特許第6772331号(P6772331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772331
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】無機物コーティングを持つ固体ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/51 20060101AFI20201012BHJP
   A61K 9/52 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 31/4422 20060101ALN20201012BHJP
   A61K 31/167 20060101ALN20201012BHJP
【FI】
   A61K9/51
   A61K9/52
   A61K47/02
   !A61K31/4422
   !A61K31/167
【請求項の数】28
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-77514(P2019-77514)
(22)【出願日】2019年4月16日
(62)【分割の表示】特願2016-514445(P2016-514445)の分割
【原出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2019-142913(P2019-142913A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年5月16日
(31)【優先権主張番号】13169219.6
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515318175
【氏名又は名称】ナネクサ・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,ヤン−オットー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,アンデルス
(72)【発明者】
【氏名】ルース,モーテン
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−514593(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0201860(US,A1)
【文献】 特開2010−059005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコートされた、1nm〜50μmのサイズの粒子を含む、制御放出医薬組成物を製造する方法であって、該コートされた粒子は、生物学的に活性な物質を含む固体コアを有し、該固体コアは、酸化亜鉛及び該粒子のための医薬的にかつ非経口的に許容可能な担体を含むコーティングによって包まれており、
該方法は、
複数の該固体コアに、酸化亜鉛の1層以上の層を、原子層堆積法、化学蒸着法、又は物理蒸着法から選択される気相堆積技術によってコーティングすること、そして
該コートされた粒子を、酸化亜鉛の各層の連続的なコーティング間に、間欠的撹拌にかけて、コーティング中に形成された凝集粒子の脱凝集が得られるようにすることを含む方法。
【請求項2】
(i)該酸化亜鉛を含むコーティングを複数の該固体コアに適用すること、
(ii)該複数の該固体コアを撹拌にかけること、
(iii)工程(i)をn回繰り返すこと、ここで、nは少なくとも1の整数である、そして
(iv)nが少なくとも2の整数である場合、少なくとも数回の工程(i)の後に、工程(ii)を繰返すこと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
nが少なくとも1の整数であり、そして多くとも50である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
nが少なくとも2の整数であり、そして多くとも20である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
nが少なくとも3の整数であり、そして多くとも10である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
気相堆積反応器から放出されたコートされた粒子を撹拌することによって間欠的撹拌が実行される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
酸化亜鉛の幾つかの層が該固体コアにコーティングされる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該生物学的に活性な物質が、治療的に活性な物質である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該固体コアが該生物学的に活性な薬剤を本質的に含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該生物学的に活性な薬剤の治療的に有効な制御放出又は遅延放出を可能にするように、該酸化亜鉛コーティングが、該生物学的に活性な薬剤を充分に完全に囲み、包み又はカプセル化している、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該酸化亜鉛コーティングが0.1nm〜500nmの範囲である本質的に均一な厚さである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
該厚さが0.1nm〜100nmの範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該厚さが0.1nm〜50nmの範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
該生物学的に活性な薬剤が、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗生物質、抗癌剤、抗凝血剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、抗癲癇剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、血圧降下剤、抗ムスカリン剤、抗ミコバクテリア剤、抗悪性腫瘍剤、抗酸化剤、解熱剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安鎮静剤、睡眠剤、神経遮断剤、収斂剤、静菌剤、ベータアドレナリン受容体遮断剤、血液製剤、代用血液、気管支拡張剤、緩衝剤、強心剤、化学療法剤、造影剤、副腎皮質ステロイド、咳抑制剤、去痰剤、粘液溶解剤、診断剤、診断用造影剤、利尿剤、ドーパミン作動剤、抗パーキンソン病剤、遊離ラジカル捕捉剤、成長因子、止血剤、免疫学的薬剤、脂質制御剤、筋弛緩剤、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、副交感神経刺激剤、副甲状腺カルシトニン、ビスホスホネート、プロスタグランジン、放射性医薬、ホルモン、性ホルモン、抗アレルギー剤、食欲増進剤、食欲低下剤、ステロイド、交感神経刺激剤、甲状腺剤、ワクチン、血管拡張剤、及びキサンチンからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
該生物学的に活性な薬剤が、アルプラゾラム、アミオダロン、アムロジピン、アステミゾール、アテノロール、アザチオプリン、アゼラスチン、ベクロメタゾン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブタルビタール、カルバマゼピン、カルビドパ、セフォタキシム、セファレキシン、コレスチラミン、シプロフロキサチン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クロナゼパム、クロザピン、シクロスポリン、ジアゼパム、ジクロフェナクナトリウム、ジゴキシン、ジピリダモール、ジバルプロエクス、ドブタミン、ドキサゾシン、エナラプリル、エストラジオール、エトドラク、エトポシド、ファモチジン、フェロジピン、フェンタニルクエン酸塩、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルニソリド、フルルビプロフェン、フルボキサミン、フロセミド、グリピジド、グリブリド、イブプロフェン、二硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、イスラジピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ラモトリギン、ランソプラゾール、ロペラミド、ロラタジン、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メフェナム酸、メチルプレドニゾロン、ミダゾラム、モメタゾン、ナブメトン、ナプロキセン、ニセルゴリン、ニフェジピン、ノルフロキサシン、オメプラゾール、パクリタキセル、フェニトイン、ピロキシカム、キナプリル、ラミプリル、リスペリドン、セルトラリン、シンバスタチン、スリンダク、テルビナフィン、テルフェナジン、トリアムシノロン、バルプロ酸、ゾルピデム、及びこれらの薬剤のいずれかの医薬的に受容可能な塩からなる群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
該生物学的に活性な薬剤が、抗癌剤である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
該抗癌剤が、シスプラチン、エトポシド、又はパクリタキセルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1又はそれよりも多い種類の界面活性剤を含む1又はそれよりも多い中間層が存在する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
酸化亜鉛コーティングの外部表面が、1又はそれよりも多い化学部分の該コーティングの外部表面への結合により、誘導又は官能化されている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
該1又はそれよりも多い化学部分が、製剤が投与される対象の体内で該粒子の指向された送達を向上させる、1又はそれよりも多い化合物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該化学部分が、指向性分子が結合されることができるシラン機能を含有する、アンカー基又は”ハンドル”を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
該1又はそれよりも多い化学部分が、1又はそれよりも多い核酸、抗体、抗体の断片、受容性結合性タンパク質、受容性結合性ペプチド含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該気相堆積技術が原子層堆積法である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる制御放出医薬組成物。
【請求項25】
非経口的に受容可能な希釈剤中の粒子の滅菌注射用又は注入用懸濁液の形態である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
