容器を保持部材にセットすることで、検体移送部を介した検体の分析を円滑に開始できる。
【0016】
本態様に係る検体分析装置(30)は、検体移送部(310)を覆うカバー(350)を備えるよう構成され得る。こうすると、オペレータが動作中の検体移送部に誤って触れてしまうことを防止できる。
【0017】
この場合に、本態様に係る検体分析装置(30)は、カバー(350)をロックするロック機構(370)を備えるよう構成され得る。こうすると、オペレータが誤ってカバーを開けて動作中の検体移送部に触れてしまうことを防止できる。
【0018】
本態様に係る検体分析装置(30)において、カバー(350)は、検体移送部(310)に設置された
第2の検体容器(20)の位置を透視可能な透明部材(351)を備えるよう構成され得る。こうすると、オペレータは、検体移送部に検体容器が設置されているか否かを目視により判断できる。
【0019】
本態様に係る検体分析装置(30)は、検体移送部(310)が動作中であることを示す報知部(360)を備えるよう構成され得る。報知部は、たとえば、インジケータや液晶パネルなどである。こうすると、オペレータは、検体移送部が動作中であるか否かを、報知部を参照して判断できる。
【0020】
本態様に係る検体分析装置(30)において、吸引部(411)は、先端(411a)が尖ったノズルとされ得る。こうすると、吸引部を検体容器の栓体に容易に貫通させることができる。
【0021】
本態様に係る検体分析装置(30)において、ラック搬送部(42)は、通常検体を収容した
第1の検体容器(20)を保持した検体ラック(10)を搬送路(42a)に沿って搬送し、検体ラック(10)に保持された
第1の検体容器(20)を吸引位置(301)に位置付け、検体移送部(310)には、通常検体よりも優先して分析を要する優先検体を収容した
第2の検体容器(20)が設置され、検体移送部(310)は、設置された
第2の検体容器(20)を
第2位置(301)に移送するよう構成され得る。
【0022】
本態様に係る検体分析装置(30)は、優先検体の分析を行う場合、吸引位置(301)に位置付けられた検体ラック(10)をラック搬送部(42)により吸引位置(301)から退避させた後、検体移送部(310)により優先検体を
第2位置(301)に移送するよう構成され得る。こうすると、通常検体の吸引よりも先に優先検体の吸引を行うことができる。
【0023】
本態様に係る検体分析装置(30)は、吸引位置(301)に位置付けられた
第1の検体容器(20)
および第2位置(301)に移送された第2の検体容器(20)から検体情報を読み取る読取部(333)を備えるよう構成され得る。こうすると、異なる経路を通って吸引位置に位置付けられた各検体容器から、1つの読取部で検体情報を読み取ることができる。
【0024】
本発明の第2の態様は、通常検体を収容した
第1の検体容器(20)を検体ラック(10)により搬送路(42a)に沿って搬送して吸引部(411)による吸引位置(301)に位置付け
、通常検体よりも優先して分析を要する優先検体を収容した
第2の検体容器(20)を
搬送路(42a)外の第1位置において保持部材(311)
で保持し
、保持部材(311)を搬送路(42a)
から上方に離れ且つ吸引位置(301)と平面視で重複する第2位置(301)に位置付け
、吸引した検体を分析する検体分析方法に関する。本態様に係る検体分析方法は、優先検体を収容した
第2の検体容器(20)が
第1位置において保持部材(311)に設置されたとき、通常検体を収容した
第1の検体容器(20)が吸引位置(301)にあれば
、吸引位置(301)にある
第1の検体容器(20)を退避させ
、第2の検体容器(20)が設置された
保持部材(311)を
第2位置(301)に移送し、
第2の検体容器(20)の開口(221)に装着される栓体(210)を貫通して、
第2位置(301)に位置付けられた保持部材(311)に保持された第2の検体容器(20)内の優先検体を吸引し、
第2位置(301)に位置付けられた保持部材(311)に保持された第2の検体容器(20)から吸引した優先検体を測定し、測定結果に基づいて
優先検体を分析する。
【0025】
本態様に係る検体分析方法によれば、第1の態様と同様の効果が奏される。また、通常検体の吸引よりも先に優先検体の吸引を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、2つの経路のうちいずれの経路により検体容器が搬送されても、簡易な構成により、検体容器の開口に装着された栓体に吸引部を貫通させて、検体容器内から検体を吸引できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
図1に示すように、検体分析装置30は、搬送部31と測定部32を備える。搬送部31は、検体ラック10を搬送することにより、検体ラック10に保持された検体容器20を、測定部32が検体を吸引する吸引位置301に搬送する。また、搬送部31は、検体移送部310を駆動することにより、検体移送部310の保持部材311に保持された検体容器20を、吸引位置301に搬送する。搬送部31の全体構成については、追って
