特許第6772249号(P6772249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6772249符号化されたバイオセンサならびにそれを製造する方法および使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772249
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】符号化されたバイオセンサならびにそれを製造する方法および使用する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20201012BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G01N27/416 338
   G01N35/00 F
【請求項の数】15
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2018-506406(P2018-506406)
(86)(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公表番号】特表2018-523129(P2018-523129A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】US2016046124
(87)【国際公開番号】WO2017039976
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】14/822,963
(32)【優先日】2015年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、スティーブン ケイ
(72)【発明者】
【氏名】リッグルス、ランドール ケイ
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−521943(JP,A)
【文献】 特表2009−530608(JP,A)
【文献】 特開2009−031309(JP,A)
【文献】 特開2003−007514(JP,A)
【文献】 特開2009−231359(JP,A)
【文献】 特開2007−011250(JP,A)
【文献】 特表2008−527341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/49
G01N 33/487
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサであって、前記センサが、
非導電性基板と、
前記非導電性基板上の回路と、
を備え、
前記センサが、流体の試料中の分析物の定量および定性分析の少なくとも1つを行うように構成され、
前記回路が、
前記非導電性基板上の一次抵抗素子であって、第1端部および第2端部を備え、所定の構成を有する一次抵抗素子と、
前記非導電性基板上の二次抵抗素子であって、前記二次抵抗素子が、前記所定の構成上の複数の所定の接続点にて前記一次抵抗素子に接続される複数のタップを有し、前記複数の所定の接続点が、前記所定の構成の少なくとも一部を通る複数の固有の抵抗経路を画定する、二次抵抗素子と、
非線形分布関数を使用して決定される複数の抵抗値を有する前記複数の固有の抵抗経路と、
を備え
前記非線形分布関数は、べき関数であり、
前記べき関数は、方程式Rsum=R1×αNで表され、Rsumは個々の抵抗器の抵抗値の和であり、NおよびR1は定数であり、Nは状態の合計数であり、R1は測定可能範囲内の抵抗値となり得る選択された値である、センサ。
【請求項2】
前記複数の固有の抵抗経路のそれぞれは、前記センサの特性と関連付けられる、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記複数の固有の抵抗経路の少なくとも1つを画定する、前記所定の構成において接続される前記複数のタップの少なくとも1つは、閉状態に形成され、前記複数のタップの他のすべてのタップは、開状態で形成される、請求項1記載のセンサ。
【請求項4】
前記一次抵抗素子の前記第1端部は、第1接触パッドに接続され、前記一次抵抗素子の前記第2端部は、第2接触パッドに接続され、前記二次抵抗素子の第3端部は、第3接触パッドに接続される、請求項1記載のセンサ。
【請求項5】
前記固有の抵抗経路は、前記第3接触パッドから延び、前記二次抵抗素子を通り、そして前記複数の所定の接続点のうちの1つにて前記一次抵抗素子へと入り、次に、前記一次抵抗素子の少なくとも一部を通り、前記第1接触パッドおよび前記第2接触パッドのうちの1つに至る、請求項記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1接触パッドおよび前記第2接触パッドは、ケルビン接続を構築して、前記第1接触パッドおよび前記第2接触パッドの接触抵抗を補償する一次抵抗経路の抵抗を判定するために使用され得る、請求項記載のセンサ。
【請求項7】
分析物テストセンサであって、
非導電性基板と、
前記非導電性基板上の一次抵抗素子であって、第1接触パッドに接続される第1端部および第2接触パッドに接続される第2端部を有する所定の構成を有する一次抵抗素子と、
前記非導電性基板上の二次抵抗素子であって、複数のタップを有する二次抵抗素子と、
を備え、
前記複数のタップの1つのタップが、前記一次抵抗素子に所定の位置で接続されることによって、閉状態に形成され、一次抵抗ネットワークを通る固有の抵抗経路を画定し、前記複数のタップの残りのタップが、開状態に形成され、それによって、前記一次抵抗ネットワークとの接続が断たれ、前記二次抵抗素子の一部が、二次抵抗素子接触パッドに接続され、前記複数のタップの各タップが、非線形分布を有する複数の所定の抵抗値の1つに関連付けられ
前記非線形分布は、べき関数分布であり、
前記べき関数は、方程式Rsum=R1×αNで表され、Rsumは個々の抵抗器の抵抗値の和であり、NおよびR1は定数であり、Nは状態の合計数であり、R1は測定可能範囲内の抵抗値となり得る選択された値である、分析物テストセンサ。
【請求項8】
前記開状態の前記複数のタップは、レーザを用いてアブレーションされる、請求項記載の分析物テストセンサ。
【請求項9】
前記固有の抵抗経路は、前記分析物テストセンサの特性に関連付けられる、請求項記載の分析物テストセンサ。
【請求項10】
前記第1接触パッドおよび前記第2接触パッドのうちの少なくとも1つは、ケルビン接続を構築して、前記第1接触パッドおよび前記第2接触パッドのうちの少なくとも1つの接触抵抗を補償する一次抵抗経路の抵抗を判定するために使用され得る、請求項記載の分析物テストセンサ。
【請求項11】
バイオセンサ用テストストリップ上に回路を形成する方法であって、
前記方法が、
非導電性基板上に、第1端部および第2端部を含む所定の構成を有する一次抵抗素子を形成することと、
前記非導電性基板上に、前記一次抵抗素子上の所定の接続位置に接続される複数のタップのうちの少なくとも1つを有する二次抵抗素子を形成することと、
を含み、
前記複数のタップのうちの少なくとも1つが、前記一次抵抗素子上の所定の接続位置に接続されることにより、前記一次抵抗素子の少なくとも一部を通る複数の固有の抵抗経路が画定され、前記複数のタップのそれぞれが、抵抗の複数の範囲のそれぞれの1つの内に入る、前記複数のタップのそれぞれに関連する抵抗を有し、抵抗の前記範囲のそれぞれが、非線形分布関数に基づいて決定され
前記非線形分布関数は、べき関数であり、
前記べき関数は、方程式Rsum=R1×αNで表され、Rsumは個々の抵抗器の抵抗値の和であり、NおよびR1は定数であり、Nは状態の合計数であり、R1は測定可能範囲内の抵抗値となり得る選択された値である、方法。
【請求項12】
前記一次抵抗素子上の所定の位置に接続される前記タップ以外の前記複数のタップのすべてがアブレーションされ、それによって、アブレーションされた前記タップが前記一次抵抗素子との接続が断たれる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記一次抵抗素子は、複数の所定の接続位置を含み、前記方法は、前記バイオセンサ用テストストリップに関連する特性に応じて、前記タップに接続される接続位置を選択するステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記複数の固有の抵抗経路のそれぞれは、前記バイオセンサ用テストストリップの特性に関連付けられる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記抵抗の複数の範囲に含まれる抵抗のそれぞれは、前記バイオセンサ用テストストリップの固有の特性に関連付けられる、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許出願番号14/822、963(2015年8月11日出願)に基づき、その優先権を主張するものであり、これは、米国特許出願番号14/542、755(2014年11月17日出願)の一部継続出願であり、これは米国特許出願番号13/194、031号(2011年7月29日出願、現在、米国特許第8、888、973号)の継続である。各特許出願は、その全てが記載されているように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、概して、生体液中の分析物の濃度を測定するために使用される分析物テストセンサに関し、より具体的には、その上に形成されるコード化情報を有する分析物テストストリップに関する。
【背景技術】
【0003】
バイオセンサは、全血、尿、唾液などの生体液の分析を提供する。生体液中の物質の濃度の測定は、多数の健康状態の診断および治療のための重要な手段である。たとえば、血液などの体液中のグルコースの測定は、糖尿病の効果的な治療において重要である。生体液の試料は、直接採取されてもよく、または生体液の派生物であってもよい。典型的には、バイオセンサは、テストストリップ上に配置される生体液の試料を分析するために使用される、使い捨てでない装置または検査計を有する。
【0004】
多くのバイオセンサシステムは、分析の前に、測定装置に較正情報を提供する。測定装置は、典型的に、1つまたは複数のパラメータに応じて生体液の分析を調節するために、この情報を使用する。分析の正確さおよび精密さは、較正情報を使用することにより向上する。較正情報が使用されない場合、測定装置は、分析を完了しない、または生体液中の分析物の濃度の誤った分析を行い得る。
【0005】
そのような検査計/テストストリップのシステムにおいて、適切な試験結果を確実にするために、テストストリップの適切な識別を確保することは、一般的な方法である。たとえば、単一の検査計は、複数の異なる種類のテストストリップの分析が可能であってもよく、各種のテストストリップは、生体液中の異なる分析物の存在または濃度を試験するように設計される。試験を適切に行うために、検査計は、現在使用されているテストストリップに対し、いずれの種類の試験が行われるのかを把握しなければならない。
【0006】
また、テストストリップ中のロットごとの違いにより、通常、正確な試験結果を確保するために較正情報を検査計に読み込ませることが必要となる。そのような較正情報を検査計に読み込ませる一般的な方法は、検査計の対応するスロットまたはソケットに挿入される電子読み取り専用メモリキー(ROMキー)の使用である。この較正データは、テストストリップの特定の製造ロットに対してのみ正確であってもよいため、ユーザは通常、現在使用中のテストストリップのロット番号が、ROMキーがプログラムされたロット番号と一致することを確認するように求められる。
【0007】
テストストリップに関連する情報を有することが望ましい他の多数の例が、当業者には知られている。検査計による読み取りのためにテストストリップ上に情報をコード化するように試みる先行技術には、コード化が可能である情報の量が大きく制限されること、および情報コード化の機能のために、比較的大きいテストストリップの表面積を使用することを含む多くの問題が生じる。
【0008】
したがって、検査計による情報の読取りのために、情報がバイオセンサ上にコード化されることを可能にするシステムおよび方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様は、流体試料中の分析物の存在または濃度を測定するために使用される分析物テストセンサストリップを開示する。テストセンサストリップは、非導電性基板を含む。さらに、テストセンサストリップは、非導電性基板上に形成され、第1端部および第2端部を有する外側または一次抵抗素子を含む。一次抵抗素子は、所定の構成を有し、所定の構成は、一形態では、複数の近位端部および複数の遠位端部を有する蛇行構成である。さらに、内側または二次抵抗素子はまた、非導電性基板上に形成され、所定の構成上の所定の接続点にて一次抵抗素子に接続されるタップを有し、それによって、所定の構成の少なくとも一部を通る固有の抵抗経路が画定される。
【0010】
所定の構成中の固有の抵抗経路は、抵抗の複数の範囲のそれぞれの1つの内に入る、固有の抵抗経路に関連する抵抗を有する。抵抗は、所定の構成上の所定の接続点の位置に基づいてまたは応じて決定される。固有の抵抗経路は、分析物テストセンサストリップの特性に関連付けられる。ストリップの特性とは、ストリップの種類、較正情報、製造情報、国情報などの、ストリップに関連する任意の情報を参照すると広く理解されるべきである。ストリップが使用される計器に伝達することが望ましい、ストリップに係る実質的にあらゆる情報が使用される。
【0011】
