特許第6772246号(P6772246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6772246プロセッサドングルを備える超音波システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772246
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】プロセッサドングルを備える超音波システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-502651(P2018-502651)
(86)(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公表番号】特表2018-519964(P2018-519964A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】IB2016053956
(87)【国際公開番号】WO2017013511
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年3月5日
【審判番号】不服2020-884(P2020-884/J1)
【審判請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】62/194,907
(32)【優先日】2015年7月21日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド マッキー ドゥーン
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 森 竜介
【審判官】 松谷 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−176056(JP,A)
【文献】 特開2014−207990(JP,A)
【文献】 特表2017−537757(JP,A)
【文献】 DOS/V POWER REPORT,日本,株式会社インプレス,2014年12月27日,2015年2月号,139頁
【文献】 日経PC,日経BP社,2015年 4月28日,2015年6月号,PR
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジオ部を有すると共に、超音波プローブ制御信号を受信する無線超音波プローブと、
ラジオ部、デジタルプロセッサ、及びプラグ接続部を有し、前記無線超音波プローブに超音波プローブ制御信号を送信する携帯可能なプロセッサドングルであって、前記デジタルプロセッサがオペレーティングシステム及び超音波システム制御プログラムを実行する、携帯可能なプロセッサドングルと、
前記プロセッサドングルの前記プラグ接続部が着脱可能に電気接続されるポートを有し、該プロセッサドングルにより発生された超音波画像を表示する表示器であって、前記プラグ接続部は、前記電気接続のために前記ポートに機械的に篏合され、前記表示器は、前記プラグ接続部と前記ポートとの前記嵌合により前記プロセッサドングルを機械的に支持する、表示器と、
を有する、超音波システムにおいて、
前記無線超音波プローブは更に、前記超音波プローブ制御信号に基づいた超音波画像走査ラインデータを送信し、
前記プロセッサドングルは、更に、撮像手順のためのユーザインターフェースコマンドを受信し、前記無線超音波プローブから画像ラインデータ信号を受信し、受信された画像ラインデータ信号の画像処理を実行して表示のための超音波画像を発生することを特徴とする、
超音波システム。
【請求項2】
前記プロセッサドングルの前記プラグ接続部が前記表示器のHDMI(登録商標)ポートに着脱可能に結合されるHDMI(登録商標)コネクタ有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記ラジオ部が超広帯域(UWB)ラジオ部を有し、前記プロセッサドングルが入力ポートを更に有し、当該超音波システムが該入力ポートにプラグ接続されるUWBドングルを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記プロセッサドングルは、超音波情報を含むデータ伝送のためにケーブルを前記無線超音波プローブに接続するポートを更に有する、
請求項1に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記表示器が、患者モニタを更に有する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項6】
Wi-Fi(登録商標)ラジオ部を備えるタブレットコンピュータを更に有し、
前記プロセッサドングルのラジオ部がWi-Fi(登録商標)ラジオ部を更に有し、
前記タブレットコンピュータが前記プロセッサドングルにより発生された超音波画像を表示する、
請求項1に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記タブレットコンピュータが、当該超音波システムを制御するためにユーザにより操作されるユーザインターフェース制御子を更に表示する、請求項6に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記プロセッサドングルにより発生された超音波画像を受信するラジオ部を有すると共に該超音波画像を超音波表示部に表示するタブレットコンピュータを更に有し、ユーザ入力に応答して、更に、前記超音波画像を前記表示器、前記タブレットコンピュータ又はこれら両方に表示させる、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記超音波表示部が、超音波検査を制御する複数の制御釦を更に有する、請求項8に記載の超音波システム。
【請求項10】
前記タブレットコンピュータがタッチスクリーン表示器を更に有する、請求項9に記載の超音波システム。
【請求項11】
超音波プローブと、
ラジオ部、デジタルプロセッサ、及びプラグ接続部を有し、前記超音波プローブに超音波プローブ制御信号を送信する携帯可能なプロセッサドングルであって、前記デジタルプロセッサがオペレーティングシステム及び超音波システム制御プログラムを実行する、携帯可能なプロセッサドングルと、
前記プロセッサドングルの前記プラグ接続部が着脱可能に電気接続されるポートを有し、該プロセッサドングルにより発生された超音波画像を表示する表示器であって、前記プラグ接続部は、前記電気接続のために前記ポートに機械的に篏合され、前記表示器は、前記プラグ接続部と前記ポートとの前記嵌合により前記プロセッサドングルを機械的に支持する、表示器と、
を有する、超音波システムにおいて、
前記超音波プローブは、超音波プローブ制御信号を受信すると共に該超音波プローブ制御信号に基づいた超音波画像走査ラインデータを送信するプローブケーブルを有し、
前記プロセッサドングルは、前記プローブケーブルが接続されるポートを有し、更に、撮像手順のためのユーザインターフェースコマンドを受信し、前記超音波プローブから画像ラインデータ信号を受信し、受信された画像ラインデータ信号の画像処理を実行して表示のための超音波画像を発生することを特徴とする、超音波システム。