図4を参照して説明する。検体分析装置30および測定部32の構成については、追って
図7〜9を参照して説明する。
【0029】
図1において、XYZ軸は互いに直交しており、X軸方向およびY軸方向は水平面に平行な方向に対応する。X軸正方向は左方向に対応し、Y軸正方向は後ろ方向に対応し、Z軸正方向は鉛直下方向に対応する。なお、他の図においても、XYZ軸は
図1と同様に設定されている。
【0030】
図1に示すように、搬送部31は、ラック搬送部42と検体移送部310を備える。
【0031】
ラック搬送部42は、ラック搬送部42のX軸負側の端部に送り込まれた検体ラック10を、搬送路42aに沿ってX軸方向に搬送し、検体ラック10に保持された検体容器20を吸引位置301に位置付ける。検体ラック10は、複数の容器保持部110を備える。容器保持部110は、検体ラック10の上面から下方向に形成された孔である。検体容器20は、内部に検体を収容しており、検体容器20の上端は、栓体210により密封されている。オペレータは、優先的に分析を行う必要のない通常の検体を収容した検体容器20を検体ラック10に保持させて、検体ラック10を搬送部31にセットする。そして、オペレータは、検体ラック10に保持された検体容器20内の検体の測定および分析を開始させる。以下、優先的に分析を行う必要のない通常の検体を、「通常検体」と称する。
【0032】
検体移送部310は、保持部材311と回転軸312を備える。保持部材311は、Z軸方向に延びた回転軸312を回転の中心として回転する。保持部材311は、1つの容器保持部311aを備える。容器保持部311aは、検体容器20をZ軸方向に立てた状態で保持可能な孔である。検体移送部310は、保持部材311を回転軸312周りに回転させることにより、容器保持部311aに保持された検体容器20を吸引位置301に位置付ける。オペレータは、通常検体よりも優先して分析を要する検体を収容した検体容器20を保持部材311に保持させて、保持部材311に保持された検体容器20内の検体の測定および分析を開始させる。以下、通常検体よりも優先して分析を要する検体を、「優先検体」と称する。優先検体には、分析を緊急に行う必要のある検体が含まれる。
【0033】
このように、検体移送部310には優先検体を収容した検体容器20が設置され、検体移送部310は、設置された検体容器20を吸引位置301に移送する。言い換えれば、検体移送部310は、ラック搬送部42によって搬送される検体容器20とは別の検体容器20を受け入れて、受け入れた検体容器20を吸引位置301に移送する。
【0034】
測定部32は、検体分注部410を備える。検体分注部410は、吸引部411と、アーム412と、機構部413と、を備える。吸引部411は、アーム412の先端に設置されている。吸引部411は、ノズルにより構成される。吸引部411の先端は、検体容器20の栓体210を貫通できるように尖っている。機構部413は、アーム412を周方向に回転させるとともに上下方向に移動させるよう構成されている。これにより、吸引部411が周方向および上下方向に移動可能となる。検体分注部410は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20に対して、吸引部411を上側から下降させて検体容器20の栓体210を貫通させる。そして、検体分注部410は、吸引部411を介して検体容器20から検体を吸引する。
【0035】
測定部32は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20から吸引部411により吸引した検体を測定し、検体の測定結果を分析部33に送信する。分析部33は、測定部32の測定結果に基づいて検体を分析する。
【0036】
図2(a)に示すように、ラック搬送部42は、検体ラック10に保持された検体容器20、すなわち通常検体を収容した検体容器20を、搬送路42aに沿って搬送し、吸引部411の吸引位置301に位置付ける。そして、吸引部411は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20の真上から下降されることにより栓体210を貫通し、検体容器20内から通常検体を吸引する。一方、
図2(b)に示すように、検体移送部310は、保持部材311に保持された検体容器20、すなわち優先検体を収容した検体容器20を、保持部材311によって回転軸312周りに回転し、吸引位置301に位置付ける。そして、吸引部411は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20の真上から下降されることにより栓体210を貫通し、検体容器20内から優先検体を吸引する。
【0037】