それぞれが、異なる特性と相互に関連する抵抗を有する2つ以上の可能な固有の抵抗経路の中から固有の抵抗経路を画定する機会を提供するために、二次抵抗素子は、複数のタップを含む。所定の構成と所定の接続点において接続されるそれぞれのタップが、閉状態で形成または維持され、複数のタップの他のすべてのタップは、開放される、または開状態で形成される。
【0012】
一次抵抗素子の第1端部は、第1接触パッドと接続され、第2端部は、第2接触パッドと接続される。二次抵抗素子は、第3接触パッドと接続される第3端部を有する。固有の抵抗経路は、第3接触パッドから延び、二次抵抗素子を通り、そして複数の所定の接続点のうちの1つにて一次抵抗素子へと入り、次に、一次抵抗素子の少なくとも一部を通り、第1接触パッドおよび第2接触パッドのうちの1つに至る。
【0013】
本発明の別の態様は、流体試料中の分析物の濃度を測定するために使用される分析物テストセンサストリップを開示する。テストセンサストリップは、非導電性基板を含む。一次抵抗素子は、非導電性基板上に形成され、第1端部が第1接触パッドに接続され、第2端部が第2接触パッドに接続される所定の構成を有する。複数のタップを有する二次抵抗素子がまた、非導電性基板上に形成される。複数のタップのうちの1つのタップは、一次抵抗素子と所定の位置において接続されることによって、閉状態で形成および/または維持され、一次抵抗ネットワークの少なくとも一部を通る固有の抵抗経路を画定する。複数のタップの残りのタップは、開放される、または開状態で形成されることによって、一次抵抗ネットワークとの接続が断たれる。二次抵抗素子の一部は、二次抵抗素子接触パッドと接続される。
【0014】
一形態では、開状態のタップは、レーザを用いてアブレーションされる。固有の抵抗経路は、分析物テストセンサストリップの特性に関連付けられる。一形態では、特性は、テストセンサストリップに関連する、線形相関アルゴリズムの傾斜および/または切片などの、1つまたは複数のアルゴリズムの変数に関連する。さらに別の形態では、分析物テストセンサストリップは、非導電性基板上に形成される光学コードを含む。光学コードは、製品の使用期限、製品識別(国または地域)、血液および対照溶液の切片、ストリップのロットの識別、および他の特徴などの、テストセンサストリップに関連する情報を含み得る。さらに、テストセンサストリップはまた、非導電性基板上に形成され、第1測定電極から間隔をおいた関係にある第1測定感知電極を含む第1抵抗ループを含み得る。一形態では、第1測定電極は、一次抵抗素子の第2端部と接続される。
【0015】
本発明の別の態様は、分析物の濃度を測定するために利用されるバイオセンサ用テストストリップを形成する方法を開示する。この態様では、一次抵抗素子は、非導電性基板上に形成され、第1端部および第2端部を含む所定の構成を有する。さらに、二次抵抗素子は、非導電性基板上に形成され、一次抵抗素子上の所定の接続位置に接続される少なくとも1つのタップを有し、それによって、抵抗の複数の範囲のそれぞれの1つの内に入る、一次抵抗素子に関連する抵抗を有する、一次抵抗素子の少なくとも一部を通る固有の抵抗経路が画定される。
【0016】
二次抵抗素子は、複数のタップを含むように形成される。一次抵抗素子上の所定の位置に接続されるタップ以外の複数のタップのすべてがアブレーションされ、それによって、アブレーションされたタップが一次抵抗素子との接続が断たれる。一次抵抗素子は、複数の所定の接続位置を含む。タップに接続される接続位置が、バイオセンサ用テストストリップに関連する特性に応じて選択される。二次および一次抵抗素子を通る固有の抵抗経路は、バイオセンサ用テストストリップの特性に関連付けられる。さらに、抵抗の複数の範囲に含まれる抵抗の各範囲は、バイオセンサ用テストストリップの個別の特性に関連付けられる。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、分析物の濃度を測定するために使用される分析物テストセンサストリップを開示する。テストセンサストリップは、非導電性基板を含む。さらに、テストセンサストリップは、流体の試料中の分析物の定量または定性分析を行うための手段を含む。回路が、非導電性基板上に設けられる。回路は、第1端部と第2端部との間の所定の構成を有する、第1端部と第2端部との間の導電性の一次経路を含む。導電性一次経路は、第1の所定の範囲内に入る抵抗を有する。回路はまた、導電性一次経路の第1端部と第3端部との間の導電性二次経路を含む。導電性二次経路は、複数の開状態のタップおよび閉状態のタップにより実質的に画定される。閉状態のタップは、選択的に第3端部を導電性一次経路に所定の位置で接続し、それによって、第1端部と第3端部との間に、導電性一次経路の少なくとも一部を通る固有の抵抗経路が画定される。固有の抵抗経路は、第2の所定の範囲内に入る第2の抵抗を有する。
【0018】
一形態では、第1の抵抗と第2の抵抗の比率は、分析物テストセンサストリップの特性と選択的に相互に関連する。第1端部は、第1接触パッドと接続され、第2端部は、第2接触パッドと接続され、第3端部は、第3接触パッドと接続される。一形態では、所定の構成は、複数の近位端部および複数の遠位端部を有する蛇行構成を含む。閉状態のタップが、蛇行構成の近位端部のそれぞれに接続される。閉状態のタップを備えるタップが、分析物テストセンサストリップの特性に応じて選択される。
【0019】
別の態様は、流体の試料中の分析物の濃度を測定するための方法を開示する。方法は、検査計を設けるステップ、テストストリップを設けるステップを含み、テストストリップは、非導電性基板と、非導電性基板上にあり、検査計に接続可能な作用電極と、非導電性基板上にあり、検査計に接続可能な対向電極と、作用電極と対向電極との間を橋絡する試薬部と、非導電性基板上にあり、検査計に接続可能な第1端部および検査計に接続可能な第2端部を有する、所定の構成を有する一次抵抗素子と、非導電性基板上にあり、検査計に接続可能な第3端部を有する二次抵抗素子であって、所定の構成上の所定の接続点において一次抵抗素子に接続されるタップを有する二次抵抗素子と、を備え、所定の構成上の所定の接続点において一次抵抗素子にタップが接続されることによって、抵抗値を有する所定の構成の少なくとも一部を通る固有の抵抗経路が画定され、前記方法は、テストストリップを検査計内に受容するステップ、作用電極、対向電極、一次抵抗素子、および二次抵抗素子を、検査計に動作可能に接続するステップ、および固有の抵抗経路に関連する少なくとも抵抗値に関連する測定値に応じてテストストリップに関連する特性を判定するステップを含む。
【0020】
一形態では、一次抵抗素子は、一次素子の抵抗値を有し、特性は、固有の抵抗経路の抵抗値を一次素子の抵抗値と比較することによって求められる抵抗比に応じて判定される。検査計は、分析物に関連する濃度測定出力を特性に応じて出力するように調節される。一形態では、一次抵抗素子の端部は、対向電極に接続される。
【0021】
さらに別の態様は、非導電性基板、および非導電性基板上の回路を含むセンサを開示する。回路は、非導電性基板上の一次抵抗素子であって、第1端部および第2端部を備え、所定の構成を有する一次抵抗素子と、非導電性基板上の二次抵抗素子であって、二次抵抗素子が、所定の構成上の複数の所定の接続点にて一次抵抗素子に接続される複数のタップを有し、複数の所定の接続点が、所定の構成の少なくとも一部を通る複数の固有の抵抗経路を画定する、二次抵抗素子と、非線形分布関数を使用して決定される複数の抵抗値を有する複数の固有の抵抗経路と、を含む。センサは、流体の試料中の分析物の定量および定性分析の少なくとも1つを行うように構成される。
【0022】
本発明の別の態様は、非導電性基板と、非導電性基板上の一次抵抗素子であって、第1接触パッドに接続される第1端部および第2接触パッドに接続される第2端部を有する所定の構成を有する一次抵抗素子と、を備える分析物テストセンサを開示する。テストセンサは、非導電性基板上の、複数のタップを有する二次抵抗素子をさらに備え、複数のタップの1つのタップが、一次抵抗素子に所定の位置で接続されることによって、閉状態に形成され、一次抵抗ネットワークを通る固有の抵抗経路を画定し、複数のタップの残りのタップが、開状態に形成され、それによって、一次抵抗ネットワークとの接続が断たれ、二次抵抗素子の一部が、二次抵抗素子接触パッドに接続され、複数のタップの各タップが、非線形分布を有する複数の所定の抵抗値の1つに関連付けられる。
【0023】
本発明の別の態様は、バイオセンサ用テストストリップ上に回路を形成する方法を開示する。方法は、非導電性基板上に、第1端部および第2端部を含む所定の構成を有する一次抵抗素子を形成することと、非導電性基板上に、一次抵抗素子上の所定の接続位置に接続される複数のタップを有する二次抵抗素子を形成することと、を含み、一次抵抗素子上の所定の接続位置に複数のタップが接続されることにより、一次抵抗素子の少なくとも一部を通る複数の固有の抵抗経路が画定され、複数のタップのそれぞれが、抵抗の複数の範囲のそれぞれの1つの内に入る、複数のタップのそれぞれに関連する抵抗を有し、抵抗の範囲のそれぞれが、非線形分布関数に基づいて決定される。
【0024】
以下において、本発明はさらに、図面中に示される例示的実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】検査計に挿入されるテストストリップを示す図である。
図2】典型的なテストストリップの分解図である。
図3A】生体液中の対象分析物の濃度の測定に使用されるテストストリップを示す図である。
図3B図3aに示されるテストストリップの一部の代替の実施形態を示す図である。
図3C図3aに示されるテストストリップの一部の代替の実施形態を示す図である。
図4図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5A】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5B】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5C】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5D】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5E】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5F】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図5G】複数のアブレーションされたタップを有する、図3aに示されるテストストリップの一部を示す図である。
図6】生体液中の対象分析物の濃度の測定に使用される、別の典型的なテストストリップを示す図である。
図7】生体液中の対象分析物の濃度の測定に使用される、別の典型的なテストストリップを示す図である。
図8】生体液中の対象分析物の濃度の測定に使用される、別の典型的なテストストリップを示す図である。
図9】生体液中の対象分析物の濃度の測定に使用される、別の典型的なテストストリップの一部を示す図である。
図10】生体液中の分析物を測定するために使用される典型的なプロセスのフローチャートである。
図11】2つの符号化抵抗器ネットワークを示す図である。
図12】テストストリップの接触抵抗のクラスタを図示する度数プロットである。
図13】試験に使用される例示的なテストストリップのレイアウトを示す図である。
図14】点CESと点RNETとの間の、共有接続および部分接触抵抗補償の概略図である。
図15】点RTAPと点RNETとの間の、共有接続および部分接触抵抗補償の概略図である。
図16A】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図16B】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図16C】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図16D】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図16E】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図16F】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図16G】均等に分布した抵抗器タップを有する、取り得る状態の1つを表すテストストリップの構成を示す図である。
図17A】例示的なバイオセンサストリップの図である。
図17B図17aの例示的なバイオセンサストリップを概略で示す図である。
図18】1500組のネットワーク測定からの、均等に分布された抵抗器タップの、計算による抵抗比(RTAP−RNET)/(CES−RNET)を示す分布プロットである(エラーバーは、基準の導電性およびトレースのパターンを前提とする計算による比率であり、シミュレーションによる最悪の場合の235オームが含まれている)。
図19】複数の分布法を使用した抵抗比の分布を示す図である。
図20】可能な状態の数に基づく抵抗値の非線形分布における抵抗比の抵抗分布を示す分布プロットである。
図21】線形分布の抵抗比を非線形の抵抗比と比較する分布プロットである。
図22】非線形抵抗分布の値を使用する、例示的テストストリップのレイアウトを示す図である。
図23】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップ中の制御ノードおよび制御点の可能な位置を示す図である。
