特許第6772247号(P6772247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772247
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】水侵入を防止するためのウォータロック
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20201012BHJP
   B63B 59/04 20060101ALI20201012BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20201012BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20201012BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20201012BHJP
   H01R 4/70 20060101ALN20201012BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201012BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20201012BHJP
【FI】
   F21S2/00 640
   B63B59/04 C
   H01L33/00 L
   F21V23/06
   F21V31/00 400
   !H01R4/70 K
   F21Y115:10
   F21Y115:15
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-503774(P2018-503774)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公表番号】特表2018-525780(P2018-525780A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2016067223
(87)【国際公開番号】WO2017016940
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】15179082.1
(32)【優先日】2015年7月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン エスター アンナ ウィルヘルミナ ゲラルダ
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バート アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヒートブリンク ローラント ボウデワイン
(72)【発明者】
【氏名】フィッセル コルネリス ゲラルドゥス
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/188347(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0270526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 59/04
F21V 23/06
F21V 31/00
H01L 33/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)電気コンポーネントと、
(ii)UV放射及び可視放射のうちの1つ又は複数に対して透過性であるシリコーンを含む媒体材料を含む光学媒体であって、前記電気コンポーネントが前記光学媒体に埋め込まれている、光学媒体と、
(iii)前記電気コンポーネントを前記光学媒体の外に機能的に結合させるための電気コネクタであって、前記電気コネクタの長さの少なくとも一部にわたって前記光学媒体に埋め込まれている、電気コネクタと、
(iv)前記光学媒体に少なくとも部分的に埋め込まれ、前記電気コネクタの少なくとも一部を密閉する水障壁と
を備える、要素。
【請求項2】
前記水障壁は、前記光学媒体と異なる原料組成を含む、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記水障壁が前記媒体材料及び前記電気コネクタに接着し、前記水障壁がシリコーン接着剤を含む、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
前記水障壁が、第1のコネクタ部分の少なくとも一部を密閉し0.1〜50mmの範囲から選択された長さを有する管状ガラス外囲器と、シリコーン接着剤とを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の要素。
【請求項5】
前記水障壁の位置において、前記電気コネクタが金属で構成され、前記水障壁が、水密金属ガラス接続部を形成するガラスを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の要素。
【請求項6】
前記媒体材料がポリジメチルシリコーンを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の要素。
【請求項7】
前記電気コネクタが、前記光学媒体に埋め込まれた第1のコネクタ部分と、前記第1のコネクタ部分が前記光学媒体の外から物理的に接触可能であるインタフェースコネクタ部分とを含み、前記水障壁が、前記インタフェースコネクタ部分から1〜400mmの範囲から選択された第1の距離に配置される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の要素。
【請求項8】
1mの前記光学媒体当たり1〜2000個の前記水障壁を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の要素。
【請求項9】
前記光学媒体は、フォイル又はプレートとして提供される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の要素。
【請求項10】
UV放射及び可視放射のうちの1つ又は複数を含む要素放射を供給し、前記要素が、
(i)UV波長範囲及び可視波長範囲のうちの1つ又は複数の範囲内の光源放射を供給する光源を含む前記電気コンポーネントと、
(ii)前記光学媒体であって、前記光源が前記光学媒体に埋め込まれている、前記光学媒体と、
(iii)前記光学媒体の外にある電力源に前記光源を機能的に結合させるための前記電気コネクタであって、前記光学媒体に埋め込まれた第1のコネクタ部分、及び前記第1のコネクタ部分が前記光学媒体の外から物理的に接触可能であるインタフェースコネクタ部分を含む、前記電気コネクタと
(iv)前記水障壁と
を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の要素。
【請求項11】
(i)複数の光源と、
(ii)前記光学媒体であって、前記複数の光源が前記光学媒体に埋め込まれている、前記光学媒体と、
(iii)前記光学媒体の外にある電力源に前記複数の光源を機能的に結合させるための電気コネクタインフラストラクチャであって、前記複数の光源に機能的に結合された複数の第1のコネクタ部分を含む、電気コネクタインフラストラクチャと、
(iv)前記要素にわたって分布した複数の前記水障壁と
を含む、請求項10に記載の要素。
【請求項12】
1つ又は複数の光源のサブセットが、1つ又は複数の第1のコネクタ部分に機能的に結合され、すべての第1のコネクタ部分が1つ又は複数の水障壁を含む、請求項10又は11に記載の要素。
【請求項13】
前記要素が、UV放射を含む要素放射を供給する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の要素。
【請求項14】
前記水障壁は、前記電気コネクタに沿って前記電気コンポーネントへゆっくり進む前記光学媒体の外からの水侵入を低減又は完全に抑制するように構成され、前記電気コンポーネントは、光源を含み、前記電気コネクタは、電気ケーブル、ワイヤ又は導電性トラックを含み、前記水障壁は、シリコーン接着剤又は外囲器を含み、前記外囲器は、ガラス又は高分子材料を含む、請求項13に記載の要素。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれか一項に記載の前記要素と、前記要素からの要素放射を制御する制御システムとを備える、システム。
【請求項16】
物体であって、前記物体の外面に関連づけられる請求項1乃至14のいずれか一項に記載の要素を含み、前記電気コンポーネントに電力を供給する電力源をさらに含む、物体。
【請求項17】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の要素をもつ物体を用意するための方法であって、(i)前記要素を前記物体の外面に関連づけるステップと、電力源に機能的に結合させるステップとを有する、方法。