以上のように、ラック搬送部42によって搬送された検体容器20および検体移送部310によって移送された検体容器20の両方、すなわち2つの経路によってそれぞれ搬送された検体容器20が、同じ吸引位置301に位置付けられる。そして、吸引位置301において栓体210を貫通可能な共通の吸引部411を用いて検体が吸引される。このように、実施形態1によれば、2つの経路のうちいずれの経路により検体容器20が搬送されても、簡易な構成により、検体容器20の開口に装着された栓体210に吸引部411を貫通させて、検体容器20内から検体を吸引できる。より詳細には、栓体210に吸引部411を貫通させて、ラック搬送部42によって搬送された通常検体を収容した検体容器20内から通常検体を吸引するとともに、検体移送部310によって移送された優先検体を収容した検体容器20内から優先検体を吸引できる。
【0038】
保持部材311は、回転軸312の一方側、すなわち
図1に示す状態において回転軸312のY軸負側に形成されている。これにより、保持部材311の回転位置に応じて、
図2(a)に示すように保持部材311が吸引位置301に掛かる状態と、
図2(b)に示すように保持部材311が吸引位置301に掛からない状態とを円滑に切り替えることができる。
【0039】
保持部材311は、平面視において、回転軸312を中心とする円に弧が整合する円弧の形状である。言い換えれば、保持部材311の平面視における形状は、回転軸312を中心とする円弧を含む。これにより、平面視において、保持部材311の回転に要する平面領域を小さくできる。
【0040】
吸引部411は先端が尖ったノズルである。これにより、吸引部411を検体容器20の栓体210に容易に貫通させることができる。
【0041】
次に、
図3(a)〜
図5(b)を参照して、検体ラック10、検体容器20、および搬送部31の詳細な構成を説明する。
【0042】
図3(a)に示すように、検体ラック10の外形は、ほぼ直方体形状であり、X軸方向の幅はY軸方向の幅よりも長い。容器保持部110は、検体容器20をZ軸方向に立てた状態で保持する。検体ラック10が複数の容器保持部110を備えると、1つの検体ラック10の搬送により、複数の検体を測定部32まで搬送できる。なお、検体ラック10に形成される容器保持部110の数は、6個に限らず、他の個数であってもよい。
【0043】
検体ラック10のY軸正側には、識別部材101が貼り付けられる。識別部材101は、ラック情報を示すバーコードが印刷されたバーコードラベルである。ラック情報は、検体ラック10を個別に識別可能な情報である。
【0044】
図3(b)に示すように、検体容器20は、識別部材201と、栓体210と、胴部220と、蓋部230と、を備える。胴部220は、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された採血管であり、内部に検体を収容する。胴部220の上端には、開口221が形成されている。栓体210は、弾力性を有する合成樹脂等により構成される。栓体210は、検体を収容した胴部220の上端の開口221を密封する。蓋部230は、プラスチックにより構成され、胴部220に装着された栓体210を上側から覆っている。蓋部230の中心には、上下に貫通する孔231が形成されている。測定部32の吸引部411は、孔231を介して栓体210をZ軸方向に貫通する。
【0045】
識別部材201は、胴部220の側面に貼られている。識別部材201は、検体情報を示すバーコードが印刷されたバーコードラベルである。検体情報は、検体を個別に識別可能な情報である。
【0046】
図4に示すように、搬送部31は、ラック貯留部41と、ラック搬送部42と、ラック回収部43と、検体移送部310と、保護部材340と、カバー350と、報知部360と、を備える。
【0047】
ラック貯留部41には、検体ラック10がセットされる。ラック貯留部41にセットされた検体ラック10は、ラック貯留部41の底面41aに支持される。ラック貯留部41の送込部材41bは、ラック貯留部41のX軸正側の端部およびX軸負側の端部に設けられた爪形状の部材である。送込部材41bは、Y軸方向に移動可能である。送込部材41bは、検体ラック10のY軸負側の側面をY軸正方向に押すことにより、ラック貯留部41にセットされた検体ラック10をラック貯留部41からラック搬送部42の搬送路42aに送り出す。
【0048】
ラック搬送部42は、2本のベルト320と、モータ331、332と、読取部333と、押さえ部材334と、洗浄部335と、押出部材336と、を備える。ラック搬送部42の搬送路42aは、2本のベルト320の上面によって構成される。
【0049】
2本のベルト320は、互いに平行にX軸方向に延びており、X軸正側およびX軸負側の端部においてプーリに接続されている。モータ331は、Y軸正側のベルト320が接続されたプーリを回転させて、Y軸正側のベルト320を駆動させる。モータ332は、Y軸負側のベルト320が接続されたプーリを回転させて、Y軸負側のベルト320を駆動させる。2本のベルト320は、それぞれ、Z軸負方向に突出した1つの突部321を備える。突部321が検体ラック10の下面に設けられた切欠きに係合した状態でベルト320が駆動されることにより、検体ラック10が搬送路42aにおいてX軸方向に搬送される。