【請求項12】
前記プロセッサドングルの前記プラグ接続部はコネクタ有し、
前記表示器の前記ポートはデータポート有し、
前記プロセッサドングルの前記コネクタが前記データポートに結合される、
請求項11に記載の超音波システム。
【請求項13】
前記無線超音波プローブは該無線超音波プローブの動きに応答して信号を発生するモーションセンサを更に有し、
前記プロセッサドングルが、該無線超音波プローブの動きに応答して発生された信号に応答して当該超音波システムの動作を制御する、
請求項1に記載の超音波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2015年7月21日に出願された米国予備特許出願第62/194,907号の優先権を主張するものであり、該出願は参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は、医療診断超音波システムに、特には親指大ドライブ状“ドングル”内のプロセッサを使用する超音波システムに関する。
【背景技術】
【0003】
超音波システムは、近年、益々携帯可能になってきている。旧来の超音波システムは、制御パネル及び電子回路モジュール上に配置された表示器(ディスプレイ)と共にカートに搭載されたものである。カート搭載システムは検査テーブルの傍に容易に配置され、使用の間に超音波プローブを電子回路モジュールに接続することができる。約15年前にシステムの小型化が卓上ユニットで始まり、次いで、ラップトップ状構成が出現した。今日、超音波システムは、フロントエンドから画像処理を経るシステム電子回路を格納したUSBプローブを備えたタブレット構成で利用可能である。該タブレットは画像表示装置及びタッチスクリーンユーザインターフェースとして機能する。アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、Andoverのフィリップス・ヘルスケア社から入手可能なVisiq超音波システムは、タブレット構成の超音波システムの一例である。しかしながら、これらの寸法の繰り返しにおける全てにおいて、最大の部品は表示スクリーンであり、該表示スクリーンが携帯可能性及び小型化の努力における支配的項目になってきている。生の超音波画像をスマートフォン画面上に表示することは技術的に可能になっているが、小さな寸法が概して斯様な画像が診断的に有用となることを妨げている。このように、ラップトップ状及びタブレット超音波システムは容易に携帯可能であるが、ユーザは診断的に有用となるほど十分に大きな表示スクリーンを備えたシステムを依然として運搬しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの超音波システムの携帯可能性における努力を、診断的に有用な表示スクリーンを運搬する必要性を除去するシステム構成により進歩させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
幾つかの態様において、本発明は超音波システムを含み、該超音波システムは、ラジオ(無線通信器)部を有すると共に、超音波プローブ制御信号を受信する一方、該制御信号に基づいた超音波画像走査ラインデータを送信するように構成された無線超音波プローブと;オペレーティングシステム及び超音波システム制御プログラムを実行するように構成されたデジタルプロセッサ並びにラジオ部を有するプロセッサドングルであって、撮像手順のためのユーザインターフェースコマンドを受信し、前記超音波プローブに超音波プローブ制御信号を送信し、前記プローブから画像ラインデータ信号を受信し、且つ、受信された画像ラインデータ信号の画像処理を実行して表示のための超音波画像を発生するように構成されたプロセッサドングルと;前記プロセッサドングルに結合されると共に、該ドングルにより発生された前記超音波画像を表示するように構成されたテレビジョン受信機又は表示モニタと;を含むことができる。
【0006】
特定の態様において、前記プロセッサドングルは、前記テレビジョン受信機又は表示モニタのHDMI(登録商標)ポートに着脱可能に結合されるHDMI(登録商標)コネクタを含むことができる。前記ラジオ部は超広帯域(UWB)ラジオ部を含むことができ、前記プロセッサドングルは入力ポートを更に有することができ、当該システムは該入力ポートにプラグ接続されるUWBドングルを更に有する。幾つかの態様において、前記プロセッサドングルはWi-Fi(登録商標)ラジオ部を含むことができ、前記テレビジョン受信機又は表示モニタはWi-Fi(登録商標)ラジオ部を含むことができ、前記テレビジョン受信機又は表示モニタは、これらWi-Fi(登録商標)ラジオ部を用いて前記プロセッサドングルに結合される。当該システムは、前記プロセッサドングルに接続されると共に、a.c.コンセントにプラグ接続された場合に該プロセッサドングルに給電するよう構成されたa.c.アダプタも含むことができ、前記プロセッサドングルは、超音波情報を含むデータ伝送のためにケーブルを前記無線プローブに接続するよう構成されたポートを含むことができ、前記テレビジョン受信機又は表示モニタはラジオ部を含むことができ、該ラジオ部を用いて前記プロセッサドングルに結合するように構成される。前記テレビジョン受信機又は表示モニタは、患者モニタを含むこともできる。特定の態様において、当該システムはWi-Fi(登録商標)ラジオ部を備えるタブレットコンピュータを含むことができ、前記プロセッサドングルはWi-Fi(登録商標)ラジオ部を含むことができ、前記タブレットコンピュータは該ドングルにより発生された前記超音波画像を表示することができる。幾つかの態様において、前記タブレットコンピュータは、当該超音波システムを制御するためにユーザにより操作されるユーザインターフェース制御子を表示するように構成することができる。
【0007】
幾つかの態様において、本発明は超音波システムを含み、該超音波システムは、超音波プローブ制御信号を受信すると共に該制御信号に基づいた超音波画像走査ラインデータを送信するように構成されたラジオ部を有する無線超音波プローブと;オペレーティングシステム及び超音波システム制御プログラムを実行するように構成されたデジタルプロセッサ並びにラジオ部を有するプロセッサドングルであって、撮像手順のためのユーザインターフェースコマンドを受信し、前記超音波プローブに超音波プローブ制御信号を送信し、前記プローブから画像ラインデータ信号を受信し、且つ、受信された画像ラインデータ信号の画像処理を実行して表示のための超音波画像を発生するように構成されたプロセッサドングルと;前記プロセッサドングルに結合されると共に、該ドングルにより発生された前記超音波画像を表示するように構成されたテレビジョン受信機又は表示モニタと;前記プロセッサドングルにより発生された超音波画像を受信するように構成されたラジオ部を有すると共に該超音波画像を超音波表示部に表示するタブレットコンピュータと;を含み、かくして、前記プロセッサドングルは更にユーザ入力に応答して前記超音波画像を前記テレビジョン受信機若しくは表示モニタ、前記タブレットコンピュータ又はこれら両方に表示するよう構成される。前記超音波表示部は、超音波検査が制御される複数の制御釦を更に含むことができる。そして、前記タブレットコンピュータは、タッチスクリーン表示器を含むことができる。