滅菌水性又は油性懸濁液の形態である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
疾患の治療に有効である生物学的に活性な薬剤を含む医薬組成物を該疾患を患っているか又は該疾患にかかりやすい患者に投与することを含む、疾患の治療方法のための医薬の製造のための請求項24、25又は26に記載の医薬組成物の使用。
【請求項28】
疾患が癌である、請求項27に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子技術の分野に関する。特に、本発明は、医薬の分野における使用、例えば薬物送達のための固体ナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの今日の薬物は、固体状態で配合され、そしてしばしば直面する問題は、このような薬物の水溶性の乏しさであり、これは、薬物を配合することを困難にするだけでなく、更に患者の身体における十分な体内分布に障害をもたらし得る。各種の方法が、このような溶解性の乏しい薬物の生体利用率を向上するために開発されている。一つの方法は、薬物をナノ粒子の形態中に配合することである。
【0003】
粒子サイズの減少、及び結果としての表面積/質量の比の増加に伴い、溶解の速度は促進される。粒子の小さいサイズスケールが、溶解速度を向上すると考えられるが、粒子が溶解が起こる前に体内の所望の標的に達してしまう問題がなお存在し得る。更に、一般的に、粒子のサイズの小ささは、ヒト及び動物の身体内の細胞膜のような障壁に浸透するのを可能にすると考えられるが、それにもかかわらず、一般的に、指向された送達は、体内での早過ぎる溶解又は分解に対する防御に加えて、粒子に適切な表面官能化と終止性が与えられることを必要とする。
【0004】
一般に、0.1μm(マイクロメートル)、即ち100nm(ナノメートル)〜100μm、即ち100000nmのサイズを有する粒子は、マイクロ粒子として分類される一方で、1〜100nmのサイズを有する粒子は、一般的にナノ粒子と定義される。本発明の目的のために、用語“ナノ粒子”は、他に具体的に示すか又は文脈から明白でなければ、両方のタイプの粒子を示すために用いられる。
【0005】
進歩しかつ制御された薬物送達の要求、即ち、注射又は非注射経路によって投与されたときに予測された速度で治療剤を in vivo で放出するための配合成分及びデバイスの
使用の要求が益々増加している。
【0006】
幾つかの薬物は最適濃度範囲を有するところ、その制御された送達は、有効な治療を達成し、そして更に過小投与及び過剰投与の両方に対する潜在性を減少/排除するために、その範囲で設計されなければならない。体内の薬物濃度を長期にわたって一定に保つほかに、長期間にわたり送達をサイクルするか又は薬物放出の引き金を引く必要性があり得る。最後に、薬物の有効性と細胞取込みは、官能化と、指向性分子の薬物分子への結合によって著しく改善され得る。
【0007】
薬物及び生体分子の直接送達は、一般的に非効率的であり、そしてめったに上述の要求に合致できない。従って、更に有効な、異なった種類のベヒクルを含む、薬物運搬及び放出系が設計されて使用されてきた。ポリマー、リポソーム、デンドリマー及びミセルがそうしたベヒクルの例の全てである。
【0008】
上市されている薬物の割合の多くは水溶性に乏しく、このことは将来より明確に公表されると考えられる。水溶性の乏しい化合物の配合は、発見の早期から開発を通って医薬製品の上市に至るまで、配合の専門家に挑戦状を突き付けてきた。
【0009】
慣用的なベヒクルに対するしばしば見過ごされている代替物はナノ粒子である。然しながら、薬物ベヒクルとしてのナノ粒子の使用に伴う幾つかの問題、例えば、粒子の凝集及
びオストワルド熟成(小さい粒子を飲み込んだ大きい粒子の成長)が存在する。
【発明の概要】
【0010】
上述の要求に叶う多目的の制御薬物送達系を提供することが本発明の目的である。本発明の薬物送達系は、薬物を完全にカプセル化する無機カプセル、好ましくは酸化物、に基づく。層の厚さは原子の単層まで変動させかつ制御することができる。これは、薬物放出が層の厚さで制御され得ることを意味する。異なった層の厚さを持つ薬物ベヒクルのブレンドをつくることによって、所望の薬物放出プロフィールを設計できる。
【0011】
本発明の薬物送達系の幾つかの利点は:
−薬物の使用を効率よくし副作用も減少させる、長時間にわたってかつ周期的な制御薬物放出;
−ベヒクルが血液脳、胎盤のような関門及び消化器の障壁を通過できるようにする、異なった物質を指向するための薬物ベヒクルの表面特性及びサイズを調整する能力;
−適当な酸化物の薄くて完全に無傷な層を適用することにより水溶性の乏しい薬物を水溶性に転換できること;
−通常80%より高い極めて高い薬物負荷を達成できること;
−固体薬物を有利に使用できること;
−カプセル化材料が生分解性であること;
−異なった種類の薬物粒子が同一の層又はシェルに提供されるので、薬物の配合経路が標準化できて、薬物の取り扱いが容易になりかつ配合の費用が低減できること;
−カプセル化に起因して保存期間が延びること;
−全薬物送達系が、比較的短期間後に治療された患者の身体から容易に排出される成分から構成されること;
−薬物放出時間を広い範囲(数分から週)にわたって変動させ得ること;
を提供できることである。
【0012】
ナノ粒子に基づく薬物送達系を開発する過程で、本発明者らは、固体コアと無機物コーティングを含んでなるナノ粒子を調製し、そしてこれらを各種の試験にかけた。
【0013】
然しながら、ナノ粒子は、溶媒と接触すると、一般的に溶解が早すぎることが見いだされ、これによって固体コア中に存在する活性成分の制御された送達のために適していないことが見いだされた。
【0014】
この不満足な挙動に対する幾つかの仮説が提示され、そして多くの試験が行われた。結果として、本発明者らは、不満足な溶解特性は、粒子表面の不完全な覆いのためであることを見出した。実際、本発明者らは、慣用的なALDを使用してナノ粒子に対する無機物コーティングを適用した後、それぞれの固体コアが、部分的にのみコートされ、そしてコーティングが、ナノ粒子を数回のALDコーティング工程にかけた場合でさえ、孔によって中断されていることを見出した。
【0015】
本発明者らは、コーティング中のこの破損(孔)が、コーティングの適用中の粒子間の接触の点に対応することができると推測した。この仮説を証明するために、ナノ粒子を、再び数回のALDコーティング工程にかけ、そしてそれぞれのコーティング間に、粒子を超音波処理にかけた。超音波処理は、粒子の撹拌をもたらし、これは続いてナノ粒子の脱凝集に導いた。その後のコーティング工程において、それぞれの粒子が、ALDコーティング処理に対して少なくとも部分的に異なった表面を提示し、そしていずれか1の粒子に表面における少なくとも一部の接触孔が、その後の処理において、このように覆われる可能性が高かった。撹拌及び表面コーティングの工程を繰返すことによって、最終的に、少なくともある程度の粒子が完全な表面コーティングによって覆われた、複数の粒子が得ら
れた。
【0016】
このような繰返し処理によって得られたナノ粒子は、固体コア中に存在する活性物質の遅延放出の優れた特性を示すことが見いだされた。
【0017】
従って、固体コアを完全に包み込む中断されないコーティングを有するために、酸化亜鉛の適用は、間欠的又は連続的のいずれかの、粒子の撹拌処理を含む方法によって行われなければならないことが理解された。
【0018】
従って、第1の側面は、無機物コーティングによって包まれたコアを有するコートされたナノ粒子を製造する方法であり、このコアは、生物学的に活性な物質を含んでなり;この方法は、
無機物質の1又はそれより多い層を、複数の前記固体コアに、無機物質、又は無機物質を形成するための前駆体が気相中に存在する適用方法によって適用し、そして
前記固体コアを、無機物質の層(1又は複数)の適用中及び/又は適用の間に撹拌にかける
ことを含んでなる。
【0019】
従って、無機物質コーティングを固体コアに適用する方法は、いわゆる気相技術である。
【0020】
本発明の方法において、固体コアは、無機物質の適用中液相には存在せず、即ち、この方法は、気相法と呼ぶことができる。言い換えれば、本発明のコーティング方法において、無機物質又は無機物質を形成するための前駆体は、気相に存在する。
【0021】
幾つかの態様において、1より多い無機物質の層が、固体コアに適用され、そして固体コアは、少なくとも1の無機物質の層が適用された後、そして無機物質の少なくとも1のその後の層が適用される前に撹拌にかけられる。
【0022】
一つの態様において、本発明の方法は、
(i)無機物質を、生物学的に活性な物質を含んでなる複数の固体コアに適用し、
(ii)複数の固体コアを撹拌にかけ、
(iii)工程(i)を少なくとも1回繰り返すこと
を含んでなる。
【0023】
一つの態様において、本発明の方法は、
(i)無機物質を、複数の固体コアに適用し、
(ii)複数の固体コアを撹拌にかけ、
(iii)工程(i)をn回繰り返し、ここにおいて、nは、少なくとも1の整数であり、そして
(iv)nが少なくとも2の整数である場合、少なくとも数回の工程(i)後に、工程(ii)を繰返すこと
を含んでなる。
【0024】
例えば、nは、2、3、4、5、6、7、8又は9であることができ、そして更に、例えば、10、20、又は30、40又は50或いはそれより高くのように高いことができる。
【0025】
第2の側面において、それぞれが生物学的に活性な物質を含んでなる固体コアを有する複数のナノ粒子が提供され、前記コアは、無機物コーティングによって包まれている。
【0026】
本発明の複数のナノ粒子は、各種の適用において使用することができる。例えば、一つの側面によれば、生物学的に活性な成分が薬物である場合、本発明のナノ粒子は、治療における使用のために提供される。この観点から、本発明は、更に本発明による複数の治療的に有用なナノ粒子及び医薬的に受容可能な担体を含んでなる医薬組成物に関する。
【0027】
本発明のもう一つの側面は、医薬組成物を製造するための方法であり、前記方法は、複数の本発明による治療的に有用なナノ粒子及び医薬的に受容可能な担体を混合することを含んでなる。
【0028】
幾つかの態様において、ナノ粒子は、固体コアの化学組成とは異なった化学組成の1又はそれより多い中間層を、固体コア及び無機物コーティングの間の界面に含んでなる。
【0029】
幾つかの更なる態様において、ナノ粒子は、無機物コーティングの外部表面に結合した1又はそれより多い化学部分を含んでなる。
【0030】
幾つかの態様において、無機物質を、複数の固体コアに適用する工程は、
(a)ガス状態にある第1の前駆体を、コートされる固体ナノ粒子(固体コア)で前もって充填された反応器に導入し;
(b)未反応の又は未吸着の前駆体及びガス状の反応副生成物を除去するために、反応器をパージ及び/又は排気し;
(c)ナノ粒子を、第2の前駆体に暴露して、第1の前駆体の反応に対して再び表面を活性化し;
(d)反応器をパージ及び/又は排気し、そして所望のコーティングの厚さを達成するために、所望により工程(a)〜(d)を繰返すこと;
を含んでなる。
【0031】
これは、当業者にとって公知の一般的な原子層堆積(ALD)法である。工程a〜dは、反応サイクル又は単にサイクルを表す。
【0032】
幾つかの態様において、この方法は、コートされる固体コアとしてのナノ粒子を得るために、生物学的に活性な物質を、例えば微粒子化によって加工することを含んでなり、前記コアは、生物学的に活性な物質を含有するか、又は生物学的に活性な物質からなる。