【請求項18】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の要素を用意するための方法であって、前記方法が、(i)(a)電気コンポーネント、(b)電力源に前記電気コンポーネントを機能的に結合させるための電気コネクタ、及び(c)前記電気コネクタの少なくとも一部を密閉する水障壁の機能的な組合せを用意するステップと、(ii)前記光源、前記電気コネクタの一部、及び前記水障壁の少なくとも一部を、光源放射に対して透過性であるシリコーンを含む媒体材料を用いてカプセル化して、前記要素を用意するステップとを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV及び/又は可視、特にUVの要素放射を供給するための光源などの電気コンポーネントを含む要素に関する。本発明は、さらに、そのような要素を含む生物付着防止システムなどのシステムに関する。本発明は、さらに、そのような要素を含む物体に関する。その上さらに、本発明は、さらに、そのような要素をそのような物体に適用するための方法、及びそのような要素それ自体を用意するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物付着を防止する方法は当技術分野で知られている。米国特許出願公開第2013/0048877号は、例えば、紫外光を発生するように構成された紫外光源と、被保護面に隣接して配設され紫外光を受け取るように結合された光学媒体とを含む、被保護面への生物付着を防止するためのシステムを記載しており、光学媒体は被保護面に対して垂直な厚さ方向を有し、厚さ方向と直交する光学媒体の2つの直交方向が被保護面と平行であり、光学媒体は、紫外光が厚さ方向と直交する2つの直交方向のうちの少なくとも1つの方向に光学媒体内を進むための、及び光学媒体の表面に沿った点において紫外光のそれぞれの一部分が光学媒体から漏れ出るための紫外光の伝搬路を備えるように構成される。
【0003】
米国特許出願公開第2009/270526号は、少なくとも1つの樹脂モノマー、充填剤、及び光開始剤を含む封入剤組成物を記載しており、少なくとも1つの樹脂モノマーは、アクリル樹脂モノマー、エポキシ樹脂モノマー、シリコーン樹脂モノマー、及びそれらの合成物からなる群から選択され、充填剤は、封入剤組成物の約0.1〜15重量%である。
【0004】
WO2014/188347は、表面が液体環境に少なくとも部分的に水没している間表面への付着を防止する方法を記載しており、この方法は、付着防止光を供給するステップと、シリコーン材料及び/又はUVグレード溶融石英を含む光学媒体によって光の少なくとも一部を分配するステップと、光学媒体及び表面から付着防止光を放出するステップとを有する。
【0005】
WO2016/001227は、付着防止光を光学媒体を介して付着面に供給することによって物体の付着面への生物付着を防止又は低減するための付着防止照明システムを記載しており、付着防止照明システムは、(a)(i)付着防止光を発生するように構成された光源、及び(ii)付着防止光の少なくとも一部を受け取るように構成され、付着防止光の少なくとも一部を供給するように構成された放出面を含む光学媒体を含む照明モジュールと、(b)(i)生物付着リスクに関連するフィードバック信号、及び(ii)付着防止光の強度を時間ベースで変化させるためのタイマのうちの1つ又は複数に応じて付着防止光の強度を制御するように構成された制御システムとを備える。
【0006】
WO2013/157436は、水生生物付着を防止するための接着テープを記載しており、この接着テープは、水生生物付着を防止するための接着テープを付着物に接着して、紫外線などへの暴露によって引き起こされる付着物の変色又は劣化を防止することができる。水生生物付着を防止するための接着テープは、付着防止層、基材層、及び接着層をこの順序に含み、前記の付着防止層、基材層、及び接着層から選択された少なくとも1つの層は、耐候剤を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生物付着又は生物学的付着(本明細書において「付着」としても示す)は、表面への微生物、植物、藻、及び/又は動物の堆積である。生物付着の生物の間の多様性は、極めて多種多様であり、フジツボ及び海草の付着をはるかに越えている。いくつかの推定によれば、4000を超える生物を含む1700を超える種が、生物付着の原因である。生物付着は、生物膜形成及び細菌付着を含むミクロ付着と、より大きい生物の付着であるマクロ付着とに分けられる。生物を沈降しないようにするものを決定する明確な化学及び生物学により、これらの生物は、さらに、固い付着物タイプ又は柔らかい付着物タイプとして分類される。石灰質(固い)付着生物は、フジツボ、殻で覆われているコケムシ、軟体動物、多毛類、及び他の棲管虫と、カワホトトギスガイとを含む。非石灰質(柔らかい)付着生物の例は、海草、ヒドロポリプ、藻、及び生物膜「スライム」である。一緒にして、これらの生物は付着物群集を形成する。
【0008】
いくつかの状況では、生物付着は重要な問題を引き起こす。機械は作業を停止し、吸水口は詰まり、船郭は抗力が増加する。したがって、付着防止のトピック、すなわち、付着物を除去するか又は付着物が形成されないようにするプロセスは、よく知られている。工業プロセスでは、バイオ分散剤が、生物付着を制御するために使用される。あまり制御されていない環境では、生物は、殺生物剤を使用した被覆、熱処理、又はエネルギーのパルスを用いて死滅又は撃退される。生物が付着しないようにする毒性のない機械的な方策には、滑りやすい表面をもつ材料若しくは被覆を選ぶこと、又は不十分なアンカポイントしか与えないサメ及びイルカの皮膚と同様のナノスケール表面トポロジーを作り出すことが含まれる。船郭への生物付着は、抗力の激しい増加を引き起こし、それにより、燃料消費量の増加を引き起こす。燃料消費量の最大40%の増加が生物付着に起因すると推定される。大きいオイルタンカー又はコンテナ輸送船は、1日当たり最大200000ユーロの燃料を消費するので、生物付着防止の効果的な方法によりかなりの節約が可能である。
【0009】
驚いたことに、湖、川、運河などにおいて海水又は水と接触する表面への生物付着を実質的に防止するためにUV放射を効果的に使用することができるようである。これにより、特に、紫外線光又は放射(UV)を使用する光学的方法に基づく手法が提示される。ほとんどの微生物は、十分なUV光により、死滅するか、不活性にされるか、又は繁殖できないようである。この効果は、主として、UV光の総線量によって決定される。特定の微生物の90%を死滅させるための典型的な線量は、10mWh/mである。
【0010】
生物付着を防止するために、(海)水と少なくとも一時的に接触するシステム及び要素が利用される。シリコーンは、液状の又は蒸気としての湿気と接触する用途において、湿気から電子機器を保護するために共形被覆として使用することができるようである。他の保護材料は、エポキシ、アクリレート、ポリウレタン、又はパリレンである。発光ダイオード(LED)を用いた屋外照明のような光電子用途は、湿潤環境から保護される必要がある。これは、照明器具ハウジングの剛性ガラス窓を封止することによって行われる。電力供給ケーブルは、さらに、防水ガスケットで封止される。屋外使用の防水LEDストリップは、シリコーン、アクリレート、又はポリウレタンとすることができる透明被覆によって保護される。
【0011】
これらの用途では、湿気が、回路、LED、及び他のコンポーネントのまわりに溜まり、腐食及び最終的に故障を引き起こすのを防止するために、保護が必要である。
【0012】
本明細書において、とりわけ、シリコーンに完全に埋め込まれた電線にはんだ付けされたLEDのウェブが、薄く可撓性で大面積の光シートを製作するために提案される。UV LEDがこの製品コンセプトで使用される場合、それは、水中で付着防止システムとして使用される。LED及び電子機器がシリコーンに十分に埋め込まれている場合、それらは液体の(海)水から保護される。水蒸気はシリコーン中に移動するが、シリコーンがLED及びワイヤを囲む限り、腐食は生じないと考えられる。シリコーンがワイヤ及びコンポーネントから剥離している場合、湿気がインタフェースで凝縮し、腐食を引き起こす。しかしながら、シリコーンシートを離れるにちがいない最も弱いリンクは電力供給ケーブルであるようであった。湿気は、ケーブルとシリコーンとのインタフェースに沿って又はケーブルの内側に沿ってゆっくり進む。これは、驚くほど深刻な問題になる。
【0013】
付着防止用途では、高度に光学的に(UV)透明なシリコーンは所望の実施形態である。そのようなシリコーンは、多くの材料にほとんど接着しないようである。
【0014】
したがって、本発明の一態様は、好ましくはさらに上述の欠点のうちの1つ又は複数を少なくとも部分的に除去する、付着防止放射を供給するための代替の要素又はシステムを提供する。より一般的には、一態様は、水に対して保護された電気コンポーネントを提供する。
【0015】
1つのオプションは接着促進剤を使用することである。これにより、電気ケーブルへのシリコーンの接着が改善される。しかしながら、接着促進剤の添加は、接着促進剤がUV範囲の光を吸収し、それによって、透過性及び効率を低下させるので好ましくないようである。別のオプションは、シリコーン以外の別の媒体材料に変更することである。しかしながら、シリコーン、特に、ジメチルシリコーンは、現在所望の用途にとって優れている光学的性質及び物理的性質を有しているようである。したがって、本発明は、腐食の影響を受けやすい埋込み型電子機器の方への湿気侵入を防止する、ケーブル及び/又は電子機器へのウォータロックを提案する。ウォータロックは、一方ではケーブル又はコンポーネントに、他方では光学シリコーンに非常によく接着する1つの材料(又は複数の材料)で製作される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