【0008】
特定の態様において、本発明は超音波システムを含み、該超音波システムは、超音波プローブ制御信号を受信すると共に該制御信号に基づいた超音波画像走査ラインデータを送信するように構成されたプローブケーブルを有する超音波プローブと;前記プローブケーブルが接続されるポート並びにオペレーティングシステム及び超音波システム制御プログラムを実行するように構成されたデジタルプロセッサを有するプロセッサドングルであって、撮像手順のためのユーザインターフェースコマンドを受信し、前記超音波プローブに超音波プローブ制御信号を送信し、前記プローブから画像ラインデータ信号を受信し、且つ、受信された画像ラインデータ信号の画像処理を実行して表示のための超音波画像を発生するように構成されたプロセッサドングルと;前記プロセッサドングルに結合されると共に、該ドングルにより発生された前記超音波画像を表示するように構成されたテレビジョン受信機又は表示モニタと;を含む。
【0009】
前記プロセッサドングルはラジオ部を含むことができ、前記テレビジョン受信機又は表示モニタはラジオ部を含むことができ、前記テレビジョン受信機又は表示モニタは、これらラジオ部を介して前記プロセッサドングルに結合することができる。前記プロセッサドングルはコネクタを含むことができ、前記テレビジョン受信機又は表示モニタはデータポートを含むことができ、前記プロセッサドングルのコネクタは前記データポートに結合することができる。前記超音波プローブはプローブの動きに応答して信号を発生するモーションセンサを含むことができ、前記プロセッサドングルは、プローブの動きに応答して発生された信号に応答して当該超音波システムの動作を制御するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の超音波システムにおける複数の所要の及びオプションの構成部品を図示する。
図2図2は、患者モニタが本発明の超音波システムのための表示器として機能する病室を示す。
図3図3は、本発明の超音波システムの典型的なシステム表示を示す。
図4図4は、本発明の一構成例のための超音波プローブとして使用するのに適した無線超音波プローブをブロック図の形で示す。
図5図5は、図4の無線超音波プローブのバックエンドFPGA及び超音波広帯域チップセットをブロック図の形で示す。
図6a-6c】図6a−図6cは、超音波システムをプローブのジェスチャにより制御するための無線プローブの使用を示す。
図7図7は、本発明の原理による超音波システムとして動作するプローブ及びドングルプロセッサの機能ブロック図である。
図8-I】図8−Iは、グレイスケール撮像モードの間における図7のプローブ及びドングルプロセッサの動作を示すフローチャートである。
図8-II】図8−IIは、グレイスケール撮像モードの間における図7のプローブ及びドングルプロセッサの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原理によれば、超音波システムは超音波制御プログラムを実行するプロセッサ及び通信装置を格納した親指大ドライブ状“ドングル”を伴って構成される。上記通信装置は、USB及び/又はHDMI(登録商標)コネクタを介してのように無線、有線又は両方で動作することができ、上記ドングルを、超音波システムが一緒に有する超音波プローブ及び表示装置の両方と通信状態にする。以下に記載する一構成例において、上記ドングルは、システム表示器として機能するテレビジョン受信機又は表示モニタにプラグ接続され、上記超音波プローブと無線で通信する。他の構成例において、上記ドングルは、該ドングルに給電するためにa.c.USBプラグ又は壁コンセント等の電源にプラグ接続され、超音波プローブ及び表示装置の両方と無線的に通信する。この構成は、例えば、病室内の遍在する患者モニタをシステム表示器として使用することができる。これにより、当該超音波システムは、実質的に如何なる利用可能なテレビジョン受信機又は表示モニタをも該超音波システムのための表示器として動作するように適合させることができる。
【0012】
図1は、本発明の原理による超音波システムを構成するために用いることができる複数の構成部品を示す。図1の(a)は無線超音波プローブ10である。図示された該プローブは、USBプローブ24、即ち内部にトランスジューサ、フロントエンド電子回路、信号及び画像処理部を備えると共に後部においてUSBコネクタで終端するユニットにより形成されている。上記USBコネクタは、当該プローブと他のシステム構成部品との間の無線通信を提供するラジオ電源モジュール26にプラグ接続されているため、この図では見えていない。図1の(b)はデジタルプロセッサを格納したドングル30を示している。図示された特定のドングルは、アメリカ合衆国、カリフォルニア州、サンタクララのインテル社から市場で入手可能なコンピュータスティックである。Intel(登録商標)コンピュータスティックは、一端にHDMI(登録商標)コネクタ31を備えると共に側部にUSBポートを備えた親指大ドライブ状ドングルパッケージである。内部には、ウインドウズ(登録商標)8オペレーティングシステムを実行するデジタル4コアインテルプロセッサが存在する。該コンピュータスティックは、デジタルオーディオ能力、2GBのシステムメモリ及び32GBの記憶部を有し、HDグラフィックパッケージ並びにWi-Fi(登録商標)(IEEE 802.11)ラジオ及びブルートゥース(登録商標)による無線通信部を含む。コンピュータスティック30がテレビジョン受信機又は表示モニタのHDMI(登録商標)ポートにプラグ接続された場合、該コンピュータスティックは該受信機又はモニタをウインドウズのプログラムのための表示装置として使用することができる。無線キーボード及びマウスは、該コンピュータスティックのプロセッサ及びウインドウズオペレーティングシステムと通信して、該コンピュータスティック、キーボード、マウス及び受信機又は表示器をコンピュータシステムに変化させることができる。本発明の一構成例において、上記コンピュータスティック等のドングルは、図1(a)に示されたような超音波プローブ及び図1(c)に示される表示モニタ20等の表示器と共に使用されて、超音波診断撮像システムを形成する。
【0013】
本発明の超音波システム構成は、図1(d)に示されるアメリカ合衆国、カリフォルニア州、Cupertinoのアップル社から入手可能なiPad(登録商標)タブレットコンピュータ28等のタブレットコンピュータを含むこともできる。以下に説明される構成において、該タブレット28は当該システムにおける補助システム表示又はユーザインターフェース等の種々の機能を果たす。本発明の超音波システムは、テキサス州、オースチンのAlereon社からのAL5350/AL5100UWBドングルチップセット等の超広帯域(UWB)ラジオドングル32を含むこともできる。図示されたUWBドングル32等のUSBコネクタを備えるUWBドングルは、プロセッサドングル30にプラグ接続することができ、インテルコンピュータスティックの場合におけるWi-Fi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)及びUWBを含む多数の無線通信接続を備えた構成を提供する。
【0014】
