(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の方法をそれぞれの段階別に詳細に説明すれば、次の通りである:
【0023】
段階(a):
支持体物質の選択
まず、粒子化する場合、表面に親水性化学官能基を露出させる支持体物質を選択する。
【0024】
本発明に適した支持体物質は、造影物質を収容し、粒子化する場合、表面に親水性化学官能基を露出させる物質である。具体的に、本発明に適した支持体物質は、親水性官能基を有する架橋剤との反応によって表面に親水性化学官能基を有しうる物質である。択一的に、本発明に適した支持体物質は、架橋剤の助けなしに親水性化学官能基を支持体物質自体が露出させる物質である。
【0025】
より具体的に、本発明に用いられる支持体物質は、親水性化学官能基を含む有機重合体、シリカまたは金(Au)である。
【0026】
本明細書において、用語「有機重合体(organic polymer)」は、有機分子を単量体(monomer unit)で有する重合体のうち、堅固性を有して、造影剤物質(特に、T1造影剤物質)のコーティング層の支持物質(supporting material)の役割をするあらゆる物質を含む。
【0027】
支持体として本発明で用いられる親水性化学官能基を含む有機重合体は、具体的に、多糖類(polysaccharide)、タンパク質(例えば、アルブミン、アプロチニン及びリゾチーム)、脂質または核酸であり、より具体的に、多糖類である。
【0028】
本発明で用いられる多糖類は、当業者に公知の親水性化学官能基を含む多様な多糖類を含み、例えば、デキストラン(dextran)、セルロース、澱粉、グリコーゲン、キトサン、スタキオース、スクロドース、キシラン、アラバン、ヘキソサン、フルクタン、ガラクタン、マンナン、アガロペクチン、アルギン酸、カラギーナン、ヘミセルロース、ヒプロメロース、キチン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、グリコーゲンデキストラン、カルボデキストラン、シクロデキストラン、プルラン、またはこれらの誘導体を含むが、これらに制限されるものではない。より具体的に、本発明で用いられる多糖類は、デキストランである。
【0029】
段階(b):
支持体粒子の製造
引き続き、支持体物質を用いて支持体粒子を製造する。支持体粒子の表面は、親水性化学官能基が露出されており、前記支持体粒子の水和直径は、1〜20nmである。
【0030】
段階(b)は、支持体物質原料を用いてナノ支持体を製造する段階である。
【0031】
支持体原料を用いてナノ支持体の製造は、当業者に公知の多様なナノ粒子製造方法を参照して実施することができる。
【0032】
例えば、シリカナノ支持体の製造方法は、WO2014/107055に開示されている。簡単に説明すれば、適した界面活性剤[例えば、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルのような非イオン性界面活性剤]で逆ミセルを形成し、シリカ先駆物質であるテトラエトキシシランを追加した後、常温で反応させることにより、シリカナノ支持体を製造することができる。
【0033】
金ナノ支持体の製造方法は、下記の実施例に例示されている。また、有機重合体ナノ支持体の製造方法は、下記の実施例に例示されている。
【0034】
本発明の一具現例によれば、段階(b)は、有機重合体と親水性化学官能基を有する架橋剤を反応させて、有機重合体を交差結合させて実施する。
【0035】
親水性化学官能基を有する架橋剤は、反応前に架橋剤自体に親水性化学官能基がある架橋剤だけではなく、反応後に架橋剤の化学構造が変化されて形成される親水性化学官能基が形成される架橋剤も含む。
【0036】
本発明に適した架橋剤は、親水性化学官能基を有する如何なる架橋剤も含む。例えば、本発明に適した架橋剤は、エポキシド架橋剤、アミン架橋剤、アンハイドライド基を有する架橋剤、ポリイソシアネート架橋剤及びその組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
エポキシド架橋剤の例は、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン(1−chloro−2,3−epoxypropane:epichlorohydrin)、1,4−シクロヘキサンジメタノール−ジグリシジル−エーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリス−(2,3−エポキシプロピル)エステル[isocyanuric acid tris−(2,3−epoxypropyl)ester]、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリフェニルメタントリグリシジルエーテル(triphenylolmethan triglycidyl ether)及びビスフェノールAジグリシジルエーテルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
アミン架橋剤の例は、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、アミノエチルピペラジン、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン、1,3−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−bis−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルアミン及び5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0039】