【0033】
幾つかの態様において、この方法は、固体コアの表面に無機物コーティングを適用する前に、固体コアに表面処理を適用することを含んでなる。
【0034】
幾つかの更なる態様において、表面処理は、固体コアの化学組成とは異なる化学組成の1又はそれより多い層を適用することを含んでなる。
【0035】
幾つかの更なる態様において、この方法は、無機物コーティングの外部表面に1又はそれより多い化学部分を結合することによって、ナノ粒子を誘導又は官能化することを含んでなる。
【0036】
更なる側面によれば、本発明による複数のナノ粒子を含んでなる、医薬製剤が提供される。
【0037】
なお更なる側面によれば、固体の生物学的に活性な化合物を含んでなるナノ粒子が提供され、前記ナノ粒子は、治療において使用するために無機表面コーティングを有する。
【0038】
なお更なる側面によれば、本発明によるナノ粒子を含んでなるキットが提供される。
【0039】
本発明の更なる側面及び態様は、以下の説明及び付属する特許請求の範囲から明白となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、生物学的に活性な物質を含んでなるコアを有する本発明のナノ粒子を例示し、前記コアは、無機物コーティングによって囲まれている。
図2図2は、生物学的に活性な物質を含んでなるコアを有する本発明のもう一つのナノ粒子を例示し、前記コアは、無機物コーティング、並びにコア及びコーティング間の中間層によって囲まれ、前記中間層は、コアの化学組成及び無機物コーティングの化学組成とは異なった化学組成を有する、
図3図3は、生物学的に活性な物質を含んでなるコアを有する本発明のもう一つのナノ粒子を例示し、前記コアは、無機物コーティングによって囲まれ(又は包まれ)、前記コーティングは、無機物コーティングの外部表面に結合した化学部分を有する。
図4図4は、生物学的に活性な物質を含んでなるコアを有する本発明のもう一つのナノ粒子を例示し、前記コアは、無機物コーティングによって囲まれ、前記コーティングは、無機物コーティングの外部表面に結合した化学部分を有し、化学部分は、選択された分子、例えば指向性分子を結合することが可能なアンカー基である。
図5図5は、ある量の1タイプの本発明によるナノ粒子を、ある量のもう1タイプの本発明によるナノ粒子との組合せて含んでなる投与単位を例示する。
図6図6は、それぞれ8及び5シリーズの無機物質の適用及びその後の撹拌を含んでなる間欠撹拌法によって調製された、Alによってコートされたパラセタモール固体コアからなるナノ粒子水溶解プロフィール;及び1シリーズの無機物質の適用及びその後の撹拌を含んでなる方法によって調製された、Alによってコートされたパラセタモール固体コアからなるナノ粒子の水溶解プロフィールを例示する。グラフは、次の通りに定義される:菱形1:8シリーズ;四角2:5シリーズ;三角3:1シリーズ。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明のナノ粒子は、生物学的に活性な物質によって形成された又は生物学的に活性な物質を含んでなる固体コアから構成され、前記コアは無機物コーティングによって囲まれている。無機物コーティングは、いずれもの中間層を伴わずに固体コアの外部表面に直接適用されても、固体コアの表面における1又はそれより多い中間層に適用されてもよい。
【0042】
コア、無機物コーティング、及び場合によって存在するそれら間の中間層を含んでなるナノ粒子は、一般的に数ナノメートル、例えば1〜10nm、から約50μmまでの範囲の粒子の直径として表示されるサイズを有する。幾つかの態様において、ナノ粒子は、10nm、20nm或いは40nmから1000nm、又は500nm、又は200nm、又は100nm、或いは50nmまでの範囲のサイズを有する。例えば、ナノ粒子は、1nm〜1000nm、又は10nm〜200nm、例えば、約50nm〜200nmの範囲のサイズを有することができる。幾つかの態様において、ナノ粒子は、約100nmのサイズを有する。幾つかの他の態様において、ナノ粒子は、約10nm〜約100nmのサイズを有する。他の態様において、ナノ粒子は、約100nm〜約50μ、例えば、約1μm〜約50μm、又は約10μm〜約50μm、例えば約20μm〜約50μmのサイズを有する。粒子サイズは、当業者にとって公知の方法及び装置、例えば、Malvern Instruments Ltd.によって販売されているような装置を使用して決定することができる。
【0043】
ナノ粒子の形態は、球形又は本質的に球形が適しているが、本質的に例えばナノ粒子コアの調製の方法に依存して、いずれもの他の形態、例えば、不規則な針型又は立方体型も可能である。非球形の粒子については、サイズは、例えば同じ重量、体積又は表面積の対
応する球形粒子のサイズとして示すことができる。本発明の方法の有利な特徴は、非常に不規則な形状の粒子も、孔、割れ目等を有する粒子でさえも、カプセル化できるっことである。
【0044】
幾つかの態様において、コーティングは、粒子コアに直接適用される。幾つかの他の態様において、コートされたナノ粒子は、1又はそれより多い、例えば1〜3層の中間層をコーティングとコアの間に含んでなる。例えば、コートされたナノ粒子は、1又はそれより多い無機物質の層を含む中間層であって、それがまた無機物コーティングを有する中間層で囲まれたコアを含んでなる。
【0045】
固体コア
本発明のナノ粒子は、少なくとも1の生物学的に活性な物質(更に生物学的に活性な成分とも呼ばれる)を、場合により1又はそれより多い他の物質、例えば、賦形剤又は他の生物学的に活性な成分と混合されて、含んでなる。
【0046】
幾つかの好ましい態様において、ナノ粒子の固体コアは、本質的に生物学的に活性な物質(1又は複数)のみから構成され、即ち、賦形剤及びいずれもの他の生物学的に不活性な物質を含まない。幾つかの態様において、ナノ粒子コアは、本質的に1の、例えば結晶質又は非晶質の生物学的に活性な物質から構成される。
【0047】
生物学的に活性な物質は、好ましくは固体状態であるか又は周囲温度(例えば室温)で固体状態にすることができる物質から選択することができ、例えば結晶質又は非晶質物質として、場合によってもう1の物質と組合せて(例えば、混合物又は複合体として)もよい。
【0048】
本明細書中で使用する場合、用語“生物学的に活性な物質”又は類似の表現、例えば“生物学的な活性な成分”は、一般的に、生きた対象に生理学的効果(例えば、治療的又は予防的効果)を有することが可能な、いずれもの薬剤、又は薬物、例えば治療的に活性な物質を指す。これは、更に例えば、生体イメージングの造影剤のような、それ自体直接的な治療活性を持たない診断剤と呼ぶこともできる。
【0049】
本発明による生物学的に活性な物質は、例えば、鎮痛剤、麻酔剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗生物質、抗癌剤、抗凝血剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、抗癲癇剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、血圧降下剤、抗ムスカリン剤、抗ミコバクテリア剤、抗悪性腫瘍剤、抗酸化剤、解熱剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗甲状腺剤、抗ウイルス剤、抗不安鎮静剤(睡眠剤及び神経遮断剤)、収斂剤、静菌剤、ベータアドレナリン受容体遮断剤、血液製剤、代用血液、気管支拡張剤、緩衝剤、強心剤、化学療法剤、造影剤、副腎皮質ステロイド、咳抑制剤(去痰剤及び粘液溶解剤)、診断剤、診断用造影剤、利尿剤、ドーパミン作動剤(抗パーキンソン病剤)、遊離ラジカル捕捉剤、成長因子、止血剤、免疫学的薬剤、脂質制御剤、筋弛緩剤、タンパク質、ペプチド及びポリペプチド、副交感神経刺激剤、副甲状腺カルシトニン及びビスホスホネート(biphosphonates)、プロスタグランジン、放射性医薬、ホルモン、性ホルモン、抗アレルギー剤、食欲増進剤、食欲低下剤、ステロイド、交感神経刺激剤、甲状腺剤、ワクチン、血管拡張剤、及びキサンチンから選択することができる。
【0050】
幾つかの態様において、生物学的に活性な物質は、不良に水溶性の薬物である。本発明により使用することができる不良に水溶性の薬物の非制約的例は、アルプラゾラム、アミオダロン、アムロジピン、アステミゾール、アテノロール、アザチオプリン、アゼラスチン(azelatine)、ベクロメタゾン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブタルビタール、カルバマゼピン、カルビドパ、セフォタキシム、セファレキシン、コレスチラミ
、シプロフロキサチン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クロナゼパム、クロザピン、シクロスポリン、ジアゼパム、ジクロフェナクナトリウム、ジゴキシン、ジピリダモール、ジバルプロエクス、ドブタミン、ドキサゾシン、エナラプリル、エストラジオール、エトドラク、エトポシド、ファモチジン、フェロジピン、フェンタニルクエン酸塩、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール、フルニソリド、フルルビプロフェン、フルボキサミン、フロセミド、グリピジド、グリブリド(gliburide)、イブプロフェン、二硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、イスラジピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ラモトリギン、ランソプラゾール、ロペラミド、ロラタジン、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メフェナム酸、メチルプレドニゾロン、ミダゾラム、モメタゾン、ナブメトン、ナプロキセン、ニセルゴリン、ニフェジピン、ノルフロキサシン、オメプラゾール、パクリタキセル、フェニトイン(phenyloin)、ピロキシカム、キナプリル、ラミプリル、リスペリドン、セルトラリン、シンバスタチン、スリンダク、テルビナフィン、テルフェナジン、トリアムシノロン、バルプロ酸、ゾルピデム、又はこれらのいずれかの医薬的に受容可能な塩である。
【0051】
当業者は、所望の範囲のサイズ内のナノ粒子の固体コアを製造するための方法を熟知しているものである。これは、湿潤又は乾燥条件中のナノ粒子の成長を使用して、或いはナノ粉末を活性するための合成後の操作、例えば摩擦技術の使用、例えばパール/ボールミル粉砕の使用;又は高圧均一化、噴霧乾燥、等によって行うことができる。例えば、総括文献の、Sivasankar, Mohanty, and B. Pramod Kumar. “Role of nanoparticles in drug delivery system. “International Journal of Research in Pharmaceutical and Biomedical Sciences 1 (2010) を参照されたい。
【0052】
無機物コーティング