それゆえに、第1の態様において、本発明は、(i)電気コンポーネントと、(ii)媒体材料、特に、UV放射(100〜400nm)及び可視放射(400〜780nm)のうちの1つ又は複数に対して透過性である媒体材料、例えば、シリコーン(すなわち、光透過性シリコーン)などを含む光学媒体であって、電気コンポーネントが(光学)媒体(「媒体」)に埋め込まれている、光学媒体と、(iii)電気コンポーネントを光学媒体の外に機能的に結合させるための電気コネクタ(「コネクタ」)であって、電気コネクタの長さの少なくとも一部にわたって光学媒体に埋め込まれている、電気コネクタと、(iv)光学媒体に少なくとも部分的に埋め込まれ、電気コネクタの少なくとも一部を密閉するように構成された水障壁とを含む要素を提供する。
【0017】
可視及び/又はUV放射が適用される用途を参照すると、本発明は、さらに、特に、UV放射及び可視放射のうちの1つ又は複数を含む要素放射を供給するように構成されたそのような要素を提供し、要素は、(i)UV波長範囲及び可視波長範囲のうちの1つ又は複数の範囲内の光源放射を供給するように構成された光源を含む電気コンポーネントと、(ii)光学媒体であって、光源が光学媒体に埋め込まれている、光学媒体と、(iii)光学媒体の外にある電力源に光源を機能的に結合させるための電気コネクタであって、光学媒体に埋め込まれた第1のコネクタ部分(「第1のコネクタ部分」)、及び第1のコネクタ部分が光学媒体の外から物理的に接触可能であるインタフェースコネクタ部分を含む、電気コネクタと、(iv)水障壁とを含む。それゆえに、なお、さらなる実施形態では、本発明は、さらに、UV放射及び可視放射のうちの1つ又は複数を含む要素放射(すなわち、要素から漏れ出る放射)を供給するように構成された要素を提供し、要素は、(i)UV波長範囲及び可視波長領域のうちの1つ又は複数の光源放射(要素放射として使用され、及び/又は要素放射に変換される)を供給するように構成された光源と、(ii)媒体材料を含む光学媒体であって、実施形態における媒体材料が、特に、光源放射に対して透過性である((したがって)特に要素放射に対してやはり透過性である)シリコーンを含み、光源が光学媒体に埋め込まれている、光学媒体と、(iii)光学媒体の外にある電力源に光源を機能的に結合させるための電気コネクタであって、光学媒体に埋め込まれた第1のコネクタ部分、及び光学媒体の外から物理的に接触可能なインタフェースコネクタ部分を含む、電気コネクタと、(iv)光学媒体に少なくとも部分的に埋め込まれ、電気コネクタの第1のコネクタ部分の少なくとも一部を密閉するように構成され、実施形態ではインタフェースコネクタ部分に隣接して配置されている水障壁(「障壁」又は「止水部」)とを含む。
【0018】
そのような要素により、電気コンポーネントは水との接触から保護される。電気コネクタに沿って電気コンポーネントにゆっくり進む水侵入(媒体の外からの)は、低減されるか又はさらに完全に抑止される。
【0019】
「電気コンポーネント」という用語は、特に、電子コンポーネントを参照する。電子コンポーネントは、能動電子コンポーネント又は受動電子コンポーネントを含む。能動電子コンポーネントは、電子流を電気的に制御する(電力を電気制御する)能力をもつ任意のタイプの回路コンポーネントである。能動電子コンポーネントの例は、ダイオード、特に発光ダイオード(LED)である。LEDは、本明細書において、固体照明デバイス又は固体光源という、より一般的な用語でも示される。したがって、実施形態において、電子コンポーネントは能動電子コンポーネントを含む。
【0020】
特に、電子コンポーネントは固体光源を含む。能動電子コンポーネントの他の例は、バッテリなどの電源、圧電デバイス、集積回路(IC)、及びトランジスタを含む。さらなる他の実施形態では、電子コンポーネントは受動電子コンポーネントを含む。別の電気信号によって電流を制御することができないコンポーネントは、受動デバイスと呼ばれる。抵抗器、キャパシタ、インダクタ、変圧器などは受動デバイスと考えられる。
【0021】
一実施形態では、電子コンポーネントは、RFID(無線周波数識別)チップを含む。RFIDチップは、受動又は能動とすることができる。特に、電子コンポーネントは、固体光源(LEDなど)、RFIDチップ、及びICのうちの1つ又は複数を含む。
【0022】
「電子コンポーネント」という用語は、さらに、複数の同様な電子コンポーネント又は複数の異なる電子コンポーネントを参照する。
【0023】
特定の実施形態では、電気コンポーネントは、例えば、バッテリ、センサ、光源、プロセッサ等々のうちの1つ又は複数を含む。電気コンポーネントは、特に、機能コンポーネントを含む。(従来の)電気ケーブルなどの電気コネクタは、特に、本明細書では電気コンポーネントと見なされない。「電気コンポーネント」という用語は、さらに、複数の電気コンポーネントを参照する。本発明は、さらに、特に、電気コンポーネントの例として光源を参照して説明される。
【0024】
そのような要素を用いて、例えば、要素放射は、湿潤条件の下で、又は要素が水中に少なくとも部分的に水没された状態で、特に比較的高い透過性の媒体材料による高い光取り出しで、及び特に水障壁による長寿命で供給される。水障壁は、一方ではケーブル(若しくは他の電気コネクタ)又はコンポーネントへの、及び他方では埋め込みシリコーン又は他の材料への水障壁の良好な接着のために、ワイヤに沿ってゆっくり進む水に対して障壁を形成する中間材料として特に構成される。電気コネクタは、一般に、電気ケーブルの場合などの導電性材料(銅など)を囲む絶縁体を含み、絶縁体は、特に、エポキシドなどのような高分子材料である。そのような絶縁材料及びシリコーンは、一般に、十分には接着しない。好適な弾性耐候性ケーブルマントル材料は、例えばポリウレタンである。電気ケーブルには、並んで延び、単一の組立体を形成するために一緒に接合されるか、ねじられるか、又は編まれる2つ以上のワイヤが特に含まれる。しかしながら、電気ケーブルには、単一の導電性心線をもつ単線も含まれる。そのような場合には、電気コンポーネントは、2つの(又は2つを超える)異なる電気ケーブルに接続されなければならない。
【0025】
要素は、UV放射及び可視放射のうちの1つ又は複数を供給するように特に構成される。UV放射は、特に、付着防止用途にとって適切である。可視放射は、特に、例えば広告用途を含む照明用途にとって適切である。
【0026】
「可視」、「可視光」、又は「可視放出」という用語は、多くの場合、約380〜780nmの範囲の波長を有する光を参照する。しかしながら、ここでは、UV放射は100〜400nmの範囲として定義され、可視は、本明細書では400〜780nmの波長範囲に対して使用される。可視光は、可視光を供給する光源、及び/又はルミネセンス材料などの変換器材料によって可視放射に少なくとも部分的に変換されるUV放射を供給する光源によって作り出される。本明細書において、本発明は、さらに、特に、とりわけ海洋用途における付着防止目的などのUV適用に関して説明される。したがって、一実施形態では、要素は、UV放射を含む要素放射を供給するように構成される。
【0027】
要素は、生物付着防止システム、又はより一般的には放射を供給する(多湿であるか又は少なくとも一時的に水に沈められている状態の下で)ように構成されたシステムに含まれる。したがって、さらなる態様において、本発明は、さらに、本明細書において定義するような要素と、オプションとして、要素からの要素放射を制御するように構成された制御システムとを含む(生物付着防止)システムを提供する。さらに、生物付着防止システムは、オプションとして、電力源を含む。しかしながら、電力源は、それぞれ要素又は生物付着防止システムに必ずしも含まれない。
【0028】
要素及び/又は(生物付着防止)システムは、特に、使用中海水などの水に接触するか、又は例えば海岸若しくは他の屋外用途などの湿潤条件で利用される物体上に又は物体内に適用される。したがって、さらに、さらなる態様において、本発明は、さらに、特に使用中水に少なくとも部分的に沈められる物体を提供し、物体は本明細書において定義するような要素、又は、特に、本明細書で定義するような要素を含む(生物付着防止)システムをさらに含む。要素(又はシステム)は物体の外面に関連づけられる。物体は、特に、船舶及びインフラストラクチャ物体からなる群から選択される。物体は、電力を光源に供給するように構成された電力源をさらに含む。しかしながら、他の実施形態(物体の)は、例えば、(水中用の)ランプ、屋外ランプ、例えば、熱帯降雨林、モンスーン地帯などのような比較的湿潤な地帯で使用する(少なくとも一時的に)ものなどを含む。
【0029】
本明細書において、「使用中水に少なくとも部分的に沈められる物体」という句は、特に、水用途を有する船舶及びインフラストラクチャ物体などの物体を参照する。したがって、使用中、そのような物体は、一般に、海、湖、運河、川、又は別の水路などにおける船舶のように水と接触する。「船舶」という用語は、例えば、例えば帆船、タンカー、巡航船、ヨット、フェリー、潜水艦等々などのボート又は船などを参照する。「インフラストラクチャ物体」という用語は、特に、一般に実質的に静止して配置されている水用途、例えば、ダム、水門、箱船、石油掘削装置等々などを参照する。
【0030】
「外面」という用語は、特に、水と物理的に接触する表面を参照する。したがって、「外面」という用語の代わりに、「付着面」という用語も利用される。さらに、そのような実施形態では、「水線」という用語は、さらに、例えば充満レベルを参照する。特に、物体は、海洋用途、すなわち、海又は大洋の中の又はその近くの用途のために構成された物体である。そのような物体は、使用中、少なくとも一時的に又は実質的に常時、水と少なくとも部分的に接触する。物体は、使用中水(線)より少なくとも部分的に下にあり、又は潜水艦用途などでは、実質的に、すべての時間、水(線)より下にある。