図2は、患者Pの居る典型的な病室を示す。該病室の壁に取り付けられたものは通常の患者モニタ48であり、該患者モニタは、通常、患者Pのバイタルサインのテキスト及びグラフィックを表示する。本発明の一構成例によれば、プロセッサドングル30が患者モニタ48の補助HDMI(登録商標)入力端子にプラグ接続され、該患者モニタが超音波システムのための表示を選択することを可能にし、好ましくは当該表示器の一部を超音波専用とする一方、他の部分をバイタルサイン専用にする。プロセッサドングル30にプラグ接続されるものはUWBドングル32であり、該UWBドングルはプロセッサドングル30と当該患者を走査するために使用される無線超音波プローブ10との間の超広帯域ラジオ通信を提供する。プローブ10により取得された画像は、ドングルプロセッサ30により処理されると共に当該患者モニタのスクリーン上に表示され、超音波検査者に大きくて容易に認識可能な画像を提供する。
【0015】
この構成は、更に、超音波検査者が当該超音波システムの機能を制御するためのユーザインターフェースとして使用することができるタブレットコンピュータ28(患者の隣のベッド脇テーブル上に示された)を含む。該タブレットコンピュータ28の表示器は、走査手順を設定及び制御するためのユーザインターフェース制御部を含み、大型壁モニタ48上におけるものと同様である。しかしながら、ユーザは、該タブレットを手に取り、該タブレットのタッチスクリーン上の制御釦にタッチすることにより当該超音波システムを操作することができる。前記大型表示器を該タブレット上に複製するために、アメリカ合衆国、オレゴン州、ポートランドのAvatron Software社から入手可能な“Air Display”と称されるアプリケーションを利用することができる。上記タブレットコンピュータ及びドングルにインストールされたAir Display及び該アプリケーションのドライバによれば、ドングルが大型モニタ48上に表示する画像は該タブレットの表示器にも複製され、該タブレット表示器のタッチ制御部を都合良く利用することができる。
【0016】
他のオプションは、プロセッサドングル30を、壁のa.c.コンセントに接続されたa.cアダプタ(例えば、USBa.c.アダプタ)にプラグ接続することである。このことは、プロセッサドングル30に連続的に給電することになり、該ドングルは表示装置及びプローブの両方と無線で通信することができる。例えば、プロセッサドングル30にプラグ接続されたUWBドングル32により、無線プローブ10は該プローブのUWBラジオ26を介してドングル30と通信することができる。この場合、該ドングル30は自身のWi-Fi(登録商標)ラジオ部を使用して、当該表示をタブレットコンピュータ28又はWi-Fi(登録商標)対応テレビジョン受信機若しくはモニタ20等のWi-Fi(登録商標)表示装置に伝送することができる。幾つかの実施態様において、当該プロセッサドングルは、無線プローブへのケーブルを接続するように構成されたデータポート(例えば、USBポート)を含むことができる。上記ケーブルに結合された場合、当該無線プローブは超音波画像データを含むデータを該ケーブルのみに沿って又は前記ラジオ部を介しての無線伝送との組合せで送信することができる。
【0017】
上記例から、検査現場に搬送される超音波システム構成部品は超音波プローブ10及びプロセッサドングル30のみであることが分かる。何故なら、当該システムの表示器要素は当該現場における如何なる利用可能なテレビジョン受信機又はモニタによっても提供されるからである。このことは携帯性の最大限のものを提供し、搬送される部品はハンドバッグ、ポーチ又はポケット内で運ぶことができる。
【0018】
更に、プロセッサドングル30及びUWBドングル32が検査現場に設置されたままなら、医師によっては超音波プローブ10のみを運ぶことができる。複数の検査現場がプロセッサドングル30及びUWBドングル32で同様に構成される場合も、当該超音波システムの唯一搬送される部品は超音波プローブ10となる。プロセッサドングル30及びUWBドングル32は相対的に低価格の部品であるので、旧来のカートによるシステムのための通常の支出と比較して、当該医師又は該医師の組織によっては小さな投資しか必要とされない。
【0019】
図3は、前述したようにして前記受信機又はモニタ表示器上に表示されると共にタブレットコンピュータ上にも示すことができる、本発明の構築された実施例の超音波表示50を示す。該超音波表示50は、当該画像の上側及び左側の通常のシステム及び患者のグラフィック情報並びに当該画像の右側の深さ目盛バーにより囲まれた、当該表示の殆どを占める生の超音波画像を含んでいる。該画像の下側のバーは、超音波検査の間にユーザにより頻繁に使用される複数の制御釦を有し、画像固定(フリーズ)釦、画像のループを取得及び記憶するための釦、印刷釦及び撮像モード間を切り換えるモード釦を含む。当該画像の右側には大きなモード制御部も存在し、ユーザが2D(グレイスケール)モード、PW(スペクトルドプラ)モード、CW(連続波ドプラ)モード又はフロー(カラーフロードプラ)モードへクリックにより直接切り換えることを可能にする。当該スクリーンの右側には、設定(Setup)、画像(Image)、調整(Adjust)、測定(Measure)及び高度制御釦を含む低頻度で使用される複数の釦がある。
【0020】
図4は、本発明の超音波システムの一構成例において使用するのに適した無線超音波プローブ10の主要な機能部品を示す。二次元画像面を走査するために、該プローブ10は該プローブの遠端部12において該プローブの音響窓に配置された一次元(1D)トランスジューサアレイ70を使用する。二次元及び三次元の両方の電子的走査撮像の場合、該プローブは2Dマトリクスアレイトランスジューサを有するであろう。該トランスジューサアレイは、セラミック圧電トランスジューサ素子、圧電ポリマ(PVDF)から形成されるか、又はPMUT(圧電MUT)若しくはCMUT(容量性MUT)素子アレイ等の半導体ベースの微細加工超音波トランスジューサ(MUT)とすることができる。1以上のビーム形成器ASIC72により、マイクロアレイトランスジューサ70は駆動され、エコーが処理される。マイクロビーム形成器72は、トランスジューサアレイ70の素子からエコー信号を受信すると共に、素子毎のエコー信号を遅延させ、完全なビーム形成された信号へと合成する。例えば、マイクロビーム形成器72は、アレイ70の1列の128個のトランスジューサ素子からエコー信号を受信すると共に、米国特許第6,142,946号(Hwang他)に記載されているように、これら信号を遅延させ、完全にビーム形成された信号を形成するように合成することができる。好ましい実施態様においては、当該プローブにより、ホスト超音波システム、即ちウインドウズオペレーティングシステム上でアプリケーションを実行するプロセッサドングル30に無線送信するための完全にビーム形成され、検知された信号が生成される。該ホスト超音波システムは許容可能なリアルタイム画像化フレームレートを提供するために上記検知された信号の低減されたデータレートを利用する。ビーム形成器72で使用するのに適したマイクロビーム形成器技術は、米国特許第5,229,933号(Larson III)、第6,375,617号(Fraser)及び第5,997,479号(Savord他)に記載されている。ビーム形成されたエコー信号はプローブコントローラ/送受信器サブシステム74に結合され、該サブシステムは以下に記載するように更なる信号処理を実行し、該ビーム形成された信号を画像走査ラインとしてホストシステムに送信する。該ホストシステムは、次いで、更なる画像処理を実行し、超音波画像を受信機又はモニタ20上に表示する。プローブコントローラ/送受信器74は以下に記載されるようにホストシステムから制御信号も受信し、対応する制御信号をマイクロビーム形成器72に結合して、例えば、所望の深さにビームをステアリング及び収束させ、又は所望のモード(ドプラ、Bモード)の信号を画像領域の所望の位置へ及びから送信し及び受信する。この図に示されていないものは、当該プローブに給電するための電源サブシステム及び電池であるが、これらは後述する。
