特許第6772358号(P6772358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パラマウントベッド株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6772358-寝台装置 図000002
  • 特許6772358-寝台装置 図000003
  • 特許6772358-寝台装置 図000004
  • 特許6772358-寝台装置 図000005
  • 特許6772358-寝台装置 図000006
  • 特許6772358-寝台装置 図000007
  • 特許6772358-寝台装置 図000008
  • 特許6772358-寝台装置 図000009
  • 特許6772358-寝台装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6772358
(24)【登録日】2020年10月2日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】寝台装置
(51)【国際特許分類】
   A47D 7/00 20060101AFI20201012BHJP
   A47C 20/04 20060101ALI20201012BHJP
   A61G 7/05 20060101ALI20201012BHJP
   A61G 7/005 20060101ALI20201012BHJP
   A61G 7/012 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A47D7/00 Z
   A47C20/04 A
   A61G7/05
   A61G7/005
   A61G7/012
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-205540(P2019-205540)
(22)【出願日】2019年11月13日
(62)【分割の表示】特願2015-137868(P2015-137868)の分割
【原出願日】2015年7月9日
(65)【公開番号】特開2020-22837(P2020-22837A)
(43)【公開日】2020年2月13日
【審査請求日】2019年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】山野邊 崇史
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−226042(JP,A)
【文献】 特開2014−104100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 7/00
A47C 20/04
A61G 7/005
A61G 7/012
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持架台と、
前記支持架台上に設けられた1本の支柱と、
平面視で矩形の寝台フレームと前記支柱と連結する連結フレームと、
を備える寝台装置において
前記連結フレームは、
前記寝台フレームと、前記支柱より前記寝台装置の脚側で伸縮可能に連結するダンパーと、
前記寝台フレームの長手方向に沿って延び、前記支柱の上面の少なくとも一部と連結し、前記寝台フレームの少なくとも一部の下面と接する縦枠材と、
前記寝台フレームの短手方向に沿って延び、前記縦枠材と連結すると共に、前記寝台フレームと、前記支柱より前記寝台装置の脚側で回動可能に連結する横枠材と、
を備え、
前記ダンパーむことにより、前記寝台フレームが傾斜する
ことを特徴とする寝台装置。
【請求項2】
前記ダンパーが伸び、前記縦枠材の少なくとも一部の上面と前記寝台フレームの少なくとも一部の下面が接するとき、
前記寝台フレームがほぼ水平になる、
ことを特徴とする請求項1記載の寝台装置。
【請求項3】
前記ダンパーが縮み、前記縦枠材の上面と寝台フレームの補強フレーム材の下面が離れるとき、
前記寝台フレームが傾斜する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の寝台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児を寝かせるための従来の寝台装置である小児用ベッドとしては、例えば下記特許文献1に示すようなものが知られている。この小児用ベッドは、支持架台と、同支持架台上に支持されるとともに人体が載置される寝台とを備えている。支持架台は脚部及び車輪を備えており、必要に応じて作業者が手押しすることで移動可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−289830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の小児用ベッドにおいては、新生児用ベッドに用いられている一本支柱の支持架台の採用が望まれていた。このような一本柱の支持架台を採用した場合、小児用ベッド下方に広めの空間が確保出来る上にこの空間内へのアクセスが容易であるので有効活用が可能であるという利点がある。