ナノ粒子は、無機物コーティングを、典型的には0.1nm〜5000nm、例えば0.1nm〜500nm、又は0.1nm〜100nmの厚さの範囲で含んでなる。例えば、コーティングは、0.1〜50nm、又は0.2〜20nm、例えば0.5〜10nmの範囲の厚さを有することができる。コーティングは、ナノ粒子の表面積の少なくとも一部にわたって本質的に均一な厚さであることができる。接触孔が形成されてコートされた場合、コーティングの厚さは、例えば先に示した範囲内で変化することができる。
【0053】
コーティングは、1又はそれより多い金属、又は金属含有化合物、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属炭酸化塩、及び他の三元化合物等、及び/又は1又はそれより多いメタロイド又はメタロイド含有化合物を含んでなる。例えば、コーティングは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属、遷移金属、外部遷移金属、又はメタロイド、或いはこれらのいずれかの混合物、及び/又はこれらのいずれかを含有する化合物を含んでなることができる。
【0054】
原則的に、全ての種類のコーティング、例えば酸化物コーティング、窒化物コーティング又は硫化物コーティングを、薬物送達の適用においてナノ粒子に適用できるが、コーティング物質は、好ましくは投与されるナノ粒子の量において本質的に非毒性でなければならず、従って、金属又はメタロイド酸化物が一般的に好まれる。
【0055】
本発明の幾つかの態様において、ナノ粒子は、少なくとも1の金属酸化物層を無機物コーティングとして含んでなる。例えば、ナノ粒子は、1又はそれより多い金属酸化物の1又は幾つかの層を含んでなることができる。一つの態様において、ナノ粒子は、それぞれの層が本質的に1の金属酸化物からなる1又はそれより多い層を含んでなるコーティングを有して提供される。
【0056】
幾つかの態様において、ナノ粒子のコーティングは、二つ又はそれより多い金属酸化物或いはメタロイド酸化物の混合物から構成される1又はそれより多い層を含んでなる。1の層中の異なった金属又はメタロイド酸化物の混合物は、層の特性を改変し、そして層を特定の要求に適合させるために使用することができる。従って、本発明のもう一つの好ましい態様は、生物学的に活性な物質を含んでなるコートされた固体ナノ粒子に関し、ここにおいて、コーティングは、それぞれの層が二つ又はそれより多い金族或いはメタロイド酸化物に混合物からなる、1又はそれより多い層を含んでなる。
【0057】
原則として、コーティングが1より多い層を含んでなる場合、このような層のそれぞれは、異なった金属又はメタロイド酸化物及び/又は二つ又はそれより多い金属或いはメタロイド酸化物の異なった混合物から構成されることができる。
【0058】
有利には、コーティング中に存在する金属又はメタロイドは、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、亜鉛、ジルコニウム及び/又はケイ素、例えばアルミニウム、チタン及び/又は亜鉛である。
【0059】
従って、一つの態様において、本発明のナノ粒子は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ランタン、及び/又はケイ素;例えばアルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、亜鉛、ジルコニウム、及び/又はケイ素、例えばアルミニウム、チタン及び/又は亜鉛から選択される金属又はメタロイドを、例えば酸化物或いは水酸化物の形態で含有する1又はそれより多い層でコートされている。
【0060】
更に具体的には、本発明は、更にコートされた固体ナノ粒子に向けられており、ここにおいて、金属又酸化物はメタロイド酸化物(1又は複数)は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(Fe、例えばFeO及び/又はFe及び/又はFe)又は酸化鉄の前駆体、例えばフェロセン(Fe(C)、鉄カルボニル(Fe(CO))、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)鉄(III)、(ジメチルアミノメチル)フェロセン;酸化ガリウム(Ga)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ランタン(La)、二酸化ジルコニウム(ZrO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)からなる群から選択される。
【0061】
幾つかの態様において、金属酸化物又はメタロイド酸化物(1又は複数)は、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(Fe)、酸化ガリウム(Ga)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)からなる群から選ばれ、例えば、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)及び酸化亜鉛(ZnO)からなる群から選択される。
【0062】
幾つかの態様において、コーティングは、本質的にAlからなる。幾つかの他の態様において、コーティングは、本質的にTiOからなる。
【0063】
好ましくは、コーティングは、場合により1又はそれより多い中間層を伴ってもよいナノ粒子コアの表面への、化学的又は物理的技術のいずれか、例えば、物理蒸着法(PVD)、原子層エピタキシー法(ALE)とも呼ばれる原子層堆積法(ALD)、又は他の類似の技術、例えば化学蒸着法(CVD)であることができるところの、気相技術により適用される。
【0064】
好ましい態様において、ALDが、場合により界面に1又はそれより多い中間層を伴うナノ粒子コアをコートするために使用される。ALDは、無機物コーティングを全ての種類の表面及び形状上に形成できる気相技術である。ALDの一つの大きい利点は、適用されるコーティングで目的物を完全に覆うその可能性である。その内容が本明細書中に参考文献として援用される国際特許出願WO2012/116814において、固体医薬製剤、例えばペレット、顆粒、錠剤及びカプセルのコーティングのためのALDの使用が開示されている。
【0065】
ALDを使用すれば、単分子層としてのコーティング物質の堆積によって超薄コーティングを得ることが可能である。反応サイクルの数によるが、1又はそれより多い原子層を堆積することができ、そして反応サイクル当り、約0.01nm〜約0.3nmの厚さのコーティングを堆積することができる。
【0066】
ALDコーティングは、2回又はそれより多い自己制限反応の一続きで形成され、そしてコーティング物質の層は、所望のコーティングの厚さが達成されるまで順次適用されることができる。
【0067】
コーティングは、約20℃〜約800℃、又は約40℃〜約200℃、例えば約40℃〜約150℃、例えば約50℃〜100℃の加工温度で適用することができる。最適な加工温度は、コア物質の反応性及び/又は融点に依存する。
【0068】
殆どの場合、連続した反応の最初は、コートされる表面の幾つかの官能基又は遊離電子対又はラジカル、例えばヒドロキシ基(−OH)或いは第一又は第二アミノ基(−NH又はRが例えば脂肪族基例えばアルキル基である−NHR)が関係する。個々の反応は、個別に、そして全ての過剰な試薬及び反応生成物がその後の反応を行う前に除去されるような条件下で行われるのが有利である。
【0069】
幾つかの態様において、生物学的に活性な物質は、必要な機能を提供する適した賦形剤、例えばデンプン又はセルロース誘導体と混合されることができる。
【0070】
また、ナノ粒子の表面は、無機物コーティングを適用する前に、粒子の表面において酸素フリーラジカルを作り出すように、例えばナノ粒子を過酸化水素又はオゾンで処理することにより、或いはプラズマ処理を適用することにより化学的に活性化することができる。従って、幾つかの態様において、コートされていない粒子又は1又はそれより多い中間層でコートされた粒子は、無機物コーティングを適用する前に、過酸化水素含有溶液に浸漬される。
【0071】
連続反応を開始する前に、ナノ粒子を処理して、ナノ粒子の表面に吸収されている揮発性物質を、例えばナノ粒子を真空及び/又は高温に暴露することによって除去することができる。
【0072】
酸化物コーティングは、表面ヒドロキシル基(−OH)又は表面アミン基(−NH又はRが例えば脂肪族基、例えばアルキル基である−NHR)を有するナノ粒子上に、以下の二(AB)連続反応:
Z−Y−H+M → Z−Y−M+HX (A1)
Z−Y−M+HO → Z−Y−MOH+HX (B1)
を使用して調製できる。
【0073】
上記の反応は収支がとれておらず、単に粒子の表面(即ち、層間又は層内反応ではない)における反応を例示することを意図している。反応スキームにおいて、*印は、粒子又
はコーティングの表面に存在する原子を示し、Yは、酸素又は窒素(NH又はNR)を表わす。この連続反応において、Mは前駆体であり、ここで、Mは、金属又はメタロイド原子であり、Xは、置換可能な求核基、例えば、ハロゲン、例えばCl又はBr、或いはアルコキシ基、例えばメトキシである。
【0074】
特に興味のある構造Mを有する具体的な化合物は、四塩化ケイ素(SiCl)、オルトケイ酸四メチル(Si(OCH)、オルトケイ酸四エチル(Si(OC)、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(Al(C)、他のトリアルキルアルミニウム化合物、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(Mg(C)、チタンテトライソプロポキシド(Ti{OCH(CH)等である。
【0075】
具体的に好ましいものは、低温、例えば100℃以下で原子層堆積法を行うことを可能にするような前駆体である。このような好ましい前駆体は、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(Mg(C)及びチタンテトライソプロポキシド(Ti{OCH(CH)、四塩化チタン(TiCl)又はジエチル亜鉛(Zn(C)を含む。従って、本発明の一つの態様によれば、前駆体(1又は複数)は、チタン前駆体、例えばトリメチルアルミニウム、マグネシウム前駆体、例えばビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及び/又はチタン前駆体、例えばチタンテトライソプロポキシド及び四塩化チタン或いはジエチル亜鉛である。
【0076】
反応A1において、前駆体Mは、ナノ粒子の表面の1又はそれより多いZ−Y−H基と反応して、−Mの形態を有する新しい表面基を作成する。Mは、1又はそれより多いY原子を経由してナノ粒子に結合する。−M基は、反応B1において水と反応でき、1又はそれより多いヒドロキシル基を産生する部位である。反応B1において形成される基は、官能基として役立つことができ、それら基を介して反応A1及びB1を繰返すことができ、それぞれの時点で、M原子の新しい層が加えられる。幾つかの場合(例えば、Mがケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛又はアルミニウムである場合のような)、ヒドロキシル基は、水として排除でき、M−O−M結合を層内又は層間で形成する。この縮合反応は、所望する場合、例えば、高温及び/又は減圧におけるアニーリングによって促進でき、更に国際特許出願WO2012/116814中の記載及びその中で引用している参考文献、即ち、A. C. Dillon et al, Surface Science 322, 230