【0021】
プローブコントローラ/送受信器サブシステム74の送受信器は、r.f.信号16を携帯電話のものと類似した内部又はスタブアンテナ76により送信及び受信する。スタブアンテナは、携帯電話において果たすのと同様の利点の1つを提供し、このことは、該スタブアンテナの小さな外形が当該プローブを保持及び携帯するのに便利にさせ、該アンテナの損傷の可能性を低減する。典型的に、当該プローブ及びドングルホストは互いに極近傍にあるので、殆どの検査に関して10メートル到達範囲で十分である。採用される通信周波数は4GHz範囲内とすることができ、ABS等のプローブケース8のための好適なポリマは、これらの周波数におけるr.f.信号に対して相対的に透明である。
【0022】
無線プローブのための典型的なプローブコントローラ/送受信器サブシステムが図5に示されている。電池92は、当該無線プローブに給電するもので、電力供給/調整回路90に結合されている。該電力供給/調整回路は、電池電圧を、前記トランスジューサアレイを含む当該無線プローブの構成部品により必要とされる複数の電圧に変換する。典型的に構成されたプローブは、例えば、9個の異なる電圧を必要とし得る。該電力供給/調整回路は、電池92の再充電の間において充電制御も行う。或る構成の実施態様において、当該電池は、リチウムポリマ電池であり、該電池はプリズム状であると共に当該プローブのケースの内部の利用可能な電池空間にとり適した形状に成形することができる。
【0023】
取得(収集)/信号調整FPGA94は、前記マイクロビーム形成器と前記送受信器との間の通信を行うと共に、以下に説明するように信号調整を実行する。該取得/信号調整FPGAは、前記プロセッサドングルから受信される制御パラメータに応答して前記マイクロビーム形成器にタイミング及び制御信号を供給し、超音波の送信を指令すると共に該マイクロビーム形成器からビーム形成されたエコー信号を受信し、これらエコー信号は該FPGAにより復調、検知及び走査変換されて、前記ホストドングルに送信するために送受信器96に伝達される。この例において、取得/信号調整FPGAは送受信器とUSBバスを介して通信し、所望なら当該プローブがUSBケーブルにより使用することができるようにする。図1(a)のプローブにおいて、該USBバスは着脱可能なUWBラジオ電源モジュールに結合されている。USB出力により、該プローブは代わりに有線プローブとして動作されることもでき、適切な長さのUSBケーブルが当該プローブを前記ドングルのUSBポートに接続し、前記ラジオモジュールをなしとする。
【0024】
更に取得/信号調整FPGA94に結合されると共に電力供給/調整回路90により給電されるものは、増幅器104により駆動されるスピーカ102であり、該スピーカは可聴音及びサウンドを生成する。好ましい実施態様において、スピーカ102はプローブケース8の内部に配置される圧電スピーカであり、該スピーカは良好な音響効果及び密閉のために該ケースの膜体又は壁の背後に配置することができる。該スピーカは、種々のサウンド若しくは音又は音声メッセージをも生成するために使用することができる。該スピーカは種々の用途を有する。当該無線プローブがホストドングルから過度に遠くに移動されてしまい、該ドングル又はプローブによる信号の信頼性のない受信又は完全な喪失さえもが生じる場合、該スピーカはユーザに警告するために鳴動することができる。該スピーカは、電池の充電が少ない場合に鳴動することができる。該スピーカはユーザが当該プローブ上の釦又は制御子を押した場合に音を発し、制御起動の可聴フィードバックを供給することができる。該スピーカは、超音波検査に基づいて触覚的フィードバックを供給することができる。該スピーカは、当該プローブを位置決めするためにページング制御が起動された場合に音を発することができる。該スピーカは、ドプラ検査の間にオーディオドプラ音を生成することができるか、又は当該プローブがオーディオ聴診器として使用される場合に心音を生成することができる。
【0025】
この例における送受信器ラジオは超広帯域チップセット96であるが、Wi-Fi(登録商標)(802.11規格)ラジオ又は他の規格ラジオとすることもできる。超広帯域送受信器は、許容可能なリアルタイム画像化フレームレートを提供するデータ通信レート及び許容可能なレベルの電池電力消費に対する許容可能な範囲を有することが分かった。超広帯域チップセットは、テキサス州オースチンのAlereon社及びカリフォルニア州IrvineのStarix社等の種々の供給元から入手することができる。Netgear N300 無線-N USBアダプタ等のWi-Fi(登録商標)ラジオアダプタも、無線Wi-Fi(登録商標)通信に適している。
【0026】
前述したように、当該超音波システムの制御は、該システムと無線通信するタブレットコンピュータ28のタッチスクリーン上のタッチ釦により行うことができる。他の例として、無線マウスを、ユーザ表示器上の制御釦にわたってカーソルを操作し、所望のフィーチャを選択及び変更すべくクリックするために使用することもできる。無線マウスポインタは、通常、ブルートゥース(登録商標)通信を使用し、インテル・コンピュート・スティック等のプロセッサドングルのブルートゥース(登録商標)ラジオに無線で接続される。更に他のオプションは、ユーザインターフェースをジェスチャ運動により制御するために当該無線プローブ自体を使用することである。図6a、図6b及び図6cは、本発明の超音波システムのジェスチャ制御が装備された無線プローブを示す。
【0027】