しかしながら、新生児よりも体重が重い乳児を支える場合、一本柱の支持架台をそのまま採用しただけでは、寝台にしなりやがたつきが生じ、寝ている乳児が落ち着かず寝付けないという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、しなりやがたつきが抑えられた堅牢な寝台装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用している。
(1)支持架台と、支柱と、寝台フレームと、伸縮可能なダンパーを含む連結機構と、を備え、前記寝台フレームと前記連結機構は回動可能に接続され、前記ダンパーは、前記寝台フレームと前記連結機構との間にあり、前記ダンパーの伸縮により、前記寝台フレームが傾斜するように、前記支柱と前記寝台フレームとが連結されている。
上記(1)に記載の寝台装置によれば、寝台の自重及び寝台に加えられる荷重の双方を、構造的に剛性が高い枠体によって支える構造であるため、前記自重及び前記荷重を支持架台のみで直接受ける場合に比べて、寝台のしなりやがたつきを抑えることができる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の寝台装置において、前記ダンパーが伸び、前記寝台フレームが水平となったときに、前記連結機構の少なくとも一部の上面と寝台フレームの短手下面が接するようにしてもよい。
上記(2)の場合、ダンパーが伸び、寝台フレームが水平となったときに、連結機構の少なくとも一部の上面と寝台フレームの短手下面が接するので、寝台の自重や寝台に加えられる荷重にを確実に支持することができる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)に記載の寝台装置において、前記ダンパーが縮み、前記寝台フレームが傾斜しているときに、前記連結機構の少なくとも一部の上面と寝台フレームの短手下面が離れてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記各態様によれば、しなりやがたつきが抑えられた堅牢な寝台装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る寝台装置である小児用ベッドの斜視図である。
図2】同小児用ベッドの支持架台及び連結機構の構造を説明するための斜視図である。
図3】同小児用ベッドにおける寝台の構成要素である下部フレームの斜視図である。
図4】同小児用ベッドの連結機構の斜視図である。
図5】同小児用ベッドの連結機構における傾動機構を示す図であって、図2のA−A断面図である。
図6】同小児用ベッドの寝台に対して加えられた局所的な荷重を連結機構の枠体で受け止めている状態を説明する図であって、下部フレームの長手方向一方の半分と枠体とを示す概略平面図である。
図7図6と同じ図であって、下部フレームのフレーム材の中央に局所的な荷重が加えられた場合を示す概略平面図である。
図8】同小児用ベッドの寝台に対して加えられた局所的な荷重を連結機構の枠体で受け止めている状態を説明する図であって、下部フレームの長手方向他方の半分と枠体とを示す概略平面図である。
図9図8と同じ図であって、下部フレームのフレーム材の中央に局所的な荷重が加えられた場合を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る寝台装置である小児用ベッドを、図面に基づいて以下に説明する。図1図3において、矢印Hは人体(乳児)を載せる際に頭部側となる向きを示し、また矢印Fは人体を乗せる際に脚部側となる向きを示している。以下の説明においては、矢印H側を前方、矢印F側を後方、矢印H,Fの方向に対して直交する水平方向を左右と言う場合が有る。
図1の斜視図に示すように、本実施形態の小児用ベッドは、一本支柱の支持架台10と、支持架台10上に支持されるとともに人体(不図示)が載置される寝台20と、支持架台10及び寝台20間を連結する連結機構30と、を備えている。
【0012】
図2に示すように、支持架台10は、一対の脚部11と、これら脚部11間に挟み込まれた状態で立脚する一本支柱である昇降台12と、各脚部11の各先端に回動自在に取付けられたキャスター13と、を備えている。