(1995);A. W. Ott et al., Thin Solid Films 292, 135 (1997);Tsapatsis et al (1991) Ind. Eng. Chem. Res. 30:2152-2159 及び Lin et al., (1992), AIChE Journal 38:445-454 を参照されたく、これらの参考文献は、全て本明細書中に参考文献として引用される。上記の参考文献の教示に従い、SiO、Al、ZrO、TiO及びBのコーティングを調製することができる。
【0077】
前述の連続反応において、適した金属及びメタロイドは、ケイ素、アルミニウム、チタン、亜鉛、マグネシウム及びジルコニウムを含む。適した置換可能な求核基は、M1によってある程度変化するものであるが、しかし例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、アルコキシ、アルキル、アセチルアセトネート、等を含む。
【0078】
ALD後、記載したように、1のサイクルの実行は、医薬製剤上に1の単分子層の堆積をもたらす。その後のサイクル又は一連のサイクルが行われ、そして同じ金属を含有する同じ前駆体又は異なった前駆体が、これらのサイクル又は一連のサイクルのそれぞれに使用される場合、全体のコーティングは、好ましくは金属又はメタロイド酸化物である同じ金属から構成される。
【0079】
本発明は、更に、本明細書中に記載されるようなコートされたナノ粒子を製造するための方法に関し、この方法は、無機物質の1又はそれより多い層を、複数の前記固体コアに適用し、そして前記固体コアを、無機物質の適用中又は適用間に、間欠的又は連続的脱凝集処理にかけることを含んでなる。
【0080】
本発明によれば、ナノ粒子への無機物質の適用は、気相堆積法であることは注意するべきである。従って、粒子は、無機物質の適用中に、液相又は液体媒体中に存在しない。
【0081】
一つの態様において、この方法は、(a)コートされる固体ナノ粒子を含有する反応器にガス状態であるを導入し、(b)該反応器をパージ及び/又は排気して、該未反応の前駆体及び該ガス状の反応副生成物を除去し、(c)該第1の前駆体の反応のために、再び該表面を活性化するための該第2の前駆体に暴露し、(d)該反応器をパージ及び/又は排気し、そして場合により工程(a)〜(d)を、所望のコーティングの厚さを達成するために繰返すことを含んでなる。
【0082】
上記で本明細書中に記載したように、コーティングプロセス中の個々の粒子間の接触から生じる孔(崩壊)を回避するか又は補償するために、何らかの操作を行わなければならない。基本的には、接触孔は、例えば、流動床を使用することによって、又はコーティングの適用中に形成される粒子凝集物をバラバラにするために、及び/又は粒子を再編成するために、粒子への無機物質の一連の適用間に撹拌処理を行うことによって、コーティングプロセスの少なくとも一部の間、粒子を運動状態に保つことによって回避することができる。
【0083】
撹拌によって、本明細書中で述べるように、粒子が程度の差はあれ一定の運動状態に保たれる流動床のように連続的に、又は無機物質の適用の連続した工程間の1又はそれより多い超音波処理の使用のように間欠的に、ナノ粒子お互いに対するある程度の空間的再編成を与える作用を意味する。このアイデアは、お互いに粒子の空間的再構成を達成するためのものであり、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、達成する各種の別のやり方を考案することが可能である。
【0084】
例えば、固体に対する無機物コーティングを適用するための好都合な方法は、ナノ粒子の流動床を形成し、次いで、各種の試薬を反応条件下で流動床に通過させることである。固体粒子物質を流動化する方法は公知であり、一般的に、固体物質を多孔質プレート又はスクリーン上に支持することを含む。流動化ガスが、プレート又はスクリーンを上向きに通過し、固体物質をある程度持ち上げ、そして床の体積を膨張する。適当な膨張により、固体物質は、かなり流体のように挙動する。流体(ガス状又は液体)試薬が、その固体ナノ粒子の表面との反応のために床に導入される。流動化ガスは、未反応の試薬及び揮発性又はガス状反応生成物を除くための不活性パージガスとして作用することができる。この方法において、接触孔はナノ粒子の運動によって回避される。
【0085】
更に、反応は、回転式円筒容器又は回転式管、或いは粒子を運動状態に保つために振動する部分を持つ反応室中で行うことができる。
【0086】
粒子が流動床、回転式円筒容器又は回転式管、或いは物質の適用中に粒子のランダムな運動が程度の差はあれ可能にする他の装置中でコートされる場合、接触孔の発生は、本質的に回避することができる。然しながら、実施例中に示され、そして本明細書中で考察されるように、二つ又はそれより多いコーティング工程間の中間の撹拌を含んでなる方法でコートされた粒子の不均一なコーティングの厚さは、それ自体において非常に有利な放出特性に導くことができる。
【0087】
本質的に接触孔が形成されない方法において、即ち、粒子が無機物コーティングの適用中にお互いに運動状態に保たれる方法において、コーティングは更に均一な厚さを有するものである。このような場合、いずれもの1のナノ粒子組成物又は製剤の放出特性は、異なったコーティング厚さ及び/又は異なったコーティング物質のナノ粒子混合することによって適当に適合することができる。
【0088】
中間層
無機物コーティングを適用する前に、ナノ粒子コアは、1又はそれより多い準備表面処理にかけることができる。従って、種々の化学成分の1又はそれより多い中間層を、例えば蒸着処理中の前駆体との所望しない反応からコアを保護し、コーティング効率を向上し、又はナノ粒子コアの凝集を減少するために、ナノ粒子コアの表面に適用することができる。無機物コーティングは、ナノ粒子に本質的に完全なコーティングを提供しなければならないが、中間層は完全なコーティングを提供する必要はないことは理解されるべきである。
【0089】
例えば、中間層は、コートされる粒子の凝集を減少し、そしてその後のコーティングにために適した親水性表面を提供するために、1又はそれより多い界面活性剤を含んでなることができる。この種類の使用のために適用することができる界面活性剤は、当業者にとって公知であり、そして更に非イオン性、アニオン性、カチオン性又は双性イオン性であることができる。幾つかの態様において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えばTween シリーズ中に見出されるもの、例えば Tween 80 である。
【0090】
従って、幾つかの態様において、本発明によるナノ粒子を製造する方法は、無機物コーティングの適用の前に、ナノ粒子コアの表面処理の工程を含んでなり、そしてこの表面処理は、コアの表面に対する界面活性剤の適用を含んでなることができる。このような界面活性剤の適用は、界面活性剤をコートされていないナノ粒子(即ち固体コア)を含有する液相と混合し、続いて凍結乾燥、噴霧乾燥又は他の乾燥法を行うことによって達成して、界面活性剤の表面層を持つナノ粒子コアを得ることができる。
【0091】
ナノ粒子コアの準備表面処理が適していることができる場合のもう一つの例は、ナノ粒子コア中に存在する活性成分が、気相コーティングプロセス(例えばALD法)中に気相に存在する前駆体化合物との反応に感受性である場合である。このような場合、中間層、例えば界面活性剤の層は、更に物質をこのような反応から保護する目的で役立つことができる。
【0092】
ナノ粒子の誘導又は官能化
本発明のナノ粒子において、活性成分(1又は複数)を含有するコアは、適当には無機物コーティングによって完全にコートされている。無機物コーティングの外部表面を、例えば、1又はそれより多い化学部分、例えばナノ粒子が投与される対象(例えば哺乳動物、例えばヒト)の体内のナノ粒子の指向された送達を向上する化合物又は化合物の部分のコーティングの外部表面への結合によって、誘導又は官能化することができることは意図されている。このような化合物は、例えばポリマー、ペプチド、抗体等であることができる。
【0093】
幾つかの態様において、化学部分は、アンカー基又は“ハンドル”、例えばシラン機能を含有する基である。オキシ水酸化物表面の金属及び例えば金属酸化物のシラン化は、このような表面に官能基を結合するための公知の方法であり、そして例は、例えば、Herrera A. P. Et al., J. Mater. Chem., 2008, 18, 3650-3654 によって、そして米国特許第
8097742B2号中に記載されている。
【0094】
このアンカー基に、あらゆる所望の化合物、例えば所望の指向性化合物を結合することができる。従って、幾つかの態様において、固体コア、所望による1又はそれより多い中間層を有する本発明によるナノ粒子が提供され、前記コア及び場合により存在する中間層は、無機物コーティングによってコートされ、ここにおいて、アンカー基は、前記無機物コーティングの外部表面に結合され、前記アンカー基は少なくとも1の指向性分子に結合することが可能である。指向性分子の結合は、共有結合又は非共有結合的結合、例えばイオン結合、水素結合又はファンデルワールス結合、或いは異なった種類の結合の組合せによって達成することができる。
【0095】
アンカー基を持つナノ粒子は、適当な指向性分子を前記ナノ粒子に結合することによって身体の各部分への指向化された送達のための多目的のツールを提供するものである。既に記述したように、このような指向性分子は、例えばポリマー、ペプチド、タンパク質、核酸であることができる。例えば、指向性分子は、抗体又は抗体の断片、或いは受容体結合性タンパク質又はペプチドであることができる。
【0096】
一つの更なる態様において、アンカー基、例えば無機物コーティングの外部表面に結合されたシラン機能を含有する基を有する本明細書中に記載されるナノ粒子を含んでなるキットが提供される。幾つかの態様において、このようなキットは、更に指向性分子を前記アンカー基に結合するために有用な少なくとも1の試薬、及び所望により指導的材料、例えばキットを使用するための文書による説明を伴う小冊子を含む。幾つかの態様において、キットは、更にアンカー基によってナノ粒子に結合されるために適した少なくとも1の指向性分子を含む。
【0097】
医薬製剤及びその使用
一つの側面によれば、本発明は、医学の分野における、例えば治療における又は診断のツールとして使用するための本明細書中で定義されるナノ粒子に関する。本発明のコートされたナノ粒子によって、以前には正確に配合することが困難であったか又は乏しい体内分散によって妨げられ得た乏しい溶解性の化合物を含む、大きい多様性の医薬的に活性な化合物を配合することが可能になるものである。例えば、本発明のナノ粒子中に含まれる活性成分に依存して、本発明のナノ粒子は、疾患、例えば各種の癌、炎症性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患等の治療において使用することができる。
【0098】