図6aの図示において、超音波が患者内へと送信され、次いでエコーが受信される当該プローブ10の音響窓12は左側にあり、プローブ方位マーカ18は、この図では、プローブの下側にある。無線プローブの構成要素に関する更なる詳細は、米国特許第8,461,978号(Poland他)に見られる。この例のプローブ内にあるものは、加速度計等の3軸又は6軸モーションセンサである。このような加速度計を含むプローブは、米国特許第5,529,070号(Augustine他)に記載されている。この特許において、加速度計は三次元撮像の間における当該プローブの位置を検出するために使用されている。図6aの実施態様において、加速度計はシステム制御変更のためのプローブの動きを感知するために使用される。該加速度計により生成された信号は、当該無線プローブ内のマイクロコントローラにより又は前述した取得/信号調整FPGAによりプローブの動き(加速度、速度、動きの方向、プローブ方位)の指示情報を生成するように処理される。好ましくは、ユーザインターフェースの操作のために検出されるプローブの動きは、当該プローブを回転(スピン)させる等の、走査の間に普通に採用される動きとは異なるものとする。無線プローブは、このような動きを妨げるケーブルが存在しないので、斯様な非走査プローブ運動にとり理想的に適している。例えば、ユーザはプローブ10を矢印36により示されるように該プローブの長軸の回りに容易に回転させることができる。この動きは前記加速度計により感知され、前記マイクロコントローラ又はFPGAにより処理され、前記ホストドングルに通知され、該ドングルは当該超音波システムを現在の走査(撮像)モードからユーザインターフェースを操作することができる制御モードへ切り換えることにより応答する。この動きは、表示システムに接続するためにケーブルを用いるプローブでも実行することができる。しかしながら、好ましくは、当該プローブはシステムへのケーブルを置換するラジオリンクを備えた無線プローブ10とする。何故なら、利用可能な邪魔されない動きの範囲は、ケーブルで接続されていないプローブによれば一層広くなるからである。この無線プローブの例において、例示的な動きは、矢印34により示されるように、手のひら内で当該プローブを180度又は360度回転させることである。当該システムが制御モードに切り換えられたなら、当該プローブは遠隔ユーザインターフェースコントローラとして使用され、その場合において、該プローブの続いての動きは、撮像モード(2D、フロー、CW、PW等)、画像利得若しくは深さ等の走査のための構成パラメータ、又は画像見直しスクロール処理及びキャプチャ並びに以前に取得された静止若しくはシネループ画像の記憶部への転送等の他のシステム制御を選択及び起動する。システム表示器は、当該システムの現在及び選択可能な構成/制御状態を示す。例えば、スクリーン上メニュを、当該プローブが制御モードである間に該プローブの動きによりナビゲートすることができる。制御モードにおいて当該システムを操作するために使用することができるプローブの動きの例が図6cに図示されている。
【0028】
撮像モードに戻すために、ユーザは当該システムの状態を撮像に戻すよう切り換えるために、同一のプローブの動きを用いることができ又はオリジナルとは逆の方向の動きを用いることができる。従って、上述した例において、矢印により示されるように、当該プローブの短軸34又は長軸36に沿う第2の回転は斯かる切り換えを実行することができる。他の例として、走査を再開するために当該プローブを患者の皮膚面に接触させることを、該プローブ及び表示システムを走査モードに戻すために使用することもできる。プローブ10の患者に対する物理的結合又は斯かる結合の不存在の検出は、これまでは、超音波システムによるエネルギ節約のために使用された。プローブが患者に物理的に(音響的に)結合された場合、該プローブによる超音波パルスの送信に続いて、増加する深さからのエコーが連続して受信される。しかしながら、該プローブがプローブホルダに戻されるか又は単に空気中に保持される場合、送信された超音波パルスに応答して戻される唯一の音響信号はレンズの面におけるレンズ/空気界面による鋭い反射であり、該反射は送信の殆ど直後に戻される。当該システムが、最早レンズの面からの信号の戻りのみは受信しておらず、パルス送信後の増加する深さ(一層長い時間)からの信号を受信していることを感知した場合、該システムは、当該プローブが撮像のための通常の使用に戻ったと分かり、これに応答して該システムを撮像モードに戻るように切り換える。
【0029】
容量性センサを用いてプローブの表面の指によるスワイプを検出する等の、モード変更を実行するための他の異なる動きを代わりに実施化することもできる。他の可能性は、当該プローブ上にモード切換のために使用される釦を有することである。しかしながら、これらの方法の何れも好ましくない。前者は当該プローブ内に他の部品、即ち容量性センサを必要とする一方、プローブ上の釦の配置は前述した困難さ(不注意な起動、流体の侵入等)を課すことになる。
【0030】
図6bは、本発明の超音波システムのためのプローブ動き制御の他の構成例を示す。この図は、プローブ10が超音波検査者の手H内に保持されていることを示す。プローブ10は通常の走査位置に保持されているように示されており、これによれば、超音波検査者は走査の間においてプローブの音響窓12を患者の皮膚に押圧接触させることができる。この例において、当該超音波システムを制御モードに切り換えるために使用される異なる動きは、矢印38により示されるように、プローブを上下に2〜3回勢いよく振ることである。この種の動きは超音波検査者にとり馴れた動きである。というのは、この動きは、超音波検査者がボトル内のジェルを該ボトルの端部のディスペンサに送り出すために音響結合ジェルボトルを振る際に行う動きであるからである。これは超音波検査者にとり馴れた動きであるが、当該プローブによる撮像の間に使用される動きではない。即ち、これは走査のためのジェル塗布のための準備においてジェルボトルに付与される動きである。撮像モードから制御モードへ切り換えるために、超音波検査者はプローブ10を患者から単に持ち上げ、該プローブの2回以上の振り動かし38を行う。超音波検査者の手H内のプローブの位置を変える必要はない。プローブ10内のモーションセンサは、これらの素早い動き及びプローブの動きの方向の急速な反転を感知し、前記FPGA94は当該システムのモードを制御モードに変更することにより応答する。超音波検査者が当該プローブを患者との接触から遠ざけるように持ち上げると、超音波パルス送信に応答して受信される唯一の信号は前述したような音響窓の面からの反射となり、このエコー受信の変化を、システムモードの変更が指令されたとの確認としてのプローブの動きに相関させるために使用することができる。
【0031】
図1の(c)の表示モニタ20は、本発明の一構成例により生成された超音波画像を表示スクリーンの中央に表示して図示されている。撮像モード、周波数及び焦点深度等の走査手順のパラメータに関する詳細は、この例では超音波画像の右側に表示されている。該超音波画像の左側にあるものは、24で示された6個の表示された制御釦である。当該システムが上述した技術の何れかにより制御モードに切り換えられた場合、上記制御釦の右側のカーソル矢印が、所望の制御が該カーソルにより指示されるまでプローブの運動に応答して上下に又は画面の周りで移動され、次いで、該制御が他のプローブの動きにより起動される。これらの動きの一例が、図6cに示されている。この例において、プローブ10は音響窓が上方を指して(該プローブ内のモーションセンサにより感知された向きである)保持されている。次いで、該プローブは矢印40により示されるように左、右、上又は下に動かされ、前記タブレット表示器上の矢印カーソルは、これらの動きに対応して画面上を移動する。超音波検査者が上記矢印カーソルを所望の制御上に又は該制御を指すように位置決めすると、該超音波検査者は当該プローブの端部を、矢印42により示されるように、表示器に向かって揺動させる。該揺動運動は当該超音波検査者に、当該表示器がプローブから離れており、且つ、該動きが空中で実行されているだけであるにも拘わらず、該プローブの端部で当該制御をタッチ又はタッピングする感覚を与える。しかしながら、該揺動運動は、当該表示スクリーンの面に対して一般的に平行であるカーソル位置決め運動40に対して直角である。従って、該制御選択運動はカーソル操作運動から容易に区別することができ、当該超音波システムは、該選択された制御を起動することにより応答する。上記に列挙した撮像モード又は制御設定の何れかを、この制御方法により選択及び変更することができる。制御が当該走査手順にとり所望のように設定されたら、当該システムは、上記異なる動き(プローブを回転させる、プローブを素早く振る)のうちの1つにより又はプローブの音響窓を撮像のために単に患者の皮膚に戻して接触させることにより走査モードに戻される。
