【実施例】
【0060】
材料及び方法
材料
表1で以下に示されるようなBaSO
4試薬が準備された。
【0061】
【表1】
【0062】
塩化ナトリウムは、Sigma−Aldrichから入手した(Cat#S1679、分析グレード、少なくとも99.0重量%)。
【0063】
クエン酸三ナトリウム二水和物は、Sigma−Aldrichから入手した(Cat#S1804、分析グレード、少なくとも99.0重量%)。シュウ酸塩添加ブタ血液(0.25%(w/w)のシュウ酸塩溶液を含む)は、Kibbutz Lahav,Israelの食肉処理場(abbatoir)から入手した。
【0064】
BaSO
4吸着プロトロンビンは、トロンビンの本格的な生産中に入手され(本明細書では実規模サンプルとも呼ばれる)、プロトロンビンを吸着するために使用されるBaSO
4は、表1で上記規定されたBaSO
4−試薬A、B1のうちの1つから選択された。
【0065】
Tween(登録商標)−80は、Sigma−Aldrichから入手した(Cat#P8074、BioXtra、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート)。
【0066】
トリ−n−ブチルホスフェート(TnBP)は、Merck−Milliporeから入手した(Cat#100002、医薬品グレード)。
【0067】
フィルタ1.2μmは、Sartorius Stedim India Pvt Ltd.(Bangalore,India)から入手し(Cat#Sartopore(登録商標)2 300)、フィルタ0.45+0.2μmは、Sartorius Stedim India Pvt Ltdから入手した(Cat#Sartopore(登録商標)300)。
【0068】
ゲル電気泳動に関しては、プレキャストポリアクリルアミドゲルを、Bio−Rad Laboratories Inc.から入手した(Mini−gel 4〜20%は、Cat.#:456−1096から入手した)。
【0069】
ヒツジ抗ヒトトロンビンは、Affinity Biologicals Inc.(Canada)から入手した(Cat#SAHT−IG)。
【0070】
抗ヒツジIgGアルカリホスファターゼ抱合体は、Sigma−Aldrichから入手した(Cat#A−5187)。
【0071】
実施例1:溶媒/洗剤(SD)ウイルス不活性化血漿の調製
シュウ酸塩添加ブタ血液を氷上で供給した。この血液を、5,000g(5440rpm)の相対遠心力(rcf)及び4℃の温度で15分間にわたって遠心分離した。血漿を含む上清を採取し、アリコート(300〜500mL)に分割し、必要とされるまで−30℃で凍結保存した。
【0072】
SD処理血漿(「SD血漿」)の調製に関しては、凍結保存した血漿のアリコートを、約1時間にわたって37℃で解凍し、それから1.2μmフィルタ、次いで0.45+0.2μmフィルタを通過させた。0.5%のTween−80及び0.15%(v/v)のTnBPを、SD処理のためにpH7.4〜8.6で添加した。溶液を、室温にて1時間にわたって攪拌し、pHを7.4〜8.6で監視した。
【0073】
実施例2:ブタSD血漿からのBaSO
4吸着プロトロンビンの実験室規模の溶出液の調製
表1に列挙された所与のBaSO
4試薬のサンプルにプロトロンビンの供給源として実施例1で上述したSD血漿を接触させた。
【0074】
具体的には、表1に列挙された6種のBaSO
4試薬の1種ずつに関して以下のとおりである。
(i)BaSO
4(1%w/v)試薬のサンプルをSD血漿の単位に添加した。
(ii)SD血漿/BaSO
4試薬混合物を、磁気攪拌器を使用して25℃で2時間にわたって攪拌し(pH7.4〜8.6)、BaSO
4試薬によってSD血漿中のプロトロンビンを吸着させた。
(iii)混合物を、5,000g(5,440rpm)にて、4℃で15分間にわたって遠心分離した。
(iv)上清及び沈降物(BaSO
4吸着プロトロンビンを含む)を分離し、各沈降物を必要とされるまで−80℃で別個に保存した。