各脚部11は、それぞれ、水平方向に沿って直線的に延在する直線部11aと、この直線部11aの両端より平面視して湾曲した湾曲部11bと、この湾曲部11bに連なって直線的に延在する脚先端部11cと、この脚先端部11cの末端に溶接固定されたキャスター取付け部11dと、を備えている。これら一対の脚部11を平面視した場合、直線部11aは互いに平行をなし、湾曲部11bは互いに離間する方向に曲がっており、そして脚先端部11cはさらに互いに離間する方向に延在している。
そして、各脚部11が上述のような形状を有しているため、図2のハッチングに示す領域C1〜C4に空き空間が形成されており、小児用ベッドを取り扱う作業者の足等との干渉を防いだり、必要に応じて各種医療機器(不図示)を配置したりすることが可能となっている。本実施形態の小児用ベッドは一本支柱の支持架台10を備えているため、寝台20の下方空間へのアクセスが容易な構造となっている。
【0013】
なお、直線部11aはその長手方向中央位置において分断されているのではなく、後述のゴムカバー12cによりその中央の一部分が覆われている。よって、各脚部11は、一方の脚先端部11cから湾曲部11b及び直線部11a及び他の湾曲部11bを経て他方の脚先端部11cに至るまで、それぞれ一本の長尺板部材を水平方向の2箇所で曲げ加工して得られた一体品を主要構成要素としており、この一体品の両端に前記キャスター取付け部11dが溶接固定されている。
また、各キャスター取付け部11dの上端には、その開口部を覆うゴム栓11d1が嵌め込まれており、このゴム栓11d1を外した場合には、開口部に点滴棒(不図示)を差し込んで支持具として用いることが可能となっている。
【0014】
図2に示すように、昇降台12は、前記一対の直線部11a間に挟まれてかつ鉛直方向に延在するように溶接固定された角パイプ形状の台座部12aと、この台座部12a内に同軸かつ鉛直方向に昇降自在に挿入された昇降部12bと、これら台座部12a及び昇降部12b間に設けられたガススプリング(不図示)と、昇降部12bの昇降動作を許可及び禁止する昇降レバー(不図示。昇降レバーは、後述の枠体40に対して取付けられている)と、台座部12a及び前記一対の直線部11a間の溶接箇所を覆うゴムカバー12cとを備えている。
台座部12aは、その下端が前記一対の直線部11aの各下縁よりも下方に突出するように固定されている。このようにして台座部12aの高さ位置を下げることにより、重心位置を下げて安定性をより高めることが可能となる。
【0015】
前記ガススプリングは、台座部12aに対して昇降部12bを鉛直上方向に向かって相対的に付勢しているが、作業者が前記昇降レバーを操作していない状態では、昇降部12bの昇降動作がロックされている。一方、作業者が前記昇降レバーを操作してロックを解除した場合には、前記ガススプリングによる付勢力を受けて昇降部12bが鉛直上方に向かって緩やかに上昇する。また、作業者が前記昇降レバーを操作してロックを解除した状態で寝台20を鉛直下方に向かって押し込んだ場合には、昇降部12bが鉛直下方に向かって緩やかに下降する。このように、作業者が昇降レバーを操作してロックを解除した状態で寝台20を上下動させ、寝台20が適切な高さ位置に至った時点で作業者が前記昇降レバーを操作してロックをかけることにより、寝台を所望の高さ位置に設定することが出来る。なお、前記昇降レバーは、枠体40を間にして左右両方に設けられており、寝台20の左右どちらからでも操作可能となっている。
【0016】
昇降部12bは、台座部12aよりも細い角パイプ形状をなしており、その上端部に、後述の枠体をボルト固定するための受け板(不図示)が溶接固定されている。なお、前記受け板を省略して、昇降部12bの上端部に直接、ボルト穴を複数設けてもよい。いずれの場合も、例えばボルト穴を4箇所設ける場合には、これらボルト穴が前後左右方向に1箇所ずつ並べられて正方形をなすように配置することが好ましい。
【0017】
キャスター13は、前記各キャスター取付け部11dのそれぞれに対して鉛直軸線回りに回転自在に取付けられた回転軸(不図示)と、この回転軸に対して取付けられた車輪13aと、この車輪13aの回転を許可又はロックするストッパ13bとを備えている。
【0018】
図1に示すように、寝台20は、下部フレーム21と、下部フレーム21上に支持固定された寝台板(不図示)と、平面視した場合に前記寝台板の四辺周囲を囲むとともに下部フレーム21上に固定された上部フレーム(不図示)と、この上部フレームの四辺それぞれに対して起立した状態で取付けられた側壁24と、前記寝台板上に載置されるマットレス(不図示)とを備えている。