図24A】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図24B】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図24C】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図24D】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図24E】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図24F】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図24G】非線形抵抗分布の値を使用する、テストストリップの状態の構成を示す図である。
図25】非線形抵抗分布の値を使用する、非均等に分布された抵抗器タップを有する抵抗比の範囲を示す分布プロットである。
図26】各状態0〜6における抵抗比の範囲を示す分布プロットである。
図27】ケルビン測定を可能にする抵抗性タップ回路の可能な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の原理の理解を促すことを目的として、図面に示される実施形態を参照し、その実施形態を説明するために特定の用語を使用する。それでも、本発明の範囲を限定する意図はないことが理解される。図示される装置の代替例および変形例、および図示される、本発明に関連する当業者が通常想定し得ると考えられるような本発明の原理のさらなる適用例は保護されることが望ましい。特に、本発明は、血中グルコースの計器として説明されるが、本発明は、他の分析物および他の試料の種類を測定するための装置と使用され得ることが考えられる。そのような代替の実施形態には、当業者に明白である、本明細書で説明される実施形態への一定の適応が必要とされる。
【0027】
図1を参照すると、全血、尿、唾液などの生体液中の分析物の存在または濃度を測定するために使用される濃度測定装置または検査計10が、そこに取り付けられる分析物テストセンサストリップ12を有して開示される。この形態では、テストストリップ12は、検査計10の接続ターミナル14に、取外し可能に挿入される。テストストリップ12の挿入の際に、検査計10は、以下でより詳細に明記されるように、自動で電源が入り、測定プロセスを開始するように構成される。検査計10は、ユーザに、試験結果を含む各種情報を表示するために使用される電子ディスプレイ16を含む。
【0028】
図2を参照すると、一般的なテストストリップ12が、背景的情報の目的のため示され、複数の構成要素を含んでいる。テストストリップ12は、試験のために試料流体を受容するチャンバを画定する小型本体を備える。この試料受容チャンバは、適切な手段によって、好ましくは毛管作用であるが、任意で圧力または真空の援助により、試料流体で充たされる。試料受容チャンバは、試料流体中の分析物を表示する電気化学的信号を生成するのに適した電極と化学物質とを含む。
【0029】
この図示された形態では、テストストリップ12は、ベース基板20と、スペース層22と、本体カバー26およびチャンバカバー28を含むカバー層24とを含む。スペース層22は、ベース基板20とカバー層24との間に延在する試料受容チャンバを提供するための、空隙部30を含む。ベース基板20は、複数の電極34と、接触パッド38にて終端する電極トレース36とを含む電極システム32を備えている。電極34は、試料受容チャンバ内に位置決めされる電極トレース36の部分として画定される。適切な試薬システム40が、試料受容チャンバ内の電極34の少なくとも一部を覆う。
【0030】
スペース層22を覆う本体カバー26およびチャンバカバー28は、それらの間のスロットを画定し、スロットは、試料流体が縁部開口部または流体受容開口部からチャンバに入ると、チャンバから空気が抜け出すことを可能にするために、試料受容チャンバと連通する通気開口部を画定する。したがって、テストストリップ12は投薬端部42および計器挿入端部44を含む。投薬端部42は、典型的には、ユーザの手助けとなるように、計器挿入端部44と見分けることができる形状である。本体カバー26およびチャンバカバー28は、好ましくは、接着層46により、スペース層22に固定される。さらに、第2接着層48が、スペース層22をベース基板20に固定する。図2に示されるテストストリップ12のより詳細な説明は、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許第7,829,023号明細書に見ることができる。
【0031】
図3aを参照すると、検査計10との使用のために構成される、テストストリップ50の好ましい一形態のより詳細な図が、テストストリップ50の電極システム32を説明するために、スペース層、カバー層、接着層が除かれて示されている。テストストリップ50は、以下でより詳細に説明されるように、複数の電極、トレースおよび接触パッドが形成される非導電性ベース基板52を含む。このような形態は、スクリーン印刷、リソグラフィ、レーザスクライビング、レーザアブレーションなどの数多くの既知の技術のいずれかを用いることによって達成されてもよい。図示する目的のために、広領域レーザアブレーションの技術を用いる形態が、概して、本明細書において説明される。
【0032】
電極、トレースおよび接触パッドの形成の前に、非導電性基板が、その上部表面上を(たとえば、スパッタリングまたは蒸着により)導電層で被覆される。電極、トレースおよび接触パッドは、次に、テストストリップの電気的態様に望ましい設計を画定するマスクを使用するレーザアブレーション処理によって、非導電性基板上に形成される導電層にパターニングされる。レーザアブレーション処理のより詳細な説明は、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許第7,601,299号明細書に説明される。
【0033】
導電層は、純金属もしくは合金、または金属導体である他の材料を含んでもよい。導電材料は、概して、非導電性基板52上の電極、トレースおよび接触パッドを形成するために使用されるレーザの波長において、吸収性である。非限定的な例として、アルミニウム、カーボン、銅、クロミウム、金、酸化インジウムスズ、パラジウム、白金、銀、酸化スズ/金、チタン、それらの混合物、およびこれら要素の合金または金属化合物が含まれる。いくつかの形態では、導電材料は、貴金属もしくは合金、またはそれらの酸化物を含む。
【0034】
テストストリップ50は、非導電性基板52上に形成される作用電極54、作用感知トレース56、対向電極58、および対向感知トレース60を含む。テストストリップ50は、長手方向軸に沿って延在する、遠位端部または反応領域62、および近位端部または接触領域64を含む。以下でより詳細に説明されるように、テストストリップ50は、作用電極54を接触パッド70に接続させるために使用される作用電極トレース54aを含む。さらに、テストストリップ50は、対向電極58を接触パッド80に接続させるために使用される対向電極トレース58aを含む。図示されるように、テストストリップ50の近位端部64は、検査計10の接続ターミナル14と導電的に接続するように構成される複数の接触パッドを含む。一形態では、検査計10は、検査計10に挿入されるテストストリップ50の種類を、たとえば、任意のトレースを含む接触パッドの構成に基づき判定するように構成される。テストストリップ12の遠位端部62は、作用電極54および対向電極58の少なくとも一部を被覆する試薬層66を含む。
【0035】
テストストリップ50の試薬層66は、試料中の対象分析物の存在および/または濃度を表す、検出可能な信号を生成するように、対象分析物と反応するための化学的または生化学的性質の試薬を含んでもよい。本明細書において使用される「試薬」という用語は、試料中の対象分析物の存在および/または濃度を表す、検出可能な信号を生成するように、分析物および/または対象物と反応するための、化学的、生物学的、または生化学的試薬である。種々の検出システムおよび手段における使用に適切な試薬は、たとえば、グルコースなどの様々な分析物の存在および/または濃度を判定するために選択される、様々な有効成分を含む。適当である試薬の選択は、十分に当技術分野の範囲内である。当技術分野において知られるように、様々な対象物のそれぞれとの使用のために利用可能である化学的性質は数多く存在する。試薬は、評価される対象物に対して選択される。たとえば、試薬は、血中グルコースの存在を判定するように選択され得る1つまたは複数の酵素、補酵素、および補助因子を含み得る。
【0036】
試薬の化学的物質は、試薬の性質または特徴を向上させるために、様々な補助剤を含んでもよい。たとえば、化学的物質は、テストストリップ50上への試薬組成物の設置を容易にするための、およびストリップ50への接着を向上させるための、または試料流体による試薬組成物の水和反応の速度を増加させるための材料を含んでもよい。その上、試薬層は、結果として生じる乾燥した試薬層66の物理的性質を向上させるため、および分析のための流体試験試料の取り込みを向上させるために選択された構成要素を含み得る。試薬組成物と共に使用される補助材料の例は、増粘剤、粘性モジュレータ、被膜形成剤、安定剤、バッファ、洗剤、ゲル化剤、充填剤、フォルムオープナ、着色剤、およびチクソ性を付与する薬剤を含む。
【0037】
図3aにさらに示されるように、作用電極トレース54aの近位端部68は、作用電極測定接触パッド70と接続される。作用電極トレース54aの遠位端部72は、作用電極54と接続される。作用感知トレース56の近位端部74は、作用感知測定接触パッド75と接続される。さらに図示されるように、作用感知トレース56の遠位端部76は、作用電極トレース54aの遠位端部72と接続され、それによって、作用抵抗ループが画定される。
【0038】
一形態では、作用抵抗ループは、テストストリップ12の特性に対応する範囲である抵抗値の所定の範囲内の抵抗値を有する。作用抵抗ループを1つまたは別の抵抗値の所定の範囲内に入る抵抗値を有するように形成することは、薄導電層を形成する当技術分野においては、通常技術の範囲内である。それでも、図示する目的のために、金およびパラジウムのような材料の薄層などの導電材料は、導電層の厚さに依存する、特徴的なシート抵抗を有することが知られている。シート抵抗は、実質的には、特定の厚みの特定の材料の特定の構成(たとえば、長さおよび幅)の経路中の予測抵抗の計算のための乗数である。したがって、シート抵抗および/または導電性トレースの構成的態様は、作用抵抗ループなど、特定の経路中の望ましい抵抗を達成するために、変更可能である。
【0039】
したがって、たとえば、50nmの厚みの金層は、1.6オーム/スクエアのシート抵抗を有する。「スクエア」とは、導電経路のアスペクト比の無単位の尺度であり、導電経路において実際的または理論的に決定され得る正方形のシート(幅に基づく)の数に分解される。感知1つの意味においては、導電経路の実効表面積は、スクエアの数として近似される。導電経路において決定され得るスクエアの数にシート抵抗を掛け、導電経路中の予測抵抗を算出する。
【0040】
本発明の文脈において、例証的および例示的実施形態は、典型的には、50nmの厚さの金の層、したがって、1.6オーム/スクエアのシート抵抗という文脈で説明される。したがって、(当業者には明確であるように)本開示の様々な状況において説明される、任意の導電経路に沿った抵抗を操作するために、導電経路の長さまたは幅を変更してもよく(したがって、「スクエア」の数を変えてもよく)、または、特定の導電経路の予測抵抗値を、抵抗値の望ましい範囲内に入るように増加または低下させるために導電層の厚さまたは材料を変更してもよく(したがって、シート抵抗を変更してもよく)、そのような値の範囲は、テストストリップの特性を表す。概して直線状の経路以外の様々なパターニングおよび構成における、特定の導電経路のスクエアの数を決定することは、当技術分野の通常技術の範囲内であり、ここではこれ以上の説明を必要としない。
【0041】
さらに説明すると、本発明の実施形態に含まれる、各種特定される導電経路中の実測による抵抗値は、様々な方法で、テストストリップの1つまたは複数の特性を示す目的のために使用される。この点においては、測定された抵抗値、または測定された抵抗値を含む抵抗値の所定の範囲、または異なる導電経路間の測定された抵抗値の比率は、特定の特性に対応してもよいことが理解される。導電経路の抵抗値を特性に対応させるために、これらの方法のいずれを用いるかは、当業者の裁量の範囲内である。
【0042】
概して、測定された抵抗値自体は、実測による抵抗値が(上記のように算出される)予測抵抗値にほぼ一致するという場合に、有用である。測定値が予測値によく一致しないような製作公差であれば、ある予測抵抗値を有する導電経路が、測定された抵抗値をほぼ確実に有するような抵抗値の所定の範囲を予め定めることが望ましい。その場合、システムは、導電経路の実際の抵抗値を測定し、抵抗値が含まれる所定の範囲を特定し、および特定された所定の範囲をテストストリップの特性と対応させる。最後に、製作公差が、単純に、導電経路の実測の抵抗値の正確な予測に寄与しない場合、または、単純に所望通りである場合、実質的に正規化された値を決定するために、測定された1つの抵抗値と、異なる導電経路中の別の測定された抵抗値との比率を求めることが有用となり得る。正規化された値は、テストストリップの対応する特性を特定するために、測定された抵抗値として同様に使用されてもよく、または、値の1つまたは複数の所定の範囲に対し比較されてもよい。本発明がさらに説明および理解されるのは、概して、この測定、予測、および正規化される抵抗値という文脈においてである。