従って、一つの側面によれば、本発明は、複数の本発明によるナノ粒子を含んでなる医薬製剤に関する。それら製剤は、局所的又は全身的、非経口的又は経腸的、例えば口腔又は直腸投与のために適していることができ、そして治療的に有効な量の本発明によるナノ粒子を含んでなり、ここで、それぞれのナノ粒子は、本明細書中で定義されるような無機物コーティングによって囲まれたナノ粒子コアを形成するか又はナノ粒子コアの中に含まれる活性成分からなる。更に、医薬製剤は、医薬的に受容可能な賦形剤、例えば、ナノ粒子のための医薬的に受容可能な担体を含んでなることができる。一般的に、医薬的に有効な量は、ナノ粒子に含まれる活性成分、治療される病状、治療される疾病の重篤度、対象の年齢及び相対的健康状態、投与の経路及び形態、担当する医師又は獣医師の判断、等によって変化するものである。
【0099】
本明細書中で使用する場合、ナノ粒子又は生物学的に活性な薬剤の“有効な量”は、ナノ粒子が投与される対象において所望の生理学的変化をもたらすために有効な量である。用語“治療的に有効な量”は、本明細書中で使用する場合、本発明のナノ粒子が投与される対象において生物学的又は医学的反応を発揮する、例えば治療される疾病又は疾患の症状の軽減、或いは疾病又は疾患を治癒若しくは予防する、本発明の特定の側面による単独の又はもう一つの薬剤との組合せにおけるナノ粒子或いは生物学的に活性な薬剤の量を意味する。
【0100】
本発明の医薬製剤は、異なったタイプのナノ粒子を含んでなることができる。例えば、医薬製剤は、異なったサイズの粒子、例えば一つのサイズの範囲のサイズを有するある量のナノ粒子を、もう一つのサイズの範囲のサイズを有するある量のナノ粒子との組合せで含んでなることができる。異なったサイズの範囲は、異なったサイズのコア、又は異なった厚さのコーティング、或いは両方の組合せに起因し得る。
【0101】
従って、幾つかの態様において、薄い無機物コーティングを有するか又は無機物コーティングさえ持たないある量のナノ粒子を、より厚い無機物コーティングを有するある量のナノ粒子との組合せで含んでなる医薬製剤が提供される。異なったコーティングの厚さ及び/又は異なったコアのサイズを持つナノ粒子を1の同じ製剤中に入れることによって、治療される対象の身体中で得られる薬物放出は、選択される時間にわたって、例えば殆ど瞬時放出から、持続性放出まで延長することができる。
【0102】
従って、幾つかの態様において、医薬製剤は、異なった活性成分及び/又は異なった放出特性のナノ粒子を含んでなる。例えば、幾つかの態様において、製剤は、第1の物質を第1の時間にわたって放出することを可能にする厚さのコーティングを有するある量のナノ粒子と、第2の物質の第2の時間にわたる放出を可能にするもう一つのより大きい厚さのコーティングを有するある量のナノ粒子とを含んでなり、この第2の時間は、第1の時間と重複しても重複しなくてもよい。
【0103】
他の態様において、本発明の医薬製剤は、ナノ粒子表面における異なった官能化又は誘導を有するナノ粒子を含んでなる。例えば、本発明の医薬製剤は、ナノ粒子を、体内の1の器官又は細胞種に向ける1の種類の指向性分子で官能化されたある量のナノ粒子、及びナノ粒子を、体内の同じ又はもう一つの器官又は細胞種に向けるもう一つの種類の指向性分子で官能化されたある量のナノ粒子を含んでなることができる。
【0104】
経腸的、例えば経口投与において、本発明のナノ粒子は、幅広い種類の剤形に配合することができる。医薬的に受容可能な担体は、固体又は液体のいずれかであることができる。固体形態の製剤は、顆粒(ここにおいて、それぞれの顆粒は、幾つかのナノ粒子及び例えば結合剤からなる)、錠剤、丸薬、ロゼンジ、カプセル、カシェー、座薬を含む。固体の担体は、1又はそれより多い物質であることができ、これは、更に例えば、希釈剤、芳香剤、潤滑剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化物質として作用することができる。錠剤において、本発明のナノ粒子は、一般的に必要な結合能力を有する担体と適した比率で混合され、そして所望の形状及びサイズに圧縮される。適した担体は、制約されるものではないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター、等を含む。
【0105】
もう一つの態様において、ナノ粒子は、例えば軟質又は硬質シェルのカプセル、例えばゼラチンカプセル中にカプセル化される。
【0106】
直腸投与のための例示的な組成物は座薬を含み、これは、例えば適した非刺激性賦形剤、例えば通常の温度では固体であるが、しかし直腸空隙では液化及び/又は溶解して、ナノ粒子を放出するココアバター、合成グリセリドエステル又はポリエチレングリコールを含有することができる。
【0107】
本発明のナノ粒子は、更に、非経口的に、例えば吸入、注射又は注入によって、例えば静脈内、動脈内、骨内、筋肉内、脳内、脳室内、滑膜内、胸骨内、クモ膜下腔内、病巣内
、頭蓋内、腫瘍内、皮内及び皮下注射又は注入によって投与することができる。
【0108】
従って、非経口投与のために、本発明の医薬組成物は、滅菌注射用又は注入用製剤、例えば本発明のナノ粒子の滅菌水性又は油性懸濁液としての形態であることができる。この懸濁液は、適した分散又は湿潤剤(例えば、Tween80)、及び懸濁剤を使用して当技術において既知の技術によって配合することができる。滅菌注射用又は注入用製剤は、更に、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤中の滅菌注射用又は注入用懸濁液であることもできる。例えば、医薬組成物は、1,3−ブタンジオール中の溶液であることができる。本発明の組成物中に使用することができる受容可能なベヒクルの他の例は、制約されるものではないが、マンニトール、水、リンゲル溶液及び等張の塩化ナトリウム溶液を含む。更に、滅菌の固定油を懸濁媒体として使用することができる。この目的のために、合成のモノ又はジグリセリドを含むいずれもの無菌性の固定油を使用することができる。脂肪酸、例えばオレイン酸及びそのグリセリド誘導体は、天然の医薬的に受容可能な油類、例えばオリーブ油又は特にそのポリオキシエチル化変種のヒマシ油のように、注射剤の調製において有用である。これらの油性懸濁液は、更に長鎖アルコール希釈剤又は分散剤を含有することができる。
【0109】
幾つかの態様において、本発明の医薬組成物は、吸入のために適した製剤、例えば乾燥粉末吸入器の使用によって投与することができるような吸入粉末である。この種の製剤は、例えば Kumaresan C., et al, Pharma Times-Vol. 44-No. 10-Cotover 2012, pp. 14-18 及び Mack P., et al., Inhalation, val. 6, No. 4, August 2012, pp. 16-20 によって記載され、これらの内容は本明細書中に参考文献として援用される。
【0110】
このような態様において、ナノ粒子のサイズは、適当には、約20〜50μmの直径を有する範囲である。
【0111】
本発明の吸入製剤の幾つかの態様において、製剤からの薬物放出は、即時又は急速放出及び持続性放出で1のそして同じ投与量を与えるように制御することができる。これは、異なったコーティングを有する粒子を、例えば厚さを例えば変化し、そして更に所望によりコーティングを持たない粒子を組合せることによって達成される。例えば、コーティングを持たない粒子は、吸入後、例えば30分後に溶解し始める例えば5nmのコーティングを有する粒子、及び所望により吸入後、更に長い時間後、例えば数日後に溶解し始める更に厚いコーティングを持つ粒子と組合せることができる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、更に局所的に、皮膚又は粘膜に投与することができる。局所投与のために、医薬組成物は、例えば、本発明のナノ粒子を含有するローション、ゲル、ペースト、チンキ、経皮貼布、粘膜経由送達のためのゲルであることができる。組成物は、担体、例えば鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化用ワックス及び水中に懸濁された本発明のナノ粒子を含有する適した軟膏と共に配合することができる。別の方法として、医薬組成物は、担体中に本発明のナノ粒子を含有する適当なローション又はクリームと共に配合することができる。適した担体は、制約されるものではないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セタリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を含む。本発明の医薬組成物は、更に直腸の座薬製剤又は適した浣腸製剤によって下部消化管に局所的に適用することもできる。
【0113】
適した医薬的賦形剤、例えば担体、及び医薬的剤形を調製する方法は、薬物配合の技術の標準的な参考教科書である Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing
Company 中に記載されている。
【0114】
幾つかの態様において、本発明の医薬組成物は、概略1%〜概略99%、好ましくは概略20%〜概略90%の本発明のナノ粒子を、少なくとも1の医薬的に受容可能な賦形剤と一緒に含んでなることができる。
【0115】
本発明のナノ粒子及びその使用は、更に付属する図面で例示される。これらの図面において、図1は、コーティング3によって包まれた固体コア2を含んでなるナノ粒子1である。図1に表される粒子は球形であるが、これは勿論単に略図であり、そして実際、粒子1は、更に不規則な形状であることもできることは理解されるべきである。同様に、ナノ粒子の直径及びコーティングの厚さ間の比率は、単に例示であり、そしてこれらの比率は、所望の溶解時間、コーティングの層の数、等のような因子によって変化することができる。
【0116】
図2に表されるナノ粒子1は、コア2及びコーティング3間に中間層4を含んでなる。この中間層4は、図2において破線によって例示される層の目的に依存して、コア2を包み、そして完全に覆うか、又はそうしないことができる。
【0117】
図3に表されるナノ粒子1は、無機物コーティング3の外部表面に結合された化学部分5、例えば表面にもう一つの分子、例えば指向性分子を結合することを可能にするアンカー基を含んでなる。化学部分5は、更に、ナノ粒子が投与される対象の体内の器官又は細胞種の指向化のような目的を、それ自体で満たす部分であることができる。
【0118】
図3に示したナノ粒子は、図2に例示した種類のいずれもの中間層を含まないが、このような変種を更に意図することも理解されるべきである。
【0119】
図4において、ナノ粒子1が、アンカー基である化学部分5を有し、このアンカー基に選択された分子6が結合されることを示す。図3のナノ粒子に関して、無機物コーティング3及び固体コア2間に少なくとも1の中間層を含んでなる図4のナノ粒子の変種は意図されている。
【0120】
図1〜4に表された態様において、無機物コーティングは、更に異なった組成の幾つかの層、例えばAlの1の層及びTiOの1の層を含んでなることができる。
【0121】
最後に、図5において、ある量の第1のナノ粒子1a及びある量の第2のナノ粒子1bを含有する、本発明による医薬的投与単位7が例示される。図5において、ナノ粒子は、コア及びコーティングの両方のサイズが異なるように模式的に示される。ナノ粒子の化学組成が、表面の官能化が異なるように、異なることができることも更に理解されるべきである。投与単位は、例えばカプセルであることができる。本発明のナノ粒子に加えて、投与単位は、更に粒子又は非粒子の形態の他の活性成分、並びに医薬的に受容可能な賦形剤を含んでなることができる。
【0122】
本発明は、ここに、以下の非制約的実施例によって記載されるものである。