(v)使用する前に、沈降物を室温(20〜25℃)で15分間にわたって解凍した。
(vi)沈降物を、BaSO
4:洗浄緩衝液(w/w)の比1:1.4で洗浄緩衝液(78mM NaCl pH6.9〜7.1)中に再懸濁させ、チューブローラーを使用して室温にて15分間にわたって混合した。
(vii)次に、洗浄緩衝液中の沈降物を5,000g(5,440rpm)にて、4℃で15分間にわたって遠心分離し、上清を採取し、必要とされるまで−80℃で保存した。この工程を2回繰り返した(すなわち、合計3回の洗浄を行った)。
(viii)洗浄工程の後に、洗浄した沈降物(BaSO
4吸着プロトロンビンを含む)を、BaSO
4:溶出緩衝液(w/w)の比1:1.4で溶出緩衝液(3%クエン酸ナトリウムpH6.3〜6.7)中に再懸濁させ、チューブローラーを使用して15分間にわたって混合した。
(ix)次いで、沈降物/溶出緩衝液を、5,000g(5,440rpm)にて、4℃で15分間にわたって遠心分離した。プロトロンビンを含む溶出液を氷上に定置した清潔な容器の中に採取し、この溶出工程を4回繰り返した(すなわち、合計5回の溶出サイクルを実行した)。
(x)5回の溶出サイクルから得た溶出液(脱着されたプロトロンビンを含む)を単一の溶出液中に混ぜ合わせ、0.2μmのPVDFフィルタによって濾過し、NAPTT又はウエスタンブロットで試験されるまで清潔な容器内に−80℃で保存した。
【0075】
実施例3:ブタSD血漿からのBaSO
4吸着プロトロンビンの実規模の溶出液の調製
ブタ血漿から凍結プロトロンビン吸着BaSO
4の実規模サンプルを調製した。
【0076】
使用されたBaSO
4試薬は、表1に定義されたA及びB1であった。
【0077】
SD処理のために1%のTween−80及び0.3%のTnBPを使用してSDを行った。pHは、7.4〜8.6の範囲であった。溶液を24〜26℃で6時間にわたってSDでインキュベートした。
【0078】
実規模サンプルでは、工程vは、実験室規模サンプルの対応する工程に代わり、サンプルは工程xまで処理された。
【0079】
実施例4:溶出液のプロトロンビン及びトロンビン含量のウエスタンブロット解析
ウエスタンブロットアッセイ用のローディング容量を計算するために、及び残留の非結合タンパク質及びその他の汚染物質が洗浄工程(vi及びvii)によって除去されたことを確認するために、ビウレット法を使用して、実施例2及び3で上述のように得られたそれぞれの溶出液(表1の6種のBaSO
4試薬のうちの1種に対応するそれぞれの溶出液)中の総タンパク質測定を実行した。
【0080】
各溶出液からタンパク質のより良好な分解能を得るために、溶出液サンプルから得たタンパク質を、還元条件下でSDS−PAGEグラディエントミニプレキャストゲル(4%〜20%)を使用して分離した。タンパク質を、ゲルからニトロセルロース膜に移した。ウエスタンブロットを、ヒツジ抗ヒトトロンビン及び二次抗体、アルカリホスファターゼに抱合された抗ヒツジIgGを使用して実行した。
【0081】
いくつかのBaSO
4吸着プロトロンビンサンプルが、トロンビンを含んでいたことがわかった(下記「結果」セクション参照)。
【0082】
実施例5:溶出液の凝血促進活性
基本的にPh.Eur.(2.6.22)に記載されるように非活性化部分トロンボプラスチン時間(NAPTT)アッセイを使用して、ブタSD血漿から調製された8種(実施例2にある6種及び実施例3にある2種)の溶出液の1種ずつの凝血促進活性を評価した。簡潔にかつ当業者に周知のように、NAPTTアッセイは、リン脂質(ウサギ脳セファリン)及びカルシウムイオン(CaCl
2のままで)を、試験された溶出液又は吸着されたBaSO