アンハイドライド基を有する架橋剤の例は、2,2−ビス−(4−無水フタル酸−4−オキシフェニル)−プロパン、ブタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシビス−無水フタル酸、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物及びビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を含むが、これらに限定されるものではない。
【0040】
ポリイソシアネート架橋剤の例は、1,3−ビス−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジ(フェニルイソシアネート)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン及びイソホロンジイソシアネートを含むが、これらに限定されるものではない。
【0041】
具体的に、本発明に用いられる架橋剤は、エポキシド架橋剤、アミン架橋剤またはその組み合わせであり、より具体的に、エポキシド架橋剤、ジアミン架橋剤またはその組み合わせである。
【0042】
さらに具体的に、本発明に用いられる架橋剤は、反応基(reactive group)を2個有するエポキシド架橋剤及びジアミン架橋剤の組み合わせである。
【0043】
反応基を2個有するエポキシド架橋剤を用いる場合、反応基いずれもエポキシ基、反応基の1つは、エポキシ基、他の1つは、ハロゲン族元素を含みうる。
【0044】
最も具体的に、本発明に用いられる架橋剤は、反応基の1つは、エポキシ基、他の1つは、ハロゲン族元素であるエポキシド架橋剤及びジアミン架橋剤の組み合わせである。この場合、エポキシド架橋剤が支持体物質を架橋させる主要架橋剤になる。ジアミン架橋剤は、エポキシド架橋剤と支持体物質の結合に介入して架橋結合長をより増加させる。例えば、エポキシド架橋剤及びジアミン架橋剤の組み合わせによって形成される支持体粒子は、「支持体物質−エポキシド架橋剤−ジアミン架橋剤−支持体物質」になりうる。これにより、ジアミン架橋剤は、架橋の効率性を向上させ、架橋された支持体物質が望ましい物性/特性を有するようにする。
【0045】
また、ジアミン架橋剤のアミン基は、造影物質のコーティングを改善させる作用を行う。
【0046】
本発明の具体的な実施例によれば、段階(b)は、有機重合体(例えば、デキストラン)、反応基の1つは、エポキシ基、他の1つは、ハロゲン族元素であるエポキシド架橋剤(例えば、エピクロロヒドリン)及びジアミン架橋剤(例えば、エチレンジアミン)を適した温度(例えば、常温)で反応させて、交差結合された有機重合体からなる支持体粒子を得る。
【0047】
製造されるナノ支持体の水和直径は、1〜20nmであり、具体的に、支持体粒子の水和直径は、1〜15nm、1〜10nm、1〜8nm、1〜5nm、1〜4nm、2〜15nm、2〜10nm、2〜8nm、2〜5nm、2〜4nm、3〜15nm、3〜10nm、3〜8nm、3〜5nm、3〜4nm、4〜15nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜5nmであり、より具体的に、3〜15nm、3〜10nm、3〜8nm、3〜5nm、3〜4nm、4〜15nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜5nmであり、さらに具体的に、3〜10nm、3〜8nm、3〜5nm、3〜4nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜5nmであり、最も具体的に、3〜10nm、3〜8nm、4〜10nm、4〜8nmまたは4〜7nmである。
【0048】
本発明の一具現例によれば、段階(b)で、支持体粒子の表面に露出される親水性化学官能基は、支持体物質自体から来由のものである。例えば、SiO
2ナノ支持体を製造する場合には、SiO
2から来由の親水性化学官能基(例えば、ヒドロキシル基)が支持体粒子の表面に露出される。SiO
2ナノ支持体を製造する場合には、架橋剤を利用しない。
【0049】
本発明の一具現例によれば、段階(b)で、支持体粒子の表面に露出される親水性化学官能基は、架橋剤から来由のものである。前述した親水性化学官能基を有する架橋剤を用いる具現例において、ナノ支持体粒子の表面に露出された親水性化学官能基は、架橋剤から来由のものである。
【0050】
段階(c):
支持体粒子上にT1造影物質の部分的コーティング
前記支持体粒子上にT1造影物質をコーティングしてT1造影剤としてのナノ粒子を製造する。T1造影物質のコーティングは、支持体粒子表面の親水性官能基及び造影物質の間の結合によってなされ;T1造影物質のコーティングは、支持体の表面に対して部分的なコーティングであり;支持体粒子上の親水性の官能基の一部は、支持体表面に依然として露出されており;ナノ粒子の水和直径は、2〜30nmである。
【0051】
本発明で用いられるT1造影物質は、当業者に多様なT1造影物質を含む。
【0052】
本発明で用いられるT1造影物質は、金属イオンM
n+[Mは、Ti
n+、V
n+、Cr
n+、Mn
n+、Fe
n+、Co
n+、Ni
n+、Cu
n+、Ru
n+(0<n≦14)またはランタン族金属]、金属酸化物、金属錯化合物、金属化合物またはこれらの多成分混成構造体である。本発明で用いられるランタン族金属の具体例には、Eu
n+、Gd
n+、Tb
n+、Dy
n+、Ho
n+、Er
n+、Tm
n+、Yb
n+及びLu
n+(0<n≦14)が含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0053】
より具体的な具現例によれば、本発明で用いられるT1造影物質は、金属酸化物M
xO
y[Mは、Ti
n+、V
n+、Cr
n+、Mn
n+、Fe
n+、Co
n+、Ni
n+、Cu
n+、Ru