【0019】
図3に示すように、下部フレーム21は、前後方向に沿って延在する一対の角パイプであるフレーム材21aと、これらフレーム材21aの前方側の端部間を連結するフレーム材21bと、各フレーム材21aの後方側の端部間を連結するフレーム材21cと、各フレーム材21aの長手方向途中の2箇所において、各フレーム材21a間を連結する2本の角パイプである補強フレーム材21d,21eとを備えている。
【0020】
一対のフレーム材21aとフレーム材21b,21cとにより、平面視して前後方向に長い長方形状の枠体を構成している。そして、この枠体の長手方向の途中2箇所において、補強フレーム材21d,21eが前記枠体内に溶接固定されることで、前記枠体をその内側から補強している。なお、補強フレーム材21d,21eのうち、一方の補強フレーム材21dは、前記枠体を平面視した場合に同枠体の長手方向の中央位置よりも前方側に配置され、また他方の補強フレーム材21eは前記中央位置よりも後方側に配置されている。
下部フレーム21の各構成要素のうち、一対のフレーム材21a及び補強フレーム材21d,21eは角パイプからなる一方、フレーム材21b,21cは、長尺の板材を折り曲げ加工したプレス成形品である。そして、フレーム材21b,21cと、補強フレーム材21d,21eとのそれぞれの一方の端部が、一方のフレーム材21aの側面に対して垂直をなすように溶接固定され、また他方の端部が、他方のフレーム材21aの側面に対して垂直をなすように溶接固定されている。
図3及び図5に示すように、補強フレーム材21eの長手方向中央位置の側面には、後述のガススプリング54aを取付けるための軸受け21e1が溶接固定されている。
【0021】
前記寝台板は、多数の穴空け加工を施した薄い樹脂板であり、下部フレーム21上に載せられた状態で、下部フレーム21に対してプッシュリベット(不図示)で固定されている。すなわち、前記寝台板は、一対のフレーム材21aと、フレーム材21b,21cと、補強フレーム材21d,21eとにより支持されており、なおかつフレーム材21b,21cのそれぞれに対して前記プッシュリベットで固定されている。
前記マットレスは、前記寝台板の上面に載せられるクッション材であり、平面視した場合に前記寝台板の上面と同じ長方形状を有し、なおかつ適度な柔らかさを持つ内部素材と、この内部素材の周囲を覆うとともに清掃しやすく破れにくい表面素材とを備えている。
【0022】
前記上部フレームは、四角枠形状をなしており、その枠内に前記マットレスを収容及び保持するための収容空間が形成されている。そして、この上部フレーム内に前記マットレスを収容した状態では、上部フレームの上面高さが、前記マットレスの上面の高さと略同じになっている。また、この上部フレームには、小児用ベッドを作業者が手押しするための把持部と、側壁24を起立状態または下方に倒した状態に保持可能な回動部と、が備えられている。
側壁24は、例えば透明なアクリル板からなり、前記上部フレームの四辺それぞれに一枚ずつが着雑可能に取付けられている。
【0023】
図2に示すように、連結機構30は、前記支持架台10の昇降部12bに設けられた前記受け板に対してボルト固定された枠体40と、この枠体40に対して、前記寝台20を傾動自在に連結及び支持する傾動機構50と、を備えている。
図4に示すように、枠体40は、前後方向に沿って延在する一対の縦枠材41と、これら縦枠材41の前方側に挟み込まれた状態で溶接固定された横枠材42と、各縦枠材41の後方端部に対して溶接固定された横枠材43と、を備えている。
【0024】
前記一対の縦枠材41は、金属板を折り曲げ加工することでその長手方向に垂直な断面がコ字状となるように形成された棒状部品であり、互いに平行かつ両者間に所定間隔を空けた状態で、さらに前記コ字状断面の開口が鉛直方向下方を向くように配置されている。
また、各縦枠材41の前方側上面には、寝台20を傾斜させずに平置きした場合に、寝台20の下面に当接する緩衝材41aが一つずつ設けられている。これら緩衝材41aは、縦枠材41の上面に対して寝台20の下面が直接当たって支える受け材として機能する。
【0025】
横枠材42は、四角形の金属板のうちの互いに対向する一対の側縁部分を同一方向に折り曲げ加工した板部品であり、底部42aと、この底部42aの前後方向両側縁より鉛直方向上方に向かって起立する鉛直部42b,42cと、を備えている。
底部42aは、前記昇降部12bの受け板に対してボルト固定するためのボルト穴hが複数形成されている。これらボルト穴hは、前記昇降部12bの受け板に設けられたボルト穴と同一配置とされている(例えば4箇所形成する場合には、4つのボルト穴hが平面視して前後左右方向に1つずつ並べられて正方形をなすように配置する)。