4吸着プロトロンビンサンプル、及び正常なヒト血漿コントロール[Unicalibrator calibration Plasma for Coagulation Tests 00625](本来プロトロンビンを含む)に同時に添加することを含み、カルシウムイオンは、プロトロンビンのトロンビンへの変換によって試験サンプル中で凝固を開始する。トロンビンは、可溶性フィブリノゲンの不溶性フィブリンへの変換によって凝塊形成を引き起こす。凝固時間を、凝固計(ST ART4 Stago machine)を使用して測定する。
【0083】
より具体的には、4つの試験ウェルのそれぞれに45μLのヒト血漿を加えた。コントロールサンプルについては、2つのコントロールウェルのそれぞれに45μLのTBS/アルブミン緩衝液を加え、2つの更なるコントロールウェルのそれぞれに45μLの希釈した試験サンプルを加えた。次いで、4つの試験ウェルのそれぞれに45μLのウサギ脳セファリン0.02%溶液を加え、続いて穏やかに振盪することによってウェルの内容物を混合し、37℃で1分間にわたってインキュベーションを行った。45μLの0.025M CaCl
2(予め37℃でインキュベートされた)を全てのウェルに加えることにより反応が開始され、凝固時間を測定した。試験サンプルの凝固時間(秒単位)を正常なヒト血漿コントロールの凝固時間で除して、NAPTT比を計算した。
【0084】
活性トロンビンが特定された溶出液(実施例4)では、凝固時間が、正常なヒト血漿コントロールの凝固時間よりも実質的に短かったことがわかった。一部の溶出液では、凝固が即時であったことがわかった。一部の溶出液では、凝固時間が450秒超であったことがわかった。
【0085】
BaSO
4 B1及びB2から得られる溶出液は、プロセス終了時に高いトロンビンの収率をもたらしたことがわかった。
【0086】
結果は、トロンビン生産に好適なBaSO
4試薬を特定するためにNAPTTアッセイを使用することができることを示している。
【0087】
実施例6:ブタSD血漿からのBaSO
4吸着プロトロンビンの調製
表1中の6つのBaSO
4試薬のそれぞれに関して上記工程(i)〜(ii)を繰り返す。
【0088】
ブタSD血漿から調製された、吸着されたBaSO
4吸着プロトロンビンのサンプルの凝血促進活性を、非活性化部分トロンボプラスチン時間(NAPTT)アッセイを使用して評価する。
【0089】
結果
ウエスタンブロット解析
BaSO
4試薬A及びB1(表1)を使用した溶出液(実施例3)のウエスタンブロット解析を
図1に示す。
【0090】
レーン番号は、以下を表す。
1−MWラダー
2−ヒトプロトロンビン標準
3−BaSO
4試薬Aを使用して得られた実規模溶出液
4−BaSO
4試薬B1を使用して得られた実規模溶出液
5−ヒトプレトロンビン2標準
6−ヒトαトロンビン標準
【0091】
図1において、BaSO
4試薬B1を使用して得られた実規模溶出液では(レーン4)、プロトロンビンに対応する帯は、はっきり見える。
【0092】
図1において、BaSO
4試薬Aを使用して得られた実規模溶出液では(レーン3)、プロトロンビンに対応する帯は、かろうじて見える。プロトロンビン中間タンパク質並びにαトロンビンに対応するその他の帯は、明らかである。
【0093】
BaSO
4試薬A、B1、及びB2(表1)を使用してブタSD血漿から得られた溶出液(実施例2)のウエスタンブロット解析を
図2に示す。
【0094】
レーン番号は、以下を表す。
1−MWラダー
2−ヒトプロトロンビン標準
3−BaSO
4試薬Aを使用して得られた溶出液
4−BaSO
4試薬B1を使用して得られた溶出液
5−BaSO
4試薬B2を使用して得られた溶出液
6−ヒトαトロンビン標準
【0095】
図2に示される結果は、同じ製造業者によって供給された異なるロットのBaSO
4を使用して得られた溶出液(B1−レーン4、B2−レーン5)が、類似の横縞模様を表示したことを示す。BaSO
4試薬A(レーン3)を使用して得られた溶出液を参照として実行した。
【0096】
BaSO
4試薬A、B2、D2、D1及びCを使用してブタSD血漿から得られた溶出液(実施例2)のウエスタンブロット解析を
図3に示す。
【0097】
レーン番号は、以下を表す。
1−MWラダー
2−ヒトプロトロンビン標準