【0031】
水とのこの接触に起因して、生物付着が、上述で示した欠点を伴って生じる。生物付着は、そのような物体の外面の表面(「表面」)で生じる。保護すべき物体の(要素の)表面は、鋼鉄を含むが、オプションとして、木材、ポリエステル、複合材、アルミニウム、ゴム、ハイパロン、PVC、ガラス繊維などからなる群から選択されたものなどの別の材料をさらに含む。したがって、鋼鉄船郭の代わりに、船郭は、PVC船郭又はポリエステル船郭などである場合もある。鋼鉄の代わりに、さらに、(他の)鉄合金などの別の鉄材料が使用される場合がある。
【0032】
本明細書において、「付着」、「生物付着」、又は「生物学的付着」という用語は、交換可能に使用される。上述には、付着のいくつかの例が記載されている。生物付着は、水中の、又は水の近くの、及び水(又は別の水性液体)に一時的にさらされる表面に生じる。そのような表面において、要素が、水中にある、又は水線の(真)上などの水の近くにある(例えば、例えば船首波によるなどの水はねによるように)場合、生物付着が生じる。熱帯地方間で、生物付着が数時間内に生じる。普通の温度でさえ、第1の(段階の)付着が、第1の(分子)レベルの糖質及び細菌として数時間内に生じる。
【0033】
生物付着防止システムは少なくともUV放出要素を含む。さらに、生物付着防止システムは、制御システム(以下も参照)と、局所環境発電システム(以下も参照)などのような電気エネルギー源とを含む。
【0034】
「生物付着防止システム」という用語は、さらに、オプションとして互いに機能的に結合され、例えば、単一の制御システムを介して制御されるような複数のそのようなシステムを参照する。さらに、生物付着防止システムは、複数のそのようなUV放出要素を含む。本明細書において、「UV放出要素」という用語は、(したがって)、複数のUV放出要素を参照する。例えば、一実施形態では、複数のUV放出要素は、船郭などの物体の外面に関連づけられ、又はそのような表面に含まれ(以下も参照)、一方、例えば、制御システムは、物体内のどこか、例えば、船舶の制御室又は操舵室などに配置される。
【0035】
付着が発生する表面又は区域は、本明細書において付着面としても示される。それは、例えば、船の船郭及び/又は光学媒体の放出面である(以下も参照)。このために、UV放出要素は、生物付着の形成を防止する及び/又は生物付着を除去するために利用されるUV放射(付着防止光)を供給する。このUV放射(付着防止光)は、特に、少なくとも、UV放射(「UV光」としても示される)を含む。したがって、UV放出要素は、特に、UV放射を供給するように構成される。それに加えて、UV放出要素は光源を含む。「光源」という用語は、2〜20個の(固体)LED光源などの複数の光源にも関連するが、さらに多くの光源がさらに利用されてもよい。したがって、LEDという用語は、さらに、複数のLEDを参照する。特に、UV放出要素は、複数の光源を含む。したがって、上述で示したように、UV放出要素は、1つ又は複数の(固体)光源を含む。LEDは、(OLED又は)固体LED(又はこれらのLEDの組合せ)である。特に、光源は固体LEDを含む。したがって、特に、光源は、UV−A光及びUV−C光のうちの1つ又は複数を供給するように構成されたUV LEDを含む(以下も参照)。UV−Aは細胞壁を傷つけるために使用され、一方、UV−CはDNAを傷つけるために使用される。したがって、光源は、特に、UV放射を供給するように構成される。本明細書において、「光源」という用語は、特に、固体光源を参照する。
【0036】
紫外線(UV)は、可視スペクトル低波長極限とX線放射帯域とによって境界をつけられた電磁光の一部である。UV光のスペクトル範囲は、定義によって約100nmと400nm(1nm=10−9m)との間であり、人間の目には見えない。CIE分類を使用して、UVスペクトルは3つの帯域、すなわち、315nmから400nmまでのUV−A(長波)、280nmから315nmまでのUV−B(中波)、及び100nmから280nmまでのUV−C(短波)に細分される。実際には、多くの光生物学者は、多くの場合、UV暴露に由来する皮膚効果を320nmより上及び下のUV波長の重み付け効果として話題にし、したがって、代替の定義を提示する。文献では、時には、約400nmの波長は「濃青色」としても示される。ここでは、定義によって、UV放射は100〜400nmの波長範囲の放射である。400nmを超え780nmまでが、本明細書では、可視放射(可視光)として示される。
【0037】
強い殺菌効果が短波UV−C帯域の光によってもたらされる。加えて、紅斑(皮膚の発赤)及び結膜炎(目の粘膜の炎症)がこの形態の光により引き起こされることもある。このために、殺菌UV光ランプを使用する場合、UV−C漏洩を遮断し、それによりこれらの影響を避けるシステムを設計することが重要である。水中光源の場合には、水によるUV光の吸収が十分に強いのでUV−C漏洩は液体表面の上の人間にとって問題ではない。したがって、一実施形態では、UV放射(付着防止光)はUV−C光を含む。さらなる別の実施形態では、UV放射は、100〜300nm、特に、200〜300nm、例えば、230〜300nmなどの波長範囲から選択された放射を含む。したがって、UV放射は、特に、約300nmの波長までのUV−C及び他のUV放射から選択される。良好な結果は、100〜300nm、例えば、200〜300nmなどの範囲内の波長で得られる。
【0038】
要素は光学媒体を含む。光学媒体は、導波路の機能を有する。特に、光学媒体はフォイル又はプレート(シート)として提供される。特定の実施形態では、光源は光学媒体に埋め込まれる。このようにして、光源から漏れ出る実質的にすべて放射は、光学媒体に導入され、光学媒体の少なくとも一部にわたって分配される。それゆえに、媒体材料は光源放射に対して透過性である。固体光源などの光源は、光学媒体と物理的に接触する。例えば、LEDダイ、又はLEDダイ上の光学要素は、媒体材料と物理的に接触する。したがって、光源は、特に、媒体材料に埋め込まれる。
【0039】
しかしながら、さらなる別の実施形態において、1つ又は複数の光源は光学媒体に含まれなくてもよい。そのような実施形態では、1つ又は複数の光源の放射は、光学媒体の透過率のために光学媒体を通り抜ける。そのような実施形態では、1つ又は複数の光源は、光学媒体に放射的に結合される。「放射的に結合される」という用語は、特に、光源によって放出された放射の少なくとも一部が光学媒体によって受け取られそれによって透過されるように光源と光学媒体とが互いに関連づけられることを意味する。
【0040】
上述で示したように、好適な媒体材料はシリコーンを含む。一層さらに特に、媒体材料はポリジメチルシリコーンを含む。特に、シリコーンは、10ppm未満のような、例えば5ppm未満などの、一層さらに特に1ppm未満の少量の白金触媒などの金属触媒を含む。しかしながら、本発明は、UV透過性材料(媒体材料)としてシリコーン材料に限定されない。さらに、シリカ、フルオロポリマー(テフロン(登録商標)など)、及びオプションとして(石英)ガラスなどのUV放射に対して透過性の他の(ポリマー)材料が適用される。そのような材料は、本明細書において、「透過性媒体材料」としても示される。
【0041】
光学媒体は、さらに、被保護面に適用するための(シリコーン)フォイル又はプレートとして用意され、フォイル又はプレートは、付着防止光を発生するための少なくとも1つの光源と、UV放射をフォイル又はプレートにわたって分配するためのシート様光学媒体とを含む。
【0042】
実施形態において、フォイル又はプレートは、2、3ミリメートルから数センチメートルの程度の、例えば、0.1〜10cmなどの、特に0.1〜5cmの、0.2〜2cmのような厚さを有する。実施形態において、フォイル又はプレートは、実質的に、厚さ方向に対して垂直な方向では制限されず、数十又は数百平方メートルの大きさの程度のサイズを有する実質的に大きいフォイル又はプレートが用意される。フォイル又はプレートは、付着防止タイルを用意するために、フォイル又はプレートの厚さ方向に対して垂直な2つの直交方向において実質的にサイズ制限され、別の実施形態では、フォイル又はプレートは、付着防止フォイル又はプレートの細長いストリップを用意するために、フォイル又はプレートの厚さ方向に対して垂直な一方向にのみ実質的にサイズ制限される。したがって、光学媒体は、さらには照明モジュールも、タイル又はストリップとして用意される。タイル又はストリップは(シリコーン)フォイル又はプレートを含む。タイルは、例えば、0.01〜10mのような、例えば0.1〜4mなどの、例えば0.1〜1mなどの寸法を有する。
【0043】
一実施形態では、照明モジュールは、UV放射を発生するための2次元グリッドの光源を含む。光学媒体は、光モジュールの光放出面を出ていくUV放射の2次元分布を形成するために2次元グリッドの光源からのUV放射の少なくとも一部を光学媒体にわたって分配するように配置される。2次元グリッドの光源は、金網構造、最密構造、行/列構造、又は任意の他の好適な規則的若しくは不規則的構造で配置される。グリッドにおける隣接する光源の間の物理的距離は、グリッドにわたって固定されてもよいし、又は、例えば、付着防止効果を与えるのに必要な光出力に応じて、若しくは被保護面上の照明モジュールの場所(例えば、船の船郭上の場所)に応じて変化してもよい。2次元グリッドの光源を設ける利点は、UV放射照明により保護されるべき区域の近くでUV放射が発生されること、2次元グリッドの光源が光学媒体又は光ガイドにおける損失を低減させること、2次元グリッドの光源が光分配の均一性を向上させていることを含む。好ましくは、UV放射は、放出面にわたって全体的に均一に分配される。これにより、普通なら付着が起こる照明の不十分な領域が減少されるか又はさらに防止され、一方、同時に、付着防止のために必要とされるよりも多くの光を有する他の区域の過剰照明によるエネルギー浪費が低減されるか又は防止される。一実施形態では、グリッドは光学媒体中に含まれる。さらなる別の実施形態では、グリッドは(シリコーン)フォイル又はプレートに含まれる。