n+(0<n≦14)またはランタン族金属で構成された群から選択される1種以上の金属原素、0<x≦16、0<y≦8]である。より具体例としては、前記金属酸化物は、M
xO
y(M=Mn or Fe、0<x≦4、0<y≦4)である。
【0054】
本発明において、T1造影物質として用いられる金属錯化合物は、中心金属とその金属に配位結合されるリガンドで構成されたあらゆる物質を言い、特に、単電子を有して、磁性を帯びる金属と配位リガンドからなる錯化合物である。具体例としては、M
xL
y[Mは、Ti
n+、V
n+、Cr
n+、Mn
n+、Fe
n+、Co
n+、Ni
n+、Cu
n+、Ru
n+(0<n≦14)またはランタン族金属で構成された群から選択される1種以上の元素、L=金属と配位結合をなしうる1種以上のリガンド、0<x≦10、0<y≦120]である。金属錯化合物としてさらに具体的には、金属キレート、金属有機物構造体(MOF;metal organic framework)または配位高分子(coordination polymer)が含まれる。
【0055】
前記T1造影物質として使われる金属化合物は、金属カルコゲン(16族)化合物、金属ニコゲン(15族)化合物、金属炭素族(14族)化合物及び金属ホウ素族(13族)化合物を含む。
【0056】
本発明の具体例としては、具現例によれば、本発明において、T1造影物質として使われる金属カルコゲン化合物は、M
axA
z、またはM
axM
byA
z(M
a=ランタン族元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu)及び遷移金属元素(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRu)で構成された群から選択される1種以上の元素、M
b=1族金属元素、2族金属元素、13〜15族元素、17族元素、遷移金属元素、ランタン族、及びアクチニウム族元素で構成された群から選択される1種以上の元素、Aは、O、S、Se、Te、及びPoで構成された群から選択される1種以上の元素;0<x≦16、0≦y≦16、0<z≦8)、またはこれらの多成分混成構造体を含み、最も望ましくは、M
axO
z、M
axM
byO
z(M
a=ランタン族元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu)、及び遷移金属元素(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRu)で構成された群から選択される1種以上の元素、M
b=1族金属元素、2族金属元素、13族〜15族元素、17族元素、遷移金属元素、ランタン族、及びアクチニウム族元素で構成された群から選択される1種以上の元素;0<x≦16、0≦y≦16、0<z≦8)である。
【0057】
前記T1造影物質として使われる金属ニコゲンは、具体例としては、M
cxA
z、M
cxM
dyA
z(M
c=ランタン族元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu)、及び遷移金属元素(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRu)で構成された群から選択される1種以上の元素、M
d=1族金属元素、2族金属元素、13〜14族元素、15族元素、17族元素、遷移金属元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素で構成された群から選択される1種以上の元素、Aは、N、P、As、Sb、及びBiで構成された群から選択される1種以上の元素;0<x≦24、0≦y≦24、0<z≦8)である。
【0058】
前記T1造影物質として使われる金属炭素族化合物は、具体例としては、M
exA
z、M
exM
fyA
z(M
e=ランタン族元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu)、及び遷移金属元素(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRu)で構成された群から選択される1種以上の元素、M
f=1族金属元素、2族金属元素、13族元素、15〜17族元素、遷移金属元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素で構成された群から選択される1種以上の元素、Aは、C、Si、Ge、Sn、及びPbで構成された群から選択される1種以上の元素;0<x≦32、0≦y≦32、0<z≦8)である。
【0059】
前記T1造影物質として使われる金属ホウ素族化合物は、具体例としては、M
ixA
z、M
ixM
jyA
z(M
i=ランタン族元素(Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu)、及び遷移金属元素(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRu)で構成された群から選択される1種以上の元素、M
j=1族金属元素、2族金属元素、14〜17族元素、遷移金属元素、ランタン族元素、及びアクチニウム族元素で構成された群から選択される1種以上の元素、Aは、B、Al、Ga、In、及びTlから選択される1種以上の元素;0<x≦40、0≦y≦40、0<z≦8)である。
【0060】