【0026】
さらに、底部42aには、その一部を切り欠いて折り曲げて起立させた軸受け板42a1が4箇所形成されている。これらのうち、底部42aを平面視して右側にある2つの軸受け板42a1で一対、左側にある2つの軸受け板42a1でさらに一対、合計2対の軸受けを構成している。そして、右側にある一対の軸受け板42a1に対して前記昇降レバーの一方を回動自在に取付けるとともに、左側にある一対の軸受け板42a1に対して前記昇降レバーの他方を回動自在に取付ける。なお、縦枠材41の下部に形成されている切り欠きには、前記昇降レバーが通されるようになっている。
【0027】
前記鉛直部42b,42cの右側の各端部は、右側にある縦枠材41の内側面に対して垂直に突き当てた状態で溶接固定されている。また、鉛直部42b,42cの左側の各端部は、左側にある縦枠材41の内側面に対して垂直に突き当てた状態で溶接固定されている。
なお、横枠材42の機械強度を上げてさらに枠体40の剛性を高めるために、図4に示すような一対の補強部材42xを溶接固定してもよい。この補強部材42xとしては、例えば、金属板を折り曲げ加工して断面視コ字状かつ前後方向に延在する部品を採用することが出来る。また、このような補強部材42xとしては、前記鉛直部42b,42cと同じ高さ寸法に揃えることがより好ましい。さらに、この補強部材42xの溶接固定に際しては、前記各縦枠材41と平行をなすとともに、前記各ボルト穴hの上方を覆わない位置に配置した上で、鉛直部42b,42cの各内側面と、底部42aの上面とに対して溶接固定するとよい。
【0028】
横枠材43は、左右方向に延在する角パイプであり、その各端部には後述の傾動軸受け51が溶接固定され、また、その長手方向中央位置でかつ横枠材41に面した側の側面には後述の支持金具52が溶接固定されている。
横枠材43の延在方向2箇所に対し、前記一対の縦枠材41の後端部側が突き当てられた状態で溶接固定されている。その結果、この横枠材43は、一対の縦枠材41及び横枠41と共に、四角枠を構成している。この四角枠は所定の高さ寸法を備えているため、四角枠の面内方向に沿った外圧負荷に対して強固であるのみならず、四角枠をその厚み方向に捻るような外圧負荷に対しても変形することがない、十分な機械強度を確保している。
横枠材43は、一対の傾動軸受け51(連結部材)を介して前記一対のフレーム材21a間を連結しており、前記補強フレーム材21d,21eと同様の補強効果を発揮している。すなわち、横枠材43の長さを、前記四角枠よりはみ出した延長部43cを確保するように長めにしているので、横枠材43は、前記四角枠の強度部材として用いられることに加えて、下部フレーム21の剛性を高める強度部材としての役目も兼ねている。
【0029】
図5に示すように、傾動機構50は、枠体40に対して寝台20を傾動自在に連結する金具である傾動軸受け51と、枠体40に対して鉛直下方に延在するように上端が溶接固
定された支持金具52と、一端が支持金具52の下端52aに対して回動自在に連結されるとともに他端が下部フレーム21の前記軸受け21e1に対して回動自在に連結され、傾動軸受け51を中心として寝台20の下部フレーム21が傾動する際に前記傾動に追従して伸縮するダンパー54と、ダンパー54の伸縮を許可及び規制する傾動操作部55と、を備えている。
【0030】
傾動軸受け51は、金属板であり、前記横枠材43の両端のそれぞれに1枚ずつ固定されている。傾動軸受け51は、横枠材43の端部に溶接固定された固定部51aと、この固定部51aより斜め上方に延在するとともにボルト穴51b1が形成された回動軸連結部51bと、を備えている。
なお、図5に示すように、ボルト穴51b1は、横枠材43に対して前方側かつ鉛直方向上側にずれた位置であって、しかも前記下部フレーム21のフレーム材21aに形成されたボルト穴(不図示)と重なる位置に形成されている。そして、ボルト穴51b1と、前記フレーム材21aに形成されたボルト穴とを重ね合わせた上で、両者に対して水平方向にボルトを通して締結している。しかも、傾動軸受け51に対して前記ボルトを軸体として前記フレーム材21aが回動自在とされているので、下部フレーム21を含む寝台20の全体が、連結機構30を介して、支持架台10に対して傾動可能となっている。寝台20が平置きの状態から傾動させる場合は、一対のボルト穴51b1間を結ぶ仮想直線CL(図1参照)を回転軸線として、寝台20の後方側が下がるとともに前方側が上がる方向に傾動する。一方、寝台20を傾斜状態から平置き状態に戻した場合には、下部フレーム21の補強フレーム材21dが枠体40の緩衝材41aに当接して動作を止めるので、平置き状態の位置よりも前方側が下方に下がることが禁止されている。