【0044】
そのようなグリッドは、大面積LEDアレイ、すなわち、好適な駆動回路にLEDを接続する構造によるLEDの配列としても定義される。そのような構造は、一般に、行電極と列電極とを含むグリッドの形態を有し、グリッドの形態において、LEDはこれらの電極の間の交点に装着される。
【0045】
上述で定義されるようなグリッドは、とりわけ、WO2007122534に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。したがって、一実施形態では、2次元グリッドの光源には、電極の2つのスタックと、異なるスタックに属する電極の交点に配置されたLEDとを含む大面積LEDアレイが含まれる。各電極は、電極セクションによって分離された複数のLED装着面を含み、各電極セクションは、接続部分によって一緒に連結された2つのストリップ部分を有し、ストリップ部分は、LEDアレイの平面の延在に対して非平行な表面の延在を有する。
【0046】
さらに、一実施形態では、光学媒体は、被保護面に隣接して配設され(オプションとして、取り付けられることを含む)、紫外光を受け取るように結合される。光学媒体は被保護面に対して垂直な厚さ方向を有する。厚さ方向と直交する光学媒体の2つの直交方向は被保護面と平行である。光学媒体は、紫外光が厚さ方向と直交する2つの直交方向のうちの少なくとも1つの方向に光学媒体内を進むための、及び光学媒体の表面に沿った点において紫外光のそれぞれの一部分が光学媒体から漏れ出るための紫外光の伝搬路を備えるように構成される。
【0047】
したがって、一実施形態では、(付着防止照明)システムは光学媒体を含み、光学媒体は、付着面にUV放射(付着防止光)を供給するように構成された光ファイバなどの導波路を含む。例えばUV放射(付着防止光)が漏れ出る導波路の表面は、本明細書において、放出面としても示される。一般に、導波路のこの部分は、少なくとも一時的に水没される。放出面から漏れ出るUV放射(付着防止光)により、使用中に、液体(海水など)に少なくとも一時的にさらされる物体の要素は、照射され、それによって付着防止される。しかしながら、放出面それ自体も付着防止される。この効果は、以下で説明する光学媒体を含むUV放出要素の実施形態のうちのいくつかで使用される。
【0048】
光学媒体を用いた実施形態はWO2014188347にも記載されている。WO2014188347の実施形態は、本明細書で説明する制御ユニット及び/又は水スイッチ、及び他の実施形態と組合せ可能であるので、やはり参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
上述で示したように、UV放出要素は、特に、UV放射漏出し表面を含む。したがって、特定の実施形態では、UV放出要素はUV放射漏出し表面を含み、UV放出要素は、特に、UV放出要素のUV放射漏出し表面から下流にUV放射を供給するように構成される。そのようなUV放射漏出し表面は、放射がUV放出要素から漏れ出る光学窓である。代替として又は追加として、UV放射漏出し表面は、導波路の表面である。したがって、UV放射は、UV放出要素において導波路に結合され、導波路の面(の一部)を介して要素から漏れ出る。やはり上述で示したように、実施形態において、放射漏出し表面は、オプションとして、物体の外面の一部として構成される。
【0050】
「上流」及び「下流」という用語は、光発生手段(ここでは、特に第1の光源)からの光の伝搬に対するアイテム又はフィーチャの配置に関連し、光発生手段からの光のビーム内の第1の位置を基準にして、光発生手段に近い光のビームの第2の位置は「上流」であり、光発生手段から遠い光のビーム内の第3の位置は「下流」である。
【0051】
しかしながら、上述で示したように、いくつかの実施形態では、要素は、さらに、UV放射の代わりに又はUV放射に加えて可視光を供給するように構成される。そのような実施形態では、「UV放出要素」という用語及び類似の用語は、「要素」又は「可視及び/又はUV放出要素」などと取り替えられる。
【0052】
要素は、例えば光学媒体の外にある電力源に光源を機能的に結合させるための電気コネクタをさらに含む。電気コネクタは、光学媒体に埋め込まれた第1のコネクタ部分と、光学媒体の外から物理的に接触可能なインタフェースコネクタ部分とを含む。電気コネクタは、一般に、絶縁部が導電性部分を囲んでいる電線である。電気コネクタは、(電力源に機能的に接続されると)光源に電力を供給する。したがって、電気コネクタは、1つの電気コネクタ(単一心線)又はより多くの電気コネクタ(二重心線、又は2つを超える心線)とともに電力ケーブルを含む。したがって、「電気コネクタ」という用語は、さらに、複数の電気コネクタを参照する。他の実施形態では、電気コネクタは導電性トラックを含む。なお、さらなる実施形態では、電気コネクタは、上述で定義したような電力グリッド(複数の関連する光源に電力を供給するための)を含む。インタフェースコネクタ部分は、特に、局所的に光学媒体が外部とのインタフェースを有し、電気コネクタが外部から接近され得る部分である。例えば、電気コネクタがプレートを貫通し、プレート内の部分及びプレート外の部分を有する面をもつ閉止プレートを仮定すると、それは、正確に、電気コネクタがプレートを貫通する位置である。さらに、水がプレートに移動するのはこの位置である。
【0053】
外部から、すなわち、光学媒体の外から、光学媒体に含まれる光源(及び/)又は他の電気コンポーネントに電力を供給するために、光学媒体の外から接触可能な電気コネクタの部分がある。これは、例えば、ケーブルのフィードスルー、又はソケットなどを含む。特に、このインタフェースにおいて、水の侵入が起こる。特に外部電源を機能的に結合させるために外部から接触可能な部分は、インタフェースコネクタ部分として示される。光学媒体に含まれるワイヤ、ケーブル、導電性トラックは、特に、第1のコネクタ部分として示される。したがって、「第1のコネクタ部分」という用語は、さらに、複数の第1のコネクタ部分を参照する。したがって、インタフェースコネクタ部分を出発点として外側から見ると、電気コネクタは光学媒体に埋め込まれている。光学媒体の外に長さの一部を含み、長さの一部にわたって光学媒体に埋め込まれたケーブルが使用される場合、ケーブルが光学媒体に入る(又は光学媒体から出る)光学媒体のインタフェースの断面は、インタフェースコネクタ部分と考えられることに留意されたい。したがって、「インタフェースコネクタ部分」という用語は、必ずしも別個のデバイスを示すのではなく、特に位置を示すことがある。
【0054】
したがって、「電気コンポーネントを光学媒体の外に機能的に結合させるための」という句は、特に、電気コネクタが、電気コンポーネントと、別のコンポーネント、特に電気コンポーネント、一層さらに特に光学媒体の外にある電力源及び/又は制御システムとの間で機能的結合を行うように構成されることを示している。
【0055】
水のそのような侵入(の影響)を防止又は低減するために、要素は水障壁をさらに含む。水障壁(「障壁」又は「止水部」)は、光学媒体に少なくとも部分的に埋め込まれ、電気コネクタの第1のコネクタ部分の少なくとも一部を密閉するように構成され、特に、インタフェースコネクタ部分に隣接して配置される。特に、水障壁は、(さらに)、完全に媒体材料に埋め込まれる。
【0056】
特に、水障壁は、媒体材料と電気コネクタとに接着するように構成される。媒体材料は第1のコネクタ部分にあまりよく接着しないようである。これは、良好な透過率を求めて、媒体材料、特にシロキサンが、接着剤若しくは接着促進剤を全く含まないか、又は接着剤若しくは接着促進剤を含む量が少ないことに起因する。この比較的悪い接着が水侵入をしやすくする。したがって、第1の電気接続部分及び光学材料の両方への良好な接着性を有するそのような水障壁を用いて、障壁機能が設けられる。そのような水障壁は、必要に応じて、多量の接着剤又は接着促進剤を含むことができる。この水障壁は局所的にのみ適用されるので、光学媒体の光学的性質への影響は比較的低い。特定の実施形態では、水障壁は、シリコーンシーラントとしても知られているシリコーン接着剤を含む。好適なシリコーン接着剤の例は、例えば、Dow Corning 748、Momentive 5240、Loctite clear siliconeである。接着促進剤の例は、例えば、Dow Corning 1200 OS、ACC primer no.3などである。
【0057】
特定の実施形態では、水障壁は、第1のコネクタ部分の少なくとも一部を密閉するように構成され、例えば0.1〜50mmなどの、0.2〜50の範囲のような、例えば1〜30mmなどの、5〜25mmのような少なくとも0.1mmの範囲から選択された長さ(l)を有する外囲器、特にガラス外囲器、特に管状(ガラス)外囲器を含む。(ガラス)外囲器は、第1の電気コネクタの一部を、指示された長さなどにわたって、円周方向に密閉するように構成される。しかしながら、他の外囲器を同様に使用することができ、管状以外の形状もやはり使用することができる。例えば、さらに、例えば、球形の外囲器、又はオプションとして立方体若しくは長方形の外囲器を利用することができる。