【0050】
読取部333は、バーコードリーダである。読取部333は、ラック搬送部42において搬送される検体ラック10の識別部材101と、検体ラック10に保持された検体容器20の識別部材201からバーコードを読み取る。読取部333は、図示しない駆動部によってX軸方向に移動可能に支持されており、搬送路42aのY軸正側においてX軸方向に移動して、識別部材101、201からバーコードを読み取る。また、読取部333は、吸引位置301のY軸正側まで移動して、吸引位置301に位置付けられた検体容器20の識別部材201からバーコードを読み取る。
【0051】
このように、読取部333は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20からバーコードを読み取ることにより、検体情報を読み取る。これにより、異なる経路を通って吸引位置301に位置付けられた通常検体を収容する検体容器20および優先検体を収容する検体容器20の両方から、1つの読取部333で検体情報を読み取ることができる。
【0052】
なお、読取部333は、RFIDを読み取るためのアンテナであってもよい。この場合、検体ラック10に貼り付けられる識別部材101および検体容器20に貼り付けられる識別部材201は、RFIDタグとされる。
【0053】
押さえ部材334は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20の上方に設けられている。洗浄部335は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20の上方において、押さえ部材334の下面に設置されている。洗浄部335は、検体容器20から抜き取られた吸引部411の外側面を洗浄する。押さえ部材334と洗浄部335については、追って
図8を参照して説明する。
【0054】
検体ラック10は、保持している複数の検体容器20が吸引位置301に順に位置付けられるようX軸方向に搬送される。全ての検体容器20の吸引が終了すると、検体ラック10は、搬送路42aのX軸正側の端部に位置付けられる。そして、押出部材336が、検体ラック10のY軸正側の側面をY軸負方向に押して、ラック回収部43の底面43a上に送り込む。これにより、検体ラック10がラック回収部43に回収される。
【0055】
保護部材340は、ラック搬送部42のX軸方向の中央位置付近のY軸負側において、ラック搬送部42を覆うように設置されている。保護部材340には、吸引位置301のY軸負側の位置に開口341が設けられている。検体移送部310は、開口341の内部に設置されている。カバー350は、開口341に設けられており、検体移送部310を覆っている。より詳細には、カバー350は、開口341の内部を外部に開放する状態と外部から遮蔽する状態とに切り替える。カバー350が設けられることにより、オペレータが動作中の検体移送部310に誤って触れてしまうことを防止できる。
【0056】
報知部360は、保護部材340の外側面に設けられたインジケータにより構成される。報知部360は、検体移送部310が動作中であることを示す。具体的には、報知部360は、検体移送部310の動作中には点滅状態となり、検体移送部310が非動作中には点灯状態となる。これにより、オペレータは、検体移送部310が動作中であるか否かを、報知部360を参照して判断できる。
【0057】
なお、報知部360は、インジケータに限らず、液晶パネル等により構成されてもよい。報知部360が液晶パネルにより構成される場合、検体移送部310が動作中は、報知部360に「優先検体を移送する検体移送部が動作中です」などの文字が表示される。
【0058】
図5(a)に示すように、検体移送部310は、保持部材311と、回転軸312と、回転駆動部313と、検知部314と、を備える。
【0059】
保持部材311には、Z軸方向に延びた容器保持部311aが形成されている。保持部材311は、Z軸方向に延びた回転軸312に固定されている。容器保持部311aの回転軸312とは反対側の側方には、開口311bが形成されている。
【0060】
回転駆動部313は、プーリ313a、313bと、ベルト313cと、モータ313dと、を備える。プーリ313aは、回転軸312の下端に接続されている。ベルト313cは、プーリ313a、313bに架けられている。プーリ313bは、モータ313dの回転軸に接続されている。モータ313dが駆動されることにより、ベルト313cを介して回転軸312が回転する。これにより、保持部材311が回転軸312周りに回転し、保持部材311の容器保持部311aにセットされた検体容器20が吸引位置301に位置付けられる。
【0061】
回転駆動部313が保持部材311を回転軸312周りに回転させることにより、検体移送部310は、保持部材311に設置された検体容器20を、搬送路42aの外側から搬送路42a内の吸引位置301へと円滑に移送できる。
【0062】
検知部314は、反射型のセンサであり、搬送部31内に固定されている。