【0043】
例示目的のみのため、一形態では、作用抵抗ループは、約380.8オームの抵抗値を有する。(この例示的な形態では、50nmの厚さの金が、トレースおよび接触パッドを形成するために使用されること、および作用抵抗ループのトレースおよび接触パッドに関連する表面積が、およそ238スクエアに等しいことが仮定される。そのようにして、作用抵抗ループは、約380.8オームの抵抗値を有する。)一実施形態では、この抵抗値は、所定の範囲内、たとえば250〜450オームであり、ストリップの種類、すなわち、グルコース濃度の判定のために構成されるストリップ上に配置される試薬のような、特性に対応する。例として、作用抵抗ループの抵抗値の異なる所定の範囲、たとえば、550〜750オームは、ケトン濃度の判定などのための異なるストリップの種類に対応してもよい。すべての形態と同様に、および既に説明したように、本明細書において開示されるすべての抵抗値のみならず作用抵抗ループの抵抗値は、たとえば、作用感知トレース56の長さ、幅、および厚さ、ならびに作用感知トレース56を製造するための材料を調節するなど、様々な手段によって調節され得る。たとえば、米国特許第7,601,299号明細書参照のこと。
【0044】
対向電極トレース58aの近位端部78は、対向電極測定接触パッド80と接続される。対向電極トレース58aの遠位端部82は、対向電極58と接続される。その上、対向感知トレース60の近位端部84は、対向感知測定接触パッド86と接続される。対向感知トレース60の遠位端部88は、対向電極トレース58aの遠位端部82と接続され、それによって対向抵抗ループが画定される。一形態では、対向抵抗ループは、抵抗値の所定の範囲内の抵抗値を有し、その範囲はテストストリップ50の特性に対応する。例示目的のみのため、一形態では、対向抵抗ループは、50nmの厚さの金の層およびおよそ240スクエアの表面積の構成に基づき、約384オームの抵抗値を有する。一実施形態では、抵抗値は、所定の範囲内、たとえば、250〜450オームであり、その範囲は、テストストリップの特性に対応する。他の実施形態では、作用抵抗ループの抵抗値は、対向抵抗ループの抵抗値との比率を求められ、その比率の値は、ストリップの種類または地理的な流通市場などの、ストリップの特性に対応する。
【0045】
一般的に理解されるように、電極を「作用」または「対向」電極として指定することは、単に、特定の電界または印加電位が存在する状態において、電気化学測定方法中に陽極または陰極のいずれかとしての、電極の所定の特定の機能または用途を示すものである。当業者は、同様に、そのような電極への言及を、一般的に、第1および第2の測定電極(および対応するトレース、感知トレース、接触パッド、など)として理解し、同様に、そのような電極は、たとえば、公知の技術による投薬量検出電極および/またはサンプル充足電極としての使用のみのために特別に指定される電極とは対照的に、特定の分析物または対象物の測定に関与する。たとえば、米国特許第7,905,997号明細書参照のこと。これらの理解の点から、「作用」および「対向」の指定は、状況の例証および説明のみのために使用され、請求項に記載されようと、そうでなかろうと本発明の範囲を特定の測定電極の機能に限定することを意図しない。
【0046】
概して、分析を開始するために、テストセンサ50は、テストセンサ50の接触パッドのすべてが、接続ターミナル14内の接触ピンに接続されるように、検査計10の接続ターミナル14に挿入される。作用電極54および対向電極58は、血液などの、適当量の流体がテストセンサ50上に設置されるまでは、互いに対し開状態(すなわち、概して互いから電気的に絶縁している)のままである。適当量の流体を試薬層66上に塗布することによって、検査計10によって検出可能な電気化学反応が生じる。
【0047】
一般的には、検査計10は、作用電極54と対向電極58との間に電位差を生むために、作用電極測定接触パッド70および対向電極測定接触パッド80に亘り、所定の電圧を印加し、その結果生じる電流の流れを測定する。電圧の大きさおよび方向は、試薬66と塗布される流体との電気化学反応より生じる、検出される電気的測定化学種の、電気化学活性化電位に基づいて選択される。グルコースの場合、たとえば、直流電位を使用する場合、付加電位差は、典型的には、約+100mVと+550mVの間である。交流電位を使用する場合、これらは、約+5mVと+100mVRMSの間となり得るが、交流電位を印加する目的に応じて、より大きな振幅も有し得る。特に、直流電位または充分に大きい振幅の交流電位から生じる、電流の流れの測定量は、測定される分析物の濃度を示す。このプロセスが動作する方法は、本発明の範囲外であるが当業者には周知である。たとえば、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,727,467号明細書、米国特許第5,122,244号明細書、および米国特許第7,276,146号明細書を参照のこと。
【0048】
作用電極トレース54aおよび対向電極トレース58aにおける寄生IR(電流×抵抗)低下を補償するために、テストセンサ50は、作用感知トレース56および対向感知トレース60を含む。既に説明されたように、作用感知トレース56は、テストセンサ50の遠位端部62にて作用電極トレース54aと接続され、テストセンサ50の近位端部64にて作用感知測定接触パッド75と接続される。対向感知トレース60は、テストセンサ50の遠位端部62にて対向電極トレース58aと接続され、テストセンサ50の近位端部64にて対向感知測定接触パッド86と接続される。
【0049】
一形態では、試験手順中、電位が、対向電極測定接触パッド80に印加されることによって、対向電極58と作用電極54との間に、試薬層66に塗布される生体試料中に存在する分析物の量に比例して電流が生じる。適切な電位が対向電極58に確実に印加されるように、検査計10は、対向感知トレース60に印加される電位(または絶対電位差)が、対向電極58において望ましい電位(または絶対電位差)と同じであることを確実にする回路(図示されず)を含む。典型的には、検査計10は、電流が対向感知トレース60をほとんど流れない、またはまったく流れないことを確実にし、それによって、対向電極58にてみられる電位が、望ましい電位に一致することを確実にする。作用感知トレース56および対向感知トレース60の補償機能に対するより詳細な説明に関しては、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる、共同所有の米国特許第7,569,126号明細書を参照することができる。
【0050】
直接テストストリップ50上に情報をコード化する能力は、テストストリップ50の性能を劇的に向上させ、検査計10との相互作用を高めることが可能である。たとえば、検査計10に、テストストリップ50の複数のロットに適用可能な較正情報またはデータを供給することは、当技術分野では公知である。先行技術のシステムは、読み出し専用メモリキー(ROMキー)に依存しており、キーは、たとえば、テストストリップのバイアルのそれぞれに提供され、テストストリップの適切なバイアルがユーザによって利用されると、検査計10内の対応するソケットまたはスロットに挿入されていた。このプロセスは、ユーザがこのタスクを行うことに依存しているため、タスクが行われるという保証はなく、もし行われても、正しく行われる、または毎回新しいストリップのバイアルが使用される保証がない。人的エラーまたは怠慢の可能性を除去するために、本発明は、事前に設定および記憶された較正データに対応するもののようなコードが、テストストリップ50上に直接設置され得る様々な方法を提供する。そしてこの情報は、検査計10を、精密測定を提供することができるように調節するために、内部記憶装置に記憶される、事前に設定または記憶された較正データを有する検査計10により読み取られてもよい。
【0051】
そのような符号化を達成するために、一実施形態では、テストストリップ50は、基板52の表面上にベース抵抗ネットワーク104を形成する二次または内側抵抗素子100および一次または外側抵抗素子102を含む。二次抵抗素子100の端部は、二次抵抗素子接触パッド103と接続される。一次抵抗素子102は、第1端部106および第2端部108を有し、所定の形状または構成を有する。一形態では、一次抵抗素子102は、蛇行形状またはテストストリップ50の長手方向軸に対し平行に延びる構成を有する。しかし、一次抵抗素子102は、異なる形態においては、他の形状および構成を有してもよいと予想される。一形態では、一次抵抗素子102は、テストストリップ50の特性を示してもよい、抵抗値の所定の範囲内に入る、関連する予測抵抗値を有する。抵抗値は、(以下で規定されるような)第1および第2の一次抵抗素子接触パッド110および112を使用する検査計10によって測定され得る。
【0052】
図3aの実施形態では、一次抵抗素子102の第2端部108が、対向電極トレース58aの近位端部78により画定され、接触パッド112は、概して対向電極接触パッド80と同様に延在する。特定の用途または目的のために別段の要求がない限り、一次抵抗素子102の端部106または108のいずれが作用電極トレース54aの近位端部68または対向電極トレース58aの近位端部78により画定されるかは、設計上の選択の問題であることが理解され、本発明は、端部106および108が、作用電極54および対向電極58、ならびにトレース54a、58aおよびその近位端部68、78の態様とは分離し、別個の構造であるような実施形態を含む。たとえば、図3b参照のこと。対照的には、接触パッド110、112の一方または両方が、接触パッド70、80と同様に延在してもよい実施形態における、電圧補償の目的のための感知トレース56、60の一方または両方の使用に関する上記説明を参照のこと。試薬層66は、参照の便宜上、残りの図面からは除去されているが、本明細書において開示される各テストストリップ50が、実行が望まれる特定の分析に関連する試薬層66を含むことが理解されるべきである。
【0053】
特に、検査計10は、一次抵抗素子接触パッド110、112に亘り電圧を印加し、そして一次抵抗素子102を流れる電流の量を測定することによって一次抵抗素子102の抵抗値を測定することができる。一形態では、一次抵抗素子102に関連する表面積は、およそ1372スクエアに等しい。そのようにして、例示目的のみのため、50nmの厚さの金の層の場合、一次抵抗素子102に関連する予測抵抗値は、約2,195.2オームである。
【0054】
図3cを参照すると、本明細書において開示されるテストストリップ50の別の代表的な部分が示されており、二次抵抗素子100と一次抵抗素子102が、異なる所定の構成を有している。以下で詳細に説明されるように、二次抵抗素子100は、複数の所定の接続点122a〜gにおいて一次抵抗素子102に接続される複数のタップ120a〜gを含む。この代表的な実施形態の他のすべての特徴および態様は、図3a、図4および図5a〜gに関連して図示される実施形態に関連する以下の説明において、同じものである。
【0055】
図3aに示されているテストストリップ50の電気的態様の、非導電性基板52のない簡易図を示す図4を参照すると、二次抵抗素子100は、複数の所定の接続点122a〜gにおいて一次抵抗素子102に接続される複数のタップ120a〜gを含む。図示される形態では、一次抵抗素子102は、近位端部124および遠位端部126を備える蛇行形状または蛇行構成を有する。タップ120a〜gは、一次抵抗素子102の近位端部124にて接続点122a〜gに接続される。特に、タップ120a〜gは、蛇行構成の各段の近位端部にて接続される。しかし、図3cおよび図6に示すように、タップ120a〜gは、他の場所においても一次抵抗素子102に接続され得ることが理解されるべきである。
【0056】
図4に示される形態では、一次抵抗素子102の第1端部130は、第1の一次抵抗素子接触パッド110と接続される。一次抵抗素子102の第2端部132は、対向電極トレース58aと接続され、それによって、一次抵抗素子102の第2端部132が、対向電極接触パッド80に接続される。既に説明されたように、他の形態では、一次抵抗素子102の第2端部132は、対向電極接触パッド80以外の別の接触パッド112に接続され得る。図3bを参照のこと。
【0057】
図3aおよび図4に示されるように、ベース抵抗ネットワーク104は、最初に、広領域レーザアブレーションなどによってテストストリップ50上に電極、トレースおよび接触パッドの全体を形成する最初の工程によって、非導電性基板52上に構築される。以下でより詳細に説明されるように、二次的処理の間、二次的抵抗ネットワーク100のタップ120a〜gのうちの1つを除きすべてを切断することによって、コードが、テストストリップ50上に設置されてもよい。そのようにして、一次抵抗素子102に関して、120a〜gのうちの切断されたタップは、開状態または非導電状態に置かれ、一方で、120a〜gのうちの残りの1つのタップは、閉状態または導電状態に置かれる。切断は、手作業または適切なレーザを用いてのアブレーションもしくはスクライビングなどの他の手段によって達成されてもよい。
【0058】