【0058】
外囲器は、断面積がわずかに大きい、例えば、5〜20%大きいという意味で、断面積に小さい不一致がある。これにより、第1のコネクタ部分と外囲器との間に間隙が設けられる。この間隙は、良好な密閉及び接着のためにシリコーン接着剤で充填するのに使用される。したがって、特定の実施形態では、シリコーン接着剤の少なくとも一部は、電気コネクタと管状ガラス外囲器との間に配置される。
【0059】
代替として、断面積は実質的に同一である。さらなる実施形態では、外囲器は、第1のコネクタ部分と物理的に接触する長さの実質的に全体にわたる。例えば、外囲器を形成する高分子材料は、加熱により硬化され及び/又は第1のコネクタ部分に付けられる。これにより、気密密閉が行われる。
【0060】
特に、外囲器は、光透過性の外囲器材料を含む。材料は、一実施形態では(PETG)(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)を含んで、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(プレキシグラス又はパースペックス)、セルロースアセテートブチラート(CAB)、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる群から選択されたものなどの透過性有機材料からなる群から選択された1つ又は複数の材料を含む。特に、材料は、芳香族ポリエステル又はそのコポリマー、例えばポリカーボネート(PC)、ポリ(メチル)メタクリレート(P(M)MA)、ポリグリコライド又はポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ(3−ヒドロキシブチラート−co−3−ヒドロキシバレラート)(PHBV)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを含み、特に、材料はポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。したがって、材料は、特に、高分子材料である。しかしながら、別の実施形態では、材料は無機材料を含む。好ましい無機材料は、ガラス、(溶融)石英、透過性セラミック材料などからなる群から選択される。さらに、無機部分及び有機部分の両方を含むハイブリッド材料、例えば、シリコーンなどが適用される。PMMA又はガラスは外囲器の材料として特に好ましい。
【0061】
一般に、電気コネクタは1つ又は複数の導電性トラックを含み、絶縁体が1つ又は複数の導電性トラックを囲んでいる。しかしながら、他のオプションも可能である。
【0062】
特定の実施形態では、水障壁は、導電性トラックと物理的に接触するガラス障壁を含む。したがって、そのような実施形態では、ガラス−金属接続が、水障壁−導電性トラックとして使用される。例えば、絶縁体のない電気導体を用意するか、又は絶縁体をもつ電気導体を用意し、例えば0.1〜50mmなどの、例えば1〜30mmなどの、5〜25mmのような絶縁体の一部を除去する。絶縁体が除去された位置において、ガラスが電気導体を囲んで溶融される。したがって、特定の実施形態では、水障壁の位置において、電気コネクタは金属で構成され、水障壁は、金属ガラス接続部を形成するガラスを含む。金属ガラス接続部は、特に、水密接続を行うように構成される。したがって、そのような金属ガラス接続部は、さらに、水の(さらなる)侵入を防止するために使用される。
【0063】
それゆえに、水障壁の材料は、電気コネクタ、特に、第1のコネクタ部分と媒体材料とを組み合わせて、水密障壁が作り出されるように特に選択される。水障壁は、媒体材料とのインタフェースと、電気コネクタ、特に、実施形態ではその絶縁体とのインタフェースとを形成し、それにより、電気コネクタに沿った水の移送が実質的に阻止される
【0064】
一般に、水障壁は、インタフェースコネクタ部分の比較的近くに配置される。一実施形態では、水障壁は、さらに、媒体材料を通って外部に突き抜ける。しかしながら、他の実施形態では、水障壁は、光学媒体(材料)に完全に含まれる。特定の実施形態では、水障壁は、インタフェースコネクタ部分から1〜400mmの範囲から選択された第1の距離(d1)に配置される。
【0065】
したがって、水障壁は、特に、光学媒体と異なる原料組成を含む。例えば、光学媒体はシリコーンを含み、一方、水障壁はシリコーン接着剤を含む。さらなる別の例では、光学媒体はシリコーンを含み、一方、水障壁はガラスを含む。なお、さらなる例では、光学媒体はシリコーンを含み、一方、水障壁は、ガラスと、ガラスと電気コネクタとの間に配置される接着剤とを含む。
【0066】
特に、複数の光源の場合には、単一の接続が破壊された場合でさえ、依然として実質的に、すべての光源が今までどおり電力を供給されるグリッドが設けられる。それゆえに、光学媒体の損傷又はさらに破壊は照明態様の観点からは問題ではない。しかしながら、水侵入の観点から、これはかなり問題である。したがって、本発明は、さらに、複数の第2の水障壁(インタフェースコネクタ部分に近い水障壁に加えて)をもつ光学媒体を提供する。それゆえに、なお、さらなる実施形態では、要素は、(i)複数の光源と、(ii)光学媒体であって、複数の光源が光学媒体に埋め込まれている、光学媒体と、光学媒体の外にある電力源に複数の光源を機能的に結合させるための電気コネクタインフラストラクチャであって、1つ又は複数のインタフェースコネクタ部分、及び複数の光源に機能的に結合された複数の第1のコネクタ部分とを含む、電気コネクタインフラストラクチャと、(iv)要素にわたって分布した複数の水障壁であって、特に、少なくとも1つの水障壁が、1つ又は複数のインタフェースコネクタ部分のうちの1つのインタフェースコネクタ部分に隣接して配置される、水障壁とを含む。例えば、要素は、1mの光学媒体当たり1〜2000個の水障壁、例えば、1mの光学媒体当たり10〜1600個の水障壁などを含む。
【0067】
複数の光源が適用され、複数の光源が電気コネクタ部分を介して電気的に接続され、それによって、複数の相互接続電気コネクタ部分が用意される一実施形態では、少なくとも20%の、例えば少なくとも40%などの、さらに少なくとも60%のような、又はさらに80%以上の、例えば最大100%などの相互接続電気コネクタ部分が、1つ又は複数の水障壁を含む。したがって、特定の実施形態では、本発明は、さらに、1つ又は複数の光源のサブセットが、1つ又は複数の第1のコネクタ部分に機能的に結合され、すべての第1のコネクタ部分が1つ又は複数の水障壁を含む要素を提供する。サブセットは、光源などの1つ又は複数の電気コンポーネントを含む。オプションとして、すべての電気コンポーネントは、電気コンポーネントと機能的に接触する各電気コネクタが水障壁を含むという意味で、水障壁によって囲まれている。したがって、電気コンポーネントから見ると、各電気コネクタは、別の電気コンポーネント(光学媒体の内部又は外部の)の前に水障壁で囲まれている。
【0068】
さらに、さらなる態様において、本発明は、さらに、本明細書において定義するような要素をもつ物体を用意する方法を提供し、この方法は、(i)要素を物体の外面に関連づけ、電力源に機能的に結合させるステップを有する。実施形態において、これは、要素、さらに特に光学媒体が、外面に対して一種の第2の外皮として構成されることを意味する。したがって、要素は、外面から離れる方向に漏れ出る、光学媒体表面から下流への放射を供給する。
【0069】
なお、さらなる態様では、本発明は、本明細書において定義するような要素を用意するための方法を提供し、この方法は、(i)(a)電気コンポーネント、(b)電気コンポーネントを電力源に機能的に結合させるための電気コネクタ、及び(c)電気コネクタの少なくとも一部を密閉するように構成された水障壁の機能的な組合せを行うステップと、(ii)光源、電気コネクタの一部、及び水障壁の少なくとも一部を、光源放射に対して透過性であるシリコーンを含む媒体材料を用いてカプセル化して、要素を用意するステップとを有する。特に、電気コンポーネントは光源である。その上さらに特に、電気コンポーネントは、複数の光源、例えば、上述で定義したようなグリッドなどを参照する。一層さらに特に、本発明は、本明細書において定義するような要素を用意するための方法を提供し、この方法は、(i)(a)UV及び可視のうちの1つ又は複数の光源放射を供給するように構成された光源、(b)外部の電力源に光源を機能的に結合させるための電気コネクタであって、第1のコネクタ部分(及びインタフェースコネクタ部分)を含む、電気コネクタ、及び(c)電気コネクタの第1のコネクタ部分の少なくとも一部を密閉するように構成された(及びインタフェースコネクタ部分に隣接して配置された)水障壁の機能的な組合せを用意するステップと、(ii)光源、第1のコネクタ部分、及び水障壁を、光源放射に対して透過性であるシリコーンを含む媒体材料を用いてカプセル化して、要素を用意するステップとを有する。
【0070】
本明細書に示すように、要素は、水と接触する表面への生物付着を防止するように構成される。したがって、要素は、水と接触する表面への生物付着を防止するための要素として示される。要素という用語の代わりに、(実施形態において)、さらに、「デバイス」又は「装置」という用語が適用される。
【0071】
本明細書に示すように、水障壁は、特に、電気コネクタの少なくとも一部を密閉するように構成される。したがって、水障壁は、電気コネクタの少なくとも一部を密閉する。特に、水障壁は、電気コネクタの長さの一部にわたって電気コネクタを密閉する。水障壁は、例えば、(一種の)スリーブとして構成される。