3−BaSO
4試薬Aを使用して得られた溶出液
4−BaSO
4試薬B2を使用して得られた溶出液
5−BaSO
4試薬D2を使用して得られた溶出液
6−BaSO
4試薬D1を使用して得られた溶出液
7−BaSO
4試薬Cを使用して得られた溶出液
8−ヒトプレトロンビン2標準
9−ヒトαトロンビン標準
【0098】
図3に示される結果は、医薬品グレードのBaSO
4を使用してブタSD血漿から得られた溶出液(C−レーン7、D1−レーン6)は、プロトロンビン及び中間生成物と一致する帯を含む類似の横縞模様を示したことを示す。この横縞模様は、BaSO
4試薬Aを使用して得られた溶出液(レーン3)のものと同様であった。ホワイト標準グレードBaSO
4を用いて得られた溶出液(「D2」−レーン5)は、プロトロンビンに対応する非常に弱い帯並びに中間生成物及びαトロンビンに対応するより強い帯を示した。試薬B2を使用して得られた溶出液(レーン4)は、最も強いプロトロンビンの帯、及び中間生成物に対応する最も暗い帯を示した。
【0099】
NAPPTアッセイの結果
【0100】
【表2】
【0101】
BaSO
4試薬A、B1、B2、C、D1、及びD2を使用して得られた実規模及び実験室規模の溶出液に関するNAPTTアッセイの結果を表2に示す。
【0102】
結果は、プロトロンビン供給源に関係なく、ウエスタンブロットによってトロンビンを殆ど又は全く有しないことが示されたBaSO
4試薬B1及びB2が、コントロール血漿より遅い凝固を引き起こしたことを示す。
【0103】
結果はまた、プロトロンビン供給源に関係なく、ウエスタンブロットによって有意なトロンビン含量を有することが示されたBaSO
4試薬Aが、コントロール血漿より速い凝固を引き起こしたことも示す。
【0104】
異なるBaSO
4試薬を使用して血漿から得られたBaSO
4吸着プロトロンビンを含む溶出液は、ウエスタンブロットによってタンパク質組成について、及びNAPTTによって凝血促進活性について分析された。
【0105】
ウエスタンブロット解析結果(
図1)は、BaSO
4試薬A及びB(それぞれレーン3及び4)を使用して得られたサンプルからの溶出液間での横縞模様の違いを示している。この結果は、試薬Aを使用して得られたサンプル中のプロトロンビンが、トロンビンへ部分変換していたことを示唆するものである。
【0106】
NAPTT凝固アッセイにおいて、BaSO
4試薬Aを使用して得られた溶出液を試験すると直ちに凝塊が形成されたのに対して、試薬Bを使用して得られた溶出液では、450秒後でも凝固は観察されなかった。正常なヒト血漿は、NAPTTアッセイにおいて約200〜300秒以内に凝塊を発生させることが期待されるが、実際に、表2に見られるように観察されたことに留意するべきである。
【0107】
ブタSD血漿からプロトロンビンを分離するために、かつトロンビン生産のために、様々な異なるBaSO
4試薬を使用した。医薬品グレードのBaSO
4試薬A、C、及びD1は、低いグレードのBaSO
4試薬A及びD2など不満足な結果をもたらしたが、一部の医薬品グレードのBaSO
4試薬B1及びB2は、優れた結果を提供する。
【0108】
結果は、使用された特定のBaSO
4試薬が、BaSO
4吸着プロトロンビンの凝血促進活性、及びトロンビンの収率に大きな影響を及ぼすことを示した。
【0109】
プロトロンビンのうち少なくともいくらかが、トロンビン及び/又はトロンビン中間生成物に変換されることも示される。実験結果は、本明細書に記載されるように凝血促進アッセイを使用して、所与のBaSO
4試薬が、プロトロンビン吸着剤としての使用及びプロセスの終了時に増大したトロンビンの収率の生成に適しているかどうかを定性的に判定できることを示す。
【0110】