【0032】
図7は、ドングル30のウインドウズプロセッサによる超音波プローブ10の制御並びに該ドングルにより実行される応答した画像処理及び他の機能を示す。本発明の構成された一実施例において、当該ドングルのウインドウズ8オペレーティングシステムは、中級(mid-range)超音波システムに見られる超音波システム制御プログラム、特にフィリップス社から入手可能なシステムSparq、CX50及びClearVueの超音波制御プログラムを実行している。図7において、当該超音波プローブのFPGA94の制御及び動作は該図の左側に示されている。FPGA94の取得部は当該ドングルから超音波プローブ制御信号を係数(“Params”)の形で受け、これら係数を走査用としてマイクロビーム形成器72を構成するために使用する。該取得プログラムは上記係数を、走査を開始及び停止し、ビーム形成のための送信及び受信遅延を設定し、超音波送信のための制御電圧を設定するために使用する。該マイクロビーム形成器が受信されたエコー信号を処理する場合、これらエコー信号は該取得部に結合され、該取得部は該エコー信号を取得された音響データとして出力する。
【0033】
FPGA94の信号調整部は上記取得部から音響データを各音響走査ラインのデータサンプルのストリームとして受信する。該信号調整部は、これらデータサンプルを各走査ラインのタイプ(グレイスケール、カラーフロー、PWドプラ等)に基づいて当該ドングルの係数発生ブロック58から受信される係数に従って処理する。これら係数は、各走査ラインに対してフィルタ設定、利得、ドプラアンサンブル処理、PW混合波形並びにデシメーションサイズ及び帯域幅を指定する。当該FPGAの信号調整部は、十分に検知されたグレイスケール、カラーフロー、連続波及びスペクトルドプラデータを、レンダリングされる超音波画像を生成するために当該ドングルにより必要とされる振幅及び/又は位相情報と共に生成する。
【0034】
当該ドングルの画像処理ブロック52は、前記プローブから画像ラインデータを入力し、ユーザに対して受信機又はモニタ20上で表示するための超音波画像を発生する。ユーザにより選択される表示オプションに依存して、ブロック52は残像(image persistence)、軸方向及び横方向フィルタ処理、走査変換、画像平滑化及び強調、空間合成(spatial compounding)、閾処理、ズーム、パン、高調波画像表示(harmonic image display)、ゾーンフォーカス・ゾーンスティッチングを実行することができる。これらの処理の殆どは、特に制御変更及びライブ撮像の間においては計算的に重く、それ故に、これら処理は当該ドングルにおいてウインドウズ8OSにより実行される。このような計算は、しばしば、画像メモリに重くて作業バッファを必要とし、当該ドングル内の計算的性能に良く適している。
【0035】
制御ブロック56はユーザインターフェースからコマンド(“Cmd”)を受信すると共に、該コマンドを当該システムの次の“状態”、即ち該システムが次に何を実行又は撮像すべきかを定義する信号に変換する。該状態はユーザに対し“フィードバック”として反映され、発行されたコマンドが実行に移されることを該ユーザに対し確認する。係数発生ブロック58は上記状態信号を当該プローブハードウェアのための固有の係数(Params)に変換し、これら係数がユーザにより所望された当該システムの状態を実現する。状態信号は、画像処理ブロック52にも結合されて該画像処理ブロックにより使用され、ユーザにより指令された所望のタイプ及びフォーマット(セクタ、線形、グレイスケール、カラーフロー等)の画像を生成する。
【0036】
アプリケーションホスト(App host)54は、ユーザが超音波システムのユーザインターフェースで見ることを期待する通常のルーチンの集合である。患者データ入力(PDE)/調査(Study)部は、当該超音波システムのための患者データ及び臨床調査の収集及び検討を管理する。PDE/調査部は、ユーザからの患者データの入力の受け付け、及び検査の間にユーザにより蓄積された画像ループ又は静止画像等の何らかの調査データの収集の責任を担う。メイン(Main)部は他の構成要素パッケージの全てのための全体のコントローラである。レンダ(Render)部は、全ての画像、グラフィック及びテキストデータの、制御ブロック56により供給されるパラメータに従う表示器20のための表示信号へのレンダリングを実行する。記憶(storage)/エクスポート(export)部は、当該システムのための及び該システムで使用されるローカル、取り外し可能又は遠隔媒体上の患者データ及び調査情報の記憶及び検索を管理する。当該システムにインストールされた他の機能は、他のアプリケーション(Other Apps)部に含まれている。
【0037】
図8は、図2及び図7の超音波システムの動作のフローチャートであり、ウインドウズプロセッサドングル30の表示器20への接続及びプローブの電源投入で開始する。各ステップにおいて括弧内に示されるものは、所与の処理を実行している図7のブロック又は部分である。“UI”は、釦、スクロールホイール等のユーザがシステム状態を変更するために作用し合うことができるスクリーン上の表示要素(図3参照)を発生する責任を負うと共に、プローブのジェスチャ、マウス、タッチスクリーン、ハードウェア制御子等のシステムユーザインターフェースを用いてユーザにより発せられるユーザインターフェースコマンドに応答する責任も負うブロックである。プローブ10により実行されるステップは“プローブ(Probe)”なる見出しが付された図面の左側(図8−I)の系列内にある一方、プロセッサドングル30により実行されるステップは“ホスト(Host)”なる見出しが付された図面の右側(図8−II)の系列内にある。上記プローブとプロセッサドングルとの間の通信は、2つの系列の間の点線矢印により示されている。
【0038】