製造中、テストストリップ50のそれぞれのロットが、その上に形成されるベース抵抗ネットワーク104を有して生産されると、ロット内の各テストストリップ50を適宜符号化し、(1つまたは複数の)特性を検査計10に伝えるために、ロットの1つまたは複数の関連の特性が決定される。たとえば、一実施形態では、ロットからのテストストリップ50のうちの1つまたは複数が、既知の濃度を有する対象分析物を用いて試験される。試験結果は、典型的に、対象分析物の測定に対する、概して直線の関係に基づく、アルゴリズムの傾斜および切片の値、テストストリップ50を使用する最終の測定判定において、どの較正データが検査計10によって用いられるべきであるかなどの較正データを含む特性を示す。テストストリップ50の残りのロットの二次処理において、ベース抵抗ネットワーク104は、テストストリップ50のそのロットに対する較正データに関連するコードをテストストリップ50上に設置するために変更される。
【0059】
一形態では、テストストリップ50のロットに対する較正データを含む特性により、検査計10が、対象分析物の精密測定を提供するために、自動調節することが可能になる。特に、二次処理中にテストストリップ50上に作製される抵抗ネットワークは、アルゴリズムの傾斜および製品の種類などのストリップの性能に関する情報を検査計10に伝達するために使用される。ある特定の実施形態では、二次抵抗素子100は、各状態がテストストリップ50上のコードの少なくとも一部を含む、複数ある取り得る状態のうちの1つのみを示すように変更される。
【0060】
一態様によると、ベース抵抗ネットワーク104は、すべてのタップ120a〜gが、製造の初期設定により閉状態であるように形成される。初期設定状態は、計器10に、特定のテストストリップの種類に対する、いわゆる基準(nominal)コード、たとえば、線形相関アルゴリズムの基準の傾斜の値および/または切片の値を伝える。(以下で説明される)タップ120a〜gのうちの1つを除くすべてをレーザにより後に切断または開状態にすることによって作り出される、複数ある他の取り得る状態のそれぞれは、次に、増加する調節値を、基準コード、または基準コードを使用するアルゴリズムから算出される値へと伝達してもよい。たとえば、タップ120a〜gの場合、1つのタップのみが閉状態のままである、取り得る状態が7つ存在する。そのような状態のそれぞれは、正または負の因子(たとえば乗数)を表してもよく、因子は、計器10に伝達されると、特定のストリップのロットが基準コードと比較してどのように評価されるかによって、算出された出力を上方向または下方向に調節するために、計器によって利用される。したがって、状態1〜3は、それぞれ乗数−1%、−2%、および−3%を表してもよく、一方、状態4〜7は、それぞれ乗数+1%、+2%、+3%および+4%を表してもよい。そのような実施形態は、計器10に事前に記憶され、そして計器により相関アルゴリズムにおいて利用される、1組のコードの値(たとえば、傾斜および切片)をそれぞれが表す複数の状態の代替を提供する。
【0061】
代替の形態では、タップ120a〜gのすべては、一次処理中に、アブレーションされてもよい、または開状態に置かれてもよい。この形態では、それぞれのタップ120a〜gは、テストストリップ50のロットの試験結果に応じて、二次処理中に閉状態に置かれる。閉状態に置かれる必要があるタップ120a〜gは、二次処理中に、インクジェット印刷、はんだ付け、滴下分注、スクリーン印刷、伝導テープ処理などによって、閉状態に置かれてもよい。他の代替の形態では、テストストリップ50を形成するために使用されるマスクは、タップ120a〜gのうちの1つが閉状態に置かれ、残りが開状態のままであるように既に形成されてもよく、それによって、テストストリップ50の二次処理の必要性が除去される。
【0062】
図5aを参照すると、テストストリップ50の二次処理中に、ベース抵抗ネットワーク104は、テストストリップ50に関連する特性を示すコード情報がテストストリップ50上に設置されるように変更される。既に説明されたように、変更されたベース抵抗ネットワーク104は、アルゴリズムの傾斜および製品の種類などの、ストリップの性能に関する基本情報を検査計10へと転送するために利用されてもよい。図5aに示されるように、二次処理中、この例示的実施形態ではタップ120a〜fである、タップ120a〜gのうちの1つを除くすべては、レーザによってアブレーションされ、それによって、テストストリップ50が製造されてもよい、第1の状態(状態1)が画定される。特に、状態1では、タップ120gのみが、位置122gにて一次抵抗素子102に接続されたままであり、それによって、一次抵抗素子102の一部を通る二次抵抗素子100の第1の固有の抵抗経路が画定される。それにより、アブレーションされたタップ120a〜fが開状態に置かれ、アブレーションされていないタップ120gが閉状態に置かれ、それによって、電流が二次抵抗素子100を通って一次抵抗素子102の選択された部分内へと流れることが可能になる。
【0063】
図5aに示されるように、第1の固有の抵抗経路は、アブレーションされていないタップ120g、および位置122gと第2端部132にある接触パッド112との間の一次抵抗素子102の一部を含んで、二次抵抗素子100を通して、二次抵抗素子接触パッド103から画定される。第1の固有の抵抗経路は、少なくとも部分的には、アブレーションされていないタップ120gおよび一次抵抗素子102の一部によって画定される。一形態では、図示する目的のために、状態1では、第1の固有の抵抗経路は、それに関連する、約38.4オームの抵抗値を有する。明確に例示するために、第1の固有の抵抗経路は、図5a中、接触パッド103と接触パッド112との間に、斜線による陰影で示されている。
【0064】
以下で説明されるすべての形態と同様に、第1の固有の抵抗経路に関連する抵抗値は、二次抵抗素子接触パッド103および(対向電極接触パッド80と同様に延在して図示される)接触パッド112を使用して、検査計10により測定され得る。具体的には、抵抗値は、所定の電圧を、二次抵抗素子接触パッド103および接触パッド112に亘り印加し、結果として生じる、第1の固有の抵抗経路を流れる電流の流れを測定し、そして、オームの法則R=V/Iに従って抵抗を算出することによって、検査計10により測定され得る。
【0065】
代替的に、第2の固有の抵抗経路は、状態1により、アブレーションされていないタップ120g、および位置122gと第1端部130にある一次抵抗素子接触パッド110との間の一次抵抗素子102の一部を含んで、二次抵抗素子100を通して、二次抵抗素子接触パッド103から画定される。この代替の形態では、第2の固有の抵抗経路は、それに関連する、約2182.4オームの抵抗値を有する。以下で説明されるすべての形態と同様に、各状態の第2の固有の抵抗経路に関連する抵抗値は、二次抵抗素子接触パッド103および一次抵抗素子接触パッド110を使用して、検査計10により測定され得る。抵抗値は、所定の電圧を、二次抵抗素子接触パッド103および一次抵抗素子接触パッド110に亘り印加し、結果として生じる、第2の固有の抵抗経路を流れる電流の流れを測定し、上記のように抵抗を算出することによって、検査計10により測定され得る。
【0066】
図5b〜5gを参照すると、各状態の第1および第2の固有の抵抗経路をそれぞれ含む追加の状態(たとえば状態2〜7)が、いずれのタップ120a〜120fがアブレーションされないままであるかを基準に画定されてもよい。各例において、第1の固有の抵抗経路は、特定の(図5b〜5gにそれぞれ示されるような)アブレーションされていないタップ120f〜120a、および特定の位置122f〜122a(のそれぞれ)と第2端部132にある接触パッド112との間の一次抵抗素子102の一部を含んで、二次抵抗素子100を通して、二次抵抗素子接触パッド103から画定される(明確に例示するために、第1の固有の抵抗経路は、図5b〜5gのそれぞれにおいて、接触パッド103と接触パッド112との間に、斜線による陰影で示されている)。反対に、各例において、第2の固有の抵抗経路は、特定の(図5b〜5g中にそれぞれ示されるような)アブレーションされていないタップ120f〜120a、および特定の位置122f〜122a(のそれぞれ)と第1端部130にある接触パッド110との間の一次抵抗素子102の一部を含んで、二次抵抗素子100を通して、二次抵抗素子接触パッド103から画定される。
【0067】
さらなる例証の目的のため、表1は、図5a〜5gに示される状態1〜7のそれぞれにおいて画定される第1および第2の固有の抵抗経路(「URP」)に関連する例示的な抵抗値を説明しており、経路は、50nmの厚さの金で形成されている。他の材料、厚さ、および経路の構成は、各状態において、異なる、関連の抵抗値を有することが理解される。
【0068】
【表1】
【0069】
図5a〜5gに関して説明されるように、本明細書において開示されるテストストリップ50は、製品性能の少なくとも7つの基本状態、およびテストセンサストリップ50上の抵抗トレースの比較分析からの特性情報を送信するように、製造中に構成され得る。個別の抵抗値が、例証的な形態で既に説明され、予測抵抗値に関して既により詳細に説明されているが、いくつかの実施形態では、これらの値は、製造工程におけるばらつきのため多少変わり得ることが理解されるべきである。このように、二次処理中にテストストリップ50が製造され得る各状態は、典型的に、抵抗値の範囲内に入る。したがって、一実施形態では、個別の抵抗値自体よりもむしろ抵抗値の各個別の範囲が、テストストリップ50の状態に対応する。たとえば、一形態では、第1の固有の抵抗経路の抵抗値は、状態1では20〜150オームの範囲内に入ってもよく、状態2では、310〜450オームの範囲に入ってもよく、以下同様である。
【0070】
抵抗、ならびにテストストリップ50および検査計10の内部の電子装置の構成の温度などの他の要素を測定するために使用される方法は、検査計10により測定される抵抗に影響を及ぼし、それによって、使用されてもよい抵抗の各個別の範囲の大きさを最小化し得る。たとえば、測定された抵抗は、検査計10の内部の少なくとも1つのスイッチの抵抗も含んでもよく、スイッチの抵抗は、スイッチの温度および製作公差に依存して変化する。一実施形態では、内部のスイッチの抵抗および接触抵抗(すなわち、計器の接触ピンによる特定の接触パッドへの接触に由来する抵抗)が考慮され、したがって、自動で、一次抵抗素子102および二次抵抗素子100のそれぞれの抵抗値の計算において補償される。
【0071】
他の形態では、検査計10は、抵抗値と、テストストリップ50上での少なくとも1つの他の抵抗値との比率が求められる、またはそれらが比例的に比較される方法で、テストストリップ50の状態を判定するように構成されてもよい。そのようにして、検査計10は、二次抵抗素子100および一次抵抗素子102を通る第1または第2の固有の抵抗経路の抵抗値を測定し、それをテストストリップ50の測定された別の抵抗値と比較するように構成され得る。たとえば、検査計10は、テストストリップ50の状態を判定するために、二次抵抗素子102および一次抵抗素子102の第1または第2の固有の抵抗経路の測定された抵抗値と、一次抵抗素子102、作用抵抗ループ、および対向抵抗ループのうちの1つまたは複数の測定された抵抗との比率を求め得る。
【0072】
図3aを再度参照すると、別の形態では、テストストリップ50には、光学2次元コード200が、テストストリップ50の近位端部64上に設けられる。いくつかの形態では、検査計10には、検査計10が光学2次元コード200を読み取ることを可能にする光学コードリーダ(図示されず)が設けられる。光学2次元コード200により提供されてもよい追加情報は、製品の使用期限、製品識別(国または地域)、血液および対照溶液の切片、ストリップのロットの識別、ならびに他の特徴であってもよい。
【0073】
図6を参照すると、本明細書において開示される特徴を組み込んでもよいテストストリップ50の別の典型的な形態が開示される。この形態では、類似の番号を有する要素は、同じ特徴に対応し、一次抵抗素子102は、異なる蛇行形状を有する。特に、テストストリップ50の長手方向軸に対し平行に延びる代わりに、蛇行構成は、テストストリップ50の長手方向軸に対し直角に延びる。この構成はまた、二次抵抗素子100の接続点122a〜gが、一次抵抗素子102に接続する場所を変更する。さらに、二次抵抗素子100のタップ120a〜gは、テストストリップ50の長手方向軸に対し直角に配向される。
【0074】
この形態では、一次抵抗素子102の第2端部132は、第2の一次抵抗素子接触パッド210と接続される。図3aに示される前述の形態では、一次抵抗素子102の第2端部132は、(接触パッド112と同様に延在するように示される対向電極接触パッド80を有する)対向電極トレース58aで形成される。しかし、既に説明したように、一次抵抗素子102の第2端部132は、図6に示すように、対向電極トレース58aおよび対向電極接触パッド80とは別個に、接触パッド210と接続され得る。図3aに示される形態と同様に、テストストリップ50の二次処理の間、タップ120a〜gのうちの1つを除くすべてが、テストストリップ50を、あらかじめ規定される状態(たとえば状態1〜7)に置くために、アブレーションされる。この形態では、検査計10は、第1の一次抵抗素子接触パッド110および第2の一次抵抗素子接触パッド210を使用して、一次抵抗素子102の抵抗を判定するように構成される。他のすべての特徴は、図3aに示される形態に関連して説明されたものと同じである。
【0075】
図7を参照すると、作用抵抗ループ内に作用感知蛇行線220を含むテストストリップ50の別の形態が示される。この形態では、作用感知蛇行線220は、テストストリップ50の特性に関連するテストストリップ50に関する追加情報をコード化するために使用される。示されるように、作用感知トレース56は、図示される実施形態では、テストストリップ50の遠位端部62上に位置する作用感知蛇行線220を含むように形成されている。作用感知蛇行線220は、作用抵抗ループが、ある抵抗の範囲内に入る所定の抵抗値を有して選択的に形成されることを可能にする。抵抗値は、作用感知蛇行線220の有無に応じて変化してもよく、作用感知蛇行線220が存在する場合は、また、テストストリップ上の作用感知蛇行線220を形成するために使用される幅、長さ、厚さ、および導電材料に応じて変化してもよい。作用抵抗ループの抵抗値は、検査計10により、作用感知測定接触パッド75および作用電極測定接触パッド70に亘り所定の電圧を印加し、そして、その結果生じる電流の流れを測定し、それに応じて抵抗を算出することで、測定され得る。