【実施例】
【0123】
実施例1
薬物の粉末は、100nmの粒度を有する。この薬物に伴う問題は、患者に経口投与してそしてその最適な医薬効果を維持できないことである。比較的不活性なナノ粒子として薬物が体内の目的地に薬物の放出の前に達することができれば、より好ましい。これを達成するために、アルミナ(Al)の薄いコーティングがALDを使用して粒子/粉末に適用される。アルミナは、粉末が体内で直接溶解することを防止し、そしてコーティングの厚さがどれくらいの長く溶解が続くかを決定する。アルミナの溶解は、酸性pHで
も中性pHでも、塩化物イオンの存在によるであろう。
【0124】
ALDによるアルミナコーティングを形成するプロセスは50〜100℃の温度で行われ、そして薬物はこの温度に劣化されずに堪える。
【0125】
実施例2
薬物の粉末は1000nmの粒度を有する。この薬物に伴う問題は、表面が極性の官能基によって終止しており、それが細胞膜を通るのを防止していることである。二酸化チタン(TiO)の薄いコーティングを粒子の表面に適用することによって、酸化チタンがその表面に薬物以外のもう一つの化学組成を提供するために、この問題を回避できる。
【0126】
ALDによる酸化チタンコーティングを形成するプロセスは100〜150℃の温度で行われ、薬物はこの温度に劣化されずに堪える。
【0127】
実施例3
薬物の粉末は100nmのサイズを有する。この薬物に伴う問題は、指向化又は他の機能のために所望の分子で修飾できないことである。それら粒子をアルミナ(Al)の薄膜でコートすると、指向化又は他の機能のための所望の分子がそのコーティングの上にカップリングし、この問題を回避することができる。
【0128】
実施例4
薬物の粉末は200nmのサイズを有する。粉末を、Tween 80 の水溶液と混合し、そ
して乾燥させる。界面活性剤で処理された表面を持つ粉末に、アルミナ(Al)の薄膜を適用する。
【0129】
実施例5
フェロジピン(即ち、(RS)−4−(2,3−ジクロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸3−エチル5−メチル)の粒子の粉末(0.3g、概略粒子サイズ150nm)を、5cmのトレイに入れ、そしてトレイをALD反応室に導入した。反応器を50〜100℃の温度に加熱した。ALDをトリメチルアルミニウム及び水をALD前駆体として使用して行った。50回のALDサイクルを、1〜10秒のALDパルス長で行った。得られた生成物は、個々の粒子間の接触の点を除いて、約3nmの厚さのコーティングを有する粒子からなっていた。
【0130】
フェロジピンの粉末を反応器から放出し、5mlの水に入れ、そして5分間超音波処理した。フェロジピンは非常に低い水溶解度を有し、そして従って、水が超音波処理工程に対する液相(分散媒体)として選択された。超音波処理は、個々のフェロジピン粒子間の接触点の分裂を伴う脱凝集をもたらした。
【0131】
フェロジピン粒子の粉末を、水中に静置させ、そして過剰の水をデカントした。次いで粉末を乾燥させた。粉末を、スパチュラを使用して“フワフワ”にし、そして反応器に装填するために再びトレイに入れた。
【0132】
粉末のALDコーティング、粉末の超音波処理、及び超音波処理された粉末の乾燥の工程を、合計4サイクルまで、3回繰り返した。得られた乾燥粉末は自由流動性であり、そして主な画分(粒子の50%より多い)は、破損(接触孔)を伴わず、10〜20nmの厚さの酸化アルミニウムコーティングを有していた。
【0133】
実施例6
パラセタモール(即ち、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド)の粒子の粉末
(0.3g、概略粒子サイズ30μm)を、5cmのトレイに入れ、そしてトレイをALD反応室に導入した。反応器を50〜100℃の温度に加熱した。ALDをトリメチルアルミニウム及び水をALD前駆体として使用して行った。50回のALDサイクルを、1〜10秒のALDパルス長で行った。得られた生成物は、個々の粒子間の接触の点を除いて、約3nmの厚さのコーティングを有する粒子からなっていた。
【0134】
パラセタモール粒子の粉末を反応器から放出し、5mlのヘプタノール中に入れ、そして5分間超音波処理した。パラセタモールは、高い水溶解度を有するが、例えばヘプタン中の低い溶解度を有し、そして従って、ヘプタンが、超音波処理工程のための液相(分散媒体)として選択された。超音波処理は、個々のパラセタモール粒子間の接触点の分裂を伴う脱凝集をもたらした。
【0135】
パラセタモール粒子の粉末を静置させ、そして過剰のヘプタンをデカントした。次いで粉末を乾燥させた。粉末を、スパチュラを使用して“フワフワ”にし、そして反応器に装填するために再びトレイに入れた。
【0136】
粉末のALDコーティング、粉末の超音波処理及び超音波処理された粉末の乾燥の工程を、合計5サイクルまで、4回繰り返した。最後の乾燥工程後、得られた乾燥粉末は自由流動性であり、そして主な画分(粒子の50%より多い)は、破損(接触孔)を伴わず、10〜20nmの厚さの酸化アルミニウムコーティングを有していた。
【0137】
実施例7
フェロジピンの粒子の粉末(0.03g、概略粒子サイズ150nm)を、5cmのトレイに入れ、そしてトレイをALD反応室に導入する。反応器を50〜100℃の温度に加熱する。ALDをトリメチルアルミニウム及び水をALD前駆体として使用して行う。10〜30回のALDサイクルを、0.1〜450秒のALDパルス長で行う。得られた生成物は、個々の粒子間の接触の点を除いて、約0.5〜2nmの厚さのコーティングを有する粒子からなっている。
【0138】
フェロジピン粒子の粉末を反応器から放出し、5mlの水中に入れ、そして5分間超音波処理する。
【0139】
5分間の超音波処理後、粉末を静置させ、そして過剰の水をデカントする。次いで粉末を乾燥させる。粉末を、スパチュラを使用して“フワフワ”にし、そして反応器に装填するために再びトレイに入れる。
【0140】
粉末のALDコーティング、粉末の超音波処理、及び超音波処理された粉末の乾燥の工程を、3回、即ち合計4シリーズ繰り返し、それぞれのシリーズは、50回のALDサイクルを含む堆積工程、それに続く超音波処理及び超音波処理された粒子の乾燥の工程を含んでなる。得られた乾燥粉末は、自由流動性であり、そして破損(接触孔)を伴わず、2〜8nmの厚さの酸化アルミニウムコーティングを有していた。
【0141】
破損されていないコーティングを有するフェロジピンを含有するナノ粒子は、必要な場合、フェロジピンに対する溶媒であるジクロロメタン中に粉末を浸漬し、浸漬媒体から浸漬された粒子を分離し、そして所望により分離された粒子を洗浄することによって、いずれもの残りの不完全にコートされたナノ粒子から分離できる。
【0142】
その後、前駆体を四塩化チタンに変更し、水のALDを、酸化アルミナでコートされたフェロジピン粒子に、本質的に先のALD処理と同じ条件(反応器温度50〜100℃、10〜30回のALDサイクル、1〜10秒のALDパルス長)を使用して、酸化アルミ
ニウムコーティングの上に酸化チタンのコーティングを形成するために行う。このALD処理及び脱凝集処理の第2のシークエンスにおいて、このシリーズは合計4回行われる。
【0143】
実施例8
実施例5の方法に従い、しかし一連のALD処理及び脱凝集処理を8回行う。15nmの厚さの酸化アルミニウムのコーティング、及び40μmの粒子サイズを持つフェロジピンのナノ粒子粉末を得る。
【0144】
実施例9
実施例6の方法に従い、しかし一連のALD処理及び脱凝集処理を合計8回行った。15nmの厚さの酸化アルミニウムのコーティング、及び40μmの粒子サイズを有するパラセタモールのナノ粒子粉末を得た。
【0145】
実施例10
実施例5の方法に従い、しかし四塩化チタン及び水をALD処理の前駆体として使用する。15nmの厚さの酸化チタンのコーティング、及び40μmの粒子サイズを持つフェロジピンのナノ粒子粉末を得る。
【0146】
実施例11
実施例6の方法に従い、しかし四塩化チタン及び水をALD処理の前駆体として使用する。5nmの厚さの酸化チタンのコーティング、及び150nmの粒子サイズを持つパラセタモールのナノ粒子粉末を得る。
【0147】
比較実施例12
実施例5の方法に従ったが、しかしALD処理されたナノ粒子の最初の超音波処理及び乾燥後、いずれもの更なる無機物コーティングの適用を伴わずに乾燥粉末を収集した。
【0148】
実施例13
約15mgの実施例6において調製されたコートされたパラセタモールのナノ粒子を、100mlの脱イオン水と混合し、そして次いで5分間超音波処理した。混合物を更なる脱イオン水の添加によって1リットルに希釈し、そして磁気撹拌機を使用して撹拌した。上清(水は溶解したパラセタモールを含有する)の試料を規則的な間隔で採取し、そして上清中のパラセタモールの濃度の指標として243nmにおける吸光度を測定した。
【0149】
実施例14
実施例9のコートされたパラセタモールのナノ粒子を使用して、実施例13の方法を繰返した。
【0150】
比較実施例15
比較実施例12のパラセタモールのナノ粒子を使用して、実施例13の方法を繰返した。
【0151】
図6において、実施例13〜15の溶解試験の結果を示す。図6において、菱形1は、実施例14(8回のコーティング/撹拌シリーズ)において得られた結果を示し;四角2は、実施例13(5回のコーティング/撹拌シリーズ)において得られた結果を示し;そして三角3は、比較実施例15(1回のコーティング/撹拌シリーズ)において得られた結果を示す。無印の直線の水平の線(約0.8における)は、実施例6及び9のコートされたナノ粒子の全部の溶解における水相中のパラセタモールの濃度である。
【0152】
結果から、本発明のコートされたナノ粒子が、実質的に遅延した溶解の特性を有するよ
うに見受けられる。更に、遅延は、ALD(又は他の堆積)サイクルの数及び中間の撹拌処理を伴うALD(又は他の堆積)処理を含んでなるシリーズの数を変化して調整することができる。
【0153】
いずれもの理論に束縛されることを望むものではないが、通常、いずれか1の粒子からの固体コアの放出は、固体コアを包囲するコーティングの厚さにより増加する遅延後に起こる即時的現象であると考えられる(即ち、コーティングが厚ければ、その崩壊又は溶解のための時間は長い)。パラセタモールは、非常に水溶性の物質であり、従って理論的には、均一なコーティングの厚さを有する複数のナノ粒子は、コーティングが液相にゆっくりと溶解する最初の遅延時間、それに続く、短い時間の液相中のパラセタモール濃度の急速な増加(これは、包囲するコーティングが溶解して、水がパラセタモールへ十分に接近した時点における、パラセタモールの急速な溶解に対応する)を含む、水性液相中のパラセタモールの溶解特性を示すことを予測することができる。この理論的な溶解特性と対照的に、本発明のナノ粒子は、液相中パラセタモール濃度の急速な上昇、それに続くゆっくりした、そして着実な上昇を示す。
【0154】
最初の数分間中のパラセタモールの急速な上昇は、残りの不完全にカプセル化されたナノ粒子に対応し、その粒子からパラセタモールが急速に溶解すると考えられる。この仮説は、上清中のパラセタモール濃度の最初の急速な増加の最高レベルが、コーティングシリーズの回数が増加するに従って減少するという事実によって支持される。一連のコーティング及び脱凝集の回数の増加は、完全にコートされたナノ粒子の画分の増加に導くものである。
【0155】