【0031】
図5に示す支持金具52は、互いに対向する一対の三角板52xを備えている。これら三角板52xのそれぞれが、前記枠体30の横枠材43の内側面に対して溶接固定されている。そして、一対の三角板52x間に、ダンパー54の一部が挿通可能な隙間が形成されている。なお、各三角板52xは略逆三角形状をなしており、上端から下端にかけて先細りとなっている。さらに、各三角板52xの下端には、その板厚方向に貫く貫通孔52yが形成されており、しかもこれら一対の貫通孔52yは同軸をなしている。
【0032】
図5に示すように、ダンパー54は、ガススプリング54aと、このガススプリング54aの上端を前記軸受け21e1に対して回動自在に連結する上側連結部54bと、ガススプリング54aのシャフトの下端を前記支持金具52の貫通孔52yに対して回動自在に連結する下側連結部54cと、を備えている。
また、ダンパー54には、前記傾動操作部55が一体に設けられている。この傾動操作部55は、ガススプリング54aの側方に回動自在に設けられた金属製のレバー55aと、このレバー55aの先端に固定された樹脂製の手掛け部55bとを備えている。レバー55aは、ガススプリング54aの上端より後方側に向かって延在しているため、手掛け部55bが寝台20真下の後方端寄りに配置される。よって、手掛け部55bへのアクセスが容易となるので、作業者が傾動操作部55を容易に操作することが可能となる。
【0033】
以上説明の構成を有する本実施形態の小児用ベッドによれば、寝台20の自重及び寝台20に載せられた乳児の体重の双方を、構造的に剛性が高い枠体40によって支える構造であるので、前記自重及び前記体重を例えば前記昇降台12だけで直接受ける場合に比べて、寝台20のしなりやがたつきを抑えることができる。しかも、寝台20自体の骨格構造が従来構造であっても適用可能である。したがって、本実施形態によれば、しなりやがたつきが抑えられた堅牢な小児用ベッドを提供することが可能となる。
【0034】
上記効果について、図6図9を用いてより詳しく説明する。なお、図6図9は、何れも、下部フレーム21が傾斜していない平置き状態を示す部分平面図であり、図6,7
が下部フレーム21の後方側を示し、図8,9が下部フレーム21の前方側を示している。また、図6図9において、黒矢印が局所的な荷重の作用点を示す一方、白矢印が前記荷重を主に受け止めている点での反力を示している。
【0035】
例えば、図6に示すように、下部フレーム21の後方側左角部に対してその上方から下向きの荷重が加わった場合(黒矢印参照)、この荷重は、主に、枠体40の紙面左下角部と、ダンパー54とにより支えられる(白矢印参照)。そして、ダンパー54は支持金具52を介して枠体40の横枠材43により支えられているため、結局は枠体40で全ての荷重を受け止めることになる。そして、枠体40は上述の通り高い剛性を具備していて殆ど変形しないので、前記荷重を確実に受け止めることができる。したがって、剛性が高く殆ど変形しない枠体40に向かって荷重が伝搬するように、フレーム材21a,21c、補強フレーム材21e、ダンパー54、そして支持金具52が構成されているので、下部フレーム21のしなりやがたつきを抑制することが可能となっている。
【0036】
続いて、例えば、図7に示すように、フレーム21cの中央位置に対してその上方から下向きの荷重が加わった場合(黒矢印参照)、この荷重は、主に、枠体40の紙面左右角部と、ダンパー54とにより支えられる(白矢印参照)。そして、ダンパー54で受け止めた荷重は、前述と同様に横枠材43で支えられているため、結局は剛性の高い枠体40で全ての荷重を受け止めることになる。したがって、下部フレーム21のしなりやがたつきを抑制することが可能となっている。
【0037】
続いて、例えば、図8に示すように、下部フレーム21の前方側角部に対してその上方から下向きの荷重が加わった場合(黒矢印参照)、この荷重は、枠体40の4つの角部により支えられる(白矢印参照)。より具体的に言うと、紙面左上角部においては鉛直上方に向かう第1の反力が発生し、また紙面右上角部においては前記第1の反力よりも小さいが同じく鉛直上方に向かう第2の反力が発生する。さらに、紙面右下角部においては鉛直下方に向かう第3の反力が発生し、また紙面左下角部においては前記第3の反力よりも小さいが同じく鉛直下方に向かう第4の反力が発生する。