【0076】
図8を参照すると、対向抵抗ループ中に対向感知蛇行線230を含む、テストストリップ50の別の形態が示されている。図7に示される形態と同様に、この形態では、対向感知蛇行線230は、テストストリップ50の特性に関するテストストリップ50に対する追加情報をコード化するために使用される。対向感知トレース60は、図示される実施形態では、テストストリップ50の遠位端部上に位置する対向感知蛇行線230を含むように形成されている。対向感知蛇行線230は、対向抵抗ループが、ある抵抗の範囲内に入る所定の抵抗値を有して選択的に形成されることを可能にする。対向抵抗ループの抵抗値は、検査計10により、対向感知測定接触パッド86および対向電極測定接触パッド80に亘り所定の電圧を印加し、そして、その結果生じる電流の流れを測定することで、測定され得る。
【0077】
図9を参照すると、テストストリップ50の少なくとも2つの特性に関する情報を用いて符号化される、分析物の濃度を試験するように構成されるテストストリップ50の代替の形態が開示される。この形態では、第1抵抗素子300が、たとえば、対向電極接触パッドのような第1接触パッド302と第2接触パッド304との間に画定される。図示されるように、タップ308a〜lの第1の組を含む第2抵抗素子306が、第1抵抗素子300と接続される。前述の形態と同様に、タップ308a〜lの第1の組のうちの1つを除くすべては、アブレーションされており、それによって、タップ308a〜bおよび308d〜lが、開状態に置かれる。タップ308cは、閉状態であり、それによって、第3接触パッド310から第2抵抗素子306および第1抵抗素子300の少なくとも一部を通過し、第1接触パッド302へと至る第1の固有の抵抗経路が画定される。第3接触パッド310から、第2抵抗素子306、および第1抵抗素子300の少なくとも一部を通過し、第2接触パッド304へと至る第2の固有の抵抗経路もまた、画定される。この形態では、タップ308a〜lのいずれが閉状態に置かれるかに応じて、第1および第2の固有の抵抗経路により、最大で12までの状態が画定され得る。
【0078】
タップ314a〜lの第2の組を含む第3抵抗素子312もまた、第1抵抗素子300と接続される。あらためて、タップ314a〜lの第2の組のうちの1つを除くすべてが、アブレーションされており、それによって、タップ314a〜dおよび314f〜lが開状態に置かれる。例示目的のみのため、タップ314eが、閉状態に置かれており、それによって、第4の接触パッド316から、第3抵抗素子312、および第1抵抗素子300の少なくとも一部を通過し、第1接触パッド302へと至る第3の固有の抵抗経路が画定される。第4の接触パッド316から、第3抵抗素子312、および第1抵抗素子300の少なくとも一部を通過し、第2接触パッド304へと至る第4の固有の抵抗経路もまた、画定される。この形態では、タップ314a〜lのいずれが閉状態に置かれるかに応じて、第3および第4の固有の抵抗経路により、最大で12までの状態が画定され得る。第3抵抗素子312に関連するタップ314a〜lの数により、テストストリップ50上でいくつの状態が画定され得るかが決定される。他の形態では、テストストリップに関する追加情報を符号化するために、追加の抵抗素子、接触パッドおよびタップが、テストストリップ上に設置され得る。
【0079】
図5a〜5gおよび図10を参照し、検査計10が生体液中の分析物の濃度を測定することを可能にする典型的なプロセスの概要が説明される。プロセスは、テストストリップ50を検査計10に挿入する(ステップ340)ことから始まる。この形態では、検査計10は、テストストリップ50が検査計10に挿入されると、自動で電源が入るように構成される。この時点で、検査計10は、ステップ342に表される、テストストリップ50に関連する少なくとも1つの特性を確認するために、ベース抵抗ネットワーク104の導電性を測定するように構成される。一形態では、検査計10は、二次抵抗素子接触パッド103および(第1または第2の固有の抵抗経路のいずれが問い合わせされるかに応じて)接触パッド110、112のうちの1つに亘り所定の電圧を印加し、その結果生じる電流の流れを測定して、抵抗を算出し、テストストリップ50の状態(たとえば、状態1〜7のうちの1つ)を判定するように構成される。既に説明されたように、テストストリップ50の状態は、二次抵抗素子100を画定する第1または第2の固有の抵抗経路のいずれかに関連する第1の抵抗値の関数として判定される。
【0080】
他の形態では、検査計10はまた、一次抵抗素子102に関連する第2の抵抗値を判定するように構成される。この形態では、検査計10は、一次抵抗素子接触パッド110、112に亘り所定の電圧を印加し、その結果生じる電流の流れを測定し、それに応じて抵抗を算出するように構成される。そして検査計10は、第1の抵抗値(すなわち、選択される固有の抵抗経路に関連する抵抗)と、第2の抵抗値(すなわち、一次抵抗素子102に関連する抵抗)の比率を算出し、次に、検査計10の記憶装置に事前に記憶されるルックアップテーブルなどにより、この比率をテストストリップ50の特性に相互に関連付ける。既に説明されたように、一形態では、このプロセス中に検査計10が判定する特性は、テストストリップ50の特定のロットに対し判定されるアルゴリズムの傾斜および切片との相関関係を示す。
【0081】
検査計10が特性を判定すると、検査計10は、ステップ344に表されるように、特性に関する情報を自動で利用するように構成される。たとえば、一実施形態では、検査計10は、挿入されているテストストリップ50に特有の、特定の種類の試験を行うように指示される、または、検査計10は、テストストリップのロットのための事前に記憶された較正情報に従って計器を較正する。検査計10は、ステップ342にて判定される特性の関数として構成される。したがって、較正の実施形態では、テストストリップ50の判定された状態に応じて、検査計10は、検査計10に挿入されている特定の種類のテストストリップ50のために検査計10が調節されることを可能にする、記憶装置に記憶されるアルゴリズムの傾斜を含む。これにより、検査計10は、ユーザに試験プロセス中に検査計10と相互作用させる必要なく、より精密な結果を提供することが可能になる。
【0082】
検査計10が、コード化された特性情報に従って構成された後、ユーザに血液を、たとえばステップ346に表されるテストストリップ50に塗布するように促すことなどによって、測定シーケンスを開始する準備が整う。血液がテストストリップ50に塗布されると、検査計10は、ステップ348に表される、血中グルコース測定サイクルを開始する。検査計10が血中グルコース測定サイクルを実行した後、検査計は、結果をディスプレイ16に表示するように構成される(ステップ350)。この説明的な例は単に基本的な例であること、および検査計10は他の多くのタスクも行うように構成されることが理解されるべきである。たとえば、検査計10は、ユーザが、過去の試験結果を閲覧できるように、試験結果を記憶装置に記憶するように構成され得る。
【0083】
本明細書において使用されるように、アブレーションという用語は、たとえば、切断、研磨、または蒸発によって行われ得る、除去または破壊することを意味するように広く解釈されるべきである。一形態では、タップ120a〜gの少なくとも一部が、半導体励起固体レーザまたはファイバレーザであってもよいレーザによりアブレーションされる。例示的な形態では、半導体励起固体レーザは、355ナノメートルの半導体励起固体レーザであり、ファイバレーザは、1090ナノメートルのファイバレーザである。
【0084】
二次抵抗素子100の図示される実施形態は、タップ120a〜gのいずれが閉状態のままにされるかに応じて7つの状態を取り得ることを示している。状態の数は、要望または必要に応じて、タップ120をベース抵抗ネットワーク104の設計に追加、または設計から除去することによって増加または減少されてもよく、それに応じて所定の接続点122の数が増加または減少することは、当業者には理解される。
【0085】
上述のように、一連の抵抗器タップが、テストストリップ50上の抵抗器のネットワークに沿って作製されてもよく、それによって、全体のネットワークに沿う1つまたは複数のタップの選択が可能となってもよい。抵抗器タップの使用により、テストストリップ50に使用される層のような、緩く制御される導電層中に精密な抵抗器を作製することに関連する制限に対処することができる。たとえば、基板上の可用空間、間隔の要件、トレースの材料などはすべて、緩く制御される導電層中に精密な抵抗器を設計する能力を制限し得る。ネットワークの全体に沿った複数のタップを使用する、2つ以上の関連する回路を作製することで、回路は、別個に測定され、テストストリップにおけるばらつきの影響を制御する、望ましい比率で配置され得る。たとえば、導電性のばらつき、温度のばらつき、接触抵抗のばらつきなどが、補償または制御され得る。さらに、テストストリップ50上で使用されるような、小さな抵抗を測定する場合、寄生(直列)抵抗が、測定に影響を及ぼし得る。その上、接触抵抗は、テストストリップ50上にあるもののような、可撓性基板上の、比較的軟質の材料の薄層を使用して制御することが困難となり得る。複数のタップを介して選択可能な抵抗の非線形の分布を可能にすることにより、接触抵抗に関連する感度が低下し得る。いくつかの実施形態では、1つのタップのみが、正常のままとなり得る。代替的に、すべての接触抵抗が、適切に補償される場合、および/または測定された抵抗と比較して有意でない場合、タップの組み合わせが、正常のままとなり得る。
【0086】
次に、図11を見ると、2つの抵抗器ネットワーク1100が示されている。この構成では、符号化抵抗器は、第1抵抗器R1および第2抵抗器R2から成る。この構成では、レジスタに符号化された情報を判定するために、2つの抵抗器の測定(R1およびR2)のみが必要である。これは、符号化抵抗器(R1およびR2)のそれぞれを個別に測定することによって達成され得る。代替的に、個別の符号化抵抗(R1またはR2)よりも小さい、全体の符号化抵抗ネットワーク(R1+R2)は、情報を符号化するために使用され得る。符号化された情報は、次に、材料の導電性および/または温度感応性の影響を制御または最小にするために、抵抗の比率を判定することによって計算され得る。以下のような、抵抗素子(R1R2)の比率の例であってもよい。
【0087】
【数1】
【0088】
可能である比率計算のいずれが選択されるかに関わらず、符号化抵抗器R1およびR2は、概して、複数の接続点のそれぞれに関連する接触抵抗と共に測定されてもよい。接続点RNET1102、RTAP1104、および接続点CES1106が、図11に見られる。接続点RNET1102は、R(RNET)で表される接続抵抗を有し、接続点RTAP1104は、R(RTAP)で表される接続抵抗を有し、および接続点CES1106は、R(CES)で表される接続抵抗を有する。この構成では、RAおよびRBが、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)よりも有意に大きい場合、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)は、有意ではない。1つの非限定的な例では、R1およびR2は、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)よりも有意に大きく、R1およびR2は、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)の10倍よりも大きい値を有する。代替的に、いくつかの構成では、R1およびR2は、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)の10倍よりも小さい値を有し得る。しかし、R1およびR2が、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)よりも有意に高い抵抗値を有していない場合、接触抵抗R(RNET)、R(RTAP)、R(CES)は、符号化抵抗R1およびR2を圧倒し得る。この状況では、寄生接触抵抗を考慮または軽減するために、別の実施が使用されてもよい。
【0089】
特に、図12は、実際のテストストリップの接触抵抗1200のクラスタを示している。図13は、図12中のデータを収集するために使用されるテストストリップ1250の構成を示している。テストストリップ1250は、8つの接続点を有する。しかし、テストストリップ1250は、8つ以上または以下の接続点を有し得ることが理解されるべきである。テストストリップ1250は、8つの接続点を用いて形成される、4つのループ抵抗を有し得る。第1抵抗ループ1252は、接続点WESとWEとの間に形成されるループであってもよい。第2抵抗ループ1254は、接続点RNETとRTAPとの間に形成されてもよい。さらに、第3抵抗ループ1256は、接続点CEとCESとの間に形成され得る。第4抵抗ループ1258は、接続点CESとRNETとの間に形成されてもよい。
【0090】