【0072】
次に、本発明の実施形態が、単なる例として、対応する参照記号が対応する部分を示す添付の概略図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1a-1g】そのような要素を含む物体の要素の一態様を概略的に示す図である。
図2a-2g】要素のさらなる態様及び変形を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
概略図は、必ずしも原寸に比例していない。
【0075】
図1aは、船郭21を含む船舶1を概略的に示す。参照番号13は、水2の水線を示す。参照番号300は、生物付着防止システムを制御するように特に構成されたオプションの制御システムを示し、オプションの制御システムは以下でさらに説明される。図1aは、物体10の実施形態としての船舶1が、UV放出要素としてさらに説明する複数の放射放出要素210を含む複数の生物付着防止システム200及び/又はそのような生物付着防止システム200のうちの1つ又は複数を含む、一実施形態を概略的に示す。例えば、水(線)などを基準にした特定のそのような生物付着防止システム200の高さ及び/又はUV放出要素210の高さに依存して、それぞれのUV放出要素210がスイッチオンされる。図1aは、さらに、満載喫水線LLを示す。例えば、h2で示されている、満載喫水線LLより約0.5〜2m上に、h1で示されている、満載喫水線LLより約0.5〜2m下に、UV放出要素210を適用する。さらに、制御システム300は、生物付着防止システム200を制御するように構成される。参照番号550は、システム200又は要素210の光源(さらに以下も参照)に電力を供給するための電力源を示す。要素210は、例えば、0.01〜10mの範囲の面積を有する。
【0076】
図1b〜図1cは、使用中水2に少なくとも部分的に沈められている物体10の実施形態を概略的に示す(水線13を参照)。船舶又は水門(以下も参照)などの物体10は、特に、船郭又は船郭の一部分などの物体10の外面11の一部分111にUV放射221を適用するための、UV放出要素210を含む生物付着防止システム200をさらに含む。ここで、2つの実施形態が示され、生物付着防止システム200、又はさらに特にUV放出要素210が、外面の一部分であり、それによって、外面の一部分を実際に形成する(図1b)か、又はUV放出要素210が、外面を照射するように構成され、船の船郭などの外面の一部分を必ずしも形成しない(図1c)。例えば、物体10は、船舶1及びインフラストラクチャ物体15からなる群から選択される(以下も参照)。特に、要素210は、外面11と接して配置され、それによって、新しい外面を形成する。この外面は参照番号1230で示されている。参照番号230は放射漏出し表面を示す。光源放射221はこの表面から外部に漏れ出る。本明細書において、本発明は、特に、UV放射を参照して説明されるが、追加として又は代替として、放射221は、可視光、又は可視放射とUV放射との組合せをさらに含む。付着防止のために、放射221は特に少なくともUV放射を含む。図1bにおいて、要素210、特に光学媒体270は、外面11に対する共形被覆として設けられる。光源220は、光源放射221を供給するように構成される。これは、光学媒体270から要素放射211として漏れ出る。要素放射211は、オプションとして、変換光源放射221を含み、又はUV放射などの光源放射221で実質的に構成される。参照番号1220は電気コンポーネントを示す。ここで、光源220は、電気コンポーネント1220として使用されるか、又は電気コンポーネント1220に含まれる。さらに、他のタイプの電気コンポーネントを、代替として又は加えて使用できることに留意されたい(上述も参照)。
【0077】
UV放出要素210は、1つ又は複数の光源220を含み、それにより、特に、(i)外面11の一部分111及び(ii)外面11の一部分111に隣接する水のうちの1つ又は複数をUV放射221で照射する(照射段階の間)ように構成される。前者の変形は、特に、図1cの実施形態を適用し、後者の実施形態は、特に、図1b〜図1cの両方の実施形態に当てはまる。しかしながら、UV放出要素210の外面が物体10の外面として構成される場合、当然、一部分111は、UV放射21でそれ自体照射されることに留意されたい。
【0078】
したがって、UV放出要素210はUV放射漏出し表面230を含み、UV放出要素210は、UV放出要素210のUV放射漏出し表面230から下流にUV放射221を供給するように構成される。
【0079】
特に、光源220は、第1のUV放射レベルと第2のUV放射レベルとの間で少なくとも制御可能であり、第1のUV放射レベルは第2のUV放射レベルよりも大きい(第2のUV放射レベルは第1の放射レベルよりも小さい(例えばゼロを含む))。
【0080】
特定の実施形態では、物体10は、UV放射221を制御するように構成された制御システム300をさらに含む。
【0081】
上述で示したように、参照番号1で示す「船舶」という用語は、例えば、例えばボート又は船(図1dの参照番号10a)など、例えば、図1dに概略的に示したもののような帆船、タンカー、巡航船、ヨット、フェリー、潜水艦など(図1dの参照番号10d)等々などを参照する。参照番号15で示す「インフラストラクチャ物体」という用語は、特に、一般に実質的に静止して配置されている水用途、例えば、ダム/水門(図1dの参照番号10e/10f)、箱舟(図1dの参照番号10c)、石油掘削装置(図1dの参照番号10b)等々などを参照する。本発明は、他のデバイス又は装置にも適用される(上述も参照)ことに留意されたい。
【0082】
図1eは、UV放出要素210又は光学媒体270/光学媒体ユニット1270を概略的に示す。光源220は、光学媒体270に少なくとも部分的に統合される。このようにして、UV放射(及び/又は可視の他の放射)は、導波路又は光学媒体270を介して容易に分配される。参照番号272は、放射漏出し表面230の反対側の第2の光学媒体表面を示す。第2の光学媒体表面272は、オプションとして、反射器を含む。しかしながら、他のオプションも可能である(図1gを参照)。
【0083】
図1fは、UV LEDなどの光源220が、グリッドに配置され、一連の並列接続で接続される金網の実施形態を示す。LEDは、はんだ付け、接着、又は金網にLEDを接続するための他の既知の電気接続技法のいずれかによりノードに装着される。1つ又は複数のLEDが各ノードに置かれる。DC又はAC駆動が実施される。ACが使用される場合、逆並列構成の一対のLEDが使用される。ノードごとに逆並列構成の2つ以上の対のLEDを使用できることを当業者は知っている。金網グリッドの実際のサイズと、グリッドにおけるUV LED間の距離とは、ハーモニカ構造を引き伸ばすことによって調節される。金網グリッドは光学媒体に埋め込まれる。ワイヤの損傷がデッドLEDスポットを必ずしも引き起こさないことに留意されたい。グリッド又は電気インフラストラクチャが参照番号1510で示されている。
【0084】
図1gは、図1eに基づく変形を概略的に示す。この変形では、光源220は、光学媒体270の外に配置される。特に、そのような事例では(前の変形はオプションとして外部結合構造をさらに含むが)、光学媒体270は、UV放射221を放射漏出し表面230を介して外に結合させるように構成された外部結合構造276を含む。したがって、外部結合構造は、特に、第2の光学媒体表面272に及び/又はその近くに配置される。
【0085】
とりわけ、本発明は、ケーブルがシリコーンを出る直前に、シリコーンシートの縁部に近い位置でケーブルに付け加えられるウォータロック(水障壁)を提供する。このウォータロックは、ケーブルのまわりにガラスリングで製作される。一般に、シリコーンは、ガラスに非常によく接着し、しかも接着促進剤なしで接着する。ガラスリングは、ケーブルのプラスチックマントルに融合されるか、又は接着性の高いグルーで貼り付けられる。したがって、水障壁は、電気コネクタの長さの一部にわたって電気コネクタを円周方向に密閉する。
【0086】
一実施形態では、ウォータロックは、シリコーンシート内のワイヤグリッドにわたって分けられているいくつかの場所に適用され、それによって、セルが作り出される。大きいシートの一部が損傷されたとき、そのセルのみが失われる。水は隣のセルの止水部に出会うので、水は、ワイヤに沿ってゆっくり進むことにより周囲のセルに入ることはできない。
【0087】
ウォータロックは、LED、ワイヤ、及びケーブルを十分な接着性のシリコーンに事前浸漬し、それにより、薄い被覆層を作り出すことによって付け加えられる。それゆえ、この薄い層は、埋め込み光学グレードシリコーンへの良好な接着性を有する。十分な接着性の薄いシリコーン層は、光透過率が小さく、システム全体の効率を低下させるが、これは、厚さが薄いため非常に低い。
【0088】
一実施形態では、同時にコネクタとして機能するウォータロックが付け加えられる。コネクタは、シリコーンの縁部に置かれ、埋込み電線への非常に良好な接着性をもつ高防湿障壁材料で製作される。外部ケーブルが、このコネクタにプラグ接続され、非光学的で十分な接着性の(シリコーン)シーラントで封止される。コネクタは、さらに、導電性材料で製作され、そのため、ワイヤは送出ケーブルに直接接続されない。
【0089】