このように、下部フレーム21の前方側角部に加わった荷重は全て枠体40に伝えられるが、枠体40は上述の通り高い剛性を具備していて殆ど変形しないので、前記荷重を確実に受け止めることができる。したがって、剛性が高く殆ど変形しない枠体40に向かって荷重が伝搬するように、フレーム材21a,21bおよび補強フレーム材21dが構成されているので、下部フレーム21のしなりやがたつきを抑制することが可能となっている。
【0038】
さらに、例えば、図9に示すように、下部フレーム21の前方側中央部に対してその上方から下向きの荷重が加わった場合(黒矢印参照)も、この荷重が枠体40の4つの角部により支えられる(白矢印参照)。より具体的に言うと、紙面左上角部及び紙面右上角部においては鉛直上方に向かう反力が発生し、また紙面左下角部及び紙面右下角部とにおいては鉛直下方に向かう反力が発生する。
このように、下部フレーム21に加えられた荷重を枠体40に伝搬して支えるように、フレーム材21a,21bおよび補強フレーム材21dが構成されているので、下部フレーム21のしなりやがたつきを抑制することが可能となっている。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態の小児用ベッドによれば、寝台20の何れの箇所に局所的な荷重が加わっても、下部フレーム21のしなりやがたつきを抑制することが出来る。よって、寝台20に寝かせた乳児が寝返りなどすることによって寝台20上の荷重作用箇所が動いても、寝台20にしなりやがたつきが生じず、乳児は安らかに寝付くことができる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、下記の効果を得ることも可能としている。
すなわち、本実施形態では、前記傾動機構50が、枠体40に対して寝台20を傾動自在に連結する傾動軸受け51と、枠体40に対して鉛直下方に延在するように上端が固定された支持金具52と、一端が支持金具52の下端に対して回動自在に連結されるとともに他端が寝台20に対して回動自在に連結され、傾動軸受け51の軸線回りに寝台20が傾動する際に前記傾動に追従して伸縮するダンパー54と、ダンパー54の伸縮を許可及び規制する傾動操作部55と、を備えている。
この構成によれば、高い枠体40より鉛直下方に延びる支持金具52の下端に対してダンパー54の一端を連結する構造であるので、寝台20の下面に対するダンパー54の取付け角度(図5の角度α)を大きめに確保することが出来る。よって、ダンパー54が寝台20をその下面から確実に支えることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、枠体40の一部である横枠材43が、枠外に向かって延在するとともに、寝台20の骨格をなす下部フレーム21の一部を兼ねている。この構成によれば、剛性の高い枠体40の一部により寝台20の骨格を補強することができるので、寝台20の剛性をより高めることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、寝台20が、(1)平置き状態では、寝台20の自重が、枠体40の上面の一部と、傾動軸受け51と、ダンパー54及び支持金具52とにより、枠体40に対して付与され、(2)傾斜状態では、寝台20の自重が、傾動軸受け51と、ダンパー54及び支持金具52とにより、枠体40に対して付与される。この構成によれば、平置き状態及び傾斜状態の何れにおいても、寝台20の自重、さらには寝台20に加えられる荷重を枠体40で受け止めることができる。
さらに、枠体40内に補強部材42xを設けた場合には、枠体40の剛性をより高めることができるので、この枠体40で支えられる寝台20のしなりやがたつきをより確実に抑えることが可能となる。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記枠体40の形状として平面視矩形状を採用したが、前後方向又は左右方向に長い長方形を採用してもよい。さらには、平面視円形、平面視楕円形、平面視三角形、平面視多角形など、平面視して閉じた枠状であればその他の形状を採用してもよい。
また、補強フレーム材21d,21eの配置箇所や本数等は、必要に応じて適宜変更することが可能である。
また、上記実施形態では、支持架台10にキャスター13を備えて走行可能としたが、この構成のみに限らず、キャスター13を備えずに床面に据え付ける構成にも本発明は採用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 支持架台
20 寝台
30 連結機構
40 枠体
42x 補強部材
43 横枠材(枠体の一部)
50 傾動機構
51 傾動軸受け(連結部材)
52 支持金具
54 ダンパー
55 傾動操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9