本発明で用いられる金属キレート化合物は、中心金属と2個以上の官能基で同時に結合を成すキレートリガンドを含む。具体例としては、キレートリガンドは、EDTA(ethylenediaminotetracetic acid)、DTPA(diethylenetriaminopentaacetic acid)、EOB−DTPA(N−[2−[bis(carboxymethyl)amino]−3−(4−ethoxyphenyl)propyl]−N−[2−[bis(carboxy methyl)amino]ethyl]−L−glycine)、DTPA−GLU(N,N−bis[2−[bis(carboxymethyl)amino]ethyl]−L−glutamic acid)、DTPA−LYS(N,N−bis[2−[bis(carboxy methyl)amino]ethyl]−L−lysine)、DTPA−BMA(N,N−bis[2−[carboxymethyl[(methylcarbamoyl)methyl]amino]ethyl]glycine)、BOPTA(4−carboxy−5,8,11−tris(carboxymethyl)−1−phenyl−2−oxa−5,8,11−triazatridecan−13−oic acid)、DOTA(1,4,7,10−tetraazacyclododecan−1,4,7,10−tetraacetic acid)、DO3A(1,4,7,10−tetraazacyclododecan−1,4,7−triacetic acid)、HPDO3A(10−(2−hydroxypropyl)−1,4,7,10−tetraazacyclododecan−1,4,7−triacetic acid)、MCTA(2−methyl−1,4,7,10−tetraazacyclododecane−1,4,7,10−tetraacetic acid)、DOTMA((α,α´,α″,α´″)−tetramethyl−1,4,7,10−tetraazacyclo dodecan−1,4,7,10−tetraacetic acid)、PCTA(3,6,9,15−tetraazabicyclo[9.3.1]pentadeca−1(15),11,13−triene−3,6,9−triacetic acid)、BOPTA(4−carboxy−5,8,11−bis(carboxymethyl)−1−phenyl−12−(phenylmethoxy)methyl−8−phosphomethyl−2−oxa−5,8,11−triazatridecan−12−oid acid)、N,N’−[(ホスホノメチルイミノ)ジ−2,1−エタンジイル]bis[N−(カルボキシメチル)グリシン](N,N’−phosphonomethylimino−di−2,1−ethanediyl−bis(N−carboxymethyl glycine))、N,N’−[(ホスホノメチルイミノ)ジ−2,1−エタンジイル]bis[N−(ホスホノメチル)グリシン](N,N’−phosphonomethylimino−di−2,1−ethanediyl−bis(n−phosphonomethylglycine))、N,N’−[(ホスフィノメチルイミノ)ジ−2,1−エタンジイル]bis[N−(カルボキシメチル)グリシン](N,N’−(phosphinomethylimino−di−2,1−ethanediyl−bis−(N−(carboxymethyl)glycine)、DOTP(1,4,7,10−tetra azacyclodecane−1,4,7,10−tetrakis(methylphosphonic acid)、DOTMP(1,4,7,10−tetraazacyclodecane−1,4,7,10−tetrakismethylene(methyl phosphinic acid)またはこれらの誘導体を含むが、これらに制限されるものではない。
【0061】
本発明で用いられる金属イオン、金属酸化物、金属錯化合物及び金属化合物の1つ以上の多成分混成構造体は、具体例として、無機化合物に錯化合物リガンドがさらに配位されるか、リガンドが無機化合物の構成元素を置換した形態を有している化合物になりうるが、これに制限されるものではない。このような混成構造体の1つの具体例として、M
2O(CO
3)
2・H
2O(M=Ti
n+、V
n+、Cr
n+、Mn
n+、Fe
n+、Co
n+、Ni
n+、Cu
n+、Ru
n+(0<n≦14)またはランタン族金属)は、本発明のT1造影剤として使われるが、これは、金属酸化物の1つであるM
2O
3の酸素原子2つがCO
3リガンドに置換された形態の多成分混成構造体である。また、T1造影物質として使用可能な多成分混成構造体は、イオン、金属、金属酸化物、金属錯化合物及び金属化合物の1つ以上が混合されて、多様な構造及び形態で存在されうる。
【0062】
本発明の一具現例によれば、本発明で用いられるT1造影物質は、金属酸化物M
xO
y[Mは、Ti
n+、V
n+、Cr
n+、Mn
n+、Fe
n+、Co
n+、Ni
n+、Cu
n+、Ru
n+(0<n≦14)またはランタン族金属で構成された群から選択される1種以上の金属原素、0<x≦16、0<y≦8]であり、さらに具体的に、M
xO
y(M=Mn or Fe、0<x≦4、0<y≦4)であり、最も具体的に、鉄酸化物(iron oxide)、すなわち、M
xO
y(M=Fe、0<x≦4、0<y≦4)である。
【0063】
表面に親水性化学官能基が露出されたナノ支持体に造影物質をコーティングすることは、容易に実施することができる。例えば、下記の実施例に記載されたように、適した量のT1造影物質と適した温度(例えば、常温)で撹拌することにより、ナノ支持体に造影物質をコーティングすることができる。
【0064】
本発明の一具現例によれば、親水性化学官能基が露出されたナノ支持体に造影物質をコーティングすることは、化学結合を通じてなされる。前記化学結合は、例えば、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合、親水性結合、疎水結合、及びファンデルワールス結合を含む。より具体的に、ナノ支持体の表面に露出された親水性化学官能基と造影物質の化学結合、さらに具体的に、共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合及び/または親水性結合によってコーティングがなされる。