図5(a)に示すように保持部材311の容器保持部311aがY軸負側に位置付けられたときに、検知部314は、開口311bを介して、容器保持部311aに検体容器20が保持されていることを検知する。
【0063】
図5(b)に示すように、カバー350は、透明部材351と、孔352と、鍔部353と、孔354と、遮蔽部材355と、を備える。また、搬送部31は、カバー350の近傍に、ロック機構370と検知部380を備える。
【0064】
透明部材351は、カバー350の前面すなわちY軸負側の面に設けられている。透明部材351は、検体移送部310に設置された検体容器20の位置を透視可能となるようにカバー350の前面に設けられている。これにより、オペレータは、カバー350が閉じられた状態であっても、検体移送部310に検体容器20が設置されているか否かを目視により判断できる。
【0065】
孔352は、カバー350のY−Z平面に平行な2つの面にそれぞれ1つずつ設けられている。2つの孔352は、X軸方向に向かい合っている。2つの孔352が搬送部31内の図示しない回転軸に通されることにより、カバー350は、X軸周りに回転可能となる。カバー350がX軸周りに回転することにより、カバー350の内部に配置された検体移送部310が外部に開放された状態と外部から遮蔽された状態とに切り替えられる。鍔部353は、カバー350の上端近傍に設けられている。オペレータは、鍔部353を把持して、
図5(b)の太線矢印に沿って動かすことにより、カバー350の開閉状態を変更する。
【0066】
孔354には、ロック機構370の軸371が着脱される。ロック機構370は、軸371とシリンダ部372を備える。シリンダ部372が駆動することにより、軸371がX軸方向に移動する。軸371が孔354に挿入されることにより、カバー350がX軸周りに回転できない状態となり、カバー350がロックされる。軸371が孔354から抜き取られることにより、カバー350がX軸周りに回転できる状態となる。検体移送部310の動作中は、カバー350がロックされる。ロック機構370により、オペレータが誤ってカバー350を開けて動作中の検体移送部310に触れてしまうことを防止できる。
【0067】
遮蔽部材355は、カバー350のX軸負側の側面に設置されている。検知部380は、透過型のセンサであり、発光部と受光部を備える。
図5(b)に示すようにカバー350が閉じられた状態のとき、遮蔽部材355は、検知部380の発光部と受光部の間に位置付けられる。カバー350がX軸周りに回転すると、遮蔽部材355は、検知部380の発光部と受光部の間から外れる。このように、検知部380によれば、カバー350の開閉状態を検知できる。
【0068】
図6は、搬送部31による優先検体と通常検体の搬送制御を示すフローチャートである。
図6に示す搬送制御は、後述する測定部32の制御部32aにより行われる。なお、この搬送制御は、後述する分析部33の制御部33aにより行われてもよく、検体分析装置30とは別の外部の装置により行われてもよい。また、搬送部31に制御部が設けられる場合、搬送部31の制御部が搬送制御を行ってもよい。
【0069】
ステップS11において、制御部32aは、検体移送部310の容器保持部311aに未吸引の優先検体を収容する検体容器20がセットされ、カバー350が閉じられたか否かを判定する。制御部32aは、容器保持部311aに検体容器20がセットされたか否かを、検知部314の出力信号に基づいて判定し、カバー350が閉じられたか否かを、検知部380の出力信号に基づいて判定する。なお、オペレータは、検体移送部310に検体容器20をセットする前に、あらかじめ優先検体の測定オーダを、後述する分析部33の入力部33dを介して設定する。
【0070】
検体移送部310に未吸引の優先検体を収容する検体容器20がセットされ、カバー350が閉じられると、ステップS12において、制御部32aは、吸引位置301に処理中の検体ラック10があるか否かを判定する。吸引位置301において検体ラック10が処理中である状態とは、吸引位置301の下方に検体ラック10の一部が重なっており、かつ、未吸引の検体容器20が検体ラック10に残っている状態のことである。吸引位置301に処理中の検体ラック10があると、ステップS13において、制御部32aは、ラック搬送部42を駆動して、検体ラック10をX軸負方向に移動させることにより、検体ラック10を吸引位置301から退避させる。吸引位置301に処理中の検体ラック10がないと、ステップS13の処理がスキップされる。
【0071】
ステップS14において、制御部32aは、検体移送部310を駆動して、保持部材311を回転軸312周りに回転させ、優先検体を収容した検体容器20を吸引位置301に移送する。ステップS15において、制御部32aは、読取部333を吸引位置301の後方に位置付けて、吸引位置301に位置付けられた優先検体を収容する検体容器20の識別部材201からバーコードを読み取る。ステップS16において、制御部32aは、検体分注部410を駆動して、吸引部411を介して吸引位置301に位置付けられた検体容器20から優先検体を吸引する。