初期的に、60において、本例ではプローブはオフされている。110においてホストドングルはオンされ、図2に示されたように表示器に接続される。該ドングルは、112において、プローブが該ドングルと通信状態であるかを繰り返し調べる。62においてプローブがオンされると、該プローブは64においてホストと接続されているかを繰り返し調べる。ホストが利用可能なら、該プローブは、以前に対を組んだことがあれば自動的にホストに接続され、又は、以前に対を組んだことがなければ、第1の点線矢印により示されるように、Bell他による“WIRELESS ULTRASOUND PROBE PAIRING WITH A MOBILE ULTRASOUND SYSTEM”なる名称の係属中の米国予備特許出願第62/193210号(参照により、本明細書に組み込まれる)に記載されているようにペアリングプロトコルを経て進む。通信が確立されると、ユーザは114においてユーザインターフェースから所望のプリセット、撮像モード(例えば、グレイスケール)及び制御状態を選択する。116において、ホストはシステムの選択された状態を撮像制御パラメータに変換する。これらパラメータは118においてプローブのためのビーム形成、復調及び走査係数を発生するために使用され、120において該係数はプローブの信号調整部にダウンロードされる。上記係数は、66においてプローブにより受信されると共にメモリに記憶され、且つ、走査領域のサイズ及び深さ、焦点ゾーン、ビームステアリング、帯域幅、高調波又は基本モード、ドプラのためのアンサンブル長等の画像取得のためのプローブの送信及び受信動作を定義するために使用される。68において、プローブは走査が活性状態かをチェックする。もしそうなら、記憶された係数が所望の走査のためにマイクロビーム形成器を設定するために使用され、80において、ビームが送信されると共に走査ラインのエコーが受信される。受信された生の音響エコー信号は、82において復調され、検知される。送信及び受信は、84において完全な画像フレームが受信されるまで継続する。フレームが受信され、表示データのラインへと処理されたなら、これらフレームラインは86においてホストドングルに送信され、プローブは更なるフレームを取得し続ける。
【0039】
ホストドングルにおいて、ホストは撮像(画像)制御パラメータの何れが変更されたかを調べるために、122において周期的にチェックしている。変更された場合、ドングルは128において走査を停止し、新たな撮像状態を確立するために114において新たなユーザ制御設定を使用する。撮像制御パラメータに変更がなかった場合、ホストは124において現在の画像を表示器上に固定するためのフリーズ制御が起動されたかをチェックする。フリーズが起動された場合、ホストは126において走査を停止し、122において撮像制御設定に何らかの変更があるかをチェックし続ける。フリーズが起動されていない場合、走査は130において開始され、ホストは132においてプローブから新たなフレームの走査ラインデータを受信する。該新たなフレームは134においてホスト内で、図7に関連して説明したように利得を適用し、部分ゾーン焦点走査ラインを繋ぎ合わせ、データ圧縮を実行する等の如くユーザにより指令されたように処理される。処理された画像フレームデータは136において所望の画像フォーマット(セクタ、線形、3D等)に走査変換され、該フレームは表示受信機又はモニタ上に表示するために画像へとレンダリングされる。次いで、当該処理は、次の画像フレーム又は撮像制御設定の変更を待機するためにステップ122に戻る。
【0040】
上述した動作例は、基本的なグレイスケール撮像のためのシステム性能を解説するために一般化されている。カラーフロー、PWドプラ、CWドプラ、高調波及び/又は3Dモードに適応させるための変形例は、当業者によれば容易に明らかであろう。
【0041】
本明細書に記載される例示的超音波システムにより上述され且つ図示された種々の実施態様は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせで実施化することができることに注意すべきである。該種々の実施態様及び/又は構成要素、例えば、前記モジュール又は該モジュールにおける構成部品及びコントローラも、1以上のコンピュータ又はマイクロプロセッサの一部として実施化することができる。斯かるコンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット及びインターフェース(例えば、インターネットにアクセスするための)を含むことができる。該コンピュータ又はプロセッサは、マイクロプロセッサを含むことができる。斯かるマイクロプロセッサは、例えばPACSシステムにアクセスするための通信バスに接続することができる。該コンピュータ又はプロセッサは、メモリを含むこともできる。該メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)及びリードオンリメモリ(ROM)を含むことができる。該コンピュータ又はプロセッサは、更に、記憶装置を含むことができ、該記憶装置はハードディスクドライブ、又はフロッピーディスクドライブ、光ディスクドライブ、固体サムドライブ等の取り外し可能な記憶ドライブとすることができる。該記憶装置は、コンピュータプログラム又は他の命令を上記コンピュータ又はプロセッサにロードするための他の同様の手段とすることもできる。
【0042】
本明細書で使用される場合、“コンピュータ”、“モジュール”又は“プロセッサ”なる用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、ASIC、論理回、及び本明細書に記載される機能を実施することができる何らかの他の回路又はプロセッサを使用したシステムを含む如何なるプロセッサベースの若しくはマイクロプロセッサベースのシステムを含むこともできる。上述した例は例示的なものに過ぎず、従って、これらの用語の定義及び/又は意味を如何なる形でも限定しようとするものではない。
【0043】
上記コンピュータ又はプロセッサは、入力データを処理するために、1以上の記憶要素に記憶された一群の命令を実行する。これら記憶要素は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶することもできる。該記憶要素は、情報源又は処理マシン内の物理的メモリ要素の形態であり得る。
【0044】
上記一群の命令は、処理マシンとしての前記コンピュータ又はプロセッサに、本発明の種々の実施態様の方法及び処理等の固有の処理を実行するよう指令する種々のコマンドを含むことができる。上記一群の命令は、ソフトウェアプログラムの形態であり得る。該ソフトウェアは、システムソフトウェア又はアプリケーションソフトウェア等の種々の形態のものとすることができ、有形及び非一時的コンピュータ読取可能な媒体として具現化することができる。更に、上記ソフトウェアは、別個のプログラム又はモジュールの集合、大きなプログラム内のプログラムモジュール又はプログラムモジュールの一部の形態とすることができる。該ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含むこともできる。前記処理マシンによる入力データの処理は、操作者のコマンドに応答したもの、前の処理の結果に応答したもの、又は他の処理マシンによりなされたリクエストに応答したものとすることができる。
【0045】
更に、添付請求項の限定は、手段+機能フォーマットで書かれているものではなく、斯かる請求項の限定が更なる構成無しでの機能の言及による語句“手段”を明示的に使用しない限り、35USC112第6項に基づいて解釈されることを意図するものでない。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図1(e)】
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7
図8-I】
図8-II】