【0065】
本発明の最も重要な技術的特徴は、造影物質、特に、T1造影物質を支持体表面に部分的にコーティングすることである。
【0066】
本明細書の用語「部分的コーティング」は、支持体の表面全体面積にわたって造影物質がコーティングされていることではなく、その一部のみに造影物質がコーティングされたことを意味する。具体的に、用語「部分的コーティング」は、支持体の表面に露出された親水性官能基の全体ではない一部のみに造影物質がコーティングされたことを意味する。
【0067】
本発明の一具現例によれば、造影物質は、支持体粒子表面にある親水性官能基の14〜70%、14〜60%、14〜50%、14〜45%、15〜70%、15〜60%、15〜50%、15〜45%、16〜70%、16〜60%、16〜50%または16〜45%に結合されている。より具体的に、造影物質は、支持体粒子表面にある親水性官能基の15〜45%または16〜45%、さらに具体的に、15〜25%、16〜25%、15〜20%または16〜20%に結合されている。造影物質がコーティングされた支持体粒子表面の親水性官能基の比率が、前述した数値の範囲を外れる場合には、最終的に製造されたナノ造影剤の安定性及び造影能が大きく減少するという問題点がある(参照:実施例)。
【0068】
本発明の一具現例によれば、造影物質がコーティングされている本発明の造影剤で表面に依然として露出されている官能基は、初期に表面に露出された全体官能基を基準にして、30〜86%、40〜86%、50〜86%、55〜86%、30〜85%、40〜85%、50〜85%、55〜85%、30〜84%、40〜84%、50〜84%または55〜84%である。より具体的に、造影物質がコーティングされている本発明の造影剤で表面に依然として露出されている官能基は、55〜85%または55〜84%、さらに具体的に、75〜85%、75〜84%、80〜85%または80〜84%である。
【0069】
前述したように、ナノ支持体表面に造影物質を部分的コーティングを行うことにより、ナノ支持体表面の親水性官能基を依然として露出させて、最終的に製造されたナノ造影剤の安定性及び造影能を同時に改善させたことは、非常に興味深い技術的達成である。
【0070】
造影物質による部分的コーティングは、造影物質の使用量を調節して果たすことができる。本発明の一具現例によれば、段階(c)で、支持体粒子100重量に対して造影物質の使用量は、0.5〜10wt%、0.8〜7.0wt%、0.5〜5.0wt%または0.9〜5.0wt%である。より具体的に、段階(c)で、支持体粒子100重量に対して造影物質の使用量は、0.6〜10wt%、0.6〜8.0wt%、0.6〜7.0wt%、0.6〜6.0wt%、0.6〜5.0wt%、0.7〜10wt%、0.7〜8.0wt%、0.7〜7.0wt%、0.7〜6.0wt%、0.7〜5.0wt%、0.8〜10wt%、0.8〜8.0wt%、0.8〜7.0wt%、0.8〜6.0wt%、0.8〜5.0wt%、0.9〜10wt%、0.9〜8.0wt%、0.9〜7.0wt%、0.9〜6.0wt%または0.9〜5.0wt%であり、さらに具体的に、0.9〜10wt%、0.9〜8.0wt%、0.9〜7.0wt%、0.9〜6.0wt%または0.9〜5.0wt%である。
【0071】
本発明の一具現例によれば、本発明において、アミン基を有する架橋剤を用いることにより、ナノ支持体表面にアミン基が露出された場合、段階(b)または段階(c)は、アミン基をカルボキシル基に代替する過程を追加的に含む。より具体的に、段階(c)で、造影物質をコーティングした後に、表面に依然として露出されたアミン基をさらに他の親水性官能基であるカルボキシル基に代替する。このようなカルボキシル基への代替は、本発明の造影剤をよりドラッガブルな形態であって、特に、人体毒性を最小化させる。
【0072】
本発明によって製造される造影剤としてのナノ粒子の水和直径は、2〜30nmであり、具体的に、2〜25nm、2〜20nm、2〜15nm、2〜10nm、2〜8nm、2〜6nm、2〜5nm、3〜25nm、3〜20nm、3〜15nm、3〜10nm、3〜8nm、3〜6nm、3〜5nm、4〜25nm、4〜20nm、4〜15nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜6nm、より具体的に、3〜25nm、3〜20nm、3〜15nm、3〜10nm、3〜8nm、3〜6nm、3〜5nm、4〜25nm、4〜20nm、4〜15nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜6nm、さらに具体的に、3〜10nm、3〜8nm、3〜6nm、3〜5nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜6nmである。
【0073】
本発明によって最終的に製造されたT1ナノ造影剤は、安定性及び造影能いずれもで非常に改善された特性を示す。
【0074】
本発明の一具現例によれば、本発明のT1造影剤としてのナノ粒子は、水溶液で125〜500mM NaCl濃度変化に対して水和直径の変化が±10%以下であり、pH6〜8変化に対して水和直径の変化が±10%以下であり、4〜37℃の温度変化に対して水和直径の変化が±10%以下である分散安定性を有する。
【0075】
本発明の一具現例によれば、本発明の造影剤としてのナノ粒子は、濃度が1mM(金属基準)であるとき、2.7〜5.0s
−1のT1弛緩率(relaxivity)を示す。このようなT1弛緩率は、既存に開発されたT1造影剤と比較して非常に優れた造影能を示すことである。
【0076】