今から、図2aは、UV放射及び可視放射のうちの1つ又は複数を含む要素放射211を供給するように構成された要素210の一実施形態を概略的に示す。要素210は、UV及び可視のうちの1つ又は複数で光源放射221を供給するように構成された光源220を含む。要素210は、光源放射221に対して透過性であるシリコーンなどの媒体材料275を含む光学媒体270をさらに含む。光源220は光学媒体270に埋め込まれる。光学媒体は、光学媒体270の外にある電力源に光源220を機能的に結合させるための電気コネクタ510をさら含む。図示のように、電気コネクタ510は、光学媒体270に埋め込まれた第1のコネクタ部分511と、光学媒体270の外から物理的に接触可能なインタフェースコネクタ部分512とを含む。基本的には、インタフェースコネクタ部分は、外部のインタフェースと光学媒体材料275との間に配置された電気コネクタの一部と見なされる。この実施形態では、これは、外部Eに延びる部分である。光学媒体270に少なくとも部分的に埋め込まれた水障壁530が設けられる。水障壁は、電気コネクタ510の第1のコネクタ部分511の少なくとも一部を密閉するように構成され、インタフェースコネクタ部分512に隣接して配置される。水障壁530は、電気コネクタ510に沿った水侵入又は水の少なくともさらなる移送を防止する。水障壁530は、長さ又は幅l、すなわち、電気コネクタ510と平行な長さを有する。高さは、参照番号hで示されており、例えば、(さらに)0.1〜50mmの範囲にある。参照番号535は水障壁材料を示し、水障壁材料は上に述べたように特にシリコーンとすることができる。「水障壁材料」という用語は、さらに、複数の材料を参照する。図2aは、さらに、起こり得る水の侵入を破線Wで示している。水障壁530は媒体材料275及び電気コネクタ510に十分に接着するように構成されるので、水はさらなる侵入を阻止される。ケーブルと光学媒体材料275との間の接着性が最適とは言えないことがあるとき、水はケーブルに沿って侵入することがある。しかしながら、水が水障壁530に出会うとき、この水障壁530は、電気コネクタ510又はケーブルに、及び光学媒体材料275に十分に接着しており、それによって、さらなる侵入を効果的に阻止する。
【0090】
図2bは、同様の実施形態を概略的に示す。しかしながら、この実施形態では、一般に銅である導電性トラックの一部が導電性シリコーン537によって取り替えられている。ここで、水障壁530は、シリコーンのみで実質的に構成され、やはりシリコーンからなる電気コネクタ部分512を含む。
【0091】
図2cは、水障壁530が、第1のコネクタ部分511の少なくとも一部を密閉するように構成され、0.1〜50mmの範囲から選択された長さlを有する管状ガラス外囲器532を含む一実施形態を概略的に示す。さらに、水障壁530はシリコーン接着剤531を含む。この概略的に示した実施形態において、シリコーン接着剤531の少なくとも一部は、電気コネクタ510と管状ガラス外囲器532との間に配置される。断面図が図2dに示されており、例として、電気コネクタは2つの導電性トラック(二重心線)を含む。上記で示したように、基本的には、インタフェースコネクタ部分512は、外部のインタフェースと光学媒体材料275との間に配置された電気コネクタの一部と見なされる。このインタフェース部分512は破線で示されている。一方の側では、電気コネクタは外部Eに延び、他方の側では、電気コネクタ部分は第1の(電気)コネクタ部分511として埋め込まれる。したがって、インタフェース部分は、平面、又は仮想平面/周縁である。図2c及び図2dを見て分かるように、これらの、しかしさらに他の実施形態の水障壁は、電気コネクタの長さの一部にわたって電気コネクタを円周方向に密閉する。したがって、水障壁は、特に、電気コネクタの長さの一部にわたって電気コネクタと物理的に接触する。このようにして、水が電気コネクタに沿って移動するのを本質的に阻止する水障壁が設けられる。
【0092】
図2eにおいて、概略的に、水障壁530がシリコーン接着剤531を本質的に含む一実施形態が示される。
【0093】
図2fは、水障壁530の位置において、電気コネクタが銅などの金属(導体)Mで構成され、水障壁530が金属ガラス接続部534を形成するガラス533を含む一実施形態を概略的に示す。
【0094】
図2gは、光学媒体270に埋め込まれた複数の光源220を含む要素210の一実施形態を概略的に示す。さらに、要素210は、光学媒体270の外にある電力源に複数の光源220を機能的に結合させるための電気コネクタインフラストラクチャ1510を含む。電気コネクタインフラストラクチャ1510は、1つ又は複数のインタフェースコネクタ部分512と、複数の光源220に機能的に結合された複数の第1のコネクタ部分511とを含む。さらに、要素は、要素210にわたって分布した複数の水障壁530を含み、少なくとも1つの水障壁530は、1つ又は複数のインタフェースコネクタ部分512のうちの1つのインタフェースコネクタ部分512に隣接して配置される。2つの水障壁530がインタフェースコネクタ部分512の近くに配置されていることに留意されたい。さらに、複数の他の障壁が、要素210、特に光学媒体270(要素210に埋め込まれた)にわたって分布される。水障壁530は、さらに、1つ又は複数の光源220を囲むように構成される。したがって、1つ又は複数の光源220のサブセットに機能的に結合された第1のコネクタ部分511のすべての部分は、水障壁530を備えている。そのようにして、1つ又は複数の光源220が水侵入から保護される一種の区画又はセクションが製作される。例えば、光学媒体270が破損箇所を含む場合でさえ、1つ又は複数の区画は水侵入から保護される。したがって、例えば、LEDのセクションは保護される。1つ又は複数のワイヤが損傷されるか又は水にさらされる場合、そのような区画又はセクション内のLEDは、実質的に危険にさらされない(破線で示したセクションも参照)。LEDなどの光源220はすべて水障壁530によって保護される。
【0095】
「実質的にすべての光」における又は「実質的に構成される」におけるなどの本明細書の「実質的に」という用語は当業者によって理解されるであろう。「実質的に」という用語は、「全面的に」、「完全に」、「すべて」などをもつ実施形態をさらに含む。したがって、実施形態において、形容詞は実質的に取り除くこともできる。該当する場合、「実質的に」という用語は、90%以上、例えば、95%以上など、特に99%以上、一層さらに特に、100%を含めて99.5%以上にも関連する。「備える、含む(comprise)」という用語は、「備える、含む(comprises)」という用語が「で構成される(consists of)」を意味する実施形態も含む。「及び/又は」という用語は、特に、「及び/又は」の前後に述べられたアイテムのうちの1つ又は複数に関連する。例えば、「アイテム1及び/又はアイテム2」という句及び同様の句は、アイテム1及びアイテム2のうちの1つ又は複数に関連する。「備えている、含んでいる(comprising)」という用語は、一実施形態では「で構成されている(consisting of)」を参照するが、別の実施形態では「少なくとも定義された種と、オプションとして1つ又は複数の他の種とを含んでいる」ことも参照する。
【0096】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における第1の、第2の、第3のなどの用語は、同様の要素間を区別するために使用され、必ずしも逐次的又は経時的順序を記載するために使用されない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であること、及び本明細書に記載された本発明の実施形態は本明細書に記載又は図示されたもの以外の他の順序での動作が可能であることが理解されるべきである。
【0097】
本明細書におけるデバイスは、とりわけ、動作中について記載されている。当業者には明らかであるように、本発明は、動作の方法又は動作中のデバイスに限定されない。
【0098】
上記の実施形態は、本発明を限定するのではなく例証するものであること、及び当業者は添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧間に置かれたいかなる参照符号も請求項を限定するものとして解釈されるべきでない。「備える、含む(to comprise)」という動詞及びその活用形の使用は、請求項に述べられるもの以外の要素又はステップの存在を排除しない。要素の前の「a」又は「an」という冠詞は、複数のそのような要素の存在を排除しない。本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実施される。いくつかの手段を列挙しているデバイス請求項において、これらの手段のうちのいくつかはハードウェアの全く同一のアイテムによって具現され得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示していない。
【0099】
本発明は、さらに、明細書に記載され及び/又は添付の図面に示された特徴的な機構のうちの1つ又は複数を含むデバイスに当てはまる。本発明は、さらに、明細書に記載され及び/又は添付の図面に示された特徴的な機能のうちの1つ又は複数を含む方法又はプロセスに関する。
【0100】
本特許で論じている様々な態様は、追加の利点を提供するために組み合わせることができる。さらに、当業者は、実施形態を組み合わせることができること、及び、さらに、2つを超える実施形態を組み合わせることができることを理解するであろう。さらに、特徴の一部は、1つ又は複数の分割出願の基礎を形成することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G