【0072】
そして、制御部32aは、保持部材311を回転軸312周りに回転させ、
図4に示すように検体容器20を設置するための位置に保持部材311を位置付ける。
図4に示す保持部材311の位置は、検体移送部310に検体容器20が設置されるときの位置である。オペレータは、カバー350を開けて、吸引が完了した検体容器20を保持部材311から取り出す。なお、一時的に退避させられた検体ラック10は、優先検体の吸引が終了すると、後述のステップS18において再び吸引位置301へと搬送され、検体ラック10に保持された検体容器20から通常検体が吸引される。
【0073】
ステップS11において優先検体がセットされていない、または、カバー350が閉じられていないと判定されると、ステップS17において、制御部32aは、分析対象の通常検体があるか否かを判定する。分析対象の通常検体がある状態とは、ラック貯留部41に検体ラック10がセットされている状態、および、ラック搬送部42の検体ラック10に未吸引の検体容器20がある状態のことである。分析対象の通常検体がないと、処理がステップS11に戻される。分析対象の通常検体があると、ステップS18において、制御部32aは、ラック貯留部41およびラック搬送部42を駆動して検体ラック10を搬送し、検体ラック10に保持された通常検体を収容する検体容器20を吸引位置301に搬送する。
【0074】
その後、制御部32aは、優先検体の場合と同様に、ステップS15、S16の処理を行う。すなわち、ステップS15において、制御部32aは、読取部333を吸引位置301の後方に位置付けて、吸引位置301に位置付けられた通常検体を収容する検体容器20の識別部材201からバーコードを読み取る。ステップS16において、制御部32aは、検体分注部410を駆動して、吸引部411を介して吸引位置301に位置付けられた検体容器20から通常検体を吸引する。
【0075】
こうして処理が終了すると、再度ステップS11から処理が開始され、
図6の搬送制御が繰り返し行われる。
【0076】
上記のように、保持部材311に検体容器20が保持されていることを検知部314が検知したことに基づいて、保持部材311に保持された検体容器20が吸引位置301に搬送される。これにより、優先検体を収容した検体容器20を保持部材311にセットすることで、円滑に優先検体の分析を開始できる。
【0077】
また、優先検体の分析を行う場合、吸引位置301に位置付けられた検体ラック10がラック搬送部42により吸引位置301から一時的に退避させられた後、検体移送部310により優先検体が吸引位置301に移送される。これにより、通常検体の吸引よりも先に優先検体の吸引を行うことができる。
【0078】
図7に示すように、測定部32は、搬送部31の後方に配置される。測定部32は、血液凝固検査に関する測定を行う。したがって、実施形態1では、検体容器20に収容される検体は、血漿である。
【0079】
なお、検体容器20に検体として収容される液体は、血漿に限らない。すなわち、検体容器20に収容される検体は、血漿に限らず、全血、血清、尿、リンパ液、体腔液などでもよい。たとえば、検体に対して測定部32で血球検査に関する測定が行われる場合、検体は全血とされ得る。たとえば、検体に対して測定部32で血液凝固検査、免疫検査、または生化学検査に関する測定が行われる場合、検体は血漿とされ得る。たとえば、検体に対して測定部32で免疫検査または生化学検査に関する測定が行われる場合、検体は血清とされ得る。
【0080】
測定部32は、検体分注部410と、反応容器テーブル420と、加温テーブル430と、試薬テーブル440と、試薬分注部450、460と、移送部470と、検出部480と、検体分注部490と、を備える。
【0081】
検体分注部410は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20に対して、吸引部411を上側から下降させて栓体210を貫通させる。そして、検体分注部410は、吸引部411を介して検体容器20から検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル420の保持孔421に保持された反応容器422に吐出する。
【0082】
検体分注部490は、検体分注部410と同様、吸引部491と、アーム492と、機構部493と、を備える。吸引部491は、アーム492の先端に設置されている。吸引部491は、ノズルにより構成される。検体分注部490は、開口221が開放された検体容器20から微量な検体を吸引するために用いられるため、吸引部411の先端は、平坦な形状となっている。機構部493は、アーム492を周方向に回転させるとともに上下方向に移動させるよう構成されている。これにより、吸引部491が周方向および上下方向に移動可能となる。
【0083】
検体分注部490は、ラック搬送部42の搬送路42a上の吸引位置302に位置付けられた検体容器20に対して、吸引部491を上側から下降させて検体容器20に挿入する。そして、検体分注部490は、吸引部491を介して検体容器20から検体を吸引し、吸引した検体を反応容器テーブル420の保持孔421に保持された反応容器422に吐出する。