本発明の他の態様によれば、本発明は、(a)支持体粒子、及び(b)前記支持体粒子上にコーティングされたT1造影物質を含むT1造影剤ナノ粒子において、前記支持体粒子の表面は、親水性官能基が露出されており、前記支持体粒子の水和直径は、1〜20nmであり、前記T1造影物質は、前記支持体粒子表面の親水性官能基に結合されており、前記T1造影物質は、前記支持体表面にある一部親水性官能基に結合されており;前記支持体粒子上の親水性官能基の一部は、支持体表面に依然として露出されており;前記ナノ粒子の水和直径は、2〜30nmであることを特徴とするT1造影剤ナノ粒子を提供する。
【0077】
本発明の一具現例によれば、前記支持体物質は、親水性化学官能基を含む有機重合体、シリカまたは金(Au)である。
【0078】
本発明の一具現例によれば、前記有機重合体は、多糖類である。
【0079】
本発明の一具現例によれば、前記多糖類は、デキストランである。
【0080】
本発明の一具現例によれば、前記T1造影物質は、支持体上に化学結合を通じてコーティングされている。
【0081】
本発明の一具現例によれば、前記支持体粒子の水和直径は、1〜15nm、1〜10nm、1〜8nm、1〜5nm、1〜4nm、2〜15nm、2〜10nm、2〜8nm、2〜5nm、2〜4nm、3〜15nm、3〜10nm、3〜8nm、3〜5nm、3〜4nm、4〜15nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜5nmである。
【0082】
本発明の一具現例によれば、前記T1造影剤としてのナノ粒子の水和直径は、2〜25nm、2〜20nm、2〜15nm、2〜10nm、2〜8nm、2〜6nm、2〜5nm、3〜25nm、3〜20nm、3〜15nm、3〜10nm、3〜8nm、3〜6nm、3〜5nm、4〜25nm、4〜20nm、4〜15nm、4〜10nm、4〜8nm、4〜7nmまたは4〜6nmである。
【0083】
本発明の一具現例によれば、前記有機重合体は、親水性化学官能基を有する架橋剤によって交差結合されたものである。
【0084】
本発明の一具現例によれば、前記支持体粒子の表面に露出された親水性化学官能基は、支持体物質自体から来由のものである。
【0085】
本発明の一具現例によれば、前記支持体粒子の表面に露出された親水性化学官能基は、架橋剤から来由のものである。
【0086】
本発明の一具現例によれば、前記親水性化学官能基を有する架橋剤は、アミン基を有する架橋剤である。
【0087】
本発明の一具現例によれば、前記支持体粒子は、表面にアミン基が露出されており、前記露出されたアミン基は、カルボキシル基に置き換えられたものである。
【0088】
本発明の一具現例によれば、前記T1造影物質は、鉄酸化物である。
【0089】
本発明の一具現例によれば、前記T1造影物質は、支持体粒子表面にある親水性官能基の14〜70%、14〜60%、14〜50%、14〜45%、15〜70%、15〜60%、15〜50%、15〜45%、16〜70%、16〜60%、16〜50%または16〜45%に結合されている。
【0090】
本発明の一具現例によれば、前記T1造影剤としてのナノ粒子は、水溶液で125〜500mM NaCl濃度変化に対して水和直径の変化が±10であり、pH6〜8変化に対して水和直径の変化が±10であり、4〜37℃の温度変化に対して水和直径の変化が±10である分散安定性を有する。
【0091】
本発明の一具現例によれば、前記T1造影剤としてのナノ粒子は、濃度が1mM(金属基準)である時、2.7〜5.0s
−1のT1弛緩率を示す。
【0092】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これら実施例によって制限されるものではないということは、当業者にとって自明である。
【実施例】
【0093】
実施例1:デキストランナノ支持体の合成及びT
1造影物質の部分的コーティング
デキストランナノ支持体は、デキストラン(分子量10kDa、Pharmacosmos,Denmark)の架橋結合(crosslinking)を通じて合成した。具体的に、1.8gのデキストランを塩基性水溶液に溶解させた後、架橋剤であるエピクロロヒドリン(epichlorohydrin、6mL、Sigma,USA)、エチレンジアミン(ethylenediamine、26mL、Sigma,USA)を入れて、常温の恒温槽で24時間反応させた。反応物は、中空繊維膜フィルター(hollow fiber membrane filter、MWCO 10,000、GE Healthcare,Netherlands)を用いて精製した。合成されたデキストランナノ支持体は、約4.1nmの水和直径を示した。合成されたデキストランナノ支持体にFeCl
2、FeCl
3及びNaOHをそれぞれ1:2:8mol比で入れ、常温で30分間強く磁石撹拌して、Fe
3O
4をT
1造影物質として導入した。合成されたナノ粒子は、中空繊維膜フィルター(MWCO 10,000、GE Healthcare,Netherlands)を用いて精製した。
【0094】
実施例2:デキストランナノ支持体に付着されたT
1造影物質の比率調節
前記実施例1のT
1造影物質導入段階で、全体デキストランナノ支持体の重量(weight)を100であるとした時、T
1造影物質(FeCl
2、FeCl
3)の量(Fe金属基準)を次のように0.1%(wt)、1%(wt)、2.5%(wt)、5.0%(wt)、10.0%(wt)、25%(wt)、50%(wt)及び100%(wt)に調節することにより、デキストランナノ支持体に付着されるT
1造影物質の比率を調節した。合成されたナノ粒子造影剤の水和直径は、T
1造影物質の量が増加するにつれて、それぞれ約4.7nm、4.8nm、5.8nm、6.5nm、7.2nm、9.0nm、10.0nm及び25nmに測定された。デキストランナノ支持体に付着されたT
1造影物質の定量は、誘導結合プラズマ質量分析器(ICP−MS、PerkinElmer,USA)を用いて実施した。具体的に、各物質にピラニア溶液(Pirahna solution、H
2O
2とH
2SO