次に、図12に戻ると、テストストリップの接触抵抗が、図13に示される50個のストリップ上で測定された。この例では、ストリップのそれぞれは、室温で測定された。適切に構成されたバイオセンサ検査計が先ず、抵抗ループ1252、1254、1256を測定するために使用された。代替的に、各接触部への冗長の接続が、抵抗ループ1252、1254、1256を測定するために、4端子デジタルオームメータ(ケルビン接触/接続)を実施するために使用された。そして検査計と4端子デジタルオームメータとの間の差異が、各抵抗ループ1252、1254、1256に対して計算された。結果を、図12に示す。データによると、試験接触抵抗の平均値1202は、典型的には、1接触あたり約1オームである。
【0091】
このように、接触抵抗の影響を減少するためのシステムおよび方法は、4端子抵抗測定装置を用いて抵抗を測定することによって、作成され得る。しかし、4端子測定法を用いるときは、追加の接触ワイヤ、接触パッド、またはパッドごとの接触点が必要になることが多い。これにより、コネクタの接触密度、接触ピッチ、および/または製作公差における、余分な、望ましくない冗長および複雑さが生じ得る。これにより、バイオセンサの誤差が生じ得る。
【0092】
ケルビン接触/接続(リモートセンシングまたは4探針)を使用することは、未知の負荷インピーダンスのより正確な測定を可能にするための、通電および電圧感知電極リード線またはワイヤの別個の組を有する電気的インピーダンス測定法であることが、当業者には理解される。遠隔に接続される1組の検知リード線を追加することで、励起回路が、負荷において、または負荷の近傍で動的に利用可能である真の電位を検出することが可能になる。励起回路は、検知された電位誤差信号に基づいて、電源を能動的に調節する、または電位を強制するように構成され、これにより、典型的に、誤差信号がゼロに向かって動かされる。次に、望ましい電位は、リード線および負荷の抵抗の広い範囲に亘る負荷にて、能動的に維持される。これは、電源電位を、望ましい電位差V+I×RWIREへと増加させることによって達成され得る。このスキームにより、電源と負荷の感知接続との間の通電路内のIR損が効果的に補償され得る。この操作方法は、より動的な励起および負荷に類似である。しかし、このスキームは概して、電流およびワイヤの抵抗の大きさに関連する励起回路の調節範囲および速度により制限されている。さらに、バイオセンサのような装置においては、空間が要素になり得ることが多く、ケルビン接触/接続は、追加の接触、パッド、またはパッドごとに二重の接触を必要とすることが多いが、それは常に実行可能であるとは限らない。
【0093】
次に図14を見ると、CES1402およびRNET1404の接触部にて終端する抵抗器ネットワークを測定するように設計される、共有接続および部分接触抵抗補償スキーム1400が示されている。接触点CES1402およびRNET1404は、第1抵抗ループ1406を形成し得る。抵抗器ループ1406の第1端部は、上記のように、生体試料に対する電気化学反応を促進するために、電気化学セル(図示されず)と共有される1つまたは複数の接触部に接続されてもよい。一例では、抵抗器ループ1406の第1端部は、CES1402の接触点である。一構成では、CES1402の接触点は、ドライバ回路1408により作動され得る。ドライバ回路1408は、4端子抵抗測定装置のドライバ回路であってもよい。代替的に、ドライバ回路1408は、検査計10に含まれる4端子抵抗測定回路1410のドライバ回路であってもよい。ドライバ回路1408は、電圧信号を供給することにより、接触点CES1402を作動してもよく、それによって第1抵抗ループ1406が励起される。接触点RNET1404は、電圧信号を制御するための基準点として機能を果たしてもよい。接触点RNET1404はまた、4端子抵抗測定回路1410の増幅器1412および1414上の反転入力内に連結され得る、補償されていない負の感知点として機能してもよい。この接続スキームは、接触パッドCES1402の接触抵抗を補償し得る。この接続スキームはまた、接触点CES1402と端点1416との間のリード抵抗を補償し得る。接触点CES1402の接触抵抗、および接触点CES1402と端点1416との間のリード抵抗を補償することにより、4端子測定回路1410が、接触点RNET1404の接触抵抗を含む、端点1416と接触点RNET1404との間の抵抗を判定し得る。接触点RNET1404をリターン経路および補償されていない負の感知点の両方として使用することで、図1の検査計10に追加の接続点または追加の試験用リード線を追加することなく、ケルビン式の抵抗測定が得られ得る。
【0094】
次に図15を見ると、別の共有接続および部分接触抵抗補償スキーム1500が示されている。この共有接続および部分接触抵抗補償スキーム1500は、接触点RTAP1502および接触点RNET1504にて終端する抵抗器ネットワークを測定することができる。接触点RTAP1502およびRNET1504は、第1抵抗ループ1506を形成し得る。抵抗ループ1506の第1端部は、上記のように、生体試料に対する電気化学反応を促進するために、電気化学セル(図示されず)と共有される1つまたは複数の接触部に接続され得る。一例では、抵抗ループ1506の第1端部は、接触点RTAP1502である。一構成では、接触点RTAP1502は、ドライバ回路1508によって能動的に作動され得る。ドライバ回路1508は、RTAP1502、RNET1504、およびCES1520にて測定を行う3端子抵抗測定装置のドライバ回路であってもよい。代替的に、ドライバ回路1508は、図1の検査計10に含まれる4端子抵抗測定回路1510のドライバ回路であってもよい。ドライバ回路1508は、電圧信号を供給することによって接触点RTAP1502を作動してもよく、それによって第1抵抗ループ1506が励起される。その後に、接触点RNET1504は、電圧信号のリターン経路としての機能を果たし得る。接触点RNET1504はまた、4端子抵抗測定回路1510の増幅器1512および1514上の反転入力内に連結され得る、負の感知点または基準として機能し得る。この接続スキームは、接触パッドRTAP1502の接触抵抗を補償し得る。この接続スキーム1500はまた、接触点RTAP1502と、上記のように、いずれのトレース(タップ)が切断されているかに応じて、複数の端点1516a〜fのうちの1つとの間のリード抵抗を補償し得る。いずれのトレースも切断されていない場合、接続スキーム1500は、接触点RTAP1502と端点1518との間のリード抵抗を補償し得る。接触点RTAP1502の接触抵抗、および接触点RTAP1502と端点1516a〜fのうちの少なくとも1つとの間のリード抵抗を補償することにより、4端子測定回路1510は、接触点RNET1504の接触抵抗を含むが、RTAP1502の接触抵抗および接触点CES1520から端点1518または端点1516a〜fまでのトレース抵抗は含まない、接触点RNET1504と複数の端点1516a〜fのうちの1つとの間の抵抗を判定することができる。上記の配置は、既存の測定リソースおよび技術を用いながらも、1つまたは複数のケルビン接続が共有のトレースにより作成されることを可能にすることによって、抵抗測定の正確さの向上を可能にし得る。その上、上記の接続スキーム1400および1500は、バイオセンサの物的資産の追加または計器の電子部品の変更をほとんどまたはまったくなしに、抵抗の測定の正確さの向上を提供し得る。いくつかの例では、計器の電子部品は、プログラム可能なアナログスイッチマトリクスおよび/または適切なスイッチ制御を含むことによって変更され得る。
【0095】
次に図16A〜Gを参照すると、複数のテストストリップ1600a〜gが見られる。複数のテストストリップ1600a〜gは、情報を符号化するためのタップ1604a〜gを有する抵抗器ネットワーク1602a〜gの7つの主要な状態を表す。テストストリップ1600gのすべてのトレース経路は、タップ1604gのいずれも切断されず、正常である。テストストリップ1600gは、基準または初期設定の製造時の構成である、すべてのタップ1604a〜gが一次抵抗ループに接続される状態0を表し得る。テストストリップ1600a〜fは、製造工程の完了後に選択されてもよい6つの一次変更を表し、および6つの利用可能であるタップ1604a〜fの1つを除くすべてを切断することを特徴とする材料を表す。テストストリップ1600a〜fは、動作状態1〜6を表す。テストストリップ1600a〜fのそれぞれにおいて、タップトレース1604a〜gの1つを除くすべてが、上記のように切断されている。
【0096】
一構成では、タップ1604a〜fは、レーザを使用して切断され得る。たとえば、タップ1604a〜fは、小さな線形の地点を焦点とする、450nmの波長の単一レーザダイオード放射器を使用して切断され得る。即応性の電源を使用して、レーザダイオードは、フィードバック信号を基に、プログラム化されたシーケンスのためにパルス化をオン/オフされてもよい。一例では、レーザは、バイオセンサが下を通過する間に、レジストセンサにより提供される信号に基づいてパルス化され得る。
【0097】
次に図17Aおよび17Bを参照すると、接続点RNET1702、RTAP1704、CES1706、およびCE1708を有する、対称の抵抗ネットワークを含むバイオセンサテストストリップ1700が示されている。図17Aは、物理的形状のバイオセンサテストストリップ1700を示し、図17Bは、テストストリップ1700の概略図である。テストストリップ1700は、均一に分布する、ほぼ等間隔の抵抗タップ1712a〜fを有する抵抗ネットワーク1710を有し得る。抵抗タップ1712a〜fは、抵抗値R1〜R7をもたらす。テストストリップ1700が6つの抵抗タップ1712a〜fを有するが、テストストリップは、6つ以上または以下のタップを有し得ることが理解されるべきである。第1抵抗ループ1714は、接触点RTAP1704と接触点RNET1702との間に形成され得る。第2抵抗ループ1716は、接触点CES1706と接触点RNET1702との間に形成され得る。テストストリップ1700の状態を判定するために、第1抵抗ループ1714と抵抗ループ1716との間の、測定された抵抗の比率が算出され、使用されてもよい。一構成では、第1抵抗ループ1714および第2抵抗ループ1716の抵抗の比率は、常に1より小さくなるように設計されてもよい。代替的に、比率が常に1よりも大きくなるように、第1抵抗ループ1714および第2抵抗ループ1716の抵抗の逆比が使用されてもよい。
【0098】
上述のように、テストストリップ1700は、6つの抵抗タップ1712a〜fを有している。タップ1712a〜fが、いずれのタップ1712a〜fも切断されないか(状態0)、またはタップ1712a〜fの1つを除いてすべてが切断されるか(状態1〜6)、のいずれかであるように構成される場合、7つの主要な状態が存在する。しかし、いくつかの構成では、2つ以上のタップ1712a〜fが、切断されないままであり、それによって追加の抵抗オプションが可能となってもよい。1つのタップ1712a〜fのみが切断されないままである場合、以下の方程式により、各状態における、バイオセンサテストストリップ1700の第1抵抗ループ1714と第2抵抗ループ1716との比率が判定され得る。
【0099】
状態1(タップ1712aが正常):
【数2】
【0100】
状態2(タップ1712bが正常):
【数3】
【0101】
状態3(タップ1712cが正常):
【数4】
【0102】
状態4(タップ1712dが正常):
【数5】
【0103】
状態5(タップ1712eが正常):
【数6】
【0104】
状態6(タップ1712fが正常):
【数7】
【0105】
同様に、利用可能な、7つの一次非明白コード(first order non-evident code)(NEC)の状態の定義は、以下の通りである。
【0106】
状態0:すべてのタップが正常である(ノード「e」が制御点である)。
【0107】
状態1:「J7」へのタップのみが正常である(ノード「J7」が制御点である)。
【0108】
状態2:「J6」へのタップのみが正常である(ノード「J6」が制御点である)。
【0109】
状態3:「J5」へのタップのみが正常である(ノード「J5」が制御点である)。
【0110】
状態4:「J4」へのタップのみが正常である(ノード「J4」が制御点である)。
【0111】
状態5:「J3」へのタップのみが正常である(ノード「J3」が制御点である)。
【0112】
状態6:「J2」へのタップのみが正常である(ノード「J2」が制御点である)。
【0113】
状態0は、複数の並列経路が利用可能であるため、種々の計算を用いて後に判定され得る。上で示されたように、最小の比率(本明細書において、非限定的な例では、状態1に割り当てられる)は、R7を第2抵抗器ループ1716の抵抗の合計(R1+R2+R3+R4+R5+R6+R7)で割ることにより判定され得る。最大比率は、抵抗の合計の一部として、R1により制限され得る。一構成では、抵抗値の線形分布が、抵抗器R2〜R6に対し選択されてもよい。抵抗値の線形分布は、方程式
【数8】
を用いて決定されてもよく、ここでは、Nは、所望のタップの合計数に等しい。さらに、上記の、図12および図13に示される抵抗測定接続方法が、接触点CES1706およびRNET1702における接触抵抗を事実上無効化できるため、実際の比率は、以下の方程式により表され得る。
【0114】
【数9】
【0115】