【0084】
反応容器テーブル420は、平面視においてリング形状を有し、試薬テーブル440の外側に配置されている。反応容器テーブル420は、周方向に回転可能に構成されている。反応容器テーブル420は、反応容器422を保持するための複数の保持孔421を有する。
【0085】
加温テーブル430は、反応容器422を保持するための複数の保持孔431と、反応容器422を移送するための移送部432と、を備える。加温テーブル430は、平面視において円形の輪郭を有し、周方向に回転可能に構成されている。加温テーブル430は、保持孔431にセットされた反応容器422を37℃に加温する。
【0086】
反応容器テーブル420に保持された反応容器422に検体が吐出されると、反応容器テーブル420が回転され、検体を収容する反応容器422が加温テーブル430の近傍まで移送される。そして、加温テーブル430の移送部432が、この反応容器422を把持して、加温テーブル430の保持孔431にセットする。
【0087】
試薬テーブル440は、血液凝固検査に関する測定に使用する試薬を収容した試薬容器441を複数設置可能に構成されている。試薬テーブル440は周方向に回転可能に構成されている。試薬テーブル440には、測定項目の測定において用いる試薬を収容した試薬容器441が複数設置される。
【0088】
試薬分注部450は、ノズル451と機構部452を備える。機構部452は、試薬テーブル440を横切るようにノズル451を水平方向に移動させるとともに、ノズル451を上下方向に移動させるよう構成されている。同様に、試薬分注部460は、ノズル461と機構部462を備える。機構部462は、試薬テーブル440を横切るようにノズル461を水平方向に移動させるとともに、ノズル461を上下方向に移動させるよう構成されている。試薬分注部450、460は、測定部32の筐体上面の下側に設置されている。
【0089】
試薬分注部450、460は、加温テーブル430で加温された反応容器422に試薬を分注する。試薬の分注の際は、移送部432または移送部470が、加温テーブル430の保持孔431から反応容器422を取り出し、加温テーブル430近傍の所定位置に位置付ける。そして、試薬分注部450、460が、試薬容器441からノズル451、461を介して試薬を吸引し、吸引した試薬を反応容器422に吐出する。これにより、検体に試薬が混合され、測定試料が調製される。その後、移送部470が、反応容器422を検出部480の保持孔481にセットする。
【0090】
検出部480の測定原理は、たとえば、凝固法、合成基質法、免疫比濁法、凝集法、などである。検出部480は、複数の保持孔481を備える。検出部480は、保持孔481にセットされた反応容器422に対して光を照射し、測定試料を透過した光を受光して、受光強度に応じた信号を出力する。測定部32の制御部32aは、検出部480から出力される信号を測定結果として記憶するとともに、測定結果を分析部33に送信する。
【0091】
図8に示すように、検体分注部410は、吸引部411と、アーム412と、機構部413と、を備える。機構部413は、軸413aと、ガイド部材413bと、駆動部413c、413dと、を備える。
図8には、検体分注部410のほか、吸引位置301に位置付けられた検体容器20と、検体容器20を保持する検体ラック10と、吸引位置301の真上に設けられた押さえ部材334および洗浄部335と、が図示されている。吸引部411は、Z軸正側の先端411aが尖ったノズルである。
【0092】
駆動部413cは、軸413aをZ軸方向に移動させる。駆動部413dは、Z軸を回転の中心として軸413aを回転させる。駆動部413c、413dは、ステッピングモータにより構成される。軸413aは、アーム412を支持している。吸引部411は、アーム412の端部において下方向に向けて設置されている。ガイド部材413bは、軸413aの回転に合わせて回転可能であり、かつ、Z軸方向の位置が変わらないように軸413aに対して設置されている。ガイド部材413bの先端には上下方向に貫通する孔が形成されており、吸引部411は、ガイド部材413bの先端の孔に通されている。
【0093】
押さえ部材334は、搬送部31に固定されている。押さえ部材334には、押さえ部材334を上下方向に貫通する孔334aが形成されている。洗浄部335は、押さえ部材334の下面に設置されている。洗浄部335には、洗浄部335を上下方向に貫通する孔335aが形成されている。また、孔335aには、水平方向に延びた図示しない2つの流路が形成されている。洗浄部335は、吸引部411が検体容器20から抜き取られる際に、孔335aに水平方向に繋がる一方の流路に洗浄液を流し、他方の流路から洗浄液を排出させる。これにより、孔335aを通る吸引部411の外側面が洗浄されるため、検体のコンタミネーションを防止できる。
【0094】