4の1:3比率の混合液)を加えて、70℃で24時間加熱した後、体積が10mLになるように蒸留水で希釈した。分析結果、前記支持体粒子100重量に対して付着された造影物質の量(Fe金属基準)は、それぞれ0.1%(wt)、0.99%(wt)、2.44%(wt)、4.76%(wt)、9.09%(wt)、20.0%(wt)、33.3%(wt)及び50.0%(wt)に表われた。
【0095】
実施例3:ナノ支持体表面の親水性官能基の定量
前記実施例1から製造されたナノ支持体表面には、アミン(−NH
2)官能基が導入されているので、ナノ支持体表面の親水性官能基の定量には、よく知られたアミン定量法であるTNBSA assayを使用した。具体的に、10mg/mL濃度のナノ支持体0.5mLに0.01%(w/v)TNBSA(2,4,6−Trinitrobenzene Sulfonic Acid、Thermo,USA)水溶液0.25mLを入れ、37℃で2時間反応させた後、10% SDS(sodium dodecyl sulfate、Sigma,USA)水溶液0.25mLと1M HCl(Sigma,USA)0.125 mLとを入れ、339nm波長で吸光度を測定した。この際、吸光度からアミン基の量を定量するために、総5種の互いに異なる濃度のリシン(Lysine)(Sigma,USA)溶液に対してTNBSA assayを実施し、吸光度を測定することにより、検定曲線を描いた。
【0096】
実施例4:ナノ支持体表面の全体官能基に比べて、造影物質が付着された官能基の比率の定量
造影物質が導入されたナノ支持体と造影物質なしに純粋なナノ支持体のそれぞれのアミン基の量を測定し、比較して比率を定量した。この際、ナノ支持体の量は、同一にし、次のような式を通じて百分率で計算した。
{(純粋なナノ支持体のアミン基造影物質が導入されたナノ支持体のアミン基)/(純粋なナノ支持体のアミン基)}×100
【0097】
デキストラン支持体100wtに比べて、付着されたT
1造影物質の量が0.1%(wt)、0.99%(wt)、2.44%(wt)、4.76%(wt)、9.09%(wt)及び20.0%(wt)に増加するにつれて、ナノ支持体表面の全体官能基のうち、造影物質が付着された官能基の比率は、13.81%、16.57%、19.34%、44.20%、82.87%及び85.64%に増加した。すなわち、造影物質が付着された以後に、ナノ支持体表面に露出された官能基は、付着されたT
1造影物質の量0.1%(wt)、0.99%(wt)、2.44%(wt)、4.76%(wt)、9.09%(wt)及び20.0%(wt)のそれぞれに対して86.19%、83.43%、80.66%、55.80%、17.13%及び14.36%である。付着されたT
1造影物質の量が33.3%(wt)及び50.0%(wt)である場合には、露出された官能基が検出されていない(
図1)。
【0098】
実施例5:ナノ造影剤の安定度試験
デキストランナノ造影剤の安定度を生理学的環境を含む多様な塩(salt)条件、pH条件、温度条件で試験した。同量のナノ造影剤に2M NaCl(Sigma,USA)水溶液を適切に入れて、それぞれ500mM、250mM及び125mM濃度の塩条件を作った。pH条件のためには、同量のナノ造影剤を0.1M NaCl濃度のpH6、pH7及びpH8の緩衝溶液でインキュベーションした。温度条件のためには、同量のナノ造影剤をそれぞれ37℃、4℃のpH7.4のPBS溶液でインキュベーションした。
【0099】
実施例6:ナノ造影剤の安定度測定
デキストランナノ造影剤の安定度は、ナノ造影剤水和直径変化率を通じて測定した。実施例7で具現した各条件での水和直径が、常温のpH7.4のPBS溶液での水和直径に比べて、どれほど変化したか、その変化率を百分率で計算した。あらゆる水和直径は、ゼータ電位計(NanoZS Zetasizer、Malvern,UK)を用いて測定した。
【0100】
デキストラン支持体100wtに比べて、付着されたT
1造影物質の量(すなわち、露出された官能基の比率)によって支持体の安定度が異ならせて表われた。具体的に、全体官能基に比べて、造影剤が付着された官能基の比率が16.57%(露出比率83.43%)、19.34%(露出比率80.66%)及び44.20%(露出比率55.80%)では、塩条件、pH条件で水和直径の変化率が10%未満に安定度が高く表われた一方、13.81%(露出比率86.19%)、82.87%(露出比率17.13%)、85.64%(露出比率14.36%)である場合には、著しく高い水和直径変化率を示して、不安定性を示した。官能基の比率が19.34%(露出比率80.66%)である場合、37℃、4℃の温度条件で168時間観察した結果、水和直径の変化率が10%未満に安定度が高く保持された(
図2)。
【0101】
実施例7:ナノ造影剤のMRI造影効果の測定
デキストランナノ造影剤のT
1−MRI造影効果(T
1弛緩率、T
1 relaxivity)は、3Tesla MRI装備(Philips Achieva)を用いて測定した。具体的な実験方法は、次の通りである。それぞれの試料を1mM濃度(鉄基準)で水に分散させて、PCRチューブに入れて支持台に固定させた後、支持台をMRI動物コイル(Animal Coil、Custume made,China)の中央に位置させた後、次の逆回復(inversion recovery)MRIシーケンスを使用してT
1弛緩時間を測定した。[TI=100、500、1000、2000、及び3000ms、echo時間(TE)=7.4ms、FOV=100mm、マトリックス=256×256、slice厚=2mm、及び獲得数(acquisition number)=1]
【0102】
実験の結果、T
1造影効果を示す尺度であるT
1弛緩率(T
1弛緩時間の逆数、R
1)は、全体官能基に比べて、造影剤が付着された官能基の比率が16.57%、19.34%、44.20%、82.87%である場合、R