上清中のパラセタモール濃度のその後のゆっくりした上昇は、ナノ粒子の不均一なコーティングの結果と考えられる。再び、いずれもの理論に束縛されることを望むものではないが、コーティングのそれぞれの適用中に、粒子間の新しい接触点がランダムな様式で起こるものであり、そしてこれによって、それぞれの粒子がその表面に変化する厚さのコーティングを有するものであると推測することができる。不均一な表面のコーティングを有する複数のこのような粒子の溶解は、実施例13及び14によって得られたゆっくりと上昇する濃度特性をもたらすものである。In vivoの投与において、実施例6及び9のナノ粒子は、治療される対象の体内のパラセタモールの遅延放出を提供することが可能なものである。
【0156】
不完全にコートされたナノ粒子、例えば実施例13及び14においてパラセタモールの最初の急速な上昇を与えるものは、コーティングプロセスの終りにおいて、例えば、生成物をナノ粒子の固体コアに対する溶媒と接触させることよって、ナノ粒子生成物から容易に除去することができることは注意すべきである。例えば、水溶性の固体コアを有するナノ粒子は、水又は水溶液で洗浄し、そして乾燥させることができる。非水溶性の固体コア、例えば有機溶媒に可溶性のコアを持つ粒子は、そのような有機溶媒で洗浄することができる。洗浄工程(1又は複数)において、不完全にコートされたナノ粒子の固体コアは溶解するものであり、そして完全に包まれた固体コアを有する粒子は、その後、液相から分離し、そして所望により洗浄及び乾燥することができる。
【0157】
従って、幾つかの態様において、本発明は、それぞれの粒子が、生物学的に活性な物質を含んでなる固体コアを有し、前記コアは無機物コーティングによって包まれている複数のナノ粒子を調製する方法を提供し、この方法は、1又はそれより多い無機物質の層を前記固体コアに適用し、
前記固体コアを、無機物質の層の適用中、及び/又は適用間に撹拌にかけ、そして
得られたナノ粒子を固体コアに対する溶媒と接触させる
工程を含んでなる。
【0158】
不完全にコートされたナノ粒子を除去する工程において、固体コアに対する溶媒は、好ましくは無機物コーティングに対する溶媒であってはならず、又は無機物コーティングに対する貧溶媒のみでなければならない。
【0159】
非常に好都合なことには、本発明の方法によって、ナノ粒子組成物は、所望の制御放出特性、例えば遅延放出特性、持続性放出特性等を有して提供することができる。従って、幾つかの態様において、この方法は:
コートされたナノ粒子の試料を、固体コア及び無機物コーティングに対する溶媒である液相と接触させ、
液相中のコートされたナノ粒子の固体コアの溶解を測定し、
コートされたナノ粒子の固体コアの溶解を、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの溶解と比較し、
コートされたナノ粒子の固体コアの溶解の遅延を、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの溶解と比較して決定し、そして
所定の時間の長さを超える溶解の遅延を有するコートされたナノ粒子を選択すること、を含んでなる。
【0160】
固体コア及び無機物コーティングに対する溶媒である液相は、例えば、水、水溶液、リン酸緩衝液又はいずれもの他の適した液体であることができる。
【0161】
液相中のコートされたナノ粒子の溶解は、例えば、液相中の活性物質の濃度を決定することによって測定することができる。
【0162】
コートされたナノ粒子の固体コアの溶解特性を、コーティングによって提供される溶解の遅延に関する情報を得るために、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの溶解特性と比較する。
【0163】
例えば、溶解の遅延は、コートされたナノ粒子の固体コアの少なくとも50重量%を溶解するために必要な時間及び無機物コーティングを持たない類似の固体コアの少なくとも50重量%を溶解するために必要な時間の間の差として決定することができる。
【0164】
幾つかの態様において、溶解の遅延は、コートされたナノ粒子の固体コアの少なくとも90重量%を溶解するために必要な時間と、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの少なくとも90重量%を溶解するために必要な時間の間の差として決定することができる。
【0165】
幾つかの態様において、溶解の遅延は、コートされたナノ粒子の固体コアの少なくとも95重量%を溶解するために必要な時間と、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの少なくとも95重量%を溶解するために必要な時間の間の差として決定することができる。
【0166】
幾つかの態様において、溶解の遅延は、コートされたナノ粒子の固体コアの少なくとも99重量%を溶解するために必要な時間と、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの少なくとも99重量%を溶解するために必要な時間の間の差として決定することができる。
【0167】
幾つかの態様において、溶解の遅延は、コートされたナノ粒子の固体コアの少なくとも100重量%を溶解するために必要な時間と、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの少なくとも100重量%を溶解するために必要な時間の間の差として決定すること
ができる。
【0168】
従って、所定の長さの時間を超える溶解の遅延を有するコートされたナノ粒子は、適当に選択することができる。溶解の遅延が、試験によって不十分であると考えられる場合、この方法のパラメーター、例えばナノ粒子に対する無機物質の適用の回数を、より厚いコーティングを提供するように増加することができるか、又は無機物質を変更することができる、等である。
【0169】
従って、非常に好都合には、本発明は、放出特性の細かい調節を伴う医薬製剤を得る方法を提供する。更に、異なった放出特性のナノ粒子を、1つのかつ同じ医薬製剤に混合することができ、その結果、製剤の放出特性を変化する可能性がさらに高まる。
本発明の態様
態様1 複数のコートされたナノ粒子を製造する方法であって、前記コートされたナノ粒子は、生物学的に活性な物質を含んでなる固体コアを有し、前記固体コアは、無機物コーティングによって包まれており、該方法が;
無機物質の1又はそれより多い層を、複数の前記固体コアに、該無機物質及び/又は該無機物質を形成するための前駆体が気相に存在する適用法によって適用し、そして
前記固体コアを、無機物質の層(1又は複数)の適用中及び/又は適用間に、撹拌にかけること;
を含んでなる方法。
態様2 態様1に記載の方法であって、無機物質の1より多い層が、前記固体コアに適用され、そして前記固体コアが、無機物質の少なくとも1の層が前記固体コアに適用された後であって、無機物質の少なくとも1のその後の層が前記固体コアに適用される前に、撹拌にかけられる方法。
態様3 態様1又は2のいずれか1項に記載の方法であって、
(i)無機物質を複数の前記固体コアに適用し
(ii)該複数の前記固体コアを撹拌にかけ、
(iii)工程(i)をn回繰り返し、ここで、nは少なくとも1の整数であり、そして
(iv)nが少なくとも2の整数である場合、少なくとも数回の工程(i)の後に、工程(ii)を繰返すこと
を含んでなる方法。
態様4 態様3に記載の方法であって、nが少なくとも1の整数であり、そして多くとも50である方法。
態様5 態様4に記載の方法であって、nが少なくとも2の整数であり、そして多くとも20である方法。
態様6 態様5に記載の方法であって、nが少なくとも3の整数であり、そして多くとも10である方法。
態様7 態様1に記載の方法であって、前記固体コアが、無機物質の適用中に連続的又は間欠的撹拌にかけられる方法。
態様8 態様1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、前記無機物質が、原子層堆積法、化学蒸着法又は物理蒸着法によって適用される方法。
態様9 態様1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、無機物質が、少なくとも1の金属又はメタロイド元素を含んでなる方法。
態様10 態様9に記載の方法であって、金属又はメタロイドである前記元素が、酸化物、水酸化物、炭化物、セレン化物、窒化物、硫化物、フッ化物、塩化物及び/又は塩として存在する方法。
態様11 態様10に記載の方法であって、前記元素が酸化物として存在する方法。
態様12 態様1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、前記無機物質が、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(Fe)、酸化ガリウム(Ga)及び酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ランタン(La)、二酸化ジルコニウム(ZrO)及び/又は二酸化ケイ素(SiO)を含んでなる方法。
態様13 態様1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、無機物質の幾つかの層が該固体コアに適用される方法。
態様14 態様13に記載の方法であって、異なった組成の層が該固体コアに適用される方法。
態様15 態様1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、該生物学的に活性な物質が、治療的に活性な物質である方法。
態様16 態様1〜15のいずれか1項に記載の方法であって、
該ナノ粒子の試料を、該固体コア及び該無機物コーティングのための溶媒である液相と接触させ、
該液相中の該コートされたナノ粒子の固体コアの溶解を測定し、
コートされたナノ粒子固体コアの溶解を、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの溶解と比較し、
該コートされたナノ粒子固体コアの溶解の遅延を、無機物コーティングを持たない類似の固体コアの溶解と比較して決定し、そして
所定の長さの時間を超える溶解の遅延を有するコートされたナノ粒子を選択すること;
を含んでなる方法。
態様17 態様16に記載の方法であって、該溶解の遅延が、該コートされたナノ粒子固体コアの少なくとも50重量%を溶解するのに要した時間と該コーティングを持たない固体コアの少なくとも50重量%を溶解するのに要した時間との差として決定される方法。
態様18 態様17に記載の方法であって、前記所定の時間の長さが、少なくとも5分である方法。
態様19 態様17に記載の方法であって、該所定の長さの時間が少なくとも1時間である方法。
態様20 態様1〜19のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる複数のコートされたナノ粒子。
態様21 態様20に記載の複数のコートされたナノ粒子であって、該生物学的に活性な物質が治療的に活性な物質であるナノ粒子。
態様22 態様21に記載の複数のコートされたナノ粒子及び医薬的に受容可能な担体を含んでなる医薬組成物。
態様23 態様22に記載の複数のナノ粒子と医薬的に受容可能な担体又は賦形剤とを混合することを含んでなる、医薬組成物を製造する方法。
【符号の説明】
【0170】
1 ナノ粒子
2 コア
3 コーティング
4 中間層
5 化学部分
6 選択された分子
7 医薬的投与単位
図1
図2
図3
図4
図5
図6