押さえ部材334は、吸引位置301に位置付けられた検体容器20の上方に設けられている。これにより、栓体210を貫通した吸引部411が検体容器20から抜き取られる際に、検体容器20が吸引部411の移動に伴って上方に移動したとしても、押さえ部材334により洗浄部335を介して検体容器20の上端が押さえ付けられる。これにより、検体容器20が吸引部411の移動に伴って上方に移動して検体ラック10または検体移送部310から抜き取られてしまうことを防止できる。
【0095】
図9に示すように、検体分析装置30は、搬送部31と、測定部32と、分析部33と、を備える。
【0096】
測定部32は、制御部32aと、記憶部32bと、
図7、8に示した各種の機構部と、を備える。制御部32aは、たとえば、CPUである。記憶部32bは、たとえば、ROM、RAM、ハードディスクである。制御部32aは、記憶部32bに記憶されたプログラムやデータに従って、測定部32内の各部と、搬送部31とを制御する。制御部32aは、搬送部31によって供給された検体を吸引して、検体に対する血液凝固検査に関する測定を行い、測定結果を分析部33に送信する。
【0097】
分析部33は、制御部33aと、記憶部33bと、表示部33cと、入力部33dと、を備える。制御部33aは、たとえば、CPUである。記憶部33bは、たとえば、ROM、RAM、ハードディスクである。制御部33aは、記憶部33bに記憶されたプログラムやデータに従って、分析部33内の各部と、測定部32とを制御する。表示部33cは、たとえば、液晶ディスプレイである。入力部33dは、たとえば、マウスやキーボードである。表示部33cと入力部33dは、タッチパネル式のディスプレイなどにより一体的に構成されてもよい。
【0098】
制御部33aは、測定部32から受信した測定結果に基づいて、検体に対して血液凝固検査に関する分析を行う。具体的には、制御部33aは、PT、APTT、Fbg、外因系凝固因子、内因系凝固因子、凝固第XIII因子、HpT、TTO、FDP、Dダイマー、PIC、FM、ATIII、Plg、APL、PC、VWF:Ag、VWF:RCo、ADP、コラーゲン、エピネフリンなどの測定項目について分析を行う。
【0099】
<実施形態2>
図10に示すように、実施形態2では、測定部32の検体分注部490が搬送路42aから検体を吸引する吸引位置302においても、吸引位置301と同様、検体移送部310が設けられる。これにより、実施形態2では、実施形態1と比較して、保護部材340が吸引位置302を保護するようにX軸負側に延びており、吸引位置301のY軸負側にもカバー350が設けられている。また、実施形態2では、押さえ部材334も、吸引位置301、302の上方に跨がるようにX軸方向に延びている。そして、吸引位置302の真上において、押さえ部材334の下面に洗浄部335が設けられている。
【0100】
さらに、実施形態2では、検体分注部490の位置に、検体分注部490に代えて、検体分注部410が配置される。すなわち、実施形態2の測定部32は、先端411aが尖った吸引部411を備える検体分注部410を2つ備える。これにより、X軸負側の検体分注部410は、吸引位置302に付けられた検体容器20に対して、吸引部411を栓体210に貫通させて、検体容器20内から検体を吸引できる。実施形態2の他の構成は、実施形態1と同様である。
【0101】
実施形態2では、吸引位置302においても、吸引位置301と同様に、通常検体を収容した検体容器20および優先検体を収容した検体容器20から、栓体210を介して検体を吸引できる。よって、複数の優先検体を迅速に分析できる。また、実施形態2においても、読取部333は、吸引位置301、302の位置までX軸方向に移動可能である。これにより、通常検体を収容した検体容器20と優先検体を収容した検体容器20の両方から、吸引位置301、302において1つの読取部333によりバーコードを読み取ることができる。
【0102】
<実施形態3>
図11(a)に示すように、実施形態3では、検体移送部310の保持部材311に3つの容器保持部311aが設けられている。3つの容器保持部311aは、いずれも回転軸312を中心とする円周上に配置されている。実施形態3の他の構成は、実施形態1と同様である。
【0103】
このように、保持部材311に複数の容器保持部311aが形成されると、オペレータは、優先検体を収容した複数の検体容器20を保持部材311にセットすることにより、複数の優先検体の分析を連続的に行わせることができる。なお、保持部材311に設けられる容器保持部311aの個数は3つに限らず、他の個数であってもよい。
【0104】
<実施形態4>
図11(b)に示すように、実施形態4では、検体移送部310の保持部材311が、平面視において楕円形状となっている。実施形態4の他の構成は、実施形態1と同様である。
【0105】
実施形態4によれば、保持部材311の平面視における形状が、回転軸312を中心とする凸状の形状となっており、かつ、曲線を含んでいる。これにより、実施形態1と同様、保持部材311の回転に要する平面領域を小さくできる。