本発明の特定の特徴は、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これはまた、単一の実施形態において組み合わせて提示されてもよいことが認識される。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈において記載されているが、これはまた、別個に、若しくは任意の好適なサブコンビネーションで、又は本発明のその他の記載される実施形態において好適に提供され得る。様々な実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしには動作不可能である場合を除き、これらの実施形態の本質的特徴であるとして考慮されるべきではない。
【0111】
本発明は、その特定の実施形態と共に記載されてきたが、多くの代替、修正、及び変異が当業者には明白であることが、明らかである。したがって、添付の請求項の範囲内にあるこれらの代替、修正、及び変異全てを包含することが意図される。
【0112】
本出願におけるいずれの参照文献の引用又は指定も、このような文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【0113】
実施例7:BaSO
4試薬からのプロトロンビン溶出後のプロトロンビン活性化
BaSO
4A及びB1(以下で定義)から溶出されたプロトロンビンを次のように活性化した。
【0114】
【表3】
【0115】
溶出されたプロトロンビン溶液を、CaCl
2(6g/リットル)及びグリシン(10g/リットル)と混合し、pHを調整した。次に、溶液を、0.22μMフィルタを通して濾過し、20〜25℃で8時間にわたってインキュベートし、続いて2〜8℃で最大72時間にわたってインキュベーションを行った。吸着剤としてBaSO
4B1を使用して得られたトロンビン収率は、吸着剤としてBaSO
4Aを使用して得られた収率と比較して約9倍であった。
【0116】
この実施例は、トロンビン収率を最大にするために、実規模トロンビン製造の前に好適なBaSO
4試薬を選択することが有利であることを実証する。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) プロトロンビンの吸着剤として所与のBaSO
4試薬を使用してプロトロンビンの供給源からトロンビンを調製するための方法であって、
a.前記所与のBaSO
4試薬及び前記プロトロンビンの供給源を準備することと、
b.前記所与のBaSO
4試薬によって前記プロトロンビンの供給源からのプロトロンビンの吸着を可能にする条件下で、前記所与のBaSO
4試薬のサンプルと前記プロトロンビンの供給源とを接触させて、これによりBaSO
4吸着プロトロンビンを得ることと、
c.前記BaSO
4吸着プロトロンビンの凝血促進活性を評価することと、を含み、
cの前記評価が前記BaSO
4吸着プロトロンビンの前記凝血促進活性と正常な哺乳類血漿の凝血促進活性とを比較することにより行われるとき、トロンビンの調製に使用するための前記所与のBaSO
4試薬の適合性は、前記BaSO
4吸着プロトロンビンの前記凝血促進活性が正常な哺乳類血漿の前記凝血促進活性以下であることによって示される、方法。
(2) プロトロンビンの吸着剤として所与のBaSO
4試薬を使用してプロトロンビンの供給源からトロンビンを調製するための方法であって、実施態様1に記載の工程「a」〜「c」を含み、
d.プロトロンビン吸着を可能にする条件下で前記好適なBaSO4とプロトロンビンの供給源とを接触させることと、
e.溶出緩衝液を使用して、前記BaSO
4吸着プロトロンビンから、プロトロンビン含有画分を溶出することと、
f.前記溶出した画分を、プロトロンビンのトロンビンへの変換を可能にする条件下におき、これによりトロンビンを得ることと、を更に含む、方法。
(3) プロトロンビンの供給源からのトロンビンの調製において、プロトロンビン吸着剤として使用するための所与のBaSO
4試薬の適合性を評価するための方法であって、
a.前記所与のBaSO
4試薬及びプロトロンビンの供給源を準備することと、
b.前記所与のBaSO
4試薬によって前記プロトロンビンの供給源からのプロトロンビンの吸着を可能にする条件下で、前記所与のBaSO