1値がそれぞれ4.77s
−1、4.17s
−1、3.69s
−1及び2.83s
−1であって、13.81%(R
1=0.53s
−1)、85.64%(R
1=1.43s
−1)である場合に比べて、最小2倍〜最大9倍高く表われた(
図3)。
【0103】
実施例8:ナノ造影剤表面官能基のカルボキシル基への置換
前記実施例から製造されたアミン基を含むデキストランナノ造影剤(T
1造影物質が2.44wt%であるナノ造影剤)をジメチルスルホキシド(DMSO、Daejung Chemical,Korea)内で無水コハク酸(ナノ支持体表面に存在するアミン基に比べて、100molar excess、Acros,USA)と12時間常温で磁石撹拌下に反応させた。次いで、全体溶液のうち、DMSOが占める比率が5%未満になるように蒸留水で希釈した後、遠心分離膜フィルター(centrifugal membrane filter、MWCO 10,000、UltraCone,Millipore,USA)を用いて精製した。
【0104】
実施例9:ナノ造影剤の動物毒性の試験
ICRマウス(6週齢、雌/雄それぞれ8匹、総16匹)にデキストランナノ造影剤(アミン基を含むものとカルボキシル基に置換されたもの、2種のいずれもT
1造影物質が2.44wt%であるナノ造影剤)を静脈投与した。
【0105】
マウスは、各群別に雌/雄それぞれ2匹ずつ総4匹に区分した(何も注入していない群、食塩水注入群、高容量群及び中容量群)。投与液量は、総25mL/kgにし、2回に分けて、それぞれ12.5mL/kgにした。個体別投与液量は、投与当日の体重を基準に算出した。投与は、使い捨て注射器(1mL、26G)を用いて12時間間隔で試験系の尾静脈に約2mL/minの速度で2回静脈投与した。毒性の評価のために、投与後、一般状態(毒性兆候の種類、発現時期、回復時期など)及び死亡有無を観察し、体重を測定した。まず、表面にアミン基を含むデキストランナノ造影剤を注入した結果、注入容量に関係なく、いずれも死亡した。カルボキシル基に置換したナノ造影剤を注入した場合、中容量群だけではなく、高容量群でも死亡例が全く観察されず、経時的なマウスの体重変化も対照群と同様に増加したので、毒性がないと判断された(
図4)。
【0106】
実施例10:タンパク質ナノ支持体の合成及びT
1造影物質の部分的コーティング
タンパク質ナノ支持体は、BSA(bovine serum albumin、Sigma,USA)の架橋結合を通じて合成した。具体的に、12.6mgのBSAを50mM NaCl(Sigma,USA)溶液に溶解させた後、架橋剤であるエチレンジアミン(26μL、Sigma,USA)、EDC[1−ethyl−3−(3−dimethylaminopropyl)carbodiimide hydrochloride、9.58mg、Thermofisher,USA)及びsulfo−NHS(1.08mg、Thermofisher,USA)を入れて、常温で2時間反応させた。反応物は、遠心分離膜フィルター(MWCO 10,000、UltraCone,Millipore,USA)を用いて精製した。合成されたタンパク質ナノ支持体は、約6.1nmの水和直径を示した。合成されたタンパク質ナノ支持体にFeCl
2、FeCl
3及びNaOHをそれぞれ1:2:8mol比で入れ、常温で30分間強く磁石撹拌して、Fe
3O
4をT
1造影物質として導入した。合成されたナノ粒子は、遠心分離膜フィルター(MWCO 10,000、UltraCone,Millipore,USA)を用いて精製した。最終的に得られたタンパク質ナノ造影剤は、約7.7nmの水和直径を示した。
【0107】
実施例11:金ナノ支持体の合成及びT
1造影物質の部分的コーティング
金ナノ粒子は、THPC[tetrakis(hydroxymethyl)phosphoniumchloride、Sigma,USA)の存在下でクロロ金酸(HAuCl
4、Sigma,USA)を還元させて合成した。具体的に、4μLのTHPCを塩基性水溶液に溶解させた後、十分に長時間磁石撹拌した。これに29.4mM濃度のHAuCl
4(0.6mL)を入れ、約10分間さらに磁石撹拌した。合成された金ナノ粒子の精製は、遠心分離膜フィルター(MWCO 10,000、UltraCone,Millipore,USA)を用いて実施した。合成された金ナノ支持体は、約7.8nmの水和直径を示した。精製された金ナノ粒子を過量のシスタミン(Sigma,USA)と常温で12時間撹拌させて、ナノ粒子表面にアミン(−NH
2)官能基を導入した。合成された金ナノ粒子にFeCl
2、FeCl
3及びNaOHをそれぞれ1:2:8mol比で入れ、常温で30分間強く磁石撹拌して、Fe
3O
4をT
1造影物質として導入した。合成されたナノ粒子は、遠心分離膜フィルター(MWCO 10,000、UltraCone,Millipore,USA)を用いて精製した。最終的に得られた金ナノ造影剤は、約22nmの水和直径を示した。
【0108】
実施例12:タンパク質ナノ支持体と金ナノ粒子支持体の安定度
実施例10で合成したタンパク質支持体と実施例11で合成した金ナノ粒子支持体の場合、全体官能基のうち、造影物質が付着された官能基の比率は、それぞれ19.38%及び30.08%に測定され、これら造影剤は、10%未満の水和直径変化率で高い安定度を示した(
図5)。前記造影物質が付着された官能基の比率は、前述したデキストランナノ支持体が高い安定度を示す範囲の値である。
【0109】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的な記述は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではない点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とその等価物とによって定義される。