次に図18を参照すると、R1〜R7の抵抗値の均一線形分布を含む、約1500組のテストストリップのネットワーク測定から算出される実際の比率を示す分布図1800が見られる。各状態(0〜6)は、各状態の値において縦棒で示される、実験に基づく誤差率を有し得る。状態のほとんどは、互いの間に適切な「バッファ」を有するが、状態0と状態5との間には「失敗」の可能性が存在することがわかる。状態0と状態5との間の起こり得るこの「失敗」は、追加の、補償されていない接触抵抗によるものであり得る。起こり得る失敗は、いくつかの問題を引き起こし得る。
【0116】
先ず、状態0に関連する比率は、RNET1702に関連する、追加の接触抵抗が存在する状態5であると誤って判断される可能性がある。次に、全体の抵抗(RNET1702)が減少すると、利用可能なタップ抵抗(R1〜R7)が比例して低下し得る。この結果、接触点RNET1702における補償されていない抵抗を原因とする、装置または検査計10による、状態の誤識別に対する感受性が高まり得る。最後に、線形分布されたR1〜R7の抵抗値を使用する場合、状態0は、残りの6つの状態の間で、対称に位置しない。一例では、状態0のいずれかの側に、等しい数の状態(比率)の選択肢が位置することが望ましい。これにより、中央の初期設定状態から符号化済み情報の状態への、同心移行が可能になる。
【0117】
それに応じて、代替の抵抗値スキームが、抵抗比の判定の際の寄生抵抗の影響を軽減するために実施され得る。一構成では、代替の抵抗値スキームは、R1〜R7の抵抗値の非線形分布に依存し得る。R1〜R7の、非線形の抵抗値を利用することにより、上記の抵抗比の方法が、状態を判定するために使用され得る。一構成では、状態の情報を復号するために、いずれの絶対抵抗値も使用されない。その上、装置または検査計10は、図17Aの接触点RNET1702における補償されていない接触抵抗を原因とする、状態の不正確な判定が減少し得るという点で、信頼性がより高くなり得る。さらに、抵抗値(R2〜R6)は、すべての状態に亘り、接触点RNET1702における補償されていない接触抵抗の影響をより均等に分布させるために、再計算され得る。たとえば、抵抗値(R2〜R6)は、RNETからRTAPへの値が最小(最小の比率)であるとき、それぞれの最大値となり得る。最後に、状態0が基準値と考えられ得るため、抵抗値R2〜R6の非線形分布を可能にすることにより、状態の合計数が増加することを可能にし、中心に分布された複数の状態または比率が、状態0として割り当てられることが可能となり得る。
【0118】
いくつかの異なる方法が、抵抗R2〜R6を分布させるために使用され得る。概して、R1およびR7は、トレース材料の導電性、トレースの寸法、トレース経路に利用可能な領域、およびシステムが確実に測定できる最小の抵抗により制限される。残りの抵抗器(R2〜R6)は、既に説明された問題に対処する任意の関数で分布され得る。たとえば、図19は、異なる関数における、複数の状態に亘るいくつかの抵抗比を示している。たとえば、線形関数を用いる、状態ごとの比率の分布が、プロット1900上に見ることができる。正弦関数を用いる、状態ごとの比率の分布が、プロット1902上に見ることができる。指数関数を用いる、状態ごとの比率の分布が、プロット1904上に見ることができる。関数k/x2を用いる、状態ごとの比率の分布が、プロット1906上に見ることができる。最後に、
を用いる、状態ごとの比率の分布関数が、プロット1908上に見ることができる。
【0119】
図19から、正弦関数1902は、下位の状態の比率の分離に関しては、線形関数1900に対し、結果として小さな改善にしかならないことがわかる。しかし、プロット1904に示される指数関数のような単純なべき関数は、下位の状態間の分離において著しい改善を生じ得る。べき関数の概形は、方程式y=AxBで表されてもよく、ここでは、AおよびBは定数である。この関数は、Rsum=R1×αNと書き換えることが可能であり、テストストリップの抵抗値の少なくとも1つの比率を判定するために適用され得る。ここでは、Nは状態の合計数を表す。一実施形態では、R1の値が、測定可能範囲内の抵抗値となるように選択されてもよく、Nは、Rsumの望ましい値を基に選択され得る。その上、テストストリップ上の可用空間、材料の導電性などの制約は、Nの値を決定する際の要素として使用され得る。RsumおよびNの値が選択されると、αが、方程式
【数10】
を用いて求められる。
【0120】
次に図20を参照すると、上記のべきの方程式において、定数「N」を変化させることによる、抵抗比に対する影響を示す分布プロット2000が提供される。このように、たとえばN=10のように、「N」の値が大きいほど、抵抗比は線形値に近くなる。したがって、Nの値を恣意的に増大させるべきではない。
【0121】
上記プロセスが、特定の設計上の制約(接触パッドの幅、長さ、数およびサイズ、推奨されるトレースの幅/間隔など)を有する物理的バイオセンサに適用された。物理的な実施の結果は、理論的な実施に使用されたもの(すなわち、30スクエア)よりもわずかに大きいR1(すなわち、31.6スクエア)となった。さらに、Nは、8に等しくなるように設定され、それによって、0.92の最大(基準)比率および0.2の最小比率が提供された。個々の抵抗器(N=8である場合のR1〜R7)の抵抗値が算出され、以下の表2に見ることができる。
【0122】
【表2】
【0123】
次に図21を参照すると、表2の値を用いて抵抗比の線形分布を非線形抵抗比と比較する分布プロット2100を見ることができる。この例では、9つの計算による比率のうち、中央の3つが状態0に確保/割り当てられる。3つの比率のなかで最も小さいものが、状態0の抵抗比の目標となり得る。3つの比率のなかで最も小さいものを状態0に使用することによって、初期設定(状態0)条件に対し、追加の余地が提供され得る。
【0124】
上記の物理的な実施の値は、実施のためのテストストリップのレイアウトを作成するために、一組の製作およびレイアウトガイドラインに入力され得る。たとえば、図22は、抵抗器R1〜R7が示され、上記の物理的な実施の値に基づき、非対称の抵抗ネットワーク(すなわち、1組の非均等に分布された抵抗器タップ)を利用するテストストリップ2200の1つの可能な実施を示す。1組の非均等に分布された抵抗器タップは、ネットワークの最大値へ偏っており、接触抵抗による測定への影響を低減するのに役立つ。また、図23は、各状態の実施に必要な切断位置に対応する、制御ノード2302、2304、2306、2308、2310、2312を示している。有利には、非均等に分布された抵抗器タップにより、NECの決定のための抵抗比の方法が、すべてのコードに使用されること、およびRNETにおける補償されていない接触抵抗が原因である、NECの不正確な決定を検出するために十分に頑健となることが可能になる。その上、非均等に分布された抵抗器タップは、補償されていないRNETの接触抵抗による影響を、すべてのNECコードに亘って「均等化」するために、タップ抵抗の再分布を可能にし得る。
【0125】
次に図24A〜Gを参照すると、テストストリップ2400、2402、2404、2406、2408、2410、2412の1組の可能な構成が示されている。図24A〜Gでは、テストストリップ2400、2402、2404、2406、2408、2410のそれぞれは、単一の正常の制御ノード2302、2304、2306、2308、2310、2312、またはすべての正常の接触ノード2302、2304、2306、2308、2310、2312を有し、7つの可能な状態のそれぞれを示している。テストストリップ2400は、状態1を表し、接触ノード2312のみが正常状態で示されている。テストストリップ2402は、状態2を表し、接触ノード2310のみが正常状態で示されている。テストストリップ2404は、状態3を表し、接触ノード2308のみが正常状態で示されている。テストストリップ2406は、状態4を表し、接触ノード2306のみが正常状態で示されている。テストストリップ2408は、状態5を表し、接触ノード2304のみが正常状態で示されている。テストストリップ2410は、状態6を表し、接触ノード2302のみが正常状態で示されている。テストストリップ2412は、状態0を表し、すべての接触ノード2302、2304、2306、2308、2310、2312が正常状態で示されている。
【0126】
各状態の複数のテストストリップが、R1〜R7の抵抗値が表2に示されるものであり、Nが8に等しいとして、各状態に関連する抵抗比を測定するために分析された。Nは8に等しいと設定することにより、全抵抗を9つの区分に分割することが可能になり、3つが初期設定状態0に割り当てられる。図18に戻ると、約1500組のテストストリップのネットワーク測定から算出された実際の比率を示す分布図1800が、R1〜R7の抵抗値の均一線形分布とともに見ることができる。各状態(0〜6)は、各状態の値において縦棒で示される、実験に基づく誤差率を有し得る。状態のほとんどは、互いの間に適切な「バッファ」を有するが、状態0と状態5との間には「失敗」の可能性が存在することが見られる。状態0と状態5との間の起こり得る「失敗」は、追加の、補償されていない接触抵抗によるものであり得る。起こり得る失敗は、いくつかの問題を引き起こし得る。図25は、各状態0〜6における抵抗の範囲を示す分布プロットを示しており、いかに、状態4および/または状態5との電位の重複が、非対称の分布により修正され得るかを図示している。その上、図26は、各状態0〜6における抵抗比の範囲を示す分布プロット2600を示している。プロット2600に示されるように、線2602の上の領域は、初期設定状態0に関連する比率のために確保された。(0.691から0.884の範囲の)状態0に関連する抵抗比の分布によりわかるように、初期設定状態には確保された余地が必要であった。さらなる測定データは、以下の表3に見ることができる。
【0127】
【表3】
【0128】
上記のデータは、約6900組のネットワーク測定から得られた。データの分析により、上記のべき関数を使用する場合、7つの状態のうちの1つが、その次に高い隣接する状態になるようにするためには、寄生抵抗の量の約230%の増大が必要であることが示される。この230%の増大は、上記の制約(トレースの幅および長さ、接触パッドの数およびサイズ、間隔要件など)に基づいていた。その上、他の物理的制約が、異なる適用において存在してもよく、非線形の抵抗値を判定するときには考慮される必要がある。いくつかの実施形態では、特定の適用のために制約を変更することで、寄生抵抗による回路に対する影響が増大または低減し得るが、べき関数を用いることによって、抵抗値を分布させる線形関数と対照的に、寄生接触抵抗は、基準比率値の範囲に亘り、より均等に分布され得る。
【0129】
図27に、抵抗性タップ回路2700の別の構成が提供される。この構成では、別個の3つの抵抗測定値が作成され得る。先ず、4端子抵抗測定が、RNET2702からCES2704の抵抗性回路により行われ得る。4端子測定は、RNET2702接触、RNET感知2706接触、CES2704接触、およびCES感知2708接触を使用して行われ得る。RNET2702からRTAP2710の3端子抵抗測定が判定され得る。RTAP2710は、対応するRTAP感知の接触点を有しておらず、そのため、3端子測定のみが利用可能である。この測定は、RNET2702の接触抵抗を補償し得るが、3端子測定に対する制限のため、RNET2702からRTAP2710の測定は、RTAP2710の接触またはトレースに関連する、意図的でないおよび/または変動する抵抗を含んでもよい。その上、さらなる3端子抵抗測定が、CESの接触抵抗を補償するために、RTAP2710とCES2704との間で行われ得る。しかし、3端子測定に対する制限のため(RTAP感知の接触点を有していないRTAP2710のため)、RTAP2710からCES2704の測定は、RTAP2704の接触またはトレースに関連する意図的でないまたは変動する抵抗を含み得る。
【0130】
上記の3つの測定値が測定されると、RTAP2710の寄生抵抗の近似値が、全ネットワーク抵抗を推定するために2つの3端子部分ネットワーク測定値を追加することによって判定され得る。そして、4端子全ネットワーク測定値が、3端子部分測定値の合計から減算されてもよい。これは、以下の方程式に見ることができる。
【0131】
【数11】
【0132】
算出されたRTAP2710の寄生抵抗は、次に、修正された(RNET2702からRTAP2710)および(RTAP2710からCES2704)の両方を得るために、RTAP2710の測定値から減算され得る。修正されたネットワークの抵抗値を用いて、修正された比率[(RNET2702からRTAP2710)/(RNET2702からCES2704)]および/または[(RTAP2710からCES2704)/(RNET2702からCES2704)]が判定され得る。代替的に、修正された値を用いて、反比の値も判定され得る。
【0133】
本発明の実施形態が特定の用語を用いて説明されたが、そのような記載は、例示目的のみのためであり、当業者に明白である変更および変形は、以下に続く請求の範囲内および同等物であると考えられることが理解される。
【0134】
本明細書に記載される特許、特許出願、特許出願公開、および他の刊行物のすべては、その開示内容の全てが記載されているように参照により本明細書に組み込まれる。
【0135】
本発明の概念は、現在、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるものに関連して説明されている。しかし、本発明の概念は、例示として提示され、開示される実施形態に限定されることは意図されない。それに従い、本発明の概念は、添付の請求項に説明される本発明の概念の精神および範囲内であるすべての変更例および代替の配置を包括することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図25
図26
図27