4試薬のサンプルと前記プロトロンビンの供給源とを接触させて、これによりBaSO
4吸着プロトロンビンを得ることと、
c.前記BaSO
4吸着プロトロンビンの凝血促進活性を評価することと、を含み、
cの前記評価が前記BaSO
4吸着プロトロンビンの前記凝血促進活性と正常な哺乳類血漿の凝血促進活性とを比較することにより行われるとき、トロンビンを調製するためのプロセスにおいてプロトロンビン吸着剤として使用するための前記所与のBaSO
4試薬の適合性は、前記BaSO
4吸着プロトロンビンの前記凝血促進活性が正常な哺乳類血漿の前記凝血促進活性以下であることによって示される、方法。
(4) 凝血促進活性を評価することが、凝血促進アッセイを実行することを含む、実施態様1〜3のいずれかに記載の方法。
(5) 前記凝血促進アッセイが、機能アッセイを含む、実施態様4に記載の方法。
【0118】
(6) 前記機能アッセイが、凝固アッセイである、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記凝固アッセイが、NAPTTアッセイ、APTTアッセイ、及びプロテアーゼ発色アッセイからなる群から選択される、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記プロトロンビンの供給源が、血漿、又は血漿画分からなる群から選択される、実施態様1〜7のいずれかに記載の方法。
(9) 前記血漿が、シュウ酸塩添加血漿を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記プロトロンビンの供給源が、哺乳類から採取された血漿を含む、実施態様1〜9のいずれかに記載の方法。
【0119】
(11) 前記哺乳類が、ヒト、ウマ、ウシ、及びブタからなる群から選択される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記所与のBaSO
4試薬によって前記プロトロンビンの供給源からのプロトロンビンの吸着を可能にする前記条件が、pH7.4〜8.6を含む、実施態様1〜11のいずれかに記載の方法。
(13) 前記所与のBaSO
4試薬のサンプルと前記プロトロンビンの供給源とを接触させることが、約1%(w/v)のBaSO
4試薬を前記プロトロンビンの供給源である前記採取された血漿に追加することを含む、実施態様9〜12のいずれかに記載の方法。
(14) 前記BaSO
4吸着プロトロンビンの凝血促進活性を評価することが、前記BaSO
4試薬に吸着される間の前記BaSO
4吸着プロトロンビンの凝血促進活性を評価することである、実施態様1〜13のいずれかに記載の方法。
(15) 「b」の後かつ「c」の前に、前記BaSO
4試薬から前記BaSO
4吸着プロトロンビンのうち少なくともいくらかを溶出することを更に含み、
前記BaSO
4吸着プロトロンビンの前記凝血促進活性を評価することが、前記溶出したBaSO
4吸着プロトロンビンのうち少なくともいくらかの凝血促進活性を評価することである、実施態様1〜13のいずれかに記載の方法。
【0120】
(16) 前記BaSO
4吸着プロトロンビンからプロトロンビン含有画分を溶出することが、約6.3〜7.4のpHでのカルシウムキレート塩の使用を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記キレート塩が、クエン酸ナトリウムを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記クエン酸ナトリウムの濃度が、約3%(w/v)〜約4.4%(w/v)である、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記プロトロンビンの供給源が、ブタ血漿を含む、実施態様1〜18のいずれかに記載の方法。
(20) 1つを超えるBaSO
4試薬を評価するとき、好適なBaSO
4試薬が、プロトロンビンの吸着について選択される、実施態様1〜19のいずれかに記載の方法。